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ディザスター/IVI/シールダー

#ケルベロスディバイド #黄道神ゾディアック #IVI

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●4・5・6
 十数年前――。

 それはケルベロスディバイド世界においては有数の戦いであった。
 決死の戦い。
 死定神『免れ得ぬ運命の蛇』との戦いは決戦都市9つ分の予算をもって投入された|『決戦配備』《ポジション》である体高5m級の自律型戦術兵器『セラフィム』たちによって、なんとか封印という形で決着を見た。
「いやぁ、あれは突貫工事だったね! 良くやれたものだよ、私も!!」
 若かったんだろうねぇ、と彼女は亜麻色の髪を揺らして星写す黒い瞳をモニターに浮かんだデータへと走らせる。
 そこにあったのは十数年前の決戦にて封印した強大なデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』――通称『飛ぶ蛇』の封印状況をモニタリングしたデータだった。
 無数の『セラフィム』によって幾重にも封印している。
 とは言え、完全ではない。

「あの頃の私は小娘も小娘だったからね。その上、突貫と来たものだ。まあ、なんていうか、その」
『博士、素直に言いましょう。封印に綻びが出ている、と』
 サポートAI『第九号』が告げる。
 その言葉に特務機関DIVIDEの上層部は目を剥く。
「そうだよ! なんか封印が綻び始めているんだ! ていうか、私の計算ではまだ先のはずだったんだよ! 本当なんだよ!?」
「言い訳は後にして欲しい。『エイル』博士。それで」
「ああ。これはどう考えてもおかしい。私の計算が間違っている訳が無い。どうやら、デウスエクスの連中も考えたようだね」
「というと」
「奴ら気がついたんだ。あの封印は大量のグラビティ・チェインをぶつければ、封印は砕ける、と。この綻びは奴らが得たグラビティ・チェインをぶつけた結果なんだよ」
『エイル』博士は、頭を抱える。

 つまり、それは近々デウスエクスによる地球人類の大量虐殺によって得た大量のグラビティ・チェインでもって封印された死定神『免れ得ぬ運命の蛇』の復活作戦が行われるという予測された未来である。
「我々には未だ科学的にも魔術的にもデウスエクスの襲来を予測できない。となれば、やはり頼れるのは」
「そう、猟兵と猟兵としての力に目醒めたケルベロスたちだけということになるね」
「仮に」
 特務機関DIVIDEの上層部が尋ねる。
 そう、仮に、と。

「もしも、大量虐殺を阻止できたとしても復活は免れないのか?」
「ああ。けれど、相当弱体化した状態で復活することになる。この大量虐殺さえ阻止できれば……不完全な復活を為した死定神『免れ得ぬ運命の蛇』を」
「撃破することができるということか。急ぎ、連絡を。標的となる決戦都市が何処かのか、一刻も早く知り得なければならない……!」
 その言葉に『エイル』博士は頷く。
 大量虐殺を行わんとするデウスエクスの襲来。その予知ができるのは今のところ猟兵しかいない。
 事情を説明して協力を仰がねばならない。
「『第九号』くん、よろしく!」
『博士、もうやってます――』

●ケルベロスディバイド
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の予知でケルベロスディバイドの世界、その湾岸の決戦都市にて大量殺戮を為さんとするデウスエクスの襲来が予知されました」
 彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
 ケルベロスディバイド世界において、デウスエクスの襲来は頻繁なるものだ。
 デウスエクスは、何度でも襲来する。
 故に、人類は決戦都市と『決戦配備』を活用して此れを撃退してきたのだ。
 そして、今回もデウスエクスは地球人類を殺戮し、生存エネルギーであるグラビティ・チェインの簒奪を目論んでいる。

 だが、ナイアルテの言葉を聞けば、今回はそれが一味違うようだった。
「彼らは地球人類の体力殺戮の後に得たグラビティ・チェインでもって嘗て決死の戦いの末に封印した強大なデウスエクスの封印を時、復活に活用しようとしているのです」
 猟兵たちは理解する。
 体力殺戮は、この復活儀式に必要な大量のグラビティ・チェインの確保を置く敵としているのだ。
 そして、悪いことに強大なデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』の封印はほころびを見せているのだという。
 だが、これは幸いなのだとナイアルテは言う。
 何処がだろうか。
 敵は過去の地球人類の決死の戦いで漸く封印したデウスエクスである。
 強力無比であることは言うまでもないはずだ。

「いえ、不完全な復活儀式でもって開放された死定神『免れ得ぬ運命の蛇』は、相当に弱体化された状態で出現するようです。これならば、逆にこちらのチャンスとも言えるでしょう」
 最優先は一般人の殺戮が予知された湾岸の決戦都市にて迫るデウスエクスの撃退。
 そして、復活の儀式を執り行っている決戦都市に近しい山中のダム湖を突破し、湖底より復活した死定神『免れ得ぬ運命の蛇』を撃破するという流れになるであろう。
「これは言うまでもなく一大決戦と言えるでしょう。弱体化されているとは言え、敵は強大そのもの。どうかお願いいたします」
 大量殺戮。
 それをさせぬと駆け出す猟兵達を彼女は頭を下げ、見送るのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回の事件は『ケルベロスディバイド』。この世界における湾岸都市の近郊の山中、そのダム湖の湖底に封印された嘗ての決死の戦いの主たる超強力なデウスエクスの封印を解き、復活を目論む策動を打ち破るシナリオになります。

 ※『決戦配備』とは。
(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)
 に記されたものです。プレイングの冒頭に各々の単語を書き込むことで上記のプレイングボーナスを得ることができます。

●第一章
 集団戦です。
『病魔・破滅願望症候群』との戦いになります。
 大量殺戮が予知された湾岸の決戦都市に襲来する彼らを迎え撃ちます。
 ですが、彼らは一般人の殺戮を最優先としています。
 事前に人々を避難させてしまうと予知とは異なる街が襲撃されてしまいます。そのため、人々の避難を促すことはできません。
 彼らを『決戦配備』の体高5m級の人型である自律型戦術兵器『セラフィム』との連携を駆使して人々を護りながら戦わなければなりません。

●第二章
 冒険です。
 山中のダム湖にて封印されているデウスエクスの元へ急ぎます。
 ですが、復活の儀式を執り行っていたデウスエクスが待ち受けています。これらを速やかに突破しなければなりません。

●第三章
 ボス戦です。
 皆さんがダム湖に到着した瞬間、ダムの水は干上がり、湖底より姿を現すのは不完全な復活儀式により開放されたデウスエクス死定神『免れ得ぬ運命の蛇』、通称『飛ぶ蛇』です。
 本来ならば超強力なデウスエクスですが、グラビティ・チェイン不足から不完全な形での復活を果たしています。
 弱体化してなお、強力な敵ですが正面決戦を挑めるでしょう。

 それでは大量殺戮によって、封印されたデウスエクスの復活という目論見を打破する皆さんの物語を彩る一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『病魔・破滅願望症候群』

POW   :    世界はこの方が滅ぼしてくださる
無敵の【自身が崇拝するデウスエクス】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    お前達が否定してくるのなら……!
自身が【拒絶感や拒否感】を感じると、レベル×1体の【崇拝するデウスエクスの尖兵】が召喚される。崇拝するデウスエクスの尖兵は拒絶感や拒否感を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    我らが神に祈りましょう
レベルm半径内を【病魔が活性化する領域】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【世界を滅ぼす・デウスエクスに協力する行為】が強化され、【世界を守る・デウスエクスに敵対する行為】が弱体化される。

イラスト:こおりおこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「今回は一般人の事前避難はできない? なんで?」
『予知が狂う可能性がある、とのことでした。故に、今回は『決戦配備』を猟兵、ケルベロスたちに駆使して頂く他ないでしょう』
『エイル』博士の言葉にサポートAI『第九号』が応える。
 そう、デウスエクスの襲来。
 それは予知できているのだ。けれど、予知によって人々を避難させてしまうと予知が狂い、まったく別の都市が襲われ兼ねないというのだ。
 だが、敵の目的である封印されたデウスエクスが、この決戦都市と近しい、というのが幸いしたといってもいい。
 大量殺戮に襲来したデウスエクスを打倒したその足ですぐさまデウスエクスが封印されている山中へと向かうことができるのだ。
「今回はスピード勝負だよ。如何に早く大量殺戮に迫る敵を撃破し、復活儀式を行っているデウスエクスの陣を突破するか……それさえ為せれば、完全復活できなかった死定神『免れ得ぬ運命の蛇』を、『飛ぶ蛇』を打倒できる!」
 これはすごいことだよ、と『エイル』博士が言う。
 常にホログラムで猟兵達とは通信が繋がっている。
 いつでも『決戦配備』たる『セラフィム』たちの出動が可能となっているのだ。

「ええい、今回も予算なんて持ってけドロボー! ってやつだ。思う存分使いこなしておくれよ!」
『博士、もう半分自棄ですよね』
「差し迫った驚異なんだ。上層部も多めに見てくれるだろう! ……見てくれるよね?」
 そんな彼女たちの心配を他所に小剣により飛来するデウスエクス、『病魔・破滅願望症候群』が決戦都市に降り立ち、人々を殺戮せんと、その黒い獣の如き体躯でもって疾駆するのだった――。
アンジェリカ・ディマンシュ
UC発動――事象の入れ替えにより『一般人の負傷』を『デウスエクスの肉体の無傷』と入れ替え、一般人を無傷にしてデウスエクスに攻撃
更には『悼み無き無間地獄は敵手に』の効果を一般人とわたくしに入れ替え、即死する様な負傷であってもすぐさま回復
更に痛覚を遮断する事でショック死も防ぎますわ
その上で、一般人を『真の姿』に覚醒させる事で戦闘職ならサポートを

決戦配備、クラッシャー
このまま病魔を『操縦技術は持っているが今回戦闘出来ない人員』と『たまたま居合わせて真の姿になった一般人』との二点間で『戦闘技術』を入れ替え、戦闘を可能に

さぁ、サポートお願いしますわよ!
音響魔法陣を展開し、御旗となって駆けて行きますわ



 デウスエクスの襲来を知らせる警報が街に響き渡る。
 それは戦いを知らせる音であり、また同時に生命が奪われる音でもあった。
 飛来するデウスエクスの体躯は黒黒としていた。しかし、爛々と輝く赤い瞳が地球人類の体に蓄積されたグラビティ・チェインを奪わんと、その爪牙を振るう。
「うわああっ!!」
 振るわれた爪の一撃に人々の体躯が切り裂かれる。
 しかし、次の瞬間ユーベルコードが輝く。
 それは確かに爪振るわれ切り裂かれた一般人の傷を無きものとしていた。
「えっ、あっ? な、なんで……?」
「どうかお早く」
 戸惑う人々の背中を押すようにして、アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は戦場を駆け出す。

 何が起こったのか。
 理解できない。
 けれど、人々は見ただろう。
 己たちに振るわれた爪牙が齎した傷跡がデウスエクスの黒黒とした体躯に刻まれ、その傷跡から血潮を噴出させているのを。
「オレを否定するのか。俺達を否定するのか。私達を拒むのか。こうまでして、終わりがやってくるというのに、破滅を否定するのか!!」
 咆哮が轟く。
 逆転するはしかし、巻き戻しに対する反定立(ル・アンチテーゼ)は、此処にユーベルコードの輝きと共に人々に刻まれた傷跡をデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』へと逆転させる。
 それはアンジェリカの瞳によって見つめた任意の二点の間に起こった事象、その因果の逆転を行なうユーベルコードである。

 確定した事象しか逆転できぬが、それでも人々の傷跡はデウスエクスたちの体躯に刻まれるのだ。
「悼み無き無間地獄は敵手に(アンフィニィ・ラ・ディヴィジョン・セルレール)。さあ|『決戦配備』《ポジション》、クラッシャーですわ!」
 アンジェリカの言葉と共に彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 真の姿へと姿を変える。
 だが、デウスエクス『病魔・破滅願望症候群』たちもまた、己たちを否定するアンジェリカへと『飛ぶ蛇』の如き尖兵を召喚せしめる。
「どれだけ数で勝るのだとしても。サポートお願いしますわよ!」
「『セラフィム』の準備は出来ているよ。行きたまえ!」
『エイル』博士の言葉と共に自律型戦術兵器『セラフィム』が戦場に降り立つ。

 その鋼鉄の巨人は迫りくる尖兵を打ち倒し、時に打倒されながらもアンジェリカの戦いをサポートするのだ。
「御旗は此処に! 共に戦うものがいるのならば奥せず前に進むのです!」
 アンジェリカは『病魔・破滅願望症候群』へと立ち向かう。
 振るわれる爪牙が如何に彼女の体躯を傷つけるのだとしても、彼女は痛覚遮断によって痛みを覚えない。
 痛みは心に恐怖を呼び込む。
 けれど、痛みを感じないのならば彼女はためらわず踏み込む。
 傷が刻まれても構わない。
 無限瞬時に再生する権能をもって爪牙の一撃を即座に癒やして前に進む。
 骨身が削れるような戦いだ。
 デウスエクスは言うまでもなく強大な敵である。
 けれど、それでもアンジェリカは前に進む。

「痛みは悼みに、増殖はやがて再生の道を辿る。その公理を前に敵手たる者は無間地獄を我が御業によって味わう事になるであろう」
『セラフィム』たちがデウスエクスたちと相打ちになって破壊されていく中、それでもアンジェリカは唯一人戦場に立ち続ける。
 己のが背には戦えぬもの達がいる。
 ならばこそ、己が懸命たるは戦うこと。
 肉を裂かれ、骨断ち切られようと、臓腑ひしゃげようと。
 瞬時に再生して踏み込んでいく。
 己が広げる魔法陣は音響によって魔弾を生み出す。

 戦場に満ちる魔法陣は、光の雨のようにデウスエクスたちの大量殺戮を阻止せんと降り注ぐのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディッセンバー・クレイ
さて、そこまでです
私たちケルベロスがいる限り、あなたたちデウスエクスの思い通りになる事は何ひとつありません

【POW・メディック】連携・アドリブ歓迎
それがあなたの創造する最強ですか…まだまだ、ですね
私が見てきた最強はそんな程度ではありませんでしたよ
そして、その全てに私たちは勝ちました

UC【タイムザッパー】を発動、疑似時間停止で創造物ごと相手を止めて加速ブレスで攻撃します
たとえデウスエクスであろうとも、急激な時の流れは負荷になるでしょう?
あとは【セブンアームズ】でとどめを与えてここから退場してもらいましょうか

自分に決定的な死が来ないと思う油断が、あなたたちの弱さです
これは生存競争なのですよ?



 湾岸の決戦都市にはびこるは黒き病魔。
 そう、デウスエクス『病魔・破滅願望症候群』たちは、一斉に人々に襲いかかる。
『決戦配備』である自立型戦術兵器『セラフィム』たる鋼鉄の巨人たちが、それを阻止せんとするが、しかしデウスエクスに敵うべくもない。
 打倒される鋼鉄の巨人。
 破壊された『セラフィム』の頭部を踏みつけ、『病魔・破滅願望症候群』たちは咆哮する。
 己たちは破滅を望んでいる。
 逃れ得ぬ死という破滅が其処に迫っているのだというように咆哮をあげているのだ。
 その恐ろしげな咆哮に人々は惑うことしかできないだろう。

 だが、これをさせぬ者たちが居る。
 如何に破滅を叫ぶものがいるのだとしても、その破滅を是とせぬと咆哮するは三つ首の獣の名を冠する者たちであった。
「さて、そこまでです」
 ディッセンバー・クレイ(自由気ままな戦闘執事・f36957)はさっそうたる黒き執事服を揺らし、戦場に降り立つ。
 そう、ケルベロスがいる。
 どれだけ破滅を謳うものがいるのだとしても、己達番犬たるケルベロスがいるのだ。
 それを示すようにディッセンバーは宣言する。
「私達ケルベロスがいる限り、あなたたちデウスエクスの思い通りになることは何一つありません。『決戦配備』、メディックを」
「任されたよ!」
 その言葉と共に『エイル』博士の通信が入り、『セラフィム』たちが怪我人たちを抱えてその場から離れていく。

 ここからはケルベロスとデウスエクスの戦いである。
「邪魔をするな。破滅は其処まで着ている。もう終わりのときだ。人類全てはグラビティ・チェインを捧げよ!」
 咆哮と共に現れるは『病魔・破滅願望症候群』たちが思い描く『飛ぶ蛇』であった。
 それは空中で翻り、ディッセンバーへと襲いかかる。
 凄まじいほどに強大なデウスエクス。
 その攻勢はディッセンバーを後退させるだろう。けれど、ディッセンバーは冷静に見つめる。
「それがあなたの創造する最強ですか……」
「そのとおりだ。逃れ得ぬ破滅。免れ得ぬ死! それこそが!」
「……まだまだ、ですね。私が見てきた最強はその程度ではありませんでしたよ。そして」
 ディッセンバーの瞳がユーベルコードに輝く。

 瞬間、周囲の時間が停止する。
 否。
 それは時間の吸収にして、限りなく停止に近い超減速状態。
 あまりにも緩やかな時間の流れ故に、時が止まっていると錯覚させているのだ。
「最強、その全てに私達は勝ちました」
 煌めくは、時流転嫁の竜撃(タイムザッパー)。
 停止するかのような時間の流れの中にありて、ディッセンバーの言葉と共に放たれるは、超加速された瞬間老衰ブレスの一撃。
 一瞬にして黒黒とした『病魔・破滅願望症候群』たちの体躯が風化していく。
 急激な時の流れ。
 その操作によってディッセンバーは彼らの体躯を滅びへと導く。
 だが、それでも彼らは己が抱えた破滅を捨て去ることができない。

 そう、彼らは破滅を望んでいる。
 死という免れ得ぬものへと進むことに絶望しているのだ。
 故に、彼らは進む。
「止まりませんか。デウスエクスは死なない。自分に決定的な死が来ないが故に、その絶望は病魔としてあなたたちに降り掛かったのでしょう。ですが、それがあなたたちの弱さです」
 振るうは千万変化の斬撃。
 ハルバードが形を変え、その斬撃をもって『病魔・破滅願望症候群』たちを切り裂く。
「これは生存競争なのですよ?
 ディッセンバーは己の背後にて崩れ去っていくデウスエクスを振り返ることなく、襲来に見舞われた決戦都市にて負傷者たちを探すべく颯爽と駆け抜けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・プロメテウス
SPD ※アドリブ連携等歓迎
【庇護】
成程。
無辜の民の大量殺戮を以て、
この地に再び混乱をもたらすおつもりなのですね。
先達の方々が必死で守ってきたものをこれ以上壊させる訳には行きません。

決戦配備、メディック
敵は全て私が引き付けます。
皆様は一般人の方を私から離れたところでお守りしてください。
これを使った時、
彼らを巻き込むかもしれないので。

ESP領域を展開──
周囲の敵を纏めて引き寄せる特別な力場を発生させます。

これで近寄ってきた敵を
<エネルギー弾>の<一斉発射>で纏めて吹き飛ばします。
相手の攻撃は大盾で受けつつ、
<シールドバッシュ>で弾き飛ばします。

これで敵戦力を少しでも減らせれば良いのですが……



 戦場には破滅を否定する力が満ちていた。
 猟兵達、ケルベロスたちはデウスエクスの齎す破滅を否定する。
 生きるということは滅びを否定し続けることに他ならぬ。
 故に『病魔・破滅願望症候群』たちは、その否定を受けて『飛ぶ蛇』を噴出させる。
 圧倒的な数でもって湾岸の決戦都市に迫るのだ。
「俺達は破滅に進んでいる。それがどうしてわからない。どれだけ生きていようと死ぬことからは逃れられない。その絶望を否定するな!」
 その咆哮を受け止めるは白き鎧。
 メアリー・プロメテウス(灰かぶりのメアリー・f36240)は、その巨躯でもって踏み込む。

「先達の方々が必死で守ってきたものをこれ以上壊させるわけにはいきません」
 迫る『飛ぶ蛇』を手にした身の丈を超える大剣で打ち払いながら、彼女は立ちふさがる。
 己が背には負傷した一般人たちがいる。
 彼らを守らなければならない。
 この地には今混乱が満ちている。
 無辜の民の大量殺戮。それによってデウスエクスが得るのは大量のグラビティ・チェインである。そのグラビティ・チェインでもって為すはさらなる災厄の復活だ。
 だめだ、とメアリーは思う。
 それは看過できない。
 過去にありて多くの人々が決死で封印したデウスエクス。
 それを解き放つことは、過去の戦いを無に帰すかのような行いだった。

 故に彼女は全身鎧の、その兜の奥にてユーベルコードの輝きを解き放つ。
「『決戦配備』、メディック」
「了解! だが、君はどうする。この数を君一人で相手取るというのかい?」
『エイル』博士の通信にメアリーは頷く。
 敵は無数。
 己を取り囲むようにして迫っている。
 多勢に無勢。
 だが、彼女は力強く頷いた。
「此処は私が全て惹きつけます。どうか、彼らを私から離れたところへ」
「頼んだよ。だが、無理は」
「心配はご無用です。さあ、お早く」
 その言葉に飛来した自立型戦術兵器『セラフィム』たちが一般人たちを連れて離脱していく。

 その間も『病魔・破滅願望症候群』たちから放たれた『飛ぶ蛇』の攻勢にメアリーは苛まれながらも持ちこたえていた。
 彼女は待っていた。
 敵の数は多い。
 されど、己のユーベルコードは人々を巻き込むかもしれない。
 だからこそ、メアリーは『セラフィム』たちに人々の避難を優先するように頼んだのだ。
 だが、その心配も最早必要ない。
「ESP領域を展開。これより対象を無力化させます」
 明滅するメアリーの瞳。
 巨大な白亜の鎧のアイセンサーが煌めき、一瞬で周囲にあった『病魔・破滅願望症候群』たちを引き寄せるのだ。
「……引き寄せられる!?」
「抵抗できない……何故だ!?」
「超常地縛域(プロメティック・ディバイド)……これが私のユーベルコード。私のESP領域にある者は、全て渡しに引き寄せられる。そして……」
 大盾でもって引き寄せられたデウスエクスたちをメアリーは一気に打ち据える。
 弾き飛ばされたデウスエクスたちの体が宙に舞う。

 そこにメアリーは大剣を構えて飛び込む。
 彼女のユーベルコードは敵を引き付けると同時に強制的に無防備な状態へと叩き落とすのだ。
「油断大敵。その破滅願望は此処で切り捨てさせていただきます」
 振るう大剣がデウスエクスを切り裂き、嵐のような戦いぶりをもって怪物が此処に来たことを知らしめる。
 唸りを上げて駆動する白亜の鎧。
 それは正しくデウスエクスに対する蹂躙劇。
 彼女もまた戦うもの。
 怪物の名を冠しながらも、しかして他者のために戦う心優しき者なのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリスタ・ドラグストーン
初めての現実世界への出稼ぎじゃあ!
とても強大な敵かもしれぬが安心せい!
予期せぬ敵から人々を護るなど慣れた事、わしにまかせておくのじゃ!

ふーはっはっはっ!ヘイトを向けるだけで敵が攻撃してくれるなど楽なもんじゃなぁ!
ヘイト管理などあった物では無いわ!
わしの『フルカウンター』による対象変更も相まって入れ食い状態じゃろぅ!
護って叩く、わしの基本中の基本じゃな!
決戦配備とやらじゃが、護りはわし一人で十分!
よってクラッシャーでわしにまとわりつく有象無象を消し飛ばすのじゃ!
わしの事は気にするでない!わしに来る攻撃は全て防いでしまうのでな!



 誰かを護ることは己の宿命であるのかもしれない。
 クリスタ・ドラグストーン(守護の重盾・f41850)は、そう思う。
 彼女はゴッドゲームオンラインと呼ばれるゲーム世界のゲームマスター……ドラゴンプロトコルである。
 鉱山系ダンジョンを運営している。
 採取からモンスターレイドまで多種多様に渡るクエスト運営はいつだって彼女をトリリオン不足という財政難でもって圧迫する。
 猟兵に覚醒したからには、これをどうにか解決できないかと考えたのだ。
 導き出された結論は一つ。

 そう、猟兵は他世界を知る存在である。
 トリリオンが足りないのなら、どうするか?
 簡単である。
「初めての現実世界への出稼ぎじゃあ!」
 そう、他世界へと進出し、猟兵としての戦いに身を投じればいいのである。
 確かに伝え聞く所のデウスエクスという存在は強大な敵である。
 倒しても倒しても湧出するバグプロトコルみたいなものだ。ならば、己の出番である。
 彼女はゲーム世界でもバグプロトコルからゲームプレイヤーたちを守ってきた。予期せぬ敵との戦いなど慣れたもの。
 これが己の宿命だと彼女は感じているのだ。
「わしにまかせておくのじゃ!」
「頼もしいね! それじゃあ、『決戦配備』はどうするんだい?」
 クリスタは己に通信をいれる湾岸の決戦都市を任されている『エイル』博士に高らか宣言する。

「護りは、わし一人で十分! よってクラッシャーを所望する故! 有象無象を消し飛ばすのじゃ!」
「だがしかし、君ごと巻き込むことになってしまうぞ?」
「わしのことは気にするでない!」
 クリスタは檄を飛ばす。
 そう、今は襲来したデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』を打倒しなければならない。敵は次々と決戦都市に迫っているではないか。
 人々が襲われんとしているのに、いちいち己の身を省みることなど必要なかったのだ。
「来るがよい! おぬしらの抱える絶望などわしには無縁よ!」
 その言葉に『病魔・破滅願望症候群』たちは一斉に襲いかかる。
 それは彼らにとっては己たちを否定されたという理由によってクリスタを集中攻撃しているつもりだったのだろう。
 だが、違う。
 これはクリスタのユーベルコードだ。

 構えたタワーシールドを構え、迫るデウスエクスの攻勢を受け止める。
 きしむようにして超重量のシールドが傾ぐ。
 それほどまでに『破滅願望症候群』たちの攻勢は苛烈だったのだ。
「オレたちの破滅を、絶望を否定するか!」
「否! 否定するは、おぬしらが齎す破滅のみ。故に!」
 あらゆる攻撃を全て盾で受け止め、さらには己の竜の尾でもって弾き飛ばす。
「な、なんてことだ……彼女、あれだけの攻撃を集中されても耐えているのか!?」
『エイル』博士が絶句する。
 それほどまでにクリスタの防御は強固だったのだ。
 どれだけ打ち付けられてもタワーシールドは僅かに傾ぐばかり。

「わしの守りに死角などないのじゃ! 今じゃ!」
 その言葉に応えるようにして『セラフィム』たちが一斉に胸部砲口の熱線を解き放つ。
 クリスタを中心に集まった『病魔・破滅願望症候群』たちを吹き飛ばしていく。
 彼らが吹き飛ばされるほどの熱線の最中、しかしクリスタは不動のごとく立ち、己がタワーシールドを掲げる。
「さあ、この守りを崩せるというのならば来るがよいのじゃ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
決戦配備:スナイパー

大量殺戮なんて、絶対にさせやしない!
敵のUCの有効範囲では思うように攻撃が通らないかもしれない
だが、それは支援を受ければ切り抜けられるはずだ

敵のUC効果範囲外からの狙撃が可能なように、俺は敵に肉薄する形で接近し足止めを行おう

ここから先へは行かせない!
大声と共に俺の闘争心を敵へと叩きつける
叩きつけた闘争心を媒体にUCを発動
UCの効果は行動不能を選択

一時的にでもいい、相手の動きを止められれば…
市民の元へと辿り着けないようにすると同時に、遠距離狙撃への支援となるだろう
俺の攻撃も弱体化はされても、ダメージが無効になるわけじゃない
刀での近接戦闘をこなし、しぶとく前線で戦い続けてやる!



 デウスエクスの襲来。
 目論むは地球人類の大量殺戮によるグラビティ・チェインの簒奪。
 しかる後に十数年に封印された強大なデウスエクスの復活である。
 もしも、復活がなれば地球は多大な損害を受けるだろう。
 それほどの力をも有したデウスエクスなのだ。
 故に、これを止めねばならない。
 戦場となった湾岸の決戦都市は戦禍に包まれていた。誰も彼もが傷つかずにはいられなかった。
 ケルベロスディバイドの世界においては人々は常に地球外からの侵略者の驚異にさらされている。

「大量殺戮なんて、絶対にさせやしない!」
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)はこの戦いに駆けつけた猟兵の一人である。
 彼は見ただろう。
 炎立ち上る街を。
 逃げ惑う人々を。
 予知できていても、人々を避難させれば予測できない他の都市への襲撃が行われてしまう。皮肉にも予知通りにしなければならないというジレンマを抱えていたのだ。

「いいや、滅びはすぐそこに着ている。ケルベロス、猟兵。いずれもオレたちの破滅願望は止められない」
 広がるユーベルコードの力。
 彼らが奉じる神による力。
 広がるのはデウスエクスに仇為すものたちの力を削ぎ落とす力場であった。
 ひりょは己の体躯が重たくなるのを感じただろう。
 わかっている。己は迫る敵を弱体化受けてなお、止めねばならない。
「だったらどうした! ここから先へは行かせない!」
 闘争心が漲る。 
 己にできることは多くない。
 けれど、できることが一つでも残されているのならば、己は立ち向かうと決めたのだ。膨れ上がる闘争心がデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』たちを引き付ける。
 黒黒とした体躯がひりょにぶつかる。

 爪牙が振るわれ、血潮が噴出する。
 けれど、それでもひりょは瞳をユーベルコードに輝かせる。
「幾多の精霊よ、かの者に裁きを…破邪顕正(セイナルイマシメ)!」
 退魔の力を帯びた拡散波動が放たれる。
 しかし、己のユーベルコードは『病魔・破滅願望症候群』の放ったユーベルコードの力場とかち合う。
 相性が悪すぎる。
 己の行動のことごとくが阻害される。
 防戦一方になってしまう。
 けれど、ひりょの瞳には絶望もなければ悲嘆もなかった。

 あるのは戦う意志。 
 己ができることを為す、という強烈な意志だった。
「何故、絶望しない。何故諦めない!」
「言っただろう、ここから先へは行かせないと! それだけだ!」
 ひりょは耐え続ける。
 己が敵を此処に縫い止めていたのは!
「|『決戦配備』《ポジション》! スナイパー!!」
 その言葉と共に遥か遠き決戦都市の戦略ビルの屋上にて煌めく光条があった。
 それは人型の自立型戦術兵器『セラフィム』の胸部砲口から放たれた火線の一射だった。それが無数に放たれ、ひりょが引き止めていた『病魔・破滅願望症候群』たちの体を貫いたのだ。
「無事かい!」
『エイル』博士の通信が入る。 
 それにひりょは拳を突き上げ、応えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
決戦配備:クラッシャー
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷

まあ、封はいつか緩むものではあるが。
それを完璧にしようとの虐殺は…いただけぬ。
故に、わしらはここにおる。

さて、数が多いならば…このUCよな!
討ち漏らす気はないが…念の為の、火力な決戦配備であるよ!
視界内全てにこの矢は届く。たとえ何かを差し向けようと…それもまた、的にしかならんよ。


霹靂「クエッ」
よく見えるように飛んでる。こちらに何かが来たって、雷のビリビリ結界!
…機械こわさないようにしなければ。



 十数年前の決戦。
 それは地球人類にとっては一大決戦であった。
 ダム湖は嘗ては窪地の村落に過ぎなかった。けれど、強大なデウスエクスを引き付け、周囲に作られたダムからの放水によって圧倒的な水量と共に沈め、封印したのだ。
 大量の水。
 そして魔術的、科学的な封印によって漸く強大なデウスエクスの一柱を封じることができた。
 そう、封印しただけなのだ。
 まだ封印の中で強大なデウスエクスは生きている。
 そして、枯渇したグラビティ・チェインを欲するように鳴動している。

 デウスエクスの襲来の目的はこのデウスエクスの復活である。
 故に地球人類の大量殺戮が必須なのだ。
「まあ、封はいつか緩むものであるが」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『侵す者』は戦場となった湾岸の決戦都市を走る。
 瓦礫が満ちている。
 建造物を破壊し、逃げ惑う人々を襲わんとするデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』たちが放った『飛ぶ蛇』。
 それを手にした槍で貫き、『侵す者』は歯噛みする。
 彼らが望むは大量殺戮によるグラビティ・チェインの簒奪。
「……いただけぬな。それは」
「オレたちの破滅は、止まらない。止められない。免れ得ぬのだ。死という破滅は必ず訪れる。そういうものだ。運命とは!」
「故に、わしらはここにおる」
 飛来する『霹靂』と人型の自立型戦術兵器『セラフィム』。
 大地を激震させ、彼らが『侵す者』と共に踏み出す。

 敵の勢力との真っ向勝負。
 ぶつかり合う力と力。
『霹靂』が纏う雷の結界はなんとか持ちこたえられているが、『セラフィム』は次々と破壊されていく。
「うわー! やっぱりだめだー! 済まない、数合わせにしかならないみたいだ!」
『エイル』博士の通信が入る。
 確かに、と『侵す者』は思う。
『セラフィム』は人型の鋼鉄の巨人である。だが、それでもデウスエクスには敵うべくもない。
 時間稼ぎが良いところであっただろう。
 けれど、それでよいと思ったのだ。
「構わぬ。悪霊からは逃げられぬ」
 瞳がユーベルコードに輝く。

『セラフィム』たちは確かにデウスエクスに叶わない。
 けれど、壁にはなってくれる。
 四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)の力が漲り、手にした弓が黒く染まる。
 呪詛は己が内側から滾々と湧き上がるもの。引き絞る弦が音をかき鳴らすようにして風を斬る音に乗る。
 放たれた矢は空中で分裂し、雨のように『病魔・破滅願望症候群』へと降り注ぐ。
「止まるものか。この程度で。この破滅が!」
「愚直にも直進を以て邁進するか。ならば、的にしかならんよ」
 放たれ続ける矢。
 呪詛に染まった矢は破滅を飲み込むだろう。
 壁となった『セラフィム』たちが突き崩される。けれど、それでも『侵す者』は『霹靂』を駆り、引き撃ちのようにデウスエクスを射抜き続けた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

安心安定の雄叫びですね。

エイルさん、毎回ほんとにごめんなさい。
あ、そです。これ次回から使ってください。
(こっそりくすねたステラさんの耳栓渡そうと)

手料理?結婚!?
|この世界《ケルベロスディバイド》って、同性婚ありだったんですか!?

って、あれ?わたしですか?
てっきりステラさんがごはんでなんとかするのかと……。

え?主砲?
わたし護るほうじゃないんですか!?

ま、まぁ演奏できますし、よしとしましょう。

それに奏魔法は光の勇者の魔法。
形のないものにももちろん効果はある(はず)です!

わたしの想いを力に変えて、届け【ツィゴイネルワイゼン】!

あっ。ステラさんの耳栓、エイルさんに渡しちゃいましたよ(てへ


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁぁす!!
エイル博士お久しぶりです
あなたのメイド、ステラ参上しました
なんなりとお申し付けください
えっ私の手料理ですか?
結婚したらいつでも食べられますよ!
あ、ダメですか

というわけでルクス様の出番のようです?
病魔に演奏とか全然効かない感じなのに
光の勇者の|奏魔法《超破壊音波》なら通じそうなのは
さすがルクス様ですね
そして、セラフィム!!
はディフェンダーで運用ですね
ルクス様を主砲とみなして
セラフィムを盾に
私は派手に行きましょう(耳栓きゅっ)
【テールム・アルカ】でBSグラビティガンと BSハイペリオンランチャーを召喚
セラフィムの肩から撃ちまくりです!



「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁぁす!!」
 恒例の叫びだった。
 安心安定だと、いつものギャグ時空に周囲が引き込まれるのをルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は腕組みしたり顔で頷いていた。
「『エイル』博士、お久しぶりです。あなたのメイド、ステラ参上しました! なんなりとお申し付けください!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の叫びに『エイル』博士は通信の向こう側でまだ耳がわんわんしているのをかんじていた。
 いつものことだとルクスは本当にごめんなさいって顔をしていた。
 ごめんで済んだのならば、鼓膜は返ってくるのか。
 返ってこない。

「や、構わないのだが、というか、敵だ。敵襲なんだ。協力してくれるね?」
「えっ私の手料理ですか? 結婚したらいつでも食べられますよ!」
「耳がやられてるのはこっちなんだけど!?」
「本当にごめんなさい。あ、そです。次回からこれ使ってくださいね」
 これ、とルクスは耳栓を示す。
 ステラからくすねた高級耳栓である。
 でっかいモンスターの咆哮に耳を塞がなくっても大丈夫。スタンのラグは存在しなくなる必須アイテムである。
 諸兄に至っては、ルクスがそれ渡すんだ、と思わないでもなかったであろうが、そこそこ、それはそれ、他所のは他所である。

 ていうか。
「低料理? 結婚? この世界って同性婚ありだったんですか!?」
「いや、そういう問題じゃないんだけが! 今まさに世界が滅ぼされようとしているんだが!」
「なるほど。世界を救ったあとならオッケーと。わかりました。あなたのメイド、ステラ、推してまいります!」
「押すなよ、押すなよ、のやつじゃないんだが!?」
「というわけでルクス様、出番ですよ!」
「えっ、私ですか? てっきりステラさんがご飯でなんとかするって思っていたんですけど……」
 ルクスはデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』たちを見やる。
 彼らは絶望と諦観にまみれている。
 そう、彼らにとっては死と破滅はイコールである。

 免れ得ぬもの。その運命に絶望したがゆえにデウスエクスへと変じたのだ。
 ならば、ステラの料理でなんとか破滅願望を払拭できないのかと思ったのだ。
「病魔に演奏など焼け石に水でしょうが、勇者ならば通じそうな気がします。そして、『セラフィム』!」
 ディフェンダーとして運用するように『決戦配備』の自立型戦術兵器『セラフィム』がステラたちも前に壁として立ちふさがる。
「ルクス様を主砲に見立てて、『セラフィム』を盾に私は派手にいきましょう!」
 きゅっと耳栓するステラ。
 いや、ない。
 あれ?!
 なんで!?
「耳栓なら『エイル』博士に届けさせましたよ」
 にこり。
 ルクスは微笑んでいる。

「護るのではなく、主砲とステラさんはおっしゃられました。なので」
 にこり。
 ステラは諸々ルクスに問い詰めたかった。けれど、それはできないことを悟る。
 そう、ルクス対策の耳栓は失われた。
 一騎の『セラフィム』がルクスのくすねたステラの耳栓を『エイル』博士に届けに飛んでいったのだ。
「さあ、演奏をいたしましょう! わたしの思いを力に変えて、届け! ツィゴイネルワイゼン!」
「やめ――」
 なんかステラのほうが敵っぽい肝心になるのは、さもありなんっていうか。
 響き渡るはバイオリンの音色。 
 いや、壊滅的な音であった。音波って言ってもいいし、もうなんかそのくくりもおかしんじゃないかなっていうユーベルコードの輝き。
 ふきれるようにして走る音が『病魔・破滅願望症候群』を吹き飛ばす。
 ステラの鼓膜はないなったが、しかし、敵の攻勢は押し止められているのだ。

「ええい、耳がキンキンしますが箱舟、起動。武装、転送!!」
 もうやけくそである。
 ステラは『セラフィム』の肩からにょっきり顔を出して、手にしたハイペリオンランチャーをぶっ放し、己の耳がないなった怒りをデウスエクスに叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
デウスエクス退治ですね。ケルベロスの本領発揮と参りましょう。

【決戦配備:クラッシャー】

「さぁ、いきましょう。かじできないさんズとセラフィムのパイロットさん!」

UCで分裂し、セラフィムに随伴歩兵のように同行し、デウスエクスへと接敵。
装甲を破り、ダウンを奪い、爆破スイッチを連打するコンボでデウスエクスを攻撃。その連携攻撃でもって、セラフィムがとどめを刺せる状況作りを致します。

わたくしの故郷では、デウスエクスは多勢で囲んで数でボコるのが一般的な退治法。これまで幾多の強敵を打ち倒してきた、蛮族とも言える我らの戦法を存分に思い知らせてやりましょう。
暴力はすべてを解決するということを思い知らせるのです!



「さぁ、いきましょう。かじでけいないさんズと『セラフィム』さん!」
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)の瞳がユーベルコードに煌めく。
 戦禍に包まれた湾岸の決戦都市。 
 その都市の中心部にてエミリィは絶対防衛線を護るべく奮闘していた。
 だが、一人ではない。
『決戦配備』の自立型戦術兵器『セラフィム』が砲火とプラズマブレイドでもってデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』へと立ち向かう。
 けれど、デウスエクスに敵うべくもない。
 次々と打倒されていく。
 しかし、それでもエミリィはユーベルコードによって、分裂していた。
 どういうことだと思わないでもなかったが、かじできないさんズとしてエミリィは数の不利を埋めるようにして戦場を疾駆する。

「わたくしの故郷では、デウスエクスは多数で囲んで数でボコるのが一般的な退治法」
「そうなの!?」
「デウスエクスは確かに強敵でしょう。だからこお、一対多の状況に持ち込むことこそ肝要なのです」
「ほ、本当に!?」
 今でもできないんだけど! と『エイル』博士の通信にエミリィは、のんのんと指を振る。
 そう、確かに『セラフィム』ではできないだろう。
 戦術兵器として未だ未熟。
 人的被害を抑えるために自律行動を前提としているが、しかしそれでは状況に柔軟に対応できない。
 だからこそ、これまで『セラフィム』はデウスエクスにかなわなかったのだ。

 ならば、エミリィは分身した己達と共に拳を突き上げる。
「おらぁ!」
「そだいけ!」
「脛ねらえ脛!」
 なんかすごい野蛮。エミリィの分身のはずなのに、たおやかなメイドな雰囲気はぶち壊しである。
 かじできないさんズであってエミリィの風評被害を齎すものではないのがみそである。
「数でボコるのがケルベロスの流儀よ!」
「思い知ったか!」
 チェーンソー剣が唸りを上げ、『病魔・破滅願望症候群』の黒黒とした体表を削る。さらにエクスカリバールという名のドンキの一撃が頭部を打ち据え、彼らを地面に叩き伏せるのだ。
「おくすまポジクラ」
「なんて!?」
 おくれてすまないぽじしょんはくらっしゃーで。

「え、えぇ……」
「いま!?」
 だが、そこは腐っても『決戦配備』である。
『セラフィム』たちの胸部砲口が煌めき、火線がは放たれる。強烈な熱波が吹き荒れデウスエクスを吹き飛ばしていく。
 そこにエミリィ、否、かじできないさんズは爆破スイッチを手にする。
 どこにも繋がっていないから無線かな?
 いいや、それはスイッチするだけで爆発する不思議武器。
「連打!」
 しかも連打。
 炸裂する爆発。

 そう、増える!囲む!ボコる!DXかじできないさんズ(デラックス・カジデキナイサンズ)は無敵なのである。
「ふ、これが幾多の強敵たちを打ち倒してきた、蛮族とも言える我等の戦法。思う存分堪能しましたか」
「風評被害で訴えられない?」
「暴力はすべてを解決するということを思い知らせてあげましょう」
 にこり。
 エミリィは微笑んで、迫りくるデウスエクスの攻勢を爆発でもって押し返すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクセリア・レスト
【メディック】【WIZ】
※アドリブ、連携可

デウスエクスは倒さないとね!少しでも被害を減らせるように頑張るよ!

決戦配備のメディックで一般の人たちの避難をお願いするよ。
避難が完了したら戦闘開始!
ブラックグリードを使って【生命力吸収】の要領でドレインエネルギーを吸収。そのエネルギーを使って病魔の洗脳を試して、同士討ちを狙ってみるよ。

他のみんなほどうまくは戦えないけど、大量殺戮なんて絶対にさせないんだから!



 湾岸の決戦都市に雪崩込むようにして襲来するのは黒黒とした体を持つデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』であった。
 彼らは己が奉じる神の力をもって、敵対する猟兵やケルベロスたちの力を減退させる力場を発生させていた。
「我らが神に祈りましょう」
 フィールドが広がっていく。
 動きが鈍る。
 体が重たい。
 あらゆる行動を阻害するようなデウスエクスの力場。

「やっかいなフィールドを形成してくれる……!」
『エイル』博士の通信にルクセリア・レスト(スイートドリーム・f42617)は、伝達されるデウスエクスの力場の効果範囲を見つめる。
 まだ人々が残されている。
 そう、デウスエクスの襲来は予知できていたのだ。
 けれど、人々を避難させれば予知がズレる。つまり、他の決戦都市が襲われてしまうかもしれないのだ。
 人々を避難させられない。
 できるのは対処療法のようなその場での行動ばかり。
 逃げ惑う人々をルクセリアはかばいながら、街を走る。

「『決戦配備』、メディックを要請!」
「了解した。『セラフィム』を回す! それまで持ちこたえてくれ!」
「わかってるよ!」
 ルクセリアは己が他の猟兵やケルベロスほどうまく戦えないと思っていた。
 けれど、デウスエクスが為す大量殺戮など実現させないと戦場を駆け回っていた。戦うことは他の猟兵達がやってくれる。
 ならば、自分はどうするか。
 そう、人々を護ることだ。彼らを守ってやれるのは自分しかいない。デウスエクスは倒さないといけないことだが、しかし護るべき者を守れないのでは本末転倒だ。
 予知が揺らぐことを防ぐにはこうするしかなかったのだ。
 苦渋の決断。
 けれど、人々は不平不満をこぼさない。

 そうだ、とルクセリアは思っただろう。
 彼だって戦っているのだ。何も敵を打ち倒すだけが戦いではない。これまでも彼らhケルベロスに協力してきたのだ。
「僕らは大丈夫です。あなたは……!」
 ルクセリアが庇う人々が声を上げる。
「ありがとう。強い子ね。あなたも」
 ルクセリアは『セラフィム』たちに人々を任せ、迫るデウスエクスへと向きなおる。

 できるかどうかわからない。
 けれど、やらなければ、そこでおしまいだ。
 彼女の瞳がユーベルコードに煌めき、背に追うグリードサインが煌めく。
「ブラック・グリード。あなたのエネルギーは私のエネルギー。なら、私はあなた」
 甘く蕩けるような声が響く。
 黒の光線が放たれ、ルクセリアのユーベルコードが『病魔・破滅願望症候群』へと突き刺さる。
 それは体躯の隅々まで走り抜ける。
 打倒しきれない。
 けれど、ルクセリアは艷やかに微笑む。
 できる、と確信を強めた。

「……オレはあなた」
「そう、あなたは私。なら、あなたが為すべきことは」
 敵を討つこと、とルクセリアはエネルギーを得て、『病魔・破滅願望症候群』たちを洗脳してのけたのだ。
 まるでエネルギーが手綱のように思えた。
 これをこうすれば、こうなる、と理解できるようにルクセリアは洗脳した『病魔・破滅願望症候群』たちを操り、同士討ちを開始させる。
 確かに自分は他の猟兵たちのようにうまくは戦えない。
 けれど、できるのだ。
 戦う術は己の中に。己が力を誇るように彼女は囁く。
「あまーい夢を見せてあげるね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍之宮・翡翠
本命を逃さない為に、敢えて都市に敵を呼び込まざるを得ないってことか
対策を講じれば他の都市をターゲットにするとは厄介だな
しかし、デウスエクス共の思い通りにさせる訳にはいかない

「|決戦配備《ポジション》要請。|防御配備《ディフェンダー》」

此方の決戦配備は自立型の巨大兵装ということなら、敵の足留めを担ってもらうのが最適か
一般人に被害が及ぶ訳にはいかないし、何より対処量には限度もある
足留めをすり抜けたものを最優先に、一般人に後退を勧めながらUCで斬り払う

「お前達が前座である事は判っている。だが……ッ!」

甘く見れば手痛い反撃を食らう事も判っている
故に、使える技能は出し惜しみせず用いて、敵を屠っていく



 わかっていたことだ。
 完全にデウスエクスの襲来を予知できても、些細なことで前提が崩れるかもしれないということは。
 これまでもそうだったのだ。
 猟兵に目覚める者がいなかったケルベロスディバイド世界はデウスエクスの襲来に場当たり的に対処するほかなかった。
 それでも戦わざるをえなかったのだ。
 十数年前の戦い。
 その一大決戦おいても強大なデウスエクスを封印できたのは奇跡と言ってもよかった。

 けれど、その封印を今解こうとする者たちがいる。
「この状況。あまり良いとは言えないが、本命を逃さない為に、あえて都市に敵を呼ぼこまざるをえないってことか」
 龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は歯噛みする。
 そうせざるをえない状況を。
 この湾岸の決戦都市の人々を事前に退避させれば、デウスエクスたちはターゲットを変える。厄介だった。
 だが、彼らの思惑通りに事を運ばせるつもりはないのだ。
「|『決戦配備』《ポジション》要請。|防衛配備《ディフェンダー》」
「了解。『セラフィム』たちのシールドは強化してあるといっても過信はしないでくれ給えよ!」
 この湾岸の決戦都市の責任者である『エイル』博士の通信に翡翠は頷く。

 人型の自立型戦術兵器『セラフィム』。
 それがこの決戦都市固有の『決戦配備』である。
 手にしたシールドを構える鋼鉄の巨人たちが翡翠の眼前に居並ぶ。
「敵の足止めを頼む」
 その言葉に応えるように『セラフィム』たちは一斉に飛び立つ。
 手にしたシールドで迫りくるデウスエクス『病魔・破滅願望症候群』たちが生み出した『飛ぶ蛇』とも言うべき眷属たちを押さえつける。
 けれど、迫るデウスエクスの一撃にシールドが拉げ『セラフィム』が倒れ込む。
 やはり、デウスエクスには敵うべくもないのだろう。

 だが、時間は稼げてた。
「避難を優先しろ」
 とは言え、これは対処療法だ。
 やはり、デウスエクスを叩かないことには思うように戦えないだろう。倒れ込んだ『セラフィム』を乗り越えるようにして迫る敵を翡翠は手にした残霊刀を抜き払う。
 抜刀の剣閃はユーベルコードの輝き。
 霊力を帯びた残霊刀は、迫るデウスエクスを一瞬で両断する。
「なっ……!?」
「お前達が前座であることはわかっている。だが……ッ!」
 此処で人々の被害を出すわけには行かないのだ。
 彼らが殺されればグラビティ・チェインを簒奪される。だが、それは問題ではないのだ。翡翠にとっては、人の生命奪うデウスエクスにこそ嫌悪を抱く。

 物心ついた頃から戦い歩いてきた。
 目深に被ったフードが風に揺れた。
「お前達は、全て斬る」
 己の塗れた絶望と諦観を他者に強要する力など、許せるわけがない。翡翠は己が瞳に煌めくユーベルコードと共に絶空斬を解き放つ。
 敵を甘く見ることはない。
 己ができることを全て絞り出して敵を打ち倒す。
 それがこれまで繰り返してきたことなのだ。
 ならばこそ、翡翠はためらわない。例え、この前哨戦の後に控える強大なデウスエクスがいるのだとしても、それでも戦い続ける。
 それが己のケルベロスとしての生き方なのだと示すように、空を絶つ斬撃を奔らせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジークリット・ヴォルフガング
●SPD

ほう、過去の地球人類が封じたデウスエクスか
確かに不死身の存在とあればそうするしか手立てはないのだろうが、多くの犠牲を払っての行為である事は想像に容易い

|決戦配備《ポジション》|要請《オーダー》、ディフェンダー
決戦都市の前方に隔壁を展開し、ここをアラモとする
セラフィムらには雑兵どもをここへとおびき寄せて貰おう
用いる剣は我が愛剣のゾディアックソード
剣に宿る重力をもって攻撃を【ジャストガード】で払いつつ断ち切っていく

拒絶感?
拒否感?
ふ、私にはそのような感情はない
あるのは強者に刃を交えるのを抑える高揚感のみ
さて、そろそろ頃合いか
レガリアファイアを放ち、最後の隔壁を展開して纏めて焼却だ



 デウスエクスは永遠不滅の存在である。
 打倒できたとしても、しばらくすれば復活する。
 故に質、物量でもってもデウスエクスは地球を圧倒しているのだ。しかし、人の知恵はこれを乗り越える。
 いつだってそうだ。
 眼の前にどれだけ理不尽なる存在が現れたとして、諦観にさえ塗れなければ進んでいくことができる。そういうものなのだ。
 故に、ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)は戦禍満ちる湾岸の決戦都市を走る。

 迫るデウスエクスたち。
 彼らが望むはグラビティ・チェインの簒奪による十数年前に封じたデウスエクスの復活である。
「過去に封じたデウスエクスか」
 打倒できぬ存在。
 それがデウスエクスである。確かに、と思う。倒しても永遠不滅を謳うように迫るのならば、封印するしかない。
 それが問題の先延ばしであることは言うまでもない。
 けれど、過去にそうして多くの犠牲を払いながらも封じたのならば、先達にジークリットは敬意を表するのだ。

「ならば、彼らの思いを未来に紡がねばならないな!|『決戦配備』《ポジション》、ディフェンダー!」
 ジークリットの言葉に『エイル』博士が応える。
 飛来した自立型戦術兵器『セラフィム』が構えた盾が障壁のように大地に打ち立てられ障壁へと変貌していく。
 デウスエクスを推しと留めるには足りない。
 すぐさま『病魔・破滅願望症候群』たちは、これを打ち破るだろう。
 時間稼ぎにしかならない。
 けれど、それでもジークリットは指示を細かく飛ばす。

「敵を誘導してくれ」
「だが、それでは敵が君に集中するぞ!」
「構わない。我が愛剣ならば!」
 隔壁のようにして打ち立てられたシールドが瓦解し、一気に『病魔・破滅願望症候群』がなだれ込んでくる。
 それは『セラフィム』たちをなぎ倒し、一直線にジークリットをも蹂躙せんとする黒い洪水だった。
 飲まれれば助かる手立てなどない。
 だが、ジークリットは拒絶も拒否もなかった。
 あるのは、強者と刃を交えるのを抑える高揚のみ。

 胸が高鳴る。
 デウスエクスは雑兵と言えど、いずれもが強大な存在である。
 故にジークリットはこらえるように己の脚部に配されたエアシューズが空転させ続ける。膨れ上がるは炎。
 黄金の炎。
 それは彼女のユーベルコードであり、構えたゾディアックソードと共に『病魔・破滅願望症候群』の振り下ろした爪牙を受け止める。
 大地が砕ける。
 舞い上がるアスファルトの破片。
 そのさなかにジークリットの眼光だけが鋭く煌めいていた。

「頃合いか。お前達が強者だというのならば、私の一刀を受けてなお立ち上がるがいい!」
 振るわれる斬撃は黄金の炎と共に『病魔・破滅願望症候群』たちの体を切り裂く。
 一刀両断。
 残るは黄金の炎が滅ぼす残穢のみ。
 決壊した障壁を覆うようにして黄金の炎、レガリアスファイアが吹き荒れる。それは狐火のように分散し、障壁の向こう側に迫るデウスエクスたちを焼き滅ぼしていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『番犬突入』

POW   :    精鋭部隊と共に一斉突入。敵の前衛を徹底的に蹴散らして奥へ進もう。

SPD   :    味方の陽動を利用して一斉突入。敵に見つからない様速やかに奥へ進もう。

WIZ   :    展開した砲兵の直接支援と共に一斉突入。施設を破壊しながら奥へ進もう。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「都市内部に入り込んだデウスエクスの排除は完了した! ここからが勝負だ!」
『エイル』博士の通信が入り、猟兵、ケルベロスたちは頷く。
 大量殺戮は止められた。
 しかし、本命たるデウスエクスが封印されている山中のダム湖周辺にはデウスエクスたちが復活の儀式をすでに執り行っているという情報が入っている。
「撃破にかまっている時間はない。強行突破するしかない!」
『敵の戦力は都市部を襲撃した敵よりは多くありません。ですが』
「それでもだよ!」
 サポートAI『第九号』の言葉に『エイル』博士は頭を振る。
 ここで立ち止まっていては、復活の儀式を終えた強大なデウスエクスはグラビティ・チェインを求めて都市に甚大な被害を齎すだろう。
「頼んだよ! まだ『決戦配備』の『セラフィム』は残っている。活用してくれたまえ。なぁに、過去に封印するしかなかったデウスエクスを打倒できたという戦果さええられれば、予算なんてぶんどり放題さ!」
『博士、それは皮算用というものです』
 山中にて見えるは無数のデウスエクス。
 こちらの襲来を察知した彼らは猟兵、ケルベロスたちに儀式の邪魔はさせぬと迫るのだった――。
ディッセンバー・クレイ
まだまだお客様が多いようですね
ここは後続の味方の為にも私が頑張った方が良さそうです

【WIZ・ジャマー】連携・アドリブ歓迎
味方の進軍ルートを覆うようにUC【執事長顕現】を発動して敵の動きを制限します
決戦配備も活用しつつ、進路上の邪魔になる敵を優先して攻撃・排除しましょう
【深遠の納骨庫】に収納した岩などを射出する攻撃と【セブンアームズ】による白兵戦で戦います

さて、では暫く私にお付き合い願いますよ
味方がここを突破するまで、ディッセンバー家の執事によるおもてなしを受けていただきましょう



 執事たるもの、来客はもてなさねばならない。
 例え、それが不埒なる者であったとしても、だ。そのように彼は完璧な教育を受けてきた。謂わば、エリートである。
 だからこそ、立ち止まれない。
 すでに地球人類の大量殺戮を目論んだデウスエクスは打倒したが、しかし嘗て封じた強大なデウスエクスを復活させんとする者たちは残っている。
 これを撃滅せねば、戦いは終わらない。
 故にディッセンバーは一つ頷く。
 走る度に黒髪がたなびき、揺れる。
 その所作すら完璧なものであったことだろう。

「まだまだお客様が多いようですね」
 切り込むようにして彼は『エイル』博士へと通信を入れる。
「『決戦配備』の変更を。ジャマー支援を願います」
「よし来た!」
 自立型戦術兵器『セラフィム』がディッセンバーと並走するようにして山中を駆け抜けていく。
 敵はこちらを排除しようとするよりも、押し止めることを優先するだろう。
 ならばこそ、ディッセンバーは穴を穿つ。
「さぁ、おもてなしの時間です。お客様、どうぞごゆっくりなさってくださいませ」
『セラフィム』の放つバイオガス弾頭と彼の瞳がユーベルコードに煌めく。
 戦場が覆うは、彼の故郷の仕事場。
 コピーされた王宮は世界のテクスチャーを覆い、その法則を生み出す。
 そう、ディッセンバーが定めた使用人以外の労働の禁止である。

 その法則に反した者は、著しく行動が制限されてしまう。
「これなるは、執事長権限(ステュワード・ホスピタリティ)と申します」
 手にしたハルバードが変じ、さらには彼の影より放射される岩石が己達が向かうダム湖への線上を薙ぎ払うのだ。
「さて、では暫く皆様方には私にお付き合い願います」
 そう、これより行なうはおもてなしである。
 己たちの味方……即ち、他の猟兵やケルベロスたちがダム湖へと至る道筋を彼はつけたのだ。

 敵は己達が強行突破しようとすれば、周囲に集まってきて穿つ穴を埋めようとするだろう。
 そうなれば必然敵の層は分厚くなり、突破が困難になる。
 故にディッセンバーは己がユーベルコードでもって敵の動きを封じる。
 労働とは即ち、強大なデウスエクス復活の儀式。
 そう規定するのならばデウスエクスたちは己たちを阻む行動は阻まれることになる。
「私を倒せば、法則も解除されましょう。ですが、このディッセンバー家の執事によるおもてなしを受けていただきましょう」
 恭しく一礼し、ディッセンバーは己が武器を振るう。
 この己が仕事場をコピーした戦場にあって、己は支配者である。
 どれだけ抵抗しようと無意味。

 彼の振るうハルバードの一閃が敵を切り裂き、防衛線をこじ開けるようにして敵を吹き飛ばしていく。
「さあ、これより先へお急ぎを」
 ディッセンバーは先んじて敵を打ち倒す。
 此処から先はスピード勝負。
 慣ればこそ、迅速果断なる判断こそが求められるのだ。
 それを完璧にこなしたディッセンバーは、己の横を走り抜けるであろう猟兵たちを見送るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンジェリカ・ディマンシュ
さて、では進みましょうか

機械天使の翼を広げ、そのまま飛翔
暴走を完全に制御し、『巻き戻さない』為の『時間操作能力』を放出
そのままわたくしの『進化』と『共存』等の『最重要本質』を活性化――機械天使の翼を介して『|剣《ブレイド》』を振るいますわ

これがわたくしの暴走……いえ、完全に御したなら『暴走』とは呼べませんわね
恐らくケルベロスのリミッターを解除する機構だったのでしょうが……
ともあれこのまま飛翔してセラフィムも借り、封印デウスエクスの元へと赴きますわよ



 十数年前にて封印した強大なデウスエクス。
 それは山中のダム湖の湖底に今も存在している。
 言うまでもないがデウスエクスは滅ぼせない。永遠不滅の存在であるからだ。
 仮に打倒できたとしても、それは仮初である。
 いつまた復活し飛来するかなど、人類にとっては理解できぬものである。
 十数年経った今でも湖底に封じたデウスエクスを如何にするかの目処など立てようがないのだ。
「さて、ですが進まねばなりません」
 アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は、その瞳にユーベルコードを宿す。

「機械天使こそ我が獣性、故に我は鋼鉄の翼を広げる(ダモクレス・オラトリオ・ウィング)のです」
 体躯に宿る力の暴走。
 その暴走を制御することによて生まれる機械天使の翼が羽ばたく。
 眼の前には無数のデウスエクス達。
 彼らは皆、湖底に沈む強大なデウスエクスの封印を解かんとしている。
 儀式に没頭するデウスエクスもいれば、己達猟兵、ケルベロスの侵入を防がんとするものもいる。
 飛翔するアンジェルカは、時間操作能力を放ち、迫るデウスエクスの『最重要本質』を活性化させる。
 振るうは剣。
 アンジェリカは己の本質たるものを振るう。
 斬撃はデウスエクスたちを切り裂くだろう。

 猟兵が切り開いた道を飛ぶ。
 敵はやはり封印されたデウスエクスを如何にしてでも復活させようとしている。
 ダム湖の水が蒸発し、濛々と白い煙のように空へと舞い上がっていく。
「なるほど。この湖の水は巨大な質量。これによって物理的な圧力と為して強大なデウスエクスを封じていたのですか」
 アンジェリカは機械天使の翼を羽ばたかせ、ダム湖を見下ろす。
 見やれば、湖底には村落めいた残滓が確認できる。
 元々盆地出会ったこの場所。
 そして、四方から流れこむ水。
 十数年前の決戦において、強大なデウスエクスを此処に留める決死の戦いがあったことがうかがえる。

 そして、四方の川をせき止めダムとし、溜め込んだ水でもって物理的に封印したのだ。
 水の中であればグラビティ・チェインを宿す人間は物理的にも遠ざけられる。
 さらにその上から魔術的な封印を施せば、封じられたデウスエクスはグラビティ・チェインの枯渇によって弱り、未だ人類の未熟な魔術封印であっても抑えられるようになる、というわけだ。
「考えられていますね。ですが、だからこそ一度デウスエクスに取りつかれてしまえば、封を切るのは容易いということですね」
 アンジェリカはダム湖の水を干上がらせようとするデウスエクスたちを次々と撃破していく。
 敵の目論見はわかった。
 ならばこそ、これは好機。

 猟兵とケルベロスたちの活躍によって大量殺戮による大量のグラビティ・チェインを彼らは得られなかった。
 このまま封印が解かれるのは最早止めようがない。
 だが。
「僥倖であるのは、敵が弱体化した状態で復活するということ。まさに千載一遇の好機ですね」
 アンジェリカは剣古いながら湖底に揺らめく影を見る。
 あまりにも巨大な存在。
 逃れ得ぬ気配。免れ得ぬ末路。
 その全てを定めるようなデウスエクスの強大さが、湖面に揺らめいていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・プロメテウス
SPD ※アドリブ連携等歓迎
【使命感、そして焦り】
……その時は近い、ということですか。

ならば、ここらで|電撃戦《ブリッツクリーク》と洒落込むとしましょう。
決戦配備、クラッシャー
|見敵必殺《サーチアンドデストロイ》です。
私が道を開きます。後ろは任せましたよ、皆さん。

まずは背中の推進装置を起動。飛翔します。
ガトリングガンと対空砲による<エネルギー弾>の<一斉発射>で
デウスエクス共を纏めて蹴散らします。

それでも向かってくる|愚者《ウォーモンガー》 には盛大に花火をくれてやりましょう。
両腕の輻射波動機構を起動し、対象を<爆破>します。

貴方方に構っている暇はありません。
ここは押し通らせていただきます。



 燃えるは、己が|『原動核』《プロメテウスの火》。
 背面の高速推進機構が翼を広げるようにして、己の心臓から流れ出るエネルギーを持って推力へと変えていく。
 メアリー・プロメテウス(灰かぶりのメアリー・f36240)の心を占めるのは使命感と焦りであった。
 山中のダム湖に封じられた強大なデウスエクス。
 対決は避けられないと知る。
 一般人たちの大量虐殺は阻止できた。
 しかし、十数年前に人類が決死の戦いで封じたデウスエクスの封印が解かれることは、もはや必定。
 確かにグラビティ・チェインの不足した状態で復活したデウスエクスを打倒するには千載一遇の好機であると言えよう。
 けれど、それでも焦る。

 本当に。 
 本当に弱体化してなお強敵と言わしめるデウスエクスとの対決に勝利できるのかと。
 けれど、メアリーはためらわなかった。
 排出される推力と共に彼女は飛翔する。
「……その時は近い、ということですか。ならば、ここらで|電撃戦《ブリッツクリーク》と洒落込むとしましょう。『決戦配備』、クラッシャーを要請します」
「存分にやってくれたまえ。敵陣突破は初めてではないだろうが、デウスエクスの防衛の層は分厚い。君に頼めるか」
『エイル』博士の通信にメアリーは頷く。
「|見敵必殺《サーチアンドデストロイ》です。私が道を開きます」
 己が背後は『セラフィム』に任せると言わんばかりにメアリーは飛ぶ。

 ガトリングガンと対空砲による一斉射。
 雨のように降り注ぐ射撃にデウスエクスたちの防衛の層は揺らぐ。けれど、揺らぐだけだ。撃ち抜かれたわけではない。
 けれど、それでもメアリーは止まらない。
 敵が防衛の層を分厚くしたのならば、他の方面は薄くなっているはずだ。ならばこそ、他の猟兵やケルベロスたちが突破しやすくなっているとも言える。
 ここで己が踏ん張れば、それだけ突破が成功する確率は上がるだろう。
「それに、このまま突破できないとも言えません。せいぜい抗うと良いのです。私は、その全てを突破しましょう。この砲火恐れぬ|愚者《ウォーモンガー》がいるのならば、花火をくれてやりましょう」
 両腕の輻射波動機構が煌めく。
 巨腕がデウスエクスたちを掴み上げ、爆破する。

 飛び散るデウスエクスの五体を押しのけながらメアリーは山中を飛ぶ。
 目指すはダム湖である。
 封印されたデウスエクスの復活は阻止できない。
 けれど、どうにも成らぬという結末はない。逃れ得ぬ絶望も、免れ得ぬ運命も。
 全てをメアリーは押しのけていける。
 それだけの力を|己《怪物》は宿しているのだ。
「貴方がたにかまっている暇はありません」
 メアリーは放たれるガトリングガンと対空砲の砲火を浴びせながら『セラフィム』と共に敵陣を突破していく。
「ここは押し通らせていただきます」
 それは宣言だった。
 彼女は敵を穿ちながら、無限鎖強襲(プロメティック・アサルト)によってデウスエクスたちを屠る。

 永遠不滅のデウスエクスだというのだとしても、何度でも撃退してみせると言わんばかりに彼女は爆発と砲火の中を突き進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリスタ・ドラグストーン
ぐぬぬ……わしは基本的に足を止めて戦う方法しかない
故に今回の様に突っ切って進む、というのは想定してないのじゃ
そういうスキルを取っておけばよかったかのぅ……ない物ねだりをしても仕方あるまい
ぐぬぬぬぬ……スキルの仕様の裏を突くようであまりやりたくないのじゃが……人命が優先じゃ
……セラフィムとやら、ちょっとわしの装備品となるのじゃ

うむ、これがどのポジションになるかわからぬので判断は任せる!
この場だけセラフィムとやらをわしの装備品として扱う
重量は関係ない!|わしは重戦士故な!《『タンク・オブ・スティール』》
こうして強化したセラフィムを頼りに進ませてもらうのじゃ
結局は自分で進まぬといけないのじゃがな!



 クリスタ・ドラグストーン(守護の重盾・f41850)は重戦士である。
 その本質は防御特化である。
 タンク、と言ってもいいだろう。
 どっしりと構えて敵からの攻撃が味方に及ばぬ盾となることである。
 だからこそ、基本的に足を止めて戦うことになり、今回のように敵陣を突っ切らねばならないという戦いは不向きである。
 ゲーム世界であればまた勝手が違ったかもしれない。
 けれど、此処は現実の世界である。
「ぐぬぬ……想定していなかったのじゃ」
 クリスタは歯噛みする。
 しかし、こうしてはいられない。
 一刻も早く、強大なデウスエクスを封じているという山中のダム湖へと到着しなければならない。

 だというのに復活儀式を行なうデウスエクスたちはクリスタを行かせまいと邪魔立てしてくるのだ。
「なんぞ、突破戦に特化したスキルでも取っておけばよかったかのぅ……いやいや、ないものねだりしても仕方あるまい」
 と言ってもクリスタに敵陣突破するような機動力はない。
 クリスタは悩む。
 なんとも悩ましい。
 己がスキルビルドは生粋のタンク。
 耐えて、耐えて、耐えまくるビルドなのだ。いや、一つだけ手立てがある。
 はっきりってゲームの仕様上の隙を付くような、裏をつくようなやり方であるから、ゲームマスターであるドラゴンプロトコルとしての倫理っていうかモラルっていうか、そういうのが邪魔して中々実行に移せない。

 しかし、敵は迫っている。
 背に腹は代えられない。盾を剣に変えることができないように。
 なら、どうするか。
「人命が優先じゃ……『セラフィム』とやら、ちょっとわしの装備品と成るのじゃ!」
「どういうこと?」
『エイル』博士の通信が首を傾げる気配がする。
「こーするのじゃ!」
 ユーベルコードに輝くクリスタの瞳。
 そばにいた『セラフィム』をクリスタの手が掴む。掴む?!

 そう、クリスタはゲーム世界の住人である。
 ならばこそできることがある。
 タンク・オブ・スティール。
 それは装備重量のペナルティを無視して装備できるという重戦士の最大の特性。
 つまり、重量を無視するということ。
 体高5mの鋼鉄の巨人だろうとなんだろうと、クリスタが装備した、と認識した瞬間にその重量はないものとなるのだ。
『セラフィム』の形が変わる。
「変形機能なんてつけてないんだけど!?」
「なるほど。ポジションとしてはディフェンダーというわけか!」
 クリスタのユーベルコードによって強化された『セラフィム』を盾にクリスタは一気に山中を駆け抜けていく。
 さながら、シールドバッシュの要領で迫るデウスエクスたちを弾き飛ばしながら、一直線にクリスタは進む。
「まっ、どこまでいっても結局自分の足で進まねばならぬのじゃがな! だが、悪くはないのじゃ!」
 クリスタは己が装備品とした『セラフィム』シールドと共にどこまでもまっすぐ山中のダム湖へと突き進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍之宮・翡翠
一先ず都市の被害は最小限に抑えられたようだな
儀式に十全なグラビティ・チェインを得るには至ってないだろうが、儀式は未だ進行しているんだな
となれば、出来るだけ不完全な封印解除になるように邪魔はしていきたい所だが、封印が解除された時に儀式の場の真ん中で突っ立ってるような状況も望ましくない
博士の言うように強行突破一択だろう

|決戦配備《ポジション》は引き続き|防御配備《ディフェンダー》を要請

儀式場を最速最短で突っ切る事
儀式を可能な限り妨害する事
この2点を最優先に、セラフィムに周囲の防御を任せて、必要ならUCも駆使して儀式場を駆け抜ける

「悠長にお前達にばかりに構っては居られない。――邪魔だ」



 決戦都市を襲ったデウスエクスの襲来。
 大量殺戮によって強大なデウスエクスの完全復活を目論む彼らの企みは猟兵とケルベロスたちによって阻まれた。
 これでグラビティ・チェインは充分に得られることはないだろう。
 しかし、『エイル』博士の通信で龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は、未だデクスエクスたちが諦めていない事を知る。
 十数年前の決戦。
 その戦いで決死の思いによって封じられたデウスエクスの封印が解かれようとしているのだ。
「なんだってそんなことになる」
「グラビティ・チェインが枯渇していようと、あの封印されているデウスエクスはそんじょそこらのデウスエクスとは一線を画すんだ。グラビティ・チェインは後からどうとでもなるということだろう」
『エイル』博士の言葉に翡翠は頷く。
 封印が解かれるのは最早避けようがない。
 覚悟を決めるしかない。

 なら、翡翠のできることは一つだけだ。
「なら、できるだけ不完全な封印解除に成るように邪魔をしよう」
「やはり一点突破しかないよ」
「ああ、俺もそう思う。『決戦配備』、ディフェンダー要請!」
『セラフィム』たちが翡翠に先行する。
 目指すは山中のダム湖。
 そこに強大なデウスエクスは封印され、湖の水を干上がらせるようにデウスエクスたちの封印解除の儀式が進行しているのだ。
「やるべきことは二つ」
 翡翠の瞳がユーベルコードに輝く。
『セラフィム』の一騎の肩に捕まり、飛翔する。

 風で翡翠のフードが暴かれるようにして膨れ上がる。
 それを翡翠は構わなかった。
 瞳に輝くユーベルコードの光。
 己は見ている。
 倒さねばならぬ敵の姿を。
「儀式場を最速最短で突っ切ること」
 その言葉に従うように『セラフィム』たちが翡翠の盾になるようにしてデウスエクスの防衛を突破する。
 砕ける装甲やフレーム。
 けれど、構わなかった。
 己の本懐を遂げるため。目的を達成するために。
 そのために構わず『セラフィム』たちは翡翠に先行するように突っ込んでいく。
 砕け散る機体。

「儀式を可能な限り妨害すること」
 振るうは、残霊刀。
 空を絶つ刃の斬撃がデウスエクスたちを切り裂く。
「悠長にお前達ばかりにかまってはいられない」
 翡翠を乗せた『セラフィム』がデウスエクスの攻撃によって飛翔できず、大地に落ちrう。
 その機体から翡翠は飛ぶようにして大地へと降り立つ。
 そこに迫るはデウスエクスたち。
 翡翠はそれでも走る。
「――邪魔だ」
 振るう斬撃がデウスエクスを両断し、さらに道を拓く。
 湖が戦いとはあまりにも無縁のように太陽の光を受けて煌めいていた。だが、水位が下がってきているのを翡翠は認めただろう。
 やはり、封印が解かれ始めている。
「一刻の猶予もない、か。これでも急いだつもりだったが」
 だが、上等である。
 永遠不滅の存在であろうと倒す。それが己の使命だと言うように翡翠は己が瞳で蒸発していく湖水を見つめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
決戦配備:スナイパー

よし、突入だね!
引き続き後方からの支援をお願いします!

ここからは俺も目一杯暴れさせてもらうぞ!
召喚術でライオンを召喚し、UCにて合体

王者の咆哮で攻撃力を高めながら、敵に肉薄
鋭い爪で敵を切り裂く!貫通攻撃の効果を付与した爪なら敵の身体深くまで届くダメージを与えられるだろう

遠距離の敵には闘気弾での弾幕を張りダメージを与える
後方からの狙撃支援も視野に入れ、連携して迅速に処理していこう

さっきよりは数が少ないし、護衛すべき市民もここにはいない
それなら、力押しだろうがここは押し通す!

強行突破に邪魔な施設の壁なんかは、闘気弾や体にオーラを纏わせた状態で体当たりでぶち壊しながら進んでいこう



 敵陣突破。 
 デウスエクスが防衛するダム湖。強大なデウスエクスが封印されている場所である。それをぐるりと囲うようにしているのは、儀式も兼ねているからだろう。
 そして、デウスエクスの防衛は層が分厚い。
 猟兵やケルベロスたちが協力して、この防衛を抜こうとしている。
 けれど、それでも難しいだろう。
 それほまでに封印されているデウスエクスは彼らにとっても重要な存在なのだろう。
 だからこそ、突破しなければならない。
「引き続き後方からの支援をお願いします!」
 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は通信で『エイル』博士に『決戦配備』を要請する。

 後方からの砲撃。
『セラフィム』による砲火は凄まじい勢いでひりょの背後からデウスエクスへと叩き込まれる。
 しかし、『セラフィム』では火砲支援だけが精一杯だった。
「やはりあまり効果がない。すまないけれど……!」
「ええ、充分です。俺達は一人の力で戦ってるわけじゃない。俺とみんなの力で、この状況を乗り切る! いつだってそうしてきたんです!」
 ビーストマスターの名に懸けて、とひりょの瞳がユーベルコードに輝く。
 超獣化身(ビーストリンク)。
 それは召喚したライオンと合体し、王者の咆哮を迸らせる。
『セラフィム』たちによる砲撃によって爆煙あがる戦場をひりょの咆哮が吹き飛ばす。

 その衝撃波がデウスエクスたちを打ち据え、吹き飛ばす。
 だが、その穴を埋めるように次々とデウスエクスが集結してくるのだ。
 けれど、それでもひりょは前に突き進む。
「流石に敵も必死だ! けど!」
 百獣の王は、咆哮だけではない。
 鋭い爪の一閃がデウスエクスたちを切り裂き、さらに闘気の弾丸が放たれ迫りくる敵が防衛の穴を埋めるのを防ぐのだ。
 そこへさらに火砲支援を要請する。
 敵陣を突破するのならば、穴を塞がせないことが肝要である。
 後に続く猟兵達の道筋を作ることもまた、ひりょが成さねばならないことだった。

「さっきよりは数が少ないけど」
 守らねばならない人々が山中には存在していないことが、ひりょにとっては幸いだった。
 それは足かせがないということだった。
 ならばこそ、防衛の層が暑かろうが、ここは力押しで押し切れる。
「強行突破させてもらう!」
 ひりょの咆哮と共に山中が凄まじい裂傷を受けるように引き裂かれる。
 彼の爪がデウスエクスたちを切り裂くのだ。
 とにかく突き進む。
 背から迫る砲火も、デウスエクスたちも、ひりょにとっては些細なことだった。
 眼の前を遮るものを全て吹き飛ばす。
「おおおおっ!!!」
 デウスエクスの体を押しのけ、ひりょはダム湖へと迫る。

 封印が解かれるのは時間の問題であり、避けられぬ。
 なら、ひりょは漲る力と共に宣言するのだ。
「復活してもグラビティ・チェインが枯渇している状態なら、此処で打倒する! もう二度と人々から奪わせはしない!」
 そのために己は戦うのだというように、ひりょは己がビーストマスターとしての矜持と共に突き進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

なんといいますか、今日のエイルさんは、熱血と共に、なかなかなポンコツ臭しますよね。
わたしのシリアスアレルギーも緩和される気がします!

そ、それで今回は突入なんですか?
わたし嫌な予感しか……あああああ、やっぱりぃぃぃ!?
最近多くないですか!?これほんとに怖いんですよー!?

しかたありません。ここは少しでも早く突き抜けるしかないです!

エイルさんにはそろそろ耳栓届いてるでしょうから、演奏していいですよね。
それでは!最近十八番の【悪魔のトリル】いっきまーす!

ステラさん、聴いてくださいね♪
ユーベルコードですから、物理法則とか超越しますよ、きっと!

あと、勇者、そこまで万能じゃないですからね!?


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふーむ
エイル様要素は|幼年期を終えたなら《大人になると》薄れるのでしょうかねえ?
女性という点もあるかもですが
ともあれ
エイル様の号令ならばメイドたる私が従わぬわけにはいきません

一点を強行突破と行きましょう
フォル!いらっしゃい(鳥型キャバリア呼び寄せ)
フォル、ルクス様を乗せて……
あれ?咥えましたね?
なるほど、フォル的にはそこがルクス様の定位置……いきろ

ところで思ったのですが
如何な|音《破壊音波》とて空気を振動させるならば
音速で駆け抜ければ私に届く音を置き去りに出来るのでは?
というわけで【ファム・ファタール】いきます!
ええ、ルクス様が空気の塊に激突しそうですが
勇者なので大丈夫でしょう!!



「なんといいますか、今日の『エイル』さんは、熱血と共に、なかなかポンコツ臭しますよね」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)がそれを言うのかとステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思った。
 けれど、ふーむ、となんか考え込むような顔をしていた。
 彼女が主人と崇め奉る勢いで奉じている『エイル』。
 かの存在は、数多の世界に片鱗として存在しているように思えた。
 彼女の知る『エイル』とは幼い少年だった。
 幼くも煌めくような可能性に満ちた存在だった。だからステラは、その輝きに焦がれたのだろう。
 だからこそ、ケルベロス・ディバイド世界の『エイル』は彼女にとっては少しばかり解釈違いだったのかもしれない。

 幼年期を終えた存在。
 薄れるものがあるのか、とステラは思ったが、いや、と頭をふる。
 この世界で生きる『エイル』博士のように誰かのために、いずれかのために、平和のためにと戦う意志があるのならば、と。
 ともあれ、ステラは頷く。
「わたしのシリアスアレルギーも緩和される気がします!」
 この勇者をどうにかしなければ、と思う。
「なんか好き勝手に言われてるような気がするんだけれど、気のせいかな」
「いいえ。『エイル』様の号令とあらば、メイドたる私が従わぬわけにはいきません。ええ、一点強行突破と参りましょう」
「あれ? 今回は突入なんですか? わたし嫌な予感しか」
 しなんですけど、とルクスがおののく。
 こういう時にルクスがやることと言ったら一つである。
 
「フォル、いらっしゃい!」
「ほらぁぁぁぁ!!! やっぱりぃぃぃ!?」
 ステラの掲げた手に導かれるようにして鳥型キャバリアが飛来する。
 わかっていたことだが、やっぱり嫌なのである。
 怖いのである。
 嘴に咥えられてすっごいスピードでびゅんびゅんするのは、怖いのである。例えるのならば、紐なしバンジーなのである。 
 あんまりにもあんまりなのである。
「最近多くないですか!? 本当にこれ怖いんですよー!?」
「時間がございません」
 ステラは恭しくカーテシーを決めた。
 それやってれば赦されると思ってません!? とルクスが喚くが、さらっと『フォルティス・フォルトゥーナ』がルクスを咥えた。
 あまりにもシームレス。スムースに。
「フォル的にルクス様は、そこが定位置のようでございますね」
 にこり。
 にこり、じゃない! とルクスは思ったが、しかしルクスも覚悟を決めた。

「しかたありません。ここは少しでも早く突き抜けるしかないです。それで『エイル』さんにはそろそろ耳栓届いているでしょうから、演奏していいですよね」
「よいわけがありません」
「それでは!」
「話を聞いて下さい!? フォル! ファム・ファタール! あなたの速度で悪魔のトリル(アクマノトリル)を置き去りになさい!」
 ユーベルコードに煌めく両者の瞳。
 いや、なんか対決するところが違う気がする。
 デウスエクスも『エイル』博士も置いてけぼりである。

 なんでこんなことになってんですか、と聞いても誰も答えてくれない。誰も正解を知らぬのである。
 故にルクスは最近、おはようからこんばんわまでの十八番たる演目を奏でる。
「ステラさん、聴いてくださいね♪」
「お断りします。まあ、ルクス様が空気の塊に激突しそうですが、大丈夫でしょう」
 音速を超える『フォルティス・フォルトゥーナ』の飛翔。
 空気の壁は塊となって嘴の戦端に咥えられたルクスにぶつかるだろう。まあ、勇者だから大丈夫だろう。たぶん。
「勇者って、そこまで万能じゃないですからね!?」
 限界を超えろ! 超えていけ! 光の勇者!
 空気の壁が迫るなら、それをぶち抜く演奏によって、ステラの鼓膜までもぶち抜いていくのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
【決戦配備:ディフェンダー】
私事で恐縮ですが、実はわたくし先日レベル148になりまして
これが何を意味するかと言うとですね、UCで最大時速14800kmを出せるようになったわけです

時速14800km。マッハ12。音速の約12倍
この速さで駆け抜ける竜巻をまとったサメに乗り、復活の儀式を邪魔させぬと迫りくるデウスエクスたちを

轢き殺します。

はい、まとめて轢殺です。強行突破って言われたしいいかなって。これならわたくしの持ちうる手段で最速で現場に到着しますし
こう、趣味を実益を兼ねた感じで、ね?

じゃ、行ってきます!

「セラフィムさん、なんか隔壁とかで都市部に展開して被害が出ないようにいい感じにお願いします!」



「私事で恐縮ですが」
 え、何?
 何? と通信先の『エイル』博士は首を傾げた。
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)であった。彼女は神出鬼没のきぐるみ系メイドである。きぐるみ系?
 もうその時点で首を傾げるところであるが、彼女は意に介さなかった。
「実はわたくし先日レベル148になりまして」
「本当にどういうこと!?」
 わかんない!『エイル』博士にとっては、レベル!? という具合である。何の話しているのかさっぱりであったことだろう。
 だが、エミリィは続ける。
「これが何を意味するかと言うとですね」
 あ、よかった。説明してくれるんだ、と『エイル』博士は胸をなでおろした。
 このまま説明無しに話が進んでいったらどうしようかと思っていたところである。

「ユーベルコード、つまり、轢き殺すサメイドの術(ヒキコロスサメイドノジュツ)は最大時速14800kmを出せるようになったわけです」
「え、何? 術? メイド? 鮫?」
 ぜんぶわからん!
 だがエミリィの瞳はユーベルコードに輝く。
 そう、此の戦いは一点突破の強行突破が求められている。
 如何に迅速にデウスエクスの陣容を突っ切るかが要となっているのだ。
 ならば、エミリィの言葉が真実ならば、時速14800kmはマッハ12。音速の役12倍である。
 エミリィの足元から召喚される鮫が竜巻を纏い、彼女の言葉通り音速をさらに越えた速度で持って一気に飛翔するのだ。

 それは凄まじいソニックブームを生み出し、デウスエクスを轢殺していくのだ。
「いまなんか轢きました?」
「引いたよ、確かに!」
「たぶん鹿とかなんかです。そういうことにしましょう」
「いや、どう考えてもデウスエクスを跳ね飛ばしたけど!?」
「はい。まとめて轢殺してやろうと思いました。強行突破って言われたしいいかなって」
 ね、とエミリィはバチコンとウィンクしてみせる。
 テレッテレーと軽快な音楽が響いてきそうであった。
 何処からか訴えられないかすごく不安になる。
 しかし、エミリィは深く頷いた。
「わたくしの持ちうる手段で最速で現場に到着できますし、こう趣味と実益を兼ねた感じで、ね?」
「どっちが趣味なの!? 轢殺じゃあないよね!? 鮫の方だよね!?」
 エミリィは答えなかった。

 なんか曖昧にニコリ、と微笑んだだけだった。
 ちなみに『決戦配備』の要請によって『セラフィム』たちが壁となったのはエミリィの飛翔に寄るソニックブームが都市に被害をもたらさぬようにして障壁となるためである。
 普通の使い方ができないのかと『エイル』博士は思ったが、エミリィの理不尽じみた飛翔っ速度はデウスエクスでも止められるわけがなかった。
 ただ只管に一直線。
 立ちふさがるのならば、轢殺する。
 そう言わんばかりにエミリィは竜巻纏う鮫と共にダム湖へとたどり着くのだ。
 なんとも雑な強行突破であろうか。
 しかし、それでもエミリィは突破して見せたのだ。
 その背後に得も言われぬ蹂躙劇というか、轢殺劇というか、ひき逃げっていうか。
 そんななんとも言い難い傷跡を残して――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

霹靂に乗ったまま、突入である。
なるほど、たしかに…今は強行突破が一番の状態じゃな。退治に時間をかけるのが惜しい。
しかし、ダム湖?に封印とはよう考えたの…。人払いには適しておるし、こうして対処するにもな。
人がおらんのが戦いやすくなる。

さあ、霹靂よ、思いっきり駆けるがよい!
道筋はわしが手綱で示すゆえ、何も気にすることはない!
あのデウスエクスらが追いつけぬ、邪魔できぬ速度を出すことができるであろう?


霹靂「クエッ」
限界突破な空中機動で行く!雷結界も継続中…



 ヒポグリフ『霹靂』に騎乗した馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は、なるほど、と思った。
 猟兵とケルベロスが山中のダム湖を目指している。
 だが、強大なデウスエクス復活のための儀式を執り行うデウスエクスたちの妨害にあっている。
 その妨害を一点突破するのは確かに方策としては間違っていない。
 むしろ、それが最適解であると言えるだろう。
「なるほどの」
「味方が散々にかき回してくれているようだね。だが、復活は止められない」
『エイル』博士の言葉に頷く。
 そう、最早ほころびを見せた封印は嘗ての強大なデウスエクスを留めておけない。

 魔術的な封印がデウスエクスによってほどかれているからだ。
 時期に魔術的な抑えを失った封印は物理的な湖水を全て蒸発させて強大なデウスエクスを復活させるだろう。
「だが、グラビティ・チェインは奪わせなかった。ならば、弱体化して復活したデウスエクスを討つのは容易いのではないのか?」
「いいや、それでも強大な敵なんだ」
「ふむ。やはり市街地のデウスエクス退治に時間を奪われたのが惜しいの」
『侵す者』は『霹靂』を駆り、飛翔する。
 迫るデウスエクスたち。
 やはり妨害しようとしている。
 これを打ち倒していては、さらに時間を失うであろう。

「さあ、『霹靂』よ、思いっきりかけるがよい!」
 手綱をはり、『霹靂』は嘶く。
「クエッ!」
「四悪霊・火(シアクリョウガヒトリ・マタチカゲマサ)……道筋はわしが手綱で示すがゆえ、何も気にすることはない!」
 大地を蹴るようにして『霹靂』の翼が羽ばたく。
 増強された翼がユーベルコードの輝きを受けて、風を捉える。
 疾駆する姿は矢の如く。
 迫りくるデウスエクスたちを置き去りにするようにして『霹靂』はダム湖へと向かう。

 眼の前には蒸発していく湖水があったことだろう。
 考えたものだ、と『侵す者』は思う。
 山中にありて、人払いは必要なく。
 魔術的な抑えに助けられているとは言え、大量の水は凄まじい圧力で持ってデウスエクスを湖底に沈めているのだろう。
 容易く封印が解けず、また湖の中故にグラビティ・チェインを得るために人間の生命を奪うことはできない。
 徐々に枯渇していくグラビティ・チェインにさらに封印は重くのしかかる。
 永遠不滅のデウスエクスを打倒することはできない現状において、最も現実的な封印方法であったと言えるだろう。

 だが、それもほころぶ。
「仕方のないことであるがの。だが、人がおらんのは戦いやすくなる」
『侵す者』は睥睨する。
 湖面の底に揺らめくは大蛇の影。
 滅びを示す影。
 免れ得ぬ運命。
 その形が、今『侵す者』の瞳に映った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクセリア・レスト
【ディフェンダー】【SPD】
※アドリブ、連携可

街の方はなんとかなったけど、まだこんなにデウスエクスがいるんだ…ううん、弱音なんて吐いちゃだめ。まだまだ敵は沢山いるんだから。頑張らないと!

『セラフィム』に守ってもらいながらユーベルコードのメルティ・スイーツを使ってみるよ。周りに猛毒スイーツをいっぱい出してデウスエクスを溶かせればいいな。

そうやってお菓子を出してデウスエクスを溶かしていきながら、復活の儀式を取り行っている現場に向かっていくよ!



「市街地の方はなんとかなったみたいだけど……」
 ルクセリア・レスト(スイートドリーム・f42617)は湾岸の決戦都市にて大量殺戮によってグラビティ・チェインの簒奪を行わんとしていたデウスエクスたちを退け、息を吐き出す。
 だが、息をつく暇などない。
 そう、此処からはスピード勝負。
 デウスエクスの目的はあくまで山中のダム湖に封印された強大なデウスエクスの封印を解くことである。
 急ぎルクセリアは『セラフィム』の掌の上に乗って山中へと急行する。
 彼女が目にしたのは、猟兵とケルベロスによるデウスエクスの防衛線を突破せんとする光景だった。
「まだ、こんなにデウスエクスがいるんだ……」
 心の奥から弱音がにじみ出てくる。
 あれだけ必死にデウスエクスを撃退したというのに、まだこれだけの数がいる。
 デウスエクスは永遠不滅の存在。
 打倒しても、また地球に襲来する。
 滅ぼせないのだ。
 言ってしまえば、ケルベロスディバイドは終わりなく防衛戦を強いられているのだ。
 彼女のように心に弱音が浮かぶのも無理なからぬことだった。
 けれど、ルクセリアの瞳に諦観の色はない。

「ううん、弱音なんて吐いちゃだめ」
 がんばらないと! と彼女は奮起する。
 そうだ。いつだってそうだ。人類は諦めない。諦めないからこそ、十数年前の決戦のように、強大なデウスエクスを打倒出来ずとも山中のダム湖に封印することができたのだ。
 ならばこそ、ルクセリアの瞳はユーベルコードに輝く。
「守ってね、『セラフィム』」
 ルクセリアは己を抱える鋼鉄の巨人たる決戦配備『セラフィム』に語りかける。
 アイセンサーが煌めき、エネルギーフィールドがルクセリアを覆う。
 迫るデウスエクスの猛攻からルクセリアを護るためだ。
 その代わり、機体の装甲があちこち弾け飛ぶ。
 機体を護るエネルギーが足りないのだろう。けれど、それが己の役目だというようにルクセリアを抱えながら飛翔する。

 その存在意義に応えるようにルクセリアはユーベルコードを輝かせる。
「あまーいお菓子で溶かしてあげる」
 グリード・サインが輝く。
 生み出されるはスイーツ。ただし、猛毒である。
 触れれば、即座にデウスエクスたちの体を腐食溶解毒によって溶かし尽くすのだ。
「いっぱい食べて良いんだよ。きっとこのメルティ・スイーツは食べ切れないだろうけれど」
 ルクセリアは迫りくるデウスエクスたちを溶かしながらダム湖へと『セラフィム』と共に向かう。
 フレームの軋む音が聞こえる。
 己を抱えるようにしてデウスエクスの攻撃から守っていた『セラフィム』が限界を迎えようとしていた。
 ここまでよくがんばってくれたね、とルクセリアは微笑む。
 ついに限界の来た『セラフィム』の手が掲げられる。
 ゆけ、と言うような所作にルクセリアは頷き、その掌から飛び立つ。

 眼の前には湖面。
 濛々と立ち込めるは湖水を蒸発させて復活戦とする強大なデウスエクスの影。
 大蛇の如き影は、今まさに復活の時を迎えようとしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジークリット・ヴォルフガング
●WIZ【ケルライダー】

まずこちらは片付いたが、敵にしてやられたか
場所は決戦都市から離れた山中のダム湖、峠を利用しての防衛線となればこちらが圧倒的に不利…であるが、突破さえすればか
お前の走りに期待するぞ、シルバーブリット

ああ、秘匿作戦はここまで
ここからは何時ものように【グッドナイス・ブレイヴァー】での生放送啓蒙配信だ
作戦は単純明快
セラフィムの|決戦配備《クラッシャー》による砲撃支援を掻い潜り混乱に乗じての一点突破、これに尽きる

ん、何か言ったか?
ほう…それは良い案だ
さながら戦争映画のようだが、日本の特撮によく用いられる火薬の芸術だな
だが、そうなれば普通の道は走れんぞ?
採石場のような道を攻めるぞ!


真・シルバーブリット
●POW【ケルライダー】

まっかせて、ジーク!
普段はステラとパトロールがてら峠道のヘアピンカーブを攻めに攻めて訓練してるし、何時も見てるジークのケルチューブチャンネルに出れるなら張り切るしかないもんね

で、作戦は?
…うわぁ、さっすが|脳筋《狼ゴリラ》
ううん、なんでもない!
僕としては当てずっぽうに砲撃するより、ジークのドローンで得られた映像で割り出した敵の位置を的確に【スナイパー支援】して貰った方が良いと思うなー
でさ、予め着弾する場所が分かる着弾位置を縫って走るとかも撮れ高満載で映えると思うんだよね
勿論、邪魔するデウスエクスは【デッドヒートキャリバー】で倒しちゃって朝のヒーロータイムみたいにしようよ



 市街地の大量殺戮は防ぐことができた。
 それは僥倖である。
 物的被害は甚大であるが、しかし、人の命には変えられない。
 人類は生存エネルギー、グラビティ・チェインを多く有している。デウスエクスたちが地球を付け狙うのも、このグラビティ・チェインのためである。
 そして、強大なデウスエクス復活に必要なのもまたこのグラビティ・チェインなのだ。
「こちらは片付いたが、敵にしてやられたか」
 ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)は市街地への襲撃がグラビティ・チェインの簒奪とケルベロスたちを陽動する目的があったのだと知るだろう。
 
 山中のダム湖に封印されたデウスエクス。
 この封印を解くように円陣を組んだデウスエクスたちは魔術的な抑えをすでに解いていた。
 後はダム湖の水量を減らしていけば、湖底に沈められるようにして封印されたデウスエクスを復活させるだけでよかったのだ。
「だが、グラビティ・チェインの簒奪は防いだ。しかし、山中であるのは幸いであると同時に厄介だな」
 ジークリットは呻く。
 敵はこちらを近づけさせぬように防衛戦を行なうだろう。
 山中であること、峠を利用すれば道は険しく迫るには難しい。
 けれど、突破さえすればなんとでもなるというのなら。
「まっかせて、ジーク!」
 真・シルバーブリット(真シルバーブリット・f41263)は己の駆体の内部から響き渡るエンジン音に負けぬくらい明るい声でそう言った。
 ライドキャリバーである彼はジークリットを支援するために駆け抜けてきたのだ。
 またがるジークは笑む。
「ああ、お前の走りに期待するぞ、シルバーブリット」
「ケルチューブチャンネルに出してくれるっていう約束、忘れないでね」
「ああ、任せておけ。今から生放送だ!」

 その言葉と共にジークリットの瞳がユーベルコードに輝く。
 動画撮影ドローンが飛び立ち、ジークリットとシルバーブリットの勇姿を映し出す。
 それまでは秘匿作戦のため動画配信を控えていたのだが、ここからは違う。
 そう、謂わば『デウスエクス防衛線を突破してみた』である!
 シルバーブリットの疾駆と共に山中へと突っ込んでいく様子が動画配信サービスへと流され始める。
 すると、待ってましたと言わんばかりにコメント欄が埋め尽くされていく。

「きたー!」
「やっぱりライドキャリバーしか勝たん」
「いつもの」「ここ何処? 湾岸の決戦都市じゃないよね?」
「啓蒙配信のはじまりだ。さあ、作戦は単純明快だ」
 ジークリットはコメントを読みながら、シルバーブリットのアクセルをさらに吹かせる。
「単純明快?」
「ああ、『セラフィム』の|『決戦配備』《クラッシャー》による砲撃支援をかいくぐり、混乱に乗じて一点突破。これに尽きる」
 ジークリットは自信満々であった。

 だが、シルバーブリットは思った。
「……うわぁ」
 声にでてしまっていた。
 いや、同時に思うのだ。流石は脳筋、と。
「出た、狼ゴリラ」
「ゴリラは優しいんだぞ。ゴリラへの風評被害やめろ」
「狼に対しても、それはそうだとワイトもそう言ってます」
 コメント欄はそんなコメントで溢れていたが、いつものとおりである。
「今、なにか心の声的なものが漏れてなかったか?」
「ううん、なんでもない! 僕としては、当てずっぽうに砲撃するより、ジークのドローンで得られた映像で割り出した敵の位置を的確にスナイパー支援してもらった方がよいと思うなー」
 シルバーブリットの言葉は尤もであった。
 確かにその方が良い。

「ほう……それはよい案だ」
「でしょー」
「賢い」
「狼ゴリラより賢いライドキャリバーis何?」
 コメントもいつも通りである。
 そんなシルバーブリットの要請に応じて『セラフィム』たちがジークリットの放った動画撮影ドローンとリンクし、空よりデウスエクスへと胸部砲口の火線でもってシルバーブリットの進路をクリアにしていくのだ。

「ありがとー! さあ、これで走りやすくなったよ! 撮れ高満載だよね!」
「お礼言えて偉い」
「狼ゴリラは何してんの?」
「ええい、ちゃんとコース取りをしているだろう!」
 ジークリットはコメント欄の散々なコメントにヤキモキしている。だが、それでもシルバーブリットは最高速度で砲火荒ぶ戦場を駆け抜けていく。
 邪魔するデウスエクスは黒炎纏うユーベルコードで持って轢殺していくのだ。
 さながら気分は特撮映画のヒーロー気分。
「うふふ、まるで朝のヒーロータイムみたいだね!」
「まあ、わからんでもない。さながら戦争映画のようだが、火薬の芸術だな」
 ジークリットはうんうんと頷きながらシルバーブリットと共にダム湖へと飛び出す。
 湖面はすでに水位が下がり始めている。
 封印がほどけるのだろう。
 もうもうと立ち込める水蒸気の奥に、赤く輝く瞳があった。

 ぎょろり、と睥睨するような眼。
 それは嘗て封印されし、強大なデウスエクス。その姿であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『死定神『免れ得ぬ運命の蛇』』

POW   :    瞳に映る死
【自分の瞳】に映し出された【対象の死に様】を見た対象全てに【絶望】を与え、行動を阻害する。
SPD   :    理解され得ぬもの
自身が対象にとって未知の存在である限り、通常の行動に追加して「【生命力流出】」「【急速老化】」の心霊現象を与える。
WIZ   :    拡散する静寂
【全身】から【死の瘴気】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[死の瘴気]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。

イラスト:塚原脱兎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ボーリャ・コータスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 あれだけ豊かであったダム湖の湖水は干上がっていた。
 魔術的な押さえを喪った封印は、物理的な水量を喪わせ、嘗ての強大なデウスエクスの姿をさらけ出させていた。
 濛々と立ち上がった水蒸気は風に流され、湖底であったその場所は嘗ての村落としての姿を蘇らせていた。どれもこれもが湖底に沈んだ破壊の痕。
 そこで過去に行われた戦いの激戦がいかなるものであったのかを知らしめるものであったことだろう。
「乾く」
 声が響く。
 端的な声であった。
 それは強大なデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』。
「乾く」
 そう、グラビティ・チェインの枯渇。
 それによって封印が解かれたとは言え、『免れ得ぬ運命の蛇』は、弱体化しているのだ。だが、猟兵、ケルベロス達は知るだろう。
 弱体化してなお、己たちの前に存在するデウスエクスは強大そのもの。
 掛け値なしの強敵であると。
 まるで理不尽の権化であった。
「あれが『飛ぶ蛇』……!」
『エイル』博士の通信が走る。
 おぞけ走るような運命の気配。対峙すれば、死しか待ち受けぬと思わせるような圧倒的な力。
 しかし、やらねばならない。
 たとえ、免れ得ぬ運命が死であるのだとしても、それに抗うのが生きるものの宿命なのだと――。
アンジェリカ・ディマンシュ
さぁ、わたくしの力を見せてあげますわ
機械天使の翼――オラトリオとダモクレスのハイブリッドデウスエクスとなり、機械工学による進化と時間制御を複合した能力を獲得
そのまま生命力流出と急速老化に対して時間操作と機械化進化で対応
生命力を機械化アンプルにしてわたくしの体内に再注入し相殺
また、急速老化を時間操作で相殺していきますわ

そう、正にわたくしは単独でFO9の第二席、マザーコンピュータの真似事を可能とするのですわ
さぁ、覚悟なさって?
そう言って急速風化を与えるビーム法を機械工学で展開
そのまま、封印デウスエクスの時間を加速させて風化させていく――



 人の進化の根幹にあるものは一体なんであろうか。
 生きることは生命の道程。
 死ぬことは生命の結末。
 であるのならば、進化とはいかなるものであろうか。
 強大なデウスエクスの巨体が大蛇の如く干上がった湖底より浮かび上がる。
 その威容は示す。
 即ち、進化とは退廃であると。
「乾く」
 短く告げられた言葉。
 失いすぎたグラビティ・チェインと不完全な復活により死定神『免れ得ぬ運命の死』と呼ばれる『飛ぶ蛇』は弱体化している。

 確かに弱体化しているが、しかして、その力の強大さは言うまでもない。
「乾く」
 ただ只管にそれだけであった。
 迸る力。
 ユーベルコードの輝きが、そのぎょろりとした眼より発せられた瞬間、アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は己の体から生命が流出していくのを感じただろう。
 しわがれていく指先。
 なるほど、と思う。
 弱体化してなお、これだけの力。
「ならば、わたくしの力を見せてあげますわ。翼は歯車仕掛けとなり戦車となる(クロックワーク・メルカバー)」
 ユーベルコードに煌めくアンジェリカの瞳と共に己独自の技能である『クロックワーク・メルカバー』が発動する。
 
 敵が生命流出と急速老化を手繰る力を有しているのならば、己は時間操作と機械化進化によってこれに対するのだ。
 アンプルが己が首筋に突き立てられる。
 針より注入される力が己が体躯を老化させんとする力と、生命力を流出させる力と相殺し、アンジェリカの力を維持する。
「乾く」
「ただそればかりを喚いてばかりでは!」
 放たれる光条の一撃が大蛇の如き『免れ得ぬ運命の死』の体躯を打ち据える。
 だが、それは敵を打ち砕き、貫くだけの光条ではなかった。

「乾く。乾く。乾く」
「そうでしょうとも。我が時間操作と機械化進化の力は、あなた自身を急速に風化させる」
 機械天使の翼を広げ、アンジェリカは迫る力と拮抗を果たす。
 とは言え、これでは千日手であろう。
 だが、彼女はなんの心配もしていない。
 己はケルベロスにして猟兵。
 ならば、ただ一人で戦うものではない。
 常に仲間とともに戦ってきたのだ。
 ならばこそ、彼女は恐れない。

 どれだけ進化を退廃と示すものが目の前にいるのだとしても、それでも己が心にあるのは恐れではない。
 諦観でも絶望でもない。
 それらを打ち砕くものを知っているが故に、アンジェリカは永遠不滅の存在たるデウスエクス『免れ得ぬ運命の死』と対峙し、その時間を加速させていく。
「これでもなお、体表の一部を風化させるのみとは……一体どれだけの時間を……いえ、『免れ得ぬ運命の死』とは即ちそういうことですか?」
 アンジェリカは己がうちにある答えと共に機械天使の翼より放たれる光条を持って、強大なデウスエクス、嘗て猛威をふるったであろう圧倒的な驚異を湖底に釘付けにするように打ち付けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・プロメテウス
POW
※アドリブ連携等歓迎

【使命感、そして奮起】
絶対に負けません。
十数年前、彼の蛇から世界を守るために戦った英傑の為、
そして、これからの世界の為にも。
目覚めたてで申し訳ないですが、
貴方にはここで御退場願います。

ESPの<リミッター解除>後、
大剣にESPを注ぎ込んで肥大化させます。

彼の蛇の瞳に映る死に様は私を恐怖させるかもしれません。

だとしても

それ以上に
これから起こりうる悲劇をただ待つことが、
私には耐えられないのです。

推進装置を起動し、
無理矢理にでも突き進みます。

目標、「逃れ得ぬ運命の蛇」。

高く、高く空へ飛び立ち

宙を舞う蛇の真上より

極限にまで肥大した大剣による<重量攻撃>を仕掛けます。



 己が胸に燃えるは炎。
 されど、その炎が燃え盛るは使命故。己が|怪物《プロメテウス》であろうと、依然変わらぬ意志がそこにあった。
 奮い立つような意志。
 眼の前にある驚異。その威容。
 死定神『免れ得ぬ運命の死』と呼ばれた大蛇。
 その力は、嘗て地球に多くの死を齎したことだろう。
 干上がった湖水から湖底が戦いの痕を想起させる。充分過ぎた。それほどまでに破壊の痕が残っているのだ。

 どれほどの戦いだったのだろうとメアリー・プロメテウス(灰かぶりのメアリー・f36240)は思う。己が思う以上に激しい戦いだったのだろうと理解できる。
「乾く」
 だが、『免れ得ぬ運命の死』はただ、端的なる言葉を紡ぐばかりだった。
 振りまくは死。
 煌めくはユーベルコードの輝き。
 その白亜の光の先にメアリーは見ただろう。

 己の凄惨たる最期を。
 鎧は赤く染まる。
 血潮か、それとも他者の血かわからない。
 駆体に灯る炎は赤熱から鬼火へと変わるようであった。そして、それが己が最後の断末魔めいた熱の高まりであることも。
 それが最期。
 己の最期。
 故に、絶望が満ち得るのだ。
 愛した自然も、草花も己の炎の轍に燃えて死にゆく。

 灰しか残さぬ末路。
 故に、絶望が、メアリーの心を埋め尽くす。
 だが、熾火がある。
 そうではないと。たとえ、己の最期が『免れ得ぬ運命の死』が見せるものであるのだとしても、己は許せない。
「絶対に負けません」
 己が背負うは、十数年前から連なる戦いの歴史だ。
 世界を護るために戦った数多の英傑たちがいる。
 その無念に報いるためにこそメアリーはESPのリミッターを解除する。膨れ上がるエナジーの如きエネルギーが手にした大剣へと注ぎ込まれていく。
 刀身が形成されていく。
 戒めを破る剣。
 駆動するは己が炎変じる力。
 心臓が脈動するようだった。

「貴方にはここで御退場願います」
 振りかぶる。
 許せない。
 己の中にある言葉はそれだけだった。これから起こり得る悲劇をただ待つことが、耐えられない。
 そうなるからといって絶望する己の心を許しがたいものであると思うからこそ、メアリーの心臓は炎を噴出させるようにして大剣へと過剰なまでのエネルギーを注ぎ込む。
 巨大な刀身へと変貌してなお、刀身形成する力は満ちていく。
 推進力が負ける。
 それほどの質量。
「私には耐えられないのです。ただ待つことが」
 故に、と彼女は大地を踏み砕いて飛ぶ。

 推進装置が熱で溶解していく。
 迫る最期を振り払うようにしてメアリーは己が大剣を振りかぶる。
 高く、高く、空えへと飛び立つ。
「目標、『逃れ得ぬ運命の蛇』」
 武装が崩壊すると、コーションコールが鳴り響く。
 関係ない。
 振り下ろす。振り切る。その意思と共に放たれた極大なる斬撃は粒子崩壊を起こしながら永遠不滅の存在たるデウスエクス『免れ得ぬ運命の蛇』へと叩き落される。
 そう、それは叩き落とすというにふさわしい、質量爆散撃(プロメティック・オーバーロード)たる一撃。
 明滅するユーベルコードの輝き。
 メアリーは己が最期を見ながらも、その最期を受け入れるだけの己を許せない。
 悲劇が迫るというのに絶望に諦めることを赦さない。

 閃光の如き熾火満ちる一撃が、天を貫かんとするように戦場に立ち昇った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディッセンバー・クレイ
弱体化してこのプレッシャー…なるほど、確かに強敵です
ですが、これなら届きます

【SPD】連携・アドリブ歓迎
【ムーンラダー】と【仕官帽】の決戦武装を装備していても敵からのデバフ効果は止めきれませんか…
ならばこちらは動かずに攻撃するだけです
UC【重力流星雨】を起動、指定属性は…もちろんデウスエクス相手ならば重力です
元来の重力負荷との二重拘束効果でそちらも動くのは困難となるはず
ならば私の仕事は充分です
後は仲間たちがなんとかするでしょう

ああ、ですが…私からの攻撃が一度だけとは思いませんよね?(にっこり)
クロック、こちらの力が続く限り、流星雨を繰り返し落とし撃ちなさい!



 光の柱が立ち上る。
 その一撃受けてなお強大なデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』は赤い眼でもって猟兵、ケルベロスたちを睥睨する。
 いや、睨みつけているという表現は正しくないかもしれない。
 ただ見つめている。
 そこに在る、というだけで未知なる力を発露するのだ。
「弱体化してなお、このプレッシャー……なるほど、確かに強敵です」
 ディッセンバー・クレイ(自由気ままな戦闘執事・f36957)は決戦武装たるインバネスコートを翻し、目深に被った仕官帽に手を当てる。
 力が己に注がれる。
 いや、違う。

 これは、とディッセンバーは理解しただろう。
 己の中にある生命力が流出している。加えて、己の肌がみるみるまに水気を失うようにひび割れていく。
 これは老化。
 急速にこちらを老化させる力まで『免れ得ぬ運命の蛇』は振るうというのだ。
 これだけの力を発露してなお、全盛期のものではない。
 末恐ろしくもあるが、しかし、ディッセンバーは己が足がすでに踏ん張りきれないところまで老化していることを知る。
 動くのが難しい。
 けれど、ディッセンバーは笑う。
「動けませんか……ならば、こちらは動かずに攻撃するだけです」
 煌めくはユーベルコード。
 天空より飛来するは流星雨。

 青空切り裂く白い輝きは、空より迫るディッセンバーのユーベルコード。
 大蛇の如き巨体に降り注ぐ力は、重力を生み出す。
「対象指定……属性決定……因果収束……クロック、撃ち落としなさい!」
 刻竜召喚術・重力流星雨(クロック・メテオシャワー)は瞬時に『免れ得ぬ運命の蛇』の巨体を拘束する。
 重力と減衰。
 それらによって『免れ得ぬ運命の蛇』は干上がった湖底に縫い留められる。
 確かにこれだけでは敵を撃滅するには足りないだろう。

 けれど、ディッセンバーは構わない。
 十数年前の戦いにおいてもそうだったのだ。
 決死の戦い。
 多くの生命が失われたことだろう。犠牲にしなければならないものが多すぎたはずだ。
 だが、それでも人々は成し遂げたのだ。
『免れ得ぬ運命の蛇』をこの地に封印せしめた。今も弱体化している。
 なら、己達が出来ない理由はない。
「動くのも困難でしょう」
「乾く。乾く。乾く」
 でしょうね、とディッセンバーは笑む。

 グラビティ・チェイン枯渇した『免れ得ぬ運命の蛇』は、十数年の間一欠片とてグラビティ・チェインを得られなかったのだ。
 故に弱体化している。
「後は仲間たちがなんとかするでしょう。ああ、ですが……」
 ディッセンバーの瞳が煌めく。
 手にした懐中時計の蓋が閉じられた瞬間、再度降り注ぐは流星雨。
 何処にも行かせはしない。
 このまま『免れ得ぬ運命の蛇』はここにて再び封ぜられるのだ。
 干上がった湖水の代わりに降り注ぐ流星雨。
 それこそが、敵を再び封獄の底へと叩き落とす標であると示すようにディッセンバーは重力と減衰の力たぐりて、『免れ得ぬ運命の蛇』を今再び、押し止めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
決戦配備:スナイパー

弱体化してなお、この圧倒的な存在感…なるほど強敵だな
だが、ここで引く事などあり得ない!
引き続き狙撃支援を要請

ここに来るまでの間、接近戦を中心に戦ってきた俺は消耗が激しい
だからこそ使える手が、俺にはある
顕現せよ!
UCによりこれまでの道中での負傷を力に変え強敵へと挑む

支援攻撃の射線上に破魔属性を付与する結界を張っておく
その結界を介した攻撃なら、通常の攻撃よりダメージが通るだろう

俺は顕現した翼で飛行し、上空より攻撃
敵の瘴気ギリギリ範囲外から破魔+浄化付与した護符の乱れ撃ちを雨の様に降らせ、敵に継続ダメージを与え続ける

敵に降り注ぐのは体を貫く貫通攻撃の豪雨だ
このまま削りまくってやる



 戦いには傷はつきものだ。
 どうあっても傷つかないわけにはいかない。
 肉体も心も。
 いずれもが傷を刻まれる。けれど、それは練磨であるとも言えただろう。魂が輝くための練磨。ならば、人は進んでいける。
 たとえ、その道行きが死に繋がるのだとしても、前に進むのだ。
 永遠不滅の存在。
 デウスエクスにはそれがない。
 死という結末すらないのならば、進化することはできないだろう。
 行き止まりの袋小路に立ち尽くす存在。
 それがデウスエクスである。
 故に、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は対するデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』の圧倒的な威容を前にして怯まなかった。

「あれが……! 弱体化してなお、この圧倒的な存在感……!」
 強敵であると知る。
 膨れ上がるは死の瘴気。
 どこまでも広がっていく。
 倒さねばならない。今、ここで。でなければ、この瘴気は山中から市街地へと雪崩込むだろう。そうなれば、救った生命は再び死にさらされる。
「そんなことさせるものか! 狙撃支援!」
「瘴気を火砲の勢いで吹き飛ばす! けれど、長くは!」
『エイル』博士の通信にひりょは頷く。
『セラフィム』たちの火砲では死の瘴気を追いやることしかできない。

「いずれ、充満した瘴気が雪崩込むぞ! その前に!」
 どうするんだ、という言葉にひりょの瞳がユーベルコードに輝く。
「顕現せよ! 翼よ! 黄昏の翼(タソガレノツバサ)よ!!」
 黒と白のオーラ。
 己が身に刻まれたこれまでの戦いの傷。
 そして、仲間たちの傷。
 その全ての傷がひりょの力へと変換されていく。
 これまで無理を押してでも戦ってきたのはこのときのために。蓄積された傷。それは確かに生命を傷つけるものであっただろう。
 けれど、練磨の跡でもあるのだ。
 紡がれてきたもの。
 過去から今に。

「乾く」
 端的な声が聞こえる。
 ただそれだけ。たったそれだけで人の命を奪う存在が眼の前にいる。
 免れ得ぬと、逃げ得ぬという言葉を体現するような存在。その存在が目の前にある。
 けれど、ひりょは恐れなかった。
 恐れる理由がなった。
「どんなに死が結末に待っているのだとしても! それでも戦わなければならない理由が俺にはある!」
 空へと飛翔し、ばらまくは護符。
 その護符より放たれる光条は雨のように『免れ得ぬ運命の蛇』へと降り注ぐ。
 それは死の瘴気すら削りながら体表を打つのだ。

「みんな明日が欲しいんだ。だから懸命に生きているんだよ! それを! したり顔で運命だと決めつけるお前は!」
 ここで討つのだというように、ひりょは己がオーラが形作る翼と共に運命の頭上を飛び越えていく。
 今日で終わると言われても、明日を望む限り懸命に生きるのが人であると示すように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍之宮・翡翠
漸く本命のお出ましか
こうして対峙すると、当時の戦力では封印するしか無かったと言うだけの存在である事がひしひしと感じられる
だが、人間は、DIVIDEは、停滞していた訳じゃない

「|決戦配備《ポジション》変更要請、|攻撃配備《アタッカー》。
――此処で決着を付ける」

デウスエクスという時点で対峙する其れは敵以上の何者でもない
そして、過日の戦いの情報も博士達から得ている
その時点で未知等とは言わない、言わせない

「お前の術中に落ちてやる道理はない」

乾いていようが、飢えていようが、貴様が再びこの地を蹂躙しようとするのを放置する理由になりはしない

此処でカタをつけてやろう
振るう刃にUCの力を乗せて斬り伏せる



 こうしているとわかる。
 戦場には数多のユーベルコードの明滅がある。
 それは凄まじき戦いの気配だ。どうしようもないほどの脅威が目の前にある。
 デウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』。
 その力は凄まじいの一言である。
 弱体化してなお、この力。吹き荒れる瘴気が光の雨によって洗い流され、道が切り拓かれている。
 龍之宮・翡翠(未だ門に至らぬ龍・f40964)は理解する。
 十数年前の決戦。
 この強大なデウスエクスを封印するしかなかった、ということを。
 今も永遠不滅の存在であるデウスエクスを滅ぼす手段はない。

 眼の前の『免れ得ぬ運命の蛇』を此処で打倒しても、また再び地球に襲来するだろう。
 場当たり的な対処でしかないことはわかっている。
 けれど、己の本能が言う。
 これを放置してはならないと。捨て置くことはできないと。
 戦いばかりを齎す存在。
 死を振りまき、それを運命と嘯く。
 許せるものではない。故に、翡翠は叫ぶ。
「|決戦配備《ポジション》変更要請、|攻撃配備《アタッカー》――此処で決着をつける」
「行けるのかい?」
「わかっている。敵が弱体化してなお、この強さだということも。けれど」
 翡翠は思う。
 人間は、特務機関DIVIDEは停滞していたわけじゃあない。

 これまでの歩みが翡翠を活かしている。
 故に彼は前に進む。
 眼の前に迫るは未知ではない。人類が対峙したことのないデウスエクスではないのだ。
 故に『免れ得ぬ運命の蛇』放つ力は翡翠には通用しなかった。
 知っている。
 特務機関DIVIDEが遭遇したデウスエクスのデータは翡翠もまた目を通しているのだ。
 知っているということは対処できる、ということだ。
 恐れることはない。
 何一つ。眼の前の存在は脅威にほかならないが、未知ではない。
「未知でないのならば、対処することができるのが人だ。恐れを抱きながらも、それでも立ち向かうことのできる理性を持つのが人だ。それを!」
 敵の術中に落ちる道理などない。

 今の己の背にあるのは十数年前から続く人々の連綿たる思いだ。
 依然はこれよりも強大なデウスエクスに立ち向かっていったものたちがいるのだ。その恐れはどれほどのものだっただろう。
 過去の決死たる思い。
 それが翡翠を前に進ませているのだ。
「乾く」
「乾いていようが、飢えていようが、貴様が再びこの地を蹂躙しようとしているのを放置する理由になりはしない」
 煌めくはユーベルコード。
 翡翠の名を示す瞳の色が抜刀した残霊刀の刀身に移り込む。

 放たれるは空を絶つ刃。
 その斬撃は己に対抗するであろう力を超える刃となり得る。
 即ち、敵が強大であればあるほどに彼の斬撃は強力になるのだ。
「此処でカタをつけてやろう。免れ得ぬというのならば、お前もまたそうだ。お前が死を齎すのならば、お前の死は此処だ」
 ねじ伏せるようにして翡翠の放った絶空斬の一撃が、迫る脅威を征伐するように振り下ろされ、大蛇の巨体を大地に叩き伏せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
なんという禍々しい気配。これは封印されていたのも理解できます。ならばこそ、わたくしも本気を出しましょう。
今こそ鮫魔術師の真髄たる鮫魔術の奥義を見せる時。

撒き散らされる死の瘴気は【第六感】で回避しつつ、距離を取ってUCを使用します。

「くらえ、サメンタル・ファンタジア!」
「落ちろ、サメテオ!」

使用するユーベルコードはサメンタル・ファンタジア。
このUCによりサメ属性の流星群を落とし、デウスエクスを鮫隕石で潰します。

UCも言動もいたって不真面目ですが、ケルベロスとしては職務に忠実。ギャグに走るのはご愛敬。
そんなわたくしの頭のネジのぶっ飛び具合を、この一戦で思い知らせてやります。



 斬り伏せるようにして叩きつけられた大蛇がのたうつ。
 それはデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』の巨体であった。
 干上がったダム湖の湖底が砕けるようにして、その体躯が打ちのめされている。
 弱体化してなお、これだけの脅威。
 けれど、猟兵とケルベロスたちのユーベルコードがこれを打ちのめしているのだ。恐るべきは、これだけの攻撃を受けてなお大蛇……即ち、『免れ得ぬ運命の蛇』が起き上がり、死の瘴気を振りまくほどの力を有しているということであろう。
「なんという禍々しい気配」
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は理解する。
 これは封印するしかなかった、という事実を。
 十数年前の決死の戦いにおいても、倒すことができなかったことを。
 ならばこそ、エミリィは己が本分を胸に抱える。

「わたくしも本気を出しましょう。今こそ鮫魔術士の真髄たる鮫魔術の扇を見せる時」
 煌めくはユーベルコード。
 エミリィのきぐるみ、鮫の眼球も輝いていた。
 迫る死の瘴気は恐るべきものだ。
 この瘴気は無限に広がっていく。
 ここで打倒しなければ、山中を下って市街地へと雪崩込むだろう。そうなっては人々は死に絶えるしかない。
 恐るべき力である。
 だからこそ、エミリィは距離を取って手を掲げる。
 天に示すは空。
 否、空より飛来せしは天穿つ星。
 即ち、これ隕石である。
「くらえ、サメンタル・ファンタジア!」

 練り上げるはサメ属性。
 サメ?
 迫るは流星群。
「落ちろ、サメテオ!」
 なんて?
 鮫魔術を操るメイドの術(サメンタル・ファンタジア)は此処に輝きを示す。モニタリングしていた『エイル』博士も一瞬聞き間違えかな? と思った。
 だが、モニタリングしている映像を見ても、エミリィが巫山戯ている様子はない。
 真剣そのものな顔をしていた。
「えっ、私の聞き間違いだったのか?」
「もしやグリードオーシャン最古の魔術体系である鮫魔術をご存じない?」
「え、何?」
 そう、エミリィの言動は至って不真面目である。冗談めいた言葉を使う。
 けれど、彼女は真剣なのだ。
 ケルベロスとしての職務に忠実。
 けれど、走る先がなんともシリアスからは対極であるのはご愛敬というやつである。
 ネジが二、三本ぶっ飛んでいる。

「乾く」
「それなら、なおさら鮫魔術はぴったり。なにせグリードオーシャンは海ばっかりですから!」
 そういう問題か?
 だが、エミリィの放つ魔術は暴走しやすい制御を完璧にこなしていた。
 降り注ぐ鮫隕石は『免れ得ぬ運命の蛇』を穿つようにして打ち据える。凄まじい衝撃波と爆風が吹き荒れる。
 そのさなかにエミリィは、手繰る魔術の制御に笑む。
 死の瘴気はエミリィのネジぶっ飛んだ魔術で吹き飛ばす。
 かけらも残さない。
 理不尽な運命の死を噛み殺す。
 それが己がケルベロスとしての使命なのだと言うように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクセリア・レスト
【WIZ】
※アドリブ、連携可

あれが封印されてたデウスエクス…。
すごい強そうだけど、ここまで運んでくれたセラフィムのためにも頑張らないと。

今ならまだ封印が解けたばかりでまだ弱ってて本調子じゃないはず。このチャンスに攻撃するよ。

ブラック・グリードを使って【生命力吸収】と【魔力吸収】しながらデウスエクス自体の力を奪って、更に強いブラック・グリードを撃っていくね。
相手の瘴気は【激痛耐性】で頑張って耐えるよ。

みんなのためにも、ここで倒してみせるんだから!



 駆け出さずにはいられなかった。
 己を此処まで運んでくれた『セラフィム』の残骸をルクセリア・レスト(スイートドリーム・f42617)は振り返らなかった。
 振り返れば、それだけ時が浪費される。
 戦場に吹き荒れるは死の瘴気。
 降り注ぐ流星雨が、無限に広がらんとした瘴気を押し止めるようにして戦場に落ちる。
 その衝撃が風となってルクセリアの頬を撫でただろう。
 そして、見た。
 あれなるは、脅威。
 強大なデウスエクスにして、十数年前の決死の戦いをして倒しきれず、封印するほかなかった存在。

「あれが封印されていたデウスエクス……」
 デウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』である。
 その力は弱体化してなお、苛烈。
 凄まじい死の瘴気がルクセリアに迫らんとしていた。
 恐ろしい、と思うこともあっただろう。
 けれど、彼女は立ち止まらない。此処まで運んでくれた『セラフィム』は役目を全うしたのだ。
 破壊されてなお、それでも己をこの場に届けるためにデウスエクスの猛攻を受けて限界を迎えたのだ。
 だから、自分は此処まで無傷でたどり着くことができた。
「今はまだ封印が解けたばかりで弱ってて本調子じゃないはず」
「そのとおりだ。今しか倒すチャンスはない」
『エイル』博士の通信にルクセリアは頷く。
「乾く」
 それは『免れ得ぬ運命の蛇』の言葉だった。
 端的な言葉。
 グラビティ・チェインの枯渇を示すように体表はひび割れている。そこにユーベルコードの明滅が打ち付けられ、それでもなお、その存在は滅びない。

「ブラック・グリード! みんなのためにも、ここで倒してみせるんだから!」
 彼女のユーベルコードが炸裂する。
 黒の光線が背後のグリード・サインより放たれる。
 それは敵のエネルギーを吸収する光だった。
 洗脳できない。わかっていた。これほど強大な敵だ。できたとしても、わずかに噴出する死の瘴気を和らげるだけであったことだろう。
 そこにいるだけで死の気配を撒き散らす。
 それが『免れ得ぬ運命の蛇』というデウスエクスであった。

 確かに運命は免れ得ぬし、逃れぬだろう。
 ルクセリアはそれを知っていた。
 迫る死の瘴気が己の体から奪ったグラビティ・チェインを奪い返すようにして綱引きのように力が拮抗していく。
 痛みが走る。
 体のあちこちに内側から食い破られるような痛みが走る。
 けれど、耐える。これくらい耐えられないわけがない。
 みんなのために。
 それがルクセリアの願いだった。戦いに際しては、ずっと他者のためにルクセリアは思っていたのだ。
 己はサキュバスである。
 他者から得られるエネルギーがなければ飢えて死ぬ。
「甘い、甘い夢を見ていたい。誰かのためになることが私の快楽。自分だけじゃあ、ダメなの。誰かだけでもダメなの。だから、私は戦うの」
 甘いものでも構わないけれど、それでも誰かがいる、ということが己の生命の意味。
 ならばこそ、ルクセリアはユーベルコードに輝く赤い瞳を輝かせ続ける。
 生命を、死を齎すだけの存在には理解出来ない思いを抱えたルクセリアの放つ黒の光線が『免れ得ぬ運命の蛇』の巨体を打ち据え、大地へと縫い留める――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クリスタ・ドラグストーン
な、なんとか間に合ったのじゃろうか!?
うむ、また手ごわそうな相手じゃな……
しかしここで戦わぬ理由は無い、いくのじゃ!

む、わしの死に様じゃと……?要はやられる姿であろう?
ふーはっはっはっ!そんなものわしにとっては見慣れたものじゃ!(※岩竜の姿でダンジョンのボスを行う事がある)
むしろわしを圧倒できる強き者達の姿を見るのはドラゴンプロトコルとしては良きことじゃぞ
それにしても……ええい、状態異常しかしてこない敵だとカウンターがとり辛いわ!
ならばわしから攻撃するしかないが……その眼を砕けば有利になりそうじゃな
全力ダッシュからの|重盾を叩きつける《"シールドバッシュ"》!『ブレイクインパクト』じゃ!



「な、なんとか間に合ったのじゃろうか!?」
 吹き荒れる死の瘴気。
 それを縫い留めるようにして多くのユーベルコードの輝きが明滅している。
 凄まじき戦いの気配。
 そして、それだけのユーベルコードを一身に受けながらもデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』は、その瞳をぎょろりと蠢かせ、光を放つ。
 クリスタ・ドラグストーン(守護の重盾・f41850)は盾を構えて、なんとか戦場にたどり着いた。
 ダム湖の湖底。
 干上がったそこは、数多の戦いの痕が残されている。
 十数年前の戦いの痕だけではない。
 今まさに戦うものたちの軌跡が、そこに残されている。
 手ごわそうな敵だ、とクリスタは思っただろう。だが、戦わぬ理由などない。
 彼女がバグプロトコルと戦うのも同じだ。
 ゲームプレイヤーに仇為すものを倒す。そして、眼の前の存在は現実世界を生きるものを傷つけようとしている。
 ならば、己が立ち止まっている理由などないのだ。
「いくのじゃ!」
 だが、次の瞬間、クリスタはユーベルコードの輝きに眼がくらむ。

 まぶたを開けると、そこに在ったのは己の死に様があった。
 己の最期。
 打倒され、死にゆく姿。
 それはどうしようもないほどの死による結末であった。
 しかし、クリスタは一笑に付す。
 いや、笑い飛ばすのだ。
「ふーはっはっはっ! 何を見せるかと思えば、そんなもの!」
 クリスタは前に、前に突き進む。
 何故、と『免れ得ぬ運命の蛇』は思わなかった。だが、どうしてか、眼の前のクリスタは己の最期を目の当たりにしても笑い飛ばしたのだ。

「わしにとっては見慣れたものじゃ! わしはドラゴンプロトコル! ゲームマスターにしてゲームプレイヤーに対峙するもの! ダンジョンの主と言えば、わし! ダンジョンのボスは打倒されるは必定! ならば、これはいつだって起こり得る結末よ!」
 むしろ、それは己にとって望ましいものである。
 ゲームのクリアーはボスの打倒を持って成される。
 ならば、それは己にとって喜ばしい。
 ゲームプレイヤーたちが目的を達成し、喜ぶ姿も見れる。こんなにも喜ばしいことはない。
 だからこそ!

「ぬしの見せる光景は、絶望でもなければむごたらしいものではない。わしにとっては、喜ばしき結末よ!」
 故に、とクリスタは『セラフィム』変じたシールドを掲げる。
 ユーベルコードに煌めく瞳。
 己は重戦士。
 敵の攻撃を受け止め続けるもの。
 けれど、それでも己が拳を叩きつけねばならぬ敵がいるというのならば、護るべき力をもって打ち据えることもまたできるのだ。
「その力、その在り方! それをぶっ壊すのじゃ!」
 煌めくはブレイクインパクト。
 重戦士の象徴たる盾を掲げ、その面による打撃。
 すでに『免れ得ぬ運命の蛇』は他の猟兵たちのユーベルコードで地面に縫い留められている。

 クリスタはただ全力で走り抜けた。
 敵を打倒するために。
「眼の前に迫る脅威を砕き続けて人は進むのじゃ! それを!」
 運命と嘯く絶望でもって立ちふさがるなど笑止千万である。
 クリスタは、これまで連綿と紡がれてきた人類の技術の粋を集めた『セラフィム』変じた盾の殴打たる一撃を『免れ得ぬ運命の蛇』へと叩き込み、大地を激震せしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』
武器:黒燭炎

ふむ…これ以降は…。霹靂、休むが良い。
あの手合の技は、『わしら四悪霊』だけで受けるがよいのでな。

さて、乾いとるようじゃが。そのまま乾いて干物になったまま終わるが良いよ。
はは、わしの死に様なぁ?腸食われて…うむ、一回それで死んどるから、絶望なぞするものか!
そのままダッシュして急いで近づき、さらにUC付きの黒燭炎で薙ぎ払ってくれる!
二度と!ここへ!来るな!とな!

…いやすまん、地形破壊してもうた…。


霹靂「クエー」
無理しないでね?と影に引っ込む。
地形破壊したら…陰海月と一緒に、あちゃーとなる。



 強行軍によって疲労困憊たる『霹靂』の翼を休めさせるようにして馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は干上がった湖底へと飛び込む。
 これより先は己たち自身でよい、と言葉を投げかけ『霹靂』の見送る嘶きを背で聞く。
 無茶はしないで、という意味であろう。
 わかっている。
 けれど、それでもやらねばならない敵が眼の前にいる。
 存在するだけで死を振りまく存在。
 デウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』。
 それは十数年前の決死の戦いにおいても打倒することのできなかった存在である。

 そもそも、デウスエクスは永遠不滅の存在。
 今ここで倒したとしても、敵は再び襲来するだろう。けれど、倒しきれず封印という名の爆弾を地球が抱えることはなくなる。
 ならばこそ、此処で打倒する。
「あの手合は、わしらが受けるのみ」
 大地に叩き伏せられた『免れ得ぬ運命の蛇』の瞳がギョロリと蠢く。
 その赤い瞳が『侵す者』を捉える。
 次の瞬間、眼の前に広がるのは、臓物をぶちまけるようにして体躯へし折れた己が姿であった。
 己の最期。
 それを知っている。
 なぜなら、悪霊であるからだ。

 一度死せる者。
 それが己達である。
 そして、同時にそれは4つの魂を束ねたもの。
 故に迫る最期は4つ。
 いずれもが凄惨たる死であり、また同時に非業の死であったことだろう。
「だったらなんだというのだ」
「乾く」
 どれだけ他者の死を嘯くのだとしても、眼の前の存在は乾いている。飢えているのだ。
 長年に渡る封印。
 それに加えて一切グラビティ・チェインを得られず存在し続けることは、真綿で首を絞められるようなものであったことだろう。

 故に端的な言葉しか吐き出されていない。
「はは、乾くか。他者の絶望喰らいて存在し続けるものなど!」
 絶望など己には意味をなさない。
 もう幾度となく絶望を夢に見たことかわからない。
 それはどれほど己の心を苛むものであったかは知れないだろう。だが、だからこそ、前に進める。
 眼の前に迫る絶望を乗り越えることができるのが人なのだ。
 故に。
「二度と! ここへ! 来るな!」
 そう叫ぶ。
 眼の前に広がる地獄。
 それを見てなお、己は思うのだ。誰かのために絶望にすら脇目振らず邁進すること。それこそが絶望を乗り越える手段であるのだと。
 故に振るうは、槍。

「このわしの一撃、受けきれるか!」
 それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)放たれる一撃。
 湖底の地形を破壊する。
 凄まじき力。
 嘗ての決戦の痕すら破壊して見せる一撃は、さらなる激戦を戦場に刻み込みながら、その嘗てを乗り越えるように『免れ得ぬ運命の蛇』の巨体を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

エイルさん、話が違います!
これ以上ないくらいめちゃめちゃシリアスじゃないですかー!

え?ヤバイ?ステラさんはいつもやべーですけど……。
って、これラムネでどうにかなるレベルなんですか!?

な、なにはともあれー!
こんな危ない蛇、放って置くことはできません

え?やりますよ、もちろんですよ!
勇者としましては、あんなのやっつけないといけないですからね!

ステラさん、突撃しますのでお願いします!

いえちゃんと勇者として戦いますから!
あれはそういう存在だって、わたしの中の勇者魂がいってますから!
【世界調律】でしっかりあるべき姿に戻してあげないとです!

いきますよ!勇者必殺!どつき音叉!
バンジーバージョーン!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
あれが『飛ぶ蛇』……!
この名をこんなところで聞くことになろうとは
星の海たる世界から流れてきたか、あるいは同じ名前の別物か
いずれにしてもかなりヤバイ案件ということですか!
誰がやべーメイドですか
ボケてるわけではないんですよルクス様
あと、私はシリアスなクールメイドなのでラムネ要りません

え?ルクス様が|デレた《シリアスした》?
いえ、突っ込めと言われたならばフォルが頑張りますが
たまには勇者|力《ちから》が真面目に働くんですねえ……
では! 参りましょう!
フォル! 加速して突撃&
【ル・ディアーブル・ヴィアン】で仕掛けます!
悪魔と死神とどちらが残るか、勝負です!
負けた方が勇者に滅ぼされます



「『エイル』さん、話が違います!」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わず叫んでいた。
 封印されていたデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』の強大さ。
 そして、その圧倒的たる力を前に彼女は思わず喚くようにして叫んでいたのだ。
『エイル』博士は、え、と思った。
 いや、言った。
 最初から徹頭徹尾、封印されているデウスエクスの危険性は説いてきた。
 なのにルクスは話が違う! と叫んだのだ。
 なんで?

「あれが『飛ぶ蛇』……! この名をこんなところで聞くことになろうとは」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は砕かれた湖底に叩き伏せられた大蛇の姿を見やる。
 それは『免れ得ぬ運命の蛇』の通称であった。
 そして、同時にステラにとっては別の意味を持つ。
 星の海にて語られる御伽噺めいた名。
 その名の一片を今まさにステラは知る。
 世界をわたってきたのか。それとも、あるいは同じ名前の別物か。
 いずれにしても、これが喫緊にして緊迫の事態であることをステラは知る。
「ほら! これ以上ないくらいめちゃめちゃシリアスじゃないですかー!」
 そう、ルクスが言っているのは、この状況である。
 誰もギャグだと言ったつもりはない。
 むしろ、ルクスのギャグ時空でも中和できない状況であることはこれまでも再三言ってきたつもりである。

「やばいのはいつものことでしょう、ステラさん。ステラさんはいつもやべーです。これラムネでどうにかなるレベルじゃないし、なるんですか!?」
 えっ、ここからでも入れる保険があるんですか? くらいの感じである。
 逼迫した事態だっていうのに、割と余裕あるなぁって『エイル』博士は思った。
 けれど、口には出さなかった。
 なんか出したら行けない気がしたのだ。
「誰がやべーメイドですか!」
 スリッパがルクスの後頭部に打ち下ろされ……ることはなかった。
 なにせ今の彼女は『フォルティス・フォルトゥーナ』の嘴の先に加えられているのである。命拾いしたな。
「ボケてるわけではないんですよ、ルクス様」
「な、なにはともあれー!」
 どうにもなってない。

「こんな危ない蛇、放って置くことはできません」
「え? ルクス様が|デレた《シリアスした》?」
 そのルビあってる?
 所々、ステラもボケているので同罪である。いえ、自分はクールなメイドなのでラムネなんて必要ありませんって顔をしながら、しっかりボケノルマを達成してくるところがメイドである。
 そういうメイドなのである。
 少なくとも『エイル』博士にとっては、そういう認識である。
「ちゃんとやれるのですか?」
「やれますよ、やってみせますよ! 勿論ですよ! 勇者としましては、あんなのやっつけないわけにはいかないやつですからね! ステラさん、突撃しますのでお願いします!」
 ステラは思った。
 突撃っていうけど、この状態で?
 いいの?
 いいのか? いいんだよね?
「たまには勇者|力《ちから》が真面目に働くんですねぇ……では! 参りましょう! フォル!」
 全力加速! とステラの言葉に従うように『フォルティス・フォルトゥーナ』が飛ぶ。
 敵のユーベルコードがこちらを捉えるよりも早く、一瞬で勝負を決めるために、全武装を展開し、弾幕でもって視線を己たちに通さぬように爆炎を撒き散らす。

「悪魔が来たりて! さあ、悪魔と死神、どちらが残るか、勝負です! 負けた方が勇者に滅ぼされるのは最早常識!」
「なんかそれだとわたしが何かおかしい勇者みたいじゃないですか!」
「そうでありましょう?」
「そんなわけないです! わたしだってちゃんとやる時はやるんですから! あれは、存在しちゃいけないのだって、わたしの中の勇者魂が言ってますから!」
 ルクスは嘴から飛び立つ。
 空より飛来し、その勢いのままに手にした巨大音叉を振るう。

 それは、世界調律(セカイチョウリツ)。
 世界のあるべき姿を取り戻す調律の力。
 ルクスは、眼前に迫る『免れ得ぬ運命の蛇』をこそ、世界の歪みであると捉えた。
 死こそが免れ得ぬ運命であると嘯く敵。
 たしかにそれは正しいのだろう。
 だが、眼の前の存在は生命の絶望をこそ弄ぶ。
 故に、歪んでいる。
「勇者必殺! どつき音叉! バンジーバージョーン!」
 やっぱり巫山戯てない!? と『エイル』博士の声が聞こえた気がしたが、ルクスは構わず巨大音叉の痛烈なる一撃をもって『免れ得ぬ運命の蛇』の頭部をしたたかに打ち据え、また同時にステラは今回は演奏じゃなくてよかった、とないなった鼓膜をいたわるように耳を撫でるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジークリット・ヴォルフガング
●POW

乾く、か
過去に激戦を繰り広げ、長きに渡る封印を受ければグラビティ・チェインが枯渇寸前も頷ける
手負いの獣ほど怖いものは無いが…私に向けて惨たらしい死に様を視せさせる程度の飢えた獣ならば、それほどでもない

確かに永遠不滅なる存在であるデウスエクスであれば、死の概念は筆舌に尽くし難い恐怖だろう
だが、生あっての死、死あっての生
牙なき者達の剣であるケルベロスとして、貴様を封じる為に犠牲となった|兵《つわもの》達の想いに応えるべく…その瞳に映る偽りの未来ごと断ち切らせて貰おう

星剣抜刀!
悪足掻きの叩きつけを足場とし、頭上を取っての【ゾディアックブレイク】
貴様が長年飢え求めていた重力だ…とくと味わえ!!



「乾く。乾く。乾く」
 響く言葉はそれだけだった。
 デウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』が発する言葉は、ただそれだけだった。
 グラビティ・チェインの枯渇。
 十数年に及ぶ飢餓。
「乾く、か」
 確かにそうであろうな、とジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)は湖底に降り立つ。
 ユーベルコードの明滅が戦場を埋め尽くすようだった。
 それほどまでの戦い。

 嘗ての戦いも、このように苛烈なるものであったのだろうということは理解できる。
 長きに渡る封印。
 枯渇寸前故に飢えた獣の如く猟兵とケルベロスたちの攻勢に抗う『免れ得ぬ運命の蛇』は、己が運命を覆さんとしている。
「手負いの獣ほど怖いものはないが……」
 ジークリットは己を捉える赤い眼が見せる己が最期を見る。
 戦いの中に消えゆく生命。
 体が冷えていく。
 どうしようもないほどの終わり。
 手に抱くは、一体なんなのかさえわからぬ骸。
 慟哭すら響かせることのない喉が、しゃがれた音を吐き出すのみ。

 それは絶望の未来であったことだろう。
 最も凄惨であり、最も諦観に塗れた未来。
 その最期をジークリットは己が眼で見ただろう。
「ならば、なんだというのだ」
 己の生命が潰えること。
 それは生命体にとって最も忌避すべきものであったことだろう。なんとしても回避せねばという事象。
 故にジークリットは頭を振る。
「確かに永遠不滅なる存在であるデウスエクスであれば、死の概念は筆舌に尽くし難い恐怖だろう」
 それは地球に生きる生命であっても同様である。
 変わりようないことだ。
 だが、とジークリットは踏み出す。

「だが、生あっての死、死あっての生」
 ジークリットは思う。
 多くの生命を。これまで喪われてきた生命を。
 贖うためではない。
 あるのは、その先を望んだ未来のためにこそ剣を振るわねばならない。
「牙無き者の剣であるケルベロスとして、貴様を封じる為に犠牲となった|兵《つわもの》達の思いに応えるべく……その瞳に映る偽りの未来毎断ち切らせてもらおう」
 抜刀。
 煌めくは星の輝き。
 星座が示すは重力。
 宿る刀身は、ユーベルコードの光に代わり、ジークリットは振りかぶる。

 己が慟哭が響かぬのは何故か。
 己の絶望があのような形であるのか。
 知らない。知れない。未来であるがゆえに知り得ない。だが、だからなんだというのだ。
 己はその未来を偽りだと断じた。
 ならば!
「剣に宿りし星辰の重力よ……悪しき護りを断ち切れ! ゾディアックブレイク!!」
 これまで紡がれてきた全ての猟兵とケロベロス。
 そして、十数年前に戦った者たちの思いを乗せて、ジークリットは斬撃を『免れ得ぬ運命の蛇』の巨体へと、その一撃を叩き込む。
「貴様が長年飢え求めていた重力だ……とくと味わえ!!」
 裂帛の気合と共に振り抜かれた一撃が、その巨体を切り裂いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンゼリカ・レンブラント
遅参となったが、
猟兵の1人として己の使命を果たそう

瞳に映るは死に様とのことだ
絶望が心に湧くならそれ以上の希望と使命を心に突き進むのみ
シンプルなことだ、突き進む!

相手の攻撃を勝負勘と第六感を生かし見切り、
切り払い、それが不可能でも鍛えた体で受け、堪え反撃を入れる
ダメージレースなら望むところ
おねーさんは頑丈でな
絶望とやらにくれてやるような命ではないのさ!

時に怪力を生かし功夫で肉弾戦を叩き込み、
怯んだところで光斧剣の痛烈な打撃を叩き込み損傷を与える

瞳に映る絶望を砕くなど日常茶飯事だ
エンドブレイカーにとってはな
この身に満ちる人々を護る使命、お前さんには砕けぬよ
渾身の《真・断罪閃光剣》の一刀で両断を狙う



 赤き瞳が見せるは己が最期。
 言いようのない凄惨たる死が迫る。
 斬撃が大蛇の如き巨体を切り裂き、しかしてデウスエクス、死定神『免れ得ぬ運命の蛇』は、その巨大な眼を猟兵たちに向ける。
「乾く」
 ただそれだけ。
 意味のない言葉であったが、しかして端的に事実を示していた。
 数十年に及ぶ飢餓。
 永遠不滅の存在であるがゆえに死を得られぬ袋小路の存在。
 生存するためにはグラビティ・チェインが必要であり、それなくば永遠不滅という回廊に囚われ続ける。

 そういう意味であるのならば、この戦いの果てに『免れ得ぬ運命の蛇』を打倒したとしても、これを滅ぼすことはできない。
 またいずれ地球に襲来するであろうことは言うまでもない。
 故に、その瞳が見せるは絶望の未来。
 アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)は金色の髪なびかせて、湖底へと踏み出す。
 己が瞳には己の最期が映っている。
 死に様。
 凄惨たる死。 
 湧き上がるは絶望であろう。
 だがしかし、アンゼリカはエンドブレカーである。どれだけ己のが瞳に絶望映るのだとしても諦観に塗れることはない。
 決して諦めぬガッツ。
 それがあるからこそ、エンドブレイカーをエンドブレイカーたらしめるのだ。
 終焉を終わらせる者。
 故に。
「絶望とやらにくれてやるような生命ではないのさ!」
 踏み出す。
 大蛇は切り裂かれている。これまでの猟兵たちのユーベルコードの明滅。
 それが為したのだ。

 後は踏み込むだけ。
 あと一歩が足りないのならば、己が踏み出すのみ。
 振り下ろされた大蛇の尾が身を打つ。だが、アンゼリカは前に進む。
「瞳に映る絶望を砕くなど日常茶飯事だ」
 いつだってそうだ。
 誰かに悲劇が降り注ぐ。
 それを許せないと思う心があるからこそ、己たちはエンドブレイカー。
 己が身に満ちるは使命。
 人々を守らんとする想いは、かつて『免れ得ぬ運命の蛇』に立ち向かった地球人類の人々の想いを同じくするものであったことだろう。
 だからこそ、その紡がれてきたものを次に絆ぐ。
 たとえ、それが次なる来襲の切っ掛けにすぎないのだとしても。
「それでも輝け! 裁きの光よ、我が身に集いて剣となり全てを切り裂け!」
 峻烈なる裁きの光を宿した剣の一閃が『免れ得ぬ運命の蛇』の頭部を一刀両断せしめる。
 真・断罪閃光剣(シン・ジャッジメントセイバー)は、振りまかれた死の気配をも切り裂き、そのさきの未来を示す。
「乾く」
「どれだけ乾いていても奪ってはならないものがある! それを知らなかったのならば! それこそが罪だ!」
 アンゼリカは振り抜く。

 立ち上る光。
 それはきっと未来を望んだ多くの人々の願いの結晶であろう。
 響くは生命の讃歌。
 未だ宇宙には生命の音が聞こえる。
 君は、その歌をまだ歌えているか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月16日


挿絵イラスト