Plamotion Champions Ship
●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。
プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られないだろうから。
●ワールド・ビルディング・カップ
略してWBC。
その決勝戦が行われようとしている。
途中、バトル・オブ・オリンピアが勃発したり、WBC会場がギャラクシィリーガーたちによって破壊されたり、準決勝で『フィールド・オブ・ナイン』のサッカーフォーミュラ『エル・ティグレ』が対戦チームに加入したりと、まあ、字面だけでも大変であったことが伺えるだろうか。
だが、ついに。
ついに決勝戦を迎えることができたのだ。
決勝戦に上り詰めたのは猟兵たちも知るプラクトチーム、日本代表『五月雨模型店』とロシア代表『グリプ5』だった。
「で、なんで此処まで決勝戦が延期されていたかって……そりゃ、相手チームがなんか長いこと行方不明だったからだよ」
『アイン』と呼ばれる少女は猟兵たちに告げる。
いつものように『五月雨模型店』に彼女たちはいた。
せっかく準決勝の激戦で損壊したホビーを完璧に修繕したというのに、かれこれ二ヶ月ほどお預けを食っていたのだから当然と言えば当然であろう。
「でも、ようやく対戦チーム『グリプ5』の選手たちと連絡がついたんですよ」
「うむ! 重畳! 試合ができる!」
「で、でででも、『グリプ5』なんてチーム、聞いたことがないです」
『ツヴァイ』と呼ばれる少女、『ドライ』と呼ばれる少年の言葉に『フィーア』と呼ばれる少女が首をかしげている。
そうなのだ。
第二回を数える『プラモーション・アクト』、略して『プラクト』の世界大会であるが、有力なチームというのは絞られる。
『五月雨模型店』のように今大会が初出場というチームは情報が少ないように、『グリプ5』と呼ばれるチームも同様だった。
「同じ初出場同士の戦いってわけだな。それにしても……『グリプ5』? まったく聞き覚えがねーな。変な名前」
「そんなことを言うものじゃない」
彼女の言葉にチームメイトではないが『ゼクス』と呼ばれる少年が言う。
彼は嘗て、ダークリーガーと猟兵による共同厚生作戦でもって金持ち坊っちゃんから、ひたむきなアスリートへと改心した少年だった。
「君たちと同じように新興チームだが、その実力は未知数だ。特にチームの『エース』、『ズィーベン』というアスリートは油断がならない」
「試合を見る限り、アスリートとしては凡庸そのものに見えますが……」
「だが、見ろ! 彼女の周囲の状況を! なんだかんだと状況が彼女に味方するようにうまいこと好転していっている!」
「こ、こ、こここ『幸運』にも程がありますよぅ!?」
そう、『ゼクス』が見せてくれた試合動画では、『ズィーベン』と呼ばれる少女が使う水色のロボットホビーが動きこそ平凡そのものであるが、偶然に偶然が重なるようにして敵が自滅するなり、または絶好の機会が巡ってきて、棚ぼた式に倒してしまっているのだ。
「んだよ、ラッキーパンチかよ!」
「ああ、だがラッキーパンチが百重なれば、それはもう偶然とは言い難い」
「運を味方に付けた相手、というわけですか」
「運も実力のうちというからな!」
「て、ててて手強いですね!」
だが、そんな幸運を味方につけた決勝戦の相手にも彼女たちはむしろ、戦意をみなぎらせていた。
運も実力の内だというのならば、それさえも乗り越えていくと言わんばかりだった――。
●決勝戦
「……なんと?」
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)はアスリートアースにて己が対峙している存在を前にして目を見開いていた。
そう、彼女の眼の前にいるのは『Mr.ホームラン』であった。
『フィールド・オブ・ナイン』の一人であり、フォーミュラを生み出すという規格外なる能力を持つ存在である。
「だから、バトル・オブ・オリンピアも終わったことだし、俺達とお前たちで夢の『オールスターマッチ』をやらないか、という提案だよ」
「いえ、わかりますけど。わからないのは」
「未公式競技『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の世界大会の決勝戦が行われるだろう。その場で『プラクト』トップアスリート集うチームと最強マルチプレイヤーである猟兵、君たちとで『最高峰のスポーツ試合』の決勝戦を行おうじゃあないか、というのだよ」
彼の言葉にナイアルテは、なるほど、と思った。
「つまり、これを機会に貴方がたと私達、そしてアスリートアースの人々のスポーツに対する愛と意識をもっともっと高めよう、と?」
「そいうことだ! すでに君たちがよく味方している『五月雨模型店』と決勝を争うチーム『グリプ5』の選手たちは我ら『フィールド・オブ・ナイン』の薫陶を受けている! 事後承諾になって申し訳ないが!」
本当にそうである。
彼らの薫陶を受けた、ということは即ちダーク化したってことである。
「いえ、乗らない手はありません。これまで私達は『五月雨模型店』の皆さんを手助けしてきました。ですが、それは彼女たちが弱かったからではありません」
ナイアルテの瞳は爛々と輝く。
そう。彼らは決して弱くない。ダークリーガーという横槍さえなければ、純粋なアスリート同士の試合であれば、きっと優勝していてもおかしくなかったのだ。
「ほう? ならば……」
「私達猟兵は、貴方がた『フィールド・オブ・ナイン』を相手取りましょう」
彼女の言葉に『Mr.ホームラン』の背後にいた他のフォーミュラたちが顔を出す。
超スピードを誇る『ウィルアム・ローグ』、暗黒星雲ボールを操る『エル・ティグレ』、時間遡行能力を喪ってなお万能を誇る『時宮・朱鷺子』、二刀流にて年は階級魔術を操る『宮本・武蔵』、怪力と四次元殺法が自慢の『デスリング総統』たちであった。
猟兵達は、このフォーミュラたちに対処しなければならない。
それも『プラクト』という縛りの中で、である。
だが、それでもやらねばならぬ。
この世界、アスリートアースにスポーツに対する愛と意識をさらに高めさせる機運をしめすためには――!
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』のチーム『五月雨模型店』を救うシナリオになります。
※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。
●第一章
集団戦です。
『プラクト』世界大会WBC決勝戦です。
『フィールド・オブ・ナイン』の薫陶を受けたチーム『グリプ5』のアスリートたちは皆ダーク化されています。
『フィールド・オブ・ナイン』直々に特訓を受けたので、精鋭も精鋭です。
もともと能力が高いのですが、さらに拍車をかけるように能力が向上しています。
そんでもって、多くが『バッド・サイクロン』と呼ばれるほどに回転ホビー『プラブレード』を操り、自らも凄まじく回転しています。
容姿が全然わかんないです。
●第二章
ボス戦です。
試合は佳境に入ります。
『グリプ5』の『エース』、『ズィーベン』と『五月雨模型店』の面々の戦いも最高潮……ですが、大人気なく『新生フィールド・オブ・ナイン』たちが、さらに試合を盛り上げようと乱入します。
彼らも人型のホビーを操っています。
なお、『キャンピーくん』はおらず、フォーミュラたちに見出された有望な『プラクト』アスリートが三人追加されています。
彼らの操るホビーは合体し、巨大ロボットホビー『超合体フィールド・オブ・ナイン』として皆さんに迫ります。
『新生フィールド・オブ・ナイン』の全ての能力を同時にユーベルコードと共にぶっ放してくる反則の塊みたいなホビーですが、ルール的にはオッケーなので、彼ら全員の能力に対処しなければなりません。
それでは、新たなるスポーツ競技『プラクト』を巡るダークリーガーと戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『バッド・サイクロン』
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POW : レッツ・ゴー・サイクロン!
レベルm半径内を【クソザコ三半規管空間】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【ぐるぐるバットの回転数・速度】が強化され、【状態異常抵抗率、無効化、反射、回復など】が弱体化される。
SPD : スピニング・イェーガー!
【体勢を崩す】【回復阻害攻撃】【時間稼ぎ】と【束縛】【ロープワーク】【気絶攻撃】を組み合わせた独自の技能「【猟兵ブレード】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ : 虹色の彼方
【🌈】のオーラを纏い、自身の【ぐるぐるバット】競技力と【猟兵ブレード】競技力を2〜8倍にする(競技が限定的である程強い)。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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遂に始まったWBC決勝戦。
マッチングカードは、二枚。
そう、猟兵たちがよく知るチーム『五月雨模型店』と、彼らと同じく今大会初出場の『グリプ5』である。
「運だけで此処まで来ちゃったけれど、いいのかな」
『グリプ5』の『エース』である少女『ズィーベン』は、少し不安げな顔をしていた。
彼女を含め、チームメイトは全て『新生フィールド・オブ・ナイン』の薫陶を受けてダーク化している。
もともとの実力もあれど、彼らの特訓を受けてさらに実力が向上しているのだ。
それでも彼女は自分の能力に不安を覚えているようだった。弱気になっているのだろう。
そんな彼女の背中を叩くのは『エル・ティグレ』であった。
「背筋を伸ばしな! 気持ちで負けていたら、どれだけ実力があっても勝てないよ!」
「そのとおりだ。勝負とは、試合が始まる前から始まっている。精神を統一し、集中しよう。さすれば、思い出すはずだ。あの特訓の日々を。あの喜びも、憧れも、苦悩も、辛さも。それらの全ての総決算だ」
『宮本・武蔵』も告げる。
彼らなりの励ましだったのだろう。
「グロロロ! なに、ワガハイたちもついている! 大船に乗ったつもりでいるが良い!」
「全力で挑み、越えていく。いつだって、人の限界とはそういうものだ」
「『デスリング総統』……『ウィリアム・ローグ』さん……」
「グロロロ!? なんでワガハイだけ、敬称なしなのであるか!?」
「え、だって、総統が敬称だとばかり!」
「うむ、ならばよし!」
「緊張はほぐれたか、『ズィーベン』」
彼らの様子に『時宮・朱鷺子』は笑む。実力を発揮すれば、とはよく言うが、しかし、こうしたチームメイトたちが緊張に固くなった選手の心をとくほぐすのもまた競技における一つのやり方だろう。
『新生フィールド・オブ・ナイン』は、しっかり『ズィーベン』の師を、コーチをやっていたと見える。
「ならば、行こうか。最高の試合にしよう! 全員集合だ!」
『Mr.ホームラン』の言葉に『グリプ5』のチームメイトたち全員が頷く。
決勝戦だから、ではない。
これもまた試合だからだ。最高の試合を。
『プラクト』という未公式競技なれど、しかし、アスリートであれば真剣勝負こそが本領。
自分の持てる最大の力を発揮すべく、彼らは気炎を上げて、フィールドに己のプラスチックホビーを投入し、虹の輝きを放つのだった――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
陰海月、いつも大会ページ確認してたんですよねぇ。私も気になってましたし。
では、参りましょうか。
赤い『起動宇宙騎兵』にて。久々ですねぇ。
そして、本当に相手の姿、わかりまけんねー…。
ランナーを削り出した『ミニ漆黒風』をUC付きで素早く投擲していきましてー。
今回のは、内部からの支援『重力属性攻撃』もついてますので、弾けませんよー?
※
陰海月「ぷきゅ!」
決勝戦、待ってた!ポンポンもって応援!
霹靂「クエッ!」
今回も騎馬部分担当!これまでのプラクト戦での戦闘知識を活かして、そのブレードは見切っていく!
未公式競技ながら『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の人気は世界規模で注目されるほどであった。
自身で作り上げたプラスチックホビーを操り、競い合う。
ホビースポーツであるが、その幅の広さは最早語るまでもないだろう。
「よかったですね、『陰海月』」
そう言ったのは、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』であった。
「ぷきゅ!」
本当によかった! と巨大なクラゲである『陰海月』が頷いてる。
そう、世界大会が執り行われていたのだがバトル・オブ・オリンピアと重なったり、スタジアムが破壊されたりで延期を重ねていたのだ。
加えて、決勝戦である。
決勝に進出したチームの一つが突如として連絡が取れなくなって開催が危ぶまれていたのだ。
だが、今回のことで漸く理解する。
「フォーミュラたちの薫陶を受けていたとはねー」
赤い『機動宇宙騎兵』を久しぶりに操り『疾き者』はフィールドを疾駆する。
迫るのは『プラブレード』である。
一度戦ったことがあるプラスチックホビーである。
高速回転によって凄まじい機動力と攻撃力を兼ね備えている。アスリートの実力が高ければ高いほどに、機動力と攻撃力が跳ね上がるのだ。
加えて、ダーク化アスリート『バッド・サイクロン』たちのユーベルコードが煌めく。
「機動力が売りなら!」
『プラブレード』より放たれるワイヤーローブが『機動宇宙騎兵』へと迫る。
「なるほど、回転によって射出する速度を増す、と。考えたものです。こちらの行動を阻害しつつ、回転による斬撃を繰り出す……こちらを一方的に攻撃するつもりですかー」
『疾き者』は『バッド・サイクロン』たちの意図を読み解き、即座に手にした棒手裏剣を放つ。
素早い投擲によって棒手裏剣は『バッド・サイクロン』たちの操るプラスチックホビーの回転軸、その中心を穿つのだ。
「っ!? なんで弾けない
……!?」
「無論、二度目だからですよー。重さと速さ。掛け合わせる事によって力となりましてー。これによって一撃が重くなるのですよー」
さらに、と迫る『バッド・サイクロン』たちの機動に負けぬ騎馬の疾駆。
「クエッ!」
騎兵に騎馬はつきもの。
騎馬を操るのはヒポグリフ『霹靂』である。
「二人で一つ!?」
「ルール的には大丈夫だそうで。結局、プラスチックホビーを操る者がいるのといなのと違いでしょうねー」
『霹靂』が嘶くと同時に騎馬が戦場を疾駆し、迫る『バッド・サイクロン』の『プラブレード』の挙動を撹乱する。
これまで積み重ねてきた戦いがある。
それを何一つ無駄にはしない。
いつだってそうだ。経験は己の中に蓄積されていく。
それをどう使うかこそが、アスリートの才能でもあるのだろう。そういう意味では『霹靂』にはアスリートとしての才能があった。
惜しむらくはヒポグリフである、ということであろうか。
だが、そんなことは今は関係ない。
「のびのびと戦いましょう。それがスポーツというものですからー」
駆け抜ける騎馬と共に騎兵を操る『疾き者』は笑み、世界大会の決勝戦に相応しい戦いぶりを見せつけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
吐院・ぐるめ
ぐるぐるバットをするわ
今回は『強行』するしかないわね
わかるかしら。キャプテンとしての使命を全う出来ずに何もかもを持ってかれた私の気持ち
『グリプ5』と同じ『プラブレード』を使うわ。ただし、私の好みに改造するけどね。耐久型よ。フィールドの中心に坐す姿はまさに
王……レッツ・ゴー・サイクロン!
