●大命下る
定命の者が知覚しえぬ未知の異空間。そこには多くのデウスエクスが犇めいていた。そこに荘厳なる声が響く。
「ケルベロスの強さはユーベルコードにあらず特務機関DIVIDEにもあらず全ては彼等を支えている民衆の支持によるものだ即ち地球人はひとつの群体と捉えるべきであるそう考えると彼等の最大の弱点即ち群体としての大動脈はインフラストラクチャである地球人は電力水力食糧等グラビティ・チェイン以外にも様々な資源を群体に循環させねば生存できぬ故に汝はこの動脈のひとつ『岩手医科大学附属病院』を破壊せよこれは十二剣神たる我『聖賢者トリスメギストス』の命令である」
かつてブルーアルカディアで聞いた『ベルセルク言語』にもよく似た響きを持って、大命は下された。
●医大病院防衛戦
「はい注目」
グリモアベースに突如として出現した黒板と教壇。その前に一人の女が立った。
「皆さん初めまして、この度新しくグリモア猟兵となりました句坂・野乃(主婦兼アマチュア作家・f41457)です。よろしくお願いします。」
新任教師よろしく後ろの黒板にチョークで自分の名前を書きだした野乃。そして本題を切り出す。
「えー、ケルベロスディバイドにて、デウスエクスが岩手医科大学附属病院を襲撃するという予知がありました。」
岩手医科大学附属病院は岩手県矢巾町にある大学病院だ。2019年に盛岡市から大学と共に矢巾町へ移転してきた。
それに伴い周辺地域では再開発が進み、現在は周辺に商業施設やビジネスホテルなどが建てられ、盛岡のベッドタウンとしても機能しつつある。
「この作戦を立案したのは未だ知られざる『十二剣神』が一柱、『聖賢者トリスメギストス』。名前の通りかなり知恵が回るみたいで。」
野乃は説明を続ける。
「ここが破壊されると現在入院中の患者の命が危ないだけではなく、今後岩手県内で高度な医療を必要とする患者にも影響が出ます。それにここは大学病院、医療従事者の卵も多くいます。彼らに万が一のことがあれば、医療業界の人材不足に拍車がかかることにもなりかねません。」
現在だけではなく、将来すら見越した上で襲撃場所を選んだ『聖賢者トリスメギストス』の悪知恵に野乃は軽い嫌悪感を覚えながらも、言葉を続けた。
「幸いにして襲撃までにはまだいくらか時間があります。こちらからDIVID日本支部に連絡を入れておきましたので、現地にはある程度人員が揃っています。彼らと協力して襲撃までに守りを固めておきましょう。また、医大があるということで医療技術を提供すると喜ばれるかもしれません。」
黒板に地図が張り出された。
「見てもらえばわかると思いますが、近隣にはスーパーマーケットなどの商業施設や住宅地、そして――特別支援学校と中学校があります。こちらも可能な限り被害を減らしてください。連中の目的が医大病院とはいえ、ついでに攻撃していくという可能性は捨てきれないので。」
野乃は黒板に2つの名前を書きだした。
「今回襲撃してくるのは、昆虫型の『下級ローカスト』とその指揮官『伝達者『隠・登駆』』。前者は金属生命体『オウガメタル』と共生し、攻撃手段として使ってきます。『隠・登駆』は螺旋忍軍の一員で、基本的には情報伝達や輸送を担当していますが、それなりの戦闘能力を持ち合わせています。」
野乃の手の中のチョークが輝く。どうやらこれが彼女のグリモアのようだ。
「それでは皆さん、ご武運を。」
武炎鉄
皆様初めまして、武炎鉄と申します。今回がMSとして初めてのシナリオです。
不慣れな点もございますが、精いっぱい書かせていただきます。
●お知らせについてはタグ及びMSページをご覧ください。
●決戦配備をご利用の方はプレイングにその旨記載ください。
●第1章ではDIVID日本支部のケルベロスや地元住民と協力し、敵襲に備えてください。なお、ここでの結果は第2章・第3章に反映されます。
●第2章、第3章の敵については断章にて補足いたします。
●慣れるまで当面の間、クリアできる人数のみ採用します。全採用はできないと思われますのでご了承ください。
第1章 日常
『徹底追究!決戦都市!』
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POW : 攻撃や防御を担う技術をテストしたり、隊員たちとトレーニングしたりする
SPD : 防衛機能の構造について研究したり、改良できるよう技術提供をしたりする
WIZ : 医療や設営など裏方の働きに関する知識を深めたり、より効率化を目指したりする
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●デウスエクス襲撃対策本部
矢巾町役場の会議室には、町役場の職員を中心に岩手県庁、警察、消防、自衛隊、そしてDIVID日本支部に今回の襲撃対象となった岩手医科大学附属病院といった関係機関の人員が一堂に会していた。
「町民の避難状況は?」
「現在医大通を中心に50%まで完了です。移動手段がない高齢者については地元バス会社とタクシー会社の協力も得て、盛岡市内の宿泊施設に受け入れを行っています。」
「入院患者の避難は?」
「岩手県内の他、秋田県や宮城県、青森県など東北全域に協力を求めていますが、なにせこのご時世、自分の所だけで手一杯というところも珍しくない状況でして……。」
報告をする者、報告を受ける者、その両名の心境は一致していた。
『六番目の猟兵』はまだか。
ファルコ・アロー
正直病院も医者も好きじゃねーんですけど、無くなったら困るって事くらいは分かるです。
あ、言っとくですけど注射が怖いとか苦い薬飲めないとかじゃねーですからね!ほんとですからね!
