獣人世界大戦⑪〜Beyond the Trap
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獣人世界大戦も戦線が変化し、各地の戦いも第二段階を迎えている今なのだが……。
「なんだかお宝が発見されたんだって!」
理緒がタブレットをぺしぺししながら、ちょっと興奮気味にずずいと前のめりになっていた。
ウラル山脈自体が金や鉄、石炭、宝石など多くの鉱物資源の産出地としても知られており、物資産出の面だけでも十分に『お宝』と言えなくもないのだが、そういうことではないらしい。
「ウラル山脈に続く隠し通路みたいなのがあってね。その奥にワルシャワの人たちが『お宝』を隠しているみたいなんだよ」
それを予知しちゃったんだ! と理緒ががっつぽーずをしながらどやぁと言い切る。
『お宝』がどんなものなのかまでは予知できなかったようだが、山脈の奥にわざわざ隠すほどのものなら、なにかしら価値のあるものとみていいだろう。
「それでね、せっかく予知したんだから、それを奪っちゃおうって思うんだ」
隠してある『お宝』。
それが軍資金なのか、重要物資なのか、それとも最新鋭の兵器なのか。それは行ってみないと解らないが、奪取することができれば相手に何らかのダメージを与えることにはなるし、うまくいけばこちらの戦力増強にもなるだろう。
「ただねー……」
ここで理緒はちょっと口ごもった。
それだけの『お宝』である。隠してあるといっても、防御機構が備わっていないわけはない。
「うん。みんなの予想通り、侵入者撃退用の罠が仕掛けてあるんだよね」
なんとかそれを乗り越えて、ワルシャワの『お宝』をげっとしてきてほしい。
「みんなならいけるよね!」
理緒はそういうと、タブレットを操作してゲートを開いた。
すい
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おはようございます。MSを務めさせていただきます、すい、と申します。
OPに来ていただきありがとうございます。
ウラル山脈内に無数に掘られたトンネル。
その奥に財宝が隠されている箇所があることが判明しました。
戦力のほとんどを全線に割いている今なら『ワルシャワ条約機構軍』の防衛戦力は気にせず、それを奪取しに行くことことができそうです。
ただ、敵の戦力はないと言っても罠は生きています。
どんな罠が待ち受けているのか、それをどのようにして突破していくのか。
即死系から拘束系、果てはちょっとアブない罠まで。
素早く避ける? 器用に解除する? それともパワープレイで蹴散らしていく?
そしてどんな『お宝』に巡り会えるのか!
みなさまの素敵な罠ライフと、その罠からの華麗な脱出法。そしてバラエティに富んだ『お宝』を楽しみにしています。
財宝は希望があれば、どんなものかの描写もしたいと思います。
アイテム化まではできませんが、『こんなものが欲しい』というものがありましたら、教えていただけますと嬉しいです。
●その他注意事項
このシナリオは戦争シナリオで、冒険1章のみで完結します。
プレイングの受付はオープニング公開後。断章はありません。
完結優先で4人~6人程の採用を予定しています。全採用できなかったらごめんなさい。
●プレイングボーナス
このシナリオにはプレイングボーナスがあります。
プレイングボーナスは『財宝庫の仕掛けを突破し、敵より先にお宝を回収する』です。
それでは、みなさまの熱くて楽しいプレイングお待ちしています。
第1章 冒険
『トラップフィールド』
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POW : 体を張って仲間を守る
SPD : 仕掛けられた罠を見つけ出し、解除する
WIZ : ジャミングや呪術で罠を無力化する
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アイ・リスパー
「お宝ですか!
オベイロンの燃料代とか弾薬費とか修理代とかでお財布がピンチなので、なんとしてもお宝をゲットしなくては!」
『燃料代はアイが歩きたくないというからですし、弾薬費はアイがミサイルを撃ちまくるからですし、修理代はアイが被弾したり罠にかかったりしているせいでは?』
「うるさいですね!?」
燃料不足で動けないオベイロンからの通信を切って、自分の足で隠し通路に入っていきましょう。
「オベイロン、罠の反応があったら教えて下さいね」(通信切ったの忘れている
そして通路の奥で宝箱をみつけ――
「よーし、お宝ゲットです!
って、きゃああっ!?」
ミミックに丸呑みにされ服を溶かされて……
やっ、そこはだめぇっ!
