はじまりの遺跡の黄金竜
アックス&ウィザーズの遺跡都市『ヴェルニス』。
地下に巨大な古代遺跡群が存在するその都市は、ヴェルニス王国の王都であると共に、冒険者が多く集う場所でもあった。
中でも『迷宮街』と呼ばれる地域は、ヴェルニスで最初に発見されたにもかかわらず現在も未探索地域が多い『はじまりの遺跡』の入り口であるためか、冒険者の拠点が数多く置かれている。
九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)が話に出した酒場『フレイル』も、そんな冒険者が集う場所の1つだった。
「ちょいと縁のある酒場でね、1つ依頼を受けてくれないかと言われたんだよ」
猟兵達を見渡すように視線を流し、胸元に揺れるペンダントの金のコインに何故かそっと触れてから、夏梅は本題を切り出す。
曰く、はじまりの遺跡にドラゴンが現れた、と。
「探索が終わったはずの、踏破済な地域に居座っているらしくてね。
腕に覚えのある冒険者チームは未探索地域に向かっちまってるから手がないんだと。
おかげで、経験値を稼ぎたいそこそこの冒険者達が、はじまりの遺跡に行き辛くなっちまって困っているそうだ」
苦笑する夏梅に、あー、と同意のような声が猟兵達から漏れた。
「予知によると、居座っているのは『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブ。
その黄金の肉体で冒険者を惑わせる、ちょいと厄介ではある相手だ。
もしかしたら洗脳への対策が必要かもしれないね」
と、そこまで情報を渡してから、夏梅は面白がるようににっと笑う。
「居場所なんかの詳しい情報は、自分達で集めて来ておいで。
フレイルのおかみは世話焼きだし、冒険者達も気のいい奴らだよ」
つまり。情報収集の名目で、酒場を楽しんでしまえと。
ドラゴン退治よりも酒場『フレイル』の宣伝かと思えるかのような提案に、猟兵達は苦笑するのだった。
佐和
こんにちは。サワです。
久しぶりにシンプルなドラゴン退治のお仕事です。
第1章は酒場『フレイル』でのひととき。
情報収集ではありますが、特に何も聞かなくても次章には情報が開示されます。
酒場の雰囲気を楽しんでいただくだけでも大丈夫です。
冒険者達は落ち込んでますが、おかみは陽気に元気に出迎えてくれます。
ジャガイモのガレットと牛肉の赤ワイン煮込みが看板料理。
もちろん、聞き込みをすれば情報が出てきます。
第2章は、はじまりの遺跡での『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブとのボス戦です。
辺りにはうっかり洗脳されちゃった冒険者が数名いますので、場合によってはその対処をしながらの戦いとなります。
それでは、定番な討伐依頼を、どうぞ。
第1章 日常
『冒険者の宿にて』
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POW : 酒場メニューを堪能する
SPD : 定宿にしている冒険者と交流する
WIZ : 旅の商人や吟遊詩人と交流する
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迷宮街の雑多な街並みの中には冒険者が集う店が幾つもある。そもそも、はじまりの遺跡を攻略しようと冒険者が集まり、一部がそこに住み着き、そして冒険者相手に商売を始める者が出て来て……といったような経緯で発達してきた地域だから。冒険者向けの店が多いのは当然だ。
酒場『フレイル』もその1つ。客は冒険者がほとんどで、冒険者向けの店を出している周辺の住民や、冒険者へ依頼をしたいと思う者が時折足を向けるくらい。2階の宿に泊まるのも冒険者ばかり。
戦果を語り、情報を交換し、陽気に賑わうその酒場は。
いつもよりも大分静かだった。
8つあるテーブル席は3つしか埋まらず。冒険者がどこか沈んだ様子でちびちびと酒を傾けている。
「やっぱりあのドラゴンがいなくならねぇと……」
「ブラックのパーティーが帰ってこないらしい……」
冒険者達の間でぼそぼそと交わされる会話は陰鬱としたものばかり。
カウンター席には1人だけ。一番奥側の端の席を1つ空けて、その隣に座った男は、黙々と料理を口に運んでいる。服装からすると街の住人か。テーブル席の冒険者達より年も大分上のようだ。
「何だい何だい。揃って辛気臭い顔並べて」
酒場のおかみだけが明朗快活な明るい声を響かせるけれども。どこか呆れたようなのは仕方ないところ。注文された料理をテーブルに運びながら、でもよぉ、と情けない声を返してくる冒険者達をじろりと見やった。
「何とか言ってやんな、セルバンテス」
カウンター席の男におかみが気安く声をかけるけれども。
「……葡萄ジュースをくれ」
おかみと同年代の彼の背中から返って来たのは注文だけ。
冒険者達の方へ振り返りもしないその姿に、おかみは大仰にため息をついた。
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
遺跡都市の迷宮街か
この場所だからこその活気
まるで小説の中の様な光景に心が躍る
「なんだか俺もわくわくするな」
けど今はドラゴン退治の準備をしないとな
相棒も気を引き締めたみたいだし
まずは酒場に入って情報収集と食事だ
女将さんには時人が聞いているから
俺はエールのジョッキ片手に
冒険者たちから話を聞こうか
「此処の席空いてるかな」
状況を考えても冒険者にとっては死活問題だしな
不安の払拭と色々教えて貰う為にも此処は
やる事は一つだな
「此処は俺の奢りだ。幾らでも飲んでくれ!」
酒と安心で口が軽くなってくれれば良し
何もなくとも全力で戦うけど
面白い話でも聞けると良いな
「大丈夫。俺達に任せとけ」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
奥でも中堅までって雰囲気なのに
ラスボスは超迷惑だし頑張ろう
それに
「勝ったらドラゴンスレイヤーじゃん!」
こういうファンタジー世界の称号カッコ良いよね
あ、勿論依頼は真面目にするよ!
異世界の酒場の雰囲気好きだなあ…
ただただワクワクする
この場に身を置けるのも楽しいね
俺はまず女将さんにお薦め頼んで話聞くよ
倒すつもりだって言い切ってさ
そしたら誰が詳しいか教えて繋いでくれると思うんだ
もしかしたら心配されるかもだけど
「大丈夫。こう見えても俺達、そこそこ強いから」
相棒も居るしねって指して
陸井はめちゃスッと溶け込んでるし
「流石!上手いなー」
合流して情報の整理して冒険者たちに必勝を約そう
「いらっしゃい。そっちのテーブルでいいかい?」
明るく元気なおかみさんの声に迎えられて、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)は、軽く片手を上げる動作と小さな会釈を送ってから示された席に座る。
その動きを目で追っていたのだろう、注文を促すかのようなおかみさんの優しい眼差しにふっと微笑むと、陸井は、エール2つ、と指を2本立てた。
「こういう雰囲気も好きだなあ……」
独り言のような呟きに、向かいの席に黒瞳を戻せば、わくわくしているような時人の嬉しそうな顔が見えて。
「この場に身を置けるのも楽しいね」
陸井の視線に気付いてか、少し照れたように笑いながらそんな感想を伝えて来る。
「なんだか俺もわくわくするな」
そんな相棒の様子につられるように、陸井の気持ちも高揚していた。
冒険者が集うこの酒場『フレイル』もだけれども、ここへ辿り着くまでの雑多で活気に溢れた迷宮街の光景を思い出して。まるで小説の中のようだ、なんて思ったりすれば、さらに心が踊り出す。
けれども、楽しんでばかりはいられない。
「ちゃんとドラゴンの話も聞かないと」
目的を忘れてはいないと自身に示すかのように口にすれば、そうそう、と時人も頷き。
「奥でも中堅までって雰囲気なのに、いきなりラスボスは超迷惑だよね」
頑張ろう、と自分にも陸井にも向けたような言葉を、真剣な顔で口にする。
でもすぐに、またわくわくした楽し気な笑顔を浮かべて。
「それに、勝ったらドラゴンスレイヤーじゃん!」
憧れの『ファンタジー世界の称号』を掲げ、カッコ良いよね、と心を弾ませていた。
陸井はそれを微笑ましく眺め、でも一応は諫めるように、ちょっと苦笑気味の表情を浮かべて見せれば、はっと気付いた時人が居住まいを正す。
「あ、勿論依頼は真面目にするよ!」
その様子に陸井は、時人らしさに思わず笑ってしまいそうなのを堪え、またそれを気付かれないようにと口元を隠しながら、頷いて見せた。
「はいよ、エール2つ。あとの注文はあるかい?」
そこに運ばれてきたジョッキが2つ。
時人は、テーブルの上のそれから、傍に立つおかみさんへと視線を上げて。
「ええと、ジャガイモのガレットと牛肉の赤ワイン煮込み、だったかな。
お薦めって聞いたんだけど」
「おや、誰かの紹介かい」
「そう。ドラゴン退治の依頼があるんだよね?」
さらりと出した話に、おかみさんは目を見開いた。
その様子に、心配されてるのかな、と思う。時人は『運命の糸症候群』と思われる肉体の若返りを経ていて、さらには童顔と言える若い面差しを持つから、実年齢以上に幼く見られているのだろう。それでなくても、おかみさんは割と年配者のようだから、時人が息子でもおかしくないし、しかも末っ子のように扱われても仕方がないのかもしれない。
だから時人は、次の言葉に迷うようなおかみさんに、にっこり笑いかけて。
「大丈夫。こう見えても俺達、そこそこ強いから」
自信を示すように告げながら、年上の陸井を指し示した。
「相棒も居るしね」
落ち着いた佇まいの陸井なら、おかみさんに安心してもらえるだろうか、という思惑もあったけれども。それよりも、陸井と一緒ならどんな戦いだって大丈夫、と時人が思っているからこその説明。そして笑顔。
「誰が詳しいか、教えてもらえないかな?」
おかみさんは、そんな時人を、そして陸井を順に見て。
少し考えるような素振りを見せてから、その視線を隣のテーブルに投げた。
そこに座っていたのは、ちらちらとこちらの様子を気にしている2人組の冒険者。
4人掛けテーブルの端にいるから、手前の椅子2つが空いているのを見て。陸井は自分のエールジョッキを手に持つと立ち上がった。
「此処の席空いてるかな」
陸井の動きを目で追っていた冒険者は何も答えなかったが、拒絶の意思はなさそうだと感じ、陸井は空席の1つを埋める。
でもすぐに話しかけることはせず。
まずは手にしたジョッキを持ち上げ、エールをグイっと飲んだ。
「……ドラゴンを倒しに来たのか?」
「ああ」
そんな陸井に、冒険者の方から話しかけてくる。
陸井は穏やかな笑みのまま頷いて。
「でもそれよりもまずは……」
飲みかけのジョッキを掲げて、告げた。
「此処は俺の奢りだ。幾らでも飲んでくれ!
