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闇に堕とすは悪魔と淫魔

#サイキックハーツ


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「サイキックハーツのとある都市で、オブリビオンが大規模な事件を起こそうとしています」
 全人類がエスパーへと進化し、平和な新時代が到来したはずのサイキックハーツ世界では、かつて人類を支配していた邪悪な「ダークネス」が骸の海から蘇り、新たな脅威となっている。彼らが起こす事件は目的や思想によって様々で、ダークネスごとに個別の対処が求められる事案が多い。

「今回出現したオブリビオンは『百識のウァプラ』。ソロモンの悪魔と呼ばれるダークネス種族の中でも、優秀な頭脳と豊富な経験を有する大悪魔です」
 過去の戦いにおいてもウァプラはその頭脳を活かして様々な策謀を企て、武蔵坂学園の灼滅者を妨害したという。
 ソロモンの悪魔は総じて知略や陰謀に秀でた者の多いダークネスであり、単純な戦闘力以上に侮れない存在だ。
「ウァプラは都市に『闇堕ち結界』を無差別に仕掛け、一般エスパーを闇堕ちさせられるかの実験を行っているようです」
 人間は闇堕ちすると別人格に肉体を乗っ取られ、新たなダークネスとなる。これがかつてのサイキックハーツ世界の摂理であり、生殖能力を持たないダークネスは人類全体の闇堕ちを促進することで数を増やしていたのだが、世界法則そのものが大きく変化した現代において、新たな闇堕ちとダークネスの発生は確認されていない。

「ウァプラの実験は結果として、結界の負荷で実験体エスパーを殺害するだけの、ただの虐殺事件に終わるでしょう」
 無論、猟兵にとっては一般人が闇堕ちするにせよ死亡するにせよ、オブリビオンによる人々の犠牲を見過ごすわけにはいかない。すぐにでも事件阻止に向かうべきだが――リミティアは妙に引っ掛かるものを感じているようだ。
「百識と称えられるほどの頭脳を持つ悪魔が、この結果を予測できなかったとは思えません。なのに都市部で大規模な実験を行ったのには、なにか別の目的が……例えば、こちらをおびき寄せる意図があったのではないかと」
 予知に引っ掛かるような派手な残虐事件を起こせば、灼滅者や猟兵であればまず見過ごせずに介入してくると、ウァプラも把握している可能性が高い。彼もかつては武蔵坂学園の灼滅者に討たれたダークネスの1人であり、十分警戒したうえで何かを企んでいるはずだ。

「有識者の話によると、ウァプラの『闇堕ち結界』は元々別のダークネスの能力だったものを彼が解析し、再現したものだそうです」
 形成時に闇堕ちを誘発する「結界」は、ソロモンの悪魔から見れば悪用し甲斐のある能力であり、特に灼滅者や一般人には大きな脅威だった。元の使い手が武蔵坂学園に灼滅された後も、ウァプラの手で解析された結界は事件の火種となり続けたのである。
「闇堕ち結界……またの名を『スキュラの結界』。ダークネスの中でも有力者として知られた『大淫魔スキュラ』の秘術です」
 リミティアは、すでにスキュラもオブリビオンとして復活を遂げ、この事件の裏でウァプラを手を組んでいるのではないかと予想していた。大悪魔と大淫魔が共謀し、二人の頭脳と魔力が合わさったとすれば、事はより重大性を帯びてくる。

「知略に長けたダークネス達が何を企んでいるかは分かりませんが、一般人の犠牲を阻止するためには罠だとしても飛び込むしかありません。皆様、どうかお気をつけ下さい」
 説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、『百識のウァプラ』が現れた都市に猟兵達を送り出す。
 エスパーの闇堕ちを企てる大悪魔と、その背後に見え隠れする大淫魔の影。復活したダークネスの有力者が張り巡らせた策謀の網を、食い破ることはできるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはサイキックハーツにて、オブリビオンによる一般エスパーへの残虐事件を阻止し、その背後にある策謀を暴く依頼です。

 1章はソロモンの悪魔『百識のウァプラ』との戦闘です。
 無差別に仕掛けられた「闇堕ち結界」による彼の実験を阻止しなければ、一般エスパーに多数の死者が出ます。
 優秀な頭脳と豊富な経験を有する大悪魔として知られていますが、もちろん戦闘力も低くはありません。油断すべき敵ではないでしょう。

 この事件にはもう一体、有力な敵として『大淫魔スキュラ』の関与が予測されています。
 ですがオープニング時点では具体的に彼女がどう関わってくるかは不明です。2章以降の展開によって詳細が明らかとなっていくでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『百識のウァプラ』

POW   :    闇堕ち結界
【「結界起動!」の言葉】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【魔法陣】で囲まれた内部に【大淫魔の遺産たる闇堕ちオーラ】を落とし、極大ダメージを与える。
SPD   :    ウァプラギア
【身体に搭載されたギア】に【回転力】を籠めて近接攻撃し、ダメージを与えた対象をレベル×1回転させる。
WIZ   :    『百識』
【『百識』と称えられる豊富な知識と経験】から【交戦中の敵にふさわしい対処方法】を発見する事で、対象の攻撃を予測し回避する。[交戦中の敵にふさわしい対処方法]を教えられた者も同じ能力を得る。
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アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【SPD】

一般の方々を
まるでモルモットさん
みたいに…!

『ウァプラさんの、闇堕ち結界の実験…そんな実験は阻止しなきゃです…!』

自身の翼で飛翔
【空中機動】等駆使し
【空中戦】も行い
立体的に立回り

UC発動
自身と武装を
視聴嗅覚での認識を
不可能にし

敵の近接UC等
受けぬ様
距離をとり

【第六感】【心眼】【残像】
【通常攻撃無効】
【結界術】【オーラ防御】で
防御行動や
一般の方を防護しつつ

クイーンオブハートキーを手に
【ハートのA】も展開
【破魔】の【誘導弾】の【一斉発射】と共に
UC発射し
攻撃

決して油断せず
堅実にダメージを与えていき

『ウァプラさんは、百識と呼ばれる悪魔さん…どんな手段を講じてくるか…慎重に』



「一般の方々を、まるでモルモットさんみたいに……!」
 サイキックハーツのオブリビオン――ダークネスにとって一般人の命はただの「資源」であり、実験台から使い捨ての駒まで、幾らでも消耗のきく存在に過ぎない。今回の事件はまさに典型的であり、ダークネスが人類を支配していた時代には、同じようなことが歴史の闇で平然と行われていたのだ。
「ウァプラさんの、闇堕ち結界の実験……そんな実験は阻止しなきゃです……!」
 斯様な非道がまかり通っていいものかと、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)怒りに震えた。実験と称した虐殺を止めるために、オラトリオの翼を羽ばたかせて現地に急行する。そこには白き衣を身にまとった獅子頭人身の「悪魔」が、まるで彼女の来訪を待ち受けていたかのように立っていた。

「来ましたか。『バベルの鎖』も無いというのに、耳の早い方々です」
 ソロモンの悪魔『百識のウァプラ』は、自身の計画が察知されたにも関わらず、落ち着いた態度で戦闘態勢に入る。
 身体に搭載されたギアが唸りを上げて回りだし、黄金色の翼が大気を打つ。あちらも空中戦は望むところのようだ。
「――スナークが、ブージャムだったが故に……その人は消えました……」
 アリスは【ミストレス・ブージャム・クローク】を詠唱すると、自身と武装を特殊な力場境界で覆い、視聴覚での感知を不可能にする。敵の知覚を欺きながら機動力を駆使して立体的に立ち回り、近接ユーベルコードの攻撃を受けぬよう距離を取る戦法だ。

「ウァプラさんは、百識と呼ばれる悪魔さん……どんな手段を講じてくるか……慎重に」
 相手が何をしてきても反応できるよう、第六感と心眼を研ぎ澄ませるアリス。ユーベルコードで不可知化してから、ウァプラは不気味に沈黙したまま動かない。おそらくは策を練っている最中だろうが――今の内にできることをしておこう。
(一般の方が闇堕ち結界に入ってしまわないように……)
 戦場や結界の張られた場所を外部から隔離するように、オーラの結界を重ねて一般人の侵入を防ぐ。通常攻撃無効のエスパーでも、ユーベルコードが飛び交う猟兵とオブリビオンの戦いに巻き込まれればどうなるかは語るまでもない。彼らの保護はアリスにとって最優先事項だった。

「……成程。そう動きますか」
 ウァプラには力場に覆われたアリスは知覚できないが、彼女が設置した結界やオーラは感知できる。『百識』の叡智はそのデータを自身の知識と経験に照らし合わせることで、因果事象や万象概念からも隔離された相手を導きだした。
「そこに居ますね?」
「……!」
 純粋な理論に基づいた予測は、飛行中のアリスの所在をピタリと言い当てていた。まるで視えているかのように悪魔が近付いてくると、アリスは驚きながら速度を上げた。高速回転する腕部のギアが、間一髪のところで身体を掠める。

「やっぱり、侮れない方です……ですが、負けるわけにはいきません!」
 もはや身を隠し続けるのは不可能と悟ったアリスは、隠密に割いていたリソースを反撃に転じた。残像が生じるほどのスピードで翔けながら「クイーンオブハートキー」を手に【ハートのA】を展開。色とりどりのジュエルのハートが、きらびやかに輝きながら一斉発射される。
「ほう。シャドウに似ていますがこれは別物……不可思議な能力ですね」
 ウァプラはいかにも研究者らしい態度のまま、破魔の誘導弾と化したハート達を回避するが――その機動に合わせてアリスは【ミストレス・ブージャム・クローク】を解放。その身を覆う力場境界は、遠距離攻撃にも利用できたのだ。

「かつての時代には存在しなかった力……ユーベルコード。実に興味深いです」
 被弾したウァプラのボディに傷が付くが、彼の余裕はまだ崩れない。大悪魔にとってこの程度は軽傷ということか。
 そしてアリスも、ここで焦って大技を仕掛けるような愚挙は犯さない。決して油断せず、堅実にダメージを与えていくのを第一に考える。
「これ以上の実験なんてさせません……!」
 人を人とも思わぬ邪悪な悪魔の手から、人々の命を救う。重大な使命を背負うが故に、アリスは慎重を期していた。
 その判断はおそらく正しい。この悪魔の頭脳にまだ、どれだけの陰謀と策略が眠っているのか、誰にも分からないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
知性体保護型アンチオブリビオン・ストーム、起動
『百識』と闇落ち結界を知性体保護の為破壊し、対処せよ

交戦中の敵にふさわしい対処方法、か
しかし知性体保護型アンチオブリビオン・ストームの前にどう対応するのやら
ホワイトレクイエム・D.D、ブラックアンセム・D.D…時間軸の破却で『百識』と闇落ち結界の効果を『時間軸の破却により無かったことに』せよ

妾も豊富な知識は兎も角、経験は数百年を生きている
ダークネスオブリビオンよ…定命を突破しているのは貴様らだけの専売特許では無いのだよ

指を鳴らし、2つのD.Dとアンチオブリビオンストーム複合して攻撃していく



「知性体保護型アンチオブリビオン・ストーム、起動。『百識』と闇落ち結界を知性体保護の為破壊し、対処せよ」
 事件が予知された都市に転移した直後、アドナ・セファルワイド(セファルワイド初代にして最後の皇帝・f33942)は【反転せし忘却の嵐は、民たる知性体の盾となる】を発動。破壊から守護の嵐に反転したオブリビオン・ストームを発生させた。
「まずは私の排除と闇堕ち結界の破壊が最優先ですか。やはり貴方達は一般人を見捨てられないようだ」
 ソロモンの悪魔『百識のウァプラ』は、その行動は予想通りだと言わんばかり。やはり彼が今回の事件を起こした背景には、単なる一般エスパーの闇堕ち実験以外の目的がありそうだが――いずれにせよ、彼をここで生かしておく理由はない。

「オブリビオンとなった私に有害な作用をもたらすエネルギーの竜巻……既存のサイキックでは説明の付かない現象ですね」
 生きているように軌道を変え、目標を追跡するアンチオブリビオン・ストームを、ウァプラは冷静に観察していた。
 『百識』と称えられる豊富な知識と経験から、交戦中の敵にふさわしい対処方法を見つけ出すのが彼の基本戦術だ。
「しかし知性体保護型アンチオブリビオン・ストームの前にどう対応するのやら」
「それを考えるのが学者というものです」
 現在のウァプラの手札では、アンチオブリビオン・ストームを直接無効化する手段はない。しかし軌道予測と回避は困難では無かった。すでに設置された闇堕ち結界を囮にすることでストームを誘導し、攻撃を掻い潜りながらアドナに迫る――。

「ホワイトレクイエム・D.D、ブラックアンセム・D.D……時間軸の破却で『百識』と闇落ち結界の効果を『時間軸の破却により無かったことに』せよ」
 そこでアドナは両手に備えた二つの「ディバインデバイス」を起動。未来と過去を操り、ウァプラの講じた対策を無意味にする。相手がアンチオブリビオン・ストームの軌道を予想するなら、こちらはその都度予測を「無かったこと」にして、違う軌道をストームに描かせればいい。
「これはこれは……まさか、時を操るとは……」
 流石のソロモンの大悪魔でも、時間操作はおいそれと到達できる領域ではない。時が破却されるたびに予測に反していく状況に、彼は感嘆の声を上げた。それでも再度予測を立て直して対処しようとするが、アドナも負けじとその予測を破却し続ける。

「妾も豊富な知識は兎も角、経験は数百年を生きている。ダークネスオブリビオンよ……定命を突破しているのは貴様らだけの専売特許では無いのだよ」
「なるほど。その装備が貴方の経験の成果ということですか」
 時間操作と百識の叡智のぶつかり合いは、やがて前者に軍配が上がった。アドナが指を鳴らすと2つのデバイスとアンチオブリビオン・ストームが複合され、物理的な時間流の大嵐と化して、ウァプラと闇堕ち結界を諸共に飲み込んだ。
「……素晴らしいデータ提供に感謝します。些か代償は大きいですがね」
 未知なる猟兵の能力を自ら体験することで、ウァプラが何を掴んだのかは定かではない。ただ本人の言う通り、竜巻に切り刻まれた五体は無傷ではなかった。いかに『百識』とて全知全能ではなく、見通せぬ未来は存在するのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
当時よりも被害の規模がやたら大きくなっていますね
一般エスパーの方々はご愁傷様です

「貴方の百識で私の戦い方を予測できるか、知恵比べといきましょう」
予測はさせないと自信たっぷりに宣言
欺きはここから。敢えて予測される戦い方を実行しますよ

密かにUC発動
攻撃は殺気を込めて手を抜かず
刀で斬りかかり、次に不意打ちでナイフ投擲
敵攻撃はWOKシールドで受け、死角を取るように反撃
回避される毎に苛立ちを見せつつ、刀使いと印象付け
油断が見えたら攻撃後の敵回避先を予測
敵足元から影業を突き刺すように攻撃、傷付与
その現象は私の意思ではないので予測不能でしょう
隙を突いて刀や影業で攻撃続行

運に頼るのも良いですね
スリルがあります



「当時よりも被害の規模がやたら大きくなっていますね。一般エスパーの方々はご愁傷様です」
 猟兵に覚醒した者と同様に、オブリビオンとして復活したダークネスは以前とは違う。能力にも様々な変化が現れ、起こす事件にも差異があることを摩津崎・灰闢(済度無相・f43898)は実感していた。これほど大規模かつ無差別に闇堕ち結界を仕掛けるとは、一般人にとっては不幸としか言いようがない――だからこそ自分達が来たわけだが。
「おや……貴方は灼滅者ではありませんね? ダークネス……六六六人衆ですか」
 一方の『百識のウァプラ』から見ても、彼が現れたのはやや予想外だった。サイキックハーツ大戦を生き延びた――正確には悪霊として「死に損なった」穏健派のダークネス。滅びゆく種族ながらも今だオブリビオンではない者が、自分の邪魔をするとは。

「貴方の百識で私の戦い方を予測できるか、知恵比べといきましょう」
「ほう。そう言われては受けて立たない訳にはいきませんね」
 予測はさせないと自信たっぷりに宣言すると、ウァプラの鬣が僅かに逆立つ。『百識』の称号を持つ大悪魔として、知恵においては自負もあるだろう。灰闢もそれを分かっていて挑発したのだ。知識と謀略ではソロモンの悪魔のほうが上手かもしれないが、こと「殺し」において六六六人衆はプロフェッショナルである。
(欺きはここから)
 あんなことを言っておきながら、灰闢は敢えて予測されやすい戦い方を実行する。まずは日本刀「天啓」で斬りかかり、次に不意打ちでフォールディングナイフ「燕翔」を投擲。当然、知識も経験も豊富な悪魔ならこの程度は見抜くだろう。ひらりと躱され掠りもしない。

「流石は六六六人衆。大した殺気ですが、それ以上のものでは無いですね」
 奴らの殺人技術も知識として収集した経験があるのだろう。灰闢も手は抜いていないが、ウァプラの『百識』が上回っている。余裕さえ感じられる態度で凶刃を捌ききると、身体に搭載されたギアで反撃。武勇においても決して弱卒ではないことを示す。
「……なるほど。ええ、厄介ですね」
 灰闢はWOKシールドで攻撃を受け、死角を取るように反撃するが、やはりそれも読まれている。回避される毎に苛立ちを隠せなくなり、表情も声音も粗くなる。やはり悪魔と知恵比べは分が悪いか――この状況を見れば誰もがそう思うし、ウァプラとて例外では無いだろう。

「貴方の相手は退屈ですね。これ以上は時間が惜しい」
 一向に目新しい技を披露しない六六六人衆に、ウァプラは見切りをつけたようだ。もはや不意も突けなくなった刀を躱し、次で終わらせようと力を溜める。これは『百識』が導きだした必勝の確信であり、大悪魔が見せた油断だった。
「ようやく油断してくれましたね」
「……ッ! これは」
 これまで翻弄されるばかりだった男がにやりと笑う。その時、ウァプラの足に突き刺すような痛みが走った。見れば足元にあるのは影法師、灰闢が潜ませた影業だ。こちらが刀使いだと印象付け、悪魔の回避先を予想して仕込んでいたのか。

「ここからは予測の付かない勝負です。お互いにね」
「なにを……ッ!」
 灰闢が付与した影業の傷には、密かに【連鎖する呪い】が発動している。崩れる足場、倒れる標識、突然の突風等、次々と発生する「不慮の事故」がウァプラに牙を剥く。この現象は灰闢のユーベルコードが引き起こしたものだが彼の意思は介在しておらず、故に予測不能となる。無論、それはウァプラだけでなく灰闢本人にも同じ事が言えるのだが。
「運に頼るのも良いですね。スリルがあります」
「狂人め。これだから六六六人衆という奴は……ッ!」
 今度はウァプラが苛立ちを見せる番だった。不慮の事故に見舞われた隙を突き、灰闢は刀と影業で攻撃を続行する。
 知識と経験だけでは測れない乱数が組み込まれた戦場では、アドリブで殺し慣れた奴が優位に立つ。最初の一刺しを皮切りに、大悪魔の身体の傷は次々と増えていった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イン・フナリア
大悪魔と大淫魔、ねぇ
どっちも覚えてないなぁ、戦えば何か分かるかなぁ

頭がいい悪魔が相手なんだよねぇ
なら闇堕ち結界って分かりやすく書いてたりはしないだろうし、囮とかもあるんだろうなぁ
どこに仕掛けられてるか分からないんだから、やっぱり強行突破しかない
突破できなかったら圧し潰されちゃうかもしれないスリル、【誘惑華園の聖槍】を使うのに充分昂りそう
ぐっと力を溜めたら、どーんと一直線に、悪魔に突撃するよ
邪魔する結界を貫いて、悪魔も貫いちゃおう

失敗する実験をやろうとしてるのって、実は頭よくないんじゃないかなぁ
気付いちゃった私の方が、頭いいのかもねぇ



「大悪魔と大淫魔、ねぇ。どっちも覚えてないなぁ、戦えば何か分かるかなぁ」
 微かな残滓と戦うための力を除いて、イン・フナリア(蘚淫魔・f43874)には過去の記憶がない。ダークネスが世界を支配していた「見えざる圧政」の時代もピンとこないし、昔の大物が相手だろうが物怖じしない。この呑気さはある意味「淫魔」というダークネスらしいと言えるかもしれない。
「何も知らないダークネスに、首を突っ込まれたくはないのですがね」
 エスパーの闇堕ち実験を企てる『百識のウァプラ』から見て、すでに闇堕ちしたダークネスは実験台として興味がないらしい。とは言え、オブリビオンとして復活した彼の【闇堕ち結界】が、猟兵やダークネスにどのような作用をもたらすかはまだ未知数であった。

(頭がいい悪魔が相手なんだよねぇ。なら闇堕ち結界って分かりやすく書いてたりはしないだろうし、囮とかもあるんだろうなぁ)
 引っ掛かるのはイヤだけど、どこに仕掛けられてるか分からないんだから、やっぱり強行突破しかない――そう結論付けたインは助走体勢に入る。槍使いである彼女の得意分野は接近戦であり、結界があろうが無理やり貫いてウァプラに迫るつもりだ。
(突破できなかったら圧し潰されちゃうかもしれないスリル、【誘惑華園の聖槍】を使うのに充分昂りそう)
 精神の昂ぶりに比例して彼女の肉体からはバニラのような甘い香気が立ち上り、手元には身体の一部とも言える【誘惑華園の聖槍】が出現する。このマイペースな淫魔のパフォーマンスは、その時々の気分に左右されるのが難点だが、ノッている時の爆発力は侮れない。

「楽園の守護、遍く軛を解き放つ力を、此処に」
 ぐっと力を溜めたら、どーんと一直線に悪魔に突撃するイン。逆になにか企んでいるのではないかと疑われるほどの思い切りの良さだが、策なんてものは全くない。本当にただ突っ込んで突き刺すしか考えていないし、『百識』も即座にそれを見抜いた。
「ただの力攻めとは舐められたものですね……結界起動!」
 ウァプラの言葉を合図に、インの進路上に予め仕掛けられていた魔法陣が輝く。その内部は大淫魔の遺産たる闇堕ちオーラで満たされており、たとえダークネスでも極大の負荷をかける。魂が砕けるような凄まじい苦痛が、インの精神を押し潰そうとする――。

「残念でしたぁ」
「なッ!!」
 しかし、この程度のことでインの気分は萎えなかった。まっすぐに突き出された聖槍の矛先が、邪魔な結界を貫く。
 なにも不思議なことはない。あえて言えばウァプラの予想よりも彼女は強かった、それだけのこと。なんの肩書きも記憶もない淫魔でも、時には大悪魔を凌駕するのだ。
「失敗する実験をやろうとしてるのって、実は頭よくないんじゃないかなぁ。気付いちゃった私の方が、頭いいのかもねぇ」
「なにを……グッ!!?」
 この言い草は流石のウァプラもカチンときたようだが、反論の暇は与えられなかった。楽園の香気と共に突っ込んできたインの槍が、小賢しい策ごと悪魔を貫く。『百識』にすら読めない奔放さに、当の淫魔は得意げで――己の予定が狂い始めたことを、悪魔も認めざるを得なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
機械の身体に翼を付けてライオンの頭を載せたと。
(ヒーローものに出てくるような)怪人としては強そうです。

では私も油断せず、結界術・高速詠唱で防御結界を形成したり、武器巨大化した天耀鏡で盾受けしたり、オーラ防御を纏ったりして、護りを固めます。

その上で、《産巣》で地面などの無機物からデビルキングワールドの悪魔さん達を作り出し、肉体や武器を使った攻撃、魔術による攻撃で攻めて貰います。

《百識》で悪魔さん達への対処方法を見つけるのなら、今度は私の出番です。
念動力で捕縛し、煌月に神罰・破魔・光の属性攻撃を籠めてのなぎ払い・鎧無視攻撃でズバッっと斬ってしまいますよ。
悪魔さん達と真逆の攻撃、対処できますか?



「機械の身体に翼を付けてライオンの頭を載せたと。怪人としては強そうです」
 ヒーローものの特撮番組などに出てくるような悪役をイメージしながら、そう語るのは大町・詩乃(阿斯訶備媛アシカビヒメ・f17458)。もしこれがフィクションなら、策を弄してヒーローを苦しめる頭脳派幹部など、いかにも『百識のウァプラ』のポジションに向いていそうだ。
「私はご当地怪人ではなくソロモンの悪魔ですよ……と言っても、今となっては関係ありませんが。やはり貴方達は油断ならない」
「では私も油断せず」
 無論ウァプラも大悪魔のプライドに賭けて、やられ役の怪人になるつもりはない。かつて灼滅者に敗北を喫した彼は猟兵にも最大限の警戒を払っているようだ。対する詩乃もまずは慎重に、高速詠唱で防御結界を形成したり、巨大化させた神器「天耀鏡」にオーラを纏わせて盾にしたりと、まずは護りを固める。

「神の理により、此処に生命を創造いたします」
 その上で詩乃は【産巣】を発動し、地面等の無機物から新たな生命の群れを創造する。ソロモンの「悪魔」を名乗る相手に合わせてか、出てきたのはデビルキングワールドの悪魔達。種族としての強さでは全世界トップクラスもあり得る、善良なる魔界の住人だ。
「神が悪魔を創造するとは、なかなかに寓意的、いや神話的ですね」
 その光景を見たウァプラは知的好奇心を刺激されたようだが、悠長に分析している暇はない。詩乃の悪魔達は生来の肉体や武器、そして魔術による攻撃で別世界の悪魔を攻め立てる。生まれたてとはいえ油断ならない威力、そして数も多い。

「良いでしょう。どちらが『悪魔』の名に相応しいか、知恵比べと参りましょう」
 豊富な知識と経験から『百識』と称えられる大悪魔は、初見の敵でも速やかに分析し、予測し、ふさわしい対処法を見つけだす。デビルキングワールドの悪魔達の攻撃はすぐに当たらなくなり、反撃の魔術やギアで蹴散らされていく。
「力だけでこの『百識』を討てると思わぬことです――」
「では、今度は私の出番です」
 そこで戦闘に加わったのは詩乃。睨みつければ不可視の念動力がウァプラに絡みつき、手足や翼を捕縛する。相手が「何を……っ?」と驚いている隙に、すかさず白兵戦の間合いに近付いた彼女は、薙刀「煌月」を大きく振りかぶる。

「悪魔さん達と真逆の攻撃、対処できますか?」
 戦闘スタイルのまったく異なる二組が続けて攻撃することで『百識』の対策を狂わせる。それが詩乃の狙いだった。
 事実、悪魔対策に思考を割いていたウァプラは、詩乃の攻撃までは予測できなかった。神と悪魔という対照的な存在だからこそ効果的な戦法が、文字通りに大悪魔の足元をすくう。
「私としたことが、同族に気を取られましたね……ぐッ!!」
 破魔の力を秘めた神罰の光と、オリハルコン製の刃がウァプラの肉体をズバッと切り裂く。まるで対象の強度を無視したような滑らかな切り口は、人間なら心臓付近にまで達している。これは大悪魔にとっても痛手だったようで、余裕ぶっていた獅子の表情が苦しげに歪んだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
事件を起こせば駆けつける……
習性と言われても仕方がないが、見過ごすわけにはいかない!

聖槍を携えて間合いを詰める
ソロモンの悪魔!
知に長けたものは何をしでかすか分からない、速攻で目論見ごと叩き潰す!

大悪魔の手練手管はまさに神算鬼謀
かつては氷の術で人狼を結界に追い込み、闇堕ちさせたこともあった
全身に闇堕ちオーラの重圧がのしかかり――【負けん気】を【振り絞り】、【気合い】を【霊的防護】として堪える
悪魔の策略を破るのは、計算を越えた【根性】論、闇に身を委ねないという強い意志

灼滅の炎を聖槍に纏い(属性攻撃・全力魔法・武器に魔法を纏う)、【極煌灼滅剣】を形成
氷も結界も、一切合切を【焼却】する炎の斬撃を放つ!



「事件を起こせば駆けつける……習性と言われても仕方がないが、見過ごすわけにはいかない!」
 敵ですらそれを作戦に組み込むほど認知しているのは、武蔵坂学園の灼滅者が多くの人間を救ってきた証でもある。
 そしてオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)も無辜の人々を護るために、罠であろうと躊躇なく飛び込める人間のひとりだった。
「ソロモンの悪魔! 知に長けたものは何をしでかすか分からない、速攻で目論見ごと叩き潰す!」
「さて、そう上手くいきますでしょうか? 悪魔の知略を今一度ご覧に入れましょう」
 聖槍を携えて間合いを詰めるオリヴィアに、『百識のウァプラ』はこれも予測の範疇と言わんばかり。やはり猟兵が実験を阻止しに来るのは織り込み済みだったようだが――こちらも端から承知の上で、全て食い破るために来たのだ。

(大悪魔の手練手管はまさに神算鬼謀。かつては氷の術で人狼を結界に追い込み、闇堕ちさせたこともあった)
 過去の記録にも残されている所業を再現するように、オリヴィアの周囲に魔法陣が出現する。いつから仕掛けられていたのか、ウァプラの【闇堕ち結界】は彼女が踏み込む位置にぴたりと合わせて、丁度閉じ込めるようになっていた。
「結界起動!」
 その言葉と同時に、オリヴィアの全身に闇堕ちオーラの重圧がのしかかる。かつての時代のようなダークネス化は起こらなくても、大淫魔の遺産が魂にもたらす負荷は凄まじい。たとえ猟兵であっても闇に屈してしまいかねぬほどに。

「悪魔の策略を破るのは、計算を越えた根性論、闇に身を委ねないという強い意志」
 ――だが、オリヴィアは負けん気を振り絞り、気合いを霊的防護として闇堕ちに堪える。たとえ合理的でなくとも、この魂の強さで幾度となく窮地を乗り越えてきた。記憶をなくしてなお闇の世界を駆け抜けてきた彼女は、渾身の気迫で闇堕ちオーラを振り払った。
「まったく、これだから貴方達は……!」
 百識と称えられた叡智を以ってしても測りきれない底力に、思わず悪態を吐くウァプラ。結界の強度を高めて強引に闇堕ちを推し進めようとするが、最早それでオリヴィアを押し止めることは不可能だった。その手に携えた「破邪の聖槍」に、金色に煌めく炎が灯る。

「神世を焼き尽くせし炎の剣よ! 遍く邪悪を灼滅せよ!」
 灼滅の炎を聖槍に纏い、超高密度に圧縮した魔力を刀身とした【極煌灼滅剣】を形成。ただひと振りに威力を集約した炎の体験を、オリヴィアは全身全霊を以って叩きつける。地に降りた太陽が如きその熱量、とても結界の内に収まるものではなく。
「氷も結界も、一切合切を焼却する!」
「ぐっ……あああああッ!!!?」
 抵抗のためにウァプラが放った氷結魔術もあえなく蒸発し、灼滅の斬撃は結界ごとソロモンの大悪魔を焼き斬った。
 悪魔の身に燃え移った炎は、その邪悪な魂を焼き尽くすまで消えようとはせず。あまりの苦痛と火傷から、さしもの『百識』も一時策を巡らす余裕を失うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
大淫魔の結界術に興味津々だ
でも悪魔に教えを請うと後が怖いのでスキュラたん本人探して直に聞くよ
つーわけで悪魔は去ねい!