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「お宝ですか!」
グリモア猟兵からの依頼にアイの真っ赤な瞳が爛々と輝き、ぐぐぐっと気合いが入る。
「オベイロンの燃料代とか弾薬費とか修理代とかでお財布がピンチなので、なんとしてもお宝をゲットしなくては!」
そう。諸経費を賄うためにもお宝げっとは至上命題なのである。
『燃料代はアイが歩きたくないというからですし、弾薬費はアイがミサイルを撃ちまくるからですし、修理代はアイが被弾したり罠にかかったりしているせいで――』
「うるさいですね!?」
しれっと諸経費の原因全てを押しつけようとするアイに、オベイロンがAIらしからぬため息を吐きながら言うが、冷静なツッコミはアイのぶち切りに阻まれた。
しかしその瞬間、ツッコミの正しさを物語るように燃料切れのアラームがコックピットに鳴り響いたのだった。
えーっと。
アイはたらりと冷や汗を一筋おとしながら、目をそらしつつ、
「オベイロン、罠の反応があったら教えて下さいね!」
戦車を降りると、なぜかドヤ顔でサポートを命じ、アイは隠し通路をてくてくと歩いていった。
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隠し通路は自然の洞窟に人が手を加えて作られたものであることが、実際に見てみるとよくわかった。これなら隠し財宝にも期待できそうだ。
アイはわくわくしながら通路を進んでいったのだが『仕掛けられている』と言われていた罠が見当たらないことは気になった。
ひょっとして道を間違えたのだろうか。
アイがそんなことを思った直後、通路の先になにか大きなものが置かれているのが見えた。
「これは!」
そこにあったのは、アイが中に入れてしまうくらい大きな宝箱だった。
いちおう罠を警戒しながら慎重に近づいていくが、オベイロンからの警告も特にないのだから大丈夫だろう。
「よーし、お宝ゲットです!」
アイは宝箱の側までいくと、元気よくその蓋を開いて中を覗き込んだ。その瞬間――。
「きゃああっ!?」
宝箱の蓋が落ちて、アイの上半身を咥え込むように箱の中へと飲み込んだ。
「な、なんですかこれ!?」
慌てて抜け出そうとするアイを、箱の奥、暗がりから伸びてきた舌のようなものが絡め取る。
腰の辺りをがっちりと捕まえられてしまって動きを封じられたアイに、さらに複数の舌が纏わりつき、アイの身体を舐め始めると、どろりとした粘液が服を溶かしていった。
舌はボロボロになった軍服の隙間から中に潜り込むと、アイの慎ましやかな胸、その先端を捏ねるように舐め回す。
「あっ、やっ、そこはだめぇっ!」
なにか特別な成分でも含まれているのだろうか。普通とは違うびりびりとした刺激にアイが身を捩ると、たまらず声を上げた。
小さな突起を何度も舐め回されながら、強引に乳房を絞り上げられ、喘ぎ声をあげようとした口の中にまで舌をねじ込まれて、アイの身体はだんだんと力を失っていった。
それから数刻。
あまりにも帰ってこないアイを案じたオベイロンが、緊急用の電池で通路の奥に辿り着いたとき。
アイはぐったりと宝箱にもたれながら――外から見れば、宝箱に頭を突っ込み、尻を突き出して――びくんびくんと痙攣を繰り返していた。
膝の下には水たまりができており、いろいろと大変なことになっている。
オベイロンは配信のチャンスを逃したかもしれない、と残念に思いながらも、アイをコックピットに回収して撤収していった。
そして、酷い目に遭ったアイがオベイロンとの通信を切っていたことに気づいたのは、コックピットの中で目を覚まして少ししてからのことだったという。
大成功
🔵🔵🔵
スピカ・ネビュラスター
『デビルキングワールド出身で、ワルイことは素晴らしいという感性のラスボス』
へぇ~、隠されたお宝ね
それを強奪するのは、なかなかワルくて素敵じゃないかな(ニヤリ)
防御機構のトラップ?
そんなものでボクを止められるもんか!
『ミューテーション・ダークマター』を発動して、全身を暗黒物質に変異させるよ
こんなよくわからないものに通る罠なんてあるわけないよね
あはははは!
さあてどんなお宝が隠されてるかな?
