電脳の中の神
●電脳ハック
「ねぇねぇ、いっしょに踊らない?」
「俺ら最近ここも電脳化してさ、イケてるっしょ?」
サイバーザナドゥの人々の賑わう繁華街、その一角にあるドラッグの煙がもくもくと漂うナイトクラブで、合成酒の入ったグラスを手に男達が女性をナンパしていた。
「えー、どうしよっかなー?」
駆け引きを楽しむように男女の会話が繰り広げられる。だが突然男達が立ちつくしたと思うと奇行に走る――。
「アリスたん最高ーーー!!」
「アリスたんのためなら死ねる!!!」
ヤバイ目をして天井を見上げ、誰とも分からぬ名前を叫び出した。
「は? なにキモッ」
その様子に女性が引いて後ずさる。
「ああ!? 今アリスたんのことキモイっつったのか? なああああああ
!?!!!?」
「おい、それは女神に対する冒涜だぞっ! わかってんのかぁああ?!」
豹変した男達が女性に詰め寄り、今にもくびり殺さんと目をギラギラとさせていた。
「ひぃっ、ごめんなさい! 許して!!」
涙目の女性が謝ると男達は放心したようにまた天井を見上げた。
「アリスたんこそ現代の
神!! アリスたんを信仰するんだ!」
「そうだ! 布教しよう! みんながアリスたんを信じれば世界は平和になる!! ラブ・アンド・ピース
!!!!」
男達がデバイスを取り出すと、そこには少女の立体映像が浮かぶ。
『みんなアリスを応援してね♥』
『みんなアリスを応援してね♥』
『みんなアリスを応援してね♥』
その不思議の国のアリスのような少女が手を振って応援する映像を延々とリピートしていた……。
●グリモアベース
「サイバーザナドゥでは義体化するのは一般的なことだが、頭まで「電脳化」する者達もいるようだ」
バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が自らの頭をコツコツと叩き、よくもやるものだと肩を竦めた。
「脳をAIによって強化すると思考が上がり全能感が得られるようだな。もちろん脳という最重要器官を電脳化するにあたって高いプロテクトが掛けられている。しかしそれをオブリビオンが破り電脳をハッキングするという事件が起きているようだ」
最高レベルのプロテクトが施されている筈の電脳も、オブリビオンならばハッキングが可能だ。
「ハッキングされるのはナイトクラブに居る電脳化している男性達で、それらはハッキングしているオブリビオン『アリス・ナイトメア』を
神と称え、周囲の男性達に布教しているようだ。相手が電脳ならハッキングの輪を広げ、電脳でないなら力づくで布教していく。その結果、繁華街は大混乱となり多くの死者まで出てしまい、最後には男達が暴れるだけ暴れていなくなり廃墟のようになってしまうようだ」
ハッキングだけで大惨事が巻き起こされてしまう。
「ハッキングされた者は自発的に布教活動をしていると思い込んでいる。説得は無駄なので、まずはナイトクラブでハッキングされた男達を取り押さえ、布教活動でこれ以上混乱が広がらないようにしてもらいたい」
捕縛しても近くの電脳化している男性を次々とハッキングしていくが、所詮は一般人だ。猟兵が本気でやれば簡単に拘束できる。
「男性達へのハッキングの痕跡から、オブリビオンの居場所を探れるはずだ。その場所を探してもらいたいのだが、敵も諸君を排除に動き出す。どうやら頭脳戦車をハッキングして襲撃させるつもりのようだ。それを突破しオブリビオンの居場所を探し出すことになる」
頭脳戦車がハッキングされて暴れ出す。周りへの被害を最低限にしながらそれを突破しなくてはオブリビオンの元にたどり着けない。
「オブリビオン『アリス・ナイトメア』を見つけたなら、速やかに排除してもらうことになるが、どうやら通常のユーベルコードだけでなく、アリスを
神と称えなければ、行動成功率が低下する世界にするユーベルコードを別に使ってくるようだ。それに何らかの手段で対抗し、この迷惑なオブリビオンを撃破せよ」
凄腕のハッカーオブリビオンだけあって、通常のユーベルコードとは別にユーベルコードを使ってくる。それに上手く対処できれば勝利できるだろう。
「どうやらこの電脳ハッキング事件は
巨大企業群「アオイドス」の企みのようだ。電脳ハッキングによってどれだけ人間を操れるか調査している。このような非人道的な行為を許してはおけん。操られる人々を救助し、アオイドスの陰謀を打ち砕け!」
バルモアは人を物か数字としか見ていないメガコーポに怒りを覚え、陰謀を粉砕するべく猟兵達を送り出した。
天木一
こんにちは天木一です。
サイバーザナドゥで起きる電脳ハッキング事件です。
第1章はナイトクラブで電脳をハッキングされ、カルト教団の如くヤバイ集団となって増え続け、布教を拡大しようとする男性達を取り押さえます。ナイトクラブでは電脳化が流行っていて多くの人間が電脳になっています。
第2章は前章で手掛かりを見つかり、オブリビオンの居場所に向かいますが、ハッキングされた頭脳戦車が街中に現れて迎撃してきます。流れ弾で一般人の被害が出ないように対処しましょう。
第3章では凄腕ハッカーオブリビオン『アリス・ナイトメア』との戦闘です。
通常のユーベルコードに加え、「戦場内を【アリスを神と称える】世界に交換する。この世界は「【アリスたんマジ神】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。」効果のユーベルコードを使ってきます。要約するとアリスを神と称えなければ成功率が低下します。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第タグにて。
凄腕電脳ハッカーを撃破し、メガコーポの企みを阻止しましょう!
