【遺跡発掘】地下遺跡に眠るもの
●
希島創世記の頃からこの地に訪れていたとされる『古代キマイラ』。宇宙人と言われているその種族が造っていたらしい遺跡は彼等からのメッセージと言われている。
過去からのメッセージにどんなことが記されているのか、それは希島の歴史はもちろん、
失われた技術的な観点からも大事な調査の一つだった。
「よし、ここが最後だな。この壁の奥に大きな空間があるはずだ」
探査機の反応を見ながら男が頷く。
希島、自然地区で発見された大きな地下空洞。調査隊は古代キマイラ遺跡と目される大空洞の目前まで到達していた。
●
希島・自然地区のとある地下道で古代のキマイラ遺跡が発見された……のだけど。
「調査隊があわや全滅しかけたんだよね」
錫華がレポートを見ながらそう告げた。
自然地区に見つかった大空洞。そこにあるであろう『古代キマイラ遺跡』の調査に向かった調査隊は、入り口が見当たらない道のりを、トンネルを掘ることで大空洞へ近づいていった。
そしてそのトンネルが最後の壁を破り、ついに大空洞へと至った瞬間だった。内部に大音量の警報が鳴り響いたかと思うと、空洞内に所狭しと並べられていた石柱らしきものが人型へとその姿を変えて動き出したのだ。
「それを見た隊長は即座に撤退を指示。隊員が調査隊が開けた穴から飛び出した直後、無数の光弾が殺到し、炸裂したんだって」
錫華がレポートのページをめくる。
幸いトンネルが崩れることはなく、人型機械も空洞の外にまで追いかけてくる雰囲気はなくて、しばらくしたらまた石柱のようになって動きを止めたということだった。
「それで調査隊はいちど撤退して、改めて文献とかを調べたんだけど、人型機械は【
マシヌ・
デトリア】という、古代キマイラ遺跡で見られるガーディアンロボットらしいんだよね」
【
マシヌ・
デトリア】は侵入者を排除するための防衛機構だから、遺跡の外にはでてこない。けれど動きを止めるには、管理者がコードを入れて解除する以外は、全滅させるしか対処法がないらしい。
もちろん古代遺跡の管理者などもう存在しない。そうなると対処法はひとつしか残っていないのだ。
「そんなわけで、依頼がこちらにまわってきたってことなんだよね。やることはシンプル。
異界人と希人の戦力で【
マシヌ・
デトリア】を殲滅してほしいってことみたい」
ただひとつだけ条件があって、と、さらにページをめくって錫華が続けた。
「空洞の中央に制御用の機械らしきものがあるんだけど、それは壊さないでほしいんだって」
つまり広範囲に影響を及ぼす攻撃方法は使えないということだ。それに地下であり、機械を壊さないという条件な以上、空洞や機械ごと破壊するような威力のありずぎる攻撃でパワープレイというわけにもいかない。
一対多で、しかも削っていくような戦いを意識しないといけないだろう。
「まぁ、することはシンプルなんだけど、ちょっと縛りが多いって感じかな」
みんなならなんとかなると思ってる。レポートをテーブルに置いて錫華がそう締めくくった。
古代キマイラ遺跡になにがあるのか。残されたメッセージから何が解るのか。希島の歴史の解読は
異界人と希人にかかっている――。
すい
ここまで読んでいただきありがとうございます。MSのすいです。
この依頼は、希島・自然地区で発見された古代キマイラ遺跡を護るガーディアン【
マシヌ・
デトリア】との戦闘依頼になります。
希島の歴史をひもとくためにも調査隊に協力し、【
マシヌ・
デトリア】を倒しきりましょう。
みなさまの熱く楽しいプレイング、お待ちしております!
