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春、それはリア充を爆破する季節

#UDCアース #しっと #RB



 その日、公園では桜まつりが開催されていた。
 あたたかな柔らかい風がやさしくそよいでは綿菓子をちぎったような雲をそっと撫で、その様子を子供達が指さしては家族へと報告している。
 桜並木の下では焼きそばやお好み焼き、りんご飴などといった縁日でみかける屋台もずらりと並んでいる。ベンチに座ってまんまるなたこ焼きを食べる学生たちの姿はとても微笑ましい。
 そんな中、満開の桜の元ではラブラブカップルがイチャイチャしていた。
「今日はいい天気だね~」
「そうだね~」
 敷いたレジャーシートにはお手製らしきお弁当と露店で買ったデザートが並び、二人は桜を眺めながらお昼を食べさせ合っている。
「このサンドイッチ美味しい~」
「えへへ、頑張って作ったんだ~」
 そんなラブラブリア充は背後に迫るレスリングパンツにレスリングマスク姿の野郎の存在に気付かなかった。
「それにしても桜キレイだね~」
「桜よりミカちゃんの方が綺麗だよ♪」
「嬉しい~」
 そんな感じでイチャイチャしていたが、残念ですがお時間です。
「リア充爆発しろおおおおぉぉぉー!!」
 ちゅどおおおおおぉぉぉぉぉおおん!!!
 爆風に揺れた桜は花びらを散らし、哀れリア充は爆発四散した。


「……と、いう訳でリア充を爆発するだけの簡単なお仕事があるらしくてな」
 グリモアベースの片隅で海老名・轟(轟く流星・f13159)は話を切り出した。
 季節は冬から春へと移り、彼の足元では小さな花が春の陽気に揺れている。
 柔らかな春の風を受ける猟兵達が集められたのは『簡単な仕事で高額報酬』を謳う、合法違法グレーゾーン入り混じった『表沙汰にできないヤバいアルバイト』……つまり闇バイトの中に、『UDC怪物が犠牲者を集める為のもの』があることが予知によって判明したからだ。
 表沙汰にできないヤバイアルバイトというのは、今まさに轟が話した『リア充を爆発するだけの簡単なお仕事』である。
「ほら、今ちょうど花見シーズンだろ? 桜並木が有名な公園で桜が満開になるじゃん? ってなれば花見だろ?」
「で、リア充がイチャイチャしながら花見をする、と」
「……屋外でいちゃつかなくてもいいと思うんだがなあ」
 すかさず猟兵が言ったのでため息交じりに轟は言葉を返した。
 なおバイトを仲介しているのは、UDC怪物である神父に忠誠を誓うしっとの炎を燃やす邪神教団である。
「こんな闇バイトに手を出す人間の多くは……まあ、リア充を憎むヤツなんだろうな。きっとなんか、こう、それぞれ事情が……まあ、リア充を憎む事情なんだろうが……」
 なんだが歯切れの悪い言葉で轟は言い、ぼりぼりと頭をかく。
 短期間で高収入などという甘い言葉の先にあるのは『死』だ。
「いくらリア充憎しだろうが神父の犠牲となるのを見過ごす訳にもいかねえしな。俺達としてはヤツが更に力をつけるような事態を許す道理もねえ。悪いがお前達にはこの闇バイトに参加してもらい、その裏に潜むハゲ神父を叩き潰して欲しい」
「リア充は?」
「爆破するなっつーの」
 不穏な発言は聞かなかった事にした轟はグリモアキューブを展開させた。


 轟が展開した先には満開の桜並木に露店が並び、花見を楽しむ人々がいた。
「とりあえず仲介業者との接触をしてもらう事になるが、すぐには見つからないかもしれん。花見でも楽しみながらじっくり接触してくれ」
「あの」
「ほら詳細のメモやるからさっさと行け」
 ぐずぐずするなと手で示された猟兵達は満開の桜並木へと向かうのだった。


カンナミユ
 しっとの炎を燃やす皆様こんにちは、カンナミユです。
 別れ、出会い、リア充は爆破。
 桜を愛でつつ闇バイトを企てた邪教団を叩いちゃいましょう。

 詳細は各断章をご確認ください。
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第1章 日常 『食べろ、スタグルメ!』

POW   :    ここは本能に身を任せて選ぼう

SPD   :    まわりを観察すれば美味いものはわかる

WIZ   :    口コミネットワークによるとお勧めは……

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 広い公園に到着した猟兵達を満開の桜が出迎えた。
 柔らかな風にはらはらと花びらが舞い、ふわりと食欲をそそるいいにおいが鼻孔をくすぐってくる。よく見ると公園内のあちこちに露店が自慢の料理を振舞っており、人気の露店には行列ができているではないか。
 そんな料理を広げて花見を楽しむのは家族連れに学生そして――ラブラブなカップル達。
 誰もが楽しむ桜まつりの会場のどこかにリア充憎しのアルバイトと教団員が潜んでいるのだろう。
 犠牲を出さない為にもまずは奴らに接触しなければ。
 猟兵達はグリモアベースで受け取ったメモに目を通した。

 この章では花見を楽しみつつリア充を爆破しようとするアルバイト、もしくはアルバイトの仲介業者に扮した教団員と接触をします。
 アルバイトは青のレスリングマスクをかぶっており、教団員は赤のレスリングマスクを被っており、接触方法は三パターンあります。
1)しっとの炎で接触する。
 己の内で燃え滾るしっとの炎を滾らせ、反応した教団員と接触して闇バイトへの参加を申し出てバイトの準備会場に連れて行ってもらいましょう。
 リア充憎しのアルバイトのしっとの炎を感知する事でこちらから接触して紹介してもらう事も可能です。
2)ラブラブリア充を演じてアルバイトをおびき寄せる。
 伝説の桜の木の下で恋人が来るのを待つ、ガチのラブラブリア充っぷりをみせつけるなどをしてアルバイトをおびき寄せます。
 バイトはリア充を爆破しようとするので、その前に『待っていたぞ』とばかりに同胞だと思わせて闇バイトへの参加を申し出ましょう。
 うっかり爆破されても猟兵なので大丈夫! たぶん!
3)教団員が接触してくるのを待つ。
 しっとの炎なんてないし、リア充でもないそんな方は教団員が接触するまでのんびり待ってみてはいかがでしょうか。
 せっかくの桜まつりですし、露店巡りをしたり満開の桜を満喫していれば赤いレスリングマスクを被った野郎が簡単にできる高額バイトに興味ありませんか? と声をかけてきます。
 不審者極まりないですが、チャンスを逃さずバイトの準備会場へ連れて行ってもらいましょう。

 なお猟兵が一般リア充を爆破しようとすると、謎の対抗組織によって妨害されます。
フェリチェ・リーリエ
(しっ)友よ、今会いに行くべ!
無駄に気合いを入れて作った重箱入り花見弁当を抱えしっとの炎を燃やし公園へ。なんせエンドブレイカー時代から嫉妬戦士やってる逸材だでな!
おおぉ早くおらを見つけてくれ同志よ、駄目だと言われたけどもこの右手が疼いて勝手にリア充爆破を始めてしまいそうだべ…!
仮に教団員に見つけてもらえなくてもしっとの炎は感知できる(はず)なので教団アルバイトに接触して仲間に入れてもらう。

リア充を爆破するだけの簡単な仕事があると聞いて!たのもー!
おらはこの道かれこれ15年以上やってっから必ず役に立てると思うだ!
あ、これ挨拶代わりの花見弁当な。腹が減っては戦はできんからな、まずは腹ごしらえだべ!



 一陣の風が満開の桜を揺らし、フェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうきゅうさい・f39205)は薄紅の花がはらはらと降り注ぐ公園に到着した。
 重箱を抱えてフェリチェは桜まつりが開催されている会場へ足を踏み入れると、家族連れや学生たちの弾む声に紛れてさっそく憎き会話が聞こえてくる。
「満開の桜って素敵ね」
「君の方がずっと素敵だよ」
「やだぁ、もう恥ずかしいってば~」
 ――リア充だべな!
 憎き会話に思わず鋭いしっとの視線を走らせたが、今はその時ではない。己にはしっとの炎を燃やす闇バイトと接触するという使命があるではないか。
「(しっ)友よ、今会いに行くべ!」
 滾るしっとを胸に秘め、嫉妬戦士は重箱と嫉妬魂を抱えて進みゆくが、グリモアベースで聞いた姿はいつまで経っても現れない。それどころかフェリチェが進む先々でリア充達はラブラブないちゃつきを見せつけてくる。
「ねえ~、この後どこに行く?」
「俺の家なんてどう?」
「お家デートいいね、そうしよっか~」
 何という事でしょう! 目の前でいちゃつくリア充がお家デートに向かおうとしているではありませんか!
 エンドブレイカー時代から嫉妬戦士をやってる逸材がこれを見逃せる訳もない。
 爆破せねば。リア充は爆破せねば!
「おおぉ早くおらを見つけてくれ同志よ、駄目だと言われたけどもこの右手が疼いて勝手にリア充爆破を始めてしまいそうだべ……!」
 憎きリア充を前に疼く右手を抑えるも、果たしていつまで持ちこたえられるか。
「お家で二人っきり~」
「ラブラブ~」
 駄目だ駄目だ。自分には使命が――!
 刹那、フェリチェのしっとの炎が滾る炎に呼応するかのように揺らめいた。爆破衝動を必死に抑え込んで己の中にある炎が示す先へと走り抜けば、伝説の桜の木の下で真っ赤なレスリングマスク男が腕を組んで仁王立ちしている。
 間違いない。不審者極まりない野郎へ一直線。
「リア充を爆破するだけの簡単な仕事があると聞いて! たのもー!」
「先ほどから底知れないしっとの炎を感じていたのだが、君だったか」
 同じ炎を灯す同胞の理解は早かった。フェリチェを一目みただけでレスリングマスクの男はバイトへの参加を二つ返事で快諾してくれた。
「おらはこの道かれこれ15年以上やってっから必ず役に立てると思うだ! あ、これ挨拶代わりの花見弁当な。腹が減っては戦はできんからな、まずは腹ごしらえだべ!」
「15年以上だと? ふむ、なかなかの逸材だな」
「そうだべ?」
 桜の木の傍にあるいい感じのベンチに腰を掛けた二人はフェリチェお手製の無駄に気合いを入れて作った重箱入り花見弁当を食べてしっと力を充電すると、闇バイトの準備会場へと案内されていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



 優しい風がそよぎ、グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)の前には平和な春の一風景が広がっていた。
 桜を愛で、露店で購入した食事を味わい、友や伴侶とそれらを共有する。満開の桜を人々が楽しむ様子は平和そのものだ。
 グレナディンはそれらを横目に歩いていくが、すれ違う人々はこのババアが年齢3桁に到達した、かつて反帝国の宇宙海賊として名をはせた過去を持つババアだと気付く事はない。
 ――仮にいたとしても、覚えている者はもはや少ない。
 依頼を受けて随分と平和な場所へやって来たが、これから戦う相手はリア充しでカップルを爆破しようとする凶悪な教団の神父だ。元宇宙海賊として名をはせた過去を持つグレナディンであれば、どんな相手であろうと難なく解決できるであろう。
「おばあちゃん、新作の試飲はいかが?」
 かけられた声に見ると、出店している酒蔵のスタッフが紙コップに注がれた日本酒を差し出してきた。
「飲みやすくて美味しいって評判いいから是非飲んでよ」
「じゃあいただくよ」
 にこりと笑む中年の男から受け取り一口。確かに悪くない味だ。
 味わうように口に含みながらもグレナディンはターゲットを探す。グリモアベースで聞いた情報では、リア充を憎み爆破しようとするのはレスリングマスクにレスリングパンツという姿らしいが……。
「……あいつだね」
 ぽつりを呟きながらの足取りは早くなる。家族連れや学生達、若い男女に紛れたレスリング姿なんてまず見間違えようもない。
 足早にレジャーシートを間を抜けて大きな木の根をひょいとかわし、
「あんただね、リア充を爆破しようとしているってのは」
「ひゃあっ!」
 桜の木に張り付いてリア充をガン見していた野郎に声をかけると赤のレスリング姿は跳ね上がった。
「あんたリア充を爆破しようとするバイトを紹介してくれるんだろ?」
「あ、ああ。そうだが……」
 驚いたままでじろじろと見てくるレスリング野郎をババアはぎろりと睨み返す。
「こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ」
「ふむ、確かに年齢は関係ないしな。こちらの事を知っているというなら何をするかもわかっているだろうし」
 無言で頷く姿にレスリング男も納得したようだ。
「じゃあついてきてくれ。リア充を憎む同志であるなら老若男女は関係ないからな」
 そう言い、レスリング男はリア充を睨みつつも公園の外へと向かっていくと、グレナディンもその後についていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

不破・静武
嫉妬戦士とは!
悪(リア充とオブリビオン)と戦い正義(独り身的な意味で)を示すために戦う勇者に与えられた称号である!誰に与えられたとかは知らん。

そんなわけで。
なるほど理解した。つまり闇バイトに応募してリア充を爆破すれば良いわけだな!うおおー早速花見に繰り出したらリア充どもがうじゃうじゃと!早速こいつら全員爆破してやるぅ……謎の対抗組織?知るかそんなのと言いたいトコだけどまあ仕方ないね。赤丸3つもアレだから素直に闇バイトとやらの接触あるまで待とう。で接触が来たら即OK。運が良かったな。こちとらリア充がまだアベックって呼ばれてた頃から嫉妬戦士やってたのだそこいらの奴に負ける気はしないぞとか言いつつ。



「嫉妬戦士とは! 悪(リア充とオブリビオン)と戦い正義(独り身的な意味で)を示すために戦う勇者に与えられた称号である!」
 不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は硬く拳を握り力説するが、その称号を誰に与えられたとかは知らんという。
 悪しきリア充を憎む嫉妬戦士はグリモアベースで依頼を受けると、さっそく桜まつりの会場へとやって来た。
「なるほど理解した。つまり闇バイトに応募してリア充を爆破すれば良いわけだな!」
 悪(リア充とオブリビオン)と戦う嫉妬戦士の理解は早い。きょろきょろと辺りを見渡せば、爽やかな青空の下に立ち並ぶ露店から食欲をそそるいい匂いが漂ってくるし、柔らかな風を受けた薄紅の花びらがはらはらと舞う。
 そして――。
「ねえ、どこでお花見する?」
「ペコちゃんの隣ならどこでもいいよ」
 手を繋ぎ楽しそうに歩くリア充とすれ違った。
 憎きリア充に殺傷能力がありそうな鋭い視線を向けていると、新たな刺客達が後方から襲い掛かろうとしている。
「今日はオレがユキちゃんの為に美味しいお弁当作ってきたよ」
「私もケン君の為にお弁当作ったんだ~」
 先鋒を切ったのは愛する相手にお弁当を作ってきたラブラブカップル。可愛らしいランチボックスを見せあう二人は幸せいっぱいだ。
 その次に襲い掛かるのはなんと歳の差カップル。
「ねえ、私と一緒だと……親子だと思われないかなあ」
「大丈夫だよ、誰もそんな事思ってないって」
 気遣う紳士の優しさにふわりと笑む少女だが、嫉妬戦士の目にどう映るか。
 しっとの炎を燃やす戦士に目もくれず、数え切れないほどのリア充達は幸せいっぱいラブラブモード。
 なんという事でしょう。ここは悪の巣窟と化しているではありませんか!
「リア充どもがうじゃうじゃと! 早速こいつら全員爆破してやるぅ……」
 やる気満々、殺意の波動と共にリア充を爆破しようとした静武の脳裏に謎の対抗組織がどうとかグリモアベースで聞いたような気がしたが、嫉妬戦士の戦いは常に徹底抗戦。
 知るかそんなのと言いたいトコではあるが、戦士たるもの守るべきコトもある。赤き裁きを受ける訳にはいかないのだ。
「命拾いしたな」
 吐き捨てリア充から視線を逸らすと、いつの間にか行く先に赤のレスリング男が立っているではないか。
「君こそリア充を爆破するアルバイトにふさわしい逸材! さあ我らと共にリア充を爆破しようではないか!」
「運が良かったな。こちとらリア充がまだアベックって呼ばれてた頃から嫉妬戦士やってたのだそこいらの奴に負ける気はしないぞ」
 力強く頷く二人は硬い握手を交わす。
「アベック……懐かしくも憎い響きだ」
 レスリング男は懐かしい記憶にしみじみするも、しっと魂は燃え滾っている。
 誘われるがままに嫉妬戦士はリア充ひしめく公園から同志が集う闇バイトへと向かっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

上城・桂悟
……リア充に思うところがないわけではないが、そもそも人様に迷惑をかけるのはよくないよな。それに邪神教団が絡んでいるなら尚更だ

それはともかく、奴らと接触するまではお花見でも楽しむとするか。それにしても綺麗に咲いてるな。折角だからちょっと撮影しておこう(持っていたスマホで写真を撮る)……あっちの方も良さげだなと桜を眺めては写真を撮って歩き回る。
ある程度撮ったら露店で軽食を買って少し休憩。……結構おいしいな、これ。それと後で兄さん達にさっきの写真を送っておくか