第1章 冒険
『カルト教団に潜入せよ!』
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POW : 入信者のフリをする!
SPD : こっそり忍び込む!
WIZ : 出資者のフリをする!
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●
カルト教団の狂信
「今日も踊りにいこうぜ!」
「ああ、頭を電脳にしてからキレが増したよな」
「そうそう、音を拾いやすくなったっていうかさー」
男達が楽しく談笑しながらナイトクラブに入る。だがいつもならイケてるダンスミュージックが流れているはずのクラブは、全く違う様相を呈していた。
「アリスたん! アリスたん!」
「アリスたんこそ現代に現れた
神!!」
「アリスたんを信じ、アリスたんを称えるのだ!!」
ドラッグの煙るクラブの中では、虚ろな目で虚空を見上げ気勢を上げる男達の姿があった。
「アリスたんカワイイ!!!」
「アリスたんのダンスは最高だぜー!!」
目の前には何もいないはずなのに、電脳をハッキングされてその目にはばっちりとアリスの歌って踊る映像が見えていた。
「……なんだ? 違法ドラッグでもキメてるのか?」
だが他者から見れば虚空に向かって叫んでいるようにしか見えない。その様子に素面の男達が唖然として入り口で足を止めた。
「おお! 我ら
アリスたんを称える会にようこそ! 歓迎しよう!!」
「さあさあ、入るといい!!」
「いや、そういうの間に合ってるんで……」
男達がそそくさと逃げ帰ろうとすると、がっしりと掴まれる。
「すぐにわかるさ。アリスたんの魅力がな!」
「電脳の君たちにも資格がある。さあ、共にアリスたんを称えよう!!」
「そんな資格いらねぇ!!」
強引に引き込まれる男達。だがその拒絶する声はすぐに途絶えた。そしてクラブからは新たな狂信の声が響く。
「アリスたんさいこーーーーー
!!!!」
純・あやめ
うーわぁ…なにこれ、地獄?
『これが推し活ってやつなのかしら?最近のアイドルってエグいのねぇ』
【カキツバタ】…たぶん、それ、ちょっと違う
『どーでもいいわ。とりあえず外にハッキング逆探知用のコマンダーウルフを待機させてるし、まずはこのファンたちを捕縛しときなさい』
はいはい…じゃあ「緊急事態空域」で動きを封じてる間にとっとと済ませちゃおう
『それにしても…頭を強化するために電脳化したのに、逆にあっぱかぱーになるなんて皮肉なオチよねぇ』
頭の良さって、別にスペックだけの話じゃないって事じゃないの?
●
カルトクラブ
「アリスたんは神!!」
「アリスたんこそ最高の存在!!」
「「うぉーーー
!!!」」
ハッキングにより、カルトなアイドル信仰にナイトクラブは汚染されて熱狂していた。
「うーわぁ……なにこれ、地獄?」
純・あやめ(水流と砂塵の衛士・f26963)は普段ならノリノリの音楽で踊っているナイトクラブに足を踏み込み、そのあまりの異様さに引いていた。
『これが推し活ってやつなのかしら? 最近のアイドルってエグいのねぇ』
「カキツバタ……たぶん、それ、ちょっと違う」
悪魔のチェスピース【黒のクイーン】に宿る女悪魔の【カキツバタ】があやめにだけ聞こえる声を響かせると、あやめは首を横に振って溜息を吐いた。
『どーでもいいわ。とりあえず外にハッキング逆探知用のコマンダーウルフを待機させてるし、まずはこのファンたちを捕縛しときなさい』
「はいはい……じゃあ「緊急事態空域」で動きを封じてる間にとっとと済ませちゃおう」
既に敵のハッキングから位置を探る準備も整っている。指示に従いあやめがユーベルコード『
緊急事態空域』を発動し、風を起こして砂塵をクラブのホールに広げる。するとダウンバーストが起こって
神を讃えていた信者達を床に叩きつけた!
「あがっ!?」
「うげぇっなにが……」
訳も分からず
信者達が行動不能になっていく。
『それにしても……頭を強化するために電脳化したのに、逆にあっぱかぱーになるなんて皮肉なオチよねぇ』
「頭の良さって、別にスペックだけの話じゃないって事じゃないの?」
カキツバタの呆れ声に、あやめは肩をすくめて
信者と化した人々を縛りあげていった。
「くそっ! これはきっとアリスたんに対する
攻撃だ!」
「なんだとっ!? そんなこと許せるはずがねぇ!!」
一般人の中でも肉体を多く義体化している信者が、狂信によって普通なら耐えられない圧力に耐えて這いずって抜け出そうとしていた。
『普通の人間が動ける圧力じゃないんだけど、妄信する人間って怖いわねぇ』
「ハッキングすれば一瞬で洗脳できるんだから、電脳化なんてするもんじゃないね」
そんな狂信者達を踏みつけて押さえ込み、さっさと拘束してしまう。
「悪魔だ!