注:この依頼は、【遺跡発掘】の共通題名で括られるフラグ分岐条件の連動シリーズです。
希島を舞台にした三箇所の古代キマイラ依頼をクリアすると新しい「種族」の報酬が出ます。
なお、各MSによるシナリオはどれも内容が独立している為、重複参加に制限はありません。
注2:依頼と報酬の一覧表は以下です。
椿油MS「日常」担当。種族「ネコ」解禁。
すいMS「戦闘」担当。種族「ウォーマシン」解禁。
ヤタ・ガラスMS「お色気」担当。種族「ヒーローマスク」解禁。
【
マシヌ・
デトリア】
●POW
石拳乱打:赤熱させた石の拳を連続で叩きつけて攻撃する。
●SPD
神速抜刀:腰に刷いた石の剣を居合いの要領で抜き打ち、攻撃する。
●WIZ
電磁砲撃:胸部に仕込まれた拡散式電磁砲で相手を攻撃する。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
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リン・ベルナット
アドリブとか大歓迎だよ!
派手に暴れたら駄目な現場だね!分かったよ!
壊しちゃいけないものを守りながら戦うのはヒーロー的にも慣れてるしね!
いつもなら走り回って相手を翻弄!って感じだけど今回は相手の攻撃を迎撃しながら戦っていくよ!
敵の石像はパンチのラッシュで襲ってくるんだよね?それならこっちはUCを使って移動力を代償に攻撃回数を強化したロッドモードのバトンロッドを振り回しまくって敵の攻撃を打ち返していくね!
ロッドモードのバトンロッドは鎧を砕くような打撃力が魅力の形態!これを使って相手の拳を迎撃し続けたら石像の腕を砕くことだってできちゃうかも?
熱いのは根性で我慢しつつ気合を入れて頑張るぞー!
イリスフィーナ・シェフィールド
宇宙人の残したかもしれない遺跡とは浪漫がありますわ。
しかし調査対象があって壊してはいけませんのね。
局所攻撃ならわたくしにお任せですわっ。
というわけでグラヴィトン・ハンマーで
装甲を破った上に自由を奪って1体ずつ粉砕していきますわ。
お邪魔虫にはさっさとご退場願いましょう。
●
地下へ向かうトンネルの先に開かれた穴。そしてさらにその先に広がる地下大空洞。『古代キマイラ遺跡』とされるそこは、見た目には無数の石柱が立ち並ぶ鍾乳洞のように見えなくもない。
だがしかし、実はその石柱一本一本が、【
マシヌ・
デトリア】と呼ばれる遺跡の
守護者なのだ。
「ここから入った瞬間やつらは動き出す。頼んでおいてなんだが、くれぐれも気をつけてな」
調査隊の隊長、と名乗った男が集まってくれた
異界人と希人に声をかけると、
「任せて! 壊しちゃいけないものを守りながら戦うのはヒーロー的にも慣れてるしね!」
リン・ベルナット(スポーツヒーロー・f17042)が相手を安心させるような笑顔で親指をたてながら答えると、その隣にいたイリスフィーナ・シェフィールド(前途多難なスーパーヒロイン。・f39772)も隊長の顔を見て大きく頷く。
「入ったらやつらの最初の攻撃――エネルギー弾に気をつけてな。やばいと思ったら大空洞から出てくればいい」
こいつらは遺跡の
守護者であり、外にいる分には仕掛けてこないからな。
隊長はそう言うと二人をトンネルへと送り出した。
●
二人が大空洞へと飛び込んだ直後、石柱が甲高い駆動音をあげて
守護者として次々と起動し、光るカメラアイを二人へと向けた。
活動を再開した【
マシヌ・
デトリア】は守護者としての役目を全うすべく腹部を輝かせると、無数の光弾が壁に空いた穴を目がけて放たれ、大空洞へと侵入してきたリンとイリスフィーナは、その光の奔流に飲みこまれていく。
激しい破壊音と視界を遮る爆煙が内部で木霊し、トンネルから熱風が噴き上がった。調査隊隊員たちの顔色が一斉に曇る。
しかし煙が収まり、視界を取り戻したトンネル内にはリンもイリスフィーナの姿もなかった。
そして次の瞬間、大空洞内の2ヶ所――トンネルの穴からみてちょうど左右に分かれた場所――で、破砕音が響いた。
左ではリンが伸ばしたバトンロッドを両手で構えて守護者を打ち据え、右ではイリスフィーナが金色のハンマー【
マシヌ・
デトリア】に叩き込んでいる。
二人は大空洞に飛び込んでから【
マシヌ・
デトリア】が起動するまでのほんの一瞬、その刹那にアイコンタクトを交わすと、互いが交差するように大空洞の内部へと飛び込んだ。直後、二人のいた場所へ無数の光弾が炸裂したが、そのときすでにその場所に二人はいない。
壁に沿うように左右に分かれた二人は、瞳を輝かせると、まずひとつ、と目の前にいた【
マシヌ・
デトリア】を打ち倒したのだ。
●
(派手に暴れたら駄目な現場だからね!)
いつもならスピードを活かした戦法を得意とするリンだったが、大空洞とはいえ閉鎖された空間ではそれも難しい。そう判断したリンがとった戦法は――。
リンが両手を振り下ろすと、ロッドモードに変形したバトンロッドが長く伸び、周囲を取り囲んでいた【
マシヌ・
デトリア】が吹き飛ばされ、カメラアイが光を失って動きを止めた。
そして、その隙に、とリンに近づいていた別の【
マシヌ・
デトリア】の拳をバトンロッドの柄で受けると、身体を捻ってバトンロッドの一撃を叩き込む。
そのまま壁を背に横に動きながら、迫る【
マシヌ・
デトリア】を薙ぎ払い、突き倒し、さらに拳を受け流していく。
バトンロッドの威力を活かした、防御からのカウンターの一撃。
リンがバトンロッドを振るう度に、【
マシヌ・
デトリア】の石の鎧は砕けて1体また1体とその機能を停止していく。受けに回ったときの防御の一撃さえ、石の拳を砕くほどの威力だ。
それでも全ての拳を防ぎきることはできなかったけれど、鍛え抜かれた身体とヒーロースーツの防御力は相手の打撃に対し、リンがバランスを崩すほどの威力にはなり得なかった。問題は赤熱した拳だったが――。
(ちょっと熱いのは根性で我慢!)
スーツ越しにも肌を焼く石の拳は、気合いと共にそのオーラがダメージを撥ね除けていく。
あまり派手なことはできない。けれど、その華麗なステップワークと一撃必砕のカウンターでリンは確実に【
マシヌ・
デトリア】の数を減らしていった。
●
(宇宙人の残したかもしれない遺跡とは浪漫がありますわ)
黄金のハンマーを振るいながらイリスフィーナはそんなことを考えていた。
希島の歴史を紐解く鍵となるかもしれない『古代キマイラ遺跡』の遺産とも言うべきシステム。それが今目の前にあり、この依頼が成功で終わればその一端が解析されるかもしれないのだ。
しかしだからこそ、調査対象になる機材を壊してしまっては元も子もない。希島創世という浪漫に繋がる手掛かりを破壊するわけにはいかない。
そんな条件下ではあるが、イリスフィーナにはもちろん勝算があった。自らのオーラで創造したグラヴィトン・ハンマーによる攻撃なら、相手の足を止めつつ装甲ごと破壊していくことができるからだ。
(局所攻撃ならわたくしにお任せですわっ!)
イリスフィーナがハンマーを振り下ろし、目の前の守護者を粉砕すると、その勢いのまま広がっていく重力場が、周囲の【
マシヌ・
デトリア】を大地に縛り付けた。
戦場が一瞬の静寂に包まれる。
瞬間、イリスフィーナの体が翻り、横薙ぎに振るわれたハンマーが動きの止まった守護者に叩きつけられ、石の装甲を砕く。
数体の【
マシヌ・
デトリア】が芥子粒へと還元されて開いたスペースを、イリスフィーナが埋める。
前へと踏み出したことで囲まれる形にはなるが、それも狙い。
ハンマーの重量とダッシュの勢いを、かかとを軸に遠心力に変えると、黄金の円を描いたハンマーが、その軌跡上――イリスフィーナを囲もうとしていた【
マシヌ・
デトリア】を一気に消し飛ばした。
「お邪魔虫にはさっさとご退場願いましょう」
静かに呟きながら、イリスフィーナはまたハンマーを振りかぶった。
後に続く
異界人と希人のための楔を打ち込みながら、リンとイリスフィーナは【
マシヌ・
デトリア】を砕き続ける。
二人の奮闘を前にしても守護者の数はまだまだ多かったが、けれどもその数は確実に減ってきていた。
中央の制御機材から何が出てくるのかは、いまだにまったく解らないままではあるが、戦闘がこのまま進めば希島の秘密に迫れるときも遠くはないだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
コニー・バクスター
コニーのおまかせプレです。
日常か戦闘向け。
【日常系】
「種族」か「ジョブ」を活かした行動描写をお願いします。
レプリカント(種族)が活きる場面は、ロボネタで対応です。
ジョブは、量産型キャバリア(BRR)を操るパイロットです。
ジョブが活きる場面は、キャバリアネタや国防軍ネタで対応です。
学園生の為、学園系シナリオは特に参加歓迎です。
【戦闘系】
戦闘の立ち位置は中衛のスカウトです。
主にキャバリアに乗って戦いますが、本人が戦うのも可。
ナイフ、二丁拳銃、狙撃、偵察等が得意技。
メインで戦う人がいたら役割は補助的です。
逆にメインで戦う場合かソロの場合は中衛攻撃に特化です。
UCお任せ。
アドリブ・連携歓迎。
NG無し。
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大空洞内での爆発が確認されて、数分後。トンネル内に響いている戦闘音に、コニー・バクスター(ガンスリンガー・ラビット・ガール・f36434)は
ブラック・
ラピッド・
ラビットのコックピットで大きく頷いた。
「そろそろかな。コニーもここから参戦だよ!」
力強く声に出して、コニーは愛機を大空洞内に侵入させた。同時に黒兎の耳がくるくると動き、周囲の状況をスキャンするとモニターに情報が表示されていく。
先に突撃を書けた2人に気を取られ、コニーに注意を向ける【
マシヌ・
デトリア】はまだいない。
理想的な状況だ。
コニーは1体の【
マシヌ・
デトリア】に静かに狙いをつけると、トリガーを引き絞る。
重い射出音を響かせて放たれた弾丸が、狙われた【
マシヌ・
デトリア】に命中し、その体を砕いて吹き飛ばした。
「うん、狙い通り☆」
先端を潰したキャップをつけることにより、貫通力を落として打撃力を上げ、跳弾をも防ぐ被帽徹甲弾。
閉鎖された空間内で狙った相手のみを倒す。この作戦のためにコニーが特別に作った弾丸は、十分に満足できる性能を見せてくれた。
もちろんこの攻撃で敵には気づかれてしまった。コニーに近い場所にいた守護者たちが、
ブラック・
ラピッド・
ラビットに真っ赤なカメラアイを向けてくる。
次の瞬間。
初手、大空洞の入り口で轟音を響かせた光弾が、今度は黒兎に向けて放たれた。無数の光が軌跡を描いて
ブラック・
ラピッド・
ラビットを包み込み、再び大きな爆音が大空洞内に響き渡った。
着弾の衝撃に煙が湧き上がることをものともせず、【
マシヌ・
デトリア】たちはコニーと黒兎を潰そうと、拳を真っ赤に燃え上がらせて
ブラック・
ラピッド・
ラビットに迫っていく。しかし――。
複数の轟音と共に、煙の中に入っていった【
マシヌ・
デトリア】たちが煙の外へ次々と吹き飛ばされる。
「残念、幻でした☆」
コニーの声が聞こえたのは、それまで
ブラック・
ラピッド・
ラビットがいた場所とはまったく違う位置からだった。
コニーは最初の射撃の直後、ミラージュユニットを起動して急速離脱していた。
ミラージュユニットは敵の索敵装置に妨害をかけるものだ。機械の目しかもたない【
マシヌ・
デトリア】にはその効果は絶大なものになる。
つまり――今この状態で、コニーと
ブラック・
ラピッド・
ラビットは【
マシヌ・
デトリア】からすれば完全に姿が消えた状態なのだ。
「このまま数、減らさせてもらうよ!」
黒兎の姿を見失い、無防備に背中をさらす守護者をコニーの正確無比な射撃が打ち砕いていく。
それまで無限とも思えた【
マシヌ・
デトリア】も、今では見に見えるほどに数を減らし、その制圧まではあと一歩のところまで迫っているように見えた。
大成功
🔵🔵🔵
シモーヌ・イルネージュ
遺跡を守るカラクリ細工をぶっ潰せばいいんだろ?
そして、範囲攻撃は無し、と。
シンプルでいいね。
しかも、やばくなったら、遺跡の外に出れば追ってこないという話だし。
そんなおいしい依頼は願ってもないよ。
だからと言って正面から殴っていくと、数が多い分だけ面倒だね。
ここはこっそりと潰していこう。
黒槍『新月極光』で戦うよ。
UC【影朧隠爪】を発動して、影に隠れて戦おう。
カラクリがどんな方法でこっちを検知してるかわからないけど、何もしないよりはマシだろう。
居合はサイバーアイの動体【視力】で対応。槍で【武器受け】して防ごう。
うまくいけば、一方的に殴って終われるけど、どうなるかな?
アイ・リスパー
「遺跡のガーディアンロボットですか。
それならば私にお任せ下さい!」
機動戦車のオベイロンをパワードスーツ形態に変形させ遺跡に突撃です!
古代キマイラ遺跡に眠るロストテクノロジーの謎を解き明かしましょう!
「さあ、オベイロン!
全武装のセーフティ解除!
全力攻撃行きますよ!」
『アイ、制御装置は壊さないように言われていますが――』
「ふっ、戦闘に誤射はつきものです。
というわけで、敵を一掃しちゃってください!」
オベイロンに装備されたレーザーガトリングで敵を攻撃です。
さらに特殊トリモチ弾頭に換装したミサイルでロボットの動きを封じてあげましょう。
とどめに荷電粒子砲発射です!
『アイ、射線上に制御装置が――』
「えっ?」
●
異界人と希人たちと【
マシヌ・
デトリア】の戦いは終盤戦へと移行していた。数的にはまだ【
マシヌ・
デトリア】のほうが優勢ではあったが、質の面で圧倒的な
異界人と希人たちの優勢は覆しようも内容に見える。
しかし遺跡の守護者たちが抵抗をやめることはない。それは機械であるが故、降伏の概念がない彼らは最後の一体まで抵抗を続けるだろう。
そしてその最後の一体まで叩き潰さなくてはならない状況に決着をつけるべく、2人の
異界人と希人が大空洞内へと姿を現した。
「シンプルでいいね」
そう言って、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は笑みを浮かべる。
ようは遺跡を守るカラクリ細工を、全部ぶっ潰せばいいのだ。しかもヤバくなったら大空洞――遺跡の外に出れば一時的な回避もできる。それに交渉次第だが傭兵である彼女なら、一体幾らの歩合も期待できる。
真ん中の塔みたいなのを壊せないから範囲攻撃ができないから、戦い方は少し考えなければいけないが、それでもここまでおいしい依頼はそうそうない。
しっかり稼がせてもらおうか。シモーヌはそうつぶやくと、銀の髪をなびかせて大空洞の中へと飛び込んでいった。
「遺跡のガーディアンロボットですか。それならば私にお任せ下さい!」
それに続くのは、パワードスーツ形態に変形させた
相棒を身に纏った、アイ・リスパー(
電脳の天使・f07909)だ。
腕利きの電脳魔術師である彼女は知的好奇心も高い。『古代キマイラ遺跡に眠るロストテクノロジー』という未知なる技術。その謎を解き明かせるかもしれないということもあって、気合い十分で飛び込んでいく。
(……空回りしないといいのですが)
やる気に満ちあふれるアイを見て、オベイロンが一抹の不安を隠せないでいたことは、内緒である。
●
「地に這いし影よ。我に従い我を守れ。
影朧隠爪!」
詠唱と共に【
マシヌ・
デトリア】の中に飛び込んだシモーヌの姿を影が包んだ。不意に周囲の闇に溶けるようにカメラアイから消えたシモーヌに守護者たちのセンサーが混乱をきたし、抜刀された刃がその目標を見失い空を切る。
それとほぼ同時に、一体の【
マシヌ・
デトリア】が前触れなく崩れ落ちた。
二体目、そして三体目、最初の守護者が倒れ込む間に、さらに二体の【
マシヌ・
デトリア】がその機能を停止させられる。
そしてようやくセンサーのモードを変更した四体目の守護者が、闇に揺らめく穂先を認識し――受けきれずにカメラアイの赤い光を消失させた。
それでも、周囲にいる守護者は闇に隠れるシモーヌの姿をセンサーで認識できるようになっていた。居場所を確認した【
マシヌ・
デトリア】の刀がシモーヌに向かって振り抜かれる。
まさに神速ともいえるその抜刀だったが、シモーヌのサイバーアイはその軌跡を正確に捉え、黒壇の柄で受け止めると、刃を視点に槍を跳ね上げ守護者の石の体を両断した。
「さすがにそこまでうまくはいかないか」
一方的に殴って終われるとよかったんだけど。シモーヌはさほど残念そうでもなくそう言うと、にやりと笑いながら、揺らめく光を纏った穂先を次の【
マシヌ・
デトリア】に向けた。
敵を認識できるようになった守護者たちがシモーヌの周囲を取り囲むと、一斉に距離を詰め刀を抜き放つ。
常人では、いやかなりの達人でも見ることが叶わないだろう三方向からの太刀筋をシモーヌはサイバーアイとなによりその肌で感じ取ると、一本を黒槍の穂先で受け流し、もう一本を柄で弾くと、最後の一筋は体を捻って正確に見切ってみせた。
そして躱しきれば、抜刀後の一瞬の隙をシモーヌが見逃すはずはない。
正面二体の体を槍の一薙ぎで砕き倒すと、背後の一体を影の刃がバラバラに切り刻んだ。そしてそのまま――守護者の石の体が砕けて地に落ちる前に――槍を構えて次の【
マシヌ・
デトリア】へと向かっていった。
●
シモーヌに続いて大空洞内に飛び込んだアイは、バーニアを噴かしながら壁に沿うように舞い上がり、眼下の守護者たちを見下ろしていた。
「さあ、オベイロン! 全武装のセーフティ解除! 全力攻撃行きますよ!」
音声コマンドでパワードスーツに内蔵されていた装備の安全装置を解除すると、展開された無数の砲口がキラリと光る。
『アイ、制御装置は壊さないように言われていますが』
オベイロンからの
通信がアイに届くが、
「ふっ、戦闘に誤射はつきものです。というわけで、敵を一掃しちゃってください!」
そこはさらりと受け流して、ウェアラブルモニターに表示された光点をロックしていく。
高性能かつ高精度な
オベイロンがサポートしてながら、なぜ誤射することが前提になっているのか。
オベイロンはそう問いたかったが、いや聞くまい、とそこはすばやく再計算をはじめた。
知ってはいるのだ。アイのドジっ娘
力は計算など容易く上回ってくることを。ただ、サポートAIとして解りたくないだけなのだ。
だから
相棒として最大限サポートした。
広範囲兵器への接続を強制解除すると、ミサイルポッドの弾頭を特殊トリモチ弾頭に換装し守護者の動きを封じた。そこへ制圧用レーザーガトリングで【
マシヌ・
デトリア】にパルスの雨を降らせれば、石の鎧を砕かれた守護者たちの数が見る間に減っていく。
次々に砕け落ちる【
マシヌ・
デトリア】たちを見て、アイがふふり、とドヤる。
「とどめに荷電粒子砲も発射です!」
「アイ……!」
オベイロンの
通信も武器制御も間に合わなかった。腰だめに構えたランチャーに、見る間にエネルギーがチャージされていく。
『射線上に制御装置が――』
「えっ?」
よく見ればアイの真っ正面、直線上に制御装置がそびえ立っていた。
慌ててキャンセルをかけるが、そういうときの行動はだいたい間に合いきらない。もちろん今回も例外にはならなかった。
緊急停止に荷電粒子エネルギーがチャンバー内に逆流し暴走を起こすと、大空洞内に綺麗な花火が散ったのだ。
そんな花火の中心からへろへろと落ちていくアイだったが、落下速度の制御ができているあたり、なんとか意識はあるようだった。
●
いろいろと巻き起こった大空洞内の戦闘ではあったが、その戦闘は終息した。
遺跡と制御装置はは無事、無傷で確保され、いまは調査隊が初期調査を始めている。
この発見からなにが紐解かれるのか、それにはもう少しの時間を有することだろう。
大成功
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