ウィッチクラフトに使える素材だと嬉しいね
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「へぇ~、隠されたお宝ね。それを強奪するのは、なかなかワルくて素敵じゃないかな」
依頼の内容を聞いて、スピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)はにやりと笑う。
ワルイことは素晴らしいという『デビルキングワールド』出身のスピカにとっては、財宝の強奪など至高の行為のひとつだ。ラスボスとしての威厳を見せつけるのにはぴったりである。
スピカはマントをバサリと翻すと、余裕の体で隠し通路の中に足を踏み入れていった。
隠し通路は自然の洞窟を利用しているようで、うまく偽装しながら作られていることからもだいぶ手が込んでいるようだ。隠し財宝にかなり価値があるのではないかという機体が高まっていく。
そういえばグリモア猟兵がいうには、お宝を守る戦力はないが、防御機構として罠が仕掛けられているらしいのだが……。
スピカがそんなことを思っていた矢先、足に軽い違和感を感じて歩みを止めると、目の前の床が音を立てて崩れ、大きな穴がその口を広げていた。
しかもその穴を覗いてみれば、底には尖った針のようなものが敷き詰められている。先端がテラテラと光っているのは恐らく毒だろう。
『アークツルス』に乗って浮遊移動しているスピカに落とし穴は脅威にならないが、罠が落とし穴だけということはないだろうし、隠し財宝を守る罠だけあって、かなり危険なものも設置されているようだ。それなら――。
「そんなものでボクを止められるもんか!」
スピカの瞳が金色に輝くと、全身が『暗黒』へと変じた。いや正確には暗黒ともちがう。『宇宙を満たす』と言われている未知の物質に転じたスピカは、質量はあれど認識できない身体になったのだ。そして『未知』故、現存する罠に有効な攻撃手段はない。
財宝を守るため通路に仕掛けられた罠がスピカの質量を感知し発動はするものの、『行方不明の質量』へと変じたスピカにダメージを与えられるようなものはひとつもなかった。
罠による攻撃を笑いながら受け流し、スピカは悠々と通路を進んでいく。
全ての罠を突破――発動させたうえで無効化――し、辿り着いた先に広がっていたのは、それなりの空間の中に所狭しと並べられた本の山だった。
図書館とも見紛うそれは、地下にあるとは思えないくらいに圧巻である。スピカがその中の一冊を手に取ると、本は魔力で保護されているのか古ぼけた様子もない。
スピカはそんな本の山をざっと調べていった。
本は体系的に分類されていてどうやら資料庫のようだった。『ワルシャワ条約機構軍』の歴史のようなものから、兵器の設計図、人物伝など様々なものがあったが、中でもスピカの目にとまったのは『魔法書』とされたものだった。
おそらくは、オブリビオンが操る闇を側で見ていたものが記したのだろう。その力、威力、規模など、それまで『ワルシャワ条約機構軍』の中で『闇』が成してきたことが書かれている。
期待していたウイッチクラフトの素材とは違うものだが、これはこれで興味深い。
スピカはこの項目に属する書物をひとまとめにすると、『ウラル山脈の図書館』を後にした。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
また凄い場所に隠しておりますねぇ。
『FAS』を使用し飛行、『FLS』で『FPS』『FKS』『FTS』を召喚後空間歪曲障壁を展開しまして。
【征境】を発動し『領域』を形成、隠し通路に入りますねぇ。
『領域』内の情報は一通り把握出来ますから、『FKS』の思考加速で大量の情報を判断、『FPS』による『情報』から内部構造の予測も併せ、経路を選択しましょう。
同時に『操作』も可能ですので、これで外せる『罠』は解除、外せないものは装備で回避するか迂回して進みますねぇ。
落とし穴等は飛行していれば躱せるでしょうし、射撃等は空間歪曲で防げますので。
無事『お宝』が発見出来たら『FTS』で回収を。
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広大なウラル山脈に自然発生的にできた長大な洞窟。それを利用して財宝を隠す。
言うのは簡単なことだが、実行するのはかなり難しい。
自然のものというのは、あたりまえだが人が利用しやすいようにはできあがっていない。だからこそ、それ自体が防御機構にすらなり得るのだが、そのように利用するためには莫大な時間と資金がかかるものなのだ。
だが『ワルシャワ条約機構軍』はそれをした。となれば、そこには相応のものがあるとみるのが妥当だろう。
「また凄い場所に隠しておりますねぇ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も、3枚の輝く翼を広げながら、ウラル山脈の隠し通路内をゆっくりと飛行しつつ、呟いた。
グリモア猟兵がいうには、防衛戦力はなくとも防御機構の罠はあるという。
それならば、とるこるは自らの周囲に百五十枚を超える札を召喚すると、その札を涙滴型の水晶と八角形のメダル、そして淡く輝く宝玉へと変換し周囲に展開した。
八角形のメダルのサポート受けて、るこるの思考が加速していく。そこに水晶からもたらされる情報を組み合わせ、るこるは隠し通路内の状況を完全に把握した。
そしてさらに黒い瞳を輝かせ――。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『聖王の加護』をお与え下さいませ」
ユーベルコード『
豊乳女神の加護・
征境』。
このユーベルコードは自らの周囲に『領域』を形成し、その領域内部のあらゆる存在の位置や情報を獲得し、その操作権まで得るものだ。
隠し通路の内部構造、そして罠の位置や種類を把握したるこるは、財宝が腐れている小部屋への最短ルートを導き出すと、そこに設置されている罠を解除した。
しかしそれでも、全ての罠を解除しきることはできなかった。落石や崩落など自然の状況を利用して作られた罠は『解除』ということができない。その手の罠はいちど仕掛けてしまったら発動させてしまうしかないのだ。
派手な音をたてて岩が落ち、天井が崩れるが駆けつけてくる兵士はいない。るこるは崩れた岩の上の上を飛び越し、悠々と財宝への道を辿っていった。
そしてるこるは通路の突き当たり、少し広い小部屋のようになっている空間に辿り着いた。
調べてみれば、一番奥。窪みのようになっている部分にスイッチがあり、さらにその奥に小さな空間がある。
そこになにかが収められているようだが、どうやらこれが『お宝』のようだ。
るこるがスイッチを押し扉を開くと、いきなり大量の魔力が溢れだした。るこるが思わず顔を逸らしそれを避ける。
そして魔力の奔流がおさまり、空間の中にあったのは――。
長さが50cmほどの大きな筒状の物体だった。『黒い輝き』というしかないような光を放つそれからは、とめどなく魔力が漏れ出てきている。
どうやら闇の魔力で作られた永久電池。その試作品のようだった。
るこるはそれを宝玉にかざし亜空間内に収納すると、ちょっと目論見とちがったかな? というように小首をかしげて小部屋をあとにしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オヴィリア・リンフォース
アドリブ、連携歓迎
どさくさに紛れてお宝なのです。
げっとすればご主人様も喜んでくれるに違いなのです。
罠が仕掛けているのもお約束なのです。
そんな時の為の猫魔力なのです。
銀猫突撃で仕掛けられた罠を破壊もしくは解除していくのです。
罠にかかっている仲間がいるなら、助けてあげるのです。
特に即死系の罠は怖いから、絶対にひっかからないようにするのです。
アブない罠は少し気になるのです。
ご主人様がこの場に居なくて良かったのです。
首尾よく「お宝」を見つけても奪い合いになったり
とった直後に発動する仕掛けもあるかも
しれないから十分に警戒するのです。
猟兵の皆さんで山分けなのです。
非常食用の猫缶がお宝であっても喜ぶのです。
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「どさくさに紛れてお宝なのです」
金の瞳をくるくると瞬かせながら、オヴィリア・リンフォース(銀色の魔女猫・f25140)は隠し通路の中を進んでいた。
ウラル山脈に作られたトンネルの奥に隠されている財宝。それだけでも検討の余地はあるというのに、今はそこを守る防衛戦力も前線にかり出されているという。
罠はもちろんあるようなのだが、それにさえ気をつければ戦闘なしにそのお宝をげっとできる。これは行かないという選択肢はない。
「げっとすればご主人様も喜んでくれるに違いないのです」
青い瞳を思い起こして、オヴィリアは、ほわん、と笑顔を浮かべた。
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隠し通路に入ってすぐ、目の前に光がふわりと浮かんだ。そしてそれと同時に足下の床が抜ける。
侵入直後、しかも光で一瞬気を逸らしておいての足下へのトラップ。うまい罠だ。仕掛けた者はかなり手慣れているのかもしれない。
しかし事前にも言われていたとおり、お宝のある場所への道に罠が仕掛けられているなんて、そんなのはお約束だ。
オヴィリアの瞳はすでに金の輝きを放っている。足下に開いた大きな空洞を、通路に入る直前に発動させた
銀猫突撃の魔力で飛んで躱すと、ついでとばかりに光の球を打ち壊す。
「猫の身軽さを甘く見てもらっては困るのです」
オヴィリアはそう言いながら壁を走って落とし穴の向こうへ抜けると、全身に魔力を纏ったまま通路を進んでいった。
そこからも罠は間断なくオヴィリアを襲った。
隠されていた弓から矢が撃ち込まれてきたり、壁から槍が突き出てきたりというダメージ系のものから、単純な分かれ道なども迷路系。岩壁が落ちてきて道を塞いだり、深い堀が掘られている行動制限系、果ては天井落ちなどの即死系までいろんな種類が揃っていた。
特に即死系は危険度が高い。後から来る仲間のためにもやり過ごすより、解除してしまった方がいいだろう。
オヴィリアはそう判断して気づいた罠は魔力を使って使用不能にしてきたのだが、全てが解除し切れたわけではなく、特に厄介だったは二重トラップになっているものだった。
解除できたと思っていても、そこを通り抜けようとしたときにさらに発動してくる類いのもので、これには何度かヒヤリとさせられた。
そしてそんな中には、ねばねばの触手で拘束されるようなたちの悪いものも含まれていたのだ。こんなものに捕まったら、何をされるか――いや想像したくもない。
オヴィリアは心底、ご主人様がこの場に居なくて良かった、と思いながらトラップを徹底的に壊したのだ。
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そしてとうとう、オヴィリアはお宝らしきもののある小部屋へと辿り着いた。
そこにあったのは透明なケース。オヴィリアはケースの周囲に罠がないかを慎重に調べてから、ケースを開いた。
中にあったのは、大切そうに並べられた一対のアクセサリーのようなもの。
銀の台座に片方は赤、もう片方は青の大きな宝石が嵌められている。どうやらかなりの魔力を秘めているようだ。
売ってもかなりの値段になりそうだが、魔力を感じる以上なにかの用途があるとみて間違いない。
これがどんな力をもっているのかは帰ってからご主人さまと調べてみるしかないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
エルザカート・ファーレンハイト
財宝と、それを守る罠、ねぇ…
どんな物にせよ、敵の手に渡るのは好ましくないから、気づかれない内に回収してしまわないとね…
ひとまず、従魔「幻魔蝙蝠群」達に偵察、調査させて、罠の位置を調べてから進んでいくわ
見つけた罠は、回避できそうなら回避して、回避できないものは【メカニック】か【マシン改造】で解除を試みるわ
…って、水が流れ込んで来る!?
しかも触れた物を溶かしてる…!
急いで従魔「幻魔蝙蝠群」を呼び寄せ、溶解液が届かない所まで運んでもらわないと…!
この先はもっと慎重に行かないといけないわね…
無事財宝を見つけたら素早く撤収よ
今の姿…財宝を持っている上に、服もボロボロな所を見られるわけにわいかないから…!
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「財宝と、それを守る罠、ねぇ……」
エルザカート・ファーレンハイト(紅の賢者・f31377)は、ウラル山脈、隠し通路内を歩きながら独りごちた。
グリモア猟兵からはごつごつした自然の洞窟に人の手を入れ、財宝の隠し場所とした、と説明を受けていたが、この大きさや規模は『財宝の隠し場所』というよりは『決戦要塞』のように思える。
なにかあったときに立てこもる場所なのではないだろうか。だからこそ軍資金も運び込んでいたというのが正しそうな気がする。
「どんな物にせよ、敵の手にあるのは好ましくないから、気づかれない内に回収してしまわないとね……」
エルザカートは通路の奥に一度目を向け、その瞳を深紅に輝かせると、その背後、闇の中で無数の羽撃きが聞こえた。
「さあ、行きなさい。私の目となり、耳となり、そして爪となる為に……!」
エルザカートの命を受け、数百匹の蝙蝠が通路の奥へと向かっていく。
従魔たちはトンネル内を埋め尽くすように飛び交って、通路と罠の情報を調べ上げると、それをエルザカートへと伝えてきた。
罠の種類や設置場所、そして解除の方法に目星をつけながらエルザカートは最短のコースを思案していた。
自分のスキルだけではどうしても解除に失敗の危険が伴う。ならば道順としては少し遠回りになっても、罠はできるだけ回避していくのがいいだろう。
そう判断したエルザカートはコースを決めて、歩き出したのだが……どうしても避けられない罠というのもでてくる。
目の前に見える一本道。ここに仕掛けられている罠がそれだ。
これは気合いをいれて解除に臨むか、覚悟を決めて作動させてしまうしかない。
罠の種類は従魔たちが調べてくれていた。水流でこちらを押し流すタイプのものらしい。
ならば、と、エルザカートは解除を選んだ。
うまく解除できればノーダメージだし、失敗してもどんな罠かが解っているので対処できると判断したからだ。
がちん!
ガジェットで探っていた罠のトリガーが嫌な音をたてる。
「やってしまったかしら?」
エルザカートが呟いた瞬間、どどどどど、という重い音と振動がトンネルを震わせた。
「……って、もう水が流れ込んで来た!?」
思っていたより水の流れが早い。エルザカートが翼を広げ、従魔と共に舞い上がろうと地を蹴ろうとした時には、すでにその足首まで水に浸かり、水流の勢いがエルザカートの足を掬っていた。
尻餅をつくような格好になったエルザカートを水流が飲み込んでいった。しかも――。
(この水、触れた物を溶かしてる……!)
水に触れたドレスが瞬く間に崩れていき、エルザカートの白い肌が露出していく。
どうやらエルザカート自体を溶かすことはできないようだが、このままでは服を完全に溶かされてしまう。周囲に誰もいないとはいえ、さすがにそれは避けたいところだ。
急いで従魔を呼び寄せると、エルザカートは両手を伸ばして、水の届かない場所まで引き上げさせた。
水流がトンネル内の半分くらいまでしか満たしていなかったことが幸いし、なんとか全部溶かされる前に脱出することができたのだが……。
羽織っていたケープは崩れ、胸の部分が大きく溶け落ちてしまい、大きく広がっていたスカートも長さが半分ほどになってしまっていて、太ももがほとんど剥き出しでお尻も見え隠れしているという、あられもない姿だ。
財宝はこの罠のすぐ先の小部屋にあり、その確保も容易だったのだが――。
「こんな姿、ほかのみんなに見られるわけにはいかないわ……」
蝙蝠たちに財宝を確保してもらい、自らの周囲も隠してもらいながらの帰還が、エルザカート一番の難関であったという。
大成功
🔵🔵🔵
ショコラ・スー
たまにはスーちゃんもマスター抜きでも頑張るのれすよ
人型ボディのスーちゃんで、トンネルに入るのれす
罠の解除法は知らないので体当たりれす
全部【ふえるスーちゃん】でもぐもぐするのれす
なんか踏みました⇒下から槍が生えて串刺し、でもスライムだから平気れす
ガスが噴き出してきました⇒毒ガス?麻痺ガス?えっちなガス?吸収してスーちゃんの武器にするのれす
ガトリングが雨あられ⇒人型が穴だらけ…にゅるにゅるスライムボディで埋めて元通りれす
てくてく、全部の罠をくらっても平気で歩いて奥まで
お宝は…なんか金色に光る変なブロック(金塊)しかないのれす
つまんないのれす
これだとスーちゃんのご飯にしかならないのれすよ(もぐもぐ
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ウラル山脈に作られたという隠し通路。それは『ワルシャワ条約機構軍』の隠し財宝への道だと言われていた。
そしてそんな噂があるからには当然、それを守るための相応の戦力が配置されている。
しかし『 獣人世界大戦』が勃発したことにより、防衛のための戦力は全力は前線に回され、いま財宝を守るのは、通路内に仕掛けられている罠のみということになっていた。
この情報は偶然聞こえたもので、しかもその場で、
『ワルシャワの『お宝』をげっとしてきてほしい』
というグリモア猟兵の言葉を真に受けて、ショコラ・スー(スーちゃんは悪いスライムじゃないのれす・f28995)が勢いで飛び込んだため、マスターに許可はとっていないし、もちろん側にもいない。
ただ『お宝』という響きからして、きっといいものがもらえるのだろうと思ってはいた。
そんなことになっているのだが、隠し通路を前にしてスーはぐぐっと気合いを入れていた。
「たまにはスーちゃんもマスター抜きでも頑張るのれすよ」
スーは人型ボディに変体してトンネルをぺたぺたと歩いていた。『罠があるから気をつけて』みたいなことを言われた気もするが、見つけるスキルも解除するスキルも持たないスーは、気をつけるといってもどうすることもできない。それなら……。
「体当たりれす」
スーは罠を気にしないことにした。
青い瞳をきらきらと光らせると、全身が黒い光沢のあるボディへと変化していく。スライムとしての封印を解いたのだ。
歩き出したスーが床に隠されたスイッチを踏むと、槍が突き出してスーの身体を貫いた、が、槍はそのまま溶けるように消えていく。
段差を上がろうと手をついた壁が窪み、バランスを崩したところに勢いよくガスが噴きつけられ――。
「ちょっと甘い……これはえっちなガスでしょうかぁ? これはとっておくのれす」
噴きつけられるガスの味見をして、すぅーっと吸い込むと、身体の中でぐるぐると保存してした。
分かれ道の真ん中で悩んでいたら、天井から降りそそいだ石礫が全身を穴だらけにしても、空いた穴をにゅるっと粘液で埋めて、てくてくと歩き続けた。
通路に設置されていた全ての罠を作動させながら、その全部を食べ尽くしていく。
そしてついに行き止まりに辿り着いたスーは、その奥にある小部屋があるのに気がついて扉を開き――。
むぅ、と拗ねるような声を上げて、ちょっと考えるように小首を傾げた。
「なんかきらきら光る変な塊しかないのれす」
けれど行き止まりの奥にあったということは、このきらきらな塊がきっと『お宝』なのだろう。
「つまんないのれす。これだとスーちゃんのご飯にしかならないのれすよ」
ぽいっと口の中に放り込んでみた金色をもぐもぐしてみるが、表情からしてあまり美味しくないようだ。
それでもそのあと何個かは食べてみるが、やはり口に合わないのだろう、ぴたっとその手を止めて。
「スーはおなかがすきましたぁ」
そう言うと、マスターの美味しいごはんを思い描きながら、スーはトンネルを戻っていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シノギ・リンダリンダリンダ
お宝!!!あぁお宝!!!!私の事を待っているお前たちを、救ってあげますね!!!
【一大海嘯】を解放
未来予知の力を持つ第四の王笏、カルロスを20体くらい召喚
召喚数を狭めることでパワーをあげる。いっぱい王笏がいるとうっとうしいというのもあるけれど
さて。どんな罠が待っていようと、未来予知で王笏が見つけてくれます
そもそも王笏に囲まれて一緒に進んでいるので、前から横から後ろからなにか置きようと壁になります
よくやりましたよ、王笏
王笏の智慧と未来予知、一番うまく使ってあげれるのが私なんですよ、王笏?
悠々とトンネルを抜けたら、こてこてなくらいの金銀財宝が!
いいですね、こういうのでいいんですよ、こういうので!
●
「お宝!!!あぁお宝!!!!私の事を待っているお前たちを、救ってあげますね!!!」
グリモア猟兵の説明を聞いて、シノギ・リンダリンダリンダ(
強欲の溟海・f03214)のテンションは大いに上がっていた。
『お宝』という、その響きだけでも甘美すぎるというのに、今日のそれはただの『お宝』ではない。『隠し財宝』なのだ。しかも『ワルシャワ条約機構軍』という組織ものだというのだから、落ち着いている方が難しい。
シノギはそのテンションのままゲートに飛び込むと、隠し通路の入り口に仁王立ちになって、その瞳をより強く輝せる。
周囲が一瞬光に包まれ、そのあとに20体の頭からアンテナを生やした『カルロス』が喚び出された。
「ふふふ。手伝ってくれるのですよね、お前たち?」
第四の王笏であり、予知能力を持っている『カルロス』は、通路を探索し、罠の位置を知るのにはうってつけだ。
シノギが周りを見渡しながら言えば、『カルロス』全員が静かに頷いた。
●
20人はその数だけをみれば多いが、シノギが全力で召喚できる数からみれば、じつは七分の一程度のの数だ。しかし今回は地下洞窟ということもあり、数よりも個の強さを重視してこの数にとどめた。
だが――。
(『カルロス』……20人でもちょっとうっとうしいかもしれない)
しかしそれでもシノギとしてはまだ多かったようだ。たしかに同じ顔がずらりと並ぶことを考えれば、たしかにそうなのかもしれない。
ただそうは言ってもこれ以上数を減らすわけにもいかない。通路の調査に罠の解除、そして自分の護衛を考えればここが最低数というところだ。
通路自体の突破はシノギとしては余裕だった。
迷路も罠の有無も、『カルロス』の未来予知が全て正解を導いてくれる。トリガーの解除だけは自分たちでしなくてはならないが、それも『カルロス』にさせればいいのだ。もし解除に失敗したとしても、シノギの周囲には護衛の『カルロス』がいるのだから……。
そして数刻後。
隠し通路を踏破したシノギは頑丈な鉄の扉の前に辿り着いていた。進んできた距離から見てもここが目的の場所だろう。『カルロス』の未来予知も、ここが最終地点だと言っている。
シノギは『カルロス』たちを扉の前に集めると、鉄の扉を開くように命じると、20人の『カルロス』の力に重い重い鉄の扉が、ごごっ、と音を立てて開いていく。それを見てシノギは、
「よくやりましたよ、王笏。王笏の智慧と未来予知、一番うまく使ってあげれるのが私なんですよ、わかりましたか、王笏?」
薄い笑みを浮かべながら、そう言葉を紡いだ。
返事は無論ない。
しかし今のシノギはそんなこと気にしていなかった。なぜなら――。
扉の先には金貨銀貨はもちろん玉器に宝石、まさに『隠し財宝』というべき品々が光を放っていたからだ。
「いいですね、こういうのでいいんですよ、こういうので!」
シノギは部屋の中央に立ち、周囲を見渡しながら笑いながら叫んだのだった。
大成功
🔵🔵🔵

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【SPD】
ほうほう、お宝?
ま、金銭面は苦労してないんで
軍事機密系のモノが狙い目かな?
◆罠
【シフト・トリックスター】で愛機を装甲ドレス化
キャバリア由来の推力でホバリングして床面罠を回避♪
【ゾディアック・プラス】で目を【ミネルヴァ】の
各種センサーと連動させてルート&罠のトリガーを解析
電気系統を《瞬間思考力》駆使の【ライト・デバイス】で弄り
機械構造は【バラクーダ・バイト】で破壊して華麗に攻略
◆お宝
改造兵士(女子・階梯4~5・種族年齢用途一任・命名希望)
研究完了前、脳改造や洗脳直前で一応無害
放置すれば不幸一直線の●●ちゃんを必要装備一式と一緒に誘拐
まあ当然、ファルマコンのハーレムに迎え入れちゃうのさ♪
●
「ほうほう、お宝?」
グリモア猟兵の説明に、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(
KKSなリリー先生・f30386)の瞳がきらりと光る。
ただの『お宝』なら、あまり興味はない。金銭面で苦労はしていないからだ。
しかしこれは『ワルシャワ条約機構軍』の『隠し財宝』だという。
そうとなれば話は違ってくる。『隠し財宝』というと、多くの人は埋蔵金のようなものを想像しがちだが、『軍の』ということになれば、そこには『機密兵器』や『研究・実験の成果』なども含まれている可能性が大いにある。
行ってみる価値は十分にあるのだ。
●
リーゼロッテは腕輪を輝かせて自らの愛機を
装甲服化すると隠し通路の中へと侵入し、キャバリアならではの推力を活かして、入り口付近でホバリングをかけた。
「罠は生きてるんだったね」
リーゼロッテの瞳が銀に輝く。
『Op.NULL:
ZODIAC PLUS』。
【ミネルヴァ】の高精度センサーがウラル山脈を多元分析し、瞳に直接隠し通路のルートとそこにセットされた罠のトリガーを解析・表示して、その全てを白日の下に晒していく。
丸裸にされた防衛機構。こうなってしまえばトリガーの解除など造作もない。
リーゼロッテは【ライト・デバイス】に軽やかに指を滑らせ、電子的な罠にハッキングをかけると、瞬間思考を駆使してトリガーが引かれる前に罠を次々と使用不能にしていった。
「これであらかたおっけーってね」
スカウタに表示されている光点は、すでに最初の五分の一以下になっている。
残りは電子的ではない罠ということになるが……。
機械構造のものは、
どつき回しでお相手するしかない。リーゼロッテは【バラクーダ・バイト】を抜き放つと、一番近場の光点に向かってトンネルを進んでいった。
●
「良い『お宝』隠してるじゃないか」
隠し通路の奥。辿りついた小部屋の中は
生体実験室のようだった。
それを証明するかのようにその部屋の奥に設置されたカプセルは培養液で満たされ、その中に獣人の成体個体が入れられている。
リーゼロッテが設置されていた端末を操作すると、小さな電子音と共にカプセル内の個体の情報がモニターに表示されていく。
・『第三世代クローン』体
・
名称:『トリア』
・種族:コブラ種・第5階梯(獣化の特徴は、蛇眼と舌、それと左腕の鱗。隠蔽可)
・想定年齢:21歳
・過去に存在した、あらゆる毒を扱うことのできる名諜報員のクローンとして再生。『施術』の最終段階を行う前のカプセルクリーニング状態。
ここでいう『施術』とはおそらく、ここまでの成長状態を定着させること、最終段階とは、記憶と暗示を植え付けて駒として完成させることだろう。人造兵士や改造兵士にはよくあることだ。
リーゼロッテはこれまでの経験からそう判断できたが、それは知識として知っていても気分が悪くなる工程だ。
「放置すれば不幸一直線……これはトリアちゃんを
保護するしかないね」
リーゼロッテはここからの処置に必要な装備一式がファルマコン内で揃えられることを確認すると、緊急用の生命維持装置をカプセルに接続して隠し通路を出口へと戻っていく。
目が覚めたらハーレムにお迎えさせてもらえばいい。断られてもそれはその時だ。
なによりトリアに自我というものが残っているのかも解らない状態ではあるのだが、もし自我もないような状態なら、それこそ『教育』すればいい。
リーゼロッテはカプセルの中で眠るトリアを優しく見つめながら、そんなことを考えていた。
大成功
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