【Q】青森オカルト紀行~キリストの墓を訪ねて
●あんなところにキリストの墓
青森県新郷村には『キリストの墓』なるスポットがある。どこからどう見えても盛った土に十字架を刺しただけの場所だが、地元ではキリストの墓だと
伝えられている。
昭和初期にさる日本画家を通じて新宗教の教主により『発見』され、戦後のオカルトブームによって日本中に広く知られることとなった。
現在では新郷村の主要な観光資源であり、ここで開かれる祭りは村の一大イベントと化している。
●色々あったエージェント
「私、UDC機関より参りました冬島・則子(竜神の婿殿・f42625)と申します。皆様宜しくお願いします。」
名前とはかけ離れた筋肉質のドラゴニアンが低音ボイスで挨拶をした。
「私自身元は人間の女性だったのですが、まぁ色々ありまして……。とりあえずはお気になさらず。どうしても気になるという方は後で個人的に聞きに来てください。」
複雑な表情を浮かべる則子に、何かを察する猟兵は少なくなかったという。
「さて、先ほど『キリストの墓』について説明いたしましたが、実はこれはデコイなのです。本命はその周辺に隠されている『竜脈封印』です。」
グリモアが『キリストの墓』とその周辺の地図を表示する。
「これは大地に流れるエネルギーを利用した封印でして、所謂『竜脈』だとか『レイライン』と呼ばれるものの一種ですね。そしてここに封印されているのは強力な邪神と想定されます。」
ここで猟兵から疑問の声が上がる。
「え?『なぜ分かったのか』って?それはその、私の『妻』がですね、『昔この辺に封印を施した』って言ってたので調査したら無かったんですよ。でも当人は『確かに封印した』って言い張ってまして。なので調査範囲を広げたら発見したんですよ。」
「ちょっと待って、『妻』ってどういうこと?」
「話せば長くなるのですが、私の妻は所謂『竜神』でして……。」
竜神。かつてUDCアースに君臨し、現在はカクリヨファンタズムに住まう古き神々。それを『妻』とはどういうことなのか。このUDCエージェント、只者ではなさそうだ。
「馴れ初めが気になる方は後で個人的に聞きに来てください。とりあえず話を戻します。皆さんには『竜脈封印』の調査と邪神の討伐をお願いします。」
グリモアが再び切り替わる。
「新郷村そのものには竜神信仰の伝承は残されていないようですが、あの辺には『ナニャドヤラ』という民謡がありまして、一説にはヘブライ語だとか言われていますが、調査してみる価値はあるかと思います。それから、道祖神や地蔵に偽装した石碑なども関係あると想定されます。あとは、十和田湖の『八太郎伝説』も気になりますが、いささか距離があるので今回は関係ないようです。」
則子が更に付け加える。
「青森県内には他にも『竜脈封印』が存在するようですが、今回の調査では見つけられませんでした。」
●疑惑は浮上する
「あくまでも私個人の仮説ですが。」
則子が話を始める。
「『竜脈封印』を動かしたのは『アーカイブ』ではないでしょうか?」
『アーカイブ』。それは『はじまりの猟兵』によって明かされた『二番目の猟兵』。UDCアースにその本拠地があるとされているが、未だその全容は明かされていない。
「それをハッキリさせるためにも皆さん、調査の程宜しくお願いします。」
グリモアが水の流れのような輝きを放った。
武炎鉄
こんにちわ、武炎鉄です。20作目はUDCアースの青森県が舞台です。シリーズ化のフラグが立っている?それはそう。
●第1章は新郷村内で『竜脈封印』の伝承について調べます。
●村人は皆さんフレンドリーに対応してくれます。
●第2章は集団戦、封印から漏れ出たUDC怪物を倒します。詳細は断章にて。
●第3章はボス戦、封印を解かれた邪神を討伐します。詳細は断章にて。
●その他連絡事項はタグでお知らせします。
第1章 冒険
『竜脈封印の伝承』
|
POW : 巨石を動かしたり、沼の底に潜るなどして、竜神信仰の痕跡を探索する
SPD : 探索範囲内全域をくまなく歩いてまわるなど、足を使って竜神信仰の痕跡を探し出す
WIZ : 村に伝わる昔話や童歌の調査、村の古老との会話などから、竜神信仰の痕跡を探ります
|
●前兆
新郷村に降り立った猟兵達。秋が通り過ぎ、もうすぐ冬がやってこようかという肌寒い風が過疎の村に吹く。こんなところに『竜脈封印』は本当に存在するのだろうか?疑問に思いながらも彼らは各々調査を始めた。
一方その頃、新郷村某所の森の中に小型のドラゴン型UDC怪物が出現した。目覚めたばかりであろうそれは、小さな羽をはばたかせどこかへと飛んでいった。
三上・くぬぎ
アドリブ連携歓迎
くぬぎ、キリストのお墓って聞いたことあるです!
あと、青森にはお釈迦さまのお墓とか、ピラミッドとか自由の女神もあるですよね。コブラもいるって聞いたです
青森ってすごいですね!
昔のお話っていったら、やっぱりおじいちゃんとかおばあちゃんに聞くのがよさそうです
ちょっと寒くなってきたですけど、まだお散歩したり、畑でお仕事してるひとはいそうですよね
よーし、村をたんけんして調査ですー!
こんにちはですー!
くぬぎ、宿題で青森県のむかしばなしについて調べてるです
知ってるお話があったら聞きたいですー
●メドツの看板
収穫もあらかた終えた晩秋の田園地帯を、身の丈の半分くらいはあろうかという虫かごを肩にかけた小動物が宙を飛んでいた。正直言って、キリストの墓よりこの状況の方がミステリーである。
その小動物、もといモーラットの三上・くぬぎ(アウトドア派・f35607)は初めての土地をウキウキと進んでいた。
(くぬぎ、キリストのお墓って聞いたことあるです!あと、青森にはお釈迦さまのお墓とか、ピラミッドとか自由の女神もあるですよね。コブラもいるって聞いたです。青森ってすごいですね!)
