獣人世界大戦⑰〜悪夢のもふもふ邪神戦艦!
●もふもふもふもふ
シベリアの大地を巨大な戦艦がもっふもっふと進み行く。
クロックワーク・ヴィクトリアもふもふ狂気艦隊旗艦『ネルソン』である。
その錨に巨大なUDC怪物をもふんと受肉させたネルソンは、白く凍った氷の欠片をふかふか踏み砕き、ふよんふよんと地響きを上げてクラスノヤルスク地方の都市イガルカをもふもふ目指す。
そのもふもふネルソンの甲板にもふんと立つのは、クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』。
邪悪の化身たるモリアーティは、シベリアの寒さを物ともせず、もふもふふかふか悠然と佇んでいた。
……え? さっきから擬音語がおかしいって?
いやいや全然おかしくないですよ!
見てくださいこのネルソンを!
雪と氷の大地にも負けない驚きの白さでもっふもふでしょ!!
この戦艦、大きな羊さん! 超ド級に大きい羊さんなんですよ!!
ほら! 船首には羊さんのお顔も付いてるんですよ!
羊さんがとことこ歩いてるんですよ! もふもふでもおかしくないでしょ!
モリアーティも羊さんのもふもふに包まれて全身くまなくふっわふわなんですよ!
●グリモアベース
「もっきゅー!? きゅぴぴぴ! きゅいきゅっぴ!」
真っ白もふもふモーラットの高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)がもきゅもきゅ鳴いて猟兵達を出迎えた。
「大変なのです! 今度はクロックワーク・ヴィクトリアが動いちゃったのです!」
ぴょこぴょこ跳ねるカントのモラリンガルから女性の声が流れ出し、猟兵達に状況を説明する。
「クロックワーク・ヴィクトリア最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』が、狂気艦隊を率いて凍結海を越え、イガルカ方面に進軍してるのです」
モリアーティの狙いは猟兵達との戦いで戦力を失い撤退する幼女総統『ギガンティック』。このまま放置すれば彼女はモリアーティに捕獲されることになるだろう。
別にギガンティックを助けてやる義理など無いが、相手はポーシュボス・フェノメノン細胞を使役するほどの邪悪の権化であるモリアーティだ。彼が魔女の力を手に入れれば、いずれ大きな災いに成りかねない。
「なので、皆さんには狂気艦隊旗艦『ネルソン』に向かって、モリアーティを撃破して欲しいのです」
そう言いながらカントは猟兵達に一枚の画用紙を差し出した。
見るとそこにはクレヨンでめちゃくちゃ大きな羊さんの絵が描いてあった!
「ネルソンは今、UDC怪物『睡魔』を受肉させられ、超巨大なもふもふになっているのです」
とっても恐ろしいのですと、カントは毛をもふんと震わせる。
カントの説明によると、UDC怪物『睡魔』の特徴は3つある。
もふもふ、ふわふわ、ふかふか、すやすや。……いや4つだ。
そしてその攻撃方法も3つ。
まず羊さんらしく真っ白でもふもふだ。さわり心地がとても良い。
そしてその抜群の気持ちよさで、見た者を眠りへと誘う。……あれ2つだ。
まあ何にせよ、『睡魔』は非常に強力な睡眠攻撃を仕掛けてくる。
この苛烈なる攻撃に耐えて、UDC怪物を撃破し、モリアーティの野望を打ち砕いてくれとカントは「もきゅっ!」と猟兵達を送り出すのだった。
本緒登里
シナリオをご覧いただきありがとうございます。
このシナリオはもふもふネタシナリオです。
どうぞよろしくお願いします。
●シナリオについて
こちらは1章構成の戦争シナリオになります。
OP公開直後よりプレイングを募集いたします。
プレイングをいただければ、順次リプレイをお返しする予定です。
完結優先のため、プレイングに問題がなくてもお返しする可能性があります。
●プレイングボーナス
このシナリオフレームにはプレイングボーナスがあります。
プレイングボーナス……怪物化ネルソンによる「UDC怪物攻撃」に対処する。
具体的には超巨大な羊さんになってしまったネルソンの睡眠攻撃に耐え、撃破することになります。
モリアーティはもふもふに包まれているので、こちらの撃破についてはあまり考えなくても構いません。
それでは良いもふもふをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『プロフェッサー・モリアーティ』
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POW : 狂気砲弾
【ポーシュボス・フェノメノン】を宿した【艦隊の砲弾や機銃弾】を射出する。[艦隊の砲弾や機銃弾]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
SPD : プロフェッサーズ・クエスチョン
対象への質問と共に、【自身の肉体】から【ポーシュボス・フェノメノン】を召喚する。満足な答えを得るまで、ポーシュボス・フェノメノンは対象を【ポーシュボス化】で攻撃する。
WIZ : 『小惑星の力学』
戦場全体に【流星の如く降るポーシュボス・フェノメノン】を発生させる。レベル分後まで、敵は【ポーシュボス化】の攻撃を、味方は【ポーシュボス化している部位】の回復を受け続ける。
👑11
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エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎
あら、まあ。
もっふもっふとしていて可愛らしいですわね。
ふわふわしていて愛らしい羊ですわ。
モリアーティ貴様は殺しますわ。
すやすやと心地よさそうですけれど、堪えなければなりませんわね。
ネルソンに受肉した睡魔の睡眠攻撃に耐えるべく、自らの手で肉を切り裂きますわ。
ちょっとスプラッタァ! かもしれませんけれど、これがUC発動に必要な動作であり、痛みで睡眠に対抗する一挙両得な手段なのです。
《聖餐儀式》……つまり、自分自身の肉を食うことで、今受けた負傷は治療できるのですわ。
眠くなったらリトライ! ですわね。
そして邪悪なモリアーティには、聖者の光をエンハンスした鉛玉をありったけ叩き込みますわ!
