フリーダムなキャンプ日和
「クゥウン……」
まだ小さな子犬が鼻を鳴らす。
「もう少しだけ辛抱しろ」
足元にすり寄る子犬の頭を撫で、アレックス・ラインは囁いた。顔を上げると、清々しい新緑で覆われた山の稜線が見える。
「そろそろキャンプ場が見えてくる。そうしたら、お前たちの出番だ……」
「キャンプは好き?」
仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)は北関東のキャンプ場を示して言った。
あのハビタント・フォーミュラが動き出した。
目をつけられたのは、オブリビオンとして甦ったナイトメアビーストのアレックス・レイン。
ハビタント・フォーミュラはジャック・マキシマムが倒されたことで生じた『歴史の空白』を侵略蔵書で改竄し、ナイトメアビーストの主を名乗っている。
「ハビタント・フォーミュラの配下となったアレックス・ラインの目的はフリーダムモンスターによる大規模襲撃事件『フリーダムモンスタークリスマス』の再現だ。ハビタント・フォーミュラは『書架の王』が待つ無限書架にアレックス・ラインと百目鬼・面影を連れて行くため、彼らの侵略蔵書を完成させる時間を稼ぎたいらしい」
事件が起こるのは6月の新緑に萌えるキャンプ場。
テントを設営し、バーベキューを楽しむ家族連れやカップルが狙いのようだ。
フリーダムモンスターは行事やイベントなどを楽しむことができなかった人々の満たされない欲求や嫉妬心を掻き立てる音楽によって具現化したもの。
「だから狙われる場所は人々が楽しむイベント会場ばかり。何らかの『生命賛歌に溢れる場所』をフリーダムモンスターに襲わせて、その間に侵略蔵書を書き上げる。既にキャンプ場には根回ししてあるので、皆には一般客の代わりにキャンプを楽しんでフリーダムモンスターに襲われる囮になってもらいたい」
やることは普通のキャンプと変わらない。
遊んでいる間にアレックス・レインの方から襲ってきてくれるので、戦って倒してくれたらそれでオーケー。
「ただ、相手の目的が時間稼ぎである以上はあまり戦いを長引かせないようにした方がいいかな。気を付けてほしいのはそのくらいだね。それじゃ、是非ともよいキャンプを」
ツヅキ
ハビタント・フォーミュラがナイトメアビーストである『アレックス・ライン』を従え、『フリーダムモンスタークリスマス』の再来を画策しています。
(『フリーダムモンスタークリスマス』とはかつて銀誓館学園を狙ったアレックス・ラインによる襲撃作戦です。クリスマス当日に大量のフリーダムモンスターが学園になだれ込み、急遽迎撃することになりました)
速やかに事件を解決し、フリーダムモンスタークリスマスの再来を阻止しましょう。
※『第2章完結までにかかった実際の日数』に応じて『アレックス・ライン』の強さが変化します。第3章開始までに2週間以上かかった場合、ハビタント・フォーミュラはアレックスに『急ごしらえの侵略蔵書』を与えてパワーアップさせてしまいます。
詳細はオープニングと断章の確認をお願いします。
飛び入り歓迎&どこからでも自由にご参加ください。
第1章 日常
『キャンプを楽しもう!』
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POW : テント設営をしよう
SPD : 渓流で魚釣りをしよう
WIZ : バーベキューでキャンプ飯を作ろう
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天気は良好。
標高が高いので涼しく、爽やかな風が吹き抜ける。
近くの渓流ではイワナが釣れるそうだ。
キャンプ場とはいえ、できるだけ自然のまま、緑の中でキャンプを楽しめるような場所だった。まずはテントの設営から始めよう。
そして、期待のキャンプ飯……!
シンプルにバーベキューでも、創作料理でも、インスタントでも。
夜になれば綺麗な星々が見えるだろう。
日々の生活から離れ、自然の中で過ごす初夏の休日は何でもありだ。
龍巳・咲花
ここにきてうーちゃんが活発に動き始めたのは何かこの後に大きな計画でもあるのでござろうか
まあ良からぬ企みであることは想像に難くないでござる故、しっかり阻止していくでござろう!
まずはバーベキュー用の魚を釣りに行くでござるか
本当は獲る方が得意でござるが、ここは釣りを楽しむのも一興でござるな
今の時期であれば丁度アユ辺りが狙い目でござるな!
美味しい塩焼きにありつく為にしっかりと釣るでござるぞ!
そして釣りを楽しみつつ、戦場と想定されそうな場所には予め仕込みをしておくでござる
一般の方々に発動するものでもないのでそこは安心でござる故!
雁帰・二三夫
「キャンプですか。何はさておき行かねばなりませんね」
「…などと被告雁帰二三夫(40)は証言しており」
「どこでまた変な遊びを覚えてきたんですかトレスさん?!」
「サブスクはいいぞ、二三夫」
「ちょっ…今月厳しいのにいつの間にっ」
おっさん涙した
170cmスレンダー美女(人化した30m級竜型巨神G-O-リアス
3号機)と参加
食べる人専業と言い張るトレスに涙しつつ4人用ワンタッチテント設置
焚火台で
ホットサンドメーカーの焼肉饅
カートンドック
ホットワイン風グレープジュース準備
「…しょぼいぞ、二三夫」
「この後戦闘ですから我慢して下さい、トレスさん」小声
「明朝は豪華な朝食を希望するぞ」
「…善処します」

暗都・魎夜
【心情】
次に『再現』が来るとしたら、ファイナルナイトメアだと思っていたが
たしかに、フリーダムモンスタークリスマスも『再現』の一つになる規模の戦いだったな
おまけに、うーちゃんが裏で動いているってことなら、こいつは願ったりだ
随分と長い間探すことになったが、ここで蹴りをつけてやるぜ
【行動】
では、せっかくなのでこういう場所だし、バーベキューでもやって英気を養うとするか
「大食い」と「宴会」は昔からの得意分野だ
肉と野菜を持ち込んで、焼く
シンプルだけど、絶対にうまい奴だ
しかし、事件解決のついでにこう好き勝手やって、15年は過ぎたが
事件抜きに楽しめる機会ってそこまで多くないよな
『再現』もそろそろ終わらせねえと
シモーヌ・イルネージュ
キャンプはいいね!
宿営と違って、こっちは戦闘なし。純粋に楽しめるしね。
もっとも後に厄介事が控えてはいるんだよね。
ならば今のうちに英気を養うことにしよう。
キャンプと言ったら肉!……ではあるけど、川もあるし。
たまには魚を捕るらもいいかな。
釣りなんて待つのは性に合わないから、銛突きで魚を仕留めよう。
銛の代わりにいつもの槍でいこう。
サイバーアイを駆使して、水面下の魚の動きを見て、魚捕りだね。
焼き魚も楽しみだな。
レンフィート・ディアレスト
フリーダムモンスター……
10年以上ぶりの名前だけど、また面倒なのが出てきたな。
ハビタントの目論見も気になるし、早めに片付けてしまおうか。
しかし、依頼でキャンプを楽しむか……ちょっと慣れないなぁ。
肩肘張っちゃって。
とは言いつつ、テント暮らしは経験あるし。
自前の影の城テントを設営して[キャンプ]しようか。
言うまでもなく[悪目立ち]するので、囮の役割は果たせるはず。
UCはテントを上手く張るのや囮になる成功率を上げるのに使っておこう。
しかしこれ、キャンプ場に持ち込むにはちょっと大きいか……?
夜になれば綺麗な星が見えるらしいし、作業が終わったら景色や空を眺めて過ごそうか。
カメラ持ってくればよかったかも。
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ・連携歓迎
またもや過去の再現が…敵の動きも気になりますが、まずはこの上場を姪いっぱい楽しみましょう
同じキャンプといっても毎回違いますが、今日のキャンプはどうなるでしょうか?
場所をセットできたら近場で釣った魚をそのまま塩焼きに
後はマシュマロとチョコでバナナをスキットに詰めてクラッカーですくって食べます
それとキャンプというとコーヒーのイメージが強いですが、こういう時の紅茶も良いですよね
あとお水が違えばお茶の味も違いますからね
どんなお茶になるでしょうか?お湯が沸くまでの間の時間も楽しみながら、星を眺めますね
古森・ちゆり
(多分【POW】)
ぴゃ、ぴゃーん……お外は苦手だけど、が……頑張る……
えと、まずは、いい感じのばしょを見つけて、『ちゆりねっと』を張って、居心地のいい「
巣」を作る、よ!
巣さえできれば『にゃにゃこ』を放しても大丈夫
……安心したら、ちょっと眠くなってきちゃった……
ちょっとなら、大丈夫かな……?
(あまり経験のない小鳥のさえずりとか川のせせらぎとかを聞いているうちに、自分の領域を作って安心したのか木陰とかに造った
巣の上でうとうとし始め、いつの間にかぬいぐるみを抱っこしたまま寝息を立て始めます。しあわせそう)
※アドリブほか歓迎です
くぁふ、と龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)はのんびりとあくびしながら釣り竿を放った。山の上流に近いためか川の水は冷たくとても澄んでいる。シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)の左目が敵を捉える時と同じように標的を捉え、アユの群れが通り過ぎる一瞬を狙って水中に槍を鋭く突き込んだ。
「大漁、大漁!」
銛代わりの槍に貫かれたアユはまさに獲れたて、新鮮そのもの。咲花も釣り上げたばかりの魚から器用に釣り針を外し、水を張ったバケツに放した。
「たまにはのんびりと釣りを楽しむのも一興でござるな」
忍者たるもの素手で魚を生け捕ることなど朝飯前なのである。とはいえ今回はキャンプ場の流儀に従うのも悪くはあるまい。
咲花は新しい餌をつけた釣り針を渓流に投げ入れた。
「やはり、うーちゃんには壮大な計画があるのでござろうな」
「厄介な事だね」
濡れた髪をかきあげるシモーヌは言葉とは裏腹に楽しそうだ。宿営なら訓練で何度も行ったが、純粋なキャンプというのはあまり体験がない。
「今のうちに英気を養っておかないとね。それに、楽しんだ方が囮になるんだろ? 存分に羽を伸ばさえてもらおうかな」
「うむ。一石二鳥でござるな」
咲花はさりげなく草に覆われた地面にクナイを差し込んだ。これが後々の布石になることを今はまだ誰も知らない。
事の経緯を聞いた雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)は持参したキャンピング用品一式をよいせと背負い直した。
「キャンプと聞いたら参加せぬわけにはいきませんね。何はさておき出発しましょう」
「……などと被告雁帰二三夫(40)は証言しており」
突っ込んだのは30m級竜型巨神G-O-リアス3号機。二三夫はトレスと呼んでいる。人化すると170cmの長身スレンダーな美女になる。なんといっても顔がいい。そして荷物を持つ気がまるでない。
二三夫は愕然とトレスを振り返った。
「待ってください、一体どこでまた変な遊びを覚えてきたんですかトレスさん?!」
「サブスクはいいぞ、二三夫」
「ちょっ……今月厳しいのにいつの間にっ」
帰ったら請求書を確認せねば。
とほほな気分はキャンプ場に着くなり吹き飛んだ。近くに川があり、涼しい風が木々の間から吹き込む。さっそくテントを張る場所を選ぶ二三夫にトレスは慈悲もない。
「言っておくが、食べる人専業だからな。はよう支度しろ」
「うう……戦う前からなんて重労働……いえ、慣れてますけどね! 4人用ワンタッチテントだってほらこの通り!」
ばばーん。
凄いぞ、たったひとりで設営しちゃったぞ。
トレスは腕を組み、溜息をひとつ。
「そんなものが自慢になるか」
「なりますよ! ほら、焚火台だってすぐに火をつけられちゃうんですよ? ちょっとくらい褒めてくれたって罰は当たりませんよ?」
甲斐甲斐しくホットサンドメーカーで肉饅を焼き、具材を挟んだコッペパンをアルミホイルに包んで持ってきた牛乳パックに詰め込んで。
「あちあち」
火をつけた牛乳パックが燃えきったら食べごろのカートンドッグの出来上がり。ほかほかの焼き加減のそれをトレスは仏頂面で受け取った。
「……しょぼいぞ、二三夫」
「この後戦闘ですから我慢して下さい、トレスさん」
二三夫は小声で囁き、「どうぞ」とホットワイン風に温めたグレープジュースを差し出した。
「暴れるのか?」
「そういうことです」
「なるほどな……だが、明朝は豪華な朝食を希望するぞ」
ちょっとだけ考えてから、二三夫は約束する。
「……善処します」
「さてと……」
レンフィート・ディアレスト(探究の貴・f38958)は慣れないながらも設営作業に取りかかった。さっきまで開いていた愛用の手帳を閉じ、気合を入れるように軽く肩を回した。
楽しんで、と言われても困惑してしまう。
気負わずに好きなように過ごせばいいのは理解しているのだが、何をしてもよいと言われると逆に思いつかないというか。
「なんか肩肘張っちゃうんだよねぇ」
とはいえ、レンフィートが自前で用意したテントは立派過ぎるものだ。なにしろ影の城を模した巨大テントである。天辺のあたりなどは周囲の木々よりも高い場所にあるくらいで、驚いた鳥たちが慌てて飛び立っていった。なんとかキャンプ場におさまってくれてよかったと思う。
あと、テント泊の経験があったのも役に立った。
「僕はここを使わせてもらいますね」
一応、仲間にも挨拶をしておいた。
短い間だが、お隣さんになるのだから。
「ぴゃ、ぴゃーん……」
眩しい日の光に古森・ちゆり(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35520)は思わず目を閉じた。こわごわと猫のぬいぐるみから顔を出して、きょろきょろする。どうしよう、早くいい感じの場所を見つけなくちゃ。ええと、えと……。
ちゆりの顔がぱっと明るくなった。
「……ん、ここにしよ……」
うまい具合に木と木が隣り合った場所を見つけ、「よいしょ」と巣作りする。文字通りに蜘蛛の巣のような
おうちの出来上がり。
「今夜はここがわたしたちの、
巣、だね……」
特等席に置いた『にゃにゃこ』の頭を撫で、小さなあくびをする。襲撃まではまだ時間がある。ちゆりは眠い目を擦り、『にゃにゃこ』を胸に抱きあげた。
陽だまり、緑の匂い、川のせせらぎ、鳥の声……外の領域は落ち着かないことばかりだ。不安そうな眼差しで巣の上から他の猟兵の動きを見守る。
釣りをしたり、ご飯をつくったり、ちゆりと同じように寝床の準備をしたり……もっとも、ちゆりと違って楽しそうだ。皆どうして不安にならないんだろう? ちゆりなら、
巣の外なんて怖くて鳴いちゃうのに。
遠出の疲れが出たのか、巣作りして安心したのか、次第にちゆりはうつらうつらし始める。ほんのちょっとだけなら、休んでもいいよね。
「おやすみ、にゃにゃこ……」
大事なぬいぐるみを抱きしめ、丸くなってすーすーと寝息を立てる。
「次に『再現』が来るとしたらファイナルナイトメアだと思ったんだがな……あ、こっちにも薪をくれ」
暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)の手にディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)が薪を渡した。
「はい、どうぞ」
「サンキュ」
魎夜は薪をくべ、バーベキューの準備を進める。
「でもまあ、言われてみればフリーダムモンスタークリスマスも『再現』の一つになる規模の戦いだったか。全然クリスマスって季節じゃないけどな」
「この調子だと敵の動きがどう出るか気になりますね。過去の『再現』はまだまだきりがありませんし……とはいえ、これほどの上場を楽しまないのは損ですから。めいっぱい堪能させてもらうつもりですよ、私は」
ディルは軽く手を払った。
設営を済ませ、焚き火台の準備も万端である。
「さて、今日のキャンプはどうなるでしょうかね? ……と言っている間に、お嬢様たちが釣果を持ってご帰還のようですよ」
おかえりなさい、とディルは優雅にお辞儀して釣りから戻った咲花とシモーヌを出迎えた。
「じゃーん! これだけあれば腹いっぱいだろ?」
シモーヌが掲げるバケツには獲れたてのアユがいっぱい。
「ニンニン! 美味しい塩焼きを期待するでござるよ!」
咲花は準備万端の焚き火台に気づいて声を弾ませる。
もちろん、とディルが請け負った。
「お任せください」
「肉と野菜もあるぜ。こういうのはシンプルが一番、だろ?」
グリルで焼いた食材の匂いが魎夜の空腹に染みる。
「なにしろあのうーちゃんが裏で動いてるんだ、なんとか尻尾を掴みたいところだぜ。全然行方が掴めなくて随分と長い間探すことになったもんなぁ」
それから、ちょっと真顔になって言う。
「いい加減、ここらで蹴りをつけてやりたいよな」
「どんな企みであろうと阻止してみせるでござるよ!」
咲花は何本目かのクナイを地面に埋める。これでキャンプ場はほぼカバーできた。アレックス達がどこから襲ってきたとしても対応できるはず。
「ふふ」
ディルはクラッカーですくったスキット詰めのスイーツを温かいうちに頬張った。マシュマロとチョコの風味がバナナと相まって殺人的な美味を誇る。
「ああ、いいですね。外で食べるご飯ってどうしてこう美味しいのでしょうか」
「キャンプはいいよね! 自然の癒しってのを実感するよ」
シモーヌは塩を振りかけたアユを豪快に頭から齧った。いつしか日が暮れて、夜の帳が降りる。昼間は見えない星が次々に輝き始める頃合いだ。
「うわぁ、凄いや」
星空を仰いだレンフィートが感嘆の溜息を洩らした。シートの上に仰向けに寝転がってプラネタリウムみたいな夜空を眩しそうに見上げる。
「カメラ持ってくればよかったなぁ……」
――フリーダムモンスター。
思い返せば、あれからもう10年以上が過ぎたのだ。イベントごとを楽しめなかった人たちの嫉妬や怨念を糧に作り出される軍団、か。
面倒なやつらだ。
それにハビタントの目論見も気になる。
「早めに片付けてしまわないと、な」
かさこそと葉っぱが動き、目を覚ましたちゆりが外の様子を窺っている。しっかりとぬいぐるみを抱きしめ、呟いた。
「わんこの、鳴き声……?」
場を盛り上げるのが得意な魎夜が音頭を取ってバーベキューを進行する。あれだけ持ち込んだ肉と野菜はあっという間に胃袋の中へ収まった。ディルは食後の紅茶を淹れるためのお湯を沸かしながら星を鑑賞する。都会ではお目にかかれない満天の星空は絶景かな。
「もう15年か……」
魎夜は感慨深くつぶやいた。
「たまにはこういうのもいいよな。もっとも『再現』はそろそろ終わりにしたいところだが……ん? なんだ、今の鳴き声?」
「皆さん、お茶が入りましたよ」
ディルは皆にお茶を配り、まずは香りを楽しむ。
わりと凝り性なので、水の違いによる差も見逃さない。ミネラルの含有量や硬度の違いは伊達じゃないのだ。
「うん、とてもまろやか――」
今度ははっきりと、鳴き声がした。
「来たでござるか!」
急いでアユの塩焼きを平らげた咲花は、颯爽と立ち上がってマフラーを巻き直す。
フリーダムモンスター“季節外れの”クリスマスが始まったのだ。
大成功
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第2章 集団戦
『ホチキスドッグ』
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POW : ドッグバイト
【噛み付き】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : ホチキスファング
【ホチキスのように開いた大きく肉体】で攻撃する。[ホチキスのように開いた大きく肉体]に施された【開かれる口の大きさ】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ : 下方からの脅威
敵より【体高が低い】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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犬の鳴き声がする。
最初は子犬が鼻を鳴らすような可愛いそれだったのに。
いつの間に、獰猛な獣の唸り声に変わった?
体つきも明らかに普通じゃない。気づけば妖獣そのものとなって草むらを集団で駆け抜ける。
キャンプ? バーベキュー?
いったい何が楽しいんだ?
「もっと憎め、羨め……」
負の感情こそがフリーダムモンスターを増殖させる。
子犬に擬態していたホチキスドッグはついにキャンプ場へと侵入を果たした。
ひときわ目立つテント――影の城を模したそれ――を目掛け、さらに速く、狂おしく。
「グルルァッ!!」
だが、ホチキスドッグもアレックス・ラインもまだ知らない。
自分たちが“飛んで火にいる夏の虫”そのものだと言うことを、だ。
龍巳・咲花
お主らが来る間、存分にキャンプとバーベキューを楽しませてもらったでござるぞ!
悔しかったらこっちへ来るといいでござろう!
そんな感じに声を張り上げて誘導するでござる!
近接戦闘が得意な敵の数が多いのなら、混戦になる前に開戦一番槍で間引くでござる!
ムシュマフの首を呼び寄せ槍となってもらい、山なりに投擲して敵の集団の前方上空で弾けさせ、降り注ぐ槍で数を減らすと共に出鼻をくじくでござる!
前の敵が倒れもみくちゃになれば後続の進軍速度も落とせて敵の混乱を誘えるかもしれぬでござるしな!
勢いを削いだ後はクナイや手裏剣に鎖鎌とある程度距離を保った状態で相手の攻撃を潰す様に味方の援護をするでござるぞ!
柳・依月
ツヅキマスターにおまかせします。かっこいい柳・依月をお願いします!
俺は人間じゃない、ネットロアだ。だが人間は物語が好きで、俺も人間が好きだ。だから人々の日常を脅かす者は許してはおけない——それが俺が戦う理由ってことになるのかな。
戦闘時は基本仕込み番傘での近接戦だが、相手や状況によっては呪髪糸も使用する。中長距離とか、支援に回る時とか。
以下PL
ギャグ系の状況でもノリはいい方です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
――果たしてこやつらの知性はどれほどのものか。
あれだけ立派な影の城が聳え立つにも関わらず、未だ異変に気付かないホチキスドッグはいともたやすく龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)の挑発に乗った。
「来るなら来るでござるよ! ただし、拙者たちは既にキャンプとバーベキューを楽しませてもらった後でござるがね!」
殺到する敵を咲花は颯爽と
間引いた。
ムシュマフが捻じれ、鋭い槍状に形態を変化する。それをつかみ取った咲花は助走をつけて投擲したのだ。まるで流星のような光景だった。
ホチキスドッグは頭上で分かたれた槍に次々と貫かれ、あっという間に数を減らされる。
「さあ来い! ……なぁんてな」
柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)はムシュマフの槍を逃れた者たちを迎撃すると見せかけ、自分から相手の間合いに飛び込んだ。
「これだけ数がいたら、ただ振り回してもぶち当たるな」
盾代わりの番傘だと侮るなかれ。
柄を掴んだかと思いきや、次の瞬間には衝撃波をくらった敵が吹っ飛んでいる。いち、に、さん――よん! カシンと元通りに納刀する依月の背後でホチキスドッグが頽れた。
「イベントごとを楽しんでる奴を襲うなんて逆恨みもいいところだな。俺は人間じゃないし、どちらかというとお前に近い存在なのかもしれない。だけど俺は人間が好きだ。ネットロア――物語を好いてくれる彼らの日常を脅かすというのなら相手になるさ」
ホチキスみたいに大きく開いた肉体で体当たりを企むホチキスドッグを呪髪糸でぐるぐる巻きにしてやれば、お口チャックが一丁上がり。
「陣形を立て直す時間は与えぬでござるよ!」
そこへ咲花のクナイが突き刺さる。
鎖鎌が唸りを上げて襲いかかり、進軍を阻む。ホチキスドッグの群れは混乱に陥った。倒れた味方に足を取られ、勢いが削がれる。そこへ手裏剣が降り注ぎ、致死性の衝撃波が襲いかかるのだから堪るまい。
大成功
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シモーヌ・イルネージュ
いよいよ来たな。
見た目もすっかりオブリビオンになっちゃって。
楽しいことを楽しめないなんて、かわいそうだな。
おいしい焼き魚も食べたし、休養も十分。
ここらで犬の相手をして体をほぐしておこう。
黒槍『新月極光』で戦うよ。
UC【神燕武槍】を発動。
相手の数が多いから、囲まれないように、サイバーアイの視野を広げよう。
あとは槍を存分に振るって、犬退治だ。
すぐに噛みたがる、しつけの悪い犬には棒(槍)でお仕置きだ。

暗都・魎夜
【心情】
キャンプの時間は終わりだ
バーベキューはこの後で、祝勝会代わりにゆっくりやらせてもらうぜ
【戦闘】
ホチキスドッグのフリーダムモンスター化か
無害な子犬の振りしてやってくるってのは、楽しんでいる人との相性最悪かもな
事前にテントの中には泊まらず、外で「闇に紛れる」待ち伏せ
幸い、悪環境で不寝番ならそこそこ慣れている
日本のキャンプ場で出来るなら、むしろ快適なくらいさ
「索敵」「偵察」で警戒を固めておき
近寄ってきたところで「捕縛」のUCを発動
そっちから来てくれたところすまねえが、まとめて大人しくしてもらおうか
他の猟兵と協力して、遠巻きに「斬撃波」で攻撃
夜を迎えたキャンプ場で、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は「なるほどな」と心中のみで呟いた。あどけない子犬の鳴き声が獰猛な唸り声に代わるまでの時間といったら生きた心地がしなかった――とアレックス・ラインは思ってほしいところかもしれないが。
あいにく、魎夜は悪環境には慣れていた。
寝ずの番にもだ。
ところはテント脇。こっそりと闇に紛れて敵を待ち伏せる。多少虫はいるが平和なものだ。日本のキャンプ場の治安の良さが身にしみる。
(「さて、どっちから来る?」)
偵察といってもさすがに肉眼では確認しづらいのでやはり音が手掛かりになりそうだ。乾いた草を踏む音、そして激しい息遣いが徐々に近づいてくる。
「まちくたびれたよ」
シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)の手の内で黒槍『新月極光』が翻った。まるで準備運動だと言わんばかりに神速の突きを繰り出せば響き渡る狂犬の悲鳴。月明りに照らされる異形の獣はもはや子犬の名残りなどない。
「すっかりオブリビオンになっちゃって。そんななりじゃ、楽しめるものも楽しめないだろうな。かわいそうに」
シモーヌの
左目が起動する。一瞬にして視野を広げ、闇の中にあってもすぐさま敵の数を捉えた。
「ふん、8体か」
「よし。数を減らしていこうぜ」
魎夜が右手を薙ぎ払えば極細の蜘蛛糸がホチキスドッグを絡めとった。自分から蜘蛛の巣に突っ込む形になった者たちはもがけばもがくほど身動きが取れなくなる。
「オッケー、まとめて大人しくしてろよ?」
その刀身はまるで夜空を映したかのような美しい輝きを纏っていた。魎夜が振り下ろすと発生する斬撃波が捕縛されたホチキスドッグの体力を削ぎ落とす。魎夜は蜘蛛糸を張り巡らせた場所から十分な距離を保った。誰がその鋭い牙の間合いになど入ってやるものかと言わんばかりに。
「こいつはいいね」
シモーヌの槍が鋭く迸り、確実な止めを与える。
体が軽い。
休養も十分、腹も満ちた。
「新鮮な魚は塩で焼くだけでうまいもんさ。腹ごなしに付き合ってもらうよ!」
「キャィン!!」
魎夜の斬撃波とシモーヌの槍柄による追撃を受けたホチキスドッグが地面を転がった。本体が弱っても牙を剥いた顎はまだ戦意を失っていない。
「ほんと、しつけの悪い犬だね」
喉の奥まで槍を突き込み、犬退治を遂行だ。
「もうこんな時間か」
途端に魎夜は呆れたような顔になる。
「祝勝会代わりのバーベキューが待ってるんだ。後もつかえてることだし、いつまでも遊んではやれねえ。悪いな!」
吹き飛ばされたホチキスドッグが背後の木にぶつかって息絶えた。魎夜はまだ警戒を解いていない。近くまでアレックス・ラインが来ているはず。なにしろ無害な子犬の姿のフリーダムモンスターをけしかけてくるような手合いだから、かなりの性悪なのは間違いない。
「一般人が襲われてたら、なんて考えたらぞっとするぜ。イベントを楽しんでるやつとの相性最悪だろ。なあ、かわいいわんこくん――なんてな!」
大成功
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レンフィート・ディアレスト
おっと、本当に悪目立ち……囮になってる。
狙い通りだけど、思い入れもあるから壊されるのは困るな。
まあ仕方ない、此方にやってくる分は[拠点防衛]の要領で引き受けようか。
ともあれ。訪れたなら犬でもお客様だ、歓迎しよう。
【城塞世界・影真似】。
影の城の世界に招待するよ――幻だけどね。
幻の防壁で遮蔽して、低い位置からの攻撃を防ぎつつ。
同じく幻の罠……、落とし穴や仕掛け槍で集団を[範囲攻撃]、一網打尽を狙う。
まさか犬の知能では幻は見抜けないだろう?
撃ち漏らしはガンナイフで個別に始末していくよ。
ここで手間取ってはフリーダムモンスター戦にも支障が出る、手早くやろうか。
※アドリブほか歓迎
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ・連携可
ああ、折角のお茶が…おやおや、なんとも可愛らしい犬の…おや
…もう少し楽しみたかったのですが、仕方ありませんね
今回は皆様のサポートに回りましょう
UCを使い、相手を眠らせます
ほら、起きなさい。仕事ですよ(ヤマネをポットから引っ張り出す)
寝床を貸しているのです、偶には家賃以上の働きをしなさいな
……犬の皆様もこうしていらっしゃったのです。キャンプを楽しみましょう
何も友人たちと語らい、食を共にする事だけが楽しみではありません
一人で空を見ながら、音に耳を傾けながら寝ることも、キャンプならではですから
古森・ちゆり
……き、きた……!
確かにお外は不安がいっぱいだけど、今はここがちゆりの
巣だもん…!それに、ちゆりにはわからなくても、みんなが楽しんでるのを邪魔しちゃ、だめ、なんだよ……!
さっきおうちを作る時に色々見て回ったもん…!
【ちゆりディフェンダー】…!地形を利用して、周りに『ちゆりねっと』をいっぱい張って戦うよ…!周りに張ったちゆりねっとを盾にして、わるいわんこが触ったらくっつけちゃって(捕縛・罠使い)、噛まれないようにするの……、ちゆりねっとにくっついちゃったわんこに『蟲笛(ホイッスル)』で白燐蟲たちをよんで、みんなで攻撃してもらうよ…!
※アドリブや連携は歓迎、だよ
子犬の姿の擬態を解いたホチキスドッグがぱっくりと体の裂け目から獰猛な牙を剥いて襲いかかる姿はホラー映画もさながらだった。彼らはまだキャンプ場にいるのが猟兵でないと気が付いていない――あれほど巨大な
影の城があるのに、だ。
「まさに犬の知能ということだね。この状況が城塞世界の鉄壁さを保証している。すなわち、君たちにこの世界は破壊できないというわけさ」
レンフィート・ディアレスト(探究の貴・f38958)は歓迎するように片手を広げ、淡い微笑みを唇に浮かべる。
――さぁ、影の城の世界へご招待。
もっともそれは紛うことなき幻だ。いつしかホチキスドッグは影の城の内部に誘われている。遮蔽効果によって、レンフィートまでの距離は果てしないものに感じられるはず。
「グルルッ」
やっとのことで届いたと思えば、四肢を粘着性の蜘蛛糸で絡めとられて立ち往生。あらかじめ古森・ちゆり(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35520)が張りめぐらせておいた罠であった。
「……お、おとなしくしなさい……! みんなが楽しんでるのを邪魔するなんて、めっ、なんだよ……ぴゃーん……!」
ぎゅっとにゃにゃこを抱きしめ、ちゆりは言った。
ホチキスドッグはもがくほどに蜘蛛糸の罠にはまってゆく。いつの間にか周囲の森のほぼ全てにうっすらと光る糸の群れ。
ちゆりは
それらの中心部にいた。
この場の主はちゆりなのだ。
敵は獲物。
絡めとられ、もがきながら、届かない牙をカチカチと鳴らして喚いたところをレンフィートの仕掛け槍でモズの早贄状態に。
「おやおや……」
同情めいた溜息はディル・ウェッジウイッター(人間のティーソムリエ・f37834)の唇からこぼれ落ちた。
「可愛らしい犬ですが、しかし……?」
カチャリ。
一目でアンティークとわかるティーポットの蓋がひとりでに動いた。否、中から小さな動物が頭で押し上げたのだ。眠気まなこで周囲を見回してから中へ引っ込もうとする首根っこをディルが摘み上げ、ポットの外へ引きずり出した。
「
おそようございます。さ、仕事ですよ」
不満そうなヤマネだが、寝床を追い出されるのは御免らしく鼻先をひくひくと動かした。ただのヤマネではない。
実は、メガリス。
「クゥン……」
ヤマネがもたらす眠気に耐えきれなかったホチキスドッグは、たちまちのうちにとろんとまぶたを閉じて眠りの淵に落ちてゆく。
さすが、とディルは褒めたたえる。
「伊達にメガリスではないですね。もっとも、家賃以上というからにはまだまだではありますが……」
すやすやと眠りについたホチキスドッグの頭上で木々の枝葉が夜風に揺れた。爽やかな葉擦れの音が子守唄代わりのように。
キャンプとは何も友人たちと語らい、食を共にする事だけが楽しみの全てではない。たとえば空を見ながら、音に耳を傾けながら体を休めることもまた醍醐味といえよう。だからおやすみなさい。妬むくらいなら一緒に楽しみましょう、とディル。
「そういうことだね。お客様ならたとえ犬でも歓迎するよ」
もっとも、レンフィートの歓迎とは足止めした相手を確実にガンナイフで屠ることを意味していたのだが。
撃ち抜かれ、切り裂かれたホチキスドッグの動かない体が地面を転がった。やっとのことで落とし穴から這い出してきたというのに、ご愁傷さま。
「おいで、白燐蟲たち……!」
ちゆりは首元から
蟲笛を探り出して、すうっと息を吸い込んだ。だって、みんな楽しそうにキャンプを過ごしていたのだ。遠巻きに眺めていた光景を思い出す、全力でホイッスルに息を吹き込む――!
刹那、あふれんばかりの白燐蟲が夜闇を照らしながらホチキスドッグに襲いかかった。蜘蛛糸がきらきらと白光に反射する。あっというまに敵を貪った白燐蟲がちゆりの下へ戻った時にはもう、動けるホチキスドッグはいなかった。
「近くにいるんだろう?」
レンフィートはわかっていると言いたげに森の向こうへ声をかける。
「君が彼らをけしかけたのはわかっているんだ。だから、手早く始末させてもらったよ」
「おかげで折角のお茶が冷めてしまいましたね。責任はとってもらえるので?」
フリーダムモンスター。
アレックス・ラインがゆっくりと姿を現した。
大成功
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第3章 ボス戦
『アレックス・ライン』
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POW : フリーダムグラッジ
高速で旋回する【怨嗟の炎の渦】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【ロックの演奏】を捧げていないと制御不能に陥る。
SPD : フリーダムナイトメア
【人々の恨み】から【黒馬のナイトメア】を召喚する。[黒馬のナイトメア]はレベル×5km/hで飛翔し敵を攻撃する。使用者はこれに騎乗可能。
WIZ : フリーダムランページ
【ロックを聴かせた対象】から【フリーダムモンスター】を召喚する。[フリーダムモンスター]に触れた対象は、過去の【フラストレーション】をレベル倍に増幅される。
👑11
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アレックス・ラインには迷いがあった。
新たな主、ハビタント・フォーミュラの言っていたことを思い出す。
――お前は時間を稼ぐう! 侵略蔵書が完成したら『書架の王』の下へ案内するう!
「……『書架の王』。興味はある。ここでやられるわけにはいかないが……」
同時に時間を稼ぐという役目も果たさねばならない。
ならば、これしかない。
「幸い、周りは森だ。鬼ごっこをしよう、猟兵……俺は恥もなく逃げ回る。捕まえられるものならやってみろ。ただし、俺のロックは効くぜ……」
アレックス・ラインは再び茂みの向こうへ姿を消した。
目的は時間稼ぎだ。
今回の戦いにおいて彼を強化するための侵略蔵書は間に合わないが、フリーダムモンスタークリスマスの再現自体がハビタント・フォーミュラの企みを猟兵から逸らすための隠れ蓑であるのは間違いない。
ゆえに、アレックス・ラインをできるだけ早く捕まえ、撃破することがハビタント・フォーミュラの計画を挫く一助となるだろう。
ゆえに、アレックス・ラインは本気で逃げるだろう。
木々の生い茂る急斜面を駆け、川を越え、猟兵の目を己に惹きつけておくために――。
龍巳・咲花
即断即決、その判断力と行動力には敵ながら敬意を表するでござる!
しかし、忍者相手に森の中の鬼ごっこを挑むとは悪手でござったなあ!
拙者のボッチ生活……じゃなくて過去の訓練の成果を見せる時でござる!
木々で反響する
音は頼りにせずに、折れた枝や踏みしめられた草など、人が通る事で癖の付いた周囲の環境を見抜き、先に仕掛けておいた罠の地点までアレックスを追い詰めていくでござる!
現れるフリーダムモンスターは龍陣鎖で足止めしつつ手裏剣やクナイの投擲で仕留めていくでござるぞ!
罠の所まで誘導した時点で龍陣忍法発動でござる!
お主は逃げていたのではなく、最初からこの場に自らの足で来させられていたのでござるよ!
古森・ちゆり
ぴゃ、ぴゃーん!!ここで逃がしちゃったら、また同じような事をされちゃうよぅ……!!
い、とにかく今は逃がさないようにしないと……!!
周りに『ちゆりねっと』を急いで張って、ちょっとでも、邪魔をやってみるよ…!
邪魔が多くなれば、「演奏(=炎の制御)をしながら逃げる」のは難しくなるもん……!
それに……お願い、『女神の織糸
』……!【運命を紡ぐもの】……!
範囲内に居るなら「運命を紡ぎ、干渉する力」で動きを止めるよ…!
同時に、みんなの傷を「巻き戻して」癒すよ。そして、ちゆり自身も『赤弓手』からの妖気の矢で狙い撃っていくよ……!
※アドリブ・連携歓迎、だよ
さすが、決断が早いと龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)はアレックス・ラインの行動に敬意を抱いた。
己の役目を知り、迅速に行動する。
戦においての鉄則である。
もっとも、この場所が森でなければ、鬼ごっこでなければの話。
咲花は忍者である。
まさしく、森はホームグラウンドも同然であった。
「早い……」
アレックス・ラインすらも舌を巻くほどの速度で咲花は彼を追いかけた。
「なぜこちらの居場所がわかる?」
「目、でござるよ」
どうせ音は反響する。
ならば彼の奏でるロックなど聞き流し、誤魔化しようのない証拠を手掛かりにするまでのことだ。たとえば折れた枝、もしくは踏みしめられた草――それにアレックス・ラインは気づいていない。既に彼は咲花が事前に用意した罠に片足を突っ込んでいるも同然であった。
「ぴゃ、ぴゃーん!! まってぇ
……!!」
古森・ちゆり(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35520)は息せき切って、周囲の森にありったけのちゆりねっとを張り巡らせた。
とにかく急いだのでちょっと形はいびつだが、威力は十分。
「む――」
アレックス・ラインの足元に数本の蜘蛛糸が絡みついた。引き千切る間に咲花が背後にまで迫る。かき鳴らすビートがフリーダムモンスターを召喚する。
「なんの!」
咲花はすかさず龍陣鎖でそれらを薙ぎ払った。
「お願い、『女神の織糸』……! 力を貸してっ
……!!」
くるくると糸巻き棒に巻かれた織糸が運命を弄ぶ。それは疑似的な運命の糸症候群を呼び起こし、アレックス・ラインの行動を引き留め、巻き戻すための作用を果たす。
「なるほど、これは侮りがたい……」
アレックス・ラインは炎を操りながら愚痴をこぼした。
咲花のクナイと手裏剣がフリーダムモンスターを貫き、消滅へと誘う。条件は揃った。咲花はアレックス・ラインを追い込んだところで、両手に印を結ぶ。それが合図。
「かかったでござるな!」
「しまッ――」
そう、アレックス・ラインは最初からこの場所に誘導されていたのだ。昼間のうちにキャンプを楽しみながらあらかじめ仕掛けておいた複数のクナイ、それらが取り囲む内部へと。
「ぐああッ」
炎竜ムシュマフの吐く毒霧と黒炎に巻かれ、呻く相手の胸元へちゆりは赤弓手の掌を向けた。
巻き戻ったおかげで火傷も癒えて体が軽い。
「あたってぇ
……!!」
もう片方の手で手首を抑え、反動に耐えながら放つ妖気の矢が燃え盛るアレックス・ラインの心臓を貫いた。
「うッ――」
「ぴゃ!?」
ぎろりと睨んでくる目に、ちゆりは「はうう」と怯える。でも、負けない。ここで逃がしたらまた同じことをされるだけ。そんなの絶対に、絶対に、させないんだから……!
大成功
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レンフィート・ディアレスト
やあ、14年ぶり……って逃げた!?
失せ物探しのプロ、探偵と鬼ごっこで勝負する気か、面白い――
とはいえ、脚にはあまり自信がないな。
少し乱暴に行こうか。
【探偵儀式】!
人々の嫉妬の源、イベントを楽しめない原因!その犯人は貴方だ、アレックス・ライン!
この黒馬のナイトメアがその証拠!貴方が台無しにしたから、人々はイベントを楽しめなくなったのです!
……順序が逆な気もするけど、それくらいの無理矢理さが丁度いいかな。
召喚されたナイトメアを証拠品扱いして逆利用、突撃する勢いのままアレックスに叩きつける。
流石に黒馬が粘着していたら脚も遅くなるだろうし、逃走経路を推理して追跡。
追い詰めてガンナイフをお見舞いしよう。
シモーヌ・イルネージュ
やっと登場したというのに、もう逃げ出すのか。
これから戦うんじゃなかったのか。残念だな。
でも、追いかけるのは得意なんだ。
狼だからね。
使い魔『サテリット』を空に放って、上空から【追跡】させると共に、サイバーアイでも痕跡を探して、追いかけよう。
追いついたら戦闘開始。
黒槍『新月極光』で戦おう。
まずはUC【山紫水明】で防具に【水の魔力】を付与して、アレックスの炎の攻撃を防げるようにしておこう。
次にこちらからの【カウンター】として、【怪力】でもってぶん殴ろうか。
アンタ、音楽のセンスいいね。こっちもノリノリだ
暗都・魎夜
【心情】
侵略蔵書の完成が間に合わなかったとみるや、即座の逃亡か
これだからナイトメアビーストって連中は手強い
あいつらの能力自体よりも、こうやって自分の弱さを自覚して、勝つために全力で武器にする姿勢は本気で脅威だぜ
【戦闘】
「闇に潜む」とUCで気配を消し、「索敵」で捜索
「空中機動」「ダッシュ」「悪路走破」で追跡
「一応聞いておくけど、投降する気はないか? うーちゃんについて詳しく聞けるなら、命は保証するぜ」
「じゃ、本気で行くぜ、イグニッション!」
「火炎耐性」で防御
「リミッター解除」「生命力吸収」で闇のオーラをまとった「捨て身の一撃」で攻撃
ったく、声かけてくれたら肉とビール位は奢ってんだよ
パウル・ブラフマン
他猟兵さん達との戦闘音や
【第六感】を頼りに森の中をGlanzに【騎乗】したまま捜索。
―…見ィつけた!
探したんだよぉ、アレックス・ライン!!
(絵師様的な意味で)羨ましい顔面しやがってマジ絶対に許さないかんね☆
セッションも楽しそうだけど山火事になるのはご法度。
アレックスの腕を狙って―UC発動!
繋いだ鎖で物理的に演奏を妨害し、同時に逃走も阻止したい。
日頃鍛えた【運転】テクで炎の渦を回避しながら
展開したKrakeの四砲を向け、【一斉発射】をお見舞いしたいな♪
キミの主は『山田さん』について知ってるっぽい?
どこまで話が浸透してるか知らないけれど
オレの理想を阻む可能性がある芽は全部摘ませて貰うよ、ゴメンね。
さぁ、鬼ごっこの始まりだ。
逃げるのはこの事件の首謀者――即ち
犯人。
「おいおい、見事な逃げっぷりだな。14年ぶり……なんて挨拶する暇さえありゃしない!」
レンフィート・ディアレスト(探究の貴・f38958)はあきれ顔で失せ者探しのプロとしての技を披露した。
「!?」
突如、己の呼び出した黒馬のナイトメアが
粘着してきたのでアレックスは怪訝な顔になる。
「貴様の仕業か!?」
「探偵と鬼ごっこで勝負するなんて慢心をみせるからですよ」
レンフィートは探偵の顔でにこりと微笑んだ。
「人々の嫉妬の源、イベントを楽しめない原因! その犯人は貴方だ、アレックス・ライン! 証拠は――その黒馬です!」
「くッ」
なんて推理だ。
力技で順序をひっくり返したレンフィートの探偵儀式のおかげでアレックスは黒馬を背負ったまま逃げるしかない。
「せっかく登場したのに、いきなり逃げ出すなんてどうなんだい?」
シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)の掲げた右手から飛び立つ使い魔の名を『サテリット』。
とても賢い子は目立つ黒馬をくっつけて逃げるアレックスを上空から捉える。シモーヌの左目が機械的な光を帯びた。
「狼からは逃げられないよ。戦わずに逃げたことを後悔させてやろう」
まさしく獲物を追う獰猛な獣の如き疾駆で森を抜ける。多少の崖など構わない。サイバーアイの示す最短距離をシモーヌは軽々と跳んだ。
なにしろ大自然のキャンプ地である。
ちょっと道を外れただけで滑落の危険がある山道だ。
暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は闇に紛れ、追跡者としての気配を絶つ。それにしても足場が悪い。目の前に突如現れた小川を悪路走破で駆け抜け、崖は空中機動でひとっ飛び。
(「あそこか」)
木々の合間を縫うように峠を越えて隣の山へ入ろうとする間際のアレックスを索敵完了。着地と同時に逃げ場を塞いだ。
「戦略的撤退って奴か? ご苦労さんだな」
「ち……」
「一応聞いておくけど、投降する気はないか? うーちゃんについて詳しく聞けるなら、命は保証するぜ」
「ない、と言ったら?」
「本気で行くまでだな」
――イグニッション。
アレックスの演奏からなる炎の渦を、魎夜は真っ赤な手甲で薙ぎ払うような仕草で受け流す。
「悪いが、炎耐性には自信があるんでね」
まるで意思を持っているかのような闇のオーラがアレックスを捕まえ、限界を知らない吸収力を発揮した。
「く……」
アレックスが奏でるロックの演奏に翳りが見え始める。その隙をシモーヌが逃すはずがなかった。リズムに乗って水の魔法が踊る。
「どうしたんだい? アンタの音楽のセンス、アタシは嫌いじゃないよ!」
炎渦を跳ねのけるのはシモーヌを守護する水魔法のヴェールであった。くるりと手元で回転させた黒槍の穂先でアレックスを容赦なくぶん殴る。
「馬鹿力が……!」
「誉め言葉だね」
片目を閉じ、余裕で応じる。いつしかバイクのエンジン音が近づいてきていた。パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は騎乗したGlanzのアクセルをさらに全開する。
「――……見ィつけた!」
ドリフトで戦場へ駆けつけながら、にや、と唇の端を嬉しそうに吊り上げて。
「探したんだよぉ、アレックス・ライン!! 近くで見たら一層羨ましい顔面しやがってマジ絶対に許さないかんね☆」
「が、顔面?」
「
Just my type♪」
炎渦をバイクの蛇行で切り抜け、首輪から伸びる鎖で一気に爆破を仕掛けた。サテリットは黒い翼を広げ、戦場の上空を悠然と滑空しながらその火柱を確認する。
「もう逃げられないね!」
ちゃり、と互いを繋いだ手錠を見せつけ、Krakeの四砲を全て解き放った。あまりにも苛烈な火力はアレックスをその場に縫い止め、レンフィートが追いついてガンナイフを突きつけるための時間を稼いだ。
「……推理通りの逃走経路だったな。覚悟はいいかい、人々からイベント楽しめなくして休日を台無しにした罪は償ってもらうよ。君の命でね――!」
レンフィートはガンナイフの引き金を引いた。軽い反動と共に満身創痍のアレックスを撃ち抜いて地面に膝をつかせる。
「ぐはッ……」
「ったく、声かけてくれたら肉とビール位は奢ってんだよ」
魎夜は眉をひそめ、心底から残念そうに言った。
もはや自分の力で立つことすら叶わないアレックスの前にパウルが停車する。アレックス・ラインはハビタント・フォーミュラから山田の名前を聞いていた。
それが何を意味するのか? きな臭い話だと思う。
「いったいどこまで話が浸透してるんだろうね。もっとも、オレの理想を阻む可能性がある限りは見逃してやるつもりゼロなんだけど」
ゴメンね、なんて言ったところで救いにならないことは承知している。
既にアレックス・ラインは消滅し始めていた。パウルは愛車のハンドルに肘を置いて最期まで見送る。まったく最高のキャンプ日和だった。皮肉じゃなく、わりと本気で。
大成功
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