知ってるわよ、その動き。その、容姿すらも判断出来なくなるほどの回転。目が回るわよね。目が回って、私みたいに🌈塗れになるわよね……
限界突破で回転を維持するわ。絶対に、ええ、絶対に、今日だけは倒れてやるもんですか……私こそが最強のぐるぐるバットアスリートよ
正気に戻りなさい!
キャプテンのお帰りよ!!!
『バッド・サイクロン』と『バット・サイクロン』。
字面だけであるのならば、ん? どっちだっけ? となるだろう。ならない? なるでしょ。なった。はい、なったー。
というわけで、吐院・ぐるめ(虹色の彼方・f39773)は同じく未公式競技である『プラクト』のフィールドに乱入する。
「ぐるぐるバットをするわ」
彼女の瞳は輝いていた。
虹色の輝きをたたえるかのような輝き。
なんかこう、三半規管がクソザコで、いつも青い顔をしている彼女であったが今日はひと味違った。いや、いつも通りの顔色であるが、漲る気魄が違ったのである。
「こういうのも気が引けるのだけど。今回は『強行』するしかないわね」
いつもの彼女らしからぬ態度である。
なんで?
「わかるかしら? キャプテンとしての使命を全うできずに何もかも持っていかれた私の気持ち」
え、どういう……?
「え、どういう?」
対戦チームにして決勝戦を争う『プラクト』の『エース』、『ズィーベン』は首を傾げた。
「『バッド・サイクロン』はダーク化された『バット・サイクロン』の選手たちなのよ!『ぐるぐるバット』を公式化するため他のスポーツの試合に乱入して『ぐるぐるバットの試合』にする! そのキャプテンが私! この決勝戦もあわよくば『ぐるぐるバット』の試合にしようと思っていたの!」
だが、しかし、ぐるめは猟兵である。
これが猟兵の流儀であるというのならば従うまで。
そう!
真っ向勝負で回転する。
即ち、『プラブレード』を『モーション』タイプで動かすというのだ!
そんな、ぐるめさん! そんなことをしたらあなたの三半規管が! 何処か遠くで転移を維持しているグリモア猟兵の声が聞こえたような気がした。
「いいえ、だからこそよ……レッツ・ゴー・サイクロン!」
ぐるめの投げはなったプラスチックホビー『プラブレード』がフィールドにて回転を始める。
「こちらと同じホビーを!」
「ならば、この虹の彼方に吹き飛べ!」
『バッド・サイクロン』たちがユーベルコードによって虹色の輝きを纏う。
否、🌈である!
絵文字! ここに来てまさかの絵文字表現である。
「知ってるわよ、その動き。その容姿すらも判断できなくなるほどの回転。目が回るわよね」
わかる、とぐるめは頷く。
彼女自身もひどい回転をしていた。
操縦パーティションの中で彼女は『ぐるぐるバット』の基本姿勢(グルグルバット)を取っていた。
これが基本にして正道、そして王道である。
「まさか! それは……! 基礎にして基本! そして、王の姿勢……!」
「馬鹿な、そんな姿勢で回転すれば三半規管がずたずたになって、🌈してしまうぞ!?」
だが、ぐるめは止まらなかった。
いや、止められない。
見ているだけでめまいがしてくる。
次々と『バッド・サイクロン』たちが操縦パーティションで嘔吐してしまう。
彼女の動きを見ているだけで思い出してしまうのだ。
あのひどく辛い特訓の日々を。
フィールドの中心にて坐す姿はまさに
王!
そう、ぐるめは『バット・サイクロン』のキャプテンである。
「絶対に、ええ、絶対に、今日だけは倒れてやるもんですか……」
彼女の気魄は🌈に輝く。
自身が最強の『ぐるぐるバット』アスリートであると証明するために。
「正気に戻りなさい! キャプテンのおかえりよ!!!」
そんなぐるめの言葉を『バッド・サイクロン』たちは誰も聞いていなかった。違う。聞くことができなかったのだ。
なぜなら、敵陣容は貰い🌈で大変なことになっていたからだ!
あっと、ここでコマーシャルでーす!
『ぐるぐるバット』、『ぐるぐるバット』をよろしくお願いしまーす――!!!
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
「つゆ払いだ。こっちも回転をぶつけて……と思っていたが他の奴が回っているな。ならば、こちらは
からめて行くか。」
アイテム:プラクト機体『ナタク』をモーションタイプで操縦し参加します。
RXS-Lバトルアンカーの鎖を使用し、『プラブレード』に巻き付けます。
止まるなら良し、止まらぬなら軌道修正。鎖を引っ張り、別の『プラブレード』にぶつかるように方向転換をさせます。
アドリブ・連携歓迎です
WBC世界大会決勝ともなれば観客席の盛り上がりは凄まじいものだった。
フィールドを見つめるカメラの台数だってそうだ。世界中が注目している。第二回大会ながら、今日という日に世界一のチームが決定する。
激突するは『五月雨模型店』と『グリプ5』と呼ばれるチームだ。
だが、この決勝戦に水を差すというか、さらなるアスリートアースのスポーツに対する愛と意識を高めるべく余計なお節介をしようという者たちがいる。
言うまでもなく『新生フィールド・オブ・ナイン』である。
彼らは『五月雨模型店』の対戦相手、決勝の最後のカードである『グリプ5』に薫陶を授け、ダーク化してしまったのだ。
「回転を上げよう! もっと、もっともっともっと回転して!!」
『バッド・サイクロン』と呼ばれる『グリプ5』のダーク化アスリートたちが操る『プラブレード』でもって回転を始める。
プラスチックホビー自体が回転している。
『モーション』タイプでの操縦は、はっきり言って無理だ。『マニューバ』タイプでなければ、機体の回転に三半規管がついていかない。
だが、『バッド・サイクロン』達は『モーション』タイプで『プラブレード』を操っているのだ。
「正気の沙汰じゃないな。露払いに回転をぶつけようと思ったが!」
迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は己の機体『ナタク』をフィールドに投入し、己が動きをトレースする『モーション』タイプでもって動かし、『バッド・サイクロン』たちが操る『プラブレード』へと立ち向かう。
「回転は正気狂気なんて関係なく巻き込んでいくものだから!」
「その意気込みはすごいとは思うが、こちらは
からめてで行くぞ」
ナクタは不敵に笑む。
その挑発的な言葉に『バッド・サイクロン』たちは彼に狙いを付けた。
生意気にも此方を挑発したのだ。
目にもの見せてくれると『プラブレード』が『ナタク』へと迫る。
四方八方から虹色の輝きを纏って迫る『プラブレード』は触れれば、それだけでナクタのホビーを両断するだろう。
まるで丸鋸のように迫っている。
だが、ナクタの瞳がユーベルコードに輝き『ナタク』がバトルアンカーを掲げる。
「お前はここで停泊だ!」
放つは、RXS-Lバトルアンカー(トイロボセンヨウバトルアンカー)。
その一撃はただ単純な問うてうであったが、しかし、ナクタの本命はバトルアンカーに接続されたチェーンだった。
「回転は確かに脅威だが、
からまる!」
そう、『ナタク』の放ったバトルアンカーは、そのチェーンでもって『プラブレード』に絡みつき、その動きを止めるのだ。
だが、火花が散っている。
まだ回転をやめていないのだ。
「まだ回転は! 終わらない!」
「よい気魄だ。だからこそ、使わせてもらう」
ナクタはアンカーに接続した『プラブレード』を振り回すようにして絡めて、その機体自体を別の『プラブレード』へと叩きつけるのだ。
ユーベルコードによって捕縛された『プラブレード』は回転以外の動きができない。
ナタクは、敵の機体自体を己の武器にしてしまったのだ。
「私の機体を!?」
「そうだ、
からめてと言った。創意工夫次第でこんな使い方もできる」
どんな道具にだって規定の使い方があるだろう。
けれど、基本を抑えて型を覚えたのならば、次はその型を破る時だ。
ナクタは己が体を動かして、チェーンに絡まった『プラブレード』を己の武装の延長線上にすることで迫る『グリプ5』の精鋭たちを相手取るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
決勝大一番ッ!助太刀に来たぜッ!
「…ご助力いたします。」
このド派手な舞台にはド派手なプラモが必要だよな。つまり今まで組んだプラモの中でインパクトがある…そう、『メカ怪獣王』だああああッ!
「…そのプラモ、五月雨模型店の店主さんに寄贈したやつでは?」
このために店長に一時的に返してもらった。
マニューバ操作で群を抜く巨体プラモによる重厚な動きで世界中の男達の魂を震わせてやるぜッ!
「…目的は、フィールド・オブ・ナイン打倒ですよ?」
目からビーム、フィンガーミサイル等々で大暴れよッ!派手に動いて敵を惹き付ければチーム『五月雨模型店』も動きやすくなるだろッ!
オラ、【大火炎大息吹】くらえッ!
【アドリブ歓迎】
大一番。
それはWBC決勝戦。
今日という日を夢見た『プラクト』アスリートたちは、星の輝よりも多かっただろう。競技者である以上、いつだって目指すは頂点である。
頂きに立つこと。
それこそが最大のモチベーションなのだ。
だからこそ、如何に未公式競技と言えど、その決勝戦は格別の思いで挑む者たちが多かったのだ。
だからこそ。
『新生フィールド・オブ・ナイン』がスポーツへの愛と意識を高めようとするのだ。
『決戦大一番ッ! 助太刀に来たぜッ!』
赤い鬼面の歯が打ち鳴らされるようにして声が響き、そしてフィールドに降り立つのは巨大な塊であった。
そう、我々は知っている。
その鋼鉄の!
その尾を! その鋭い爪を! その居並ぶ牙を! その鱗を!
咆哮を!
『これが俺の! メカ怪獣王だあああああッ!!』
赤い鬼面、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)が叫ぶと同時にフィールドに降り立った『メカ怪獣王』が咆哮する。
彼の相棒である巫女、桜は彼に体を預けて半眼になる。
「……このプラモ、『五月雨模型店』の店主さんに寄贈したやつでは?」
そう、以前作り上げたプラスチックホビー。
これを『プラクト』に絡んだダークリーガーの事件を解決した折に使用したが、その後、凶津はこれを『五月雨模型店』に寄贈していたのだ。
ショーケースに収まっているはずだった。
だが、凶津は今日という決戦の日、決勝戦に相応しいホビーが何かと考えた時、これ以上はないと思ったのだ。
『快く店長は快諾してくれたぜッ!』
「図体ばかりが大きくても!」
「むしろ、的が大きくてやりやすい!」
ダーク化アスリート『バッド・サイクロン』たちが一斉に己たちが操る『プラブレード』と共に『メカ怪獣王』へと迫る。
巨体であるがゆえに小回りがきく『プラブレード』の回転鋸のような一撃を躱すことができないのだ。
その弱点を突くようにして『バッド・サイクロン』たちは一気に迫る。
しかし、凶津は不敵に笑む。
『フッ、カトンボみてーなホビーでこの『メカ怪獣王』をどうにかできると思うなよ! でっかいことは世の男たちの魂を震わせるぜッ!』
「……目的は、『新生フィールド・オブ・ナイン』打倒ですよ?」
『確かにそうだが、今はッ! このメカ怪獣王の勇姿を見せつけることが最優先だぜ! 世界中の男たちの雄叫びが聞こえるようだぜッ!』
桜は凶津の言葉に首を傾げる。
いやまあ、声援は聞こえるような気がするが。
『というわけで、目からビーム! フィンガーミサイル発射ッ! アイアンテイルでぶっ飛びなッ! そしてぇ……ッ!!』
そんな桜とは裏腹に凶津はノリノリであった。
派手に大暴れする巨体は『バッド・サイクロン』たちの注目を集めるものだった。
そう、これだけ大暴れすれば『五月雨模型店』のアスリートたちも動きやすいはずであった。
だが、それ以上にもう凶津はノリノリが過ぎた。
桜は頭を抱えそうになった。
これを壊してしまったら、店長になんて言えばいいのか、と。
『オラァッ! くらいなッ!! 大火炎大息吹(ダイカエンオオイブキ)ッ!!!」
『メカ怪獣王』の口腔より放たれるは炎の嵐。
それは、劇中屈指の名シーン。
その再現に世界中の『メカ怪獣王』ファンたちが叫び、さらなる盛り上がりを熱狂的な炎の渦と共に巻き起こすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
白山・仁瑚
ぐるぐるバットかー色んな競技があるんね
今度取材させて欲しい~!あと新生ナイン・フォーミュラの指導受けれるとか裏山よね…と、今はプラクトに集中しないとだわ
んじゃあ対戦よろしくお願いしまーすっ!
前の依頼で使ったプラクトで戦うわ。今回も頼むぜ相棒☆
とはいえ攻撃が厄介だわー攻撃はギリ神回避してるけどこのままだとピンチ不可避~…あとなんか相手の姿がよく分かんな~い
そうだ、UCの力をのせて写真撮っちゃお!
相手の姿も撮れて攻撃もちょっと防げてワンストーンツーバードじゃん
いえー、んじゃあ皆(競技の邪魔にならない程度に)かっこかわいいポーズよろしく☆
んで攻撃弾幕薄れたらそのまま攻撃するよー!