男から声をかけられたら「簡単に稼げるのか?今お金がないから是非受けたい」とお金に困っている素振りを装って応じる



「ねえ、あっちの桜が綺麗だよ」
「じゃああっちで花見しようか」
 並んで歩く学生カップルを上城・桂悟(静かに佇む蒼月・f04997)は桜の木を背にして静かに見送った。
 満開の桜並木を歩く二人は手を繋ぐ事に慣れていないのか、ぎこちない動きの微笑ましさについ口元が綻んでしまう。
「……リア充に思うところがないわけではないが、そもそも人様に迷惑をかけるのはよくないよな」
 ぽつりと呟きカップルの後ろ姿を見ていた桂悟は桜まつりを楽しむ為にやって来た訳ではない。高額な闇バイトと称して罪なきカップル達を爆破しようとする野郎どもを叩きのめす為だ。
 人様に迷惑をかけるのはよくない。邪神教団が絡んでいるなら尚更だ。
 満開の桜が並ぶ公園内を見渡すと、カップルだけではなく家族連れや学生達が各々に桜を楽しんでいた。
 グリモアベースで聞いた説明だと桜まつりを開催するこの場所のどこかにレズリングパンツにレスリングマスク姿の野郎がいるというが、それらしき姿はまだ目撃していない。爆破すべきターゲットを探しているか、闇バイトに参加したい同志を探しているのだろう。
「それにしても綺麗に咲いてるな。折角だからちょっと撮影しておこう」
 はらりと舞う桜の花びらを目で追うと、スマホを取り出す桂悟はおもむろに桜を撮影しはじめる。
 柔らかな春風に伸びた枝は揺れ、花見を楽しむ人々がその様子を眺めては桂悟のようにスマホを手に撮影したり、落ちた花びらを集めたり。ゆっくりと歩く度に春の風景がスマホの中へと収められていく。
 そうこうしていると、なんだか小腹が空いてきた。
「フランクフルトお買い得だよ」
「ドリンクの氷大奮発しちゃうよー」
 露店からの誘惑についあれこれと買ってしまった桂悟は桜の木の近くにあったベンチに腰掛けると、まずはフランクフルトを一口。
「……結構おいしいな、これ」
「そこの君、ちょっといいかね?」
 あらかた食べ終え撮影した写真を兄達へ送ろうとスマホを操作していると、不意に真っ赤なレスリングマスクの野郎が紳士的に声をかけてきた。
 間違えようもない。目の前に立つ男は闇バイトの勧誘をする教団員だ。
「ここで稼げるバイトを募集してるって聞いたんだけど」
「……君、どこでそれ聞いたの?」
「簡単に稼げるのか? 今お金がないから是非受けたいんだ」
 何気ない様子で聞くとマスク野郎は訝しげな声をするが、お金に困っている素振りを装う桂悟の迫真さに納得したようだ。
「お金に困ってるのか、それは大変だな。しっとソウルがあると教祖様も喜ばれるのだが……ふむ、お金に困っているのなら我らのバイトに参加するといい。即日現金払い可能の高額バイトがウリだからね」
 マスク野郎によればバイトの説明はこの公園から少し離れた場所にあるそうだ。
「そろそろ募集を締め切るところだったから君は運がいいよ」
「それはよかった」
 食べ終えた空の容器をゴミ箱に捨て、桂悟はマスク野郎と共にしっと渦巻く闇バイトの説明会場へと向ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『少年達は探検する』

POW   :    叱る、脅す、力づくで止める

SPD   :    先回りし障害物を設置する等で妨害する

WIZ   :    説得する、誤情報を与え他の場所に誘導する

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「さて、ここが説明会場だ」
 レスリング野郎の案内でやって来たのは公園を出て人通りのない路地裏を進んだ先にある大きな倉庫のような場所だった。
 あえてなのか薄暗い倉庫は全てを見渡す事はできず、少し離れた場所に10人くらいの人影を確認できるくらい。その確認できる人影はどれもレスリングマスクにレスリングパンツ姿だが、闇バイトを志願した人達らしく慣れない恰好に身じろいだりマスクを引っ張って位置を調整したりしている。
『あーあーあー、マイクテステス』
 その声は突然頭上から降ってきた。
『遂にこの世のすべてのリア充を爆破する手段が整った。あとは君達のエネルギーがあれば完璧だ』
 ボイスチェンジャーを使ったような加工された声が倉庫内いっぱいに響くと、倉庫の中心に禍々しい輝きを放つ大きな魔方陣が浮かび上がると、倉庫内の空気は一変する。
 重々しい邪念――しっとの怨念に満ち溢れだした。
『さあ諸君、しっとパワーをこの私に捧げるのだ!』
「ぐ……憎い、リア充が憎い!」
「教祖様、バンザーイ!」
 猟兵達を案内したレスリングマンス野郎はしっとの炎を燃え滾らせながらふらふらと魔方陣の中へ入っていくと、しっとの炎に包まれその姿は消えてなくなった。
『もっと、もっとだ! 私に捧げよ!』
 響く声に猟兵達の内でも異様な勢いで炎が燃え出した。
 必死に炎と戦う猟兵の視界の先では闇バイトを志願した男達が頭を抱えて苦しんでいたが、術にかかってしまったのか魔方陣へと一歩また一歩とふらふらと歩きはじめた。
 
――――――
 
 2章は『誰でもしっとの炎を燃やし、燃え滾るエネルギーを捧げようとする術』に耐えきり、闇バイトに参加する一般人も救出するという内容になります。
 ボスである教祖が発動させた術はしっとの炎を燃やす人は更に燃やし、しっとの炎を燃やしていない人も何かしらの嫉妬心を燃やし、そのエネルギーを教祖へ捧げようとしてしまいます。
 猟兵の皆さんはなんとか耐えきる事ができますが、一般人はそうもいきません。
 術にかかった一般人は倉庫の中央に発生した魔方陣に足を踏み入れる事で身を捧げ教祖をパワーアップさせてしまいますので、目を覚まさせてあげましょう。
 ビンタなどの物理説得や説教や説得、会場から強制退去など手段は問いませんので、できるだけ救出してあげてください。
不破・静武
うおお!しっとの炎を燃やすぞー!リア充死すべし!アベック爆破すべし!なんだおまえらその気合の入ってなさは!まったくもって嘆かわしい。おまえたちの炎などまだまだなまぬるい!まるで春の陽気のようだ!このボクが真夏の太陽をも上回る真のしっとの炎を見せてやろう!シン・嫉妬旅団の名にかけて!そう!こんな風にじゃー!!

とか叫びつつ、リア充ころし(焼却)を構えてガソリンまいて周囲におおいにしっとの炎を燃焼させるのだ。燃えろ燃えろー!

……あれ?なんかみんな逃げちゃったな。なあに逃げたやつらはしょせんしっとの素人だったのだ。残ったやつこそ真のしっと戦士よ!そんな彼らは……他の人がなんとかしてくれるだろうたぶん。


フェリチェ・リーリエ
ええぇ!?同志を生贄にするとか絶対あかんやつでねーか!
くっ、おらの嫉妬の炎も激しく燃えて教祖に捧げたくなるけども【気合い】で耐えてみせるべ…!

そっちは行ったらいかん!UC『そんなバナナ』で会場内の床をめっちゃ滑るバナナの皮で覆い、一般人をわざと転ばせる。
転んで頭でも打てば正気に戻るかもしれんし、足元滑ってまともに歩けなきゃ魔法陣にも近づけねえはず!
自分はヴァルキリーの翼で飛翔し転倒を防ぎつつ、一般人を抱えて飛び会場から強制退去させる。

お前さんバカか!誰かに委ねるんでなく自分の力でリア充爆破しねえと意味ねえべ!そんなんじゃ立派な嫉妬戦士にはなれねえっぺよ!
ここは(元)嫉妬総帥たるおらについとけ←



