虫取り大会in月光竜の塔
●大体こいつらのせい
普段はゲームプレイヤーとNPC、時たまモンスター(とバグプロトコル)位しかいないゴッドゲームオンラインであるが、ある日、そのいずれともつかない2体が現れた。
片方はネズミの耳を付け、セーラー服を身に纏った青い髪の少女。周囲にはハートが飛び散っている。もう片方はオレンジの角の丸いピラミッドに緑色の手足と耳がくっついたような、モンスターというよりマスコット的な何か。少なくとも敵意や悪意は感じられない。
「夏なのにイベント少なすぎじゃないですか。」
青い髪の少女がぼやく。GGO世界にも一応七夕や花火大会、縁日など、『夏』と聞いて思い浮かぶイベントは一通り用意されているのだが、彼女からするとまだ足りないのである。
「ワイちゃんが→作ってあげますヨ!」
運営でもないのにこの暴挙。その結果、各地で無茶苦茶なイベントと無茶苦茶集まってくるバグプロトコルへの対応にドラゴンプロトコルたちは死んだ目で対応する羽目になったのだった。
え、オレンジのピラミッド?知らんうちにどっか行った。
●グリモア猟兵よ、お前もか
グリモアベースに集まった猟兵たちが見たものは、『私はダメなドラゴンプロトコルです』の看板を首からぶら下げ、正座させられているエウレカ・ムーンサイド(月光竜はダンジョンをバズらせたい・f42610)の姿だった。
「あ、皆さんお集まりいただきありがとうございます<(_ _)>」
土下座せんとばかりに頭を下げるエウレカ。彼女のこの態度には理由があった。
「えー、実は今回の依頼、半分は間違いなく私のせいでして
……(((;゚Д゚))))
事情を順番に説明しますと、『バズリトレンディ』なるお方がGGOに現れたと聞き、私は喜び勇んで我が『
月光竜の塔』へとお迎えし、『ここがバズるためにはどうしたらいいのか』と相談したのです(; ・`д・´)」
猟兵の多くが「相談する相手を間違えている」という顔をしていたが、この時点でまだ話の半分しか終わってないのである。
「バズリトレンディ師匠は『ここで昆虫採集をやろう!』と言われまして、私も『なるほど一理ある』と昆虫系モンスターを集めたところ、その中に強力なバグプロトコルが混ざっていたのです;;(∩´﹏`∩);;。
そしてその影響で、モブとして集めた植物系モンスターもみんなバグプロトコルになってしまいました。あ、師匠はバグプロトコルに吹っ飛ばされてどっか行っちゃいました(;´Д`)」
自分が管理するダンジョンの過疎化を何とかしたいのは分かるが、その結果がご覧のあり様である。
●虫取り大会始まるよー
「とりあえず、昆虫採集イベント自体は機能していますが、昆虫系モンスターは全て『マリグナント・オオカブト』なるカブトムシ型バグプロトコルに吸収されてしまったようです。こうなった以上は限定ボス討伐レイドイベントとして動かすしかありません(; ・`д・´)」
この瞬間『虫取り』が『虫を打ち取る』という意味へと変化した。他に使う機会のなさそうな意味だが、色々と仕方ない。
『マリグナント・オオカブト』は最上階にいるみたいですが、まずは先に低層階にいる『エントレット』を倒してください。普段は木材系素材アイテムを落とすモンスターですが、今回のイベント限定で『樹液』というアイテムを落とします。これを集めてイベント特攻装備を作りましょう。合成レシピは入口にいるNPCのミハイルに聞けば教えてくれます(・∀・)」
他の猟兵から『レベルが高ければイベント特攻装備など不要なのでは?』との意見が出る。
「それがですね、ボスに対してはイベント特攻装備以外殆どダメージもデバフも通らないようにステータスが弄られていまして……。これはちょっとこっちでもどうしようもない状態です(;'∀')」
手心という言葉はどうやらバズリトレンディの辞書になかったらしい。
「そうそう、ボスを倒した後余った樹液やドロップしたけどいらない木材を我々に持ってきてもらうと、アイテムガチャが1回引けるチケットと交換できますのでよろしくお願いします(^_-)-☆」
こんなところもイベント仕様である。
●ダンジョンがバズる為に必要なこと
三日月形のグリモアが輝き、猟兵たちを『
月光竜の塔』へと送り出した。その場に一人残ったエウレカが呟く。
「オーソドックスにしすぎてもダメ、廃人仕様の超難易度にしてもダメ、ダンジョンがバズる為に必要な要素って、何でしょうね?(´ー`)」
独り言のようなエウレカの問い。その答えはプレイヤーの数だけ存在するのだろう。
武炎鉄
こんにちわ、武炎鉄です。区切りの10作目はまたGGOです。最初にエウレカの設定を考えた時から「いつかバズリトレンディに会わせてやりたい」と思っていましたが、思いのほか早く実現して自分でもびっくりです。
●第1章は『エントレット』の群れを倒して『樹液』を集めます。
●『エントレット』は『樹液』のほか『木材』をドロップします(割合的には木材7:樹液3くらい)。
●第2章は『マリグナント・オオカブト』討伐戦です。詳細は断章にて。
●第2章では第1章で集めた『樹液』を使いイベント特攻装備を作成して装備します。どんなアイテムを作ったのかはプレイングに記載してください。
●第3章はご褒美のガチャ抽選会です。詳細は断章にて。
●「書けば出る」ジンクスでプレイングで指定があった場合、それっぽいものが出ます。ただしレア度はこちらで判定します。
●ここで入手したアイテムの作成はご自由にどうぞ!
第1章 集団戦
『エントレット』
|
POW : 木の葉乱舞
自身が【木の葉(すぐ生えてくる)を飛ばしている】いる間、レベルm半径内の対象全てに【鋭利な木の葉カッター】によるダメージか【樹木を癒す腐葉土】による治癒を与え続ける。
SPD : ボンデージスレイヤー
対象の【腕・脚・胴体】を【(使っていない部分は行動可能な)枝や根】で締め上げる。解除されるまで互いに行動不能&対象に【状態異常であるほど威力が上がる、樹】属性の継続ダメージ。
WIZ : サモン・ドライアード
【樹木の精霊であるドライアード】の霊を召喚する。これは【樹属性の魔法】や【自由農夫のアビリティ】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
●動くこと森の如し
『
月光竜の塔』の内部は基本的に夜空を彷彿とさせるステージ背景となっているが、今回はイベント用特別仕様ということで、昼間の野外のような開放感あふれるステージ背景になっている。
そこを我が物顔で歩くのは歩く巨木『エントレット』である。木材系素材アイテムをドロップするということで、普段はクラフト勢から狩られているが、今回はそれに加えてイベントボス特攻装備を作るために必要な素材アイテム『樹液』を落とす為、イベント参加者からも大いに狩られることになった。
「それにしてもこれだけの数、まるで動く森ですな。」
エウレカと共に『
月光竜の塔』を管理しているNPCのミハイルが呟いた。彼はバグプロトコルが塔の外へ出て行かないよう、門番として監視する役目をしていた。
「さて、そろそろエウレカ殿が猟兵を送り込んでくる時間ですな。」
彼は遠くにグリモアの光を見た。それが相棒からの合図だと。
エリオン・グランディール
あぁ、確かに大きい。そしてほぼ人を真似ているね。
足回りの造形などほぼ人と同様。素晴らしいじゃないか。
……しかし、肝心の手があれではね。もとより、木でできた身体。感触は人に近くはなれない、か……残念だけど、君達に殺される訳にはいかないみたいだ。(本当に残念そうに言う変態)
【抉る君に】発動。
見せつけてあげよう、ディア・ディモン。
これこそ理想なのだと。
鬼火で木の葉を焼き尽くして。
巨大な剛腕たる【鬼の手】で木たちをへし折ってなぎ倒して。
ああ、やはり君に傷つけられる方が僕には合っている。いいよ、愛しき君。好きなだけ僕を持って行っておくれ(恍惚の表情で
●巨木に抱かれたい男と抉りたい鬼
冒険者というイメージからはかけ離れた男が一人、『エントレット』の群れを見つめていた。
「あぁ、確かに大きい。そしてほぼ人を真似ているね。足回りの造形などほぼ人と同様。素晴らしいじゃないか。」
造形に感心した様子の男はしかし、残念そうな表情を浮かべた。
「……しかし、肝心の手があれではね。もとより、木でできた身体。感触は人に近くはなれない、か。」
台詞だけ聞けば、素人が作った木製人形に対する感想のようでもある。ともかく、『エントレット』はエリオン・グランディール(巨体に嬲らるるを欲す者・f43157)のお気に召さなかったらしい。
エリオンは『巨大なもの』を好んでいた。否、正確には『巨大な人型に弄ばれ、殺されること』を好んでいた。好奇心から手を出した異世界の魔術は彼の欲求を実に正確な形で満たしてくれていたが、ふと思い立って別世界であるGGOへとやってきたのだった。
『エントレット』の群れがエリオンの存在に気づき、敵意を向けた。エリオンもまた、己に対する敵意に気づいた。
「残念だけど、君達に殺される訳にはいかないみたいだ。」
心の底から残念そうなトーンのエリオン。皆薄々気づいているだろうが、この男は紛れもなく変態である。
「見せつけてあげよう、ディア・ディモン。」
その言葉と共にエリオンの足元から巨大な腕が現れた。これこそがエリオンが会得した異世界の魔術『鬼道術』、その神髄である使役鬼『鬼の手』である。『鬼の手』が指をパチリと鳴らすと、『エントレット』の群れが炎に包まれた。
鬼火に焼かれながらもエリオンに襲い掛かろうとする『エントレット』だったが、『鬼の手』が『エントレット』を握り潰し、ついでと言わんばかりになぎ払う。その後もちぎっては投げ、なぎ払い、叩き潰し、『鬼の手』は群れが消滅するまで攻撃を続けた。
『エントレット』の群れが全滅した後に佇むエリオンであったが、『鬼の手』が対価をよこせとばかりに鋭い爪で彼の心臓を貫いた。だが、エリオンは自身は痛みを感じるどころか歓喜に包まれていた。
「思う存分持っていってくれ。愛しい君。」
待ってました、とばかりにエリオンを握り潰す『鬼の手』。その圧力を全身で受け止め恍惚の表情を浮かべるエリオン、そこに死の恐怖はない。
なお、この後エリオンは入口にリスポーンした。
苦戦
🔵🔴🔴
ミノア・ラビリンスドラゴン
バグの事前対処は困難を極めますわね!
故に次善の策としては、プレイヤーの皆様方が被害に遭う前にわたくしのようなドラゴンプロトコルによる討伐ですわ~!
今日の装いは、双龍剣を携えた【双剣使い】モード!
構えるは【二天双龍斬】!
卓越した【戦闘演算】により木の葉カッターの軌道を瞬時に算出し、左手の剣で斬り落とし!
