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Plamotion Striker ACE

#アスリートアース #戦後 #その他スポーツ #プラクト #五月雨模型店 #サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』


●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
 それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
 思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。

 プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
 想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
 そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られないだろうから。

●弟子入り
「お願いします!」
 その声はよく通る声であった。
 振り返るは、サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』である。
 彼女は第三銀河最強兵器たるサッカーボールのリフティングをやめない。その言葉を背に受けて振り返ることもしない。
 そんな彼女に頭を下げているのは、一人の少女であった。
 未公式競技の一つである『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の世界大会『WBC』の準決勝第一試合、『五月雨模型店』と対決する予定であったチーム『プラナスリー』の『エース』、『ノイン』である。
 彼女は突如として現れた『ギャラクシィリーガー』たちによって洗脳されてしまっていた。だが、これは猟兵たちの活躍によって洗脳は解除されていた。
 試合が中断されたばかりかWBCスタジアムをも破壊されてしまったことで準決勝が順延したのだ。
 けれど、これ幸いとばかりに改めて『五月雨模型店』との試合を控えている今、己の強化を考えていたのだ。

 その修業相手としてサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』を選んだのは。
「よい着眼点だと言えるけれどね。だが、アタシは誰も弟子に取るつもりなんてないんだよ」
「でも、今度の試合はどうしても負けられなくって……」
「なら、なおさらでしょ。今こうしてアタシに頭を下げている時間があるのなら、少しでも練習するのが建設的ってモンじゃあないのかい?」
『エル・ティグレ』の言葉は尤もであった。
 帰った帰った、と手を振る『エル・ティグレ』。取り付く島もない。
 けれど『ノイン』は食い下がる。
「でも、私のチームは『ギャラクシィリーガー』の襲来で散り散りになってしまって……準決勝を一人で戦わないといけなくって……」
 だから、少しでも強くないたいのだと『ノイン』は語る。

 ぴく、と『エル・ティグレ』の揺れた。
 え、『ギャラクシィリーガー』って言った?
 そう、『ギャラクシィリーガー』は嘗ての彼女の配下であった。
『バトル・オブ・オリンピア』において、地球を襲った『ギャラクシィリーガー』たちのせいで『エル・ティグレ』は猟兵たちと戦うまでもなく敗北して、配下に下ることになってしまったのだ。
 同時に『エル・ティグレ』はやっべ……とも思っていた。
 確かに『ギャラクシィリーガー』たちの先走った行動は己が戦わずして敗北を喫した原因である。
 同時に『プラクト』の世界大会、準決勝を邪魔したのもまた『ギャラクシィリーガー』なのだ。

 だが、今は猟兵の配下なのだ、自分は!
 もしも、この事実を猟兵――ご主人様が知ったのならば。
「……やべ」
 そう、非常にまずい。
 自分の配下の不始末は上司の不始末である。
 このままでは……!
「お願いします! 私、どうしても強くならなきゃ……!」
「あー、あ、あー……えーと、その確かにアタシは弟子を取らないとは言った。言った! けれど、チームメイトとしてなら、協力するのは構わない、よ?」
「えっ!?」
『ノイン』は目を見開く。
 願ってもないことだった。今やチーム『プラナスリー』は彼女だけ。
 如何に『プラクト』が人数制限のないホビースポーツであると言っても、一人では限界がある。
 そこに『エル・ティグレ』がチームメイトとして加わってもいいと言っているのだ。
 これは!
 いけるかもしれない――!

●準決勝
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は少々困った顔をしていた。
 いや、別に欲しいプラスチックホビーの予約戦争に敗北を喫してしまったからではない。
「それはそれで大問題ですが。いえ、違います。皆様は『バトル・オブ・オリンピア』にて戦ったサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』さんを覚えていらっしゃいますか?」
 そう、サッカー・フォーミュラにして銀河最強のシャーマン、『ギャラクシィリーガー』、第三銀河の征服王、ついでにもう一つ究極美少女である。
 彼女がどうしたのかと言う猟兵たちにナイアルテは頷く。

「彼女がどうやら『プラクト』の世界大会、WBCの準決勝にてチーム『五月雨模型店』と対決するチーム『プラナスリー』に加入するようなのです」
 つまり、それは。
「はい、サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』さんに薫陶を受けたダークリーガーチーム『プラナスリー』の誕生です」
 言うまでもないが、彼女の薫陶を受けた『ノイン』と呼ばれるダークリーガーは『プラクト』アスリートの中でもさらに実力をつけている。
 加えて『エル・ティグレ』は『鉄球バスター』と呼ばれる鉄球を蹴り出すホビーを操り、鉄球を第三銀河最強兵器を蹴り出してくるのだ。

「第三銀河最強兵器……あらゆるユーベルコードを飲み込み喰らうおそるべきユーベルコード……『暗黒星雲』ボールを蹴り出すホビーとかもうわけがわかりません。彼女を擁する『プラナスリー』に『五月雨模型店』のみなさんが勝てる見込みはあまりにもありません。ここは正々堂々と『エル・ティグレ』さんを私達が引き受け、『五月雨模型店』の皆さんは『プラナスリー』の『ノイン』さんと戦うという二面作戦と行きましょう」
 ナイアルテの言葉に猟兵たちは頷く。
 つまり、いつも通りということである。
 自分たちで作ったプラスチックホビーを自ら動かし戦う『プラクト』。
 その条件はサッカー・フォーミュラたる『エル・ティグレ』も変わらない。

「ええ、今回も勝たせて頂きましょう。『レッツ・アクト』です――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』のチーム『五月雨模型店』を救うシナリオになります。

 ※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
 フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
 主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。

●第一章
 冒険です。
 迫る世界大会WBCの準決勝。
『五月雨模型店』に事情は伝わっています。
 サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』が相手チームに参入しており、助っ人として皆さんも参加することは認められているのです。
 とは言え、準備期間は設けられています。
 試合の日まで己がプラスチックホビーを作り上げ、習熟し、練度を上げましょう。

●第二章
 ボス戦です。
 準決勝当日です。
『プラナスリー』の『ノイン』は『五月雨模型店』のメンバーたちに任せ、皆さんは『エル・ティグレ』と再び対決します。
 彼女の放つ『鉄球バスター』と呼ばれるホビーは、本来鉄球を打ち出すものですが、彼女の持つあらゆるユーベルコードを食らう『暗黒星雲』ボールが代わりに打ち出されます。
 しかも連打してきます。
 正直言って反則です。
 これに対処し、彼女を打ち倒せば、本来の準決勝と変わらぬ試合が行われることでしょう。
 後は『五月雨模型店』のメンバーを信じるのみです。

 それでは、新たなるスポーツ競技『プラクト』を巡るダークリーガーと戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『その他スポーツを練習しよう』

POW   :    体当たりで果敢にチャレンジする

SPD   :    器用にコツを掴みながら練習する

WIZ   :    ルールや戦術の理解を深める

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「なんだか『プラナスリー』に大型新人が入ったんだってなー」
『アイン』と呼ばれる少女は暢気な声を上げていた。
 此処は『五月雨模型店』。
 その制作スペースである。
 彼女たちは、あまり気にしていない様子だった。
 サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』は有名である。なんて言ったって第三銀河の征服王で究極美少女であるから。
 しかし、彼女たちは臆していなかった。
「ここまで来たのです。覚悟は決まっています」
「ああ! どんな相手だろうが全力で戦うまでだ!」
『ツヴァイ』の言葉に『ドライ』は頷く。
「け、けけけど、暗黒星雲ボールへの対処は、どうすれば……」
『フィーア』の言葉も尤もである。
『プラクト』に使うプラスチックホビーは内部に『ユーベルコード発生装置』を組み込んでいる。もしも『エル・ティグレ』のホビーが放つ暗黒星雲ボールを受ければ、それだけで敗北してしまう。

 一撃も当たることは許されない。
 掠ることもできないだろう。
「……確かにやべーな」
 どうするか、と『アイン』は己のホビー『セラフィム』を眺める。
 赤と青のカラーリング。
 WBCが終わるまでは、みんなで作り上げた『セラフィム』を使い続けようと彼女たちは約束していたのだ。
「でもまあ、なんとかなるだろ! 多分!」
 いつも通り戦えばいいんだ、と彼女はとても良い笑顔で楽観的なことを言って他の三人たちを呆れさせるのであった――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

ああ、準決勝…どうなることかと陰海月と一緒に心配してたんですけど…。
仕切り直しはよかったですねー。
…いえ、『エル・ティグレ』殿には冷や汗ものだとは思うのですが。

使ってた『機動宇宙騎兵』、ちょっと溶けてしまって癒着した部分があるんですよねー。
ですから、作り直しに来ましたー。
ええ、同じタイプなんですけど…陰海月が『カラーリングかえる!』とか。えーと、2Pカラーとかなんとか。


陰海月「ぷきゅ…」
あの予約戦争、激しかったよね…

挨拶はきっちり!
マイ工具使って、『機動宇宙騎兵』の新造ごそごそ。前は白だったから、次は赤!



『プラモーション・アクト』――『プラクト』の第二回世界大会『WBC』準決勝。
 それは『バトル・オブ・オリンピア』が突如として開催され、さらには異星の『ギャラクシィリーガー』たちの乱入によってノーコンテストとなっていた。
 戦いの場となったWBCスタジアムは苛烈なる戦いによって全壊し、準決勝の再開は絶望的とも思われたが、しかし、そこは超人アスリートたちひしめくアスリートアースである。
 彼らの熱意。
 彼らのフィジカル。
 それらが合わさればできないことなどないのである。

 すっかり元通りになったスタジアムで再びノーコンテストとなってしまった準決勝が開催されようとしているのだが……元に戻らぬものもある。
 それはチーム『プラナスリー』のメンバーが散逸し、『ノイン』と呼ばれるダークリーガーだけになってしまったのだ。
 けれど、大型新人たるサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の参入によってパワーバランスは大きく崩れた。
「ああ、準決勝……どうなることかと『陰海月』といっしょに心配していたんですけど……仕切り直しはよかったですねー」
「もう一回試合できるのは良いことだよな!」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』の言葉に『アイン』と呼ばれる少女は頷く。

 確かに『エル・ティグレ』は尋常ならざるアスリートである。
 第三銀河の征服王であり、究極美少女。
 はっきり言って、彼女の放つ暗黒星雲ボールは、この『プラクト』においてはほぼ無敵である。
 あらゆるユーベルコードを食らう暗黒星雲。
 それをプラスチックホビー大で蹴り込んでくるというのだから、『ユーベルコード発生装置』をホビーに組み込んで自ら動かす『プラクト』においては必殺の中の必殺であることは言うまでもない。
 だがしかし、である。
 そんな彼女も『ギャラクシィリーガー』の敗北と『バトル・オブ・オリンピア』の猟兵側の勝利によって配下となっている。

「まあ、なんとかなるでしょう」
「だよな!」
「……ええ、『エル・ティグレ』殿には冷や汗ものだとは思うのですが」
「なんで?」
 首をかしげる『アイン』に『疾き者』はこちらの話です、と曖昧に微笑む。
 そう、如何に配下が勝手にしたこととは言え、スタジアムを破壊してしまったのだ。それが今のご主人様たる猟兵に知られたらどうなるか、と彼女は心胆を寒からしめているのだ。
 ただまあ、それを自分たちからどうこう言うつもりは『疾き者』にはないのだろう。
「で、今回はどうすんの?」
 そう、まずはプラスチックホビーである。

 試合に臨むためには、ホビーを作り上げなければならない。
「以前使っていた『機動宇宙騎兵』、ちょっと溶けてしまって癒着した部分があるんですよねー」
「新造? 大変じゃない?」
「いえ、見てください。『陰海月』のやる気を」
 そういって制作スペースを示す。
 そこには触腕を忙しなく動かして新たな『機動宇宙騎兵』を作り上げていく『陰海月』の姿があった。
「ははっ、確かに。でも予約戦争、大変だったろ」
「ぷきゅ……」
 ネット通販とは得てしてそういうものである。
 お手軽、簡単。
 ならば、誰でもできるとなるのならば、そりゃもう争奪戦の激しさたるや。

「ぷきゅ!」
 だが『陰海月』はへこたれてはいられない。
 今は新たなホビーの完成を目指すのだ。
 今回はカラーリングを変更し、赤い『機動宇宙騎兵』を作り上げるのだ。
 その様子を見やり『疾き者』はしみじみとお茶を頂き、春の日差しに目を細めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白山・仁瑚
プラクト…プラモを的な?
いいじゃんいいじゃん!あーしもやる!

デカく言ったけどこういうのプラクトはおろか弟のホビアニ位の知識しかないぴえん
なんで競技のルールやらなんやらは周りや過去の映像見て覚えてー自分どんな動きができるキャラで行くか考えていく

んで自分のプラスチック・ホビーはモーション型!こっちの方がやりやすそうかなって
折角だからデコって可愛くしたろ。付き合い長くなるなら自分がきゅんとしたもん使いたいじゃん?
どーよ、コレ可愛くね?(周りに見せつけて)

あとは試運転重ねてチューニングしてくべ。やっばこれ結構楽しいな



『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』。
 己が心に思い浮かべたものを作り上げる技術と、それを手繰る身体能力……即ち、心技体揃わなければ勝利得られぬ未公式競技である。
「んで、『プラクト』っていうのは、プラモを的な?」
 とある商店街の片隅にある『五月雨模型店』へとやってきていた『フォトグラフィ』アスリート、白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)は首をかしげていた。
 店内のショーケースには作成されたプラスチックホビーが並んでいる。
 中には猟兵が作り上げたものも作例として展示されているのだ。

 そして、この『五月雨模型店』は4人の少年少女たちをチームとして輩出し、今や世界大会の準決勝まで残っている強豪チームに名を連ねようとしている。
「そうそう。こういうのって初めてかよ?」
 その中のメンバー『アイン』と呼ばれる少女が仁瑚へと声をかけてくる。
 物珍しげにカメラを構えていた彼女が気になったのだろう。
「うん、こういうのっていいじゃん? あーしもやりたいって思っちゃってさ」
 とは言っても、と彼女はプラスチックホビーというものがよくわかっていない。
 弟が遊んでいるのを見た、くらいなものだ。
 それにたまにやっているアニメを流し見するくらいなもの。
 だからこそ、彼女はどうやったらこの『プラクト』に参加できるのかと『アイン』に問いかける。

「ふんふん。やっぱり最初は『モーション』タイプの操作がやりやすいぜ。なんて言ったって、自分の動きをトレースしてくれるわけだからな」
「操縦する『マニューバ』タイプもありますが、これはどちらかというと人型ではないホビーを操る際に使う操作タイプになりますね」
『ツヴァイ』と呼ばれる少女も近寄ってくる。
 仁瑚は彼女たちに囲まれる。
 初心者だ! 囲め! みたいな号令にでもでたのかと思うくらいの包囲網であった。
 さらに『ドライ』と呼ばれる少年が人型ロボットのホビーの箱を持ってくる。
「これなどは比較的作りやすいものだと思う! 工具も必要ない、手でもぎっても大丈夫なモデルだ!」
「へー、これってそういうのなんだ? 組み立てって難し? ごめんえ、あーし、こういうのってよくわからくって。ぴえん」
「あ、そ、そそそれでしたら、こ、こちらもおすすめ、です!」
 噛み噛みな少女『フィーア』も加わって、仁瑚が『プラクト』競技で使うホビーを吟味し始める。

「お、お姉さんは、じょ、女性なので、こういう美少女プラモデルとか、どうでしょう」
「いいじゃんいいじゃん、かわいいじゃん! え、これってデコってもいいの?」
「いいですね。デコパージュしても楽しいですよ」
「え、なにそれやりたい!」
 仁瑚の言葉に『五月雨模型店』のメンバーたちはあーでもないこーでもないと制作スペースにて彼女のモデルを作り上げるのに助言を行っていく。
 あくまでも自分で作る、ということが楽しいと思ってもらえたらいい。
 そんな気持ちが仁瑚にも伝わる。
 確かに手先の器用さも必要とされる作業だろう。
 けれど、眼の前で一つの『かわいい』が生み出されていく光景を眺めるのは、仁瑚にとっても新鮮なものであった。

「これ、きゅんきゅんしてくるじゃんねー? よくない? これよくない?」
 出来上がった美少女プラモデルはデコパージュによって装甲が衣服のように思えてくる。
 その柄や色合いが仁瑚の完成に突き刺さるようであった。
「やってみたら案外できるもんだろー?」
「あーね! 最初はできるか不安もあったけどさー、やれるじゃんねあーし!」
「でも、まだですよ」
「どゆこと?」
「『プラクト』はここからが本番だからな!」
 その言葉に誘われて仁瑚は実際に自分の作ったホビーをバトルフィールドに設置する。

 パーティションが輝き、ユーベルコードの光がホビーに灯る。
「これ、もうあーしが体動かせば動くってこと?」
 そういうこと! と少年少女たちが頷く。
 そう、『モーションタイプ』は、ダイレクトに己の体の動きが反映される。
 故にアスリートができない動きはできない。逆を言えば、アスリートのできる動きは全てホビーもできるということだ。
 活かすも殺すもアスリート次第。
 なら、これは。
「やっばこれ結構楽しいな」
 仁瑚は笑う。思わず笑いがこみ上げてきた。
 自在に動く、自分の作り上げた、自分だけのホビー。
 己が心が躍動するようだった。仁瑚は思わずカメラを構える。フィールドの中からパーティションの中にいる己をファインダー越しで覗くかのような動きをする己の作ったホビー。
 その姿に益々彼女は愛着を持つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
プラクト……プラモかぁ
まぁたまにはこう言うのも良いかもね

面倒ないことに、相棒の蒸気王の設計図は持っている
後はこれをプラクトの形に落とし込んでいこう
操縦はモーション型が面倒ないだろう

なにこれ、私に知らされてない合体変形機構やブラックボックスがあるんだけど……
見なかったことにしよう
ひとまずは、私が知ってる通りの蒸気王をくみ上げて試合に備えるとしましょう



『プラモーション・アクト』――『プラクト』は言うまでもなく己でプラスチックホビーを作り上げ、己が動かし、己が戦うホビースポーツである。
 故に己がプラスチックホビーを作成する所からはじめなくてはならない。
「『プラクト』……プラモかぁ」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)は歴戦の工作員である。
 そんな彼女にとってこうしたホビーはあまり縁がなかったものであるかもしれない。
 縁がなかったからといって、けれど、不得手であるということはない。
 むしろ、手先の器用さが要求されるのならば工作員としてのスキルは大いに活用できるところであっただろう。
「まぁ、たまにはこういうのもよいかもね」
 紅葉は思考を切り替える。

 とは言え、である。
 自分が作るプラスチックホビーというのは如何なるものであるか、と考える。
『モーション』タイプで動かすのならば人型がいいだろう。
『マニューバ』タイプで動かすのならば、普段から使い慣れた乗り物の類いがいいだろう。
 となれば、紅葉の頭に浮かんだのは蒸気王(スチームジャイアント)であった。
 己の身長に二倍はあろうかという蒸気バイクをコアとする巨大蒸気ゴーレム。
 元より、『蒸気王』は己が動きをトレースするし、自身の武器の巨大版で戦うゴーレムだ。
 ある意味『プラクト』にて使うプラスチックホビーの題材としては最適解であると言えたかも知れない。
 加えて、その設計図を紅葉は有していた。
「うん、これなら『モーション』型が一番面倒なくていいだろう」
 よし、と紅葉は早速作成に映る。

 と、思ったのだが。
「なにこれ」
『蒸気王』の設計図を引っ張り出してきて改めて眺める。
 こんな仕様があったか? と彼女はくびをかしげる。
 いや、知らされていないだけで合体変形機構が配されていたり、ブラックボックスめいた謎の箇所もある。
「どういうこと?」
 可能性はいくつかある。
 けれど、それを考えるのはやめた。見なかったことにしよう。
 合体変形機構はジョインを配せばいいし、ブラックボックスはプラスチックホビーを動かす要、『ユーベルコード発生装置』を搭載するスペースにすればいい。

「うん、やっぱり見なかったことにするのが正解ね」
 紅葉は市販されているロボット型ホビーを素体にして『蒸気王』へと形を寄せていく。
 プラスチックの板やパテ、他のホビーのパーツなどを流用することで紅葉が思い描く『蒸気王』の姿へと近づいていく。
「お、かっけー! なにそれ! なんのアニメ?」
『五月雨模型店』の制作スペースにて作成を続けていると、メンバーの『アイン』と呼ばれる少女が覗き込んでくる。
 彼女だって準決勝の準備があるだろうに、好奇心を抑えられないのだろう。
「ふ、これがゴッドにもデモンにもなれる魔導蒸気文明の申し子……よ」
「設定強すぎない?」
「あのマッド共のしでかしたことだからね」
『アイン』は紅葉の言葉をアニメの設定か何かかとおもっているのだろう。

 紅葉にとっては残念現実だが。
「よし、完成ね」
「ならさ、練習しようぜ練習! 私とやろうぜ!」
 幸い相手には困らないようだ、と紅葉は笑み、己が組み上げた『蒸気王』の慣らしを進めていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

迅瀬・ナクタ
「準決勝、観戦を楽しみにしてたが……まさかエル・ティグレがやってくるとはな。……オレも参戦しよう。」

いつも通り、アイテム:プラクト機体『ナタク』をモーションタイプで使用
バトルオブオリンピア等で新しく習得したUCやトイロボ用の武器を『ナタク』でも使えるよう、調整・練習します。

可能なら、五月雨模型店のメンバーか他の猟兵と手合わせしたいです。
アドリブ・連携歓迎です。よろしくお願いいたします。



 未公式競技ながら世界大会が開催されていた『プラクト』。
 その準決勝は『バトル・オブ・オリンピア』の開催と共に襲来した異星の『ギャラクシィリーガー』たちによって中断させられ、さらにはスタジアムの破壊という予想だにしない結末を迎えてしまっていた。
 だが、ノーコンテストとなった試合を再開しようという動きは『バトル・オブ・オリンピア』後も続いていたのだ。
「準決勝、観戦を楽しみにしてたが……」
 迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は、まさか、という思いであった。
 そう、本来ならば『五月雨模型店』とチーム『プラナスリー』の対決に猟兵が介入する理由はない。

 けれど、相手チーム『プラナスリー』にサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』が加入したというのであれば話は別である。
 彼女ははっきりいって強すぎる。
 特に『プラクト』は使用するプラスチックホビーに『ユーベルコード発生装置』を組み込むことになっている。
 彼女の打ち出す暗黒星雲はあらゆるユーベルコードを食らう力を持っている。
 敵対者にとっては最悪の武器だ。
 あまりにもワンサイドゲームになってしまう。
 だからこそ、ナクタは猟兵として『五月雨模型店』に助っ人として参加することを決めたのだ。
「ありがてーぜ! また一緒に戦えて嬉しいのが多いけど!」
『アイン』と呼ばれた少女の朗らかな笑顔にナクタは頷く。

「オレはいつもどおり……」
「『ナタク』だろ! 良く出来てるんだよなー!」
「ああ。とは言え、前と同じだと思わないでくれ」
「お、なんだよ! 隠し玉があるのか?」
 興味津々な『アイン』にナクタは頷く。
 本来ならば、己の手を知らせる道理はない。けれど、ナクタは『五月雨模型店』のチームメイトとして参戦するのだ。
 ならば、チームメイトと連携するために改修箇所を説明するのは自然なことだったのだ。

「『バトル・オブ・オリンピア』で新たに習得したユーベルコードのための武装だ。元々は『トイロボバトル』用の武器なんだが……」
「なるほどなー! そのための改修か! ならさ、グリップの所の気格を合わせた方がいいぜ」
「マニュピレーターの、ということか?」
 ナクタは彼女の言葉に頷く。
「そう! 武装がすっぽ抜けたりしたら最悪じゃん! しっかりグリップできれば、それだけ攻撃の動きも隙がなくなるぜ!」
ふむ、とナクタはその言葉を聞いて頷く。
 理解できる。
 ならば、そのように調整を、と制作スペースで改修を加えてから『アイン』との模擬戦に入る。

「早速やろうぜ! 連携を意識するのも大事だけど、どれくらい私がやれるようになったかも、見てくれよな」
「それはこちらの台詞だ」
 いくぞ、とナクタは『ナタク』と連動する己の動きの感触を掴むようにして踏み込む。
 手にした武装と『アイン』の動かす『セラフィム』の武器が激突する。
 大型突撃槍を振るう彼女のホビーは、直線的ながら早い。
「また一段と早くなったか」
「そっちこそ!」
 互いに認め合うことで練磨されていくものがある。
 それを示すようにナクタは『アイン』との模擬戦に熱中していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、最近理緒さん飛ばし過ぎじゃないですか!?
クノイチの前口上をキャンセルするとは……りおりおおそるべし
というか、戦いの前にフィーアさんのMP精神力が削れていっているのですが!?

さてさて
サッカーですかー
トラメちゃんのねこぱんちで対処したいところですが
吸い込まれそうなんですよねぇ……
そろそろトラメちゃんにも新装備が必要ですかね?
理緒さんどう思いま……あるぇ?!もうそっち準備終わってるぅ?!
え?作戦とかは?
ちょっ唐突にクノイチに対する無茶振りがフルスロットル!!
というか忍べてますから!!誰にも気づかれないタイプのクノイチですから!