神に敵対する悪魔がやってきたんだ!!」
「なんてことだ! だけどオレたちのアリスたんへの
信仰は負けない!!」
運良くホールから離れていた信者達がアリスたんへの愛を語り、猟兵を悪魔と呼んで反攻の声を上げた。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス(サポート)
『さーて、どう調べるっすかね~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
得意なのはサポートで、非戦闘時はコミュ力や宇宙バイクの機動力で情報収集をしたりなどが可能。ある程度のその世界の知識や常識なども世界知識でわきまえていたりもする
色々な世界を渡って学んだことで魔術や機械の操縦など何でもござれ
また、仮面単体の時のサイズを利用すれば、念動力と組み合わせて、狭い場所を通ったり潜入調査を行うこともできる
基本的には真面目に仕事はしますが、きれいなお姉さんと一緒に行動できる選択肢があれば、迷わずそちらを選ぶチャラいキツネさんです
「悪魔にも愛を! アリスたんなら悪魔だって
信徒にできる!!」
電脳をハッキングされ洗脳された人々がアリスを称え、さらに仲間を増やそうと洗脳の輪を広げようとしていた。
「洗脳されてるみたいっすね~」
現地の人の身体を借りたリカルド・マスケラス(希望の
仮面・f12160)は、狐のお面をかぶりナイトクラブに足を踏み入れ異様な光景を見渡す。
「放っておいたら危ないっすね。ちょうどいいユーベルコードがあるっすから、取り押さえるとするっすよ!」
ユーベルコード『忍法・霧影分身術』を発動し、室内に霧を広げてそれを肉体とし、仮面をつけた無数の分身を召喚する。
「逃がさず拘束するっす!」
分身達が信者達を次々と捕まえ、ふん縛って拘束していく。
「な、なんだこの仮面の集団は!!」
「やっぱりアリスたんに歯向かう
悪魔だ!! アリスたんの愛を妨害するつもりなんだ!!」
「悪魔め! お前もアリスたんの愛を知れ!!」
唾を飛ばし歯を剥き出しに怒り狂う信者達が暴れようとするが、分身達は数で圧倒して押さえ込んだ。
「洗脳された狂信者ってのは怖いっすね~」
こんな風にはなりたくないとリカルドは一歩引いた。
「でもこうして捕まえても、ハッキングしてるアリスたんとやらを見つけないとどんどん増えていくんすよね。逆ハッキングは仲間に任せて、自分は信者の無力化に専念するっす。役割分担っすよ!」
ハッキング関係はお任せし、リカルドは分身を操りロープで人々を縛り上げていった。
成功
🔵🔵🔴
御形・菘
どんなワルの悪行も、基本的にナイスだと褒めてから入るところだが、
自分なりに真っ当に信者たる視聴者を増やしてきた邪神としては、一切許しがたい!
歩み寄る余地なく容赦なく、速攻で潰すしかあるまいよ
はっはっは、とはいえ妾が一般人をボコるなどカッコ悪い真似はせん!
左腕とか尾で軽くぺしっと牽制して取り押さえていこう
まあそれに、狂信を極めて妾の身に傷つけることができるなら、それはそれで大したものと思うぞ!
とはいえ個々人を制圧していくのはさすがに効率が悪いかのう
ならば頭に巣食うよくないものを、綺麗さっぱり消し飛ばしてくれよう!
はーっはっはっは! 殺気とか覇気とか存分に籠めた、妾の一喝で落ちるがよい、きしゃー!
「アリスたん! どうか我らに
加護を!!!」
「もっと
信仰を広げよう!!」
信者達は祈り自らの信仰を高め、それを広めんとナイトクラブから出ようとする。
「どんなワルの悪行も、基本的にナイスだと褒めてから入るところだが、自分なりに真っ当に信者たる視聴者を増やしてきた邪神としては、一切許しがたい!」
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)はハッキングによる洗脳に、怒りを覚えて一喝する。
「歩み寄る余地なく容赦なく、速攻で潰すしかあるまいよ」
素早くこの怪しげな信徒どもを潰すことを決めて、映像を配信しながらカルトクラブへ乗り込み行く手を塞ぐ。
「なんだぁ!? そこを退け!」
「お前も信者にしてやろうか!!」
「はっはっは、とはいえ妾が一般人をボコるなどカッコ悪い真似はせん!」
威嚇する信者に、菘は異形の左腕や尾を使い、軽くぺしっと叩いて転がしそのまま取り押さえた。
「は、離せっ!」
「そんなっ! アリスたんパワーでブーストしてるのに!!」
信者達が暴れるが、菘の腕や尾はびくともしない。
「まあそれに、狂信を極めて妾の身に傷つけることができるなら、それはそれで大したものと思うぞ!」
余裕の態度で、菘は信者を縛り上げた。
「とはいえ個々人を制圧していくのはさすがに効率が悪いかのう。ならば頭に巣食うよくないものを、綺麗さっぱり消し飛ばしてくれよう!」
一人一人拘束するなど面倒だと、一気に信者達を正気に戻す事にする。
「はーっはっはっは! 殺気とか覇気とか存分に籠めた、妾の一喝で落ちるがよい、きしゃー!」
高笑いとともにユーベルコード『
神の専売特許』を発動し、覇気を込めて室内全てに届く大音声の喝を放つ! するとビクッと信者達の身体が震え、意識が飛んで洗脳もまた強制的に解除されていった。
「はっはっは! 洗脳など、妾の一喝で吹けば飛ぶようなものよ!」
菘の笑い声が流れるアリスの歌声を掻き消し、ナイトクラブの電脳ハッキングは終わりを迎えた……。
「どれ、次はこのワルを探して罰さなくてはな!」
菘はあやめと協力し、この電脳ハッキングを行っている凄腕ハッカーオブリビオンの居場所を逆探知する。そうして一般人達の電脳の痕跡から居場所を発見することに成功した。
「はーっはっはっは! では向かうとするか!!」
猟兵達が目標とするのは、街の中にあるアミューズメント施設だった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『暴走する頭脳戦車』
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POW : 力技で暴走を押さえつける
SPD : トラップを駆使して暴走を止める
WIZ : 策略を用いて暴走を停止させる
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●暴走頭脳戦車!