もふん。ふわん。
転移を終え、エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)が降り立ったのは、超ふわふわ級『ネルソン』の甲板だった。
UDC怪物『睡魔』を受肉させられ全長200メートルを超える超巨大な羊さんと化したネルソンの甲板は、新雪のようにふわふわで真っ白。一足踏み出す毎に柔らかな毛の中にエドワルダのブーツが沈み込み、その足首を優しい温かさで包み込む。
エドワルダがもっふもっふとブーツの爪先に力を込めると、ふよんと軽く押し返す毛の手応え。それはまるで極上の綿雲の国に来てしまったかのよう。
思わず「あら、まあ」と優雅に手を口元に当て、小首を傾げて嘆息するエドワルダ。
すると船首の方から「メエエエッ」と鳴き声が聞こえ、ネルソンの甲板が揺れた。前方にあった障害物を羊さんがもっふと跳び越えたのだ。
「ふわふわしていて愛らしい羊ですわ」
大きな羊さんが牧場の柵を跳び越える。
イギリス出身であれば誰しも一度は眠れない夜に羊を数えたことがあるだろう。緩やかな丘陵に遊ぶ沢山の羊たちという牧歌的な光景が頭に浮かび、普段はガーター騎士団副団長として規律正しく高潔に振る舞うエドワルダもその表情をほころばせる。
もふもふ羊さんの頭――多分甲板は頭から首筋くらいだろうが、そこを優しく撫で、エドワルダは微笑んで形の良い唇を開く。
「だがモリアーティ、貴様は殺しますわ」
おっと殺意!
まあ無理もない。生まれ落ちてより獣人戦線世界でオブリビオンとの戦いを続けているエドワルダにとって、愛するイングランドを侵略するクロックワーク・ヴィクトリアは不倶戴天の敵である。その首魁であるモリアーティを前に、エドワルダは戦意をみなぎらせていたのだ。
「ふむ、その心意気は立派だ。だがこの私には届くまい」
艦橋にあたるのだろう、羊さんの背中の部分にもふっといるっぽいモリアーティがおそらくふわふわと触手を蠢かせながら多分不敵っぽい笑みを浮かべる。
「何か格好付けてるっぽいですけど、もふもふで全然見えませんわ!」
宿敵モリアーティの姿を確認?し、エドワルダが叫ぶ。
艦橋は真っ白な毛の塊に覆われ、ネルソンで最もふわふわでもっこもこな場所になっていた。当然そこにいるモリアーティは全身ほぼ全てもふもふの毛に埋まっていたのだ。
「とにかく! 覚悟なさい、モリアーティ!」
対UDC用アサルトライフルを構え、エドワルダはもふっと毛を踏み突撃する。
ふよんふわふわ! もっふもふもふ、ふるもっふ!
神々の軍列のごとく雄々しく進むエドワルダ。
だが、突如として強烈な眠気が襲いかかる!!
踏みしめるもふもふの感触が、温かく柔らかいベッドに包みこまれるものと脳に錯覚させ、目を閉じることを要求する。
「ま、負けてなるものですかぁっ!」
突然エドワルダがコンバットナイフで自身の腕の肉を削いだ!
眠気を消すためには多すぎる量の肉がえぐり取られ、ブシャッと血がしぶく。
スプラッタァッ!!!
羊さんの真っ白もふもふを血が赤く染め上げるのも構わず、エドワルダはその切り裂いた自身の肉にかぶりつく。
狂気艦隊の狂気に当てられたのではない。これは作戦なのだ。
なんと肉を喰らい終えた頃には、先ほど切り裂いた傷がすっかり癒えているではないか。 眠気を払うついでに、エドワルダの『聖餐儀式』の力で、自分の肉を食うと負傷まで完全回復するという無限コンボ。
「なるほど。だが胃の容量はせいぜい2リットル。果たしてたどり着けるかな?」
モリアーティがうそぶくも、エドワルダは豪快に自身の肉にかぶりつきながら進み続ける。
「ありったけを叩き込んでやりますわっ!」
そして艦橋までたどり着くと、エドワルダは聖者の光を宿したアサルトライフルをぶっ放し、多分モリアーティがいるんじゃないかなというもふもふの山に叩き込むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
九重・白亜
えっ何これは……もふもふ……?元々触手が生えていたのでは???