とりあえずボクがここで一番力になれそうなのは輸送ですね。
空輸なら任せろですよ!
戦闘機に変身すれば10人までなら一気に運べるです。
それもマッハ超えで……あーあー大丈夫です大丈夫です、ケガ人や年寄り乗せる時はちゃーんと手加減してやるですから!
でもボクの中でぜってー吐いたりすんじゃねーですよ!
ボクの性能ならちょっとした空間から飛び立てるですし、空には渋滞もないです。
おらおらそこのヘリコプター!
ちんたら飛んでねーで道開けろですよ!
●空の運び手
医局では患者の受け入れ先について苦慮していた。
「先生、広島の総合病院から複数名受け入れ可能との返答がありました!」
「おお!しかし場所が広島となると、ここからヘリで一度花巻空港に輸送してチャーター機に乗り換え、早くても半日がかりの大仕事だ。もっと早く、可能ならここから直接移動できれば……」
「呼んだ?」
現れたのはファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)だ。
「まさか、あなたが噂の『猟兵』ですか?」
どう見ても子供であるその姿に、先ほどまで患者の輸送に頭を悩ませていた医師が確認をする。
「はい!」
ファルコは元々飛行特化型のレプリカントである。ゆえに空輸はお手のもの。そこで患者を直接広島まで空輸する作戦が立案された。
DIVID日本支部の面々は医大前の町道を封鎖し、臨時の滑走路を仕立て上げた。通常の飛行機であれば離発着には足りない距離であるが、ファルコにとっては十分すぎる距離であった。
「こちらも準備できました!」
入院患者の搬送体勢が整った。患者に付き添いの医療スタッフ、患者の家族と合計10名が第一陣として広島へ向かうこととなった。
「改めて確認します。ファルコ様のユーベルコードにて患者を広島空港まで搬送。そこから広島県が手配したドクターヘリで病院まで搬送を行います。ファルコ様と医療スタッフはユーベルコードにて医大前滑走路へ帰還、これを複数回行います。よろしいですか?」
担当者が関係者に確認を行う。
「はい!」
そして患者輸送作戦が始まった。
「ウィングアップ!チェェェェンジ!ファルコン!」
ファルコの体がユーベルコードの光に包まれ、その身体を変化させる。光が消えた時、そこに現れたのは1機の戦闘機であった。
「すごい!」
「どうなってるんだあれ」
医師らは初めて見たユーベルコードに興味をひかれつつ、患者の搬送準備を進めた。10名全員が搭乗し、後は離陸するだけだ。
誘導に従い、ファルコは即席の滑走路から爆音を上げ広島に向けて飛び立った。
「ケガ人や年寄り乗せる時はちゃーんと手加減してやるですから!」
その言葉に嘘はなかった。マッハを超えた飛行速度ではあるが、揺れを感じさせない安定飛行はファルコ自身の腕前といったところだろうか。
「でもボクの中でぜってー吐いたりすんじゃねーですよ!」
「全員酔い止め服用済みですから、そこはご安心を。」
医療スタッフの一人がファルコの不安を取り除いた。
「何故今回我々に協力してくださったのですか?」
道中、医療スタッフの1人が問いかけた。
「正直病院も医者も好きじゃねーんですけど、無くなったら困るって事くらいは分かるです。
あ、言っとくですけど注射が怖いとか苦い薬飲めないとかじゃねーですからね!ほんとですからね!」
ファルコの子供みたいな、というか実際に子供らしい返答に微笑ましさを感じ、場の緊張がほぐれた。
広島空港上空に差し掛かった。地元報道機関のヘリコプターが、岩手から患者を空輸してきたという猟兵の姿を捉えようと待機していた。
「おらおらそこのヘリコプター!ちんたら飛んでねーで道開けろですよ!」
超スピードで飛行するファルコを捉えたものはいないと思われていたが、幸いにして撮影に成功した1枚の写真が翌日の岩手・広島両県の県紙一面を飾った。
その後、ファルコの協力により患者の受け入れ先を全国に広げることで、医大付属病院に入院していた重症患者の避難は大きく進むことになる。
彼女が飛ぶことで救われた命が確かにあったのだ。
大成功
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リカルド・マスケラス
「インフラ破壊とは悪どいこと考えるっすね〜。でも、させないっすよ!」
そう言ってやってきたのは宙に浮かぶ狐のお面
医療技術の提供は異世界の【世界知識】【医術】【メカニック】あたりである程度の知識の提供は可能っすけど、それだけだと時間がかかると思うんで
「患者の治療や手術の予定のある医師やウィッチドクター入るっすか?力を貸すから自分の技術を覚えて欲しいっす」
自分を被ってもらい、治療行為を行ってもらうっすよ。知識で聞くのと実際に体感するのとでは習得度も変わると思うっすし。更にUCで装着者の潜在能力も引き出すっすよ
余裕があれば防衛担当者に【結界術】とかの魔法系の技術も教えたいっすかねー
●異世界医療講座
「インフラ破壊とは悪どいこと考えるっすね?。でも、させないっすよ!」
町民の避難も進む矢巾町に降り立ったのは、リカルド・マスケラス(希望の
仮面・f12160)。
彼は早速町役場へ向かうと、対策本部に医療技術の提供を行いたいと申し出た。
「申し出は大変ありがたいのですが、その、えっと」
対応に当たった職員は困惑した顔で、目の前に現れた宙に浮かぶ狐のお面をまじまじと見つめていた。
「まずどのようにしましょうか?」
「患者の治療や手術の予定のある医師やウィッチドクターはいるっすか?力を貸すから自分の技術を覚えて欲しいっす。」
その言葉を受け、町内に残っていた医学生のほか医師や看護師、それに支援で矢巾町内に入っていたDIVID日本支部のウィッチドクターらが集められた。
「大丈夫かなぁ、アレ」
初めて見るヒーローマスクに一抹の不安を隠せない医学生や医療スタッフたち。幾度も猟兵と組んだ経験のあるDIVID日本支部の面々は流石に慣れた様な顔をしている。
「本日は3件の手術が予定されておりまして、1件は整形外科、残り2件は消化器外科となっています。」
手術室担当の看護師が予定表と患者のカルテをリカルドに見せる。
「ははぁ、なるほどっすね~。ではまずこれからいくっす!」
手術室には本来の執刀医と担当のスタッフの他、見学者も多く立ち会った。それでも手術室に入りきらなかった人員は医大構内の教室からリモート映像で手術の様子を見ることになった。
「そういう設備も充実してるの、流石大学病院っすね~」
説明を聞いたリカルドが感心した様子で呟く。
「時間になりましたので、それではよろしくお願いします。」
執刀医が声をかけた。
「さあ、眠った力を引き出すっすよ!」
その言葉と共にリカルドの体がユーベルコードの光に包まれ、執刀医の顔に装着された。
はじめは固唾をのんで見守っていた見学者たちだったが、手術が進むにつれ、にわかにベテランや中堅といった面々がざわつき始めた。
「おい、あんな術式見たことあるか?」
「手際が早すぎる!しかも丁寧さも損なわれていない!」
「この映像だけで新規論文が書けるぞ!」
「これが『猟兵』、これが異世界の医療技術……。」
盛り上がるベテランたちをよそに、若手や医大生は『目の前で起きていることが凄いのは分かるが、具体的にどう凄いのか分からない』状態に陥っていた。
「映像だけだとピンとこないと思うが、ここは――」
目の前に登壇した教授がいきなり講義を始め、そこでやっと医大生たちはリカルドが行っている手術の具体的な凄さを理解したのであった。
その後もリカルドは予定にあった手術を全てこなし、医療スタッフの能力を引き出したのだった。
「ところで『ディフェンダー』か『キャスター』の担当者ってどこっすかね?こちらも技術提供できるっすよ?」
大成功
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第2章 集団戦
『下級ローカスト』
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POW : ローカストアタック
【手足や武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : アルミニウムブレード
【オウガメタルを刃状にしたもの】が命中した対象を切断する。
WIZ : アルミニウムブレット
【命中と同時に硬化するオウガメタルの弾】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【命中箇所を固める】効果によってその成功率を高める。
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●蟲は蠢く
そしてグリモアで予知された、デウスエクス襲撃の日がやってきた。猟兵やDIVID日本支部、更には関係機関の協力もあり、全町民及び入院患者の避難が完了。町役場に設置されていた対策本部も最低限の人員を残し、機能を盛岡南公園内の野球場に移転した。
夜も明けきらぬうちから多様な報告が飛び交う。
「東北自動車道、盛岡南ICから紫波ICまで全面通行止め完了しました!」
「東北新幹線及び東北本線は本日、終日北上駅での折り返し運転となります」
「北上川沿いの最終防衛ラインはどうなってる?」
矢巾町との境には規制線が張られ、一般人は入れないようになっていた。その前から地元テレビ局のニュース番組が中継を行っている。と、カメラが上空に何かを捉えた。
最初は小さな点だった。だが、その点は次第に数を増やし、やがて朝朱に染まる空を埋め尽くさんばかりの数となった。
「視聴者の皆さん、あれが、あれがデウスエクスです!」
アナウンサーの叫びは、蟲の羽音にかき消された。
ファルコ・アロー
来やがりましたね、デウスエクスども!
ここは空中戦を仕掛けるですよ。
地上まで降りてくる奴をなるべく減らして、街への被害を防ぐです!
そうなると決戦配備はスナイパー!
やろーども!地上からガンガン撃って、連中を近付けんじゃねーですよ!
と、牽制は任せてボクは飛ぶです!
ROCKET DIVE!スタートです!
連中だって手足で攻撃してくる奴が多いみたいですし、ボクが突撃するからって一方的にやられちまう事はねーはずです。
最大戦速で次々ぶつかって吹き飛ばしてやるですよ!
こんなゴキブリやろーは叩き潰してやるのが一番です。
こいつの見た目的にも気分悪ぃですけど……生きて地上に辿り着けると思うんじゃねーですよ!
●天空の迎撃戦
空を埋め尽くさんばかりのデウスエクスの群れに、地上から小さな光が一筋の雲を残し、飛び込んでいった。
「来やがりましたね、デウスエクスども!」
先手を打ってファルコ・アローが得意の空中戦を仕掛けようというのだ。
「やろーども!地上からガンガン撃って、連中を近付けんじゃねーですよ!」
彼女への返答のように、地上からスナイパー部隊の弾丸がデウスエクスの群れに向かって飛ぶ。
「ROCKET DIVE!スタートです!」
音速を超えるスピードで下級ローカストに体当たりを繰り出すファルコ。もちろん下級ローカストどもも黙っているわけがなく、肉体に寄生させている金属生命体『オウガメタル』を硬化させ、手足を武器代わりに攻撃を繰り出す。
ファルコ自身も無傷という訳ではなかったが、下級ローカストの群れは確かに数を減らしつつあった。
「こいつの見た目的にも気分悪ぃですけど……生きて地上に辿り着けると思うんじゃねーですよ!」
「お嬢ちゃん大丈夫かぁ?」
地上で援護射撃を行っていたDIVID日本支部の外装騎兵が空に向かって呟く。
「大丈夫ですよ、ほら」
隣にいたガンスリンガーが指さした先には、弾丸を器用に避け、時には敵を盾代わりにするファルコの姿があった。
大成功
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リカルド・マスケラス
「さあ、みんなで街を守るっすよ!」
有志のケルベロス達の身体に【仮面憑きの舞闘会】で憑依し、身体能力を大幅に引き上げた状態で戦ってもらう。防御系の術式の得意なものに【結界術】で防御してもらい、射撃には【属性攻撃】を乗せて攻撃
「相手のお武器は流動性のある金属。なら、冷気で自慢の流動性ごと固めちゃうっすよ!」
そして【怪力】を乗せた近接攻撃で叩き、連携して戦ってもらう。他にも使えそうな技能があれば使ってもらう
「これでローカストの方はなんとかなりそうっすかね」
リカルド本体はUCの代償で毒や呪縛などを受けるが、キャスターの決戦要請で【浄化】【回復力】の術式をかけてもらい、代償の負担を減らしてもらう
●仮面舞踏会
上空で多くが撃破されたとはいえ、いくらかの下級ローカストは地上に辿り着くことに成功した。彼らは目的である岩手医科大学附属病院の破壊を目指し進む。だが、その行く手に猟兵に率いられたケルベロスたちが立ちはだかる。
「さあ、みんなで街を守るっすよ!」
前線にいた空飛ぶ仮面――リカルド・マスケラスの体がユーベルコードの光に包まれ、いくつもの同じ仮面に分裂したかと思うと、ケルベロスたちの顔に装着された。彼のユーベルコード『
仮面憑きの舞闘会』である。
リカルドの力で能力を引き上げられたケルベロスたちが下級ローカストどもの行く手を阻む。
「まず守りを固めるっすよ!」
巫術士が結界術を発動させた。リカルドがケルベロスたち相手に行っていた鍛錬により、術式の効果が倍増される。
下級ローカストたちは攻撃の通りが悪くなったと見るや、後方に下がろうとした。しかし、そこに外装騎兵やガンスリンガーたちの属性弾が炸裂する。
「相手のお武器は流動性のある金属。なら、冷気で自慢の流動性ごと固めちゃうっすよ!」
氷属性の弾丸は『オウガメタル』ごと下級ローカストどもの動きを封じ、冷気によるダメージをも与えていた。
「こっちも忘れちゃ困るっすよ!」
刀剣士の怪力を乗せた一撃が、下級ローカストを数匹まとめて真っ二つに切り裂いた。
「みんな大丈夫っすか?」
リカルドは事前に決戦配備でメディックを要請していた。事前にリカルドから鍛錬を受けていたウィッチドクターたちが、ユーベルコードの代償である流血の治療に当たっていた。
鍛錬の成果と引き上げられた能力により、リカルドやケルベロスたちの体力は大幅に回復した。
「さあ、まだまだいくっすよ!」
「おー!」
リカルドたちの活躍もあり、地上でのデウスエクスもまた確実に数を減らしつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
キョウコ・フジサキ(サポート)
・基本SPD
・アタシ/お前、気怠い口調
目的達成のためなら手段選ばず
他人の邪魔はしない主義
・シリアス、コメディ、敗北だろうがなんだろうが何でもOK
・最終的に成功すりゃあ満足です
で、アタシは何すりゃいい?
…あー了解(判ってない
愉しめば宜しいってコトで
使えるUCはガンガン使うか
ついでにこいつらも追加
バグらせやすそうな相手にはEXIT
ニンゲン様にはglitchだ
楽しい夢を見なよ、ハニー、ダーリン?
白兵戦には喋々/滔々
アンブッシュはお好み?アタシは大好き
アンタにも好きになってもらう
楽しめるもんは楽しむ
アンタ達目線だけで楽しいコトでも付き合ったげる
アタシが欲しい?くれてやるよ
この命と心以外はね
●矢巾町にニンジャ現る
「おーおー、派手にやり合ってるねぇ。」
医大近くのビジネスホテルの屋上から戦いの推移を見ていたのはキョウコ・フジサキ(おまえがわるい・f42739)である。
彼女はヒョイとビルから飛び降りると、落下際にカサカサと壁をよじ登ってくる下級ローカストをフォトンセイバーで切り裂きつつ、ニンジャらしく見事な着地を決めた。
「はっ!」
下級ローカストの群れにエネルギー体で構成されたクナイを打ち込み爆発を巻き起こすと、今度は爆風に紛れて暗殺を仕掛ける。下級ローカストどもはなす術もなく倒されていく。
「とは言え、やっぱ数多いな……。」
かなりの攻撃を繰り出したはずだが、それでもまだ数の上ではデウスエクスの方が勝っている。
「だったらこれでどうだ!」
キョウコの瞳がユーベルコードの光に満たされる。下級ローカストはそれに怯むことなく襲い掛かるが、背後からの斬撃に倒れた。最期の瞬間、振り返った下級ローカストが見たのは、正面にいたはずのキョウコだった。だが、彼女は瞬間移動したわけではなかったのだ。
ユーベルコード『カゲブンシン・フェノメノン』により、戦場のそこかしこに実体と同じ能力を持ったキョウコの分身が現れた。先ほどの斬撃も彼女の分身が繰り出したものだ。
「よし、これで数の上ではイーブンだな!」
キョウコとその分身たちはそれぞれ刀やクナイを手にデウスエクスの群れに向かっていった。
その後、DIVID日本支部のケルベロスが近くの空き地で爆発四散するデウスエクスの群れを目撃したという。
成功
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雨河・知香
インフラ狙い…いや、確かに有効な手段だ。
デウスエクスなのに何とも地に足のついた作戦じゃないか。
けどそれを通させる程アタシらは甘くないよ!
決戦配備はディフェンダー。
地上に降りてからは散開して病院目指すだろうから隔壁や障壁展開して貰い敵のルートを誘導しつつ抜けの内容に仕留める。
オルテュクスで空からローカストのいる場所へと急行、一気に急降下して飛び降りUC起動して奇襲を仕掛ける。
刃は直に受けぬようにステップで回避、もしくは刃の腹ブン殴って斬撃逸らしつつカウンターで拳を連続で叩き込んでやるよ!
多少の傷は再生できるから大胆に攻めて倒したらオルテュクスに乗って次の敵を潰しに行こうか。
※アドリブ絡み等お任せ
ロビン・バイゼ
大学病院……それこそ、困っている人が、たくさん……いる場所だし、そんな人達を、救おうって頑張ってる人も、大勢、いる場所……襲撃なんて、許せないよ(巨大絵筆握りしめ)
決戦配備……は、よく、分からない……けど……えっと、敵……空から、来てる……?
なら、スナイパーで……まず、地上に降りてくる敵の数を、減らして、もらえない、かな……?
その上で使うユーベルコードはジャッジメントセイバー・レイン
……いないと思うけど、ローカストより邪悪だって自覚のある人、とか……もし、いたら下がって、て。
敵の攻撃は巨大絵筆で【武器受け】【なぎ払い】して受け流し
※連携、アドリブ可
※無表情属性。基本何があっても表情変わりません
●白熊とオラトリオ
時間はデウスエクスの侵攻が始まった時点に少し遡る。
岩手医科大学附属病院から西に県道207号を進んだ先、矢幅駅東口エリアに2人の猟兵が現れた。
「インフラ狙い…いや、確かに有効な手段だ。デウスエクスなのに何とも地に足のついた作戦じゃないか。」
敵ながら感心、といった風情で呟くのは雨河・知香(白熊ウィッチドクター・f40900)。彼女は魔改造を施した
愛機『オルテュクス』を駆り、上空から策を練っていた。
「けどそれを通させる程アタシらは甘くないよ!」
一方、矢幅駅前のロータリーではロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)が空を見上げていた。
「大学病院……それこそ、困っている人が、たくさん……いる場所だし、そんな人達を、救おうって頑張ってる人も、大勢、いる場所……襲撃なんて、許せないよ。」
ロビンは巨大絵筆を握りしめ、決戦配備をオーダーする。
目の前に立ち塞がろうとしていた下級ローカストが力なく落下するのを見て、智香は地上からスナイパーの弾丸が発射されたことを確認した。自分がスナイパーの餌食にならないよう回避を続けながら、彼女は地上のDIVID日本支部に通信を行った。
「こちら猟兵の雨河・知香、ディフェンダーを要請します!町の南側にデウスエクスを誘導するようにしてください!」
デウスエクスどもを町道中央1号線に誘導するように、障壁が展開される。そして知香の駆る『オルテュクス』もまた、街の南側へと向かっていった。
駅周辺にも下級ローカストの群れが出現した。どうやら『病院へ直接向かうのは危険』と判断したようだ。駅周辺には大型スーパーマーケットや高校があり、こちらもまた町の重要なインフラが存在していた。
ロビンは駆けつけた少数のケルベロスたちと共に、巨大絵筆を振るい戦っていた。刃と化した下級ローカストの腕を巨大絵筆で受け止めると、返すようになぎ払った。
「……いないと思うけど、ローカストより邪悪だって自覚のある人、とか……もし、いたら下がって。」
ロビンの言葉に疑問を持つケルベロスたち。それより早くロビンの瞳にユーベルコードの光が宿る。手を空にかざすと、上空に大量の光の剣――その数705本――が現れた。彼が手を振りかざすと同時に光の剣が降り注ぐ。
光の剣に貫かれる下級ローカストの群れ。その一方でケルベロスたちは無傷であった。
「だいぶ、減った……。」
ロビンは一言呟くと、残りのデウスエクスを殲滅すべく巨大絵筆を握り直した。
再開発が進んでいるとはいえ、矢巾町南部は昔ながらの田園地帯が残っている。知香はここなら被害を減らすことができると判断したのだ。
デウスエクスの群れを確認すると同時に『オルテュクス』を急降下させ、飛び降りる。
「さあ気合い入れていくよ!」
知香の体がユーベルコードの光に包まれると同時に、上空に銀色の満月が浮かぶ。勿論昼間のこんな時間に月が出るはずがない。彼女のユーベルコード
『空に輝く活力の銀光』が発動したのである。
下級ローカストを踏みつけながら着地を決める知香に、早速デウスエクスが襲い掛かる。ボクシングの心得がある知香は相手の攻撃をステップで回避するとカウンターパンチを顔面にお見舞いし、そばにいた別の下級ローカストのこめかみに左フックを決め、さらにアッパーパンチを腹部に叩きこんだ。
今度は腕を刃にした下級ローカストが殴りかかってきたが、刃の腹の部分を殴るとカウンターでの連続パンチを叩きこんだ。攻撃に巻き込まれ、田んぼに吹っ飛ばされるものもいる。
多少の傷は負い疲労もそれなりにあるが、銀色の満月の力によりすぐさま回復。圧倒的な腕力により、その場にいたデウスエクスは殲滅された。
「さっ、次に行くよ!」
その場の群れを全て倒したことを確認すると、知香は再び愛機に飛び乗り、次の現場へと飛んでいった。
猟兵たちの活躍により、デウスエクスの群れが全て討伐されたのは昼を過ぎた時間のことだった。
大成功
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第3章 ボス戦
『伝達者『隠・登駆』』
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POW : 螺旋忍法『爆傘(ばくさん)』
自身の【番傘】が触れた対象に【螺旋エネルギー】を注ぎ込み、身体部位をねじ切り爆破する。敵との距離が近い程威力増大。
SPD : 螺旋忍法『攻性植物招来』
【御札】からレベル×6体の【攻性植物】を召喚する。[攻性植物]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。
WIZ : 螺旋忍法『無殺界』
【番傘】から【エネルギー波】を放つ。ダメージは与えないが、命中した対象の感情から【殺意・害意・悪意】を奪う。
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●番傘の少女
猟兵とケルベロスたちの活躍により、岩手医科大学附属病院に攻め込もうとしていたデウスエクスの群れは全滅した。だが、その様子を遠巻きに見ていたものがいた。
「あわわ……あれだけの下級ローカストが全滅だなんて!」
慌てた様子の少女は今回のデウスエクス側の指揮官である『伝達者『隠・登駆』』である。彼女自身は戦闘よりも輸送や伝令といった裏方を得意としており、今回は下級ローカストの数で押し切る物量作戦を選んでいた。
もはや自分が出るしかない。そうでなければトリスメギストス様に合わせる顔がない。彼女は得物である番傘を握りしめると、猟兵たちの前に躍り出た。
リカルド・マスケラス
この判断も死んでも蘇ることができるデウスエクスならではっすかね〜
ケルベロスの一人の体を借りてた戦うっすよ
「デウスエクスの忍法、見せてもらうっすよ」
鎖鎌による【ロープワーク】を巧みに使い、距離を保ちながら番傘に触れないように戦い、鎖に雷などの【属性攻撃】を流し込む
だが、好きを突かれ距離を詰められ、番傘から螺旋エネルギーを流し込まれる
「かかったっすね」
距離をあけられないよう相手を掴み、【忍法・微塵隠れの術】で自爆
「どうっすかね?猟兵の忍法は」
自爆したのはいつの間にかすり替わった分身体で、爆発後に本体が飄々と登場するっすよ
●螺旋vs螺旋
デウスエクス側の指揮官が現れたと聞いて駆けつけてみれば、時代遅れの番傘を手に現れた少女に面食らうDIVID日本支部の面々。だが、すぐにその認識を改めることになった。
「えいっ!」
振り回した番傘が近くのカーディーラーで展示されていた車に触れる。と、いきなり車が大爆発を起こした。これが登駆の操る螺旋忍法『
爆傘』である。
「あの傘に触れるな!」
ガンスリンガーが銃弾を叩きこむも、見た目以上に丈夫な番傘に全て防がれてしまった。
この状況下で、リカルドだけは油断していなかった。
「死なばもろとも、この判断も死んでも蘇ることができるデウスエクスならではっすかね~。」
ある意味感心ではあるが、これは登駆の忠誠心が強いのかトリスメギストスとやらが鬼上司なのか、正直判別しかねる話である。
忍法には忍法、リカルドは近くに居合わせた螺旋忍者の女に体を貸してくれるよう頼んだ。螺旋忍者の女もこの状況にリカルドの依頼を快く引き受け、1体と1人は共同戦線を張ることになった。
「デウスエクスの忍法、見せてもらうっすよ。」
「地球人風情が偉そうに!」
闇雲に番傘を振り回す登駆に、鎖鎌を駆使して間合いの外から攻撃を繰り出すリカルド。元々戦闘が苦手で実戦経験も少ない登駆に対し、歴戦の猟兵であるリカルドとケルベロスとして多くの戦いに参加した螺旋忍者の女。その差は歴然としていた。
鎖鎌が番傘に絡みついた。その瞬間、一気に電撃を流し込む。
「うわあああああああ!!!」
番傘を伝わって登駆にも電撃が襲い掛かる。だが、彼女はそれでも番傘を手放さない。手放してしまえば負けるのが分かり切っているのだ。
攻撃から別の攻撃へ移る瞬間、ほんの一瞬だけ隙がある。戦いの中で登駆は気付いた。賭けるならこのタイミングしかない。体に鞭打ち、全速力で駆けだすと思い切り番傘をリカルドの体に叩きつけ、ありったけの螺旋エネルギーを注ぎ込んだ。
「かかったっすね。」
リカルドがにやりと笑う。意味が分からずポカンとした表情を浮かべる登駆の体を掴むと――。
「さあ、派手に散らせてもらうっすよ!」
2人を中心に大爆発が起きる。ケルベロスたちは爆発の衝撃に耐えるのが精一杯で何が起きたのかまで確認できなかった。
爆心地には巨大なクレーターが現れ、その一番底では登駆が伸びきっていた。あの爆発をかろうじて耐えきってみせたのは流石デウスエクスといったところか。
(あ、空が青い)
ぼんやりとした視界にいきなりにょきっと無傷のリカルドが現れた。
「どうっすかね?猟兵の忍法は。」
「なっ、貴様死んだはずでは!?」
「さっき全力で螺旋エネルギー注いでたアレ、自分の分身体っすよ。」
見事なまでに『忍法・微塵隠れの術』に引っかかった登駆。恥ずかしいにも程があるが、あれにほどんどの螺旋エネルギーを注入してしまい、まともに立つこともできない。
そして彼女は最も肝心なことを忘れていた。猟兵は他にもいるという事実を――。
大成功
🔵🔵🔵
夕闇霧・空音(サポート)
『私の可愛い妹のため…ここはさっさと終わらせるわよ』
サイボーグの咎人殺し×竜騎士。
普段の口調は「クール(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」、覚醒時は「残虐(俺、お前、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。
UDCアース出身で改造された少女。
基本クールだが、妹のことになると色々見境がなくなる。妹ラブ。戦闘時にも強気で戦います。
冷気属性で戦う。
苦戦バトルもOK
真の姿に発動可能であれば使用可。
真の姿発動時は口調が荒くなり、一人称が「俺」になる。
妹の天音はある意味弱点になる。
真の姿発動はお好きに判断してください。
●慈悲なき氷
ほうぼうの体でクレーターから這い出した登駆だったが、そこにもまた猟兵が現れた。
「あなたね?デウスエクスの指揮官は。」
セーラー服に藍色の髪が揺れる少女が問う。
「『そうだ』と言ったら?」
「ここで倒すのみよ。」
少女――夕闇霧・空音(凶風・f00424)が構えを取る。彼女の只ならぬ殺気に登駆もまた、番傘を構えた。
番傘を手に空音を倒すべく駆けだす登駆。だが、空音は「それも織り込み済みだ」と言わんばかりにユーベルコードを発動させる。
「全力で全開よ!フリーズゼロ、ヒューロニアンモード!」
空音の両腕が光に包まれ、超巨大な冷凍光線砲台へと変形する。これこそは異世界の忍者集団『風魔衆』が彼女の肉体に施した改造『最終兵装フリーズゼロ・ヒューロニアンモード』である。移動力を犠牲に破壊力と射程範囲を強化したそれはまさに人間の姿をした砲台。まさに必殺の姿である。
「動けないならこっちのもんよ!」
登駆が一気に距離を詰めた。だが、空音は慌てることなく『フリーズゼロ』のエネルギー充填を続ける。登駆が背後から番傘で殴りかかろうと振りかぶったその時、空音が振り返った。
「え?」
「この姿でも、後ろを振り返ることぐらいはできるわよ?」
空音は事も無げに答えると、『フリーズゼロ』から冷凍光線を発射した。
「さ、寒いよぉ……。」
全身のあちこちが凍り付いた登駆が寒さで震える。
『冷凍光線の直撃を喰らってそれなのか』と『デウスエクスは頑丈だなぁ』の感想が空音の中で交錯した。
成功
🔵🔵🔴
エクレア・エクレール
この世界の侵略者はデウスエクスと言うのか
わしらの世界では「
デウス・
エクス・
マキナ」で「機械仕掛けから出てくる神」となる
エクスで切っては意味が通じぬのじゃが、似たような別の言葉なのかもしれぬな
さて、それはさておき
不老不死の身を持ちながら、破壊と略奪のみを行おうとするとは神の風上にも置けぬ輩じゃ
その性根、叩きなおしてやろう
UCで原初の雷を纏った姿に変身
落雷で敵を打ち据えよう
続いて雷速で接近
地形をも破壊する力で番傘を吹き飛ばす
不老不死ならば、いずれまた現れるかもしれぬな
ならば二度とこの星に来る気がなくなるまで痛めつけてやろう
雷を纏った拳でその身を打ち砕く
●神の雷
少女が一人、凍り付いた登駆を物珍しげに眺めていた。
「この世界の侵略者はデウスエクスと言うのか。」
近くに居合わせたケルベロスの青年に質問をする彼女はエクレア・エクレール(ライトニングレディ・f43448)。出身はヒーローズアースである。
「わしらの世界では『
デウス・
エクス・
マキナ』で『機械仕掛けから出てくる神』となる。
エクスで切っては意味が通じぬのじゃが、似たような別の言葉なのかもしれぬな。」
異世界の話にふむふむと相槌を打つケルベロスの青年。
「そういえば、デウスエクスの中にも機械っぽいものがいますね。レプリカントもそうですし。」
ケルベロスディバイドにおけるレプリカントは元々『
機械兵』と呼ばれたデウスエクスの一種だ。彼らはそれぞれ事情があり、不死性を捨ててまで地球人に協力している。
「一度会ってみたいのう。」
未知なる種族に興味を持つエクレア。世界にはまだ知らぬことが多いと改めて思うのであった。
「無ー視ーすーるーなー!」
氷の中から叫ぶ登駆。
「ここから出せー!」
「出してやるが、その前によーく聞けい!」
登駆の前にピシッと人差し指を突き立てるエクレア。
「不老不死の身を持ちながら、破壊と略奪のみを行おうとするとは神の風上にも置けぬ輩じゃ。その性根、叩きなおしてやろう!」
登駆がデウスエクスであるように、エクレアもまた人間ではない。彼女は元々ヒーローズアースで雷霆を司る神であった。長き眠りから覚めた時、世界を跋扈するオブリビオンとそれを倒すべく戦うヒーローを目の当たりにして猟兵となったのである。
エクレアの頭上に雷が落ちる。間一髪のところで落雷を回避したケルベロスの青年は、黄色と黒のヒーローチックなコスチュームに身を包んだ少女を見た。
「あれが、さっきの子!?」
驚く青年をよそに、今度は氷漬けの登駆に雷が落ちる。落雷の衝撃で氷にヒビが入り、登駆の拘束が解除される。
「あー寒かった……。」
登駆は吐いた息でかじかんだ手を温めると、再び得物である番傘を握りしめた。なお、登駆の反応を見ている限り大したダメージではなさそうに感じられるが、一般的な地球人であればすでに凍死していることを付け加えておく。
「あの傘に触れられると爆発しますよ!」
「心得た!」
エクレアの姓である『エクレール』はフランス語で『稲妻』という意味である。まさにその名に
相応しき電光石火の加速でヒットアンドアウェイを繰り返すエクレア。大地を抉るほどの衝撃を放ちながら繰り出される攻撃に、登駆の番傘が遂に破壊された。
「傘1本壊れたところで我々が諦めると思うな!」
「ならば二度とこの星に来る気がなくなるまで痛めつけるのみよ。」
電撃を纏った拳は登駆の腹を貫いた。
大成功
🔵🔵🔵

雨河・知香
逃げずに出てくるのは覚悟決まってるっていうか…まあそういう価値観になるのかねえ。
けど逆に好都合、きっちり返り討ちにしてやるよ!
決戦配備は切り替えれるならスナイパー要請。
UC起動して銀の満月を空に浮かべ一気にダッシュで飛び込んでいく。
攻性植物の攻撃は掠り傷や生命力賦活ですぐ治せる範囲なら無視して登駆のみを狙い一気に切り崩す!
一々相手しててもキリがないし、向こうにとってもそっちの方が厄介だろう?
隙を見てアッパーで空へと打ち上げたり距離を取ってスナイパーの攻撃をやり易いように立ち回ろうかね。
最後に自棄になって病院壊そうとしてくるかもだからそこは注意して上手く阻んで仕留めようか。
※アドリブ絡み等お任せ
●銀の月が煌めく空に
定命のものと
不死なるものの価値観の差はどこにあるのだろう。それは『やり直し』がどこまで可能なのかという、身も蓋もない事実から来ているのかもしれない。
「逃げずに出てくるのは覚悟決まってるっていうか…まあそういう価値観になるのかねえ。」
智香は感心したような、疑問に思っているような表情を隠さない。
「何を偉そうに……!私はまだやれる!」
登駆の手に番傘はもうない。だが、彼女にはまだ打てる手があった。
「きっちり返り討ちにしてやるよ!」
「それはこっちの台詞だ!」
空を見上げれば銀色に輝く満月。智香のユーベルコード『
空に輝く活力の銀光』の効果はまだ続いていた。
登駆は懐に手を突っ込み、御札を取り出すと智香に向かってばら撒いた。智香は爆発を警戒し全て回避したが、登駆の狙いは別の所にあった。
地面に落ちた御札から攻性植物の群れが召喚される。これこそが登駆の文字通りの切り札『螺旋忍法『攻性植物招来』』である。
「お前たちやっちまいな!」
登駆の命令で攻性植物の群れが一斉に智香に襲い掛かる。
(単体だと弱いけど、数が多すぎる!)
先程まで戦っていた下級ローカストの群れを彷彿とさせる数の暴力。裏を返せば、この切り札ゆえに登駆は数による進軍を選択したといってもいい。
(なら、本体を叩くまで!)
多少の傷はユーベルコードの力で回復できる。それなら思い切って登駆本人に狙いを切り替える。登駆をどうにかできれば攻性植物はケルベロスたちだけでも切り崩せる。智香は攻性植物の群れの中を全力で突っ切り、登駆の前へと躍り出た。
「何っ!?」
「もらった!」
登駆の下顎に智香の右アッパーが炸裂する。小柄な登駆の体が宙に浮かぶと同時に、スナイパーの一斉射撃が叩き込まれる。
だが、登駆は最期まで諦めが悪かった。
「せめて、病院に一撃を」
懐から更に御札を取り出そうとしたところで、智香の右ストレートが胸を貫いた。
岩手医科大学附属病院攻防戦における全ての作戦が終了したのは、本物の月が登る頃であった。
猟兵及びDIVID日本支部の活躍により物的被害は最小限に抑えられ、人的被害に至ってはゼロ。また、異世界の医療技術が持ち込まれたことにより、後に岩手医科大学はその筋の研究において日本のトップを走ることになるのだが、それはまた別の話。
大成功
🔵🔵🔵