Happy・Party・Curry
●おなかすいた。
――おなかすいた。
少女の脳を支配するのはそれただひとつ。
目の前の食卓からは食欲を刺激する香ばしい香りがするけれど、少女には無縁のものだ。
そもそも手足が拘束されて、床に転がされているだけの少女には食卓につく手段がない。
両親は楽しそうにお喋りしながらふっくら美味しそうなカレーライスを食べている。
――いいないいないいないいな。おなかすいたおなかすいたおなかすいた。
学校では給食がおなかいっぱい食べられたけど、ええと、そう、春休みになってからはご飯をたまに少しだけしか食べれていなかった。
母が言ったのだ。給食いっぱい食べたから要らないでしょって。
お父さんとお母さんは毎日食べているのに?っていったら殴られた。
――ああ、おなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいた。
――おなかいっぱいたべたい?
――たべたい。たべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたいたべたい。
――じゃあ、いっぱいたべよう?いっしょにおなかいっぱいになろう?
――うん。
頭の中に響いた声に少女は無意識に応えた。だっておなかがすいていたから。
そうして。そうして。
ぶち、ぐちゅ、ぶち、ぐちゅ、ぐちぃ。ぶち、ぶち、ぶちぃ。
ナニモノかの力で拘束から逃れられた少女は、目の前の食卓にたくさん並ぶお肉を貪っていた。
人型できいきい姦しくしゃべる不思議なお肉だったけれど、一番ふっくらしているお腹に齧りついたら黙ったのでそのまま食べた。
ぶち、ぐちゅ、ぶち、ぐちゅ、ぐちぃ。ぶち、ぶち、ぶちぃ。
真っ赤に染まったリビングで少女は久しぶりの晩餐を楽しんだ。おなかいっぱいになるまでたくさん食べて飲んで楽しんで、そうして閃いたのだ。
――美味しいものはわけてあげなきゃいけないっておばあちゃんが言ってたよ。こんなに美味しいお肉があるなら、みんなにも食べさせてあげたいな!
お世話になってる子ども食堂、学校、お友達やお友達のお母さんたちに、いつも美味しいご飯をわけてくれてありがとうございますって!!
●カニバニズムは病気になるからやめようね!
詳しくはクールー病で検索(きらっ)
プリオン病系は汚染された肉の経口摂取で感染するものもあるけれど、どれも症状大体致死だしね。因みにカニバニズム以外でも牛肉(狂牛病発症牛に限る)や鹿肉での感染も確認されているので、鹿肉製品は輸入先が制限されているらしいです。国内では現状、確認されてないけれどどうにも感染していないだけでは?って可能性があるっぽい。怖いね!
とにかく――先のは妙にリアルな再現VTRでした。
モニターの電源を消しながら、グリモア猟兵は眼鏡をかちゃりとあげる。
「そういうわけでとあるUDCを受け入れちゃった女の子が、手始めに子ども食堂でUDC料理を振る舞おうとしているから阻止してちょうだい」
手短に言うとそういうことだが――だけどね、とグリモア猟兵は付け足す。
「いつもなら料理を美味しそうに食べて欲しいところなんだけど、今回は【食べたふりしてバレないように処分すること】をすすめるわぁ。うまーく処理すれば女の子がご機嫌で出てくるから女の子と、そして材料のUDCを処分してちょうだい。あのねぇ、料理に使われてるの人肉なのよぉ……食べたい?」
ちょっと危ないせーへき持っていたり、人外以外の猟兵は大体首を横に振るだろう。
「しかもその人肉ね、ゾンビ肉なのよぉ」
――鮮度やばいやんそれ。絶対、食べたくないのでは?
「丁度ね、子ども食堂を広く知ってもらおうって一般に向けた試食会が開催されるみたいだから、それに参加してちょうだい。UDCがねぇ、それに乗じてお手伝いってことで料理を振る舞おうとしてるのよぉ……そのUDC料理食べちゃうとゾンビになっちゃうみたいだから、間違っても一般の人間の口に入らないようにってUDC職員たちも一般人のフリして参加してくれるわぁ。みーんな事情知ってる人だから犠牲者は現状確認できている数以上は、出ることはないわよぉ。そこは安心してねぇ」
――犠牲者、出てるらしい。
「因みにね、料理はみんな大好きカレーよぉ。あと、女の子はUDCに乗っ取られた時点で既に本人の意識は死んでいるわぁ。UDCが女の子の記憶に準じた振る舞いをしているだけだから、遠慮なくやっつけちゃってねぇ」
ひらり、グリモアの蝶が羽ばたいた。
開けた視界の先は、子ども食堂、というオレンジ色の暖簾が下がった昭和レトロな小さなお店。私服姿の大人たちが開店を待っていた。
なるーん
おはこんちばんわ、なるーんです。
カニバだよ!!
●第一章『日常』
子ども食堂で振る舞われるカレーを【食べたフリしてバレないように処分】してください。
人外以外は食べるのオススメしない。人外だったらいいんじゃないかな。
因みに食べた場合は食レポ書きます。
●第二章『ボス戦』
お手伝いした女の子がるんるんきゃっきゃと出てきるので処してください。
●第三章『集団戦』
材料に使われたゾンビさんを処分しましょう。
以上、ゆるゆるまったり進行します。よろしくお願いします!
第1章 冒険
『UDCダイナー潜入』
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POW : 気合いで全部の料理を食べる
SPD : 他の客や店員にバレないよう、食べているふりをしながら料理を始末する
WIZ : 万一に備え、薬や魔術でUDC食材の危険に対策しておく
👑7
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レン・トリチルヒスト
ゾンビ肉……要は死肉だよな?
死にかけの肉とかまあそういう肉とかもキツネだから行けるし全然食うけど?(グリモアさんの説明にキョトンとするキツネ系男子)
カレーってことはまァ加熱調理はされてるだろ。いけるいける。おじゃましまーす。
うん、ふつーのカレーだな。素朴な感じと言えばいいのか。そんなカレーにこの肉は……合ってるのか? 合ってないのか? わからんけどカレー自体は美味いよ。うん。こういうとこのカレーだからガッツリ肉食えるって感じじゃないのが物足りない感じはするけど。
一応【聞き耳】立てて変な様子とかないか【野生の勘】も併用して調査らしきものもしてみるか。
樂文・スイ
◎▲
人肉かぁ、雑食だからあんま美味くねえと思うんだよなー
違うイミで「喰う」ほうが好きだし俺?
つっても経験ないわけじゃないしゾンビ肉とか興味はあるんで、一口くらいは人生経験ってことで
珍味でもそうじゃなくても、話のタネくらいにはなるっしょ
残りの料理は振舞ってる人らと【コミュ力】【時間稼ぎ】で喋ってごまかしつつ【闇に紛れる】でポイ、と
話術と手癖でなんとかなる気がすっけど、疑われたら指定UCで口説いて意識逸らさせようかね
善行してぇならマトモな手段でな、なんて俺が言っても説得力ないけどさ
●お狐様たちの食卓
「ゾンビ肉……要は死肉、だよな?」
グリモア猟兵の説明を聞いてキョトンと首もとい頭に生えたもっふもふの耳を傾けるのはレン・トリチルヒスト(裂き狐・f40054)だ。ぴくぴくゆらゆらと揺れる耳と尻尾、ぱちくりする瞬きの多さ――仕草で困惑を示す。聞き返されたグリモア猟兵も同じように困惑の仕草。
「そうなるわねぇ……え、え!?まさか」
「死にかけの肉とかまあそういう肉とかもキツネだからいけるし、全然食うけど?加熱調理されてんなら、いけるいける」
何でそんなこと聞くんだ?というレン。なるほど?って顔するグリモア猟兵。奇妙な沈黙が場を支配し、双方見つめ合うこと暫し――。
「さっすがだわぁっ!そこに痺れる憧れるぅうう!!……嘘、憧れはないわねぇ。でもすっごい頼れるわぁ!美味しく食べてぇーいい気分にさせてぇーさくっと処しちゃってぇ!よろしくねぇええ!」
グリモア猟兵はきらっきらに目を輝かせて、満面の笑顔で手を振って、いってらっしゃあああい!ってお見送りした。
そして、見送られた店先には。
「人肉かぁ、雑食だからあんま美味くねえと思うんだよなー……」
立ち並ぶ一般人に混ざってこっそりぼやく樂文・スイ(欺瞞と忘却・f39286)がいた。
「お?」
「あ、」
果たしてこれは合縁奇縁か、此処に狐と狐が奇妙な出会いを果たす。
「おっじゃましまーすっと。ふーん、アンタは妖怪の狐か」
「そうそう。レンくんは狐かぁ。味の好みはちょーっと違うかもねぇー」
「そうだな。でもアンタだってゾンビ肉に興味あるから来てるんだろ?」
「まぁね。違う意味で喰う方が俺は好きだけど、珍味でもそうじゃなくても話のネタにはなるっしょ。一口くらいは人生経験ってことで」
「ふーん、話す相手は選んだ方がいいと思うけどな」
元気よく女の子がお出迎えして開店した子ども食堂。早速と客席につきながら二人は和気あいあいとおしゃべりして料理を待つ。
そんな二人の元にお待たせしました~と女の子が運んできたのは、ごろごろっとお肉が煮込まれた(見た目はただの)牛筋カレーとチキンカレー。ほかほか白米とふんわりルーより香るスパイスの香りがなんとも食欲をそそる。福神漬けやラッキョウは卓上の小さな小瓶よりお好みで。
「人肉っぽくないねぇー」
「うん、ふつーのカレーだな。じゃ、いただきまーすっと」
レンは目の前に置かれた牛筋カレーに、躊躇うことなくスプーンをいれる。ご飯とルーを均等に掬って口に運んで。さて気になるそのお味は――。
もぐり。よく煮込まれた肉はとろり蕩けるように柔らかく。溶けてしまいそうな肉をしっかり一口噛みしめれば、じんわり口内に広がる肉汁。少々の雑味は辛めのスパイスでうまく緩和されており、白米と肉汁、ルーが噛めば噛むほどよく絡む。うん、美味しい。
「家庭的な感じと言えばいいのか、素朴な感じと言えばいいのか。うん、カレー自体は美味いよ。肉は……
腸か二の腕か?多分」
「ふーん。んじゃあ、俺も。いただきますっと」
レンの様子を注意深く観察していたスイも、彼に続いて、しかしてやや慎重気味にカレーを口に運ぶ。肉は食べやすいサイズを一欠けら。ライスとルーを多めに掬い、もぐり、もぐり。
ふむ。肉の食感はしっかりと残しつつ、固さを感じない絶妙加減だ。ルーはレッドカレーなのかスパイスの辛さとトマトの酸味の調和がとれており、これが肉の雑味を感じさせない。ライスともまたよく合う。うん、普通に美味い。
が、スイはそれ以上は箸を進めずにレンの方にそっと皿を押し出した。
「いいのか?丁度、物足りないなぁって思ってたとこなんだけど」
「どーぞ。俺は最初っから一口のつもりだったし?」
「んじゃ、遠慮なく。あ、こりゃあ足の方の肉だな」
レンは遠慮なくもぐもぐばくばく。あ、これも美味いな、とチキンカレーも愉しんだ。
「ところで……アンタ、気付いてるか?」
「そりゃあね」
動物の嗅覚と聴覚。二人にだけ届く匂いと物音は客席より隠れた厨房の方から。
室内を満たすスパイスの香りに僅かに香る、血の匂い。
それに、女の子の楽しそうな鼻歌とおそらく成人した大人何人かの苦しそうなうめき声。
そして。
「あ、肉足りなくなっちゃったね。よいしょーっと」
ぶち、ぐちゅ、ぶち、ぐちゅ、ぐちぃ。ぶち、ぶち、ぶちぃ――肉を引きちぎる音。ごき、ごき、ごきぃ――ああ、これは骨を折る音で。ばしゃり、ばしゃり――これは血だまりを歩く音か。
「ぐつぐつにこんでおいしいカレー。まだまだ、みんなにいっぱい食べてもらおうね!あ、そうだ!」
ゴッ!!――演じられた談笑の隙間からひときわ固い重たい音。
「次は、のうみそ、隠し味に使ってみよーっと!」
お狐様たちの食卓だけ静寂に包まれる。
「………アンタ、ゴミ袋、持ってる?」
スイはテーブルの下からそっとゴミ袋を差し出したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
小綿・たんぽぽ
「きゅいぴぴ、もきゅ! もっきゅぴ!(ご挨拶)」
ぽぽちゃんですの。オトナのレディですけれど、UDCでは小4なのでこども食堂でごはん食べますの。
でもぽぽちゃんの胃袋はちっちゃいので代わりにピスちゃんが食べますの(ユベコ発動!)味覚は共有なのでちゃぁんと味わえますのよ。
もっきゅもっきゅ。
こう見えても【物を隠す】のは得意ですの。この調子で全部平らげますの!
鮮度? 【魔喰】のぽんぽんを甘くみないでくださいまし。
「もきゅぴぴきゅぴいもっきゅもきゅぴっきゅぴきゅぴぴ(早口食レポ)」
鮮度どころかこれは熟成されたお肉のうまみですの。スパイスのお味もしっかり効いてて、こども食堂侮れませんの。
◎▲再送OK
●わくわく!もふもふ!らんちたいむ
例えばここが赤い屋根、白い壁、カントリーなインテリアで飾られたメルヘェンな洋食店だったら、ふわふわ綿毛みたいな小綿・たんぽぽ(嵐を呼ぶふわもこ・f35609)もといぽぽちゃんの可愛さは、まるでぬいぐるみ級だったでしょう!お店のために飾られたぬいぐるみさん、みたいな。
でも、残念!ここは昭和レトロな定食屋。ぽぽちゃんの可愛さはちっとも変わらないけれど、店の雰囲気にはちょっと違和感。まるで、席にぽつんと忘れられてしまったぬいぐるみのような。
まあ、何がいいたいかというと、ぽぽちゃんはとっても可愛い。なんせ相席したUDC職員(女性)がユル顔の古代魚(?)と戯れるぽぽちゃんの愛らしさに、任務なんざ忘れたって如くにメロってて。ぽぽちゃんを、あなたとってもカワイイねぇーよしよし、なんて子ども扱いするものだから。
「きゅいぴぴ、もきゅ!もっきゅぴ!(ぽぽちゃんですの、オトナのレディですけれど!でも、確かにUDCでは小4なのでこども食堂でごはん食べますの)」
ぽぽちゃん、オトナですのよ!なんて訴えみた。だがしかし相席さん、やーんきゅぴぃだってカワイイー!!ってますます騒ぐだけで、まるで話を聞いちゃいなかった。
まあ、そもそもぽぽちゃん、きゅぴぃとしか鳴いてないから話、通じないんだけどね。
そんなこんなでぽぽちゃんがなんか喋る、そして相席さんが黄色い声で騒ぐという双方向の意思疎通は全くなってないけれどきゃいきゃい盛り上がるテーブルに、小さい女の子がお皿を二つ抱えてぽてぽて。お待たせしました!としっかりご挨拶して、美味しそうなカレーを持ってきた。
ぽぽちゃんの前に置かれたカレーはごろごろまあるいミートボールと、ぷるぷるタマゴの黄色がいろどり可愛らしい、スクランブルエッグ&ミートボールトッピングのカレーライスだ。これはキッズに人気が出そう。
相席さんの前にはゴロゴロ野菜の根菜カレー。お肉はひき肉が使われていてヘルシー。女性向けを意識しているのかな。
どちらも見た目や香りは普通だ。うん、どっからどう見ても普通の変哲もないカレー。
「もっきゅっぴぃ!(いただきまーす!)」
早速、ぽぽちゃんはお手手を合わせてご挨拶。だけど、食べるのはぽぽちゃんではないのです!
ぽぽちゃんのお腹は小さいので、食べるのはユル顔の古代魚――そう、ピスちゃん!
ぽぽちゃんの不思議な力で胃袋をオニボウズギス(食べ過ぎて死ぬこともある深海魚だそうだ)同等に変換させたピスちゃんは、目の前のカレーにがぶぅっと食いついた!!
味覚はしっかり共有されているので、ピスちゃんがカレーを食べれば、お味はしっかりぽぽちゃんに伝わる。
ぽぽちゃん、小さなお目目をカっと驚きに見開きまして。
「もきゅぴぴきゅぴいもっきゅもきゅぴっきゅぴきゅぴぴ(鮮度どころかこれは熟成されたお肉のうまみですの!スパイスのお味もしっかり効いてて、こども食堂侮れませんの)」
早口で食レポを始めた!
もっきゅもっきゅ。噛めば噛むほど広がるお肉のお味。ゾンビ肉なんて魔喰のぽんぽんには端から
無問題だけれども、これは美味しい。
カレーと食べることを想定して、スパイスのお味を邪魔しないように味付け薄目のミートボールはその分、肉の旨味が濃厚で。ライスと食べれば肉汁がよく絡み、ご飯が美味しい!カレーと食べれば、お口の中はジューシーな牛カレーのお味に!お肉やスパイスに飽きた頃合いにはスクランブルエッグをぱくりと一口、やさしい甘さにまた刺激が欲しくなる。計算し尽くされたスクランブルエッグ&ミートボールトッピングのカレー!
「もきゅぴぴきゅぴい……きゅぴぴぃい……(こども食堂、本当に侮れませんの……おかわりほしいですの……)」
バキュームのような勢いでピスちゃんが食べてしまうものだから、あっという間に空っぽになってしまったお皿。
相席さんはそれに驚きつつ、うっかり食べてしまわないように、ご挨拶だけして少しずつカレーをゴミ袋に廃棄する。
ピスちゃん&ぽぽちゃん、じぃー……。
「……少しだけだよ?」
どうやらゾンビになってしまうことはないらしいと察した相席さん、スプーンで一口掬ってピスちゃんのお口に放り込む。
「……きゅぴぃ(変なお味するですの)」
口に広がるやたらクリーミーなルーのお味。根菜はしゃきしゃきしていて美味しいのだけれども、スパイスの刺激を求めるぽぽちゃんの味覚にはいまいち合わなかったようで、相席さんにも伝わるようにピスちゃんとそろって首(?)を振る。
「ふふ、ちょっとオトナのお味だったかな?」
――まあ、その根菜カレーは隠し味に使われた部位が、ちょっと、あの、アレだしね!!
相席さんはその愛らしい態度に頬を緩ませて、残りのカレーを遠慮なくゴミ袋に投棄したのだった。
成功
🔵🔵🔴
スノレンツェ・ノレシーン
◎▲
スノちゃん、行っちゃうぞー☆
人肉…それもゾンビ。つまり死肉で腐肉だよね。
……うん、手はあるよ☆
ゼムニェちゃんと一緒に入店するぞ☆
で、ゼムニェちゃんは食べるって。彼女、『大地鬼神』だから…食べたら概念的には土葬でしょ、ど・そ・う!
大々的な火葬(極黒炎蓮華)はまだできないから、まあ今はこれで☆
ゼ「からい…」
感想そっちかー☆
スノちゃんも食べるよ☆
ブラックタールだから、食べてもそうそう影響はないでしょ。消化器官あるかもあやふやだし☆
そ、二人して食べることで、他の人が食べずに廃棄してるのを勘付かれにくくする意味もある☆
食べた以上、弔いの意思はあるよ。スノちゃんたち。
建依・莉々
「このカレーを作ったシェフはどこだー! とってもおいしい♪ じゃんじゃんお替わり、もってきて♪」
ブラックタールだからカニバ可だけど、【ちせーたいはたがいのそんげんをそんちょーする】 コレって食べちゃダメなヤツ! でも、ヒューマンがコレ食べたら大変! だからわたしが全部処したげる。
カレーを褒め「おなかすいてるのにくれるの? ありがとう。うん、おいし♪」と仲良くなり、振る舞い先を自分に集中。ブラックタールの能力と化術で中身がらんどうにし、カレーを詰め込みます。機会を見てトイレで流すを繰り返し、ヒューマンにカレーが回らないようにします。
呟き『ほんとおいし♪ ・・・UDC化前にご馳走して欲しかったな』
●ブラックタールさんたちの食卓
さてさて本日、最後のお客様はおよそこの依頼においてその性質・性能を遺憾なく発揮できるだろう人型の種族のひとつ――ブラックタールさん
たち!!
「よぅし、スノちゃん、行っちゃうぞー☆」
ゼムニェちゃんなる大地鬼神の相棒を連れて食堂の前に訪れたのはスノレンツェ・ノレシーン(不死を愉しむ・f42698)。元気よく片腕振り上げてえいえいおー☆
「よぅし、わたしもがんばるぞー」
そんなスノちゃんの隣のとても低~い位置からまるで真似っこするようなカワイイ声が聞こえる。
「おんや?」
「えへ♪」
スノちゃんは視線をおろした。そこには黒髪のカワイイ女の子がひとり。
建依・莉々(ブラックタールのどろんバケラー・f42718)が愛らしい笑顔を浮かべて、スノちゃんを見上げていた。
ああ、またもや合縁奇縁、ここに奇妙な縁が結ばれる。
「っていう作戦でスノちゃんたちはいこうと思うんだよね☆」
「わたしとおんなじだ!それじゃあ3人いっしょにがんばろー!」
「がんばろー!」
スノちゃんとゼムニェちゃん、莉々は和気藹々とお喋りしながら客席に。作戦はひそひそ話で密やかに。
敢えて相席のUDC職員を外させて、3人で客席の一画を占拠する。
何故ならば3人でいっぱいいっぱい食べて、件のUDCの気をこちらにひかせ、職員たちや他猟兵たちがカレーを廃棄するのを気付かれないようにするためだ。
ブラックタールは消化器官があるかどうかもあやふやだし、人ではないから人肉食べたってOKだけれども。
ちせーたいはたがいのそんげんをそんちょーする、のでうっかり間違って人間の職員さんたちが食べてはいけない。食べさせられても、絶対にいけない。
それにこれは供養でもあるのだ。ゼムニェちゃんは大地鬼神、彼女が食事をすることはつまるところ、弔いだ。鳥に死体の肉を食わせる鳥葬だってあるのだしね。
さて、とっことっこご機嫌に女の子がカレーのお皿を持ってくる。3皿なので往復で。ええっと、ごゆっくりどうぞ!って笑顔を向けて。莉々には見た目は普通のカレーライス、人参は星型にかたどられて可愛らしく。ゼムニェちゃんには野菜たっぷりのキーマカレー、彩り鮮やかで見ていても楽しい。そしてスノちゃんにはとんかつトッピングのカレーだ、うん、とってもボリューミー!
3人はしっかり手を合わせて、いただきます、とご挨拶してから食べ始める。
まずは莉々がぱくりと食べる。ほわっと広がるルーのお味はやや甘め、しかしスパイスの辛さは台無しになってない。甘さと後からじんわり来る辛さがなんとも丁度いいバランスだ。お野菜もよく煮込まれている。ルーに泳ぐ星型人参をスプーンに掬う作業がなんだか楽しくって、ぱくりぱくりと食がすすむ。
「このカレーを作ったシェフはどこだー!とってもおいしい♪じゃんじゃんお替わり、もってきて♪」
女の子は厨房からぴょっこり顔を覗かせて、輝くばかりの笑顔を見せる。わたわた急いでお替わりを持ってきて。
「ありがとう。うん、おいし♪」
「えへへ、ありがとう。いっぱい作ったから、お替わり、いっぱいどうぞ」
お替わりの度に女の子と莉々が仲良くお喋りするかたわらで、スノちゃんとゼムニェちゃんもカレーをもぐり。
キーマカレーはひき肉がたっぷり使われていて、お肉の美味しさがしっかり感じられる。野菜と肉、ルーに使われてるトマトの酸味がなんとも旨味のハーモニー!美味しい、けれど。
「からい……」
「感想そっちかー☆」
お水をくぴり飲むゼムニェちゃん。スノちゃんはすこうし苦笑しながら、まずはとんかつを食べてみた。
さくり、じわぁあ。衣は噛むのが楽しくなるくらいサックサク☆お肉は厚くてとってもジューシー!辛めのルーに絡めてとんかつを食べてみれば、またガラリと風味がかわる。これは食べるに飽きさを感じさせない。
3人でカレーの感想を述べて食卓を盛り上げながら、そして時折、莉々が――体内にため込んだカレーを処分するために――席を外すなどして少し目立つ行動をして気を引きながら、次々とカレーを処分していく。
何度目かのお替わりの最中、莉々がぽそり。
「ほんとおいし♪……UDC化前にご馳走して欲しかったな」
「うん、そうだねー」
スノちゃんがそれに相槌を打つ。
嗚呼、本当にね。
彼女の身体を乗っ取ったUDCは彼女の記憶をなぞらえて行動している、とグリモア猟兵は言っていた。
だからきっと料理の知識は、本来の彼女のものなのだ。あらゆる当たり前のような幸運に恵まれていたら、きっと彼女はお料理が大好きで家事手伝いをよくする子だったのだろう。
だけどね、そんな未来はあらゆる当たり前のような不運によって、もう、なくなってしまったんだよ。
もう、そんな未来は来ないのだ。だってね、ほら。
「いっぱい食べてくれてありがとうーー!これでみんなも次のお料理のお肉だね!!――あれ?」
すっかり完食してくれたってご機嫌に厨房からでてくる女の子に、正気の片鱗はすっかりないのさ。
不自然に背負ったランドセルから怪物のような舌を蔓延らせ、ゾンビに変貌しない客席を見渡して。
「どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして?どうしてお肉にならないのかな?なんでなんでなんでなんで?」
ぎょろり目が零れ落ちそうなほど見開いて、首を傾げてかくりと90度に折り曲げて。
「――次のごちそうするまえに、お腹いっぱい食べられると思ったのに
!!!!!!!!!」
怨嗟に塗れた老若男女、多重の声を響かせて叫ぶ姿には、人間の片鱗などすっかり見当たらない。
がばり、開いた口からはだらだらだらしなく涎が垂れる。
「もういいや。みーんなこのまま食べちゃうね!!!いただきまああああすっ!!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『腹ぺこ少女『保科・美紀』』
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POW : このお肉美味しいよ、もっとあるよね?
戦闘中に食べた【人間を含む、動物の肉】の量と質に応じて【背負ったランドセルがさらに食べ物を求め】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 逃げないでよ、美味しく食べてあげるから
自身の【背負ったランドセル】から【長年の飢餓に苦しみ抜いて死んだ怨霊の群れ】を放出し、戦場内全ての【生き物の足へと怨霊が食らいつき、その足】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ : ……美味しいね
【ランドセルである飢えた怨霊を解き放つ事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【牙を生やしたランドセルの喰らい付き】で攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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レン・トリチルヒスト
ターゲットのお出ましか。
満足出来たし、いつも通り「仕事」やりますかね。(少女に対して思うところはゼロの暗殺者)
なるほどな、あのランドセルが主な攻撃手段っぽいな……こっちを喰らいに来てくれるなら狙いも定めやすいな。食らいつきに向かってきたところに【狐火ナイフ】を四方からたんまりお見舞いしてやる。これでランドセルをズタズタにして消耗させるつもりだ。これも一応【部位破壊】にはなるかね?
そんなに食いてえなら沢山持ってけよ……っと(ナイフを飛ばしながら)
樂文・スイ
◎▲
そうだなぁ、美味いモン喰いたいし、自分の作ったモンで誰かが喜んでくれりゃ嬉しいよな
そういうのよぉっくわかるぜ?
俺も好きだもん、楽しませたいし楽しみたいもんな
ただ生憎と被食願望ってのはないんだよねぇ
俺はいつでも捕食者でいたいもんでさ
指定UC発動、餓鬼には餓鬼で対抗してやろう
【おびき寄せ】【時間稼ぎ】でわざと隙を作るような動きをしてから、【フェイント】で怨霊に襲い掛かられる前に小鬼の群れで攻撃を仕掛ける
【勝負勘】で相手の動きを読んで【闇に紛れる】ならコドモの攻撃なんざ敵じゃないさ
伊達にヒト殺しが生業じゃないもんでね
お嬢ちゃんと俺、どっちの食欲の方が強いか勝負といこうぜ?
●お狐様たちのお手軽クッキング
「満足出来たし、いつも通り【仕事】やりますかね」
人肉死肉カレーを満足するまで楽しんだならば、あとは食後の運動の時間だ。漸く姿を見せた、もとい本性をあらわにしたUDCにレンは冷静にナイフを構える。暗殺者たるものターゲットが如何なる存在とて殺るのが仕事だ。例えそれが幼い少女の姿であっても、レンに思うところはない。
対して――
「そうだなぁ、美味いモン喰いたいし、自分の作ったモンで誰かが喜んでくれりゃ嬉しいよな。そういうのよぉっくわかるぜ?俺も好きだもん」
気さくに声をかけるのはスイだ。
ちょいちょい、と手招くように手を動かして。UDCは無邪気にご機嫌にステップ・スキップ足取り軽く寄っていく。子どもはお話を聞いてくれそうな人に懐くもの。
何のつもりだ、と目線で訴えるレンに、スイはこっそりウインクで応えて。まあ、見てなって。
「うん、うれしい!うれしいよ!おいしいものを食べるのも、食べてもらうのも!だからね、食べさせて!」
ちょこんと手前で止まってがばり開いたランドセル。肉厚の舌が、鋭い牙が、無防備に見えるスイに――
「ただねぇ、お兄さん生憎と被食願望ってのはないんだよねぇ。俺はいつでも捕食者でいたいもんで、さ!」
襲い掛からんとしたところで、スイの影より餓鬼の群が飛び出した!攻撃の余波はひらりと躱す。
UDCと同じく血肉に飢えた餓鬼にとって、肉厚の舌など、嗚呼、まさに牛タンのよう!
新鮮なままにかぶり着いたら飢えも渇きも癒えようか。餓鬼たちはUDCと同じく血走る目で懸命に懸命に舌にかぶりつき、貪りつき、喰らつく。
突然の奇襲に、そして鮮烈な痛みに、きゃあああ!?と悲鳴をあげながら群がる餓鬼たちを手で振り払らうUDC。
かかる鮮血に舌なめずり。味覚を抉る鉄の味はカレーのスパイスより刺激的で、スイを心より楽しませる。
「伊達にヒト殺しが生業じゃないもんでね。お嬢ちゃんと俺、どっちの食欲の方が強いか勝負といこうぜ?」
「おっと、同業か?」
「さぁて、ね。殺すのが生業にもイロイロあるっしょ?」
「そりゃあそうか。ああ、丁度いい」
やだやだ、と餓鬼たち追われ逃げ惑うUDC。それでも欲の赴くままに、撒き餌に集まる
御器噛のように、肉の匂いを嗅ぎつけてレンの居る方向に向かってくる。
餓鬼たちに食われた肉は肉を食って補わねば。きちんと動物性たんぱく質を摂らねば、満足に肉になるまいと、UDCはランドセルの牙をむき出しにしてレンに飛び掛かり。
「ううう、おにいちゃんを食べさせてぇえええ!!」
「はは、そんなに食いてえなら沢山持ってけよ……っと」
レンは狐火を纏わせた大量のナイフを四方より、まさに雨の如くに浴びせる。
狙うはランドセル。あの肉厚の舌をずたずたに引き裂いて――そう、食べやすい一口サイズに切り裂いて、焼いてやるのだ。火加減はレアぐらいがいいだろう。表面だけを軽く炙って、中の肉汁を閉じ込めて。
「い゛た゛ぁああああああああ!!ああああああああああついあついあついやだあああああああ!!」
飛び掛かる中空では避ける術もなく。レンの狙い通りにナイフはランドセルの怪物を尽くに破壊する。
UDCは延焼した飛び炎を床にゴロゴロ転がりのたうって消火に努める。悲痛な泣き叫び声はまるでただの少女そのもので――しかし、ここに居るのは命を狩る者たちだけ。命を喰らう捕食者たちだけだ。
「ああ、まぁた、腹減ってきた」
室内を支配するのは肉の焼ける香ばしい匂い。レンはぼそりと呟いて。
よぉく
噛んで程よく焼いた肉にさくりナイフを入れてみれば、じゅわっと滴る肉汁がなんとも食欲をそそる。
メニューは牛タン(風)サイコロステーキ、といったところか。
――依頼後の夕飯は焼肉で決まりかな?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
スノレンツェ・ノレシーン
そっかー、お腹空いてるんだね☆
でも、スノちゃんもゼムニェちゃんも…初くじにはなってあげられないなー☆
ゼムニェちゃんには、雷公鞭渡しておこっと。
おっと、足を無力化してくるか。ま、うちでそれが効くのは、今のところゼムニェちゃんだけだし。そのゼムニェちゃんは、雷公鞭で破邪雷撃してるし☆
ゼムニェちゃんだけでも食べたいだろうから、足の無力化はするよね?
ブラックタールなスノちゃんは玉になって、UC使って☆
逆に美紀ちゃんの足を狙って、手だけ生やしてのびーる☆
机の足とかも利用しつつ伸びて伸びて捕まえて…そっちに高速で戻るようにしたらどうなるか、知ってる?
それに、ゼムニェちゃんの足止めは時間制限付きだよね☆
建依・莉々
「お腹空いたの? ごめんね、わたし、喰べられないんだ。だってわたし、水溜まりだから」
化け術解いて、じゃぽんと女の子の足下に拡がります。そして液面から触腕を伸ばし、「怪力」でがっちりホールド。そしてフードファイトで喰らいつきます。B級映画もかくやなクリーチャー大乱闘を繰り広げましょう!
鳥葬って、食べた鳥が魂を天国に連れてってくれるんだって。わたしにはそんなことできないし、そもそもUDCって魂残ってるの?ってなるけど、もし残ってるなら一緒にお腹一杯になることはできるかも? だから、わたしに食べられちゃいなさい。もっとおいしいもの、食べにいこう♪
●大乱闘!スマッシュ・ブラックタールズ
――いいかい、くれぐれも章タイトルを略してはいけない。マジで。ほんとに。スマ○ラになるから。
閑話休題。
「おなかへっただけなのに。おなかいっぱい食べたいだけなのに。おなかいっぱい食べてほしいだけなのに。ひどいひどいひどいひどいひどいひどいひどい」
UDCはぐずぐずと泣きながらボロボロになったランドセルを背負い直す。
「そっかー、お腹空いてるんだね☆でも、スノちゃんもゼムニェちゃんも……初くじにはなってあげられないなー☆」
ゼムニェちゃんに雷公鞭を手渡しながら、スノちゃんは応えて。
「そんなにお腹空いたの?ごめんね、わたし、喰べられないんだ。だってわたし、水溜まりだから」
「え?」
きょとんとするUDCを前に莉々は化け術を解いた。
そうして間もなく、ちゃぽん――莉々は溶けるように黒い水溜まりになり、じわりじわり床に広がり、ずぞぞぞぞとUDCの足元に迫っていく。
「ひゃっ!!やだやだ来ないで!!」
己も人外に関わらず莉々の黒い姿に怯えたUDCは、怨霊の群を解き放ち足止めしようとする。
しかし、怨霊の群が向かうのは雷公鞭を振るうゼムニェちゃんのみ。今、此処にいるのは
彼女以外、人の形を模した非生物だ。命は在れど肉では在らず。飢えた怨霊たちすら喰らえぬ者たちばかり。
とはいえひとり標的になったゼムニェちゃんも、ただでやられる訳もなく、向かい来る怨霊たちを雷撃で撃ち落としていく。圧倒的な力を持ちながら絶望的に不利な状況に、UDCはわぁわぁと子どものように泣きわめく。
「ひどいひどいよおおお!たべさせてよおおお、おなかへったのおおおお!!」
「ごめんねー☆でも君、その子のフリをしてるだけでしょ☆」
スノちゃんの発言にUDCは舌打ちひとつ、彼をギロリと睨む。スノちゃんはこわーい☆と茶化しながら、その姿をどろん☆とピンボールのような黒い玉に姿を変えて。そうしてぐいんぐいんとUDCの足を狙って手を伸ばし、捕らえる。
「おにいちゃんやるー!」
莉々はその隙にUDCの足元に迫り、触腕を伸ばして自慢の怪力でUDCをがっちりホールド!厄介なランドセルまで絡めとる勢いで。そうして。そうして。
――がぶり!!喰らいたがりのUDCに喰らいついた!!
「ぎゃああああああああああああ!!やめろやめろおおおおおおお!!」
拘束から逃れようともがくUDC。ランドセルの隙間からずたずたの舌を伸ばして、身近な椅子を引き寄せて。莉々を叩いて叩いて叩いて叩いて、引き剥がそうと試みる。然し。
「残念だったね☆」
――UDCが掴んだ椅子は動かない。動かせない。何故ならスノちゃんが既に掴んでいたから!
スノちゃんの身体は伸縮自在☆店内中の机や椅子の足をその身に絡めて絡めてまるっと絡めて、絡めとっていた。
「ねえ、このままそっちに高速で戻ったら――どうなるかわかるかい?」
「っ!?」
UDCの足元を起点に、ひとつに戻ろうとするスノちゃんの身体。引き寄せられた家具たちは弾丸のような勢いで一斉にUDCに襲い掛かる!!
激しい物音、煙のように立つホコリ。山盛りになった家具の下敷きになったUDCは、その全身を水溜まり――そう、その身を喰らう莉々に浸す羽目になり。
「わたしが、わたしたちがたべるの!!今度はわたしが!!わたしたちが!!」
絶望に叫ぶUDC――否、飢餓の末に隣人を喰らうしかなかった、隣人に喰らわれるしかなかった怨念たちが、叫ぶ。
「鳥葬って、食べた鳥が魂を天国に連れてってくれるんだって」
UDCに魂が残っているかはわからないけれど――もし、もし残っているのならば。
「だから、わたしに食べられちゃいなさい。そうしてひとつになって、もっともっと美味しいものを一緒に食べに行こ♪」
「――ほん、とう?わたしたち、今度こそおなかいっぱい食べられる?」
「食べられるよ、きっとね」
――ばくん。ごちそうさまでした。
「さぁて、あとはアレを片付けないとだねー☆」
UDCが跡形もなく莉々に取り込まれてすぐ、厨房からのうめき声がとどろくようにこだまする。
そうしてゆらり、ゆらり、暖簾の向こうからボロボロの人型たちがあらわれた。店内に腐敗した肉の匂いが満ちる。
ひとり脳髄を垂れ流し、ひとり目玉が眼孔より糸を引いてこぼれ、ひとり歩く度に腹からだらしなく臓物を散らかして、ひとり骨まで削がれたぼろぼろの手足で床を這い。
うあぁあああああ、ぁああああああああああ、ああああぁあああああ――
食材たちはただただ仲間を増やすため、猟兵たちに狙いを定めた。
大成功
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第3章 集団戦
『六零四『デビルズナンバーえし』』
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POW : 悪魔の捕食(デビルプレデーション)
自身の身体部位ひとつを【ゾンビ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD : 悪魔の捕縛(デビルホールド)
【複数のゾンビからの抱きつき】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 悪魔の増殖(デビルプロリファレイト)
【レベル×10体のゾンビ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
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樂文・スイ
◎▲
今度は食材に襲われる、ってか
あれこれとあべこべだねぇ?
絵面は完全にB級ホラーだな、ってことなら楽しくスプラッタしてやらねえと
なんもかんもさらけ出したカッコで生きるのも恥ずかしいだろ?
ちゃんと終わらせてあげようねぇ、生ごみは燃えるゴミの日に、ってな
指定UC発動、【おびき寄せ】でなるべくひとところに集めつつ、増殖したゾンビごと燃やし尽くすぜ
炎を逃れたり燃え残ったヤツは【逃亡阻止】してきちんと解体しつくしてやろう
棄てるにしても喰うにしても、適切なかたちってモンがあるわけで
もう救われないなら、せめて綺麗に積みあがって燃え尽きとけ
自分の運の悪さを嘆く脳ミソも残ってないのは――ある意味幸運、なのかもな?
スノレンツェ・ノレシーン
わあ、いろいろ大惨事☆
UDC職員の皆さんの仕事を増やさないよう、あいつらを出さないようにしないとだねー☆
ゼムニェちゃんは、引き続き雷公鞭による破邪雷撃よろしくね☆
スノちゃんは、今度はタールな水たまりになって、片手だけ生やして。極黒炎蓮華を開花させてから、UCどーん☆何度でもどーん☆
無限仲間呼び経験値とか種な火☆落としそう?なんのこと?
まあ、こうなのも理由があって☆これだと、複数から抱きつかれにくいよねー、って☆
いざとなったら、手も引っ込めたらいいんだし☆
ゼムニェちゃんの雷撃は、そもそもアイテム由来だしね☆
ゾンビくんちゃんたちは、安心して眠るがいいよ。これ、スノちゃん流の火葬だから☆
●火事×倒壊×証拠隠滅~まずは放火します!
「今度は食材に襲われる、ってか。あれこれとあべこべだねぇ?」
注文の多い料理店もびっくりなくらいあべこべさ。食材にされそうになるまでは一緒でも、食材に襲われることはそうなかろうて。そもそも目の前に居るものは食材ではないのだから。
とにかく。ひっちゃかめっちゃかに散らかった店内を、いろんなものを散らかしながら迫りくるゾンビたち。時間帯は日中なれど絵面は完全にB級ホラーだ。
「わあ、いろいろ大惨事☆職員さんの仕事増やさないよう、あいつらを出さないようにしないとだねー☆」
「まったくだ。ちゃんと終わらせてあげようねぇ、生ごみは燃えるゴミの日に、ってな」
「だねー☆ゼムニェちゃんは、引き続き雷公鞭による破邪雷撃よろしくね☆」
こくりと頷くゼムニェちゃんは雷公鞭を振るい、4体より増殖するゾンビたちを破邪雷撃で足止めしていく。その隙にスノちゃんはタールな水溜まりへと変化して――そっからみょんっと生えるのは太い太い片手。ぎらぎら輝くエネルギー弾のようなものを手中に展開するその姿は……!
うん、どっかのソシャゲで見たことあるような既視感。レベルアップ素材を落とすのはいいけれど1戦3体じゃなくって1戦6体ででてきてくんないかなぁ……ところで今、コラボイベントやってるね!
スノちゃんはそのエネルギー弾もとい極黒炎蓮華から破邪の黒炎を発射していく。着火地点より燃え上がる黒炎がゾンビたちの肉体を焼き上げて。
「おーおー、派手にやんじゃん」
「まぁねー☆これ、スノちゃん流の火葬だから☆ゾンビくんちゃんたちは、安心して眠るがいいよ」
「そうだねぇ。もう救われないなら、せめて綺麗に積みあがって燃え尽きとけ」
火だるまになりながら尚も迫りくるゾンビたちに理性はない。恐怖心も苦痛も感じることは既にない。身体が炭と燃え崩れるから床に倒れるだけで、ただ目の前にある肉を喰らい、仲間を増やす本能のままにスイたちに迫る。
ぼろり、指が落ちても。ごとり、腕が落ちても。ぐしゃり、足が崩れて床に落ち。それでも、残った肢体でもがき。
あーぁ、とスイは苦笑い。自らを囮になるべくひとところにおびき寄せながら、ふわり、狐火を放つ。すべてすべて燃えるように。
「自分の運の悪さを嘆く脳ミソも残ってないのは――ある意味幸運、なのかもな?」
そういうものと縁があるのか、スイが行う火葬もこれで二回目か。焼却処分は最後まで責任もって。運よく逃れたものたちも手早く解体して、ぽいっと炎にくべてやる。
腐肉と言えど脂はよく燃えるもの。雷撃による炎が、黒い炎と赤い炎が、すべてを飲みこむように燃え広がっていく――。
それに此処、木造なので、そりゃあよく燃えるよね!!
「……ところで延焼分は止めた方がいいかねぇ?」
というスイの独り言にちゃっかり先に脱出していたUDC職員が入口より叫ぶ。
「あ、全部燃やしちゃっていいでーす!そっちの方が都合いいので!周辺住宅だけ燃やさないようにしてくださーい!」
「あは、難しい注文だねー☆」
スノちゃんは思わず突っ込んだ。
大成功
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レン・トリチルヒスト
おーおー、わらわらと出てきやがったなあ……だるぅ……(敵の数に耳としっぽへにょん)
ま、これも仕事のうちらしいしやりますかっと。
生命力吸収されたり回復されるのはなあ……ていうか俺も食われる側なのは勘弁って感じなんで……よっと、取り出したるはチェーンソー剣ー。【バラバラチェーンソー】で食らいついてこようとする腕も、本体の頭も切断してバラバラに【解体】してやるか。
ゾンビ倒す時のセオリーとか詳しくないけどさ、バラバラにしちまえば噛まれる心配もないだろ、さすがに。
どんどん解体してくぞー。
建依・莉々
「・・・えーここで終わりじゃないの? ねー?」
またJSに化けて。ややふっくらとしているのは、まぁ推して知るべし。普通、ここで「空に鳥が飛ぶシーン」とか入れてエンドマークじゃない? お腹いっぱいだから、もう動きたくないのだけれど・・・
「はっ!? もしかしたら、あの食材たちも、弔って(喰べて)あげないとダメ?」
鳥葬ならぬBT葬の対象では?? ・・・うん、無理。
小さな拳を握りしめ、グラウンドクラッシャー! 床ごと壁ごと次々と食材を叩き潰します。・・・食堂が倒壊しないといいな♪
「染みになっちゃったら、もう食べられないよね? うん!」
ナチュラルにゾンビを食材と呼んでいるのは、さてどうしてだろう?
●火事×倒壊×証拠隠滅~そして派手にぶち壊します!
「おーおー、わらわらと出てきやがったなあ……だるぅ……」
「……えーここで終わりじゃないの?ねー?」
炎に巻かれても尚、迫るゾンビ。増えるゾンビ。ゾンビは増えるよ、どこまでも――単細胞生物かな?
その数にげんなりするお二人がレンと莉々ちゃん(初期の姿よりちょっとふっくらした女子小学生の姿)だ。ご飯のおかわりは欲しいものだけど、食後の運動のおかわりはいらんよね。でもゾンビがお店からでちゃったら、尚更、面倒なことになるのでよろしくお願いいたします。
「普通、ここで【空に鳥が飛ぶシーン】とか入れてエンドマークじゃない?お腹いっぱいだから、もう動きたくないのだけれど……」
莉々ちゃんメタい!わかるけど!!
――因みに実際の鳥葬は割とえぐい、そしてもふい。肉を食う鳥はほら、ハゲワシとか大型の肉食の鳥だから、死体に群がったと思ったら人間くらいならあっという間に骨なのさ。空にハゲワシが飛び交うのもなんか、こう、彼等ら大きいからすんごいんだ。お空がハゲワシで黒い。美しいというか、どっちかというとホラー寄り。雰囲気はお墓の死体をもぐもぐして飛び交う鳥とかの、あれに似ている。
「ま、これも仕事のうちらしいしやりますかっと。とは言え、俺も食われる側なのは勘弁って感じなんで……」
さて、といちはやく仕事モードに切り換わるのはレン。じゃじゃーんと取り出したるはチェーンソー剣。
「ゾンビ倒す時のセオリーとか詳しくないけどさ、バラバラにしちまえば噛まれる心配もないだろ、さすがに。どんどん解体してくぞー」
燃え落ちた部位を頭部に変異させ、レンに噛みつかんと牙を剥くゾンビたちを、レンはチェーンソー剣でじゃんじゃん解体していく。ソーチェンがギチギチ、ギチギチ肉を巻き込み、えぐり。腐肉が、腐った汁が、びしゃりびしゃりと跳ねる、散らかる。
「喰うなら喰らいな」
開かれた口腔にチェーンソーをぶち込んで横に薙げば、お口の拡大手術の成功だ。頬まで裂けてしまえば閉じれやしまい。ハードでロックなBGMが似合いそうな解体現場。いっそ楽しそうですらある。
「はっ!? もしかしたら、あの食材たちも、弔って(喰べて)あげないとダメ?」
解体現場を眺めていた莉々ちゃんははっと何かに気付いた顔をする。
――莉々ちゃん?ゾンビは食材じゃないぞ?UDC食べちゃったから何か影響で始めたかなー……?
「鳥葬ならぬブラックタール葬の対象では??……うん、無理。お腹いっぱいだもん」
莉々ちゃんは小さな拳を握りしめ、床をごっつん。グラウンドクラッシャー!床ごと壁ごと次々と食材を叩き潰し出した。こちらはこちらで派手なゾンビ叩きの開始である。
片やチェーンソーでバラバラ解体!片や拳でぶっちんゾンビ叩き!肉が、欠けた歯が、脳汁が、臓物が派手に飛び散り。床が、壁が、家具が、柱が、割れて割れて割れて割れて。更には先の猟兵が放火した火は衰えることなく、ひっちゃかめっちゃかの生ゴミ粗大ゴミを燃やし尽くしていく。
もう現場はTHE☆力業!物理は正義!暴力は全てを解決する!汚物は焼いて消毒だあああ!って感じである。世紀末。
「染みになっちゃったら、もう食べられないよね?うん!……食堂が倒壊しないといいな♪」
「倒壊させちゃっていいですよー!」
莉々ちゃんの独り言にちゃっかり先に脱出していたUDC職員が入口より叫ぶ。
「そっちの方が都合いいので!周辺住宅だけ巻き込まないようにしてくださーい!」
「面倒くさい注文ばっかだな!?」
レンはやっぱり思わず突っ込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●火事×倒壊×証拠隠滅~最後に情報操作をします!
そんなこんなでどうにかこうにか猟兵たちの無理算段にて無事、諸々が落ち着いたその日の夕方。
UDCにてとあるニュースが流れた。
「××日朝早く、××県××市の飲食店から火事があり、あたりは一時騒然となりました」
「午後×時××分ごろ、×市で【飲食店から火が出ている】と通行人から消防に通報がありました」
「警察などによりますと、消防車など1台が消火にあたり、火は約1時間にほぼ消し止められましたが、出火元の飲食店は全焼しました」
「周辺住宅に被害はありませんでしたが、この火事により、飲食店の関係者と思われる数名の遺体が発見されました。警察は、身元確認を急ぐとともに、火事が起きた原因を調べています」
「次のニュースです――」
そのニュースは稀によくあることとして、人々の日常の中に埋もれ、すぐに忘れられていく。
「ここのお店、なくなっちゃったね」
「あ、でも、かわりに新しいのできるってちらしあったよ」
「ほんとう?」
「ほんとほんと!ごはんおいしいといいね」
「ね!」
さて数名は一体誰なのか、誰にも気に留められることはなく。
真相は、ひっそりと、平穏の裏に葬られた――。