それで、面白い話でもあったら聞かせてくれ」
「ドラゴンの話じゃなくていいのか?」
「それも聞きたいけど、冒険譚にも興味があるんだ」
その言葉に、冒険者2人は、どうする? というように顔を見合わせる。
だから陸井は振り返り、こちらを見ていたおかみさんへ向けて、テーブルの上の空になりかけていた2つのジョッキを指し示し、笑いかけた。
ああ、と察したおかみさんが、バチンと片目を瞑ってから踵を返す。
程なくして、冒険者達が注文したものと同じ酒だろう、お代わりが運ばれてきた。
おずおずと酒に手を伸ばす冒険者。それを飲むのに合わせて、陸井もまた、エールを傾けて。急かすことなく、話を待つ。
「……それじゃあ、変な商隊の護衛をした時の話とかどうだ?」
「あー、あれか。確かにあれは変だった。
金貨50枚って破格の依頼だったから良かったが、奇妙な10日間だったぜ」
「へえ、どんな風に?」
そして話が始まっていき。少しずつ盛り上がっていき。それに応じて、冒険者の警戒心が解けていき、陸井が溶け込んでいく。
(「流石! 上手いなー」)
感心しながら時人もそこにそっと混ぜてもらって。
4人のテーブルは段々と賑やかになっていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、冒険者と言えば酒場で情報収集だ!って、アヒルさん私達はお酒はダメですよ。
でも、なんで酒場なんでしょうね?
それよりも、どうやって情報を集めたらいいんでしょうか?
ふええ!?勇者アヒルさんの武勇伝を語るって、アヒルさんの声は私以外には聞こえないんじゃ。
つまり、私が翻訳するってことなんですね。
でも、誰もアヒルさんを勇者だと信じてくれないんじゃ?
勇者とは相手が強大である程強くなるから、アヒルさんが最強って、信じてくれるのでしょうか?
荒谷・つかさ
ふうん、空いてるけどいい雰囲気の酒場ね。
女将さん、ラム酒と一緒にオススメ頂戴。
あと……ドラゴンのステーキ、あるかしら?
沈みがちな空気はスルーしつつ当然のようにドラゴンを食い物扱いし、噂の黄金龍の話を聞きにいく
聞きつつ並行して料理を味わってそのレビューも入れる(基本褒める方向性で)
話自体は情報収集として真剣に聞くし相応に相槌も打つけど、必要以上に深刻には捉えない
何故って、流石にあの帝竜軍団より強いなんてことはまず無いでしょうしね
そんなことより味が気になるわ
粗方話を聞けたら、ソイツを仕留めて持って帰ってくると約束してお代を払うわ
(なおいつの間にか軽く五人前くらい食べてるし酒樽は一つ空になってる)
「ふええ、冒険者と言えば酒場で情報収集だ!……って、アヒルさん、私達はお酒はダメですよ」
酒場『フレイル』の入り口で、フリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は手の中のアヒルちゃん型ガジェットとひそひそ声を交わしていた。
といってもガジェットはガアガア言ってるだけなので、フリルが1人でぼそぼそ独り言を喋っているかのようにしか見えない訳ですが。
「でも、なんで酒場なんでしょうね?」
こくんとフリルが首を傾げると、つばの広い大きな帽子も傾きます。
自分で言っている通り、未成年のためまだ飲酒のできないフリルには、定石がいまいち理解できない様子。情報収集には人が集まる場所に行く方がいい、というのは分かるし、酒場は人が集まる場所、というのも理解できるけれども、他にも人の多い場所はあるのにと思ってしまうようです。
しかし今のフリルには、場所の疑問よりも、解決しないといけない疑問があるわけで。
「それよりも、どうやって情報を集めたらいいんでしょうか?」
直面したその問題に、反対側へと首を傾げた。
極度の人見知りなフリルにとって、見知らぬ冒険者に話しかけるということはかなりハードルが高い。さらに、どう話しかけたらいいのか、何と聞いたらいいのか、といったところが分からないとなれば、もうこのまま回れ右をしたい気分なので。
困り果てて手元のガジェットを見下ろすと。
アヒルちゃんは真っ白な胸を堂々と張るかのようにして、ガア、と鳴いた。
「ふええ!? 勇者アヒルさんの武勇伝を語る、って……
アヒルさんの声は私以外には聞こえないんじゃ」
ガアガア。
「つまり、私が翻訳するってことなんですね……」
ガジェットの言葉を唯一正確に理解できるフリルは、やっぱり話しかけるのはあくまで自分なのだと言われたことに、ふええ、と顔を隠すように帽子のつばを引き寄せる。
言葉を繰り返すだけでいいのは自分で考えて話すよりはいいけれども……と思ったところで、フリルはふと、ガジェットが語ろうとしているのが『勇者アヒルさんの武勇伝』である、という点における疑問点に気付いた。
「でも、誰もアヒルさんを勇者だと信じてくれないんじゃ?」
ガア。
「勇者とは相手が強大である程強くなるから、アヒルさんが最強、って……
信じてくれるのでしょうか?」
解消されない不安に、フリルの赤い瞳が揺れる。
「入らないの?」
「ふええ!?」
そこに後ろからかけられた声に、フリルは驚き悲鳴を上げていた。
声をかけた荒谷・つかさ(
逸鬼闘閃・f02032)もびっくりして。赤茶色の瞳を瞬かせるけれども。すぐに気を取り直して、酒場の扉を開けた。
「いらっしゃい。向こうのテーブルが空いてるよ」
酒を運びながらのおかみさんの声に、つかさは酒場の中をぐるりと見渡す。
半分以上空いているテーブル席。1人しか座っていないカウンター。でも普段は客が多いのだろう、テーブルも椅子もそこそこの年数を感じさせ、そして幾つかだけは少し新しい感じがする。そういえば酒場の扉もわりと新しそうだったし、床や壁には継ぎ当てしたように色の違う部分がある。酔っ払いに壊されたり、長年使って壊れたりしたのだろう。それだけ長い間そして多くの人に愛された場所、ということか。
「ふうん」
(「空いてるけどいい雰囲気の酒場ね」)
具体的な感想は心の中だけで呟いて、つかさは空いているテーブルへ向かう。
でもその前に、と厨房へ戻りかけていたおかみさんへ声をかけた。
「女将さん、ラム酒と一緒にオススメ頂戴。
あと……ドラゴンのステーキ、あるかしら?」
「アンタもドラゴン退治に来たのかい?」
「ええ」
目を見開くおかみさんに、普通のことのようにつかさは頷く。
「そっちのお嬢ちゃんもかい?」
「ふ、ふええ!?」
ガア。
「勇者アヒルさんに任せておけ、って……だから信じてもらえませんよ」
傍にいたことで話を振られたフリルの方は、何だか不安そうな反応になっていたけれども、つかさは気にせずおかみさんへ問いかけを重ねた。
「それで、ドラゴンのステーキは?」
「あ、ああ、いや、流石にないよ」
「そう。残念ね。
依頼のソイツを仕留めて持って帰ってきたら、食べられるかしら?」
「まあ、材料があれば、作るだろうけど……」
つかさの提案に、驚いたような呆れたような困ったような、そんな色々入り混じった複雑な表情で、おかみさんはカウンターの向こうにある厨房へちらりと視線を投げた。
使い込まれて黒ずんだ、でも手入れが行き届いているように見える厨房。そこにはおかみさんと同じ金髪の、おかみさんより若い男性が立って、フライパンを振るっている。背中しか見えないけれど、家族経営だとしたら、おかみさんの息子なのかもしれない。
