獣人世界大戦①〜彼らは待っている
機械罠に囚われた獣人達は、すぐさまに機械兵士に改造されることはないものの、ぐったりとして、その場に居た。
或いはおのれを鼓舞してこの状況下でも負けないように努めていても、救援が来るには――あまりにも機械罠達の数は絶望的だった。
武器もろくに手にすることができないまま、何人かの獣人達が、そこに囚われている。
このまま死ぬのだろうか。死なないにしろ、死ぬのと一緒になるのだろうか。
●
「まだ『間に合う』獣人達を確認したようだ。救助に向かってほしい」
区切・終(飢餓文学・f42796)はそう言うと、『無限軌道都市』に極めて近い位置に獣人達が捕虜、ないしはこれから『材料』として使われるために囚われている情報を、駆け巡る猟兵達から耳に及んでいた。
「――無論、即座に救助だ。すでにある避難所へ向かわせられればいいが……」
眉間にシワを寄せながらも、まだ間に合うのであれば、是が非でも助けなければ。
●
このまま、自分達は怪物になってしまうのだろうか。
それだけは嫌だ、それだけは。
自分達は自分達で在りたい――。
こんな泥沼の戦争の中で、たったひとつ、自分というものまでなくしてしまったら――それほど辛いものは、ないじゃないか。
どうか自分達が、自分達のままでありますよう。誰にも侵犯されず、心からの自由が、この世界にありますよう。
こんな地獄のような状況でも、願ったって、いいじゃないか。
――切なる願いはここに。
そうして彼らは待っている。ここを照らす灯りを。
tk
tkです。戦争シナリオとなります、よろしくお願いいたします!
駆動中の機械罠に対処するか、なるべく多くの獣人を助けることにより、プレイングボーナスが発生いたします。
この戦争の被害を食い止めるよう、頑張りましょう!
第1章 冒険
『捕虜を救出せよ』
|
POW : 脱出の隙を作る為の囮になる
SPD : 脱出経路を先導する
WIZ : 捕虜の心身のケアを行う
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
ヌグエン・トラングタン
切なる願いは欲望に通ず。さっきも言ったが…これは『欲望竜』たる俺様が肯定するものなんだよ!
だからこそ、ここに来た。
間に合うのなら、全力だよな!
機械罠を『決めた相手』とする。そうしてUCを使えば、機械罠だけが『凍れる炎』に包まれるってやつだ。
あと、金翅蝶も飛ばしてるからな、そっちも切り刻んでいってるんだわ。
はは、人を人とも思わねぇ奴らの罠相手に、厄災になるのもいいな?
だからこそ、思いっきり…何発でもUCの弾を撃ってやる。
それが一番だと考えたからな!
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』盾&統括役武士
一人称:わし 質実剛健古風
間に合うのなら、すぐにでも。誰かを守るというは、四悪霊の誓いなれば。
ふむ、なれば…機械罠への対処をしようか。
たしか、機械は雷に弱かったの?敵を機械罠にしつつ、UCを使用。
こうすることにより、弱い雷は機械罠に落ちるというわけよ。ついでにジャミング呪詛もつけておいたからの。
久方ぶりにこれを使ったが、ふむ。使い方次第よな。
それに、これは『我ら』が望んで変化した姿であるからな…無理やり改造しようとする敵への意趣返しとも言えよう。
イコル・アダマンティウム
「道は……僕が、開く」
突破するから、ついてきて。
僕は愛機、キャバリアで出撃する、ね
避難所から走っていく、よ
「ごはん……用意して、待ってて」
【戦線突破】
「行ってくる、ね。」
[使用UC:オーバーブースト・マキシマイザー]
捕虜がいる場所へ全力<ダッシュ>で突貫する、よ
走りながら、近くの罠は殴って壊して道を作る、ね
<暴力><推力移動><悪路走破><乱れ撃ち><連続コンボ><アクセルコンボ>
【捕虜救出】
「ん、もう大丈夫。
……皆、待ってる。」
捕虜を閉じ込められてる部屋や拘束を破壊<こじ開け>
蹂躙してきた行きの道で、帰り道を先導する、ね
「歩ける?」
歩けなそうな人がいたらキャバリアで抱えて、連れていく、ね
サーシャ・エーレンベルク
たとえ絶望的な状況でも、そこに光明を見出すのが白兵剣戟士の仕事。
速やかに捕らわれた獣人たちの元に向かうわ。
【白剣の御旗】を発動して、捕らわれた人たちを治癒、および先導する。
まだ諦める時ではない。白い剣は此処に在り!
立ち塞がる機械罠を竜騎兵サーベルやスナイパーライフル、双銃あらゆるものを使って破壊しながら突き進むわ。
まだ、終わりじゃない。
あなた達の人生は、これからも紡がれていく。
だからこそ、私が来た。
遍く害悪を振り払い、再び獣人たちの心に火を灯しましょう!
ヒカル・チャランコフ
エルンスト(f42026)と一緒に
SPD対抗
「Play it up!
命令だ、踊ってきな」
子分の肩叩いて、分かれるぜ
平面水平方向、あいつに群がる光沢共を確認したら
《フック付きワイヤー》も使って上に下にで
なるべく奴らの目につかねーように獣人とこに急ぐぜ
その時上から瓦礫とか壊れた機械共だとか身の隠せそうなものみて
凡そルート組み立てとく
…いそがねーと、だって
「よぉ、待たせたな」
獣人たちに明るく声掛ける、けどさ
まだホッとしてもらっちゃ困るんよな
「テメーら、一回空見ろ」
広さを刻め
欲したものを忘れんな、テメーで勝ち取るまでだ
手伝いはしてやるからよ
んじゃ、いこっか
《インカム》で状況は子分に伝える
エルンスト・ノルテ
ヒカル(f41938)と共に
POW対抗
了解を返す、命令に力の満ちるのを感じる
是が自分の生き様であると熟と思う
躍り出る道の上
横薙いで吹き飛ばし、或いは《Schlarg》の翼を振り下ろし
動く金属と俺とお互い命令を受けた同士であるからして
「大義のあるよな、お前たちにも」
切りつけられては飛ぶ自分の血を見ながら思う
「此方にも」
彼我、今交わる道
《道》とは、生く先であり、思想であり
「押し通ったモノこそ、結果《正しい》――そうだろ?」
口の端の上がるを堪えきれない
あぁ《正しさ》の為に躊躇いなく無心に奮える斧槍の、なんと心地良いことだろう!
彼からの
終幕の連絡までは、ただただ存分に
「切なる願いは欲望に通ず――さっきも言ったが……これは『欲望竜』たる俺様が肯定するものなんだよ!」
ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)の高らかな声が戦場に響く。
顔を上げる獣人達は、閉じ込められてるコンテナの暗闇の中、その目にまだ光を宿している。
――まだ、生きている。
私達は、ここに、生きている! ここに、在る!
或いは、その叫び声が、或いは、その声なき声が届く。
ヌグエンはそれに満面の笑みを作ると、敵の方を見た。そしてそれを『認めた』。
獣人達に近づこうとした機械罠だけが『凍れる炎』に包まれる――。
「道は……僕が、開く」
突破するから、ついてきて。
愛機たるキャバリアで参じたイコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)は、地を走る炎の中、獣人達の居る元へ突貫する。
「行ってくる、ね」
近くの機械罠を破壊しながら、まっすぐに――!
「――勝ち取れよ――俺様達の、そして、あいつらの自由を」
「勿論」
ヌグエンとイコルは短く言葉を交わす。
「――間に合うのなら、すぐにでも。誰かを守るというは、四悪霊の誓いなれば。そして――得たいものは、ここの皆は同じであろうな」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)もまた戦場に舞い降りると、おのれの姿を翼の生えた虎へと変じさせる。
それは、イコルが開けた道を追従し、地を駆けながら落雷をもたらす!
サーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)もまた戦場を駆ける。どれだけ絶望的な状況であろうと、そこに光明を見出すのが白兵剣戟士の仕事――任務は、必ず遂行する。決意を秘めた目は前を見据え、武装と『旗』を手に、決して負けることのできない戦いへ身を投じる。
「乗るかね? ――脚は速い方がいい」
「――是非!」
そこに、馬県に声をかけられて、サーシャはその背に乗り込む。白剣の御旗が戦場の中、はためく。
馬県の雷撃を受けて尚、動く機械罠は、スナイパーライフルで狙い撃っていく。
「まだ諦める時ではない。白い剣は――此処に在り!」
旗を挙げる、その旗は、それそのものが、もう一つの太陽のように見えた。
遍く害悪を振り払い、再び獣人たちの心に火を灯しましょう――!
●
「Play it up! 命令だ、踊ってきな」
ヒカル・チャランコフ(巡ル光リ・f41938)はエルンスト・ノルテ(遊子・f42026)と共に参じる。
『子分達』の肩を叩くと、ヒカルは正面突破していく面々とは異なる道を進む。フック付きワイヤーで上へ、下へ。
なるべく『連中』の目につかないように急ぐ。瓦礫や先遣隊によって壊れた機械を見て、身を隠しながら、確実に。
対してエルンストはヒカルが目につかぬよう、陽動のため、派手に立ち回る。横払いで吹き飛ばし、或いはSchlargの翼を振り下ろし――動く機械罠達を見る。それにおおよそ意思はないのだろう。それは理解しつつも、言葉を発する。
「大義があるよな、『お前たち』にも」
大義。互いが火花を散らす。互いが命を落す。互いがどちらかに勝つ。
それが、争いの原初的な本質である。
切りつけられる、おのれの血が宙を舞う。それでも――。
「しかし、大義は――此処にも」
この胸に。彼に。我らに。――彼らに。
「結押し通ったモノこそ、結果、正しい――そうだろ?」
口端が上がる。それをこらえきることはできなかった。
――ああ、『正しさ』の為に、躊躇いなく無心に奮える斧槍の、なんと心地良いことだろう!
戦場はここに在り。戦いは熾烈さを増していく。
増えていく相手を見据える。これでいい。こちらに来い。
●
「ん、もう大丈夫」
イコルは捕虜達が閉じ込められているコンテナを確認すると、その扉を破壊した。
「……ありがとうございます……」
頭を下げる獣人達は、猟兵達に希望をもらっても尚、その気力は失せているようで。
「……このまま……終わってしまうんでしょうか、俺達は……」
「いいえ」
サーシャの凛とした声が響く。
「まだ、終わりじゃない。あなた達の人生は、これからも紡がれていく。だからこそ、こうして、私が……そして、我々が来た」
「うん。それに……皆、待ってる」
頷くイコルに、ふふ、と馬県は笑みを浮かべる。
「そうとも。そちらの同胞らが心配して、首をながーくして待っておったぞ」
その言葉に、獣人達は、顔を見合わせて。
「……人生は、続いていく……」
「そうだとも。叫んでいただろ、自分で在りたいってよ」
ヌグエンは笑いかけてみせる。
――確かに俺様達に聞こえていたぜ、その声。
「……っ、はい、はい……!」
「だーつ! 泣くのはあとだあと! まだここらは安全じゃないんだから!」
「そうですよ。でも、とっておきの避難所がありますからね」
困ったように笑う猟兵達に、緊張の糸が切れ、そして希望を見た獣人達は、泣き笑いする。
「それじゃあ……歩ける?」
獣人達をいよいよ助け出すために全員が再び行動を開始した。
行った道はある程度安全が確保されている。避難所に戻るのには充分であろう。
●
「もうひとつのコンテナは――」
別働隊に任せていたコンテナの存在に、イコルはインカムを手にする。
「そちらは、どう?」
――オレだよ! ヒカル! 助け出せそう!
ヒカルの声が、インカム越しに響いた。
●
「テメーら、一回空見ろ」
こじ開けたコンテナから獣人達におもむろにそう言った。
空を見上げる。あちこちで起こる火事による煙の中、嫌味ったらしいほどに空は青空で、そして、太陽が見える。
「――広さを刻め。欲したものを忘れんな、テメーらで勝ち取るまでだ。――手伝いはしてやるからよ」
そして、に、と笑ってみせた。
その笑顔は今しがた見た太陽と同じくらい、明るくて。
「――んじゃ、いこっか!」
獣人達は、互いに頷く。その目の光は消えず、その闘志に火を灯す。
戦いは終わらない。このままでは、終われない。
このまま蹂躙されて、たまるものか――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