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モフィンクスの冒険~ひと夏の接待!?

#スペースシップワールド #ノベル #モフィンクスの冒険 #ガイアリゾート #ペンギアット・ペンギゲイザー

幻武・極
【モフィンクスの冒険】
第7話 モフィンクスサマー・in2019?
アルダワののんびりモフモフゆるキャラ災魔のモフィンクスの1匹がちょこっとやる気を出し……夢の世界へと足を踏み入れてしまいました。
そして、夢の世界の散歩はまだまだ続きます。

モフィンクスが飛び込んだ次の夢は、
照り付ける太陽、どこまでも続く白い砂浜。
……は人工物のスペースシップワールドのリゾート船でした。
どうやら、帝国継承軍が奪取したリゾート船でオブリビオンたちの夏休みが開催されているようです。
時期的に違うだろとか、もう死んでいるんですけどや、まだ骸の海から滲み出ていないとか……そういった声が聞こえても夢の中だから仕方ありません。
モフィンクスはスペースシップワールドのオブリビオンとの交流を深め、
モフィンクスの冒険は続く。

登場するスペースシップワールドのオブリビオンは幻武・極のスペースシップワールドの宿敵やあなたのスペースシップワールドの宿敵、またはスペースシップワールドの公式敵から選んで登場させてください。

今回は執筆していたら長くなってしまったMS様の為に3000文字まで用意してありますが、区切りのいいところで区切っていただいて構いません。

オムニバス形式で続けていくノベル企画になりますので、納品後にタグで#モフィンクスの冒険 と付けてください。

それでは、どうぞよろしくお願いします。



「モフッ?」
 特徴的なゆるい鳴き声をあげたアルダワのゆるキャラ災魔『モフィンクス』は、気がつけば白い砂浜の上を歩いていた。
 普段は迷宮内の居心地のいい場所で集団で居座っているモフィンクスたちだが、たまにちょっとしたやる気を出して散歩に出ると、なぜだか夢の世界に迷い込んでしまうことがあるのだった。
 アルダワの地下迷宮ではお目に掛かれない白い砂浜に青い海、そして白い雲と太陽。
「モフ~」
 眩し気に太陽の陽射しを眺めるモフィンクス。ここはどんな世界だろうかと好奇心と共に歩いて行く。
「ぬ? 何やら高貴さを感じる姿……お主も我が帝国継承軍兵になりに来たのか?」
「モフッ?」
 てくてくと歩いていると背後から声をかけられたモフィンクスが振り返ると、そこには王冠を被り、赤いマントを纏った威厳あるペンギンの姿。
「モフ~?」
「ふむ、我を知らぬのか。珍しいこともあるものだ。では自己紹介しておこう。我こそはこの施設『ガイアリゾート』を統べし銀河皇帝ペンギン――ペンギアット・ペンギゲイザーであるぞ!」
 猟書家勢力は一通り猟兵によって倒されたはずだが、夢の中では元気に宇宙制覇を続けているようだ。
 そんなことは知らないモフィンクスは、新たな出逢いを楽しむように、モフッとご挨拶。
「ふむ、お主は異世界から迷い込んだのか? ふむふむ、蒸気と魔法で作られた地下迷宮……そこにお主のようなものがたくさんいると……」
 モフィンクスの話にペンギアットは興味を示したようだ。
「我の民をもっと増やすという野望もあるが……異世界から呼ぶというのもなかなかに夢のある話である」
「モフ?」
「ああ、民というのは、翠玉の姫が帝国継承軍サクセション・フォースとして再編成した兵たちだ。未来の銀河を支える者として、我は民と呼んでいるのだ。お主も、加わってみるか?」
「モフ~ン」
 モフィンクスとしては、これが夢であれ、のんびりしていたいようである。
「そうか、まあゆっくり考えるがよい。我としても異世界への伝手が出来るのは歓迎だからな」
 そこで話は終わりかと思ったが、ペンギアットはそうだ、とモフィンクスに提案する。
「今日は我が奪取したこのリゾート船で、民たちに夏休みを満喫させているのだ。お主はここが初めてのようであるし、我が案内してやろう」
「モフッ、モフッ!」
 その申し出にモフィンクスは嬉しそうな声を上げる。
「そうか、では案内しよう……この施設は広くてな。宇宙船とはいえ季節を取り入れ、今は夏の催しを行っている。ここのクルーズ観光も人工の海とはいえなかなか素晴らしいが……なに、本物だと思っていたのか?」
 モフィンクスが本物の海と間違えたも無理はなく、このガイアリゾートは宇宙船にいながら大自然を感じられるをモットーに本格的に作られているのだ。
「モフ~ン」
「ふむ、お主のいる地下迷宮にも船が走るような水路も、星空が見える空間もあるのか……ますます興味深い」
 そんな風にお互いの世界の話をして友好を深めつつ、ペンギアットがモフィンクスを案内したのは遊園地のエリアだった。
「ここはガイアリゾート内でも人気の施設『遊園地ファンファン☆ガイア』だ! 我はここで銀河統一を阻止しようとする猟兵たちと戦い、勝利したのだ!」
 なんだか都合のいい記憶に書き換えられているようだが、そもそも時系列も怪しいし、夢の中なので仕方がない。
「モフッ、モフッ」
 まずは広い園内を周遊する路面電車に乗り園内を散策する。
 回転ブランコに急流すべりやフリーフォール。ゴーカートにバイキング、お化け屋敷にメリーゴーランドと楽しそうな乗り物がモフィンクスの目に映る。
「さあ、好きなものに乗るがよい!」
「モフ~」
 そのどれも楽しそうで、モフィンクスは近いものから順番に乗っていく。
「モフ~ン……」
 回転ブランコで風を切り、空を飛ぶ感覚はアルダワでは味わえないし、急流すべりは、いつかの夏休みに学生の間で流行っていた水兵にゃんこが作った水路の迷宮にも似ていてスリルがあった。合間に食べるソフトクリームも美味しくて、テンションの上がったモフィンクスは、遊園地定番のなりきり系耳付きヘアバンドまで装着していた。いや、被らなくても既に自前があるじゃないかとツッコんではならない。こういうのは、その場のノリと勢いなのである。
「楽しんでいるようでなによりだ」
 そして次に乗り込んだのは、園内のどこからでも見える大きな観覧車。
 ガラス張りの窓から見えるのは、先ほどまで楽しんでいた乗り物たち。それらがあっという間に小さくなっていく。
「民たちも今日の日を楽しんでいる。時には息抜きも大切なのだ。民の上に立つ者はそういうことも考えねばならぬからな」
 観覧車から眺める光景に目を細めながら、ペンギアットは為政者の顔を覗かせる。
 モフィンクスはペンギアットが言う民とは逆だ。時々息抜きをするのではなく、時々ちょっとやる気を出すのだ。だが、その違いこそが、逆に両者を引きつけたのかもしれない。
「この景色素晴らしかったであろう? では、次はあれに乗るのだ」
 観覧車から降りたペンギアットが指差したのは、鋭角落下ジェットコースター『蒼穹』。乗る前から慄いてしまいそうな絶叫コースターである。
「モフ~?」
「この程度の絶叫マシン、乗りこなせなくては銀河皇帝ペンギンの名が廃るというもの!」
 怖くないのかという問いに、ペンギアットはやたらと堂々とした様子で乗り込んでいく。
「言っておくが、途中でカメラ撮影スポットがあるのだ。場所は秘密だが、怖がっている顔を撮られぬようにな!」
 そうしてふたりを乗せたコースターはゆっくりと傾斜を登っていく。上がって行く時はレールの先が見えず、モフィンクスはどきどきしながら落下の瞬間を待つ。
 頂点まで達すると、恐怖を煽るようにゆっくりとコースターが急傾斜からの落下に差し掛かり――その後、猛スピードでレールを走っていく。
「モフーッ!?」
 一気に落下した後は、上下へと揺らぎを与えるウェーブゾーン。少し落ち着いたかと思えば、そこからまた急加速で、一回転するループゾーンへと突入する。
「うむ、今日もいい重力である」
 強い遠心力に振り回されているモフィンクスとは違い、ペンギアットはさすがの貫禄である。
 ぐるんぐるんと二回転し、その勢いでまた高く昇っていく。そうして今度はスピードを上げて角度のある下り道を落下していく。
「モフッ!」
 ほんの少しであるが、このスピードに慣れたモフィンクスは遠心力に振られながらも、もう一度高い場所へと昇ったコースターから眼下を見下ろす。
 あの乗り物は楽しかったからもう一回乗りたいなどと考えているうちに、コースはクライマックスに。ぱしゃり、とカメラで撮られる音がした時、モフィンクスは満足な表情を浮かべていただろう。
「モフィンクスよ、我はお主をいつだって民として迎え入れよう。良い返事を待っているぞ」
 ペンギアットがそう告げたあと、最大角度の傾斜を滑り降りたコースターが光の中へと突っ込んでいく――。
「モフ……?」
 気がつけば、そこはいつものアルダワの地下迷宮だった。
 あれはひと夏の夢。そうはわかっていても、乗り物に乗った楽しみもスリルもしっかりと残っていて。
 最後に撮った写真がどんなものになったのか、それを見てみたかった気がするモフィンクスだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年07月08日


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