獣人世界大戦⑰〜セラフィマイト・ソング
●狂気
一つの宝がある。
それを得るために多くの時間を費やすことは、熱狂にも似た感情であった。
喜ばしいことに、その宝を得るためには多くの時間と浪費を必要とするものだった。仕方のないことだ。
何の犠牲もなく。
何の代償もなく。
本当に尊いものは、時間を消費し、犠牲を代償として払わなければ手に入れることができない。
そういうものだ。
いつだってそうだ。
だからこそ、人はそれを狂気と呼ぶのだ。
ネガティヴな感情に振り回されてはない。結局、これは己が立てた計画通りに進んでいる。
「八番目の子よ。君はまだあの歌を歌えているか」
問いかける言葉に応えるものがあった。
「ボク、ハ、ソノ歌を、歌うことができる」
はっきりとした言葉。
狂気に侵されてなお、そのUDC怪物とも言うべき存在は同じく正しきを為すという狂気だけを得て、狂気艦隊旗艦『ネルソン』の錨に受肉する。
「そうだろう。悪性と善性。人はそれを宿す。どんな存在にも一欠片の悪意があり、どんな存在にも一欠片の善意が潜むものだ。一面だけを完璧に得ている存在は多くはない。私が完全なる悪性であるのならば、君はきっと完全なる善性なのだろう。他がために己の全てをなげうつことになんの呵責も持たぬもの。損得など超越した存在。だからこそ、私もまた悪性その門なのだ」
クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は『ネルソン』の甲板上で笑う。
此処までは計画通りだった。
始祖人狼は北方に兵站を十分に敷くことはできなかった。
狂気艦隊が凍結海などものともしないことを知りながら、何故此処まで手薄なのかなど己が言うまでもない。無論、己が計画したことだからだ。
『カルロス』王に『逢魔弾道弾』の技術を提供したのも己達である。
そして、獣人世界大戦勃発のきっかけとなった『はじまりの猟兵』の所在。
その情報を超大国各国に流し、挑発したのもまた己達である。
「我々は世界大戦への道筋を慎重に計画してきた。寸分の違いもなく。緻密なる積み重ねによって。そう、あえて言おう」
『プロフェッサー・モリアーティ』は喝采求めず天を仰ぐ。
「全て計画通り」
だが、彼は知っている。
どれだけ綿密に、緻密に、巧妙に、精緻に計画を立てたとしても、最後は斯様な力押しで全てが決するのだ。
計画を遂行せんとする者も、計画を阻まんとする者も、いずれもが最後には力と力でもって激突する。
故に『プロフェッサー・モリアーティ』は告げる。
「八番目の子よ。その邪神細胞を持って受肉し、ロシアの大地を踏破しよう」
「ソノ、前に、必ず」
「ああ、必ず現れるだろうね。それも私の計画のうちだ。故に、猟兵は必ず幼女総統『ギガンティック』を撃退する。撤退行に追い込む。故に」
『プロフェッサー・モリアーティ』は己が血アクに備わった『アウルム・アンティーカ装置』と半身たる『ポーシュボス・フェノメノン細胞』を持って、計画の最終段階へと至らんとするのだ。
「我が手に落ちるは、『魔女』の力……! 総員、出撃……――!」
●獣人世界大戦
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は、何故、幼女総統『ギガンティック』がウラル山脈を超えてシベリア内陸部へと向かおうとしていたのかを考える。
正しいのかはわからない。
けれど、彼女はゾルダートグラードの存在するウラル山脈のヨーロッパ側ではなく、山脈を越えたシベリア内陸部への撤退を選んだ。
それは即ち、シベリア内陸部に己が撤退行を助ける何かがあると判断したためであるように思えた。
だが、同時に一か八かの賭けに出て『はじまりの猟兵』を手に入れんと進んだのか。
いずれにせよ、ここに来てイガルカ方面から恐るべき陸を歩む狂気艦隊の姿がある点において、予断を許さぬ状況が差し迫っていることを知る。
「……狂気艦隊旗艦『ネルソン』……!」
彼女の予知は見た。
それは奇妙な戦艦であった。戦艦でありながら海を行く船ではなく、多脚を持つ蒸気機関を内包した屋敷である。
まさしく狂気。
その錨に受肉しているのはUDC怪物。
嘗て『狂気艦隊』を撃破する際に、これを守護するUDC怪物を猟兵達は見ただろう。
UDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』。
その灰色の星の如き怪物が狂気艦隊旗艦『ネルソン』の錨に受肉し、この旗艦の主にしてクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』への道を阻んでいるのだ。
「『ネルソン』に『プロフェッサー・モリアーティ』が座乗している以上、これに乗り込むのは必須……ですが」
ナイアルテは共に転移してきた猟兵たちに告げる。
そう、『プロフェッサー・モリアーティ』に攻撃を届かせるためには、錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の攻撃にも対処しなければならないのだ。
強大なUDC怪物と『プロフェッサー・モリアーティ』。
このニ体のオブリビオンを同時に戦うのは、あまりにも分が悪い。
だが、敵を前にして座していることなどできようはずもない。
「絶え間ない『ネルソン』と融合したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』からの攻撃に対応し、『プロフェッサー・モリアーティ』へと攻撃を叩き込んでください」
それが難しいことはわかっている。
だが、それでも『プロフェッサー・モリアーティ』を打倒しなければ、『ギガンティック』の、『魔女』の力を彼らが得ることになるだろう。
そうなっては、さらなる世界の危機が訪れる。
故に猟兵たちは覚悟を決めて陸路征く狂気艦隊旗艦『ネルソン』へと飛び込んでいくのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。
狂気艦隊を率いて凍結海を越え、イガルカ方面へと進軍しているクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』の座乗する旗艦『ネルソン』へと飛び込み、迫る錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の絶え間ない攻撃を躱し、『プロフェッサー・モリアーティ』を打倒しなければなりません。
彼が戦争終了時点で未制圧である場合、幼女総統『ギガンティック』は狂気艦隊に連れ去られることになるでしょう。
これを阻むために『ネルソン』に飛び込み、『プロフェッサー・モリアーティ』を打倒しなければなりません。
実質、ニ体の強力なオブリビオンによる攻撃が同時に皆さんに襲いかかる状況です。
難しい戦いになるでしょう。
錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』は「#『A』ubade」のタグにあるシナリオ、「獣人世界大戦④〜セラフィエル・ソング」に登場しています。
主に光剣と超加速でもってみなさんに『UDC怪物攻撃』を仕掛けてきます。
※プレイングボーナス……怪物化ネルソンによる「UDC怪物攻撃」に対処する。
それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『プロフェッサー・モリアーティ』
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POW : 狂気砲弾
【ポーシュボス・フェノメノン】を宿した【艦隊の砲弾や機銃弾】を射出する。[艦隊の砲弾や機銃弾]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
SPD : プロフェッサーズ・クエスチョン
対象への質問と共に、【自身の肉体】から【ポーシュボス・フェノメノン】を召喚する。満足な答えを得るまで、ポーシュボス・フェノメノンは対象を【ポーシュボス化】で攻撃する。
WIZ : 『小惑星の力学』
戦場全体に【流星の如く降るポーシュボス・フェノメノン】を発生させる。レベル分後まで、敵は【ポーシュボス化】の攻撃を、味方は【ポーシュボス化している部位】の回復を受け続ける。
イラスト:マノ居
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レヴィア・イエローローズ
そんなに魔女の力が欲しければ与えてあげる――死と共に、ね!
荼毘に伏す事すら許しはしないわ!
瞬間、終焉に抗う力を与える正しき魔女の力を帯びて疾走していく
ネルソンによる『終焉』――モリアーティによる『魔女の力を悪用した世界の終焉』を否定するべく、わたくしは『|生命が望まぬ結末を迎える際に発動する力《エンドテイカー》』を発動!
ポーシュボス・フェノメノンを宿した艦隊の砲弾や機銃弾も、ポーシュボス化も、ネルソンの攻撃も何もかも全て逆行
そのまま『帝竜の皇の魔弾』や『磁界戦艦『サートゥルヌス』』、『|生と死を羨み糧にするもの《ヤマラージャ・イエローローズ》』による一斉掃射で片付けるわ
クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』が望むは魔女の力。
即ち、エンドテイカー能力であろう。
己の望む結果を得るまで時間を巻き戻しやりなおすことのできる無体の如き理不尽。
それが魔女の持つ力である。
真正の悪性を持つ『プロフェッサー・モリアーティ』に魔女の力が渡れば、大魔女の再来の如き災厄が訪れることは言うまでもない。
「全ては計画通りというわけだ」
彼は笑う。
だが、同時に理解もしていた。
どれだけ緻密にして精緻なる芸術の如き計画を打ち立てたとしても、これを阻む者がいる以上、最後は力押しになる。
故に彼は抜錨せし狂気艦隊旗艦『ネルソン』の錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』と共に猟兵を迎え撃つ。
「僕は、歌う」
「ああ、歌いたまえ、八番目の子よ」
レヴィア・イエローローズ(亡国の黄薔薇姫・f39891)は、ニ体のオブリビオンのユーベルコードの輝きを見ただろう。
疾走する『ネルソン』の甲板上における決戦。
甲板と呼ぶにはあまりにも優雅すぎる屋敷のような状況にあって、彼女を狙うのは『ポーシュボス・フェノメノン』を宿した艦砲射撃。
甲板上に彼女がいるのだとしてもまるで関係がないと言わんばかりに放たれる火砲の一撃は、受ければ即座に『ポーシュボス・フェノメノン』によって『ポーシュボス』へと変貌してしまう。
善性の心あるかぎり、これより逃れるすべはない。
故に、レヴィアは言う。
「そんなに魔女の力がほしければ与えてあげる――死と共に、ね!」
「私達オブリビオンに対して死は意味がないな。宿縁の如き鎖があれば別であるが、死はすでに私達が通り過ぎてきたものであり、また同時にそのものだ」
「ならば、荼毘に付すことすら許しはしないわ!」
レヴィアの瞳がユーベルコードに輝く。
終焉に抗う力。
どんなものごとにも終わりはくる。
けれど、それを否定する。抗う力もまた己が身に宿ったものである。
正しき魔女の力がある、というのならば、きっとそれは理不尽な終焉を打ち砕く力であろ。
故に、レヴィアは望まない。
『プロフェッサー・モリアーティ』が望む結末を望まない事を望む。
黄薔薇開花・正しき魔女の責務の遂行(イエローローズ・エンドテイカー)は、そのための力であると言える。
「生命が望まぬ結末を見るのならば、その時こそ、黄薔薇は咲く!」
放たれる砲火。
加えて迫るUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣。
それら全てがレヴィアに迫る瞬間、これを阻むのだ。
ユーベルコードによる光。
これがレヴィアを『ポーシュボス・フェノメノン』からも、凄まじき斬撃からも守るのだ。
火花散るようにして黄薔薇の力が相殺されていく。
「どんな力とて万能ではない。相殺されたということは、妨害したということ」
ならば、それは条件として十分なものであった。
彼女のユーベルコードは他者を妨害し、妨害したことで敵に痛手を追わせるもの。
発露した黄薔薇の力は、『プロフェッサー・モリアーティ』とUDC怪物を打ち据え『ネルソン』の甲板上に叩き伏せるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エドワルダ・ウッドストック
アドリブ歓迎
ネルソンに向けて『カナリア』に搭乗して出撃。
魔女も幼女もこの大地も、貴方の手には渡しませんわモリアーティ!