菫宮・理緒
【サージェさんと】

だいじょーぶ、だいじょーぶだよ『フィーア』さん。
『フィーア』さんはわたしが護るからね。

と、いつのまにかのバックハグでりおりおしちゃうね。
そのまま頬ずりしかけたら、引き剥がされたけど!

なにはともあれ!
今回はみんな、どつきあいだと思って耐久力高め、武器も重めに、ねー。

わたしも、いつもの『憂国学徒兵』から、ちょっと換装して、
防御力高め、武器もハンマー系鈍器に変更していくよ。

作戦をサージェさんに……は伝えなくてもいいか!
サージェさんベースのスペック高いし、なんだかんだで臨機応変だし、
このくらいのサプライズがあったほうがマンネリにならないよね。

ほんと、忍べないこと以外は完璧なのにねー?



 チーム『プラナスリー』に加入した大型新人。
 いやさ、『エル・ティグレ』!
 彼女はサッカー・フォーミュラにして第三銀河の征服王、ついでに究極美少女である。彼女の繰り出す暗黒星雲はあらゆるユーベルコードを食らう絶対兵器。
 それが『プラクト』という規格に収まり、プラスチックホビーより打ち出されるとあっては、これはあまりにも一方的である。
 ワンサイドゲームもかくやである。
 故に猟兵たちはあくまで『エル・ティグレ』を抑えるために参加するのだ。

 それでも不安は覚えるだろう。
「だいじょーぶ、だいじょーぶだよ『フィーア』さん。『フィーア』さんはわたしが護るからね」
 ノーモーションバックハグを『五月雨模型店』のメンバーの一人、『フィーア』に開幕でかました菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は深く、深く頷いた。
 そのあまりにもシームレスなアクションにサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は己の前口上キャンセルが思った以上に早い段階で成されたことに驚愕する。
 まさか、『お呼びとあらば』までキャンセルされるとは思ってもいなかった。
 それくらい理緒のバックハグアタックは気配を感じさせなかった。
 サージェのクノイチアイデンティティが崩れ去る。

「ひゃ、ひゃああっ!? えっ、なんで!? なんでハグされて」
「だいじょうぶ、だいじょーぶ」
 何一つ大丈夫な要素がないように思える。いつの間にか理緒は『フィーア』に頬ずりさえしているのだ。
「ちょ、ちょいちょい、理緒さん飛ばしすぎです! クノイチの前口上キャンセルするとか……りおりお恐るべし、というところですが! というかですね、試合の前に『フィーア』さんのMP精神力が削れて言ってるのですが!?」
『フィーア』は身を固くしている。
 なれないことはしかたないのである。
 これからも応援して欲しいとは言ったが、理緒の応援はちょっと『フィーア』に過剰であった。

 サージェに引っ剥がされた理緒は仕切り直す。
 そう、ここからが本番である。
「なにはともあれ!」
「なにはともあれで片付けられるかなぁ」
「いいの! 今回はみんな、どつきあいだと思って耐久力高め、武器も重めに、ねー」
「なんで?」
『アイン』が首を傾げている。
 いつもどおりだけど、と言わんばかりの顔である。
「相手はサッカー・フォーミュラですからねー。恐らく『鉄球バスター』を使ってくるんでしょうが、そのうち出す鉄球が厄介というか。鉄球ていうか、暗黒星雲というか」
「暗黒星雲!?」
 その言葉にサージェは頷く。
 そう、暗黒星雲。
 あらゆるユーベルコードを食らう絶対兵器である。

 そんなもんホビースポーツに持ち出すな、と言いたいところであるが、此処はアスリートアースである。なんでもありである。
「『トラメ』ちゃんで対処したいところですが、『ユーベルコード発生装置』を組み込んでいる以上、近づいたり、かすめたりするだけでホビーが停止しちゃうんですよね」
 困った、とサージェはくびをかしげる。
 そろそろこれは新装備の出番でろうか。
「理緒さんはどうおもい……あるぇ!?」
 サージェの目に前に理緒は『憂国学徒兵』シリーズのロボットホビーを完成させていた。
 いつもの機体より装甲が配されており、さらに武器はハンマーのような鈍器に変更されている。

「い、いつのまに……!? こ、このクノイチが出し抜かれる、だと……? え、さ、作戦とかは……」
「なんだかんだで臨機応変に!」
「そんな雑に!?」
「サージェさん、ベースのスペック高いからね。なんでもできるでしょ」
「確かにクノイチですから、なんでもできますが、無茶振りフルスロットルじゃないですか!?」
 理緒はにこっと笑む。
「このくらいサプライズがあったほうがマンネリにならないよね」
 なんか倦怠期の夫婦みたいな事を言い出す理緒。
 本当に、と彼女は息を吐き出す。
 確かにマンネリ防止は大切なことである。
 けれど、理緒はしみじみとサージェの姿を認める。
「な、なんですか?」
「ほんと、忍べないこと以外は完璧なのにねー?」
「忍べてますから!! 誰にも気が付かれないタイプのクノイチですから!!」
 まあ、そういうことにしておこうか、と二人のやりとりは続く。

 それを見ていた『アイン』は笑う。
 なんだ、いつものやつじゃん、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
エイル様主人様の! 香りがほんのりしまぁぁすっ!
皐月店長様におかれましては本日もご機嫌うるわしゅ……あ、不在ですかハイ

さておき
ノイン様もエル・ティグレ様に弟子入りするとは……
見上げた根性、いえアスリート魂というべきですね
ええ、ここは我々に……エイル様の絡まないメイドにお任せください!

というわけでルクス様、久しぶりに真面目にメンテしますよー
というかソナーレって演奏以外に何が出来るんでしたっけ?

クリムゾンリッパーの装備では
暗黒星雲ボールへの対処が限られそうです
物理では負けそうなんですよねえ
危険な賭けですがルクス様の演奏に託しますか……

赤と青のセラフィムというなら私が混ざっても?


ルクス・アルブス
【ステルク】

ほんのり……?
あ、なるほど。店長さんはいらっしゃらないんですね。
さすが『エイル』さんの系譜。素晴らしい危機回避能力です。

んー。
ノインさんが、エル・ティグレさんに、弟子入り……?
ノインさんのアスリート魂はいいんですけど、
ティグレさんってわたしたち猟兵の仲間じゃなかったです?

まぁ、そこは置いておきますか。

そういえばメンテは久しぶりで……って。
ステラさん、失礼じゃないですか1?
ソナーレはとっても頼りになるゴーレムなんですよ!
演奏はもちろん、装甲厚いですし、格闘もできますからね!

え? ほんとですか!? わたしの演奏頼りにされちゃってます(ぴこぴこ
ならもっと威力アップを狙いますねー!



 変わるものと変わらないものがある。
 なんかシリアスな雰囲気か?  と思わせておいて、なんてことはない、いつものやつってことは往々にしてあるものである。
 何が言いたいのかって言われたら、まあ、その。
 いつものやつであるっていう予告なのだ。
『エイル』様主人様の! 香りがほんのりしまぁぁぁすっ!」
 毎度おなじみ、『エイル』の影ある所にメイド。
 毎度メイドでございます。ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)でござーます。

 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はいつものことであるから、そこら辺はスルーしていた。
 だが、ちょっと気になった。
「ほんのり……?」
「はいっ、ほんのりでございます。店長様におかれましては本日もご機嫌麗しゅう……えっ、いらっしゃる!?」
 いますけど、と言わんばかりに『五月雨模型店』の店長は頷く。
 え!? とステラは目を見開く。
「あ、なるほど。店長さん、逃げて!」
 ルクスは思わずステラとルクスの間にはいりこむ。
 割って入る、が正しいかもしれない。
 このまま何もしなければ、ステラが『どいてください! 私はメイドですよ!!』くらいやりかねないと思ったからだ。

 だが、そのような事態にはならなかった。
「てんちょー! こっち、なんか納品業者の人着てるー!」
『アイン』の言葉に店長は頷いて、それじゃあ、と微笑んでいる。
 その微笑みにステラは固まっていた。
 ガチゴチになっていた。
 えっ、とルクスは思った。
 これはあれだろうか。推しが目の前にいるとフリーズしてしまうあれ、なのではないか。
 でもまあ、なんていうか。
「さすが『エイル』さんの系譜。素晴らしい危機回避能力……いえ、メイドの窘め方……」
 ごくりんこ。
 直で相まみえてもメイドをいなす。
 それだけの技量があるのである。何の話してる?

「さておき」
「あ、復活しましたね。んー『ノイン』さんが『エル・ティグレ』さんに弟子入り……ということでいいんですよね?」
「復活? なんのことです? 少し気を失っていただけですが」
「あってるじゃないですか」
 あってるね。
 ステラは何をこの勇者は、という顔をしていた。えっ!?
「なんとも見上げた根性、いえアスリート魂というべきですね」
 ダークリーガーであれど、その胸にあるのは飽くなき勝利への渇望。
 人、それをアスリート魂というのだ。
 でも、とルクスは首を傾げる。

「『エル・ティグレ』さんってわたしたち猟兵の仲間じゃなかったです?」
「正確には配下ですね」
「そうなの? でも、対決する以上は手加減なしだぜ!」
『アイン』の言葉にステラは頷く。
「ええ、ここは我々に……『エイル』様の絡まないメイドにお任せください!」
「あ、店長も見に来るよ」
「……真面目に致します」
 本当に? ルクスはなんとも信じがたいものを見る目でステラを見ていた。

「本当です。さ、ルクス様。久しぶりにメンテしますよ」
「ソウデスネ。でも、メンテは久しぶりで……」
「というか『ソナーレ』って演奏のアンプ装置以外に何ができるんでしたっけ?」
「んなっ!? 失礼な!『ソナーレ』は一通りできますよ。とっても頼りになるゴーレムなんですよ! 演奏はもちろん、装甲厚いですし、格闘もできちゃいますからね!」
 まあ、装甲が厚くないと演奏に耐えられないし、格闘ができるほどに頑強でなければ、アンプとしての役割も果たせないであろうから、まあ、その、何でもできる、という言葉に語弊はないような気が……しないでもない。

「私の『クリムゾン・リッパー』の装備では暗黒星雲ボールへの対処が限られます。頼りにしておりますよ」
 恐らく物理的な戦いでは『エル・ティグレ』の操る『鉄球バスター』には分が悪い。
 危険な賭けであるが、ここはルクスの演奏に頼らざるをえないかもしれない。
「えっ、本当ですか!? わたしの演奏頼りにされちゃってます!?」
 わー! とついにステラがデレた! とルクスは喜びにぴょこぴょこしている。かわいいね。
「なら、もっと威力アップを狙いますねー!」
「あの、『アイン』様。赤と青の『セラフィム」というなら私が混ざっても……?」
「良いに決まってんじゃん」
「ねー! お話聞いてくださいよー!!」
 そんなこんなで次回、試合である――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
…彼奴さー…何してくれてるのかな?
「後でお仕置きだぞ☆」

ま、それはそれとして、だ

元々なんだかんだで愛用しているメルクリウスを組み立てだ
「わーい☆」(地味に自分の髪の毛もとい賢者の石も混ぜ込みやがった

よぉアイン…作り上げ…練度を上げるってなら…判るだろ?
模擬で勝負しようぜ?

シミュレーターがあるならそれも利用

【情報収集・視力・戦闘知識】
アインの戦い方…動き…スタイル…セラフィムの性能…それら全てを徹底的に分析した上で…あの白いインドラと比べる

僕はなぁ…強くなるってのは実戦が一番と思ってるんだ
それにな…僕はノインよりも強いぞ?
この最強無敵のカシムさんを相手にしているんだ
全力を尽くせ…自分が出来る全てを引き出せ
そうだな…想像しろ
此処で負けたら全てが終わる…お前が想像する最悪をイメージしろ

【属性攻撃・迷彩・念動力・弾幕・二回攻撃・切断・電撃】
あらゆる技能…技を尽くし寧ろ此方がアインに挑む勢いで激突
全力でアインの潜在能力も引き出す!

その上で勝つ!

ああ…僕は最初からおめーが最強と思っているよ



 サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』が『プラクト』の準決勝にて『五月雨模型店』と対決するチーム『プラナスリー』に電撃的に参入する。
 それは猟兵たちにとっては、阻止しなければならないことであった。
 なぜなら、彼女の暗黒星雲は絶対兵器。
 あらゆるユーベルコードを食らうという暗黒星雲の一打は『プラクト』の競技性質上、相性が悪すぎるのだ。

 プラスチックホビーの内部に『ユーベルコード発生装置』を組み込み、己で作り上げたもので戦う。
 それが『プラクト』である以上、あらゆるユーベルコードを食らう暗黒星雲は掠めるだけでも撃破扱いになる。
「……彼奴さー……何してくれてるのかな?」
『後でお仕置きだぞ☆』
 そんな物騒なことを言っているのは、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)たちである。
 なにせ『エル・ティグレ』は猟兵に敗れて配下となったサッカー・フォーミュラである。
「ま、それはそれとして、だ」
 カシムはなんだかんだで己のプラスチックホビー『メルクリウス』を片手に取る。
 そう、なんだかんだで愛用している。
 すでに『メルシー』がホビーに自分の髪の毛やら賢者の石やらを混ぜ込んでいるらしいが、それってレギュレーション違反になるやつじゃないですか、というあれである。
 バレなきゃいいんだよ、の精神であるが、まあ大丈夫じゃないだろうか。たぶん。
『わーい☆やっぱりご主人サマも気に入ってくれてたんじゃん☆』
「ばっか、これは理由があんだよ」
 カシムはそう言って『アイン』と呼ばれる少女の元へと向かう。

「よぉ『アイン』」
 その言葉に『アイン』が振り返る。
 何? と言うまでもない顔をしている。わかっているようだった。己が声をかけた意味。
「いよー! じゃ、早速やろうぜ!」
 話が早い。
 そう、『プラクト』における準備とは即ちホビーを作り上げること。
 そして、己が五体を持って動かすのならば、やはり練度を上げるのは実践である。
 フィールドに降り立つ二つのホビー。
『メルクリウス』と赤と青のカラーリングの『セラフィム』。
 手にした大型突撃槍をカシムは見つめる。

 武装の構成は同じだ、と彼は理解する。
「どこを見ているのかしらねーけど、あんまり余裕ぶっこいてると!」
 開始の合図が鳴り響いた瞬間『アイン』の『セラフィム』が踏み込んでくる。踏み込みの速度はカシムの想像を超えるものだった。
『速さでメルシーたちを越えようなんてナマイキだぞ☆』
「言ってる場合かよ」
 カシムは思う。
 強くなるには秘訣がある。それはただ一つ。
 実戦の経験を積み上げていくことだ。それが最も良いやり方だと知っている。
 そして、カシムには自負があった。
 ダークリーガー『ノイン』よりも己が強い、という。

「最強無敵のカシムさんを相手にしているんだ、本気でくるに決まってるよなぁ!」
「たりめーだろ!」
 踏み込んだ『セラフィム』の一撃をカシムは凌ぐ。
 神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)を用いて尚、追いすがる『セラフィム』の速度。
 機体性能が違う。
 あの白い『インドラ』と違う。
 あまりにも機体性能が違いすぎる。この赤と青の装甲もつ『セラフィム』は強『すぎる』。

「此処で負けたら全てが終わる……お前の想像する最悪のイメージは!」
「そんなのいつも想定してるっつの! あんたたちは確かに強いさ、最強だろうさ。けどさ! 本気になるのに、時間がかかる。なら、その本気に成るまでの一瞬でカタをつけるってのが!」
 己の持てる最高の初速。
 同じ『閃光』と渾名されていても、考え方が根底から違う。
 目の前の『アイン』は最高初速に全てを懸けている。だからこそ初撃を凌いだ今……いや、違う。
 初撃はまだ終わっていない。
 カシムはそれを理解した瞬間、目の前の『アイン』が明らかに己達が対峙した白い『インドラ』を越えていることを理解する。
 突き出された大型突撃槍の一撃。
 それは躱した。けれど、突き出すと同時に横薙ぎに振るわれた一撃が『メルクリウス』の機体を吹き飛ばすのだ。

 機体を立て直す、と思った瞬間には『セラフィム』のアイセンサーが間近に煌めいていた。
「潜在能力とかそんなチャチなもんじゃねー! これは!」
 最初から全て引き出している。
 一瞬でトップスピードに引き上げる力。正しく『閃光』の如き力。
 機体性能だけじゃあない。
 目の前の『アイン』こそが。
「ああ……僕は最初からおめーが最強だと思っているよ」
 カシムは見た。
 目の前に突きつけられた大型突撃槍の切っ先を。
 彼女の成長の著しさを――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
私も自分の『セラフィム』と共に参戦するわ
一緒にがんばりましょうね

それにしても、スリリングな試合になりそうね
『エル・ティグレ』の暗黒星雲ボールは一撃必殺
こちらは一撃も被弾することなく、相手に攻撃を当てなくてはいけないけれど
……私はあえてスピード勝負を挑むつもりよ
機体も速度が上がるように調整するわ

久しぶりの『プラクト』の試合
『アイン』、あなたのスピードは、どれほど早くなっているのかしら
彼女の成長を見るのが楽しみだわ



 共に戦うということは心強いことだ。
 孤独に戦うことは、唯一人で戦うということ以上の意味を持つだろう。
 だからこそ、人は手を取り合う。
 そういうものだ。だからこそ、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は『五月雨模型店』を訪れていた。
 目の前にはいつもの少年少女たち。
 彼らの成長はいつだって目を瞠るものだ。
 静漓にとって、それは喜ばしいことであったことだろう。
「よろしくな、静漓ねーちゃん。助っ人ありがとねぇ!」
「ええ、一緒にがんばりましょうね」
 チームメイトとなって共に戦うことは少なくなかった。

 けれど、同時に『アイン』がそうであるように静漓もまた、これが戦いというよりは遊びの延長線にあるものであるという理解は共通しているように思えた。
「それにしてもスリリングな試合になりそうね」
 その言葉からも伺える。
 だが、言葉で言うよりもサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の放つ暗黒星雲ボールの一撃は強烈である。
 あらゆるユーベルコードを食らう。
 それが絶対兵器である暗黒星雲ボールだ。
 確かに『エル・ティグレ』は猟兵の配下となっている。
『バトル・オブ・オリンピア』を勝利で終えたが故であるが、しかし、それでも彼女の力は侮れない。
 こちらが御主人様と呼ばれていても『エル・ティグレ』もまたアスリートなのだ。
 試合となれば手心を加えるなんてことは期待できないし、そもそもしていない。

「彼女の暗黒星雲ボールは一撃必殺」
「ホントかよ。みんな言ってるけど。え、本当に?」
「本当よ。こちらは一撃も被弾することなく相手に攻撃を当てないといけないけれど」
 けれど、静漓はなんの心配もしていないのだと同じく『セラフィム』を『アイン』に見せる。
 同じシリーズを使ったプラスチックホビー。
 これもまた静漓にとって掛け替えのない思い出の一つだ。
 この子となら大丈夫、と彼女が言う姿に『アイン』も納得してしまっていた。
 他の誰かならば、そんなの何も保証になりやしないと思うだろう。
 けれど、二人は信じている。

 絆だとか、友情だとか、そういう言葉にしてしまえば陳腐になってしまうかもしれないから、言葉にはしないけれど。
「なら、大丈夫だな。静漓ねーちゃん、スピード勝負しようってんだろ?」
「……よくわかったわね」
「おみとーしってやつ! へへっ! ならさ、私の『セラフィム』と似たような調整になるだろ! 終わったら、模擬戦しよーぜ!」
 なっ! と『アイン』は静漓を制作スペースに引っ張り込む。
 あれとこれとそれも! と多くのパーツを持ってきて『エル・ティグレ』にスピード勝負を挑むための改造を施していくのだ。

「軽量化がよく思いつくけど、此処は機体の出力に応えられるような剛性があるほうを選択しようぜ。スピードはあるけど、空中分解なんて洒落にならないしな」
「そういうもの?」
「うん、やっぱり加速するとしただけいろんな所に負荷がかかるからさ」
 此処をこうした方がいい、というアドバイスはすれど『アイン』は静漓の作業に手を貸すことはなかった。
 自分の手で、と言うのは何物にも代えがたい経験であるからだ。
 そして、静漓もまたそれを理解している。

「……できたわ」
「よっしゃ! なら模擬戦! 模擬戦やろーぜ!」
「本当に好きね」
「そりゃあね。静漓ねーちゃんと遊ぶの楽しいし!」
「……『アイン』、あなたのスピードはどれほど速くなっているのかしら」
 それはやってからの楽しみ、と『アイン』は笑う。
 その姿を認め、静漓はいつか見た残光を振り払うようにして頭を振る。
 己は彼女の成長を見るのが楽しみだ。
 今はそれだけでいいのだというように、共に模擬戦を重ねるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「俺ぁ、エル・ティグレってやつと面識とか戦った事はないけれど…とにかく止めればいいんだろ?任せな」

SPD

「まずは壊れたままのコイツを直さないと、な」
何時ぞや作った『クロム・スティール』似のロボット型プラクトを取り出す
折れた脚部とかそのまんまにしちまったけれど…ま、ある意味いい機会だ

「ツヴァイも模型店の皆も久しぶり。悪いけど手伝ってくれないか?」
アドバイスを聞きながら接着剤で付けたり、パテで埋めたり、いっそ作り直したり…
塗装はほぼ一色だから楽なんだな、これが

後は問題点の洗い出し、改修と習熟も兼ねて本番まで機体テストだ
この時間が存外楽しいんだよな…そうだ模型店の皆に模擬戦の相手も頼もう

アドリブ歓迎



 サッカー・フォーミュラにして銀河最強のシャーマン、『ギャラクシィリーガー』、第三銀河の征服王、ついでにもう一つ究極美少女。
 それが『エル・ティグレ』の持つ肩書である。
 何れもが彼女の実力を正しく示すものであった。
 究極美少女というのは、なんていうか蛇足が過ぎる気がしないでもないが、この際置いておくことにする。
「俺ぁ『エル・ティグレ』ってやつと面識とか戦ったことはないけれど……とにかく止めればいいんだろ?」
「そのようですね。とてつもない強敵であることは理解しているのですが……」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は『五月雨模型店』を訪れ、久方ぶりに『ツヴァイ』と再会を果たしていた。

「任せときなって。せっかく『ツヴァイ』や『五月雨模型店』のみんなと再会できたんだ。これもなにかの縁だろ」
 とは言え、と祐一はいつぞや作ったままの『クロム・スティール』……己がキャバリアと良く似たプラスチックホビーを手に取る。
 折れた脚部や、緩んだジョイントなど、くたびれた雰囲気は否めない。
 これを今から試合に使えるようにしていかなければならないのだ。
「心強い……ですが、そのホビー、お手入れは?」
「……面目ないけど、やってなかった」
 祐一はこういうことに関しては素人と言っても良い。
 折れた脚部なんかは自分ではどうしていいのかもわからないで途方にくれていたのだ。
 ある意味で、今回の事件は祐一にとってはいい機会であったのかもしれない。

『ツヴァイ』に促されて制作スペースに祐一は入る。
 見たことのない機材やらが並んでいる。
 これをどうしろと?
「わからないことがあれば聞いていただけたら。まずは折れた足の補修。そして関節部分の緩んだ部分の調整ですね」
「ああ、それそれ。そういうのがわからないんだ。こういう補修ってどうやるんだ?」
「装甲が削れているのならば、プラ板のパッチを当てて接着剤で融着させてから面を整形していくのが良いでしょう。パテで補修すると重さで左右のバランスが崩れてしまいますから」
 なるほど、と祐一は思う。
 これがただ作って飾るだけならば、気にもとめない問題である。
 しかし、『プラクト』は己が作って己が動かす。
 そうしたときに左右の重さが異なる、というのはデメリットとなりえるのだろう。

「じゃあ、こっちの接着剤で……」
「瞬間接着剤はたしかにすぐくっつきますが、面の衝撃に強くとも横からの衝撃に弱いです。やはり、ここは時間がかかっても此方の接着剤を」
 祐一は『ツヴァイ』のアドバイスを受けながら、己の『クロム・スティール』の補修を行っていく。
 なんとか機体の格好はついた。
 けれど、補修した面がプラ板のまま、というのはなんとも。
「……塗装も致しましょう。エアブラシの経験は……」
「ないけど、ほぼ一色だからな。楽でしょ」
「それはそうですが、マーキングとかそういうのはしないのですか?」
「うーん、やってみてもいいかな」
 などと祐一は無事に『クロム・スティール』の補修を終え、『五月雨模型店』のメンバーたちと習熟と本番までのテストを重ねていく。

「この時間、存外楽しんだよな……」
 祐一は少し童心に帰った気持ちになりながら、『五月雨模型店』のメンバーたちと模擬戦を繰り返して、準決勝の日を待つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

究極と美はいらなくない?って話したような気がするあの子かー
友達が出来てよかった!

バラバラXくんが新たな力を得るにあたっては彼の過去について話さなければならない
そうかな?そうでもないかもしれない
でも過去回想ってそういうものだよね

そう彼は無酸素の地獄、赤錆平原で眠りについていた…パートナーもボディも失ってコアメモリーだけの姿で…
【以下30分ほどの涙なしには見られないバラバラXくんに過去を写したショートアニメ動画】

そうつまり必要なのは軽量化ということだね!
サイズ感や強度をそのままに質量を軽くするには肉抜きが必要
それをボクは流体金属に空気の微小泡を含ませることで達成しよう!



「いやね、究極と美はいらなくない? って、あの子とはお話してたんだよ」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は『五月雨模型店』にて、そう語る。
 何を語っているのかと言うとサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』のことである。
『バトル・オブ・オリンピア』において彼女は猟兵に敗れ、配下となった。
 孤高の征服王。
 他者の追従を良しとすれど、追い抜かすことは許さぬ絶対者。
 その孤独をロニはよーくわかる、と思っていたのだ。
 でも、今回のことでロニは思う。
「友達ができたんだねぇ」
 そう、チームメイト。
『プラナスリー』と呼ばれる『プラクト』チームへと電撃参入したと聞いたときには目頭が熱くなったものである。

「そういうわけでさ!」
「どういうわけだよ」
 ロニの言葉に『アイン』は半眼になっている。
 目の前にはプロジェクター。
 どういうこと?
「『バラバラX』くんが新たな力を得るにあたっては、彼の過去について話さなければならないんだよ」
「過去回ってやつか!」
「そうかな? そうでもないかもしれない。でも過去回想ってそういうものだよね」
 温故知新。
 過去を知って新たな己を知る。

 パワーアップイベントには事欠かぬのが過去というもんである。
「そう、彼は無酸素の地獄、赤錆平原で眠りについていた……パートナーも喪ってコアメモリーだけの姿で……」
 唐突に始まる謎のナレーション。
 ロニの声である。
 吹き替えてるのかなと思ったら、マイクもって直のナレーションである。
「なんか壮大な雰囲気になってきた……」
「涙なしには見れないな!」
「いえ、というか、これは何を見せられているんですか?」
「ショートアニメというか、普通に30分見せられる、んです?」
『五月雨模型店』のメンバーたちは、唐突に始まった過去回に、えぇ……と困惑しきりである。

 それはそうである。
『バラバラX』って原作があったんですか!? という驚きもあるし、何よりこれ自主制作ショートアニメ動画ではないだろうか?
 ロニが作ったのだろうか。
 そんな涙なしには見られぬ過去回を見終えたロニは、息を空き出す。
 アテレコも全部一人でやっていたので、重労働であった。
「そう、つまり必要なのは軽量化ということだね!」
「今の話でそれ!?」
「感動秘話みたいにしていましたけど、そこに行き着くんですか?」
「むしろ逆じゃあないのか! 壊れないように!」
「あ、ああ、あっ、ぴ、ピンバイスは……!」
「ええい、サイズ感や強度をそのままに質量を軽くするには肉抜きが必要。ピンバイスがダメなら!」
 えいやっとろにはなんか不思議な神パワーでもって、流体金属に空気の微小泡を含ませることで強度と軽量化を両立してみせたのだ。
 むちゃくちゃである。
 ロニ以外では誰もできやしない力技だった。

 神パワー、濫用、ダメ、絶対――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『エル・ティグレ』

POW   :    ティグレ・スーパーノヴァ
【蹴りつけたサッカーボール】に【猛虎の如く吼え猛る超新星の輝き】を注ぎ込み変形させる。変形後の[蹴りつけたサッカーボール]による攻撃は、【重力反転】の状態異常を追加で与える。
SPD   :    ダークネビュラ・タイフーン
【「獣」の形に変幻する暗黒星雲のエネルギー】を纏いレベル×100km/hで疾走する。疾走中は攻撃力・回避力・受けるダメージが4倍になる。
WIZ   :    銀河猛虎帝
光輝く【ギャラクシィエンプレス】に変身する。武器は【己の肉体】しか使えないが、[己の肉体]の射程外からのダメージは全て100分の1。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 準決勝当日。
『五月雨模型店』と『プラナスリー』の再試合である。
「じゃあ、作戦通りにな。にーちゃんねーちゃんたち猟兵たちは『エル・ティグレ』を。私達は『ノイン』を。勝って決勝いこーぜ!」
『アイン』たちと共に円陣を組んだ猟兵たちは頷く。
 対する『プラナスリー』は二人だけのチームとは思えない重圧を放っていた。
 そう、サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』のみならず、ダークリーガー『ノイン』は彼女の薫陶を受け、地獄の特訓を乗り越えてきたのだ。
 そこにあったのは歴戦のアスリートの面構え。
 なんか、画風まで変わってる。
 劇画調みたいな顔になってる。
「この日が来ましたね」
「ああ、あの特訓を良く乗り越えたもんだ。あたしの太鼓判を押してやる。思う存分暴れまわってこい。あたしもチームメイトとして、勝ちに行く」
『ノイン』の肩を頼もしげに叩いた『エル・ティグレ』はそこで、漸く気がつく。
 相手チーム『五月雨模型店』に猟兵たちの姿があることに。

「え」
 目が丸くなっている。
 彼女にとってまさか猟兵が相手チームに出張ってくるとは思ってもいなかったのだろう。
「ご、御主人様? え、えっとぉ、そのぉ、これはぁ……」
 しどろもどろになる『エル・ティグレ』。
 やばい、これは確実にバレてる。
『プラクト』の世界大会、WBCを中座させるばかりかスタジアムぶっ壊して再試合を延期させていた張本人というか、原因が己であるということが!
「ええい、あたしは『エル・ティグレ』! 第三銀河の征服王にして究極美少女! この暗黒星雲ボールを前にしてひるまぬというのなら、やってみるがいいさ! です!!」
 もう自棄である。
 諸々全部バレているというのなら、と『エル・ティグレ』はやけくそのように猟兵たちに襲いかかるのだった――。
才堂・紅葉
「さぁて、行くわよ蒸気王!」
掌に拳を打ち付けて気合を入れる
まぁ、こうなったらやる事はシンプルだ
奴の自慢を正面から砕いてチームの勢いをつけるのみ!

「エル・ティグレ……暗黒星雲ボールで来なさい」
蒸気王に両手を広げさせ、正面から受け止める構えで誘おう
敢えて全力で来させることに意味がある

なんかド凄い勢いで迫るボールに対し、その特攻を分厚い腕甲でクロスアームブロックで【ジャストガード】
沈み込む勢いを地面に流し、反動を溜めつつ
「重力反転」の勢いに逆らわずに、蒸気王でその場で一回転

「オーバーグラヴィティ……ストライクノヴァ!!」

相手の全力にこちらの渾身を乗せたオーバーヘッドキックで蹴り返してやる



『プラクト』においてプラスチックホビーに搭載された『ユーベルコード発生装置』を守り切ることは常なることである。
 ホビーが動けなくなることが敗北であるからだ。
 そして、サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の髪に封じられた暗黒星雲ボールは『プラクト』においては一撃必殺にしてワンサイドゲームに至らしめる程の絶対兵器であった。
「如何に御主人様たちとは言えど『プラクト』ルールに則るならさ! この暗黒星雲ボールとの相性は最悪だろ、です!」
「でしょうね」
 試合開始と共に『エル・ティグレ』の駆る『鉄球バスター』が、その髪の毛に相当するパーツから暗黒星雲ボールを生み出し、人型ホビーの足元に装填する。
 その様を見やり、才堂・紅葉(お嬢・f08859)の操るホビー『蒸気王』はどっしりと構えていた。
 掌に拳を打ち付ける仕草は紅葉と同じ動きだった。

 そう、『モーション』タイプの操作方法を選択しているためパーティションの中にいる紅葉と『蒸気王』の動きが連動しているのだ。
「やることはシンプルだ。『エル・ティグレ』……暗黒星雲ボールで来なさい」
「言われるまでもない、です! むしろ、このホビーの真骨頂はボール状のものを打ち出すことにあるっていうのなら、あたし以上に『鉄球バスター』の性能を引き出せるアスリートもいなだろ、です!」
 変な敬語を使っているのは、征服王であったころの名残である。
 未だに敬語が慣れていないのだ。
 しかし、放たれる暗黒星雲ボールは一直線に『蒸気王』へと迫る。

 凄まじい勢いである。
 あれに触れたのならば、あらゆるユーベルコードを食らう力によって『蒸気王』は動きを止められ、粉々に砕かれるだろう。
 だが、それを紅葉は正面から受け止めるように『蒸気王』の腕を広げたのだ。
 その構え、正しく堂に入ったものであった。
「自殺行為を! です!」
「いいえ、あえてあなたの全力を出させることに意味がある」
 迫る暗黒星雲ボール。
 触れた瞬間にユーベルコードが喰らわれるというのならば、遠ざけて止める。
 それが紅葉の方策であった。

 そして、暗黒星雲ボールを奪えば、それは奪ったものが使用できるというのが、絶対兵器のルールであった。
 故に。
「ユーベルコード発生装置のユーベルコードが食われる前に止める!」
 腕部を十字に交差させ、胸元に配されたユーベルコード発生装置を護る。
 分厚い装甲はこのときの為にあったのだ。
 しかし、放たれたシュートの威力は暗黒星雲ボールの能力を差し引いても凄まじい威力だった。
 機体がフィールドに沈むほどの勢い。
「沈んでるんじゃなくって、沈ませている!? です!?」
「そうよ。あなたのシュートの威力は知っている。だからこそ、ハイペリア重殺術・乾坤(ケンコン)は生きる」
 ユーベルコードを喰らう暗黒星雲ボールの効果が及ばぬ距離で止めれば、それは己がボールへと相成るのだ。

 そして、紅葉は溜め込んだ反動と共に『蒸気王』を一回転させる。
 縦に一回転。
 その勢いと共に放たれるは、暗黒星雲ボールのオーバーヘッドキック。
「即ち、オーバーグラビティ……ストライクノヴァ!!」
「なんかかっこいい技名……! ずっこい!! です!」
「あなたの全力に私の渾身を乗せたキックの一撃、受け止めなさい!」
 蹴り返された暗黒星雲ボール。
 しかし、それを『エル・ティグレ』は受け止められない。
 受け止めたのならば、そのあらゆるユーベルコードを食らう力で持って彼女のホビーが停止してしまうからだ。
 即ち、躱す以外の選択肢はない。
 そして、仮にかわせたとしても。

 大地を抉る紅葉のはなった渾身のシュートはフィールドを抉る隕石の落下の如き衝撃を生み出し『エル・ティグレ』のホビーを背面からしたたかに打ち据え、吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

…それまでの試合動画に『ゲーミングクラゲ』いたと思うんですけどねぇ…。
(そして販促動画になる)

赤い『機動宇宙騎兵』にて。
さて、性質が変わってないというのならば。その暗黒星雲ボールは、四天霊障にて受け止めるように…どうしても『プラクト』の機体にもついちゃうんですよねー。
そう、吸い込めないんですよ、これ。
そして…重力反転はまあ、慣れてますよ、鍛錬で。反転しようが、これからの動作は止まりませんよ。
この暗黒星雲ボールを手に入しつつ…ミニ漆黒風(ランナー削った)を投げましょう。


陰海月「ぷきゅ!」
ポンポンもって応援!
霹靂「クエー」
久しぶりだなぁ。思いっきり動かそう!



 チーム『五月雨模型店』の作戦は単純だった。
 相手が二人だけのチームであり、また同時に『プラナスリー』に加入したサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』が手のつけられない脅威であるというのならば、これを打倒するのは猟兵の役目。
 もとより猟兵たちは『エル・ティグレ』を目標に絞っていた。
 これがWBCの準決勝だというのならば尚のことである。
 ノーコンテストになってしまった試合。
 あの日中断された試合の再会だというのならば、己達猟兵も『エル・ティグレ』も部外者に他ならない。
 ならば、部外者同士戦うのが最も良いと考えたのだ。
「『プラクト』に参加するのなら、それまで試合動画を参考にしなかったのですか」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』の言葉に『エル・ティグレ』は口笛を吹いて明後日の方角を見た。

「御主人様よぉ、あたしはこれでも第三銀河の征服王だぜ? です。そんな他人の試合なんて見て研究なんてすると思うか? です。あたしはも吠え猛る虎! 見やれや、です。この超新星の如きボールの一打を! です!」
『エル・ティグレ』の駆る『鉄球バスター』の脚部が振り上げられる。
 必殺シュート。
 重力反転すら引き起こすユーベルコード。
 そして、蹴り出された暗黒星雲ボールは触れれば『プラクト』というホビースポーツの性質上、一撃で機能停止に追い込まれてしまう。
 故に受けてはならないのだ。

 赤い『機動宇宙騎兵』を駆り『疾き者』はフィールドを疾駆する。
「確かにそのシュートは脅威。ですが、性質が変わっていないのならば」
 放たれたシュートを霊障で受け止める。
 触れなければ、止められる。
 しかし、シュートの一撃は単純に強烈なのだ。
 結界すら砕く一撃。
 それはサッカー・フォーミュラとして『エル・ティグレ』の地力であろう。
「砕いた! です。これで……!」
「いいえ、ユーベルコードではないものならば」
 受け止められる。
 砕けたとしても、暗黒星雲ボールは結界を砕いて止まるのだ。
 そして、その一瞬を逃さない。

「重力反転は、どうする、です!」
「慣れてますよ。反転しようが、我が身に刻み込まれた動作は反復動作にて。故に、どんな体勢からでも」
 放つことができるのだというように『疾き者』は握り込んだ棒手裏剣を示す。
『陰海月』が部品のついていたランナーから削り出した棒手裏剣である。
 黒塗りにされた、それを赤い『機動宇宙騎兵』は放つ。
「ぷきゅ!」
「クエー!」
 声援が聞こえ『霹靂』が嘶くと同時に騎馬が走り抜ける。

 敵の攻撃は何れもが脅威。
 だからこそ、疾く距離を詰めなければならないのだ。
 放った棒手裏剣が『エル・ティグレ』の駆る『鉄球バスター』のアーマーを砕いていく。
「此処まで来て体勢を崩さぬは見事」
「お褒めにあずかり光栄だぜ、とでもいうものか、です! まだまだやれるよな、御主人様たちよぉ!」
「ならば、これはどうですー」
 放たれる雨あられたる棒手裏剣。
『エル・ティグレ』は笑う。 
 だんだんと楽しくなってきたのだろう。 
 彼女の笑みを見やり『疾き者』もまた笑う。
 確かに今は敵同士である。けれど、これはスポーツだ。殺し合う必要ない。だからこそ、本気になれる。
 それがアスリートというものなのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

迅瀬・ナクタ
(何度対峙しても思うが、ユーベルコードを飲み込むボールとはすごいな……数で勝負するしかないか)

一回目がエル・ティグレが直接関わっていないことは知っているが。
「……あえて言おう。二度もあいつら五月雨模型店の戦いの邪魔をさせてたまるか!」


UC【大回転骸海打法】を使用
千本ノックのごとく、BB弾をUCで威力の上がった剣で打ち飛ばし、『暗黒星雲』ボールにぶつけます。


少しでも威力が弱まったなら『暗黒星雲』ボールも打ち返し!そのまま『ナタク』も接近し接近戦に移行します。
アドリブ・連携歓迎です。よろしくお願いいたします。



 第三銀河の絶対兵器。
 それがサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の髪に秘された暗黒星雲である。
 あらゆるユーベルコードを食らう暗黒星雲。
 それこそが彼女を征服王にせしめた最大の力である。
『バトル・オブ・オリンピア』においても、その力は猟兵たちを苦しめてきた。
 そして、今回もまた『プラクト』というフィールドにおいても圧倒的な……それこそワンサイドゲームになり得るほどの力を発揮しているのだ。
「御主人様たちのユーベルコードだろうが、ユーベルコードであるのなら、あたしの暗黒星雲ボールは全て喰らう! です!」
 迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は何度対峙しても『エル・ティグレ』の力の凄まじさを見せつけられる思いであった。

 蹴り出せば、それだけで暗黒星雲があらゆるユーベルコードを食らう。
 どんなユーベルコードであろうと暗黒星雲が飲み込んで無効化してしまう。そして、『プラクト』におけるプラスチックホビーの最大の弱点……『ユーベルコード発生装置』がある限り、暗黒星雲ボールを受け止めることは即ち敗北を意味する。
「……あえて言おう」
 ナクタは『エル・ティグレ』の動かす『鉄球バスター』を睨めつける。
 彼にはわかっている。
『プラクト』の世界大会を邪魔したのは、『ギャラクシィリーガー』である。
『エル・ティグレ』ではない。
 直接の関与はしていないのだ。
 けれど。

「二度もあいつら五月雨模型店の邪魔をさせてたまるか!」
「いや、あたしは何もしてない……っていうか、むしろ? 大会を盛り上げようと思って? です?」
「どう考えてもお前が出たらゲームバランスがおかしなことになるのはわかりきっているだろう。考えろ」
 ナクタの言葉に『エル・ティグレ』は、うぐっ、と呻く。
 痛い所を突かれてしまった。
 だがしかし!
「持てる力を全部使うのがアスリート! なら、あたしの力も全部使うのは当然! です!」
「そうだな。だから、オレもそうさせてもらう!」
『ナタク』がレッドクロスを振り乱し、バトルアンカーへとまとわせる。
 振るう度にレッドクロスが液体を操る力でもって周囲の水分を集め、さらに振り回したことによって凍りつかせるのだ。

「それでどうしようってんだ、です! あたしの暗黒星雲シュートは!」
「ああ、どうにかできるものじゃあないってことはわかっている。だがな、この一打で……」
 レッドクロスまとうバトルアンカーは凍りつくことでバットのような形へと形成される。さらには、骸の海を宿し横回転で『ナタク』が回り始める。
「なっ……」
「ホームランだ」
 ユーベルコードに輝く『ナタク』。
 それは嵐のような打法。
 名付けるのならば、大回転骸海打法(ダイカイテンガイカイダホウ)。
 
 ばらまかれたBB弾を千本ノックの如く『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』へと叩き込みながら、迫る暗黒ボールにも激突し、その勢いを殺す。
「でも、勢いは殺しきれない、です!」
「ああ、そうだな。だが、勢いが減ったということはスピードが落ちたということだ。なら」
 躱すことも容易。
 ナクタは暗黒ボールを躱し、跳躍する。
 横回転しながら飛ぶ『ナタク』はジャイロ効果によって安定した回転でもって『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』へと迫るのだ。
「あれを躱す!?」
「生身だったのなら取れない戦法だ。だが、オレは『ナクタ』と共にある。ならばやれないことなんてない」
『プラクト』によって今や一心同体。
 己が『ナクタ』であり、『ナタク』が己なのだ。
 ならばこそ、振るう一撃は『鉄球バスター』の脳天をしたたかに打ち据え、『エル・ティグレ』の脳を揺らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

なるほどさすがの経験値ですね。これが店長の秘奥義『メイドたらし』……。
あっという間にステラさんのテンションがMAXどころか有頂天です。

しかもまだほんのり冷静さを残しているところが奥義たる所以ですね!
光の勇者として見習いたいところです……。

って、なんですか?わたしですか?

いえいいんですけど、その。
なんかわたしのことディスってませんでした?
ポンコツ駄勇者とか、うっすら聞こえた気がしたんですけど……。

最適、ですか……?
ま、まぁ、なんでも、といいましたし、
ここはステラさんの認識をあらためてもらうためにもやっちゃいますよ!

勇者の本気を見てください!
そして店長、あとで秘奥義教えてください!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
くっ、これが対メイド微笑み殺し……!
ですが、守りたいその笑顔!そのために勝利を!
ステラ、参ります!(クリムゾンリッパーを手に何かポーズ)
レッツ・アクトです!

ところでエル・ティグレ様からポンコツの香りが
ですが、危険です
そういう人は往々にして理不尽な力を持っておりますので
というわけで、ルクス様出番ですよ
いえ、そこまでは言ってないんですけども
でもルクス様が最適と感じました
それに言ったじゃないですか
装甲も厚いし何でもできる、と
暗黒星雲ボールに光の勇者をぶつけるんだよ!
って感じで隙作ってもらえますか?
その隙に……セラフィム!
【クリムゾンウイング突撃】です!
止められるものなら止めてみなさい!



 秘奥義『メイドたらし』。
 語られるは紀元前にまで遡ることであろう。
 神仙の存在が只人の傍らに在りし時代に存在したと言われる人誑しの最終形態。
 それが『メイドたらし』である。

 今それ必要?
 となる情報である。むしろ、眉唾にも程があるし、絶対冗談というか巫山戯ていると言われても致し方ないことである。
「なるほどさすがの経験値ですね。これが店長の秘奥義『メイドたらし』……」
「くっ、これが対メイド微笑み殺し……! もう何も言えません! 何か問いかけることすらためらわれる笑顔……!」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はなんか勝手におののいていた。なんで?
「ですが、守りたいその笑顔! そのために勝利を!」
「いや、わからんでもないけど、店長が喜ぶってんなら店の売上に貢献した方がよくない?」
『アイン』の冷静なツッコミである。
 だがしかし、テンションマックス、テンション有頂天に達しているステラには届かない。
「本当ですよね」
 ルクスも思った。
 この場で正気じゃないのはステラだけである。
「ステラ、参ります!」
 手にした真紅の『クリムゾン・リッパー』を謎のポーズと共に掲げながらフィールドへと投げ放つ。
 同時に煌めくはユーベルコードの輝き。

「『セラフィム』!」
 言ってみたかっただけである。
 気合を入れるときの雄叫びとか、力んで思わずでてしまう声とか、そういうあれである。
「でもなんだかんだいってやることはやるという冷静さを残しているところが奥義たる所以ですね! 光の勇者として見習いたいところです……」
「ところで『エル・ティグレ』様からポンコツの香りが」
「今、あたしのことポンコツって言った!? です?!」
 目を見開くサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』。
 そう、作戦は分断作戦である。
『エル・ティグレ』の持つ暗黒ボールはあらゆるユーベルコードを食らう。
 ならばこそ、『プラナスリー』の『ノイン』との連携はさせてはならない。もし仮に連携させてしまえば、ワンサイドゲームになりかねない。

 故に猟兵たちは『エル・ティグレ』を『ノイン』から引き離し撃破することに決めたのだ。
「ですが、危険であると判断いたしましょう。このたぐいの方々は往々にして理不尽な力を持っていると相場が決まっております。ならば、理不尽には理不尽をぶつけるのです。ルクス様!」
「えっ、なんですか!? わたしですか? いえ、いいんですけど。その、なんかわたしのことディスってませんでした?」
「いえ、そこまで言ってないです。ただポンコツ駄勇者などとは心の、胸の内にしまっております」
「それ言ってるも同然じゃないですか!」
「いえ、ルクス様が最適と思いました」
「言い繕っても!」
「いえ、それに言ったではありませんか。装甲も厚いしなんでもできる、と。暗黒ボールに光の勇者をぶつけるんだよ! って感じで隙を作ってもらえますか?」
 ステラはさっきから、いえ、と否定からまず入るようにしていた。
 バッドコミュニケーションじゃない?
 だが、しかし。
 我らが光の勇者は単純だった。
 最適。キミしかいないんだ、と言われると断れないし、まんざらでもない感じになってしまうのだ! だ!

「ま、まぁ、なんでも、とはいいましたし」
 ほら、ちょろー!
「勇者の本気を見てください! そして店長、あとで秘奥義教えて下さい!」
「いや、秘奥義、とは……?」
 なんかスタジアムで店長がほんのり照れつつも、よくわからないと曖昧に微笑んでいる。
 それだよ! と思わないでもなかったが、ルクスはハンガリー狂詩曲(ハンガリーキョウシキョク)を奏でる。
 それは常識を破壊する力。
 即ち!
 暗黒星雲ボールという常識を破壊する力!
「無理矢理過ぎない、です!?」
「常識を破壊するのですから、これくらいは……『セラフィム』!」
 本日二回目。
 真紅の光の翼から放出されるエネルギーと共に『クリムゾン・リッパー』がフィールドを駆け抜け、『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』へと突進し、弾き飛ばす。
 それは常識を破壊する理不尽には理不尽をぶつける、真の理不尽として――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

ううっ、『フィーア』さん、しばしのお別れだよー!
すぐに戻るから、待っててね♪

ということで、ティグレさん?
わたしと『フィーア』さんの時間を邪魔するとか、覚悟完了?

ま、使い魔の反乱とかよくあることだし、
しっかり躾けるのも、ご主人さまの役目、だよね。

あ、サージェさん、開幕一瞬でいいから時間稼ぎお願い(ぼそっ

サージェさんが隙を作ってくれてる間に、UC発動!
ユーベルコード禁止にしちゃえば、暗黒星雲もただのボール!
これなら怖くもなんともなーい♪

『希』ちゃん軌道計算お願い。
ハンマーで打ち返してカウンター、いくよー!

サージェさんも、よろしくだよ!
UC使えないから、普通に物理で殴っちゃってー♪


サージェ・ライト
【理緒さんと】
(トラメちゃんで毛繕い&のびーっってしつつ)
よーし準備完了です

おお、理緒さんが八つ当たりりおりお2しておられる……
っていうか、あの人名前『虎』なのにトラメちゃんより猫じゃないですか

あ、はい
では参りましょう!
というわけでー!
トラメちゃんハウリング!!
具体的には【VR忍術】トラなのにオオカミみたいに吼えたら衝撃波が発生する術!です
ボールそのものはトラメちゃんの機動力で回避
しつつ、ハウリングでエル・ティグレさんの動きを留めましょう
わーい、今日も理緒さんが敵に容赦ない!!
どうしてそんなに殺意が高いのか!
アスアスですよ此処!
まぁ物理が通じるならトラメちゃんGO&ねこぱんちです!