新郷村には『キリストの墓』の『発見』と時を同じくして紹介された『大石神ピラミッド』なるものが存在する。迷ヶ平の近郊にある十和利山の山頂に巨石を配置したものとされているが、地元民ですら「単なる偶然では」と信じていない。
『釈迦の墓』は青森市と五所川原市に跨る梵珠山内に存在するとされた場所である。三蔵法師のモデルとしても有名な高僧、玄奨の弟子である道昭が師から譲り受けた仏舎利を葬ったことがそもそもの由来であるが、梵珠山自体が飛鳥時代から信仰の場所とされており、現在は『県民の森』として自然に親しむスポットとして知られている。
『自由の女神象』はおいらせ町の公園内にあるレプリカで、FRP製である。旧百石町がニューヨークと同じ北緯40度40分にあることから、本家の約4分の1のサイズで作られた。ある一定年齢以上の青森県民であれば、1994年に発生した三陸はるか沖地震の際、右腕がもげたことを覚えているだろう。これを機に耐震強化が図られ、2011年の東日本大震災では持ちこたえたという。
…かの有名な偽書『東日流外三郡誌』といい、何で青森県はこの手のネタが豊富なんですかね?
それはさておき、くぬぎは話を聞けそうな人を探していた。ここはやはり地元のことに詳しそうな老人がいいだろうとターゲットを絞り込んでいたのだが、過疎化が進んだ村では人に行き当たること自体がまずない。
それでも粘っていると、軽トラックを畦道に止め、何やら田んぼで作業らしきものをしている老夫婦に出会った。これを逃してはいけないと、くぬぎは早速声を掛けた。
「こんにちはですー!」
「あや、こんなめんこい子がなしてこんなとこに?」
老婆が強めの南部弁訛りで問いかける。なお、猟兵の特性で彼女にはくぬぎが小さな人間の女の子に見えているようだ。
「くぬぎ、宿題で青森県のむかしばなしについて調べてるです。知ってるお話があったら聞きたいですー。」
「はぁ、となれば、この辺の子じゃないべな。」
「んだばな、どこから来たんだ?」
「鎌倉ですー!」
くぬぎはとっさに銀誓館学園の所在地を出したのだが、老夫婦は納得した顔をしていた。
「そったら遠い所からわざわざこんなとこまで、よう来たなぁ。」
「で、昔話だど?」
「なんかあったべかなぁ?」
老夫婦はしばし考え込んでいたが、老人が何かを思い出したようだ。
「『メドツ』だばどうだべ?」
「『メドツ』?何ですかそれ?」
「河童のことをこの辺では『メドツ』って言うんだ。」
それだけならばよくある話だろう。
「昔はよく川とか水路の近くさ『メドツが出るぞ』って看板が立ってたっらもんだ。」
老人の話によると、同種の看板はかつて青森県各地で見られたものの、現存するのは八戸市博物館に収蔵されているものだけのようだ。
「この辺さも立ってたはんで、場所教えるでの。気を付けて行っておいで。」
老夫婦に教えてもらった場所へとやって来たくぬぎ。そこは鬱蒼とした森の中に小川が流れている、人気のない場所。確かに河童がいても不思議ではない。
「これは!?」
ただならぬ気配を感じ、『かわいいバス停』を構えるくぬぎ。その気配は水の中から漂っているようだった。
大成功
🔵🔵🔵

家綿・衣更着
アドリブ歓迎
竜脈封印まだ解決してなかったんすね…
個人的には世界が再構築されてる説を推してるけど、それはそれとしてアーカイブが邪神を利用したら大変だから調査して討伐しないとっす
事前にどんなのとどう戦ったか奥さんに情報収集
竜脈を利用した封印だしレイラインは基本直線っすから、竜脈や竜穴に沿った上にある道祖神や祠を調査し封印の痕跡を探るっす
化術でダウジング作って妖力とか竜脈の感知できないっすかね?
「そういえば最近は祠破壊がブームらしいっすね(勘違い)」
怪しい痕跡があったら村人や動物からコミュ力を生かして情報収取し、痕跡に対してUC『ステータスオープン』で何か分からないか調査っす
村ではお土産買うっすよ
●封印は当人に聞け
「竜脈封印まだ解決してなかったんすね……。」
渋い顔で頭を捻る家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)。当の竜神達ですら封印の総数を把握しきっていないのだ、まだ知られざる封印がどこかに眠っていても不思議ではない。
「個人的には世界が再構築されてる説を推してるけど、それはそれとしてアーカイブが邪神を利用したら大変だから調査して討伐しないとっす。」
今だ全容が見えぬ『アーカイブ』。彼らが邪神を利用する可能性はゼロではないのだ。最も、邪神の方が一枚上手の可能性もあるが。
「冬島さん、奥さんに直接話を聞くことって可能ですか?」
「少々お待ちください。今連絡してみます。」
則子がスマートフォンを取り出し、どこかへと電話をかけ始めた。
「もしもし?はい、…『竜脈封印』の件について本人から直接話が聞きたいとのことで。え!?『今からグリモアベースに行く』って!?ええ!?」
驚いた顔の則子に何が起きたのか分からない衣更着。そして
「婿殿ー♡」
声に振り返れば、そこにいたのは白磁のような肌に絹のように白い長髪を結い上げ、黄金の瞳を持つ美女であった。この際下半身が蛇状で、白髪からは金色の角が生えていることは置いておこう。
「紹介します。私の『妻』です。」
半ば不服そうな声で紹介する則子。
「なんじゃその釣れない態度は。」
隣で不満そうな顔を浮かべる彼女こそが件の『竜神』なのだ。
「はじめまして、おいら家綿・衣更着という者っす。グリモアベースに来れるってことは、ひょっとして奥さんも猟兵っすか?」
「よくぞ見抜いた小童。妾は龍原洞・真尋(竜神様は婿殿とイチャつきたい・f42639)。『竜脈封印』について知りたいという猟兵は汝であるか?」
「はい!」
「妾が一族のものと共に戸来の地に封じた邪神……確か『滅びの子』と呼ばれておったな。奴めに施した封印は川沿いに配置しておった。」
「付け加えるなら、概ね現在の国道454号沿いですね。」
則子が地図と筆記用具を取り出し、真尋が封印を施した場所に印を付けていく。それは十和田湖の手前、迷ヶ平自然休養林へと続いていた。
「なるほどー、これは直線っすね。」
「竜脈の上に、後からヒトが道を作ったと呼ぶべきじゃろう。」
「ところで、その『滅びの子』ってどんな邪神だったんすか?」
衣更着が真尋に尋ねる。
「姿形は竜の如き、翼で空を舞い炎を吐き、本能のままに全てを滅ぼすまさに邪神といったものじゃな。純粋に強さだけに特化しておる。龍原洞の一族総出で封じた強敵じゃ。」
当時を懐かしむ真尋。
