獣人世界大戦⑯〜その足で踏み抜けぬものは
一歩、足を踏み出すたびに大地が揺れる。身長数百メートルに達する巨躯が、文字通りの意味で大地を揺らしながら移動している。その前に道はなくとも幼女総統の身体で踏み越えられぬ地形など無いのだから。
地形では幼女の逃走を止める事は出来ない。ならば、その足を止める為には――。
●グリモアベースにて
「幼女総統「ギガンティック」がシベリア内陸部へ逃走しようとしています」
アルトリンデ・エーデルシュタインが集まった猟兵たちへ状況を説明する。
猟兵との戦いで不利を悟ったギガンティックはウラル山脈を越え、シベリア内部へと一直線に逃走をしようとしている。その途中には河川や山脈など自然の要害となろう場所もあるが、ギガンティックの巨大さにはあまりにもささやかなもの。それ故にギガンティックの逃走を阻止するには猟兵による追撃が不可欠となる。
「ここで逃せば後々に影響が出るのは勿論なのですが――」
アルトリンデが言葉を切り、地図を広げて周囲の地形を見せる。まばらな林、大きめの河、その先に小さな街。
ギガンティックは進路上の地形を破壊しながら進んでいる。それが自然でも、人々が暮らす街であっても。
「皆さんにお願いしたいのは、ギガンティックへの追撃。それと可能な限り周辺地域への破壊も防いでいただければと思います」
大戦が終わった後もこの世界の人々の営みは続く。残される爪痕は少ない方が良い。人々の生活に関わるものならば、特に。
「巨大な相手故に歩幅も大きく、あまり猶予はありません。ですが皆さんならば対処できると信じています」
そう言葉を括り、アルトリンデは猟兵たちを送り出すのだった。
こげとら
おひさしぶりです、こげとらです。
こちらは『獣人世界大戦』、幼女総統「ギガンティック」追撃のシナリオとなります。難易度は『やや難』となります。
放置しても戦争の趨勢に影響はないとの事ですが、いろいろ踏み壊しながら逃げて行ってるので追撃しましょう。
このシナリオには下記の特別なプレイングボーナスがあります。
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プレイングボーナス……ギガンティックの歩幅に対処する/周辺地形の破壊を阻止する。
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地形は林があって河があって街になります。林も河も広さはそこそこですが、視界が遮られたり足がつかないとかは無いです。何も妨害が無ければ、どの地形も数回踏まれます。
ギガンティックは邪魔な地形は踏み壊すつもりで移動しているので、単純に地形を壊さないよう守るだけでも移動の妨害は出来そうです。皆様の得意な方法で挑んでもらえればと思います。
それでは皆様のご参加をお待ちしております!!
第1章 ボス戦
『幼女総統「ギガンティック」』
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POW : 幼女キーック!!!!
単純で重い【幼女キック】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 超超巨大ビィーム!!!!
【超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』】から、レベル×5mの直線上に【超超巨大ビーム】を放出する。【魔力】を消費し続ければ、放出を持続可能。
WIZ : 斯様な結末、吾輩は断じて認めない!!!!
全身に【終焉を巻き戻す「エンドテイカーの魔力」】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【巻き戻されてゆく時間の流れ】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
👑11
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ベルト・ラムバルド
アドリブ上等
クロムキャバリア出身のスゴ腕パイロットのハイカラさんです。
騎士道物語に憧れ騎士道を目指しています。腕は確かですがお調子者です。俗にいう残念なイケメンです。
キャバリアに乗って闘ったりします。キャバリアに乗らなくても戦いますが生身ではそんなに強くありませんが、そこは知恵を振り絞って頑張ります。
口調 (私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
巨大な幼女が道なき道を進んでいる。木々を、岩を、あらゆる障害を意に介さずに踏み壊しながら。そこにどのような歴史が、想いがあろうともギガンティックにとっては些末な事。逃走の邪魔になるもの尽く、自らの巨体で破壊するとでも言わんばかりに一直線に移動していた。その様を真正面に捉えるキャバリアが一機。
「守るべき街を背に、巨大な敵に立ち向かう。まさに騎士道物語そのものだな!」
ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)はキャバリア『パロメデス』の操縦席で笑みを浮かべる。キャバリアとて身長数百メートルの幼女を前にしてはあまりにも小さい。だが幾度かギガンティックと交戦をしたベルトには戦えない相手ではないと分かっている。
「街からの距離は十分! 街の誰からも見えないのは、ちょっと離れすぎたか? まぁいい、華々しい活躍だけが騎士道ではないからな!」
多少暴れられたとて街への被害はないだろう距離。いくぞ、と口に出したのは抑えきれぬ興奮か、あるいは自らへの鼓舞か。暗黒騎士風のキャバリアがギガンティックの足元へ駆ける。
ギガンティックにとって猟兵など文字通りに小さな存在だ。それこそ他に気をとられていれば目に入らない程度に。
「その程度の存在と侮ったが吾輩の現状か……だが次は、あいったぁ
!!??」
一直線に逃走中のギガンティックが足を踏み下ろした直後、靴底から突き抜ける鋭い痛み。まるで釘でも踏み抜いたかと思うほどの痛みに降ろそうとした足を上げるとそこには輝けるビーム刃を掲げる暗黒騎士――『パロメデス』の姿があった。
「どうだ、足裏に棘が刺さるのは痛かろう!」
巨大な脚に踏まれてキャバリアが耐えられるか内心ひやりとした事はおくびにも出さずベルトがギガンティックへ刃を向ける。
「おのれ猟兵、今は貴様らのような小石に構っている暇などは……!」
語気を荒げるギガンティックがベルトをキャバリアごと消し飛ばさんと超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を構える。対し、ベルトは巨大槍サークランサーを構え。
「小石などではない! ベルト・ラムバルドは光明の暗黒騎士だ! 知っておけ!」
キャバリアの全推力を乗せた突撃でギガンティックの脛にぶち当たる。
「……っ!?」
その衝撃にギガンティックの魔力が乱れて砲撃が止まり、そして逃走の足も止まるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
神臣・薙人
これだけの巨体
人々が暮らす地へ届いたらどうなるか…
地形を踏み越えると言うのならば
ここで、私達が討ち取るしかありませんね
敵影が見えた時点で
武器の桜枝を投げて攻撃
注意をこちらへ引き付けます
その後、可能な限り素早く敵へ接近
足が射程に入った段階で茨姫の抱擁を使用
少しでも歩みを止める事が叶えば
蟲笛でありったけの白燐蟲を呼び出し
一斉に体に食い付かせます
茨の拘束が解けた場合はUC再使用
何度でもその足を止めましょう
白燐蟲での攻撃も継続
エンドテイカーは
魔力を帯びる兆候が見えた時点で
もう一度桜枝を投げるか
白燐蟲をけしかけて妨害
やり直しはさせません
貴方が踏み締めて来た地と同じように
過去は取り返しが付かないのですから
幼女総統「ギガンティック」が足の痛みを堪えてまた一歩踏み出した。その足跡は、たとえ一度でも踏まれれば元がどのような地形かも分からぬほどに均されてしまう事実を示しているかのようだ。
「これだけの巨体、人々が暮らす地へ届いたらどうなるか……」
神臣・薙人(落花幻夢・f35429)の呟きはギガンティックの地を揺らす足音に比べればささやかで。されど籠る想いは劣らず重く。自らの後方に守るべき営みがあるならば、それらすべてを踏み越えると言うのならば。
「ここで、私達が討ち取るしかありませんね」
再び移動を始めたギガンティックに向け、薙人が桜枝を放つ。微かな風切り音と桜の花弁の幻を軌跡に残し、突き立った桜枝がギガンティックに新たな猟兵の存在を告げた。巨大幼女の双眸が薙人を捉える。
猟兵の排除か、逃走か。ギガンティックにとって迷うべき命題でもない――猟兵など一跨ぎもせずに突破できるのだから。
「そう思いどうりには行きませんよ」
こちらを跨ぎ、通り過ぎようとするギガンティックに距離を詰める薙人。巨大な脚が降ろされた先に茨が伸びる。地に足を縫い留めるように幾重にも絡みつく茨は引き抜こうにも棘を埋め込むように締め付け、放さない。
「この程度の戒めで、吾輩が止められるとでも! ぬ…う…!?」
「思っていませんよ。ですがこれならば……どうでしょうか」
戒めを振りほどこうとするギガンティックに抗する茨の軋む音が響く中、笛の音が戦場を渡る。途端、湧き出るように無数の白燐蟲がギガンティックの足に噛みついた。茨の拘束に加え白燐蟲の攻勢も留まるところを知らず、ギガンティックの巨体をも徐々に覆おうとしていた。
「ここで足を止められるなど……終わるなど! 斯様な結末、吾輩は断じて認めない
!!!!」
ギガンティックの周囲に魔力が渦巻く。終焉を巻き戻すエンドテイカーの魔力が、戦場の時間を巻き戻し、幼女を縛る戒めを解かんと――。
「やり直しはさせません」
ささやかな音を立て、ギガンティックに桜枝が突き刺さる。薙人の投じた桜枝、その軌跡に残る花弁の幻を追うが如く無数の白燐蟲が殺到する。ギガンティックの魔力が蟲に食い荒らされるように散ってゆく。
「貴方が踏み締めて来た地と同じように、過去は取り返しが付かないのですから」
「おのれ、第六の猟兵……!」
時を戻せず歯噛みするギガンティックに薙人は茨と蟲で更なる拘束を仕掛けていく。
たとえこの拘束を抜けたとしても、この攻防はギガンティックに無視できぬ消耗を与えていた。
大成功
🔵🔵🔵
ミーガン・クイン
うーん、出来る限りのことはやってみるけどぉ。
多少の破壊は許してね?
私のかわいい天使、かつての姿を見せなさい。
<守護大天使『ミュールフォン』>を【武器巨大化】するわぁ。
≪拡大魔法・重≫を≪拡大魔法≫に合わせて発動させましょう。
謹製の<巨大化薬>も加えてあげる。
どこまで大きくなってくれるかしら?
さぁ、私を乗せてギガンティックちゃんを追いかけるのよ。
空を飛んで追いかけなさい。
こちらも巨大サイズなら追いつくのは簡単よね?
<エンジェルソード>と<エンジェルシールド>で砲撃から身を守りながら接敵、
<エンジェルチェイン>を操ってギガンティックちゃんを【捕縛】【束縛】しちゃうのよ♪
ミュールフォンから飛び降りて、
私も≪拡大魔法・重≫&≪拡大魔法≫+<巨大化薬>で大きくなるわ。
【重量攻撃】で押さえつけて、【恐怖を与える】【誘惑】【奉仕】【生命力吸収】で戦意を失くさせましょう。
「これ以上の損害は吾輩の計画に支障をきたす……くっ」
既に消耗を強いられた身体に力を入れ、目指す先を見据える幼女総統「ギガンティック」。一刻も早くこの場から離脱し、シベリアを目指さなくてはと動こうとする巨大幼女を眺める人影が一人。
「うーん、出来る限りのことはやってみるけどぉ。多少の破壊は許してね?」
ミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)は悩まし気に、あるいはどこか楽し気に呟いた。巨大なギガンティックに対峙する気負いではなく、結果に付随する事態を憂慮する口ぶりは彼女なりの気遣いか。何にせよ、大きさを変える魔法を得意とする魔女にとって相手の巨大さは不利になる要素たりえない。
展開される魔法陣、そして紡がれる言葉と魔法が形を成す。
「私のかわいい天使、かつての姿を見せなさい」
ミーガンの拡大魔法を受け、守護大天使『ミュールフォン』が巨大化してゆく。さらに重ねられる拡大魔法がかつての威容を取り戻すかの如くさらに天使の姿を大きくしていった。周囲の木々を越え、さらに大きく、高くへと拡大する天使の肩に乗るミーガンの視線の先に見えるギガンティックはまだ見上げるほどだ。
「もう少し大きくなりましょうか。謹製の巨大化薬も加えてあげる」
さらに大きくなってゆく天使の姿、ギガンティックにも当然認識されている。
「あの大きさでは、さすがに吾輩でも無視はできんか……だが!」
巨体だけがギガンティックの武器ではない。距離を離そうと移動しつつ幼女が展開した超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』が巨大化したミュールフォンを狙う。その照準を合わせられていると知りながらもミーガンに焦りはない。
「空を飛んで追いかけなさい」
見上げるほどの巨体がふわりと宙に浮く。現実離れした光景は、魔女のなせる業か、あるいは天使の故か。だが飛んで距離を詰めるとはいえ、障害物もない空中では一度は砲撃を受ける。撃ち落とす、必中を期してギガンティックが放った超超巨大ビームは、その砲撃を予期していたミーガンの指示によって天使が構えたエンジェルソードとエンジェルシールドによって防がれた。
「ふ、吾輩のビームが受け止め続けられると思っているか!」
ギガンティックの超超巨大ビームは一度防げば終わりと言うものではない。魔力を消費し続ける限り放たれ続ける奔流だ。ミュールフォンの構える盾も剣も、このまま受け続ければ耐え切れまい。
「ふふ♪」
ビームに耐え切れず盾が砕け、剣も後を追う。その破片を裂くように鎖がギガンティックへ伸びた。
「なに!? まさか、元からこれが狙いか
……!?」
巨大な砲を構えていたが故に対処が遅れ、天使の操るエンジェルチェインが幼女の巨体を拘束した。そしてミーガンは舌で唇を濡らし、拘束されたギガンティックへ飛び降りる。その姿がみるみる大きくなってゆく。
「このまま戦意を失くすまで押さえつけてあげる♪」
身体だけでなくミーガンから感じる圧も増したように感じる。身動きが取れなくなったギガンティックは巨大化したミーガンに圧し掛けられながら、地に沈んでゆく身体と同じように精神も抗えず沈んでゆくのを感じていた。
「もーっと♡」
ミーガンの言葉と共に重みが増し、ギガンティックは自身からは力が抜けてゆくのを感じとる。この拘束を逃れた後も、喪った活力は戻る事はないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
川村・育代
この世界に幼女は一人じゃないし、同じ大きさの相手もいるのよ。
逃げ回らせるとそれだけで進路が更地だから、拡大で同じ身長になって幼女ドライバー(幼女によるパイルドライバー)を食らわせるわ。
幼女ドライバーなら捕まえてそのまま攻撃できるしね。
(逃走阻止で捕まえて投擲で幼女ドライバーを仕掛けるわ)
マンガに書いてあったパイルドライバーの出し方を覚えていて良かったわ。
(情報収集で読んでいたマンガ本よ)
ビームは魔法少女のコンパクトの鏡で反射させて撃ち返すわ。
(ジャストガードで防いでカウンターで撃ち返すわ)
度重なる猟兵との交戦で受けたダメージは幼女総統「ギガンティック」に確実に蓄積していた。
「おのれ……時を巻き戻しても消耗を消しきれぬとは……!」
だが、まだギガンティックには逃走を期するだけの力は残っている。このままウラル山脈を越え、シベリア内部へと逃げきれれば……。そう考え、身を起こそうとする幼女総統の視界に影が落ちる。
バカな、身長数百メートルの幼女に影を落とす存在などあるわけが。確かめるべく顔を上げたギガンティックの眼前に聳え立つは――。
「この世界に幼女は一人じゃないし」
それはまごう事なき幼女だった。幼い顔立ちに赤いランドセルの似合うその姿がギガンティックの視線の先にある。
「同じ大きさの相手もいるのよ」
自らの身長を相手と同レベルに拡大(アップスケーリング)した川村・育代(模範的児童・f28016)がギガンティックの前に立塞がる。
「くっ……!」
このままでは不利――自らの巨大さというアドバンテージが意味をなさない相手に今の状態で戦うのは避けるべきと即座に判断したギガンティックが身体を撥ね上げるように身を起こす。そのまま距離をとろうとした幼女総統の襟首を育代の手が捕まえた。
「つかまえた! まわりを壊しちゃダメなんだからね」
ぐいと引っ張られたギガンティックの視界がぐるりと回転する。投げられた、そう思ったのも束の間、幼女総統の頭が柔らかいものに挟まれる。育代はギガンティックをただ投げるのではなく、上下を返して頭部を自分の腿で挟み込んだのだ。想定外の事態に動きが鈍るギガンティック、その頭部を固定したまま育代が座り込むように腰を落とす。相手の脳天を杭打ちの如く地に叩きつけるその技はパイルドライバー。否、幼女によるこれは――。
「幼女ドライバー!」
既に力を消耗していたギガンティックにこれを避けることはできず、轟音を立てて頭が地にめり込んだ。そのまま逃がさないようホールドする育代。
「マンガに書いてあったパイルドライバーの出し方を覚えていて良かったわ」
どこで何が役に立つか分からないものである。
最後の抵抗とばかりにギガンティックが撃ち放つ超超巨大ビームをコンパクトで弾き返し、さらに抑え込むこと暫し。ついに幼女総統は動かなくなった。
幼女の勝利である。
かくして、幼女総統「ギガンティック」の逃走は阻止された。戦場こそ地形が変わるほどの激戦だったが、その先にある街、そして人々の営みに被害はない。
街の人たちの胸には迫る災厄を退けた猟兵の活躍がいつまでも残るだろう。
大成功
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