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ああ、星条旗は今なおたなびいているか?

#獣人戦線 #F.O.N #アメリカ戦線 #ブラウン編集長


 ――獣人戦線のアメリカは、他の大陸とは異なり『戦争とは無縁の平和と繁栄』を謳歌していた。
 しかし、この平和が仮初だと気付いた、ひとりのウサギ獣人がいた。
「……全く、どいつもこいつも何故、儂等の記事を信じない!? この国は、悪の秘密結社『フィールド・オブ・ナイン』に支配されている! 証拠なら幾らでもある!」
 葉巻を吹かしながら頭を掻きむしるこのウサギ獣人の男性は、タブロイド誌『ブラウンタイムス』編集部のブラウン編集長だ。
「こうしている間にも奴らは善良な市民を殺し、不死の兵団を造り上げているのだ!」
 だんッ!とブラウン編集長は机を叩いて苛立ちを露にした。
「儂はこの兵団を仮に『忘れられた軍団オブリビオン・アーミー』と呼んでいるが……その目的は明白だ。それは『世界大戦の勃発』……!」
 彼の取材力にかかれば、ロシアのワルシャワ条約機構や中国の人民租界、日本の幻朧帝国で何やら小競り合いが起こっているという情報を密かに入手できるのだ。
「恐らくはそれを利用して、ヨーロッパ戦線のゾルダートグラードやイグンランド諸島のクロックワーク・ヴィクトリアも巻き込んだ大戦争を目論んでいるに違いない! こうしてはいられない! まずは、儂等の国の秘密結社を止めなくては……。誰か、真実に気付いてくれ!」
 ブラウン編集長は編集室で独り虚しく悲痛な叫びをあげてみせた。

 ――グリモアベース。
「という事で、猟兵の皆でブラウン編集長に会いにいこうよっ!」
 そんな話を切り出したのは、グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白鱗蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)だ。
 招集に応じてくれた猟兵達へ、今回の任務内容を伝達しはじめた。
「まずはブラウン編集長に出会って、情報を入手してほしいな! ブラウン編集長は独自で調べた怪事件の情報を持っているよっ! けれど……」
 レモンは急に言い淀んだ。
「もしもみんなが『私は異世界から来た。君の集めた情報に出てくる秘密結社を知っている。だから情報を渡してくれれば解決してくるよ』と言う赤の他人を信じれる……っ?」
 猟兵の大半はレモンの言葉に首を傾げた。
 確かに、猟兵の特性で現地の人々に怪しまれないが、急に現れて個人が集めた情報を寄越せと言われて怪しまない相手は滅多にいないだろう。
「だからまず、みんなはブラウン編集長を説得する必要があるんだよっ! 情熱で訴えかけたり、データで証拠を示したり、話術で巧みに情報を引き出したり、色々な方法でブラウン編集長を説き伏せてほしいなっ!」
 予知でもブラウン編集長の持っている情報は不明らしい。
 この任務の成否は、猟兵達の駆け引きに懸かっているのだ。
「それでは、みんなの頑張りに期待してるからねっ!」
 レモンはグリモアを輝かせて、獣人戦線への転送を開始した。
 果たして、猟兵達は無事に情報を引き出すことが出来るのだろうか……?


七転 十五起
 獣人戦線 in アメリカ!
 平和な日常に潜む秘密結社『F.O.N』の暗躍を阻止してください。
 なぎてん はねおきです。

●概要
 第1章日常です。ブラウン編集長から信用を獲得し、情報を引き出してください。
 猟兵は特性によって現地の人々からは『どんな姿や種族でも怪しまれない』のですが、ブラウン編集長は自分の情報について言及されると露骨に警戒心を剥き出しにします。
 ブラウン編集長の警戒心を解いて、情報を引き出してください。
 引き出せる量によって第2章の難易度が変わります。

 第2章集団戦です。詳細はブラウン編集長から引き出せた情報量次第です。

 第3章ボス戦です。F.O.N軍の指揮官オブリビオンとの直接対決です。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 日常 『ブラウン編集長の「極秘情報」』

POW   :    情熱と勢いで正面からぶつかる

SPD   :    聞き出した情報を街の様子と照らし合わせる

WIZ   :    話題を誘導し、オブリビオンに近付けそうな情報を引き出す

👑5
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ジャン・ジャックロウ
歩兵班の何人かを連れて行くぜ。
はいはい、お邪魔するぜ〜っと。よう、アンタがブラウン編集長で間違いねえな?

『ゾルダートグラード軍服』が気になるか?ご想像の通り、ゾルダートグラードの軍人だよ…元、が付くがな。
俺の名は、ジャン・ジャックロウ。野良犬部隊ってちっとは名の知れた部隊を率いてる者だ。

単刀直入に言うがアンタの持つ秘密結社…『忘れられた軍団』だったか?その情報が欲しいんだよ。
オイオイ、警戒すんなって。目的は同じ秘密結社の打破。アンタは情報があるが力がない。俺はその逆。一個部隊に加え必要ならキャバリアや軍艦を動かせる。
お互いに利用し合おうってお誘いよ。
悪くない話だと思うがどうだ?


【アドリブ歓迎】



 ジャン・ジャックロウ(野良犬共を統べる部隊長・f39920)は転送された直後にユーベルコードで部下達……彼が率いる『野良犬部隊』の歩兵班を招集した。
「ここがあのウサ公の出版社か……んじゃ、お邪魔するぜ?」
 ずかずかと軍服のイヌ獣人の益荒男達が乗り込んでゆくと、脇目も振らずに編集長室へ直行した。
「ノックしてコンコ~ンってか? はいはい、お邪魔するぜ〜っと。よう、アンタがブラウン編集長で間違いねえな?」
「な、なんだね君達は!? その軍服、まさか……!」
 ブラウン編集長は咄嗟に机の中から拳銃を取り出してジャンへ突き付けた。
「貴様は儂を消しにきた刺客だな!?」
「おいおい、落ち着けって!」
 ジャンは両手を挙げて攻撃の意思がない事をブラウン編集長へ示す。部下達もジャンに倣って武器を持ってない事を証明した。
「そんなに『ゾルダートグラード軍服』が気になるか? ご想像の通り、俺はゾルダートグラードの軍人だよ……元、が付くがな。申し遅れちまった。俺の名は、ジャン・ジャックロウ。野良犬部隊ってちっとは名の知れた部隊を率いてる者だ」
 ブラウン編集長は拳銃を机の上に置くと、震える手で葉巻の先をカットして火を付けた。
「……はあ。で、だ。その野良犬共が儂に何の用が?」
 訝しむブラウン編集長へ、ジャンはすぐに切り込んだ。
「単刀直入に言うが、アンタの持つ秘密結社の情報……『忘れられた軍団オブリビオン・アーミー』だったか? その情報が欲しいんだよ。って、オイオイ、警戒すんなって。顔に出ちまってるぞ?」
 けらけらと笑うジャンをブラウン編集長は品定めをするかのように睨み付ける。
 ジャンは肩を竦めながら「窓を見ろ」とブラウン編集長へ促した。
「俺の目的はアンタと同じ。秘密結社の打破だ。猟兵って知ってるか? ……まぁ、知らねえよな? 簡単な話、アンタは情報があるが力がない。俺はその逆。一個部隊に加え必要ならキャバリアや軍艦を動かせる。だが情報がない。だからよ、ここはお互いに利用し合おうってお誘いよ。悪くない話だと思うがどうだ?」
 ブラウン編集長が窓から社外を覗くと、出版社の前の大通りに軍人達が整然と規則正しく列をなして見上げている光景を目の当たりにした。
 突如現れた猟兵という存在の強大な力を誇示されたブラウン編集長は、目を細めながらA4サイズの封筒をジャンへ差し出した。
「……その中に情報が入っている。原本は渡せないからコピーだがな」
「十分だぜ。ああ、そうだ。これから何人かがまたアンタの元へ尋ねてくるだろうさ。そいつらも猟兵って奴だから、丁重にもてなしてやってくれよな? へへへ……!」
 ジャンは封筒を受け取ると、満足そうに編集長室を後にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマー☆うさちゃんだよ☆うさちゃんの国だよ☆」
兎かー…癖が少なくて美味しいんだよなぁ
「ちょ」

まぁそれはおいて…ブラウンから情報引き出しか…まぁ…そういうのは取引だな?
「お金で買うの?」
いや…多分彼奴はそういうのじゃ動かねー…なら…同じ価値の物を之から集めるぞ

UC発動
幸運の神同時発動
【情報収集・世界知識・伝承知識・流行知識】
まずブラウンタイムスで公表している情報の精査と…更にそこから信じるに足る根拠
更に其処から先の情報を見つけ出す

情報が欲しいなら情報で応えねーとな?

そうして見つけ出した情報と信じる根拠をブラウンに伝
その上でブラウンが見つけた情報を求
この国の自由を操るとか許せねーよな?



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は相棒のメルシーと共に、ブラウン編集長が待つ出版社前に転送されてきた。
「ご主人サマー☆ うさちゃんだよ☆ うさちゃんの国だよ☆」
 獣人戦線のアメリカでは、ウサギ獣人が人口の殆どを占めている。故に周囲は様々な種類のウサギ獣人が街中で平和を謳歌している姿がそこかしこに見られた。
「ちっちゃくてモフモフしててカワイイね☆」
 メルシーが目を輝かせている傍らで、カシムはグゥ~っと腹の虫を鳴らす。
「兎かー……可食部は少なめだが、癖が少なくて美味しいんだよなぁ」
「ちょ」
 思わずメルシーがカシムの口を押えた。
「ご主人サマ!? ここでそんなこと言ったらポリスメンに職質されちゃうよ!」
 カシムはメルシーの手を振り払い、不服そうに相棒を睨みつけた。
「もごご……冗談だっつーの! おめー、僕が猟奇的な腹ペコ鬼畜マンだと思ってねーか?」
「思ってるよ?」
「しねぇっ!」
「ごへっ!?」
 カシムはメルシーの顔面に唐突な右フック!
 クリーンヒットした拳にメルシーはその場に倒れた!
「おい……どうやらしつけが足りてねーみてーだなぁ? 世界一ジェントルメンな僕のどこが鬼畜だおらぁ!」
「あぁん、ご主人サマのそういうとこだぞ♥ あとポリスメンが見てるぞ♥」
「もしもしポリスメン? 悪いが、元々こういうプレイだ! 両者の合意の元で成り立ってるからな!」
 駆け寄るウサギ獣人のポリスメンは、そういうのは家でやれよと言いたげに踵を返していった。
 さすが自由の国である。公然と変態プレイをしても許されてしまった。
「まぁ、それはおいて……今回の任務はまず、ブラウンから情報引き出しからか……となると取引だな?」
「お金で買うの?」
「いや、おそらく彼奴はそういうのじゃ動かねータマだな……なら……同じ価値の物をこれから集めるぞ。それが対価だ」
 カシムは道すがら売店でゴシップ紙『ブラウンタイムス』を購入し、彼らが主張する内容を把握するところから始めた。

『アリゾナ州の砂漠の地下には秘密結社の基地が存在している!』
『我々が“グレイ”と呼称する宇宙人の正体は、特殊な白金の全身スーツを纏った秘密結社F.O.Nの戦闘員である!』
『死の砂漠の地下では、メキシコからの違法難民達を誘拐の後に殺害し、戦闘員へと改造してしまうのだ!』
『あの白金の奇妙なスーツは赤い砂漠の砂を鏡のように写し出し、周囲に溶け込むための迷彩色である!』

 紙面に掲載されている内容は、一見するとトンデモでオカルトな内容であった。
 しかし、カシムの蓄積された猟兵活動での知識が、これがオブリビオンによる活動だと直感で理解できた。
「アリゾナ砂漠か……今の季節でも暑そうだな……?」
「サボテンってステーキにすると美味しいらしいぞ☆」
「そういう情報はいらねーから! まぁ、情報が欲しいなら情報で応えねーとな? つーわけで……ちょっくらアリゾナ砂漠まで行ってこいや、メルシー」
「今から!? ここアメリカの首都だよ!? アリゾナ州は太平洋側じゃん!?」
「いいからさっさと行ってこい。おめーならマッハで数時間あれば戻ってこれるだろーが! ……あとでご褒美をくれてやるから」
「ご褒美!? メルシー軍団、テイクオーフ☆」
 カシムはユーベルコードを強制発動させ、メルシーを151体のドラグナーガール風の踊り子衣装の分身体に増殖させると、変態軍団にアメリカ大陸を全速力で横断一往復させるのだった。

「――で、実際にアリゾナ砂漠周辺で情報収集をしてきた、だと?」
 ブラウン編集長は退社直前に押しかけてきたカシムとメルシーの話に耳を傾け、信じられないと言いたそうに眉間にしわを寄せていた。
「そして、実際にメキシコからの違法移民者が人身売買されている現場を抑え、その首謀者を言葉で言い表せないような非道な行為で締め上げて情報を吐かせた、と言われてもな……」
 訝しがるブラウン編集長の目の前には、お肌がテッカテカに血行が良くなったメルシーがニコニコ笑顔で立っていた。
「流石ウサちゃん達だね☆ ずっとびんびん☆ 任務じゃなかったら何千何百回だって締め上げたかったぞ☆」
「通りで魔力消費が少ねーなぁと思ったらさぁ……! あとそういう締め上げじゃねーんだわ……!」
 カシムが呆れ返っていた。
 一国を築き上げる程のウサギ獣人の繫殖力をもってしても、古代皇国をゼロから建国した神相手では『欲』のレベルが雲泥の差であったらしい。
「まぁ……要するに、だ。秘密結社は下請けの犯罪グループを金で雇って、メキシコからの違法移民者を攫ってはぶっ殺しているのは間違いねーってこった。だが、肝心の彼奴等のアジトだけはメルシーでも掴めなかったんだと」
「移民達を乗せたF.O.N側の輸送トラック、急に気配も姿も消えちゃったんだよ!」
「つーわけで、ブラウン編集長。おめーの情報の裏取りはしてきてやったぞ。あとはおめーの持つ『アジトの情報』……これを僕達に寄こしやがれ……ああ、僕達が持ってきた情報は記事にして構わない……好きなだけ書きたくりやがれ」
 ブラウン編集長は無言で腕を組み、考え込んだ。
「さっきのおかしな軍人といい……君ら『猟兵』とやらは儂の理解の範疇を超えているな」
「まぁ、そうだな。なにせ埒外の存在らしいからな……」
 カシムはずいとブラウン編集長の机に身を乗り出し、強い語気でこう告げた。
「宇宙人もどきによぉ……この国の自由を操られるとか許せねーよなぁ?」
「ああ……その一点は、君達と同意見だ」
 愛国心。カシムの最後の一手は、ブラウン編集長の愛国心であった。
 もとより、予知の段階からブラウン編集長の愛国心は言葉の節々に見え隠れしていた。
 故に、ある程度の情報さえ揃えば、あとはブラウン編集長の愛国心を刺激すればいいだけだとカシムは踏んでいた。そして、まさに彼の思惑通りに事が進んだのだった。
「……先日、我が社の若手カメラマンが撮影した写真だ。紙面に載っているから君達も見たことあるだろう? これを撮影したカメラマンは、現在、行方不明だ。連絡も一切取れない。おそらくは、彼はもう……」
 ぐっとブラウン編集長の拳が固く結ばれた。
「お願いだ。彼の仇を取ってきてくれないか? そして、儂等の報道が正しいと、この国に知らしめてやってくれないか?」
 ブラウン編集長はカシムとメルシーに頭を下げる。
 ここまで頼まれたら、自称人情派のカシムとメルシーは放っておくことなど出来ないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『変幻の射手』

POW   :    吸血鬼の魔弾
【甘い香りを纏う吸血鬼】に変身する。隠密力・速度・【命中した敵の生命力を奪い続ける魔力弾】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【陶酔】の感情を与える。
SPD   :    変身譚の魔弾
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【肉体の強制改造の呪い】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
WIZ   :    麻痺薬の魔弾
【携行している銃器】から、物質を透過し敵に【麻痺】の状態異常を与える【ライムグリーンの魔力弾】を放つ。
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 ――獣人戦線・アメリカ合衆国アリゾナ州アリゾナ砂漠。
 サボテンが点在する赤茶けた荒野が広がるこの場所で、猟兵達はブラウン編集長の情報通り、地下への秘密の入り口を発見した。
 この地下深くに、メキシコからの違法移民者を連れ込み、殺害し、オブリビオンへと改造する秘密結社の基地があるのだという。
 猟兵達は意を決して地下へ続く長い階段を降り始めた。

 地下は意外にも真昼のように煌々と明るく照らされており、電気が地下に通っている事を如実に証明していた。
 まるでエジプトのピラミッドの内部のような雰囲気を持った壁画があちこちに見られる。
 通路は入り組んでおり、あからさまに侵入者を警戒している見取り図だと理解できた。
 そして、地下室は甘い香りで何故か満たされていた。

 と、その時だった!
 タタンッ!と短い発砲音が聞こえ、猟兵達の顔の横を素通りしていった!
 岩壁が小さく破裂するように砕けて、小さな穴を開けてみせた。
 ――襲撃だ! どこからか狙撃されている!
 しかし、姿は何処にも見られない。ほのかに別の甘い香りがするが……部屋の芳香は、狙撃者達のユーベルコードの痕跡を掻き消すためのものらしい。
 更に、ブラウン編集長の情報によれば、F.O.Nの戦闘員達は白金の全身スーツを纏っており、周囲に姿を溶け込ませているのだ。つまり、光学迷彩と同じ効果で身を潜めているに違いない……!

 かくして、猟兵達は姿が見えぬ狙撃者集団から命を狙われ続ける事になった。
 敵をあぶり出し、撃滅し、奥の部屋へ突き進むのだ、猟兵達よ!
ジャン・ジャックロウ
嫌な予感がしたから部下達は地上に待機させてきたが、予感的中だな。
姿を消した狙撃手がそこかしこにいやがるぜ。
ならば……ワオオオオオオォォォ…ッ!!

【ハウリングサーチ】、どんだけ姿を消そうと強者特有の気配ってのはそう消せねぇもんだぜ。
場所の知れた狙撃手なぞ恐るるに足らず。さあ、かくれんぼの時間は終わりだ。次は鬼ごっこの時間だぜ。

居場所を把握した狙撃手を順に始末していくぜ。魔弾なぞ射撃のタイミングを見切って避けながら『ダカーハ』でカウンターで撃ち返すぜ。更に近付いて叩き斬ってやるよッ!

にしても、ブラウン編集長の情報で助かったぜ。白金スーツの種が割れてなけりゃ初撃でヤバかったかもなッ!


【アドリブ歓迎】


カシム・ディーン
UC常時
幸運の神発動
「ご主人サマー☆光学迷彩だよ☆光学迷彩を使う敵がいるよ☆」
ほっほー…光学迷彩…隠れて不意打ちとはなんて卑怯な奴だ!此奴は許せねぇなぁ!
「そうだそうだー☆」

【属性攻撃・迷彩・念動力・戦闘知識・情報収集・視力】
メルシー…判ってるな?
「勿論だよご主人サマ☆格の違いの判らせだね☆」
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で匂いや音を隠蔽

念動力を広範囲に展開
敵の位置を捕捉
楽しんで貰おうか…光学迷彩の恐ろしさをよ…!
【空中戦・弾幕】
消えたまま飛び回り念動光弾を叩き込み
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣と打刀で切り刻み武装根こそぎ強奪
本当はエロい事したかったがな!
「残念☆」



 ジャン・ジャックロウ(野良犬共を統べる部隊長・f39920)は銃撃を横へ転がって緊急回避すると、硝煙の香りに鼻をひくひくと動かしてみせた。
「へっ、嫌な予感がしたから部下達は地上に待機させてきたが、予感的中だな。姿を消した狙撃手がそこかしこにいやがるぜ。ならば……ワオオオオオオォォォ……ッ!」
 ジャンはいきなり地下室の中で大咆哮を上げた!
「うおっ! びっくりした!」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は近くで吠えられて、思わず身を竦めてしまった。
 一方で相棒のメルシーは、ジャンの咆哮がユーベルコードだとすぐに気が付いた。
「ご主人サマ! この咆哮……凄まじい殺気が籠められているよ!」
「おっ? 分かるか? これこそが『殺意振り撒く獣の遠吠えハウリングサーチ』だッ! 俺のユーベルコードの咆哮は、強者の気配をあぶり出すんだぜ! どんだけ姿を消そうと強者特有の気配ってのはそう消せねぇもんだ……場所の知れた狙撃手なぞ恐るるに足らず。さあ、かくれんぼの時間は終わりだ。次は鬼ごっこの時間だぜッ!」
 密閉された地下室の中での咆哮は、壁に音が反響して多角的に敵の存在をソナーのように浮き彫りにしてみせた。
 ジャンは一見何もない場所へ飛び出すと、銃剣【ダカーハ】の刃を前に突き出した。同時に何もない空間からマズルフラッシュと弾丸が飛び出す!
「おせぇよ!」
 発射された弾丸をしゃがんで回避すると、そのまま低姿勢で銃剣の刃で狙撃手の心臓を一突きにしてみせるジャン。
「殺気が駄々洩れだぜ、嬢ちゃん? そんなんじゃ狙撃のタイミングがバレバレだ」
 銃剣を引き抜くと、突如として白金色の特殊スーツを着込んだキツネ獣人の女狙撃手が床に倒れ込んだではないか。
「チッ、まだやる気かよ。いいぜ、俺に銃を向けた意味を教えてやるよッ! ワオオオオオオォォォ!」
 ジャンはこの場に残った強者達の気配を再び把握すると、次々と銃撃と近接戦闘術で各個撃破を繰り返していった。

 一方、そんなジャンの戦い方に感心するカシムは、自身の魔力感知精度を高めている真っ最中だ。
「攻撃はおめーの念動障壁があるから怖くはねーけど……くそ、あの白金のスーツ、かなりの魔力耐性を盛ってやがるな……」
「ご主人サマー☆ 光学迷彩だよ☆ 光学迷彩を使う敵がいるよ☆」
「ああ、そうだなメルシー! 光学迷彩を利用して不意討ちを仕掛けるとか……なんて卑怯な奴らなんだ! 此奴は許せねぇなぁ!」
「そうだそうだー☆」
 ふたりは被害者面した抗議をしてみるが、ジャンは首を傾げていた。
「……おふたりさん、前に光学迷彩魔術で敵をズタズタにしてなかったか?」
「僕がやる場合は戦略的に必要だからだ! やましいことなんてない! いいな?」
「そうだぞ☆ 決してご主人サマの底意地が悪いわけじゃないぞ☆」
「アッハイ」
 ジャンは考えることを止めて、目の前の敵の殲滅に集中する。
 そしてカシムとメルシーは『戦略的に』光学迷彩魔術を発動させた。
「メルシー、分かっているな?」
「おけまる☆ 格の違いを見せちゃうぞ☆」
 メルシーはユーベルコードで因果律を狂わせると、敵の動きが念動力で固定されてしまったではないか!
「姿が見えなくても、攻撃できないなら意味ねーよなぁ?」
「メルシーの念動力で、指先一本すら動かせなくなるよ♪」
 強力な念動力で捕縛された狙撃兵達は、迫りくるジャンの刺突攻撃を回避する事など不可能であった。
「ありがとな、動きを止めてくれたおかげでサクサクと処理できるぜ!」
「いや、僕達の居場所も分かるのかよ……」
 ジャンがカシム達のいる方向へ『振り返って』言葉を発したことに、カシムは再び驚いてしまう。
「つかメルシー! 敵の居場所の特定はもう済んだか?」
「もち☆ それではスイッチオーン☆」
 メルシーが自分のへそに指を突っ込むと、何故か女狙撃手のへそが同時にライトアップするではないか!
「分かりやすく目印を付けておいたぞ☆」
「なんでへそ!? いやしかし、でかしたメルシー!」
 カシムはユーベルコードの効果でマッハ45の超音速機動で敵へ肉薄すると、すれ違いざまに敵を上下真っ二つに斬り裂いていった。
「本当はエロい事したかったがな……光学迷彩魔術をパクった罪は重いぞ! 故に……楽しんで貰おうか、真の光学迷彩の恐ろしさをよ……!」
「ちなみに、おへその発光色は全部で2480色あるぞ☆」
 こうして狙撃手のゲーミング発光へそを目印に、猟兵達は次々と敵を駆逐して突き進んでゆくのだった!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アラタマ・ミコト
極楽浄土にて習得せし御業で皆様方を「ひーる」致します!
完全回復でございます。
さあ、妖共との戦いももう一踏ん張りと参りましょう。
……皆様方が極楽浄土で相まみえた「もんすたー」というものになっております。

これはばぐではないのです!
極楽浄土でで言うちーとというものなのです!……多分です!!


大宝寺・風蘭
連携歓迎。
公序良俗に反する行動、利敵行為、過剰に性的な描写はNG。

へらへらしているが、やると決めたことはちゃんとやるタイプ。
民間人への被害を嫌い、救助活動などには全力を尽くす。

使用武器は、木刀のような見た目の革命剣『木刀れぼりゅーしょん』
正規の格闘技の心得はなく、斬撃とパンチ、キックを雑に組み合わせた喧嘩殺法で戦う。
オウガ(二足歩行の人間大の猫のような見た目で、名前はモチズキ)との連携を好む。

冒険では、力任せに障害を吹き飛ばすといった行動が得意。ただし地頭が悪いわけでもないので、搦め手が必要ならその都度考える。

台詞例
「アタシだってヤるときゃヤるんだぜぃ!」
「つまり、全員ぶっ飛ばしゃ解決っしょ」



 大宝寺・風蘭(狂拳猫・f19776)は不可視の狙撃手相手に対して直感を働かせ、なんと飛び込んできた弾丸を木刀のような見た目の革命剣『木刀れぼりゅーしょん』で叩き落していた。
「いくら姿が見えないからって、その甘ったるい香りで大体の場所が分かるんだよ!」
 大宝寺は戦略も戦術もへったくれもない、ただの喧嘩殺法でひたすら防御に徹していた。
 何故ならば、敵のユーベルコードは甘い芳香を放つ吸血鬼に返信すること。そして光学迷彩を解除して相手に姿を見せることで『陶酔』の感情を与える……つまり魅了状態にしてしまうからだ。
「だからアラシは目を開けることはできない! 気合と直感で飛んできた弾丸を叩き落すだけだ! ってことで、頼んだかんね、モチズキ。食った分はちゃんと働いてよ?」
 その代わり、二足歩行する人間大の猫のような見た目のオウガを自身に憑依させて攻撃させるのだ。
 ユーベルコード『望月』……使役するオウガの名を冠する埒外の異能は、オウガの好物であるずんだ持ちを大量摂取することで発動する。
『ウオオオオオオオオォォォッ!』
 途端、大宝寺の身体にオウガ『モチヅキ』が憑依し、目を瞑ったまま地下室内を縦横無尽に駆けまわってゆく!
 強化された体術で闇雲に腕と足を振り回せば、狙撃されたダメージなど無視しながら次々と不可視の狙撃兵達を薙ぎ払っていった。
 だが、さすがにダメージの蓄積は無視できない。
 そこで、同行していたアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は、大急ぎでユーベルコードによって大宝寺を治療してみせた。
「極楽浄土にて習得せし御業で皆様方を『ひーる』致します!」
 アラタマの身体から極楽の蓮が咲き誇ると、その芳香が大宝寺の傷を一瞬で直してみせた。
「これで完全回復でございます。さあ、妖共との戦いももう一踏ん張りと参りましょう。この『ゆーべるこーど』を使うと……皆様方が極楽浄土で相まみえた『もんすたー』というものにアラタマちゃんはなってしまうのです」
 ユーベルコード『極楽の香気』は視界内の味方を完全回復させるが、代償として極楽の蓮の花に汚染されてしまい、一定時間、使用者は理性無き天上界の獣と化すのだ。
「これは『ばぐ』ではないのです! 極楽浄土でで言う『ちーと』というものなのです!……多分です!」
 それ以降は大宝寺もアラタマも、理性なき戦士となって、残りの狙撃兵達を残らず滅殺してみせたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『レックス・ラビットゲート大佐と焼尽中隊』

POW   :    ファイアバーン・システム
着弾点からレベルm半径内を爆破する【ロケットランチャー 】を放つ。着弾後、範囲内に【戦場を彷徨う死霊】が現れ継続ダメージを与える。
SPD   :    サイレント・キリング
【相手に悟られぬCQC 】で敵の間合いに踏み込み、【気配を殺し視界の外から無音の銃弾】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    殺るか殺られるか
戦闘用の、自身と同じ強さの【焼尽中隊のバニー部隊 】と【自身を護衛するバニー部隊】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
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 ――獣人戦線・アメリカ合衆国アリゾナ州アリゾナ砂漠、秘密結社地下基地内。
 猟兵達は既知の最深部へ辿り着いた。
 扉を蹴破ると、そこはアメリカンクラシックな調度品の数々と、仕立ての良いドレスを纏ったウサギ獣人の美女たち、そして見るからに高そうなスーツを纏ったウサギ獣人の男が寛いでいた。

「あの狙撃兵達を潜り抜けてきたか。猟兵とは、我々F.O.Nが想定していた以上の戦力を発揮するようだ」

 男は美女たちを侍らせたまま、ワイングラス片手に朗々と語り始めた。
「私はアメリカ秘匿特務機関の長、レックス・ラビットゲート大佐だ。そして彼女達は私の忠実な部下達だよ。名を焼尽中隊というが、恐らく君達は聞いたことがないだろう。無理もない。我々の機関はこの国の影である。国益のためには、我々のような機関が汚れ仕事を請け負うのだ。そして、いまや世界大戦が目の前に迫っていることを、君達は理解しているか? この国の平和を守るためにも、多少の犠牲を払ってでも、アメリカは、F.O.Nは! 世界大戦で参戦する義務がある! 故に、秘密裏に軍隊を組織するべく違法移民者を拉致して殺害し、『改造手術』を施して愛国者になってもらっている。違法移民者はアメリカを汚す遺物だからな、教育してやっているのだよ。その成果は、今、君達の目の前にいる」
 つまり、この男はアメリカの更なる繁栄のため、自由を求めてやってきた移民者を戦争の手駒にしているというわけだ。なんたる身勝手な!
 猟兵達は焼尽中隊がこの部屋に押し寄せてくる気配を感じた。
 こんな狭いところで乱戦になれば、数の暴力で負けてしまう!
 相手の地の利を覆し、レックス・ラビットゲート大佐と焼尽中隊を討伐せよ!
 F.O.Nの陰謀を阻止するのだ……!
ジャン・ジャックロウ
はじめしてご機嫌よう、ラビットゲート大佐殿。
自分はジャン・ジャックロウ、野良犬部隊を預かる身で…今からテメェをブチ殺す男だよ。

『野良犬部隊の無線機』で【野良犬部隊】歩兵班に通達。野郎共ウサギ狩りだ、この部屋に押し寄せて来ようとしている焼尽中隊を迎え討て。この部屋に近付けんなよ。
ウサギの親玉は俺が狩るからよッ!

オラッ!『ダカーハ』の弾丸を味わいなッ!更に連射して攻撃を加え続けるぜッ!
…!?野生の勘がビンビンしやがる。気配を殺したウサギ野郎の僅かな気配を感知して攻撃を見切って避けながらカウンターをブチかましてやるッ!

世界大戦、大いに結構と言いたいが仕事なんでね。阻ませて貰うぜッ!


【アドリブ歓迎】



 ジャン・ジャックロウ(野良犬共を統べる部隊長・f39920)はうやうやしく自分の帽子を脱いでみせ、小馬鹿にするように慇懃無礼な振る舞いをしてみせた。
「はじめしてご機嫌よう、ラビットゲート大佐殿。自分はジャン・ジャックロウ、野良犬部隊を預かる身です。そして……今からテメェをブチ殺す男だよ」
 ジャンはすぐさま通信機から部下達へ緊急招集連絡を通達した。
「総員戦闘開始ッ! 歩兵班は直ちに俺のところまで駆け付けろッ!」
 すると、ユーベルコードの効果で地上で待機していたはずの野良犬部隊歩兵班が、ワープしてジャンの周囲へ次々と駆け付けてくるではないか!
「野郎共! 今日の任務はウサギ狩りだ、この部屋に押し寄せて来ようとしている焼尽中隊を迎え討て。この部屋に近付けんなよ。ウサギの親玉は、俺が狩るからよッ!」
「「イエッサー!」」
 歩兵班268人は装備しているアサルトライフルを構えながら扉の外へ飛び出し、迫りくる敵部隊へ制圧射撃を仕掛けて足止めを図る。
 一部の歩兵はジャンの傍で待機し、万が一のバックアップに控えていた。
「そんなに心配しなくとも俺がやられるタマじゃねぇって分かってるだろうが。まあいい、んじゃ大佐殿、失礼するぜッ!」
 ジャンは傍らに携えている銃剣『ダカーハ』をクイックドロウ!
 目にも留まらぬ早撃ちがレックス・ラビットゲート大佐の右脇腹を撃ち抜いた!
「オラッ! 『ダカーハ』の弾丸を味わいなッ! 更に連射して攻撃を加え続けるぜッ!」
 一方的な弾幕の面攻撃に、レックス大佐は溜まらず高級ソファーの影に身を潜めざるを得ない。
「くっ……油断したか。しかし、この場にいるのが私だけではないのだよ」
「何言ってやがんだ? 負け惜しみも大概に――ん?」
 高級ソファーが銃弾の雨で削られてゆく中、ジャンはいつの間にか周囲に侍っていた赤と青のドレスを纏ったウサギ美女たちが姿を消している事に気が付いた。
(野生の勘がビンビンしやがる! この狭い部屋の中で、いつの間に気配を消しやがった? どこだ、どこに居やがる!?)
 ジャンが必死に神経を張り巡らしていると、不意に部下のアサルトライフルから銃声が響く。
「隊長! ご無事でしたか!」
「何ィ!? いつの間に俺の背後に居やがっただと……ッ!?」
 これが焼尽中隊の実力か!
 部下が念のため控えていなければ、ジャンはCQCから至近距離で銃撃を喰らって即死していたやもしれない。
 撃たれた赤いドレスのウサギ美女が怯むと、側面から青ドレスのウサギ美女が地を這うようにジャンへ飛び込んできた。その手にはピストルが握られている!
「私も忘れては困るな!」
 レックス大佐も飛び出し、ジャンは挟撃のピンチ!
 ドバドバッと放たれる4つの弾丸を、ジャンは敢えて2発まで身に受けて銃剣の切っ先で周囲を斬り払った!
「世界大戦、大いに結構と言いたいが仕事なんでね。阻ませて貰うぜッ!」
「がはッ!」
 青ドレスのウサギ美女は肩口からザックリと切り刻まれ、レックス大佐も腹を裂かれて返り討ちに遭ってしまった。
「ば、馬鹿な……自ら銃弾を喰らいにいった、だと?」
 腹の傷を抑えて苦悶するレックス大佐が訝しがる。
 これにジャンは舌打ちで答えた。
「あ~あ、最高級ボーンスティックとスキットルが駄目になっちまった。また調達しておかねぇとな……」
 なんと、ジャンの身体を撃ち抜いたかにみえた敵の弾丸は、彼の大好物の糧食加工品と高い酒が入った容器に阻まれて無傷であった。
 猟兵は勝利の女神の庇護下にあるのかと思えるほど、運も味方にしてレックス大佐達を圧倒してみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アラタマ・ミコト
なるほど、なのです。
つまりはあのぼすうさぎを狩ればいいのですね。
地の利は敵にあるですか。
極楽浄土ではそんなのはいつもの事なのです。
あらたまちゃん、実はたんくも得意なのです。
殲剣陣羽織でろけっとらんちゃーとやらも防ぐのです。
戦場を彷徨う死霊なのです?
即身仏のあらたまちゃんの後光に平伏すといいのです。



「なるほど、なのです。つまりはあの“ぼすうさぎ”を狩ればいいのですね」
 アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)は他の猟兵が戦っている様子を観察し、色々と現状を見出していた。
 それは同時に、敵の首魁であるレックス・ラビットゲート大佐が待ち受けるこの部屋へ、彼の私兵部隊が駆け付けてくることを意味していた。つまり袋のネズミ状態である。
「地の利は敵にあるですか。極楽浄土ではそんなのはいつもの事なのです。それにあらたまちゃん、実はたんくも得意なのです」
 えっへんとドヤ顔をするアラタマは、ふいにどこからともなく将軍鎧を取り出して身に纏ってみせた。
 だが着替えている最中の無防備なところへ、レックス大佐は容赦なくロケットランチャーを身構えて発射した!
「室内での使用はリスクがあるが、構わん。君ごと吹っ飛ばしてみせよう」
 着弾点から半径およそ150mが死霊の群れで埋め尽くされる大佐のユーベルコードだ。
 まともに喰らえば即身仏といえども無事では済まないだろう。
 そのままアラタマの顔面に弾頭が直撃!
「殲剣陣羽織でろけっとらんちゃーとやらも防ぐのです。でも顔面はいたいのです。どかーん」
 刹那、爆ぜる即身仏! ナムアミダブツ!
 この瞬間、部屋中に戦場で命を失った死霊共が、アラタマへ一斉に襲い掛かて来た。
「これは戦場を彷徨う死霊なのです? 即身仏のあらたまちゃんの後光に平伏すといいのです」
 アラタマは神器『天叢雲剣』を振り抜けば、斬撃が雷雨となって悪霊たちを重複しはじめたではないか。
 というか、ロケットランチャーの弾頭を顔面直撃して、どうして平然としているのか理解不能であった。
「馬鹿な……? あの青白い顔は戦車装甲で出来ているのか?」
 驚愕するレックス大佐にアラタマが首を傾げた。
「アラタマちゃんは即身仏なのです。あと将軍鎧に密着した『己が武器とみなした物』全てをゆーべるこーどの念動力で操作できちゃいます。なので顔面に密着した弾頭を操って爆発の指向性を変えてみましたのです」
「物理法則を捻じ曲げただと……!? そんなことあって堪るか!」
 憤りを隠せないレックス大佐。
 しかしユーベルコードとは埒外の異能力であり、猟兵もまた理の外にある埒外の存在なのだ。
 即身仏がのうのうと目の前でしゃべっているのだから、顔面に直撃した弾頭の炸裂する爆破指向性を変える事など、今更な話であった。
「ということでうさぎかりのじかんなのです。ぶすっと刺されるかざくっと刻まれるか選ばせてあげるのです」
「どっちもお断りだァァァァ!」
 レックス大佐はロケットランチャーを乱射するも、まったく効かないアラタマに恐怖を覚える。
 そのままレックス大佐は、目の前に迫る青白い即身仏の雷雨の刃に身を貫かれて血反吐を出したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

***
ごきげんよう。
戦力が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力で、戦いをサポートしますね。

敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください。
攻撃は念動力で締めたり潰したり斬ったり突いたり…
まぁ、敵の物性に合わせてそれっぽくやりましょう。
状況に応じて、適当にこき使ってください。



 サポーターとして急遽この任務に参加したエリー・マイヤー(被造物・f29376)は、いきなり敵部隊に囲まれていた。
「戦力が必要なのは言うまでもないですね。早速始めましょう」
 襲い掛かってくるレックス・ラビットゲート大佐の焼尽中隊が近接戦闘術を仕掛けてくる。かなりの手練れなのか、気配を消して忍び寄ってくるため、気が付けばエリーの目の前に出現してくる。そこから超至近距離の無音射撃がエリーへ放たれた。
 4発食らうと必ず死ぬと言われるユーベルコードCQCに対して、エリーが問った行動は単純明快であった。
ストップ空間固定です」
 エリーは念動力に特化したサイキッカーのフラスコチャイルドである。
 物質であれば、彼女の念動力の効果が及ばないものなどないのだ。
「放たれた銃弾を空中で『固定』しました。ついでにアナタ達の動きも念動力で拘束させていただきました。私、こういうセコイ工作は得意なんです」
 エリーは空中で螺旋回転する弾丸のひとつひとつの向きを180度回転させながら物憂げに言葉を吐き出してゆく。
「私、運動が大の苦手なんです。念動力さえあれば遠くのものを掴んだり、自分の身体を浮かして移動させたりと何かと便利なんです。でですね、ある日、私は思ったのです。念動力で固定した物体の運動エネルギーってどうなるんだろうと。ほら、まだ放たれた弾丸は『生きています』よね? となると、これ、向きを変えた後に私の念動力を回避したら……どうなるでしょうか?」
 指先でクイクイッと弾丸ひとつひとつを敵のいる方向へ向けてゆくエリー。
 敵部隊の女ウサギ獣人は勿論、彼女らを率いるレックス大佐も戦々恐々だ。
「ああ、そろそろ疲れてきたので解除します。あと、私のユーベルコードもせっかくなので喰らってみてください」
 エリーはレックス大佐へ向けて、指鉄砲を構えた。
「――バン」
 その言葉がトリガーとなり、彼女の指先から念動力の弾丸が発射された。
 同時に、周囲を固定していた念動力が解除され、全ての弾丸が敵部隊へそのまま帰ってきた。
「「ギャアアァァァアッ!」」
 刹那、施設内に響き渡る断末魔の数々。
 レックス・ラビットゲート大佐と焼尽中隊は、単純な『力』の前に、あっという間に瓦解してゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
…やべーな此奴…たまにいるんだこういう兎
「ご主人サマ…?」
兎は無害だが…たまに…たまーにだが…ぶっ殺しに特化した化物兎がいるんだよ
牙で即座に首を刈り取る怪物がな?
「そうなんだ?」
だからだ…メルシー…確実に仕留めるぞ?

でないと…僕らが殺される

【情報収集・視力・戦闘知識・念動力・瞬間思考】
念動力広域展開
己に近づく敵を察知
反応と共に即座に瞬間思考と共に狙いと行動パターンを把握して可能な限り回避か念動障壁展開

…初めてだ
見えてるのに見えねえってのはな?
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・電撃】
UC発動
本当は取り巻きの兎のお姉さんと遊びたかったがなぁ!

鎌剣と太刀で切り刻み電撃を注ぎ金目の物は根こそぎ強奪!



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は今までの戦闘経験から、目の前にいるレックス・ラビットゲート大佐と焼尽中隊のヤバさを理解してしまった。
「……やべーな此奴……たまにいるんだ、こういう愛国者が。それでいてウサギって言うのがやべー」
「ご主人サマ……?」
 凄みを感じるカシムに、相棒のメルシーもただならぬ気配を感じた。
「いいか、メルシー? 兎は美味いし無害だが……たまに……たまーにだが…ぶっ殺しに特化した化物兎がいるんだよ。牙で即座に首を刈り取る怪物がな? それが国のために陰で暗躍してるとか、笑えねー冗談だ」
「そうなんだ?」
「ああ。だからだ……メルシー。今回はいつも以上に……確実に仕留めるぞ?」
 カシムは雷電迸る打刀を鞘から抜き払うと、決断的に告げた。
「でないと……僕らが殺される!」
「ッ! それほどまでにヤバいんだね? メルシーも頑張るね!」
 いつになく真面目モードのふたりは、早速ユーベルコードを発動!
「いくぞメルシー! 魔力と思考をリンクさせろ!」
「ラジャったよ☆ ついでに光学迷彩魔術もオンだぞ☆」
 最大マッハ45の超音速機動を可能にした二人の姿が、光学迷彩魔術によって周囲の景色に溶け込んで認識阻害ヲ起こす。
「なに……? どこへ消えた? だがここは施設の中だ。逃げ出せる筈もない。奴らの気配を探せ!」
 レックス大佐が部隊に命令を下し、カシム達の気配を辿らせてゆく。
 しかし、カシム達の光学迷彩魔術は様々な強敵の中で磨かれてきた最強の隠密魔術だ。
 それは視覚はおろか嗅覚と聴覚、さらに熱源、まで遮断してみせていた。
「いない、だと? うお、なんだこの感覚は?」
 レックス大佐は急に自分の身体が見えない手で弄られる感触を味わう。
 メルシーの念動力が周囲の敵の動きを補足かつ捕縛してみせたのだ。
「ほう……初めてだ。見えてるのに見えねえってのはな?」
「でもメルシーがいれば意味がないぞ☆」
 カシムの鋭い認識すら掻い潜る敵部隊の隠密ユーベルコードは、存在自体がチートの神機の前には意味を成さない。
 全ての敵を捕縛すれば、あとは鎌剣と太刀で蹂躙し、金目の物は根こそぎ強奪するだけだ!
「うおおおおおおおっ! 本当は取り巻きの兎のお姉さんと遊びたかったがなぁ!」
「メルシーも前後したかったぞ☆」
 名残惜しそうに超音速で施設内を駆け巡る二人は、そのままレックス大佐ごと敵部隊をミンチにしてみせたのだった。

 こうして、アメリカの裏で暗躍する秘密結社F.O.Nの陰謀のひとつを猟兵達は壊滅させた。
 しかし、まだまだこの国は世界大戦への野望を諦めていない。
 故に、また猟兵達は戦い続けるのだ……。

<了>

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年04月21日


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#獣人戦線
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ロザリア・プライムです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト