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明日へ繋ぐ希望

#ダークセイヴァー


 荒れ果てた荒野をボロを纏った人々が身を寄せ合うようにしながら進んでいる。皆、一様に表情は暗く、その足取りは重い。
「ママ、お腹空いたよう。」
「ごめんね……もう少し、我慢してね。」
 すでに何日も満足な食事はとっていないのだろう。空腹を訴える子供の手を握る母も痩せ衰えていた。
「くそっ……ヴァンパイアから逃げたって、これじゃ……」
「耐えるんだ。隣町に行ったやつらが商人に話をつけてくれれば……」
「あれから何日たったと思ってるんだ!なのにっ、まだ戻ってこないじゃないかよっ」
 もとから少なかった食料も尽きかけ、満足に休める場所すらない。故郷を追われた彼らには帰る場所はなく、進む先には暗雲が立ち込めていた。

 荒野に、闇の如き黒い騎士が立っていた。その手に鮮血の如き赤い花弁が集まり一振りの剣となる。周りに散らばる骸は気にも留めず、騎士は血を啜るように赤くぬめる剣を鞘に戻して呟いた。
「まったく見苦しい、抗えばそれだけ苦しみも増すだろうに。」
 血濡れの大地を見れば、まだ新しい轍の跡が見える。先ほど斬り捨てた者たちは先に行く馬車を追おうとしていたのか。
「まあ良い。その希望、絶望へと沈めるとしよう。」
 騎士の言葉に幾つもの影が轍の先へと走り去った。

 グリモアベースでアルトリンデ・エーデルシュタインは今しがた予知で見た光景に表情を翳らせた。かの世界に神の慈悲が届かぬというなら虐げられし人々に手を差し伸べれるのは猟兵しかいない。
「皆さん、聞いてください。ダークセイヴァーで故郷を追われた人々がオブリビオンに襲われようとしています。」
 ヴァンパイアにより故郷を捨てて逃げるしかなかった人々が、今度はその配下の騎士に襲われるというのだ。それに襲撃を防げたとしても季節は冬。彼らを助けるためには寒さをしのげ、この先暮らしていける場所が必要だろう。
「幸いというべきでしょうか、隣町に助けを求めに行った人たちが行商人の協力を取り付けれたようです。ですが、彼らはオブリビオンの騎士に見つかり命を落としています。」
 さらに、先行して合流地点へ向かっている商人の馬車をオブリビオンに与する野盗の一団が追っている。もしこの商人が命を落とすようなことがあれば、他の商人が危険を承知で助ける事もなくなってしまう。

「ですが……すみません。馬車の位置は予知が出来なくて……」
 なので先に合流地点付近に難民となっている人々が住める隠れ里を作り、そこへ向かっている馬車の位置が分かり次第野盗から商人と積み荷を守ってほしいとの事だ。
「予知した限り、商人さんは合流地点付近まではたどり着けるようです。……いえ、たどり着かされる、と言うべきかもしれません。」
 オブリビオンの騎士は逃げている人々を皆殺しにするつもりだ。だからあえて商人を追い立てて場所を探ろうとしているのだろう。
「ですので、まずは隠れ里を作り心身ともに疲れ果てている人々を助けてください。物資も不足しています。皆さんが必要と思う物を届けてもらえればと思います。」
 住む場所と当面の生活さえ凌げれば、後は彼らでも生きていく事ができるだろう。

「たとえ今がどれほど苦しくとも、彼らの希望を明日へ繋いでください。」
 よろしくお願いします、と言ってアルトリンデは猟兵たちを送るのだった。


こげとら
 ダークファンタジーな雰囲気が好きなこげとらです。
 住む場所がない人たちのために、まずは住める場所を作ってあげてください。持って行く物資はだいたい何でも持って行けます。まっとうな隠れ里を作るもよし、いろんな世界のモノを持ち寄って斬新な隠れ里にするもよし。猟兵の皆さんのアイデアを楽しみにお待ちしています。
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第1章 冒険 『流浪の民を守れ』

POW   :    建材や食料の調達や運搬をする。

SPD   :    外敵に見つからず、住みやすい環境を整える。

WIZ   :    人々の健康を心身ともにケアする。

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シルフィア・ルーデルハルト
「…お疲れでしょう、私にお任せください」
生まれながらの光の聖なる光と即興での歌(讃美歌)でみんなを落ち着かせようとする
「…大丈夫です、皆さんが力を合わせています、怖いものはありません」
震える子供を小さい体で抱きしめる
「大丈夫、大丈夫ですから…」
精一杯聖女らしさをアピールする



「もうこれ以上は歩けねぇよ……」
「けどここで野宿なんてしたら、凍えて死ぬか、野盗か獣に襲われる……」
「くそ……どうしたらいいんだよ。」
 荒涼とした寒空の下、身を寄せるように集まっていた人々の手足は疲れ果て、寒さで感覚も分からなくなっていた。それでも生きたいと思う気力だけで足を進めてきたがそれも限界だった。
「神よ、どうして……」
「ここまで来て……ん?おい、何か聞こえないか?」
 暗く沈む人々の耳に、清らかな讃美歌がかすかに聞こえてくる。予想していなかった歌声にざわつく彼らに清らかな光が優しく降り注いだ。

「……お疲れでしょう、私にお任せください」

 それはシルフィア・ルーデルハルトが皆を落ち着かせようと歌った歌、痛みを和らげようと照らした聖光だった。
「聖女、さま……?」
「聖女さまだ。」「ああ、ありがたや……」
 絶望に沈んでいた人々の心に優しい光が沁み込んでいく。シルフィアは人々を勇気づけるために語り掛けた。

「……大丈夫です、皆さんが力を合わせています、怖いものはありません」

 一人では乗り越えるのが困難な苦しみも、助け合えば乗り越えられるはず。寒さに震える子供を優しく抱きしめながらシルフィアは人々の希望を壊さぬよう、精一杯聖女らしく振舞った。

「大丈夫、大丈夫ですから……」

 故郷を追われた人々に、ついに希望が届いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪峰・有架
荒野の中を寒い中、それでも逃げることを選んだ方々の決意を無駄にはさせません
大きなリュックに消化のいいゼリー系携行食を詰めて大人数向けテントを抱えていきます

「私たちは猟兵です
貴方がたのお話を聞いて助けに参りました」

話すときはごまかしなしで誠実に対応します
まずは携行食を渡しながら人数を把握しておきます
これなら逃げながらでも食べられますし

その後は同行して合流地点近くまで行きましょう
「ひとまず皆さんが落ち着ける場所が必要ですね
見付かりにくそうな場所はご存知ですか?」

隠れ里候補地まで来たらテントを張って生まれながらの光で皆さんをケアします
「お疲れ様です
怪我をされた方はこちらへおいでください
今、治します」



思いもよらぬ助けにいくらか落ち着いた人々に、続いて到着した雪峰・有架が声をかける。

「私たちは猟兵です。貴方がたのお話を聞いて助けに参りました。」

 両手には大きなテントを抱え、その背には物が詰まって大きく膨れたリュックを背負っていた。荒野の中を寒い中、それでも逃げることを選んだ方々の決意を無駄にはさせません、と思いを固めている有架はまずは食料と人数の把握が先、と一人一人にリュックから取り出した消化のいいゼリー系携行食を配っていった。

「ありがとう、お嬢さん。じゃが、これはどうやって食べるのかのう?」
「この蓋を回して開けて、ここから吸ったり押し出したりして食べるんですよ。」
「おお、これは食べやすいのう。干し肉とは大違いじゃ。」

 初めて見るゼリー系携行食の食べ方も親身に教えながら怪我をしている者が居ないかなどを見て回る。人々が動けるくらいまで体力が戻ったのを見て有架は荷物を纏めて聞いた。

「ひとまず皆さんが落ち着ける場所が必要ですね。見付かりにくそうな場所はご存知ですか?」
「それなら少し行った所に見える丘のあたりかなぁ……丘の向こうが窪んでるし、遠目には見つかりにくいと思うよ。」
「ではそこまで行って野営をしましょう。皆さん、もう少しの辛抱です。」

 あそこまで行けば休める。明確な目的地が見えていればたとえ疲れていてももうひと頑張りしようと思えるものだ。人々は有架と共に歩き出した。やがてついた窪地を見渡し人の出入りがしやすそうで、外からは見つかりにくい場所を探してテントを張る。

「候補地はこのあたりでいいでしょうか……お疲れ様です。怪我をされた方はこちらへおいでください。今、治します。」

 自分の疲れも顧みず、有架は怪我をした人々を聖なる光で癒していく。人々はようやく、身を休める事ができると安堵したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

立花・乖梨
これからどんどん寒くなりますし、
毛布や、暖まれるものを用意します。
炊き出しなんかもいいですかね。
おっきなお鍋に豚汁とか、あたたまりますよ?
たくさんありますから、ゆっくり、おちついて。

小さな子もいると聞いてます。
不安でいっぱいいっぱいでしょうし、
私に出来る事は少ないけれど…

皆さんが笑顔になれるよう、
沢山お仕事します!



「ここなら何とか……」
「ああ、風はマシになりそうだな。」
 そう言いあう彼らの吐く息は白い。何とか身を隠し休める場所には着いたものの、冬の荒野で夜を越すにはまだまだ身を温める物が不足していた。そこへやって来たのは立花・乖梨だ。

「これからどんどん寒くなりますし、暖まれる物を持ってきました。」

 まず彼女が渡したのは毛布だ。これまで彼らがもっていた粗末な外套とは比べ物にならないほど柔らかく暖かな毛布は冷え切った身体を優しく温めてくれる。これで凍えずに済むと喜ぶ人々の横で乖梨は大きな鍋を火にかけて豚汁を温め、炊き出しの準備をしていた。あたりに広がる美味しそうな匂いにつられて子供たちが集まってくる。

「いいにおい~。おねえちゃん、ごはんつくってくれるの?」
「ええ、そうですよ。すぐ配りますから待っててくださいね。」

 口下手ながら気持ちは伝わったのか、子供たちはまだかなーとはしゃぎながら鍋を囲っていた。やがて温まった豚汁に群がる子供たちに豚汁をよそって渡す。

「たくさんありますから、ゆっくり、おちついて。しっかり食べて温まってくださいね。」
「うん!おねえちゃん、ありがとう!おいしい!」

「温かい物を食べるなんて何日ぶりか……本当にありがとう。」
「私に出来る事は少ないですけど……皆に笑顔になってほしいですから。」

 明るくはしゃぐ子供たちの様子に大人たちも表情を和らげる。そんな彼らにも豚汁を配り、乖梨は自分に出来る仕事を率先してやっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

花邨・八千代
まるで狩りみてェだなァ、いや実際そうか
趣味の悪いこって、気にいらねェなァ
殴りたい気持ちもあるが……まずはこっちが先か

疲れた時にゃ甘いもんだ
チョコに飴玉、グミにゼリーにクッキー!
【空躁】で飛び回りつつ子供を中心に配ってくぜ
喧嘩すんなよ、いっぱいあるぜ
疲れて腹ァ減って、どうしようもねェ気分だよなァ
だけど泣くのは後だ後、今は反抗心だけ蓄えとけ
絶対生き抜いてやるって、心の底から笑ってやるって考えろ
だァいじょうぶ、その為に俺らは来たんだぜ

オラ口あけろ、口
飴玉舐めろ、糖分とれとれ
お前ら子供がいれば大人達だって頑張れんだよ
だから生きることを諦めんなよ



「まるで狩りみてェだなァ、いや実際そうか。趣味の悪いこって、気にいらねェなァ。」

 事件を聞いた花邨・八千代は非道を行う敵を殴りたい気持ちを抑え、まずは人々を助けるのが先だ、とやって来ていた。
 見れば配られた食事や毛布などで多少は生気が戻っているものの、まだまだ明るい雰囲気とはいいがたい。それも仕方はない。今は大丈夫でも、この先どうなるかは分からないのだから。そんな状況に疲れた時にゃ甘いもんだとお菓子を配ろうと決めた。

「オラ口あけろ、口。飴玉舐めろ、糖分とれとれ。」

 空躁(アップドラフト)で飛び上がり、一人の子供の前に降り立つとその口に飴玉を入れてやり食べさせる。見慣れぬ食べ物に目を白黒させていた子供も、口に広がる甘みにすぐに笑顔になった。次の子供にはチョコ、そのまた次はグミ、と様々なお菓子を配っていく。取り合いになりそうなら「喧嘩すんなよ、いっぱいあるぜ」とお菓子を配りに飛び込んでいく。突如空から降ってきてお菓子をくれる八千代に子供たちが喜んだのは言うまでもない。

「疲れて腹ァ減って、どうしようもねェ気分だよなァ。」

 元気のない子供には目線をあわせて声をかける。八千代は知っていた。大人たちがここまで頑張れたのは子供たちが居たからだと。

「だけど泣くのは後だ後、今は反抗心だけ蓄えとけ。絶対生き抜いてやるって、心の底から笑ってやるって考えろ。」

 勇気づけるように力強くその子の肩を叩き、にっと笑って。

「だァいじょうぶ、その為に俺らは来たんだぜ。」

 だから生きることを諦めんなよという八千代の想いと共に、その笑顔と言葉は子供たちの胸にしっかりと刻まれていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

レド・ダークライト
住まいや治療は他のものがやっているようだな。
さて、俺はいくつかの食料品に加えてこのサランラップとアルミホイルを持っていこう。
文明の利器というものはこういう時に使うものだ。

もちろん到着次第使い方は教える。大きめの平たい石の上にラップさえ敷けば食事ができるし、食器に巻けば洗い物が減って水の節約になる。
何より止血に使えるのがとても便利だ。
アルミホイルは巻いて寒さを凌げるし、食器にしても良い。
そんなに重いものでも無いので持ち運びも楽だろう。
···そうだ、貰い物だがチョコレートも持っていけ。こういう時にこそ、甘いものは必要だろう。

後は工夫してこいつを活用してくれれば良い。上手く使ってくれ。



猟兵たちの助けにより人々は最初の絶望的な状況からは考えられないほど気力も体力も回復してきていた。それならば、とレド・ダークライトがもってきた物はいくつかの食料に加え、ラップとアルミホイルだった。見慣れぬ物体に戸惑う人々。