【瞬間強化】した【ダッシュ】で間合いを詰め、右手の剣で反撃の【切断】!
さらに右手の剣が命中したことで左手の剣による【追撃】!
敵の1アクションに対して3リアクション!
最強DPS職は伊達ではなくってよ~!
樹液(幸運・宝探し)のついでに、迷宮改築の資材として木材もがっつり【素材採取】ですわ~!!
●ドラゴンプロトコルの尻拭いは同族がする
今回やらかしたのがドラゴンプロトコルであるエウレカなら、始末を付けに行くのは同じくドラゴンプロトコルであるミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)だ。彼女もまた、自身が管理する
迷宮の過疎っぷりに苦労する1人である。
「バグの事前対処は困難を極めますわね!」
そんな彼女の今回の装いは、いつものドレスではなく、白を基調としたビキニタイプの水着のように見える。これが『すごくけしからんドレスアーマー』である。ふざけた名称とデザインに反し、軽量かつ速度強化系のバフが多重掛けされた逸品であり、特に
聖剣士であれば喉から手が出るほどのレアアイテムである。
「プレイヤーの皆様方が被害に遭う前にわたくしのようなドラゴンプロトコルによる討伐ですわ~!」
己の仕事を果たそうとするドラゴンプロトコルの鑑ではあるのだが、彼女の場合他にも目的があった。
ドラゴンの意匠が施された双剣『双龍剣』を手に、『エントレット』の群れへと駆けだすミノア。速度強化の効果もあり、目にも止まらぬ速さで接近すると早速1体を斬り捨てた。
異変を察知した『エントレット』たちが葉っぱをカッターのように鋭い刃に変え、ミノアへと飛ばす。だが、彼女は冷静に『
二天双龍斬』の構えを取った。卓越した戦闘演算は正確かつ迅速に葉っぱの軌道を算出し、左手の剣で葉っぱの攻撃を斬り捨てた。
カウンターのようにダッシュで1体の『エントレット』と間合いを詰めると、右手の剣で大きな枝を切断し、更に左手の剣でも枝を切断し追撃。この間僅か数秒。『エントレット』の1アクションに対し、ミノアは3アクションを繰り出していたのだ。
「最強DPS職は伊達ではなくってよ~!」
白いドラゴンプロトコルの高笑いが塔の中に響き渡った。
「さて、と。」
『エントレット』の群れを倒した後はアイテムドロップの時間である。今回の目的である『樹液』以外にも、普段『エントレット』がドロップする『木材』もせっせと集めるミノア。実は彼女、ここで集めた木材を自分の
迷宮の資材にする腹積もりだったのだ。
「うーん、『樹液』はかなり集まりましたが、『木材』が少々物足りませんわね。」
何故こうなったのか首を傾げると、ミノアは再び『エントレット』を狩りに出かけた。
成功
🔵🔵🔴
ウォルター・デイビッド
■アドリブ絡み歓迎
「フフフ…いかにもリアルですが所詮はゲーム。この僕のデータと頭脳をもってすればバグだろうが攻略などたわいもないこと…」
眼鏡をクイとさせて自信満々に登場。早速電脳ゴーグルから電子コンピューターを展開するとカチャカチャ…ッターン!と無駄に音を立ててキーボードを叩き分析を開始する。
「解析完了…成程『素材を落とす』つまり狩られる事を前提とした雑魚敵。
とは言え、今の僕が立ち向かった時の勝率は17%!…よって、バグにはチートで対処させて頂きましょう!」
自信満々に、しかしよく聞けばめちゃめちゃ頼りない事を言いながらUCを発動するのであった。
●死亡フラグを乱立させると生存フラグになる
現在イベント仕様として昼間の森の中のようになっている『
月光竜の塔』であるが、そこには不似合いな姿の青年が現れた。手には分厚い書物を携え、日光に当たったこともないような白い肌に、運動とは無縁の痩せすぎなシルエット。少しの土埃ですら気にしそうな神経質な表情に眼鏡をかけ、誰がどう見てもインドア派であると納得できる姿だった。
そんなインドア派の青年、ウォルター・デイビッド(世界は理不尽に出来ている・f44256)は肉弾戦よりもデータを重視する戦い方を好んでいた。
「フフフ……いかにもリアルですが所詮はゲーム。この僕のデータと頭脳をもってすればバグだろうが攻略などたわいもないこと……。」
眼鏡をクイと上げ、自信満々のウォルターであるが、この手の台詞は一般的に死亡フラグとなりやすい。
さて、ウォルターの特徴的な眼鏡だがこの眼鏡、実は電脳ゴーグルなのだ。電脳ゴーグルからキーボードを召喚して電子コンピュータを展開し、無駄にキーボードの音を立ててデータを入力していく。全てのデータを入力し終え、エンターキーを押してから少しラグがあって分析結果が表示された。
「解析完了…成程『素材を落とす』つまり狩られる事を前提とした雑魚敵。とは言え、今の僕が立ち向かった時の勝率は17%!…よって、バグにはチートで対処させて頂きましょう!」
自信満々だが、よく考えると頼りない発言である。
ウォルターが手にした分厚い書物が光を放ち、自動的にページが捲られていく。その動きはとあるページで止まった。
そのページからはガトリングガンのように炎の弾丸が連射され、『エントレット』の群れを焼いていく。当たらなかった弾丸は地面に着弾し、爆発を起こした。結果、直接被弾しなかった『エントレット』も爆発に巻き込まれてダメージを受け、炎上する地面にスリップダメージを受け、最終的に全滅した。
「ふっ、僕の『
Have a Narrow Squeak』をもってすればこれくらい……どうやってここから脱出するんだ?」
ウォルターもまた炎上する地面に取り残され、リスポーンする羽目になったのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
カーバンクル・スカルン
バグプロトコルまで呼ぶとか何やってんの管理者。そして新し親分、無敵バフかけてるとか何してくれてんの? しかも何一撃でやられてんの? とりあえず見つけ出したら鉄拳制裁だな。
その前にまずは面倒くさい森林の伐採といきますか。……しかし樹液ってどんな感じに出てくるんだ? 液体そのままか琥珀状か、それとも入れ物のビンごとドロップ? まぁ出てくればわかるか。
事前に大量に用意したカタリナの車輪を塔に突っ込ませて近くにいた奴から片っ端に捕縛。
「使っていない部分は行動可能」っていう技説明だったが、状態異常の中では満足に動かせまい! 抵抗しようと蠢いている間に一体一体ノコギリで切り倒していくとしましょう!
●『樹液』の正体
「バグプロトコルまで呼ぶとか何やってんの管理者。」
転送先の塔内で割りとキレ気味に文句を言う赤髪の少女はカーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)。当事者であるエウレカが聞いたら「返す言葉もございません」と土下座しそうな勢いである。
「そして新し親分、無敵バフかけてるとか何してくれてんの? しかも何一撃でやられてんの?」
カーバンクルとバズリトレンディはカクリヨファンタズムでの戦争『大祓百鬼夜行』の牛肉大食いバズり対決で戦って以来の付き合いである。この時はカーバンクルが激辛唐辛子液に漬け込んでいたホルモンのせいで大変なことになった。何を言っているのか分からないが、事実なのでしょうがない。
「とりあえず見つけ出したら鉄拳制裁だな。」
物騒な一言である。
「その前にまずは面倒くさい森林の伐採といきますか。」
目の前に現れた『エントレット』の群れに向かって鋭い針があちこちに付いた車輪――『カタリナの車輪』を大量に放つ。針が『エントレット』に突き刺さり、貼り付けの状態となった。身動きの取れない『エントレット』がそこかしこに転がるこの状況、カーバンクルが圧倒的に優位である。
『エントレット』もやられまいと必死に枝や根を伸ばそうとするが、状態異常の中では満足に伸ばすこともできず、カーバンクルの金切鋸の餌食となった。
1体の『エントレット』が車輪からの脱出に成功した。一矢報いようとしたのか、カーバンクルの背後に回り込むと、枝を伸ばして攻撃に打って出る。だが、カーバンクルの振り向きざまの一撃をそのまま喰らい、真っ二つに切り裂かれた。
「大人しくやられれば良かったのにね。」
さて、お待ちかねのアイテムドロップの時間である。丸太状に積み上げられた大量の『木材』を横目に、カーバンクルは一つの疑問を抱えていた。
「しかし樹液ってどんな感じに出てくるんだ? 液体そのままか琥珀状か、それとも入れ物のビンごとドロップ? まぁ出てくればわかるか。」
彼女の推測はいずれも外れていた。実際に『樹液』としてドロップしたものは――。
「昆虫ゼリーだ……。」
小さなカップに黄色いゼリーがみっちりと詰まった、夏になるとホームセンターなどで売っているアレである。こんなところまで虫取り仕様だが、形状の発案者はバズリトレンディだ。
カーバンクルは何とも言えぬ表情を浮かべたのち、「もう一発追加するか」と呟くのであった。
大成功
🔵🔵🔵

印旛院・ラビニア
エウレカの為にも頑張ってイベント盛り上げるよ!
「エントレットか。火属性で倒すと木材のドロップ率は落ちるけど、樹液とかはどうなんだろ?」
「みんな、狩りの時間だよ!」
【高速詠唱】【召喚術】で戦乙女型モンスターを召喚し、みんなを【集団戦術】で指揮しながら敵を狩ってゆく
締め上げられた仲間は優先的に解放して戦力を落とさないようにする
メインアタッカーは【神滅の戦乙女・ジークヒルデ】。行動制限を受けないので、締められてもそのまま直線攻撃で敵を一掃できる
「どうだ! これが僕のジークヒルデの力だよ!」
途中、調子に乗るかもしれないので、成功度に影響しない範囲で公序良俗に反しない程度に酷い目にあってもいいです
●兎は
戦乙女見て跳ねる
バズリトレンディのせいで大変な事態になった虫取りイベントであるが、それでもこのイベントを楽しもうという猟兵もまた存在していた。
「エウレカの為にも頑張ってイベント盛り上げるよ!」
ゲーム廃人の沼に肩までどっぷり漬かったゲームプレイヤー、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)の心意気を聞いたら、エウレカは間違いなく号泣していただろう。
「エントレットか。火属性で倒すと『木材』のドロップ率は落ちるけど、『樹液』とかはどうなんだろ?」
『エントレット』の弱点が火属性であることはプレイヤーの間で広く知られているが、ここに一つの落とし穴がある。火属性で攻撃した場合、『木材』のドロップ率低下と個数が減るという厄介な性質があるのだ。今回のイベントにもそれが適用されており、『樹液』のドロップ率と個数に影響が出るようになっている。
『木材』を大量に消費するクラフト勢は別の属性を使ったり、物理攻撃に全振りするといった解決方法を編み出した。ラビニアもその辺の技は心得ており、今回はあえて火属性を使わないやり方を選んだのだった。
「みんな、狩りの時間だよ!」
カードデッキを掲げるラビニア。すると、カードの中から見目麗しい
戦乙女たちが次から次へと現れた。最後に現れたのはエースアタッカー『
神滅の戦乙女・ジークヒルデ』だ。
今回ラビニアが採用した戦法は、
戦乙女たちによる集団戦術。つまり、数には数で対抗しようとしたのである。
『盾の
戦乙女・ランドガルダ』が『エントレット』の攻撃を引き付け、その隙を突いて『新米
戦乙女・フラウリンデ』と『導きの
戦乙女・フレッタ』が連携攻撃を繰り出す。
『エントレット』の枝が伸び、ランドガルダを捕らえた。脱出しようと藻掻くランドガルダに襲い掛かる『エントレット』。だが、間一髪のところで『癒しの
戦乙女・エイラ』のデバフ解除スキルが発動し、ランドガルダを縛っていた枝が消滅した。
『破邪の
戦乙女・ソグマ』のデバフスキルが発動し、『エントレット』の防御力が一時的に低下した。呼応するように、『勝利の
戦乙女・シグルーネ』のバフスキルが発動する。シグルーネのバフスキルは『自分以外の戦乙女の攻撃力強化』。このスキルを受け、ジークヒルデが魔剣『ヴァルグラム』から神殺しの光線を放った。
神殺しの光線は射線上にいた全ての『エントレット』を射抜き、跡形もなく消滅させた。
「どうだ! これが僕のジークヒルデの力だよ!」
はしゃぐラビニアだったが、完全に油断しきっていたせいで、難を逃れた『エントレット』が背後に忍び寄っていることには全く気付いていなかった。
この後ラビニアは恥ずかし固めの体勢で拘束されたのち、劫禍が助けに来るまでしばらく放置されていたのだが、それはまた別の話。
大成功
🔵🔵🔵
ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)
探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ
戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!
●森は海につながる
「めずらしいそざいは あるかな?」
木々の合間をふわりと巨大なクラゲが通っていく。正確には『巨大なクラゲの様な笠』だが。この帽子の持ち主、ネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)は『珍しい素材がある』という噂を聞き、『
月光竜の塔』へと赴いたのだった。
『エントレット』がネッドの気配を捕らえた。『エントレット』は『ドライアード』を大量に召喚し、気付かれないように取り囲む。樹木の精霊である『ドライアード』は森の中に溶け込み、罠の如くあちこちに『スーパーライフベリー』を植えた。10秒後『スーパーライフベリー』は攻性植物と化し、一斉にネッドへと牙を剥いた。
「あぶないなぁ。」
のんびりとした口調とは裏腹に、ネッドは危機感を覚えた。攻性植物の群れをクリーピングコインで退けたと思ったら、今度は『ドライアード』が樹属性の魔法を繰り出してくる。本体の『エントレット』がどこにいるのかもわからない。だが、見つけられないのなら炙りだせばいいのだ。
「あめが ふるよ。」
作り物の空に雨が降る。それもただの雨ではない。ソーダ水の雨だ。ユーベルコードの力を帯びたソーダ水の雨は森を深海に塗り替える。
超高圧の水圧が攻性植物、『ドライアード』そして『エントレット』に襲い掛かる。身動きすら取れないバグプロトコルどもに対し、舞うように悠々と泳ぐネッド。
「みつけた。」
『エントレット』の姿を確認したネッドは無慈悲にも『サソリザのつるはし』を振り下ろした。
さて、お待ちかねアイテムドロップの時間である。
「これかな?」
昆虫ゼリーの様な形の『樹液』を拾い上げたネッドは、大事そうにクリアバッグに入れると再び塔の中を歩きだした。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『マリグナント・オオカブト』
|
POW : ダークホーン・カリバー
単純で重い【ツノ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ジェノサイド・ブレイククロー
【飛翔突撃】で敵を近接攻撃し、【鉤爪】で装甲を破壊する。敵の攻撃を受けた直後に当てればダメージ7倍。
WIZ : 暗黒爆滅弾
着弾点からレベルm半径内を爆破する【超強力なバグデータ爆弾】を放つ。着弾後、範囲内に【浸食汚染するバグデータ】が現れ継続ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
●出た!超巨大カブトムシ
月光竜の塔最上階。ここは普段エウレカがダンジョンボスとして待ち受けている場所だが、今回はその座をバグプロトコルに譲り渡している。
夜の森をイメージしたフィールドの中心には、今回のイベントボスである『マリグナント・オオカブト』が静かに鎮座していた。昆虫系モンスターを大量に吸収してステータスを上げ、バズリトレンディによりイベント特攻アイテム以外ではダメージが通らないように強化されてる。
並のゲームプレイヤーでは倒せない無茶苦茶なゲームバランスだが、猟兵が束になって掛かれば決して倒せない相手ではないのだ。
ミノア・ラビリンスドラゴン
夏と言えば昆虫の季節!
カブトムシは風物詩ですわ~!
樹液を加工した特効装備、バグホイホイゼリーを作成!
カブトムシのデータを持っているならば、この【誘惑】に抗うすべはありませんわ~!
樹液はかなりの数が集まったので、【ダッシュ】で暗黒爆滅弾を避けながらそこらじゅうにばら撒きますわ~!
ほ~らほら! おいしいゼリーはこっちですわよ~!(おびき寄せ)
ムシャムシャとゼリーに喰らい付けば……ドーン!!と【爆破】!
ゼリーに暗黒爆滅弾を逆流させる【データ攻撃】を仕込んでおきましたのよ!!(罠使い・カウンターハック)
バグ同士で相殺して弱体化したところへ……装備魔法発動!
【ドラゴニック・ゴッドカリバー】ッ!!!
カーバンクル・スカルン
なぜ大量の昆虫ゼリーと木材を組み合わせたら黄金色のハンマーになるのか……これが分からない。金属使ってねぇだろ。……とにかく樹液使った武器しか効かないなら使うしかないよな?
ダメージは入らないけど、状態異常は受けないとは説明されてない。仕様の穴をつくのがプレイヤーの専売特許ってやつよ!
カタリナの車輪の鎖を飛ばして、飛んでいるカブトムシを拘束して引き摺り下ろしてからボコボコにハンマーで殴り倒す。相手の装甲を破壊する鉤爪の攻撃も磔にされてたら出来まいて!
●飛んで火にいる夏の虫
茂みからそっと『マリグナント・オオカブト』の姿を確認する人影が二つ。一つはミノア・ラリビンスドラゴン、もう一つはカーバンクル・スカルンだ。
「夏と言えば昆虫の季節!カブトムシは風物詩ですわ~!」
レイドボスを前に張り切るミノアは巨大な昆虫ゼリーを抱えている。これは大量の『樹液』を合成して作ったイベント特攻アイテム『バグホイホイゼリー』。昆虫系モンスターをおびき寄せる効果があるのだが、実はそれ以外にも使い道があるのだ。
一方のカーバンクルは『解せぬ』とでも言いたげな表情を浮かべて、手にした黄金色に輝くハンマーを見ていた。
「なぜ大量の昆虫ゼリーと木材を組み合わせたら黄金色のハンマーになるのか……これが分からない。金属使ってねぇだろ。」
彼女が手にしているのはその名も『ゴルディオン樹液ハンマー』だ。命名者はもちろんバズリトレンディ。形状と言い名前と言い、どこかから怒られるギリギリのラインを攻めている。というか一回怒られたほうがいい。
ともあれ、『樹液』を使った武器しかバグプロトコルに効果がないとあれば使うしかない。カーバンクルは自分にそう言い聞かせると、改めてハンマーを握り直した。
最初に動いたのはミノアだった。茂みから躍り出ると、ダッシュで『マリグナント・オオカブト』の周囲を駆け回る。
『マリグナント・オオカブト』も敵の気配に気づき、バグデータで構築された爆弾を連射する。ミノアはギリギリのところでバグデータ爆弾を回避すると、周辺に『バグホイホイゼリー』をばら撒いた。
「ほ~らほら! おいしいゼリーはこっちですわよ~!」
カーバンクルも茂みから駆け出すと、『マリグナント・オオカブト』に向かって『カタリナの車輪』を大量に放つ。重低音を立てながら羽ばたき、回避しようとする『マリグナント・オオカブト』。だが、『バグホイホイゼリー』の放つ誘惑に耐えきれず、ゼリーが設置されている方へ突撃してしまう。
ゼリーに食いついた『マリグナント・オオカブト』であったが、ここで『バグホイホイゼリー』のもう一つの効果が発動する。なんと、ゼリーが爆発したのだ。本来『バグホイホイゼリー』は昆虫系モンスターを周囲に集め、爆発することで効率的に昆虫採集を行う為のトラップ系アイテム。ミノアはそこにさらに仕掛けを追加していた。
「ゼリーに暗黒爆滅弾を逆流させる【データ攻撃】を仕込んでおきましたのよ!!」
その言葉通り、着弾地点に留まっていたバグデータが一斉に『マリグナント・オオカブト』に吸収される。自身を侵食汚染するバグデータに動きが止まる『マリグナント・オオカブト』。そこに先ほどカーバンクルが放った『カタリナの車輪』が襲い掛かる。
「仕様の穴をつくのがプレイヤーの専売特許ってやつよ!」
鎖に絡めとられ、身動きが完全に封じられた『マリグナント・オオカブト』の頭上に、黄金のハンマーが振り下ろされる。
「振りかぶって思いっ切り……打つ!」
『樹液』で作られたそれは、甲虫の硬い装甲を打ち砕き、ダメージと共に防御力低下の効果をもたらした。そこにミノアが手札の中から黄金剣が描かれたカードを取り出した。
「装備魔法発動!」
カードは手の中で光の剣に変化すると、ミノアはそれを全力で振り下ろした。」
「すべてを断ち斬る黄金の光!! ドラゴニック・ゴッドカリバー!!!」
光の斬撃波が『マリグナント・オオカブト』を貫く。ただでさえ強力な斬撃波であるが、そこに防御力低下が加わったことで『マリグナント・オオカブト』は大ダメージを受けた。
プレイヤー同士による即興の連係プレーもまた、レイドボス戦の魅力の一つだ。このカブトムシは身をもってそれを教えてくれたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
「さてと、虫狩りの時間だね!」
樹液で作ってもらった武器は銃弾。アサルトライフルに装填していざハンティング!
「森がフィールドだからって、有利に働くのはそっちだけじゃないよ!」
UCを併用し、【地形の利用】【ジャンプ】で木々の間を飛び回り、時には遮蔽にしたりして、隙を見て敵に撃ち込む
更には前の戦闘で入手した木材から遮蔽となる壁や足場となる高台を即座に作成して移動補助や敵の飛翔突撃の妨害に役立てる
「木材はまだまだあるからね! 恥ずかしい目に遭ってまで集めた甲斐があったってもんだよ! 本当に!」
前回の戦闘のことでちょっと顔を赤くしつつも攻撃を続けるよ
その他連携アドリブ等お任せします
●シュート・ザ・ビードル
「さてと、虫狩りの時間だね!」
木の上に潜み、アサルトライフルを構えるラビニア。中に込められた銃弾は『樹液』を合成して作られた『樹液弾』だ。銃火器系装備なら種類を選ばす装填することができる。
対する『マリグナント・オオカブト』は装甲を破壊されたことによる防御力低下のデバフが依然継続中。また、怒りからくる混乱状態が発生していた。
「森がフィールドだからって、有利に働くのはそっちだけじゃないよ!」
木々の間を跳ね回り、ヒットアンドアウェイ戦法で樹液弾を撃ち込むラビニア。一発のダメージこそ小さいが、比較的柔らかい関節部や羽を中心に狙っていることが功を奏し、『マリグナント・オオカブト』の機動力はじわじわと低下していった。
もちろん『マリグナント・オオカブト』も黙ってやられる訳ではない。ボロボロの羽を震わせ飛翔すると、巨大な角でラビニアに突撃攻撃を繰り出そうとした。だがラビニアも手慣れたもの、ギリギリまで『マリグナント・オオカブト』を引き付けてから隣の木に飛び移った。木は薙ぎ倒されたものの、肝心のラビニアが無傷であることに混乱を隠せない『マリグナント・オオカブト』。そこに一瞬の隙が生まれた。
「それっ!」
集めていた『木材』で見張り台や高台、遮蔽壁などを作り上げたラビニア。この風景、アスリートアースに縁のある者なら覚えがあるだろう。そう、バトロワフィールドである。
「木材はまだまだあるからね! 恥ずかしい目に遭ってまで集めた甲斐があったってもんだよ! 本当に!」
下層部で『エントレット』の不意打ちを喰らい、恥ずかし固めの体勢で拘束された挙句、その姿を劫禍に見られたことは早く忘れたい。ニヤニヤしながら「誘っているのか?」と言われたことも早く忘れたい。
半ば憂さ晴らしのようなラビニアの攻撃は、『樹液弾』が尽きるまで続いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シモーヌ・イルネージュ(サポート)
「苦戦してるようだな。手伝うよ」
クルースニクのデスブリンガー×宿星武侠
口調:「ざっくばらん(アタシ、アンタ、か、だろ、かよ、~か?)」
一人称:アタシ
特徴 さばさばした性格 快楽主義者 大食い 自信に溢れた表情
黒槍『新月極光』で戦おう。
基本は【怪力】を生かした力任せの攻撃。
相手を勢いで【吹き飛ばし】て、壁や地面に叩きつける。
数が多ければ【なぎ払い】をして対応する。
防御は槍で【武器受け】。またはサイバーアイによる【見切り】で対応。
甲冑でも受ける。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用可。
ぶっ飛ばしていこう。
●虫の命は意外と長い
ここにきて『マリグナント・オオカブト』も粘るのか、なかなかトドメの一撃を刺すことができない猟兵達。
「苦戦してるようだな。手伝うよ」
そう言ってふらりと現れたのはシモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)。担いだ黒槍『新月極光』を構えると、早速ユーベルコードで風の魔力を纏い、加速して『マリグナント・オオカブト』へと突撃した。
もちろん、『マリグナント・オオカブト』も無策ではない。角にユーベルコードの力を蓄えると、シモーヌに向け思いっきり角を振り下ろした。
「ぐっ!」
寸でのところを『新月極光』で攻撃を受け止めるシモーヌ。怪力で押し返すと、水の魔力を黒槍に込め、柔らかい腹の部分を狙う。だが、『マリグナント・オオカブト』は羽ばたいて空を飛び、攻撃から逃れようとする。
「させるか!」
他の猟兵が作った足場を駆け上り、追跡するシモーヌ。どこまでも続くかに思われた追跡劇は、意外な形であっけなく終わった。
そう、ここはダンジョンの中。外のように見えて実は壁が『マリグナント・オオカブト』の行く手を阻む。
壁を破壊しようとするも、モンスターがダンジョンの外に出ないよう頑丈に構築された壁はユーベルコードの力をもってしても壊れない。そして後ろからはシモーヌが迫ってくる。
「これで終わりだ!」
シモーヌが水の魔力を帯びた黒槍に、更に土の魔力を付与する。2つの魔力を帯びた黒槍を力の限り投げつけると、黒槍は『マリグナント・オオカブト』の甲殻を破壊し、急所を貫いた。
『マリグナント・オオカブト』のHPゲージが完全に赤になり、数値が0になった。レイドボスの撃破に成功したのである。
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『報酬の受け取り(ガチャ)』
|
POW : ガチャ
SPD : ガチャ
WIZ : ガチャ
|
●お楽しみガチャ抽選会
『マリグナント・オオカブト』を倒し、『
月光竜の塔』入口へと戻ってきた猟兵たちを、NPCのミハイルが出迎える。
「皆様、レイドボス討伐お疲れ様でした。うちのバカ…もとい、エウレカも喜んでいるでしょう。それではお待ちかねのガチャチケット交換と参りましょう!
『樹液』は3個で1枚、『木材』なら5個で1枚の交換レートとなっております。そしてこのガチャチケットで利用できるガチャは『超闇鍋ガチャ』という、現時点でGGOに実装されているアイテム全てが入手できる可能性のあるガチャとなっております。もちろん、レアリティが上がれば上がるほど出てくる可能性は低くなりますので、その点はご了承ください。
それでは、交換を希望される方はこちらにお並びください。」
さて、ここからは運の問題。果たして猟兵たちはレアアイテムを手に入れられるのだろうか。
カーバンクル・スカルン
NPCに「バカ」呼ばわりされるとは求心力低くないかいエウレカさん。……まあ、こんな大惨事起こしてたらそうなるか。前科もありそうだし。
それにしても闇鍋、ねぇ……。まあこのイベクエ以外で使わないアイテムなら全部チケットに交換しとくかな。インベントリのこやしになっても無駄だし。
で、交換したチケットも全部ガチャに突っ込んで一気に回す! 素材でも既製品でもゴミでも、使い道は手に入れてから考えるとしましょう。
●やらかす管理者と付き合わされる副管理者
「NPCに「バカ」呼ばわりされるとは求心力低くないかいエウレカさん。」
チケット交換の列に並びながらぼやくカーバンクル。実は今回、エウレカは「ロクでもない予感がする」と反対していたミハイルを押し切ってバズリトレンディを招聘したのだった。そらミハイルも文句の一つくらい出るというものである。
「……まあ、こんな大惨事起こしてたらそうなるか。前科もありそうだし。」
今回に限らず、バズるための試行錯誤で何かしらの事件を起こしてはミハイルと共に片付けをするのがエウレカの日常でもある。それに文句言いつつ毎回付き合うミハイルも大概だが。
「それにしても闇鍋、ねぇ……。まあこのイベクエ以外で使わないアイテムなら全部チケットに交換しとくかな。インベントリのこやしになっても無駄だし。」
一般的なクラフト素材である『木材』ならともかく、『樹液』はおそらくこの先、使い道はないだろう。ならば使い切ってしまうのが得策である。
ガチャチケット交換の番が来た。アイテム合成に使わなかった『樹液』と『木材』を渡してざっと22枚のガチャチケットを手に入れたカーバンクルは、早速魔女の大釜を思わせるガチャマシンにチケットを全て突っ込んだ。
出てくるアイテムの殆どは既製品の武器や防具、一般的な消費アイテムだったが、1個だけ光り輝く演出と共に出現したアイテムがあった。
UR『竜騎士の鞍』+5
分類:ライドモンスター用装備
効果:装備したライドモンスターの防御力上昇、状態異常耐性向上
説明:ドラゴンを駆る竜騎士たちが愛用する、モンスター用の鞍です。
「レアアイテムだし、それなりに強化もされているけど、私ライドモンスター持ってないのよね……。」
とはいえ、この先ライドモンスターを入手する機会が全く無い訳ではないし、最悪売ればそれなりの値段になることは間違いない。
カーバンクルは『竜騎士の鞍』をインベントリにしまうと、次の獲物を求めて『
月光竜の塔』を出たのだった。
大成功
🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
今回はバグを集める為のイベントだったから、難度が上がるのは仕方なかったよね。
ガチャに挑戦
「何でも出るって事は欲しい物とか狙っても出なさそうかな」
『換金率の高いアイテムを漠然と狙うのもよかろう。俺様に任せてくれれば、高レアの物を引いてやろう』
なんか出しゃばってくる劫禍。じゃあお願いしよっかとお願いしたら、UCで【幸運】100レベルでガチャ、なんかけしからん服が多め
「なんか作為は感じるけど、結構な額になるかな?」
『ラビ子、お前は友のダンジョンのアイテムをそう簡単に換金する奴なのか?』
「さっきと言ってる事が違う!?」
『せめて一回着てみてから売っても遅くはあるまい(撮影の構え)』
「それが目的か!」
●身も蓋もない通称
「今回はバグを集める為のイベントだったから、難度が上がるのは仕方なかったよね。」
ガチャチケット交換列に並ぶラビニアは、今回のイベントを振り返りそう結論付けた。
さて、ラビニアの手元には69枚のガチャチケットがある。
「何でも出るって事は欲しい物とか狙っても出なさそうかな。」
高レアアイテムが出にくいということは、裏を返せば低レアアイテムを入手できる確率はそれなりに高いというもの。クラフトに必要な素材ならいくつあっても困ることはあまりないし、低レアの武器や防具でも強化次第で化けることがある。
「換金率の高いアイテムを漠然と狙うのもよかろう。俺様に任せてくれれば、高レアの物を引いてやろう。」
いつの間にか隣に立っていた劫禍がささやく。一瞬「コイツに任せていいのだろうか」と不安がよぎったが、そこまで言うのなら任せてみるかとガチャチケットをざっと50枚ほど渡した。
「そこまで言うなら、お願いしてもいいかな?」
「ラビ子の願いだ。ここは聞いてやろう。」
大釜のようなガチャマシンにチケットを突っ込む劫禍。すると極限まで高まった幸福の影響なのか、光り輝く演出を伴ってアイテムが大量に出てきた。
「凄い!……って、防具に偏ってない?それも『ドスケベ防具』ばかり出てきてる!」
出現したアイテムを確認したラビニアが困惑した。性能は素晴らしいがデザインがけしからん防具に対し、誰が呼んだか通称『ドスケベ防具』。こんな見た目でも入手は難しいので、プレイヤー間では高値で取引されている。
「なんか作為は感じるけど、結構な額になるかな?」
「ラビ子、お前は友のダンジョンのアイテムをそう簡単に換金する奴なのか?」
「せめて一回着てみてから売っても遅くはあるまい。」
ウキウキしながらスクリーンショットを撮影する気満々の劫禍。どこからか取り出したカメラを構えて万全の態勢だ。
「それが目的か!」
思わずツッコミを入れながらも、結局ラビニアは『ステータス確認』を言い訳に装備のファッションショーをすることになったのであった。
大成功
🔵🔵🔵