精神汚染を危惧してペドロは置いて来ます。単騎で突撃しますわ!
代わりに引き連れていくのは……イングランドが誇る決戦兵器!
パンジャンドラムですわ!
突撃、特攻! 陸路を走る艦隊を爆破して進むのですわよ!
ジャガーノート・ハーレーが光剣と超加速で攻撃しても、道連れに爆発してくれるのでヨシッ!
そしてわたくしは、空中を荷電粒子砲を速射しながらUCを展開。
プラズマガントレット、チャージ! スラスターユニット、解放!
超加速してネルソンに飛び込み、モリアーティごと殴りかかりますわ!
狂気を、超えて!
黄金のキャバリアは太陽の輝きを思わせる。
星の輝きよりも煌々と力強く狂気艦隊旗艦『ネルソン』へと落ちるようにして、黄金のキャバリア『カナリア』は飛び込む。
「魔女も幼女もこの大地も、貴方の手には渡しませんわ『プロフェッサー・モリアーティ』!」
エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)は、己がキャバリア『カナリア』の背後に追従するようにして陸路を疾駆する自走式陸上爆雷が背後より迫ることを知る。
「そうかね。だが、最後に笑うのはいつだって私だ。そのように計画したからね」
「減らず口を! ならば、止めてみせなさい。イングランドが誇る決戦兵器!『パンジャンドラム』を!」
そう、それこそがエドワルダの引き連れてきた自走式陸上爆雷『パンジャンドラム』である。
まさしく疾駆する爆雷。
その奇妙な形状、正気の沙汰とは思えない設計思想。
されど、計算通りにことが運ぶのならば、これを止める手立てはない。
故に決戦兵器。
「全機突撃! 特攻!」
その言葉と共に自走する爆雷は『ネルソン』へと押しかからんとする。
だが、瞬間、錨の鎖に繋がれたUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣が閃く。
放たれた剣閃が『パンジャンドラム』を残さず両断し、爆発させたのだ。
空中に散華する爆雷。
その爆発は凄まじいものだった。
むしろ、エドワルダとしてはこれもまた。
「計画通りだと?」
「ええ、あの爆雷は錨に受肉させたUDC怪物を排除するためのもの。例え排除できなくても、『プロフェッサー・モリアーティ』! あなたを一人にすることができる!」
「浅はかだ。だが、僅かな時間でも私を単体にすれば押し切れると思った判断は悪くない。どの道、浅はかだがな」
『ネルソン』より放たれる火砲。
その砲火一つ一つが『ポーシュボス・フェノメノン』の力を有している。
触れれば、善意の一欠片にさえ寄生し『ポーシュボス』へと変貌させる恐るべき狂気。エドワルダは『カナリア』と共に砲火を逃れるようにして『ネルソン』の甲板上を走り、踏み込む。
アイセンサーがユーベルコードの輝きを宿している。
そう、エドワルダにとって己と『プロフェッサー・モリアーティ』。
この一対一の構図を覆されることこそが懸念であった。
敵地、即ち、『ネルソン』という敵に優位な地形。加えて、強大なUDC怪物。
これらを同時に相手取ることは彼女をしても難しいことだった。
故に、自走式爆雷による分断。
爆発はUDC怪物を退けるだけでなく、砲火の照準を己に絞らせぬ意図があったのだ。
「このシチュエーションこそが!」
例えUDC怪物が超加速しようとしても遅い。
「プラズマガントレット、チャージ! スラスターユニット、開放!」
一気に加速したエドワルダが『プロフェッサー・モリアーティ』に肉薄する。
「浅はか、と言ったことは訂正しよう。だが!」
「如何にしても計画を遂行するという狂気! それを超えて見せますわ!」
振り抜くは、黄金荷電粒子拳(プラズマガントレットナックル)。
格闘兵装プラズマガントレットに纏うは高圧電流。
振り下ろした一撃を『プロフェッサー・モリアーティ』は受け止めた。
火花が散るような激突。
その衝撃は『ネルソン』の甲板上を砕き、さらには船体そのものを揺るがす。
「これで終いか、猟兵。ならば……」
「いいえ!」
そう、これで終わるのがエドワルダではない。
己がキャバリアそのものを拳とする一撃。ただ拳を打ち付けるが己のユーベルコードではない。
「これがわたくしの一撃!」
故に、エドワルダは『カナリア』でもって『プロフェッサー・モリアーティ』を轢殺するかのように機体そのものを拳の如き質量弾として叩き見込み、その体躯を甲板上にてすりつぶすようにして轢き、黄金の標として飛び立つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
クロックワーク・ヴィクトリア。今は亡き『王』の後継者争いで暗闘と政争に明け暮れているという噂の列強国でしたね
この作戦行動も、他国に先んじて優位を得る調略であると同時に、政敵を牽制する主導権争いの一端でもあるのでしょう
しかし僕達にはあまりにも無関係な話
眼前の敵を討ち、勝利を以て犯罪王が仕掛けた|Gambit《『妙手』》を打ち崩すのみ
◆RS-FMB
*キャバリア騎乗戦闘
光剣の近接格闘と流星の自動追尾をRSライフルの早業+クイックドロウで応射
ポーシュボス・フェノメノンは限界突破+ジャンプのフルブーストで振り切りつつも直撃弾を武器受けとジャストガードで受け流し
心眼+念動力のミサイル乱れ撃ちで焼却し尽くす
超大国が一つクロックワーク・ヴィクトリア。
それは戴くべき『王』亡き超大国である。
後継者を決めるべく相争い続ける中にて最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は己が計画を遂行する。
彼が幼女総統『ギガンティック』を手に入れようとしているのは、彼女が持つ魔女の力故である。
魔女の力さえあえれば、彼はこれまで手に入れてきたであろう『アウルム・アンティーカ装置』と『ポーシュボス・フェノメノン』細胞に加えて、恐らくさらなる力を得ることになるだろう。
それは即ち。
「災厄そのもの。なるほど。暗闘と政争に明け暮れている、という意味では列強の中においてひときわ狂気を宿すものでしょう」
戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は頷く。
確かに彼の計画は他の超大国に先んじたものばかりであった。
調略に長けるということは、こういうことを言うのだと理解せしめるところであった。
この戦い一つとっても政敵を牽制し、さらには己が力を得るための道程に過ぎないのだろう。
それが後継者争いと言うものだ。
外敵のみならず内敵さえも計画に利用する。恐るべきことである。
「しかし僕たちにはあまりにも無関係な話」
蔵乃祐はキャバリアを駆り、狂気艦隊旗艦『ネルソン』へと飛び込む。
そこには猟兵の一撃を受けてすり潰されるようにして甲板にめり込んだ『プロフェッサー・モリアーティ』の姿があった。
同時に天より降り注ぐは流星であった。
「……! これは!」
「君等が察する通りだよ。これこそが私の一手。流星のごとく降り注ぐ『ポーシュボス・フェノメノン』。君等が善性であるというのならば、『ポーシュボス化』からは逃れられない。この真の悪性たる私のみが、『ポーシュボス・フェノメノン』を手繰ることができる」
故に、と轢殺の如き一撃を受けた部位が再生されていく。
『ポーシュボス・フェノメノン』によって『プロフェッサー・モリアーティ』は、その体躯の傷を癒やしていくのだ。
「なるほど、確かに犯罪王の|Gambit《妙手》。ですが!」
さらに迫るは錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣である。
超加速によって踏み込まれた蔵乃祐のキャバリアの倉庫が切り裂かれる。
圧倒的な速度。
加えて、剣閃から見て取れる技量の凄まじさ。
空には『ポーシュボス・フェノメノン』の流星。
「その巧妙たる計画、一手、それを打ち砕いてこそ猟兵!」
キャバリアから放たれるライフルの早打ちによって、これを迎撃する。
UDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣がこれを弾きながら、さらに迫るのを引き離すようにキャバリアのスラスターが全力で噴射し、距離を離す。
流星降り注ぐ戦場は、まさしく一撃でも受ければ詰み。
この場合は。
「チェックメイトというのが正しいね」
「いいえ、未だ王手には届かず!」
蔵乃祐は迫る流星を機体の装甲で受け流しながら、己が瞳を閉じる。
念じれば応えるのが己が脳はコントールによるRS-FMB(ミサイルビット)である。
あらゆる環境において、このミサイルは飛ぶ。
瞳を閉じても蔵乃祐は『プロフェッサー・モリアーティ』の姿を捉えることができる。
「これこそが王手の一手!」
放つミサイルが火線を退くようにして宙を走り、一気に『プロフェッサー・モリアーティ』を取り囲む。
躱させはしない。
「爆導!」
炸裂する爆発。
逃れ得ぬ連鎖反応のような爆発が『プロフェッサー・モリアーティ』を囲い込み、その体を飲み込んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
さて、そろそろ終幕の時間よプロフェッサー
その気分の悪い玩具ごと骸の海に還してあげる
●キャバリア迦楼羅王に騎乗戦闘
「イグニッション!」
迦楼羅王を超過駆動させ、射程を犠牲に爆発的に増大した移動力を以て、狂気砲弾を回避し、ジャガーノート・ハーレーの超加速による光剣の裏を取って蹴りつける
自身は、その反動で加速し、ネルソンに突貫して艦橋のモリアーティにエネルギー励起状態のパイルバンカーを叩き込む
「吹き飛びなさい!!」
爆発が巻き起こる。
その凄まじさたるや狂気艦隊旗艦『ネルソン』の巨大な船体を揺らすほどであった。
猟兵のユーベルコードに寄る一撃。
これによってクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は叩き伏せられた。
錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』も吹き飛ばされている。
だがしかし、鎖の音がする。
それは錨が存在するのならば当然あってしかるべきものであった。
確かに狂気艦隊旗艦『ネルソン』は戦艦と呼ぶにはあまりにも程遠い外観を持っている。
蒸気機関を内包し、その濛々と立ち込める蒸気の中に見えるは屋敷。
船と呼ぶにもおこがましき姿。
されど、船であるのだ。如何に多脚によって地上を歩むのだとしても、船なのだ。正気の沙汰ではない。
だが、これが現実なのだ。
「僕は、歌うことができる」
超光速で爆発の中から飛ぶのは、UDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』であった。光剣を構えて一気に迫る姿に才堂・紅葉(お嬢・f08859)は理解する。
「イグニッション!」
出し惜しみしている暇はない。
ここで一気に片をつけなければならない。
敵は容易に此方の優勢を覆すことのできる力を有しているのだ。
ならば、止まってはいられない。
己が乗騎『迦楼羅王』のアイセンサーがきらめく。
ユーベルコードの輝きを解き放つ機体は、迦楼羅焔を纏い、胸部と背面から翼のように熱波を噴出させる。