白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)は関心していた。
彼女とてアスリートアースのアスリートである。
それ故に多くのスポーツ競技というものを見てきたし、彼女の手にしたカメラのファインダーにおさめてきた。
フォトグラファーとしての活動故であっただろう。
だが、そんな彼女をしてなお未だ知らぬスポーツ競技があるのだ。
それがダーク化アスリート『バッド・サイクロン』たちが基礎として習得した競技『ぐるぐるバット』であった。
「いろんな競技があるんね」
仁瑚はとても関心していた。
正直言ってエモいと思った。どんな競技にだって情熱を注ぐ者たちがいる。
そのきらめきは彼女にとってかけがえの無いものであったからだ。
「今度取材させてほしい~!」
「今は試合中なので、後にしてもらえれば!!」
『バッド・サイクロン』たちの言葉に仁瑚は、それもうそうぢゃん! と頷く。
「そうだよね、ていうか!『新生フィールド・オブ・ナイン』にチョクで指導してもらえるとか、裏山!」
それはそうである。
曲がりなりにも『新生フィールド・オブ・ナイン』は、いずれもが卓越したアスリートたちである。
フォーミュラであるが、その真芯はアスリート魂に燃えているのだ。
アスリートの一人として羨ましくないわけがないのだ。
「でも、今は『プラクト』に集中! 対戦よろしくお願いしまーすっ! あっ、と!『プラクト』らしく言うなら、『レッツ・アクト』!!」
仁瑚はフィールドに己のプラスチックホビーを投入する。
美少女モデルのプラスチックホビーは、以前『五月雨模型店』で作り上げたものだ。
彼女のオリジナルとしてデコパージュされてキラキラ装甲に覆われたきらびやかな……そう、彼女らしいプラスチックホビーに仕上がっているのだ。
「今回も頼むぜ相棒☆」
「素晴らしい出来栄え! エモッ! でも負けない!」
迫るは虹色のオーラを纏った『プラブレード』たちであった。『バッド・サイクロン』によって高速回転した機体は、まるで回転鋸のようであった。
触れれば、回転と摩擦によって仁瑚のホビーは、如何にデコパージュの装甲があろうとも切り裂かれてしまうだろう。
だからこそ、彼女は回避に徹する。
「神回避ッ! っていうか、ピンチ! 不可避なんだけどぴえん! あとなんか回転しすぎて人……え、本当に人だよね?」
なんか虹色にも輝いているし。
これではジリ貧である。
「わたしたちの回転についてこれるものなどいない!」
絶対の自信。
きっと『新生フィールド・オブ・ナイン』との特訓で実力と共に自信も底上げされているのだろう。
エモい。
本当にエモい。
仁瑚は、そう思ったのだ。
だからこそ、彼女は激エモパララッチ!(ゲキエモパララッチ)なのだ!
「マジいーじゃん、ソレ!」
試合も忘れて仁瑚はカメラを構え、レンズに彼女たちの勇姿を収める。
瞬間、ユーベルコードが煌めく。
そう、彼女のカメラのレンズに捉えられ、シャッターを押された被写体は、その動きを止めてしまう。
「んなっ!? 回転が止まる!?」
「これぞワンストーンツーバードってヤツ☆ はい、みんな!かっこカワイイポーズよろっ☆」
仁瑚は笑ってレンズを向ける。
動きを止めた『プラブレード』たちは『五月雨模型店』のメンバーたちのホビーに撃破されていく。
だが、此処には生き死には関係ない。
互いの力を出し尽くした戦いがあるだけだ。
故に仁瑚は笑顔と共にシャッターを切るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
「そうか、気が付けば決勝かぁ…いや俺ぁ、あんま『五月雨模型店』の皆と関わった訳じゃねえが」
SPD
「それでも最後まで彼らが全力で戦える舞台を作る為に頑張りますとも。行くぞー!」
使うのは「ブルースティール」似のロボット型プラクトさ
時間たっぷりあった分しっかり現行機に改修済みなのさ
ツヴァイ達に改めて感謝さ
猟兵ブレードは軌道を瞬間思考力で見切って推力移動やジャンプ等で対処な
そんでプラブレードの心棒付近の地形を狙ってDHBのバズーカ弾を発射
爆撃で発生した衝撃波で空中に吹き飛ばし体勢を崩して回転を阻害させるぞ
完全でなくても少しでも弱まれば十分。UCを込めたCBRかCBBを叩き込んでやるぜ
アドリブ歓迎
感慨深いものがある。
それは『プラクト』の世界大会、WBCの決勝戦を迎えるに当たって、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)の心の中に生まれたものである。
確かに自身は『五月雨模型店』の面々とそこまで深い関わり合いがあるわけではない。
けれど、今までの試合を彼は見てきたのだ。
応援していたと言ってもいい。
そして、そんなことは些細なことだ。
関わりに深い、浅いなんてない。
今当に祐一の心の中にあるものこそが真実なのだ。だからこそ、彼は踏み出す。
そして。
「そうだ。俺は、最後まで頑張っているアイツらのために何かをしたいと思っている」
いつだって誰かのために何かをすることは尊いことだ。
確かに余計なお節介なんてこともあるだろう。
けれど、そうやって二の足踏んでいたら手に入れられないものだってある。
「お前たちが全力で戦える舞台を作るぜ! いくぞっ!」
祐一がフィールドに投入したのは、己の愛機でもある『ブルースティール』を模したプラスチックホビーであった。
時間はたっぷりあった。
改修し、現行の環境にアップデートしているのだ。関節駆動部や武装。
そして何より、カラーリングである。
「来てくれたのですか!」
祐一のホビーに気がついた『五月雨模型店』の『ツヴァイ』と呼ばれる少女が戦場に青い流星のように降り立った『ブルースティール』を見やる。
「ああっ、こっちは任せておけよ!」
迫るはダーク化アスリートが操る『プラブレード』であった。
高速回転による変幻自在な機動に、回転鋸のような鋭い斬撃。
触れれば、それだけで装甲が両断されることが理解できる。はっきり言って手強い相手だ。流石は決勝戦であるといえるだろう。
「疾いな!」
「わたしたちの回転を止められるものか! この日のためにわたしたちは地獄の特訓を乗り越えてきたんだ!」
祐一は『新生フィールド・オブ・ナイン』たちの薫陶、特訓というものが如何なるものであったのかを察する。
超人アスリートたちをして地獄と言わしめた特訓。
想像しただけで祐一は寒気がする思いであった。
「ええい、そんなん俺達だって他のみんなだって一緒だろ!」
迫る『プラブレード』の斬撃を『ブルースティール』が躱す。
バズーカが放つ弾頭が周囲の地形を吹き飛ばし、祐一は一気に駆け出す。敵の回転が止まらない。
やはり、地獄の特訓は伊達ではないらしい。
そもそも回転していることによるジャイロ効果でちょっとやそっとでは体勢を崩さないのだ。
恐るべきは。
「その三半規管かよ! だが!」
祐一は踏み出す。
いつだってそうだ。何かを手に入れるためには踏み出さなければならない。
その一歩がなければ、何も手に入らない。
勝利は愚か、敗北だって手に入らない。いつだって挑戦することこそが、最大の結果を生み出すのだ。
故に祐一のユーベルコードが煌めく。
ライフルの銃口に輝くそれは、冬雷(トウライ)の如くほとばしり、『プラブレード』の回転と激突して火花を散らす。
「行けぇぇぇっ!!」
叫ぶ祐一と共に、その光条の一撃が『プラブレード』の中核を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
WBCもついに決勝戦……とうとうここまで来たのね
私も『五月雨模型店』の力になるわ
操作は『マニューバ』タイプを選択
万感の思いを胸に抱き
心を熱く燃やして挑みましょう『セラフィム』
『レッツ・アクト』よ
まずは『グリプ5』チームの精鋭たちを突破しなければ
鋭い回転力は流石のものね
ダッシュよ『セラフィム』
高速移動で攻撃を躱しながら、光の矢で牽制射撃
相手の軌道を阻害するように地面へ矢を突き立てるわ
隙を見逃さない、相手の動きが少しでも乱れ回転力が落ちたら
すかさず早業、乱れ撃ちの矢を見舞うわ
無謀にも思える挑戦を続けるあなた達の眩しい笑み
あの姿を見て、私の心に火が点いた
私も、もっと強くなりたい
「WBCもついに決勝戦……」
一度はギャラクシィリーガーたちの襲来によって破壊された『プラクト』世界大会WBCの会場。
その後、『宮本・武蔵』との戦いによっても破壊されていたのだが、なんとか此処まで立て直すことができたのだ。
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は己が胸に手を当てる。
心臓の鼓動を自覚するようあった。
とうとう此処まで来たのだ、という感情がある。
それだけならば、この心臓の鼓動は説明できなかっただろう。
手にしているのはロボットタイプのプラスチックホビー『セラフィム』である。奇しくも『五月雨模型店』のアスリートたちと同じプラスチックホビーである。
違うのは色や装備だ。
彼女がこれまで『アイン』を始めとする少年少女たちと育んできた絆が結実したプラスチックホビーであるとも言えるだろう。
きっと、彼女は己が胸に弾む感情を言葉にすることができないだろう。
だが、それは多くの人間にとってもそうだったはずだ。
言葉にできない感情。
それを人は万感の思いというのだろう。故に彼女は燃やすようにして『セラフィム』をフィールドに投入する。
「『レッツ・アクト』よ」
静漓の『セラフィム』がフィールドを疾駆する。
「疾いっ!? こちらの挙動を上回る!?」
ダーク化アスリート『バッド・サイクロン』たちは己たちの『プラブレード』を上回る機動力でもって迫る『セラフィム』に目を見開く。
彼女たちだって『新生フィールド・オブ・ナイン』に特訓を受けてきた精鋭なのだ。
なのに、それを上回る挙動を静漓は示していた。
尋常ではない。
『プラブレード』に触れれば、それだけで回転鋸のように機体の装甲が切り刻まれてしまう。当てるだけでいいのだ。
だが、それさえも『セラフィム』は許さぬというように戦場を駆け抜けていくのだ。
「追いついてみせるわ」
しるべ(シルベ)が彼女の瞳には輝いていた。
悪魔の加護を纏った『セラフィム』はまさしく『閃光』のようだった。
「こんなっ、速さだけで……!」
腕部が展開した『セラフィム』の武装が光の矢を放ち『プラブレード』を次々と射抜いていくのだ。
「馬鹿なっ!」
爆発が巻き起こるフィールドを背にして『セラフィム』のアイセンサーが煌めく。
「まだよ。まだまだ、あの子たちの背中は遠いの」
「そんなことねーよ、静漓ねーちゃん! でも、まだまだいけるよな! お先に行くぜ!!」
赤と青の装甲を持つ『セラフィム』が静漓の『セラフィム』の真横を駆け抜けていく。
『閃光』のように駆け抜けていく、その背中に静漓は瞳を細めた。
それこそが彼女の追いかけるものであった。
風を感じた。
風が吹いていると思った。
「無謀にも思える挑戦を続けるあなた達の眩しい笑み」
『アイン』たちが走り抜けていく。
どんなにくじけたって、どんなに敗北に塗れたって、彼女たちは走り続ける。
その姿にこそ静漓は己の心に火が灯されたのだと知る。
「私も、もっと強くなりたい――」
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
『フィーア』さーんっ♪
って、あれ?『フィーア』さんどこ?どこどこ?
え?今回は別?そんなー!
でもそれなら次回はいっしょ?
なら優勝した『フィーア』さんと……でへへへへ。
よし、いこうサージェさん。妄想の充填はばっちりだ!
あ、『希』ちゃん、こないだ型取りした【セレステ】組み上がってる?
おっけー♪
それではいきましょう【白の天蓋】!
いつもなら回転止めるとこだけど、そればっかりも飽きられるよね。
観てくれてる人たちのためにも、たまには違うことしないと!
と、いうことで!
今日は回転増しちゃいましょう。
いざ征かん、虹の彼方へ。
どこまで耐えられるかなー?
あ、サージェさん、虹の飛沫に気をつけてね!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくもう誰も聞いてない感じですかもしかして?!
まさかのクノイチアイデンティティクライシス
とりあえず理緒さんが今日もりおりおしているのでホッとしております
というわけでトラメちゃんいきますよー
今日は回転ゲームなので回り過ぎてバターにならないように注意です!
とか言ってる側から回転増やしてる方がいらっしゃいますねえ?!
だが冷静に考えて頂きたい!
トラメちゃんでぐるぐるバットって!
くるくる同じ場所を回ってるだけのかわいいネコになりますよ!
というわけでくるくるしながら【電光石火】です
ふらふらでも敵に当たればおっけー!
って虹の飛沫ってなに?!
「『フィーア』さーんっ♪」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、彼女の噛み、ならぬ神っていうか、推しっていうか、とにかくそういうものであるところの『五月雨模型店』のアスリートの姿を探し、WBC決勝戦のフィールドへと視線を巡らせていた。
すでに試合は盛り上がりを見せている。
多くのアスリートたちの操るホビーが入り乱れ、その激突の輝きがフィールドに明滅しているのだ。
「って、あれ?『フィーア』さんどこ? どこどこ?」
そんな理緒の視線の端にて、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の操る四脚のホビー『トラメ』が疾駆する。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくもう誰も聞いてない感じですかもしかして!?」
そうである。
どっちかってーと、サージェの豊かな二つの膨らみが『トラメ』の疾駆に合わせてたゆたゆしているほうにクローズアップしている。
忍べていない、という意味ではまあ、確かにその通りであった。
もう、これで忍ぶのは無理でしょ……となるナイスバディたるサージェ。
世界が注目しているのはサージェのまったく忍ぶことのできないナイスバディなのである。
それはそれでどうなんだと思わないでもない。
今一度、サージェはクノイチというものに対して真摯に向き合うべきなのではないだろうか。いや、それを見ている私達にこそ求められているものなのかもしれない……完ッ!
「いや、完ッ! じゃないですよ! まさかのクノイチアイデンティティ・クライシス!?」
「『フィーア』さんはどこどこー? 今回は別? そんなー!」
「し、し、試合中なので!」
「なら次回は一緒? なら優勝した『フィーア』さんと……でへへへへ」
なんか邪なことを言っている理緒を見てサージェは実家のような安心感を覚えた。
「今日も理緒さんがりおりおしているのえホッとしますね。ハッ!? もしかして、これがアイデンティティというものなのでは!?」
違うと思う。
「よし、いこうサージェさん! サクッと『五月雨模型店』を優勝させて、『フィーア』さんを思う存分かわいがりかわいがり推しまくるよ!」
その言葉と共に理緒は己が原型を務め、型取りから流し込みまでして、バリ取り処理を行って塗装した己が機体『セレステ』をフィールドに投入する。
「これでおっけー♪ それではいきましょう、白の天蓋(シロノテンガイ)!」
それは白壁を生み出し、内部に『グリプ5』の『プラブレード』たちを取り囲んでいく。
内部の『プラブレード』の組織を解析し、その加速と減速を手繰ることができるのだ。
『バッド・サイクロン』たちの持ち味は、その回転速度。
セオリーで行くのならば、その回転を停めるところである。だが、それだと。
「マンネリですもんね!」
「そういうこと。観てくれている人たちがいるんだもの。たまには違うことしないとね! と、いうことで!」
「つまり?」
「今日は回転増やしちゃいましょう」
テテテッテ。
なんか三分間でクッキングするような音楽が聞こえたような気がした。
「気の所為ですよ! 回転しすぎてバターにならないように注意しないとですね!」
「何の話をしている!?」
「此方の話です! それに『トラメ』ちゃんで『ぐるぐるバット』って! くるくる同じ場所を待っているだけのかわいいネコになりますよ!」
まるでほんわかネコ動画を観ているような気持ちに捺せられる。
サージェは『トラメ』と共にぐるぐる『プラブレード』たちを取り囲むように走り回る。
それ、『ぐるぐるバット』ではないのだが、まあ、カワイイのでヨシ!
「何を見てヨシっていったのかわからないけれど、『バッド・サイクロン』さんたち、いざ征かん! 虹の彼方へ!」
理緒の言葉に『バッド・サイクロン』たちが吠える。
なにげに『新生フィールド・オブ・ナイン』たちの地獄の特訓を耐えてきたわけではないのだ。
三半規管は鍛えられる! 本当?
「どこまで耐えられるかなー?」
「この程度の加速……うぷ」
「あの地獄の日々に比べれば、うっぷ」
「ダメそう! あ、サージェさん、虹の飛沫には気をつけてね!」
すぐさま限界を越えそうな回転を理緒は加えていたのだ。
人間の三半規管はそこまで強靭ではない。だからこそ、回転を停めるのではなく、回転を加速させることで『バッド・サイクロン』たちの限界を容易く越えさせたのだ。
それによって生み出されるは虹。
もっと言うならキラキラである。
「虹の飛沫ってなに!?」
疑問は最もであろう。
だが、『バッド・サイクロン』の、ひいては『ぐるぐるバット』の名誉のために、此処は、🌈で押し通らせていただく――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
青い空!白い雲!ステラさんの雄叫び!
これです!これですよ!この大気の震え!
この一ヶ月がちょっと
特殊すぎだったんです!
今聞けば、雄叫びもアリかなって思っちゃいますね!
やべーですけど!
ほっとしてる?そんなものじゃないですよ!
わたしは今、生き残ったことと破産しなかったことに、喜びを感じています!
さ、ステラさん、赤字だった練乳代、稼ぐためにもいきますよ!
かもん! ソナーレ!
ぐるぐる……相手も似たのあるみたいですけど、
三半規管殺しなら、わたしに一日の長ありです!
お前たちをベーゴマのコマにしてやろうかー!(【悪魔のトリル】)
って、ステラさん、わたしを弾かないでくださーいっl!?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
エイル様の!!香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!
はい!獣人戦線でしばらく叫んで無かったので当社比1.5倍くらいで叫んでみました
こんにちはメイドです!
エイル様要素はほんのりなのですが
幸せな夢では些細な事なので!
誰かやべーメイドですか!
ルクス様だってシリアスから解放されて
ホッとしているくせに!
では皐月店長様に捧げる
レッツ・アクトです!
さて……ってぐるぐるバット?!え?ナンデ?!
ええい、この程度でメイドが止まると思わないことです
【クリムゾンウイング突撃】!
ふらふらになっててどこ向かってくかわかりませんが!
全部なぎ倒せはいいのだろう理論で!
あ、ルクス様轢きそう
「
『エイル』様の!! 香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁす!!」
その叫びは、此処一ヶ月の鬱憤を晴らすような勢いで響き渡った。
凄まじい大声量にWBCスタジアムの観客席にいた者たちはみんな己の鼓膜を護るべく耳を抑えた。
いつものことである、と思えた観客はどれほどいただろうか?
そう、ご存知の通りの雄叫びである。
「青い空! 白い雲! ステラさんの雄叫び!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は感慨深いものがある、と思った。
そう、これまで彼女は1ヶ月間ほどシリアスアレルギーなのに、シリアスの真っ只中にいたのだ。
長い、長い、戦いであった。
具体的には、お財布の戦いでもあった。
シリアスな現場に居合わせる都度、彼女は練乳チューブをちゅうちゅうしていた。
そんなにしなくてもいいのでは? と思ったが、極度のアレルギーなので緊急を要した。
通販サイトで箱買いしても間に合わず、随分とお財布がほっそりしているのえある。
「これです! これですよ! この大気の震え! この一ヶ月がちょっと
特殊すぎだったんです!」
「はい! 獣人戦線でしばらく叫んでいなかったので当社比1.5倍くらいで叫んでみました」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はスッキリしたと言わんばかりである。
如何に超人アスリートだらけのアスリートアースと言えど、鼓膜は鍛えられないでしょ!
「こんにちは、メイドです」
「いやー、こういう雰囲気が常なら雄叫びもアリかなって思っちゃいますね!」
「如何に『エイル』様要素がほんのりであっても、しあわせなゆめ見る世界では些細案ことなので!」
「やべーメイドの雄叫び、心が洗われるようですよ!」
「だれがやべーですか! ルクス様だってシリアスから解放されてホッとしているくせに!」
「ホッとしてる? そんなものじゃないですよ! わたしは今、生き残ったことと破産しなかったことに、喜びを感じているだけですー!」
二人はやいのやいのやっている。
中継を見ていた観客たちは、なんだいつものあれか、と頬をほころばせる。
そう、彼女たちのこういうやりとりはアスリートアース、こと『プラクト』界隈においては恒例である。
喧嘩漫才みたいなもんである。
漫才?
「さ、ステラさん、赤字だった練乳代、稼ぐためにもイキますよ! かもん!『ソナーレ』!」
重たい音を立ててフィールドに降り立つ『ソナーレ』にダーク化アスリートたちが操る『プラブレード』が迫る。
当たれば、その回転でもって装甲を容易く切り裂くだろう。
加えて、『新生フィールド・オブ・ナイン』によって地獄の特訓を経た彼女たちは手強い。
はっきり言って凄まじい。
ルクスと言えど厳しいかもしれない。
「ぐるぐる回って……三半規管殺しなら、わたしに一日の長ありです!」
三半規管っていうか、鼓膜殺しね。
「お前たちをベーゴマのコマにしてやろうかー!」
響くは、悪魔のトリル(アクマノトリル)。
だが、それ以上にフィールドを切り裂くのは、赤い閃光であった。
「これぞ、愛しの『皐月』店長に捧げる技、即ちユーベルコード!『セラフィム』ッ!!」
そう、それはステラの操るプラスチックホビー『クリムゾンリッパー』の背面から展開した真紅の光の翼であった。
フィールドを両断するようにして展開した巨大な光の翼。
それは膨大なエネルギーの噴射であり、また凄まじい突撃でもあったのだ。
「この程度でメイドが止まるとは思わないことです!」
だが、ステラはルクスの演奏の中を飛ぶ。
如何に三半規管を狂わされていても、まっすぐに飛べばよかろうなのだ。
「あら、あらら……?」
「ちょ、わっ、ステラさん?! なんかこっち来てますよ!? わたしを轢かないでいくださいー!?」
「あ、ルクス様ですね」
ステラは思った。
これも三半規管が狂っているせいで見える幻覚みたいなものであろうと。
確かに敵は凄まじい。
だが。
「全部なぎ倒せば良かろうなのだ理論です!」
「何その理論!?」
「よくわからないから、全部更地にしてしまえば、解決ですな、というやつですね!」
そんな乱暴な理屈があってなるものかと叫ぶルクスが逃げ惑う中、ステラは絶対確信犯的なムーヴでもって光の翼を羽ばたかせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
いやー、いいねいいね!
この競技にかける青春って感じ!
にぃなちゃんもあーゆー皆の師匠ポジションやりたい!
色々教えて上げるからさぁ、操縦技術とかメカニック系とかもっと大人っぽい事も……あっはい、真面目に試合しまーす☆
相手はぐるぐるしてるけど、それにお付き合いする必要はないよね。
宇宙プリンセスなドレスを着せたにぃなちゃんプラモで、ふわふわ優雅に攻撃をかわして行こう!
その間にドレスの下に隠したブラスターにエネルギー充填しちゃおう。
まぁその内捕まっちゃうだろうけど、手足を捕縛されても気絶しなきゃ大丈夫!
念動力でブラスターのトリガーを引いて攻撃だ!
ドレスが破れちゃうかもだけど……それもサービスって事で☆
少年少女たちの青春。
それはきっと、限られた時間だけに許されたものであるからこそ煌めくように輝くのだろう。
そして、その輝きは大人になった者たちにとっても、何時か存在したものでもあったのだ。
「いやー、いいねいいね!」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は操縦パーティションの中で深く頷いていた。
WBC世界大会。
その決勝戦。
少年少女たちは皆、懸命だった。そして、そんな相手チーム『グリプ5』にて『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは彼らに師として熱血的な指導を行っていたのだ。
それは彼女にとって憧れるものであった。
師匠的ポジション。
圧倒的憧れ!
「いいな、いいなぁ! にぃなちゃんもあーゆーみんなの師匠ポジションやりたい!」
「にぃなお姉さんは、俺が色々教えた側だからな! よい師匠になると思う!」
『ドライ』と呼ばれる少年アスリートの言葉にニィナは笑む。
そう、『プラクト』の特訓に彼には幾度も付き合ってもらったのだ。
彼のように教える事ができれば、ニィナも立派な師匠ポジションを得ることができるだろう。
「『ドライ』くんには色々教えてもらったからね! 今度はにぃなちゃんが色々教えてあげるね! バイクの操縦技術とかメカニック系とか、もっと……」
ニィナはトコトコと『ドライ』の操縦パーティションに向かって歩む。
いきなり何!? と思ったかも知れない。
けれど、ニィナはいたずらっぽい顔で彼の耳元にささやくのだ。
「もっと大人っぽいことも……」
少年の何かがねじれてしまうあれである! 何とは言わないが! なんかそういうやつが!
「ニィナお姉さん! 今! 試合中!」
耳まで真っ赤な顔を見てニィナは満足げに笑う。
「あっ、はい、真面目に試合しまーす☆」
また後でね、と笑ってニィナは己の企業とのコラボモデルのプラスチックホビーをフィールドに投入する。
「なんか公然といちゃつかれた気がする!」
ダーク化アスリート『バッド・サイクロン』たちはニィナと少年の戯れに言いようのない感情を覚えていた。
青春すぎる!
一夏の思い出的なあれ!
「ふふ☆ にぃなちゃん特権、かな☆ それそれ、おいで!」
ニィナの宇宙プリンセスドレスを模した美少女モデルがフィールドを舞う。
緩やかに揺れるドレスの裾。
広がれば、そこには銀河が見えるようでもあった。
「くっ、なんであんなので避けられる!?」
「『モーション』タイプだからね☆ にぃなちゃんは、運動も得意なんだよ☆」
くるりと『プラブレード』の回転を躱す。
だが、『バッド・サイクロン』たちも負けては居ない。放たれたアンカーロープがニィナをモデルにした美少女モデルの手足を縛り上げるのだ。
会場の半数のテンションがバク上がりであった!
「このままドレスを切り裂いてくれる!」
「やーん☆」
「させるか!」
そのピンチに『ドライ』の『セラフィム』の一撃が『プラブレード』を弾き飛ばし、狙いのそれた機体がニィナを縛り上げるロープを寸断させる。
「ありがとね☆」
その瞬間、ドレスの裾から取り出したるブラスターをニィナは向ける。
充填は完了!
翻るドレスの裾からは、見事にモデルであるニィナを再現したお御足がまばゆく輝くようだった。
「み、みえ……!」
「……サービスってことで☆」
そして、放たれた念動力操作型拡散ビームの一撃が『プラブレード』に炸裂し、これを撃破するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『Mrホームラン』
|
POW : 大回転暗黒竜巻打法
自身の【バット】に【オブリビオン・ストーム】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : ブラックホール打法
【超重力塊化しながら飛ぶ打球】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 誓いのスーパー打法
【最強無敗の野球選手であり続ける】という願いを【試合を見守る全世界の人々】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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WBC決勝戦は最終局面を迎える。
「こいつ……! やっぱり、『幸運』が過ぎる!」
「この子、疾いだけじゃない……!」
『アイン』と『ズィーベン』のプラスチックホビーが激突し、さらに周囲の状況が『幸運』たる『ズィーベン』に味方していく。
『ツヴァイ』たちを彼女は一手に引き受けながら、しかし、これをしのいでいたのだ。
恐るべき幸運。
周囲の状況が何故か彼女に味方するように変化していくのだ。
時に味方の残骸が盾となり、時に他の攻撃が敵を妨害する。転がるようにして状況が好転していくのだ。
そんな彼女たちの戦いを見やりながら『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは頷く。
三人の有望な『プラクト』アスリートたちを従えた彼らの瞳がユーベルコードに輝く。
「彼らの前途は輝かしいものだ! ならばこそ、俺達も全力を尽くそう! 死力を尽くしてこそ、勝利も敗北も得ることができる! ならば行くぞ!『スーパー合体』だ!!」
『Mr.ホームラン』の言葉に『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは頷く。
彼らの操るホビーが一同に円を描くようにして空へと飛び立つ。
なんか見慣れないエフェクトがモリモリになっているし、悠長に合体なんてしている暇なんてないはずなのに、猟兵も観客たちも、それは野暮ってもんでしょ、と言わんばかりに見上げるばかりであった。
所謂合体バンク。
シークエンスに無駄が多いし、なんなら悠長すぎる。
けれど、人はそれに見入ってしまう。
なんなら、その隙に攻撃しようもんなら野暮って石投げられるやつでもあった。
「見よ、これがスポーツ愛高まり、最高潮に達した時にこそ成せる技!」
「名付けるのならば」
「グロロロ!『超合体フィールド・オブ・ナイン』である!」
「だっさ!」
「いや、我々のことを端的に表していていいと思うが」
フィールドに現れたのは、『新生フィールド・オブ・ナイン』たちの9つのホビーが合体して現れた巨大ロボットホビーであった。
どこからどう見ても、9つ分のホビーでは無理がある合体であったが、なんかできたのである。できてしまったのである。
その端では『五月雨模型店』と『グリプ5』の戦いが着々と決着に近づいているのだ。
「猟兵よ、感謝する。ここまで試合を盛り上げてくれて。だが、まだ足りない。もっとだ。もっと盛り上げよう!」
その言葉とともに『新生フィールド・オブ・ナイン』たちのユーベルコードが一斉に輝く。
超スピード、暗黒星雲ボールの乱打、都市破壊級魔術、四次元殺法。
それらを支える万能たる体躯。
全てにおいてホームラン級のちからを発揮する『Mr.ホームラン』のユーベルコード。
これらが同時に猟兵たちに襲いかかる。
「まさしく、これが最終決戦だ――!」
馬県・義透
引き続き『疾き者』だったが。
陰海月、合体バンクで最高潮に!
陰海月「ぷっっっきゅ
!!!!」
…陰海月語を翻訳します…
ぼくが出たいから、UC使う!!
そっちがそれなら、ぼくもやっちゃえ!
えへ、操舵手クラゲと起動宇宙騎兵の人部分を合体できるようにしてたよ!操舵手クラゲに鎧ついた感じ!
じゃ、いっくよー!
魔術も乱打も、四天霊障(極彩色)で弾いちゃえ!
ホームラン級の力と!真っ向勝負の光珠(極彩色)を発射!
あ、ボールじゃなくてただのオーブだから、ホームランは打てないよ?
※
霹靂「クエ…??」
え、いつの間にそんな改造してたの??
超スピードはこっちで飛びながら対応するけど…??
合体バンク。
それは時として冗長たる展開を増長させるものであったかもしれないが、しかし渾身の作画、演出によって見る者の視線を釘付けにするものであるのは、最早語るところではない。
事実、『新生フィールド・オブ・ナイン』たちのプラスチックホビーがフィールド上空で合体し始めた時、会場は大盛りあがりであった。
「いえ、しかしね」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は思う。
確かに盛り上がった。
だがしかし、『新生フィールド・オブ・ナイン』たちの言うところのスポーツ愛や意識の高まりとはちょっと違うのではないかと。
「ぷっっっっきゅ
!!!!」
理屈ではそうである。
が、現実は違う。
そして、『プラクト』がホビースポーツであるというのならば、この合体演出もまたスポーツ愛の発露であったことだろう。
『陰海月』のはしゃぎようを見れば、『疾き者』は最早己の言葉が野暮以外の何者でもないと理解するだろう。
『陰海月』が飛び出し、操縦パーティションに乱入してくる。
輝くは、ゲーミングカラーライト。
1680万色に輝く光が、操縦パーティションから漏れ出し、会場のみならず『新生フィールド・オブ・ナイン』たちもまた目をつぶるしかなかった。
「なんという眩しさ!」
「だが、この俺が最高の野球選手であるという誇りがあるかぎり!」
「ぷきゅ!」
『Mr.ホームラン』の言葉に『陰海月』は鳴く。
そう、確かに『Mr.ホームラン』は最高の野球選手であろう。
だが、此処では最高の『プラクト』アスリートにならんとする者たちこそが最高なのである。
「きゅっ!」
四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって合体した『機動宇宙騎兵』と『操舵手クラゲ』。
騎馬部分と合体し、触腕が日輪のような輝きを放つのだ。
いや、1680万色のゲーミングカラーに、である。間違える所であった。
「やっぱり眩しいな。だが、この私、『時宮・朱鷺子』は、こんなときのためにゲーミングカラーを見ても眩しく感じない特訓をしている!」
「待て待て、君だけ見えていても仕方ないだろう!」
「それはそうだな! 来るぞ! 絶好球だ!」
「だから見えん!」
煌めくゲーミングカラーに塗れた光珠。
それは『Mr.ホームラン』にとっては、打ち返さずに入られない攻撃であった。
だが、見えなければ打てない。
「舐めるな! 目が見えない程度でホームランを打てぬ道理などない! 目が見えぬのならば、心眼で見るのみ!」
「きゅっ!?」
打てないはずだった。
だが、『Mr.ホームラン』が、その名であることを証明するように『超合体フィールド・オブ・ナイン』の手にしたホームランバットがうなりを上げる。
かっ飛ばされる光珠。
「獲った……!」
「きゅ!」
だが、残念なことにこれは野球ではない。
『プラクト』なのだ。
ホビー・スポーツ。
「なに!? 何故機体が揺れている!?」
故に、放たれた光珠は一球とは限らないのだ。
「いえ、まあ……そりゃあそうでしょう……」
『疾き者』はなんとも締まらないと思いながらも、しかし勝負に油断は禁物と頷くのだ。
そして、『陰海月』は炸裂する光珠が1680万色の爆発を『超合体フィールド・オブ・ナイン』に叩き込み、炸裂する輝きと共にフィールドにその先制たる攻撃を知らしめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
吐院・ぐるめ
マッ???
マジで言ってるの???
私がアレに勝てるイメージ、一切出来ないんだけど???
いや……。ダメよ。此処で負けたら彼女達に顔向けできないわ。大丈夫。私はぐるめ。ぐるぐるバットチーム『バット・サイクロン』のキャプテン……。私には神がついている。いいえ、憑いているのよ……!
基本姿勢は絶対――マシンは私用により改めた『プラブレードの巨大版』たとえ何が相手だろうと私は――ぐるぐるバットを完遂して魅せる!
レッツ・ゴー・サイクロン!!!!
オーバーロードよ。これが私の『神』と合体した姿
超スピードだろうと暗黒星雲だろうと都市破壊級魔術だろうと四次元殺法だろうと最強だろうと――オブリビオンストームだろうと、荒唐無稽だろうと!
私の回転は何もかもに吐き気とめまいを与える。そして、回転とは全てを吸い込む無限そのもの。私は――私は――あ、無理目が回って気持ち悪い🌈……
これは🌈じゃないわ
花弁よ……
天にそびえ立つかのような巨躯。
『プラクト』の競技フィールドにあってなお『超合体フィールド・オブ・ナイン』の威容は見上げるほどに凄まじいものだった。
9つのホビーがスーパー合体することによって生み出された一つの巨大ホビー。
どう考えても質量とか、合体パーツとか、諸々が足りてない気がする。
だが、現実にできてしまっているのである。
誰もツッコまない。
だって野暮だもの。
この超合体を見せられてしまっては、皆口をあんぐりと開けることしかできなかったのである。
吐院・ぐるめ(虹色の彼方・f39773)もその一人。
青ざめた顔で見上げている。
恐怖からではない。
単純にイメージができないのである。
あの巨大さ。加えて『新生フィールド・オブ・ナイン』の全ての能力を同時に『Mr.ホームラン』のユーベルコードにぶっこんでくるのだ。
「マッ???」
思わず変な声が出た。
「マジで言ってるの???」
「大マジだよ! 御主人様たち!」
「グロロロロ! あまりのことに驚愕しておるな、猟兵たちよ!」
『エル・ティグレ』と『デスリング総統』の声にぐるめは、我に返る。
確かに『超合体フィールド・オブ・ナイン』に勝てるイメージが一切できない。勝てる見込みもないし、攻略しようなんて気も起きない。
「あ、今ちょっとその笑い方はやめて。🌀ってるし、🌈りそう」
絵文字でごまかしても大体イメージできる台詞である。
「!?」
『デスリング総統』はとばっちりである。
ぐるめは己の膝が震えるのを感じた。いや、『ぐるぐるバット』でめちゃくちゃ三半規管にダメージが入っていることもあるけれど、今は関係ない。関係ないったら関係ない。
そう、彼女は退けないのだ。
ここで負けたら己がチームメイトたちに顔向けができない。
そう、自分はなんだ?
王にしてキャプテン!
「私は、ぐるめ。『ぐるぐるバット』チーム『バット・サイクロン』のキャプテン……誰がなんと言おうともキャプテンは私……そう、私には神がついている。いいえ、憑いているのよ……!」
そう、誰がなんと言おうとも!
神なんていないって言われても!
それでも三半規管がトチ狂った先にこそ見える虹の彼方。
その先を目指すことこそが『ぐるぐるバット』の本懐である。多分!
「基本姿勢(グルグルバット)は絶対――たとえ何が相手でも私は――『ぐるぐるバット』を完遂して魅せる!」
「その息やよし! だが、私の五体は三半規管さえも鍛えあげた。そのめまいと嘔吐であろうとも、克服している!」
『時宮・朱鷺子』の言葉にぐるめは頭を振る。
たとえ、敵が完璧なる五体を持ち得る存在であったとしても。
それでもぐるめは戦うと決めた。
退かぬと決めた。
なら、最後までやり通すのが己の報じる神への最高の捧げ物である。
故に!
「『レッツ・ゴー・サイクロン
!!!!」
超克こそ、その🌈の彼方に至るべき道筋。
ぐるめのプラスチックホビーが、さらに『プラブレード』を巨大化させたような姿へと変貌する。
巨大化したロボには巨大化した怪物をぶつける。
古来よりそういうもんである。
定番であるし、お約束ごとってもんである。
ならば、ぐるめの回転は神にすら到達するのだ。
迫るは暗黒星雲ボールに、都市破壊級魔術。
「そんなもの!」
加えてオブリビオンストームに乗った『超合体フィールド・オブ・ナイン』が四次元殺法を繰り出す。
荒唐無稽たる常識外のユーベルコードの乱打。
けれど、ぐるめは飛び込む。
「最強だろうと最高だろうと! 私の回転は何もかもに吐き気とめまいを与える!」
「だから、それは無駄だと言った!」
「いいえ、あなたには無駄でも。他のフォーミュラはどうかしらね?」
「……まさか!」
そう、『超合体フィールド・オブ・ナイン』は九人のフォーミュラによって動かされている。
如何に『時宮・朱鷺子』が黄金の如き三半規管を持つのだとしても、彼女以外のフォーミュラ全てがめまいと吐き気に襲われているのならば、そのうごき、盤石ではないのだ。
「私は――私は――」
ぐるめの巨大『プラブレード』が『超合体フィールド・オブ・ナイン』へと激突する。
だが、次の瞬間、ぐるめの口元から。
「あ、無理、目が回って気持ち悪い……」
🌈である。
いや、何って。明言できないやつである。エフェクトである。
文字で表現できないものを表現するのが絵文字ってやつである。
「おわー!?」
「違うわ、違う、これは🌈じゃないわ。花弁よ」
「それで通るものかな!?」
通るのである。
ぐるめの🌈は見事なアーチを描き『超合体フィールド・オブ・ナイン』を千鳥足にしてしまうのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
わー、合体だぁ☆
ロマンがあって良いよね!
にぃなちゃんあれもやりたーい!けど今のプラモじゃちょっと無理かな?
だったらプラモは別々でも心は合体出来るって所を見せちゃおう!
9対2だけど愛の力で乗り越えようね、ドライ君♡
向こうは仲良し9人組だけど体は1つ。
2人で離れた位置から撹乱すれば全力を出させないようには出来そうだね。
他にも味方がいるし、きっと良い感じに攻撃を散らせるはず!
もちろん連携が大事だから、お互いの事をよーく気にしてようね。
アイコンタクトアイコンタクト☆
相手の攻撃を凌ぎきったら反撃開始!
タイミングを合わせて2人で撃っちゃおう。
メカニックの目からすると狙うはあの辺かな?
行くよー、せーのっ!
9つのホビーが合体して生まれた超巨大ホビー。
それが『超合体フィールド・オブ・ナイン』である!
説明しよう! と行きたい所であるが、尺の問題もあるので今回は省かせて頂く。
というか、説明不要である。
「そう、この『超合体フィールド・オブ・ナイン』は俺達『新生フィールド・オブ・ナイン』のユーベルコードをまとめて一撃放つための形態。つまり!」
そう、超スピードも、都市破壊級魔術も、四次元殺法も、暗黒星雲ボールも、全て黄金の如き五体を持って繰り出されるホームラン級の攻撃にまとめられて放たれるのだ。
『Mr.ホームラン』はブラックホール打法でもってフィールドをぶっ飛ばす勢いでユーベルコードを『超合体フィールド・オブ・ナイン』から繰り出すのだ。
「わー、合体だぁ☆」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は操縦パーティションで飛び上がった。
『モーション』タイプ故に彼女が操縦パーティションで跳ねれば当然、フィールドの中のホビーも跳ねる。
彼女の使用しているホビーは彼女をモデルにしたものであり、言ってしまえば彼女自身がフィールドに存在しているのと変わりないのだ。
「ロマンがあって良いよね! にぃなちゃんもあれやりたーい!」
ちょっと無理かもしれない。
なにせ彼女のモデルは美少女モデル。
合体、というのは色々そのね! な問題もあるのだ。
生中継を見ている観客たちも思った。
「でも、プラモは別々でも心は合体できるってところを見せつけちゃおう!」
にこっとニィナが笑む先にいたのは『五月雨模型店』の『ドライ』少年であった。
観客席から、動画配信を見ている画面から、ありとあらゆる媒体から『ドライ』はなんとも嫉妬深い視線を受けて背筋に冷たいものが走るのを感じただろう。
「ね、ドライ君♡」
「な、なんだか寒気がするのだが!」
「気の所為気の所為☆ 9対2だけど愛の力で乗り越えようね、『ドライ』君♡」
誤解を招きそうな発言である。
というか、全世界に完全に誤解されるニィナの発言に別なところで大炎上である。
「向こうは仲良し9人組だけど体は一つ。でも、こっちは二人で体は二つ。だからできることってあるよね」
「それは、そうだが……ッ!」
ニィナは『ドライ』を呼び寄せ、『超合体フィールド・オブ・ナイン』へと迫る。
放たれるブラックホール打法の一撃がフィールドをえぐり、二人のホビーを吸い込もうとする。
けれど、ニィナは笑む。
確かに『超合体フィールド・オブ・ナイン』は強敵だ。
これまで戦ってきたアスリートたちの比ではない。
だからこそ、ニィナは『ドライ』の『セラフィム』と手を繋いで、ぶん投げた。まるでハンマー投げの要領であった。
「おわー!?」
「二箇所同時攻撃だよ!」
ニィナのホビーがばちこん☆とウィンクして見せる。
そう、それだけで互いの意図がわかる。
『超合体フィールド・オブ・ナイン』は確かに強力なホビーだ。だが、体は一つ。故に狙えるのも一人のみ。
だからこそ、ニィナと『ドライ』は互いを結ぶ対角線のように位置取りしながら『超合体フィールド・オブ・ナイン』に攻撃の的を絞らせないように機動するのだ。
それは互いに気心が知れていなければできないことであった。
何故、こんな連携ができるのか?
「徹夜でつきっきりで特訓してもらったもんね☆」
「『プラクト』の練習をな! だから、俺はニィナお姉さんの動きのクセなら、わかる!」
最早言葉はいらなかった。
互いの動き。
どう動き、何を考えているのか。
二人は互いに通じ合うように理解し、『超合体フィールド・オブ・ナイン』の放つブラックホール打法の一撃を翻弄するようにかわしていくのだ。
「くっ、こうも動き回られると!」
「なるほど巨体であるこちらの利を不利に変えるか」
「やっぱりね☆ その巨体だから出る出力の大きさは怖いけど、でも!」
ニィナの瞳がユーベルコードに輝く。
彼女のモデルの背後に『ドライ』の『セラフィム』が支えるようにして位置取りし、そのエネルギーチューブが接続される。
「もっと優しくね♡」
「えぇっ!?」
「冗談☆ じゃあ、行くよー?」
『セラフィム』から流れ込む膨大なエネルギー。これがニィナのモデルに流れ込み、その手にした『ニィナブラスター』の出力へと転換されていくのだ。
「一緒に、ね? せーのっ!」
ニィナのモデルが引き金を引き、放たれるはブラスター・スーパーチャージの一撃。
その一撃は本来の三倍にも及び、凄まじい熱量と光条でもって『超合体フィールド・オブ・ナイン』を穿つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
白山・仁瑚
合体が来ると思ってなくてバンクシーン撮り損ねた…ツラ、ぴえん通り越してぱおん🥺
FONパイセン、後でわんもあぷりーず!
アインさん達が勝って欲しいのはモチモチの木よープラクトっていう面白さ教えてくれたすんげーパイセンだもん
でも相手の運も実力のうち、運で取った勝ちもありありのアリスじゃん
どんな結果でも両チームの試合はまじエモ尊みのかまたりってあーし思うわけ
これで一方に手を出したらもうガン萎えよ?
ってことでりょーへいの戦いはこっちでやるべー
あーしこれでもプラクトとフォトグラファー以外の競技も一通りやってきたからメジャースポーツの型はなんとなく分かるからその型の隙をつくよー
終わったら皆で写真撮りましょ
中継で見ることと実際に肌で感じる距離で対峙するとでは、スポーツ競技においては雲泥の差があると言ってもいいだろう。
ジリジリと肌を焦がす様な重圧は、気の所為ではないとさえ思える。
自分の頭の中、その脳にて溢れ出す物質が神経を伝達し、己が体躯に五感というものを確かに感じさせるのだ。
故に、白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)は体のみならず心さえも震える。
「合体が来るなんて思ってなかったから合体シーン撮り損ねたん!!」
思わず、ぴえんな表情を仁瑚は浮かべ、操縦パーティションの中でガックリとうなだれた。フィールド上の彼女を模したデコレーションされた美少女モデルもがっくりと頭を垂れて、その哀愁が伝わるようであった。
そう、あまりの衝撃に彼女はカメラを構えることすらできなかったのだ。
『新生フィールド・オブ・ナイン』の9つのホビーが合体する『超合体フィールド・オブ・ナイン』。
その合体シークエンスというものを普段の彼女ならば逃すことなくファインダーに収めていたことだろう。動画とは違い、フォトグラフィというものは、その一瞬の煌きを収めるものである。
だからこそ、合体シーンが見どころしかなくてシャターを切るのも忘れて見入ってしまったのだ。
「こんな、こんなのって最早ぴえん通りこしてぱおん!」
「なんて?」
思わず『エル・ティグレ』は聞き返していた。
ぴえん? ぱおん? つまりどういう……?
「FONパイセン、後でわんもあぷりーず!」
「仕方ないな」
「いいのかよ! ていうか、御主人様たちだろうがなんだろうが、これはスポーツ競技。手加減なんてしないぜ!」
「それはもち! モチモチの木、山椒の木、おどろ木ももの木さんしょの木!」
何言ってるか全然わからなかったが、『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは、とにかく仁瑚が肯定したのだと理解する。
『超合体フィールド・オブ・ナイン』はフィールドにあってなお、見上げるほどの巨躯であったが。これをもう一回合体させるのは骨が折れるのだろうが、見逃したというのならば、何度だってやれるのが合体バンクである。そういう問題ではないと思うのだが、そういう問題である。
「『アイン』さんたちに勝ってほしいのはモチモチの木よー! でもね!」
仁瑚は思う。
『プラクト』という未公式ながら新しい競技の魅力を、面白さを、楽しさを教えてくれた彼女にとってのすげーパイセンなのだ。
贔屓にしちゃうのも仕方ないのである。
それに対する敵チームの『エース』だってすごいと思うのだ。
『幸運』なれど、その運を引き寄せる力もまた実力の内。
「ありありのアリスって感じ! 勝負というラビリンスに突撃ゴーゴーしちゃうお気持ちって大切だよね! どんな結果でも両チームの試合はマジ、エモ尊みのかたりってあーし思うわけ! だからね、これで一方に手を出したらもうガン萎えよ?」
「ならばどうする!」
『Mr.ホームラン』がバットを振りかぶる。
その巨大なバットが振り降ろされれば、フィールドは割れ、凄まじい衝撃を齎すだろう。
規格外が過ぎる。
けれど、仁瑚は笑う。
ゆらりと彼女の動きに合わせてデコレーションされた美少女モデルがフィールドで独特な構えを見せた。
「そ、その構えは……!」
「知ってんの? あーしのオリジナル・スタイル! 今、ここで考えたやつだけど!」
「グロロロ! あれなるはワガハイが考え出した四次元殺法を習得する前段階の構え……! こんなところで見れるとは!」
「知っているのか、『デスリング総統』!」
「順序逆じゃね?」
そんなやり取りがあったのは御愛嬌である。
仁瑚はアスリートとしてあらゆる運動の才能を持ち合わせた猟兵である。
あまりにも才能の塊すぎて、本気を出せばあらゆる分野で活躍することができるだろう。だが、彼女はそれを望まない。
ただエモい。
それだけのために彼女はその才能を活用しない。
振り降ろされたバットの一撃を彼女はかわし、その打ち下ろされたバットの上を駆け上がっていく。
「デカいは強い。デカイは作れるっていうけれど、本当に作っちゃうなんてパイセンたちパないよね! でもさ!」
仁瑚は、その拳を合体接続部へと叩きつける。
先んじた猟兵たちの攻撃によって穿たれた部分。それが楔となってスーパ合体した『超合体フィールド・オブ・ナイン』の接合部を冴えわたる勘でもって打ち据え、ジョイントを緩めていくのだ。
「これがりょーへいの戦い方ってわけ! 終わったらみんなで写真撮りましょ!」
試合が終わればノーサイドだ。
みんなでニッコリ笑って、互いの健闘を称え合う。
それが一番エモイのだと彼女は知っているのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
引き続きプラクト機体「ナタク」を使用。
「……
あまり使いたい手では無いが、こいつも戦いたいって…な。 それに、半端な力ではフィールドオブナインには勝てない。観客や五月雨模型の連中にも半端な所は見せらせない。ここで限界突破するぞ!」
UC【トイロボ召喚『OM-NATAKU』】を使用
あくまで技の1部として、一時的に「OM-NATAKU」を召喚します。(プラクトのルールとして無理なら流してもらって構いません。)
ナタクはファイヤーランスをOM-NATAKUはツインソードGを手にして攻撃
ゴリ押しにはなりますが、機体の、そして自分の限界を突破させフィールドオブナインの攻撃は回避、高速の二体連撃で攻撃を仕掛けます。
アドリブ・連携は歓迎です。
超巨大なホビー、『超合体フィールド・オブ・ナイン』の威容は見上げる程であった。
プラスチックホビーが駆け巡るフィールドにあって、その巨体は天を衝くような巨大さを見せていた。
いや、気の所為である。
そこまで大きくはない。
けれど、それだけ巨大な存在であると幻視させる程の実力を『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは持っているのだ。
心做しか、暗雲が背後に立ち込め、雷電が走り抜ける。
よく見る演出のあれである。
だが、迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は、そんな演出を前にしても心恐れに震えることなく、むしろ、武者震いに震えたことだろう。
心の底から思う。
眼の前の敵は掛け値なしの強敵であろう。
アスリートとしても、猟兵としても、その力は強大過ぎた。
「それでも立ち向かうか、挑戦するか、猟兵!」
『時宮・朱鷺子』の言葉んいナクタは頷く。
「無論……あまり使いたい手ではないが……アンタたちの強さを見せつけられては、こいつも戦いたいって叫んでいるんだ」
ナクタの瞳がユーベルコードに輝く。
フィールドに降り立つのは、『OM-NATAKU』であった。
そう、彼はトイロボバトルアスリートである。
そのための機体がフィールドに突如として降り立つのだ。
「それに、半端な力ではあんたたちには勝てない。わかっているさ、そんなことは」
だからこそ、己に克つのだ。
超克すべき時は今。
故にトイロボ召喚『OM-NATAKU』(トイロボショウカン)たるユーベルコードでもって、『OM-NATAKU』はナクタのホビーと共にフィールドを駆け抜ける。
「ルール的には!」
「あ、オッケーみたいだぜ?」
一人で二つのホビーを操ってはいけないというルールはない。
そして何より、ナクタは作ったのだ。
『OM-NATAKU』も、今まさに動かしているホビーも。
自分が思い描くは最強。
自分で作り上げるは最高。
そして、そんな最強と最高とを操って戦うのは自分なのだ。
だからこそ、ナクタの瞳はユーベルコードの輝きを超えて、オーバーロードの輝きに至る。
「面白い! 最高の選手たらんとする気概! その熱き魂こそが、愛となるのだ! スポーツへの愛! その高まりを見せよう、猟兵! このアスリートアースに!」
『Mr.ホームラン』が迎え撃つ。
『超合体フィールド・オブ・ナイン』がバットを構える。
他の猟兵たちの攻撃によって、関節部が緩み、装甲を穿たれてなお構える姿は、最高の野球選手であるところのオーラに溢れていた。
難敵強敵。
されど、そういう敵にこそアスリートは恐怖よりも先に喜び覚えるのだ。
立ち向かうこと。
挑戦すること。
それが何よりの喜びなのだ。
勝利を得ることは、アスリートにとって、目指すべきものであった。
だが、これは生命のやり取りではない。
敗北が死につながることはない。
敗北は、次なる挑戦へのステップでしかないのだ。諦めなければ、いつしか、その高みに昇ることができるかもしれないという可能性をこそ信じるからアスリートなのだ。
「『OM-NATAKU』! いくぞ!」
ナクタは共に振り抜かれたバットを受け止める。
ファイヤーランスとツインソードGをお互いに構えたホビーが強打たる一撃を受けて軋む。
だが、振り抜かせない。
ナクタは己の持てる力の全てを持って、これを受け止めたのだ。
「俺のフルスイングを止めただと!?」
「ゴリ押しで悪いが!」
ナクタは踏み出す。
自分の限界は自分で決める。
誰かに決められることなんてない。己を囲う限界という壁は自分自身でぶち抜いていく。
そういうものだ。
どんなに体が悲鳴を上げようとも、答えてくれる相棒がいる。
それが二つもある。
その事実に彼は咆哮する。
限界を超えた一撃が『超合体フィールド・オブ・ナイン』のバットを吹き飛ばし、ガードをこじ開けるのだ。
「これで、超えていく! コイツとアイツとで!」
ナクタのホビーと『OM-NATAKU』が交錯し十字に閃光を迸らせ、恐ろしげであった『超合体フィールド・オブ・ナイン』の胸部装甲に斬撃の痕を刻むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
神代・凶津
いいぜぇ…。俺のメカ怪獣王とテメェらの超合体フィールド・オブ・ナイン…同じ巨大ロボットホビー同士、大決戦といこうじゃねえかッ!
「…と言うか合体してる時に攻撃すれば良かったのでは?何故止めたんですか?」
相棒、合体バンク時に迷わず全攻撃ボタン押そうとするからびびったぜ。駄目だぜ、それは、野暮だから。
先ずは巨体同士のお約束、取っ組み合いによるプロレスだッ!
…一進一退で決着がつかねぇ。
ならバックステップからのフィンガーミサ…うおおおッ!?敵の激しい猛攻ッ!?
なら【
隔絶結界】起動ッ!
これで猛攻を防ぎ…隙を見切って解除、そのままフルバーストアタックだあああッ!
【アドリブ歓迎】
猟兵たちのホビーが超巨大なる合体ホビー『超合体フィールド・オブ・ナイン』の体躯を削るようにして傷跡を刻み込んでいく。
「否! これは傷跡ではない! 練磨!」
『宮本・武蔵』は戦いの中に在って笑う。
そう、これは生命のやり取りではない。されど、武を磨くことができる。何度も、何度も、繰り返すことができる。
ただ一度の真剣勝負ではないのだ。
生命のやり取りなく真剣勝負を繰り返し、頂きを目指すことのできる素晴らしさを彼は知っている。
故に彼は吹き飛ばされたバットを分割して二刀流へと変貌させる。
「受けよ、この都市破壊級魔術の二刀流を!」
その言葉に神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は応えた。
『いいぜぇ……俺のメカ怪獣王とテメェらの超合体フィールド・オブ・ナイン……同じ巨大ロボットホビー同士、大決戦といこうじゃねぇかッ!』
凶津は己の心が真っ赤に燃え上がるのを感じた。
これだ、とも思ったのだ。
己が操る『メカ怪獣王』はいつだって、同じサイズの敵と戦うために生まれたものである。だからこそ、対等樽巨大さを誇る『超合体フィールド・オブ・ナイン』との戦いに心踊らせるのだ。
「……というか、なんで止めたんですか?」
桜の言葉に凶津は一気に現実に引き戻される。
そう、彼の相棒である巫女にして美少女、桜は凶津に憑依合体されることで猟兵としての力を発露する。
そんな彼女が疑問に思っているのは、『新生フィールド・オブ・ナイン』たちが使うホビーが合体する際に決定的な隙があったのだから、攻撃すべきだったのに、何故そうしなかったという単純なことだった。
戦場にあって、隙は狙っていくべきものである。
真っ向勝負ばかりが正しいことではない。
だからこそ、彼女は『超合体フィールド・オブ・ナイン』の合体シークエンスの最中に全武装をぶっぱしようとしていたのだ。
ボタン連打しようとしていたのだ。
怖い。
「……あの場面なら確実に倒せました」
『相棒、合体バンク時に迷わず全攻撃ボタンを押すのは野暮ってもんだぜ』
「……そうでしょうか?『五月雨模型店』の店長と夜通しで見たアニメには、悪役がこの様な行動にでてましたが」
『相棒、そういう野暮なことをする悪役の最期は覚えているか?』
「……なんやかんやで返り討ちにあってました」
『つまりそういうこった!』
その言葉と共にニ体の超巨大ロボットホビーが激突する。
確かに『超合体フィールド・オブ・ナイン』は猟兵の攻撃によって関節部がゆるくなったり、装甲に傷を追っている。
そこを狙うは定石だろう。
だが!
『まずは巨体同士のお約束、取っ組み合いからだよなッ!!』
「グロロロロ! わかるやつがおるではないか! そう! 全ての攻撃を受けきってからの反撃こそがプロレスの真髄よ!」
『気が合うじゃあねぇかッ! デスリング総統!』
取っ組み合う巨体。
本来なら、そこで戦いは終わりだった。『デスリング総統』の四次元殺法でぶん投げられて『メカ怪獣王』も骸の海にぶっ飛ばされてしまうはずだった。
だが、それをしなかった。
できなかったのではない。
敢えて、組み合うだけだった。
ギシギシと軋む互いのホビー。
「……このやり取り、いります?」
『いるに決まってるぜ、相棒ッ! そこん所、また今夜、店長と叩き込んでやるぜッ!』
「グロロロロ! ならば、往くぞ!」
『おうよッ!』
がっぷり組み合っていたニ体が離れ、フィンガーミサイルを放つより早く、超スピードでもって『超合体フィールド・オブ・ナイン』が迫る。
『ウィリアム・ローグ』の超スピードで『宮本・武蔵』が都市破壊級魔術を込めた、二刀流うバットを振るうのだ。
『うおおおッ!?』
「……結界、多重展開。隔絶結界(カクゼツケッカイ)。しっかりしてください」
『助かったぜ、相棒ッ!」
周囲に噴出したチャフの如き結界霊符が二刀流のバットを受け止める。
だが、それすらも断ち切るようにしてバットが振り抜かれ『メカ怪獣王』の装甲が切り裂かれる。
爆発が起こる中、凶津は不敵に笑む。
『プロレスの真髄見せてやるぜッ! 猛攻を受けきってからの!!』
展開する武装。
放たれるは、全ての武装。
『フルバーストアタックだああああッ!!』
放たれる前身に装備されたミサイルが『超合体フィールド・オブ・ナイン』を包み込む――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
「どう見ても規格合ってねえのに合体してのけたのか…勢い凄えな」
SPD
「なら俺も勢いで勝負だ…テスタロッサ!」
フィールド外から来たテスタロッサに騎乗してUC起動
スケール差でできない事もプラクトならやれるのさ
余った時間で思い付いた勢いの産物だがやってみるものさ
複数のUCを操る巨大ロボット…実際圧倒的だが
勢いでやったのなら主導権を誰が握るのか多分決めてない筈だ
バイクを推力移動でフルダッシュ
CBRとPHBで威嚇しつつ相手を中心に円を描く軌道で回り込む
根競べだ!その巨体じゃすぐに振り向けねえだろ!
もし誰かが我慢できず連携を乱すような真似をしたら…
リミッター解除済みのCBBで叩っ斬ってやるぜ!
アドリブ歓迎
9つのホビーが合体して生まれる巨躯。
それは『新生フィールド・オブ・ナイン』が生み出した『超合体フィールド・オブ・ナイン』であった。
超巨大なロボットホビーが大地を激震させる。
猟兵の一撃が爆発を生み出し、その巨体が揺れた。
だが、それでも彼らのホビーは傷を負いながらも立っている。
「やはり猟兵たちは侮れない。これだけの力を束ねてなお、この超スピードを凌駕する勢いで成長を遂げている」
『ウィリアム・ローグ』は、そういいながらも何処か嬉しそうであった。
天才と呼ばれたものであっても、己の背中を追うものばかりではなく、己がまた追いかけるべきものを求めていたのかもしれない。
だからこそ、猟兵たちとの戦いは心躍るものであったのだ。
「っていうか、絶対どう見ても規格合ってねえのに合体してるじゃねえか!」
星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は思わずうめいていた。
あまりの事態に困惑していたとも言える。
周囲の猟兵達は、そんなことお構いなしに『超合体フィールド・オブ・ナイン』に戦いを挑んでいた。
勢いがすごすぎる。
猟兵も、『新生フィールド・オブ・ナイン』も。
そして、フィールドで戦うアスリートたちも。
みんな熱い血潮に負けじと、その感情を発露し懸命に戦いに挑んでいるのだ。
自分だけが負けてなんていられない。置いていかれるなんてあってはならない。
「なら、俺も勢いで勝負だ……『テスタロッサ』!」
フィールドに飛び込んでくるのは宇宙バイク『テスタロッサ』であった。
規格がどうとかという以前に、それはアリなのだろうか?
プラスチックホビーですらない。
だが『プラクト』という競技の間口の広さ、懐の大きさを見たような気分であった。光輝くユーベルコードと共に祐一が呼び寄せた宇宙バイクと彼のプラスチックホビーが合体するように騎乗するのだ。
「どんな壁も限界も、この腕で乗り越えてやる!」
フィールドを疾駆する巨大バイク。
いや、実寸代なので、その表現は正しくないかも知れない。けれど、それでも祐一は己が操るロボットホビーと共にフルスロットルで加速する。
「グロロロロ! それは反則とは言わぬ! 場外乱闘ばっちこいであーる!」
『デスリング総統』が豪快に笑い、迫る宇宙バイクを『超合体フィールド・オブ・ナイン』で受け止めたのだ。
サイズ差なんてものともしない。
物理的に強度が違うのだとしても関係ない。
それを成してみせるのが超人アスリートであり、全ての攻撃を受け止めてから反撃し勝利するプロレス道!
「まじかよ!」
「油断すんなよ、御主人様!」
『エル・ティグレ』が暗黒星雲ボールを蹴り出す。
それはあらゆるユーベルコードを飲み込む力。祐一がユーベルコードで持って操縦する宇宙バイクとて例外ではない。
祐一は己の瞳からユーベルコードの輝きが失せるのを感じただろう。
投げ放たれる宇宙バイク。
フィールドに落下した衝撃が荒ぶ中、祐一のロボットホビーが宙を舞う。
「流石にやる! だけどさ! その巨体じゃあ、すぐに振り向けねえだろ!」
加えて、他の猟兵たちの攻撃によって『超合体フィールド・オブ・ナイン』の接合部が緩んでいるのだ。
荒々しい動きをするたびに関節部に違和感が走っている。
故に宙を舞う祐一のロボットホビーを見上げることができないのだ。
「ここだよな! リミッター解除!」
構えたキャバリアビームブレードの刀身が限界を超えるようにして超大は刃へと変貌する。
どれだけ巨大だろうと、切り裂く。
その意志があるからこそ己の作り上げたホビーは応えてくれるのだ。
振りかぶった一撃が『超合体フィールド・オブ・ナイン』を一文字に切り裂いた――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
きっと誰よりも試合を楽しんでいるのでしょうね
『アイン』、あなたなら『幸運』も超えられる
信じているわ
勝負よ『新生フィールド・オブ・ナイン』
私の結界領域内にいるものは、想いの強さで加速する
あなた達の想いを超えるには、限界を突破するしかないでしょうね
私は知りたい。限界のその先を
無謀なことでも迷わないわ
加速よ『セラフィム』
挑戦者は恐れず踏み込むもの、攻撃を躱して飛び込んで
心(アイテム:アスリート魂)のオーラを拳に込めてぶっとばすわ
決勝戦は、多くのアスリートたちが入り乱れる大混戦であった。
「この人、強い……!」
『新生フィールド・オブ・ナイン』から薫陶を受けたダーク化アスリート『ズィーベン』は、迫る『五月雨模型店』の『アイン』の攻勢に目を見開く。
己の『幸運』など跳ね除けるような速さでもって迫る彼女のホビーは輝いているようにさえ思えただろう。
「でも!」
己だって勝ちたい。
勝利したい。
優勝したい。
いつだって貪欲に勝利を求めるのがアスリートだ。どれだけ『幸運』に味方されたから、と実力を見下げられても。
それでも勝ちたいのだ。勝って、自分が一番だって叫びたい。
だからこそ、彼女は踏み込み『アイン』の『セラフィム』の武装を切り裂く。
「私、勝ちたいの!」
「だよな! 私だってそうだよ!!」
武装を失った『アイン』を倒せば、一気に『グリプ5』に形勢が傾く。
すでに他の『ツヴァイ』や『ドライ』たちは彼女が下したのだ。彼女の武装だって破壊した。倒せる!
そんな戦況を見守りながら薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は薄く笑む。
「きっと誰よりも試合を楽しんでいるのでしょうね『アイン』」
彼女は心配していなかった。
だって、そうだ。
どんなに疾くても、どんなに強くても、どんなに『幸運』であっても。
彼女は誰よりも楽しんでいる。
苦しいことも、悲しいことも、悔しい気持ちも。全部ひっくるめて楽しさに変えている。
そんな彼女だからこそ静漓は信じているのだ。
「あなたなら『幸運』も超えられる」
信じている。
「ならば、私達をも超えてもらおうか!」
『時宮・朱鷺子』の声が響く。
猟兵の一撃によって両断された『超合体フィールド・オブ・ナイン』が真っ二つになりながら、己の腕でもって合掌するようにして、再び接合を果たしていた。
なんというデタラメだろうか。
規格外にも程がある。
けれど、静漓はたじろぐこともしなければ、恐れおののくこともしなかった。
何故ならば、彼女の思いは今まさに燃え上がっている。
誰にも止められない。誰にも消すことはできない。そんな思いがめぐり、彼女の瞳をユーベルコードに輝かせるのだ。
「勝負よ『新生フィールド・オブ・ナイン』」
「その意気やよし! 真っ向勝負だ!!」
『Mr.ホームラン』がバットを振るう。
フルスウィング。あの巨体による一撃は、まるでなんの加減もなかった。振るうだけで竜巻を巻き起こすかのような一撃。
だが、その一撃を静漓の操る『セラフィム』は踏み越えていく。
加速する。
真剣勝負にふさわしい舞台だ。
誰もが真摯だったし、真剣だった。
勝ちたいという主に溢れた戦場だったのだ。
だからこそ、静漓の結界領域(ケッカイリョウイキ)は想いの強さで加速していく。
駆け引きなんていらない。
どちらが疾いか。どちらの思いがより強いか。
それだけのことだったのだ。
「だが、それでもそれが君の限界だ」
『ウィリアム・ローグ』が言う。
燃える心あれど、それでも限界がある。心という器に満たされるものには限りがある。彼女に対するのは規格外のフォーミュラ。
故に、その総量で相対するのならば、静漓の敗北は必至だった。
だが。
「私は知りたい。限界のその先を」
「無謀無知と知りながらもか」
「ええ、迷わない。だって、私は」
知ったのだ。『アイン』という少女と出会って、多くを知った。多くを得た。なら、今の己は挑戦者。
「恐れず踏み込む者」
静漓の想いに応えるように加速した『セラフィム』のアイセンサーが心を得た拳を振りかぶる。
砕けても構わない。
ただ、心を込めて限界を超える。
「『ぶっとばす』わ」
振り抜かれた一撃は、きっとあの日のことを幻視させるものだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
9体だろうが15体だろうがなんでもいい。そんなことはどうでもいい。
大事なのは、わたしと『フィーア』さんのあれやこれやの邪魔ということだ!(くわっ
その合体、その巨体。ユーベルコードなしだと、
強引に強パーツをくっつけただけで、動くこともままならない重さだよね。
ということで、はい! 『フィーア』さんもいっしょに、そぉれ。
特殊能力はダメっダメー♪
(指でバッテン作って無駄なアイドルぽーず)
いまだよサージェさん。
トラメちゃんの素早さをいまこそ活かすとき!
にくきうでいっちゃえー!
あ、ところで『ティグレ』さん、また
敵側にいるんだね。
あとがたのしみだね♪
サージェ・ライト
【理緒さんと】
忍べて無いクノイチはクノイチ足りえるのか
いえ、私は忍べてますけどね!
おお、今宵のりおりおは荒ぶっておられる
いえまあ、試合中だから向こうの言い分の方が正し……アッハイスミマセン
こんな理緒さんですが
ユーベルコードのチョイスと性能は極悪ってか
そのユーベルコードそういう使い方するやつでしたっけ?!
あ、欲望が迸っただけですね
ではトラメちゃん!
毛繕いタイム終わりで!
「電光石火】でいきますよー!
無駄に周囲をぐるぐるっとさっきの要領で回転して
かわいい猫を演出しつつ
寝首を一撃必殺な
にっくきゅうぱ〜〜んちっ!!
かわいさは正義!
理緒さんがとても黒いので
私とトラメちゃんはそっと視線を逸らすのでした、まる
『超合体フィールド・オブ・ナイン』の巨体が傾ぐ。
猟兵のホビーの拳が、あの超巨体を打ち負かすようにしてぶっ飛ばしたのだ。
よろめくようにしてダウンした巨体。
だが、再び立ち上がろうとしている。
「なんのこれしき! 負けてられるものか! この熱い血潮流れるような戦いを、もっと! もっと世界に知らしめなければ!」
『Mr.ホームラン』をはじめとする『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは笑っていた。
そう、楽しくて仕方がない。
大人げないと言われても構わない。
ホビー・スポーツであろうとなんであろうと、これはれっきとした真剣勝負。
ならばこそ、本気でないことのほうがむしろ、蔑まれることであっただろう。
「9体だろうが15体だろうがなんでもいい。そんなことはどうでもいい」
だが、そんな『超合体フィールド・オブ・ナイン』を前にして菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は荒ぶっていた。猛っていた。
なんで?
「大事なのは、わたしと『フィーア』さんのあれやこれやの邪魔だということだ!」
くわっ!
くわっ! じゃないが。
「というか、その合体、その巨体。ユーベルコードなしだと、強引に強パーツをくっつけただけで、動くこともままならない重さだよね」
それを動かせるのが『新生フィールド・オブ・ナイン』のすごいところである。
言うまでもない。
「いえ、問題はそこじゃないと申しますか」
いやぁ、今宵のりおりおは荒ぶっておられる、とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は冷や汗もんであった。
なんか下手に突っ込むと怒られそう、とさえ思えたのだ。
だから、サージェはクノイチらしく忍ぶ。
「けどまあ、試合中だから向こうの言い分が正し……」
「くわっ!」
「アッハイスミマセン」
弱い。
クノイチ圧倒的に弱い。どうしてこうなったんでしょうね?