いや納得できるかァ!!このもふもふは少々触りがたいな……いや、だが……スヤァ……
とまあ、眠ったままポーシュボスに取り込まれかねないので、目覚まし時計代わりにコイルグレネードのピンを外す。起爆後は流れで指定UCを発動。
知ってるか。落雷一つで約550頭の羊が死んだ事件が、UDCには実在したんだぜ。
全力魔法!盛大なカミナリの時間だ!!
ぽっふ~ん! もふんもふんもふん。
ふわふわネルソンの甲板の上に、ころんぽふんと尻餅をついて転移したのは九重・白亜(今を歩む魔術師・f27782)。
勢い余ってころころころりんと転がり、起き上がろうと手をついた先も柔らかく極上のもふの手触り。
「えっ何これは……もふもふ……?」
そう! もふもふ!
UDC怪物『睡魔』とは、もっふもふな羊さんの姿をしたUDC怪物。
本来ならデフォルメされたふわふわ羊さんの上に、羊さんパジャマを着た少年と一体の怪物なのだが、ネルソンに受肉した際、その『乗り物』としての共通点があった羊さんの方が顕現しやすかったのだろう。
今回の『睡魔』は超巨大もふもふ羊さんとして爆誕したのだ。
羊さんはもふんもふんとイガルカ目指して歩き続ける。
時々、寄り道して、その辺のカラマツやモミ、トウヒの木をむしゃりと頬張り、「メエ」と満足げに鳴き声を上げる。このままこのもふもふ羊さんを放っておけば、イガルカの人々の畑やお庭の草木も食べられてしまうだろう。
「え? ええっ? 触手は? 元々触手が生えていたのでは???」
その羊さんの旅のあまりにものどかな様に、悍ましきUDC怪物蠢く狂気の戦艦を予想していた白亜は、顔いっぱいに疑問符を浮かべる。
「いや納得できるかァ!! あ、もしかしてもふもふの中に隠してあるかも? 少々触りがたいけど、でも……」
白亜は羊さんの毛をもふもふ掻き分け、触手を探してみる。が、どこまで掘っても、ふわふわもこもこの羊毛の柔らかな手触りだけ。
「いやはや。一応あるのだがね、触手」
さて、触手を探す白亜のずっと前方、一際大きな山になったもふもふの塊の中から声がした。
声のする方をよく見ると、もふの中から所々金属光沢を見せる漆黒の触手が2、3本、チョロンとはみ出していた。しかもそのすぐ横に羊毛をクリスマスツリーの飾りのように付けた鹿の角も覗いていた。
「すっかり絡まってしまったが、これも私の計算通り」
雄鹿の立派な角はたまに色々な物に絡まる。
というわけで、角に毛を絡ませたモリアーティは、身動き取れずもふに包まれていた。
「なら、今が攻撃のチャンスってことだよな?」
「論理的に考えればそうだろう。だがそう上手くはいかせんよ」
白亜の率直な問いかけに、プロフェッサーの名にふさわしく鷹揚に頷くモリアーティ。
モリアーティの言葉に反応し、彼がいるであろう辺りのもふもふの中から打ち上がる幾つものポーシュボス・フェノメノン。顔までもふもふに覆われているため狙いは甘いが、それでも戦場全体に善の心に寄生する現象がぽつぽつと降り注ぐ。
「これくらいなら避けられ……スヤァ……」
そう。羊さんのもふもふはまるで巨大な雲のベッド!
すっぽりと体中を包む温かな感触に、たちまち襲い来る強烈な眠気。
動けないなら数打ちゃ当たると、降ってくるポーシュボス・フェノメノン。
それらが白亜に当たる寸前!
ドッカーン!!!
すんでの所で目覚まし時計代わりにピンを抜いておいたグレネードが爆発した!
真っ白い毛を綿雪のように舞い上げ、ついでにポーシュボス・フェノメノンも吹っ飛ばし、さらに白亜も吹き飛んで目を覚ましつつぽふっと甲板に着地。
その靴先にぽつりと雨粒が落ちる。
ぽつぽつ、ざあざあ……ごろごろごろ。
「豪雨と天撃がこれまでのもふもふを破壊し、水と雷が新たなぺしゃをはぐくむ」
白亜の力で降り注ぐ雨が羊さんの毛をしとどに濡らす。
みるみるうちに、もふもふはぺしゃぺしゃに早変わり、ぐっしょりと身体に張り付く。
「知ってるか。落雷一つで約550頭の羊が死んだ事件が、UDCには実在したんだぜ」
そう。自然界では稀に落雷による家畜や野生動物の大量死が起こる。
しかも羊さんは雨でびしゃびしゃ。電気を通しやすくなっている。
「全力魔法! 盛大なカミナリの時間だ!!」
白亜の呼び出した雷が、ぺしゃぺしゃになった羊さんの毛で身動き取れないモリアーティに直撃するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
深山・鴇
【逢魔ヶ刻】
うん、羊もね、可愛いとは思うよ、うん
でもほら、俺のマイフェイバリットは猫だからね
猫と羊、比べるものではないと思うんだよ?