「ええぇ!? 同志を生贄にするとか絶対あかんやつでねーか!」
 自分達を案内した教団員がしっとの炎に包まれた様子を目にフェリチェは思わず声を上げてしまった。
『さあ、バイトの諸君も私にしっとパワーを捧げるのだ!』
 新たに降り注ぐ声と共にリア充を憎む教祖の術は一般人である闇バイト参加者と猟兵達へ容赦なく襲い掛かる。
「うおお! しっとの炎を燃やすぞー! リア充死すべし! アベック爆破すべし!」
「頭が割れそうだべ!」
 己の内にあるしっとの炎がいつも以上に異様な勢いで燃え猛っているのを静武とフェリチェが感じていると、視界の奥では術にかかった闇バイトの参加者達の姿が見える。
「う、うう……」
「憎い……リア充……教祖様……!」
 苦しいのか頭を両手で抱えたり、うずくまっていたが、力なく立ち上がると倉庫の中心で禍々しい輝きを放つ大きな魔方陣に向かってふらふらと歩き出した。
 あれはつい先ほど猟兵達を案内したレスリングマンス野郎をしっとの炎に包んだ魔方陣。足を踏みいれたら最後、しっとの炎に包まれ教祖への力になってしまう。
 絶対にそれだけはいけない。犠牲を出す訳にはいかないのだ。
「くっ、おらの嫉妬の炎も激しく燃えて教祖に捧げたくなるけども、気合いで耐えてみせるべ……!」
 拳をぐっと握り、己の中でごうごうと渦巻く嫉妬の炎を抑え込んだフェリチェは教祖へ捧げようと沸き上がる衝動を気合で耐えきった。だが、一般人であるバイト参加者達は猟兵達のようにはいかない。
「駄目だべ!」
 しっとの炎を燃やしまくりの静武を目に喉を枯らさんばかりに制止の声を張り上げたが、バイト達の足が止まる事はなかった。魔方陣はより一層に禍々しい輝きを放ちはじめると引き寄せられるようにふらふらと向かっていく。
「教祖様……力を……」
「リア充を……爆破してください……」
「そっちは行ったらいかん! スッ転べ!」
 これ以上進ませはしないと急成長するバナナの木を地形に突き刺すと、倉庫内の床一面が滑るバナナの皮で覆われた。
「おおっと! なんのこれしきー!」
 思いきりバナナの皮を踏んづけた勢いで転びそうになった静武は燃え滾るしっとの力で踏みとどまるも、ごく普通一般人にとっては至難の業。
「うおっ」
「ひゃああ!」
「うわあぁー」
 つるっと豪快に転んだり、勢いでずるっと滑り出したりと闇バイトの参加者達は大パニックに陥っている。
 魔方陣の方へ進む事をつるつる滑るバナナの皮が足元から阻止するし、強く転倒した衝撃でかかっていた術が解けかける者までいるようだ。
「うぅ……俺は、何を……うわあっ!」
「な、なんじゃこりゃあ?」
 つるつる滑る足元に立ち上がれない男達の前に非モテの味方はどんと構えて、息をすうと吸い。
「なんだおまえらその気合の入ってなさは! まったくもって嘆かわしい。おまえたちの炎などまだまだなまぬるい! まるで春の陽気のようだ! このボクが真夏の太陽をも上回る真のしっとの炎を見せてやろう!」
 びりびりと響く声と共に現れたのは、そう、リア充を――汚物を消毒するにはもってこいのアレ。
「シン・嫉妬旅団の名にかけて! そう! こんな風にじゃー!!」
 ガソリンをぶちまけ、ファイヤー!
「燃えろ燃えろー!」
 火炎放射器から放たれる炎がガソリンに引火しバナナの皮もごうごう燃えてなんかすごい事になった。
 ガソリンの匂いとバナナの皮が焼ける匂い、そしてしっとの炎。
 バナナの皮を焼き払った事で歩けるようになったのか、いつの間にか立ち上がる事ができないでいた男たちは静武の前からいなくなっていた。
「……あれ? なんかみんな逃げちゃったな。なあに逃げたやつらはしょせんしっとの素人だったのだ。残ったやつこそ真のしっと戦士よ! そんな彼らは……他の人がなんとかしてくれるだろうたぶん」
 火炎放射器で辺り一面をしっとの炎で焼き尽くした事もあってか熱さで額を伝う汗を拭う静武の頭上ではフェリチェが闇バイトの参加者達を抱えて飛翔していた。
「あわわ……」
「おらの手につかまるべ!」
 ヴァルキリーの翼で飛翔し転倒を防ぎつつ、炎に包まれバナナの皮で動けないレスリングマンス男の手を掴むと、そのまま倉庫その途へと一直線。
 倉庫を出れは、今までの出来事が信じられないほどに平和そのものの、ありふれた光景が広がっていた。
「た、助かった」
「死ぬかと思った……」
「助けてくれてありがとう」
 ちょっと炎に焼かれたようでレスリングマンスが焦げている男達は生きて倉庫から脱出できた事を心から感謝しているが、フェリチェはそれに叱咤で返す。 
「お前さんバカか! 誰かに委ねるんでなく自分の力でリア充爆破しねえと意味ねえべ! そんなんじゃ立派な嫉妬戦士にはなれねえっぺよ!」
 15年以上の経験からのその声に男達も心を打たれたらしい。
 正座したままびしっと姿勢を正す野郎どもにうんうんと頷くフェリチェだが、やらねばならぬ事が倉庫の中に残っている。
「ここは(元)嫉妬総帥たるおらについとけ」
「ありがとうございます!」
「嫉妬総帥についていきます!」
「嫉妬総帥、バンザーイ!」
 野郎どもの声を背にフェリチェはしっとの炎渦巻く倉庫の中へと戻っていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

上城・桂悟
生贄を確保しようとするだけでも腹立たしいのに、厄介な術も使って来やがって……。どうにかしないと

俺も嫉妬心に駆られそうになるが、兄さん達に知られたら何か心配されそうだと思い落ち着きを取り戻そうとする

その後は近くにいる一般人達にコミュ力も使って説得
「さっき消えた奴らみたいになりたくなかったらここから離れろ!本当に自分がやりたいことが何も出来なくなるぞ!」
「あんたらがそうなったら悲しむ人は誰かしらいるんじゃないか?少なくとも俺はこのことを後悔する」

もし魔方陣に入りそうな人がいたら【見えざる風霊の手】を使って無理やりにでもそこから離れさせる。出来るだけ怪我はさせないように気を付けるが緊急事態だからな



 仲間が放った炎の熱さに思わず瞳を細める桂悟の頭上を闇バイトの参加者達を抱えた別の仲間が出口へ向かって飛んでいく。
 その様子を見上げていると、沸き上がる胸苦しさに思わずうめきがこぼれてしまった。
「く、っ……!」
 苦しい。教祖が発動させた術によって無理矢理生み出された嫉妬心はマグマのように熱く、痛いほど苦しい。
「生贄を確保しようとするだけでも腹立たしいのに、厄介な術も使って来やがって……」
 衝動を必死に抑え込む視界の先では、闇バイトの参加者が桂悟と同じように教祖の術にかかったのか魔方陣に向かって歩き始めている。
 ――どうにかしないと。
 歯を食いしばり駆られる嫉妬心を耐えていた桂悟の脳裏に兄達の顔が浮かび上がると、落ち着きを取り戻そうと大きく息を吸って深呼吸をひとつ。
 兄さん達に知られたら何か心配されそうだ。息を吐き出し胸の内にあった嫉妬心も吐き出すと、胸の苦しさはすっと消えていく。
「駄目だ! 魔方陣には近づくな!」
 術にかかった男の足は止まらない。必死に駆け出し急いで彼の前に立ち塞がった。
「止まれ!」
「教祖様……」
 両手を広げて再び声を上げてまっすぐな瞳を向けるが、レスリングマスクの奥の瞳は焦点は定まっていなかった。立ち塞がっているのも分からないのか、魔方陣に向かって進み続けようとする体を桂悟がぐっと押し返し、
「さっき消えた奴らみたいになりたくなかったらここから離れろ! 本当に自分がやりたいことが何も出来なくなるぞ!」
 力強く発せられた真摯な一声に術にかかっていた男の魂は揺さぶられたようだ。進もうとしていた足が止まると崩れ落ちるようにへたり込む。
「あんたらがそうなったら悲しむ人は誰かしらいるんじゃないか? 少なくとも俺はこのことを後悔する」
「……そうだな、オレが間違っていたよ」
 腕を掴んで立たせていると、離れた場所にいる数人が魔方陣へと向かっている事に気が付いた。
「大気に潜む風霊よ、少し手伝ってくれないか?」
 間に合わないと判断して瞬時に放った見えない風の精霊達によって魔方陣から離す事に成功したが、緊急事態とはいえ怪我はないだろうか。
 心配した桂悟だが、その心配はどうやら杞憂のようだ。
「うわあっ」
「ひゃあー!」
 精霊達によって離された男達は、床に残っていたバナナの皮に滑った勢いで出入り口へと滑っていってしまった。
 他の仲間がバナナを使って魔方陣に進めないようにしていたことを思い出した桂悟は、辺りを見渡し他に残っていない事を確かめ足元のバナナの皮に注意しながら男を出入り口へと送り歩く。
「助けてくれてありがとう」
 感謝の言葉を背に桂悟は倉庫の中へと戻っていく。
 倉庫には誰もいなくなり、残るは倒すべき相手ただ一人。
 最後の戦いは、もう間もなくだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『髪の毛ナイ神父』

POW   :    夜にささやく者
【頭部超空冷モード】に変形し、自身の【育毛可能性】を代償に、自身の【絶望に導くトーク力】を強化する。
SPD   :    嘲る邪神
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【毛のない頭部】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    輝くトラペゾハゲロン
自身からレベルm半径内の無機物を【輝くトラペゾハゲロン】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

 生贄となる筈だった者達は間一髪のところで救出され、猟兵が放った炎も徐々に治まっていく。
 だが、治まらないモノがある。
『――おのれ』
 薄暗い倉庫に低く発せられたのは怨嗟の声。
『おのれ、おのれ、よくもよくもよくも……この世のすべてをリア充を爆破する為に必要なしっとエネルギーを奪いおって!』
 滾る憤怒の炎は今まさに活火山の如く大噴火を起こそうとしていた。
『絶っっっ……対に、許さあぁああん!』
 ビッカアアァァァァァ!!!!
 烈火の怒号と共に強烈な輝きが薄暗い倉庫内を満たす。
 目を開けている事ができないほどの苛烈な眩さだが、おさまるのにそう時間はかからなかった。
 ようやく目を開けられるようになり身構えつつ注意深く見ると、猟兵しか残っていない倉庫の真ん中に輝きの主が立っているではないか。
 服装から推測するに神父だ。しかも説明で聞いていた邪神教団の神父だろう。
 だが、ただの神父ではない。ヒトならざるモノ――オブリビオンだ。
 煌々と輝く頭はただならぬ光を放ち続けているからか、その表情を伺う事はできない。だが、生贄を失った怒りで分厚い経典を持つ手も遠目で見ても分かるくらいにわなわなと震えていた。
「せっかくのリア充爆破計画がお前達のせいで台無しだ。リア充だろうが非リア充だろうがこの場でしっとの裁きをくだしてやろう! 覚悟するがいい!」
 先ほどの輝きでどうやらボイスチェンジャーが壊れたらしい。絶妙なオッサンボイスを響かせ頭が輝く神父は猟兵達へと襲い掛かってくるのだった。


――――――


 遂に闇バイトの裏に潜んでいたUCD怪物が姿を現しました。
 最後の3章では猟兵の皆さんにしっとの炎を燃やす邪神教団のUDC怪物である神父の撃破をお願いします。
 闇バイトの参加者達からしっとエネルギーを吸収できなかった為に神父はめっちゃ怒り狂っており、判断力を大幅に減じた状態で猟兵に襲い掛かってきます。
 なお神父はリア充を憎むのでそれっぽい会話に反応を示しますが、『はげます』『はげしい』『まぶしい』などといった薄く輝く頭に響くようなワードには過剰反応を示すようです。
ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
 UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
 『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
 ※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。

 ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
 痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
 公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
 記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。



「にゃあっ!?」
 サポートを請われ倉庫へとやって来たミルディア・ディスティン(UDCの不可思議メカニック・f04581)だが、入るなり足元に落ちていたバナナの皮を思いきり踏みつけてしまった。
 バランスを大きく崩しあわや転倒かと思いきや、焦茶色の髪をふわりと揺らしたミルディアは両手をばたつかせながら元の体勢を取り戻す事に成功した。
「……っ! ととっ……」
 踏みつけたバナナの皮は床のあちこちに散らばっているが、注意すればさほど問題ではない。
 問題は視界の先、頭が光り輝くオブリビオンだ。
「俺の出撃だな」
 すっと瞳を細めて人格を切り替え、先手必勝とばかりにミルディアは古代の戦士の霊を召喚するが、オブリビオンも負けてはいなかった。
「今眩しい思ったな? 目を細めただろオマエ! 悪かったな眩しくて!」
「言いがかりだな」
 勝手にキレだしたオブリビオンにわざとらしく大きなため息をついてみせ、
「眩しくて戦いにくいな」
「やっぱ言ったな? 絶対に生かして帰さないからな!」
 わざとらしい挑発を合図とするように、倉庫内にミルディアが召喚した古代の戦士の霊とオブリビオンが変換させた輝くトラペゾハゲロンが戦う音が大きく響いた。
 槍の一撃で一つ砕け、放った炎が二つ、三つと打ち砕いていく。
「生かして帰さないって? やれるものならやってみるんだな」
「ぐぬぬ……あいつを狙え!」
 砕けた輝きに怒り心頭のオブリビオンは叫ぶように命令すると、残りの輝きは古代の戦士の霊から標的を変えてミルディアめがけて襲い掛かってきた。
 古代の戦士の霊も攻撃しようと動くが届かない。
「……!」
 最初の攻撃を飛び避け、次の攻撃はしゃがんで躱すが、勢いよく飛び掛かってきた攻撃は避けられなかった。
「くっ」
 頬を掠めた一撃に思わず眉を寄せると、追いついた古代の霊たちが一斉に攻撃をしはじめた。
 数の多い輝きだが、多人数で対処すれば大した問題ではない。数多い攻撃によって輝くトラペゾハゲロンはあっという間に砕け散っていく。
「これで最後だ」
 ぱあん!
 最後の一つを砕き、輝きは落ち着いたものの、まだ戦いは始まったばかり。
「お、おのれ! よくもやりやがったな!」
「まさかこれで最後じゃないよな?」
 ふいに仲間の気配を感じたミルディアは、ちらと視線を動かした。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロエ・ボーヴォワール(サポート)
「カネならありますわよ~!」
◆口調
・一人称はわたくし、二人称はあなた様。典型的なお嬢様風
◆性質・特技
・好奇心旺盛にして仕事熱心
・実はゲテモノ料理好き
◆行動傾向
・ボーヴォワール社の持て余した圧倒的カネの力にモノを言わせ、万事解決を目指す
・法すらカネで買い取る自由奔放すぎる性格であるが、ノブレスオブリージュの精神に則り他者の為ならば才と財を惜しまない(混沌/善)
・猟兵としての活動は異世界を股にかけたボーヴォワール社の販路開拓と考えており隙あらば自社製品を宣伝し、「実演販売」に抜かりはない
・教養として体得したシンフォニアとしての技術をビジネス話術にも応用する
・細かい仕事は老執事セバスチャンに一任



 倉庫内いっぱいに広がった輝きは失われ、薄暗い空間内でクロエ・ボーヴォワール(ボーヴォワール財閥総裁令嬢・f35113)は大げさにばさりと金色の髪を手で払ってみせた。
「先ほどの眩しさはいったい何事ですの? あれ程の輝きならばボーヴォワール社で利用できると思いましたのに」
 ふうとため息をついたクロエであったが、視線の先に謎の輝く頭の神父が立っているではないか。
 あれが説明で聞いていたオブリビオンに違いない。
「眩しいだの輝くだの余計なお世話だ!」
「あらそれは失礼」
 自分の言葉に激昂したオブリビオンに対して素直に謝罪するクロエであったが、ふと閃いた。
「セバスチャン、アレを」
「はっ」
 老執事はアレという言葉だけでボーヴォワール魔導蒸気技術(株)総裁令嬢の言わんとする事を理解したようで、恭しく大きなボトルを差し出してきた。
「何だそれは」
「輝きに希望を。ボーヴォワール魔導蒸気技術(株)が開発した超即効性の育毛&増毛ざ――」
「よこせえええええ!!!」
 育毛&増毛という言葉に反応したオブリリビオンは音速レベルでクロエからボトルを奪うと即座にキャップを外し、中身を頭にびしゃびしゃとかけた。
 そんな様子に向けられるのは冷酷かつ残酷な言葉。
「『超ケハエフサフサロンGX』はオブリビオンに効果はありませんわ」
「ガッデエェエム!!!!」
 ばがんっ!
 勝手に精神ダメージを喰らったオブリビオンは苦しみの拳を床に叩きつける。無機質なアスファルトは大きく歪むと地面に大穴を開けると同時に超ケハエフサフサロンGXと共に砕け散ったそれらは輝くトラペゾハゲロンへと変換された。
 きらきら輝くそれらはオブリビオンの周りにふわりと浮かんだが、
「よくもこのワタシを騙したな、覚悟しろ!」
 早口気味な声を合図に一斉にクロエへと襲い掛かった。
「輝いていたほうが眩しくて良いですわよ!」
「うるさいっ!」
 ひとつふたつと攻撃を躱すクロエであったが、避け損ねた攻撃が腕を掠めた。ちりっと痛みが走ると同時に紅がじわりとにじみ出す。
「くっ……」
「痛いだろ! 私を騙したバツだ!」
 繰り出される攻撃を前に今こそ歌うべきは己を癒し、鼓舞する歌。
 ――そう、それは、ボーヴォワール蒸気魔法技術社歌。
「ボーヴォワール、ボーヴォワール、ボーヴォワール! おお、ボーヴォワール・マギテック!」
 どんな攻撃が来ようともクロエには社歌がある。
 歌い上げると同時に腕の痛みは引いていき、傷もあっという間に癒えていった。
「くっ、おのれこしゃくな!」
 悔しがるオブリリビオンは再び攻撃を仕掛けると歌いながらもクロエは身構える。
 戦いの中で歌は響き、
「遅かったですわね」
 社歌27番を歌い終えたクロエは後方から聞こえてくる足音に視線を向けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

下原・知恵(サポート)
「話は聴かせてもらった。つまり……ここは戦場ジャングルだな!」
◆口調
・一人称は俺、二人称はお前
・ハードボイルド調
◆癖・性質
・公正と平等を重んじ、己を厳しく律する理想主義者
・自分の現況を何かにつけてジャングルとこじつけたがる
◆行動傾向
・己を顧みず同志の安全と任務遂行を優先する(秩序/中立)
・UDC由来の人工心臓が巨大ゴリラの変身能力をもたらす
・ジャングルでの戦闘経験から過酷な環境を耐え抜く屈強な精神力と意表を突くゲリラ戦術を体得している
・とりあえず筋力で解決を試みる。力こそパワー
・手軽に効率よく栄養補給できるバナナは下原の必需品
・生真面目がたたり、意図せずとぼけた言動や態度をとることがある



 かつんこつんとブーツの音が響く。
「話は聴かせてもらった」
「だ、誰だ!」
 突然の声に荒げたオブリビオンへと言葉を返すのは、公正と平等を重んじ、己を厳しく律する理想主義者。
「つまり……ここは戦場ジャングルだな!」
 下原・知恵(ゴリラのゲリラ・f35109)は倉庫内の隅々にしっかり届く声でそう断言すると、咥えていた葉巻の紫煙をゆっくりとくゆらせた。
「聞いていただと? 盗み聞きとは卑怯な」
「器が小さいな、教祖様」
 余裕を十分に感じさせる足取りに不快な声のオブリビオンであったが、知恵は歯牙にもかけなかった。
「リア充を爆発だの、モテないだの、輝いてるだの眩しいだの、ハゲしい非リア充には人権がないだの……」
 ――ふうっ。
 ぼそりと呟いた知恵の言葉は誰も言っていない禁断ワードが含まれているような気がするが気にしてはいけない。
「オマエには分からないだろう。非リア充の虚しさというものを……」
 そう語り始めたオブリビオンであったが、自身の育毛可能性を代償にした絶望に導くトーク力は凄まじかった。その内容はかなりのもので文字数と尺の都合で割愛せざるを得ないほどだ。
 それほどまでの絶望トークを紫煙をくゆらせ聞いていた知恵であったが、
「俺は、曲がったことが大嫌いでね。見逃しゃあいいのにこれができねえ。だが悔いた事は一度もないぜ!」
 葉巻の火をブーツの底ですりつぶした知恵の身体は大きく増大した。
 どご、んっ!
「ひゃあっ!」
 増大する身体と共に戦闘能力も大きくなった知恵の拳にオブリビオンは情けない悲鳴を上げた。
 一気に距離を詰めてきた知恵の拳をとっさに躱したのだが、攻撃の勢いが凄すぎて床が大きく砕け散ったのだ。
「おめぇに言える事がある。力こそパワーだ」
 ぶぉんっ! ごがんっ!
 もはやゴリラといった攻撃は床に新たな穴を開け、壁を砕き、ついでにオブリビオンの輝く頭に傷をつけた。
「ちょ、頭はやめてくれないかね?」
「そうか、すまん」
 ぼごっ!
「うぐ、っは!」
 知恵は抗議に律義に対応するゴリラのゲリラであった。頭ではなくボディに鋭い一撃をめり込ませると、オブリビオンは倉庫の真ん中から壁まで吹っ飛んでいった。
 さすがゴリラ、容赦がない。
「そろそろだな」
 足元に落ちていた無傷のバナナを拾い上げた知恵の視線の先には戦いに決着をつけるべく仲間達の姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェリチェ・リーリエ
うぉっ眩し!!
いやスマン、おら歯に衣着せない人間なんでな。

それよりもだ、お前さん教祖言う割に全然なってねぇわ!
同志からしっとエネルギーを奪うとかどういう了見してんだべ!同志は大切にせんとあかんだろが!
だいたいしっとエネルギーは奪うもんでねえ!自分の内なる魂から湧き出てくるもんだべ!
(元)嫉妬総帥たるおらが今一度嫉妬魂注入してやらぁ!

絶望に導くトーク?そんなもんは【元気】の出るハーブ食って【継戦能力】を得てカバー。絶望をブレイクすんのがエンドブレイカーだでな!
ヴァルキリーの翼の【空中機動】を活かした飛び蹴りで【体勢を崩し】たところに【連続コンボ】で自由農夫パンチを頭部にお見舞い!歯ぁ食いしばれ!


上城・桂悟
リア充爆破計画もよろしくないが、それ以上に人をエネルギー扱いするのは許せないな。裁きを受けるのはお前の方だ!

基本的には距離を置いたところから、水や風の属性攻撃をメインにして高速詠唱や魔力溜めを使いつつ攻撃。相手に動きを読まれないようにする。判断力が落ちているとはいっても油断大敵だからな。相手の攻撃は第六感で回避するか、武器受けで防御する

リア充の連中をあれこれ気にかけるよりは、他にやりたいことや楽しいことを見つけた方が俺はいいと思うが?

嫉妬は必ずしも悪い感情ではないらしいが……、あれはどうしようもないな。【凍心飛矢】で嫉妬に燃える心を冷ましてやるか



「ぐぬぬ……お、おのれおのれ! このワタシをコケにしおって!!」
 めり込んだ壁からやっと抜け出したオブリビオンは怒り心頭とばかりにチカチカと頭を瞬かせ――、
「うぉっ眩し!!」
「誰が眩しいだって!?」
 容赦のない言葉を放ったフェリチェに怒りの超反応を示した。
「いやスマン、おら歯に衣着せない人間なんでな」
「そっちのオマエも眩しいって顔したな? オイ! しただろ! 見たぞ!」
 さらりと言い返したフェリチェ以外の気配を察したオブリビオンが桂悟にぎろりと鋭い声を放ったが、当然だが言いがかりである。
 見ていないと否定したところで嘘だと吹っ掛けられることは分かり切っている。なので、ふう、とわざとらしくため息をついて肩をすくめてみせた桂悟を目にフェリチェはぐっと拳を握りしめた。
「それよりもだ、お前さん教祖言う割に全然なってねぇわ!」
「なんだと?」
「同志からしっとエネルギーを奪うとかどういう了見してんだべ! 同志は大切にせんとあかんだろが! だいたいしっとエネルギーは奪うもんでねえ! 自分の内なる魂から湧き出てくるもんだべ!」
 フェリチェの叫びは嫉妬魂を合言葉に今日も今日とて嫉妬活動に励む嫉妬戦士が放つ魂の叫びであった。その場を震わす声に桂悟もこくんと頷いた。
「リア充爆破計画もよろしくないが、それ以上に人をエネルギー扱いするのは許せないな」
「うっさい! オマエらにワタシの気持ちがわかるというのか?」
 チカチカと頭を瞬かせオブリビオンは言い返したが、それを聞いた桂悟とフェリチェは微妙な顔。
「…………」
「…………」
「…………」
 倉庫全体を妙な沈黙が続き、
「なんか言えよ!」
 長すぎる沈黙を破ったのはオブリビオンだった。
 リア充を憎む気持ちは分からなくはないが、桂悟とフェリチェが言うように犠牲を出すのは許される事ではない。
「ええい、ワタシのしっとの裁きを受けるがいい!」
「裁きを受けるのはお前の方だ!」
 感情のままに輝くオブリビオンへと桂悟が言い放つとそれを合図とするかのようにフェリチェが力いっぱい床を蹴る。
「(元)嫉妬総帥たるおらが今一度嫉妬魂注入してやらぁ!」
 ご、っ!
 しっと力の一撃はオブリビオンの顔面を正面から捉えた。
 フェリチェの攻撃で大きくよろめいた隙を突いて、桂悟が嫉妬に燃える心を冷ますべく氷の矢を放った。立て続けの攻撃を回避できなかったオブリビオンはよろよろと体勢を整える。
「痛かったぞ……今のは痛かったぞ!!」
 怒りで冷静を欠いていたオブリビオンであったが頭部超空冷モードへと変形すると、両手を仰々しく広げ恐ろしいトークを展開しはじめた。
 感情をこめ抑揚をつけたトークは桂悟とフェリチェを戦慄させた。
 何せ自身の育毛可能性を代償に生み出されたトーク力である。語られる絶望は魂をも絶対零度の領域へ導かんとする言霊と言っても過言ではない。
 長い、とても長すぎる絶望トークは文字数の都合とその内容のすさまじさに割愛せざるを得ないのだが、桂悟とフェリチェへにダメージを確実に与えていた。
「くっ……」
「大丈夫だべか!」
 距離を置いていても届く絶望に思わず眉を寄せた桂悟であったが、気遣うフェリチェへ大丈夫だと頷いてみせた。
 大丈夫だ、これくらいの絶望など耐えきれる。ちらと見るとフェリチェも元気の出るハーブを食べて戦闘を続けていた。
「リア充の連中をあれこれ気にかけるよりは、他にやりたいことや楽しいことを見つけた方が俺はいいと思うが?」
「シャラップ! 黙らっしゃい! オマエはリア充になれなかったモノの気持ちが分からんようだな!」
 禍々しくぎらつくオブリビオンの絶望トークに耳を傾けないよう意識しつつ高速詠唱や魔力溜めを使い、桂悟の攻撃と共に嫉妬戦士フェリチェの拳が無慈悲に炸裂した。
「ば、バカな! ワタシの絶望トークをものともしないだと?」
「絶望をブレイクすんのがエンドブレイカーだでな!」
 にっと不敵な笑みを見せて握る拳はしっとの拳。
「嫉妬は必ずしも悪い感情ではないらしいが……、あれはどうしようもないな。凍心飛矢で嫉妬に燃える心を冷ましてやるか」
 軽くずれた眼鏡の位置を直して桂悟は敵の様子を見定めた。
 ――今だ!
「氷の矢よ、魂を凍らせろ!」
「……!」
 魔力を籠めた一撃は強烈であった。肉体を傷つけずに魂のみを攻撃する氷の矢を受けたオブリビオンは大きくのけぞったのをフェリチェは見逃さない。
「よし! 歯ぁくいしばれ」
 ヴァルキリーの翼の空中機動を活かした飛び蹴りで体勢を崩したところに連続コンボで自由農夫パンチを輝く頭部に大炸裂!
 びし、ばきっ。
 フェリチェと桂悟が放つ渾身の攻撃に弱点と思しき頭にびしりと一筋のヒビが入った。
「ば、ばかな……っ!」
 輝きの欠片がひとつ落ちると、畳みかけるべく仲間達がやって来た。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ポノ・エトランゼ
【星夜の森】
リア充爆発に人生(邪神生)捧げてるのね……
しっとエネルギーを確保できなかったみたいだけど
まだ活火山みたいにはげしくしてるし
自家発電できるんじゃない?

頭はキラキラしてて綺麗よね
魔石かぁ~
磨けばツルピカになりそうね

もっと物理的に輝ける舞台を用意してあげるわね♪

UCで、光の魔法弾を範囲攻撃で放つわね!
目くらまし兼ねてリコさんの行動成功率もあげちゃいましょう
神父さんにも光が当たってとっても輝いてて綺麗~。ミラーボールみたいよ✨✨
ナルホド。リコさんの言う通り炎も足されると爆発!
炎に光弾をあてて花火みたいに弾けさせていくわね

煽りに煽ってるから脱力状態も阻止阻止
敵ユベコ対処も完璧ね?


リコ・リスカード
【星夜の森】
えっと……リア充爆発って、物理的にするものじゃない気がするんだけど……?
そういうものなの……?

個人的にはアルダワの魔石のが魔力的に惹かれるけど、輝きはこっちのが強いね
確かに磨けば綺麗かも?

うわ何、急にキレないでくれる!?
ていうか会話に割り込んで来ないで!
俺はポノちゃんと話してるの!!

仕方ないなァ……
ポノちゃんがキミを輝かせてあげるって言ってるし、俺も手助けしてあげるよォ
爆発には光と炎が必要だよねェ
俺は炎をつけてあげるねェ!(UC)
そろそろ花火もいいかもねェ!

この爆発と煽りで完全脱力なんて出来るのォ?
ほらァ、もっと爆発しなよォ
人を爆破するなら自分が爆破される覚悟もできてたはずだよね?



「リア充爆発に人生(邪神生)捧げてるのね……」
 ぽつりと呟くポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)をリコ・リスカード(異星の死神・f39357)はそっと見つめた。
 神妙な顔のポノが見つめる先には倒すべきオブリビオンが先行した猟兵と戦っていた。
「ば、ばかな……っ!」
 オブリビオンが攻撃を受けると、ダメージの大きさに光り輝く頭に傷が入ったようだ。かつんと欠片が小さく落ちた。
 グリモアベースでの説明によれば、アレはリア充爆発しろと憎む教団の教祖にしてオブリビオンとのこと。
「えっと……リア充爆発って、物理的にするものじゃない気がするんだけど……?」
 疑問を口にしたリコだが、大きくよろめくオブリビオンはまだこちらに気付いていていない。
「しっとエネルギーを確保できなかったみたいだけどまだ活火山みたいにはげしくしてるし、自家発電できるんじゃない?」
「そういうものなの……?」
「誰がハゲだって?! どこがハゲだって言うんだ? まだちょっと残ってるだろ!」
 それほど大きな声でもないというのにポノの声に反応したオブリビオンは怒りで弱まっていた輝きを再び強くした。
 特定の言葉に過剰な反応を示すという情報を聞いていたポノとリコであったが、その様子に二人は小さくアイコンタクト。
「頭はキラキラしてて綺麗よね」
「個人的にはアルダワの魔石のが魔力的に惹かれるけど、輝きはこっちのが強いね」
「魔石かぁ~磨けばツルピカになりそうね」
「確かに磨けば綺麗かも?」
 キズはあるものの、失われてはいない輝きをこれでもかとチラチラ見ながら言葉を交わすポノとリコにオブリビオンは怒りに肩をぶるぶると震わせ、
「何がキラキラだ! ワタシがツルピカだというのか?!」
 ビカアアァァァァァ!!!
「わっ」
「眩しすぎるよ」
「シャラップ!!」
 憤怒の感情を表すように激しく発光したオブリビオンを前に、呆れたように肩をすくめてリコはため息をひとつ。
「うわ何、急にキレないでくれる!? ていうか会話に割り込んで来ないで! 俺はポノちゃんと話してるの!!」
「ポノちゃんと、だと? ……まさかキサマらリア充実か!」
 他愛のない一言に何故かオブリビオンはポノとリコがカップルだと思い込んでしまったようだ。
 まさかの事態に二人は思わず顔を見合わせてしまったが、リア充を憎んでいるのだから言動一つでとんでもない思い込みをする事もあるに違いない。
「あ~! ガッデム! ガッデムですよ! リア充が見つめ合うなんて! 許すまじ!」
 ポノとリコをリア充認定したオブリビオンは激怒しまくり。頭も直視できないほどの禍々しい輝きを放ち始めている。
「ギルティ! 大罪なり! リア充爆発しろ!」
 ここまで感情的になっていると、そのうち怒りで自滅してしまうのではなかろうか。
 ――いや、さすがにそれはないか。
「もっと物理的に輝ける舞台を用意してあげるわね♪」
 構えた魔法の杖を掲げるとポノの周囲にはいくつもの光弾が生み出されていく。手にする杖をオブリビオンへと向けると、それを合図に光弾は一斉に標的めがけて襲い掛かった。
「ぐ、ぐぬぬおおお?!」
 激怒しまくりのオブリビオンは回避できず直撃を受け盛大に吹っ飛んだ。
「神父さんにも光が当たってとっても輝いてて綺麗~。ミラーボールみたいよ」
「仕方ないなァ……ポノちゃんがキミを輝かせてあげるって言ってるし、俺も手助けしてあげるよォ」
 きらきらと輝きを反射させた倉庫内はまるでディスコ会場のよう。そんな場所で星の死神は漆黒の瞳をすうと細めると、おもむろに手を掲げた。
「爆発には光と炎が必要だよねェ。俺は炎をつけてあげるねェ!」
 リコが掲げた手のひらから放たれた荒ぶる炎の渦は、容赦なくオブリビオンへと襲い掛かった。
「そろそろ花火もいいかもねェ!」
「ナルホド」
 リコの言う通りに光弾に炎が足されると、ばあんと花火を思わせるような大きな爆発がいくつも咲いていく。
 ああ、なんて綺麗なのだろう。
「これいいわね」
 さっと杖を振って光弾を荒れ狂う炎の嵐へ再び飛び込ませると、曼珠沙華の花園を思わせる炎は荒れ狂い、爆ぜる。
「この爆発と煽りで完全脱力なんて出来るのォ? ほらァ、もっと爆発しなよォ。人を爆破するなら自分が爆破される覚悟もできてたはずだよね?」
「お、おのれリア充が……!」
 リコの声に怒れるオブリビオンは低く呻く。
 煽りに煽られまくり脱力状態になる事もできず、攻撃を無効化するどころか大ダメージを受けている。
「このまま一気にいくわよ」
 光弾を放つポノにリコは頷くと、新たな花火が咲き乱れ。
「う……ぐ、まだだ……やられはせん、やられはせんぞ!」
 大ダメージを受けたにも関わらず、しっとの炎を燃やすオブリビオンは今だ健在。
 そんな敵にとどめを刺すべく猟兵がこちらへとやってきた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

島江・なが
なが、UDCに来てから聞いたことはあるですよ
りあじゅーばくはつ……クリスマスも爆発しますし、なんかこう、イベント事は爆発するんですよね、たぶん!
え、違うですか?

……なが、人の信ずるものを頭ごなしに否定してはいけないって組織で習ったです
神父さんも信ずるものがあったんですよね!
たとえばこう、ぴかっと光る宝石的な――え゛っ違うですか!?
あ゛ーーーん!なんで怒るですかぁ!綺麗だって言いたかったんですよお!?

んもー、話を聞いてくれない神父さんは倒すしかねーですね
りあじゅーばくはつが何かはよくわからねーですけど
なが、爆撃には自信あるです!

行きますですよメカエナガさん!
本物の爆発を――魅せてやるですよお!!


不破・静武
光り輝くような崇高な目的のために動いていたきみのまぶしい姿に、ボクは激しい感情とともにあえて呼ぼう、同志と。きみは全く悪くない!悪いのは脳みそつるつるなリア充どもだ……だが戦わねばならんのが猟兵とオブリビオンの宿命!許せ、許せよッッッ

……なのになんでそんなに怒ってるの?そうか!我々しっと戦士に敵意を燃やすお前は実はリア充だったに違いない!リア充は消毒だぁ!
ということでリア充ころしで敵をおおいに燃やす。絶望に導くトークとやらは、冒頭な感じのボクのトークで塗りつぶすか、トークもろとも炎に燃やすかで。

生まれ変わってきた時には白の嫉妬に目覚めている事を願っている。その時はシン・嫉妬旅団で待っているぞ。



 既に到着していた静武は到着した島江・なが(超弾丸シマエナガ・f42700)の気配に振り向いた。
「なが、UDCに来てから聞いたことはあるですよ。りあじゅーばくはつ……クリスマスも爆発しますし、なんかこう、イベント事は爆発するんですよね、たぶん!」
 ぱたぱた飛びながらの発言に反応がないので小さく首を傾げ、
「え、違うですか?」
「間違ってはいないぞ」
 年齢イコール彼女イナイ歴という非モテの味方は喋るシマエナガに力強く頷いた。
 倉庫内は光弾と炎が荒れ狂い、新たな花火が咲き乱れている。
「う……ぐ、まだだ……やられはせん、やられはせんぞ!」
 大ダメージを受けたにも関わらず、その輝きは未だ健在。
 光り輝く崇高な目的のために動いていたそのまぶしい姿をじっと見つめていた静武は己の内にある激しい感情を胸に思わず口を開き、一言。
「同志」
 その声は強くもない、聞こえるかどうかさえ分からない小さいものであったが、リア充を憎む者の魂にはしっかり届いた。
「……なが、人の信ずるものを頭ごなしに否定してはいけないって組織で習ったです。神父さんも信ずるものがあったんですよね!」
「おお、分かるのか、ワタシの気持ちが……!」
 よろよろとこちらへと近づいてくるオブリビオンにながも頷きながら言うと、微かな希望を見出したかのように再び輝きは増し――、
「たとえばこう、ぴかっと光る宝石的な――え゛っ違うですか!?」
 一瞬で禍々しい輝きを放ったオブリビオンへ、ながは驚きを隠さなかった。
「きみは全く悪くない! 悪いのは脳みそつるつるなリア充どもだ……だが戦わねばならんのが猟兵とオブリビオンの宿命! 許せ、許せよッッッ」
「誰が……宝石だ!! つるつるだとぉおおおおおお!!!!!!」
 ビガアアアアアアアァァァァァァァ……ッッ!!!
「うおっまぶし」
 直視できない程の激昂の輝きに思わず静武は目をつぶると手で目を遮り、ながも物陰に緊急避難。
「あ゛ーーーん! なんで怒るですかぁ! 綺麗だって言いたかったんですよお!?」
「ワタシの頭が宝石みたいで綺麗というのか! ガッデムジーザス!!」
 物陰からフォローを試みるも火に油、いや爆弾を投下しただけにすぎない。
 憤怒の感情の激しさのあまり、頭に入ったヒビが深くなったように見える。どうやら今までの蓄積ダメージに加えて静武とながの発言が更なるダメージに繋がったようだ。
「許さん……許さんぞ……! どいつもこいつもワタシをコケにしおってえええぇぇぇ!!」
「……なんでそんなに怒ってるの? そうか! 我々しっと戦士に敵意を燃やすお前は実はリア充だったに違いない! リア充は消毒だぁ!」
 ごおおぉうっ!
「ぐ、ぐぬぬうううう! これくらい耐えて! ……あぁ熱ッ!!」
 汚物を焼却すべく静武が構えた火炎放射器から放たれる、リア充への怒りにより生み出される炎は強烈だった。
「熱くはない! 心頭滅却すれば火もまた涼しッッ!! 熱く……ッ!!!!」
 リア充への怒りを具現化した炎に包まれるオブリビオンがしっとの炎に悶えている間に、メカシマエナガ小隊と共に爆発物を抱えたなががオブリビオンへと高速肉薄。
「んもー、話を聞いてくれない神父さんは倒すしかねーですね。りあじゅーばくはつが何かはよくわからねーですけど、なが、爆撃には自信あるです!」
 どばごおおぉぉん!!
 戦闘機を思わせる機敏な攻撃がしっとの炎と合わさる事で火力アップ!
「こ、これしきの事で倒れる訳にはいかんのだ! ワタシのトークで絶望するがいい!」
 炎を纏ったままダメージを受け続けるオブリビオンは反撃に転ずるべく絶望トークを展開させた。
 聞くもの全てを絶望のどん底におとしいれんとするそのトークは確かに強烈であったが、静武はにやりと不敵な笑みを浮かべて言った。
「ふふふ、絶望に導くトークとやらはその程度なのかな?」
「なんだと?」
 驚きを隠さないオブリビオンの絶望トークに対抗すべく新たに放たれる静武のトークも負けず劣らずの内容であった。
 あえて空気を読まないタイプのシマエナガがドン引きしてしまうトークは延々と続き、
「消毒だああぁあ!!」
「うぎゃああー!!」
 締めの一言と共にリア充ころしが超炸裂!
 ここはトドメの追い打ちをかける大チャンス!
「行きますですよメカエナガさん! 本物の爆発を――魅せてやるですよお!!」
 シマエナガそっくりのドローン群と共に爆発物を放ち、ながは容赦ない攻撃をオブリビオンへと浴びせていった。
 激しい攻撃は続き――、
「ぐおあああああああ……!」
 びしり。
 遂にオブリビオンの頭に大きなヒビが入った。
 びし、ばきばき、びし……!
 大きなヒビから数え切れない細かいヒビがいくつも走り、欠片がぱらぱらと床に落ちていく。その輝きは正に宝石のようであった。
「こ、このワタシが……倒される……とは……」
 がくりと膝をついたオブリビオンはうなだれるように首を垂れる。尽きゆく命を示唆するように徐々に輝きを失っていく。
「これにて一件落着です」
 すいと飛んだながをオブリビオンは最後の力を振り絞って頭を向け、
「いいか……覚えておくがいい……光、あるところに影がある、ように……リア充がいる限り、ワタシは……何度でも……よみがえ」
「さっさと爆発するです!」
 ちゅどごおおおおおおおぉぉぉぉぉんんんん!!!!
 無慈悲な爆撃によって爆発四散した。
「生まれ変わってきた時には白の嫉妬に目覚めている事を願っている。その時はシン・嫉妬旅団で待っているぞ」
 言いながらくるりと踵を返した静武はしっとの炎を胸に倉庫を後にした。

 こうして戦いは終わったが、一つの戦いが終わったに過ぎない。
 リア充あるところ非リア充あり。
 猟兵達は新たな戦いを求め、グリモアベースへと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年07月16日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ボーリャ・コータスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト