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弱者の末路

#クロムキャバリア #ノベル

菫宮・理緒



支倉・錫華




●弱者
 どれほどの時間沈んでいたのだろうか。菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の意識を暗い泥沼から引き上げたのは、頭に浴びせられた冷たさだった。
 薄く瞼を開く。左の前髪に水滴が伝う。周囲の光景はよく見慣れたネルトリンゲンの艦橋と変わらない。人の数が普段よりも多い事を除けば。
 ゆっくりと上体を起き上がらせると節々が痛む。自分が床で寝ていた事に気が付く。なにしてたんだっけ……回らない頭で記憶を辿る。
 依頼を終えて、帰路の途中で艦内に侵入者を検知して、M.A.R.Eのシステムがダウンして、そこから錫華が――。
「錫華さん?」
「ようやくお目覚めかよ」
 同僚の代わりに答えたのは背後から降ってきた知らない男の声。
 反射的に振り向く。気色悪く笑うBDU姿の男が立っていた。服装と頑強そうな体格からして戦いを生業とする手の人間であろう。
 男は一人ばかりではない。似たような服装、似たような体格の何人もの男が理緒を取り囲んで見下ろしているいる。
 憤怒、恨み、下衆めいた笑み……表情は様々だが、男達は皆理緒に対して友好的な感情を抱いていない事は共通しているらしい。
 理緒は霞がかった頭を強引に回転させて状況把握に務める。
 身体は動く。手枷も足枷も無い。外傷も……とりあえず頭以外の痛みは無い。
 ネルトリンゲンへのアクセスは遮断されている。ジャミングというより自分自身が外と切り離されているようだ。
 取り囲む男達は拳銃やナイフ等の武器類を帯びている。そのつもりになればいつでも殺せるのだろうが、まだ生かされているという事は、少なくとも自分の生命には何らかの価値が残されているらしい。どんな価値なのかなるべく考えたくは無いが。
「えーっと……どちら様、かな?」
 招いた覚えの無い来訪者達に理緒が尋ねると、周囲から嘲笑と苛立ちを籠めた声が上がった。
「なんだぁ? ネルトリンゲンの艦長サマはまだ寝ぼけてんのか?」
「いま起きたばっかりだから」
 理緒は余裕の微笑で誤魔化しつつ周囲に視界を巡らせて立ち上がろうとしたが足腰がふらつく。平衡感覚が狂っているらしい。後頭部から広がる鈍痛からして頭を強打されて気を失っていたようだ。
「散々オレ達の仕事をパーにしてくれたんだ。心配しなくてもこれからたっぷり思い出させてやるよ」
 嬉々とした男の言葉の端から推察するに、連中は何かしらの怨恨を抱いているらしい。仕事が駄目になったと言っている辺りからして、いつかの依頼で交戦した敵勢力の残党だろうか。
「ま、てめえらも年貢の収め時ってわけだ」
「錫華さんは?」
 男の一言で錫華の存在も把握されている事を察した理緒が咄嗟に尋ねる。
 すると男達は互いに目を合わせて口角を歪めた。理緒の中で嫌な予感が急速に膨らんだ。
「人に頼む時には態度ってもんがあるよなあ?」
 理緒と男達の間に沈黙が降りる。理緒は男の一人と視線を合わせたままで右手を握りしめた。
「ガルヴォルン流のやり方でいいのか、なー?」
 ユーベルコードで一網打尽にしてやる。全身に巡らせようとした力はすぐに弛緩させざるを得なかった。
「首のそいつ、お似合いだぜ?」
 男が首を締める手振りをした。理緒もつられて首に手を伸ばす。指が冷たい金属に触れた。
「気に入ってくれたか? 猟兵サマと遊ぶために作った特別品でな。お前の相棒にもおんなじ首輪をプレゼントしてやったんだ」
「そうなんだ? 変わった首輪だね?」
 余裕を浮かべていた微笑が緊張で強張る。
「せっかく捕まえたんだ。お礼の最中で暴れられると困るからな」
「外してくれないかな? ちょっとサイズ合ってないみたいで……」
「そりゃ構わんが? だがあの胸のでかい相棒……錫華っていったか? あいつの首から上が吹っ飛ぶぜ?」
 安堵と焦燥が同時に湧き上がった。理緒の目元が歪む。
 薄々予感はしていたがやはり錫華の身は確保されていたらしい。
「因みにオレ達の誰かが死んでも錫華の首がボン! お前が死んでもボン! 錫華が死んだらお前もボンだ。死ぬも生きるも一蓮托生、最高のペアリングだろ?」
 男達の失笑が連鎖する。理緒は直接接触回線で首輪に干渉を試みようとするも寸前で思い留まった。ひょっとしたら干渉が引き金となって錫華の首が文字通り飛ぶかも知れない。相手が嘘を言っている可能性も考えられるが、確かめてみるにはあまりにもリスクが高すぎる。
「すごいねー、お礼は何がいいかな?」
 さっさと要求を言え。露骨に意味を籠めて問う。
「なーにイキってんだよザコメスが。お友達を解放して下さいだろ?」
 一人の男が歩み寄って理緒を見下ろす。
「してくれるの?」
 理緒は頭二つ分近くの体格差に内心を気圧されながらも踏み止まって睨み返す。
「聞いてなかったのか? 態度ってもんを考えろって言ったよな?」
 目線の高さが男と合った。男が片手で首を掴んで持ち上げたからだ。想像以上の膂力に背筋が冷えた。気道が圧迫されて息苦しさに歯を食い縛る。浮いた足が床を探して前後にばたつく。
「気に食わねえ目だ。やっぱ躾が必要か? ああ?」
 理緒の視界の下で硬質な輝きが見えた。男がナイフを抜いたのだ。刃は男の腕ごと理緒の上衣と腹の間に入り込んだ。
「や……!?」
 腹の肌に冷たい金属が触れ、短い悲鳴が喉から飛び出す。
 だが刃が肌に突き立てられるには至らなかった。代わりに布地が縦一直線に引き裂かれた。
 上衣が左右に破れて下着が露わとなる。理緒の中で途端に羞恥心が膨れ上がり、頭で考えるよりも先に身体が蹴りという形で拒否反応を示した。
 すると首を掴んでいた男の腕からいとも容易く解放されてしまった。着地のバランスを崩して尻から倒れ込む。咳き込みながらも胸を腕で庇いつつ後退りする。
「おいおい、足蹴りするのが人様への頼み方なのか?」
 理緒が殺気を籠めて睨むも男は嘲笑で跳ね返す。
「めんどくせぇ……こいつの相棒吹っ飛ばしちまった方がいいんじゃないか? そしたら反省するだろ?」
 周りを囲む男の誰かが声を上げると同調が続く。
「だそうだが、どうするよ? こいつらは気が短くてな?」
 この男達の言葉はどこまでが本当なのか。疑わしくも今は従わざるを得ない。拒絶感を理性で抑圧し、理緒は慎重に口を開いた。
「どうするって、どうすればいいのかな?」
「何度言わせりゃ気が済むんだ? 人にものを頼む時には態度を弁えろ」
 促すようにして男達はにやけ顔を向けてくる。理緒は暫しの沈黙を置いてから息を飲み込み、重く言葉を連ねた。
「錫華さんを、解放して……ください」
 頭を掻き毟りたくなるような屈辱に苛まれるも、唇を噛んで堪える。
「で? お前は代わりに何をくれるんだ?」
 男からの分かり切った問いに益々屈辱感が煽り立てられる。だが一方で妙に冷静な自分がいた。
 相手にとって自分にはまだ価値がある。
 身体を許すだけで錫華の生命は一先ず繋がる。
 感情を制した打算が引き裂かれた上衣の残りを脱がせた。続けてスカートの留め具を外す。衣擦れの音と共にスカートが床に広がり、理緒を覆う布は下着だけとなった。一連のゆっくりとした動作は非常に扇情的に映ったのだろう。男達の獣のような眼差しが更に色濃くなった。
「艦長席に座れ」
 男に言われた通りにおぼつかない足取りで艦長席に腰を下ろす。
 さっさと済ませてしまえ。諦観が宿った理緒の目は誰とも重なっていない。
 これから身体を男共に貪られるが一時の辛抱だ。今優先するべきは錫華の安全。いずれ必ず巡ってくる反撃の機会までのシミュレーションに意識を集中させて、男達が群がってくるのを待っていた。だが男達は気持ち悪いにやけ顔を寄越してくるだけで動こうとしない。笑顔の絶えない職場だなと皮肉を危うく口走ってしまうところだった。
 気が変わったのか? 疑問に眉をひそめると男が尋ねてきた。
「いつまで座ってんだよ? 準備はどうした?」
「準備?」
 男の手が理緒の頭頂部を鷲掴みにする。
「オレ達は客人だろうが。自分の世話を客人にやらせんのか? ああ?」
 頭を締め付ける圧迫感に息を詰めながらも言葉の意味を噛み砕く。
 自分の世話を……要は準備の為に自分で自分を慰めろと。
 察した時の嫌悪が顔に出てしまっていたのだろうか。男の手が頭を離れる。
 錫華を助ける為に今はこうするしかない。そうと自分に言い聞かせた。
 全方位から向けられる好奇の目を意中に追いやり、自身の視線は誰とも交わらせないように床に落とす。
 下着に包まれた胸に右手を伸ばした。胸を覆う手にゆっくりと回転運動を加える。下着越しに微かに感じる先端を転がすようにして。
「ケッ、薄っぺらい胸だな……」
「あっちの女の方を犯りゃよかった」
 苛立つ声をなるべく聞き流し、胸に意識を集中させる。
 最悪の気分だ。しかし自分の態度に錫華の命が懸かっている。男の言葉が全部嘘だという可能性も捨てきれないが、他に取れる選択肢は無い。連中を満足させる事に集中しなければ。錫華を救出するという義務感が手を動かす。
 右手を下着と胸の間に潜り込ませ、中指と薬指で先端を挟み込む。
「ん……ん……」
 手をぎこちなく上下と左右に細かく振動させると閉ざした唇から微かな声が漏れる。気分は最悪でも身体の方は反応してくれるらしい。胸の先端は充血して木の芽のように固くなりつつあった。
 親指と人差し指で先端を摘む。ダイヤルを回すようにして転がしてやると、甘い電流が弾けた。
「あ、く……」
 胸を弄ぶ右手はそのままに、左手を腹から下腹部へと這わせる。上半身と下半身の中間地点に到達すると、ショーツが覆う縦の裂け目を中指の先で一撫でした。
 じわりと拡がった熱に背中がざわつく。指を上下させると同じ感覚が増幅されて繰り返す。
「おっ」
 裂け目から僅かに覗く突起に爪が触れると、喉の奥から声が飛び出して身体が跳ねた。恐ろしくもあり何度でも味わってしまいたくなる甘い痺れ。脳が抑制の信号を発するも指先は止まらない。
「ん、んっ……! お、んっ!」
 爪の先が突起を掻く度に理緒の喉は短い嬌声を奏で、身体が微細な律動を繰り返す。ショーツが湿り気を帯びてくるのが指の肌で感じ取れた。
 次第に表面的な痺れが下腹部の内部へ浸透する。理緒は弾く動作を止めて、人差し指と中指を裂け目に対して垂直に突き立てる。そして凝視しながらゆっくりと押し込んだ。
「うんぅぅぅ……!」
 指先の中程までがショーツごと裂け目に沈み込んだ。幅は極浅いが、押し出された液体はショーツを濡らして変色させるほどの量だった。
「んっ! あ! んぅっ!」
 二本の指先が連続してノックする度に直下の裂け目からは無色の汁が滲み出てくる。ブリッジの中に規則正しい感覚の水音が反響した。
「いつまで遊んでんだよ」
 上下運動を繰り返す指への集中は男の声に遮られた。そこで理緒は身の内から膨れ上がる快楽に夢中になってしまっていた事に漸く気が付いた。熱に浸されていた頭が急激に冷めてゆく。
「相棒を忘れてひたすらマス掻きたぁ酷い女だな?」
 周囲であがった下衆めいた嘲りに理緒の胸中で羞恥が破裂しそうになった。
「準備は終わったんだろうが。なら次はどうすりゃいいか言われねぇと分からんのか?」
「どうって……」
「ファックしてくださいお願いしますだろ?」
 理緒は唇を噛んだ。この男共どうしても尊厳を踏みにじらなければ気が収まらないらしい。だがズボンの膨らみからしてそのつもりにはなっているようだ。少しばかり勝った気分になり、思わず漏らしそうになった失笑を堪えてゆっくりと両脚を開いた。
「わたしを……犯して、ください……」
 屈辱に頭がどうにかなってしまいそうだった。しかし錫華のためという根拠が口を動かしてくれる。
「だそうだが?」
「もう我慢ならねぇ!」
 リーダー格と思しき男が問う。すると観衆の一人が我先にと飛んできた。他の面々は止める様子もないどころか囃し立てたり次の順番を主張する。まるで見世物でも楽しんでいるかのように。比喩ではなく実際にそうなのだろうと理緒は思った。この男達の目的は恐らく金銭などではない。ただ復讐ついでに自分達の欲望を晴らしたいだけなのだと。
「おら! 立て!」
「や……!」
 男に腕を引っ張られて艦長席から引き剥がされる。相当な膂力だ。条件反射で抵抗するも全く意味が無い。そして艦長席を前にして尻を突き出す姿勢を強いられた。ファスナーを下ろす音が聞こえた。ショーツが引きちぎられる。腰の左右を手で掴まれた。逃れようにも完全に固定されてしまっている。
「ちょ、ちょっと待って……」
 怖気に首だけで振り向くと、息を荒くした男が腰を引いた瞬間を目の当たりにした。
 狙いを付けた突進の一撃が閉じた秘裂を無理矢理にこじ開けた。
「あ゙ぐぅっ!?」
 体重と衝撃がねじ込まれ、突き当りを直撃する。内臓が押し出されるような圧迫感と深く重い痛みに理緒は目を見開いて舌を吐き出す。
「やっ……! いきな、りぃっ!?」
 体内を打ち据えた槌が引き抜かれ――かと思いきや寸前でまた一気に突っ込んできた。痛みを伴う衝撃が下腹部から背骨を抜けて頭部にまで達した。視界の中で火花が明滅する。
「ああっ!? んおっ! かひっ!?」
 打ち込みの度に肺の空気が悲鳴となって強制排出される。相手の身を慮るつもりなど微塵も無い、自分本位の身勝手極まりない暴力的な前後の運動。腰を引いて逃れようにも男の両手によって固定されていて叶わない。
「堪んねぇ! この女、胸は貧相だが中は最高だぜ! すげえ締付けだ!」
 理緒には男の声を聞いている余裕など無い。衝撃が体内を震撼させ、痛みが脳を焼く。肉と水がぶつかり合う音、理緒の悲鳴、男共の笑い声がブリッジを満たして異様な空間を生み出していた。
 下がっては押し入ってくるその間隔がだんだんと短くなり始める。男の限界が近い事を察した理緒の表情から血の気が引く。
「待って! それはだ、めぇっ!」
 静止が届く筈も無く、男は抽送の間隔を更に加速させた。それに伴って理緒の悲鳴の間隔も狭まってゆく。男がうめき声を発すると同時に理緒に覆い被さり、内部の奥底へ深く強く押し込む。
「やだ……だめだめだめ! う、ぐぅあっ!? あぁああぁあぁっ!!」
 体内に注入された熱に理緒は絶望染みた断末魔を上げた。
 内部に収まりきなかった劣情が結合部分よりどろりと溢れ出て、更に槌の打ち込みにとどめを刺された秘裂が決壊して透明な汁を噴出させていた。水が床を打ち、二つの体液が混合した液体が両者の足元に水溜まりを広げる。
「あっ、お……! ぉぉ……!」
 中の脈動に合わせて理緒の身体も戦慄く。絶望と恐怖に怒り、そして絶頂に達してしまった屈辱が混沌して頭が朦朧とする。
「ひあっ!?」
 槌が引き抜かれると支えとなっていた男の手が離れる。理緒の足は力なく崩れ落ちた。艦長席の座椅子に仰向けで寄りかかった身体が荒く上下する。喉から息が掠れる音が鳴った。
「艦長さーん? なーに寝ぼけてるんですかー? 次がつかえてますよー?」
「ま……待って……」
 呼吸を整える間も無い。新たな男が仰向けになった理緒の脚の間に割り込んでくる。両手を突き出して拒絶するも、手首を掴まれて床に組み伏せられてしまった。
「おねだりしてきたのはお前の方だろうが!」
 固く熱を帯びたそれが、体重を加えて裂け目に侵入してきた。まだ余韻の最中にある理緒の頭は新たな異物の嫌悪感と痺れる痛みに染め上げられた。
「おおぉぉっ……! 深いぃっ!」
 潰されるようなくぐもった呻めきが押し出された。胎内が窄まって抵抗するも、力任せに侵入してくる肉の槍を止めるには至らず、むしろ壁が吸い付く事で男に性感を与えてしまう。
「おっ!? ふぉ! ひぎゅ! やめ、くるし……いひっ!」
 男は生殖行為とさえ呼ぶのもおこがましい自分の欲求を晴らす為だけの運動を繰り返す。上から打ち下される重い一突きの度に理緒の両脚が跳ねる。
「ぎいっ! ひっ! おっ!?」
 肉と肉がぶつかり合う音が加速し始めると、それがラストスパートだと察した理緒の顔から血の気が引く。
「待って……! 待って待って待って!」
 またしても劣情を流し込まれてしまう。脚を滅茶苦茶に動かして逃れようとするも男の膂力に及ぶはずもない。
「やだ! 抜いて 中はだめっ!」
「そんな暴れんなって! すぐに腹一杯にしてやるから……よ!」
 男が呻くのと同時に下腹部の奥の入り口が強烈な一撃に見舞われた。内臓を殴り付けられた痛みと腹が抉られる快感に理緒は背中を逸らして悲鳴を上げた。
「おぐぅぅうう! ふぉっ! なかぁ……! いっぱい出てるぅぅぅ!」
 下腹部に広がる熱に背筋が震える。男は劣情を吐き出して満足したのか、肉の槍を引き抜いて理緒の脚の間を脱した。栓が抜けた秘裂からは理緒と男の混濁した体液が溢れ出る。
「こいつは極上だぜ。イェーガーのメスってのは股の具合も違うもんなのか?」
「どれ……次は俺が試してやるか……」
 男達が好き勝手な事を言っているがのぼせ上がった理緒の頭にはまるで入ってこない。火花が散る視界の中で男達が見下ろしている。腰を持ち上げられる感覚があったが逃れようにも震える身体に力が入らない。
 あと何人の男を何回相手すればいいのだろう。
 終わりのない絶望に目尻から雫が溢れる。
 だが折れる訳にはいかない。身体をどう蹂躙されようとも、心までは。
 錫華だって同じ目に遭っているかも知れない。なら私も耐えなければ。
 身体が暴力に揺さぶられる最中、錫華の存在だけが理緒の気力を繋ぎ止める鎖となっていた。

●雷電の責苦
 ネルトリンゲン艦内の格納庫には幾つものキャバリアハンガーが並ぶ。そのひとつに支倉・錫華(Gambenero・f29951)は吊るされていた。
 クレーンから降りた鎖と手錠に両腕を縛られ、つま先が床に触れるか触れないかといった高さで宙吊りとなっている。首には理緒と同じ輪が嵌められていた。
 既に衣服は全て剥ぎ取られており、素肌を覆い隠すものは無い。その至宝の肌に刻まれた痣や傷跡からして、目で姦する男達から如何なる辱めを受けたのかは推して知るべしであろう。
「オラッ! 鳴けッ!」
 体格の良い男の拳が錫華の腹部にめり込む。身体がサンドバッグのように揺れる。衝撃が胃にまで達していた事は間違いない。
 されども錫華のきつく結んだ唇から悲鳴は微塵にも滲み出なかった。据えた瞳の色彩も変わらない。
「面白くねぇな」
 臀部に平手打ちを食らわせ、胸の先端を抓って乳房の形が変わるほど引っ張るも、錫華の反応はまるで皆無だった。
「我慢強いな? ならここはどうだ?」
 錫華の秘裂に男が指を捩じ込む。そして指の腹で内壁を抉りながら腕を激しく前後させた。格納庫の天井に粘質な水音が響く。
 錫華の腰が微かに震え、足元に体液の飛沫が落ちる。だが嬌声が上がる事はない。
「少しも鳴きやがらねぇ……強情なメスだぜ。イェーガーのメスはみんなこうなのか?」
 男の指が引き抜かれると、錫華はこの程度ではなと内心で勝利を感じていた。
「なあに、頑丈なメスの方がぶっ壊し甲斐があるってもんよ」
「仕事を邪魔しやがった分はたっぷり懲らしめてやらんとな」
 意気揚々として何やら作業を始めた男達の動きを錫華は目で追う。するとハンガーの配電盤を開き、そこから何本ものケーブルを引き出す。
「だがこいつはどうかな?」
 男達は慣れた手付きでケーブルに嘴状の端子や棒状の端子を接続した。何に使うつもりなのかは察しが付く。錫華は人知れず身に力を籠める。
「精々頑張ってその澄ましヅラをキープしててくれよ?」
 錫華の身体に端子を取り付ける男達が邪悪に嗤う。金属の冷たさが左右の胸の先端を、秘裂から覗く肉の芽を啄む。棒状の端子は秘裂の間に押し込まれた。
「よーし、初めは弱めにいくぞー」
 誰かの合図に続いて棘刺すような痛みが端子に摘まれた局部を苛む。どうって事ない。こんなの気持ち良い位だ。そう思った瞬間だった。
「あっがぁぁあああぁぁぁーーー!!!」
 獣のような断末魔が迸った。
 頭の中をのたうち回る青い電流。全身から脳髄に至るまでを焼き尽くすかの如き激痛。流し込まれた電撃によって筋肉が勝手に反応し、背中を大きく逸らさせて、つま先が限界まで伸び切る。息ができない。
「おいおい、死んじまうぞー」
「悪いな、つい手が滑っちまって」
 唐突に電撃が断ち切られて磔にされていた身体が解放された。酸素を求めて胸が荒く上下する。
「すげー声だったな? もう一回やってみるか?」
 待ってと言おうとするも声帯が声を発してくれない。
「ぎゃあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁッ!!!」
 固く閉ざしていた口は容易く開かれてしまった。その口から自分でもこんな声が出るとは思えない程の絶叫が飛び出す。
「頑張れー、おめーが死ぬと貧乳の艦長さんも死んじまうぞー?」
「がぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁッ!!!」
 見開いた目は瞳孔が窄まり、視界は青白く明滅する電流しか映らない。局部に差し込まれた棒状の端子が内臓に直接電撃を流し込む。腰が痙攣を繰り返し、辛うじて保っていた我慢という堤防が決壊した。
「見ろよ、イェーガー様が漏らしてやがるぜ」
 床を打つ水音に下衆めいた嘲笑が重なる。一度綻んでしまえば後は脆い。錫華の意に反して秘裂は体液を噴出し続ける。
「あおぁぁぁぁぁッ! がひっ! ひぁぁぁぁぁあぁぁッ!」
 電流の責苦も断続的に続く。身体を内部から焼く衝撃に悶絶するも、激痛の向こうに感じてはならない痺れを感じてしまう。痛みから逃避する為の防衛本能が働いているのだろうか? 次第に絶叫に甘い音色が混じり始めた。
「ぎひぃっ! ぐ、ぅぅぅぅ〜!」
 勘付かれてはならないと声を殺す。しかし男達が聞き逃す筈もない。
「なんだこいつ? 感じてんのか?」
「スカしたツラして真性のマゾメスかよ」
 笑い声が気色悪い。電流の責苦が止まると、錫華はぐったりと項垂れて浅い呼吸を繰り返す。呼吸器官が思ったように働かない。
「我慢ならねえ、ブチ犯すわ」
 錫華の状態などお構いなしに男の一人が手を伸ばす。辛うじて動かせる両脚で蹴り退けようとするもまるで力が入らず、簡単に腰を掴まれてしまった。
「お漏らしするマゾメスイェーガーはちゃんと躾けてやらねえとな!」
「あ……お、うぅっ……!」
 侵入してきた剛直が下腹部の奥を打つ。吐き出した嬌声は弱々しい。両手首に枷を嵌められ、宙吊りにされたままの錫華に抗う術は無く、電撃刑に処されて衰弱しきった身体を容赦ない打ち込みが襲う。
「ぁ……お、ぎ……! ふぁ……!」
 電流に苛まれていた内壁は普段以上に過敏となっており、剛直が引かれる度に抉られる感触が、押し込まれる度に削ぎ落とされるような感触が鮮明に感じ取れる。
 不快感と屈辱感と快感がまとめて押し寄せ、頭の中が砂嵐のようなノイズに埋め尽くされてしまう。
「いっ……!? くぅぅ……!」
 胎内が収縮し、背筋を痺れが駆け上って視界で爆ぜる。追って男が呻めく。下腹部を貫く剛直が痙攣して中に熱が充填された。
 秘裂に捩じ込まれていたそれが引き抜かれて男が離れると、クレーンのチェーンブロックが下がり始めた。床に足の裏が付くも、腰が砕けた錫華に立っていられるほどの気力は無い。震える身体はその場に崩れ落ちた。
「いいザマだな? ああ?」
 男の足が錫華の顔を踏み付ける。錫華は虚な瞳で自分を見下ろす男を見た。
 こんな奴を悦ばせてしまったと考えるだけで業腹だった。理緒が奴等の手に落ちてさえいなければ今すぐにでも殺してやりたい。
 けれど止まらなかった。下腹部に溜まる切ない疼きと、心身を内側から焼く電流の痺れへの焦がれが。

●薬漬
 ネルトリンゲンを掌握した賊共に艦橋で陵辱の限りを尽くされた理緒は意識を暗闇に手放した。
 それからどれほどの時間が過ぎたのか定かでは無いが、目を覚ますと艦内の医務室に移動させられていた。
 だが理緒の身を案じて担ぎ込むほどの労りが賊共にあろう筈もない。手術用の椅子に開脚の姿勢で座らせられた身体が、四肢をベルトで拘束されている点からしても明白であろう。
 椅子を中心として左右に配置されたモニターには、椅子に縛り付けられた身体を激しく揺さぶる理緒の映像が流されている。首筋に張られたパッドは電流を流し込むためのものだ。何本も下手な注射を射たれたのか、紫に腫れ上がっている腕が痛々しい。グロテスクに蠢く濡れた肉の洞窟の映像は、産婦人科で使用される器具によって開口された理緒の秘裂だった。
「う……ぐ! んうぅぅ……! ふぅぅうぅ……!」
 医務室内に充満する理緒の呻き声。すると男の一人が近付いてきた。そして理緒の腕に注射針の先端を沿える。
「やだ……! もう許して! 注射いやぁ……!」
 理緒が子供のように泣き喚く。
「気持ちよくなるお薬ですからねー?」
 男は身の毛もよだつ猫撫で声と共に注射針を理緒の腕に突き刺した。注射器の中の青い薬液が全て注入されると針が引き抜かれる。薬はすぐに血流に乗って頭の神経に浸透した。
「い……!? ひっ♡ ほ、おぉぉ……♡」
 理緒の頭の中で白い火花が弾けて消えてを繰り返す。勝手に腰が天井に向かって浮き上がる。椅子の質感、空気の温度までが鋭敏に感じ取れてしまう。
「普通の人間なら二本も射ったら脳みそイカレちまうってのに、イェーガーのメスは頑丈なんだな? もう七本目だぜ?」
「はひっ♡ もういやっ♡ ごめんなさい……♡ 許して……♡」
 男共が言っている言葉を理緒は理解できない。下腹部が切なく疼く。子を宿す宮殿が下っている感覚がある。モニターに映る肉の洞窟は波打つように蠢き、最奥の窄まった穴は物欲しそうに開いては閉じてを繰り返していた。
「だめ……なのにぃ♡ 錫華さんだって我慢、してるからっ♡ ぜったい、こんなの……耐えなきゃっ♡」
 堪えているのに媚びるような声音が出てしまう。塗りつぶされてしまいそうな思考を最後の拠り所で上書きする。だが身体は今も腰を浮かせて突き上げる動作を繰り返している。拡張された肉の裂け目からは、粘性の高い無色の唾液がとめどなく溢れて椅子に滴り落ちていた。
「泣かせるなぁ……そんな友達思いの艦長さんにご褒美だ」
「ひぅんっ♡」
 肉の裂け目を拡張していた器具が引き抜かれると、理緒は腰を震わせて達してしまった。得たいの知れない薬を投与され続けた理緒の身体は、些細な感触にさえも過剰に反応してしまう。
 そんな状態であんなものを挿入されてしまったら――男が取り出したそれを目の当たりにして、理緒の頭から血の気が引いた。
「こいつを知ってるか? 女殺しってやつだ」
 男はそれを理緒の眼の前にまで持ってきてしっかりと見せ付ける。
 男性の生殖器官を摸したらしい器具はまるで杭のような長さと太さだった。返しは肉を削ぎ落とす目的で付けられているのだろう。さらに側面には丸められた棘が無数に生えている。男がボタンを操作すると、杭全体がうねって微細に振動し、棘が回転を始めた。
「ごめんなさい! ごめんなさい! それだけは……! それだけはやめてっ♡」
 壊されてしまう。生存本能が警鐘を鳴らしている。なのに浮いた腰は早く受け入れたいと言わんばかりに前へと突き出されてしまう。
「仕方ねえなぁ……なんて止める訳ねーだろバカメスが!」
 一瞬の不意打ちから躊躇なく打ち込まれた女殺し。
 下腹部の最奥部に叩き付けられた衝撃に、理緒は視界が真っ白になり、そして絶叫した。
「あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙あ゙あ゙ぁ゙!!」
 背中を弓なりに逸らし、女殺しにこじ開けられた秘裂が夥しい量の体液を噴射する。
「おもしれー! ぶっ壊れた水道みたいだぜ!」
「ごめんなさいっ♡ やめてぇっ♡ もう抉らないでぇっ♡ 許してっ♡ もう許してぇぇぇっ♡」
 理緒が絶叫するも女殺しの掘削作業は止まらない。最深部の壁を抉り込み、さらに窄まった奥の穴に無理矢理押し入ろうと円の動きで掘り進む。
「そこだめっ♡ 入らないからっ♡ 壊れちゃう♡ わたし死んじゃう♡」
「大丈夫大丈夫、行けるって。ガキ産む穴なんだから。ほーら」
「お゙お゙ぉ゙っ♡ ごっおぉぉおぉぉぉっ♡」
 骨盤が押し広げられる激痛と共に最も奥底への入口が強引にこじ開けられてしまった。
 内部の柔らかな肉壁を蹂躙する振動とうねり、そして棘が理緒の脳神経を焼き尽くす。結合部分からは破裂した水道管の如き体液の噴出が続き、椅子と床を水浸しにしてしまう。弧を描く背中が背もたれに戻る事はなかった。
「あぁあああぁああぁっ♡ 錫華さんっ♡ わたし我慢しなきゃいけないのにっ♡ 錫華さんだって耐えてるのにっ♡ ぜったい負けちゃだめなのにぃぃぃっ♡」
 濁流となって押し寄せる屈辱と激痛と性感に理緒は断末魔を上げる。細枝の如き理性は今すぐにでもへし折られてしまいそうだった。されども恐らく自分と同じ目で遭っていて必死に堪えているであろう仲間の顔が、理性を辛うじて繋ぎ止めていた。
 絶頂に飛ばされた意識が絶頂に引き戻され、また絶頂に飛ばされる。
 無限に連鎖する光と闇の中でも、理緒は必死に錫華の姿を思い続けていた。

●末路
 ネルトリンゲンの格納庫に媚びた女の嬌声が木霊する。
 屈強な男共で形成された人集りの中心部で、錫華は裸体を曝け出して男に跨っていた。
 下からの突き上げに合わせて身体を上下させる。発汗と男共が吐き出した劣情に塗れた双丘が激しく揺れる。
 氷雪のように冷たい面持ちは熱に惚けて、喉から出るのは鈴を鳴らすように淑やかな声ではなく、与えられた快感に対するざらついた悲鳴。
「イクっ♡ またイクぅっ♡」
「おらいけ! 死ね!」
 電流の責め苦と凌辱による凌辱を重ねられた結果、錫華の身体は壊れ、心は砕けてしまった。耐えるよりも受け入れてしまった方が楽だと。
「ん゙ぶっ!? ん゙ん゙ぅぅぅ~……♡」
 髪を引っ張られ、唇を開かせられ、口腔内に肉の槍を突っ込まれる。吐き出す事も噛みちぎる事も発想すら生まれない。一心不乱にしゃぶりつき、喉まで使って扱き上げる。中で熱い粘液が弾けると、一滴も残さんばかりに吸い付いた後に喉を鳴らして飲み干す。
「んはぁっ♡ わたしも、いっ……くぅ♡」
 意識を焼く白濁に絶頂すると、胎内の痙攣に応じるようにして跨っていた男も劣情を吐き出した。奥底に注入された熱に背筋が震える。
 余韻に浸っている間もなく身体を突き飛ばされた。冷たい床にうつ伏せにされてしまう。だがすぐに腰を持ち上げられた。
「あ、お! おぉ゙ぉ゙っ♡ すごいっ♡ もっと深くっ♡」
 肉の裂け目を押し広げて入ってきた怒張が壁を抉る。快感に獣のような叫びをあげた口は別の怒張によって栓をされてしまった。
 串刺しの格好で暴力的な性感を叩き付けられ、慣れきってしまった錫華の身体は容易く絶頂に達してしまう。男達も欲望をぶちまけると、白濁に汚れた錫華の身体は床に崩れ落ちた。

「あ……あぁ……」
 それらの光景を、理緒はずっと見せ続けられていた。
 全裸のまま連れて来られた格納庫で延々と繰り返される痴態。
 あの錫華さんが男に跨って腰をくねらせている。
 自分から求めにいって……あんな媚びて……わたしはずっと耐えてきたのに。
 気力の抜けた顔で呆然と立ち尽くす。
「こんなのずるいよ……錫華さん……」
 無意識に口から失望が零れてしまう。
「ほら、愛しの艦長サマがお越しだぞ?」
 錫華に群がる男達が退く。錫華の濁った瞳と理緒の震えた瞳が交差する。
「り……お……さん……?」
 朦朧とする意識の中で久方振りに見た仲間の顔は失望に染まっていた。
「錫華さん……」
 やっと会えた仲間の顔は快楽に蕩け切っていた。
「艦長さん、感動のご対面だぜ? 世話してやったらどうだ?」
 囃し立てる賊共の声が理緒には遠くに聞こえた。力の無い足取りで錫華の元に進む。
「ごめんね? でも錫華さんがいけないんだよ?」
 理緒は錫華の前にしゃがみ込み、ぼんやりとした眼差しで見つめる彼女の頬に右手を添えた。
「錫華さんも耐えてるから、わたしも耐えなきゃって……ずっとずっと我慢してたのに……!」
 錫華を抱き寄せて唇にしゃぶりつく。錫華も理緒の抱擁を抱擁で返すと、唇を開いて理緒の舌を受け入れた。
「んっ……! ふ、く……! んんっ!」
 絡み合う唾液音。理緒と錫華は互いに身体をくねらせて擦り合わせる。やがて二人は酸素を求めて互いの唇を離した。
「ごめんね理緒さん、ごめんね?」
 潤う錫華の瞳の中一杯に理緒の泣きそうな顔が映り込む。
「だよな? 理緒ちゃんだけにお薬は不公平だよな?」
「ひぐっ!?」
 男が錫華の首筋に注射器を突き立てた。
「あ……あぁ……!? あぁぁぁ……!」
 錫華の声と身体が震え始める。すると理緒が「大丈夫だから」と抱き寄せた。錫華も理緒の背中に腕を回してきつくしがみつく。両者の腰が上下左右にうねり、狭間から粘ついた水音が生じ始めた。
「んぅ……♡ 錫華さん……♡ 錫華さんっ♡」
 理緒は錫華が突き出した舌先に舌先を絡めながら彼女を押し倒した。なだらかな双丘と豊かな双丘の頂点が擦れ合い、その度に二人の背筋を甘い電流が駆け上って肩が跳ねる。
「理緒さん、ごめん……わたし耐えられなかった……ん、ぢゅ……うぅ♡ んぐ♡」
 錫華は舌先に絡む理緒の舌に吸い付く。そして口腔内に招き入れると理緒から送り込まれる唾液を喉を鳴らして飲み下す。
「んはぁっ♡ ずるいよ錫華さん……わたしにばっかり我慢させて……ふぁ♡」
 錫華に体重を預けた理緒は彼女の胸を揉みしだく。指が沈み込む肉感に少しばかり劣等感が生じた。
「だから一緒に気持ちよくなろ?」
 唇を外して錫華の耳元で甘く囁く。
「うん」
 ほんの短い回答に、理緒の中の最後の線が切れた。
 理緒が上体を起こす。錫華の肩を両手で抑え付けて覆いかぶさる格好になると、腰を上下に大きく動かし始めた。噛み合う肉の割れ目同士が擦れ合い、粘液を掻き回すような音が鳴る。
「んあぁっ♡ なに、これ……♡」
「すごいでしょ? その、おくす……りぃっ♡」
 錫華も理緒の動きに合わせて腰を揺らす。すると割れ目に潜む肉の芽がぶつかりあって理緒の身体が戦慄く。
「こんな、のっ♡ 理緒さん使ってた、なんて……ずるいっ♡ ひぐぅっ♡ だめ、すぐイクっ♡」
「いこ? いっぱいいっちゃおう? 一緒に……一緒、にぃっ♡」
 性感を得たいが為だけに互いが無秩序に腰を動かす。物欲しげに痙攣する割れ目と特に敏感な肉の芽が埋まらない穴を埋めるようにして押し付け擦れ合う。
「イクぅっ! もういっちゃう! いくいくいくっ♡」
 錫華が頭を振り乱して叫ぶ。
「いっちゃえ! いっちゃえ!」
 息を切らせながら腰を振る理緒が声を荒げる。
「い゙っ!? くぅぅぅうぅぅぅッ♡」
「ん゙あぁぁあぁぁっ♡」
 錫華と理緒の絶叫が重なった。二人は同時に背中を大きく逸らして肢体を激しく痙攣させた。視界が白い電光の瞬きに埋め尽くされ、骨盤が急激に収縮する。水の噴射音が迸り、両者が自分の身体の境目に熱い熱を感じた。
「あ……ぁぁ……ふ……♡」
 錫華の反っていた背中が床面に着く。
「すご……いぃ……♡ 止まんない……♡」
 理緒の身体から力が抜けて錫華の身体にしなだれる。腰が痙攣を繰り返す度に水音が鳴り、錫華と理緒を中心に雌汁の水溜りを拡大させていった。
 全身に重くのしかかる疲労感。空洞になっていた心を満たす充足感。二人はのぼせた身体の体温を味わいながら目を交差させ合う。
「錫華さん……♡ んうぅ……♡ ぢゅ、んぅ……♡」
「理緒……さん……♡ ふ、うぅ……♡」
 互いに両手を重ねて握り合い、ねっとりとした動きで舌を絡ませる。
 幸福に浸った余韻。されどもすぐに無粋な割り込みに阻害されてしまった。
「いつまで盛り上がってんだよ!」
 賊の男共に引き剥がされた理緒と錫華。だが舌は離れても手は離さない。
「こいつらこのままファックしてやりゃいいんじゃね?」
 誰かの思い付きに誰かが同調する。錫華と理緒は互いに両手を握りあったまま這う姿勢を強いられ、そして秘裂に怒張を叩き込まれた。
「あぐぅっ!?」
「お゙っ!? 太いいぃっ♡ いっく♡」
 理緒が喉を仰け反らせ、錫華は挿入されただけで裂け目から雌汁を噴出させてしまう。
 二人は胎内を突き込まれ、揺さぶられてもまだ手を離さず、顔を近付けて舌を絡ませ始めた。
「見ろよ! 野郎にファックされながらレズってやがるぜ!」
 男共にとっては相当滑稽な絵面と映ったのだろう。知能指数の低そうな歓声に格納庫が湧く。
「錫華さんっ♡ これ凄いっ♡ こんなのすぐいっちゃ……うぅんっ♡」
「あは……♡ 理緒さんひどい顔して……だ、め♡ またイクっ♡ イクイクっ♡ イクうぅぅッ♡」
 理性の糸が千切れた理緒と錫華の絶頂は止まらない。与えられた暴力的な性感をただ享受し、生殖器官は歓喜に打ち震えて雌汁を垂れ流す。
 肉の洞窟を嬲る杭打ちの拷問に、二人の瞳はとうに色褪せてしまっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年04月13日


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