猫じゃなく羊が好きだと言う人もいると思うからね
まぁ俺は羊にはメロメロにはならないって事なんだが
だってそもそもあれ狂気艦隊の旗艦だろう?
あっ逢真君、君ってやつは!
あ、あーー(もふもふさせられた、もふもふ)
くっこんなもふもふに屈したりはしな、あーー
しかし眠気には狂気耐性でなんとかいけるだろう
寝落ちする前に倒せばこっちのものさ
俺は!家に帰って!猫をもふるからね!
ネルソンと砲弾、ついでにモリアーティも一刀両断でいこう
(UC発動、見たまま真っ二つにする、眠気で人相が悪い)
朱酉・逢真
【逢魔ヶ刻】
心情)やァ、なかなかファンシーな光景じゃねェか旦那。あァいうもっふりぽんしたヤツ、好きだろ旦那も。まあまあ。まあまあまあ。(背から伸びた蛇状の翼で、旦那をもふもふに吹っ飛ばす) ひ、ひひ! せっかくじゃねェか、堪能しなよォ。マ・さすがにヤバくなる前に俺もガンバらンとなァ。
公道)睡眠には指噛みちぎって痛みで防ぎ、もふと砲弾は毒性の結界腐食させつつ受け流し、機銃弾は翼で防ぐよ。俺にココロなんてモンはねェし、良心悪心もないンでポーシュポスは効かないよ。羊の長い毛足に隠れて、伸ばした翼で足か杖かひっかけてやれンかな。隙さえありゃ旦那が何ンとかするだろ。
もふ、もふもふ。ふわり。
靴裏から伝わる柔らかなもふもふに、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は「ひ、ひひ」と朱の瞳を細めて笑う。
「やァ、なかなかファンシーな光景じゃねェか」
振り返った逢真のその視線の先には、巨大な真っ白羊さんが「メーメー」と鳴いて耳をぴこぴこ動かしていた。このもこもこ羊さんがふわふわな毛を震わせてシベリアの大地をもふもふ進軍する様は、なんとものどかで牧歌的な感さえある。
「あァいうもっふりぽんしたヤツ、好きだろ旦那も」
逢真が同意を向けた先には、深山・鴇(黒花鳥・f22925)の姿。
鴇は靴の爪先で真っ白ふわふわな毛の塊をつついて、ためつすがめつ感触を計っている。
「うん、羊もね、可愛いとは思うよ」
ひとしきりつついた後、若干慮るような調子で感想を口にする。繰り返される頷きには、自分を納得させるような声色が混ざっている。
「でもほら、俺のマイフェイバリットは猫だからね」
どうやら鴇は猫派らしい。
羊も猫も同じもふもふだろうにと、逢真はぽんと羊のもふ毛を見やる。
だが、鴇はそれには断固として首を横に振る。
猫と羊の毛は全く違う。
どちらも柔らかく温かいという共通点はあるが、羊さんの毛はもこもこで、猫さんの毛はふわふわなのだ。手を差し入れれば、羊さんの毛はやや弾力あるしっかりとした毛がふんわりもっふりと包み込む。それに対して、猫さんの毛はどこまでも柔らかくしなやか。猫さんの種類によってはダブルコートの毛がもふっとした質感を持つが、それでも羊さんの毛とは違うのだ。
猫と羊は比べるものではないと語る鴇。
それは猫と羊に優劣があるということではなく、みんな違ってみんないいということ。
自分は猫派だが、世の中には猫よりも羊の方が好きな人もいるだろう。
思慮深くそう付け加えながら、鴇は自宅でのんびりくつろぎながら自分の帰りを待っている愛猫のことを思い出して、表情をややほころばせる。
つまり俺は羊にはメロメロにはならないって事なんだがと、鴇は愛猫家としての自負を強める。
「万が一、俺が羊派だとしてもだ。だってそもそもあれ狂気艦隊の旗艦だろう?」
はい、それはごもっともです。
実はコレ、本物の羊さんではなく、羊さん型UDC怪物『睡魔』を宿した狂気艦隊旗艦『ネルソン』なのだ。可愛いもふには棘がある。一見ふわふわ羊さんなのだが、実は戦艦としての機能は有しており、物々しい機銃や主砲をもふっと毛に隠して潜ませているのだ。
そのことに気付いてしまえば、このふわもこ羊さんを愛でる気にはなれそうもない。
「ふむ、この完璧な擬態を見破るとは。中々やるではないか」
艦橋にあたる一等もふな塊の中から、モリアーティはほくそ笑む。
モリアーティ自身もすっぽりもふもふに埋もれて、鹿の角とうねる触手だけがぴょろっとはみ出していた。さてコレ本当に擬態なのか、それとも単にもふもふに埋もれてしまっただけなのか、それは誰にもわからない。
モリアーティーはもふもふの中から密やかに触手を蠢かせると、会話に興じる鴇と逢真に、もふっ、もっふ、もふもふもふっと、一斉に機銃の照準を合わせた。
「まあまあ。まあまあまあ」
にんまり笑う逢真の背から、羽で覆われた蛇状の翼が伸び、ぽんと鴇を押した。
「あっ逢真君、君ってやつは! あ、あーー!」
遠ざかる叫び声を残し、もふもふ羊さんのお尻の部分まで吹き飛ばされる鴇。ただでさえ柔らかく沈み込むようなもふもふなのに、吹き飛ばされた落下エネルギーも加わったのだから大変だ。ぼふんと軽い音を立てて、鴇は勢いよくもふもふに突っ込んだ。
もっふもふもふ、ふっかふか、もふんふわん! もふもふもふ……!