のらりくらりと神鳴で戦ってみる
日本刀への対処法を見い出されたら、アークウィンドに持ち替えて超至近距離の接近戦を展開
逆手に稲荷符を持ちいつでも結界術で淫魔結界とやらに割り込んで妨害するぜ
たまに火属性攻撃狐火飛ばしてチープな爆発で視界を奪って、デストラップを落としておくよ

ギアが回転して迫れば逃げ足全開で間合いを取って逃げ惑うわ
ほどほどに苦戦を演じ、仕込んだデストラップを真威解放し罠へとおびき寄せ、回転に鋼糸を巻き込んで返り討ちだ
ザマア☆と小悪魔のような笑顔を向けちゃうのでした



「大淫魔の結界術に興味津々だ。でも悪魔に教えを請うと後が怖いのでスキュラたん本人探して直に聞くよ」
 悪魔に知恵を借りようとして破滅した人間の逸話は枚挙に暇がなく、そうした連中と同じ轍を踏むほど四王天・燦(月夜の翼ルナ・ウォーカー・f04448)は愚かではなかった。いかにも騙し合いには慣れていそうな『百識』なんて称号の悪魔から、有益な情報を得られるとは思っていない。
「つーわけで悪魔は去ねい!」
「私の事は眼中にありませんか。親切心から忠告を差し上げますと、スキュラ殿は私なぞより余程恐ろしい方ですよ」
 燦に刀を突きつけられても『百識のウァプラ』は平然とする一方で、「スキュラ本人を探して聞く」という発言には否定しなかった。彼が研究・再現した闇堕ち結界の本来の術者――大淫魔スキュラが復活しているとの予想は、やはり真実なのか。

「そこはほら、色々とやりようはあるしさ?」
 のらりくらりとそんな事を言いつつ、愛刀「神鳴」で斬り掛かる燦。雷様が鍛えたというその刀身には紅い稲妻が宿っており、威力も切れ味も並の日本刀ではない逸品だ。しかし『百識』のウァプラが類似した武器や攻撃手段を知らないとは思えない。
「見事な剣技です。ですが、それだけではね」
 豊富な知識と経験から対処法を見い出したウァプラは、電撃を魔術で防ぎながら太刀筋を予想して躱す。ただの頭でっかちではなく、知恵を戦闘に活かす機転にも優れているようだ。もっとも、その程度できなくては大悪魔とは呼ばれないのだろうし、見切られた燦にも驚きはない。

「じゃあ次はこいつだ」
 燦はすぐさま武器を短剣「アークウィンド」に持ち替えて、超至近距離の接近戦を展開。逆手には「四王稲荷符・桃華絢爛」を持ち、いつでも闇堕ち結界とやらに結界術で割り込んで妨害する用意ができている。一般人も巻き込むような下手な小細工はやめて貰おう。
「こっちの手札はまだまだあるけど、全部予測できるか?」
「ぐッ……!」
 風の刃で切りつけながら、ふいに狐火を飛ばしてチープな爆発を起こし、視界を奪って「デストラップ」を落とす。
 いつの間にやら張られていた鋼の糸が、悪魔の翼に絡まって切り裂く。次々と新たな戦法を披露されてはウァプラも対処が追いつかない様子だ。

「やりますね。ですが……!」
「おっと、こりゃまずい」
 ウァプラの身体に搭載された【ウァプラギア】が回転を始めれば、燦は逃げ足全開で間合いを取る。流石に近接戦でユーベルコード攻撃を食らうのは避けたいようだ。ここぞとばかりに悪魔が迫ってきても、恥も外聞もなく逃げ惑う。
「おや、先程の威勢はどうされました?」
「うるせー」
 燦の狙いはほどほどに苦戦を演じること。今度はこっちが罠に嵌める番だと【真威解放・デストラップ】を仕込んだポイントへと悪魔をおびき寄せる。複製された極細の糸が張り巡らされた所に、ギアを回転させたまま突っ込んだりすれば――。鋼糸を巻き込んで返り討ちだ

「ッ?! しまった、これは!」
 回転により巻き込まれた鋼糸がギアに絡まり、ギャリギャリと不快な音を立てて深刻な破損をもたらす。腕から流れる血と激痛に、獅子頭の表情が歪んだ。ダメージもさることながら、武器をひとつ破損させられたのは明確に痛手だろう。
「ザマア☆」
「やってくれますね……!」
 小悪魔のような笑顔を向ける燦に、ウァプラは今一度警戒心を強めて当たる。『百識』さえ知らないような別世界の経験や知識を猟兵は積んできている。そこから繰り出される戦術は自身の命に届きうることを、改めて実感したようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮比神・うずめ
◯WIZ/アドリブとかおまかせ

面倒なのがきたなぁ…
せっかく落ち着いてきたと思ったら、闇落ち結界とか古いんよぉ!

行動は全部先読みされてるって考えてた方が良いみたい

それならば!

血液がなくなる前に速攻でぶっ飛ばすだけなんよォッ!

ユーベルコード発動させて!
零距離で浄化射撃の天地開闢光をたっぷり浴びせてやるぅ!

他に掴みかかって、顔に向けて無理やり天地開闢光を浴びせてのも楽しそう!

え?ヤケクソ?
うん、そうだよ
そうすれば予想できないでしょ?

予想する時間も与えないんだからっ!
ほらほら頭を抱えると攻撃をされられないぞぉ

たっぷり動こいて、運動(にげまくって)ってね♥



「面倒なのがきたなぁ……」
 ソロモンの大悪魔『百識のウァプラ』。その名前は武蔵坂学園出身の宮比神・うずめ(舞うは鬼の娘・f43833)も知っていたようで、露骨にイヤそうに眉をひそめた。あれは優秀な頭脳と悪辣な策謀、そして人間をただの実験台としか考えない精神性など、まさに悪魔らしい悪魔の一体だ。
「せっかく落ち着いてきたと思ったら、闇落ち結界とか古いんよぉ!」
 あれに好き勝手を許したら、折角頑張って自分たちが掴み取った勝利も平和も台無しになる。闇から解放された世界で再び闇堕ちなんて起こさせるものかと、うずめは改造和服の袖をばさりと翻して、勇ましく大悪魔に殴りかかった。

「確かに、時代遅れの技術かもしれません。ですが物は使いようです」
 たとえ新たなダークネスを発生させられずとも、闇堕ち結界には一般人に負荷をかけて殺害する程度の効力はある。
 或いは他にもまだ研究の余地を見出しているのか、ウァプラは意味深なことを言いながらうずめの攻撃を躱す。最初から知っていたかのような余裕のある動きだ。
(行動は全部先読みされてるって考えてた方が良いみたい)
 豊富な知識と経験から交戦中の敵にふさわしい対処方法を導きだす『百識』にかかれば、自分の考えなんて筒抜けも同然だろうとうずめは覚悟する。元から知恵比べを挑もうなんてつもりは無かったが、これでは多少の小細工を弄しても結果は同じだろう。

「それならば! 血液がなくなる前に速攻でぶっ飛ばすだけなんよォッ!」
 雄叫びと共に【神薙の神子(うちばーじょん)】を発動したうずめは、魔神「アベノウズメ」に変身してウァプラに迫る。超自然の「カミ」を我が身に降臨させるこのユーベルコードは、血液の消耗と引き換えに強大な力をもたらす。圧倒的パワーで悪魔の知謀を凌駕しようと言うわけだ。
「神薙使いの神降ろしですか。初見ではありませんが、これは……!」
 過去の記憶にあるものよりも、独自のアレンジが施されたうずめのソレは遥かに強化されている。零距離まで飛び込んで天地開闢光を浴びせようとする魔神から、ウァプラは慌てて距離を取った。動き自体はまだ予想の範疇だが――。

「たっぷり浴びせてやるぅ!」
 逃がすまいとがむしゃらに相手に掴みかかって、顔に向けて無理やり天地開闢光を浴びせるうずめ。カミのパワーにものを言わせて暴れるさまは、むしろノリノリで楽しそうにすら見える。今の彼女はまさしく荒ぶる御魂そのものだ。
「ヤケクソですか……!」
「え? うん、そうだよ。そうすれば予想できないでしょ?」
 下手に頭を使われるよりも、こちらの方がウァプラにとっては厄介だった。うずめも理解した上でやっているのだからタチが悪い。単純ながら息吐く間もない猛攻と、ヒットすれば致命傷にもなり得る浄化攻撃は、受ける側に凄まじい緊張を強いていた。

「予想する時間も与えないんだからっ! ほらほら頭を抱えると攻撃を避けられないぞぉ」
「ぐッ……!」
 熟考よりも直感と反射での対応を求められる、獣の如き戦いに引きずり込まれたウァプラが、苦々しく歯噛みする。
 そんな悪魔をからかうようにうずめは笑い、遠慮容赦のない攻撃を続ける。貧血で倒れる前に倒し切る必要があるため、こちらも全力だ。
「たっぷり動いて、運動(にげまくって)ってね♥」
 この均衡が長くは続かないのは誰もが予想はつく。そして、どちらが追い詰められているかは一目で明らかだった。
 戦場にて舞い踊る鬼の娘、燦然と煌めく天地開闢光。奔放にして無慈悲なカミの力が、悪魔を窮地に立たせる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
『居たわ!行くわよ、ソラウ!』
うん!あいつを倒さないとね!
エスパスさんが敵を見つけたので戦闘開始

喰らえ!
クイックドロウの要領で槍銃から呪殺弾を素早く放つ
回避されてしまい反撃のUCを発動される

僕だって進化してるんだ!
敵のUCはギアを心眼で見ながら推力移動で回避する
駄目なら高速詠唱で結界術を展開し防御しつつ素早く推力移動で離れる

行け!破滅の騎士達よ!
UCソラウの歌"破滅の騎士"を発動し歌姫に変身してから敵に混沌破皇を放ち騎士達は次元移動で瞬間移動しながら貫通攻撃を浴びせる

行くよエスパスさん!息を合わせて!
『ええ!ソラウ!』
指定UCを発動してエスパスさんと僕で敵を次元能力で瞬間移動しながら切り裂いた



『居たわ! 行くわよ、ソラウ!』
「うん! あいつを倒さないとね!」
 転送先の都市で敵を発見した時空神「エスパス」は、ソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)に位置を伝える。一般エスパーの闇堕ち実験を企てるソロモンの悪魔『百識のウァプラ』――人倫を無視した非道な虐殺を阻止すべく、二人は直ちに戦闘を開始する。
「喰らえ!」
 まずはソラウがクイックドロウの要領で「時空騎士銃槍」から呪殺弾を放つが、敵はそれを見ることもせずに躱す。
 彼女達が到来するタイミングも、この大悪魔は予測していたというのか。振り返った獅子の頭部には落ち着いた微笑が浮かんでいた。

「貴方達で最後でしょうか? では私もここが正念場ですね」
 反撃の【ウァプラギア】を発動し、近接攻撃を挑むウァプラ。彼が何を企んでいるかは今だに定かではないが、猟兵との戦闘のダメージは蓄積されているのも事実。発せられる本気の殺意から、少なくともここで死ぬのは計画の内ではなさそうだ。
「僕だって進化してるんだ!」
 死ぬ気がないのはソラウも同じ事。回転するギアを心眼で見極めながら、巻き込まれぬように推力移動で回避する。
 ほんの少し肌を掠めただけでも、悪魔のギアは凄まじい回転力で彼女を捩じ切ろうとするが――高速詠唱により展開した結界術が、辛くもその身を守った。

「行け! 破滅の騎士達よ!」
 窮地から離脱したソラウは即座に【ソラウの歌"破滅の騎士"】を発動し、華麗なる「破滅の歌姫」の姿に変身してから混沌破皇の波動を放つ。同時に彼女の周囲には赤槍と黒鎧で武装した騎士の軍団が現れ、敵に一斉攻撃を開始する。
「ほう、これが貴方の眷属ですか。なかなかやりますね……!」
 次元を飛び越えて瞬間移動しながら貫通攻撃を浴びせる騎士達を、賞賛しつつも後退するウァプラ。『百識』の叡智にも限界が来たのか、移動と攻撃を予測し避けるだけで手一杯な様子だ。額には冷や汗が浮かび、表情から余裕が消えていく。

「行くよエスパスさん! 息を合わせて!」
『ええ! ソラウ!』
 最後の一押しに、ソラウは【時空武神・ウール・エスパスとの超連撃】を発動。エスパスと一緒に次元の壁を超え、瞬間移動で敵との至近距離に飛び込む。咄嗟に繰り出された【ウァプラギア】を躱し、二人同時に渾身の刺突と斬撃を放つ――。
「――……ッ!! やれやれ、私の読みも衰えましたね……どうやら、ここまでのようです……」
 時空武神と時空騎士の絆の連撃は、大悪魔の胸を深々と切り裂き、致命傷を与える。傷口に手を当て、自身の最期を悟ったウァプラはがくりと膝を突き、どこか諦観めいた言葉を発する。都市に仕掛けられていた闇堕ち結界も消滅し、『百識』の実験はこれにて阻止された――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『キャノンデモノイド』

POW   :    デモノイド・クライング・パーム・キャノン
【4つの砲門】から【デモノイド細胞の砲弾】を放ち攻撃する。その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【デモノイド細胞で侵食された】状態になる。
SPD   :    拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン
【デモノイド・クライング・パーム・キャノン】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ   :    クライング・デモノイド
【激しい咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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「お見事……です。やはり私が敵う相手ではありませんでしたか……」

 猟兵との戦闘で致命傷を負った『百識のウァプラ』は、口元から血を滲ませながら勝者の健闘を称える。
 術者の死によって「闇堕ち結界」も解除され、一般エスパーが実験で殺害されるのは阻止できたはず。だというのに彼は今際の際にしては不気味なほど落ち着いてた。

「想定外があった事は認めざるを得ませんが……それでも私の、いいえ我々の・・・計画に支障はありません」

 ウァプラがそう言った瞬間、都市全体を包み込むような巨大な結界が展開されていくのを、猟兵達は感じ取った。
 これまでの闇堕ち結界よりも、さらに規模が大きい。戦闘で命も魔力も使い果たしたウァプラに、これを展開するほどの余力があるとは思えない。だとすれば。

「私の役目は、猟兵や灼滅者……貴方達をこの都市に誘き寄せ、スキュラ殿の『新型結界』に閉じ込める事でした」

 大淫魔スキュラ。闇堕ち結界の本来の使い手であり、かつての時代における著名なダークネスの一人だ。
 武蔵坂学園との交戦で灼滅されたと記録には残されているが、やはり彼女もオブリビオンとして復活していたのか。

「闇堕ち結界を改良した『新型スキュラ結界』は、完成と同時に内部に閉じ込めた人間の命を糧として、新たなダークネスを出現させます。この都市にいる全エスパーの人口であれば、エナジーに不足はないでしょう」

 旧来の闇堕ち結界はあくまで猟兵を誘導するための囮。この新型結界こそがウァプラ達の計画の本命だった。
 数多の一般エスパーを犠牲にダークネスを出現させる大儀式。これが成功すれば世界の体制がまた変わりかねない。

「なぜ私がこれを貴方達に話すか、不思議ですか? もう我々の策は完了しているからですよ。大勢の一般人が巻き込まれる以上、貴方達はここから逃げられない。そして結界起動と同時に、貴方達を殲滅する準備も整った」

 ふと猟兵達は、自分らがいつの間にか無数の殺気に包囲されているのに気付く。
 ビルの屋上や建物の影から、のそりと姿を現したのは青い肉塊に包まれた異形。
 旧時代においては『デモノイド』と呼ばれたダークネスの大軍だ。

「本当は包囲が完了するまで時間を稼いだ後、離脱する予定だったのですが……やれやれ、仕留められてしまうとは。スキュラ殿の新型結界のデータをこの目で確認できないのが残念です」

 ウァプラの行動は全て、この状況に猟兵達を陥れるための布石だったわけだ。
 彼がスキュラに協力した見返りは、おそらく結界のデータ提供だろう。それを元にしたさらなる陰謀や結界の改良は防げたが――敵軍は完全にこちらを包囲しており、新型スキュラ結界の完成も迫っている。

「我々は貴方達を始末するために、考えうる最良の策を編み出しました。それでもなお、貴方達の力は我々の策を凌駕するのか……骸の海から拝見させて頂くとしましょう……」

 その言葉を最期にウァプラは完全に息絶え、同時に『キャノンデモノイド』の軍勢が動きだす。
 事ここに至っては猟兵の取りうる手段はひとつしかない。包囲殲滅を図るオブリビオンの軍勢を打ち破り、新型結界が完成する前に黒幕の『大淫魔スキュラ』を討つ。数多の人々の命運を背負った、逃げ場のない戦いが始まった――。
宮比神・うずめ
◎POW/アドリブとかおまかせ

時代遅れだと思ったらしっかり次世代版を用意してるぅー?!
えー?!そんなのありー?!

あーだこーだ言っても仕方ないんよぉ

今度はデモノイドかっ!
わー!着弾した所からとんでもないことになってるぅー

ユーベルコードで引き続き、カミ様の力を借りよう

浄化射撃でデモノイドの細胞の砲弾撃ち落とせないかな?

無駄なら急いで近づいて、浄化射撃の
天地開闢光を打ち込むんよォ
もう!数体居るなら一体倒したらすぐ他の個体に天地開闢光を打ち込むんょ

数が多いんだから出来るだけ時間をかけたくないだけどなぁ

急いで討伐するんよぉ!



「時代遅れだと思ったらしっかり次世代版を用意してるぅー?! えー?! そんなのありー?!」
 百識のウァプラの口から明かされた「新型スキュラ結界」という予想外の情報に、うずめは驚きを隠せなかった。
 闇堕ちが起きない世界でも新たなダークネスを発生させうる結界。そんなものを開発できたのは流石の大淫魔と言うべきか。オブリビオンとして復活した過去のダークネスにも、まったく成長が無いわけではないらしい。
「あーだこーだ言っても仕方ないんよぉ」
 結界はもう起動してしまっており、大勢の一般エスパーの命が危機に晒されている以上、完成前に止めるしかない。
 さらには周囲を敵の大群に包囲されている状況。まったく余裕のないピンチだからこそ、今やるべきことにうずめは意識を集中できた。

「今度はデモノイドかっ!」
「グルルルルゥ……」
 猟兵達を包囲した『キャノンデモノイド』は不気味な唸り声を上げながら、肩部から突出した4つの砲門を向ける。
 ダークネスの実験で意図的に生み出された種族デモノイド。その多くは知性に乏しく、上位者に従うだけの存在だ。今回は「敵を包囲殲滅せよ」という悪魔と淫魔の命令通り、彼らは砲撃戦を開始した。
「わー! 着弾した所からとんでもないことになってるぅー」
 デモノイド細胞自体を砲弾として発射する【デモノイド・クライング・パーム・キャノン】。その射線からぱっと飛び退いたうずめは、直前まで自分の立っていた地面が蒼い塊にぐずぐずと侵食されていくのを見た。生身に当たったらどうなってしまうのか、想像したくもない。

「引き続き、カミ様の力を借りよう」
 ウァプラ戦と同じ【神薙の神子(うちばーじょん)】を発動したうずめは、カミの威光を纏ってデモノイドに迫る。
 接近中も砲撃を受けるが、彼女が降ろしたカミは悪しき穢れを祓う清浄なる風を呼び起こし、デモノイド細胞の砲弾を撃ち落とした。
「まず一体!」
「ギャオオォォォッ!!!?」
 至近距離まで近づくと、今度はキャノンデモノイド本体に天地開闢光を直接浴びせる。その肉体を構成する寄生体を浄化された敵は、耳をつんざく絶叫と共に消滅。やはり先程の大悪魔に比べれば、一体一体のレベルは明らかに弱い。

「ウオオォォ……」「グルルルゥ……」
「もう!」
 問題は数だ。次の砲撃準備に入るキャノンデモノイドに、うずめはすぐさま天地開闢光を打ち込む。同族が何体倒されようとも奴らに「仲間意識」を感じるほどの知性はなく、それゆえ兵器的な統制で襲ってくる。こちらも隙を見せずに攻め続けなければ。
「数が多いんだから出来るだけ時間をかけたくないだけどなぁ」
 カミの力は強大だが、それ故の代償も生じる。まだ大淫魔との戦いも控えている以上、まだここでバテたくはない。
 焦る気持ちを抑えつつ、うずめは戦場を飛び回り、包囲を敷くデモノイドの軍勢を次から次へと灼滅していく――。

「急いで討伐するんよぉ!」
 砲弾の雨を吹き散らし、浄化の光で怪物を灼く姿は、まさしく女神の如く。滅ぼされたデモノイドの断末魔が戦場に響き渡る。結界完成のリミットも刻一刻と迫る中、包囲を突破せんとするうずめの奮闘にはそれ以上の勢いがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
新たな術式を作れるのに、命を糧にするという発想だけは変えられないのがオブリビオンという呪いかもな
一抹の侘しさを感じながらとりあえずスキュラちゃんに会う為に邪魔者を狩りますか

ダッシュで接近して神鳴でぶった切ってやる
射撃の乱れ撃ちに囚われたくはないが、如何せん集団戦で数多いんだよね…
キャノンの砲弾連射をびしばし神鳴で受け流すぞい
制圧されて受け流すので手一杯になりそうだ
気持ち悪いデモ細胞が足元で蠢いてるし嫌になるわ、うひゃー!?

弾幕連射が止む合間にカウントダウンを取り出して蹴り飛ばしておくよ
一般市民が戦場にいなけりゃ三箱くれて真威解放で、爆発!

阿鼻叫喚の中、爆炎突っ切って生き残りを狩らせてもらうぜ



「新たな術式を作れるのに、命を糧にするという発想だけは変えられないのがオブリビオンという呪いかもな」
 その知性と魔力があれば他の手段も考えつきそうなものを、結局一般人の犠牲を前提とする『新型スキュラ結界』。
 計画の仔細を聞いた燦は、どうあっても世界に仇なそうとするオブリビオンの有り様と、倒さなければならぬ宿命に一抹の侘しさを感じた。
「とりあえずスキュラちゃんに会う為に邪魔者を狩りますか」
 大悪魔と大淫魔の計画は今も進行中。猟兵を包囲殲滅すべく現れたデモノイドの大軍を見回して、彼女は再び戦闘態勢に入った。砲戦を得意とする『キャノンデモノイド』はこちらから一定間隔を開けて布陣しているが、特に問題はない。この程度の距離ならすぐに詰められる。

「ぶった切ってやる」
「オォォォォォ……」
 神刀「神鳴」を片手にダッシュで接近を図る燦。すぐさまデモノイド達の砲身が向けられ、一斉砲撃が開始される。
 範囲攻撃と面制圧を目的とした【拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン】。まずはこれを攻略しないことには勝機がない。
「射撃の乱れ撃ちに囚われたくはないが、如何せん集団戦で数多いんだよね……」
 燦はキャノンの連射をびしばしと神鳴で切り払うが、あまりの弾数の多さに制圧され、受け流すので手一杯になる。
 一体一体ならどうとでも対処できようが、しっかり包囲網を敷かれて火力を集中されると流石にキツい。この辺りは計画を立てたウァプラやスキュラの手腕も大きいか。

「気持ち悪いデモ細胞が足元で蠢いてるし嫌になるわ、うひゃー!?」
 砲手の細胞を素材にした砲弾は、当たったものを侵食し魂まで蝕む。絶対に喰らわないよう回避と防御に徹する燦。
 敵の攻撃も無制限に続くわけではない。弾を撃ち尽くしたデモノイドが再装填を行い、弾幕連射が再開されるまでの合間。ここが反撃のチャンスだ。
「三箱くれてやる! ニトロ増し増しで連鎖爆発だ!」
 一般市民が戦場にいないのを確認してから、燦が取り出したのは箱型時限爆弾「カウントダウン」。様々な科学技術の粋を詰め込まれた危険なプレゼントボックスを、ユーベルコードで巨大化させて敵陣に蹴り飛ばす。カチカチと箱の中から聞こえる時計の音は、ちょうどデモノイドたちの直上で止み――。

「もう逃げたところで間に合わないぜ。秒読み開始――さん、に、いち……ゼロ!」
「「グギャアァァァァッ!!!!?」」
 一斉起動した【真威解放・カウントダウン】3発分の爆発は、砲撃陣地のキャノンデモノイドを纏めて吹き飛ばす。
 轟音、爆風、衝撃。吹き荒れる破壊の嵐に敵が阿鼻叫喚の地獄を見る中、燦は爆炎を突っ切って敵陣に切り込んだ。
「生き残りを狩らせてもらうぜ」
 態勢を立て直して砲撃を再開されると厄介だ。逆転のチャンスを与えることなく、神鳴の一閃が怪物の命脈を断つ。
 爆発の残り火が燻る中、デモノイドの断末魔はすぐに聞こえなくなり、そこに立っているのは燦ただ一人となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【SPD】

今度は
デモノイドさんの軍勢が…!

自身の翼で飛翔
【空中機動】等駆使し
【空中戦】も行い
立体的に立回り

UC発動し
「戦場全体」に
焔の蜘蛛糸領界を展開

『こちらは「戦場全体」――敵さんの攻撃範囲外からなら…!』

敵UCの攻撃範囲の外から
自身や味方、一般の方々を
UCでの
癒しの蜘蛛糸の露で回復&
焔の蜘蛛糸と組み合わせての攻撃と
クイーンオブハートキーを手に
【ハートのA】での
【破魔】を込めての
【全力魔法】や【誘導弾】の
【一斉発射】【弾幕】で攻撃

敵の攻撃等は
【第六感】【心眼】【残像】
【通常攻撃無効】
【結界術】【オーラ防御】で
防御行動や
一般の方々を防護

『結界…完成させる訳には…いきません…!』



「今度は、デモノイドさんの軍勢が……!」
 ソロモンの悪魔撃破を喜ぶ間もなく、すぐに出てきた敵の新手。青い寄生体に覆われた異形の群れが、こちらに大砲を向けているのを見ると、アリスの声色に緊張が混ざる。あれは『キャノンデモノイド』――他のダークネスに使役される、知性なき怪物たちだ。
「オオオオォォォォ……!」
 キャノンデモノイドの肩から生えた砲身は、砲撃戦特化のために変容を遂げた証。ウァプラとスキュラの計画通り、猟兵と灼滅者をここで葬り去るべく、【拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン】の一斉砲撃が開始される。

「危ない……!」
 こちらを制圧せんとする砲弾の豪雨から、アリスは自身の翼で空中に逃れた。持ち前の飛行技術と機動力を活かして立体的に立ち回り、砲火の中を潜り抜ける。飛んでいれば安全という訳でもないが、地上にいるよりはマシなはずだ。
「――全てを灼く紅蓮の星焔の蜘蛛糸……全てを癒す銀なる星の蜘蛛糸――それらの領界を……!」
 なおも止まぬキャノンデモノイドの砲撃を躱しながら、彼女は【アトラクナクア・ヴァーミリオンウェブ】を発動。
 土蜘蛛の女王「眞由璃」の力と己の力を組み合わせた星焔の蜘蛛糸を張り巡らせ、戦場を己の領域とする。いかに敵の装備が長射程かつ、広範囲の攻撃が可能だとしても――。

「こちらは『戦場全体』――敵さんの攻撃範囲外からなら……!」
 【拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン】の範囲外から張られた蜘蛛糸は、キャノンデモノイドの五体に絡みつき、炎上させる。万象あまねく全てを灼き尽くす星焔の前では、魂を侵食する寄生体とて例外ではあり得ない。
「「グオオォォォッ……!!!?」」
 青い巨躯を紅蓮の焔に包まれ、絶叫するデモノイドの群れ。苦悶に喘ぎ、それでも砲撃を止めないのは、脳に刷り込まれた命令によるものか。照準も定まらぬままばら撒かれたデモノイド細胞弾が、蜘蛛糸の領域に触れて燃え上がる。

「一般の方々に被害がいかないようにしないと……」
 暴走状態に等しい乱射から、アリスはオーラの結界で身を守る。己が張った領域の中を残像が出るほどの速度で飛び回り、巻き添えを食らう一般人がいないか第六感と心眼で警戒を怠らない。バラバラに飛来するデモノイドの砲弾が、彼女らの致命打になることは無かった。
「この程度なら……」
 多少のダメージなら【アトラクナクア・ヴァーミリオンウェブ】のもう一つの効果、蜘蛛糸の靄が癒やしてくれる。
 領域の内部で戦っている限り、敵は常に行動力や生命力を奪われ、味方は回復を得られるわけだ。いかにデモノイドの包囲網でも、この有利不利は覆し難い。

「結界……完成させる訳には……いきません……!」
 大悪魔に続いて大淫魔の陰謀も阻止せんとする強い意志をもって、アリスは「クイーンオブハートキー」を手に弾幕を展開。破魔の力を込めた【ハートのA】が誘導弾となって、星焔の蜘蛛糸に絡め取られたキャノンデモノイドを襲う。
「「ギャオオォォォォ……ッ!!!」」
 怪獣そのものな断末魔を吠えて、青き異形はジュエルの輝きと紅蓮の焔に散っていく。都市全体を覆う『新型スキュラ結界』の完成まで、あとどの程度の猶予があるだろうか――逸る気持ちを胸に秘めつつ、アリスは攻撃の手をさらに強めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
袋叩きにされても計画を明かして問題ないと判断しているのなら、さぞ大変な事が起きるのでしょうね。
ご忠告、確かに受け取りました。

確かに数を減らす事が大変そうではありますが…
適材適所、私は地道に数を減らしていきます

まずは浄化の力を込めた護符を自身に貼り、細胞侵食のダメージを軽減
UC発動、殺気により刀と影業を強化
砲撃の防御はWOKシールドで、死角や回避不可な場合は影業で防ぎながら接敵して攻撃
初撃は影業で砲台を斬り落として攻撃手段を断つ
…人間が素体なら、やはり急所は同じなのでしょうか。
攻撃を重ねる中で敵の弱い部分や急所を探り、次の攻撃箇所に活かす
敵の軸足を攻撃して斬り離し、バランス崩しも狙ってみましょう



「袋叩きにされても計画を明かして問題ないと判断しているのなら、さぞ大変な事が起きるのでしょうね。ご忠告、確かに受け取りました」
 闇堕ち結界による実験の裏で、密かに用意されていた『新型スキュラ結界』。計画の肝をウァプラが明かしたのは、つまりはそういう事だろうと灰闢は考えた。すぐにでも結界の完成を阻止する必要があるが、そのためには周囲にいる敵が邪魔だ。
「グルルルルル……ッ」
 砲撃戦用の変容を遂げた『キャノンデモノイド』の大軍。上位者の命令に従う程度の知性しかないダークネスだが、集中砲火による火力だけは侮れない。これで猟兵を包囲殲滅できればよし、そうでなくとも結界完成までの時間稼ぎにはなる、というのが敵方の考えだろう。

「確かに数を減らす事が大変そうではありますが……適材適所、私は地道に数を減らしていきます」
 灰闢はまず浄化の力を込めた「梵天呪符・流転」の護符を自身に貼り、合わせて【悪因悪果】を発動。全身に帯びた黒濁の殺気が、刀と影業の性能を強化する。射程と頭数の不利は否めないが、それだけで六六六人衆を仕留められると思ったら大間違いだ。
「ウオオォォッ!!」
 対するキャノンデモノイド軍団は咆哮と共に、肩部の【デモノイド・クライング・パーム・キャノン】を一斉発射。
 不気味な青に染まる砲弾の雨は、過たず標的に着弾する――その刹那、灰闢はWOKシールドを展開して身を守った。

「こんなものに蝕まれるとは、ぞっとしませんね」
 DCPキャノンの砲弾はデモノイド細胞の塊であり、着弾地点周辺を侵食して深刻な汚染をもたらす。灰闢は護符の効果で細胞侵食のダメージを軽減していたが、それでも不快感は否めなかった。シールドの死角からの砲撃は躱し、それも不可能な場合は影業で防ぎながら、急ぎ足で敵との距離を詰めていく。
「まずは攻撃手段を断ちましょう」
「――……ッ?!」
 接敵と同時に影業を一閃。サイキックエナジーにより殺傷力を得た漆黒の影が、キャノンデモノイドの肩から生えた四門の砲台を纏めて斬り落とす。彼らはここを破損すると攻撃手段を失い、ただの木偶の坊と化す。砲撃戦に特化したがゆえの悲しき欠陥である。

「……人間が素体なら、やはり急所は同じなのでしょうか」
 灰闢はさらに本体へと攻撃を仕掛けつつ、手応えや反応から弱点や急所を探る。デモノイドとは人間が寄生体に魂を蝕まれて変容したダークネス種族であり、異形な外見は増殖・膨張した寄生体によるものだ。ガワに惑わされなければ身体構造は比較的ヒトに近い。
「この辺りですかね」
「オゴァァッ!?」
 軸足を払うように影業で斬り離し、バランスを崩してから「天啓」を心臓に突き立てる。致命傷を受けたデモノイドの肉体は崩壊し、絶叫が戦場に響き渡る。なるほど随分と歪んでしまっているが、断末魔もヒトのそれと同じようだ。

「まずは一人目。次は誰にしましょう」
 今の敵から得られた教訓を次に活かし、灰闢はキャノンデモノイドの殲滅を続ける。殺せば殺すほど的確に致命箇所を狙って洗練されていく手際は、ダークネスの殺人集団こと六六六人衆に相応しいものであり。彼が穏健派と言っても信じられる一般人はいないほど、その所業は殺意に満ちていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イン・フナリア
新型スキュラ結界、ねぇ
ウァプラの実験が失敗してるのに、狙い通りにいけると思ってるのかなぁ

こうもヤバそうな敵の集団に囲まれると、ますます昂っちゃうねぇ
【誘惑華園の聖槍】を出せるうちは避けられそうだけど、あの砲弾、当たったらどうなるんだろう
ぐっちゃぐちゃに侵食されちゃうのを想像したら、もうおかしくなりそうだねぇ
ちょっと我慢して、避けたら刺して貫いて、仕留めたら次に向かうよ
身体の大きい奴だらけだし、突き刺したら抜きにくいかもだけど、捩じ切ればいいかぁ

たくさん相手にしなきゃいけないのは大変だけど、仕方ないかぁ
大淫魔スキュラに会えるのを楽しみに、ここは頑張ろう



「新型スキュラ結界、ねぇ。ウァプラの実験が失敗してるのに、狙い通りにいけると思ってるのかなぁ」
 ここまで大掛かりな計画を立てたからには成功の目算があるのだろうが、それでも大淫魔の思惑通りになるとはインには思えなかった。第一、ここに自分達が来ている時点で好き勝手させるわけがない。さっき倒したウァプラと同様、スキュラの結界もぶっ壊すだけだ。
「オオオォォァァアッ!!」
 それを許さないために配置されたのが『キャノンデモノイド』の軍勢である。すでに猟兵の包囲を完了した彼らは、目標を殲滅すべく【デモノイド・クライング・パーム・キャノン】の発射体制に入る。いかにも砲撃戦に特化した外見通り、低レベルのオブリビオンとはいえ火力は侮れない。

「こうもヤバそうな敵の集団に囲まれると、ますます昂っちゃうねぇ」
 危機感やスリルを興奮に変えて、むせ返るくらい甘い香りがインの身体から漂う。直後、キャノンデモノイドの砲台は一斉に火を噴き、デモノイド細胞の砲弾が放たれた。降り注ぐ不気味な青の弾幕から、彼女は踊るように身を躱す。
(【誘惑華園の聖槍】を出せるうちは避けられそうだけど、あの砲弾、当たったらどうなるんだろう)
 べちゃりと地面に着弾した砲弾はまだ生きているように蠢き、周囲を侵食していく。デモノイドとは人間が寄生体に蝕まれて変容するダークネスだが、オブリビオンとなったあれらの細胞にはヒト以外のもの――例えばダークネスさえ汚染する力があるのだろうか。そう考えると背筋がゾクゾクする。

「ぐっちゃぐちゃに侵食されちゃうのを想像したら、もうおかしくなりそうだねぇ」
 倒錯した欲望で精神を昂らせながら、インはふわりと空を翔けて敵の元に近付き、【誘惑華園の聖槍】で刺し貫く。
 欲望に身を任せるのはちょっとだけ我慢だ。身体の芯で滾る情欲は槍にまで伝わり、その矛先はデモノイドの巨躯をやすやすと貫通した。体格では文字通り大人と子供の差があるのに、力負けする様子はまるでない。
「突き刺したら抜きにくいかもだけど、捩じ切ればいいかぁ」
「ギャオオォォォォッ!!?」
 その華奢な肢体からは想像し難い膂力と強引さによって、キャノンデモノイドの肉体はぐちゃぐちゃに破壊される。
 ひとり仕留めれば余韻にひたる間もなく、インはすぐさま次に向かう。倒さなければいけない敵はまだまだ残っているのだ。

「たくさん相手にしなきゃいけないのは大変だけど、仕方ないかぁ」
 間断なく飛来する砲弾をひょいひょい躱して、目についたデモノイドを片っ端からやっつけるイン。最初の一人二人はよくても同じ相手ばかりだと段々気分も落ちてくるが、大淫魔スキュラに会えるのを楽しみにして、ここは頑張る。
 かつては他種族にもその名を知られる存在だったという淫魔の大物。記憶喪失の同族としてはやはり気になるのか、彼女の視線は包囲網の外から微かに感じられる淫蕩な気配を、ちらちらと窺っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
『…何となく分かっていたわ』
うん、まあね…
グリモア猟兵が予知に引っかかるような事は予測出来なかった筈が無いと言っていた時点でおかしいと思っていた

『ソラウ、少し時間を稼いで頂戴』
分かったよ!
敵のUCは高速詠唱で結界術を展開して時間を稼ぎつつ推力移動で攻撃範囲から逃げる(敵を一箇所に集めるようにする)
エスパスさんの次元能力で敵の居ない場所へ瞬間移動する

もう一度力を貸して!破滅の騎士よ!
UCの効果でUCソラウの歌"破滅の騎士"を発動
破滅の騎士達は次元能力で瞬間移動しながら貫通攻撃で敵を攻撃
再び破滅の歌姫に変身し混沌破皇で周りの敵に攻撃

『行くわよ!ソラウ!』
うん!やろう!
エスパスさんと連撃を繰り出した



『……何となく分かっていたわ』
「うん、まあね……」
 グリモア猟兵が予知に引っかかるような事は予測出来なかった筈が無いと言っていた時点で、おかしいと思っていたのだ。敵の計画の全貌が明らかとなり、都市全体を『新型スキュラ結界』が包み始めると、ソラウとエスパスは慌てずに対応を取り始めた。
「グルルルゥゥゥ……」
 新型結界の発動と同時に現れた『キャノンデモノイド』の軍勢は、すでに【拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン】の発射態勢に入っている。ソラウ達を含めた猟兵をここで包囲殲滅するのが奴らに与えられた命令であり、知性なき彼らはそれを忠実に遂行する。

『ソラウ、少し時間を稼いで頂戴』
「分かったよ!」
 敵の砲台が火を噴くのを見れば、ソラウは素早く結界を張って自分とエスパスの身を守り、時間を稼ぎながら攻撃範囲の外へと逃げる。全方位を囲まれている現状だと完全に逃げ切るのは難しいが、少しでも弾幕の密度が薄い場所へ。
「エスパスさん!」
『ええ!』
「「ウオォォォォ……!!」」
 推力移動でも逃げ場がない時は、エスパスの次元能力を借りて敵のいない場所へ瞬間移動する。たやすく制圧されてはくれない二人を見て、キャノンデモノイド軍団は包囲を狭めて追い詰めようとする。それは結果的に、散開していた敵と敵の距離が狭まることでもあった。

「もう一度力を貸して! 破滅の騎士よ!」
 敵が一箇所に集まってくるのを待ってから、ソラウは【ソラウの歌"破滅の騎士"】を発動。再び現れた騎士の軍団は次元能力で敵の傍まで瞬間移動し、破滅の赤槍を突き立てる。この予想外の増援に、キャノンデモノイドは大きな痛手を負った。
「消えて!」
「「グオオォォォッ?!!」」
 再び破滅の歌姫に変身したソラウの混沌破皇も、周囲の敵に追い討ちをかける。砲撃戦特化型のキャノンデモノイドは反撃を受ければ脆く、また乱戦でも性能を十分に発揮できない。この状況になった時点でソラウ達の勝利は確定だ。

『行くわよ! ソラウ!』
「うん! やろう!」
 再び繰り出される【時空武神・ウール・エスパスとの超連撃】。ソラウの槍とエスパスの剣による華麗なる連携が、立ちはだかるキャノンデモノイドを切り裂いていく。散りゆく敵へのレクイエムのように、破滅の歌唱を奏でながら。
「ガハッ……!!」
 百識のウァプラでも耐えられなかった猛攻に、オブリビオンとしては力の弱いデモノイドが耐えきれるはずもなく。
 戦場に散った青き骸は原型を遺すことなく崩壊し、完璧だったはずの包囲網には徐々に綻びが生じ始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
成程見事……とでもいうと思ったか?
余もグリモア猟兵、この手のオブリビオンダークネスの事件があるとは知っている
故に余はこのUCを使用しよう

指を鳴らすと同時、オブリビオンにのみ影響を及ぼすE=mc2によって核反応が発生
オブリビオンダークネスにのみ影響を及ぼす『質量エネルギー変換による莫大な熱量』が、デモノイドを焼き尽くしていく

『デモノイド細胞の砲弾』であろうが、莫大な熱量の前には焼却されるのみ
着弾する前に、焼き払ってやろう

しかし、アース系世界の住人はとんでもない方程式を作り上げたものよな?
まぁ、エスパー達にはUCでない限り無力であるが……



「成程見事……とでもいうと思ったか?」
 百識のウァプラが死の間際に明かした陰謀の真相も、アドナを驚かせるほどではなかった。『新型スキュラ結界』は作動し、周囲は『キャノンデモノイド』の大軍が包囲している。状況の不利は明らかながら、それでもなお動じない。
「余もグリモア猟兵、この手のオブリビオンダークネスの事件があるとは知っている。故に余はこのユーベルコードを使用しよう」
 発動するのは【土と火の境界線を縦横無尽する夕闇の方程式】。指を鳴らすと同時、オブリビオンにのみ影響を及ぼす「E=mc2」の方程式によって核反応が発生。質量エネルギー変換による莫大な熱量が、デモノイドによる包囲陣の中心に発生した。

「皇帝の名の元に宣言する。物質と熱量の境界線、それを掌握する事で我は悪しき者のみを焼く劫火を以て民を守護しよう」
「オ……オォォォォォッ!!?!!」
 突如発生した核反応の標的となったキャノンデモノイドは、原子の一粒も残さず完全消滅する。科学の理論をユーベルコードで再現した限定的なものではあるが、威力は見ての通り絶大だった。知性を持たぬデモノイドでさえ、本能的に危機感を抱く。
「「ウォォォォッ!!!」」
 核反応の範囲外にいたキャノンデモノイド達は、アドナに向けて【デモノイド・クライング・パーム・キャノン】を一斉発射。デモノイド細胞の砲弾による飽和火力で目標を一気に殲滅せんとする。砲撃戦に特化した個体だけあって、その火力はレベルの割には高いが――先程の攻撃の後では見劣りするのは否めないか。

「デモノイド細胞の砲弾であろうが、莫大な熱量の前には焼却されるのみ。着弾する前に、焼き払ってやろう」
 普遍的に存在する大気などの質量を変換するだけでも、途方もないエネルギーが生じる。熱量の盾はアドナに迫る全ての攻撃を蒸発させ、細胞の一片すら近付けさせない。いかにデモノイド寄生体でもこれを侵食しろというのは無理筋であった。
「「ギャァァァァァ……ッ!!!」」
 そして反撃の熱量放射によって、キャノンデモノイド本人も砲弾と同じ末路を迎える。もしこれに「オブリビオンにのみ影響を与える」という縛りがなければ、周辺被害も大変なものになっていただろう。新型スキュラ結界の完成を待つまでもなく都市を滅ぼすことも容易い、危険な可能性も秘めた方程式だ。

「しかし、アース系世界の住人はとんでもない方程式を作り上げたものよな? まぁ、エスパー達にはユーベルコードでない限り無力であるが……」
 今後このサイキックハーツで同じ理論に基づいた兵器が実用化されたとしても、通常攻撃無効のエスパーはダメージを受けない。銃弾から核兵器に至るまであらゆる既存の兵器と暴力が無意味になり、世界が変革を遂げた由縁である。
 故郷ブルーアルカディアの天使核文明とは異なる理論と発展を遂げたアース系世界に、アドナは心から感心しつつ、それを民を守り敵を討つための力として行使するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
よく回る口も、この包囲を完了するための時間稼ぎか
情報は欲しいが、悪魔に喋らせると碌なことにならない……

聖槍に集中させていた魔力を再度身体に纏い、防御力を強化(オーラ防御)
全周囲から滅多打ちにされてはもたない、強引にでも包囲を喰い破る!
新型結界の起点へ向かって――吶喊!!(ダッシュ)
降り注ぐキャノンが被弾するのは【覚悟】の上
致命的なものだけを【見切って】聖槍で【なぎ払う】
齎される制圧効果は【戦女神の聖鎧】が跳ね返し、逆にデモノイドの行動を制限する
目の前に立ちはだかるものだけを最小限――聖槍による【ランスチャージ】で【串刺し】にしながら駆け抜け、包囲を【こじ開ける】!
道を開けろぉおお!!



「よく回る口も、この包囲を完了するための時間稼ぎか。情報は欲しいが、悪魔に喋らせると碌なことにならない……」
 最期の最期までやってくれたものだと、百識のウァプラの散りざまにオリヴィアはぼやく。奴が稼いだ時間は大淫魔の『新型スキュラ結界』を起動させ、大軍による猟兵の包囲を成立させた。都市住民の危機は去っていないばかりか、自分達も窮地だ。
「ウオォォォォッ……」
 悪魔と淫魔に従う『キャノンデモノイド』の軍勢は、包囲網を維持したまま【拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン】の発射態勢に入っている。レベルは先程のウァプラより低いが、砲撃戦に特化した個体だけあって火力と制圧力は高い。

「全周囲から滅多打ちにされてはもたない、強引にでも包囲を喰い破る!」
 オリヴィアは聖槍に集中させていた魔力を再度身体に纏い、己の防御力を強化。そして都市を包みつつある新型結界の様子から、どこが起点であるかを見極める。そこには間違いなく結界を張る術者『大淫魔スキュラ』が待っている。
「――吶喊!!」
「ウオオッ!!」
 彼女が走り出すのと、敵が攻撃を開始するのはほぼ同時だった。降り注ぐキャノンが被弾するのは覚悟の上。ここで立ち向かっていても時間を食うばかりなのだ。であれば力尽くでも突破を図ろうというオリヴィアの作戦は一理ある。

「押し通る!」
 砲弾の中から致命的なものだけを見切って、聖槍でなぎ払うオリヴィア。それ即ち敵の攻撃の大半をその身で受けることになる。広範囲への弾幕と連射でダメージと制圧効果を与えるのが【拡散デモノイド・クライング・パーム・キャノン】だが、しかし彼女の足は止まらない。
「気高き戦女神よ、我が身を邪悪から護り賜え――!」
「「オォォォ……ッ?!」」
 彼女が身に纏った聖なる霊気は【戦女神の聖鎧】となり、制圧効果を跳ね返して逆にデモノイドの行動を制限する。
 自分達の撃った弾が戻って来るとは思わなかったか、動揺した敵の連射が止み、包囲網の一部にほころびが生じた。砲撃の圧が弱まれば、オリヴィアの突進はますます加速する。

「道を開けろぉおお!!」
 異形の砲撃を物ともせず、敵に肉薄するところまで走りきったオリヴィアは、そのまま聖槍によるランスチャージを敢行。目の前に立ちはだかるものだけを最小限、黄金の穂先をもって串刺しにしながら駆け抜け、包囲をこじ開ける。
「グギャオォォォ!!?!」「グギギィッ!!」
 白兵戦に持ち込まれれば、砲撃型のデモノイドが対抗できるはずがない。足止めすら叶わずに一瞬で貫き通される。
 行かせてなるものかと他の陣地から必死の砲撃が続くが、やはり引き止められるものではない。背中に浴びる砲弾を聖鎧で弾きながら、オリヴィアが目指す標的はただひとり大淫魔スキュラのみであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
『百識のウァプラ』その名に違わぬ策士ぶりでした。
自分の命を投げ出してまで策を遂行する覚悟は二流以下には無いものです。

ですが、まだ甘い!
絶体絶命の窮地。
それを打開してこそ『ヒーロー』であり、『猟兵』なのです!

結界術・高速詠唱で周囲に防音結界を素早く形成。
オーラ防御を纏い、高速で振動させる。

咆哮(=音)とは空気の震え。
そして震えは別の震えにより相殺される。
ですが、備えの無い仲間のデモノイドはどうなのでしょうね?

《煌月舞照》発動
1500本を超える煌月の複製による貫通攻撃により、生き残ったデモノイドを包囲殲滅します。
詩乃に迫ってくるデモノイドは神罰・雷の属性攻撃を籠めた煌月で斬りますよ(鎧無視攻撃)。



「『百識のウァプラ』その名に違わぬ策士ぶりでした。自分の命を投げ出してまで策を遂行する覚悟は二流以下には無いものです」
 一般人を実験台にする非道なオブリビオンとはいえ、最期まであり方を貫いた一点においては認め、評価する詩乃。
 事実、大悪魔が大淫魔と共謀した計画によって、猟兵は危機に陥りつつある。都市全体を巻き込んだ『新型スキュラ結界』の完成は迫り、自分達は無数の敵に取り囲まれた状況。
「ですが、まだ甘い! 絶体絶命の窮地。それを打開してこそ『ヒーロー』であり、『猟兵』なのです!」
 包囲の中心にあってもなお――いや、むしろ闘士を燃え上がらせて、詩乃は高らかに宣言する。これしきのピンチを乗り越えられずして何がヒーロー、何が猟兵か。世界の危機から何度も人々を救ってきた彼女には、それを言えるだけの実績と実力があった。

「「グウウゥゥゥゥ……ウォォォォォーーーーッ!!!!」」
 勇ましき女神ヒーローの挑戦に、包囲を敷く『キャノンデモノイド』の軍勢も容赦はしない。彼らが発する咆哮は万物を粉砕する【クライング・デモノイド】となって、周囲に破壊を撒き散らしていく。デモノイドのユーベルコードの中でも最も原始的な、それゆえ最も威力のある攻撃。
咆哮とは空気の震え。そして震えは別の震えにより相殺される」
 この全方位無差別攻撃に対して、詩乃は高速詠唱で防音結界を形成。さらに身に纏ったオーラを高速で振動させる。
 原理としてはイヤホン等に使われるノイズキャンセリングと同じ。対応する周波数の振動を合わせることで、咆哮の威力は弱まる。即座に的確な対処法を編み出せるのも経験のなせる技か。

「ですが、備えの無い仲間のデモノイドはどうなのでしょうね?」
 知性に乏しく、仲間意識もなく、上位者からの命令を重視するデモノイドは、あまりに目標の殲滅を優先しすぎた。
 無差別破壊の【クライング・デモノイド】は、本人達ですら例外ではない。結界とオーラで守られた詩乃とは逆に、彼らは無防備すぎた。
「「グギャオオォォォォォッ!?!!」」
 その肉体を構成するデモノイド寄生体が、細胞レベルで分解され、崩壊していく。流石に全滅とまではいかないが、包囲が緩む程度には甚大な被害。破壊の咆哮が悲鳴と絶叫に変われば、詩乃は即座にユーベルコードの詠唱に入った。

「煌く月よ、空を舞って世界を照らし、清浄なる光と刃で悪しき存在を無に帰しなさい」
 発動するのは【煌月舞照】。薙刀「煌月」の複製を神力で創造し、咆哮から生き残ったキャノンデモノイドに放つ。
 1500本を超える煌月の複製は、幾何学模様を描きながら複雑に飛翔し、目標を包囲殲滅する。自慢の大砲や咆哮でも全て撃ち落とすのは不可能だ。
「グガァッ?!!」「ギャオォッ!!」
 煌めく刃の演舞に貫かれ、息絶えていくデモノイド達。いつの間にか包囲する側からされる側になった彼らの損害は激しく、もはや統制を取れる状態ではない。本能的に逃げ出そうとする者、がむしゃらに詩乃に襲い掛かる者、個々がバラバラの行動を取り始めるが――。

「逃がしません!」
「ギエェェッ……!」
 遠ざかるデモノイドは【煌月舞照】が追い討ち、迫ってくるデモノイドは詩乃自ら、神罰の雷を籠めたオリジナルの「煌月」で斬り伏せる。真っ二つにされた敵は断末魔とともに倒れ込み、その骸はすぐに跡形もなく消滅していった。
 宣言通り、ヒーローとして見事窮地を打ち破った詩乃は、神々しきオーラを纏ったまま包囲の先へ進む。この事件を引き起こした黒幕、大淫魔スキュラを討つために。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大淫魔スキュラ』

POW   :    八霊玉
自身の【持つ8つの「霊玉」】を代償に、1〜12体の【ダークネス八犬士】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD   :    虚狗顎
【虚空から巨大な狗】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    新型スキュラ結界
戦場内に【無数の魔法陣】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
👑11
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「まったく……もう来ちゃったのね。不愉快だわ」

 デモノイド軍団による包囲を突破した猟兵は、完成の迫る『新型スキュラ結界』の中心、結界の発動地点に向かう。
 そこで待っていたのは、魚の尾のような下半身を持つ金髪の美女。ぞっとするような淫蕩な魅力を放つ、一人の淫魔だった。

「ウァプラのやつは上手くやってくれたわ。死んでなかったら私の『犬』にしてあげても良かったくらい。でもあいつは殺されて、伏せていた戦力も潰されて……結構、入念に準備したのよ? なのにここまで追い詰められちゃったわ」

 この口ぶり、彼女こそが『百識のウァプラ』と共謀していた『大淫魔スキュラ』で間違いあるまい。
 過去の時代では『八犬士』と呼ばれる強力なダークネスを筆頭に多くの配下を従え、武蔵坂学園と何度も矛を交えた伝説級の淫魔。魅惑と知謀に長けた彼女は、現在の状況を忌々しく思いながら、どこか納得しているようでもあった。

「あなた達に関わるとロクなことがないって知ってるもの。だから復活したら、まずはあなた達を最初に始末するって決めてたのよ。だって、あなた達は関わろうとしなくても勝手に関わってくるでしょう?」

 そのために用意されたのが今回の計画であり、新型スキュラ結界。
 閉じ込めた人間の命を糧として新たなダークネスを発生させる、この結界が完成していれば猟兵は、そして人類は大きな窮地に陥っていただろう。

 しかし猟兵達は悪魔と淫魔の想像を超えて早く、ここまで辿り着くことができた。
 あとは結界が完成する前に、術者であるスキュラを倒すだけだ。

「あーあ、結局私も戦うことになるのね。でも、こういう事態も想定してなかった訳じゃないわ。大淫魔の実力、甘く見ないでもらおうかしら」

 スキュラからすれば、結界完成までの残り時間、猟兵の攻撃に耐えきれば勝ちだ。
 籠絡や搦め手を得意とする淫魔とはいえ、彼女の戦闘能力は決して低くない。すっと立てた指先に魔力が灯り、八つの霊玉を形成する。

「さ、始めましょう。こう見えてもね、私は諦めが悪いのよ」

 変革を遂げた世界にて、再び人類を闇に堕とさんとする、復讐の大淫魔。
 張り巡らされた陰謀劇に終止符を打つ、最後の戦いが幕を開けた。
ソラウ・エクステリア
『やっと出てきたわね、スキュラ!』
うん、やってやろうよ!エスパスさん!
エスパスさんが敵を見て刀を構えている
UCを発動していた

『ソラウ、狗は私が相手するわ』
分かったよ!
敵がUCを発動して巨大な狗が現れた
エスパスさんは狗の相手をする
僕は体が土煙に隠れたのと同時に迷彩を使用して姿を消す
『行くわよ、はあ!』
エスパスさんは素早く電撃の弾幕を放つ

『…痛っ!この!』
反撃されそうになったので心眼で見ながら推力移動で回避するが顔が掠っていたが次元能力の力を纏った斬撃波を放ち反撃

不意打ちだけど…食らえ!
UCの効果でUC轟雷槍・ライトニング・パルサーを狗に放つ

行くよ!
『ええ!』
敵に向かってエスパスさんと超連撃を放つ



『やっと出てきたわね、スキュラ!』
「うん、やってやろうよ! エスパスさん!」
 事件の黒幕たる『大淫魔スキュラ』を見て、エスパスが刀を構えている。もう逃がしなしないという強い意志とユーベルコードを感じて、ソラウもすぐさま戦闘態勢に入った。一般エスパーの命を犠牲にダークネスを発生させる『新型スキュラ結界』など、絶対に完成させてなるものか。
「そう簡単にやれると思ったら大間違いよ」
 対するスキュラもユーベルコードを発動すると、虚空から巨大な狗が現れ、主人を守るように猟兵達の前に立ちはだかる。他のダークネスさえ支配下におく魅了は淫魔の真骨頂であり、オブリビオンとなっても彼女には様々な配下が付き従っているようだ。

『ソラウ、狗は私が相手するわ』
「分かったよ!」
 敵の【虚狗顎】に対抗するため、時空武神の姿で切り込んでいくエスパス。その踏み込みが巻き上げた土煙に身を隠しながら、ソラウは迷彩を使って姿を消した。まずは配下を始末してスキュラが無防備になった隙を突く気のようだ。
『行くわよ、はあ!』
『グルルルッ!』
 気合いの籠もった掛け声と共に、エスパスが素早く電撃の弾幕を放てば、スキュラの狗は体躯に見合わぬ俊敏さで身を躱す。全ての電撃を避けきることは出来ずとも、被弾とダメージを最小限に抑え、さらには逆襲まで仕掛けてきた。

『……痛っ! この!』
 反撃されそうになったエスパスは、心眼で敵の動きを見ながら推力移動で回避を試みた。だが虚狗の顎は顔を掠め、頬からひと筋の血が流れる。痛みで顔をしかめながらも、彼女は次元能力の力を纏った斬撃波を放ち、反撃には反撃を返した。
『ギャオッ!!?』
 物理防御の通じない次元斬を食らった狗は、血飛沫を上げて後退する。かなりの深手のようだが、それでもスキュラを守らんと立ちはだかる姿は、大淫魔の魅力によるものか。だが目の前の脅威に意識を集中しすぎるあまり、それは死角から迫るもうひとつの脅威に気付いていなかった。

「不意打ちだけど……食らえ!」
『ガッ?! グオォォォンッ!!!?』
 潜伏状態から空間次元移動で間合いに踏み込んできたソラウが、【轟雷槍・ライトニング・パルサー】を狗に放つ。
 これは彼女がクロノドラグマ星の騎士団に所属していた頃の必殺技。絶縁抵抗を破壊する轟雷を纏った槍が、神速の早業で巨躯に突き刺さる――不意を突かれた狗は断末魔の雄叫びを上げて、虚空に消えていった。
「行くよ!」
『ええ!』
 間髪入れずにソラウは【時空武神・ウール・エスパスとの超連撃】を敢行。時空魔法と次元能力をフルに活かした、渾身のコンビネーションを敵に放つ。配下を退けられたスキュラは「ちっ」と舌打ちしながら次の配下を呼び出そうとするが、間に合わない。

「くっ……ほんと、武蔵坂の奴ら以外にも厄介なのが増えたわね」
 妖艶な曲線美を描く大淫魔の肌に、超連撃が傷を刻む。思い通りにならない連中を相手に、スキュラは相当苛立っている様子だ。だが彼女の目標は猟兵を返り討ちにするのではなく時間を稼ぐこと――両陣営が戦っている間にも、結界の完成は刻一刻と迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【WIZ】

遂に
スキュラさんの元に

『強大なお力…私に…どれだけ対抗出来るか…けど!』

翼で飛翔
【空中機動】等駆使し
【空中戦】も行い
立体的に立回り

UCで
氷晶のドレスを纏い
ヴォーパルソードを手に
【ハートのA】も展開

【第六感】【心眼】【残像】
【通常攻撃無効】
【結界術】【オーラ防御】で
防御行動や
一般の方を防護

【破魔】を込めての
UCの氷雪魔法で
【凍結攻撃】の【全力魔法】や
氷雪魔法を
武装に纏わせ
【斬撃波】や【なぎ払い】
【誘導弾】の【一斉発射】で
攻撃

『抜けば玉散る氷の刃…です!』

魔法陣の操り効果は
UCの氷晶の実の冷気で打消

『スキュラさん……い…いけないっ!』

(身を任せそうになるも、間一髪で離れ)



「強大なお力……私に……どれだけ対抗出来るか……けど!」
 遂に『大淫魔スキュラ』の元に辿り着いたアリスは、その強大な魔力を肌で感じながらも、退く訳にはいかないと己を奮い立たせる。『新型スキュラ結界』が完成する前に奴を止めなければ、一般エスパーに未曾有の被害が生じる。一連の陰謀劇に幕を引く、ここが最後のチャンスだった。
「私にも……あの方の様に、素敵なドレス……創れるかな……」
 【エンシェントプリンセス・アイスエイジドレッサー】を発動したアリスの髪色が、女王をも思わせる氷雪の髪色に変化し、髪にスノードロップの花が咲く。さらに太古の氷魔力で創った氷晶のドレスを纏い、「ヴォーパルソード」を携え【ハートのA】を展開。持てる力と装備の全てを尽くして、伝説の大淫魔に挑む。

「あら、かわいい子。私の狗にしてあげようかしら」
 スキュラは臨戦態勢のアリスに艷やかに笑いかけると、無数の小型【新型スキュラ結界】の魔法陣を戦場内に放つ。
 完成版ではないものの、こちらは閉じ込めた対象の行動を自在に操作する効果を持つ。ここで操られてなるものかとアリスは空に飛び立った。
「あなたには、従い……ません!」
 高度な空中機動を駆使した立体的な動きと、第六感や心眼による危機察知能力。基本的な立ち回りはこれまでと同じまま、敵の仕掛けた魔法陣を避けながら反撃の体勢を整える。キラキラと氷晶の残像を描きながら翔ける少女の姿は、儚くも美しい。

「……えいっ!」
 破魔の力を込めて呪文を唱えれば、万物凍結の氷雪魔法が戦場を氷河期に変える。かつてこの魔法をアリスに教えた女王と同じ、尋常ではない氷の魔力だ。並のオブリビオンならこれで氷雪の下に埋もれるものだが、しかして此度の敵は生半可ではない。
「甘く見ないで頂戴?」
 人魚の下半身をくねらせて魔法の直撃を躱したスキュラは、微笑みながらパチンと指を鳴らす。するとアリスの正面と背後にふたつの魔法陣が現れた。この短時間で彼女の機動を見極めて、【新型スキュラ結界】を仕込んでいたのか。

「スキュラさん……い……いけないっ!」
 結界内に満たされた魔力が、大淫魔への服従の念を植え付ける。あわや身を任せそうになるアリスだったが、ドレスに生えた氷晶の実が彼女を救った。この実から放たれる冷気は傷を癒やすと共に、魅了等の状態異常も打ち消すのだ。ひやりと背筋をなでる冷たさで正気に返った彼女は、間一髪で敵から離れる。
「ちっ。思ったよりしぶといわね」
 スキュラは舌打ちしながら追加の魔法陣を放つが、アリスとて二度も同じ手は食わない。自らの結界術とオーラで敵の結界を阻みながら、脇目も振らずに高度を上げていく。今度は唱えた氷雪魔法を武装に纏わせ、愛剣の切れ味を高めながら。

「抜けば玉散る氷の刃……です!」
 魔氷を帯びたヴォーパルソードから放たれる斬撃波と、氷の誘導弾と化したジュエルの一斉発射。氷雪のプリンセスが繰り出す全力攻撃が、ダイヤモンドダストのようにスキュラへと降り注ぐ。これには流石の大淫魔も無事ではいられない。
「ッ……やるじゃ、ないの……!!」
 斬撃を受けた箇所やジュエルが被弾した箇所から、凍りついていくスキュラの身体。夏の熱気でも溶けることのない氷河期の冷気に、顔をしかめ苦痛に呻く。いかに余裕ぶっていても彼女は間違いなく追い詰められていると、アリスはこれで確信を抱いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮比神・うずめ
◎WIZ/アドリブとかお任せ

スキュラが出てきたんよぉ
あんたも入念に準備してたみたいだけども、ウチ達に遭遇ちゃったのが運の尽きなんよぉ!…というかお約束!

早速、今回最後のユーベルコードを発動させるんよぉ♪
あー少し身体が重いかも

魔法陣は「天地開闢光」で破壊できるか試してみるんよ
通路の邪魔になるしね

踊るように魔法陣を避けるんよぉ
次はスキュラに向かって浄化射撃の浄「天地開闢光」を撃ち込むんよ

魔法陣にあたっても邪心耐性で、耐えられるかなぁ?難しそうだけど

とにかく攻撃は「天地開闢光」で押すしかないなぁ

掴みかかれたら、身体に触って零距離も良さそう



「あんたも入念に準備してたみたいだけども、ウチ達に遭遇ちゃったのが運の尽きなんよぉ! ……というかお約束!」
 いよいよ出てきた『大淫魔スキュラ』を相手に、堂々と啖呵を切るのはうずめ。敵がどんな策を弄しても、その尽くを潰して勝利をもぎ取ってきたのが灼滅者であり猟兵だ。ここまで来て負ける気はないと、表情が自信に満ちている。
「だったら、そのお約束ごとひっくり返してやるわよ」
 かつて灼滅者に敗北を喫した屈辱をスキュラは覚えている。だからこそ最大限の警戒をもって【新型スキュラ結界】を用意したのだ。それは都市の一般エスパーの命からダークネスを発生させるだけでなく、他者の行動を操る戦闘用のユーベルコードとしても機能するのだ。

(あー少し身体が重いかも)
 早速、今回最後の【神薙の神子(うちばーじょん)】を発動させて、結界の魔法陣に天地灰闢光を浴びせるうずめ。
 ここまで連戦続きだと流石に貧血気味だが、キツそうな様子は表に見せない。燦然たるカミの威光は淫魔の魔力をも浄化し、結界を打ち破った。
「これなら楽なんよぉ。通路の邪魔になるしね」
 魔法陣を破壊できると分かったうずめは続け様に天地灰闢光を放って、強引に進路をこじ開けながらスキュラの元に近付いていく。ごり押しと言われようとも、彼女の手札で大淫魔にも通じる可能性が最も高いのが、この術式だった。

「神様なんてお呼びじゃないってのに。引っ込んでなさいよ!」
 眉をひそめる表情さえ艶やかなまま、連続でユーベルコードを行使するスキュラ。うずめは魔法陣を踊るように避けていくが、戦場に放たれた無数のそれを躱し切ることはできなかった。天地灰闢光をすり抜けた【新型スキュラ結界】が、ついに彼女を捕らえる。
(耐えられるかなぁ? 難しそうだけど)
 胸の奥から湧き上がってくる邪心を、どうにか抑え込もうとする。大淫魔の魅了は強烈だが、即座に操られなかったのは精神力のなせる業だ。ふらつく足取りでも視線は逸らさず、まだ相手が「敵」だと認識していられるうちに迫る。

「私に従いなさい!」
「御免なんよぉ!」
 スキュラの命令を拒んだうずめはそのまま相手に掴みかかり、抱きつけるほどの零距離から天地開闢光を撃ち込む。
 邪悪なるものを祓い清める浄化の光を、この距離で浴びせられたら、スキュラほどのオブリビオンでも――いや尚更無事では済まない。
「やッ、やめなさ……きゃぁぁぁぁっ!!!!?」
 組み付きを振りほどく間もなく光に包まれた大淫魔の肉体が、末端から砂のように崩れていく。死者は摂理に従い、あるべき場所に還れとばかりに。自らが創り上げた結界の中心より、絹を裂くような甲高い悲鳴が都市に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
綺麗な女性だ
それだけに上手く人の世の影に溶け込んでほしかった

自己紹介して術比べを挑むぜ
勝てばアタシを眷族にして良いよ

神鳴に稲荷符を貼って結界術を付与
新型結界の魔方陣に干渉し此れを斬る、受け流す
第六感・気配感知で怪しい仕掛けには踏み込まないぞい
地形への仕込みは結界の醍醐味だね

さてドサクサ紛れに影縛りの符を戦場に撒いてみる
見破られるかな
本命として罠使いで光属性攻撃の符を紛れ込ませ、閃光を放ち目潰しするぜ

結界を斬りながら特攻
オーラ防御も駆使して隠された新型結界を弾く
神鳴突きつければ【琥珀の檻】を試みるぜ

封印されるか塵となって躯の海に還るかは委ねるよ
アタシとしては留まって、結界術を指南して欲しいけどね



「綺麗な女性だ。それだけに上手く人の世の影に溶け込んでほしかった」
 復讐よりも二度目の命をどう生きるかを考え、現世と折り合いをつけてくれれば、こうして自分達が討伐に来る事態にもならなかったのにと、燦は本気で残念に思う。オブリビオンとして復活した以上は叶わぬ望みだったのかもしれないが、だからとて割り切れることでも無いのだ。
「四王稲荷神社の四王天・燦。勝てばアタシを眷族にして良いよ」
「へえ? 後悔しても知らないわよ」
 自己紹介をして術比べを挑めば、『大淫魔スキュラ』は挑発的な笑みで応じる。伝説に名を残すほどの年月を生きた淫魔であれば当然、様々な術法に精通しているだろう。また、ここまで予想を狂わせてくれた猟兵を「狗」にできるという提案は、彼女の自尊心をくすぐった。

「ただの雑魚を狗にしても仕方がないし、自信のほどを見せてもらうわよ!」
 スキュラは戦場に魔法陣を放って【新型スキュラ結界】を発動。ダークネスを発生させる都市規模のものとは別の、戦闘用に調整されたユーベルコードだ。対する燦は神刀「神鳴」に「四王稲荷符・桃華絢爛」を貼り付け、迎え撃つ。
「どうぞご覧あれ」
 刀に付与された結界術が新型結界の魔法陣に干渉し、此れを斬り、受け流す。術比べと宣言した通りの対抗手段だ。
 だが、ひとつ断っても魔法陣は無数に配置されており、どれが命中しても致命的な事態になる。警戒を怠ればたちまち淫魔の「狗」に転落だ。

「地形への仕込みは結界の醍醐味だね。怪しい仕掛けには踏み込まないぞい」
「へえ、分かってるじゃない」
 第六感を研ぎ澄ませて気配を感知し、魔法陣のトラップを回避する燦。少しはやるようだとスキュラもほくそ笑む。
 熾烈な術比べが繰り広げられる中、燦はドサクサ紛れに影縛りの符を戦場にばら撒いてみる。(見破られるかな)と期待度は低いものの、もし敵がうっかり近付いてきたら足元から縛り上げる気だ。
「イヤなカードね。私は縛られるのは趣味じゃないのよ」
 案の定スキュラは符のトラップにすぐに気付いて、近寄らないように距離を取る。サイキックとは異なる原理で働く異世界の術とはいえ、そう簡単に引っかかってはくれないか――だが、いかに大淫魔でも一目見ただけでは、全ての符は看破できないはず。

「こいつが本命さ」
「えっ……!?」
 影縛りの符に紛れ込んでいた光属性の符が、燦の合図で起動する。罠は見破ったと過信して気の緩んだスキュラは、強烈な閃光に目を灼かれ、たまらず「うッ!」と顔を覆った。トラップとは相手の真理の隙を突き、二重三重に用意するもの――術法に関する自信が彼女の判断を狂わせたか。
「王手だ」
「こ、このッ……!」
 即座に燦は結界を斬り払いながら特攻。スキュラも此方を罠に嵌めるために新型結界を幾つか隠していたようだが、一手遅れたと言わざるを得まい。オーラによる防御も駆使して全ての魔法陣を凌ぎきった彼女は、大淫魔の目前に刀を突きつける。

「御狐・燦が命ず。符よ禁断の琥珀を召喚し、彼の者を永劫の檻へと誘い給え!」
 術比べを制し、言い訳できない敗北を敵に与えたうえで、燦が発動したのは【符術"琥珀の檻"】。永久の束縛を与えながら、術者と生命を共有することで対象を生かし続ける外法の封印術だ。この選択には、できればスキュラを殺さずに事を収めたいという私情が感じられる。
「封印されるか塵となって躯の海に還るかは委ねるよ。アタシとしては留まって、結界術を指南して欲しいけどね」
「はっ……そんなの、決まってるでしょうが」
 数多の人間とダークネスを籠絡し従属させてきた大淫魔が、今さら他人の手で飼い殺される立場を受けいられるか。
 突き出された封印の狐狛を、小馬鹿にした笑みでスキュラが払い除けた直後――もはや燦は躊躇わず刀を振るった。

「残念だよ」
 真っ白な淫魔の肌から鮮血が噴き出し、刃を赤く染め上げる。深手を負ったスキュラはそれでも悲鳴すら上げない。
 こうなる事も予想の範疇とはいえ、燦は無念を抑えきれない。猟兵とオブリビオン、やはり簡単には共存できぬものなのか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アドナ・セファルワイド
闇落ち結界か……やはり生きるというのは良い
お陰で新たなUCを発現できた

瞬間、半径135m圏内に活動強制停止結界を展開
生命維持も含めた活動する為の全エネルギーを奪う略奪の力場……サイキックアブソーバーによって発現したサイキックエナジー吸収を再現したUCだ

巨大な狗が現れようとも関係ない
その狗諸共、生命維持に必要な分まで全エネルギーを略奪するのみだ

全世界という射程範囲は無理だったが、代わりにサイキックエナジーだけでないエネルギーも略奪できるUC
そして、活動強制停止によって動きを封じられる……中々使い勝手のいいUCであろう?
貴様には感謝しなければな



「闇落ち結界か……やはり生きるというのは良い。お陰で新たなユーベルコードを発現できた」
 アドナがそう言った瞬間、『大淫魔スキュラ』の【新型スキュラ結界】とは別の結界が、忽然と周囲に展開される。
 半径135m圏内を覆うそれは【嬌声停止・闇となる万象は力を奪われる】。この世界の情報からインスピレーションを受けた彼女が開発した新たなユーベルコードだ。
「皇帝の名の元に宣言する。遍く活動を停止させる界を広げ、結ぶは総ての属性の全ての活力の略奪。遍く闇が晴れた機械の如く」
 朗々たる宣言と共に展開を完了した結界は、生命維持も含めた活動する為の全エネルギーを、内部にいる敵から奪い取っていく。急激な脱力感に襲われたスキュラは、これがかつて自分がダークネスであった頃に味わったものと似た感覚であることに気付く。

「こ、これは、まさか……?!」
「サイキックアブソーバーによって発現したサイキックエナジー吸収を再現したユーベルコードだ」
 かつて盤石なるダークネスの世界支配が揺らいだのは、20世紀末に稼働開始し超機械「サイキックアブソーバー」が、全世界のサイキックエナジーを吸収したのがきっかけだった。能力の維持に必要なサイキックエナジーが枯渇したことで、多くの強大なダークネスが活動不能に陥った大事件を、当事者であるスキュラが知らぬはずがない。
「アレの機能を真似するだなんて……性格悪いわね、あなた!」
 オブリビオンになってもまたこの感覚を味わうとは思わなかったと、スキュラは苛立ちを隠せず【虚狗顎】を発動。
 虚空より呼び出した巨大な狗に、結界の術者を食いちぎらせようとするが――アドナは関係ないとユーベルコードを維持する。

「その狗諸共、生命維持に必要な分まで全エネルギーを略奪するのみだ」
『ウ、ウォォォォォン……!!』
 アドナが敵と認識した対象であれば、結界内にいる限りどんな生命体も例外はない。彼女の喉笛を噛みちぎる前に、スキュラの狗は活力や精気を全て奪い取られ、弱々しい悲鳴を上げて倒れる。わずか数秒で立ち上がることもできないほど衰弱しきっていた。
「全世界という射程範囲は無理だったが、代わりにサイキックエナジーだけでないエネルギーも略奪できるユーベルコード。そして、活動強制停止によって動きを封じられる……中々使い勝手のいいユーベルコードであろう?」
「あたしはその実験台ってわけね。まったく、とんだ貧乏くじだわ……!」
 貴様には感謝しなければな、と笑うアドナに、スキュラは青筋立てて言い返す。彼女ほど高レベルのオブリビオンとなれば全エネルギーを奪い尽くすまで時間はかかるようだが、それでも消耗は激しい。新型結界が完成するのが先か、過去の時代のように活動停止に陥るのが先か――この状況では、分が悪いと言わざるをえなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
《蒼翼の闘魂》を発動
真の姿:蒼き鷹として決戦に参戦します

勇気を胸に真正面より駆け、攻撃を行いますわ
八犬士が現れ攻撃を仕掛けてきたとしても
オーラ防御を全開に頑丈な体を頼りに受けて

スキュラだけを狙いプロレス式の打撃と
グラップルを生かした投げを打ちダメージを重ねます
多対1は覚悟の上!狙うべきものを誤りはしませんわ

海空・夏美さんは貴女のこと、友達と思ってましたよ
おそらく、今でも――綺亜羅さん!

きっと反応する貴女でないからこそ
全身全霊で以て仕留められますッ
心に熱い闘志をさらに燃やし、戦う!

全力の鎧砕きの拳を叩き込んだなら、
鎧無視攻撃として炸裂する必殺の投げでKOを狙いますわ
ブルーバード……ドライバーッ!



「お相手いたしますわ。この『蒼き鷹』が!」
 新型結界の完成が迫る中、『大淫魔スキュラ』との決戦場に現れた新たな猟兵。その名はユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)、またの名を「蒼き鷹」と言った。【蒼翼の闘魂】を発動した彼女はレスラーのリングコスチュームに身を包み、青髪のショートヘアをなびかせて参戦する。
「次から次に、よく来たものだわ。まあ、手間が省けていいけれど!」
 元よりスキュラの計画はこの都市に猟兵や灼滅者を呼び寄せ、新型結界で一網打尽にすること。完成までの時を稼ぐため、彼女は【八霊玉】より「ダークネス八犬士」を召喚する。それはオブリビオンとなる以前、大淫魔が従えていた八体の筆頭配下である。

「出てきましたわね、八犬士」
「へえ、知ってるってことはあなた、武蔵坂の灼滅者ね」
 ユーフィの、いや「蒼き鷹」の呟きを聞いたスキュラが殺気立つ。スキュラ自身も八犬士も、あの学園の灼滅者には何度も苦渋を味わわされているのだ。今こそ過去の雪辱を果たさんと、蘇りし八犬士は一斉に仇敵へと襲いかかった。
「多対1は覚悟の上!」
 対する蒼き鷹は勇気を胸に戦場を駆け、真正面より勝負を挑む。レスラーである彼女の武器にして防具は、極限まで鍛えた己の肉体そのものだ。闘気のオーラを全開にした頑丈なボディで敵の攻撃を受け止め、そのまま前進を続ける。

「狙うべきものを誤りはしませんわ。おどきなさい!」
『くッ……舐めるな!』
 蒼き鷹が狙うのはスキュラだけ。邪魔する八犬士どもをフィジカルで押しのけ、プロレス式の打撃技を喰らわせる。
 当然、他の八犬士からは総攻めされることになるのだが、元より彼女は全て切る覚悟。悪しき敵の攻撃にレスラーの魂が屈することは断じてない。
「まだまだッ!」
「きゃっ……もう、乱暴ね!」
 打撃でよろめかせた直後にグラップルを生かした投げを打ち、ダメージを重ねれば流石のスキュラも悲鳴を上げる。
 強大な魔力を誇る大淫魔も、至近距離の肉弾戦はあまり得意ではない。それをカバーするための八犬士のはずだが、まさか被弾を無視して自分一人にだけ的を絞ってくるとは思わなかったようだ。

「海空・夏美さんは貴女のこと、友達と思ってましたよ。おそらく、今でも――綺亜羅さん!」
「そう。よく覚えてたわね、そんな昔の名前」
 戦いながら蒼き鷹が口にしたのは、スキュラと灼滅者の因縁が始まった事件。とある「ラグナロク」の少女の名と、その少女を籠絡せんと近付いたスキュラの偽名だ。全ては少女を闇堕ちさせ「犬」にするための陰謀だったとはいえ、ひとときの友誼を結んだ人間とダークネス――だがスキュラは今やなんの感慨もない様子で、素っ気ない相槌を打つ。
「そんな貴女だからこそ、全身全霊で以て仕留められますッ」
 予想通りの反応を見て、蒼き鷹は心に熱い闘志をさらに燃やし、戦う。激しさを増す八犬士の攻撃を耐え抜き、邪悪な大淫魔を睨みつけ、全力で拳を叩き込む。ズドンと鈍い音を立てて、鋼鉄の鎧をも砕く一撃がスキュラの腹に突き刺さった。

「くぅッ……!!」
 臓腑を突き抜ける衝撃にスキュラの身体がくの字に曲がり、すかさず蒼き鷹はフィニッシュホールドの体勢に移行。
 この技の前ではどのような防御も装甲も意味がない。肉体と技術と魂の力を総動員した、必殺の投げ技が炸裂する。
「ブルーバード……ドライバーッ!」
「ッ―――!!!」
 脳天より叩き落され、凄まじい衝撃が大地を割る。言葉にならない悲鳴を上げて、アスファルトに倒れるスキュラ。
 過去より蘇りし復讐の大淫魔は、またもや武蔵坂の灼滅者によって地を這わされ。屈辱と怒りの炎が燃え上がるも、肉体の限界は着実に迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
諦めが悪い、ですか。
ええ、諦めなくても構いませんよ、問答無用で骸の海に送り返すだけですから。
それに、猟兵を甘く見ているのは貴女の方です。

魔法陣に対しては高速詠唱・結界術・破魔による対魔法防御結界で対抗。
オーラ防御も纏います。
要は「当たらなければどうということはない」攻撃な訳ですから。
数が多いだけで貫通力も無さそうですし。

《花嵐》発動。
魔法陣を浄化消滅させつつスキュラに迫ります。

念動力・捕縛でスキュラの動きを封じ、神罰・雷の属性攻撃・高速詠唱・全力魔法・貫通攻撃で生みだした雷で打ち据え、弱ったところを《花嵐》の花びらにて浄化消滅に追い込みますよ。

大勢の犠牲者を出そうとした陰謀の報いを受けなさい!



「くっ……まだよ、まだ……こう見えても私は……」
「諦めが悪い、ですか」
 最初にスキュラが口にした言葉を詩乃が続ける。オブリビオンになっても生前の敗北を忘れず、猟兵を含めた灼滅者への復讐を企んでいた『大淫魔スキュラ』の諦めの悪さは、なるほど執念と呼んでもいいレベルだ。だが、その執念を実らせるつもりはない。
「ええ、諦めなくても構いませんよ、問答無用で骸の海に送り返すだけですから」
 復讐のために他のオブリビオンとも手を組み、多くの一般人を巻き込んだスキュラの所業は許されるものではない。
 悪しきオブリビオンを葬るは猟兵の使命。どんな理由や過去があろうと、詩乃にとってやることは変わらなかった。

「それに、猟兵を甘く見ているのは貴女の方です」
「それは……どうかしら、ねッ!」
 強気な態度を取る詩乃に対して、スキュラは戦場のあちこちに無数の魔法陣を放つ、生前から改良を施した【新型スキュラ結界】はダークネスを発生させるだけでなく、相手の行動を操るのにも使えるようだ。籠絡による支配は淫魔のお家芸だが、こちらのユーベルコードはその性質が強い。
「問題ありませんね」
 しかし詩乃は魔法陣の数に惑わされず、高速詠唱で紡いだ対魔法防御結界で対抗。オーラの防御膜も身にまとって、新型結界の効果をシャットアウトする。結界術に関しては彼女もかなりの熟達者であり、相手が大淫魔でも押し負けはしない。

「要は『当たらなければどうということはない』攻撃な訳ですから。数が多いだけで貫通力も無さそうですし」
「このッ……素直に操られなさいよ、かわいくないわね!」
 なんとかこちらの結界に取り込もうと魔力を込めるスキュラだったが、詩乃の防御結界を破ることはできなかった。
 反撃とばかりに詩乃もユーベルコードを発動。装備していた薙刀を桜の【花嵐】に変化させ、戦場へと解き放った。
「今より此処を桜花舞う佳景といたしましょう」
 植物と活力を司る女神アシカビヒメの加護を受けたその桜は、彼女が穢れとみなした全てを浄化消滅させる。ひらひらと光り輝きながら舞い散る花吹雪は美しい光景だったが、敵にとっては死の旋風に等しい。周囲に仕掛けていた魔法陣が一瞬で消し去られるのを、スキュラは見た。

「っ、ヤバいわね……って?!」
「逃がしませんよ」
 距離を取ろうとしたスキュラを、詩乃の念動力が捕縛する。動きを封じられた直後に浴びせられるのは神罰の雷だ。
 悪しき者に裁きをもたらす女神の怒りの具現が、大淫魔をしたたかに打ち据える。臓腑まで貫通する痺れとダメージは、もはや笑っていられる余裕など与えない。
「大勢の犠牲者を出そうとした陰謀の報いを受けなさい!」
「くっ……あぁぁぁぁぁッ!!!?!」
 敵が弱ったところで詩乃は【花嵐】の花びらにて取り囲み、浄化消滅に追い込まんとする。はらりと花びらが触れたところから、強酸でも浴びたようにスキュラの肌が灼ける。たまらず悲鳴を上げるも、のたうち回ることは拘束が許さず――伝説の大淫魔は女神の宣言通り、骸の海に送り返されようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
大淫魔スキュラ……
ラグナロクを狙ったり、結界要塞を築いたり、極めつけは犬士の霊玉
あの頃のような跳梁はもはや赦さん、ここで討つ!

大見得を切り、聖槍で天を衝けば、迸る聖なる霊気
聖槍に宿る【破魔】の力――即ち魔法を破る力の発露
魔法陣を【なぎ払い】斬り裂き吶喊!

大淫魔の号は伊達ではない
梃子摺れば、いずれは魔法陣に捕らわれる
狙うはサイキックエナジーか、それとも堕落による淫魔化か
だが、私の身動きを封じた程度で勝ったつもりなら、気が早いぞ

最初に天へと迸らせた聖なる霊力はこの時のために
雲を裂いて現れるは輝く翼の竜の王(神聖竜王の召喚)
魔法陣を放とうとも、もう遅い
破壊のブレス(神聖攻撃・全力魔法)で【蹂躙】する



「大淫魔スキュラ……ラグナロクを狙ったり、結界要塞を築いたり、極めつけは犬士の霊玉」
 ダークネスの時代、この女がしでかした数々の事件には、武蔵坂学園の灼滅者も苦労させられた。闇堕ち結界や八犬士など、独自のアドバンテージを活かして陰謀を巡らせ続け、本人の死後も禍根を残した。そしてオブリビオンとして復活を遂げれば、すぐに今回の事件を引き起こす始末。
「あの頃のような跳梁はもはや赦さん、ここで討つ!」
 オリヴィアが大見得を切り、聖槍で天を衝けば、迸る聖なる霊気。聖槍に宿る破魔の力――即ち魔法を破る力の発露が、大淫魔の仕掛けた【新型スキュラ結界】を斬り裂いていく。向こうはリベンジのつもりだろうが、そのためにまた多くの人間を巻き込むなら、今度こそ完膚なきまでに叩き潰すまでだ。

「ちっ……本当に疫病神よね、あなた達は」
 淫魔にして魔法使いであるスキュラから見れば「破邪の聖槍」は天敵そのもの。眉をひそめながら舌打ちをひとつ、同時に【新型スキュラ結界】で槍の使い手を阻まんとする。こちらのユーベルコードは都市全体に張られたものとは違い、囲んだ対象の行動を操るものだ。
(大淫魔の号は伊達ではない。梃子摺れば、いずれは魔法陣に捕らわれる)
 短期決戦を目論見、結界の魔法陣をなぎ払いながら吶喊するオリヴィア。しかし敵もさるもの、こちらの行動を予測していたかのように無数の陣が放たれている。いかに聖槍の力をもってしても、その全てを見落とさずに打ち破れるだろうか。

「捕まえたわよ」
 聖と邪の攻防を制したのはスキュラだった。あと数歩で聖槍の穂先が届くかという時、足元に張られていた魔法陣がオリヴィアを閉じ込める。狙うはサイキックエナジーか、それとも堕落による淫魔化か。本命の結界が完成するまでの時間を稼ぎたい彼女からすれば、どちらの選択肢も魅力的だ。
「だが、私の身動きを封じた程度で勝ったつもりなら、気が早いぞ」
「ふん、負け惜しみを……ッ?!」
 それでもまだ動揺を見せないオリヴィアの態度を、見栄を張っているだけだと思っていたスキュラだが――ふいに、上空から強い霊気を感じて顔色を変える。はっと天を見上げれば、暗雲の隙間から燦然と聖なる光が差し込んでくる。

「まさか、あの時……!」
「そう、最初に天へと迸らせた聖なる霊力はこの時のために」
 雲を裂いて現れるは、輝く翼の竜の王。あの段階でオリヴィアが行使していた【神聖竜王の召喚】儀式が、時間差で発動したのだ。あの気迫の籠もった吶喊はあわよくば討ち取る気でありつつ、本命から目を逸らさせるためのハッタリでもあったのか。
「やられた……ッ!」
 スキュラが慌てて上空に魔法陣を放とうとも、もう遅い。召喚された直後から竜王はすでに攻撃体勢に入っている。
 ぐわっと開かれた顎から、迸るは白き光。破邪の聖槍が放つ霊気と同じ、神聖なるエネルギーを束ねた力の奔流だ。

「天来せよ、輝く翼の竜の王。破壊の吐息で邪悪を打ち砕け――!」
 オリヴィアの号令と共に、解き放たれた破壊のブレスが戦場を蹂躙する。張られていた無数の魔法陣は一瞬のうちに消し飛ばされ、瀑布の如き光の奔流にスキュラも呑み込まれる。邪悪を決して赦さぬ聖なる力が、大淫魔の肉体と魂を灼き焦がした。
「ッ、いやぁぁぁぁぁッ!!!?!」
 たまらず悲鳴を上げるスキュラであったが、哀れみを誘おうとも容赦する者はいない。結界完成までの刻限は着実に迫っているが、このままでは彼女自身が耐え切れないだろう。大悪魔と共に周到に練り上げたはずの計画が、猟兵の力によって破綻していく――過去と変わらぬ末路が大淫魔に迫りつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

摩津崎・灰闢
此方としては逃げられる方が厄介なので、その諦めの悪さは歓迎ですよ
しかし折角復活したのですから、復讐に走らず二度目の生を大人しく楽しめば良いと思うのですが…
お強い方は大変ですね。

狗の巨体に対応するため、跳躍力を高める(ジャンプ+限界突破)護符を使用
緒戦は、影業やWOKシールドを用いた回避防御重視で動き、
両者の連携具合や動き・思考パターンを把握、後の行動に生かす

よく躾けられた狗のようで…鬱陶しい事この上ない
では、私も全力を賭すとしましょうか。

刀を構え、UC発動
この技はとっておきで、自信に満ち溢れた貴女に使うのは勿体無いのですけどね
瑣末な六六六人衆の戯れ、どうかお相手願います。

先に狗を排除
まずは機動力を落とす為に目を潰し、次いで視えた弱点急所を攻撃
刀では届かない部位なら影業も併用
そして、やっと貴女に手が届きました。
鏖殺の気で認識阻害を与えて敵命中率や回避率の低減を狙い、生まれた隙を機に、刀や殺戮刃物で弱点急所を斬り込む

貴女を見ていると、この身が骸の海の奴隷とならずに済んで良かったと心底思います



「此方としては逃げられる方が厄介なので、その諦めの悪さは歓迎ですよ」
 撤退よりも計画の遂行を優先した『大淫魔スキュラ』の選択に、そう言い放ったのは灰闢。逃げて再起を図られるよりも、ここで将来の禍根を断てるのなら、こちらも決戦は望むところだ。向こうとしてはすでに切り札を見せたうえ、協力者だったウァプラも倒されて、成果なしでは帰れない事情もあるのだろうが。
「しかし折角復活したのですから、復讐に走らず二度目の生を大人しく楽しめば良いと思うのですが……お強い方は大変ですね」
「フン。あなた、六六六人衆ね? 人間に尻尾を振った、信念のない殺し屋にはわからないわよ」
 皮肉めいた灰闢の言いように、スキュラも棘のある言葉を返す。彼が人間や灼滅者ではなくダークネスだということは、同族ならすぐに察するだろう。人類との共存を選んだ穏健派と言えば聞こえはいいが、昔ながらのダークネスの価値観からすれば「裏切り者」と捉えられてもおかしくはない。

「復讐のついでよ。あなたは犬の餌にしてあげるわ!」
 侮蔑と敵意をあらわに叫び【虚狗顎】を発動するスキュラ。虚空より現れた狗が、獲物を丸呑みにせんと牙を剥く。
 その巨体に対応するため、灰闢は跳躍力を高める「梵天呪符・流転」を使用し、左手の甲に薄紫色のWOKシールドを展開した。
「よく躾けられた狗のようで……鬱陶しい事この上ない」
 こちらの跳躍に合わせて追ってくる狗を、影業で牽制しつつシールドで攻撃を逸らす。後方に控えるスキュラからの魔術攻撃にも要警戒だ――緒戦はひとまず回避・防御重視で動きながら、灰闢は両者の連携具合や行動・思考パターンの把握に努めていた。

「では、私も全力を賭すとしましょうか」
 仮にも相手は旧時代の有力ダークネス、小手先の業で殺せる手合いではない。見極めを済ませたところで灰闢は愛刀「天啓」を構え、【苦輪済度】を発動。六六六人衆としての知識と経験から、狗とスキュラの弱点や急所を把握する。
「この技はとっておきで、自信に満ち溢れた貴女に使うのは勿体無いのですけどね。瑣末な六六六人衆の戯れ、どうかお相手願います」
「そういうのを慇懃無礼って言うのよ。この私を舐めるなッ!」
 上辺だけは丁寧でも傲慢な本性を隠さなくなってきた六六六人衆に、身の程を思い知らせてやろうと吠える大淫魔。
 無慈悲に襲い掛かるは狗の牙と淫魔の術。されど、その動きはもう十分見せてもらったと、灰闢は身をかわしながら切り込んだ。

「先に狗を排除しましょう」
『ギャオンッ?!』
 まずは機動力を落とす為に目を潰し、次いで【苦輪済度】で視えた弱点を狙う。寸分の狂いもない殺戮技巧をもって振るわれる刀と、殺意のままに伸びる影業が、大淫魔の眷属に"救済"をもたらす。全身の急所を切り刻まれた狗は断末魔の悲鳴を上げて、虚空に還っていった。
「そして、やっと貴女に手が届きました」
「ッ!?」
 孤立したスキュラに叩きつけられる鏖殺の気。どす黒く可視化されるほど濃密な殺気は、標的に認識阻害を与える。
 狙いは命中率や回避率の低減。心理的な動揺と、無意識の恐怖から生まれた小さな隙を機に、刀と脇差で斬り込む。

「貴女を見ていると、この身が骸の海の奴隷とならずに済んで良かったと心底思います」
 右手に「天啓」を、左手に「錘断」を。凶気を帯びた殺戮刃物をもって、灰闢は大淫魔のいのちを切り刻む。斯様に見苦しいかたちで復活を遂げるくらいなら、現世を彷徨う悪霊混じりのほうが余程ましというものだ。生の喜びもなく復讐に身を焦がす、その在り方は哀れでさえある。
「生の苦しみから解放して差し上げましょう!」
「ッ、あぁぁッ!!?!」
 弱点や急所を的確に抉られたスキュラの口から、苦しげな悲鳴が上がる。大物らしく振る舞っていた彼女もいよいよ生命力の限界が近いのだろう。おびただしい量の出血が、彼女の足元に真っ赤な水たまりを作り――粗く切ない吐息を漏らすたびに、その身は二度目の死に近付いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イン・フナリア
この雰囲気、淫魔としての格が違うって感じだねぇ
スキュラ様ってお呼びした方がいいのかなぁ
こんな相手と戦えるなんて、危ないくらい昂るねぇ

私の犬って、そうかぁ、そういう趣味の人だったのかぁ
ワンちゃん達、何匹も出てきて囲まれて嬲られたら、大変なことになっちゃうなぁ
でもごめんねぇ、邪魔するワンちゃんには退いてもらうよ
【誘惑華園の聖槍】を構えて、スキュラ様に向かって一直線、全速全力で突っ込もう
阻止してくるワンちゃんの攻撃はなるべく避けたいし痛いのは嫌だけど、スキュラ様にはどうしても近付きたいから、傷付くのは我慢して強行突破するよ
スキュラ様もワンちゃんに任せたりとか結界とか使わないで、刺したり刺されたりしちゃおうよ
きっと、もっとずっと昂っちゃうからさぁ

全然覚えてないけど、もしかしてスキュラ様、昔の上司だったりするのかなぁ
まぁ今は敵だし、どっちでもいいかぁ



「この雰囲気、淫魔としての格が違うって感じだねぇ」
 実際に『大淫魔スキュラ』と対峙してみて、その惹き付けるような存在感を感じ取るイン。かたや歴史にも名前を残すほどの大淫魔と、自分のルーツさえわからない記憶喪失の淫魔だ。かつての時代であれば歴然たる差があったはず。
「スキュラ様ってお呼びした方がいいのかなぁ。こんな相手と戦えるなんて、危ないくらい昂るねぇ」
 だが相手がヤバければ尚のこと心躍るのが性分だ。その高揚っぷりを示すように身体からは甘い香気が止まらない。
 過去がないからこそ今この瞬間を楽しむ、刹那的な生き様。それはある意味、非常に淫魔らしいと言えるかもしれない。

「まさか同族まで邪魔をしに来るなんてね……身の程を教えてあげるわ!」
 自身の陰謀を阻む最後の刺客が同じ淫魔というのはスキュラからすれば皮肉だろう。すでに満身創痍の彼女はそれでも高慢な態度を示し、虚空より【虚狗顎】を召喚する。同盟者も配下も失った彼女の、これが正真正銘最後の眷属だ。
「私の犬って、そうかぁ、そういう趣味の人だったのかぁ」
 それを見たインの呟きは誤解――とも言えまい。これもこれで淫魔らしい性癖の一つではある。籠絡し、服従させ、支配する、それがスキュラの欲望なのだろう。だからこそ、自分に支配されない邪魔者には一切容赦をしないわけだ。

「ワンちゃん達、何匹も出てきて囲まれて嬲られたら、大変なことになっちゃうなぁ。でもごめんねぇ、邪魔するワンちゃんには退いてもらうよ」
 一瞬それも楽しそうだと考えたインだが、流石に猟兵としての使命を優先――と言うよりも一番昂る獲物を優先しただけかもしれない。【誘惑華園の聖槍】を構えた彼女はスキュラ"様"に向かって一直線、全速全力で突っ込んでいく。
『ガルルッ!!』
 阻止せんとする巨狗の牙が、褐色の肌に突き刺さる。インもなるべく避けたいし痛いのは嫌だが、この胸の昂ぶりは保身に努めるだけでは発散できない。どうしてもスキュラとお近付きになりたい彼女は、傷付くのは我慢して強行突破を図った。

「スキュラ様もワンちゃんに任せたりとか結界とか使わないで、刺したり刺されたりしちゃおうよ」
 巨大な狗に噛まれても、引っ掻かれても、インの瞳は一途なまでにスキュラだけを見据えている。配下や魔術に頼るのではなく、自分の肉体でぶつかることでしか得られない快楽がある。それを大淫魔に伝えるために、彼女は翔ける。
「きっと、もっとずっと昂っちゃうからさぁ」
「そういう野蛮なのは、趣味じゃないのよ……くッ!!?」
 たかが一介の淫魔の反抗、簡単にねじ伏せられると思っていたスキュラの油断は、大きな誤算となった。精神の昂りに比例したインの戦闘力は、この瞬間なら大淫魔にも負けない格に達している。研ぎ澄まされた聖槍の矛先が、ついに獲物に突き刺さった。

(全然覚えてないけど、もしかしてスキュラ様、昔の上司だったりするのかなぁ)
 相手の美貌を至近距離でまじまじと見つめながら、そんなことを考えるイン。彼女の下腹部に刻まれた紋章は上級淫魔の配下であることを示すものらしく、彼女自身も使命があったような気がぼんやりとするのだが、例によって思い出すことはできない。
「まぁ今は敵だし、どっちでもいいかぁ」
「ッ……! ほんっと、淫魔らしくてムカつくわね……!」
 どうせ大事なことじゃ無いだろうからと、インは現在のことに集中する。かの大淫魔スキュラが自分の槍に貫かれ、苦痛に顔を歪めながら必死に抵抗している。ヒレで引っ叩かれ罵声を浴びせられても、今はそれすら心地よい気分だ。のしかかるように体重をかければ、誘惑華園の聖槍はゆっくりと心臓に達する――。

「……あーあ……また失敗ね。あなた達なんて、ほんっとうに、大っきらいよ……」
 己の死期と計画の失敗を悟ったスキュラは、血化粧に彩られた顔で皮肉げな笑みを見せ、最期の言葉を吐き捨てる。
 その身は泡となって骸の海へ還り、同時にガラスが割れるような音を立てて、都市を覆いつつあった『新型スキュラ結界』が消えていく。大淫魔の死と共に、一般エスパーの大量死とダークネス発生の危機は去った。


 かくして猟兵達は大悪魔と大淫魔の陰謀を阻止し、彼女達の復讐劇に幕を引いた。
 過去の怨念が幾度蘇ろうと、闇を恐れぬ護り手達がいる限り、この世界に再び悪が栄えることはないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月05日


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#サイキックハーツ


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
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挿絵イラスト