 うう、とさめざめとした声がパーティションの中に響く。
 こんなにも近い距離にあるのに、フィールドの中では離れ離れ。
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はしくしくと涙をこぼしていた。そう、これは作戦なのである。
 チーム『プラナスリー』は二人だけのチームである。
 ダークリーガー『ノイン』とサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』。
 この二人がタッグを組んだことで、人数の不利はたやすく覆る。
 敵に連携させぬための分断作戦。
 猟兵は『エル・ティグレ』を引き離すべく、戦いを挑む。
 あらゆるユーベルコードを食らう絶対兵器、暗黒星雲ボール。これを躱し、なんとか『エル・ティグレ』のホビーを撃破しなければならないのだ。
「ううっ、『フィーア』さん、しばしのお別れだよー! すぐに戻るから、待っててね♪」
 そんな理緒の今生の別れみたいなやり取りに『フィーア』は苦笑いしていたが、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は己のホビーである『トラメ』の毛づくろいという準備を万端にして、よし、と意気込む。

 前口上をキャンセルされまくったり、クノイチとしてのアイデンティティが揺らぎかけたが、しかし!
「よーし準備完了です」
 戦わなければならないというのならば、気合は充分。
『トラメ』ちゃんもそう言っております。
「いきますよ、理緒さ……」
「ところでティグレさん?」
「うえ?! あたし?」
 理緒のただならぬ雰囲気に『エル・ティグレ』はたじろいだ。
 それはそうであろう。なんか理緒の背景が黒いっていうか、オーラが揺らめいているっていうか、なんていうか尋常じゃない雰囲気なのである。
 気圧されそうに成る。
「わたしと『フィーア』さんの時間を邪魔するとか、覚悟完了?」
「言いがかりが過ぎないか!? です!?」
「おお、理緒さんが八つ当たりりおりお2しておられる……」

 おいおいあいつ死んだわ……なポジションだけど、大丈夫か、クノイチサージェさん。
「ま、使い魔の反乱とかよくあることだし、しっかりしつけるのも御主人様の役目、だよね」
 にこ、と理緒が微笑んでいる。
 これはやばいあれである。
『エル・ティグレ』は思った。これがあるからバレたくなかったのだ。
 猟兵というのは生命の埒外である。
 そんな連中を敵に回すことなんてできやしないし、したとしても運命は決まっているのである。
 だがしかし!
『エル・ティグレ』とて、第三銀河の征服王である。
「確かに! 御主人様がたにはご迷惑をおかけしてるけどさ! です! 今は『プラクト』の試合だ! なら!」
 ここで! と『エル・ティグレ』は意を決して暗黒星雲ボールを蹴り出す。
「トラメちゃんハウリング!!」
 唐突に炸裂するVR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)という名の衝撃波がを『トラメ』の口腔から技!
 もうトラなのか狼なのかよくわからん!
 だがしかし、その衝撃波で『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』の動きが止まる。

「んなっ!? けど、たった一瞬動きを止めたくらいで……! ってあれー!?」
『エル・ティグレ』は己の蹴り出した暗黒星雲ボールが、蹴り出した瞬間に、ガス欠するみたいにぷすんと地面に落ちる様を見た。
 え、なんで?
「World Without Abilities(ワールド・ウィズアウト・アビリティズ)……ユーベルコードを含む全特殊能力使用禁止を究極の世界で書き換えたよ!」
「え」
 なにそれずっこい。
「わーい今日も理緒さんが敵に容赦がない!!」
「ユーベルコード禁止にしちゃえば、暗黒星雲ボールもただのボール! これなら怖くもなんともなーい♪」
 あ、それ! と理緒のプラスチックホビーは手にしたハンマーが唸りを上げる。
 このときの為に理緒はハンマー型の武装を追加していたのだ。

 へろへろ転がってきたボールを野球というか、ゴルフスウィングよろしく打ち返す。
 凄まじい勢いの鉄球が『鉄球バスター』の頭部を跳ね上げる。
 ボクシングでアッパーを食らったかのようだった。
「んえっ!?」
「サージェさんも!」
「なんでそんなに殺意が高いのか! ここ、アスリートアースですよ!」
 と言いつつもサジェもまた『トラメ』によるネコパンチでゴー! である。
 容赦ない追撃に『エル・ティグレ』はちょっと涙目になる。
 御主人様たちホントまじで容赦ない、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
楽しく戦う、それがあの子達の強さだから
私も『エル・ティグレ』との戦いを楽しむわ
機体の調子は万全
模擬戦の成果を見せてあげる

『マニューバ』操作で機体の動きに心を研ぎ澄ませるわ
いきましょう『セラフィム』
超高速で相手の攻撃を見切り、駆ける
楽しくても、本気よ
勝利のために命を燃やして走り抜け
乱れ撃つ光の矢で『エル・ティグレ』を射止めるわ

『ノイン』との戦いも白熱しているかしら
……勝ってね『アイン』



 サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』は猟兵たちの構成によってダークリーガー『ノイン』と引き離されていた。
 チーム『プラナスリー』の必勝パターンは『エル・ティグレ』の放つ暗黒星雲ボールによる敵の一網打尽と、その一打を打ち込むための状況をダークリーガー『ノイン』が作り出すことによって嵌まるものだった。
 だからこそ、『五月雨模型店』のメンバーは分断作戦に出たのだ。
 猟兵たちにあらゆるユーベルコードを食らう暗黒星雲ボールを放つ『エル・ティグレ』を任せたのは負担の大きなところであると理解はしていても、これが猟兵たちの望んだ形でもあるのだ。
「流石は、御主人様たちと言っておこうか、です」
 猛攻にさらされながらも『エル・ティグレ』は未だ健在であった。

 腐ってもサッカー・フォーミュラ。第三銀河の征服王。究極美少女である。
「そう。でも、楽しいでしょう」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は己のプラスチックホビー『セラフィム』と共にフィールドを駆け抜ける。
 機体の調子は万全。
 そして、『五月雨模型店』のメンバーたちとの模擬戦で実力は高まっている。
「……そりゃあ、まあ。だけど、御主人様よ。あたしの弟子だって大したものだよ。負けちゃうんじゃないのか?」
「それでもいいの。楽しく戦う、それがあの子達の強さだから」
 だから、と静漓は、その青い瞳に『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』を捉える。
「私もあなたとの戦いを楽しむわ」
「ハッ! 言ったな、です!」
 猛虎の形を得たエネルギーを纏う『鉄球バスター』。
 その疾走疾駆は凄まじいものであった。

 一気に距離を詰め、静漓の『セラフィム』を翻弄するように圧倒的なスピードでもって取り囲むのだ。
 その光景に静漓はこころ惑わされることなく、集中する。
 心を研ぎ澄ませる。
 心は湖面。
 波紋は、広がっていく。
 青い瞳が見開かれた瞬間、ユーベルコードに輝く。
 そこに、しるべ(シルベ)があった。
「どんなにあの子が速く、遠くに行くのだとしても、追いついてみせるわ」
 悪魔の加護をまとった『セラフィム』が迫る『エル・ティグレ』の一撃を躱す。
「躱した! 楽しいけどさ!」
 振り下ろされるかかと落としの一撃を受けて『セラフィム』の装甲が砕ける。
 だが、それでも静漓は止まらなかった。

「ええ、本気よ」
 だから、楽しい。
 だから勝利のために生命を燃やす。もっと、もっと、もっと、速く。
「『セラフィム』」
 その言葉と共にアイセンサーが煌めく。
 圧倒的な速度に到達する『セラフィム』が『エル・ティグレ』の動きを凌駕する。
 勝利のために。
 そのために駆け抜ける『セラフィム』の腕部が変形し、弓の形へと変わっていく。
 引き絞るは光の矢。
 放たれた一射が分裂し、雨のように『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』へと降り注ぐ。

 その光景を見やりながら静漓は『ノイン』と戦う『五月雨模型店』のメンバーたちの姿を認める。
 もとよりこれは彼らの戦いだ。
 ならばこそ、静漓は己ができることをした。
 後は、彼ら次第。
 けれど、祈らずにはいられない。
「……勝ってね『アイン』」
 誰よりも速く駆けていく彼女の背中を見つめる。
 その先に勝利があって欲しいと願うばかりだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「責任感じてなんとかしようとしてたのは伝わってるぜ?ちょいと勢い余っちゃいるが」

SPD

「折角だから楽しくやろうや…の前に自己紹介しとくか。お互い初対面だしな」
挨拶を済ませたら『レッツ・アクト』だ

要はサッカーボールの直撃を受けないよう常に動けばいい訳だろ
推力移動による空中戦が得意の『クロム・スティール』ならやれるさ

ライフルで牽制、相手の挙動を見切りながら避け続ける
機を待つ、相手がボールを蹴る直前、タイミングを狙って…今!
バックフリップ回避動作からの背面バズーカ発射!
重要なのはボールの勢いを殺す事…つまり蹴り返せるって事さ!
脚部損傷覚悟の限界突破シュートでカウンターゴールを決めたらあ!

アドリブ歓迎



 サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』は確かに『プラクト』世界大会WBCを中断させた異星の『ギャラクシィリーガー』たちの主である。
 とは言え、配下たちが先走った結果でもある。
 何らかの女に責はない。
 と、手放しに言えたのならばよかった。
 けれど、試合を中断させた挙げ句、猟兵たちに敗北したために彼女もまた戦わずして猟兵達の配下と相成ったのだ。
 それはどうしようもないことであった。
「でも、やらなきゃならないのが征服王の辛いところっていうか! です」
「責任感じてんだな」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は、『エル・ティグレ』が一応は、なんとかして一度は中断した世界大会の試合を成立させようと奮闘していることを理解していた。

 とは言え、自分がチームメイトとして出場したのならばワンサイドゲームになることもわかっていただろうに。
「確かに。フェアな勝負ていうけど、自分の力を全部使うなら、すでに公平じゃない? です? 持てる力全てを持って、なんてアスリートとして当然っていうかぁ。むしろ、手心加えるのが失礼っていうかぁ。なので!」
「いやまあ、ちょいと勢い余ってやしないか?」
 祐一は冷静だった。
『エル・ティグレ』の暗黒星雲ボールは脅威である。

 この『プラクト』というホビースポーツの競技性からして、あらゆるユーベルコードを食らう絶対兵器は、先程も言ったがワンサイドゲームにしてしまうほどの力を持っている。
 特にプラスチックホビーに『ユーベルコード発生装置』を組み込んでいるから尚の事である。
「それはそれ、これはこれ、です!」
『エル・ティグレ』の駆る『鉄球バスター』が獣の如き暗黒星雲のパワーをまとってフィールドを疾駆する。
 おそるべき速度だった。
「だよな。まあ、せっかくだ。楽しくやろうや……星野・祐一だ。『レッツ・アクト』だ!」
「第三銀河の征服王にして究極美少女『エル・ティグレ』! 正々堂々とやってやろーじゃん、です!」
 互いの機体がフィールドにて真っ向から正面衝突を起こさんばかりの勢いで踏み込んでくる。
 祐一の駆る『クロム・スティール』がライフルを構え、牽制の射撃を行う。
 敵の挙動を見極めるためであったが、しかし暗黒星雲のオーラを纏う『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』は構わず突っ込んでくるのだ。
「そんな豆鉄砲で! です!」
 来る、と祐一は理解する。
 敵は必ず鉄球たる暗黒星雲ボールを蹴り出す。
 その瞬間こそが、決定的な隙。
 故に祐一は、そのタイミングを見極めた瞬間、己が機体に急制動を懸け、空中で一回転するようにしてバク転する。

「虚を突いたつもりか、です!」
 放たれるバズーカ。
 その爆風が暗黒星雲ボールと激突して凄まじい爆煙を巻き上げる。
 そう、祐一の目的は回避ではない。
 暗黒星雲ボールの勢いを殺すこと。
 ユーベルコードでは暗黒星雲ボールの勢いは殺せない。
 だからこそバズーカである。手にしていたバズーカを投げ捨て、『クロム・スティール』が足を振り上げる。
 補修したばかりの脚部。
 だが、ためらいはない。
 勢いを殺せたということは、もう暗黒星雲ボールはフリーボール。
 先に蹴り出した方がマイボールになるというのなら!
「つまり、蹴り返せるってことさ!」
 裂帛の気合と共に祐一は暗黒星雲ボールを蹴り出す。
 脚部が損壊するなど構いやしなかった。限界を超えたシュートの一撃は『エル・ティグレ』の機体の端を凄まじいスピードで駆け抜け、フィールドの端、その電光掲示板を粉々に砕くのだ。
「これがカウンターゴールだぁ!!」
 競技変わっているような気がしないでもないが、しかし、それでも祐一はサッカー・フォーミュラにサッカーで勝利を収め、雄叫びを上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
エルちゃんよぉ…おめー何やらかしてくれてんの?(じとー

取り合えずノイン…おめーらが彼奴に負ける通りはねぇ…精々時の運だけは気をつけな?

んじゃ…取り合えず…エルちゃんは後でお仕置きだ
この後は南の島でマンゴーの皮むき研修24時間だからしくよろ!

【情報収集・視力・戦闘知識・瞬間思考】
メルシー…おめー…速さでアインや白騎士に後れを取るか…?
「そんな訳ないじゃーん☆本当の速さって奴を見せてやるぞ☆ご主人サマとね☆」
敵の動きと攻撃の方向性を冷徹に把握
【属性攻撃・迷彩】
無数の幻影と共に光学迷彩と水の障壁で存在を隠し
【念動力・弾幕・二回攻撃・切断】
UC発動
念動領域で動きを鈍らせ…鎌剣で襲い連続斬撃で切り刻む!



「エルちゃんよぉ……おめー何やらかしてくれてんの?」
 じとーっとしたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の視線にサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』はビクッとした。
 それもそうである。
 なんていったって今の彼女は猟兵達の配下なのだ。
 謂わば上司。
「い、いやぁ……これは、そのぉ」
「大人気なく乱入して、その暗黒星雲ボールで? ノーコンテストになった試合をなんとか成立させよーっていう意気込みは買うけどよぉ」
 流石に暗黒星雲ボールは反則に近いだろ、とカシムは思った。
『プラクト』の競技性上、どうしたって『ユーベルコード発生装置』は欠かせないものである。
 そのユーベルコードを喰らう絶対兵器、暗黒星雲ボールを繰り出すのは、流石にワンサイドゲームが過ぎる。
 故に猟兵たちは『エル・ティグレ』を『ノイン』たちから引き離しているのだ。

「決着は連中でつければ良い。あいつだってそこまで弱いわけじゃあるめーよ」
「それは、そうだけど、です」
「ま、奴らとてがんばってんだ。大人は大人の話をしようじゃねーか!」
 それはそ、これはこれ!
 つまり、ここからは『エル・ティグレ』と猟兵の戦いである。
「後で、南の島でマンゴーの皮むき研修24時間だから、しくよろ!」
「なんでそんな研修!?」
 よくわからんお仕置き題目に『エル・ティグレ』は目をむく。

 とは言え、カシムは思う。
 これだけの敵と相対し、やはり肝心要なるのは速さである。
「『メルシー』……おめー……速さで『アイン』や『白騎士』に遅れを取るか……?」
 すでに二度土をつけられている。
『そんな訳ないじゃーん☆ 本当の速さってやつをみせてやるぞ☆ ご主人サマとね☆』
「え、何の話してる?!」
「こっちの話だ。行くぞ、神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)起動……『メルクリウス』……お前の力を見せてみろ……!」
 無数の幻影がフィールドに満ちる。
 それは姿をくらます力であり、気配を絶つ力。
 念動力で持って放たれる光玉の弾幕に、さらに『メルクリウス』の加速が加わるのだ。

 確かに『エル・ティグレ』の暗黒星雲ボールは恐ろしい。
 あらゆるユーベルコードを食らう絶対兵器だ。
 これを如何にするかが戦いの肝である。
 だが、同時にカシムは思う。
『アイン』がそうであったように、どれだけ強大な力を持った存在とて、その最高点に到達するまでの時間がある。
 己達が『アイン』に土をつけられたのは、その差である。
 最高速度は言うまでもなく『メルクリウス』が上であろう。
 だが、それでも速さで負けたのは。
『初速の違いなんだよね☆』
「なら、やってみせろよ!」
 その言葉と共に『メルクリウス』は『エル・ティグレ』の暗黒星雲ボールが放たれる瞬間に間合いを詰める。

「速いっ!?」
「確かにそれはおそろしーけどよ、発動する前なら!」
 ただのボールである。
 もっと言えば『鉄球バスター』の鉄球である。
 インターセプトよろしく鉄球を奪った『メルクリウス』は空中で鉄球を蹴り上げ、体を捻るようにしてボレーシュートの一撃を『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』へと叩き込み、その躯体をフィールドへと叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

出たね!サッカー少女!
仲良くやってるようでよかったよ
もう少しでギャラクシーコーラ買ってきて!
南の銀河の二丁目のコンビニの限定品!ってコーラ・キルをするとこだからね!

●いわば発泡金属
発泡スチロールって知ってる?多分それに近いんじゃない?多分
流体金属練り込みプラ粘土素材にナノバブルを含包することでバラバラXくんは3割の計量化に成功しているよ!
つまりいつもの3倍早く動けるってことだね!
といつもより早い変形でボクの【第六感】指示に合わせてバラバラXくんは分離パーツで輪を作るようにして彼女の放ったボールを避けながら接近戦をしかけるよ!

二人には後でコーラをおごってあげよう!



 ぎりぎりとフレームが歪む音がした。
 猟兵達の猛攻によってサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』のプラスチックホビー『鉄球バスター』の駆体は軋んでいた。
 だが、それでも彼女はサッカー・フォーミュラである。
 第三銀河の征服王としての実力は競技が違えど、しかして力を示すのだ。
「確かにあたしは征服王だし、究極美少女だけど、それでも今は『プラナスリー』のチームメイトなんだ。なら!」
 吠える。
 猛虎の如く。
 その在り方こそが彼女の本質であったことだろう。

 故にロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は笑う。
「出たね! サッカー少女! 仲良くやっているようでよかったよ」
 もう少しでギャラクシィコーラ買ってきて! とパシるところであった。
「南の銀河の二丁目のコンビニ限定の!」
「どこのやつなんだい、それ!? です!」
「いやぁ、コーラ・キルするところだったよ。でもまあ、真っ向勝負だよね!」
 と言いながらロニは己のホビー『バラバラX』を一瞬で分離させる。
 その名が示す通り、その駆体は別個のパーツとして分散し『エル・ティグレ』の放つ暗黒星雲ボールを躱すのだ。
 はっきり言って、暖簾に腕押し状態である。

「んなっ」
 それにしたって速すぎる。
 どう考えても別個操作しているとは思えない速度でびゅんびゅんパーツが飛び交っているのだ。
「ふふん。発泡スチロールって知ってる? 多分それに近いんじゃない? 多分」
 なんとなくわかったようなわからんような。
 流体金属練り込みプラ粘度素材にナノバブルを含包ことによって『バラバラX』は三割もの軽量化に成功しているのだ。
 つまり!
「三倍の速さで動けるってことだ!」
 ん?
 そう、なのか……? そういうことなのか……?
『エル・ティグレ』はなんとも言い難い顔をしていた。
 だが、それは些細なことである。
 目の前で『バラバラX』のパーツが乱舞しているっていう現実のほうが大切なのである。

「ええい、本当にちょこまかと! です!」
「アハハハッ! 速いでしょ、すごいでしょ、かっこいいでしょー! ほらほら、躱さないと! 暗黒星雲ボールも当たらなければ意味なんだよ!
 ロニの言葉に『エル・ティグレ』は歯噛みする。
 悔しいが、確かにロニの言うとおりだ。
 暗黒星雲ボールはあらゆるユーベルコードを食らうが、しかし当たらなければ意味がない。
 そういう意味ではロニの『バラバラX』は相性が悪かった。
 分離して躱す。
 合体して迫る。
 この二つをすぐさまシームレスに行う機体は『エル・ティグレ』にとって天敵そのものだったのだ。
「さあ、二人には後でコーラをおごってあげるからね! さ、これでしまいにしよう! どーんっ!」
 合体した『バラバラX』が振るうは神撃(ゴッドブロー)の一撃。
 それは、フィールドを穿ち『エル・ティグレ』の機体を吹き飛ばしながら、試合後の爽やかな余韻を先取りするようにロニはコーラの栓を弾くようにして抜くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白山・仁瑚
ううっ、ししょーたち!忙しい中教えてくれてマジあんがとね
そっちはよろしく頼みます!

そんでうわーエル・ティグレさんぢゃん!うわっ、生のナインフォーミュラ見れると思ってなかった、マジやば!
あっ、あーしつい最近りょーへいになったんでータメでいっすよー
んでも勝負は勝負、そこんとこもどうぞよろしくっす!

暗黒ボールやば、写真とっとこ。あー写真いいですか?
UC効くか分からんけどぱしゃる。暗黒ボールが撃てなくなったら御の字だけど出てもそれはそれで面白そうだからいいや
攻撃は関節部分を中心に狙っていけばイイ感じ?攪乱しながら攻撃してダメージ重ねてくべ
よっしゃ、んじゃ後は正々堂々やっていこー!



 白山・仁瑚(今をきらめくフォトグラファー!・f42936)にとって『五月雨模型店』の少年少女たちは『プラクト』の師匠だった。
 彼らが初めてのホビースポーツに参加する仁瑚に懇切丁寧にいろんなことを教えてくれたからだ。
 誰一人として面倒くさがるものはいなかった。
 誰もが彼女に親切にしてくれた。
 それは仮に彼女が『プラクト』競技から離れて、プラスチックホビーのことを忘れてしまう可能性があるのだとしても、変わらぬことであっただろう。
 同じスポーツを楽しむこと。
 そこに上級者であるとか、初心者であるとか、そういう垣根は必要ないのだ。
 故に、仁瑚は己がなすべきことを成そうとしたのだ。

「うわー『エル・ティグレ』さんぢゃん!」
 だが、仁瑚は思わずテンションが上がってしまっていた。
 本物のフィールド・オブ・ナイン。
『バトル・オブ・オリンピア』におけるサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』。究極美少女であり、第三銀河の征服王、シャーマンでもある彼女は仁瑚にとってある種の憧れであった。
「うわっ、生で見れると思ってなかった、マジやば!」
 パーティションで区切られていても、それでも生で見れる『エル・ティグレ』の気格は凄まじかった。
 溢れ出るオーラ。
 やばすぎる。

「ん? なんだい、御主人様。あたしと会うのは初めてかい? です?」
 変な敬語!
 それもそうなのである。
 彼女はこれまで征服王として他を圧倒してきた存在。
 これまで一度も誰かの下につくことなんてなかったのだ。故に、敬語が不慣れなのである。
「あっ、あーし最近りょーへいになったんでータメでいっすよー」
「はっ、あたしも堅苦しいのは苦手でね。まあ、分別っていうか、区切りっつーか、ケジメっつーか?」
「はー、まじリスペクトっす。んでも勝負は勝負、そこんとこもどうぞよろしくっす!」
「やる気はあるじゃんね。なら、これが最後の一球になりそうだから、見逃すんじゃないよ」
『エル・ティグレ』の気配が膨れ上がる。
 重圧にビリビリと仁瑚は圧せられるようであった。
 だがしかし、仁瑚はカメラを構える。
 己のホビーは、このときのためにカメラ型の武器を作っていたのだ。所謂ガンカメラタイプ。
 それを構える。
「えっ、マジいーじゃんソレ!」
 そう、彼女は『フォトグラフィ』アスリート。
 カメラのレンズを構えれば、激エモパララッチ!(ゲキエモパララッチ)なのである!
 放たれた暗黒星雲ボールにシャッターを切った瞬間、フィールドからボールが消える。
「……!?」
「やっぱ最後は正々堂々っしょ! あっ、これで勝負終わったら、最後は皆で集合写真とりましょうよ、そうしましょ!」
 んね、と仁瑚は笑い、ボールを封じたまま己が作ったロボットホビーと共に突撃する。
 すでに『エル・ティグレ』の『鉄球バスター』は限界が来ていた。
 最後の一球と言ったのは嘘ではなかったのだ。
 仁瑚の突撃に合わせて崩れ落ちる機体。

 そして、時同じくして『五月雨模型店』のメンバーとの激闘を終えた『ノイン』のホビーもまた崩れ去る。
 試合終了を示す声援が鳴り響き、『五月雨模型店』の決勝進出が決まった瞬間であった。
「なーんてことがあったよねぇ……はぁ、マジエモいなぁ」
 仁瑚は試合終了の後、『五月雨模型店』のメンバーとダークリーガー『ノイン』、『エル・ティグレ』、そして試合に参加した猟兵たちと共に集合写真を撮っていた。
 一枚の写真をひらひらと掲げ、眺める。
 そこには多くの笑顔が咲いていた。
 スポーツを通して、いがみ合うのではなく、理解し合う。
 その尊さを仁瑚は多くの人に届けたい。
 こんなに楽しいことが。こんなに夢中に成ることが、まだ世界にはいっぱいあるんだと示すように、仁瑚は己が撮った写真に笑いかけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月26日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト