~残骸戦機ダスティシンデレラ 第214話~
オープンカフェで午後のティータイムを過ごしていた依代の前に勝手に相席した男は、不敵に笑う。
「別に、断るなら断ってくれて構わない。こちらも報酬は別の猟兵の補填に当てる」
それだけ言って去っていった背中を見送り、カップを傾ける依代だが、ふと気づく。
「しまった、いつもあいつらが勝手に仕事を受けてくるから、つい断っちゃったけど、グリモア猟兵からの正式な依頼だったなら、まともな仕事だったのかな……」
あいつら――七機に及ぶ、ダスティシンデレラシリーズ。彼女らは自我を持つキャバリアにして依代の頭痛のタネであった。というのも……。
「困っている人は放っておけないって、無償で仕事とって来ちゃうんだもんなぁ……」
猟兵の報酬は言い値である。そこだけ聞けばさぞや高給取りであろうと思うだろうが、逆に言えば猟兵の方が義によって無償援助を申し出ればタダ働きになるということでもある。
依代の場合、それをキャバリアが勝手にやってくるのだからたまったものではない。
「弾薬費に修理費だけじゃなく、僕には生活費ってモノもあるんだっていつになったら分かってくれるんだ……」
猟兵は異世界を股にかけて依頼を受ける。それは依代もまた例外ではなく、UDCアースにてとある依頼を受けた時の事。クロムキャバリアと異なり電信技術が発達したこの世界はそこかしこに電波が飛び交っており、なおかつ『表向きは』平和な世界であったためにキャバリアの様な兵器は違和感云々の問題は別として単純に町中を歩くことができない。
オブリビオンの詳細を調査するにあたって、戦闘前にその五メートルの体躯で通行人を踏みつぶしました、などとあっては笑えない為、待機させていたのが運の尽き。
『依代!私は正義の心に目覚めました!!』
なんと、待機中のキャバリアが勝手に電波を拾ってロボットアニメを視聴し、その影響を諸に受けてしまったのである。結果、愛と勇気があれば何でもできると信じて疑わない熱血馬鹿な思考回路を構築してしまい、依代の頭を悩ませる代物になってしまっていた。
故に、キャバリアが勝手に拾ってくるタダ働きとは別に自力で仕事を探して働き続けなければならない依代にとって、静かにカップを傾ける一時は値千金。蹴ってしまった案件は仕方がないと割り切って、透き通った赤い甘味を口に運んだ時だった。
「りーあーじゅぅううううう……爆ぜろォオオオオオ!!」
――続く!!
成功
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