「ええっ!? 電脳ハッキングが解除されちゃった! せっかくアリスのファンをいっぱい作ったのに~!」
アミューズメント施設の一室で可愛らしい少女が驚きの声を上げる。
「それにこっちの居場所が探られちゃったみたい! これはピンチかも!!」
すぐさまサイバースペースからハッキングを行い、逆探知を行った敵に対して対抗手段を用意する。
「アポもなしにみんなのアイドルであるアリスと会えるなんて思わないでよね!」
売り物として展示されていたり、警備などに使われている街中にある頭脳戦車達がハッキングされ、猟兵を迎撃しようとアミューズメント施設に向かうルートに配備された。
『アリスはみんなのアイドル! だから護ってね♥』
頭脳戦車達はボディにアリスのデフォルメキャラのステッカーを貼り、歌声を流しながら猟兵を排除しようと、街中だろうと構わず銃をぶっ放し暴走を開始した!
純・あやめ
(車体のステッカーを見て)
『…趣味が悪いわねぇ』
でも【カキツバタ】、あれって犯人の姿だよね?
情報こっちに垂れ流してくれる犯人はありがたくない?
『普通は罠を疑うんだけどねぇ』
まぁ、とりあえず邪魔だし行動不能になってもらおうかなー?
(UC【黄金桜幻郷】を展開して攻撃しながら、二丁警棒を使ってのヒット&アウェイ戦法をとる)
『足場に【リフレクターコイン】も展開するわ。水無月曲槍流の立体殺法を見せてやりなさい』
りょーかい!公務執行妨害でボッコボコにするよー!
●ストリートバトル!
「アリスからみんなに愛をプレゼント♥」
アイドルソングと共に、電脳戦車がそこらの道路を走る車をぶっ飛ばしながら姿を見せる。可愛いステッカーを貼ったそれはまるで趣味の悪い街宣車のようだった。
『……趣味が悪いわねぇ』
「でもカキツバタ、あれって犯人の姿だよね? 情報こっちに垂れ流してくれる犯人はありがたくない?」
『普通は罠を疑うんだけどねぇ』
悪魔の【カキツバタ】が呆れた声を漏らすと、あやめはこれで倒すべき目標が分かりやすくなったと素直に喜ぶ。
「アリスたんに逆らう目標、発見。破壊する」
ハッキングを受けている電脳戦車がこちらを確認して迫り、街中なのも気にせず銃口を向けた。
「まぁ、とりあえず邪魔だし行動不能になってもらおうかなー?」
対してあやめはユーベルコード『黄金桜幻郷』を発動し、黄金の桜吹雪で周囲を覆う。そこへ電脳戦車が発砲すると、それに触れた弾丸が喰われて消滅していく。
「――攻撃失敗、再度攻撃する」
電脳戦車がもう一度攻撃しようとするが、その前に黄金の花びらが触れて機銃を消し去り、その隙にあやめが接近して【二丁警棒】を叩き込み、脚部を粉砕して行動不能にした。
「脅威レベル上昇、至急応援を――」
倒れた電脳戦車が赤ランプを灯し、敵の脅威を知らしめる。
「アリスたんの敵を排除する」
「アリスたんアリスたん……」
そのデータを受けて近くの他の電脳戦車達が新たに現れた。
「一般市民の皆さんは避難してねー!」
戦いに巻き込まれないようにあやめが呼びかける。
「電脳戦車が暴走してるぞ!」
「離れろ! 巻き込まれたらヤバイ!!」
街中での騒動を見て呑気に映像を撮る者もいたが、大半は危険を理解して逃げていった。
『足場に【リフレクターコイン】も展開するわ。水無月曲槍流の立体殺法を見せてやりなさい』
「りょーかい! 公務執行妨害でボッコボコにするよー!」
カキツバタが足場を展開すると、あやめは楽しそうにその反発力場を利用して跳び回り、電脳戦車達の死角へ死角へと回り込みながら二丁警棒を叩きつけ、無力化していった。
「アリスたん……アリスた
…………」
カルト信者と同じように、アリスを称える電脳戦車が機能停止する。
「この事件の元凶もボコボコにしてあげないとね!」
あやめは電脳戦車達を鎮圧するとアミューズメント施設に向かって先を急いだ――。
大成功
🔵🔵🔵
六島・風音(サポート)
ガレオノイドのスターライダーです。
スピードなら誰にも負けません。
基本的に人の話を聞かず、スピード勝負に持ち込みます。
そんなことより駆けっこです。
普通に駆けるか、天使核ロケットエンジン搭載の宇宙バイクで駆けるか、ガレオン船形態で駆けるかは状況によります。
ユーベルコードは使えそうなものはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「ここは、通さない」
「アリスたんの元にはいかせない!」
アリスのステッカーが貼られた電脳戦車が道を塞ぎ、車を薙ぎ倒してバリケードにしていた。
「あの電脳戦車を追い抜けばいいんですね!」
人の話を聞かない六島・風音(スピードなら誰にも負けません・f34152)は、戦車にスピード勝負を挑む。
「スピードなら誰にも負けません!」
風音が駆け出すとユーベルコード『かけっこ』を発動し、加速して一気に封鎖を突っ切ろうとする。
「通さない……アリスたんの元には行かせない」
そこへ電脳戦車が機銃をぶっ放して足を止めようとするが、駆けっこに集中している風音にはそんなものは微風と同じ、当たってもダメージとならず、そのスピードの速さに当てることも困難だった。
「一気に抜いてしまいます!!」
「轢き殺す」
風音はバリケードの隙間を通り抜け、電脳戦車の突撃も相手の上を駆け上がって躱し、そのまま華麗に着地して疾走を続ける!
「このままゴールまで走り抜けます! ……ゴールってどこでしたっけ?」
「敵に突破された。反転、追跡せよ」
「行かせない……追え追え……!」
首を傾げながらも、まあいいかと風音は駆け続け、電脳戦車達を翻弄して道路の封鎖を大きく崩した。
成功
🔵🔵🔴
御形・菘
なるほど痛車ならぬ痛戦車か、世界が変われば文化も変わるという感じだのう
普段なら素敵なファンの姿として取り上げたかったのだが、残念だ!
罪なき一般人として、とっとと制圧させてもらうぞ?
右手を上げ、指を鳴らし、さあ鳴り響けファンファーレ!
痛戦車以外は即消火、ステッカーとか炙る程度の範囲に、火力は調整だ
はーっはっはっは! 妾をどうにかせんと推しデコが燃えてしまうぞ~?
はっはっは、もっと妾に近寄らんと、遠くから撃つだけで穴だらけにできるとは思わんでくれよ?
挑発も妾に引き付ける感じで周囲の被害対策をしたなら後はいつも通り、(程々に)ボコって制圧だ!
左腕で銃弾をガードしつつ接近、尾でぺしっとやるとしよう
「アリスたん、最高、アリスたん、神」
電脳戦車がアリスの可愛いアイドルソングを流しながらアミューズメント施設に続く道を封鎖していた。
「なんだ? 邪魔だぞ!!」
それをすり抜けようとする車は容赦なく銃撃を受けて吹き飛ばされる。
「ぐぁっ!!」
ひっくり返った車から、義体の腕でドアをこじ開け一般人が這い出て逃げていく……。
「なるほど痛車ならぬ痛戦車か、世界が変われば文化も変わるという感じだのう」
菘は面白そうに可愛くデコった電脳戦車を見て愉快そうに笑みを浮かべる。
「普段なら素敵なファンの姿として取り上げたかったのだが、残念だ! 罪なき一般人として、とっとと制圧させてもらうぞ?」
なかなかバエる姿ではあるが、被害が出る前の暴走を止めねばならないと、右手を上げ、指を鳴す。
「さあ鳴り響けファンファーレ!」
ユーベルコード『
見よ、この人だ』を発動し、どこからともなくファンファーレが響き渡り、痛戦車が突然燃え上がった。
「うぉっいきなり炎が上がったぞ!」
「火事か!?」
周辺の人々がさらに広がって距離を取る。その炎はすぐに消火され、痛戦車だけが燃え続け、ステッカーが燃え落ちた。
「アリスたんが……」
痛戦車が悲しそうに燃え滓となったステッカーを見下ろす。
「はーっはっはっは! 妾をどうにかせんと推しデコが燃えてしまうぞ~?」
そこに菘が笑って挑発して呼びかけた。
「アリスたんの敵……!」
痛戦車が菘に機銃を向けて発砲する。周辺のアスファルトを蜂の巣にしながら菘にも襲い掛かるが、それを左腕でガードして弾いた。
「はっはっは、もっと妾に近寄らんと、遠くから撃つだけで穴だらけにできるとは思わんでくれよ?」
菘は挑発することで一般人へと被害が出ないようにする。その間にも大急ぎで周囲から人々は逃げ散っていた。
「アリスたんは神!!」
轢き殺そうと痛戦車が突撃してくると、菘はそこにカウンターで尻尾をぺしっとやって薙ぎ倒した。
「ボコって洗脳から目覚めさせてやろう!」
「アリスたん……アリス……あ?」
菘は痛戦車をほどほどに殴り倒し、装甲をボコボコにして正気に戻すと、アリスの居るアミューズメント施設へと道をこじ開けた。
「では乗り込むとするかのう。アリスとやらとご対面といこうぞ!」
菘は他の仲間達と合流し、突入シーンを配信しながらアミューズメント施設へと足を踏み入れた――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『アリス・ナイトメア』
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POW : アリスのワンダーランドへようこそ♪ さ、遊ぼ♥
戦場内を【サイバーダークメルヘン】世界に交換する。この世界は「【ほのぼのダークな遊戯】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
SPD : ほらほらどっちに従うの? いいんだよ好きにして♥
常識的な行動を囁く【アリス似の耳舐め天使(手乗りサイズ)】と、非常識な行動を囁く【アリス似の耳舐め小悪魔(手乗りサイズ)】が現れる。[アリス似の耳舐め小悪魔(手乗りサイズ)]に従うと行動成功率が8倍になる。
WIZ : 気に入ったわ、アリスのコレクションになって♥
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【生殺与奪権と所有権】、否定したら【生殺与奪権と人格】、理解不能なら【生殺与奪権と魂】を奪う。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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●電脳の国のアリス
「ええー!? もう来ちゃったの!
信者たちはなにしてるのよー!」
『アリス・ナイトメア』が慌ててアミューズメント施設をハッキングする。すると施設が全てアリスの映像で染まり、ライブ会場のように大勢の人間で埋め尽くされる。
このアミューズメント施設はさまざまな映像を立体的に映し出し、世界中の景色やこの世界にない幻想の風景を体験できるというバーチャル空間が売りとなっていた。
『アリスたーーーーん!!』
『アリスたんは
神!!』
「みんな! 応援してねー♥」
『うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
!!!!!!!』
施設内が【アリスを神と称える】世界となり、「【アリスたんマジ神】の法則」により、アリスを神と称えないものは何をしても上手くいかなくなった。
「アリスの
信者獲得作戦を邪魔する人は、みんなお仕置きしてあげる♥」
クライド・エント
篠之井・空斗(f28864)と
【SPD】
「卒業するときがきたぜアリスちゃん、配信者らしく楽しませてくれよな」
まずは様子見、相手の話とかも取りあえず聞いておこうか
てな感じで油断してると、いつの間にか相手のUCが耳元にくっついて、囁き声が聞こえてくる
外そうとするが、唐突な耳舐めに力も抜けてしまい
「うおお…アリスたん最高…何でも言うこと聞いちゃうぜ」
とかで推してしまう
そのままアリスの椅子になるようお願いされると喜んでなる
そんな感じでひとしきり楽しんだら、卒業させてやるか
「いやー気持ちよかったぜ…まっ卒業くらいは盛大にやろうか」
ということで最後はUCを使って動きを見切り、相方に合わせてお見舞いするぜ!
篠之井・空斗
クライド(f02121)と
「もう逃げられないぜアリスたん…にしてもなかなか厄介な能力だな!」
まずは相方と様子見してると、いつの間にか相方の耳にちっちゃいアリスが!
「おい、大丈夫か!」
力ずくで外そうとするが上手くいかず、その間に近づいてきたアリスにコレクションになるようにお願いされるが、咄嗟のことで否定してしまう
「あっまず…」
そのまま人格を奪われ、アリスのファンとしての人格を植え付けられてしまう
「アリスたーん!愛してるよ!」
ってアリス推しに…
「LOVEアリスたん…っていやいや、俺はアリスたんを倒しにきたんだ!」
「これも俺の愛の形だぜ!」
ファンとしての気持ちは忘れず、相方と一緒にUCで反撃するぜ!
●アリスステージ!
「アリスのライブにようこそ! 今日は楽しんでいってね♥」
『うぉおおおおおおおおおおおおお
!!!!!』
ライブ会場の映像がリアルのように映し出されるアミューズメント施設で、『アリス・ナイトメア』が笑みを浮かべて猟兵達を歓迎する。
「もう逃げられないぜアリスたん……にしてもなかなか厄介な能力だな!」
異様な空気のアミューズメント施設へと乗り込んだ篠之井・空斗(人間の探索者・f28864)は、アリスを神と称える世界となっている内部を見渡した。そこでは大勢の配信を見ているハッキングされた
信者が盛り上がっている。
「卒業するときがきたぜアリスちゃん、配信者らしく楽しませてくれよな」
そんな熱狂的なライブ会場に足を踏み入れたクライド・エント(だらしない海賊・f02121)が挑発的に呼びかけた。
「どこかの企業の差し金かな? もしアリスの
信者になってくれるなら許してあげちゃうぞ♥」
『アリスたーーーん
!!!!』
アリスが笑みを浮かべると、辺りにハートマークが飛び交い信者達の歓声が響く。
(まずは様子見だ)
クライドは相手の出方を窺おうと歌声に耳を傾け観察する。
「ねえねえ、このままアリスちゃんの
奴隷になっちゃおうよ♥」
いつの間にか現れたアリス似の手乗り人形のような耳舐め小悪魔が右耳を舐めて甘く囁く。
「ダメダメ、ちゃんとした
信者にならないと!」
反対側からアリス似の耳舐め天使が常識を囁いた。精神攻撃を受けクライドの身体が揺らぐ。
「おい、大丈夫か!」
それに気付いた空斗が慌てて駆け寄り力尽くで人形アリスを外そうとうするが上手くいかない。
「ふふ、おにーさんカッコイイね♥ 気に入っちゃった。アリスのコレクションになって♥」
その間に近付いていたアリスが空斗にお願いする。
「お断りだ――あっまず……」
咄嗟にお願いを否定してしまうと、空斗の生殺与奪権と人格を奪われてしまう。
「ひっかかった♥ じゃあこれでアリスのファンね♥」
目を虚ろにした空斗はアリスファンとして人格を植え付けられる……。
「アリスたーん! 愛してるよ!」
すると空斗が心からアリスを称えて叫ぶ!
「うおお……アリスたん最高……何でも言うこと聞いちゃうぜ」
感極まったようにクライドも魅了され、二人は共にアリス「推し」となった。
「本当? 嬉しいな♥ それじゃあアリスの椅子にしてあげるね♥」
『羨ましいー!!』
『アリスたん! 俺も俺もー!!』
ファン達の羨望の眼差しの中、喜んで蹲ったクライドの上にアリスがちょこんと座った。
「みんなーアリスの愛を受け止めてねー♥」
『アリスたんLOVE
!!!!』
『LOVEーLOVEーLOVE』
「LOVEアリスたん……っていやいや、俺はアリスたんを倒しにきたんだ!」
ノリノリの会場にすっかり空斗は感化して、いつの間にか握っていたペンライトを振っていたが、強い意志で我に返って放り捨てる。
「いやー気持ちよかったぜ……まっ卒業くらいは盛大にやろうか」
「えっ!? きゃっ!」
ひとしきり楽しんだクライドも、魅了を断ち切って立ち上がる。
「もう! 勝手に立っちゃダメじゃない!」
アリスが可愛らしくぷんすか怒るが、クライドと空斗はファンとしての気持ちは忘れず、アリスの術中には掛からない。
「もう十分遊んだだろ? これで卒業だぜ!」」
「これも俺の愛の形だぜ!」
クライドがユーベルコード『絶望の福音』を発動し、同時に空斗もユーベルコード『影の追跡者の召喚』を発動した。
「気を付けろ! アリス人形が来るぞ!」
「わかった!」
アリスの動きを予測しクライドが声を上げる。それに反応した空斗が召喚した影の追跡者を動かし、天使と悪魔のアリス人形を薙ぎ払った!
「あっ! 可愛いアリスのマスコットに何をするの!」
抗議するアリスにクライドがフック付きワイヤーを巻き付けて動きを封じ、その隙に空斗がダガーを振るって切り裂く。義体ボティからは血ではなくバチバチと火花が散った。
「ど、どうしてアリスを攻撃できるの???」
推しの卒業を祝うのもまたファンとしての正しい行動。アリスを卒業させようと叩きのめすのにペナルティは掛からなかった。
「卒業おめでとう!!」
「愛してるぜ!!」
クライドが剣を振るい、空斗がダガーを突き入れアリスの身体にダメージを与える。
「キャーーー!!」
悲鳴を上げたアリスがファンの立体映像で自身を覆い隠し、目晦ましにして違うエリアへと逃げ出した……。
大成功
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御形・菘
もちろんアリスが神なのは間違いない、そして妾も神だ!
神々は、信者の奪いあいで常に争っておるのだ…
とゆーわけで、バトルによるアピール合戦をしようではないか、なあ?
演出には妾も協力だ、鮮やかな彩りを与えてやろう!
右手で、眼前の空間をコンコンコンっと
はーっはっはっは! システム・フラワーズは空気を読み世界観に合った花々を生んでくれるとも!
さて、お互い手札は切ったし、後は真っ向ボコりあう時間だな
安心せい、諸々でなんやかんや攻撃が当たりづらくなろうが、絶対無理というわけではないだろう
むしろ攻撃力のブチ上がった妾の左腕の一撃、カス当たりでもワンパンすらある!
イケてるブッ飛ばされ方になるよう努力するがよい!
純・あやめ
【カキツバタ】、犯罪者に同調するのはさすがに抵抗あるんだけど
『でも、さっきから全く攻撃が当たらないじゃない』
そうなんだよねぇ…仕方ない、あの子の力を借りよう
(【コマンダーウルフ】を呼び寄せ、【緑のルーク】でUCを発動)
【ワルナスビ】、今だけ許可するよ…遊んであげて
『あーあー、電脳空間に「錯乱」の権能を撒き散らしながら現実世界でも暴れ回って…
私たちには聞こえないけど、アリスって子を本気で讃えながら「もっと苦しんで」とか「可愛い断末魔が見たいわ」とか言ってるわよ、あれ』
あははははー
でも向こうが設定した状況だから…成仏してねとしか言えないなー(合掌)
「アリスは神なの! それを傷つけるなんて許されないんだから!」
『そうだそうだー!』
『アリスたんを傷つけるヤツは悪魔だ!!』
傷ついたアリスが広大なステージの上に立って憤慨し、ファン達が怨嗟の声を上げた。
「もう誰も
神を傷つけちゃダメだよ♥」
アリスはステージをサイバーダークメルヘン世界に変え、【ほのぼのダークな遊戯】の法則によって支配する。
「いたいた、ここで倒して事件を解決するよ」
そこに踏み込んだあやめが二丁の特殊警棒を叩き込む。
「ふふ、こっちこっちー♥」
だが楽しそうにアリスがぴょんぴょん跳ねまわると、あやめの攻撃はへろへろと緩やかなものとなって空を切った。
『このままじゃ一生当たりそうにないわね。相手のルールに従ってあげたら?』
そんな遊びのような攻防に【カキツバタ】が埒が明かないとアドバイスする。
「カキツバタ、犯罪者に同調するのはさすがに抵抗あるんだけど」
『でも、さっきから全く攻撃が当たらないじゃない』
あやめが顔をしかめるが、カキツバタは攻撃の当たらない現実を直視させる。
「そうなんだよねぇ……仕方ない、あの子の力を借りよう」
あやめは攻撃の手を止め、移動警察署車両【コマンダーウルフ】を呼び寄せると【緑ルーク】を手にしてユーベルコード『
装填顕現する魔王』を発動し、封じられていた悪魔をコマンダーウルフと合体させる。
「ワルナスビ、今だけ許可するよ……遊んであげて」
ワルナスビが権能を使ってアリスを遊ぶように追いかけ回す。
「ちょっと、なんなのこれっ! 声がっひぁっ!! アリスの電脳が狂って?!」
アリスは逃げ惑い錯乱したように冷静さを失っていく。
『あーあー、電脳空間に「錯乱」の権能を撒き散らしながら現実世界でも暴れ回って……私たちには聞こえないけど、アリスって子を本気で讃えながら「もっと苦しんで」とか「可愛い断末魔が見たいわ」とか言ってるわよ、あれ』
「あははははー。でも向こうが設定した状況だから……成仏してねとしか言えないなー」
悲鳴を上げて逃げるアリスの様子を見て、あやめは乾いた笑いを漏らして合掌した。
「アリスは
神なの!! だから絶対に負けないんだから!!」
アリスを神的メルヘンな世界の強制力で何とか正気を保ち、その場から逃げ出す。だがその前にステージに乗り込んだ菘が立ち塞がった。
「もちろんアリスが神なのは間違いない、そして妾も神だ!」
菘はアリスを神と称え、そして自らも神だと名乗る。
「神々は、信者の奪いあいで常に争っておるのだ……とゆーわけで、バトルによるアピール合戦をしようではないか、なあ?」
ニヤリと笑い菘が相手の土俵であるステージに上がる。
「演出には妾も協力だ、鮮やかな彩りを与えてやろう!」
そしてユーベルコード『
落花狼藉・散華世界』を発動し、右手で眼前の空間をコンコンコンっとノックする。
「はーっはっはっは! システム・フラワーズは空気を読み世界観に合った花々を生んでくれるとも!」
するとシステム・フラワーズの力がステージに可憐な花々を咲き乱れさせ、エモい空間へと変えた! その演出に感動して調子に乗ることで菘は自身を強化しアリスの世界に対抗した。
「うわー! エモいッ!!」
その花々の咲き誇る光景にアリスが思わず見惚れていた。
「さて、お互い手札は切ったし、後は真っ向ボコりあう時間だな。安心せい、諸々でなんやかんや攻撃が当たりづらくなろうが、絶対無理というわけではないだろう」
試しにブンブンと菘は異形の左腕を振り回すと、その風圧でアリスの髪が靡いた。
「むしろ攻撃力のブチ上がった妾の左腕の一撃、カス当たりでもワンパンすらある!」
「ちょっと! そんな当たったら!!」
調子に乗った妾が勢いよく顔を青くするアリスに接近する。
「イケてるブッ飛ばされ方になるよう努力するがよい!」
そして真っ直ぐ振り抜いた左拳を叩き込み、アリスを砲弾のようにぶっ飛ばして壁に叩きつけた!
「あ、
神にこんなひどいことするなんて……!」
大きく破損したアリスの身体から放電が起こり、義体化されているボディが剥き出しになっていた。
よろよろと起き上がり、逃げようとするがそこにはコマンダーウルフの姿があった――。
「ひぃっ!!」
アリスの顔が引きつり悲鳴が漏れる。ワルナスビが楽しそうにヘッドライトをピカピカとまるでスポットライトのようにアリスを照らした。
「ひぃあああああああああああああああッ………」
絶叫したアリスが電脳を破壊され、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。それと同時に、アミューズメント施設は派手な立体映像を止めて唯の緑の壁となった。
「あー、ぷっつんしちゃったみたい」
『肉体の前に精神が死んだわね。まともに戦う相手の方がまだまともに死ねたでしょうに』
成仏してと祈りながらあやめはすぐにワルナスビをピースに戻した。
「はーっはっはっは! どうやら妾たちの圧倒的な勝利のようだな! これで妾の信者がさらに増えるだろう!」
菘が自らの活躍シーンを配信し、視聴者とコメントを増やしていた。
『あれ? オレ何してたんだっけ?』
『あ、もうこんな時間だ! 仕事しなきゃ!!』
ハッキングされていた
信者達も正気に戻り、それぞれの日常へと戻っていく。
猟兵は電脳化した人々を操るという巨大企業群「アオイドス」の企みを阻止し、アンコールもなく静かになったライブ会場から帰還した。
大成功
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