数限りなくあるふかふかクッションの渦に飲み込まれたように、毛糸玉に迷い込んだ蟻のように、鴇の全身がもふもふに包み込まれる!
「くっこんなもふもふに屈したりはしな、あーー」
遠くの方で、抵抗むなしくもふもふに屈してしまった鴇の悲痛な?声が聞こえる。
「ひ、ひひ! せっかくじゃねェか、堪能しなよォ」
手を顎に当て、面白そうに目を細めて逢真はクツクツと笑う。
ふと視線を下に下ろす――。
先ほどまで鴇がいた場所に、金に光る目が突き刺さっていた。機銃から放たれていたポーシュボス・フェノメノンが、目標を見失ってうぞうぞと蠢く。
逢真はそれをぐしゃりと靴底で踏み潰す。
生命の「善の心」に寄生しようと、ポーシュボス・フェノメノンは少しの間グジュグジュとのたうっていたが、逢真はそれを意に介さず擦り潰す。
もとよりココロの無い身。良心悪心など、端から持ち合わせていない。
逢真は続けて雨あられと降り注ぐポーシュボス・フェノメノンを翼で受け流す。
翼から、ひらり、はらりと幾枚もの羽が落ち、触れた場所がじゅうじゅうと腐り崩れる。
逢真のもたらす病毒が、真っ白だった羊の毛を侵し、その地肌までも腐らせる。
「メエエエエッ!」
羊が苦痛にいななき、身体をもふりと揺らす。
強い眠気を催す波動が逢真の脳を揺さぶり、立っていられないほどの眠気をもたらした。
逢真はぶちりとその指先を噛みちぎる。病的に白い指先から、朱が滴り落ちる。
痛みで意識を覚醒させ、そうして滴った朱が、また敵を病毒に侵していく。
「マ・さすがにヤバくなる前に俺もガンバらンとなァ」
そう呟くと逢真は鴇が飛んで行った先を仰ぎ見た。
「あーー!」
さてこちらは鴇。
吹き飛ばされて落ちた衝撃でふわふわ綿雲のような毛にすっぽり潜り込んでしまい、強制もふもふをさせられている。
もふん、ふわふわ、ふわふわり。もっふもふもふふるもっふ!
温かく柔らかい毛の感触。もふもふ羊さんの体温が毛の間の空気を暖め、上質の毛布に包まれて眠る冬の夜のお布団のような心地よさ。
ふわんふわんと全身を包み込むその感触に、思わず目を閉じてしまいそうになる。
それはまるで二度寝する朝のよう。
あともう五分だけ……と言いながら、心はまだ夢の中。
怠惰に惰眠を貪らんとする心に、狂気はゆっくり、ゆっくりと侵食しはじめる。
だが――。
「いやいや! 俺は! 家に帰って! 猫をもふるからね!」
叫んで鴇はふわもこ羊さんのお布団の誘惑を振り払う!
そう! 鴇は猫派!
どれほど羊さんがもふもふでも、猫さんのもふとは違うのだ!
羊さんのもふに包まれて寝るのも悪くはないが、猫さんのもふを包んで寝るあの心地よさとは違うのだ!
何度でも言おう。羊さんは猫さんとは違うのだ!
鴇はバッと跳ね起き、腰に帯びた刀『黒耀』を抜き放つ。
少陽を宿した百合蕾の鋼が、シベリアのやや霞んだ太陽の光を受けて光る。
寝起きのやや座った目で、鴇は
ネルソンの船尾から艦全体を見渡す。
一つ、二つ、三つ――。
白いもふ毛に紛れた機銃が幾つか
そしてそれらに指示を出すのは、艦橋だろう羊の背中部分にあるもふもふの塊。そこにモリアーティはいるのだろう。
斬るべきを見据え、鴇は刀を構える。
鴇の動きに気付いたモリアーティが機銃に攻撃指示を出す。
機銃の銃口が一斉に鴇に向けられるも――。
そこからポーシュボス・フェノメノンが発射されることはなかった。
「隙さえありゃ旦那が何ンとかするだろ」
船首付近の甲板で、逢真がその翼を伸ばしていた。
触腕のような翼がしゅるしゅると伸び、羊の毛の中に潜り込み、絡め取り、モリアーティの動きを封じていた。
逢真が稼いだ一瞬の刻――それは鴇にとっては十分過ぎる時間だった。
「《咲け》」
言葉と同時、鴇が放った斬撃が距離も質量も無視して一閃。
翼に絡みつかれていたモリアーティの身体のみを切断したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
もふもふふわふわふかふかさんなの!
兄様この戦いは危ないっていうの
でもこの子なら怖くないの!
「兄様とめってするの!」
戦う前にこんにちわーってするの
でも兄様ふしぎなお顔してるの
怖くないのって兄様におしえて戦うのー!
「わわ、羊さんもふもふなの」
攻撃頑張って耐えるのー!
でももふもふでとってもすやすやなの
で、でも負けたら駄目なの!
兄様におねがいされてた騎士さん達で
「おこしてもらうの~」
騎士さんめざまし時計なの!
でもとってもふかふかふわふわで
もうちょっとだけなの
あと五分だけなのー
そしたら夢の中で兄様と騎士さん達が
とってもかっこよく戦ってるの
幸せな夢でいっしょに戦うの!
深山・樹
妹の光華(f37163)と
呼び方はみつか
もふもふ大好きみつかが見逃すはずなかった
悪いやつがすごく心配だけど…
なんか悪の人本当に何もしない
それはそれでどうなんだろ?って思うけど
あっみつか、話しかけたら駄目ー!
大丈夫だった…僕は寿命縮んだけど!
って…ねむ
寝ちゃう前に…絡糸の縛鎖で、もふもふとめなくちゃ…
…すごい寝てたけど思いきりつつかれておきた!
みつかの騎士さんたちが途方に暮れてる
…みつか寝てるね
鎖効いてもふもふ止まってるし
いい?って聞いたら騎士さんたち頷くし
もふも悪いのもみつかも皆寝てるから
縛鎖もかけ直して
「もふもふやっつけて!」
ってゴーサイン!
あ、僕も戦う!
上手く行ったらみつかだっこして帰るよ
ふわわ。ふわふわ。もふもふもふ~ん!
「もふもふふわふわふかふかさんなの!」
真っ白羊さんの頭の上で、天風・光華(木漏れ日の子・f37163)は水色のワンピースをひらめかせてぴょんぴょん飛び跳ねる。
巨大羊さんのもふもふした毛は、まるで絵本に出てきた雲の国のように広がり、どれだけ飛び跳ねても優しく身体を受け止めてくれる。それが楽しくて嬉しくて、光華はぴょんともふもふに飛び込んでにっこり微笑む。
その後ろで兄の深山・樹(処刑人・f37164)が、はらはらと気を揉みながら光華の様子を見守っている。
この世で一番大事な妹が楽しそうにはしゃぐ姿は可愛く愛おしい。できることなら好きなようにさせてやりたい。でもこの場所、兄としては心配なこともあって……。
そう。実はこの場所、UDC怪物を受肉させたクロックワーク・ヴィクトリア狂気艦隊旗艦『ネルソン』なのです。しかもその最高司令官『プロフェッサー・モリアーティ』というめちゃくちゃ悪いやつが乗り込んでいるという、なんとも恐ろしく危険な場所なのだ。
危ないからと注意したけど、もふもふ大好きな光華がおっきなもこもこ羊さんと戯れるチャンスを見逃すはずがない。
「こんなにかわいくてもふもふなの。この子なら怖くないの!」
満面の笑みでそう言われてしまえば、兄はもう何も言えなくなってしまうのだ。
「悪いことはめってするの」
のんびりもっふりイガルカへと足を進める羊さんに向かって人差し指を突きつけている光華の無邪気な様子に微笑みで返しつつ、樹は周囲に危険が無いかと探る。
すると、もふもふの向こうにぽつんと一つ、もこもこした白に埋もれた黒と金色が見えた。
もふに埋まっててよく見えないけど、多分あれがモリアーティだ!
刀を抜き警戒を強める樹だが、モリアーティは動く様子を見せようとはしない。
「(なんか悪の人本当に何もしない?)」
それはそれでどうなんだろうと思いながらも警戒だけは崩さない。
この
ネルソンの力に絶大な自信があるのだろうか。それか、また角が絡まるのが嫌で動きたくないだけなのかもしれない。
樹の視線の先に何かいることに気付いた光華がふわふわ駆け寄ってきて小首を傾げた。
じーっ。
赤い瞳をまん丸にして、光華はもふの山に埋もれたモリアーティを見つめる。
「こんにちわーっ」
ぴっと元気よく手を上げ、光華は大きな声でご挨拶。
銀誓館学園初等部の成績表の行動欄に「元気な声で誰にでも進んであいさつができる」と大きな花丸を貰えること間違いなしの完璧なご挨拶だ。
樹が「あっみつか、話しかけたら駄目ー!」と止める暇もない。
「おやおや、こんにちはお嬢さん」
これにはモリアーティも挨拶を返さざるを得ない。まあモリアーティ的に、相手が良い子であればあるほどポーシュボス・フェノメノンの効きが良いのだから、これは願ってもないことではある。
ともかくモリアーティもいきなり襲いかかってくるというわけでもなさそうだ。
同様と安堵と困惑とその他諸々入り交じった感情で「大丈夫だった……」と胸をなで下ろす樹。寿命の蝋燭が見えるなら、それが一気に短くなったのではないかというほどだ。
一方で光華は「あれ? 兄様ふしぎなお顔してる?」ときょとんと樹の顔を覗き込んでいる。兄の心妹知らずとはこのことである。
心配が杞憂に終わったと思えば、一気に気が抜け、ついでに力も抜ける。
樹は「ふぁ……」と、小さな欠伸をかみ殺した。
ふわ、ふわふわ、もこもこもこ。
羊さんが身体を揺らし、その柔らかな毛をもっふりもっふり震わせている。
「わわ、羊さんもふもふなの……」
隣で光華も目を擦りつつ、ふにゃりと欠伸を一つ。
羊さんはもっふもっふと歩き続ける、まるでクッションをたっぷり乗せたハンモックが風に揺れるように、ゆったりのんびり毛皮がうねる。
遠くからモリアーティがじっと二人を見つめ、にやりとほくそ笑む。
無邪気な子供二人は格好の獲物だ。眠っている間にポーシュボス・フェノメノンを寄生させようと、ネルソンの機銃に合図を送る。
だが小さくても樹と光華は猟兵である。その悪意を敏感に感じ取り、戦いに気を引き締める。
「怖くないの」と光華が小さく囁けば、「うん」と頷き樹も勇気を奮い立たせる。
彼らの意思を削がんと、巨大なもふもふ羊が「メエ」と鳴く。
闘争への嘶きにしてはあまりにも穏やかでのんきな声が強烈な眠気を誘う。
命がけの戦闘のはずが、ふんわり温かく柔らかい綿雲のハンモックに揺られているような心持ちすらするその睡眠への誘いに、段々身体が言うことを聞かなくなる。
この柔らかな揺れが眠気を促す敵の攻撃であると判断し、樹は眠気を堪えて『絡糸の縛鎖』を放つ。糸のような鎖が羊の脚に絡みつき、触れた場所から力を吸収する。
力を奪われた羊は、その巨体を支えるのも困難なのだろう。「メエ……」と弱々しく声を上げ、四本の脚を折ってうずくまる。
だが、樹もそこで眠気に襲われる。
とっさに妹に視線を送る。
ふわりもふりとした毛に包まれて眠りに落ちそうになっていた光華と目が合う。
「おこしてもらうの~」
言葉は少ないが、兄妹の間はそれで十分伝わる。
お互いに頷き合って、微笑んで――そこで限界。
白いもこもこの中に包まれて、ゆっくりふんわり二人は目を閉じる。
カンカンカン!! ツンツンツン!!
「うわっ!?」
固い物が打ち鳴らされる音と、棒で突かれる感覚に、樹は飛び起きる。
慌ててキョロキョロ辺りを見渡すと、銀色の鎧兜に身を包んだ騎士達が樹の周りを取り囲み、手に持った槍と盾を打ち鳴らしたり槍の柄で突いたりしているのが見えた。
眠りに落ちる前に光華が呼び出した騎士さん達である。
呼び出されたはいいが、召喚者である光華もその兄も寝ている。
とりあえず二人が起きるまで守る役と、起こす役に分かれてみたはいいが、目覚まし時計代わりに使われるという滅多にないことに、樹を突いた騎士はちょっと困ったような雰囲気を漂わせていた。
「あ、うん……みつか寝てるね」
傍らにはもふもふに包まってすやすやと寝息を立てる妹の姿。
ぐっすり眠っていて、起こすのもなんだか気が引ける。
騎士達と目配せし合って、「いい?」と尋ねれば頷き返され、樹も刀を構えて戦闘態勢。
鎖に絡まり動けなくなったもふもふ羊と、羊が動いた拍子にまた毛が角に絡まってこれまたやっぱり動けないモリアーティに、樹はダメ押しともう一回鎖を放って動きを封じる。
指示を出す者が動けなくても、ある程度はオートで動くのだろう。時々散発的に放たれる機銃の弾がこちらに飛んでくる。樹の方に飛んできたポーシュボス・フェノメノンを宿した弾丸を、代わりに騎士が盾で受け止めて消える。普段より少し数が少なかったのは、自分達が眠っている間に守っていてくれたからだろう。
何よりも自分の命よりも大事な妹を守ってくれてありがとうと軽く騎士達に声をかけ、
「もふもふやっつけて!」
号令をかけると、樹は彼らと共に敵へ向かって駆け出した!
「すやぁ……むにゃむにゃ?」
ふかふかふわふわ真っ白なベッドに包まれて、光華はまだ夢見心地。
「あともう五分だけなのー」と、夢に現れた兄様に甘えてしまう。
あれ? 兄様? 騎士さん達?
白い雲の大地を駆け抜け、大好きな兄様が勇ましく格好よく戦う姿が見える。
大きな大きな悪い羊さんが飛ばした弾丸を刀で切り払い、くるりと回転して伸びてきた悪者の触手を空中で切り飛ばす。
槍を構えた騎士達が突撃し、悪い羊さんの動きを弱らせていく。
「兄様と騎士さん達、とってもかっこいいの……」
幸せな夢に微笑んで、光華はまた目を閉じる。
次に目を開けたときは兄の腕の中。
もふもふもあったかかったけど、兄様はもっとあったかいの。
この幸せがいつまでも続きますように。
兄様とずっと一緒にいられますように。
幸せな現実に揺られて、光華はまた夢に落ちていくのだった。
大成功
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ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
もふもふ!もふもふじゃないかー!もふもふー
もふもふはいいなぁ…でっかいもふもふが一匹…一匹…スヤァ…
はっ!危なく寝るところだった!〈芋煮ポーション〉ガブ飲みで眠気退散!!急いで勝負をつけよう
戦艦?にはキャバリアをぶつけるんだよう!
ポーチに入ってる量産型のサメタンクを沢山出撃させるよ!
私も<サメタンク(ルエリラ専用)〉で出撃!
敵の攻撃にボコスカやられるだろうけどサメタンクはいっぱいいるからノープロブレム!戦いは数だよ!
そして砲撃や自爆しながら前進しつつ【リミッター解除】!
映画に出るようなサメ度で親玉を襲うぞー
透明、幽霊、ドリル、竜巻!色んなサメタンクで親玉を襲え襲えー!
もふん! もふっ! もふふふふふぼふーん!!
「もふもふ! もふもふじゃないかー!」
シベリアの大地を揺らして進む超巨大羊さんのもふもふを震わせ喚声が上がる。
転移を終えてたどり着いたはもふの上!
ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)のテンションは否応なしに上がる!
もふもふを踏みならし、ホップ! ステップ! ジャーンプ!!
ぼふっと落ちれば、身体が沈み込むような柔らかさと温かさを全身で感じる。
ごろごろと転がり、毛の海を泳ぎ、もふもふを堪能する。
「もふもふはいいなぁ……」
ごろりと大の字で宙を見上げれば、ロシアの青い空が見えた。柔らかな白い雲を透かし、やや霞んだ太陽の光が差し込んでいる。空に浮かぶ雲の白、周囲を覆うもふもふの白。
「でっかいもふもふが一匹……一匹……」
思わず羊を数えたくなる。
ルエリラの数える数に合わせて、もこもこ巨大羊さんがぴょんと跳ぶ。丘を跳び超え、山を越え、なんともうららかなことである。
ころん、もふりと転がって、温かなもふに包まれていると、ついついまぶたも緩んでしまうものである。
ふわぁとルエリラは欠伸をし、すやすやと安らかな寝息を立て始め――。
「はっ! 危なく寝るところだった!」
慌ててびょーんと跳ね起きると、ルエリラはポケットから『芋煮ポーション』を取り出し一気飲み!
まろやかな芋煮の味が口いっぱいに広がる。ここでMSは味の説明を入れようかなと思ったけど、多分これ描写間違えたら新たな世界大戦が勃発することになること必須なので、平和のために割愛します!
とにかくルエリラは芋煮ポーションをガブ飲みして眠気退散!!
雄々しくもふの上に仁王立ちして、ルエリラは勝負を急ぐのだった。
「戦艦?にはキャバリアをぶつけるんだよう!」
巨大戦艦を巨大ロボで攻撃する。非常に真っ当で正しい戦術だ。
しかも――。
「サメが出たぞー!」
ルエリラがポーチから取り出したのはサメの形をしたタンク型キャバリアだ。
羊にサメをぶつける。被食者と捕食者という意味でも本当に正しい。
「私もサメタンク(ルエリラ専用)で出撃!」
ルエリラも専用機に乗り込み、ここに羊戦艦VSサメタンクの決戦の火蓋が切られた!
ギャリギャリギャリと走行用ベルトの音を立てながらサメタンクが進む。
羊の毛を巻き込み、なんかサメタンクも微妙にもふっとし始める。これは敵の攻撃である。もふもふ羊という属性でサメを上書きしてしまえば、サメタンクはそのアイデンティティを失ってしまうのだ。
アイデンティティを失い羊へと変わり、サメタンクはボコスカ数を減らすが、ルエリラは「ノープロブレム!」と気にしない。
「戦いは数だよモリアーティ!」
それも真理である。見た目はトンチキなのにやってることは非常に正しい。
サメタンクは砲撃したり自爆したりしながら、ぐんぐん前へ進み、モリアーティのいる艦橋近くまで戦線を押し上げる。
「ハイフィッシュフォー!」
ルエリラの号令でリミッター解除し真の力を解放するサメタンク達。
透明! 幽霊! ドリル! 竜巻!
古今東西ありとあらゆる映画に出てくるようなサメ度が襲いかかる!
サメ達はその
素晴らしきサメ度で、もふもふ羊さんを食いちぎっていく。同じシーンが繰り返されたり、ロシアなのに水着のお姉ちゃんが通りすがったり、森の中の映像が流されたりしているけど、これもサメ度なのである。
何でか分からないけどゾルダートグラードの国旗をつけてゾンビを乗せたサメタンクが空を飛び、モリアーティのいる艦橋に突っ込んでいく!
ドカーン!!
空飛ぶサメタンクは、艦橋にぶち当たり、派手に爆発!!
諸共に、狂気艦隊旗艦『ネルソン』とモリアーティを撃沈させたのであった。
大成功
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