獣人世界大戦⑥〜硝煙の香る中に
●Sneaking
――本来なら、この『世界大戦』で世界が滅びようが、一向に構わない訳だが……。
そのウサギの思惑は、打ち砕かねばならない。
ウクライナ最大の港湾都市オデッサ。
アメリカを裏から支配する秘密結社「F.O.Nフィールド・オブ・ナイン」の首領「スモーキング・ラビット」の潜伏先だ。
奴は極めて高度な潜伏能力を持った手下達を街中に放ち、他の超大国や猟兵にまつわる情報収集にあたらせている。
一見すると、平穏な街だ。
けれども、猟兵が見れば一目でわかるだろう。
あいつも、こいつも、諜報員。
されど、条件はあちらも同じ。
猟兵が少しでも勘付いている素振りを見せたなら……。
●Smoking
「早急に撤退してしまうことでしょう。スモーキング・ラビットの放ったスパイを捕獲するには、相応の策が必要になります。具体的には」
何も知らないふりをしながらスパイに接触し、とっ捕まえること。
そう、ハート・ライドン(f39996)は此度の作戦を告げた。
「スパイ達は潜伏と諜報に特化している分、戦闘能力は高くないようです。あちらに猟兵だと気付かれることなく釣り出すか、あるいは追い込むことに成功さえすれば」
猟兵達の力であれば、締め上げての捕獲も叶うことだろう。
「此度、予知したスパイ達の居場所は、港湾地域にある武装整備工場です。どうやら奴らは整備員として潜入し、持ち込まれる武装の情報を集めている様子。クライアントとして武装の整備を依頼するふりをすれば、接近するまでは容易でしょう。以降、スパイ確保までの行動は皆様に一任いたします」
転移の準備は整った。
ハートは行くべき先を視線で示してのち、今いちど仲間達を見つめる。
「皆様のご武運をお祈りしています。どうぞよろしくお願いします。……世界にこれ以上、戦火が広がらないように」
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
プレイングボーナス……スパイの目を欺きながらスパイを探す。
静かなる戦いの舞台は、ウクライナ最大の港湾都市オデッサ。
港湾地域にある武装整備工場です。
スモーキング・ラビットの放った、極めて高度な潜伏能力を持ったスパイ達を発見のち捕獲してしまいましょう。
スパイ達の戦闘能力は高くないため、如何にして猟兵と気付かれずに確保まで持ち込むかが攻略の鍵となります。
奴らは整備スタッフとして武装関連の諜報活動を行っています。
自らの武装をエサにすれば、釣り出しやすくなることでしょう。
●余談
スパイ達は全員、ウサギの獣人です。ウサチャンかわいいですね。
●プレイングについて
OP公開と同時に受付開始します(今回、断章はありません)。
10日の第一戦線〆切に間に合うよう完結予定ですので、プレイングの集まり次第では全員採用が難しい可能性がございます。ご了承ください。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。
第1章 日常
『武装整備』
|
POW : 損傷した武装を修理する
SPD : 武装を改造し、新機能を搭載する
WIZ : 武装を点検し、状態を保つ
|
エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎
作戦内容了解ですわ。
それでは、軍人として釣りをいたしましょう。
スパイが注目するようなものとなると……キャバリアですわね。
とある極秘兵器の整備依頼をする、という風に『カナリア』を持ち込みますわ。
(余所の世界、スペースシップワールド製で、絶賛売り出し中ですけれど)
大量の荷電粒子の火力に大型推進装置の機動力、とても強力な兵器ですのよ。
露骨に目立つエサですけれど、これだけの代物ですわ。
きっと諜報員は目の色を変えて情報収集しようと近づいてくるでしょう。
そういう素振りを見せたウサギは0秒攻撃で首筋をトン、と叩いて気絶させて捉えますわ。
お眠りになったスパイを何食わぬ顔で介抱(捕獲)しますわ。
●
作戦内容、了解。
「必ずや確保して差し上げますわ」
エドワルダ・ウッドストック(f39970)は軍人として、此度の静かなる戦場に赴く。
さて、スパイが注目するようなものとなると?
(「……キャバリアですわね」)
彼女が釣り餌として選んだのは、愛機たる黄金の重装機・カナリアだ。
このキャバリアは獣人戦線世界には存在しないもの。
見知らぬ機体ともなれば、スパイは情報を得んと食い付いて来るに違いない。
「もし。整備の依頼はこちらでよろしいかしら? ……とある極秘兵器なのですけれど」
あえて気配は消さず、堂々と工場に入っていった彼女が声掛けた相手は。
『ほう。でしたら、まずは自分がブツを確認しましょう。……極秘となると、情報が洩れてはいけませんからねえ?』
黒と茶が入り混じった毛並み――タンと呼ばれる品種のウサギ獣人であった。
『これはこれは。一点物ですかね?』
「ええ」
『ふーむ、スペックをお伺いしても?』
エドワルダの想定通りにウサギは釣れた。
整備を請け負うとは未だ明言せず、しかして機体に関しては随分と踏み込んで質問をしてくる。
極秘兵器と聴いて、気持ちが先走っているのだろう。
ゆえに。
「大量の荷電粒子の火力に大型推進装置の機動力、とても強力な兵器ですのよ」
『ほうほう。荷電粒子に推進装置、と』
キャバリアの虜になったウサギは気付かない。
エドワルダが猟兵であることに――熱心にメモを取る最中、彼女が背後に忍び寄っていることに。
『追加武装などもございますかね? よろしければ、そちらのデータも……』
とん。
有言済・攻撃完了。
0秒攻撃で
獲物の首筋を叩き、首尾よく気絶させて。
「確保成功、ですわね」
任務完了。
昏倒したスパイを何食わぬ顔で
介抱するエドワルダは。
(「カナリアは余所の世界……スペースシップワールド製で、絶賛売り出し中なのですけれど。それを知ったらこのスパイ、どんな顔をするのかしら」)
もしもの想像をして、ごく小さく笑んだのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・キャロット
むふふふウサチャンパラダイス…。絶対平和にして観光に来ますからね。
私の武器はこれです!整備お願いいたします!
SSRな宝双剣ローゼンクイーン(キラキラエフェクト付き)を置き
これは異国の…儀式用の剣です!不思議な力が高まると輝きを放つのです。
(見た目の世界観が浮いてるのは自覚ありなのでなんとかごまかそうとして)
すごい装飾だ!とかなんか燃えてる!とかびっくりしてほしいですね。うへへ……
聞き耳で周りの反応全部のがしませんよ
(実は:レア武器自慢してすごいすごい言われたいだけ)
敵意がなければダメージはないので大丈夫です。怪しいことを話していたり、剣の炎や茨でダメージを受けてたうさちゃんがいたらスパイですね
●
『ほう、異国の儀式用。この光は、魔術的な加工ですかな?』
「はい! 宝双剣ローゼンクイーンといいまして。不思議な力が高まると輝きを放つのです!」
『なんとなんと。これほどまでに素晴らしい装飾の剣は、私も初めてですなあ!』
「え、えへへ……ふへへへ……」
ルナ・キャロット(f41791)は恍惚としていた。
もふもふウサチャンと二人きり。そしてウサチャンは自身のレア武器を手放しで誉め倒してくれる。
この状況で彼女がとろける表情をせずにいられるだろうか。いられるわけがない。
ついでに、口調にもちょびっと中身が滲み出ている。
『ふむ? こちらの剣、何やら揺らいで見えますな』
されどウサチャン――好々爺然としたフレンチロップだ――がルナの様子を気にする素振りはない。
『もしや、他にも何か秘密が?』
まるで、武器にしか興味が無いとでもいうように。
「あ、はい! 今ここでお見せしても?」
きらりとウサチャンの目が光ったかのように見えた。
『おお、是非に!』
「では、いきます!これが……」
聴き耳を立てていたゆえに、周りに他者がいないことはわかっている。
存分に剣の力を解放できる。
さて、目の前の愛すべきもふもふは――。
「……
ローゼンクイーンの力です!」
【パッシブスキル:ローゼンクイーン】発動。
薔薇の女王の暗き炎を封じ込めた双剣から、解き放たれるは暗く揺らぐ茨。
味方に対しては、女王の加護を。
そして、敵に対しては。
『ふぎゃあ!?』
剣の炎と茨によるダメージを。
哀れ、ウサチャンは後者であった。
茨に取り巻かれたまま、フレンチロップは剣に与えられた
衝撃にてすっかり目を回していた。
「あ。……スパイ確定ですね」
確保の際、しっかりたっぷりスパイのもふもふ毛並みを堪能しつつも。
(「この世界のアメリカはウサチャンパラダイスなんですよね。絶対平和にして、観光に来ますからね」)
ルナは改めて戦火を止める決意を固めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ラブリー・ラビットクロー
らぶの大事な商売道具をFONの奴らに触らせるのはヤダ
そうだ!こんな時の為にアポカリプスヘルのモヒカン達から仕入れた(巻き上げた)ピストルが沢山あったかも!
備えあればウレイなしってししょーも言ってた気がするし、沢山モヒカンしばいてて正解だったのん
ちょっと武器の整備をお願いしたいなん
こんなに沢山あるんだけど…
らぶは商人だから武器を仕入れたのはいーんだけど中々整備の手が回らなくて
そー商人
だから色んなモノ売ってるんだ
他にも珍しい武器があるのかって?
勿論あるのん!それはねー例えば禁断の毒ガス兵器とか…
驚いてる隙にラビットブレスから睡眠ガスをモクモク出して皆を煙とユメの中へご案内
ごめんの
毒ガス漏れちゃった
●
いくら作戦遂行に必要であるとしても。
「らぶの大事な商売道具をF.O.Nの奴らに触らせるのはヤダ」
無理もない。
ラブリー・ラビットクロー(f26591)には、それだけ思うところがあるのだから。
しかし、彼女は任務そのものを投げ出したわけではない。
何か、何か代わりになる装備は――。
「そうだ! こんな時の為にアポカリプスヘルのモヒカン達から
仕入れたピストルが沢山あったかも!」
備えあればウレイなし。そう、ししょーも言っていた(気がする)。
「沢山モヒカンしばいてて正解だったのん」
……モヒカンの涙は、異世界の戦に勝利する為の礎となるのだろう。たぶん。
「ちょっと武器の整備をお願いしたいなん。こんなに沢山あるんだけど……」
『おう、いらっしゃ……いや、ちょっと多くねえ!?』
ラブリーの応対をしたジャージーウーリー種のウサギ獣人が、ピストルの山に驚いてぴょいと跳ねた。
されど、それも束の間のこと。
『何だよアンタ、どっかの軍の者か? 街の近くで小競り合いでもあったのか?』
畳みかけるように銃の出所と情勢を探らんとしてくる。
なかなかに判断が早いウサギのようだ。
「違うのん。らぶは商人だから、武器を仕入れたのはいーんだけど……中々整備の手が回らなくて」
『へ? 商人?』
「そー商人。だから色んなモノ売ってるんだ」
『なるほどなあ。つーことは、他にも武器があったりとか?』
判断の早さは時に仇となる。
このウサギの場合は、ラブリーの商品に対して深入りすべきではなかったのだ。
「勿論あるのん! それはねー」
『おう。焦らさないで見せてくれよ』
何故なら、彼女が武器を取り出したら最後。
「例えば……禁断の毒ガス兵器とか」
ぼわん。
火炎放射器の吐き出した睡眠ガスが、うさぎの毛の如くもふもふ……否、モクモクと広がってゆき。
『スヤァ』
ガスマスク装備のラブリー以外は、みんな眠りに落ちる運命が決まってしまうゆえだった。
「ごめんの。毒ガス漏れちゃった。って、聴こえてないのんな」
ぐー、すー、ぴー。
スパイは眠る。
これから何処に連れてゆかれるのか、何をされるのか。
何一つ、憂うことなく。
大成功
🔵🔵🔵
大鷲・鼎
済みません、これの手入れを頼みたいのですが。…見ていても、良いでしょうか? 仕事ぶりを見たくて…
整備員へと渡したのは四八式特型軍刀。強度が高く、導電収束回路が内部に埋め込まれている以外、外見的には何の変哲もない軍刀だ。
つまり、見る人が見ればその特異性に気づく程度に隠蔽されている。
整備員を真摯に見守るクライアントとなり切れば、自身のカモフラージュとスパイ監視が出来る一石二鳥だ。
私の十八番は徒手格闘戦。そして私は生体発電機だ。
尻尾を出した瞬間に大電力で加速させた腕で口を塞ぎ、瞬間的に強めの電流を流し込んで気絶させよう。
はてさて、どう出る?
●
「済みません、これの手入れを頼みたいのですが」
『いらっしゃい。おお、これは……幻朧帝国由来のものかねえ?』
整備員――アメリカンファジーロップのようだ――に四八式特型軍刀を手渡してのちも、大鷲・鼎(f43179)は刀から目を放さない。
「あの……見ていても、良いでしょうか? 仕事ぶりを見たくて……」
『構わんよ。良かったら、この刀について教えてくれるかい?』
細かな整備に必要だからと嘯くウサギ。
もっとも、鼎はスパイの反応も想定済み。
「ええ。私にわかることでしたら」
ごく自然に返答し、整備員を真摯に見守るクライアントのポジションに収まった。
猟兵としての正体のカモフラージュとスパイの監視。両方を可能とする一石二鳥の策だ。
『おや? これはただの刀じゃないね。中に何か……』
「っ!」
ウサギが“それ”に気付くのは、思いのほか早かった。
『なるほど。回路が仕込まれているタイプか』
けして壊さぬよう、丁寧に扱いながら。
ウサギは軍刀の図面をさらさらと描き出してゆく。
外見的には何の変哲もない軍刀のはずなのに。
見る人が見ればその特異性に気づく程度に回路は隠蔽されているはずなのに。
そのウサギは、何のヒントもなしにあっさりと気付いた。
そして。
『一つ聴いてもいいかな、お嬢さん。この軍刀の出所はいったい――』
尻尾を出した。ただの整備工が、整備に直接関係の無い情報まで求めるのは不自然だ。
『――幻朧帝国のどの……ぐぬっ!?』
刹那、大電力で加速させた鼎の腕がスパイの口を塞ぎ。
『ぐぐっ、むー……くっ……』
瞬間的に強めの電流を流し込めば、果たしてウサギはあっけなく気絶した。
(「戦闘能力は高くないと聴いてはいましたが、この程度ですか」)
サイボーグたる鼎は生体発電機、そして徒手格闘戦は彼女の十八番。
鼎を傍に置いてしまった時点で、スパイに勝ち目など無かったのだ。
スパイをひょいと拾い上げ、軍刀を回収し。鼎は静かに去ってゆく。
放電の影響で逆立った髪を軽く撫でつけながら。
* * *
オデッサの工場の煙突は、今日もモクモクと煙を吐き出す。
されど、それは獣人達の営みの証左。
F.O.Nの陰謀が紛れていることなど、けしてあってはならぬのだ。
猟兵達はまた一歩、此の世界の平和を目指して進む。
大成功
🔵🔵🔵