「『滅びの子』と呼ばれるUDC邪神については
こちらにもいくつか記録が残されています。真尋さんの話と照らし合わせて考えると、今回の邪神と同種のものでしょう。こちらの記録もお渡しします。」
則子がファイルを手渡した。
「そうだ、国道沿いに調査を行うなら途中に道の駅があるので、そこで休憩されるのもいいと思います。何でも新郷村は『青森県酪農発祥の地』らしくて、乳製品が特産だそうですよ。」
「冬島さんは観光協会の回し者っすか?」
さて、実際に新郷村へと降り立った衣更着は、真尋の地図を頼りに国道454号沿いを調査することにした。L字型に折れ曲がった2本の棒――ダウジングマシンを手にてくてくと歩く。
暫くの間は国道沿いに進むよう示していたダウジングマシンが、次第に山中への道を示し出した。ヒトが作り出した道から獣道へと足元が移り変わる。
「確かに真尋さんの記憶から外れてるっすね。」
地図を確認する衣更着。すると、木々の間から野生の猪が現れた。
「猪さん、この辺で何か変わったもの見てないっすか?」
臆することなく話しかけると、猪は付いてこいと言わんばかりに背を向け、更に山中へと歩き出した。衣更着も猪を追跡する。
藪をかき分け山中を進むと、少し開けた場所に出た。その中心には小規模ながら不自然に組まれた岩が鎮座している。見るからに怪しい。
「そういえば最近は祠破壊がブームらしいっすね。」
何かを勘違いしている衣更着であるが、破壊する前に調査を行わなくてはいけない。目にユーベルコードの力を集中させ、岩の情報を開示させる。
「――ビンゴ、これが『竜脈封印』っすね。」
結論から言えば、確かにこの封印は元々別の場所にあった。しかしながら、それがどうしてこの場所に移動したのか、何者がそれを行ったのかまではユーベルコードの力をもってしても不明である。
「これが終わったら道の駅に行くっすよ!」
きっとお土産になりそうなものも売っているだろう。その前に今は一仕事片付けねばならない。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
うっわマジかよ新郷?
アタシの地元からめちゃ近じゃねぇか。
こりゃ久々に実家にも顔出しとくかねぇ……っといけないいけない。
これは猟兵稼業。まずは聞き込みっと。
こちとら南部弁はネイティブだ、お手の物さ。
八戸近辺のタウン誌のライターを名乗って乗り込むかねぇ?
鯖や鮫の新商品を手土産に『コミュ力』活かして最近の世間話をし、新しい、けど無難そうな観光スポットの『情報収集』を表向きには進めるよ。
その裏でテレパスの探知思念をそれとなく周囲に広げとく。
流石に村内全域をカバーはできないだろうから、カブでのんびり安全運転で探って回る。
……探るのは逆に「観光の話題に上らなかった」地域、かな。
●南部ネイティブ民現る
青森県の地理は八甲田山を境に、西側の『津軽地方』と東側の『南部地方』に二分される。旧藩領をそのまま当てはめたものだが、実際に文化も方言も気候も違うので仕方ない。地元ではこれに下北半島を加えた『下北地方』の3つが良く用いられる。
猟兵も星の数ほどいれば青森県出身が1人や2人くらいいるもの道理である。その中の一人、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は南部地方出身であった。
「うっわマジかよ新郷?アタシの地元からめちゃ近じゃねぇか。」
これが今回の依頼を聞いた彼女の率直な感想であった。
「こりゃ久々に実家にも顔出しとくかねぇ……っといけないいけない。これは猟兵稼業。まずは聞き込みっと。」
こうして多喜はカブを走らせるのだった。
多喜が訪れたのは『間木ノ平グリーンパーク』だ。ここは自然滞在型の観光レクリエーション施設で、グラウンドゴルフやローラースケート、魚のつかみ取りや乗馬体験などが楽しめ、近年ではアウトドアブームを受けてキャンプ場が人気となっている。
彼女がここを訪れたのは、管理運営を行っている『新郷村ふるさと活性化公社』へ聞き込みを行うためだった。ここは観光協会の役割も担っており、新郷村のことを聞くならまずはここにしようと決めていたのだった。
管理棟の中に入ると、人の良さそうなな中年女性が奥から出てきた。
「こんにちわ、どうしましたか?」
南部弁のイントネーションが耳に馴染む。多喜は何一つ動じることなく話を返す。
「こんにちわ、私『ぐるっとなんぶ』の編集をしております数宮・多喜と申します。今回は新郷村特集の取材で参りました。」
こちらも南部弁訛りを少し出す。多喜も南部地方出身故、南部弁は聞くも話すもお手の物だ。なお『ぐるっとなんぶ』はUDC機関のカバー会社が出版しているタウン誌である。今回の依頼に際し、則子から『必要ならば名前を出していい』と許可を貰ってきた。
女性は「なるほど」と納得した顔をしたのち、机からいくつかのパンフレットを取り出すと、多喜を会議室へと通した。
女性が温かい緑茶を多喜の目の前に置いた。
「すみませんね、ちょっとみんな出払っちゃって。」
「ああ、大丈夫ですよ。そうだこれ、八戸のお土産です。皆さんで食べてください。」
多喜が紙袋から土産物を取り出す。出てきたのはイカにチーズを挟んだ定番のおつまみだ。それもご丁寧にオリジナル味とブラックペッパー味の2種類が用意されている。それに地元では有名な南部せんべいの店のいかせんべいに、最近発売されたばかりだという鯖ジャーキーといった新商品も含め、そこそこの数だ。もちろんこれらは全てUDC機関の経費で購入したものだ。則子からは『後で領収書を持ってくるように』と言われている。
「こんなにありがとうございます。あとで皆で分けますね。」
お土産を受け取った女性が紙袋を椅子の上に置いた。
「早速なんですが、最近のキャンプブームで何か村内に変化を感じることはありましたか?」
当たり障りのない世間話を切り出す多喜。目的は新郷村内部の情報収集だ。その裏ではテレパスを応用した探知思念を展開し、怪しい場所がないか調査を進める。
「ありがとうございました。それではまた。」
ひとしきりの話を終え、外に出るとスマートフォンで地図アプリを開く。そして女性の話と探知思念の結果を記録した。
「『観光の話題にならなかった場所』を探ってみるか。」
カブで十和田市との境に向かう。その道中も探知思念を張り巡らせ、見落としがないか調査を続ける。
県道145号線の途中で引っかかるものを感じ、横道へと入る。次第に道が険しくなると同時に、邪悪さを帯びた気配も強まる。
(ビンゴ!)