「ということで、はい!『フィーア』さんもいっしょに、そぉれ」
「え、えええええ、な、なななな、なんです? えっ!?」
理緒は強引に『フィーア』を操縦パーテょションから己のもとに抱き寄せる。試合中やぞ。
「World Without Abilities(ワールド・ウィズアウト・アビリティズ)、ご一緒に♪
特殊能力はダメっダメー♪」
「だ、だだだめめめめ、だめ?」
「いいね、いいね! それでいいよ、そのままでいいよ。ありのままの『フィーア』さんを永久保存しちゃおうね!」
どこぞの指バッテンポーズを取らせながら理緒は満面の笑みである。
ちなみに、そのユーベルコードにポーズは関係ない。
はっきり言って無駄なポーズであった。
だが、物事には様式美ってものがある。
無駄なことなんて何一つない。
「ユーベルコード禁止!?」
「あの、理緒さん、こちらのユーベルコードも封じられるのでは……」
「だからだよ! 今こそサージェさん、『トラメ』ちゃんの素早さを活かす時!」
「え、えー!?」
サージェはまさかの自分任せだという事実に気がつく。
いやまあ、確かに理緒のユーベルコードは凶悪っていうか極悪であった。というか、そういう使い方するやつだったっけ? と思わないでもない。
「あ、欲望が迸っただけですね」
「ううん、これは義務だよ!」
義務!?
「推しを推す。推せる時に推しとけ。良い言葉だよね! さあ、今だよサージェさん!」
なんか、どこかのタキシード着た仮面の人みたいな感じだが、そうなるとサージェは月光のプリンス的な戦士なあれなのだろうか。
忍べてないけど。
「ええい、女は度胸! このままカワイイ猫を演出しつつ、寝首を一撃必殺な仕事人ムーヴで!」
「くそっ、猫とは卑怯だぞ!」
「それはクノイチ的にはご褒美です! くらえ、にっくきゅうぱ~~んちっ!!」
カワイイは正義なのだと言うようにサージェは『トラメ』の一撃を『超合体フィールド・オブ・ナイン』へと叩き込む。
「あ、ところで『エル・ティグレ』さん、また
敵側にいるんだね。後がたのしみだね♪」
理緒は釘打つ事も忘れない。
「ヒッ」
小さな悲鳴が聞こえたな、とサージェは思ったが、なんとなく黒いものを感じて、さっと目をそらして肉球パンチをお見舞いしておくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもーまた集団行動してるー!
混ぜて混ぜてー!
●ならばこっちは!
いくよ!バラバラXくん!こっちも合体だ!
といつもの思考反応型流体金属混合樹脂素材、通称メタルXをいつもよりマシマシにしていい感じに3機くらいの戦闘機に分離するバラバラXくん!
これがどう合体するのかっていうと…こう、機首がにゅーんと伸びたり、ぐわっと曲がりくねったりしながら各身体のパーツになって接続して!
それもう変型合体っていうかモーフィング変形してるだろって?うん!
今回取る形態はバランス型パワー型スピード型の内のスピード型!
どんな攻撃も当たらなければ!って翻弄して『神パンチ』による高速攻撃でドーーーンッ!!
一度は打倒された巨体が立ち上がる。
巨大なるロボットホビー『超合体フィールド・オブ・ナイン』は改めて言うまでもなく規格外なるホビーであった。
9つのホビーが合体して一つのホビーになるという心をくすぐるデザイン。
合体故に様々なデザインが渾然一体となった様。
物理法則も凌駕しているかのような合体シークエンス。
どれもが少年の心を掴んで離さないのだ。
「状況は」
「悪いとしか言いようがないが、だが、まだ戦えるだろう?」
「無論、と言っておこう。諦めぬ不撓不屈の心。それを示すことが、この戦いの意義なれば」
『新生フィールド・オブ・ナイン』たちは頷く。
まだ戦いは終わってない。
なら、自分たちが此処で諦めては、世界にスポーツに対する愛と意識を示すことはできない。
もとより諦めからもっとも遠い場所にいるのがアスリートたちだ。
彼らは、その心一つだけで此処まで己たちを鍛え上げてきたのだ。
ならば。
「やってやれんことはない」
「グロロロロ! その通り!」
「いっちょ、御主人様たちにいいところ見せないとな!」
「いくぞ!」
そんな熱血ドラマ増しましみたいな光景を見て、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は思わず突っ込む。
ツッコミ、ではない。
物理的に突っ込んだ。
「混ぜて混ぜてー!」
ロニは己が手繰るロボットホビー『バラバラX』を文字通りバラバラにした。
いつもの思考反応型流体金属混合樹脂素材を用いて、生み出された規格外ホビー。
通称メタルXと呼ばれる謎の素材はロニの意志に応えるようにして分離する。
三つに分離した機体は、なんだか質量がおかしい感じなっている。どう考えても、そんな感じにはならんでしょっていうデザインであった。
色だけがゴールドってところだけが共通しているが、それだけである。
「分離・合体・変形! これがロボットモノのお約束だよね!」
びゅーって飛んで、がっしーん、というやつである。
にゅーんって、なんか絶対ありえない変形をしているが気の所為である。3機合体って色々まずい気がするが気の所為である。
それってもしかして、ゲッ……となるところであるが、これは別に名称を途中で言い淀んだわけではなく、ただ単に、権利的な危うさで、ゲッってうめいただけである。本当である。
「あり得ない変形してる!」
「気の所為!」
ロニは己が操る『バラバラX』を変形させ、スピード型へと変貌させる。
「どんな攻撃も当たらなければ!」
「むちゃむちゃやってんなぁ……」
「あれくらいで驚いていては、猟兵の相手などできようはずもない! 迎え撃つ!」
振るわれるバット。
だが、そのバットにロニは神パンチ(カミパンチ)をぶち当てる。
あらゆるものをホームランボールにしてしまうバットと、無限回打ち込まれるパンチ。
その激突は凄まじい光を解き放ち、周囲に衝撃を巻き起こす。
止まらない。
いつだってそうだ。
人の歩みは止まらない。諦観に塗れても、その諦観すら拭い破壊する拳があるのだ。
故にロニは笑う。
「はい、ド――ンッ!!!」
これが人の見せる可能性の一部分だというように『超合体フィールド・オブ・ナイン』を再び鎮めさせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
本日2回目!?
9体合体!?
ってそれ、プラクト的にはダメじゃないです?
数が多すぎて子供たちが全部買えない、とか、
買っても揃えてるうちに、最初に買ったやつ壊れちゃったりとか、
最終的に大人が迷惑する数ですよね?
プラクトが怒られちゃうじゃないですか!
すぐに、合体は無理ゲーでした、って謝ってください。
って、え?ステラさんまさかのスルーですか!?
いまので【光の勇者が降臨】したはずだったんですが……。
ま、まぁいいです!
演奏していいならすべておっけーです!
それでは、光の勇者の言葉をステラさんの熱烈なリクエストに乗せてー。
想いよ届け、【ツィゴイネルワイゼン】!
ステラさん玩具はいいから練乳買ってー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
エイル様の!香りがしまぁぁぁす!!
本日2回目のお届けです
いえ、さっきより濃厚なので
幸運のズィーベン様
あの方の後ろを…
とか言うのはここでは無粋ですね
ええ、アイン様たちならきっと勝てます
勝負は時の運なれど
勝利を引き寄せるのは幸運だけでは無いのですから
ではこちらも
ルクス様ー全力出しましょう全力
盛り上げるのはルクス様の得意分野だと思いますので(耳栓きゅっ
なんか久しぶりのシークエンスですね(フラグ)
では!
メイド参ります!
全力の【クリムゾンウイング突撃】です!
真正面から行くとしましょう!
損傷もなんのその!
この一撃が
未来につながると信じて!
あっ敵が後ろにいる気がします
『超合体フィールド・オブ・ナイン』が吹き飛ばされ、フィールドに衝撃が走る。
それは風となってフィールドにて戦うものたちへと迸る。
「『アイン』、これを!」
破壊された己の『セラフィム』から『ツヴァイ』は武装を投げ放つ。
『アイン』の『セラフィム』は武装を『ズィーベン』によって破壊されていた。武装なくば戦えない。『幸運』たる『ズィーベン』は、その偶然を必然に返るかのような力を己が実力へと変えて、『アイン』を打倒しようとしていた。
彼女が倒れれば、『グリプ5』に戦いの趨勢が傾く。
勝てる。
そう彼女が確信した瞬間、『アイン』の瞳が意志に輝く。
負けたくない、ではない。
勝ちたい、と叫ぶように彼女は吠える。
「諦めるかよ! 最後まで!」
投げ放たれた武装すら『ズィーベン』の幸運によって、衝撃波に吹き飛ばされてしまう。
「ここまで、ですか……!」
「まだだ!!『戦いに際しては心に平和を』! 見ろ!!」
踏み出す。
赤と青のカラーリングの『セラフィム』が踏み出した。
瞬間。
「
『エイル』様の! 香りがしまぁぁぁぁす!!」
雄叫びが響いた。
本日二度目であった。
「んえっ!? 二回目!?」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は目を見開く。
二回目?!
え、二回目ってやっていいものなんだ!? とルクスは目を見開いた。
「いえ、さっきより濃厚なので」
「匂いがですか!? やべーですね!?」
「誰がやべーですか」
ステラは操縦パーティションを越えてルクスの後頭部をスリッパで、ぺこぽんってした。
可愛らしく表現したが、結構な衝撃であった。
「痛ぁ!? でも、『アイン』さんたちに加勢しなくって、大丈夫ですかね?」
「大丈夫です。『アイン』様たちならば、きっと勝てます。勝負は時の運なれど、勝利を引き寄せるのは『幸運』だけではないのですから」
だからこそ、ステラは向き直る。
そう、己たちが倒すべきは『新生フィールド・オブ・ナイン』、『超合体フィールド・オブ・ナイン』である。
超巨体が打倒されてなお、立ち上がろうとしている。
このままでは再び立ち上がり、猛威を振るうだろう。だからこそ、此処で倒すのだ。
「9体合体って、それ『プラクト』的にはダメじゃないです?」
ルクスは思った。
合体するにしたって程があるような気がするのだ。
だが、ルール的にはオッケーみたいである。ガバである。だが、そのガバさがいいとも言えるだろう。
「いえ、そんなんじゃなくって。数が多すぎて子供たちが全部買えないじゃないですか! お小遣いには限りがあるんですよ! そんなみんながみんな、金持ち坊っちゃんじゃないんですよ!」
どこかで元金持ち坊っちゃん事『ゼクス』の心が通り魔みたいにルクスの発言に傷ついた。あとで謝っといて。
「買えても揃えているうちに、最初買ったやつが壊れちゃたりとか、最終的に大人が迷惑するやつですし、迷惑な大人げない大人が買い占めたりして本当にもう! ってなるよつですよね! すぐに合体は無理ゲーでしたって謝ってください!」
「では、こちらもルクス様、全力を出しましょう、全力を」
「あれ!? なんか今読み飛ばした? っていうくらい会話が不成立ですけど!? まさかスルーですか!? スルーなんですか!?」
「盛り上げるのはルクス様の得意分野かと思いますので」
にこ、とステラは笑む。
つまりそれは、演奏して盛り上げて、ということなのだろう。
ルクスはその言葉に感激してしまった。
その端でステラがするっと耳栓をシームレスに装着していることに気が付かなかったのだ。
故に、会話なんて噛み合ってない。
ステラはそれを承知の上で耳栓をいたのだ。確信犯である。
「ま、まあいいです! 演奏していいならすべておっけーです!」
「では参ります! メイド参りますよ!」
「おい、なんかやべーメイドくるぞ」
「わかっている。だが……ダメージがすごいな、これは」
『新生フィールド・オブ・ナイン』達は思わずうめいた。
これはやばい、と。
迫るは真紅の光の翼を放出しながら迫る『クリムゾン・リッパー』。
そして、その背から迫るは。
「響け、ツィゴイネルワイゼン! 想いよ届け! 光の勇者の言葉をステラさんの熱烈なリクエストに乗せております!」
ルクスの言葉にステラは、そうですそうですそうですね、と頷く。
完全に耳栓でシャットダウンしている。
「この一撃が
未来に繋がると信じて!」
『クリムゾン・リッパー』が迫る暗黒星雲ボールを蹴散らし、放たれた都市破壊級魔術に打ちのめされながらも突き進む。
止まらない。
止められない。
砕けるパーツなど気にもとめない。
なんか後ろから迫る音の洪水に追い立てられているように見えたのは気の所為かも知れないが、しかし!
「ステラさん玩具はいいから練乳買ってー!」
「今良いところだったんですが!? 決め台詞を……ってあれ!? なんで聞こえ……あーっ!!」
操縦パーティションの背後からルクスが顔を出し、ステラの耳栓を引っこ抜いていたのだ。
だが、勢い止まらぬ『クリムゾン・リッパー』が『超合体フィールド・オブ・ナイン』に激突し、爆散する。
「あーっ!!」
そして、同時に『アイン』と『ズィーベン』の『セラフィム』が激突する。
武装を失った『アイン』の機体が放った拳が『ズィーベン』の武装と激突し、互いに砕けていく。
「勝った……!」
勝利を確信した『ズィーベン』。『幸運』を体現するような彼女は、実力を底上げすることによって、運すらも味方に付けた。
だが、運すらも凌駕するものがある。
勝利への渇望である。
『アイン』は望んだのではない。
望まれたわけでもない。
ただ、選んだのだ。
諦めより遠い場所にあるものに手を伸ばすことを。
その『星』を掴むように伸ばされた彼女の機体の砕けた腕部が振り降ろされる。砕けた機体フレームは鋭く、勝利を確信した『ズィーベン』の機体へと振り降ろされ、ひしゃげながら胸部に配された『ユーベルコード発生装置』を砕いたのだ。
そして。
第二回世界大会、ワールド・ビルディング・カップは幕を閉じる。
一枚の写真がそれを示していた。
試合を終えた二チーム。
垣根を越えて、それこそ猟兵、『新生フィールド・オブ・ナイン』さえも綯い交ぜになった並びで撮られた写真だった。
敵も味方もない。
チームメイトかそうでないかもない。
人種も、猟兵も、フォーミュラも関係ない。
ただ一つだけ共通していたのは。
「いっつもこうだったらいいですのにね!」
「ええ、それにしても皆様、良い笑顔ですね――」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