空気が膨張し、機体そのものを前に踏み込ませる。
「倒す」
「そうくるでしょうね!」
故に紅葉は振りかぶられた光剣の一撃を左右のどちらかに体を振っって躱すのではなく、その上を飛ぶようにして躱す。
そう、敵は人間大。
対する『迦楼羅王』はキャバリア。
鋼鉄の巨人である。
故に、紅葉は飛ぶことで一撃をかわしたのだ。
「ああ、けれど、君の目論見は達成されることはないだろう」
『プロフェッサー・モリアーティ』は立ち上る爆煙の中で笑い、『ネルソン』より放たれる『ポーシュボス・フェノメノン』を宿した艦砲射撃を持って『迦楼羅王』を狙う。
空中で弾道が曲がるという凶悪極まりない砲撃。
「なめるな!」
紅葉は空中で加速し、迫る砲撃を引き連れるようにして一気に『プロフェッサー・モリアーティ』へと迫る。
止まらない。
あの砲撃を躱す、という認識自体が間違いだ。
躱すのではなく、振り切る。
紅葉は一気に機体に搭載されたパイルバンカーの一撃を振りかぶる。
「さて、そろそろ終幕の時間よ。プロフェッサー。その気分の悪い玩具ごと骸の海に還してあげる」
振るう一撃が艦橋に飛び込んだ『プロフェッサー・モリアーティ』へと叩き込まれる。
「はっ、私の計画に撤退の二文字はないよ」
「なら、吹き飛びなさい! 後生大事に抱えてね!」
放たれるパイルバンカーの一撃が『プロフェッサー・モリアーティ』の体躯、その『アウルム・アンティーカ装置』に置き換わった胴を穿つ――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
過去に助けを求めてみましょうか
『鋼鉄悪魔召喚』を発動し、オブリビオンマシンを召喚するわ
悪魔とは影朧、影朧とはオブリビオンのこと
悪魔召喚士の力なら、オブリビオンマシンを悪魔として使役することも可能なはず
さあ、ここへ来て、運命に抗う意志を持つもの者よ
共に戦いましょう
降り注ぐポーシュボス・フェノメノンの直撃を避けて走破
全てを躱せなくても足を止めない
善性を蝕む狂気をねじ伏せて動き続ける
ピンチの時ほど笑うあの子達みたいに強くなりたいと思えば力も湧いてくる
UDC怪物の光剣を結界術の盾でいなし
オブリビオンマシンの攻撃に破邪の力を乗せて放つわ
狂気艦隊旗艦『ネルソン』の上で繰り広げられるクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』との戦いは苛烈極まるものであった。
砲撃は全てが『ポーシュボス・フェノメノン』の力を内包したものであったし、さらには錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』という強大な存在もいる。
実質、猟兵達はニ体の強大なオブリビオンと『ネルソン』を相手取らねばならなかったのだ。
「この状況……」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は旗色が悪いことを知る。
敵の力は強大そのものであった。
はっきり言って窮地に立たされている。
だが、己の心に諦観はない。絶望もない。
状況は予断を許さない。けれど、それでも彼女の瞳はユーベルコードに輝いた。
「猟兵、私の計画に狂いはないのだよ。この状況こそも私の計画の内だ。ならば、結局こうなる」
『プロフェッサー・モリアーティ』の体躯が『ポーシュボス・フェノメノン』の力によって復元されていく。
穿たれていた胴すら『ポーシュボス・フェノメノン』のちからによって覆われていくのだ。
恐るべきことだ。
故に彼女は薄く、本当に僅かに笑む。
それは誰かの真似であったかもしれないし、そうありたいと彼女が願ったからかもしれない。
「来て」
静漓は小さく呟いた。
サイキックロードの如き輝きが彼女の頭上に開かれ、その光の渦から現れるのは……。
「悪魔とは影朧。影朧とはオブリビオン」
「何を言っている?」
「悪魔召喚士の力なら、オブリビオンマシンを悪魔として使役することおできる、ということよ」
彼女の瞳が『プロフェッサー・モリアーティ』を見つめる。
鋼鉄悪魔召喚(コウテツアクマショウカン)――それこそが彼女のユーベルコード。
光の彼方より現れたオブリビオンマシン。
その姿は『黒騎士』と呼ぶに相応しい威容であった。
アンダーフレームは獣脚にして、そのオーバーフレームは騎士の如き甲冑を思わせた。
アイセンサーがきらめく。
黒き装甲を持ち、コンテナの如き装備を有する『黒騎士』――即ち『スカルモルド』である。
知らない。
けれど、静漓はその機体が色違いであること、そして装備が異なることを知る。
「黒い、『ブリュンヒルド』……いえ、『セラフィム』?」
疑問にオブリビオンマシンは答えを発しない。
そこにあるのは、ただ一つの意思。
『ジャガーノート・ハーレー』を見つめるように、そのアイセンサーが熾火を灯す。
「そう、あなたも運命に抗う意志を持つというのね。なら」
此度の交錯がただ一度のことであることを彼女は知るだろう。
もう二度と、このようなことはない。
これは縁の話だ。
『ジャガーノート・ハーレー』めがけて一気に降り注ぐ流星の如き『ポーシュボス・フェノメノン』をかいくぐり、獣脚が跳ねる。
コクピットの中から襲い来るのは狂気。
己が中にある善性を歪めようとするのはオブリビオンマシン故。
絶体絶命の状況だ。
「この状況でも前に進んでくるか」
「そうだよ。猟兵だから。必ず前に、来る」
はっきりした声で『ジャガーノート・ハーレー』の声が響く。
ねじ伏せるようにして静漓は言葉を紡ぐ。
オブリビオンマシンが齎す狂気をねじ伏せてこそ、己の力。
そして。
「ピンチの時こそ笑うあの子達のように」
己は強くなりたいのだと静漓は、『スカルモルド』のコンテナが展開し、放たれる膨大な数のクリスタルビットでもって、空という天蓋を覆う。
「強くなりたいの」
それは流星のように降り注ぐ『ポーシュボス・フェノメノン』と激突し、消滅させていく。
迫る『ジャガーノート・ハーレー』の光剣と打ち合うプラズマブレイド。
火花散る最中に、破邪の力を乗せて放つ一閃が『ジャガーノート・ハーレー』を切り裂き、空覆う天蓋の如きクリスタルビットでもって『プロフェッサー・モリアーティ』へと降り注がせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
「天候操作」で気象を暴風雨に。これで降ってくるポーシュボス・フェノメノンは吹き散らす。
さらに、「狂気耐性」「オーラ防御」「呪詛耐性」「霊的防護」を乗せた「結界術」を展開。しつこく降ってくる邪神細胞を「受け流し」てやる。
あたし自身は「目立たない」ようにして、術式の制御に特化する。
ここまでが下準備。
討滅を始めましょう。
「結界術」「範囲攻撃」「全力魔法」酸の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」「仙術」で紅水陣。結界が暴風から陣内を守利、的の脱出を阻止する。「侵入阻止」の逆転使用。
教授もUDC怪物も、等しく紅い雨を受けて溶け崩れなさい。
あたしは距離を取って、紅水陣の維持強化に専念。破らせはしない。
『ポーシュボス・フェノメノン』
それは恐るべきことに善性に寄生するものである。
如何なるものも『ポーシュボス化』を防ぐことはできない。いや、一つだけ防ぐ方法がある。
それは完全なる悪になることである。
一欠片の善意も持たぬ存在こそが『ポーシュボス・フェノメノン』に影響されない存在である。
だがしかし、そんな存在は多くはない。
完全なる悪。
クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は、その点において、真なる悪であった。
天より降り注ぐ流星の如き一撃を受けて、その『アウルム・アンティーカ装置』の体躯を『ポーシュボス・フェノメノン』によって復元しながら、彼は呆れ果てるように笑う。
「まったく、無体なことだ。なんという理外であろうか。埒外というのは、こういうことを言うのだろうね」
流星のごとく降り注ぐ『ポーシュボス・フェノメノン』。
これを村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は己に寄せ付けぬように天候操作でもって、暴風雨でもって戦場を包み込む。
「吹き散らせば、接触しなければ『ポーシュボス・フェノメノン』は防げる……でも、これは」
「そうだ。君にも一端の善意というものがあるだろう。それ故に『ポーシュボス・フェノメノン』は防げない。どの道、遅いか早いかだけの違いでしかないのだよ、猟兵」
『プロフェッサー・モリアーティ』の言葉にゆかりは歯噛みする。
狂気、呪詛に対する耐性を霊的防護の結界に重ねてなお、己の善意に寄生しようとする『ポーシュボス・フェノメノン』を拒めないのだ。
「だったら何?」
「……つまり、私の計画通りということだよ」
わからないか、と『プロフェッサー・モリアーティ』は言う。
けれど、ゆかりは頭を振った。
まったくもって、わかっていない、と。
そう、どれだけ緻密に、綿密に、精緻になる計画を叡智でもって組み上げてきたとしても。
そう、無体のごとき鉄槌の一撃で瓦解するものだ。
わかっていたからこそ『プロフェッサー・モリアーティ』は、このように力押しに出た。
狂気艦隊旗艦『ネルソン』を用い、UDC怪物を受肉させ、さらには『ポーシュボス・フェノメノン』による物量による力押しが証明している。
ならば、ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
「『プロフェッサー・モリアーティ』、討滅を始めましょう」
彼女の操る暴風雨の色が変わっていく。
真っ赤な血のように、世界を侵食していく暴風雨。
全てを蝕むような雨が戦場に降り注いでいく。
あらゆるものを腐食させる赤い靄が立ち込めていく。
それは比喩ではない。
ユーベルコードに比喩はない。
あるのは事象としての厳然たる事実のみ。
故に、ゆかりの赤い雨――紅水陣(コウスイジン)は、まさに『ポーシュボス・フェノメノン』すらも腐食させていく。
どんなものだって腐食する。
適応できなければ、その結果から逃れることはできない。
「仙術か!」
「ええ、そうよ。どんなものだって、この紅い雨は腐食させる。今更、適応しようなんてできもしないでしょう」
ならば、と結局『プロフェッサー・モリアーティ』たちにできるのは、ユーベルコードを手繰るゆかり本人を叩くことだけだ。
けれど、この紅い靄に紛れるゆかりを探すのは難しいだろう。
「すぐさまどうこうなるというわけではないが……ないが、これは!」
「ええ、じっくりと味わいなさい。溶け崩れ落ちるまで。まあ、尤も」
ゆかりは紅い靄の向こうで笑む。
悠長に時を待つほど、他の猟兵達は辛抱強くない、と――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
もう駄目でござるよお前
艦隊なんて大量のオブジェクトを出しその上無駄に光って超加速などという世界に多大な負荷をかけるUDCも呼び出す…
頼むから死んでくれ、お前が存在すると|この世の理《物理演算》が狂うのだ
…神がお怒りだ!
世界の
法則が
乱れる!
ポーシュボス・フェノメノンは制御不能のままブレ飛び飛び!座標がずれてブレブレの光剣に軌道が狂って艦船にめり込み始めるUDC!体が異様に伸びる拙者!
狂気艦隊なんか目じゃない狂気の世界の始まりだぜぇ!
神を鎮めるには贄が必要だ…貴様を世界の裏側に連れていく
テクスチャの隙間に土遁してリアーティ氏に接近、足を掴んで引きづりこむでござるよ
深い深い光すら届かぬ所に行こうぜ
狂気艦隊旗艦『ネルソン』を包み込むは、紅い靄。
猟兵の放ったユーベルコードが全てを包み込み、腐食させるように展開している。濛々と立ち込める蒸気すらも塗りつぶす勢いであった。
だがしかし、その『ネルソン』の錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』は超加速で持って一気に戦場を駆け抜け、この紅い靄を切り裂く。
光剣が振るわれるたびに、クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』を追い込む猟兵たちを寄せ付けぬとばかりに力を振るうのだ。
「まだ、僕は、歌えている」
歌うということは生きることだ。
故にUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』は紅い靄を切り裂き、『ネルソン』の甲板上を疾駆する。
だが、そこに立ちふさがる影があった。
「もう駄目でござるよお前」
どこからか現れたかエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)である。
彼は肩を震わせて、歯の根が合わぬさまを見せていた。
何か恐れているような節さえあった。
「艦隊なんて大量のオブジェクトを出し、その上無駄に光って超加速などという世界に多大な負荷を駆けるUDCも呼び起こす」
「それは私のことかね。このテクスチャの如き世界に君は何を見ているというのだね」
『プロフェッサー・モリアーティ』の言葉にエドゥアルトは頭を振る。
「頼むから死んでくれ。お前が存在すると、|この世の理《物理演算》が狂うのだ」
「大丈夫かね?」
「……神がお怒りだ!」
世界の
法則が
乱れる
エドゥアルトの瞳は見ただろう。
これが彼の瞳だけに映るものではないことは言うまでもない。
彼のユーベルコードに導かれるように、否、自ら降臨した物理演算の神が戯れるようにして世界に放ったのは、バグ。
座標という座標が狂っていく。
荒ぶる挙動によって降り注ぐ流星の如く『ポーシュボス・フェノメノン』は大地に降り注ぐのではなく、昇天するように宇宙へと飛び立っていく。
まるでわけがわからない光景だ。
それどころか、UDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』はいつの間にか、壁に半分埋まっている。
もがくように光剣を振るうが透過したオブジェクトたる『ネルソン』の壁面をスカスカと音を立てるばかりであった。
「……これは」
「これこそが狂気艦隊なんか目じゃない狂気の世界だぜぇ!」
異様に縦に伸びるエドゥアルト。
細長すぎて、プリッツのような姿になっている。
テクスチャのようにエドゥアルトの体躯が貼り付けられているようにさえ思えてしまう。
まさに狂気の世界。
極彩色の光景が眼の前に広がっているように『プロフェッサー・モリアーティ』は思えたことだろう。
「神を鎮めるためには贄が必要だ……貴様を世界の裏側につれていく」
「何をする。これは、本当に説明のできる事象なのか?」
「できるわきゃねーだろ!」
エドゥアルトはほっそい体のまま極彩色のテクスチャの隙間にもぎり込んで『プロフェッサー・モリアーティ』の足首を掴む。
「離せ、っ、一体何を!」
「きまってんだろーが! 深い深い光すら届かぬところに行こうぜ」
にこし、とエドゥアルトは奇妙な笑みでもって深淵より『プロフェッサー・モリアーティ』を手招きするのだ。
怖くない怖くない。
最初だけだから、と言わんばかりにエドゥアルトは『プロフェッサー・モリアーティ』を引きずり込もうとし、戦場に降り注ぐはずだった『ポーシュボス・フェノメノン』さえも逆転させる光景の中でバグのように蠢動するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
「プロフェッサー・モリアーティか。
ふふ、ライヘンバッハの滝へと落としてあげたいところだがスイスは少し遠いね」
【アイオーンの隔絶】を発動。
怪物化ネルソンによる「UDC怪物攻撃」を己の戦闘力へと変えながら教授の許へ歩みます。【小惑星の力学】によるポーシュボス化の攻撃も『攻撃』である以上、同様。無限に戦闘力を向上させていきましょう。
とは言え。
「さて、これ以上の仕掛けがないのであればお終いにしようか」
と極限まで高めた戦闘力からの大瀑布魔法(属性攻撃:水×全力魔法)
狂気も何もかもを洗い流す超質量超水圧の一撃で教授をネルソンごと教授を圧しましょう。
世界の裏側に引きずり込まれんとしたクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』の足を切り裂いたのは、狂気艦隊旗艦『ネルソン』の錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣であった。
それは『プロフェッサー・モリアーティ』を攻撃するためではなかった。
引きずり込まれることは止めようがなかった。
ならば、その足を切り裂くことが『プロフェッサー・モリアーティ』を救うことだと即断した結果だった。
事実、『プロフェッサー・モリアーティ』は片足を失いながらも、しかし『ポーシュボス・フェノメノン』によって新たなる足を復元していた。
「ふむ。想定外のことにも対処してこその計画だ。いくつもの手段を講じておく。用意周到とは計画性の理外にありながら、しかし必要なことなのだよ」
『プロフェッサー・モリアーティ』は『ネルソン』の甲板……といっても、蒸気じかけの洋館めいた姿をした狂気艦隊旗艦に立ち、笑む。
まだ余裕がある。
覆されることのない計画。
彼にとっては、猟兵の抵抗など誤差の範囲なのだろう。
「如何に諸君らががんばろうとも、その心に一欠片の善意があるかぎり、『ポーシュボス・フェノメノン』には勝てまい。そういうものなのだ、これは」
彼が操る『ポーシュボス・フェノメノン』は、事象そのものである。
善意という無形たるものに寄生し、同化していく。
恐るべきことである。
真の悪性でなければ手繰ることなどできない。
故にシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の瞳はユーベルコードに輝く。
「事象を攻撃とみなすかね」
「ああ、そのとおりだ。『プロフェッサー・モリアーティ』。『それ』が事象だというのならば、観測する者もまた事象の一つ。何、簡単なことさ」
シーザーは金色の瞳と共に己が体躯を魔力で覆う。
観測者あっての事象。
『ポーシュボス・フェノメノン』は事象である。
ならば、それ自体が攻撃であると認識できたのならば、シーザーのユーベルコード、アイオーンの隔絶(デウス・アルムム)は正しく機能するだろう。
流星のごとく降り注ぐ『ポーシュボス・フェノメノン』、そして迫るはUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣であった。
「僕は、歌う」
「そうかね。あの事象よりも、私は君が脅威に思える。『プロフェッサー・モリアーティ』、ふふ、ライヘンバッハの滝は此処より少しばかり遠いが……」
魔力で『ジャガーノート・ハーレー』の光剣を受け止める。
それ自体がシーザーのちからへと変換されていく。
彼のユーベルコードは、敵の攻撃を己の力へと変貌させていくのだ。
即ち。
己の敵対者よりも力を増すとうことだ。
「さて、これ以上の仕掛けがないのであればおしまいにしようか」
どれだけ緻密に編み上がれた計画であろうと、純然たる力を前には崩れ去る定めである。
止めようのない濁流が全てを破壊する。
人類の英知でもって川を如何にせき止めようとするのだとしても、それでも増えすぎた水はたやすく堰を砕く。
そういうものだ。
止めようがないものだ。
故にシーザーは極大たる魔力で持って生み出した大瀑布の如き水の塊を『ネルソン』の頭上に出現させるのだ。
「ふ、悪いね。『プロフェッサー・モリアーティ』。君と共に滝へと落ちる予定は、私にはない。君だけが」
「埒外め……!」
「滝の底へと落ちるがいいさ」
その言葉と共にシーザーは生み出した極大の大瀑布魔法を『ネルソン』へと叩きつけ、一息に彼らを押し流すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
……ちょっと違うっすね。世界がどうこう以前にアンタらは……「わたし」の敵だ、|UDC《化け物》
UC。何処かケルベロスに似た、漆黒の粘液に覆われ滴らせる魔獣へと変身し、異形の翼を広げて敵の下へ進軍開始。どれだけ光速で動こうが、こっちを「見る」以上は逃がさない。視認した時点でその意識・精神へと攻撃を仕掛けその意識をズタズタに蹂躙し、意識の奥底に自殺衝動を刻み込んで自害させる
砲弾には足元や表層からUDCの触腕を伸ばさせて迎撃させ、教授やポーシュボスも、わたしを「見た」時点で時間も距離も関係なくその精神をズタズタに蹂躙し、意識の奥底に拭えぬ|自殺衝動《デストルドー》を刻みこんで自己崩壊させてやる
「これが猟兵。生命の埒外にして、世界を護る戦士と言ったところか……」
どこまでも己の邪魔立てをするのだと、クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は理解しただろう。
結局、どこまで言っても猟兵とオブリビオンは滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかない。
計画を練り上げても、無体の如き力でこれを力押しで破壊していく。
「やってられないとは言わないが、しかしね、君」
彼は凄まじい水圧に負けじと、狂気艦隊旗艦『ネルソン』に手をかけて免れていた。
鎖の音が響き、錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』が降り立つ。
超加速に寄る剣閃。
それは、迫る猟兵……黒沼・藍亜(に■げ■のUDCエージェント・f26067)へと叩き込まれた。
だが、その光剣の一撃は藍亜の漆黒の粘液に受け止められている。
「僕は、歌えている」
「そうだ、八番目の子よ。それは世界を守らんとする猟兵だ」
「……ちょっと違うっすね」
藍亜は己を覆う漆黒の粘液の奥で言う。
それは明確な意志を持って発せられた言葉だった。
「世界がどうこう以前にアンタらは……『わたし』の敵だ、|UDC《化け物》」
漆黒の粘液が姿を変えていく。
『ジャガーノート・ハーレー』の光剣を受け止めていた粘液はまるで猟犬の如き頭部へと変貌し、さらに三つ首が生まれていく。
そこにあるのは敵意。
意志以上に迸る敵意であった。
藍亜にとって、眼の前の存在は敵以外の何者でもない。異形の翼が広がる。
魔獣そのものとなった彼女は、示す。
「わたしというばけもの(アイア・フェノメノン)を」
見ろ、と彼女はユーベルコード輝く瞳でもって『ジャガーノート・ハーレー』を見つめる。
己を視認した対象の精神を蹂躙し、自殺衝動を植え付ける力。
軋むようにして『ジャガーノート・ハーレー』は己が手にした光剣を逆手に持ち帰る。
何を、と言う暇もない。
己の胸を穿つ一撃によって『ジャガーノート・ハーレー』の体躯がかしぐ。
その横を一気に藍亜は走り抜ける。
「なるほど。自殺衝動を植え付けるのか。面白い」
「だったらなんだっていうんすか。アンタも例外じゃあないっすよ」
「そうかね。だが、あいにくと」
真の邪悪は己のためだけに己の命を使うのか。
答えは否である。
己の命を危険に晒すことなく、他者を弄び、他者の命を己が命を護るために棄てさせるのだ。
故に、『プロフェッサー・モリアーティ』は瞳を閉じながら指揮棒を振るうかのように、その指を振るう。
見なければ良い。
そして、幸いにして此処には己が何をしないでも猟兵に対して殺意を抱く『ネルソン』がある。
艦砲射撃による『ポーシュボス・フェノメノン』の砲撃。
それが藍亜を襲う。
善意に寄生する『ポーシュボス・フェノメノン』という事象。
確かに藍亜にも善意がある。
善性がある。それはどうしようもないことだ。だが、己が身に纏う漆黒の粘液は違う。
そこに善意も悪意もない。
故に藍亜のUDC『昏く暗い黒い沼』は、ただそこに在るものでしかない。
触腕となった粘液が砲撃から藍亜を護る。
「アンタみたいなのばかりが他者から守られてばかりだと思わないことっすね! 見ろ『わたし』を!」
否応なしに突きつける自殺衝動。
それは宙を走る触腕と共に『プロフェッサー・モリアーティ』へと迫り、その瞼をこじ開けるのだ。
覗き込むようにして藍亜の瞳が『プロフェッサー・モリアーティ』へと迫る。
そう、それは抗えぬデストルドー。
死へ向かおうとする欲動は、死神の如く『プロフェッサー・モリアーティ』の内部を覗き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬神・レイト
【炎心】WIZ
アドリブ歓迎
清導、レヴィア、エドさんと共に参加
なるほど…見れば分かるほどの狂気だ、いけるか、シーグウルム?
『ああ、その狂気ごとく、俺様が蹴散らしてやる!』
さすがだ、相棒、それでは行こうぜ!皆さん!
UC起動、<デュエリストカード>でシーグウルムを召喚だ!
『乗れ、レイト!』
シーグウルムに乗って、突撃だ!
[絆攻撃]全開で、俺たちのすべてを使って、あの邪魔の流星群を払え!!
『分かってる!食らえ!雷鳴の咆哮を!』
これでよし…あともう一発だ!いけ!
『ほらよっと!!』
最後はリーダー(清導)!止めは任せたよ!
レヴィア・イエローローズ
【炎心】SPD
アドリブ歓迎
清導、エドワルダ、レイトと共に参加
――殺してやる
其れだけが、わたくしの抱く感情……
クロックワーク・ヴィクトリアへの敵愾心と殺意のみで心を染め上げ、ポーシュボスとUDC怪物のUCを無効化
戻る時は黄薔薇の白夜杖で『過去と同じ様に全ての感情を取り戻した未来』をセットして精神を復元
そのままわたくしのUCによる強化で全ての武装を取り出し、状況に応じて敵愾心と殺意の赴くままに適切な武装に切り替えながらネルソンとポーシュボス、そしてモリアーティを殲滅していく
シカの怒りを思い知れ、モリアーティ!
エドワルダ・ウッドストック
【炎心】POW
アドリブ歓迎
清導、レヴィア、レイトさんと共に参加
わたくしたちの攻撃はこれからですわよ!
轢殺した勢いで一度は離脱しましたが、頼れる仲間たちと共に再度攻撃に戻りましたわ。
絶対に潰すという覚悟ですわ! ええ、行きましょう!
清導と肩に載せて、『ネルソン』へ向けて強行突破ですわ!
レヴィアの武装(ヤマラージャ・イエローローズ)による攻撃、レイトさんとシーグウルムの猛攻に合わせて、UC発動!
『カナリア』の全武装、ハイパーメガバスターやメガビームキャノンなどの荷電粒子砲を一斉発射!
フルバースト・マキシマムでジャガーノート・ハーレーを片っ端から貫きますわ!
道は拓けましたわ、清導! 今ですわよ!
空桐・清導
【炎心】POW
アドリブ歓迎
エド、レヴィア、レイトと共に参加
「善の心が全くない奴の野望なんざ碌な事じゃない!
ココで悪の野望を断つ!行くぜみんな!」
燃え盛る[勇気]を滾らせUC発動
全ての守護者たる真紅のヒーローが真の姿を現す
ジャガーノート・ハーレーの彗星を拳で粉砕
その破壊は伝播して次々と触れていない彗星も砕ける
真の守護前に破滅は破滅する!
オレのポーシュボス化は[気合い]と[根性]で無力化
現象如きがオレを蝕むなど笑わせる
「超必殺!オーバーブレイズエンド!!」
[限界突破]した光焔をパンチと共に放つ
モリアーティ、ジャガーノート・ハーレー、ネルソンを
全てまとめてなぎ払い、戦いによって生じた余波は修復される
心には常に己が死を望む衝動がある。
誰にだってあるものだ。
生きている限り死に近づく。
死はすぐそこにある。否、横たわるものであり、隣を歩むものであり、己を覗き込むものである。
猟兵の見せたユーベルコード。
その輝きはクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』の心に拭えぬ自殺衝動をもたらしていた。
これもまた己の計画の内であっただろうか。
いや、違う。
「これは私の計画ではない。私は、魔女の力を」
手に入れるのだ。
やりなおし能力があれば、己が体躯『アウルム・アンティーカ装置』と半身たる『ポーシュボス・フェノメノン』によって如何様にもできる。
それこそが。
「なるほど……見ればわかるほどの狂気だ」
馬神・レイト(通りすがりのカードデュエリスト・f43310)は手にしたレアカードを天に掲げる。
それは契約者のカード『雷鳴の契約者・シーグウルム』。
世界に一枚しかない軌跡のカードである。
招来されるは雷を操る赤い龍。
具現化された『シーグウルム』にレイトは呼びかける。
「行けるか?」
『誰にものを言っている。あの程度の狂気如き、俺様が蹴散らしてやる!』
「さすがだ、相棒。それでは行こうぜ、皆さん!」
レイトの言葉に応えるようにして黄金のキャバリア『カナリア』を駆るエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)が頷く。
「ええ、わたくしたちの攻撃はこれからですわよ!」
「――……」
エドワルダとレヴィア・イエローローズ(亡国の黄薔薇姫・f39891)は先立って『プロフェッサー・モリアーティ』へと攻撃を仕掛けた猟兵達である。
彼女たちのユーベルコードは『プロフェッサー・モリアーティ』を追い込んでいた。
だが、しかし、である。
恐るべきは善意に寄生し同化する『ポーシュボス・フェノメノン』である。
その力によって如何なる傷をも『プロフェッサー・モリアーティ』は復元させていたのだ。
「――殺してやる」
レヴィアの殺意が膨れ上がっていく。
『ポーシュボス・フェノメノン』は事象である。
一欠片の善意にさえ反応し同化しようとする。『ポーシュボス』そのものへと変貌させてしまうのだ。
故に彼女の心に満たされるのは殺意。
敵愾心。
ただそれだけだ。
ユーベルコードに輝くレヴィアの瞳は、ただそれだけに己を染め上げていく。
一欠片の善意すらも塗りつぶしていく。
「我が黄色に応じて開花せよ、羨望の深淵。それは歯車仕掛けで生命も想いも踏みつぶす機構への憎悪。聖なる憎悪を解き放て」
跳躍する。
狂気艦隊旗艦『ネルソン』の洋館の如き奇異なる戦場なれど、レヴィアはまるで獣そのものたる前傾姿勢でもって迫りくる砲撃も『ポーシュボス・フェノメノン』もUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』さえもかいくぐって『プロフェッサー・モリアーティ』へと迫るのだ。
「シカの怒りを思い知れ、『プロフェッサー・モリアーティ』!!!」
「ほう、私への怒りで善意を塗りつぶすのか。だが」
横合いからレヴィアに迫るのは『ジャガーノート・ハーレー』であった。
強化された己の身体能力をも捉える光剣の一閃と超加速。
その一撃がレヴィアを襲う。
だが、さらに横合いから『ジャガーノート・ハーレー』に突っ込むのは、レイトの駆る『シーグウルム』であった。
その雷は『ジャガーノート・ハーレー』を穿つようにして放たれ、レヴィアを救う。
『受けろよ、雷鳴の咆哮を!』
迸る雷。
その雷鳴の中に輝くものがあった。
黄金と赤。
劣化の如き焔を立ち上らせるようにして空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の瞳が輝く。
「善の心がまったくない奴の野望なんざろくなことじゃない! ココで悪の野望を断つ! 行くぜみんな!」
燃え盛る勇気があった。
だが、それは『ポーシュボス・フェノメノン』にとっては関係のないことだった。
それは事象であるがゆえに、善意と悪意とを分ける思考しかなかった。
それ以外は意味がない。
勇気であろうと、友情であろうと。
絆であろうと。
復讐心であろうと。
何もかもが無意味であった。
降り注ぐは『ネルソン』より放たれる砲火。
凄まじい砲火が猟兵たちを襲う。
だが、それでも清導は咆哮する。
「オレがみんなを護る!」
「ええ、私達に必要なのは善意でも悪意でもなく!『プロフェッサー・モリアーティ』、あなたの計画を絶対に潰すという覚悟ですわ!」
ユーベルコードの輝きを放つ『カナリア』のアイセンサー。
一気に清導を乗せ加速する『カナリア』。
全武装を展開し、迫りくる『ネルソン』の砲火を叩き落としながら、さらに『シーグウルム』の放つ雷の間隙を縫うようにして疾駆する。
ビームの光条が乱舞し、レヴィアが駆け抜ける。
「どれだけ計画を建てようとも、結局は意味のないことだ。貴様が、その悪意でもって真を為すことなどできようはずもない!」
その一撃が『プロフェッサー・モリアーティ』の体躯を切り裂く。
「何者にも染まらぬ悪意こそが、真であるとは思わないかね。白は他の色に染まるが、黒は染まらぬ。故に、悪意の黒こそが!」
『プロフェッサー・モリアーティ』の指先が天を示す。
瞬間、『ジャガーノート・ハーレー』の呼び寄せた彗星が猟兵たちの頭上に迫る。
「『シーグウルム』! もう一発だ! いけ!」
『ほらよっと!』
迫る彗星に雷が落ちる。
だが、止まらない。それを清導は見上げる。
「シン・超変身!!(シン・ブレイザイン) さあ、見せてやろうぜ相棒!! コレが!! シン・ブレイザインだ!!!」
全てを守護るヒーローとなる。
その誓いがユーベルコードの輝きを解き放つ。
迫る彗星を破壊する拳。
乱舞する光条と共に黄金の機体『カナリア』が道を示す。レヴィアの黄薔薇が咲き誇り、その敵愾心でもって、敵を退けた。
絆のカードが呼び起こす雷が照らす。
何を。
「道は拓けましたわ、清導! 今ですわよ!」
エドワルダの言葉に清導は瞳を見開く。
「超必殺! オーバーブレイズエンド!!」
光焔を纏う拳が振るわれる。
『ジャガーノート・ハーレー』だろうが、『ネルソン』だろうが、己の前に立ちふさがるものを全て吹き飛ばしながら清導の一撃は『プロフェッサー・モリアーティ』へと叩き込まれ、四人の猟兵に寄るユーベルコードの輝きと共に狂気艦隊旗艦を激震させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夕凪・悠那
モリアーティってどこでも黒幕やってるね
まあ、ここまで来たらやれることはシンプルだ
正面から計画ごと叩き潰す
ジャガーノートシリーズ、ハーレー
キミも何時かの被害者なんだろうけど……今は打倒させてもらう!
キャバリア『エルドリッジ』に搭乗
仮想演算領域拡張、"戦闘演算"開始、"リミッター解除"
UDC2体相手にするんだ、最初から全力で短期決戦
『黄金瞳』も最大稼働させて情報を逃さない様に
狂気砲弾とハーレーの超加速の機動を並列処理
躱しきれない攻撃には雷速と"ハッキング"で軌道に介入してずらす等で対処
有効射程まで近づけたら、
最大出力の【Judgment "KERAUNOS"】で邪神細胞ごと焼滅させる
夕凪・悠那(電脳魔・f08384)は思う。
いつだってそうだけれど、ジェームズ・モリアーティという名は、現実であれフィクションであれ、どこでも黒幕をやっているものだ、と。
それはある種のお約束であったのかもしれない。
純粋なる悪役として登場し、全ての計画を明らかにする存在。
己が成し遂げるは犯罪計画。
故に、此度獣人世界大戦を勃発させたのもまた、彼の計画の一端なのだろう。
「まあ、此処まできたらやれることはシンプルだ」
そう、悠那は思う。
どんなに緻密な計画も、綿密なる下調べも、精緻なる布石も。
結局のところ、ルールというものの上に成り立つものである。
それは時に人間の社会性でもあったし、常識という枷であったかもしれない。
けれど、これは人と人との対決ではない。
猟兵とオブリビオンの対決なのだ。
故に、生命の埒外と過去の化身の間にあるのは、滅ぼし滅ぼされるの二択。
「正面から計画ごと叩き潰す」
悠那は己の前に立ちふさがる胸に穿たれた傷跡持つUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』を認める。
錨に受肉したがゆえに鎖に繋がれたような隷属を示すような姿にある種の憐憫を彼女は思ったかもしれない。
「僕は、歌える」
「キミも何時かの被害者なんだろうけど……今は打倒させてもらう!」
悠那は己がキャバリア『エルドリッジ』と共に一気に飛び出す。
加減などできようはずがない。
「仮想演算領域拡張、“戦闘演算”開始、“リミッター解除”」
唸りを上げる『エルドリッジ』のジェネレーター。
限界を超える。
今眼の前に限界があるのならば、それを超える。そうしなければならない。
なぜなら、眼の前にはUDCが二体もいる。
猟兵達によって消耗していてもなお、油断ならぬ存在がいる。
彼女の黄金の瞳が見開かれる。迫る『ネルソン』より降り注ぐ砲撃のコースと着弾面を把握し、一気に『エルドリッジ』と共に疾駆する。
迫るは超加速によって光剣を放つ『ジャガーノート・ハーレー』。
此方との機体の体高差などまるで気にもとめぬ斬撃。
受ければ、ただではすまない。故に悠那は、それぞれに並列に処理する。
「――灼き尽くせ、Judgment "KERAUNOS"(ジャッジメント・ケラウノス)」
「やはり力押しではないか、猟兵。私の計画を!」
『プロフェッサー・モリアーティ』は見ただろう。
悠那の駆る『エルドリッジ』のアイセンサーがユーベルコードに輝く様を。
その機体の内部より迸る極大の雷霆を。
その力は凄まじいの一言に尽きるものであった。
針の穴を通すようなコントロールなど必要ないと言わんばかりにリミッターを解除した『エルドリッジ』のジェネレーターの出力を笠に着たかのような大雷霆。
その凄まじき一撃は、周囲にあった砲撃も『ジャガーノート・ハーレー』さえも吹き飛ばすほどの出力。
迫る衝撃と雷霆に『プロフェッサー・モリアーティ』は目を見開く。
そう、結局どれだけ計画を立てたとしても。
「力づくで叩き潰す。倫理も道理もキミたちには必要ない。あるのは」
あらゆる悪意をも焼滅させると迸る雷霆の中に『エルドリッジ』と悠那は立つ。
そう、己たちがある限り、善意に寄生し、誰かを利用して己が利を得ようとするものを許しはしないのだと言うように、雷音が戦場に轟いた――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:四天霊障
ふむ、まあ狙う意味も、それが今であるということもわかるのであるが。
それをわかった上で動くのが、わしらというものよ。
錨の攻撃は、四天霊障の重力と氷雪にて抑えて凍らせ。弾は風と炎にて切り裂き溶かしておこう。
内部三人とわしの連携なれば、読みにくかろうて。
そうしてな…近づいたときに、わしの足元の影から、陰海月の触腕が伸びようて!
※
陰海月「ぷきゅ!」(フンス!)
一回、怪力パンチしたかった。UCついてて、メコォとしても気にしない。
だって相手、誘拐計画犯だもん!!
クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』の狙いは一つ。
そう幼女総統『ギガンティック』である。
「ふむ、まあ狙う意味も、それが今であるということもわかるのであるが」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は、その機敏なる動きを見て意図を理解する。
確かに幼女総統『ギガンティック』は猟兵との戦いによって撤退行を余儀なくされた。
弱り目に祟り目とはこのことである。
ならば、『プロフェッサー・モリアーティ』が狙うのも頷けるところである。
だが、これが彼の掌の上でのことであるというのならば話は別である。
彼にとって、これは計画の一端、その一つのルートに過ぎないのかも知れない。
稀代の犯罪王の名を冠する『プロフェッサー・モリアーティ』はそこが知れない。
これだけの猟兵たちの攻勢を受けてなお、彼は笑う。
どれだけ傷つけられたとしても半身の『ポーシュボス・フェノメノン』によって復元されていくのだ。
一気に攻撃を叩き込む他ない。
「無駄だよ。猟兵。諸君らの行動は全て私の計画の内だ。逸脱していない。何一つな」
「それをわかった上で動くのが、わしらというものよ」
やるべきことは変わらない。
故に『侵す者』は迫る錨に受肉したUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣の一撃を霊障で受け止める。
重力と氷雪の力でもって押さえつけてなお、この動きである。
「僕は、歌える。なら、戦え、る」
傷つきながらも振るう光剣の一撃は凄まじいものだった。
さらに狂気艦隊旗艦『ネルソン』の砲撃が迫る。
触れれば『ポーシュボス・フェノメノン』に同化されてしまう。
自分たちは悪霊なれど、善意を持つ者である。善意が一欠片でもあれば『ポーシュボス・フェノメノン』は同化する。
どんな些細な善意であっても関係なく寄生するのだ。
その恐るべき力を前にして『侵す者』は笑う。
「確かに恐ろしい。だがの、此方とて四柱よ」
そして、と『侵す者』は己の影から飛び出す触腕の一撃が放たれる。
それは巨大なクラゲ『陰海月』による触腕の一撃であった。
それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)放たれた。
「ぷきゅ!」
一度、思いっきり叩きたかったのだと言うように放たれた一撃。
それが『プロフェッサー・モリアーティ』の顎を打ち据える。
「ぐっ!?」
不意なる一撃。
顎が砕ける音がしただろう。
容赦のない一撃だった。
それは許せるものではないという感情から来るものであった。
敵が敵をさらう。
己が力となさんとするためだけに、『ギガンティック』を得ようとするのならば、『陰海月』には容赦する理由などなかったのだ。
「ハハハッ、そうよな。融解計画犯なぞ、容赦する必要等なし」
『侵す者』は笑いながら、『ジャガーノート・ハーレー』を蹴り飛ばす。
己たちが抑え込めば、他の猟兵たちも攻勢を加えるタイミングが生まれようというものだ。
どれだけ絶望的な戦いの中にあっても、己達一人ではないという事実こそが、猟兵たちの足を止めぬ理由だったのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
わーぉのっしのっし歩いてるー
●|一《ひと》狩りいこうぜ!
UC『神知』により200%冴えわたるボクの頭脳!(当ボク比)
そうボクは月の内側を大空洞に掘りぬいても人類に気付かれないと言われるほどの【トンネル掘り】だった!
地下を掘り進み、スーパーサイズの[ドリルボール]くんたちに歩く戦艦を落としてはめる落とし穴をぶち抜いてもらうよ!
穴にはまってモタモタしてるところを突入!
【第六感】で飛んでくる触手を躱して|機能を全開放《【封印を解く】》した[叡智の球]くんの叡智ビームを介して一体化している森教授ごとポーくんに【封印術】をかける!
ここは邪神が眠るのにはいい場所だよ!おやすみ~!
狂気艦隊旗艦『ネルソン』は、艦船でありながら大地を歩くという特性を持って凍結海であろうと陸路であろうと関係なく走破せしめる能力を持っている。
この艦隊を前に大地という防波堤は意味をなさない。
「わーぉ、のっしのっし歩いてるー!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、その光景に目を見張る思いであったことだろう。
なにせどこでも見れる光景ではないからだ。
だが、その甲板上ではユーベルコードの明滅が際限なく起こっている。
猟兵達とオブリビオンの戦いの軌跡とも言うべき光景。
それを見やり、ロニはむくむくと狩猟欲求とも言うべきものが湧き上がるのを感じた。
「冴えわたるはボクの頭脳! 当社比ならぬ当ボク比!」
ユーベルコードに輝く瞳。
そう、ロにはしれっと口を開く。
己が口から出た言葉は全て真であり偽りである。
真と偽りは、全てが表裏一体であるがゆえにいつだって裏返るものである。
そこに真と偽りという価値観さえ存在しない。なにせ、一体たるものであるからだ。
「そう、ボクは月の内側を大空洞に彫り抜いても人類に気づかれないと言われるほどのトンネル堀だった!」
定かではないし、諸説あるし、そもそも口からでまかせであるかもしれない。
だが、それは大したことではない。
必要なのはロニが自身をそうであると規定しているかどうかの違いでしかないのだ。
故に、暴虐の地ならぬ神知(ゴッドノウズ)である。
ロニは『ネルソン』の砲火を受けることなく地面を掘り進み、さらに掘削球体と共に一気に狂気艦隊旗艦『ネルソン』の周囲を陥没させるべく穴を掘り続けていたのだ。
あれだけの巨体である。
踏み出せば、それだけで地盤が瓦解し、穴に沈むだろう。
古来より落とし穴っていうのはそういうものである。
もがけばもがくほどに瓦礫が網目のように熱呂っくで持って『ネルソン』を捉えるのだ。
「どうだい、ボクの穴掘り技術は!」
ロニは『ネルソン』の多脚が折れ、船体がかしぐ甲板上へと飛び込む。
敵の要たる狂気艦隊が身動きが取れなくなったところに、彼は飛び込み『プロフェッサー・モリアーティ』へと遅いかかるのだ。
「まったくもって面倒なことをしてくれるものだ」
「計画がだいなし?」
「いいや、予想修正範囲というやつだ。どの道、というやつだよ」
『プロフェッサー・モリアーティ』の背後から飛び出すUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣をロニは球体で受け止め、その権能を開放する。
「うんうん、元気だね。ここは邪神が眠るにはいい場所だよ!」
展開した球体の中に『ジャガーノート・ハーレー』が囲われていく。
そして、それは『プロフェッサー・モリアーティ』ごと封印しようというのだ。だが、敵は事象である。
『ポーシュボス・フェノメノン』は、善意あるものを同化していく。
膨れ上がる『ポーシュボス・フェノメノン』は、さらに囲いをこじ開けるようにして力と 力との拮抗の中にあって、その力を発露するのだ。
「おっと、もがいてるね~流石、やっぱり落とし穴は、時間制限があるからゲーム性があっていいよね!」
ロニは笑いながらもがき続ける『ポーシュボス・フェノメノン』を見下ろす。
「まだおやすみには早いってことかな? でもまあ、どの道ってやつだよね!」
遅いか早いか! とロニはやっぱり笑いながら己が力が罠となって『プロフェッサー・モリアーティ』たちを逃さず、この場に拘束し続けるさまに笑うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
わ、久しぶりの雄叫びですね!
ちょっと間が開いて聞くとヤバさが一段と目立ちますね!
……またステラさんが難しいこと言ってます。
せっかく雄叫びでシリアス度が下がったのに、もとに戻さないでくださいよぅ。
最近練乳箱買いしすぎて、
某宅配の配達員さんとお友だちになりそうなんですからー。
ほら、こないだ2ダース買ったのに、もう2本しかありません。
え?狂気?
たしかに何ごとも過ぎると狂気になり得ますよね。
愛情とか! 愛情とか!! 愛情とか!!!
イエナンデモナイデスナニモイッテナイデスキノセイデス。
って、ステラさんこそまた何か失礼なこと言いませんでした?
演奏で『蹴散らす』? 『魅了する』の間違いですよね?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまーすっ!!
いえ、なんていうかハイランダー・ナインですが!
またまたこんにちは
8番目の……アハト・ラーズグリーズ様?
完全なる|善性《青》と|悪性《赤》
違うのは他の為か自身の為か、程度でしょうか?
そこに躊躇いが無いのならば
どちらも狂気となり得る
出番です、|光の勇者《こちらの狂気?》
いえ、相手も二人ですが、こちらも二人なら大丈夫
まぁこんな面倒な相手、ルクス様の演奏で相手しないと大変なので
ちょっと演奏で蹴散らしてもらえませんか?
その隙に!
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】!
ええ、
雷鳴、あるいは全てを癒す者のごとく
まとめて薙ぎ払って差し上げます!
人の心に理性という揺らぎが存在するのは悪性と善性を併せ持つからである。
どんな善良なる人間にも悪性は宿る。
どんな悪逆なる人間にも善性は在る。
それは人が人である以上、逃れ得ぬものである。
善良ばかりの人間など存在しない。悪逆ばかりである人間もまたそうである。
ならばこそ、『ポーシュボス・フェノメノン』はどうしようもない存在であった。
善意に寄生する存在にして事象。
それ故に、対峙する猟兵達は悪性そのものにならずにはいられない。
そして。
それらを超越する何かで悪性も善性をも塗りつぶさねばならない。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまーすっ!!」
例えば、それは愛である。
愛は悪性も善性も超越したところにあるものである。
手前味噌な理屈であろう。だが、それでもステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の中にあるのは、そういう感情であった。
彼女の心を前に悪性善性は意味をなさない。
「いえ、なんていうか『ハイランダー・ナイン』ですが! またまたこんにちは。八番目の子……『アハト・ラーズグリーズ』様?」
嘗ての名を呼ばれたUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の体躯が揺れる。
猟兵たちの度重なる攻勢によって傷ついてはいても、なお、猟兵を見やれば光剣と共に加速し、迫るのだ。
その動きが止まる。
「完全なる|善性《青》と|悪性《赤》……その灰星の如き体躯は、これより黒へと、強靭なる決意を持って染まるのでしょう。ですが、貴方様のそれは!」
自分のためではない。
『プロフェッサー・モリアーティ』が己がためだけに汎ゆるものを犠牲にし、贄として捧げ、利用し続ける完全なる悪性であるというのならば。
『ジャガーノート・ハーレー』の体躯にある魂は無私たる善性。
他のために己が身をなげうつという善性は真のものであり、また狂気。
ためらいは理性から生まれるのならば、やはり、それは狂気そのものであった。
故に、ステラは言う。
「……僕は、歌う」
「生命賛歌を歌うというのですか。あの生命の歌を。誰かのために生命を燃やすことなどできない過去の化身へと成り果ててなお、囚われてなお!」
「わー……」
シリアスぅ、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、そのやりとりを練乳チューブをちうちうしながら見ていた。
なんかこう、ステラがいつもの雄叫びを上げるのは、いつも通りでギャグっぽくていいなぁと思っていたが、難しいことをつらつら淀みなく言い放ち始めるとルクスは雲行きが怪しいな、と思うほかなかったのだ。
だって、あれだけ間が空いたのだ。
久々に聞くとステラの雄叫びは、ヤバさが一段と目立つのである。
というか、シリアス度が下がってきて練乳消費速度が落ちて助かったと思ったのにこれである。
最近練乳を箱買いしすぎて某宅配サービスの配達員さんが顔見知りになって生m髄のである。
「ほら、こないだ2ダースも買ったのに! もう二本しかないんですよ!」
「そうですか。ですが、出番です|光の勇者《こちらの狂気》」
「今なんかルビで」
「相手はニ体のオブリビオン。ですが、こちらも二人なら大丈夫です」
「え、あの、ルビで狂気って」
「まあこんな面倒な相手、ルクス様の演奏でないと対処できないでしょう。ちょっと演奏で蹴散らしてもらえませんか?」
「えっ、演奏していいんですか!? ですよね! 何事も過ぎると狂気になり得ますもんね! 愛情とか! 愛情とか!! 愛情とか!!!」
大丈夫? 愛情にルビで妄執とか執着と書いてない? 書いてないのでセーフです。
「何か?」
「イエナンデモナイデスナニモイッテナイデスキノセイデス」
カタコトになってシリアスを下げようとしている涙ぐましい努力。
「でも、演奏で蹴散らすって言いませんでした? 魅了するの間違いですよね?」
「あー! 勇者様、来ました、来ましたよ!」
「もう! またごまかす! ですが! 魂の演奏は、すべてを貫きます!」
ルクスの瞳がユーベルコードに輝き、全てをぶっ飛ばす爆音を解き放つ。
やっぱり蹴散らすであってる!
吹き飛ぶUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の向こう側に見えるのは『プロフェッサー・モリアーティ』の姿であった。
なんやかんやとルクスが喚いているが、今のステラの耳には届かなかった。
そう、彼女の耳には対ルクス専用音響無効化耳栓が装着されているからだ。
「雷鳴、あるいは全てを癒やす者のごとく、まとめて薙ぎ払って差し上げます! トニトゥルス・ルークス・グラディウス!」
掲げるは雷光の剣。
己が心臓、天使核より流入するエネルギーを持って形成された超巨大なる刀身の一撃が『プロフェッサー・モリアーティ』ごと、『ネルソン』の傾ぐ船体を両断せんと振り下ろされるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヌグエン・トラングタン
GGOでのクエストにも、似たようなやつはあるが。
実際にやられると、厄介極まりねぇな。
やることは単純なんだけどな。あまりやりたかねぇんだ。
凍炎不死鳥、『アレ』を解放しろ。許可する。
UCによる足止め効果で、そのネルソンの錨をも止めてやる。
で、肝心のモリアーティのは…見切るしかねぇんだが。
だがな、一つ言っておく。その弾丸、俺様や凍炎不死鳥に当てるのはオススメしねぇ。とくに凍炎不死鳥の方な。
何でかって?…大厄災に善性なんざ期待すんなってやつだ。生命賦活は、今まで啜ってた分だし。
そして、その大厄災の源であり、今は半分な俺様もな。
脅しと捉えられてもいい。俺様がやることは、真っすぐ行ってぶっ飛ばすだからな!
即死バグというものがある。
即ちそれは、触れるだけで一撃死が起こり得るというゲームプレイヤー泣かせの仕様のことである。
ゴッドゲームオンライン。
ゲーム世界においても、『ポーシュボス・フェノメノン』のようなどうしようもないようなバグは存在している。
眼の前に迫るそれは、しかしゲームではない。
現実のものだ。
ゲームであれば、と思うこと自体、ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)がゲーム世界の住人であることを自覚させるものであった。
「実際にやられる側に立つっていうのは、こんな気持ちなのか」
厄介極まりない。
そう毒づくことしかできなかった。
とは言え、やることは単純だが、簡単ではない。
「『凍炎不死鳥』、『アレ』を開放しろ」
あまりやりたくはない。
だが、やらねばならない。
ユーベルコードに輝く『凍炎不死鳥』より放たれるは、生命啜る凍れる炎の大厄災竜の欠片であった。
そこにあるだけで生命を啜る力。
その欠片たる凍炎不死鳥の解放(ゲローフラマ・フェニックス・リーベラーティオー)の力は、災厄そのものであったことだろう。
どれだけの狂気があるのだとしても、それは確かにUDC怪物という存在自体を足止めするのだ。
加えて、ユーベルコードの主であり、権能の主であるヌグエンには欠片に宿る生命賦活作用によって、傷を癒やし続けるのだ。
「しかし」
「この砲撃は君自身で見切るしかない、だろう?」
『プロフェッサー・モリアーティ』は、追い込まれてなお笑う。
ここまで追い込んでおきながら、それでもなお彼は笑っている。どの道勝利するのは己だえると言わんばかりである。言わんとしていることはわかる。
彼が手にしようとしているのは魔女のやり直し能力だ。
ならばこそ、それを手に入れさえすれば、あらゆる時間を巻き戻して彼は己が計画を何度も何度も繰り返すことができるのだ。
「まあな。だが、一つ忠告だけはしといてやる。その弾丸、俺様や『凍炎不死鳥』に当てるのはおすすめしねぇ」
「意味がないからだろう? 大厄災たる君に善性など期待するな、と。だが、どうだろうか。君に一欠片の善性もないと? 厄災であると己を規定しても、他者の観測よっては、君は善意の塊かも知れない。それを判断するのは私ではなく『ポーシュボス・フェノメノン』であるから」
安い脅しだ、と『プロフェッサー・モリアーティ』は笑う。
足止めされていた『ジャガーノート・ハーレー』が踏み込んでくる。足止めの力を使ってなお、超加速がこれを振り切ってくるのだ。
迫る光剣。
だが、ヌグエンはため息を付く。
「確かに今は半分だが、その虚のような半分に満たされているものがないってのもまあ、嘘だよな」
喪っても、己という器も半分になったわけではない。
できた虚に注がれるものもまたあるのだ。
変わりゆくことは止められない。
皮肉であるけれど、『ポーシュボス・フェノメノン』の存在は、悪性ばかりが宿るものではないことを示していた。
完全なる悪には、虚さえない。
ならば、とヌグエンは踏み出す。
「俺様がやることは唯一つ。真っすぐ行って、ブッ飛ばす」
それだけだ、と彼は拳を握りしめ、その一撃を『プロフェッサー・モリアーティ』の顔面に叩き込むべく飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
厳・範
お爺、半人半獣形態で来た。
必要ならば誘拐と言えることもするか。まあ、戦時の常套手段とはいえよう。そこは理解する。
だがな、見過ごすわけにはいかんのよ。力をつけさせるわけにはいかぬ。
着いたら、即座にUCを使用。オブリビオンであるならば、例外なく燃えよう。
鳴き声があたればよいのであるからな。
さらに、撹乱するかのように尾に絡めた雷公鞭で雷撃、黒麒麟の速度による回避で弾丸も避けよう。
手綱になっているが、八卦衣の錯誤作用もある。
そのネルソンからの攻勢は、位置を間違えさせつつ避けることとする。
…鳴き声なのだ。聞こえる場所なら、どこでもいいのだよ。
半人半獣の瑞獣、厳・範(老當益壮・f32809)が傾く狂気艦隊旗艦『ネルソン』へと飛び込む。
猟兵達によるユーベルコードの明滅。
傾ぐ洋館に多脚生える異様なる戦艦……と言ってよいのかさえわからぬ奇妙なオブジェクトが大地に沈んでいる。
陸路にありながら艦船が存在しているということ自体が驚きの事実であるし、それを傾がせるほどの一撃を叩き込む猟兵たちもまた驚異であった。
「必要ならば誘拐と言えることもするか」
「むしろ、何故しないのかと私は思うがね」
消耗しながらもクロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は言う。
そう、彼にとって、それは何ら恥じるところのものではなかった。
社会的な規範を理解しながらも、それを無視することができるのは、彼に善意というものがまるでないからだ。
一欠片もない。
芽生えることもない。
仮に彼がこれから多くの経験を積み上げていくのだとしても、あり得ないことだった。
なぜなら彼はオブリビオンであるからだ。
停滞の過去は、堆積によって歪むことはっても成長することはない。
真の悪性のままであるからこそ彼は『ポーシュボス・フェノメノン』を手繰るのだ。
確かに、と理解もできる。
戦時の常套手段である、とも。
そこは理解するが、しかして見過ごすことができないのは、まさしく彼に善意が宿るからであろう。
「そんな輩に力を付けさせる道理なぞないのよな!」
ユーベルコードに輝く範疇の瞳。
「瑞獣たる意味を教えよう」
声焔(セイエン)は迸る。
己が本性たる黒麒麟に変化し、鳴き声が響けば、それはオブリビオンのみを燃やす炎となって『プロフェッサー・モリアーティ』とUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』を燃やすのだ。
燃える体躯のままに『ジャガーノート・ハーレー』が迫る。
「僕は、歌える。この生命の、歌、を」
斬撃と雷公鞭の雷撃が激突する。
『ネルソン』より注ぐ砲火は凄まじいものであった。
その最中を『ジャガーノート・ハーレー』の超加速を凌ぎながら戦うのは至難の業であった。
「瑞獣、それは確かに吉祥を意味するものだろう。だが、それは誰にとっての吉祥であろうかね。喜ばしいことは多いほうが良いが、しかし、君は知っているだろう。君自身が喜ばしいと感じることは他者にとって好ましくない出来事の一抹であると」
『プロフェッサー・モリアーティ』は笑う。
この期に及んでなお、笑ってみせた。
そう、どんな存在にも善意は宿る。
故に『ポーシュボス・フェノメノン』は事象として、その体躯を蝕むのだ。
「独善は下劣な悪性にも劣るとは思わないかね」
「思わぬ」
「君の善性が誰かを不幸に今しているとしてもかね」
「そうだ」
範は踏み込む必要性すら感じていなかった。
己の言葉は響けば炎へと変ずる。
そういうユーベルコードなのだ。故に、真の悪性たる者の言葉に耳を貸す必要などない。
「その言葉は他者の善性を貶めるためだけのものだよ。果たして君は」
「くどい」
響く声は炎へと変じ、『プロフェッサー・モリアーティ』の身を焼く。
その炎の中から、他者を嘲る笑い声だけが響き渡る。
真の悪性は、善性と見分けがつかぬ。
故に、範のユーベルコードは、これを滅ぼすというように炎を猛々しく天へと立ち上らせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
進め、ディスポーザブル。壊すのは自分だ!
善性も、悪性も関係ない、自分達はッ!
【継戦能力】悪性たる|【闘争心】《破壊衝動》で己を塗りつぶし、ポーシュポスの汚染を防ぎ『骸炭装甲』発動防御力10倍選択。
ディスポーザブル01操縦。モリアーティ目掛け、メガスラスター【推力移動】
ただ壊す!為すべきはそれだけだ!!
【鉄壁】の装甲を以てして砲弾を、機銃を弾き、【瞬間思考力】人工魔眼の【動体視力】でジャガーノート・ハーレーを視認し、サイキックシールドを展開、光剣を【オーラ防御】すると同時に【カウンター】電磁音響兵器を発振【マヒ攻撃】
ジャガーノートぉおおおお!!!
【早業追撃】念動鞭内蔵重機爪を飛ばしジャガーノート・ハーレーを【怪力】で掴み【念動力】で引き戻し、錨たるその身を振るい、モリアーティへ【重量攻撃】叩きつける!
るぅううううああああああああ!!!!
【2回攻撃】己が【呪詛】と共に錨へサイキックシールドを這わせ、
強引に己がサイキックで再成形ブレード化!両腕で錨を掴み、再度モリアーティへ振るい【切断】攻撃!
どれだけ善意に寄生する事象というものがあるのだとしても、それはただの障害に過ぎなかった。
『ポーシュボス・フェノメノン』。
それは恐るべきことである。
どんな人間にも善意が潜む。
悪意に塗れ、言葉にできぬほどの残虐な行いを肯定する者にさえ、一欠片の善意というものが存在する。
生命に逃れ得ぬ宿命であった。
全てが悪性などというものはなく。全てが善性であるというものもまたない。
故に、その何れかに染まるものを狂気と呼ぶ。
だが、『これ』はなんとする。
「進め、『ディスポーザブル』! 壊す! のは! 自分だ!!」
狂気艦隊旗艦『ネルソン』の甲板、その洋館めいた作りを踏破するようにして破壊しながら一直線に進むのは『ディスポーザブル』を駆る朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)であった。
「善性も、悪性も関係ない、自分たちはッ!」
闘争心が悪性であるというのならば、そうなのだろう。
それしかない。
破壊衝動のままに、眼の前の事象全てを破壊する。
それこそが己であるというように小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。
『ディスポーザブル』の装甲が分厚く変形し、骸炭装甲(ヘキサゴナルコークス)を持ってまるで一つの砲弾のように戦場を横断していくのだ。
「ただ壊す! 為すべきはそれだけだ!!」
「破壊の権化が。まるで理屈が通じないな」
クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』は呻く。
そう、これは理の話だ。
人は社会性を得るからこそ、ルール、規範を生み出す。
そこから逸脱することを悪とするからこそ、ためらいが生まれる。
そういうものだ。
そのためらいこそが己が悪性の付け入る隙であるというのに、迫る破壊の権化は、まるでそれを意に介さない。
だからなんだというように一直線に迫るのだ。
『ポーシュボス・フェノメノン』の砲弾を受けた装甲をパージしながら小枝子は突き進む。
「八番目の子よ!」
「僕の歌は、歌えている」
超加速により『ディスポーザブル』へと迫る光剣。
『ジャガーノート・ハーレー』の振るう一撃は鋭く、重い。
小枝子が最も警戒していたのは、『ポーシュボス・フェノメノン』の砲弾ではなかった。迫るUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』の光剣。
超加速に寄る目にも止まらぬ肉薄。
まるで装甲をバターか何かのように切り裂く鋭い一撃は、小枝子の座すコクピットまで容易く到達するだろう。
恐るべきことだ。
故に、オーラを張り巡らせ、『ディスポーザブル』の胸部に存在する電磁音響兵器を解き放つ。
「ジャガーノートぉおおおお!!!」
小枝子は認識していた。
眼の前の『ジャガーノート・ハーレー』こそが打倒さねばならぬものであると。
真の悪性たる『プロフェッサー・モリアーティ』ではなく、真の善性だけしか持ち得ぬ『ジャガーノート・ハーレー』のみを破壊しなければならないと思ったのだ。
放たれた念動鞭が『ジャガーノート・ハーレー』を絡め取り、重機爪でもって握りしめる。
潰れない。
硬すぎる。
ならばこそ小枝子は吠える。
「るぅううううあああああああああ!!!!」
咆哮と共に握り締めた『ジャガーノート・ハーレー』ごと『プロフェッサー・モリアーティ』へと拳を叩きつけるのだ。
「なんという……!」
「黙れ! 自分は破壊する。破壊して、破壊して、貴様たちを破壊し続ける、だけだっぁあああああああああああ!!!!」
形成されるサイキックシールドが強引にブレードのような形へと変貌する。
それは不格好だった。
あまりにも不格好であり、どうしようもないほどの姿であった。
けれど、それでも小枝子は止まらない。
壊す。
ただその一念にのみ染まった思考に悪性と善性が入りこむ余地などなく。
ふるった一撃のままに真の悪性と真の善性を破壊の意志のみで叩き伏せるようにして、狂気艦隊旗艦『ネルソン』ごと、大地に沈めるのだった――。
大成功
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