獣人世界大戦①〜銃声に吠える
服が焦げ、血を流しつつも、政治宣伝芸能人『プロパガンダ・スタァ』は立っている。
「さぁ! 銃を取れ! さぁ! 撃て! さぁ! 戦え!」
ステッキを『敵』へ向け、常に笑顔を浮かべていたその顔は、憎悪に歪んでいる。
「あァ――忌々しい! アナタがたが当然のように『正義』をふるえるのが!」
血をまた吐き捨てる。
「ええ、ええ、アナタがたを肯定しましょう。アナタがたは、この狂った世界で、どうしようもなく正しい!」
だからこそ、とスタァは目を見開いた。
「だからこそ――アナタがたを否定しましょう! この狂った世界で、その正しさは、どうしようもなく間違っていると!」
●
まるで自棄のように叫ぶスタァに、兵卒達は従う。
洗脳されているものもいるが、スタァに心から心酔している兵卒も混ざっている。
「なにも、この場で決することではないでしょう。アナタがたの正義、ワタシにとっての正義。いえ、これは――ずっと、決することがないのかもしれません。ですが、ここでぶつけてみるも一興!」
銃が手にとられる。発砲される。スタァは叫ぶ。
「さぁ、武器を手にとりなさい! さぁ、アナタがたの『正しさ』とやらをぶつけなさい!」
ワタシはそれをすべて否定してみせましょう――!
スタァは叫び、銃声が響く。それは際限のない争い、ここで勝敗が決しても、どこかで発生するぶつかり。
分かっていても、スタァは――否定をしなければ、ならなかった。
tk
tkです。戦争シナリオとなります、よろしくお願いいたします。
移動要塞の操縦を妨害することにより、プレイングボーナスが発生いたします。
この戦争の被害を食い止めるよう、頑張りましょう!
第1章 ボス戦
『政治宣伝芸能人『プロパガンダ・スタァ』』
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POW : 愛国者
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【ゾンビ化戦闘用ドラッグ 】を与える。
SPD : 護国の兵士
【溢れるカリスマ 】を宿し戦場全体に「【祖国のために戦い抜こう!】」と命じる。従う人数に応じ自身の戦闘力を上昇、逆らう者は【護衛部隊の火砲支援】で攻擊。
WIZ : 国歌斉唱
「【自国の国家 】」を歌唱中、自身及び歌が聞こえる範囲内の全員の【非戦闘行為】の成功率を10分の1にする。
👑11
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イコル・アダマンティウム
「ん……誤解してたか、な?」
引き続き、キャバリアに乗って闘う、よ
……最初、だけ
【闘争の正義】
「ごめん。」
「言い分は、分かった。」
誤解を謝罪する、ね
失礼だった
「僕も、戦士」
お前たちも、兵士
「意志が……闘志があるなら、いい。」
分かり合えない
けど眼前の敵をしっかりと認めて
全力で精一杯……闘う、よ
それが、僕の正義
<闘争心>
【純然たれ、暴力】
それはそれとして
「付き合ってあげる、けど」
RS-Bイジェクトモジュール、起動
僕自身を弾丸にして、跳び出す、ね
[使用UC:覇気開放]
「闘志がない人は、だめ。」
跳び出すと同時に戦場を覆うほどの<覇気>を開放
ユーベルコードの効果を無効化して洗脳された兵士たちの洗脳解除を狙う、ね
「帰れ。」
洗脳解除できてる間に、兵士たちに呼びかける、ね
闘うのは
戦士だけで、いい。
【十全たる暴力】
キャバリアを降りた
ユーベルコードも使った
だから
殴ったり蹴ったりする<暴力>で戦う、よ
「えい。」<乱れ撃ち>
「やー。」<連続コンボ>
「とー。」<アクセルコンボ>
手加減も、手心も……ない。
ヌグエン・トラングタン
自棄になってんなぁ。いや、自棄にならざるをえない、か。
好き嫌いは別にして、最後まで『自分の流儀』貫くのは理解する。
そして、俺様はそれを否定する。ただ単に、相容れないからな。
金翅蝶、切り刻め。それで操縦の邪魔をする。
さて…演説とかは同意しねぇ。心酔してるやつは、覚悟できてるんだろうが。
凍炎不死鳥も突撃してるからな。凍って燃えろ。
そんでもって、俺様からは…見えねぇ攻撃をプレゼントってな!
ドラゴン魔力って、使い勝手はいいんだよな、これ。
これで叩き潰していく。言っとくが、魔力切れは期待すんなよ。
エルンスト・ノルテ
POW対抗
諸々ご自由に
若造の言葉の《力》に酔う者は吹き飛ばす
流れる己が血に濡れる、斧槍の意匠、蛇の目の赤石も生きたモノのように見えて
己は前進を
戦意ある獣人達には、安全確保の為下がって貰うと同時に、無人の建造物等、持つ火力で倒壊させるなど、敵方の進路妨害の試みを指示する
「《正しく》《言葉》で権力を奮うとはこの様にやるんだ」
戦場を煽る青年の流れるような文句に、思わず言い返したくもなる
力と権力は一致しない
如何に《個の力》が強まれど権力には代われない
権力とは《人の協働》なのだから
それを知らぬは所詮喧伝屋か
「貴様の言葉の《力》の、ここが限界だ」
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』盾&統括役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀)
自棄というか、意地というか。まあ、戦うことに変わりはないのでな、そのままいかせてもらおう。
狂った世界を正すまで。
というわけでな、UCにてこの痕跡を多く残そう。
敵は触れれば斬れるのであるから、進み、動きづらくなるであろうし、味方は利用できるように調整した。
出来うることを最大限に、である。
火砲支援に関しては、四天霊障による阻害呪詛で拒ませてもらおう。
…陰海月がパンチしとる…。
※
陰海月「ぷきゅ!」
何か出番の少ない孫的存在。怪力をもってパンチして、操縦妨害!
サーシャ・エーレンベルク
誰かが弱っている時、誰かが助けを求める時、いつだって声を高らかに上げる者がその心の隙間に入り込む。
それが悪いものでも、正しいものでも、救って欲しい者たちには関係ない。
……だからこそ、そうした欺瞞を叫び続けるあなたを許すわけにはいかないわ。
【冰縛結風】を発動して、プロパガンダ・スタァに扇動された者の足や手を凍てつかせて行動不能にさせてみるわ。
もちろん、護衛部隊も纏めてね。
それに乗じて、操縦桿や移動先を凍らせて要塞の移動を阻害する。
同時に使用するのは、【白冰冬帝】。
演説や説得では不可能な、絶対的な絶望を見せつけて斬り捨てる。
正しさを問うつもりはないわ。
民を悪辣の道へ扇動するあなたは間違いなく敵よ。

スージー・ブラックアイド
アドリブ他なんでも歓迎だぜ。
「正義――正義のハナシか」
この血みどろの戦争で、そんな戯言を抜かす奴がいるとは。
そんな奴が、まさかこのオレ以外にいるとはな。
いいぜ、ぶつかりあいが望みなら乗ってやる。
射程内の敵性存在、要塞全域をロック。自分の寿命を大事に取っとくのは正しいかもしれないが、それじゃ向こうは納得しねェよな?
操縦用のカメラも人員も、いいや操縦席そのものすら焼き尽くす爆撃の群れ!
言葉を暴力の触媒にしかできなくなったオマエとも、もしかしたら語り合えたかもしれねェな。だが、そんな
正しい考えを否定する為にオマエはそこに立ってるんだろ?
ならオレは、オレにできる全力をぶつけるまでさ。
「正義――正義のハナシか」
政治宣伝芸能人『プロパガンダ・スタァ』が、文字通り血を吐きながら発した言葉に、スージー・ブラックアイド(その正義について・f29739)は小さくぼやいた。この血みどろの戦争の中で、そんな戯言を言う者が居るとは。そんな者が、おのれ以外に居るとは。
「ん……誤解してたか、な?」
イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は真剣な眼差しのまま、スタァを見る。国のために戦う、と彼は言った。――どうやら口先だけで立っているわけではないらしい。
「――ごめん。言い分は、分かった」
イコルはキャバリアに搭乗しながら静かに言う。
「僕も、戦士。お前たちも、兵士。――意志が……闘志があるなら、いい」
それでも尚、相手を分かりあえない『敵』と改めて認めたイコルは、操縦桿を握る手を強めた。
「自棄になってんなぁ。いや、自棄にならざるをえない、か……」
ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は、憎しみを込めた目でこちらを見るスタァを見据えながらこぼす。
好き嫌いは別として、最後まで『自分の流儀』を貫くのは理解する――そして、だからこそヌグエンはそれを否定する。ただ単に、相容れないからだ。
「難儀なものよ。自棄というか、意地というか」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)もそれに並ぶ。
されど戦うことに変わりはない。このまま行かせてもらう――狂った世界を、正すまでだ。
「――誰かが弱っている時、誰かが助けを求める時。いつだって、声を高らかに上げる者がその心の隙間に入り込む」
それが悪しきものでも、正しきものでも、救ってほしい者達には関係ない。
「……だからこそ、そうした欺瞞を叫び続けるあなたを許すわけにはいかないわ」
サーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)は剣を構え、スタァへと向ける。
「力と権力は一致しない。如何に『個の力』が強まれど、権力には代われない」
――権力とは『人の協働』なのだから……エルンスト・ノルテ(遊子・f42026)は厳かに告げた。
武器を各々が構える。それぞれの信念、それぞれの想いを胸に乗せて。
「ああァ、正しく。清く。アナタ達はどうしようもなく、『そう』だ。ええ。ですから忌々しい――本当に!」
スタァは吐き捨てると、ステッキを『敵』へと向けた。
「『祖国のために戦い抜こう!』――さァ! 我らに勝利を!」
●
――いいぜ、ぶつかり合いが望みなら乗ってやる。
射程内の敵性存在、要塞全域をロック、スージーは操縦用カメラや人員、操縦席そのものを焼き尽くす爆撃の群れを『NEON-LIGHT.』にて発現させる! 続くようにサーシャは『冰縛結風』により、スタァに扇動された者の手足を凍てつかせて行動不全へと陥らせる。
「動け! 撃て! 爆風に晒されようと! 手足が凍てつこうと! さァ! さァ!」
しかし、尚もスタァの言葉に鼓舞されて、銃撃は止まない。
操縦桿や移動先の凍結や攻撃は叶い、要塞の移動を阻害することはできているが、目前の相手の殺意はとめどなく。
馬県は刀を構え、全員に向けて視線を配り、頷いた。
「『四領域・岨刻不羇』――!」
黒曜山による薙ぎで足場を生成、エルンストとサーシャはそれを駆け上る。
「金翅蝶、切り刻め!」
無人の建築物を倒壊させて要塞の進路を妨害するエルンストに、サーシャは続けて操縦席に居る相手へ『白冰冬帝』を展開する。
絶句する相手を切り捨て、金翅蝶も攻撃に加勢する。
「おう……陰海月がパンチしとる……」
馬県は怪力パンチで操縦妨害をしている『孫』をちらと見ていた。
操縦席の兵卒達はある程度削いだだろうか――エルンストもまた攻勢を仕掛け、しかし眼下を見ればまだ銃声は鳴っている。
「……ッオラァ!」
戦意が削げることのない相手に対して、不可視の攻撃を繰り出すのはヌグエンだ。兵卒を叩き潰していきながらも、統率を取るスタァは的確に防護されている。射撃がヌグエンの方に向かうが、馬県の黒曜山の薙ぎの足場がヌグエンを庇った。
「助かる!」
「応とも!」
サーシャも、身を翻すとスージーを庇うように剣をふるう。
「敵は多い! ですが、私達に勝機はあります!」
サーシャの高らかな言葉に、エルンストは足場から着地し、スタァを真正面から見た。
「『正しく』、『言葉』で、権力を奮うとは。この様にやるんだ。――貴様の言葉の『力』の、ここが限界だ」
「分かってますよ。所詮私は喧伝屋。ですが――」
取るに足らないものだろうと、それこそ、窮鼠は猫を噛むのですよ――護衛部隊の火炎支援は続く。
そこに、イコルが『発射』された。
●
「スタァ。君に、付き合ってあげる、けど――」
RS-Bイジェクトモジュール、起動。
「闘志がない人は、だめ」
キャバリアからイコルが跳び出すと、戦場を覆うほどの覇気が開放された。
「――帰れ」
洗脳された兵士達は、は、と気がつくと、自分達の状況に困惑している者が多く居る。サーシャとエルンスト、馬県はすぐさまに彼らの保護へと走る。スージーとヌグエンは後方からの攻撃を止めないまま、保護された兵士達の盾となるように彼らを背後へと配置した。
「闘うのは、僕たちだけでいい」
洗脳ではなく、純然たる意思でスタァに従う者も多く残っていた。致し方ないか――イコルは深く深呼吸。
キャバリアを降りた。ユーベルコードも使った。
だから。
「――」
駆ける。
走る。
殴る。
蹴る。
兵士達をなぎ倒し、そしてスタァの元へ――!
「――手加減も、手心も……必要ないよね」
「ええ。そうですよ」
飛び上がる、イコルの影が、無感動な表情のスタァへと差した。
●
「……負け、です。少なくとも、此度の戦いは。ワタシは……『どういう風に』間違っているのでしょうかねぇ」
兵卒に囲まれながら、大の字に倒れるスタァは白旗を示すようにステッキを手放し、両の手を上げた。移動要塞は、避難所に向けて直進していたところを、進路を変えている。
「――正しさを問うつもりはないわ。民を悪辣の道へ扇動するあなたは、間違いなく敵よ」
サーシャに言われて、スタァは、は、と笑う。
「悪辣! ……それはアナタの価値観でしょう……と言いたいところですが、認めます。ワタシは間違いなく悪辣でしょう。どの世界の価値観と見比べても、おそらくは、ね」
「……。言葉を、暴力の触媒にしかできなくなったオマエとも、もしかしたら語り合えたかもしれねェな。だが、そんな正しい考えを否定する為に、オマエは立っていたんだろ?」
スージーが静かに問う。
「ええ。ワタシは間違っていることこそ正しいと。この世界では――正しい者ほど損をする。であれば、悪徳に手を染め、正しさを嗤った方が、いくらか得です。とはいえ、ワタシは誰かの正義は誰かの悪、などという美徳めいたことを説くつもりはありません。正義は正義、悪は悪です」
乾いたスタァの笑い声が響いた。
「そのままアナタ達の『正しさ』を貫くといいですよ――では、ここらで、失礼」
煙幕がはられ、晴れたころにはスタァと兵卒の姿はなかった。
――スタァの想いは言葉通りだ。
正義は正義、悪は悪。
それ以上でも、それ以下でも、ないのだ。
大成功
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