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アルダワ魔法学園の『やすらぎの館』へフラフラとした足取りで向かうドラゴニアンの少年。
「んー…目がかすみますー…」
ルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)はアルダワ魔法学園の生徒である。
彼は迷宮探索の実技試験を終えて下宿先の『やすらぎの館』へ向かっている。
ふらりふらりと覚束ない足取りで館の中へ入っていくルク。
今回のダンジョン探索実習は依頼で出向く内容と遜色なかったこともあり、身体が疲労感を訴え続けていた。
「うー、今回の試験は特に疲れました…」
独り言を呟きながら、ルクは大広間のソファに腰を掛ける。
「…はぁ」
大きなため息を零すルクにとって
やすらぎの館は数少ない心地よく休める場所だ。そんなこともあってか、一気に眠気が襲ってくる。
(だめだ、こんなとこで寝ちゃったら…!)
こっくり、こっくり。意識とは裏腹に、眠気に逆らえないルクは。
「すー…すー…」
試験が相当身体に来て疲れが出たのか、そのまま寝落ちて。
こてん、とバッテリーが切れたようにソファに倒れ込んでいった。
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そんな中、体力が尽きた少年の側をご機嫌な蒼狼の青年が通りかかる。
「わふわふうるふだぜー♪……お?」
鼻歌交じりな蒼狼の青年はグリモア猟兵の一人。彼、デュオゼルガ・フェンリルもまた同じ団員であり『やすらぎの館』へ訪れていた。
「ルクくん疲れてるのかな?気持ちよさそうに寝てっけど…このままだと風邪引いちゃうよな」
見かねたデュオゼルガは、起こさないようにルクを抱きかかえる。
「よいしょ…っと」
ルクを抱きかかえると、ぽてぽて、と蒼狼の肉球から発せられる足音が館の廊下に響く。
「えーっと、確かここらへんに空き部屋があったようなー…?」
ぽてぽて、とてとて。可愛らしい足音を立てながら空き部屋を探すデュオゼルガ。
「んー、もふもふぅ…」
「へへ、気持ちよさそうな寝言なんだぜー♪」
デュオゼルガはくすくすと笑みを零しながら、ようやく見つけた空き部屋に整えられたふかふかなベッドへ、起こさないよう慎重にルクを寝かせる。
掛け布団をかけてあげたデュオゼルガは、不意にルクの寝顔を見るなりふわりと眠気を誘われた。
「す…少しだけなら、良いかなぁ……」
デュオゼルガはむにゃあ、と小さく欠伸をすると、ルクの隣へもそもそと布団の中に吸い込まれていった。
するとルクのつるぷにの体は、ふわふわなデュオゼルガの毛皮に包まれていく。
極上なモフモフの毛皮から発せられる蒼く清らかな氷狼の波導が、ルクの体内に氷属性の快い魔力として流れ込んでいく。
「「……Zzz」」
しばらくして、二人の寝息が部屋を包んでいった。
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30分から1時間くらいの時間が流れて。
「んっ…もふもふ…」
程なくして意識を取り戻すルク。
「ああ〜…」
やってしまった。と赤面してしまう。
「わふ、ルクくん起きた?」
一方でふわりと尻尾を揺らしているデュオゼルガは笑顔だ。
「あ、あれ…?ゼルさんもお昼寝でしたか?」
慌てふためくルクの問いに、デュオゼルガは答える。
「えへへ、気持ちよさそうに寝てるルクくんを見てたら俺まで眠くなっちゃって。だからちょっとだけお昼寝してたんだぜ」
恥ずかしそうに頬をかくデュオゼルガに思わず笑みが溢れる。
「…またお昼寝の時、ご一緒できますか?」
少し恥ずかしそうに、ルクは零して。
「もちろん!胸でもモフでも、俺はいつでも歓迎なんだぜ♪」
ルクは快諾してくれたデュオゼルガに、確かに元気を分けてもらった気がした。
デュオゼルガのモフは素晴らしいリラックス効果があったようで、普段よりも遥かに健やかになったルクであったとさ。
成功
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