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獣人世界大戦⑥〜脱兎の如く

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #F.O.N #スモーキング・ラビット #再送のみ受付


●オデッサに舵を取れ

 グリモアベースに、ネズミを肩に乗せた道化師姿の少女が現れた。
「初めまして紳士淑女のユー達。ミーはサンセット。こちらは相棒のピノキオ。」
 恭しく猟兵たちに自己紹介をしたのはピノキオ・サンセット(ネズミと黄昏の道化師・f41578)。一見すると道化師のサンセットが主、ネズミのピノキオが従に見えるが、実はサンセットは人形であり、ピノキオが操っているのである。勘の良い一部の猟兵はすぐさまそれに気づいたが、とりあえず黙っておくことにした。

「アメリカ合衆国を裏で操るF.O.N.フィールド・オブ・ナイン、その首領であり、オブリビオン・フォーミュラでもある『スモーキング・ラビット』がユーラシア大陸に潜入しました。」
 その言葉にざわめきが起きるが、ピノキオは意に介さず話を続ける。
F.O.N.フィールド・オブ・ナインは大西洋においてゾルダートグラードの潜水艦Uボートを鹵獲していたようで、今回の潜入にもこれが使われています。問題はこれが発見された場所です。」
 サンセットが俯く。
「オデッサ。ワルシャワ条約機構の領内であり、ウクライナ最大の港湾都市。」
 つまり『スモーキング・ラビット』は敵陣の真っただ中に単身突入したのである。しかし、オブリビオン・フォーミュラと言えどそんなこと可能なのか?猟兵たちが頭の中に浮かべた疑問は、ピノキオの言葉であっさりと氷解した。
「オデッサには黒海艦隊が駐留していたのですが、何者かによって壊滅させられました。状況から見て、『スモーキング・ラビット』が単独で行ったものである可能性が非常に高いです。そして、黒海艦隊壊滅により、現在オデッサは混乱の状況下にあります。」

●オペレーション・オデッサ

「幸いなことに、『スモーキング・ラビット』はまだオデッサ市内に留まっています。この機を逃さず倒してしまいたいところですが、そこはオブリビオン・フォーミュラ。一筋縄ではいきません。」
 グリモアが獣人階梯2に相当するであろうウサギ獣人の姿を映し出し、サンセットが人差し指を立てた。
「まず、彼の周辺には常に紫煙が渦巻いています。この煙には非常に強力なユーベルコードの力が込められており、無策で挑めばまず返り討ちに合うでしょう。」
 ピノキオの言葉に猟兵たちも頷く。そしてサンセットが二本目の指を立てる。
「次にその戦闘力。先ほども言いましたが、彼は黒海艦隊をたった一人で壊滅させました。それもどうやら素手で行ったようです。これを絶対的な先制攻撃で放ってくるのですから、対処は必須です。」
 最後に、サンセットが三本目の指を立てる。
「そして最も厄介なのは、『スモーキング・ラビット』自身の哲学です。彼は逃亡を恥と思っていません。戦闘において『勝つ事よりも生き延びる事』を最優先としています。なので、彼を逃がさないような立ち回りをしなくてはいけません。」

●必ず取り戻すと

「最後に、ミーの個人的な話ですが。」
 ピノキオが呟く。
「ミーのいる部隊『クヴァルタル』の座長はウクライナ出身でして。故郷を取り戻す為に今も戦っています。ユー達、ミーの分まで戦って、必ず……勝って……。」
 涙声が混ざるのを堪えながら、グリモアを起動する。
「お願いします。猟兵とウクライナに勝利と栄光を。」


武炎鉄
 こんにちわ、武炎鉄です。2作目でいきなり戦争シナリオなのは我ながらどうかと思いましたが、オデッサと聞いて黙ってられませんでした。

●このシナリオは戦争シナリオなので、1章で完結します。
●OP公開と同時に受付開始します。断章はありません。
●プレイングボーナス:敵の先制攻撃に対処する/敵を逃がさないよう立ち回る。
●なお、プレイングボーナスは両方条件を満たすとさらに有利になります。
●今回は完結を優先させるため、全採用できない可能性があります。なのでオーバーロードは非推奨です。
●連絡事項はタグでお知らせします。

 それではよろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『スモーキング・ラビット』

POW   :    フェイスレス・ラビット
自身が【葉巻を吸っている】間、他者から認識されない。ただし自身の所在を問われたら大声で返事をしなければならない。
SPD   :    アメリカン・ドリーム
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【スモーキング・ラビットの紫煙】に汚染され、レベル分間、理性無き【アメリカン・ドリームの信奉者】と化す。
WIZ   :    スモーキング・ダンディ
体内から常に【紫煙】が放出され、自身の体調に応じて、周囲の全員に【混乱】もしくは【無関心】の感情を与える。
👑11
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日輪・黒玉
狼は兎を狩るのにも全力を尽くすもの
その兎が獅子も屠るというのならば、油断などできませんね
誇り高き人狼として貴様は黒玉が狩ります

隠密に長けた能力……本来なら厄介なのでしょうが
予知によって居ることが分かっている以上、その強さも半減です
やりようはある筈

どこですか、スモーキング・ラビット!
敵の到来を教えると共に奴の居場所を探るために大声で呼びかけます
答えが返ってきた場所を市街の建造物を足場にして立体的な機動で動き回りながら、足を止めず、ひたすら加速
居場所を問いながら捉えにくい動きをすれば、早々敵も攻撃を当てられません

攻撃を外した隙を突いて、全力で疾走
奴の退路を塞ぐように回り込んで蹴りを放ちます


ルナ・キャロット
ダンディ兎…可愛いですねぐへへ…
でもケモノ世界の平和のために!その首いただきます!

う、かわいい顔が見えなく…聞いてた技ですね
ラビット様!どこにいらっしゃいますか!
大声で返事すれば葉巻も吸えないから一旦認識できるはず
おおまかな位置を確認、聞き耳と嗅覚で葉巻の煙の出どころを追って攻撃に備えます
あとはもうほぼ運ゲーで防御ですね。最強ボスならここを攻めてくる!ってゲーム経験を信じて双剣パリィで受け流しを狙い

耐えれたらこちらの番ですよ!
氷の斬撃で周りから囲むように氷竜巻を作っていきます
直接当たらなくても氷デバフで足止めはできるはず
動きが鈍ったら首をクリティカルで切り落とします
ごめんなさい…お仕事なので。



●前方の兎、後方の狼

 何者かによる黒海艦隊襲撃により、オデッサ港周辺は混乱の最中にあった。
「おい!このままだと工場地帯まで燃え移るぞ!早く消防隊を回せ!」
「こっちだって手一杯なんだよ!」
「弾薬庫爆発により負傷者多数!至急医療部隊を派遣してください!」
「しかし大変なことになったな、噂によると単独犯らしいじゃないか?」
「お前ら見せもんじゃねぇぞ!さあ帰った帰った!」
 軍人や民間人が入り乱れる中で、猟兵の存在に気づく者はいなかった。

「ダンディ兎……可愛いですねぐへへ……。」
 グリモアで見た『スモーキング・ラビット』の姿を思い出し、他人に見せるにはちょっと危ないデレ顔を浮かべオデッサ港を歩くのはルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)。重度のケモナーである彼女にとってこの獣人戦線は天国そのものであるが、現在起きている状況は地獄絵図そのものである。そのことを改めて思い起こし、決意を改める。
「でもケモノ世界の平和のために!その首いただきます!」

 同じ頃、空を走るように建物から建物へと飛び乗りながら走る少女がいた。日輪・黒玉(日輪の子・f03556)である。彼女もまた、騒ぎの中心であるオデッサ港へと向かっていた。
 人狼である彼女にとって、本来獲物であるはずの兎が肉食獣を屠るということは脅威、そして『スモーキング・ラビット』が油断ならぬ相手であることを実感させられた。
「誇り高き人狼として貴様は黒玉が狩ります。」
 決意を込め、少女は加速した。

 ルナが少し離れた工業地帯へ足を踏み入れた。火事の煙とはまた違う、葉巻特有の紫煙が辺りに漂う。ピノキオから忠告された『強力なユーベルコードを帯びた煙』の存在を思い出し、咄嗟に愛用の双剣を構えたルナは戦闘態勢に入った。
「なるほど、君が『猟兵』か。」
 紫煙の中から現れたのは、グリモアで見たあのウサギ獣人――『スモーキング・ラビット』その人である。
(現物メチャクチャ可愛いじゃないですかやったー!)
 歓喜の叫びを上げそうになるのを堪えつつ、ルナは戦闘態勢を解かない。

 人狼特有の鋭い嗅覚が、葉巻特有の香りを嗅ぎ付けた。『スモーキング・ラビット』は間違いなくそこにいる。黒玉は方向を変え、工業地帯へと進路を取る。
 煙突と配管が張り巡らされた工業地帯にいたのは対峙する2匹のウサギ獣人。片方は『スモーキング・ラビット』。葉巻を手に悠然と構えている。
 もう片方は双剣を構えている。おそらくあれは猟兵だろう。そう判断した黒玉はユーベルコードを放つべく構えを取った。

「来たか。」
 増援の気配を察知した『スモーキング・ラビット』は葉巻を軽く燻らすと、その煙を辺り一面に振りまいた。まるで手品のように彼の姿は目の前から忽然と消えてしまった。
「う、かわいい顔が見えなく……。」
 軽く本音が出てしまうルナ。
 
 黒玉もまた、『スモーキング・ラビット』の姿を見失ってしまい、ユーベルコードの発動をキャンセルした。
(隠密に長けた能力……本来なら厄介なのでしょうが予知によって居ることが分かっている以上、その強さも半減です。)
 それならば一つ策を試してみよう。敵はおそらくこちらの姿を把握している。恐れることはないのだ。
「やりようはある筈。」
 少女は一度、深呼吸をした。

「ラビット様!どこにいらっしゃいますか!」
「どこですか、スモーキング・ラビット!」
 2人の猟兵の声が響く。
「くっ、ここだ!」
 どこからか『スモーキング・ラビット』の返答があった。ルナは聞き耳を立て、声のする方へ走り出した。それを黒玉も追いかけていく。
 GGOゴッドゲームオンラインでは単なる課金アイテムであったウサミミも、獣の鼻も、獣人戦線では実際に体の一部として機能している。ルナは本当の獣人になった気分であった。
 
 紫煙の匂いが一段と濃くなった。彼はここにいる。2人はそう判断した。
「出てきなさい、スモーキング・ラビット!」
「ここだ!」
 黒玉の声に反応せざるを得なかった『スモーキング・ラビット』の声が響くと同時に、鋭い拳の一撃が飛ぶ。咄嗟に双剣パリィで防御態勢を取り、ダメージを受け流したルナ。ゲーマーとしての経験の賜物である。
 その後ろから黒玉が飛び蹴りを喰らわそうと飛び出すも、今度は『スモーキング・ラビット』がカウンター攻撃を繰り出してきた。黒玉は致命傷こそ回避できたものの、決して少なくないダメージを負った。

 再びユーベルコードを発動し、逃亡を図る『スモーキング・ラビット』。だが、猟兵も決して無策で挑んだわけではないのだ。
「今度はこちらの番ですよ!」
 叫びと共に、ルナの双剣がユーベルコードの光を放つ。
「『最強の基本技』…これもまたやり込みの証です!」
『氷結斬』、それはGGOにおいて聖剣士グラファイトフェンサーの基本技の一つ。氷属性の斬撃を放つシンプルな技であるが、ルナはそれをユーベルコードの域にまで極めたのだ。
 彼女の放つ氷属性の斬撃は極低温の竜巻へと変化し、『スモーキング・ラビット』の退路を塞いだ。そして、氷属性に耐性の無い彼の体は少しずつ凍り付き始めた。

 黒玉は極低温の竜巻を回避しつつ、『スモーキング・ラビット』の死角へ入るべく、配管の壁を駆け上がり、配管から配管へと加速しながら疾走していた。
「どこにいますか!スモーキング・ラビット!」
 居場所を問いかけることで彼のユーベルコードを封じることも忘れない。

 『スモーキング・ラビット』は時折苦し紛れに攻撃を繰り出していたが、やがてそれも彼が氷漬けになるまでの間のことだった。
「いっけええええ!」
 双剣を構えたルナが一気に間合いを詰め、刃を『スモーキング・ラビット』の首に斬りつける。必中かつ確定クリティカル攻撃であり、逃れようのない攻撃である。
 ルナと全く同じタイミングで黒玉がユーベルコードを発動させる。
「私の速さに付いてこられますか?」
 氷漬けの『スモーキング・ラビット』にその声が聞こえていたのかは定かではないが、彼は確かに黒玉のスピードに追い付いていた。だが、それもここまでである。完全に背後に回った彼女は、触れたのものを切断するほどの鋭い蹴りを放った。

 『絶対会心剣』と『黒玉狼の一蹴ダンスマカブル』が『スモーキング・ラビット』の小さな体に命中したのは、ほぼ同時のタイミングであった。

「ごめんなさい…お仕事なので。」
 ルナがポツリと呟いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

仰木・弥鶴
スモーキング・ラビットと遭遇する前に
あらかじめグラビティ・スターライトを起動しておき
放出された紫煙の重力を操作して空気よりも軽くなるように
ヘリウムガスで膨らませた風船が天へのぼっていくのと同じ要領で紫煙を上に飛ばす

逃走阻止に関しては
戦場を白燐蟲の迷宮に変え、徘徊する怪物と共に足止めを
今回は相手を逃がさないことが優先なので
大量に血液を捧げても構わない

ナイフで腕を傷付け、スモーキング・ラビットの逃亡を妨げられるだけの何度の迷宮を用意しよう



●迷宮ウサギ

 話は工業地帯で『スモーキング・ラビット』が猟兵たちと戦闘に突入する少し前に遡る。一人の男が巨大な階段の上に佇んでいた。
「これがかの有名な『ポチョムキンの階段』ですか。」
 興味深げに階段を見下ろすのは仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)である。この階段、上から見下ろせば階段は見えず、踊り場だけが見えるようにできているのだ。余談ではあるが、下から見上げた場合、逆に踊り場は見えず階段だけが続いているように見える。
 オデッサのシンボルでもあるこの階段は、市街地と港を接続するために作られた。つまり、ここから港の様子を見ることができる。火災の煙が激しく立ち上るのがここからでもはっきりと確認できた
 と、港から少し離れた工業地帯からも煙が立ち上るのが確認できた。しかし、どうにも港で発生している火災の煙と様子が違う。もしかして、と弥鶴は判断した。
 弥鶴はドローンを起動させ、周辺にスポットライトを照射した。このドローン『グラビティ・スターライト』はスポットライトを照射した個所の重力を変化させる。事前に重力を変化させ、紫煙を空気よりも軽くなるようにしたのだ。

「くっ、ここにも猟兵がいたか!」
 階段の下から声が聞こえた。もしやと思い、白燐蟲を呼び出しディバインデバイスを起動する。よだよたと階段を上ってきた傷だらけのウサギ獣人の姿を見て、弥鶴は確信する。
「あなたが『スモーキング・ラビット』ですか。」
「ああ、そうだ。」
 弥鶴の問いに答えるや否や、『スモーキング・ラビット』はユーベルコードの力を帯びた紫煙を放とうとした。しかし――。
「何故だ!?今は無風だぞ!?」
 紫煙は弥鶴に向かうことなく、雲のように真っすぐ上昇していく。
「ここの重力を変えたんですよ。ヘリウムガスで膨らませた風船を天へと昇っていくのと同じ要領でね。」
 形勢不利と見るや、『スモーキング・ラビット』はすぐさま逃走を図った。だが、それも弥鶴の計算には織り込み済みである。
「逃がしませんよ!」
 弥鶴はナイフを取り出すと、己の腕を切り付けた。滴る血に白燐蟲が群がる。そしてユーベルコードの力が発動する。弥鶴の血を啜った白燐蟲の群れが迷宮を作り上げ、『スモーキング・ラビット』を閉じ込めた。これが弥鶴のユーベルコード『whiter than whiteホワイター・ザン・ホワイト』である。

「しまった!行き止まりか!」
 白燐蟲の迷宮は単なる迷路ではない。行き止まりに追い詰められた『スモーキング・ラビット』の背後から怪物の群れが迫る。

成功 🔵​🔵​🔴​

イーブン・ノルスピッシュ
敵がこちらへ攻撃してくる事
その攻撃手段にまで目星がついているなら十分だ

ドッグタグの束を強く握り締めると、俺の眼前に壁が立ち上がる
市街を更に複雑に入り組ませたような迷路だ
引っかかれば爆発するような各種ブービートラップは勿論、自分専用の抜け道ウサギ穴も抜かりない
作動した罠が敵の位置を知らせてくれる
混乱という思考力低下では、体の奥底から懇々と湧き上がる復讐の衝動の妨げにはならない
無関心という意識阻害であっても、他に獲物が居なければ同じことだ
榴弾の雨を降らせ爆発に紛れて肉迫
煙を吹き払い、パイルを突き付ける

ここは、かつての俺達の戦場墓場……
貴様の足を落とし、彼ら同胞達への供物にしてやる



●亡霊ウサギ

 同じ頃、市街地にイーブン・ノルスピッシュ(死を焚べて灯る鬼火ゲシュペンスト・イェーガー・f40080)の姿があった。歴史ある建物が並ぶ市街地にはいささか場違いのような、戦場帰りの男は獲物が現れるのを待っていた。
(敵がこちらへ攻撃してくる事、その攻撃手段にまで目星がついているなら十分だ)
 愛用の改造銃を手に空を見上げた。2つの煙が空に漂っていた。

 イーブンが手にしたドッグタグの束を強く握りしめるのと呼応するように、市街地が迷路のようにその姿を変える。彼のユーベルコード『スペクタキュラーの才腕スペクタキュラー・ロウ』の影響である。だが、このユーベルコードの能力はこれだけではない。
 市街地の入り口付近から爆発音が響いた。獲物が現れたのだ。その音を合図にイーブンは走り出した。

 白燐蟲の迷宮を命辛々脱出し、市街地に逃げ込んだ『スモーキング・ラビット』は違和感を覚えた。事前に調査していたオデッサ市街地と何かが異なる。そう、道も、建物も、この街の全てが己に敵意を向けているのだ。
(早く脱出しなければ)
 その焦りが彼から慎重さと注意力を奪った。足元に生じた『カチリ』とスイッチを踏んだ感覚に、下を見れば対人地雷が目に入った。慌てて跳躍し、ダメージこそ受けなかったものの、その爆発音は狩人に己の存在を示すには十分だった。

 侵入者に対し、オデッサの街そのものが牙を剥いた。落とし穴、仕掛け弓、地雷、あらゆる種類のトラップが街中に仕掛けられ、『スモーキング・ラビット』は回避に全力を尽くさねばならなかった。
 そして何より――。
「『スモーキング・ラビット』はお前か。」
 クマやトラといった大型肉食獣と見紛うばかりの体躯に、構えた大型の改造銃。全身から炎の如き気配を漂わせたイーブンが立ち塞がる。傍から見ると獣人階梯の差があるとはいえ、本当に同じウサギなのか疑問に思うほどの並び。まさに『獲物と狩人』である。
 『スモーキング・ラビット』は紫煙を周囲に展開し、文字通り煙に巻こうとした。しかし、イーブンは意に介さず榴弾を雨のように放った。
「無駄だ。」
「何故この紫煙が効かぬ!?」
「混乱も無関心も意味は無い。思考停止如きで俺の復讐衝動が収まると思うな。」
 オデッサ市街地に仕掛けられた罠と抜け道ウサギ穴を巧みに利用し、狙撃を繰り出すイーブン。片や『スモーキング・ラビット』はユーベルコード以外の攻撃手段が打撃のみ。次第に優劣が明白となってきた。
「ここは、かつての俺達の戦場墓場……貴様の足を落とし、彼ら同胞達への供物にしてやる。」
 改造銃に仕込まれたパイルバンカーを突き刺すべく、榴弾の爆発に紛れ一気に距離を詰めるイーブン。それを見た『スモーキング・ラビット』はカウンター攻撃を繰り出すべく、敢えて回避を取らなかった。

 『スモーキング・ラビット』が本当にイーブンとその仲間達の仇なのか、それは本人同士にすら分からない。現状確実に言えることは、イーブンのパイルバンカーが上回ったということだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
F.O.N.いましたね。
ここで逃がすと後が面倒ですから、確実に仕留めておきたいですね。
もう逃がしませんよ。

先制攻撃は【第六感】を活用して回避します。
反撃はヨーヨー『エクリプス』で行います。
ヨーヨーの軌道を【念動力】で曲げることで回避困難にします。
さらにUC【黒鎖刻印】を発動して捕縛します。

トドメはヨーヨーのワイヤーを伝って【電撃】を加えて、
焼きうさぎにしてあげます



●ウサギ追われて何とやら

 猟兵たちから追いかけまわされ、やっとの思いでオデッサ郊外まで辿り着いた『スモーキング・ラビット』。街の外で待機しているF.O.N.フィールド・オブ・ナインの協力者と合流できれば、それも帳消しにできるはずだった。しかし、猟兵は彼を更に上回ってくる。

「F.O.N.いましたね。」
 物陰に潜み、『スモーキング・ラビット』の姿を確認したのは黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)。彼女は先手を打ち、郊外に潜伏していたF.O.N.フィールド・オブ・ナインの協力者を始末していたのだ。
「ここで逃がすと後が面倒ですから、確実に仕留めておきたいですね。」
 摩那は得物のヨーヨー『エプリクス』を手に呟くと、『スモーキング・ラビット』の前に躍り出た。

「ここにも猟兵がいたか!」
 『スモーキング・ラビット』は先手を打つべく、紫煙を振りまいた。煙の中から攻撃を仕掛ける『スモーキング・ラビット』。だが、摩那の第六感が攻撃の飛ぶ場所を告げる。
「そこです!」
 攻撃を回避しつつ、『エプリクス』で反撃を行う摩那。
(ヨーヨーならば攻撃は直線的、回避は十分に可能。存分に惹きつけたところでこちらに飛べば……!)
 だが、『スモーキング・ラビット』は摩那の能力を侮っていた。
「何っ!?ヨーヨーの軌道が変わっただと!?」
 サイキッカーである摩那は己の念動力で『エプリクス』の軌道を曲げ、追尾するようにしたのだ。こうなると最早体力勝負。どちらが先に力尽きるかの問題である。

 逃げ回る『スモーキング・ラビット』の足を、遂に摩那のヨーヨーが捉えた。
 ここまで幾多もの猟兵と戦ってきた『スモーキング・ラビット』は疲労困憊、片や摩那はF.O.N.フィールド・オブ・ナインの協力者を始末した後、ずっとこの場所で張り込んでいたのだ。結果は一目瞭然である
「起動……励起。昇圧、帯電……行きます!」
 摩那の瞳がユーベルコードの光に満たされる。そして『エプリクス』に電撃が走る。電気椅子もかくやの電撃に、『スモーキング・ラビット』の小さな体は焼け焦げる。

 『エプリクス』が摩那の手元に戻ってきた時、そこには小さな黒焦げの焼きウサギが引っ付いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月09日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト