獣人世界大戦⑲〜その全ては『人狼』と化す
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――すべては
祈りより始まった、と彼は語った。
狼の頭を3つ持つその男は、己の3つの頭よりその言葉を唱和した。
まるで己に言い聞かせるように。まるで想起するかのように。
弱き吾々は
罪深き刃に縋り、絶望の海に餮まれていった。
彼は――始祖人狼たる彼は、そう唱和した。己が苦痛を想起するかのように。
耐えがたき痛みを、思い返すように。
全てを識った所で、変わるはずがない。その衝動こそが、猟兵の根源なのだから。
始祖人狼は、唱和する。それは諦観。それは或いは、知るからこその諦観。
その言葉が真か偽か、知る方法こそ勿れども。
故に吾々は排除する、はじまりの猟兵を、それを求むる者共を、と唱和されれば、嗚呼、どうして彼を討滅しない理由ができようか。
それはきっとお互いの想いのすれ違い、交われなかった正義でこそあれど、きっと始祖人狼はそんなのはとうにわかっているかもしれない。それでも、彼と想いを同じにできる理由は、きっとない。
――疾く蔓延れ、吾が『人狼病』。
五卿六眼照らす大地のあらゆるものを、吾が走狗と化してくれよう。
そう、彼は全てを己の支配下に置いてまで――六番目の猟兵を妨害しようとしているのだから。
それがやむを得ない諦観から来たのか、ただ六番目の猟兵を倒すという敵対心から来たのか、それは不明なれど。
事実は、頑として六番目の猟兵を拒むようにできているのだから。
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「始祖人狼……こいつきっとダークセイヴァーのそれよね」
五卿六眼とか言ってたし、とマリア・ルート(紅の姫・f15057)は語る。
思い返すのは以前の戦争。闇の救済者戦争とも言われたそれ。五卿六眼と激しい戦いをしたあの戦い。
「奴は全ての人狼の祖……人狼病と呼ばれるそれの根源」
恐らく彼の手にかかれば人狼病にかかるのは生命体だけではない。植物、果ては大気や水も全て人狼病となるだろう。
「そして奴が背中の血脈樹の力を使えば、それらは全て騎士となりあんたらに襲い掛かる」
それも素材が素材だけに無尽蔵にだ。
……考えたことはあるだろうか? 一瞬前まで足場や空気だったものが突然敵の群れになるなど。
……考えたことはあるだろうか? 敵の数が増えるどころか、足をつける足場も呼吸する酸素もなくなるなど。
……考えたことはあるだろうか? それらすべてを超え、始祖人狼の力に尚も対峙しないといけない事など。
「……普通ならそんなの無茶よ。無理よ。騎士をのけないと始祖人狼に攻撃を届かせられないとか、そういう問題じゃない」
だけど、
彼らならきっと。
「……きっと、私の想像を超え、あの始祖人狼に一泡吹かせてやれるはず」
――かつて、闇の救済者戦争で戦ったライトブリンガーはこの始祖人狼をワルシャワ条約機構に派遣したという。
闇の救済者戦争の時、予兆で得た情報だ。
「それが、何の目的でなのかは分からない、けど」
それでも、こうして首謀者として出てきて、しかも『はじまりの猟兵』を狙うとなれば、どうして無視することができようか。
「……大丈夫。あんたらなら、できるはず。だけど、祈らせて」
――どうか無事で帰ってきて、と。
●
六番目の猟兵の前に現れる始祖人狼。
それが背中から血脈樹を生やした瞬間、次々と現れる人狼騎士。
圧倒的な
不利状況、絶望的とも言えるその戦いは嗚呼、ダークセイヴァーらしいといえばダークセイヴァーらしいのだろう。
だが、もしも君達にこの絶望に抗う気概があるのならば。
その
刃を持って、かの
絶望を切り裂く
救済者となれ!
結衣謙太郎
さあ、ワルシャワ条約機構の戦線が開かれる。
結衣(最終決戦モード)です。
この絶望に、抗え六番目の猟兵よ。
以下詳細。
●メイン目標
『始祖人狼』を討滅せよ!
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
ロケーションは深い森。森林地帯なので木々が遮蔽物として使えそうです。木に登るなどすれば高低差も出せそうです。
始祖人狼は足元の大地や周囲の大気に至るまで、戦場に存在する『全て』を鎧を纏い剣を手にした人狼騎士として襲い掛かってきます。そう、『全て』です。もしかしたらあなたのすぐ隣にいる仲間も持っているアイテムも――とまではさすがにないとは思いますが。
それでも人狼騎士は無限に湧き出てきます。最早倒していくよりはかわしていく方がいいかもしれません。本体を倒せば全ておじゃん、みたいな感じで。
大気や大地までも人狼騎士にしてしまうというのには気をつけてください。オープニングに書かれた様な事がもしかしたら起こってしまう……かもしれません。
『無限に現れる人狼騎士をかわし、始祖人狼を攻撃する』、『大気や大地などなどの「人狼化」に対処する』、どちらでも特別プレイングボーナスは差し上げますが……それでもなおシチュエーションは不利な気がします。どうか、お気をつけて。
●備考
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
今回特殊ルール『戦線』にくれぐれもお気を付けください!
時期によっては完結優先で待てない場合がございます!
このシナリオは戦争最終決戦依頼、かつ高難度依頼です。
判定がいつもより格段に辛くなります。ご注意ください。
以上、プレイングお待ちしております。
この絶望を、どうか超えてみせて。
第1章 ボス戦
『始祖人狼』
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POW : 天蓋鮮血斬
【巨大化した大剣の一撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 血脈樹の脈動
戦場内に、見えない【「人狼病」感染】の流れを作り出す。下流にいる者は【凶暴なる衝動】に囚われ、回避率が激減する。
WIZ : 唱和
【3つの頭部】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【人狼化】の状態異常を与える【人狼化の強制共鳴】を放つ。
👑11
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播州・クロリア
この戦争は分からないことだらけです
はじまりの猟兵も
それを狙う貴方たちも
しかし分かることもあります
貴方は倒さなければならないということです
(目を閉じ、すっと手を真横にピンと伸ばすと{絢爛の旋律}で『ダンス』を始める)
この旋律は闇を切り裂く光の旋律
全てが人狼騎士になるより早く
この大地に蔓延る闇を切り裂いて見せましょう
(UC【蠱の宴】を発動し人狼騎士の生成の行動を遅らせると『衝撃波』を使ったダッシュで一気に始祖人狼に接近し、絢爛の旋律で生み出した光属性の力を纏った蹴りによる『属性攻撃』を行う)
何に絶望したのか皆目見当つきませんが
貴方が弱かった
ただそれだけのこと
絶望を胸に抱き骸の海に沈みなさい
正直なところを言えば。
この獣人世界大戦については分からないところだらけである。
少なくとも、播州・クロリア(踊る蟲・f23522)はそう考えている。
はじまりの猟兵も、それを狙う敵たちも、何故狙われるか、何故狙うのか、それらが予兆や予知だけでは掴みきれない。
それらは間違いなく敵の側からすれば自明の理ではあれど、六番目の猟兵にそれらを知る術など、ない。
ただ、それでもわかることがあるとすれば、ただ一つ。
「貴方は倒さなければならないということです」
言葉と共に手を真横にピンと伸ばせば栄華のリズムに合わせ踊りだすクロリア。
この踊りこそが今の彼女の在り方、この踊りこそが今の彼女の武器。
蒼天に輝く太陽、陽光に照らされ輝く大地を描くその旋律は始祖人狼により齎される闇を引き裂く光の旋律となろうか。
コードの力が編まれた踊りは不思議と人狼騎士の生成を遅らせる。本来悠長な踊りなどでは到底できないような人狼騎士の生成の遅延。
――
光が
闇になってしまうのであれば、それよりも早く
大地に蔓延る闇を切り裂いてみせようか。
ステップに合わせクロリアは駆ける。始祖人狼のもとへ、一直線に。人狼騎士が塞ぐべきその経路に、人狼騎士は間に合っておらず。
駆ける、駆ける。人狼病の感染の流れに逆らい、ただ只管に駆ける。己を蝕む凶暴なる衝動、それに胸を抑えるようにしつつ、旋律がその身に宿させた光で浄化すれば始祖人狼に回し蹴りを浴びせようか。
真っ向から叩き込んでくるか、と始祖人狼はその攻撃を受けた。防御することもせず、彼女を讃えるか、あるいは余裕を見せるかのように。
「何に絶望したのか皆目見当つきませんが、貴方が弱かった――ただそれだけのこと」
嗚呼、浄化しきれない凶暴性が彼女を纏えばそれは強き言葉を放とうか。
「絶望を胸に抱き骸の海に沈みなさい」
――その言葉と共に放たれたもう一撃の回し蹴りに、始祖人狼は臆すことも怯むこともなし。
成功
🔵🔵🔴
サーシャ・エーレンベルク
あなたのせいで、これまで私たち獣人は、幾度となく死地に直面してきた。
そして、生きようとして果てた者たちもたくさんいた。
……足掻く事が罪だとしたら、あなたたちがしたことは罪ではないと言い切るの?
……この世界に生きる獣人たちのために、あなたを許すわけにはいかない!
時間が経つほど厳しくなる。ならば……刹那の内に始祖人狼に一撃を!
【月よ、月よ!】を発動して、病蔓延る大地を征く!
超強化された動体視力、反射神経を用いて、人狼騎士へと変わる足場を見極めながら、同様に瞬時に現れる騎士たちを見切り、乗り越えましょう。
酸素が尽きる前に、人狼病を振り切るかの如き神速を以て、竜騎兵サーベルの一撃を!
この戦いは、時間との勝負なのかもしれない。時が経てば経つほど人狼騎士は現れ不利となっていくだろう。
ならば、刹那の内に始祖人狼へ一撃を与え離脱するというのは、誰しもが思考して可笑しくない事だ。
生きるために少女兵となった『戦場の白き剣』、歴戦兵たるサーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)もまた、己が展開すべき状況をそう思考させた。なれば、為すべきことは自然と思いつく。
己が狼としての本能を極限まで活性化させ、まるで月に向かい吠える狼の如く病蔓延る大地を疾駆する。如何に己が理性が凶暴たる衝動に囚われようが構わない。
「あなたのせいで、これまで私たち獣人は、幾度となく死地に直面してきた。
そして、生きようとして果てた者たちもたくさんいた」
疾駆する彼女は今や視力も反射神経も常人、否、常狼のそれとは異なる。足場が人狼騎士となるのを見切り、瞬時に騎士が現れるのを回避する。そうして、始祖人狼のもとへただ駆ける。
「……足掻く事が罪だとしたら、あなたたちがしたことは罪ではないと言い切るの?」
その答えを、始祖人狼は唱和せず。それは肯定かそれとも、否定する材料を持ち合わせていないからか。
「……この世界に生きる獣人たちのために、あなたを許すわけにはいかない!」
強い怒りは凶暴たる衝動と共鳴し、彼女の走りをただ加速させる。そうして竜騎兵サーベルを取り出せば、始祖人狼へと強烈な斬撃を浴びせようか。
果たしてその斬撃は、始祖人狼の剣に防がれる。
我らは弱く許されるべきではない、と唱和すれど、始祖人狼の意思が変わることはなし。
この世界に生きる獣人のために許さないとは正当なる怒りではあれど、それを受けてでも為さなければいけないこともあるかの如く、始祖人狼は目を瞑った。或いは、ただの極悪かもしれない、なれど……
競り合う剣同士の鍔迫り合いに金属音が響けば、先に折れてバックステップするのはサーシャの方。
……これ以上は、酸素が尽きる。一度エリアを変えて相対するしかない。
この戦場では、大気すらも六番目の猟兵の敵となる。もとより一撃離脱こそ作戦なれば、攻撃を浴びせるだけで十二分。後は次なる者へと託し、それがやりやすいように戦場を変えるのみ。疾駆するサーシャに引き付けられ、始祖人狼は深き森の別のエリアへと。
成功
🔵🔵🔴
ロラン・ヒュッテンブレナー
連携×
唱和が起こす共鳴がぼくを狂気に引き込む
けど、その声に諦めが感じられるのはなぜ?
人狼は絶望の種、そんなことはない
伝えないと!
UC発動、竜胆色の毛並みの狼に変身
魔術陣の首輪と魔術回路の鎖で自らを縛り上げて意識を保つよ
封神武侠界の桃の精さんからの加護と香りも手助けしてくれる
苦痛は何年も受けてきて慣れてる
少しならなんとかなる!
狼の脚力で走り出すよ
森は狼のフィールド、地形を利用して最速で駆けるの
木の幹も足場にジャンプしながら…、でも途中からは空中に結界を張って足場にして突撃
一咆え、満月の魔力を体に纏って自らを魔弾とする人狼魔術で体当たりなの
ぼくは諦めないよ
ぼくがだめでも仲間が、次が、きっと…っ!
汝人狼よ。ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)よ。
汝が7つの時に人狼病を発症すれば、15の時となりし今目の前に立つは人狼病の化身。
それが忌まわしき唱和をすれば唱和が起こす共鳴が汝を狂気に引き込もう。
――嗚呼、それでも何故に。
その声に、どこか
諦観すら感じられるのは何故だろうか。
なれば人狼は絶望の種であろうか? それを知って尚始祖たる人狼は人狼病をばら撒くのか?
否――断じて否。己が研究の成果も使えば、いずれは必ず希望も見えるはずだ。
それを伝えんと少年はただ駆けようとする。しかし唱和は彼の耳を塞がせ、苦痛に顔を歪ませよう。
撹拌されるかの如き脳の痛み、その中で己が今決意したことを思い返す――人狼は、絶望だけではないと。
それを示す方法を、彼は持つ。
――夜の灯りを、呼びし遠吠え、大いなる円の下、静寂を尊ぶ。
彼の口から遠吠えが放たれれば満月のオーラを纏うハイイロオオカミへとその身を変身させようか。
体覆いし数多の鎖は魔術回路、
天使の輪の如き姿せし首輪は魔術陣。合わさりて彼の鎖となれば、それは意識を保つ縁となろう。加えて桃の精から授けられた花びらを入れたサシェの香りも嗅げば、最早耐えられぬ苦痛などあるまい。もとよりこの身は、何年も苦痛を受けて慣れているのだから。
森林は狼の狩場である。
人型になったが故にその優位性を失った始祖人狼へと木々を伝って接近していけば人狼騎士もそれに追いつくことは敵わず。木の幹を足場に跳躍すれば、その幹は次の瞬間に人狼騎士となろうか。嗚呼、もはやここが限界か。ならば第二の手段である。
家系・電脳・人狼、3種の魔術を使いしロランはその魔術を用いて空に結界を用意する事など容易。そして、それを足場にする事すらも又容易である。それが人狼騎士と変ずることもそうそうあるまい。もとより早く使い捨てればいい話だ。
ロランが結界の上で一つ遠吠えすれば、始祖人狼の鎧の覆われない顔へと己が身を魔弾として打ち出さん。一度当たれど、その勢いでバウンドし、結界を用意し二度三度。大ぶりの剣の動きが間に合わない間に顔への有効打を。だがそれでもなお始祖人狼は強き存在、一つ唱和の吠えでロランを一瞬遅らせれば魔弾と化した身を剣で叩き落とされる。
「ぼくは諦めないよ……」
ロランは己が寿命も削るその変身を解きながら始祖人狼へ目を向ける。
「ぼくがだめでも仲間が、次が、きっと……っ!」
そうだ、ロランよ、六番目の猟兵よ。汝らは決して1人ではない。
成功
🔵🔵🔴
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
どんなに不利な状況でも覆してきたのが、俺たち猟兵だ
始祖人狼が何を識っているかは知らないが
俺たち『六番目の猟兵』の底力、甘く見るな!
指定UC発動、白き魂の靄を纏いながら走り出す
黒剣を上下含む全方向に振り回し「属性攻撃(聖)」の「衝撃波」を連射し迫る人狼騎士を「吹き飛ばし」つつ
「ダッシュ」+UC効果の高速移動で一気に走り抜け振り切ろう
血脈樹の脈動は抵抗せず、凶暴なる衝動を受け入れるが
一応「狂気耐性」はあるので僅かに理性は留めておけるはず
俺自身の憎悪と衝動に突き動かされるまま始祖人狼に肉薄し
「2回攻撃、捨て身の一撃、鎧砕き」で黒剣を叩きつけるように斬る!!
始祖人狼が何を識っているか、わかる術は未だなし。
それでも、六番目の猟兵をこうして拒む程度には、何かがあるのであろう。
だが、どれだけ絶望的な状況を用意しようと、それを超えていくのが六番目の猟兵。
館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)のような、歴戦の猟兵達だ。
始祖人狼よ、汝は六番目の猟兵の力を甘く見てはいないだろうか? その六番目の猟兵の底力というものを、舐めてはいないだろうか?
確かに目の前を汝へと駆けるのはただの人間であろう。
黒剣がかつて喰らった白き魂の靄を纏ったとはいえ、その身がただの人間であるのには変わりなし。
血脈樹の脈動にも抵抗できず、衝動にも耐えられず、人狼騎士にあっさりと見えなくされる矮小なる存在だ。
――本当に?
六番目の猟兵の底力というものを、舐めてはいけない。
血脈樹の脈動にも抵抗できず? 否、
あえて抵抗しなかったとしたら?
衝動にも耐えられず? 否、
あえてその衝動を受け入れたとしたら?
人狼騎士に見えなくされる? 否、
人狼騎士が吹き飛ばされて偶然壁になっただけとしたら?
駆ける敬輔の手より全方向に振り回されしその黒剣は聖なる衝撃波を放ち人狼騎士達を吹き飛ばす。
己の近くの全て、大地や大気までもが人狼騎士となる中、敬輔は憎悪と衝動のままに人狼騎士を吹き飛ばしながら前へ進むのみ。
悲しきかな、始祖人狼は武器を与えてしまったのだ。衝動という名の武器を。それは憎悪と共鳴し、敬輔を前に進めるための原動力となろう。
やがて人狼騎士を跳ばした先に始祖人狼が見えれば、敬輔はその身に肉薄して斬撃を浴びせん。一つ、二つ、三つ。敬輔の黒剣と始祖人狼の剣が鈍い音をたてぶつかり合う。何故そこまで戦えると始祖人狼が唱和すれば、己の喰らった魂が力を与えてくれる、と敬輔は語ろう。敬輔の身は一つなれど、背負いしものは一つに非ず。期待などと共に駆け抜けてきた六番目の猟兵の力を、嗚呼、始祖人狼は舐めていたのかもしれない! 終に始祖人狼は剣を鍔迫り合いしたあげくに大きく後退し2人の距離は放される!
……だがそれでもなお、始祖人狼は疲労の感じも見せない。それは果たして強がりか、それとも。
成功
🔵🔵🔴

スターレイル・エストレジャ
やっつけてやる…
戦闘開始である
【人狼騎士に対して】
凍れ…!
オーラ防御を展開しておき心眼と視力で敵を見ながら回避して凍結攻撃の弾幕を放ち敵を凍らせる
【大気や大地などが人狼騎士になる対策】
狼は凍らせる為にある…
人狼が出てきたらクイックドロウの要領で凍結攻撃の呪殺弾を放ち凍らせる(遮蔽物に隠れながら移動します)
指定UCを発動し自身のアイテムや人狼騎士が現れていない概念に人狼化を無効化する性質を付与しておく
【敵のUC対策】
心眼と視力で敵の動きが見てから回避するか念動力を纏ったオーラ防御で防御
【反撃】
UCの効果で無限次元能力で敵の反撃を瞬間移動で回避しながら鎧破壊の性質を付与する覇気を纏った拳で殴った
常識とルールは壊す為にあり、狼は凍らせる為にある。
それはスターレイル・エストレジャ(星虹の超越者・f40527)の持つ謎の理論である。
然し常識とルールは壊す為にあるというのは常識の範疇を超えた猟兵の
技をどれほど端的に表そうか。
木々の間から凍結の弾丸を人狼騎士へと浴びせれば素早く移動し人狼騎士の攻撃を的確に回避、カウンターで凍らせるやり方はコードに頼らない的確なやり方。その捌きはまさに達人をも思わせる。
だが忘れる勿れ、その遮蔽物もまた、人狼騎士となる。しかしそれに素早く凍結の弾丸を浴びせ凍らせればそれもまた遮蔽物となろう。今は遮蔽物のみ故にまだこうして攻められるが、やがて大気や大地も人狼騎士となるのには如何に対処する?
その答えこそが彼女の描く
常識とルールを壊したやり方に他ならない。
「鳴り響け……魂の心音!」
己の心の臓に手を当てて鼓動を加速させていけば彼女の髪は焔のように染まり虹彩は星型となる。彼女の周囲に星型の虹が現れれば雲のような羽衣が彼女を包む。神の如き姿となりし――否、彼女が『神』として権能を発揮するのがこの力、自身が考えた性質を流体や万物に与える【星虹】の力。付与するは当然人狼化無効の概念、己が大切な
道具や大気や足場などの人狼騎士が現れていない概念にそれ以上の人狼化をせぬように概念を与えれば人狼騎士の生成はストップされよう。そのうえで現存する人狼騎士を凍結させてしまえば、もはや始祖人狼への道を塞ぐものはなし。
あまりの惨状に始祖人狼は己が得物を構え、乱雑に振り回すもそのような攻撃が今の彼女に通用する理由もなく、無限次元能力による瞬間移動で回避されてしまう。そしてその勢いのままに攻撃後の隙を狙うように拳を突き出せば、始祖人狼の鎧へと覇気を持って叩きつけよう。……果たしてそのような軟弱な拳が始祖人狼の鎧を破壊する事など、いくら神でも夢物語だ、それが誰もが思う結末だっただろう。
だが、奇跡は起きた。
鎧破壊の性質を持つその拳は、始祖人狼の鎧を確かに穿ち、大きな穴を空けたのだ。
拳を放ったエストレジャも自身で驚愕するが尚も驚愕するのは始祖人狼であろう、驚愕の唱和が止まらない。
先の対処といい彼女をこのまま放置するのは危険である、早々に撃滅せねばならぬ――始祖人狼がそう思うのも至極自然な事。剣の切っ先が彼女を幾度も狙えば、瞬間移動や拳での弾きでそれを回避、いなしていくエストレジャ。合間に鎧へと攻撃すればもう少しは風穴が空けられようか。
エストレジャが距離を取ったのは嗚呼、凍結から解けた人狼騎士の音が背後から聞こえた時だろうか。
包囲されたら危険、察知したエストレジャは有効打への感触に浸りながら後を任せ撤退するのみ。
大成功
🔵🔵🔵
フィルバー・セラ
【アドリブ連携歓迎】
ダークセイヴァーからわざわざ別世界の侵略とはご苦労様なこった。
人狼病で死ななくて良かったハズの人間がこの数百年間で何人死んできたことやら――無念は晴らしてやらねえとな。
血脈樹が人狼にねえ……アウェーな戦場なのはいつものことだ。
風(【属性攻撃】)の【結界術】を纏わせ、感染流の影響を最低限に留められねえか試しつつ、
【迷彩】を施し可能な限り気配を殺す。
攻撃は【指定UC】による転移と【レーザー射撃】【斬撃波】で対処する。
どんだけ戦線が厚くなろうとUCの転移魔弾で一気に踏み込んじまえばいい。
配下の騎士共が俺を捉えるよりも前に、俺の【呪詛】はお前に届く。
辞世の句を考えておくこったな。
忘却の彼方な者もいそうだが、そもそもはこの始祖人狼はダークセイヴァーからの派遣である。
闇の救済者戦争の時、ライトブリンガーは己が【Q】を使い始祖人狼をこのワルシャワ条約機構へと派遣した。
それは間違いなく異世界への侵略、死ななくてよかったはずの存在の人狼病による大量死。
なら、フィルバー・セラ(
霧の標・f35726)のようなその無念を晴らそうとする存在がいたところで、何もおかしくはあるまい。
始祖人狼の血脈樹脈動すれば溢れだすは人狼病の流れ。大気や大地も人狼騎士と化す
不利状況、しかし六番目の猟兵は過去にどれほどの
不利状況を乗り越えてきたであろうか? 即ちアウェーな戦場なのはいつもの事であり、とりわけそれに顔を歪めることもなく、ただ淡々と状況に対処するのみ。己が身を迷彩で隠せば風の結界を用いて感染の影響を抑えれないか試すフィルバーの方法は成程、大気感染が相手であれば十分に効果的だろう。だが、この力は大気感染のみに非ず、始祖人狼の
力により齎されし人智を超えた感染。風で大気を換気するのみで人狼病が完全に防げるかと言えば否である。加えてその立ちし場所へ人狼騎士も迫りくる、なれば1か所にとどまる理由もなし。魔弾を中空へと放てばその着弾点に転移陣が生まれ、フィルバーの身はそこへと召喚される。1か所に進んでいた人狼騎士の意表を突く形での転移は始祖人狼すらも想定外のものに違いない。再び追いつかれ、人狼病の衝動が己を蝕んでしまう前に数多の魔方陣を展開すれば呆気にとられる始祖人狼へとレーザー弾幕を放ちながら無銘の刻印剣で斬り込まん。
初手の一撃は不意を打つもの、その斬撃を受けない術はなし。次いで二撃目は返す刃、破損した鎧を縫うように攻撃すればそこから赤い線が垂れよう。手首返して三撃目を始祖人狼の顔を下から斬るように浴びせれば刻まれたルーンより呪詛が始祖人狼を蝕む。
――次の四撃目が決まれば始祖人狼は死ぬ。それはフィルバーのコードに刻まれた理。
配下の人狼騎士が捉える前に始祖人狼は死ぬ――辞世の句を考えておくこったなと彼が言えば始祖人狼は大きく振りかぶったその一撃をその得物たる剣で防ごう。始祖人狼は唱和する、吾々に辞世の句など存在しない、吾々が負ける事など考えてはいないのだから、と。それは明らかなる傲慢なれど、それを言える実力があるのも又事実であろう。さもなくばその数を増やした人狼騎士がフィルバーの背後にまで現れ包囲できるはずもなし。包囲は魔弾の転移で脱出できども、終わりを与えられなかったことに彼は歯噛みする。されど汝の与えた呪詛は確かに始祖人狼へと刻み込まれ、かの者を終焉へと近づかせるだろう。
最早始祖人狼にも、余裕はないのである。或いは先の唱和も、ある種の己への言い聞かせなのかもしれない。
成功
🔵🔵🔴
村崎・ゆかり
【ドヴェルグ】
始祖人狼か。人狼の根源を辿れば全てそこに行き着くわけね。
でもその病毒はいただけない。人狼達をその病から解放するためにも、ここで討滅する。
摩利支天隠形法を修法。密やかにしかし急いで、タイガを駆け抜ける。
敵は“五卿六眼”始祖人狼!
周囲の障害物を乱さないよう走り、道中の人狼達に触れれば判断力を奪う。
人狼達はあたしを認識出来ない。始祖人狼もそうなら、認識外のものは人狼騎士の素材に出来ないはず。
足跡や蹴立てた枯れ葉などで気づかれないよう注意し、始祖人狼の元へ。
イクシアから預かった偵察機械で敵の位置を送信。
この距離なら外さない。あなたが備えるたった一つの瞳、この薙刀で「串刺し」にしてあげる。
エルゴ・ルスツァイア
【ドヴェルグ】
イクスフェルに搭乗
人狼。その病の根源か
空気すら人狼に…規格外な力だけど、そんなモノは攻撃を止める理由に成りはしない
空輸、ありがとう。…幸運を!
飛行が苦手な機体をドラゴンとなったスィフルさんに運んで貰い、降下
飛来する敵の攻撃は展開式防楯で弾いて防御だ
着地後は木々を遮蔽に攻撃を避け、大まかな始祖人狼の方へと突撃を開始。人狼騎士をレールチェーンガンで正確に狙撃していく
あとは突っ切るのみ!
始祖人狼の詳細な座標を把握し次第UC高加速貫徹弾を装填
目標はあの頭
病が侵食する前に。人狼騎士へと変質する前に。長射程高貫通のその弾丸が始祖人狼へと届く弾速を生み出す電力を、レールチェーンガンへと注ぎ込む
スィフル・ティエファシエル
大気、大地、全部が全部、人狼騎士になるって、いくらなんでも、強引すぎない、かな!
まあいいや、僕は、僕の最善を!
UC使用
おいで、アルツ
『ここに。我の力が必要なのだな。』
ああ。エルゴさんを運んだ後、全部、消して。
『了解だ、スィフル。』
スィフルの体は喰奪の力で次第に巨竜へ変じていく。
それを操り、言葉を紡ぐのは黒烈竜アルツだ。
『仲間を傷つけぬように? わかっておるわ。』
身震いで人狼を弾き、烈風を纏いて空を翔け。
吐くのは雷、風、呪の三属性混合ブレス。ただ病を拡散するのは拙いな。1箇所に纏めて、殲滅するか。
『何人たりとも、始祖人狼を狙う仲間の邪魔はさせぬ。』
鬱陶しい犬畜生など、喰う気にもなれん。疾く散れ。
イクシア・レイブラント
【ドヴェルグ】
偵察ロボのポリスタキアをゆかりさんに預けて[偵察、索敵、情報収集]をサポート。
潜む始祖人狼の位置を[情報伝達]で把握しエルゴさんとスィフルさんの2人に伝えたら、
[滑空、推力移動]で飛翔して単独で先行。
味方を巻き込まないように[威嚇射撃]を行い、各部を発光させて[存在感、注目を集める]。
あなた達の敵はここよ。かかってきなさい。
大気の人狼化には[気配察知、瞬間思考力、戦術演算]で発生座標を見切り[空中機動]で迂回。
始祖人狼に突撃して天蓋鮮血斬から【シールドバリア】でみんなを[かばう]。
みんな、まだ戦えるね?
耐えきったら大型フォースブレイドで[武器巨大化、なぎ払い]。血脈樹を伐採する。
人狼というものの根源を辿れば、その全てはかの始祖人狼へと至ろう――そう思考する村崎・ゆかり(“
紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)の思考は至って自然なもの。それでも、病毒もその始祖たる人狼から来るとなれば、それに対して憎悪も出ようか。人狼が侵される『人狼病』、それからの解放を求めるためであれば、かの始祖人狼を討滅する理由には十分すぎる。
オン アニチ マリシエイ ソワカ。陽炎の御仏摩利支天よ、我が身我が姿をその陽炎にて隠し、人の目に映らざるものとなし給え。ゆかりの編みし術式は己を揺らめく陽炎で覆いつくし、その感知を不可能にさせる。それは普通ならばそれだけで身を隠せると安堵できるもの、されどゆかりは尚警戒は怠らない。障害物の1つでも乱せばそこから把握され、人狼騎士に触れればその感触より把握されてしまう。姿を消した敵がそのようなもので把握されてしまうのは、創作などでもままあることだ。仮に相手が人狼騎士であれば素早く術式のもう一つの力で判断力を奪えば良い……然し障害物はそうではない。足跡、枯れ葉の蹴立て等から存在が気づかれてしまうことに気をつけつつも少女狙うは『五卿六眼』たる始祖人狼、ただ1つ。人狼騎士の隙間を抜け唯只管に駆ければ始祖人狼の姿はその目に確認できようか。なれば作戦は次の段階へ進む。
――そう。これは彼女1人ではなく、複数人による戦い。
ゆかりが仲間より託された手乗りサイズのSD機械天使型ロボットを取り出せば始祖人狼へとそれを向けようか。これが人狼騎士へとされたら全ては終わっていたが、幸い彼女の術式の効果で認識外となれば人狼騎士へとされる術もなく。
それを待ってましたとばかりに飛び出したのはイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)。ゆかりの持ちしロボットは実は彼女のサイバーアイと視覚を共有できる偵察用ロボット『イクシア・ポリスタキア』。なればゆかりがそれを始祖人狼へ見せたという事は即ちイクシアに始祖人狼が見つかったことと同義。イクシアはゆかりに1つ頷くと一筋の光を空へと上げる。その光と共にゆかりを置いて飛翔して単独で先行すれば威嚇射撃と共に各部を発光させ始祖人狼へあなた達の敵はここよ、かかってきなさい、と注目を引く。さすれば始祖人狼もイクシアの方に注目し、その身を破壊しようと剣を振ろう。しかしそれをサイキックエナジーで稼働するジェットパックで素早く回避すれば時間を稼いでいき、大気が人狼化する気配を察知すれば空中機動で迂回する。併せてゆかりも動けば地上の2人が人狼騎士の出現に困ることはなかった。
他方、空にて待機する2つの存在、エルゴ・ルスツァイア(
強化継承体・f40463)とスィフル・ティエファシエル(災厄ノ堕星・f43301)。エルゴは己が機体、TCW-01ELC イクスフェルを駆って参戦しようとすれどその駆る機体は生憎飛行を苦手とする。故に黒烈竜アルツの力を借りしスィフルに空輸してもらおうと上空を飛んでいた――スィフルに掴まれていた。その降下先の目安、始祖人狼の居場所を知らせるものこそ、イクシアの放ちし一筋の光。スィフルがその場所へ素早くイクスフェルを降下させればイクスフェルに乗るエルゴも声をかける。
「空輸、ありがとう。……幸運を!」
それは別離の言葉ながら共に生きて帰ろうという応援の言葉。スィフルがその言葉に手を振れば代わりにやってくるはスィフルを襲おうと現われし人狼騎士。もういいのだよな、とスィフルの中のアルツは問うた。構わない、とスィフルは応えた。そうなればスィフルの体は喰奪の力で次第に巨竜へ変じていこう。それは黒烈竜アルツの力を纏いしスィフルの在り方。
――おいで、アルツ。
空輸する前にスィフルは呼んだ。
『ここに。我の力が必要なのだな。』
黒烈竜アルツは彼女に応えた。
「ああ。エルゴさんを運んだ後、全部、消して」
スィフルは残酷に指令する。
『了解だ、スィフル。』
アルツは残酷にそう応えた。
大気、大地、全部が全部、人狼騎士になるって、いくらなんでも、強引すぎない、かな、と理不尽に憤怒し、僕は、僕の最善を、と奮起した彼女に、これ以外の選択肢は思いつかなかった。
仲間を傷つけないようにねとスィフルが問えば『仲間を傷つけぬように? わかっておるわ』とアルツは応えよう。今のスィフルを動かし言葉を紡ぐのはアルツの方。その身震いで近くの人狼騎士を弾き飛ばせば烈風を纏い空を翔ける。己がなすべきは雑魚たる人狼騎士の殲滅、そう思考するスィフルはただ病を拡散するのは拙いな、と己の近くの人狼騎士を1か所にまとめれば雷、風、呪の三属性混合ブレスを吐き出し一気に殲滅する。
「何人たりとも、始祖人狼を狙う仲間の邪魔はさせぬ。加えて鬱陶しい犬畜生など、喰う気にもなれん。疾く散れ」
竜は空を制する者である。竜たるアルツの力宿せしスィフルの前に、適う人狼騎士など存在せず。せいぜいが無限湧きで彼女を押しとどめるが限界である。本体たる始祖人狼を狙うのは仲間を信じ、己は露払いに徹するのもまた作戦である。
空の人狼騎士は、竜によって殲滅される。なれば降下するエルゴとイクスフェルを襲う人狼騎士の数も必然減る。されど尚人狼騎士の攻撃は止むことはない。落ち行く最中の大気すらも、人狼騎士となり得るのだから。
だがそれらに一々反撃するのも愚かであり、今はとにかく着地が優先である。能動的に稼働し防御するW-ES-6S イニシャルシールドを展開し人狼騎士の攻撃は受けるにとどめ、唯只管に地上を目指す、目指す。やがて地表へと着地すれば休む暇もなし、木々を遮蔽に人狼騎士の攻撃を避けていき始祖人狼を視界へと捉えれば、見つけたとばかりにその方向へ進むのみ。人狼騎士よその道を塞ぐな、我がW-AR-C/L 40mmレールチェーンガンの餌食になりたいか。正確な狙撃は彼女の後に人狼騎士の遺骸を並べるのみ。
やがて始祖人狼の姿を確認すれば今度のは只の弾ではない、とHV-DRS 超高速高貫徹弾を装填しエルゴ自らコックピットより始祖人狼の頭を狙わん。自らに病が侵食する前に――人狼騎士へと変質してしまう前に――この一撃を、始祖人狼へと叩きこもう。鎧も何もなきその頭へと! 長距離にして高貫通のその弾丸をレールチェーンガンへと注ぎ込めばより弾速が増し、例え始祖人狼が気づいたとしても対策する前にはすでに撃ち抜かれているであろう! スコープを覗き始祖人狼が視認した瞬間――発射! 始祖人狼よ、汝のその頭が貫通弾に貫かれれば思わず苦しみの唱和と共にその剣を大振りに振り回さん! それは例え認識をできずとも存在すれば命中するもの、認識外なら大丈夫だろうというゆかりに凶刃迫る!
「危ない!」
だがその刃ゆかりへ届くこと敵わず! イクシアの構えた盾より放たれる
防衛結界はゆかりも、エルゴも、己が身も、そして空で人狼騎士を相手取るスィフルも始祖人狼の放ちし天蓋鮮血斬より守る!
「みんな、まだ戦えるね?」
「ええ、スィフルも頑張ってくれているけど、あとは時間の問題」
「酸素や大地が尽きる前に……私達が人狼騎士となってしまう前に、トドメを!」
おおドヴェルグの名の下に集いしものよ、古のノルド語でドワーフを表すその名のもとに集いしものよ。汝らがドヴェルグの如く始祖人狼に対して小さきものであれど、その魂の輝きは、勇気は、遥かに始祖人狼より大きい。
イクシアが果敢に始祖人狼へと迫り決戦武装たる大型フォースブレイドでその背の血脈樹を伐採すれば、エルゴももう一発の弾丸を始祖人狼の頭へと撃ち抜こう。空気すら人狼にする力は規格外な力なれど、そんなモノはエルゴが攻撃を止める理由に成りはしない! そしてその音を号砲にすればスィフル、混合ブレスを始祖人狼へと吐き出し、その中を駆けるは村崎・ゆかり!
「この距離なら外さない。あなたが備えるたった一つの瞳、この薙刀で串刺しにしてあげる!」
ただ一つしかなき始祖人狼のその瞳を、己が薙刀『紫揚羽』で以て貫こう――!
それが猟兵か、と始祖人狼は唱和した。瞳より激しき血を流しながら。
あくまではじまりの猟兵を求めるか、と始祖人狼は唱和した。その膝をつきながら。
全てを識った所で、変わるはずがないのに、と始祖人狼は唱和した。その身を大地へと堕とし、遺骸としながら。
――それでも彼女らは、六番目の猟兵は止まることはない。
ドヴェルグは、六番目の猟兵は、好奇心旺盛なのだ。
それほどまでに拒まれたとあっては――逆に興味が出てくるものだ!
始祖人狼が何を識っていたか、今となっては知る由もなし。
されど、始祖人狼が許せぬことをするならば、人狼病をさらに撒くならばこの場で早く討滅しない理由はなし。
それは逃れる事の出来ない運命、きっと交わらなかった正義。
救済者よ、汝らは間違ってはいない。されど、それに踊らされること勿れ。
いずれ真実が詳らかとなった時、後悔も安堵もするのは汝らの権利であり、義務なのだから。
大成功
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