「これは一体……」
「これがラップ、そしてこれがアルミホイルというものだ。順に使い方を説明していこう。」

 人々の反応は承知の上。だが、文明の利器はこういう時に使うもの。そう考えたレドは戸惑う人々に使い方を教えていく。

「まずはラップだ。大きめの平たい石の上にラップさえ敷けば食事ができるし、食器に巻けば洗い物が減って水の節約になる。」

 実際に石にラップを敷き、その上に食べ物を乗せる。そして食べてもらってからラップを外し、石が汚れていない事を見てもらう。

「おお、確かに汚れてないな。これなら食器がなくても皿の代わりになる。」
「ちゃんと敷けば汁もこぼれにくいのか。洗う手間も省けそうだ。」

「食器にするなら、このアルミホイルもいいだろう。」

 こちらも巻いたり形を整えたりして実演して見せる。なんだこれは、魔法の紙か、などと人々がざわめく中、レダは言葉をつづけた。

「他にも、アルミホイルは巻いて寒さを凌げるしラップは止血にも使えて便利だ。そんなに重いものでも無いので持ち運びも楽だろう。」

 後は工夫してこいつを活用してくれれば良い、と用意してきたラップやアルミホイルを渡す。消耗品である以上、いつまでも使えるわけではないが状況が落ち着くまでなら十分に有用だろう。物資の中からチョコを配り、上手く使ってくれる事を願うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テン・ドラゴン
「僕にヒーローなんて似合わないからね。陰ながら動かせてもらうよ」
吸血鬼の血を引く僕がそのまま姿を現したら、きっと彼らは警戒して緊張を解くこともできないだろう。
まずはフード付きのマントを着て、ダンピールであることを分かりにくくする。
冬の寒さが堪えるだろうな。水と火さえあれば繰り返し使える湯たんぽをいくつか持っていこう。
人々が暖を取れたら、襲撃してくる敵の姿を早い段階で確認できるよう、木の上か岩場の上か、高所に櫓を作りたい。後々長く住むことを考えたら、危険察知は早くできる方がいいからね。


不破・玄
オブリビオンに襲撃されるというのであれば警戒も重要です。
「獣等がいるかもしれません。警戒はお任せ下さい」
と流民の人々には伝えておきます。
火の光が周囲から見えないように布なり板なりで周囲を覆い隠す。風よけでもある。

商人は合流地点付近に来るというのは襲撃者も近いという状況ですから近づいてきたら対応しやすくできるようにしておく。
襲撃者の規模行動がわからないので一応警戒中も周囲から見つかりにくいように凹んでいる場所に伏せつつ、木陰にいつつ等気配を消し身を潜めつつ行う。(上手く隠れられる場所があり対応できれば襲撃時に不意を打つことが出来る。)

我々の配置が甘い場所など周囲に鳴子を設置しておきたい。


クレア・フォースフェンサー
目標
 難民が自立できる環境ができあがる。
手段
 今を生き延びるためには物資が確かに必要だが、将来を考えると難民が自立した生活を送れる環境を作る必要がある。
 難民やこの世界を出身とする猟兵から、彼らが栽培できる農作物や育てられる家畜のことを聞き、それらの情報をグリモアベースに送る。
 また、サイバーアイでそれらに適した土地を探り、開拓を行う(障害物は「剣刃一閃」で切り拓き、地下水を「サイコキネシス」で汲み上げるなど)。



「夜は冷えるからこれを使って。」
「これは?」
「湯たんぽって言うんだ。中に湯を入れて暖を取る道具だよ。」

 冬の寒さが堪えるだろうと、テン・ドラゴンは湯たんぽを広めていた。火と水があれば繰り返し使える湯たんぽなら運ぶことも移動中に暖を取る事も容易い。ありがとうと礼を言う男と別れ、テンは自分がダンピールと分からないようフードを目深にかぶりなおした。

「僕にヒーローなんて似合わないからね。陰ながら動かせてもらうよ」

 吸血鬼の血を引く自分が行けば警戒して緊張させてしまうのではと思っての行動だった。
 一方、クレア・フォースフェンサーは人々に以前はどのような耕作や畜産を行っていたか話を聞いていた。今後の事を考え、難民となっている人々が自立できる環境を整えるためだ。

「お話、よろしいでしょうか?以前はどのような作物や家畜を扱っていたのですか?」
「おらぁ、芋とか作ってたんだよ。また作れるといいなぁ……」

 昔を懐かしむ男の話に耳を傾け、ならばどのような土地が適しているか、必要な物は何かを事前に集めた情報と照らし合わせていく。一通り話を聞いたら、適した土地を探していく。邪魔な木や草、場合によっては岩なども剣刃一閃、斬り拓いて開墾していく。ふと野営をしているあたりに目を向けると、不破・玄が周囲を布と板を組み合わせて囲っているのが見えた。玄は周囲から火の光が見えるのを防ぐためと風よけのため、覆いを作っていたのだ。

「すまねぇ、助かるよ。最近は風も冷たいしなぁ。」
「とりあえずはこれで何とかなりそうですね。獣等がいるかもしれません。警戒はお任せ下さい。」

 にこやかに答え、玄は警戒用の鳴子を設置するためにクレアが整地している周囲へ足を向けた。警戒が甘くなりやすい場所を選定していると同じく襲撃を警戒していたテンを見つけた。

「鳴子か。それがあれば僕が作ろうと思っている櫓で目が届かない場所をカバーできるな。」
「高所から見張れる櫓があるなら、鳴子を設置する場所も絞れそうですね。」

 待ち伏せも考えていた玄と高所からの警戒を考えていたテンは櫓と鳴子、そして身を伏せて警戒する場所を決めていく。と、そこへだいたいの開墾を終え地下水をサイコキネシスで掘っていたクレアがやって来た。

「櫓を作る土台や待ち伏せできそうな場所でしたら、開墾のついでに作りましょうか?」
「そうだな、畑になる場所を荒らすのも良くないし。」

 見晴らしが良さそうな丘の上に、手の空いた大人たちの手も借りて櫓を組んでいく。クレアは耕作のしやすいように水を引いていく傍らで待ち伏せが出来るよう手を入れてない土地を外側に残していく。そこへ鳴子を設置する場所と自分が警戒する場所を決めた玄が鳴子を設置していき、周辺を警戒する態勢を整えていく。

「よし、櫓はこれで大丈夫だろう。」
「鳴子も設置し終わりました。後は警戒に当たるだけですね。」

 何とか予知された襲撃者が来る前に作業を終え、お互いに出来を確認し一息。だが、これからが本番だ。二人はそれぞれの場所で警戒についた。
 クレアはというと、開墾と水の確保が終わった土地を難民たちに案内していた。

「ここはお芋を作るのに適しています。あちらは……」
「また畑を耕せるなんて……」「ありがとう、本当にありがとう。」

 追われる前と同じ生活が取り戻せるかもしれない。それは人々にとってこれ以上ない希望だろう。

 もうすぐ日も沈もうかという頃。

「来たな。」

 櫓で警戒をしていたテンは遠くから土煙を上げて向かってくる馬車とそれを追いかける一団を見つけた。開墾地の外れで身を伏せ警戒をしていた玄もまた不意を打てるように気配を消して待ち構える。
 必死に馬車を走らせる商人をいたぶるように時折幌を斬りつけながら野盗の一団があらわれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『野盗から行商を守り抜け!』

POW   :    自らの拳で抵抗。力づくで野盗を撃退する

SPD   :    三十六計なんとやら。素早くその場を去る

WIZ   :    野盗に交渉するなりしてスマートに修羅場を切り抜ける

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「こいつら、遊んでるのか!?」
 必死に馬車を走らせながら商人は訝しんでいた。襲おうと思えばいつでも襲えたはず。まともな戦力もない商人の馬車など警戒する事もないだろうに。
「まさか、狙いは……」

 馬車を追う野盗の一団。十数人ほどの集団は馬に乗り、思い思いの得物を手にしていた。
「ヒャッハーッ!どうしたどうしたぁ?早く逃げないと捕まえちゃうぞ~ぅ?」
「イーヒヒヒッ、こんな馬車を追うだけなんざ、騎士サマも手ぬるいよなぁ?」
「難民が居るったって大した金も持ってないだろうしな!」
「だったら体で払ってもらおうってな!ガハハハーッ!」
「攫ってうっぱらうのかよ、ひでぇなあ!」

 オブリビオンの騎士に従う彼らに矜持などない。ただ、弱者を襲い、好きに暴れ、金目の物を奪えればそれでいいのだ。猟兵にとっては脅威でもないだろう……戦うだけならば。馬車と商人を無事に守り、難民が襲われないようにするには倒す事だけ考えるのでは足りないかもしれない。
 策を使うもよし、言葉で退かせるも良し。だが、無法を裁く法なき世界において捌きを下せるのは猟兵たちだけではないだろうか。
クレア・フォースフェンサー
目標
 野党を捕らえ、オブリビオンの情報を得る。
動機
 オブリビオンに従う悪党といえど、人。自分にはまだ人を殺める覚悟がない。
手段
 野党は十数人。先頭の何人かを落馬させれば、後続もそれに巻き込まれ足が止まる筈。
 警戒地に隠れて(迷彩、目立たない、地形の利用)、対象と機会を見定め(視力、戦闘知識)、念動で馬を転倒させる(サイコキネシス)。その後、空を掛けて距離を詰め(エアステップ)、混乱している間に無力化する。
 他の猟兵達もそれぞれ手立てを持っている筈。ばらばらでは効果が薄くなる。商人を人質に取る時間など与えないよう、タイミングを合わせ、全てを一度に行うよう提案する。



「商人を人質にとる時間など与えないよう、タイミングを合わせ、全てを一度に行いませんか?」

 個々に動くより連携して動いた方がより効果的なはず、と考えたクレア・フォースフェンサーが提案をする。連携を考えていた猟兵たちは了解してそれぞれの行動に移っていった。他の者もこの動きを利用すれば野盗の抵抗を削ぐこともできるだろう。あとはクレア自身の策を成功させるだけだ。

「オブリビオンに従う悪党と言えど、人。自分にはまだ人を殺める覚悟がない。」

 胸の内で自分に出来る事、まだ出来ない事を整理していく。戦闘ともなれば相手はこちらを殺そうとしてくるかもしれない。だからと言って人を殺す事をクレアは良しと出来なかった。ならば無力化して捕え、オブリビオンの情報を聞き出そう。そのための手段は用意してきたのだから。
 隠れ里の外れで身を隠すクレアからも視認できる距離まで野盗が近づいてきている。どこから狙うかを探りながらタイミングを計り。

「今です!」

 同じくタイミングを計っている猟兵たちに合図を送りながらサイコキネシスを放った。見えないサイキックエナジーが先頭を走る馬を絡めとって転倒させ、その背に乗っていた野盗は何が起きたか分からぬまま放り投げだされる。
 そこからは一瞬の出来事だった。訳も分からず混乱する野盗にエアステップで一気に近づき、死角である上空から鞘に納めたままのサムライブレイドで打ちかかり、昏倒させていく。野党が意識を取り戻した時にはすでに縄で縛られた後だった。

「この襲撃を指示したのはどのような者ですか?」
「き、騎士だ!薔薇みたいになる剣をもった黒い騎士だよ!!」

 未だ混乱する野盗から得た情報をクレアは吟味するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

不破・玄
まずは防衛です。
流民を守るのが第一です。
仲間と共同して敵を撃破したい。
そして敵のボスへの足がかりを掴みたいですね。

隠れることが出来ているのなら、敵を引きつけて攻撃です。

さて、狩猟者気取りの輩に思い知らせてやろう。貴様達こそ獲物であり撒き餌にもなり得る存在だと。

敵の機動力をつぶす。
馬で逃げられると厄介だ。馬を野党から切り離す。
『サイキックブラスト』を用いて敵の動きを止めその上でたたき落とす。
馬に乗って逃げそうなら馬をつぶす。
切り離された馬が単独で逃げるならそいつは後回しだ。馬とて捕らえて流民の足にしたいと思うが望みすぎかな。
野党が徒歩で逃げるなら撒き餌になるな。捕らえ尋問し放つのもありかな。



流民を守る事を第一に考え、他の猟兵と協力して事に当たろうと考えていた不破・玄はクレアが仕掛けるのと同時に行動を起こした。野盗が混乱し浮足立っている今がチャンスだろう。速度は落ちているものの、全力で走っている馬がそう簡単に止まれるはずもなく、玄が身を潜めている場所の近くまで来ていたのだ。

「さて、狩猟者気取りの輩に思い知らせてやろう。貴様達こそ獲物であり撒き餌にもなり得る存在だと。」

 まずは敵の機動力をつぶす。野盗の動きを止めるにはまずは馬から叩き落す事が先月だ。玄の両掌からサイキックブラストが放たれる。暗い荒野を裂く稲妻ように走った高圧電流が、野盗の一団に炸裂した。直撃を受けたものはそのまま気を失って倒れ、当たらなかった者も音と光に驚いた馬に振り落とされる。
「な、なんだ!?」「どうし……ぐぎゃッ!?」
 逃げてく馬には構わず、野盗たちが状況を把握するよりも早く玄がサイキックブラストで撃ちのめしていく。
「ば、化け物か!?」「ひぃ、話がちげぇよ!」
 足をもつれさせながらほうほうのていで逃げていく野盗を見て玄は独り言ちた。

「徒歩で逃げるなら撒き餌になるな。」

 その目は野盗が逃げていく先、倒すべき敵が来るであろう彼方を見据えていた。

 なお逃げた馬は後日、荒野を彷徨っていたところを難民たちに拾われ、大いに活用される事となった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シルフィア・ルーデルハルト
「お待ちください」
聖女感を纏った雰囲気を醸し出し、一先ず野党団に近づく
「彼らにお救いを、対価はこちらにて…」
と下手に出て相手を油断させ、わざと強引に連れていかれる
さぁ慰み者にと言った瞬間に悪魔の腕を外し、悪魔になる
「…さぁ、お前らの命と、その持ち物を私に”よこせ”と脅す
場合によっては、生贄も作る
本物の悪魔にビビった盗賊団が散り散りに壊走していく中、聖女に戻り
行商人の所にトコトコと向かい
「これで大丈夫です、さ、行ってください」と聖女感を出して言う
ややいぶかしむ行商人を尻目に(殺しをしていたら)少し笑いながら血をぬぐい、ぺろりと舐める



野盗の一団はその大半がすでに統率を失っており、バラバラになって商人の馬車を追っていた。そのうちの数人が進む先に聖女のような雰囲気をたたえた少女、シルフィア・ルーデルハルトが歩み寄る。

「お待ちください。」

 場違いなほど清らかな少女の言葉に野盗は思わず馬を止めた。値踏みをするような視線を真っ向から受け止め、触れられるほどの距離に近づいたシルフィアは懇願するように言葉をつづける。

「彼らにお救いを、対価はこちらにて…」

 とたん、野盗たちの顔が欲望に歪む。
「へぇ、こりゃあ物分かりのいい聖女サマだ!」「そこまで言われちゃあ仕方ねぇなあ……オラ、こっち来いよ!」
 すっかり自分たちの物だと油断しきった野盗たちが暗がりにシルフィアを連れ込む。その手が服に掛かろうとしたその時、シルフィアの表情が変わった。聖女から、悪魔へと。

「……さぁ、お前らの命と、その持ち物を私に“よこせ”」

 強欲の腕(アウェイクン・オブ・マモン)により解き放たれたのは人のソレではない。ひっ、と喉を引きつらせながらも剣を向けてきた野盗の胸を貫き、背に抜けた手に握っていたモノを握りつぶした。それを見た他の野盗は我先にと逃げ出していく。悪魔がその手を延ばさない事を祈りながら。
 一人残されたシルフィアが何事もなかったように商人に近づいたときにはいつもの聖女のような雰囲気に戻っていた。

「これで大丈夫です、さ、行ってください。」

 何かあったかと訝る商人をそう言って見送った。ふと見ると濡れていた指先をぺろりと舐める。その口元には小さな笑みが浮かんでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

テン・ドラゴン
櫓を作っておいて正解だった。お陰で、まだ距離がある段階で敵襲を知ることができた。
あいつらは本命じゃない。野盗を動かすことで、この場所を知ろうとしている親玉が後から来る筈だ。
「皆に、警戒態勢を強めて隠れるよう伝えておいて。僕が時間を稼いであげる」
流浪の民にそう伝え、更なる敵襲を見逃さないよう自らの代わりに流浪の民の一人を櫓に登らせる。
まず僕は【血統覚醒】で身体能力を上げ、商人と野盗の間に飛び込み、黒剣で地面を抉って土煙をあげる。土煙で商人がその後進む方向を分からないようにしてから、土煙で混乱する野盗と戦うつもりだ。
僕独りでは討ち漏らす野盗がいるかもしれないが、待ち伏せしている他の猟兵に任せよう。



「櫓を作っておいて成功だったな。」

 まだ距離がある段階で敵襲を知る事ができ、先手が打てた事で戦闘は猟兵たちの優位に進んでいる。テン・ドラゴンは櫓から身軽に降りながら次にどうすべきか考えを巡らせていた。あいつらは本命じゃない。野盗を動かすことで、この場所を知ろうとしている親玉が後から来る筈だ。考えをまとめたテンは不安げに集まっていた人々を安心させるように声をかけた。

「一人は櫓に。他の人は皆に、警戒態勢を強めて隠れるよう伝えておいて。僕が時間を稼いであげる。」

 いまだ危険な状況下ですべき事を伝えられ、口々にわかったと答えながら知らせに散っていくのを見届け、テンは自分のすべき事をする為に駆けだした。その瞳が真紅に染まっていく。血統覚醒により爆発的に増大した力で大地を蹴り、商人と野盗の間に黒剣を振り下ろした。
「なんだ!?」「新手か!敵だぞ、おい!!」
 もうもうと巻きあがる土煙に何が襲ってきたのかも分からぬまま、野盗たちは滅多やたらに得物を振り回す。それを黒剣で叩き落し、返す刃で斬り伏せる。たとえ視界が悪くとも、身体能力を増強させた今のテンにとって五感全てで敵の動きを見るくらい造作もない事だ。
 やがて土埃が収まる頃には立っている者はテン一人のみだった。緑の瞳で遠くへ逃れた馬車を見て、この場は凌げた事を知る。戦場のすべてを独りでカバーする事は出来ない。だが。

「他の猟兵も待ち伏せている。僕が討ち漏らした野盗が居たとしても任せられる。」

 仲間を信じ、テンは再び駆けだすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

花邨・八千代
へーェ、この俺に喧嘩を売ろうたァ良い度胸じゃねェか
誰を前にそんな生意気な口聞いてんのかわからせてやらァ
かかってこいよ、泣きたくなるまで遊んでやるぜ

◆戦闘
前線に出て「恫喝」で敵の意識を引き付けるぜ
【羅刹旋風】で武器を振り回しながら前へ、前へ
後ろの奴等が十分に逃げられるまで

俺の方に向かってくるなら良し、俺を無視して行こうもんなら「怪力」でぶっ飛ばす
俺を倒さねェ限り俺の後ろに行けると思うなよ
「2回攻撃」で薙ぎ払いつつ、弱い奴に手を出されそうなら「捨て身の一撃」だ
少しでも傷を負ってるんなら「傷口をえぐる」で行動を阻害するぜ

クソ野郎ども、猟兵を前に五体満足で帰れると思うなよ


立花・乖梨
なるほど、この人達が。
なんとも性格の悪い人達ですね。
ひとまずは足止めでしょうか、
彼らから
商人の馬車を引き離すのが先決です。

手持ちの精霊銃で、先頭の馬の足元を狙い怯ませて。
ユーベルコード【リザレクト・オブリビオン】を使用し、死霊蛇竜の背に乗って彼らの正面に現れます。

戦闘でも、説得でも、時間稼ぎでも。
味方の行動の切欠にでもなれれば。


レド・ダークライト
野盗から難民を守るにはただ蹴散らすだけではいけない、と。
ならば奴らのアジトを見つけ出し根本から完膚なきまでに叩き潰すしかないようだな。

まずは『範囲攻撃』駆使してこちらに近づけさせないように戦う。
『なぎ払い』、『吹き飛ばし』、力の差を見せたところで『殺気』を放ち追い返す。
他は任せて俺は逃げたやつを【黒影の血痕】で『追跡』だ。

アジトを見つければ『聞き耳』を立て様子を伺いながら近づき、『力溜め』の後『先制攻撃』を仕掛けよう。
『フェイント』や『見切り』を活用すれば、複数人が相手でもどうということは無い。
二度と手出しなど考えないよう恐怖を植え付けてやる。



「なるほど、この人達が。なんとも性格の悪い人達ですね。」

 立花・乖梨は馬車を追う野盗の一団を見つめながら狙いを定めていた。すでに残る野盗もそう多くはない。これを凌げば商人も隠れ里の人々と合流できるのではないだろうか。ならば。

「彼らから商人の馬車を引き離すのが先決です。」

 野盗の足を止めるため、先頭の馬の足元を手にした精霊銃で撃ち抜いた。驚いた馬がいなないて前足を振り上げながら止まり、後続の馬も足並みを崩していく。
「まだ居やがるのかよ!」「どこのどいつだ!やっちまえ!!」
 苛立つ野盗たちが乖梨の姿を血走った目で探そうとしたその時、辺りを圧する声が響いた。

「へーェ、この俺に喧嘩を売ろうたァ良い度胸じゃねェか。誰を前にそんな生意気な口聞いてんのかわからせてやらァ。」

 馬車が向かう先、隠れ里がある方から花邨・八千代が手にした武器を振り回しながら歩いてくる。その声は向けられた者を圧するような力強さを持っていた。自然と野盗たちの敵意に満ちた視線が集まる中、さらに声を張り上げる。

「かかってこいよ、泣きたくなるまで遊んでやるぜ。」

 自分の後ろにはいまだ逃げている人々がいる。ならば非道なならず者たちを通すわけにはいくまい。彼らが無事に逃げ、隠れるまで。挑発され気色ばんだ野盗たちが一斉に殺到する。二ッと不敵な笑みを浮かべて八千代は振り回していた武器をその勢いのまま叩きつけた。羅刹旋風により十分以上に威力を増していた一撃は向かってきた野盗を薙ぎ払う。ぐるりと回してもう一度、かろうじて踏みとどまっていた野盗に二度目の衝撃を叩きつけて沈める。
「くそっ、回り込め!囲ってボコっちまえ!」
 真正面からでは分が悪いと野盗が二手に分かれる。両方を相手にするため間合いを計る八千代の前で、片方の一団が吹き飛ばされた。

「力の差を見せてやろう。」

 野盗たちを完膚なきまでに叩き潰すべく、レド・ダークライトが鮮血の黒剣で薙ぎ払ったのだ。悪態をつきながら起き上がろうとする野盗はレドが放った殺気に当てられ腰を抜かした。
「ちくしょう!オレはこんなところで死にたくねぇ!」
「おい!くそ、こうなったら人質でも取れれば……!」
 もはや纏まりというものもなく、逃げていく者、商人を追っていこうとする者とばらばらに走り出す野盗。そのうち商人を追おうとしていた者たちの前に大きな影が翼を広げた。

「馬車を追わせはしません。」

 リザレクト・オブビリオンにより召喚された死霊蛇竜に乗り、乖梨は静かに告げた。眼前に立ちはだかる蛇竜に竦む野盗。そこに八千代の一撃が振り下ろされた。

「俺を倒さねェ限り俺の後ろに行けると思うなよ。」

 防御を考えぬ全力の一撃は、先ほど打たれ、まだ痛みが残る傷口をえぐるように振り抜かれた。残った野盗も乖梨が操る蛇竜に追われ、降伏し命乞いまで始めるしまつだ。商人を追って隠れ里に迫っていた野盗はこれですべて、倒すか逃げ出すかしたのだった。

 一方、逃げ出した野盗の数人はまだ諦めていなかった。あのやたら強い護衛が居なくなればまだチャンスはある。そう考え、もしもの時に落ち合うと決めていた臨時のアジトに逃げ込んでいた。それを見つめる影があるとも知らずに。
「何だったんだよ、一体……」
 ひどい目に遭ったと愚痴る野盗が突然吹き飛んだ。あまりの事にポカンとした野盗の前にレドが姿を現す。
「なぜ……」
 思わずそうつぶやく野盗の目にレドの傍に付き従うコウモリの翼を持つオオカミが映った。そう、レドはどこかにアジトがあると睨み逃げる野盗を黒影の血痕で追跡していたのだ。

「二度と手出しなど考えないよう恐怖を植え付けてやる。」

 野盗の動きを見切り、フェイントを交えながら剣を振るうレドに敵うわけもなく、野盗は一人残らずまた襲おうなどと考えられないほど叩きのめされたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
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「所詮はこの程度か……いや、獲物を追えたのなら犬程度の役には立った、と言うべきだな。」

 猟兵から逃げ出した野盗が血だまりの中にばしゃり、と倒れた。黒い騎士は何の感慨も、興味すら抱く様子もなく呟く。助けを求めてきた野盗たちはその光景に呆然と立ち尽くした。その手にした剣が滴る血を啜っているように見えるのは錯覚か。否、啜っているのだ。

「良い。我らに仇なす猟兵とやらの血もまた、我が剣に啜らせてくれようぞ。」

 騎士を取り囲うように鮮血の如き赤い花弁が舞う。それが収まる頃には辺りには騎士以外に動く者はなく、後には物言わぬ屍が残されていた。騎士は追ってきた轍の先、野盗たちが逃げてきた方角へと歩き出す。

 今、元凶たるオブリビオンとの戦いの幕が切って落とされようとしていた――。
アネット・レインフォール
◆心情
ふむ…立ち振る舞いから察するに、有名な騎士だったのかもしれないな。
名があれば聞いてみたい処だが騎士なら剣で語るのみ、か。

◆行動
【POW/霽月一刀】で攻撃
※仲間達と連携し合わせる

【残像/生命力吸収/戦闘知識】で長期戦を覚悟する。
序盤は慎重かつ冷静に木々などの障害物を利用し、常に移動することで遊撃を。
強敵なので敵のモーションを盗み情報共有を図る。

攻撃時は【鎧砕き/鎧無視攻撃/串刺し/2回攻撃/フェイント】を併用し、
武器を換装しながら戦うことで敵を翻弄させよう。
能力差だけが戦力の決定的な差ではない筈だからな。

・WIZ対策
武器が変化したら地面に【範囲攻撃/衝撃破】を放ち皆が散開する時間を稼ぐ


クレア・フォースフェンサー
思考
 野党が殺されたことを知り、逃がしたことは自己満足に過ぎなかったのではないかと後悔するとともに、覚悟を新たにするため騎士と戦う。
目標
 敵騎士の攻撃手段を明らかにする。
手段
 多対一で戦う場合は、相手の背後を取れるよう取り囲むことが基本。しかし、敵の攻撃手段が不明の状態で接近戦を挑むのは得策ではない。
 複数種類の攻撃を行い、敵の対処方法を仲間に見せる(念動による遠隔攻撃、実剣によるなぎ払い、光剣による連続攻撃、格闘(内蔵兵器)による超近接攻撃、空中戦など)。



血に濡れた剣を携え黒い鎧の騎士、オブリビオンとして現世に在る『異端の騎士』が歩みを進める。その悠然たる姿に纏う風格、もとは名のある騎士だったのではないだろうか。アネット・レインフォールは騎士を止めるべくその前に立ちながらそう感じていた。

「名があれば聞いてみたい処だが騎士なら剣で語るのみ、か。」

 かつてどのような高潔な志を抱いていようとも、オブリビオンとなった今ではそれはもはや過去のもの。ならば交わすべきは言葉ではなく手にした剣。長い戦いになる事を想定し、慎重に間合いを計りながら相手の出方をうかがう。

「野盗を逃がしたのは自己満足に過ぎなかったのかもしれません。ですが……」

 胸に後悔を抱えながらもクレア・フォースフェンサーはアネットの横に並び立った。その瞳は決して戦意を失ってはいない。どのような命であっても容易く奪っていいはずがないのだ。非道を非道とも思わぬオブリビオンはここで止めなければ。
 
 障害物を利用しながら遊撃を始めたアネットに合わせクレアが動く。アネットが振り抜いた霽刀【月祈滄溟】を騎士の剣が弾き、切り返そうとする腕にクレアのサイコキネシスが絡みつく。騎士は逆手に持った鞘でアネットを打って牽制し、力任せにサイキックエナジーの戒めを引きはがした。間を置かず距離を取るクレアに向かい騎士が間合いを詰める。サイバーアイでの分析をつづけながらクレアは傍らの木を蹴り上空に跳躍した。
「空中に逃れるとは、愚かな!」
 動きが制限される空中では騎士の攻撃を防ぎきるのは難しいだろう。もしクレアが一人で戦っていたならば。切り上げようとした腕が止まる。ギシリ、と腕の鎧に食い込むのは極黒の鋼糸。暗糸【翠霞喝采】で動きを妨げながらアネットは緋槍【月花舞狂】を構えて突撃した。

「あいにく、一人で戦ってるんじゃないんだよ!」

 能力差だけが決定的な差ではない。仲間と連携する事で強敵にも立ち向かえるのだ。騎士の意識がアネットに向かった刹那、クレアが剣を抜き放つ。空中からなぎ払われるサムライブレイドは完全に躱せず鎧を削り、アネットの槍を逸らそうと防ぐ剣が軋む。間髪入れずクレアが逆の手に持つフォースセイバーが縦横に振るわれ、距離を話そうとした騎士の腹に蹴りが突き刺さった。
「く、ふふ……なかなかやる。」
 二人の連撃を僅かなダメージで防いだ騎士はそう笑い、己の剣に力を込めた。鮮血が如き赤い輝きが剣に走る。

「手強いな。」
「ですが、だいぶ読めてきました。」

 騎士は力も速度も尋常ではないが、その剣術の根底には型がありよく見ていれば防ぎようもある。禍々しく猛る剣を手に斬りかかる騎士をまっすぐ見つめアネットは葬剣【逢魔ガ刻】を構えた。

「其は一にして始まりの剣――。【壱式】霽月一刀!!」

 騎士の剣より早く。先を読んだアネットの剣が黒い鎧を切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

不破・玄
カウンターアタックです。
あちらもも私達が来るのを分かっているのでしょうけどね。

撒き餌夜盗を『忍び足』を用いるなどして気配を消しつつ追跡です。
オブリビオンの位置が分かれば単独戦闘は控えるべきでしょうか。
皆に場所を知らせて挑むべきでしょう。

私も初戦。油断は出来ない。

『忍び足』等で気配を消しつつ敵へ接近だ。
『巫覡載霊の舞』を用い距離をとりつつ舞いつつ衝撃波を叩き付ける。
接近されたら『なぎ払い』で飛ばし離脱、遠距離攻撃へは攻撃に対応し『なぎ払い』防ぐ。まあ怪我は覚悟だ。
我らに人数がいるなら間合いをとり横移動で敵の視界外へ。外にでれればベストだが集中力を割くのが主目的。

さあ、終わりまで付き合ってもらう。



異端の騎士との戦闘が開始されたのを身を潜めてうかがい、不破・玄は仕掛けるタイミングを計っていた。

「あちらも私達が来るのを分かっているのでしょうけどね。」

 玄もこれが初めてのオブリビオンとの戦いだ。今なら二人の猟兵に騎士の注意も向いている。気配を殺して慎重に近づき、これ以上は気づかれそうだという距離でいつでも仕掛けられるよう呼吸を整える。
 ――今だ。騎士が鎧ごと切り裂かれたのを見て、玄は己の身体を神霊体へと変えてゆく。巫覡載霊の舞を用いながら傷を負った騎士になぎなたを振り衝撃波を放った。
「伏兵だと!?」
 攻撃の直前まで気配を消していたのが功を奏したのか、初撃の威力を殺しきれず騎士が吹き飛ばされる。だが、奇襲のチャンスは一度しかない。玄を視認した異端の騎士は即座に体勢を立て直し一直線に向かってきた。接近させまいと衝撃波を放ち距離を取る玄にいら立ったか、騎士は駆けながら己の剣を突き出した。途端、剣が解けるように無数の血の色をした薔薇の花弁に変わり玄へと襲い掛かる。

「多少の怪我は覚悟の上だ。」

 神霊体である今なら問題ないと判断し、多少の傷は気にせず騎士の注意を引き付ける。そう、玄の目的は最初から騎士の集中力を割く事だったのだ。敵の視界を抜けるよう横に回り込みながら衝撃波を放っていく。

「さあ、終わりまで付き合ってもらう。」

成功 🔵​🔵​🔴​

レド・ダークライト
ついに現れたな。鮮血を啜るとは大変悪趣味だが、それは俺も変わらない、か。

まずは相手の防御をうち崩そう。
相手が仕掛けて来る前に【盟約の鉄血】で武器を強化した後『先制攻撃』を加え、そのまま『2回攻撃』の技術を生かして『鎧砕き』を行う。

その後、相手が武器で仕掛けてこればすかさず剣で『武器受け』をし、『吹き飛ばし』て距離を稼ぐ。
範囲攻撃がくれば避けることに集中し攻撃を『見切り』、花弁を『なぎ払い』、こちらも『範囲攻撃』で仕掛ける。
だが馬に乗られたら厄介だ。その時は『フェイント』をかけ、隙を狙い『騙し討ち』をして落馬させてやろう。

さあ、お前の『傷口をえぐる』とどんな色をしているんだろうな?



「ついに現れたな。鮮血を啜るとは大変悪趣味だが……」

 レド・ダークライトは剣を構え、異端の騎士へと向かった。今までの戦闘から相手の動きはだいぶ分かってきていた。さらに注意を玄が引き付けている今なら先制攻撃を仕掛けるには丁度いいだろう。レドは己の腕を浅く斬り、腕を伝って滴る血が剣を濡らす。その様に自嘲気味に口を歪め、力を込めた。

「俺も変わらない、か。」

 盟約の鉄血により封印を解かれた剣が紅い光を放つ。騎士がその光を視るより早くレドは一息に間合いを詰め、斬り掛かった。狙うは鎧の胸に刻まれた斬撃の跡。そこから鎧を破断しようとレドの一撃が振り下ろされる。ビシリ、と亀裂が広がるが、まだ破壊には至らない。

「硬い鎧だな……だが!」

 レドは間髪入れずに剣を斬り上げた。紅い残光が走り抜け、騎士が反応する間もなく2度目の斬撃が今度こそ胸甲を砕く。
「なんと!?」
 鎧を砕かれ驚愕の声を漏らす騎士が繰り出す剣撃を黒剣で受け、そのままなぎ払うように弾いて距離を取る。剣先で鎧が砕け晒された騎士の胴に狙いを定め。

「さあ、お前の傷口をえぐるとどんな色をしているんだろうな?」

 突き込んだレドの剣が騎士の胸を抉り鮮血が飛び散る。オブリビオンとなった騎士はもはや人ではない。流す血もまた、闇の如き黒く染まった赤だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花邨・八千代
◆心情
真打登場ってか
結局大将が前に出てちゃ世話ねェなァ、騎士サマよ

◆戦闘
掌を切り裂いて【ブラッド・ガイスト】を始動だ
どっちの攻撃が痛いか腕試しと行こうぜ、甲冑野郎
前線に出ながら「恫喝」を使って騎士の注意を引くぜ
精々派手に動いてヘイト稼いでやろうじゃねェの
「2回攻撃」を仕掛けつつ「怪力」で思い切りぶっ飛ばすぜ
もしこっちが先にやられそうなら「捨て身の一撃」だ、タダでこの先に行かせてやるもんかよ

軍馬が出て来たらそっちの足を狙って機動力を削ぎに行くぜ
もしくは拷問具の端を引っ掛けて「怪力」で馬上から引きずり落とす
同じ土俵でやり合おうや、その方が楽しいだろ?



「真打登場ってか。結局大将が前に出てちゃ世話ねェなァ、騎士サマよ。」

 胸を抉られ血を流す騎士に花邨・八千代が挑発的に声をかけながら近寄っていく。騎士の血は止まりつつあるが受けたダメージは残っているようだ。だが騎士の闘志は衰えておらず迎え撃つべく剣を構え直す。その様子を見た八千代は口の端を上げながら己の拳を切り裂いた。

「どっちの攻撃が痛いか腕試しと行こうぜ、甲冑野郎。」
「望むところだ!」

 ブラッド・ガイストにより殺戮捕食態に変化した拷問具が騎士の剣と打ち合わされる。八千代の拳を濡らす血ごと噛み砕かんと騎士の剣が殺戮喰血態となり禍々しくうねる。それを力任せにカチ上げ、無防備になった胴に連撃を叩き込んだ。吹き飛ばされた騎士は一度体勢を立て直そうと考えたか距離を取ろうと後方へ跳ぶ。その足に拷問具が喰らいついた。

「どこ行こうってんだい?同じ土俵でやり合おうや、その方が楽しいだろ?」

 ニィ、と凄みを浮かべながら近づいてくる八千代に振り切るにはまず邪魔者を片付けるしかないと騎士も赤く脈動する剣に力を込める。お互い全力の一撃が来る。そう感じ、八千代は捨て身の一撃を繰り出した。

「タダでこの先に行かせてやるもんかよ!」

 防御を考えぬ重い一撃が異端の騎士の胴に突き刺さる。八千代は身体に突き刺さる痛みを堪えながらも確かな手ごたえを感じていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪峰・有架
…来ましたか。私、虐殺なんて大っ嫌いなんですよ。
ですから。私の仇ではないにせよ、思いきり邪魔しますね。

先に到着した方々の情報を元に行動します

騎士の注意を引いて頂いている間に後衛に立ちましょう
騎士に近付きすぎないよう位置取りに注意しつつ【生まれながらの光】を皆さんに『祈り』を込めてかけていきます
体力をだいぶ消耗している方がいるなら『全力魔法』で集中的に回復します

どうか神様、皆さんに慈悲を賜りますよう。

騎士に近付きすぎてしまった場合はオラトリオヴェールを振るって目眩ましも兼ねた『オーラ防御』
正否に関わらず急いで距離をとります



異端の騎士が八千代を貫いた剣を引き抜く。自分が追った傷も浅くはないが、まだ戦闘は継続できるだけの余力はある。猟兵たちの力は侮れないとはいえ、このまま押し切るしかあるまいか。戦況をかえりみ、どうするかと視線を巡らせた騎士に驚愕が漏れる。
「何だと!?バカな、確かに深手を与えたはず……!」
 見れば先ほど刺し貫いた猟兵から流れ出る血が止まってきている。のみならず、柔らかな光に包まれたかと思うと急速に傷口が塞がっていくではないか。
「この光は一体……まさか、聖者か!」
 倒れていた猟兵の奥、視線の先には雪峰・有架が祈りを捧げていた。

「……来ましたか。私、虐殺なんて大っ嫌いなんですよ。」

 有架は決意と共に強い意志を込めて騎士を見つめ、きっぱりと言い切った。

「ですから。私の仇ではないにせよ、思いきり邪魔しますね。」

 有架から溢れ出る聖者が生まれながらに持つという聖なる光が広がっていく。それは戦いで傷ついた猟兵に再び立ち上がる力を与え、その光景を見る者に強大な闇の前にあっても潰えぬ希望を示す光だ。異端の騎士は光を遮るように手をかざし、憎々しげに唸った。
「この世界に光など……神への祈りなど届くものか!」
 騎士の剣が溶けるようにほどけ無数の花弁に変わっていく。剣閃を放つが如く振るわれた花弁が嵐のように襲い掛かった。だが有架は身に付けているヴェールを取り祈りを捧げ続ける。

「どうか神様、皆さんに慈悲を賜りますよう。」

 振るわれたヴェールからオーラが幕のように広がり花弁を吹き散らしていく。それは聖人が成す奇跡のように真紅の花弁の嵐を割り、見る者に神の慈悲はここにある事を雄弁に示していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

花邨・八千代
◆心情
っあー、痛ぇ痛ぇ
心地良ーい痛みだ、益々楽しいねェ
さて再度の仕切り直しだ、徹頭徹尾楽しんでいこうや
死ぬまで楽しもうじゃねェか、もっともこっちは簡単に死なせてはもらえねェけどなァ!

◆戦闘
【羅刹旋風】だ、「怪力」を乗せて景気よくぶん回すぜ
「恫喝」で気合入れだ、同時に可能な限り至近距離に持ち込むぞ
距離を詰めりゃ当たるもんだろ、こういうのは
手でも足でも、胴体でも好きにもってけ
「2回攻撃」をしかけつつ、「捨て身の一撃」だ
「傷口をえぐる」ぜ、逃げられると思うんじゃねェぞ!
こいつを殺すまで俺は死なねェ!



吹き荒れる赤い花弁がまるで道を開けるように散らされていく。眼前の聖者を睨む騎士の視線を遮るように、ゆらりと人影が立ち上がった。

「っあー、痛ぇ痛ぇ。心地良ーい痛みだ、益々楽しいねェ。」

 それは、騎士の剣で貫かれたはずの花邨・八千代だった。血と共に流れ出てしまった体力が光に癒され身体を廻っていく。

「さて再度の仕切り直しだ、徹頭徹尾楽しんでいこうや。」

 前に立つ異端の騎士から目をそらさず。得物を振り回し具合を確かめる。まだまだ戦える。いまだ気力は衰えず、打ちかかる体力も充填された。ならば、あとは。

「死ぬまで楽しもうじゃねェか、もっともこっちは簡単に死なせてはもらえねェけどなァ!」

 気迫を吼えて拷問具を振りかざす八千代を騎士が迎え撃つ。騎士とてその身に蓄積しているダメージは軽くはない。だがたかが死にぞこない一人、何を恐れる事があろうか。剣で拷問具を受け流すように滑らせ、がら空きの身体を狙い剣を返す。
「ハッ、守りがなっていないぞ!……なに!?」
 その程度は分かっている。八千代は剣を防ぐより、振った隙に攻撃をすることを選んだのだ。羅刹旋風をのせて力任せに振り回し、身体ごと叩き付ける勢いで肉薄する。十分に威力の乗った一撃は騎士の鎧ごと肉を砕いた。だが、そこで終わりではない。己も剣に切り裂かれながらもただひたすらに得物を叩き付ける。

「逃げられると思うんじゃねェぞ!こいつを殺すまで俺は死なねェ!」
「この、猟兵風情がァァァッ!!」

 それは修羅か羅刹の如き打ち合い。騎士の振う剣はおろか殴りかかる手甲さえも禍々しく変容し、対する八千代も血肉を散らし暴威の旋風を振るい続ける。もはや騎士も身を削る応酬を余儀なくされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テン・ドラゴン
待ちくたびれたよ。吸血鬼同士、仲良くやろうじゃないか。
攻撃の好機を得るために、敵の隙を作りたいところだ。「生命力吸収」で弱らせつつ戦うことで、長期戦になっても立ち回れるようにする。
相手に素早く動かれると厄介だから、馬に乗ろうとしたら「生命力吸収」「吸血」を使って足止めしていきたい。
「殺気」を放って僕に注意を向けさせ、僕自身は黒剣を使って戦う……最後の一瞬までは。
騎士が僕と黒剣の攻撃に気を取られた時が、唯一にして最大の好機だ。不意打ちでもう一つの武器であるドラゴンランスを投擲し【ドラゴニック・エンド】を発動する。
召喚された龍の攻撃と、僕の黒剣の「串刺し」。
ねえ、僕と君……どっちが強いんだろうね?



苛烈を極めた応酬の末、騎士は全身から血を流し鎧はひび割れ、まさに満身創痍と言った姿だった。だが、まだ倒れはしない。いまだ猟兵への闘志を失わぬ異端の騎士の前にテン・ドラゴンが歩みを進める。

「待ちくたびれたよ。吸血鬼同士、仲良くやろうじゃないか。」

 静かに殺気を放ちながら、テンは黒剣を右手に構えた。応えるかのように騎士も正眼に剣を構える。その剣はすでに数多の血を啜り殺戮喰血態となって新たな獲物に狙いを定めている。風が凪ぐ。一刻の静寂の後、激しく剣と剣が打ち合わされる音が響いた。鋭い殺気と共にテンの振う剣を異端の騎士が弾き、即座に返す剣を黒剣が捌く。先ほどまでとは打って変わり、神経を研ぎ澄ませながらの打ち合いが続いた。
(なんだ?何かが……)
 騎士は振う腕に、身体に違和感を覚えていた。すでに戦いも長く続いており自身が追ったダメージも無視できない。だが、それを差し引いてもなお身体から力が抜けていく……
 「まさか、貴様……ッ!?」
 剣を一合、打ち合わせるたびに殺戮喰血態となっている剣から力が、生命力が流れていく。それは力を剣に注いでいる騎士から失われていくのと同義だ。これ以上あの剣と打ち合うのはマズイ……見切るべく騎士の意識がテンの黒剣に向いた瞬間。テンが今まで何も持っていなかった左手に、一振りの槍が現れた。

「ねえ、僕と君……どっちが強いんだろうね?」

 必殺を期し、テンがドラゴンランスを投擲する。それは刹那の差。騎士が意識を戻し打ち払わんと振う剣より疾く、ドラゴンランスがその身体に突き刺さる。ドラゴニック・エンドにより召喚されたドラゴンがその軌跡をなぞるが如く騎士を砕いていく。
「ま、だッ、終わるわけには……ッ!」
 抗うように騎士がランスに手をかけ、龍を撃ち払わんとする。その身に深々と黒い剣が突き立てられた。

「いいや、これで終わりだよ。」

 心臓のあるべき場所を串刺しにし、龍が騎士の身体を突き抜ける。ひび割れ砕け散っていく鎧を残し、異端の騎士はついに討ち倒されたのだった。

 人々の声が聞こえる。今日という苦難を猟兵たちの手により助けられ、明日へと生きる希望を繋げられた人々の歓声だ。
 それは今は闇に閉ざされた世界に猟兵たちによってもたらされた、未来へ繋ぐ希望の光だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月27日


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#ダークセイヴァー


30




種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト