ＧＧＯ世界で起きたバレンタインクエストのバグ化。そこに知れっと参加していた多倉・こころ（悪に堕ちた魔法少女にして動画配信者・f41182）はクリア特典を確認するとニヤリと笑った。
「へえ～、冒険者たちにクエストを発注できる権利かぁ。それなら、このクエストしかないよね♪」
目的は復讐……いや、逆恨みを晴らすことである。
「逆恨みとか言うな」
『ボクは何も言ってないニャ……』
ちょっと呆れた目で彼女を見つめる使い魔のノワールを一瞥した後、視線を得点に戻しギルドへ向かう。
「あの、これってここで使えるでいいんですか？」
「はい、クエストの発注ですね。ご提出ください」
受付嬢が微笑み申請書を渡してきたので詳細に内容を書き込んでいくこころ。それをちらりと除いたノワールはぼそりと呟いた。
『こころ、そんな性格だからモテないのにゃ』
「うっさいよ、ノワール！？」
彼女が出したのは『悪徳令嬢、布都乃を討伐せよ』というクエスト。内容はもうその名の通り。まるで悪の化身とでもいうように設定が盛られた少女天羽々斬・布都乃（未来視の力を持つ陰陽師・f40613）のことを捕まえて
色々してもらおうというクエストである。
『けど、一般プレイヤーやNPC程度じゃ、布都乃は捕まえられないと思うのにゃ』
「にししー、それなら大丈夫。こころの闇魔法で布都乃ちゃんが逃げられないようにするよ☆」
相手は未来予知の力を持つ少女。そううまくいくかなあと思いながらもノワールは絶対聞く耳を持たないであろうこころに口を出すのはやめて小さく欠伸をした。
●
「う、今何か寒気が……」
『風邪かの』
一方そのころ布都乃は身震いを覚えていた。もちろんこころの邪悪過ぎる思惑の電波を感知してのことだがそれは本人にはわからぬこと。
「いえ、そんな感じではないと思いますけど」
『そうか、もし布都乃が風邪に成ろうものならソウ殿が水を得た魚のように甲斐甲斐しく世話をしに来るじゃろうから、まあ、気を付けておくんじゃぞ』
あんまり体調悪そうにしたらソウが自分を攻めそうだし……と内心で思いながらいなりは言うが、猟兵は確かたぶん風邪とかひかないから無用の心配である。
「もう、何言ってるんですか……それより、どんな依頼が出てるか見てみましょうよ」
満更でもない声色で脳内で「布都乃嬢、アーンするでござるよ」「まったく、病気になった布都乃嬢は甘えん坊さんでござるな」「布都乃嬢、体を拭くからこっちに来るでござる。ダメでござるよ。病人なんでござるからあきらめて拙者に身をゆだねるでござる」「風がつらくて眠れないでござるか？ よしよし。拙者が傍にいるでござるから、焦らず目をつぶるでござるよ」などと少女漫画にありがちなセリフと場面を脳内フル回転お花畑モードで妄想する布都乃。
『風邪、引いたことにしておくのかの？』
「へっ！？ い、いえいえ大丈夫です。えーっとなになに、わー。いっぱい依頼が出てますねー」
にやけ顔で察したいなりがそういうと慌てて話をそらして掲示板を眺める。そこにはたしかに態々依頼する必要ある？ というくだらないものからいやたぶん誰も受けてくれないよねコレってレベルの難しい依頼まで目白押しだ。神様への願掛け感覚のモノを見てるとそういえばうちの神社、絵馬販売再開したいな。受験シーズンですしとまた余計なことを考える。
そこに男たちがぞろぞろと現れ突然布都乃を囲んだ。
「ほえっ！？」
「いたぞ！ 悪の令嬢だ！ 犯せ！！！」
男たちは戸惑う布都乃を指さし意味の分からない、繋がりすらわからない三つの言葉をのべ一斉に襲い掛かる。しかしその未来が見えたため高くジャンプすることで回避し、布都乃は間一髪、男たちの方位を抜けてギルドの入り口に着地した。
「な、なんですいきなり！」
と声を上げる布都乃の横で、いなりが『これじゃ、布都乃！』といってべりっと剥がした依頼書を差し出した。
そこに掛かれているのは悪の令嬢布都乃を捕まえてエッチなお仕置きをしちゃおう☆というクエスト。それを呼んでる一瞬のうちになんと布都乃の服装が巫女服から西洋の悪役っぽいドレスに早変わりしていた。
「なんだかわかりませんが、逃げるしかないですね！」
誰がこんなものを出したかわからなかったがとにかく追われる理由だけはわかったので布都乃は外へ飛び出した。
「高難易度クエストの生配信だよ☆ 悪の貴族の娘にえっちなお仕置きをして、悪の貴族が隠したレアアイテムのありかを聞き出そう！ ほらほら、ゲーム内で美少女のアバターを相手に、童貞捨てる練習するチャンスだよ☆」
そんな折、街中に全体チャットで発信者不明のメッセージがあちこちの電光掲示板に流れた。
「な、なんだか本格的に不味いですね！？」
どうしてこんなことになってしまったのか。未来視を使って町中を逃げ回ろうとする布都乃。本来の世界線ではそれに成功し無事脱出するのだがここは心の用意したＩＦ世界。
「んぁっ！？！」
逃げられるはずはなく、間もなくありとあらゆる手で妨害をしてくるこころの策にハマって男たちに捕まってしまう。
「ふへへ、いい逃げっぷりだったけど、ここまでだ悪役令嬢。この正義の剣をうけよ！」
「いやぁっ、初めてはソウさんのものなのにっ！ レアアイテムのありかなんて知りませんっ！」
『いかん、猟兵である布都乃は生身でGGOに来ておるが、プレイヤーたちは布都乃がゲーム内のアバターだと思っておる！ 手加減なくハードな凌辱をしてくるぞ！』
「わけわかんねえことごちゃごちゃ言ってんじゃねえ……よっ！ っと！！！」
ずぷんっ！！！！
「はにゃあああんっ❤」
布都乃の声は聴き流されロールプレイで勇者か何かになり切った男によってその処女を奪われてしまう。
「おい、そんな粗末な聖剣一本でこの悪女が倒せるわけないだろ。俺のホーリーランスも混ぜろ。
「ひぎぃっ
！？！？」
「っと、五月蠅いお口も塞ごうね」
「はむ、んん～～～っ❤」
こうして性的な三つの穴を塞がれてしまった布都乃は、その後童帝男たちや清純系ビッチを愛するヤリチンたちの餌食に……！
「や、やぁ……もうゆるし……んむぅっ！！！」
びゅるるるるるるっ！
「ん～～～～～～～っ💕💕💕」
どの穴にも平等に生で注ぎ込まれ、そして前後不覚になるほどあとからあとから増えて行く様々な動機の男たちの正義の鉄棒によって制裁され涙を流しながら悦に溺れていく姿は、まさにこころの求めていた理想の姿であった。
「いつも、こころを酷い目に遭わせる罰だよ☆」
『そういう性格だからモテないのにゃ、こころ』
それを生配信して収益を得ながらにやけるこころをみて、やはりノワールはやれやれと首を振るのであった。
成功
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