行き止まりと同時に、不自然な形に積み上げられた石の山が現れた。これが『竜脈封印』なのだろう。調査を始めようとする多喜を、物陰から小さなドラゴン型UDC怪物が見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ハネトカゲ・幼体』
|
POW : 火炎放射・充填型
【口から火炎放射】を放ち、命中した敵を【魔炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【予め火炎放射を吐く準備】していると威力アップ。
SPD : 火炎ボール乱射
レベル×5本の【火】属性の【火炎ボール】を放つ。
WIZ : 炎上火球
【小さな火球】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を炎上させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
●出現
『竜脈封印』の前に辿り着いた猟兵たちの前に、小さな竜のようなUDC怪物の群れが出現した。それは封印の力が弱まっていることを意味していた。
このまま小竜たちを野放しにしておけば、あっという間に村の中心部まで攻め込むだろう。その後何が起きるかは想像に難くない。ここで小竜の群れを食い止めるため、猟兵たちは戦いを挑むのであった。

家綿・衣更着
アドリブ歓迎
則子さんだいぶおいたわしかったっす
依頼終わったら化術教えたほうがいいっすかね?
「さて、可愛らしい竜さん達。誰が封印を動かしたのか教えて貰えないっす?」
相手の攻撃に合わせて「演出可能な妖怪煙」を全力放出して迷彩しつつ、「打綿狸の綿ストール」を化術で燃えない石綿に変化させつつ払って受け流し
化術で煙を一部変化させ幻影使いや催眠術と組み合わせることで自他の位置を誤認させたり、オバケを見せおどろかせた敵を盾にすることで攻撃回避
「驚いてくれて感謝っす。じゃあ骸の海にお帰りくださいっす」
UC『綿ストール・本気モード』で石綿ストールでなぎ払い
『滅びの子』とやらも楽に倒せる相手だと助かるんすけどね
●狸と小竜のワルツ
「則子さんだいぶおいたわしかったっす。依頼終わったら化術教えたほうがいいっすかね?」
今回の依頼の担当者の身に起きたことを色々と察した衣更着。できることなら本当に教えてやって欲しい。
さて、その前に片付けねばならない問題が現れた。
「さて、可愛らしい竜さん達。誰が封印を動かしたのか教えて貰えないっす?」
衣更着の問いに、封印から抜け出たばかりの小竜たちはキーキーと鳴くばかりで要領を得ない。
「仕方ない、やるしかないっすね!」
幸いにもここは人里離れた山の中。全力で戦ったとしても人的被害は抑えられるだろう。
小竜たちが一斉に衣更着に向け、大量の火の玉を放つ。しかし衣更着は慌てることなく周囲一帯に妖怪煙を散布した。火の玉が大量の煙にかき消される。
突然視界が奪われ、混乱する小竜たち。その背後に忍者手裏剣が突き刺さる。小竜たちの混乱は加速し、むやみやたらと全方位に火の玉を吐き出す。しかし衣更着は身に着けていた綿ストールを
石綿に変化させると、自身に向かっていた火の玉を振り払った。
「こっちっす!」
声のする方を見れば、人影らしきものがある。小竜たちは人影に向かって火の玉を吐くもそれは衣更着の罠。攻撃を受けたのは『身代わり呪人形「空蝉君」』だ。祟り縄で作られたこの人形は、自身を攻撃した相手に強力な呪詛を返す特性を持っている。強力な呪詛が小竜たちに襲い掛かる。
その後も妖怪煙による視界不良に加え化術、幻術によって、同士討ちや誤認、ショック死により数を減らす小竜たち。封印から抜け出たばかりの彼らよりも、場数を踏んでいた衣更着の方が何枚も上手であった。
「驚いてくれて感謝っす。じゃあ骸の海にお帰りくださいっす!」
衣更着の手にある石綿ストールがユーベルコードの光を纏う。
「誰にもこの綿は捉えられないっす!」
石綿ストールを全力で振り抜く。元々それなりの長さがあったストールが更に伸び、その場にいた小竜を全て薙ぎ払った。
「ふう、これで一件落着っすかね。」
安堵する衣更着だったが、上空から何かが飛来する気配を感じ、臨戦態勢を取る。
空から降りてきたのは、先ほどの小竜の色違いとでもいうべき個体だった。それは衣更着には目もくれず、散らばる小竜の死骸を貪るように食らい付くした。
あっという間の出来事に衣更着も手を出すことができず、色違いの小竜がどこかへと飛んでいくのを小型ニンジャタヌキロボットで追跡させることしかできなかった。
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
アドリブ連携歓迎
あっ、あれがメドツですかね?
うーん、ちょっとちがうです?……じゃあきっとツチノコです!
ツチノコさんがいっぱいいるですよ、だいはっけんですー
青森はふしぎがいっぱいですね!
もきゅっ? ツチノコって炎を出せるんですね
わっ、だめですよ、そんなに炎出したら火事になっちゃうです! はやく止めないと!
火傷しないように探検マントをしっかり着て、おもいきってツチノコさんたちに突撃! モラスパークびりびりですー!
それでも止まらないツチノコさんがいたら、注射器銃で毒攻撃です
お注射ですよ! もきゅー!
●河童でもツチノコでもなく
同じ頃、くぬぎがいる森の中でも異変が発生した。小川の中から小竜の群れが飛び出してきたのだ。
「あっ、あれがメドツですかね?うーん、ちょっとちがうです?」
水かきも甲羅もなければ、頭の上にあるのは皿ではなく角である。『ちょっと』所の話ではない。
「……じゃあきっとツチノコです!ツチノコさんがいっぱいいるですよ、だいはっけんですー。」
確かにどちらも爬虫類っぽいが、ツチノコに角が生えているのかは判断に迷う部分がある。なお余談ではあるが、十和田湖周辺においてツチノコの目撃情報が存在する。
「青森はふしぎがいっぱいですね!」
確かに青森県は不思議スポットも多いが、何か違う気がしてならない。
さて、くぬぎの存在に気付いた小竜が火の玉を吐き出してきた。
「もきゅっ? ツチノコって炎を出せるんですね。」
間一髪のところで回避できたものの、地面に落ちた火の玉は積もった落ち葉を焼き、周囲を炎上させた。
「わっ、だめですよ、そんなに炎出したら火事になっちゃうです! はやく止めないと!」
幸いにしてここは人里離れた田園地帯の森の中、すぐさま人的被害は出ないだろうが、火事と見間違えた村民が消防に通報する可能性もある。それほど時間は掛けられないだろう。
くぬぎは冒険マントを取り出して羽織る。モーラットの毛皮に比べたら耐火性は万全だ。全身に漲らせたユーベルコードの光をパチパチ静電気に変換し、小竜の群れの中に突撃する。
「いくのですー!」
『モラスパーク』の静電気を喰らい、黒焦げになった小竜たちが次から次へと小川に落ちる。範囲外にいた小竜たちもくぬぎが毒の入った注射器銃で追いかけまわし、毒に倒れていく。
「お注射ですよ!もきゅー!」
その様子を、小川の中から見つめているものがいた。色違いの小竜だ。色違いの小竜は小川に浮かぶ同族の死体をワニの如く貪ると、水の中へと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
アーカイブの連中……。
まさか竜脈を監視する連中が常駐するのを隠すためにわざと「キリストの墓」みたいなカバーストーリーを流布してオカルト好きな連中を集めてた?
いや、考えるのは後だね。
こうして目の前に竜脈に惹かれた奴が居るんなら、退散させなきゃいけないだろうがよ!
こんな場所で山火事は御免だね、発火の心配がないサイキックの『衝撃波』を攻撃の中心に組み立てて竜どもを迎撃するよ。
土地勘はこっちにもあるんだ、『地形の利用』をしながら奴らに狙いをそうそう定めさせない。
それでも火球は放ってくるだろうから、そこは【災い拒む掌】で吸い込むよ!
そしてそのまま狙って返してやらぁ!
●今だ全容は掴めず
山中に突如として現れた、不自然な形に組まれた岩。その岩を前に、多喜が考えを巡らせる。
(アーカイブの連中……。まさか竜脈を監視する連中が常駐するのを隠すためにわざと『キリストの墓』みたいなカバーストーリーを流布してオカルト好きな連中を集めてた?)
ならばここもアーカイブの監視下か?その思考は岩から現れた小竜の群れに中断させられた。
「こうして目の前に竜脈に惹かれた奴が居るんなら、退散させなきゃいけないだろうがよ!」
キーキーと煩い小竜の群れが火の玉を乱射する。これが周囲の木々や足元の落ち葉に引火したら瞬く間に大規模な山火事が発生するだろう。多喜は掌にユーベルコードの力を集中させると、掌に生み出した小規模の次元特異点で火の玉を吸い取った。
「コイツが吸える攻撃で助かったよ……。」
返す刀でサイキック衝撃波が放たれ、直撃した小竜たちの体がバラバラに引き裂かれる。
迷彩と土地勘を駆使し森の中に溶け込んだ多喜の姿を見つけられぬ小竜たち。
「よそ見禁止だ!」
1匹の小竜が多喜に殴り飛ばされ、吹っ飛ばされた勢いで別の小竜にぶつかる。それを繰り返し、小竜がある程度集まったところへ先程次元特異点に集めた火の玉を放った。
「熨斗付けて返してやるよ!」
「ふう、これで全部だな。」
黒く炭化した小竜の死骸を確認する多喜。彼女は薄々ながら、この場で自分を見張っているような気配を感じていた。
「いるんだろ、出てこい!」
多喜の言葉に呼応するように、色違いの小竜が現れた。それは多喜を一瞥すると、炭化した小竜の死骸を咥えどこかへと飛び去って行った。
成功
🔵🔵🔴
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!
お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ
口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね
アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!
ゾンビーヌ・ロッテンローズ(サポート)
デッドマンのコミックマスター×自由農夫、18歳の女です
普段の口調は「女性的(わたくし、~様、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、心を許したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です
ゾンビとして蘇った文字通りの『腐』女子
男性が好きですが恋愛対象でなく、妄想のネタとして男同士でくっつけることを好みます
口調は作っているもので、本性は内気な陰キャです
ユーベルコードは所持する物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●山中に咲く二輪の薔薇
「1人でこの群れはちょっと骨が折れるかしら。」
山中で一人ぼやくのは仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の人格の一人、ネイル。彼もまた『竜脈封印』を調査していたのだが、その途中で小竜の群れに遭遇したのだった。
「でも、ここで逃がすと大変なことになるわね。」
ネイルはダガーを投げ、まずは1匹を仕留めた。だが数が多すぎる。
「ほ~ほっほほほほ!そこの猟兵、お困りのようね!」
山中に突如として高笑いが響き渡る。声の主はゾンビーヌ・ロッテンローズ(元カルト組織「リビング・デッド魔導会」の腐薔薇姫・f40316)だ。
「あら助っ人?いい所に来てくれたわね!」
ネイルの声色が明るさを帯びた。
「数には数で対抗ですわよ!」
鉄をも引き裂く茨の鞭、ロッテンローズウィップで小竜たちを引き裂くゾンビーヌ。そこに小竜の火の玉が飛ぶ。
「危ない!」
ネイルがコートを脱ぎ棄てて加速し、ダガーで火の玉を弾き返す。
「今のは危なかったですわね。助かりましたわ。」
「だってあなた、見た感じ植物じゃない。危険よ危険。」
2人の奮闘もあり、それなりに小竜の死骸が積みあがる。それを見たゾンビーヌが何かを閃いた。
「ネイル様、少しでいいので時間を稼いでいただけませんか?わたくしに一つ手がございますの。」
「わかったわ、やるだけやってみるわね。」
ユーベルコードで作り出した手裏剣を放ち、小竜たちの影を縫うネイル。小竜たちの動きが止まる。その間に小さな袋を取り出したゾンビーヌは、その中に入っていた希少植物の種を小竜の死骸に向かってばら撒いた。希少植物は小竜の死骸を肥料代わりに急速に成長し、主たるゾンビーヌの忠実な僕として小竜を支配する。
「さあ行きなさいモブゾンビ軍団!」
こうして植物ゾンビと化した小竜たちがまだ生きている小竜たちに襲い掛かる。
「なるほど、こうやってこっちの数を増やすのね。」
ネイルが感心した顔で頷く。
「とはいっても、所詮モブゾンビですので強さは大したことないですわよ?」
スローイングロッテンローズをダーツの如く投げながら、ゾンビーヌが答える。
「とはいえ、壁程度には役立ちますわよ。」
「さて、倒せるのは全部倒したみたいだけど、このゾンビ小竜はどうするの?」
「24時間経てば寄生している植物が枯れるので、ゾンビ化も解除されてただの死骸になりますわ。」
アフターフォローも万全ね、と納得したネイル。だが――
「上から来るわよ!」
「まさか!?」
間一髪で上空からの攻撃を回避した2人。そこに色違いの小竜が舞い降りた。小竜は唸り声をひとつ上げると、ゾンビ小竜を喰らいだした。
「嘘でしょ……?」
「こんなこと、あるの……?」
2人も今起きていることが信じられないという表情をしている。ゾンビーヌに至っては素に戻っている。
ゾンビ小竜を喰らいつくした色違いの小竜は満足げな顔を浮かべ、再び空へと舞い上がった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『滅びの子』
|
POW : 自戒せよ
攻撃が命中した対象に【自らのユーベルコードが体内で暴走する状態】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象のユーベルコードを対象自身が受ける事】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : 懺悔せよ
【ユーベルコードを反射する事】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【弱点】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 悔改めよ
【ユーベルコードが敵の体内で暴走する呪い】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
●君臨せよ
小竜の死骸を喰らい続けた『色違いの小竜』。それは力を取り込んだ結果巨大化し、本来の姿を取り戻した。あれこそが『滅びの子』。竜神達の封印から目覚めたばかりのそれは、本来の力をまだ取り戻していなかった。
本来の力を取り戻すべく新郷村中心部へ向かい飛翔する『滅びの子』を止めるべく、猟兵たちは戦いを挑むのだった。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
ヤベェ、あんなに急成長するもんなのかよ!
空を飛ばれてるからあの方向に直進されると……あんまり余裕がない!
ユベコの暴走が怖いから空中を飛ぶのは控えた方がいいね、その上で最高速を得るなら……!
人機一体じゃない、ここで使うのは【心機超越】。モード【迅】で、パーツを装備しなおしながら『悪路走破』しつつ超高速で『追跡』し、”einherjars”の『弾幕』とマルチプルブラスターによる重力波の『属性攻撃』を放つ!
地上からの対空射撃だ、さほど周りへの被害はないだろ!
高度が落ちてきたなら、クローでの追撃まで考えながら走り続けるよ。
とにかく人が多い場所に出る前に片付けねぇと……!
●追う者
国道454号に沿い、東へと飛ぶ『滅びの子』。それを宇宙カブ『JD-1725』に跨った多喜が追いかける。国道を走る車がないのをいいことに、カブとは思えぬスピードを出す『JD-1725』。それでもまだ『滅びの子』を捉えるには至らない。
「ヤベェ、あんなに急成長するもんなのかよ!」
多喜が驚くのも最もである。しかも厄介なことに『滅びの子』はまだあれで本来の3割程度の力しか戻っていないのである。その3割の力ですらユーベルコードに対する耐性を有しているのだから、本来なら普通に戦って勝てる相手ではないのだ。
ふと道路の案内標識を見て、多喜があることに気付く。
「あの方向に直進されると……あんまり余裕がない!」
『滅びの子』が進む先には五戸町、そして青森県第2の都市であり、約21万人の人口を抱える八戸市があるのだ。八戸市は水産業と工業で栄えた都市であり、現在でも稼働している工場やコンビナートが多くある。ここを攻撃されると何が起きるのか、それは多喜の想像の通りだろう。ならばこれ以上先に進ませるわけにはいかない。
『滅びの子』が有する『ユーベルコードに対する耐性』は正確に表現するなら『敵のユーベルコードを制するためのユーベルコード』である。この能力故に『滅びの子』は弱体化も攻撃も防げたのだ。多喜もそれを警戒しているがゆえに、空を飛ばず地上からの追跡を行っているのである。
だが、この能力も万能ではない。『敵の自己強化ユーベルコードには無力』という致命的な欠点が存在したのだ。
「サイキックオーラ全開、シンクロ開始……機関接続、出力全開。思い切りブッ飛ばしてくよ!」
ユーベルコードの光と共に、多喜の手元に『BS-A(JD)マルチプルブラスター』と『BS-F(JD)シールディングオービット"Einherjar"』が出現した。本来はキャバリア用の兵器であるが、いずれもユーベルコードの力により生身の人間が扱えるサイズに縮小されている。
「行くぞっ!」
『JD-1725』を更に加速させ、猛追する多喜。『Einherjar』から放たれる弾幕が『滅びの子』の行く手を阻み、マルチプルブラスターから放たれた重力波が『滅びの子』を地へと堕とす。
落下する『滅びの子』に『RX-JDサイオニッククロ―』を装備した多喜が追撃を加え、その羽を切り裂いた。
「とにかく人が多い場所に出る前に片付けねぇと……!」
地に引きずり降ろされ、怒りを露わにする『滅びの子』を前に焦燥感を隠せない多喜。だが、これはまだ始まりにしか過ぎなかったのである。
大成功
🔵🔵🔵
家綿・衣更着
アドリブ歓迎
「あんたが龍原洞さんが言ってた滅びの子っすか。村は襲わせないっす!」
UC反射は面倒っすね。自己強化型UCならどうっすか?
妖怪煙で迷彩から、UC『降魔化身法』を使って姿を通常時のそれに化術で偽装っす
ストールの一部を化術と幻影使いで狸火に変えて飛ばす&綿ストールを化術で本気モードのように伸ばす事でUCに見せかける偽装から、「忍者手裏剣」投擲や「空亡・蒼」での切断による通常攻撃でダメージを与えるっす
「おいらは火も含めて生物に有効な攻撃はだいたい弱点っすけど。化術で姿も性質も変幻自在に変わるから、覚えた所で役に立たないっすよ!」
後ろに守るものがあるなら、なおさら弱点程度に負けないっす
●綿を掴むような
『タンクローリーの横転炎上事故により、国道454号は五戸町中ノ沢西張の交差点から秋田県鹿角市十和田大湯の交差点まで通行止め』のニュースがラジオから流れ、瞬く間に規制線が張られた。
UDC機関が発動したカバーストーリーによって、『滅びの子』と猟兵たちの戦場から一般人は遠ざけられた。更には不測の事態に備え、秘密裏に派遣されていたUDCエージェントたちが村民の避難を計画していた。
さて、戦場では怒りに震える『滅びの子』が尾を振り回し暴れていた。尾の一撃がアスファルトを叩き割り、地面を抉る。
「あんたが龍原洞さんが言ってた滅びの子っすか。村は襲わせないっす!」
現場に駆け付けた衣更着が吠える。彼が高速飛行していた『滅びの子』を見失わずに済んだのは、咄嗟に放ったニンジャタヌキロボットのおかげだろう。それはずっと『滅びの子』を追跡し、現在位置を衣更着に送り続けていたのだった。
『滅びの子』は体に巻き付いた茨のような触手を伸ばして振り回し、衣更着に襲い掛かる。間一髪のところで回避した衣更着だったが、その威力はすさまじく、道路脇に生えていた木々を一撃で薙ぎ倒した。
「接近戦に持ち込まれたら厄介っすね。」
衣更着は一帯に妖怪煙を撒き、『滅びの子』の視覚を封じる作戦に出た。
(さて、冬島さんから見せてもらった資料によるとコイツは『ユーベルコードを反射する力』を持っているみたいっすね。となるとユーベルコードによる直接攻撃は避けた方が賢明っす。となると、ユーベルコードによる自己強化が有効っすかね?)
その身に『悪鬼』と『幽鬼』を下ろし、己の力を飛躍的に向上させる。体のあちこちからどろり、と血が流れる感触を我慢しながら、衣更着は化術を使い、自身の姿を普段の姿に擬装させた。
ストールの一部を狸火に変化させると同時に、残ったストールを長く変化させる。それはあたかも『本気モード』で変化したように見えるが、あちらがユーベルコードなのに対し、こちらはあくまでも化術で変化させたもの。『滅びの子』が持つ『ユーベルコードを反射する力』では対処できないのだ。
「こっちっすよ!」
長く変化させたストールを振り回し、近づいてきたところに狸火を放つ。ユーベルコードではない攻撃を受けた『滅びの子』が一瞬怯んだ。その隙に一気に懐に入り試作魔剣『空亡・蒼』でその触手を切断した。
深手を負わされた『滅びの子』は怒り狂い、口から炎を吐きだした。傷口がじわじわと塞がると同時に、攻撃への対応を図るようその形を変える。
石綿に変化させたストールで炎を防ぎながら、忍者手裏剣を投げつける衣更着。その形状はまさに変幻自在。一つとして同じ形の忍者手裏剣はない。
「おいらは火も含めて生物に有効な攻撃はだいたい弱点っすけど。化術で姿も性質も変幻自在に変わるから、覚えた所で役に立たないっすよ!」
変化を続ける妖怪と変化に対応できない邪神。どちらが優位かは一目瞭然だろう。
大成功
🔵🔵🔵
三上・くぬぎ
アドリブ連携歓迎
すごいです!
ツチノコがドラゴンに進化したですー!
これは、近くでかんさつしないとですね!
『わくわくディスカバリー』発動。跳躍力を強化
ドラゴンの攻撃をぴょんぴょん避けて、好奇心のままに突撃
ドラゴンさんこんにちはですー!
あたまにお花ついててかわいいですね!
ツチノコいっぱい食べたから、そんなに大きくなったですか?
ツチノコおいしかったですか?
とっても強そうですね!
毒にも強いですか?
【薬品調合】でとっても強い神経毒を作って注射器銃で攻撃です
くぬぎの毒とどっちが強いか、勝負勝負ですー!
ルドルフ・ヴァルザック(サポート)
「フゥーハハハ!(こ、この場は笑ってごまかすしか……)」
◆口調
・一人称は我輩、二人称はキサマ
・傲岸不遜にして大言壮語
◆性質・特技
・楽天家で虚栄心が強く、旗色次第で敵前逃亡も辞さない臆病な性格
・報復が怖いので他人を貶める発言は決してしない
◆行動傾向
・己の威信を世に広めるべく、無根拠の自信を頼りに戦地を渡り歩く無責任騎士(混沌/悪)
・何をやらせてもダメなヘタレ冒険者だが、類まれな「幸運」に恵まれている。矢が自ら彼を避け、剣先が届く前に毀れ、災難は紆余曲折で免れる
・臆病な性質も見方次第では生存本能と言えなくも……ないよね?
・コミックリリーフ役にお困りならば、彼が引き受けます(但し公序良俗の範囲内で)
●モーラットとおじさん
空飛ぶ『色違いの小竜』にやっと追いついたくぬぎ。彼女が見たものは小竜とは似ても似つかない姿の『破壊の子』であった。
「すごいです!ツチノコがドラゴンに進化したですー!これは、近くでかんさつしないとですね!」
ツチノコが進化してもドラゴンになる訳ではないが、それにしても元の小竜の面影が全く無い。これも『竜脈封印』の影響だったのだろうか。
それはさておき、珍しいものを見たくぬぎの好奇心は止まらない。
「たのしそうなこと、はっけんですー!」
本人の意思とは関係なく高められた跳躍力を駆使し、『滅びの子』へ接近を試みる。
己よりも小さな毛玉が近づてくる。敵の気配を察知した『滅びの子』は治癒が完了した翼で飛翔を試みる。
「まつのです!」
ピョン、と跳躍する毛玉に火の玉を吐き出し、撃墜しようとするも寸でのところで回避してくる。地上にはいくつものクレーターが生じ、火の手が燻っている。
「ドラゴンさんこんにちはですー!あたまにお花ついててかわいいですね!」ツチノコいっぱい食べたから、そんなに大きくなったですか?ツチノコおいしかったですか?」
『滅びの子』が喰らった小竜の死骸の中に、希少植物が寄生したものがあった。それはとある猟兵の手によるものだが、恐らく因果関係はないだろう。
「とっても強そうですね!毒にも強いですか?」
くぬぎが手にした注射器銃には強力な神経毒が注入されている。少なくとも小竜には効果があったので『滅びの子』にも有効であると踏んだのである。
くぬぎの攻撃を時に躱し、時に注射を受けつつも神経毒の効果はなかなか発揮されない。
手数は多いが致命傷を与えるには至らないくぬぎと、一発当たればダメージは大きいが攻撃が当たらない『滅びの子』。この戦い、双方に決定打を欠いていた。
「おいおい、ありゃ相当ヤバいぞ……。」
木の影に潜んで戦況を見守っていたルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)は『滅びの子』の強さに怯えていた。『敵のユーベルコードに対抗するユーベルコード』の力を抜きにしても、『滅びの子』の強さは彼が今まで戦ったオブリビオンの中でも上位に来るものだったのだ。
あのモーラットがオブリビオンを引付けている間に撤退すべきか。その考えは火球が彼の隣をかすめていったことで中断された。
「うぉおおおおお!!!」
「おじさん、手伝ってくれるのですか!?」
思わず木の影から飛び出したルドルフを援軍と勘違いしたくぬぎ。今更『そんなつもりはなかった』と言えぬルドルフは開き直った。
「この『竜を屠る者』ルドルフ・フォン・ヴァルザックが来たからにはもう安心だ!」
とはいえ、ルドルフに何か策があるわけではない。必死に周囲を注意深く見渡し思考を加速させる。と、不意に『滅びの子』の羽ばたきが乱れた。
(もしや、先ほどの注射が今になって効いてきたのか?ならば!)
窮地の閃きが降臨した。ルドルフが叫ぶ。
「邪竜よ聞け!」
何事か、と言わんばかりにルドルフへと頭を向ける『滅びの子』、そして見守るくぬぎ。
「たった今! 我輩は二つのモノを得るだろう。一つは地の利、そしてもう一つはキサマの血糊ッ! ザ・エンドってな、フゥーハハハ!!」
このクレーターだらけの場所にどのような地の利があるかは不明だがこのルドルフ、やたらと自信満々である。
『煩い』と言わんばかりに火球を放つ『滅びの子』であったが、駆けだしたルドルフは火球を的確に回避していく。そして全力を籠め、愛用の槍『ランツェ・デル・フライハイト』を放った。
『滅びの子』からすれば、通常この程度の攻撃など余裕で回避できるのだが、今回は全身に回ったくぬぎの神経毒が体の動きを鈍らせ、ルドルフの『因果すら捻じ曲げる』と評された自己肯定感の効果により、槍はその右目を貫いた。
叫び声を上げ、のたうち回る『滅びの子』。
「おじさんかっこいいです!ありがとうです!」
「い、いやぁ。私にかかればこんなもんだ!」
尊敬の眼差しで礼を述べるくぬぎ。その真直ぐで純真な瞳がルドルフの心に刺さるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ステラ・スターライト
封印から目覚めた邪竜を退治する――
GGOではよくあるイベントだ
そう、それは私達が楽しむための“イベント”
クリアができなくても報酬を得られないだけ
何かを失うなんてことは殆どない
でも、この世界ではそうじゃない
この邪竜が本来の力を取り戻したらどれだけの被害が出るのかわからない
他のみんながここまで追い込んだ敵
決して逃がしたりしない――!
最初から《耳飾り》の力を用いて短期決戦
3つの《霊剣》を放って退路を塞ぐ
《飛翔》で飛翔し、敵の間合いに入らないように注意
攻撃を見切って躱し、《結界》で防ぎつつ、《剣》の斬撃波で攻撃
動きが鈍ったなら、又は意識を3つの剣に向けた隙を見てUCを発動
《剣》から斬撃波の一撃を放つ!
●ここが彼らの
現実
空がほんのりと夕焼けに染まる。秋の終わり、冬の手前は日が沈むのも心なしか早く感じられる。そんな時に彼女は降り立った。
(封印から目覚めた邪竜を退治する――GGOではよくあるイベントだ。)
神経毒の後遺症か、右目の再生が不完全な『滅びの子』に相対するのはステラ・スターライト(星光の剣・f43055)。
GGO出身の猟兵だ。
オンラインゲームであるGGO世界において、ドラゴンは珍しい存在ではない。ダンジョンボスやレイドボス、イベントボスといった『強敵』として事あるごとにプレイヤーたちの前に立ち塞がるのがドラゴンなのだ。
(そう、それは私達が楽しむための“イベント”。クリアができなくても報酬を得られないだけ。何かを失うなんてことは殆どない。)
飛んでくる火球を時に見切り、時に身かわしで回避しながら相手の様子をうかがう。
(でも、この世界ではそうじゃない。この邪竜が本来の力を取り戻したらどれだけの被害が出るのかわからない。)
GGOであれば負けても命までは取られない。運悪くバグプロトコルに敗れてた場合、
遺伝子番号こそ焼却されるが、人権こそ失われても生命までは奪われないらしいという話だ。
だがここはUDCアース。オブリビオンへの敗北は死、そして世界の滅びを意味する。だからこそ竜神達は命懸けで『滅びの子』を封印し、猟兵たちもまた命懸けで戦うのである。
(他のみんながここまで追い込んだ敵、決して逃がしたりしない――!)
ステラは手を『双星の耳飾り』に伸ばした。これは『装備者の全ステータスを一時的に上昇させる』という破格のバフを有するレアアイテムだ。この力を使い、短期決戦に持ち込もうというのだ。
自身の中から力が沸き上がるのを感じつつ、改めて『滅びの子』と向き合うと、自動攻撃の効果を持つ3本の霊剣――炎霊剣、氷霊剣、雷霊剣――を放った。霊剣はビットの如く飛翔し、『滅びの子』へと襲い掛かる。
炎霊剣が炎を纏った斬撃を繰り出す。『滅びの子』は効かぬとばかりに爪で叩き落そうとしたが、その死角から氷霊剣が冷気を放ち、体を凍らせる。一瞬動きが鈍ったところに、稲妻を纏った雷霊剣が背中に突き刺さる。
その間にステラが『飛翔』の加護を使い、空へと舞い上がる。怒りに任せて火球を連発する『滅びの子』の間合いに入らないよう注意を払い、躱しきれない火球は『結界』の加護で防御したり、炎霊剣に撃ち払わせたりしつつ『蒼星の剣』で斬撃波を放ち、攻撃を行う。
『蒼星の剣』には敵ユーベルコードへの加護が込められている。それはすなわち、『敵のユーベルコードに対抗するユーベルコード』を持つ『滅びの子』への特攻だ。
3本の霊剣が同時に攻撃を繰り出すべく、『滅びの子』へ向けて矢の如く真直ぐに加速する。攻撃の気配を感じた『滅びの子』は回避すべく動こうとしたが、それ故に一瞬ステラへの注意を欠いた。そして、ステラもまたその隙を見逃さなかった。
「これで、終わりです!」
戦場に漂うユーベルコードの力を『蒼星の剣』が吸収する。蒼い光を湛えた剣身を力強く振り降ろし、斬撃と光の奔流――
光の一撃が『滅びの子』を飲み込んだ。
『滅びの子』の断末魔が、過疎の村の山奥に轟いた。
邪神を倒した後のことはこの世界の人々――UDC機関――が何とかしてくれるだろう。ラジオから『国道454号線の交通規制一部解除』のニュースが流れ、これから彼らの仕事が始まる。
大成功
🔵🔵🔵