「それじゃ今はラム酒とオススメで、ね」
ふわりと微笑んだつかさは、長く艶やかな黒髪を翻して空いたテーブルへ。右隣の席で冒険者2人と猟兵2人が盛り上がって酒を飲み交わしているのを確認し、左隣のテーブルを囲む冒険者3人組からの伺うような視線を感じながら、しれっと椅子に座った。
そこに運ばれてくるラム酒と牛肉の赤ワイン煮込み。牛肉は、既にできていたものを皿に移しただけなのだろう。すぐに提供できるのもお薦めな理由なのかもしれない。ガレットもすぐ持ってくるよ、と言うおかみさんに、つかさは追加でと注文を重ねる。
そして、ラム酒をまず飲んでから。牛肉を口に運んで。
「うん。よく煮込まれていて美味しいわ」
満足そうに頷くと、続けて手を動かしながら。
「それで、噂の黄金龍の話を聞かせてもらえるのかしら?」
視線と声を左隣のテーブルへ投げた。
おかみさんとの会話が聞こえていたのだろう。唐突なはずのつかさの問いかけに、冒険者達は顔を見合わせながらもこちらへと少し椅子を寄せてくる。
「……ドラゴンを倒せるのか?」
「倒すわよ。そのために来たのだもの。
あら、このガレットも美味しいわね。少し焦げたところがまたカリっとしてていいわ」
「はじまりの遺跡は、あんたみたいな綺麗な娘さんが行くようなところじゃねぇぞ」
「あら、ありがとう。でも心配無用よ。
これはラビオリ? この味付け、好みだわ」
「ドラゴンが怖くねぇのか?」
「強敵ではあると思うけれどね。必要以上に恐れはしないわ。
流石にあの帝竜軍団より強いなんてことはまず無いでしょうし……
1人で戦うわけじゃないしね。
あ、おかみさん、ラム酒のおかわりもお願いね」
話の合間に食事も進め、というか、食事の合間に話しを進め。その平然とした様子に、だんだんと冒険者達の期待が高まっていくのを、つかさは感じていた。
「1人じゃないって……この帽子の嬢ちゃんも行くのか?」
「ふえっ!?」
「そうね。あと、向こうのテーブルのと……こっちにもいるわよ。ほら」
「私にもお話を」
「聞かせてください」
つかさがフォークで示した先で、長い金髪の嫋やかな女性が空いていた椅子を埋め、スケッチブックを持った茶髪の少女がぺこりとお辞儀をするから。
また顔を見合わせる冒険者達を前に、つかさは、ふう、とため息をついた。
「正直、私は、強さよりも味が気になるわ。
このステーキと同じ味付けで食べてみたいけれど、合うかしら」
「それは……わからねぇな……」
「それじゃ、分かることを教えてちょうだい」
そして話を促せば、ドラゴンの情報が訥々と語られていく。
つかさは飲み食いする手や口を止めぬまま、それらをしっかりと聞いて……
冒険者の話が終わるまでに酒樽が1つ空になり、5人前程の料理が消えていった。
ガア。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティティス・ティファーナ
冒険者や旅人を見付けて話します。
*アドリブ歓迎
『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』を起動してファンネルビットを創造して展開しグラス型テーブル型も創造して記録と録音機能ビットも創造して展開します。
「判る範囲で情報を集めたい」と切り出して「大きさは」「ブレスの種類は」「他の特徴は」などとドラゴンとダンジョンの知られている範疇での情報を集めながら該当しそうな種類などをこれまでの情報から検索をします。
“該当無し”が出れば「やはり発生種か奇特種か」と囁き「ブラックのチームの特徴や装備品を教えてくれ」とも可能ならば捜索する事を伝えたうえで思い当たる情報や気のせいかもな思い当たる点を聞き出します
艶やかな黒髪の羅刹が、3人組の冒険者から話を聞き出す流れを作ってくれた。
「私にもお話を」
そのテーブルの空いていた椅子を1つもらって、ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は長い金髪を揺らした。
「……『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』起動」
ぽつりと呟いて展開するのは、記録と録音機能を持つビット。グラスなど酒場にあってもおかしくないものに形を変えた可変型ビットで得た情報をもれなく保存し、検索しようと選択したユーベルコードだ。
「それじゃ、分かることを教えてちょうだい」
羅刹の促しに、冒険者は、うーん、と考えて。でもどこから話せばいいか迷っているようだったから。
「大きさは」
ティティスは話しやすいようにと具体的に問いかけた。
「そこまで大きいドラゴンじゃなかったよな。普通の大きさ、っていうか」
「色は」
「黄金色だった。ドラゴンと一緒に宝物も現れてな、その黄金と同じ色だったぜ」
「翼は」
「2枚……いや、4枚あったな。
でも遺跡の中だから、飛び回って、なんて広くはないからな。意味ないんじゃないか」
「ブレスの種類は」
「それは分からん。攻撃される前に逃げてきたからなあ……」
並べられていく情報を聞きながら、ティティスは、自身の持つ情報との突合と検索とを進めていく。そして導き出された結果は――『該当なし』。
「……やはり発生種か奇特種か」
「ん? 何か言ったか?」
囁きに、冒険者が首を傾げるけれどもそれには答えず。
「ブラックのチームの特徴や装備品を教えてくれ」
ティティスは次の情報を求め、問いかけた。
それは、はじまりの遺跡から帰ってこないと聞いた冒険者チーム。ゆえに、冒険者達の表情が少し曇ったけれども。
「ブラックは大剣持ちの剣士だ。あと、斧使いの戦士と魔法使い、僧侶がいたはずだな」
「全員若い男で、駆け出しではないがまだ経験値低めではあった」
「遺跡攻略よりも宝探しに重点を置いてたから、ドラゴンの宝に目が眩んだのかも」
並べられていく情報。
それをティティスに伝えてくれるということは。
「もし、ドラゴン退治の時に余裕があるようなら……」
「ええ。可能ならば捜索します」
申し訳なさそうな頼みに、ティティスは銀色の瞳を細め、緩やかに頷いて見せた。
大成功
🔵🔵🔵
グラース・アムレット
遺跡を中心に発展したきた都市なら、やはり冒険者たちが元気であってこそですよね
おかみさん、まずは私にもジュースをください
冒険者さんに聞き込みもしていきます
ドラゴンの姿や動き、大きさはこんな感じかしら? とスケッチもして、彼らに確認してもらいますね
それにしても皆さんの元気がないと、他の冒険者さんの士気にも支障がでるのでは……?
自信を取り戻したり、恐怖を克服する助力もさせて下さい
遊戯盤と私のUCを使い
ボードゲームくらいの大きさでリアルな駒の模擬戦をしてみませんか?
対モンスターへの戦術を考えたり、動きに慣れれば、きっと皆さんも再び意気揚々と冒険にも出れるはず
楽しんで貰ってる間に、看板料理をいただきます
「おかみさん、私にもジュースをください」
他の注文に便乗するような形で頼んだグラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)にも、おかみさんは陽気な笑みを向けてくれる。
「はいよ。葡萄のだ。
これだと見た目が葡萄酒みたいで、酒場に来た感じがするだろう?
って、これをよく頼んでたのが言ってたんだけどね」
楽しそうに、そして懐かしそうに笑いながら渡されたジョッキは、確かに見た感じは葡萄酒と変わらない。お酒が飲めなくても飲んでいるフリができる、酒場の雰囲気を楽しめるメニューと言えるのかもしれない。
一応、飲酒可能な年齢だけれども依頼中でもあるしと遠慮したグラームスも、確かにと納得しながら、揺れる葡萄色を見て微笑んだ。
そんなジョッキを手に向かうのは、冒険者3人組が座るテーブル。隣のテーブルでラム酒と料理をたくさん広げている艶やかな黒髪の羅刹が話の流れを作ってくれたのを聞き取って、同じくそれに気付いたらしい金髪の猟兵と共に近づいていく。
「……こっちにもいるわよ。ほら」
「私にもお話を」
「聞かせてください」
テーブルの空いたところにジョッキを置いて、続くように声をかけて。鞄から取り出したスケッチブックを抱えたまま、グラームスはぺこりとお辞儀をした。
戸惑いながらも拒絶は見せない冒険者達をグラームスは確認すると、空いた席によいしょっと座る。
そしてスケッチブックを広げると、聞き出されていくドラゴンの情報を元に、さらさらと筆記具を動かした。普通と思える程度の大きさで、翼は4枚、宝物に囲まれた、黄金の鱗を持つ……
「こんな感じかしら?」
物珍し気に覗き込んで来た冒険者の1人に、書きかけのラフを見せると。
「確か、首の後ろにたてがみみたいに……」
「襲い掛かって来る、っていうよりは、ギロッと睨んで立ってる感じで……」
スケッチがあるからこそ確認できる印象のようなものが伝えられてくる。
ふんふん、と頷きながら、グラームスはさらに数枚のスケッチを仕上げて。
大分情報が集まったかしら、と思ったところでスケッチブックを閉じた。
「ありがとうございます。
そしたら次は、一戦、お付き合い願えますか?」
そう言って広げるのは遊戯盤。そしてユーベルコード『オルドナンツ・ヴィレ』。
「リアルな駒の模擬戦をしてみませんか?」
動く遊戯用の駒に驚き、そして面白がる冒険者達にグラームスはにっこり笑った。
「ここは遺跡を中心に発展してきた都市なのですよね。
となればやはり、冒険者の皆さんが元気であってこそ、ですよね」
ゲームではあるけれども、勝つことで自信を取り戻したり。対モンスターの戦術を考えることで、勝てるかもしれないという希望を抱くことで、恐怖を克服できたり。次の冒険に向かうための士気を高める助力に、意気揚々とこの酒場を出ていくきっかけになれるかもしれないと、グラームスは冒険者を誘い。
「……それじゃあ一戦、やってみるか」
「是非お願いします」
そしてテーブルの上は、ゲームと葡萄ジュースと美味しい料理で、わいわいと賑わっていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
街に来たばっかりの冒険者を装ってフレイルを訪れよう
あまり鍛えている感じには見えないだろうけど
エルフとかウィザードとか
見た目と強さが比例しない例はそれなりにありそうだから
たぶん大丈夫だよね
カウンターに座って看板料理の2つを注文し
周りの会話に耳を傾けてみよう
一杯くらいならお酒頼んでも不思議じゃないよね
ミルクを出されそうな見た目な気もするけど
ドワーフの女性もいるし不自然じゃないよね
料理がきたらおかみに
景気はどうかと聞いてみよう
街や遺跡について聞いてみたいし
聞きたい事聞けたら料理を楽しむよ
冒険者相手の店なら
食べ応えのある量なのかな
なんとなく素朴な美味しさで
食べ飽きない感じな気がするけど
どうなんだろうね
佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はカウンター席に座って、だんだん賑やかになっていくテーブル席の方へと耳を傾けていた。
そっと傾けたジョッキの中身は酒。酒場に来た冒険者なら1杯くらいは頼まないと不自然だろうと理由をつけて、楽しむために来たわけじゃないことは分かっているけれど1杯くらいなら飲んでもいいよねとちょっと自分を甘やかして。ふんわりほろ酔いの心地良さに浸っていく。
そもそも晶は見た目が少女だから、酒を頼んでもミルクを出されるんじゃないかとも危惧していたけれども、おかみさんは普通に注文を受けてくれて、注文通りのジョッキが来ていた。アックス&ウィザーズには小柄なドワーフに長命なエルフなんて見た目では年齢が計りきれない種族もいるからかもしれない。
そういう意味では、非力な少女にしか見えない晶でも冒険者と信じてもらうことは容易かった。見た目と強さが必ずしも比例しないと皆が知っているからだろう。まあ、多少は心配されてはしまうだろうけれど。
「待たせたね。これがうちの定番だ。
濃い目の味付けでつまみにもいいって言われる、ジャガイモのガレットと。
朝から煮込んでるからいつでもすぐ出せる、牛肉のワイン煮だよ」
そんなことを考えていると、おかみさんが料理を運んできてくれる。待たせた、というほど待ってはいないけれど、先にテーブル席に料理を運んでいたようだから、それの謝罪だろう。
ありがとう、と受け取ってから、晶はそのままおかみさんに話しかけた。
「最近、景気はどうかな?」
「ん? ああ、相変わらずごちゃごちゃ賑やかだよ、この迷宮街は」
「遺跡の方は?」
「あー……アンタもドラゴン退治で来たクチなんだろ?
この辺に来る冒険者らが狙ってる踏破済みのエリアの結構いい場所にそいつが陣取ってるらしくてね。情報を聞いて、潜らずに帰ってくのも多いよ」
「そっか……」
肩を竦めるおかみさんの言葉を聞きながら、晶はガレットにかじりつく。手で摘まみやすい大きさに切り分けられているのも、おつまみ向けに人気な理由かもしれない。
「セルバンテスが国にかけあって、こうして退治依頼と賞金が出たけどね。
倒せる冒険者までは斡旋しちゃくれないってわけで。
こうして、アンタらみたいに来てくれるのを待つしかないってとこだ」
だろ? とおかみさんはカウンターの別の席へと視線を投げる。
晶が座った場所よりも店の奥側に、1人の男が座っていた。年の頃はおかみさんと同じくらいだろう、冒険者にしてはかなり年配で、武器も携えていない。慣れた様子に常連だろうと思われるから、近くに住む人なのかもしれないなと晶は思う。
黙々と料理を口に運び、ゆっくりとジョッキを傾けていた男は、おかみさんの声にちらりとこちらを見たけれど。何も言わずに食事を続けた。
そういえば、店の隅ではあるけれど、一番端の席を空けて座っているんだな、なんて変なところに気付きながらも、晶は男へ向けた視線をおかみさんへ戻す。
おかみさんは、その視線を問いかけか何かと思ったようで。
「ああ、セルバンテスはね、そこの角にある武器屋だよ。
今は、この辺りに来る冒険者の相談役というか世話役というか、そんなことをやったりもしてるんだ」
説明を聞きながら、晶は牛肉にフォークを刺した。自身を紹介されても変わらない男の様子を見ながら、口に運ぶ。ごちそうという感じではないけれど美味しくて、毎日食べたい素朴さが優しい感じがした。皿に盛られた量が多めに感じるのは、冒険者相手の店だからなのかもしれないけれど、これだけの量があっても食べ飽きないだろうと思う。
その味に、晶はふっと微笑んで。
情報収集だけでなく、冒険者酒場での食事も楽しんでいく。
大成功
🔵🔵🔵
ポーラリア・ベル
【冬妖精の祝福】
なおなおー!(尚人)冷たいジュース持ってきたよー!
なんだかこういう冬じゃないお出かけ久しぶりだね。
看板料理も持ってくるよ。
でも一番好きなのはかき氷だから、ちょっと店長さんにことわってフルーツを冷凍して削った奴作らせてもらったわ!
あーんし合いっこしよー!なおなお!
(餌をもらう雛鳥みたいに机の上で正座しお肉を待ってる妖精)
(お返しにスプーンで掬ったいちごシャーベットをなおなおのお口に運ぶ)
おいひいけど、ちょっとあつつ。。
それにしても黄金龍さんかー 今まで出会ったドラゴンさんよりゴージャスなのかしら。
テイムとかする?なおなおー
洗脳もして来るんだって。どんな風にか情報訊いてみよう。
日野・尚人
【冬妖精の祝福】
サンキュー、ポーラ♪(ジュースを受け取り)
あー、ここ暫くは俺とあーちゃんの大学進学とかで色々慌ただしかったからなぁ?
まあその分の埋め合わせはこれからするから楽しみにしとけって!
九瀬のばあさん情報の看板料理を味わいつつ情報収集。
なあなあおかみさん?遺跡に棲み着いたドラゴンってそんなにヤバイのか?
(当然のように自然な動作で1口サイズに切り分けたお肉をポーラの口元へ)
黄金龍なら確か帝竜戦役でも見掛けたよな?
俺は戦わなかったものの・・・でもほら?ヴァルギリオスよりは弱いんだろ?
だったら何とかなるって♪
テイムも浪漫だけどお宝貯め込んでそうな名前だし、ぶっ倒しがてらそいつを頂きに行こうぜ♪
テーブルにカウンターにと料理や酒を運ぶおかみさんに、すいーっと小さな青い影が近寄っていった。
「おかみさんおかみさん、ポーラ達にジュースをくださいな」
フェアリーのポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は、楽し気におかみさんの周囲を飛び回りながら、にこにこ笑顔で注文。その姿を見つけたおかみさんは、一瞬驚いて、でもすぐに嬉しそうな笑みを浮かべる。
「おや、『旅の導き手』かい。見るのは久しぶりだね。
確か、小さめのグラスがあったはずだが……」
「大丈夫。ポーラ、力持ちさんだから、普通のでもちゃんと持てるよ」
「本当かい?」
心配しながらもおかみさんは葡萄ジュースをジョッキに入れてくれたから。ポーラリアは、見ていてと言うように、目の前でそれを抱え、ひょいと持ち上げて飛んで見せた。
おおー、と歓声をくれたおかみさんに、えっへんと笑いかけてから。ポーラリアはテーブルの方へそれを運ぶ。
「おかみさん、私にもジュースをください」
肩の辺りまでの茶髪を揺らしながら別の猟兵も注文する横を通り過ぎて。
向かった先の席に座っていたのは日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)。
「なおなおー! 冷たいジュース持ってきたよー!」
「サンキュー、ポーラ♪」
受け取った尚人の手に、ひんやりとした冷気が伝わる。ちなみに、冷蔵庫なんてない世界だから、ジュースは元々、さほど冷えてはいなかったのだけれど。冬妖精なポーラリアが運べばひんやりひやひや、なのである。
さらにポーラリアは料理も注文して、今度はおかみさんに運んでもらえるようんいお願いする。重さは怪力でなんとかなるからポーラリアでも運べなくはないけれど、温かい料理が冷めてしまうのは残念ですから。
一通りの仕事を終えたポーラリアも尚人と同じテーブルについて。尚人のジョッキから葡萄ジュースを分けてもらった。
「なんだかこういう冬じゃないお出かけ久しぶりだね」
ポーラリアがずっとにこにこ楽し気なのは、どうやらそのせいで。その笑顔が嬉しい反面、申し訳なくも思いながら、尚人は苦笑する。
「あー、ここ暫くは俺とあーちゃんの大学進学とかで色々慌ただしかったからなぁ?
まあその分の埋め合わせはこれからするから、楽しみにしとけって!」
「楽しみにしとくー!」
さらに楽し気に、くるくる飛び回るポーラリア。
そこにおかみさんが料理を運んできてくれた。
「なあなあおかみさん? 遺跡に棲み着いたドラゴンってそんなにヤバイのか?」
「そりゃドラゴンだからね。ゴブリンなんかとはわけが違うんだろうさ」
皿を受け取りながら訪ねると、おかみさんは肩を竦めながら答えてくれる。
「でもまあ、今回のはどちらかっていうと、居る場所が問題なんだろうね。
腕に覚えのあるヤツらは、一度攻略されちまった場所よりも、まだ誰もクリアしていないエリアを狙っていくから」
問題のドラゴンは、はじまりの遺跡の踏破済みエリアにいるという。未熟な冒険者には重宝される地域だが、ちょっと実力がある者は未知の場所に挑んで名を上げようとするのが普通だから。人手不足、というよりも、実力不足になってしまっているようだ。
次の料理を別のテーブルに運びに行くおかみさんを見送りながら、尚人は、なるほど、と頷いて。
「それにしても黄金龍さんかー。
今まで出会ったドラゴンさんよりゴージャスなのかしら」
のんびりと首を傾げるポーラリアに視線を戻した。
「黄金龍なら確か『帝竜戦役』でも見掛けたよな?」
尚人自身は戦わなかったが、群竜大陸で現れた数多のドラゴンの中にいたことくらいは知っている。でも『帝竜』と呼ばれる強敵の中に名を連ねてはいなかったから。
「でもほら? ヴァルギリオスよりは弱いんだろ? だったら何とかなるって♪」
尚人は気負わず、にっと笑ってフォークを掲げた。
ポーラリアも、ピクニックに行くかのような気楽さで頷くと。
「テイムとかする? なおなおー」
「テイムも浪漫だけど、お宝貯め込んでそうな名前だし……
ぶっ倒しがてらそいつを頂きに行こうぜ♪」
「ぜー♪」
にこにこ笑い合いながら、尚人はフォークを牛肉の赤ワイン煮込みへと向ける。ナイフを使わなくても切り分けられる肉を1口サイズに切り分けると、慣れた動作で自然にポーラリアへ差し出した。
こちらも当然のように、あーん、と齧りつくポーラリア。
「おいひいけど、ちょっとあつつ」
「ホント、美味いよな。九瀬のばあさんの情報通りだ」
続いて尚人自身も肉を口に運びながら、豪華な料理ではないけれど、親しみのある庶民的な味わいに舌鼓を打っていく。
と、そこに。
「今、クゼって言ったかい?」
驚いたように割って入ってきたのはおかみさん。
「もしかしてアンタら、ナツメの知り合いかい!?」
「あ、ああ」
勢い込んで聞いてくるおかみさんに、尚人は、ここへ送ってくれたグリモア猟兵を思い出しながら首肯する。
そういえば、説明の時に、酒場『フレイル』を『ちょいと縁のある酒場』だと言っていたなと思い出した。となれば、酒場側の方でもグリモア猟兵の老婆を知っていてもおかしくはない。むしろ最初からその名を出していたら、情報収集も早かったかもしれない。
そんな尚人の思考を肯定するかのように。
「何だい。早くお言いよ。
それなら、遺跡の地図を貸すよ。ドラゴンの位置も教える。
いいだろ? セルバンテス」
おかみさんはぽんぽんと話を進めていく。
話しかけられたカウンター席の男からも反対意見など出ず。というか、ちらりとこちらを見た以外に特に反応も見せないまま、おかみさんのやりたいようにさせていた。
急な話の展開に、思わずぽかんとしてしまった尚人の横で、ポーラリアがおかみさんからフェアリーにとっては巨大な地図を受け取る。
おおー、と喜ぶポーラリアは、大はしゃぎでくるくる飛び回って。
「情報ゲットだわ! お祝いだわ!
ポーラ、一番好きな料理はかき氷だから、ちょっと作らせてもらってくる!
フルーツ凍らせて削るのよ! いちごシャーベットとぶどうシャーベットと……
あ! なおなお、あーんし合いっこしよーね!」
きゃはきゃはと盛り上がったかと思うと、すいーっと厨房へ飛んでいった。
それを見送りってから、少し尚人は不安になって、おかみさんに問いかける。
「でも、遺跡の地図なんて結構大事なものじゃないのか?」
「そりゃ貴重だよ。そこいらの情報屋垂涎ものだね。
そんなぽんぽん貸すことはしないし、必ず返してもらうから」
あっけらかんと言うおかみさんと、ポーラリアがぽいっと置いていった地図とを、尚人は思わず見比べてしまい。そんないいものをと感謝の念も抱いていると。
「でもあんたらには貸さないとね」
おかみさんは、どこか懐かしそうな優しい笑みを浮かべて、尚人に頷いた。
「この地図は、ナツメが昔書いたものだから」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブ』
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POW : 悪魔の黄金色
自身の【蒐集した金銀財宝の一部】を代償に、【一部のモブ猟兵達の認識を書き換え、彼ら】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【正常な猟兵に紛れて奇襲攻撃し、UCや武器】で戦う。
SPD : ゴールデン・コレクション
【蒐集した金銀財宝の一部】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【敵装備を変質させ、敵を攻撃する黄金の化物】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ : 黄金の子羊達
戦闘中に食べた【認識を書き換えられたモブ猟兵達】の量と質に応じて【自身の金銀財宝が増加し、肉体の活性化で】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
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はじまりの遺跡は未だ攻略されていない、未探索地域の多くある場所だが。遺跡都市ヴェルニスで一番最初に発見された遺跡であるゆえに、探索され尽くした地域も多い。
そんな探索済み地域について、一部の冒険者が地図や情報を残していた。大抵は、自身が探索を続けている間は自身で持ち、信頼する者へ、攻略の途中や冒険者を引退する時に譲り渡して、それをまた、受け取った者が情報を書き加えて次の者へ。そうして受け継がれていく非公式の情報。
酒場『フレイル』には、そんな地図の1つがあった。珍しく、冒険者にではなく酒場に譲渡された地図。酒場のおかみが認めた者に好きに渡していいと言われたそれは、他に類を見ない程広範囲に渡っての情報が書き込まれており、その噂を聞きつけた冒険者がおかみの信頼を得ようとフレイルに通うこともしばしばだとか。
今回、猟兵達が借り受け、ドラゴンの場所とそこまでの道のりを正確に教わることができたその地図は。
かつて『白鷺』の二つ名で呼ばれたシーフが作り上げたものだった――
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「対象組織変換能力を確認、封印/封殺を示唆。速やかな敵の殲滅を実行」
『三女神の加護と粛清を』で敵のUCや効果を封印/弱体化させつつ1分先の未来を見ながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開し敵の攻撃をテレポートで回避しリニアロングボウとレーザービームで攻撃を仕掛け同時進行でサイコミュ・ドローンも創造して展開し他の猟兵とも連携を計りながら機会を見てフルバーストで総攻撃も仕掛けます。
透明化し視聴嗅覚を阻害して敵を幻惑しながら猟兵の攻防を支援しながら作戦や対策を必要に応じて臨機応変に対応します。
「邪竜が猟兵に勝る道理も理屈も無い、滅びよ」
遺跡の一角。おかみさんが教えてくれた場所は、少し開けた空間だった。
地図によると、入口から通じる道は1つ。先へ進む出口は3つ。割と浅いエリアにあって、深部へ向かうためのジャンクションのような造りらしい。
その広場に『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブはいた。
大きさはドラゴンとしては普通。特に大型ということはない。黄金色の鱗を持ち、4枚の翼を広げ、鋭いエメラルドグリーンの瞳は、たてがみの揺れる首と共にゆるりと左右を見回し、睥睨していた。
(「聞いた情報の通りか」)
ティティス・ティファーナ(f35555)は黄金龍を確認して頷く。
地下にある遺跡ゆえに、空は天井で区切られている。飛べない程低い天井ではないが、あの巨体では、飛び回る、ということは難しいだろう。これも冒険者から聞いた通り。
そして、黄金龍の周囲には、所狭しと金銀財宝がひしめき合い、広場の隅の方では積み上がっている。
元々この遺跡にあったものだろうか? 一瞬そう考えて、ティティスは首を横に振る。ここは地図にも描かれた、踏破済地域。数多の冒険者達が通っていたはずの場所。となれば、財宝が残されているはずもない。
であるならばこの財宝は――
(「黄金龍が蒐集、もしくは、創り上げたもの」)
ユーベルコードを使えるオブリビオンならばそれぐらいはできるだろうと、ティティスは思う。無から創り出すことはさすがにないだろうが、召喚するのはよくあることだし、変質させることもできるかもしれない。もしかしたら、物や人を黄金に変えるブレス、なんてものを使ってくる可能性だってある。
そうして作り上げられたであろう、黄金龍のためのフィールド。
それを今一度、確認してから。
ティティスはユーベルコードを発動させながら、黄金龍の前に飛び出した。
「
三女神の加護と粛清を」
その周囲に3体の『女神』が現れる。子供のような小さな姿の彼女らは、だがその手にレーザービームを持っていて。三方向から黄金龍へそれぞれに撃ち放った。
青い輝きのレーザービームと、雨のように降り注ぐ緑色の極細レーザービーム、そしてその小さな身体が反動で吹き飛ばされそうな程に巨大な赤いレーザービーム。色も威力も性質も違うビームが黄金龍へと向かっていく。
「ほう、猟兵か」
そんな動きに黄金龍がティティス達を認識し。レーザービームの中でも特に威力が高そうな赤いレーザーを警戒して、回避を見せる。だが、主砲のような巨大レーザーは避けられても、手数の多さゆえに残りの青と緑のレーザービームが黄金龍へ命中。
ティティスは続けてロングリニアボウによる電磁式の弓を撃ち放った。それは黄金龍の腕の一振りで弾かれたけれども、その動きは、そしてティティスへ向けられた警戒は、三女神や他の猟兵への援護になる。
そして、三女神のレーザービームが全て当たりさえすれば。
(「ユーベルコードを封じられる」)
そのために動き回りながら、ティティスは黄金龍とその周囲を探り続け。
金銀財宝の中に4つの人影があるのを見つけた。大剣を背負った者、斧を手にした者、魔導師のローブを纏った者、聖職者らしき者。外傷は見受けられないが、全員がバラバラに倒れており、気を失っているのか、この戦いの最中に身動き1つしない。
(「あれがブラックのパーティーか」)
聞いた情報と突合してそう判断するも、ティティスはすぐに黄金龍へ注意を戻す。三女神のうち1体の持つレーザー銃が、黄金龍の『ゴールデン・コレクション』により黄金の化物に変化させられ、襲い掛かってきていた。
「対象組織変換能力を確認、封印/封殺を示唆。速やかな敵の殲滅を実行」
ユーベルコードである女神に新たな銃を与えながら、指示を飛ばす。
援護と支援を主に、続いてやってきた猟兵達との連携を考慮しつつ、機会があればいつでもフルバーストでの総攻撃を行えるように。ティティスは油断なく戦況を視ていた。
「邪竜が猟兵に勝る道理も理屈も無い、滅びよ」
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ!?あの勇者アヒルさん、なんで金ぴかになって敵に寝返っているんですか?
こっちの方がワイルドって、一応はアヒルさんの言っていることがわかるみたいでいいのですが、どうしましょう。
今のアヒルさんに突かれたら、私死んじゃいますよ。
ふえ?なら四の五の言ってられないじゃないって、アヒルさんじゃありません。
この声はもう一人の私?
今の私なら(151レベル×7技能レベル=1057秒≒17分)ぐらいなら正気を保てる筈です。
アヒルさんの攻撃はいなしてドラゴンさんを倒しましょう。
「ふええ。あれが黄金龍さんですね」
教えられた場所に辿り着いたフリル・インレアン(f19557)は、広場を埋め尽くさんとする金銀財宝に囲まれた『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブの姿をこっそり見ながら、大きな帽子の広いつばを引き寄せておどおどと隅で隠れていたけれども。
つんつん。
横からつつかれて振り返れば、いつも一緒の白いアヒルちゃん型のガジェットが黄金製になっていた。
「ふええ!? あの、勇者アヒルさん。なんで金ぴかになっているんですか?」
遺跡探索だし、酒場で武勇伝を語ったし、とガジェットが勇者な格好になっていたのはフリルも認識している。しかし、小さな翼で器用に剣と盾を持ち、赤いマントを首に巻き付けた靡かせる、黄色いくちばしのついた真っ白い身体は、いつの間にやら全て黄金に変わってぴかぴか輝いていた。
ガア。
「こっちの方がワイルド、って一応はアヒルさんの言っていることがわかるみたいです。
それはいいのですが……」
いつものようにガジェットの鳴き声を翻訳できて。その点ではほっとするフリルだったけれども。
「なんでアヒルさんのくちばしが私を狙っているのでしょう?」
向けられた黄金のくちばしに、思わず1歩後ずさる。
ガジェットがにやりと笑ったような気がした、次の瞬間。
問答無用で突撃してきた黄金のアヒルちゃんに、フリルは慌てて逃げ出した。
「ふええ!? なんで敵に寝返っているんですか?」
味方のはずのガジェットに攻撃されて混乱するフリル。
これが黄金龍のユーベルコード――敵装備を変質させ、敵を攻撃する黄金の化物に変化させる『ゴールデン・コレクション』のせいだとは分からないけれど、迫りくる黄金のっくちばしの威力は何だか分かったので。
「今のアヒルさんに突かれたら、私死んじゃいますよ」
フリルは金銀財宝の合間を逃げ回る。
『なら四の五の言ってられないじゃない?』
「なら四の五の言ってられないじゃない、ってそれはそうなんですけれど、じゃあ私はどうすれば……」
その最中に聞こえた声に、いつも通り復唱してから答えかけて。
はた、とフリルは気付く。
「ふえ? 今のはアヒルさんじゃありません?」
その声がガジェットのものではなかったことに。
『ふふふ、貴女が私を呼び起こしたのでしょう?』
「この声は……もう1人の私?」
ユーベルコード・
失われていた過去の断片『銀狼の魂』。フリルが無意識のうちに発動させたその効果は、
骸魂と合体することで一時的にオブリビオン化するもの。
格段に能力が上がる代償に狂気にさらされ、正気を保っていられる時間が限られてしまうけれども。今の自分なら、黄金龍との戦いの間くらいなら何とか耐えられるだろうとフリルは判断して。
『さあ、時間がないわよ?』
「私が起きていられるうちに、ドラゴンさんを倒しましょう」
再び突撃してきた黄金のガジェットをいなして、黄金龍へと向かっていった。
大成功
🔵🔵🔵
佐伯・晶
踏破済みの区域だから
そこまで面倒な事にならずに着けたね
そういえばこの龍どこから来たんだろうか
気にはなるけれど
話しが通じる相手でも無さそうだし
戦う事にしようか
相手の攻撃を神気で防御したり
ワイヤーガンを利用して回避したりして
ガトリングガンで攻撃するよ
認識を書き換えるってどういう攻撃なのかな
龍を主人か何かのように認識させるのか
猟兵を敵のように認識させるのか
呪詛や狂気の類なら耐性あるけど
洗脳させれた猟兵が出たなら
邪神の庇護で彫像に変えよう
破壊できなくなるから簡単には食べられないし
食べられても消化できないだろうからね
ついでに財宝も石化させていこうか
24時間あれば戦闘の決着がつくまで
洗脳に使えないだろうし
(「面倒なことにならずに着けたのは、踏破済みの区域だからかな」)
難なく目指す場所へ辿り着けた佐伯・晶(f19507)は、金銀財宝がひしめく中へと飛び込むと、手にしたガトリングガンを『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブへ向けた。
黄金色の巨体にレーザービームが降り注いでいくのを見ながら、攻撃を合わせるように別方向から銃弾を連射する。だが、ドラゴンの頑丈な鱗には、豆鉄砲とまで弱くはないけれどもさほどのダメージはないようで。回避や迎撃の動きは専らレーザービームに対してのものばかり。
それでも、黄金龍は時折煩わしそうに晶をちらりと見ていたから。牽制や援護にはなっているはずと、構わず晶は銃撃を重ねた。
(「そういえばこの龍、どこから来たんだろうか」)
その最中、ふと思う疑問。
踏破済みの区域に居るということは、元々居たわけではないはず。現に、地図にはドラゴンを倒した先の道も書かれているし、冒険者達からも、急に現れて困っているといった声が聞かれていた。
深部から気紛れに上がってきた? それとも誰かに召喚された?
そもそもオブリビオンだから、過去から染み出た場所がたまたまここだった、という偶然もあり得るのかもしれないけれど。黄金龍や、他の誰かの意思があるのだろうか、とも勘ぐれるわけで。
(「気にはなるけれど」)
「煩わしい猟兵が次々と……財宝は我の物だ!」
きっと知っているのは黄金龍当人だけだろう。だが、苛立ちを見せる黄金龍に聞いたところで答えてくれそうにない。それに、もしかしたら、気付いたらここにいた、程度の認識でしかないかもしれない。
だから晶は戦いへと完全に思考を切り替えて。飛び回るハエを適当に追い払うかのような黄金色の尾を、ワイヤーガンを使って大きく飛び越えるように回避した。
着地した直後。視界の端に黄金色ではないものが動いたのに気付き、晶はそちらにも警戒の視線を向ける。
そこには、ローブを着た魔導師らしき冒険者が、虚ろな瞳で立っていた。
「財宝……黄金が……」
熱に浮かされたかのようにふらふらと、冒険者は黄金龍に向かって歩き出す。側にいる晶も、繰り広げられている戦いも、目に入っていないかのようで。
(「これが、洗脳?」)
黄金龍の能力を思い出す晶。認識を書き換える、とはどういう攻撃なのかと思っていたけれど、呪詛やら狂気やらとはどうやら違うようだ。黄金龍を主と崇めたり、猟兵を敵として攻撃してきたりはなかったけれど、それも認識のさせ方によるのかもしれない。
兎も角今は、冒険者は不安も恐怖もなく、ゆっくりと、でも真っ直ぐに黄金龍へと向かっていって。その姿を見た黄金龍が顎を大きく開けた。
食べる気だ、と晶は即座に理解する。それにより肉体を活性化させ、戦闘力を増加させるユーベルコードの存在に思い至って。
ならばと晶は冒険者に『
邪神の庇護』を向ける。
途端、冒険者は石化し、動かぬ彫刻となる。あらゆる物質より硬い『石』は決して破壊されないから、簡単には食べられないだろうし、食べても消化できないだろうと。24時間で戻るけれど、その間に決着はつけられるだろうと。
晶は、ローブ姿の冒険者を石像と化し、その向こうに見えたもう1人、僧侶らしき冒険者にも同じユーベルコードを向けた。
黄金龍の強化の阻止。そして巻き込まれた冒険者への、ちょっとだけ乱暴な庇護。
「……ついでだ」
さらに、冒険者や自身の周囲に積み重ねられた金銀財宝も石化する。
財宝の量で強化される黄金龍なら、財宝が財宝でなくなれば、ただの石ころになれば、その戦闘力を減らすことができるかもしれないと思って。それでなくても嫌がらせで、黄金龍の冷静さを奪えるかもしれないし、なんてことも考えながら。
晶はガトリングガンの斉射も続けながら、辺りを石まみれにしていった。
大成功
🔵🔵🔵
日野・尚人
【冬妖精の祝福】
おー♪金銀財宝の山、山、山♪・・・曰くあり気だなぁ。
まあ一番曰くのあるお宝は黄金龍自身なんだけどさ。
ともあれ俺はポーラの準備が整うまで<時間稼ぎ>だ。
安物の量産品ナイフを<ナイフ投げ+武器受け>で装備変質の身代わりに。
洗脳された冒険者たちは・・・
出番だぜ、ご先祖さま!
『金ぇぇぇっ!これ全部アタシのもんだよなっ!』
い、いやぁ?全部は無理、かな?
(紫炎で敵を金縛り、叱咤激励で続けて放つUCの成功率上昇)
ポーラ、準備は良いか!それじゃ合わせるぜ!
これでも食らえっ!
お宝Get♪宝冠の竜血とか黄金龍の素材も欲しいところだな♪
ポーラリア・ベル
【冬妖精の祝福】
ナツメさんの地図で導かれ、やってきた場所には色取り取りのお宝。
おおー、なおなお、大物狩りする感じ?
出たわ!金ぴかドラゴン!
黄金で洗脳された
冒険者もいるわ!
洗脳解除にあのUCを使う為、【天候操作】で沢山雪を降らせるわ!
その間守って!なおなお!
Σうわーっ、その人呼び出して大丈夫なの!?
た、戦ってくれるなら。回避したり、ベルが変質した化け物は【怪力】で蹴飛ばしたりして逃げつつ。
十分積もったらUC発動!
サンタポーラの
祝福の光で、皆の洗脳を解くのー!
今だよなおなお!
暴風に【凍結攻撃】のでっかい氷柱を乗せて放つよ!
氷で輝くおたからおたからー♪綺麗な奴持って帰ろー♪
重くて肩が凝りそうな首飾りに、宝石が大きすぎる指輪。使い辛そうな程に太いベルトや、悪趣味なデザインの王冠、装飾過多なティアラ。数えきれない金貨の山と、妙な刻印のされた金の延べ棒。
「おー♪ 曰くあり気だなぁ」
そこそこ広いはずの空間を埋め尽くす金銀財宝を見回した日野・尚人(f01298)は、呆れたような、でもそれをも楽しむかのような、苦笑気味な声を零した。
そのまま茶色の瞳を向けるのは、その中央に鎮座する巨大な黄金色。
「まあ一番曰くのあるお宝は黄金龍自身なんだけどさ」
「金ぴかドラゴン!」
わーい、とテンション高く両手を上げたポーラリア・ベル(f06947)が、尚人の周囲をくるくるとはしゃぐように飛び回る。
「なおなお、大物狩りする感じ?」
小さなフェアリーにとっては大物どころか山のような黄金龍に物怖じせず、むしろ冒険の定番な大ボスにわくわくしているかのようなポーラリアに、尚人は笑みを返した。
ドラゴン倒してお宝ゲット。
それはシーフである尚人にとっても魅力的なシチュエーションだから。
右手に短剣、左手にハンドガンのいつもの装備で、どう攻略しようかと黄金龍を睨み据えて。その視界の端に、ふらり、と動く影が映った。
「財宝……は、俺のもの……だ……」
咄嗟に振り返ったそこに居たのは、斧を持った冒険者らしき男性。普通の大学生(と言っている)尚人に比べてかなりがっしりとした体格で、頑丈で力が強そうな、いかにも戦士といった風体。
そういえば、と尚人は酒場で聞いた未帰還のパーティーを思い出し。
「わー。黄金で洗脳された
冒険者がいるわ!」
ポーラリアがその状態を正確に理解し、的確に表現する。
辺りを改めて観察すれば、ガトリングガンを構えた少女に魔導師らしき姿が迫り、その向こうにはローブ姿の僧侶が、そして逆側には大剣を手にした剣士がいた。そのどれもがふらふらと、熱に浮かされたかのように虚ろな瞳をしていたから。黄金龍に惑わされていると推測するのは容易い。
となれば、と尚人が判断するより早く。
「ポーラ、洗脳解除の準備をするね! その間守って! なおなお!」
くるくる踊るポーラリアが、冬告げのベルをその手で鳴らし出した。
ごきげんよう ごきげんよう
冬の香りを運んできたよ 極北の鐘が運んできたよ
真白になるよ 冷たくなるよ 世界が世界が 静かになるよ――
澄んだ氷のような冬妖精の歌とベルの音とが響き渡ると、辺りに雪が降って来る。
黄金色に輝く金銀財宝を隠すかのように、白が積もっていく。
沢山。沢山。
冬告精の力で、大量の雪が辺りを覆い。
その雪の量に応じて、ポーラリアの次の行動の成功率が上がっていく。
――
今宵、願いを叶え給え。
尚人はそのユーベルコードの効果を知っているから、求められた通りに時間稼ぎをと、迫り来る戦士と聳え立つ黄金龍とを順に見て……決めた。
「……出番だぜ、ご先祖さま!」
呼びかけに応えて、尚人の傍らに豪奢な着物を纏った黒髪の女性が姿を現す。
ユーベルコード『
憤怒と強欲の大怨霊』。
それは尚人の並行世界のご先祖様であり、守護霊だ……と思うのだが。
その怒り狂った形相や、逆立つ黒髪は、どっからどう見ても怨霊です。
「うわーっ、その人呼び出して大丈夫なの!?」
ポーラリアからも心配の声。
尚人は、大丈夫大丈夫と笑って見せる、けれども。
『金ぇぇぇっ! これ全部アタシのもんだよなっ!』
「い、いやぁ? 全部は無理、かな?」
金銀財宝を目にした怨霊が、長い黒髪を振り乱して酷く凶悪な強欲の笑みを浮かべる姿に、さすがにちょっと引く。
「黄金龍を倒したらお宝Getできると思うけど……」
『あああ、どいつもコイツもムカツク! アタシの金だ! アタシの金にするんだ!』
尚人の言葉を聞いているのかいないのか。勝手に苛立ち、荒れ狂い、辺りにどす黒い紫色の炎が生みだされ、広がっていく。
『金、金、アタシの金……!』
その紫炎には金縛りの効果があるから。戦士が、そして向こうの剣士が巻き込まれ、その動きを阻害されていく。ついでに黄金龍も、その巨体ゆえに全てには効かなかったようだが、尚人に向かう攻撃は明らかに鈍くなっていた。
『全部全部、アタシの金だ!』
傍から見てると、紫炎の効果というより、怨霊の狂乱具合にたじろいで誰も何もできなくなっているかのようにしか見えないのですが。まあそれはそれ。
「あー……ポーラ、準備はどうだ?」
尚人はその光景から目を逸らしつつ、ポーラリアに問いかけた。
「うん。十分積もったのー」
そこには真っ白世界に浮かぶ笑顔の冬妖精。ちなみに、怨霊に絡まれたくないからか、雪景色は怨霊から見えない後ろの方だけに広がっています。
「まずは、サンタポーラの
祝福の光ー!」
そして広がる凛とした輝きが、戦士の、剣士の洗脳を解いていき。障害のなくなった先で、羽織を靡かせた猟兵が放った銃弾とは思えない程強力な一撃が黄金龍の胸部を貫き、仰け反らせる。
「今だよなおなお!」
「それじゃ合わせるぜ!」
好機とばかりにポーラリアと尚人は頷き合った。
尚人が纏う風に、ポーラリアはでっかい氷柱を乗せ。高速移動する尚人を先導するように黄金龍に放つと。
「これでも食らえっ!」
勇壮たる大鷲の意匠が施された美しい短剣を振るい、『
静かなる暴風』によって強化された凍結攻撃を叩き込む。
このポーラリアとの連携のために、尚人はいつものコンバットナイフではなく、強大な風と氷の魔力を秘めた魔法の短剣を手にしていたのだ。
幾重もの氷の効果に、そしてその前の大ダメージの影響もあって、さすがに凍り付く黄金龍。そこにさらにレーザービームが、ガトリングガンが降り注ぎ、大きな帽子の少女と背に白い翼を広げた少年が飛び込んで。
黄金龍が倒れ伏し、積もった雪と財宝とが衝撃に宙を舞った。
きらきらきらきら。
遺跡の中に、白と金が降り落ちる。
「氷で輝くおたからおたからー♪ 綺麗な奴持って帰ろー♪」
「宝冠の竜血とか黄金龍の素材も欲しいところだな♪」
はしゃいで飛び回るポーラリアに、尚人もにっと笑って大鷲の短剣を納めた。
大成功
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葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
思ったよりデカいね
「これは確かに困るだろうな…」
何度も世話になってる九瀬にも
ちゃんと撃破を伝えたい
「そもそも地図もだし…よし!しっかりやろう!」
うん、撃ち込むのは…今回は陸井だね
錫杖を構え目配せすると
陸井には俺の意図がちゃんと伝わったようだ
「俺は全力で往く!」
言い置きUCククルカンウィング詠唱
最大戦速で竜の周りを飛び、錫杖で打ち据え
対応も攻撃も俺にだけ集中させる
装備を変化させられても問題なんかない
「残念、俺の
白燐蟲は装備品じゃない!」
励起する技能でも攻撃をあしらい躱し
ただ時を待つ!
竜には相棒の龍の鉄槌を
そして自分も一撃を
「相応しい終焉だろう…散れ!」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
冒険者たちの情報と
この地図のお陰で到着だ
だけどこんなにも正確な地図
件のシーフが気になるね
冒険者達の為なのか、それとも別の執念か
「いや…それこそ冒険、なのかもしれないな」
目的のドラゴンに相対し
相棒と一緒に見上げるが確かにでかい
何だか冗談みたいなサイズだ
「まぁいつも通りだ。行こうか、時人」
相棒のアイコンタクトに頷きで返し
【戦文字「死龍葬弾」】を使用
時間を稼いでくれる間に文字を書き上げ装填
と思ったが、成程、厄介なUCだな
だけど武器は変質出来ても弾丸は別だ
武器は仕舞って駆ける
相棒の作った隙を縫って
圧縮された力の弾丸を直接
その巨体へ叩き込む
「文字は俺の力だからな、喰らっとけ」
その場所への道のりは、借りた地図の通りだった。
迷うことなく辿り着けたことで、凶月・陸井(f35296)は、地図を書いたという件のシーフのことも気になってくる。こんなにも正確な地図を遺したしたのは、冒険者達の為なのか。それとも別の執念か。そう考えて……思い至る。
「……それこそ冒険、なのかもしれないな」
「陸井?」
つい零れた呟きに、傍にいた葛城・時人(f35294)が首を傾げた。
何でもない、と苦笑して。陸井は少し誤魔化すかのように、時人へ道の先を示す。
もうそこは道ではない。広い宝物庫と言えそうな、少し開けた空間。
金銀財宝がひしめくそこに、巨大な金色の姿があった。
「これは確かに困るだろうな……」
思っていたより大きな『黄金龍』トゥルル・エ・ダハブを見上げて、今度は時人が思わず呟く。見上げる程の巨体は、先へ進む道を見事に塞いでいた。倒さなければ進めない。その大きさだけでもそれが分かる。
同じ感覚を、陸井も抱いていたようで。
「何だか冗談みたいなサイズだ」
特別大きなドラゴンではない、と酒場の冒険者達は言っていたが充分に大きい。
禁獣『デスギガス』や召喚魔王『ゼルデギロス』など、他の世界で黄金龍よりももっとっもっと大きなオブリビオンを見た事もある陸井だけれども。それでもやっぱり、時人と並んで見上げる黄金龍は、でかい、と感じられる大きさだから。
口元に浮かぶのは小さな苦笑。
だからといって、退く選択肢は陸井の中に存在しない。
「まぁいつも通りだ。行こうか、時人」
「うん。何度も世話になってる九瀬にも、ちゃんと撃破を伝えたいしね」
酒場で出会った面々に加え、この依頼を持ってきた、そしてこの場に転送してくれたグリモア猟兵の笑みもちらりと思い出しながら、時人は気合いを入れるように頷く。
「よし! しっかりやろう!」
ドラゴンスレイヤーの称号もちゃんともらいたいし、なんてやっぱり憧れながら。
でも浮つかずにしっかりと、錫杖を構えて黄金龍を見据えた。
(「うん、撃ち込むのは……今回は陸井だね」)
戦況を、敵を、見極めて。最適な役割を瞬時に判断すると。
青い瞳を陸井に向ける。
眼鏡の向こうでそれを受け止めた漆黒の瞳は、言葉にしなくても時人の意図を理解したようで、穏やかでいて頼もしい笑みを浮かべて頷き返してくれたから。
「俺は全力で往く!
その翼その速さその力を俺に! ククルカン!」
言い置き、すぐさま詠唱すると、時人の背に翼が生えた。
それは時人が体内で飼い慣らす白燐蟲・ククルカン。宿主へ与える祝福を翼の形として見せて、時人に爆発的なスピードと反応速度とを与える。
その白き翼の力を得て、時人が向かうは黄金龍。周囲を飛び回り、無造作に振るわれる太い腕や大きな翼、長い尾を避けつつ、玉枝の杖の先で小環を揺らし鳴らしながら、合間の隙を狙い、銀鎖を躍らせるようにして打ち据えた。
「煩わしい猟兵が次々と……財宝は我の物だ!」
苛立ったように黄金龍が吠える。鋭い視線が時人を捉える。
放たれたユーベルコードは、時人が通りかかった傍にいた小さな女神の持つレーザーガンを変質させ、錫杖も黄金色の化け物へと変えられてしまったけれども。
「残念、俺の
白燐蟲は装備品じゃない!」
その背の白い翼はしっかりと時人を支えてくれていたから。使役する白燐蟲への信頼と共に、時人は飛び回り続け、攻撃をあしらい、躱していった。
それこそが自分の役目なのだと。
黄金龍の攻撃を、意識を、引き付け続ける。
(「ただ時を待つ!」)
そうして稼がれた時間に、陸井は空中に戦文字を書き上げていた。
4つ並んだ『龍』の文字。
総画数が多いほど威力を上げるユーベルコード・
戦文字『
死龍葬弾』により召喚された一撃必殺の弾丸が『護』の銘を刻んだ黑鋼製のガンナイフに装填される。
その目前で、時人の錫杖が黄金色に変えられた。
「成程、厄介なユーベルコードだな」
黄金の化け物と化す装備品を目の当たりにし、陸井は『護』を一度懐に仕舞う。黄金龍に所持を認識させないことでユーベルコードの対象から免れるかもしれない。
でも、例えガンナイフが変質させられても、弾丸自体はユーベルコードであり装備品ではないから大丈夫と判断し。
それになにより、相棒が黄金龍を引き付けてくれているから。
陸井は、羽織に描かれた『護』の文字を背に、恐れず駆けた。
レーザーとガトリングガンの弾が絶え間なく降り注ぎ、白い翼で翔ける相棒が黄金龍の視線を奪う中。大きな帽子の少女が飛び込んだ反対側から、広がる冷気を感じながら、黄金色の巨体へと接近し、銃口を向ける。
「文字は俺の力だからな、喰らっとけ」
叩き込まれる、圧縮された力の弾丸。
それは、時人が作った隙を見事に捉えて。
黄金龍の胸部を撃ち抜いた。
力強い一撃にさすがの黄金龍の巨体がぐらりと揺れ。
好機とばかりに猟兵達の攻撃が集中する。
そこに時人も飛び込んで。
「相応しい終焉だろう……散れ!」
黄金龍の断末魔が、はじまりの遺跡に響き渡った。
大成功
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