8
未開の地を切り開こう①~大自然の驚異~

#アックス&ウィザーズ


●名も無き開拓村
「うわああああ、くそ、これじゃ木材確保なんか出来ねぇ!」
「なんてこった、折角冒険者が山賊を倒してくれたというのにっ」
「兎に角、逃げるんだよ!、うわあああああああああ」
 猟兵たちの活躍で山賊が退治されたものの、村を丸焼けにされてしまった開拓村に、またも悲劇が訪れた。

●試されすぎた開拓地
「猟兵の皆、集まってくれて感謝じゃ…さて、以前『ノレフィ山賊団』とか言うキワモノを退治して平和が訪れた開拓地にまたもオブリビオンが現れる予知が出たのじゃ」
 花子の話を聞く猟兵達の中には、前もこの地に訪れた者も居るかもしれない…もし居るのならこう思うであろう…『オブリビオンの再出没早くない?』と…、その疑問に応えるべく、花子は説明を重ねる。
「短い期間に連続したオブリビオンの出没なんじゃが、どうも調査した結果、この辺りは年々モンスターの出没が増えているらしくてのぉ」
 豊富な資源、肥沃な大地、豊かな水源…人が暮らすには良い環境であるが、その反面、モンスターが繁殖するのにも適してしまっている様なのだ。
「人間以外の生物が増えるのは構わん、それは単なる自然現象じゃ…だが、相手がモンスター…即ちオブリビオンとなれば話は別じゃ、奴らは過去、骸の海から這い上がってきた、本来は存在してはならぬ世界を壊す存在じゃ」
 そう、オブリビオンが増えているなど、猟兵達にとっては捨て置いてはならない、それは世界の危機に繋がりかねない兆候なのだ。

「今回、この開拓地に現れたオブリビオンは動く巨大な木の化物じゃ。建築のために木を切りに行った村人が襲われ…幸い、動きが遅いため命からがら逃げる事に成功したのじゃが…」
 村人の無事は幸いだが…この開拓地は、山賊の襲来によって家屋の殆どが焼かれてしまったばかりなのだ、衣食住の内、住が壊滅的な状況で木材の確保がままならないのは大変よろしくない。
「じゃから、このオブリビオンを退治した後に、ちと建設も手伝ってやって欲しいのじゃ…このままでは開拓地の住人の住む場所を確保できぬからの、何、相手は巨木のオブリビオンじゃ、倒せば木材は手に入るじゃろう」
 村人には建設の知識があるものも居るし、木材を使いやすく加工するだけでも助かるだろうし、猟兵の力ならば100人力の労力となるであろう。
「この地にはまだまだ他のオブリビオンが潜んでる可能性が高い、今後も予知が出たら序でに開拓の手伝いをしてやった方が良いかもしれぬ、開拓が進めば防衛力も上がるし、モンスターの繁殖環境も減って増加傾向が収まるやも知れぬ」
 モンスターが増えつつある地域は危険だが、だからこそ…このような土地を切り拓いて人の世を広げることはアックス&ウィザーズの世界を維持する一助となるかもしれない。
「では、これより開拓地への転送を始める…動く巨木は森の侵入者に対して直ぐに現れて襲って来るから探す必要はない…奴らを尽く伐採して開拓の為の木材にしてやるのじゃ!…では、皆の活躍を期待しておる…頼んだのじゃ」


マカロニ男爵
 6作目にして開拓キャンペーンを初めて見ました、説明にある通りモンスターが増加傾向にある土地の開拓を手伝って、その増加傾向を抑えるのが目的のキャンペーンです。

●開拓ルール
 基本的にはシナリオの何処かで開拓を手伝うパートが発生します、その際に【防衛】【経済】【文化】のどれをやるかプレイングに記載してください、記述がない場合はプレイングの内容からこちらで割り振り、成功度によってその分野の開拓が進んでいきます。

 【防衛】の効果。
 これが高いほど村を守る力が上がります、モンスターが多い地域で生き残るためには必須です。

 【経済】の効果。
 食料的、金銭的な豊かさを表し、これが高いほど豊かな村になります。これが高いほど人が集まり開拓地の発展は進むでしょう。

 【文化】の効果。
 村が持つ技術や学問、芸術的な文明力の高さを表します。これが高いほど【防衛】【経済】の効果がより発揮されるでしょう。

●村スキル
 これらの他に開拓のプレイングしだいで村にスキルが発生する事があります、このスキルとは村の施設だったり、名物だったり色々です…村スキルはこのキャンペーン内でならばプレイングで利用できます、使い方は技能と同じような感じです。

●使用例。
 『防壁』の施設を利用して村を守ります。
 名物の『ワイン』で宴会を盛り上げます。

 村スキルは取りたい希望があったらプレイングに書いてください、無理がなく、成功以上だったら採用するかもしれません…また、アドリブで発生する事も有り得ます。
 また、猟兵の技能と同じようにLvが上がって行きますから、一つの村スキルを伸ばしていくのも良いかもしれません。

●村の現在のステータス。
 【防衛:0】。
 【経済:0】。
 【文化:0】。

●村スキル
 なし。
21




第1章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​
トリガー・シックス
【防衛】
「またここに来るとはな」
ここはいわくでもあるのだろうか?こうも襲われるとそう思わざる得ない。
どちらにせよ、対応することは変わらない。
相手は探さなくとも出てくるのなら好都合だ。倒すぞ。

焼夷弾を搭載した『吹雪の狼』による【援護射撃】を行う。
【ダッシュ】と【残像】で攻撃を回避しつつ間合いを詰めて『太極刃【昂陰】』を抜き、二刀流による【二回攻撃】を行う。
叩き潰す動作を【第六感】で察知したら【ジャンプ】で回避し、腕から登って斬りつける。
『最後の願望』はアシスト用に呼び出しておく。
倒したら木材に加工する。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
【経済】
「今度は木のオブリビオンか」
動きが遅い分、威力は高いのよね。気を付けないと。
『花鳥風月』に『トリニティ・エンハンス』で炎の魔力を纏わせて【属性攻撃】で【二回攻撃】を行うわ。
攻撃が来たら【野生の勘】で避ける。【ダッシュ】と【残像】で回避したり、飛んで腕に乗っかるとかしてみるわ。
倒したら、色々と手伝うわ

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



「またここに来るとはな」
「今度は木のオブリビオンか」
 前回の山賊退治に続いて、またもこの地に訪れたトリガーとエルーゼ…余りにも早いオブリビオンの再出没の為、懐かしさは感じない。…感じないのだが――。
「ええっ!?」
「な、なんだと…」
 森の入口である事に気がつき、二人は驚愕した…村付近の森は、とある猟兵のロケットランチャーによって小火程度の火災が発生していたのだが、既に其処には木が生えているのだ。
「ここ、火事があった場所よね?」
「ああ、間違いない…ちゃんと、岩に煤も付いているし、炭になった木片も落ちている…前の依頼で火事になった場所だ」
 経った期間を考えると、ここはまだ焼け跡である筈だが…既に腰の高さぐらいの木が生い茂り、その姿を回復させつつあるのだ。
「木のオブリビオンの所為かな?」
「分からん…まぁ、森が戻る事に越した事はないのだが…ん、早いな」
「うん、報告通りだね…森に入ったら直ぐに来た」
 恐るべき回復力を見せた森…その疑問も気にはなるが、あまりじっくり調べている時間はないようだ、地響きとともに巨大な木の巨人が現れた。

「グオオオオオオオオオオオン!」
 森の侵入者を見るや否や、木の巨人は、その巨大な腕を振り上げ二人に対して振り下ろす。
「遅い」
「遅いわよ…って、うわっ!?」
 その鈍重な動きで捉えられるほど、トリガーとエルーゼは甘くはない、二人共その一撃は回避する…しかし、振り下ろされる拳の余りの威力に局地的に地震の様な揺れが発生する、トリガーはそれを読んで空中へ回避したが、エルーゼは足がもつれてしまう。
「こっちだ」
「ひゃゃあ!?」
 地震を免れたトリガーが、そんなエルーゼを掴み…抱きかかえる様に近くの木の上に運ぶ…咄嗟の事とは言え、いきなりお姫様抱っこをされた形となったエルーゼは思わず高めの声を上げて驚いてしまった。

「動きは鈍いが流石の巨体、力はあるな…」
「そ、そうだね!……それに頑丈そう、よし、それなら…」
 エルーゼは【トリニティ・エンハンス】を発動し、『花鳥風月』が緋色に燃え上がる…炎の魔力を込めたようだ。
「炎か…木材が少々燃えてしまうが、致し方ないな…」
 トリガーも『吹雪の狼』に焼夷弾を込めて、木の巨人を焼く作戦に入る…エルーゼが炎の双剣で斬りかかり、トリガーが焼夷弾で援護射撃をする構えだ…しかし――。

「よし、火が付いた…って、ひゃああっ!?」
「くそ、デカ過ぎたかっ!!」
 相手は身体は想定以上に巨大だった、炎は確かに効果はあるものの、乾いた木ではなく、文字通り生きている生木、水分を含んでいるため簡単には燃え尽きない。
 そう、燃え上がったまま暫く暴れてしまうのだ…炎の巨人と化してしまったオブリビオンが森の中で…

「くそ、これでは逆に危険だ…エルーゼ、作戦は変更だ…物理的に一気に叩くぞ!」
「よし、じゃあ…攻撃力重視で行くわ!」
 このまま巨人に暴れさせるのは危険だ、作戦を直ちに変更し威力重視の近接攻撃で一気に巨人を倒す方針に変更する。
 エルーゼは『摩利支天』を斧の形態に変えて、暴れる巨人の腕を駆け上がり…頭部と思わしき場所を叩き割る。

「リヴェン、援護を頼む…続くぞ!」
 トリガーはユーベルコード【最後の願い】を発動し、嘗ての恋人『リヴェン』の霊を召喚、そして『太極刃【昂陰】』を抜きエルーゼと同じく、巨木の腕を駆け上り、エルーゼと共にその巨体に張り付いて近接攻撃を繰り返す。
 『りヴェン』はトリガーが斬った切り口をサイキックでさらに広げたり、エルーゼの『摩利支天』で叩き割った箇所にアークビームを打ち込む事で、二人の攻撃の効果を高めていった。

「グルオオオオオオオオオオオオオッ!」
 その巨体に張り付かれては、巨人は暴れて振り払おうとするぐらいしかできない、動くとは言っても関節を持たぬ巨木、その体は固く、身体に登った人間を叩き落とす事は難しい。
 ましてや今の身体は燃え上がっているのだ、余り派手に動くと乾いて脆くなり、炭化してしまった箇所から手足が折れる可能性もある。

「これで…」
「終わりだっ!!」
 木の巨人が身体に張り付いたふたりを攻めあぐねている内に、どんどん身体が砕かれていく、『リヴェン』のアークビームで大きく開いた傷口に、エルーゼとトリガーが全力の一撃を叩き込むと、木の巨人は縦に割れて倒れた。

「う~、暑かった…普通に殴った方が楽だったかも」
 木の巨人は倒したものの、その巨体の半分程度しか木材としては使えなさそうだ…村の者の話では、木炭や灰も使い道があるし、何よりも倒してくれた事が嬉しいと感謝してくれたが…
「思えば、自然と言う敵はあまり相手にしてこなかったな…これも経験か」
 今までの戦歴にはタイプの戦闘、勝つだけではなく…生きる為の何かを得るための戦い…戦場とはまた違う、しかし…間違いなく命懸けの戦いと言う物もあるのだなと、トリガーは実感したのだ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
オブリビオンがふえちゃってるところ……

それってわたしたちがたたかわなきゃいけないとこだよね。
そこに村をいっしょうけんめいつくるひとたちがいる。

なら、たすけてあげるとかじゃないよね。


念動力と吹き飛ばしと範囲攻撃の技能でサイコキネシスをつかって敵の群れを攻撃してふっとばすよ。

敵からの攻撃もふっとばしてふせぐね。
クイックドロウと早業の技能もつかえるから。

かばう技能もつかえるから他の猟兵さんへの攻撃もふっとばしてふせぐよ。


村はたたかいの拠点にもなる。
なら「たすける」じゃなくて「いっしょにがんばれる」んだよね。

わたしたちは「今」。

それぞれにできることをかさねて未来をつかむ「今」なんだもの。

がんばるよっ!


黒川・闇慈
「巨木が相手ならば火を使うのが常道というものですが……開拓用の資材にもなるようですしねえ。今回は燃やさないでおきましょうか。クックック」

【行動】
wizで対抗です。高速詠唱、属性攻撃の技能を活用して風獄刃軍を使用します。
地震を起こされると厄介ですので、高速詠唱で相手の先手を取り、動きを封じるといたしましょう。
真空の刃で枝を剪定してしまいましょうか。

『吹き荒れるは命を逃さぬ致死の風。一切全てを切り刻め、テンペスト・センチネル』
「鬱蒼と茂っておられますねえ。文字通り風通しを良くして差し上げましょう。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


ティエル・ティエリエル
「おうちがないとみんな困るもんね、ボクに任せておいてよ!ようし、まずは木の化け物退治だね!いってきまーす♪」
小さな胸をえっへんと張って森の中に突撃だー!

戦闘では得意の【SPD】を活かした戦い方をするね♪
自慢の翅と【スカイステッパー】を使って空中からのヒット&アウェイで戦うね!
敵の攻撃は「見切り」で回避して、そのまま「カウンター」で風を纏わた「属性攻撃」をして少しずつ削っていくよ!

「へへーんだ!そんな鈍間な攻撃なんて当たらないよ!」

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



「巨木が相手ならば火を使うのが常道というものかと思いきや、この様な落とし穴があるとは…」
 実際、炎は効果が無かった訳ではない…ただ、相手のサイズが大きすぎて焼き尽くすのに時間がかかると言う問題点と…
「開拓用の資材にもなるようですしねえ。今回は燃やさないでおきましょうか。クックック」
 黒川・闇慈が言うように、資材が減ってしまうと言う欠点があった…木炭や灰も使い道はあるが、今はそんなに量は必要ないが、木材は大量に必要なのだ、何故なら…。

「おうちがないとみんな困るもんね、ボクに任せておいてよ!ようし、まずは木の化け物退治だね!いってきまーす♪」
 ティエル・ティエリエルが小さな胸をえっへんと張って森に突入した、彼女の言うとおり、今の開拓村は家屋が全焼してしまっている状態…今は雨季ではないが、寒い季節にこれは辛い、早急になんとかしなければならない。

「グルオオオオオオオオオッ!」
 早速現れた木の巨人が侵入してきたティエルを踏みつぶそうと、その巨大な足を持ち上げ振り下ろす、それだけで地面がめくれ地形が変わるほどの威力であるが…
「へへーんだ!そんな鈍間な攻撃なんて当たらないよ!」
 自慢の翅と空中を跳ね回るユーベルコード【スカイステッパー】で空を舞うティエルを捉える事が出来ない。空中に居るために地震による足止めも効かず、巨人は一方的に風属性攻撃のよってその身体を削られていくのだが…

「うーん、やっぱり大きいよぉ…」
 普通の人間でもその掌に覆われてしまう程のサイズ、フェアリーのティエルからしてみれば、そのサイズ差は絶大…削れては居るのだが、このまま倒すのは、見るからに骨が折れる作業だ…更に、その巨人とは別の足音が…

「グロロロロロロロ!!」
「グオォーーーン!」
「ええー!?、3体になっちゃった!?」
 追加で2体の巨人が現れた…一体でもすごい時間がかかりそうなのにと…ティエルの表情が曇る、3体でもそうそう捕まるつもりは無いとは言え、火力が圧倒的に足りないのだ。

「では、3対3と行きましょうか、良いですね…沢山の木材が手に入りますよ」
「やった、助かるよ!」
「………」
 ティエルに遅れて黒川とレイチェル・ケイトリンが森に入り3体の巨人と対峙しる。
 レイチェルはティエルの『助かるよ』と言う言葉を聞いて、思う…今回の仕事は『たすけてあげる』じゃない、村を一生懸命に作ろうと言う人達が居る、その村を拠点にして戦っていく…ならば『たすける』ではない、そう――。

「うん、いっしょにがんばろう」
「OK!、早速だけどどうしよう!?」
「ふむ、ティエルさんは兎も角、私とレイチェルさんは『地震』を起こされると厄介ですね…それを封じたいので、一旦離れてください」
「らじゃ!…って、うわっ!」
 仲間と話している隙を突いて、ティエルを掴もうと巨人の右腕が迫る…小さなティエルの身体には、その手の平が呆れるほどに大きく見えた。
「あぶないっ!」
 しかし、その巨大な手の平が何かによって後ろに吹き飛ばされる、その勢いたるや、巨人がよろめく程のパワーだ。
「わたしのサイキックで、みんなをまもる…あんしんして」
 巨人の手をも弾き返すレイチェルの驚異のサイキックパワー、その念動力レベルは実に216…猟兵の中でもトップクラスと見て間違いないパワーであろう。

「これは心強いですね…では私も、フフ…鬱蒼と茂っておられますねえ。文字通り風通しを良くして差し上げましょう。クックック」
 ティエルの離脱を確認してから、黒川の身体に風の魔力が集まっていく…それに勘付いた巨人が阻止するべく、その右腕を天高く振り上げるが…・
「ククク、もう遅いですよ…吹き荒れるは命を逃さぬ致死の風。一切全てを切り刻め、テンペスト・センチネル!」
 高速詠唱により、黒川のユーベルコード【風獄刃軍(テンペスト・センチネル)】の方が地震を呼ぶ一撃よりも早く発動した。
「「「グルガガガガガガガガ!!?」」」
 3体の巨人は魔法陣から発生する竜巻に包まれて身動きが取れなくなってしまう、その凄まじい風の力で、巨人の枝葉は吹き飛び、真空の刃が巨人の身体を傷つける。

「すごい風…これなら!、闇慈、この風、借りるよ!」
「おや、借りるとは?…ほほぉ、これは…」
 ティエルは『風鳴りのレイピア』に風属性を乗せ、【風獄刃軍】と交わるようにレイピアを振るう、【風獄刃軍】の力を借りた強烈な真空の刃が巨人の体を深く切り裂いた。

「【風獄刃軍】の風力を利用してですか…面白いですね、私の方からも合わせますよ、ティエルさん!」
「おっけー、じゃあ、デュオをいっくよー!」
 黒川とティエルの風属性攻撃を合わせ『風鳴りのレイピア』がディオを奏で始める、風が鳴る美しい調べに反して、竜巻内部の巨人は一撃ごとに激しく切り裂かれていく。

「ゴ…ガ……」
 それでも、その怪力と重量をもって竜巻を割って出ようとする巨人、しかし、そうはさせないと、巨人に岩を念動力でぶつけて阻止をするレイチェル。
 そんなレイチェルの念動力を見て、黒川は思いつく。

「3対3ですしね、デュオではなくトリオで行きましょう…レイチェルさん、先ほどのように岩や石を巨人にぶつけてください、ただし、右回転の螺旋の軌道で…でしたら、私の竜巻の勢いに乗ってその威力は更に増すでしょう」
「わかった、やってみるよ」
 黒川の言葉通りに岩や石などの瓦礫を竜巻の勢いに乗せて飛ばすレイチェル…竜巻の風に乗った瓦礫は巨人の体に激しくぶつかり、砕いていく。
 巨人の動きを止める竜巻は、高速でぶつかる瓦礫が混じった事で、ミキサーの様に巨人の体を削っていき…

「これで…」
「フィナーレ」
「ですよ!」
 ティエルのトドメの『風鳴りのレイピア』の一撃と共に、亀裂が入った巨人の体が浮き上がる、3体の巨人は竜巻の風とレイチェルの念動力によってその身体を激しくぶつけ合い、そしてその巨体は亀裂から割れて砕けた。

「ふむ、少々派手にやり過ぎましたかね?」
「大丈夫、もともとが大きいから!」
「長い木材も、かくほはできそう」
 砕け散った巨人の体から、木材として使えそうな部分を回収する三人であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

嶋野・輝彦
オブリビオン倒して建材にしようたぁ良い根性してるっつーか
まぁよくやるわ
この世界じゃその位の性格じゃねぇと開拓なんて出来んのかもしれんがな

たまには人の役にも立とうかね

●戦闘
【先制攻撃】【捨て身の一撃】【怪力】【鎧砕き】
バトルアックスで攻撃
材木にするんだよな?木目に沿って斧入れて、って感じか?
変な刃の入れ方すると使えない部分出るよな?

相手の攻撃は
【激痛耐性】【覚悟】で耐える
【人ひとり覆い隠すほどの掌】だけは【第六感】【ダッシュ】で避ける
範囲攻撃じみたのが多いな
俺だと割と対応しようがねぇなコレ、まぁ耐えるしかないわな
最近殴られ慣れて来たから何とかなるだろ

ダメージ蓄積して死にかけたら
【戦場の亡霊】発動



「オブリビオン倒して建材にしようたぁ良い根性してるっつーか…まぁよくやるわ」
 嶋野・輝彦は木の巨人を見上げながら、出発前に思った事と同じ感想を抱いた。
 今は猟兵とは言え、40年近くUDCアースの一般人で、一般社員だった彼からしてみれば目の前の巨人は恐ろしく思える…なのにグリモア猟兵も、この作戦に参加した猟兵達もこの巨人を資源的な目で見ているのだ。
 それどころか、この開拓村の人達すら…自分達が奴らから木材を採取しようとしている事に喜んでいた、危険だとかは忠告してはくれたが、あの目は明らかに木材を期待していた。
(この世界じゃその位の性格じゃねぇと開拓なんて出来んのかもしれんがな)
 世界が違う、ジェネレーションならぬ、ワールドギャップ…世間にUDCの存在が知られておらず、普通は戦うこともないUDCアースに比べ、モンスターに溢れ、それと戦い続けているアックス&ウィザーズの世界の暮らしはなんと過酷な事か…

「たまには人の役にも立とうかね!」
 そんな思いも振り払い、嶋野はバトルアックスを振り上げ、木の巨人に対して真っ向から斬りかかった。
 ズガンッと鈍い音と共に巨人の巨体が揺らぐ…普段は割とだらしない嶋野も戦闘に入ると覚悟が決まる。
 捨て身でなければ有り得ぬ強烈な一撃は確かに巨人の右足に深い亀裂を刻み、痛みを感じるかどうかは分からぬが、巨人はその一撃に慄いた様な様子を見せる…が。

「ぐるおおおおおおおおおおっ!!」
「ガハっ!!?」
 全力の捨て身攻撃ゆえに、倒しきれねば反撃を受ける…巨人に蹴り飛ばされ、嶋野の身体は宙を舞い、地面に強かに叩きつけられた。
「耐えるしかないわな…と思ったが、やっぱキツイはこれ…」
 嶋野は、その巨体と重量で広範囲をカバーする巨人の攻撃に対処する手段を思いつかず、故に覚悟を決めていた…この巨人の攻撃を耐えながら戦うと。
 最近は殴られ慣れてきてきたと思ったが、流石にこの巨体、この重量の攻撃は堪える…蹴られた瞬間、後ろに飛んでダメージを軽減させてなかったら一撃KOもありえた。

「…っ、こいつだけはマズイ!!」
 痛む体に鞭を打ち、巨人から迫る掴みかかりだけはダッシュで回避する…この体格差で掴まれるのだけは根性じゃどうにもならない、この攻撃だけは受けてはならぬと、全身に走る激痛を気合で押さえ込み、横方向へジャンプする事でギリギリ避けたのだ。

「…っ、くぅ…」
 しかし、捨て身攻撃の後の反撃を食らっただけに、ダメージが大きい、数箇所ほど骨にヒビも入っているだろう、その状態では動けば動くほどにダメージが溜まっていく…溜まっていくのだが、それも狙いだ、そうしなければ発動しない厄介なユーベルコードがあるのだ。

「………!!」
「グロォ!!?」
 跳んだ嶋野を追い詰めようと巨人が嶋野の方に振り向いた瞬間、嶋野の初撃と同等の一撃が、同じ右足に炸裂した。
 【戦場の亡霊】…戦場傭兵が得意とする瀕死の状態でなければ呼び出されない、その亡霊が、嶋野と同じ斧の一撃を巨人に打ち込んだのである。

「グロロロッ!」
「無駄だ…もう終わった、倒れるぞ~」
 しかし、タフな巨人はそれでも倒れずに、亡霊を踏みつぶそうと左足を上げる…が、そんな巨人を見て嶋野は自身の勝利を確信し、まるで木を切り倒す時の樵の様な掛け声を出す。

「グロっ!?」
 その掛け声の通り巨人は倒れた、バキバキと音を立てて右足が折れてしまったのだ。
 樵が大木を切り倒すとき、その全てを切るわけではない…ある程度の楔を打ち込めば木は自重に耐え切れずに折れて倒れるのだ…同様に左足を上げてしまった巨人は、その重量が右足に集中し…大きな亀裂を二つ撃ち込まれた右足はその負担に耐え切れずに折れてしまったのだ。

「材木にするんだよな?木目に沿って斧入れて、って感じか?変な刃の入れ方すると使えない部分出るよな」
 倒してしまえばコッチのもの、この状態では踏みつけも出来ないし、立ち上がらなければ高さが足りず拳を降ろしても地震は起きない、掴みかかろうにも手が届く範囲など限られている。
 こうして、巨人は嶋野に破れ…その体は嶋野の丁寧な作業によって効率よく木材へと変わっていったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
肥沃な土地とはいえ、またオブリビオンに襲撃を受けるとは…
開拓の道を切り拓く人々に降りかかる試練、助太刀せずして何が騎士でしょうか。

まずは襲い来る巨木のモンスターの退治ですね。彼らは木なので焼夷弾が効果的なのでしょうが、後の建材としての使用を鑑みるとその案は却下ですね

機械馬に「騎乗」して山神に接近、振るわれる掌の軌道を「見切り」騎馬の機動力で躱しつつ、敵の脚にUCの隠し腕を射出し掴みます。
そのままワイヤーを脚に絡ませるように敵の周囲を円運動しつつ格納機銃を発砲し挑発による歩行を誘発。ワイヤーによる転倒を狙います

倒れたら馬で「踏みつけ」つつ「怪力」で振るう剣と盾での殴打による「鎧砕き」で解体です


ゼット・ドラグ
「面白そうな事してんな。俺も混ぜてくれよ」
料理以外の物づくりは得意な戦闘狂。
しかし、肉体労働はもっと得意なので、木材を集める。
【ワンダレイ機械化歩兵部隊】でロボットを可能な限り召喚(可能であれば100体ほど)。
山神相手には武器の【竜を殺す百の刃】の基本形態、黒剣型で戦う。
ロボットを上手く配置して、持ち前の【怪力】を活かしたパワー&トレースプレイで山神を材木に変えていく。敵の攻撃はロボットが掴まれるように上手く動いて防御する。
あらかた材木に出来たら、残ったロボットと一緒に材木を束ねて回収。
トレース型のロボットだから作業分担は出来ないので一つ一つの作業を圧倒的な数の暴力でこなしていく。



「開拓の道を切り拓く人々に降りかかる試練、助太刀せずして何が騎士でしょうか」
 またもこの開拓村に降り立ったウォーマシンの騎士、トリテレイア・ゼロナインは機械馬『ロシナンテ』に跨りながら颯爽と森に駆け出す。
「迎え撃つのならばここでしょうね…それにしても、本当に木々が生え始めてますね…」
 トリテレイアが巨人を迎え撃つ戦場として選んだのは、前の任務で焼けてしまった森の跡地…報告は受けていたが確かに背の低い木が生え始めている…実に不思議な現象だ。
「とは言え、この程度の高さならば『ロシナンテ』の障害にはならないでしょう」
 騎馬のその優れた機動力は、本来は平地でこそ本領を発揮する…逆に森の中では走れるルートが限られてしまうため、これからやろうとしている作戦を実行するのには向かない、故にこの場所を選んだのだ。

「面白そうな事してんな。俺も混ぜてくれよ」
 ワイヤーを持ちながら騎馬に跨るトリテレイアを見て、何をするつもりか察したゼット・ドラグが声を掛ける。
「御助力を感謝します…では…」
「ああ…詳しい相談をしてる時間もないな、来たようだぜ」
「ゴンゲーー!!」
 そんな二人の前に木の巨人が、なんか適当な唸り声を上げて現れた…そもそも何処から声を出しているのだろう?、だがそこは重要じゃない、大事なのは木材確保、彼らは資源なのである。

「よし、デカイな…色々作りたいから有難いぜ!」
 料理以外の物作りが得意な戦闘狂、そして肉体労働も得意とするゼットは巨人を見て、その大きさに喜んだ、これなら良い木材が取れると…
 何せ棄てられた戦艦『ワンダレイ』を拾って改造しちゃうぐらいの物作り好きである、そんな彼にとって材料は、素材は多い事に越した事はない。
「あれ一体で、一軒は建てられそうですね…住民の為、お覚悟を!」
 トリテレイアも資源的な目で巨人を見る…彼は自身の趣味ではなく、家のない開拓民を思ってのセリフではあるが…今回の猟兵達はオブリビオンを素材だと思ってる者が多いようだ。

「お前ら出撃だ!一気に攻めるぞ!」
 資源を目の前にしてやる気を出したゼットがユーベルコード【ワンダレイ機械化歩兵部隊(ワンダレイキカイカホヘイブタイ)】を発動させる、身長3.5mほどのロボット達が続々と召喚されてくる。
 100体近くいるだろうか?、しかし、何かがおかしい、具体的には装備がおかしい…何やらノコギリとか斧とか、酷いロボに至ってはカンナとか持って来ているのだ、もう確実に巨人を木材として捉えている。

「そ、その装備で戦うのですか?」
「作戦さえ上手くいけば、こっちの方が話が早いだろ?」
「それは、そうかも知れませんが…」
 トリテレイアは悟った、頼れる援軍は戦いが2の加工が8ぐらいの気持ちでいると…自分も木材を意識して焼夷弾の使用は諦めては居たが、目の前のゼットはより積極的な木材確保勢のようだと。

「じゃあ、行くぜ!」
「はい、ゼット様は巻き込まれないようご注意を」
 二人は巨人に向かって駆け出す、トリテレイアの狙いは巨人の足、ゼットはトリテレイアを援護するために黒剣『龍を殺す百の刃』を取り出す…この剣は様々な形態を持つ龍を殺す事に特化した武器だが、相手は木ざ…木の巨人、通常通りの形態のまま巨人へと斬りかかる。
「グロっ?、グロロロ!」
 サイボーグ戦士であるゼットの力は強い、思わぬ威力に驚く巨人だが…そのサイズ故に簡単な攻撃では倒せない、すかさずゼットを掴もうと右手を伸ばすが…
「それはハズレだ!」
 掴んだのはロボットの内の一体、上手くゼットの盾となるように配置されたロボット達の所為で巨人はゼットを捉える事が出来ない。

「スキ有りですっ!」
 巨人がハズレを掴まされた隙にトリテレイアのユーベルコード【腰部稼働装甲格納型 隠し腕(打突用スパイク装備)(ワイヤード・サブ・アーム)】が巨人の左足に打ち込まれる…先程のワイヤーが繋がっているアームが巨人の足を掴み引っかかると、トリテレイアは円周軌道を描くように巨人の周りを旋回する。
「グロアッ!!」
 そんなトリテレイアを鬱陶しく思ったのか、巨人は右足を振り上げてトリテレイアを踏みつぶそうとするが、その瞬間…
「今ですね!」
 トリテレイアがその怪力をもってワイヤーを引っ張れば、巨人の右足が地面を滑り、巨人が転倒してしまう。

「よーし、お前達!、今こそ出番だ…『作業』を開始する!」
「グロ!?、グロロロ!?」
 この瞬間、巨人はオブリビオンから木材資源へと降格した…立ち上がるよりも前に百体のロボットにまとわり付かれ、解体作業が始まってしまう。
 どうにか阻止しようと動かす手足も、トリテレイアとゼットの怪力の一撃により破壊され、瞬く間に木材へとその形を変えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

モルツクルス・ゼーレヴェックス
開拓!お金!利権!何よりロマン!参加せずにはいられないっす!
「っしゃあ!木材確保っす!資源万歳!」
転移されたら直ぐに背中の翼で宙に浮くっす
……地面揺らされたらヤっすからね
「全てを統べる力よ此処に。重力と電磁力、大きな力と小さな力。我が意に応えてその威を示せ!!」
【単純難解針】を【高速詠唱】で行使する
細胞サイズの130本の針を木材……失礼、オブリビオンの四肢の付け根に埋め込む
「……爆ぜるっす!」
仕込み終えたら瞬時に人間大に大きくすると同時に斥力を解放
手足を吹っ飛ばして達磨にしてやるっす
【拠点防衛】と【戦闘知識】を元に敵の優先順位を見定めて次々と「加工」していくっす
「さあ!観念して木材になれえ!」


月代・十六夜
「ヒャッハー!開拓の礎となれーぃ!」

建築材料が襲ってくるとは流石ファンタジーって感じだな。
ここはちょこまか行くとしよう。
【ジグザグフィールド】で集団に張ったワイヤーの間を【スカイステッパー】と【韋駄天足】で飛び回りながら【回避盾】の仕事をしよう。
相手の動きは遅くはないが基本的に重い。
【視力】、【聞き耳】、【野生の勘】等で初動を見逃さずに【空中戦】の最中に【フェイント】も混ぜれば【時間稼ぎ】はそこまで難しくもないだろ。



「っしゃあ!木材確保っす!資源万歳!」
「ヒャッハー!開拓の礎となれーぃ!」
 開幕から荒ぶる山神とも呼ばれる木の巨人に対して酷い言葉を投げかけるのは、モルツクルス・ゼーレヴェックスと月代・十六夜の二人の猟兵…木材確保勢の過激派である。オブリビオンは人間の資源じゃない!…筈だが、自信がなくなってきた。

「地面揺らされたらヤっすからね」
「ここはちょこまか行くとしよう」
 しかも、この二人…モルツは羽で空を飛び、月代はスカイステッパーで空を駆ける…巨人の攻撃に対しての対策も万全である。
 何しろ、巨人は一般人でも逃げ切れた程に動きが遅いのだ…何らかの膠着状態や油断がない限り、普通に殴っても巨人が猟兵を捉える事は難しいだろう、故に『地震』を封じられると、巨人は攻めの起点を失ってしまうのだ。

「じゃあ、月代さん、先ずは宜しく頼むっすよ」
「時間稼ぎなら任せておけ!」
「グロっ!!?」
 そんな資材過激派コンビの一人、月代が先ずは巨人に襲いかからない!、彼の役目は時間稼ぎだ、巨人を挑発しながら周囲を飛び回る。
「グロロロッ!!」
「へっ、こっちだ、こっち!」
 先ほど述べたように巨人の命中率は低いのだが、それに輪をかけるように攻撃が当たらない、無理もない…月代は回避のスペシャリストなのだ、いくら重く大きかろうが鈍重な手足を振り回したところで早々当たるもんじゃない。
「グロォ!!」
 腹を立てた巨人が、地面を蹴りあげて礫を飛ばす…散弾攻撃、これならば或いは、月代に一矢報いる事も…
「遅い……ッ!!」
 出来なかったよ…その礫に対して月代のユーベルコード【韋駄天足(イダテンソク)】が発動、わずか1/20秒と言う間に礫の動きを見切り、飛びかかる土や石を蹴りながらの高速移動、あっと言う間に安全地帯に逃げてしまった…もう、巨人に希望は残されていない。

「全てを統べる力よ此処に。重力と電磁力、大きな力と小さな力。我が意に応えてその威を示せ!!」
 月代が時間を稼いでる間にモルツクルスは作業を終えようとしていた、ユーベルコード【単純難解針(アート・オブ・ザ・バーサタイル)】から生み出した細胞大の小さな針を巨人の四肢に打ち込んでいく…ダメージは無い…今の所は。
「グロ?」
 ここで、木の巨人氏、ようやくモルツクルスの存在に気がつく、モルツクルスは割と存在感のある男だったが、それだけ月代の回避盾が上手くいっていたという事だろう。
「グロロロ!」
「もう遅い…爆ぜるっす!」
 しかし、気が付いたのがわずかに遅い、作業が終わればモルツクルスの高速詠唱を止めるスピードは巨人にはない。モルツの言葉通り、埋め込まれた小さな針が…人間大に巨大化し、その針から発せられる勢力により巨人の四肢は爆ぜた。

「やったか!?」
「ちょ、月代さんフラグを立てないで欲しいっすよ!」
「グロ…」
 しかし、巨人は立っていた…モルツクルスのユーベルコードの威力は壮絶なものであったが、それでも一撃で手足をもぐには巨人は大きすぎた…大きすぎてしまったのだ。

「グロ!…ロ?」
「…あ!」
 反撃に移ろうとして動いた瞬間、巨人の足が折れた…そう、巨人の全体重を支える足、これこそが巨人のアキレス腱、ここが壊れてしまえば自身の体重に耐え切れず、足首から折れて倒れてしまうのだ。

「なるほど、そうっすか、そういう事っすか!」
 モルツルクスは…木材確保過激派は巨人の攻略法を理解してしまった、彼の中で『木の巨人』という言葉は『木材』に変わる…
「建築材料が襲ってくるとは流石ファンタジーって感じだな」
 月代は既に次のターゲット、次の資源地、もとい巨人を見つけてそう呟いた…最も過激な二人が巨人を楽に倒す方法を見つけた時、巨人達の命運は決まってしまったのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユキノ・サーメッティア
開拓開始!
こういったことは楽しいよねー
でもその前に脅威の排除からだけど

UC『トリニティ・エンハンス』で攻撃強化
水を纏わせて回転させよう、チェンソーみたく!
攻撃を【見切り】つつ隙が出来たら【ジャンプ】や【空中戦】で
身体のそこかしこを【鎧砕き】で攻撃してくー

そうそう、踏み潰しで地団駄したときにUC『ヴォ―ゲンレーレ』で
地震おこしたら、ひっくり返らないかな?
…あの巨体が転げたらそれだけで地形が壊れそうだけど…
でも隙だらけに出来るかもしれないにゃー?


神宮寺・絵里香
≪経済≫
・村の開拓ねぇ‥まあオレにできることは水回りくらいか
・水源の浄化と水が足りないところに一時的に沼を作るくらいか?
 それ以上臨むなら別途商会に依頼してくれ

≪戦闘≫
・『高速詠唱』から補助UCを2つ発動。『我等雨雲と共に舞い踊る巫女也』
 と『水神権限』の2つ。『水神権限』は防御力強化
・敵を見つけたら『高速詠唱』からの『範囲攻撃』UC
 これは敵にあてるよりも足元と周囲を底なし沼に変えることをメイン
・後は足を取られて沈む敵に対して『水神権限』の水の上を自在に歩く
 力を使い薙刀で接近戦
・3つのUCで強化された薙刀に『水属性』を纏い『薙ぎ払い』『串刺し』
 解体
・攻撃は『見切り』『武器受け』し受け流す


敷島・初瀬
「また来ちゃったであります」
村に危険人物が帰ってきたであります。

ロケットランチャーで足を吹き飛ばして足止めを狙います、出来るだけ接近して自分もダメージが入りかねない距離からトリガーハッピーになって砲火を浴びせようと試みるであります。

足が吹き飛んでも他を使えば大丈夫だ問題ないであります。

【防衛】
村を自力で守れるように村人を訓練して自警団を組織します。
海兵隊方式の訓練でしごき上げます、返事は「サー!イエッサー!」しか認めないであります。

(アドリブ、絡み大歓迎です)



 過激派たちに攻略法が見つかってしまう、ほんの少しだけ前…
「また来ちゃったであります」
「うわあああああああああぁ!!?」
「た、助けて…逃げ…縄を解いてくれえぇぇ!!」
 前回の参加者最大の問題児、敷島・初瀬の顔を見た瞬間、開拓地で強制労働を課せられている元山賊達が悲鳴を上げた、完全に心理的外傷(トラウマ)になっているようだ。

「五月蝿いウジ虫どもでありますね、その口を開く時は前後にサーをつけるでありますよ…さて、ちょっと海兵隊方式の訓練でしごき上げるでありますか」
「あれ?、確か相手が女性の場合『マム』だよね?」
「そうだな、『マム』もしくは『マーム』だ」
「なるほどであります、女性の上官が居なかったので初めて知ったでありますよ、ユキノ殿、神宮寺大佐」
「だから俺は巫女だと…それと敷島、今は時間がないから訓練は後にしろ」
(ほっ…)
 しかし、そんな元山賊達に救世主が現れる、何故か敷島に大佐だと勘違いされている神宮寺・絵里香とユキノ・サーメッティアだ…この二人が敷島を止めてくれた。

 敷島が神宮寺を大佐と呼び、何故かそれなりに言う事を聞くのは理由がある…、神宮寺は認めたくないだろうが、思考ロジックが似ているのだ。
 神宮寺も敷島も敵に対して『取り敢えず叩く』と言う結論を出すことが多い、この結論に至るまでに、神宮寺の場合は人道的見地を含む様々な方法を想定した上で、戦術的合理性によって他が切り捨てられこの結論に至る。
 それに対し敷島は即断で『この手に限る』と結論を出す、本人の性格によるものもあるが、訓練によって躊躇と言うものを排除されている面もあるのかもしれない…何にせよ、結局のところ結論が似通るのだ。
 また、敷島に常識や倫理で諭しても通じないが…それでも齢13歳にて歴戦の傭兵となった彼女だけに、戦術的合理性は理解できる。
 戦術的合理性を重視する神宮寺の言動は、敷島にとって話のわかる大人として映る、故に割と言う事を聞くのだ…あくまで『割と』ではあるが。

「ちぇ~、でありますよ~」
 海兵隊方式のシゴキをやる側に憧れを持っていた敷島は肩を落とす、本人も特殊部隊出身ということもあり、シゴキをされた側だったら経験があるかもしれない…出来れば訓練と一緒に常識も叩き込んでもらいたかった。
「それと訓練するにも施設がないとな、元山賊なんぞ鍛え直そうとしても逃げ出すのが関の山だろ……ちゃんと、逃げられんように刑務所を作らんと行かんぞ」
「え?」
「そうだねー、元山賊だし、矯正施設は必要だよね」
「ええ!?」
「なるほど、一理あるであります!」
「まぁ、コストを考えると処理施設でもいいかも知れないな」
「大佐殿は合理的でありますな」
「ええ!!?、お、俺達を何だと…」
「あ?」
「……ごめんなさい」
 だが、世の中そんなに甘くはない…神宮寺は非常識ではないが、非情とも言えるほどに厳しいお方なのだ、元山賊なんぞに甘えは許さない、ひと睨みで山賊は震え上がり、土下座した。
 何にせよ、訓練したり、何かを立てたりするのは戦闘が終わってからではないと時間的に厳しいだろう…怯える元山賊達を尻目に三人は森へと向かった。

「わ~、大きいねぇ」
「何、戦いはガタイだけでやるもんじゃないさ」
「むしろ、良い的でありますよ」
 森に入り木の巨人と対峙する三人、最も背が高い神宮寺ですら150cmに満たない小柄な女性三人のチームであるが、臆す様子はまるでない。

「グロロロロロロロロォ!!」
「グロロロウ!!」
「ゴッツァンデス!!」
 一方、まだ攻略法が見つかってない巨人達も強気を保っていた、約一体、呻き声が変だが、その変な奴が地団駄で三人を踏もうと襲いかかる。
「今だ!その身を刻め!」
 その瞬間に合わせてユキノはユーベルコード【ヴォーゲンレーレ】を発動、巨人が足を上げたタイミングにあわせて地震を引き起こした。

「ゴッツ!?」
「グロロ!?」
「やった!」
 地震の影響で足を振り上げた奴は後方に倒れ、もう一体に衝突をして作戦は上手くいったと思えたのだが…。
「グロァ!?」
「ひゃああ!?」
「ユ、ユキノ殿、地震を止めるであります!」
 【ヴォーゲンレーレ】には制御が難しく、暴走をし易いという欠点があった…拳を振り下ろしただけで『地震』を起こす巨人が転倒し地面にその質量を持って衝撃を加えた結果…ユーベルコードの効果である『地震』と言う現象が暴走してしまったのだ。

「問題ない、いと深き深き湖沼の主、大いなる水を司りし白蛇の神よ!汝が住処をここに顕現させよ!」
 地震で身動きがとれなくなった敷島、ユキノ、そして巨人達を尻目に神宮寺のユーベルコード【白蛇神域(ハクジャシンイキ)】を発動させ…そのブレスをあえて地面に打ち込む。
 周囲の地形はあっと言う間に底なし沼に変わり、その粘性をもって地震の影響を沈めていった。

「ととっ、沈んじゃう!?」
「大佐殿は何で普通に歩けるのでありますか!?」
「だから、巫女だって…そうだな、これは別のUCの効果だ、ほれ」
 神宮寺は既に他のユーベルコード【水神権限(ミズノシハイシャ)】も発動させている、この効果で水上を自在に歩き、更に『水の三態』も自在に操れる…この権能をもって水を個体にし、ユキノと敷島の足場を用意した。
「氷だから滑らないように注意しないとね」
「これで、形成が一気に有利なったでありますな!」
 ユキノと敷島は氷の上とはいえ足場を得て立つことが出来たが、巨人達はそうはいかない…まず、転倒した二体だが立ち上がることも出来ない様子だ、その体は木であるが故に浮いているが、浮いているからこそ立ち上がるのが難しい。
 立っていた一体は膝上まで沼に沈んだ状態でまだ立ってはいるが…只でさえ遅い動きが更に鈍る。
 田んぼにハマって、同じぐらい沈んだ人間が機敏に動けるかどうかを想像すれば、巨人の動きにくさも理解できるだろう。

「さらにダメ押しだ、大いなる水を司りし白蛇の神よ!汝が巫女たるこの我に恵みの雨を与え給え!急急如律令!」
「え!?、三つ目使っちゃうの!?」
 神宮寺の詠唱と共に三つ目のユーベルコード【我等雨雲と共に舞い踊る巫女也(アメカンムリノミコ】が発動し辺りに恵みの雨が降り注ぐ…水を司る巫女である神宮寺にとってこの雨は自己を強化する。
 更に、底なし沼を生み出した【白蛇神域】の足場も同じく水であり神宮寺に力を与える、天と地を水で満たした環境において神宮寺は無類の強さを発揮するが…。
(やはりか…)
 ユキノも懸念したように、三種のユーベルコードの同時使用は相当の負担がかかる、神宮寺も巨人が無力化されてなかったら、このような無茶を試すつもりはなかったであろう。
「試運転でありますか?、無茶をしますな、大佐殿」
「いざ必要となった時、どの程度モツのか知っておきたくてな…あの立ってる奴は貰うぞ、後は任せる」
「了解、じゃあ寝てる二体は私が解体するよ」
「さっきの地震でこっちに集まってきてる奴は自分が相手するでありますよ、この環境なら延焼もしないでありますから…足ぐらい吹っ飛ばしてかまわないでありますよね?」
「構わんぞ、どの道戦闘はするんだ、ある程度の破損は仕方ない」
 現状でほぼ勝利が確定してるからこそ出来る実験…負担が重くとも、それが必要となる難敵が何時現れるかもわからない以上、知っておくと言うのは大事な事なのだ。

「神宮司さん、水の力を借りるにゃ~」
 ユキノは【トリニティ・エンハンス】を発動し『ツェーレヒュムネ』に水の魔力を宿し…その細身の剣に水を纏わせて…剣の周りをチェンソーの様に水滴が高速回転し始める。
 しかも、現状は神宮寺のUCの効果もあって『水』は豊富である、故にその水のチェーンソーはみるみる肥大化していき、直径2mはあるであろう巨大な丸鋸と化した。
「にゃーーーーっしょい!」
 大きなチェンソーが作れてゴキゲンなユキノは、気の抜けそうな掛け声と共に、水面でもがいている巨人に斬りかかる。
 巨大な水の丸鋸は巨人を材木に変えるのに適しているのだ、素晴らしいペースで巨人は木材へと加工されていった。

「ユキノ殿、追加入るでありますよ~!」
 地震に勘付いて近寄ってきた新手の巨人は、その足をロケットランチャーで打ち抜かれる、そして二度ほどロケットランチャーを浴びれば、足の破壊は巨人の弱点、自重に耐え切れなくなり、折れて沼に倒れる…こうなったらもう無力。
「にゃーーーーっほい!」
 水面に倒れた奴担当のユキノに解体されるしかない、雨と沼でロケットランチャーの延焼も気にする事なく戦え、一度沼にハマれば巨人は動きが鈍り、倒れたら即無力化…足狙いの弱点も解明し…
「ただのカカシでありますなぁ!」
 敷島の言うとおり、戦闘はただの作業へと変わっていった…如何に巨大でも、状況に対応する知能がなく、その巨体の攻略法を成立したのならば…巨人達は既に猟兵達の敵ではない、最早、自分から来てくれる木材資源と成り下がったのだ。

「よし、問題はなさそうだ…じゃあ、仕上げと行くか」
「グ、グロ!?」
 敷島とユキノの戦い…いや『作業』を見て大丈夫そうだと確認した神宮寺は巨人を見据える、知能などない巨人も思わずたじろぐ迫力だ。
「俺のこの状態がモツのは多分1分ってところだが、それまでちゃんと耐えろよ?」
「グロロロロロロォーー!?」
 三重のUCによる自己強化状態で槍を構え突撃する神宮寺…1分耐えろと要求したが、それは無理であった…槍は伐採には向かない武器であるにも関わらず、巨人の体は30秒で折れたのだ。

 その後も、この作戦に参加した全ての猟兵に攻略法が知れ渡った結果、巨人達は為す術なく木材へと加工されていった…巨人達が全滅し、その膨大が木材が村へと渡った時、出迎えた村人からは歓声が上がった。
 しかし、それに続くように、森の方から憤怒に満ちた獣の唸り声が響いたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

「アオォォォンッ!!」
 一体の幻獣が森の奥から駆けてくる、この獣が通り過ぎた後に植物が芽生えていく…巨人との戦闘で荒れた森にまた緑が蘇ると、幻獣はこちらに向かって憤怒の眼差しを向けたのだ。

「ヒュ、ヒューレイオンだ!!」
「森の守護者ヒューレイオンか、通りで焼け跡が直ぐに戻っていた訳だ!」
 その姿を見て村人が騒ぎ出す、どうやら有名な幻獣らしく…あの植物が芽生える力も村人達に知れ渡っているようだ。
「奴は枝を折っただけでも、地の果てまで追いかけて、侵入者を八つ裂きにするって話だ…怒ってる、怒ってるぞ!」
 その程度でそこまで起こるのなら、今のヒューレイオンは激怒プンプン丸ではすまないであろう…何せ、森を切り開いて村を立てた挙句、森で火事を起こし、巨人と戦い、更には、恐らくは手下であろう巨人までも木材に加工されたのだ。
 …あれ?、どっちが悪だろう?
 しかし、そんな恐ろしいヒューレイオンであるが、村人達の様子がおかしい、恐れているのは確かだが…何か、凄い興味深げにヒューレイオンを見ているのだ…

「な、なぁ…あの角の輝き…もしかしてエルダーじゃ?」
「かなり、歳を重ねてるのは間違いないな…でも、命あっての物種だろう?」
 その、妙な様子を疑問に思い、猟兵達がどうしたのかと尋ねると、村人達は慌てて…
「い、いえ、いくら皆さんでも、アイツを相手に『角を傷つけないで』戦うのは無茶だって分かってます!」
「そ、そうです、命あっての話ですから…勝つことだけに集中してください!」
 『角を傷つけずに』などと言う条件で戦ったら、確かに苦戦は免れないであろう…しかし、それで倒すと、無傷の角が手に入ると何かあるのか?
 村人達は恐れながらも、でも物欲しそうにあの角を見ている…一体何が…しかし、それ以上尋ねる時間はない、村に向かってヒューレイオンが駆けて来たのだ!

●マスターより。
 すいません、説明不足だったようで…プレイングに開拓の事を書いてくれた参加者様が結構いましたが…ごめんなさい、開拓プレイングが必要なのは、開拓パートだけです。
 今回の場合はこのボスを倒した後の3章となります、木材を使って色々な施設を建てる章となってまして、この時に【防衛】【経済】【文化】を記入してください。
 分かりにくい説明で、皆様のプレイング文字数を圧迫してしまい、誠に申し訳ございませんでした。

●2章特殊ルール。
 『角を傷つけない』か『気にしない』かのどちらかを選んで記入してください、記入が無い場合はプレイングの内容で判断します。

・『気にしない』を選んだ場合。
 通常通りの判定になります、大成功の場合のみ角が傷つきません。

・『角を傷つけない』を選んだ場合。
 どのように傷つけないで戦うかプレイングに記入してください、そのプレイングがない場合や、無理があると判断した場合は自動的に苦戦以下の判定になります。
 これを選択した場合は、苦戦でも大苦戦でも取り敢えず角は傷つきません。

 ヒューレイオンの角は自在に伸びはしますが、前方にしか伸びない物とします…また、伸びた角を武器で受けた程度では破損しない強度を持ち、あくまでも猟兵の『攻撃』が当たらない限り傷つきません。
 角に3回傷が付いたら角は折れてしまい『ヒューレイオンの角』は完全な形では手に入らないようです。
 3回傷つく前に『👑11』を達成したら、綺麗な形で『ヒューレイオンの角』が折れて完全な形で手に入ります。
 『ヒューレイオンの角』が折れてもボスを倒せば依頼は成功ですので、気にせずに折ってしまっても村人は怒ったりしませんし、シナリオは無事に進みます。
 『ヒューレイオンの角』が手に入るとどうなるかは、試してみないと分かりませんし、村人に聞いても気にせずに戦ってと言われます。
黒川・闇慈
「ふむ、あの角に何かあるのでしょうか。魔術的な装具や触媒の材料になるかもしれませんし、興味深いですねえ」

【行動】
wizで対抗です。角を折らないように戦ってみましょうか。
属性攻撃、高速詠唱の技能を活用して炎獄砲軍を使用します。
23個の炎の内、10個は植物人間の迎撃用に私の周囲に留めておきます。
1個の炎はヒューレイオンの顔面近く、角を傷付けないギリギリの距離で爆破します。爆破の閃光や音でヒューレイオンの動きを一瞬でも止めましょう。
残りの炎で動きが止まったヒューレイオンの胴体へ攻撃するといたしましょう。

「折れるも八卦、折れぬも八卦、といった所ですか。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


敷島・初瀬
「あの鹿、こっち睨んで殺意と憎悪を向けてくるであります」
前回の依頼中の積荷護衛で山賊と一緒に森も焼いてるであります、てか森を焼いたのは確か自分だけだったでありますが、ここは都合が悪いことは忘れるに限るであります。

『角を傷つけない』方針で行くであります。

「ここなら間に壁、、ではなく味方もいて落ち着いて狙撃できるであります」
村人の話からあの角からは金の匂いがすると判断しロケランの範囲攻撃ではなくアサルトライフルで後方からの狙撃を行うであります。
(猟兵の中で一番恨まれてそうなので他の人を防壁にしようなんて思ってないでありますよ)

(アドリブ、他の人と絡み大歓迎です)


レイチェル・ケイトリン
『角を傷つけない』 方法:攻撃しない。

わたしの「念動力」で「サイコキネシス」を発動して見えないサイキックエナジーで壁をつくって敵の前進をうけながして村を「かばう」よ。
ちょっと斜めにして向きをかえるようにしてね。

角を折らないためには敵のうしろから攻撃するのがいちばん。
でも、村にむかう敵のうしろにまわるんじゃ村にいかせちゃう。

だから、わたしはみえない壁をつくってうごかして敵をとめるよ。
それだけじゃ敵をたおせないけど、でもわたしはひとりじゃない。

わたしの壁を迂回しようと横を向いた敵なら、そのうしろからほかの猟兵さんたちは攻撃できるよね。
敵は召喚もつかえるけどそれもほかの猟兵さんたちをしんじてるから。


神宮寺・絵里香
彩希(f12810)と連携。
≪心情≫
・敷島軍曹の監督はユキノ少尉任せた。
・それじゃあ行くぞ、彩希中尉
 ってか、この設定いつまで続くんだろうか。
≪戦闘≫ 『角を折らない』
・【高速詠唱】からの『水神権限』で状態異常力を強化
・【高速詠唱】【範囲攻撃】UCで攻撃。周囲を底なし沼に変える
・それを彩希のUCで凍らせたリンクの上で戦う
・オレは氷の足場を自分の足元だけ水にして対応。
・武器には【雷属性】【麻痺攻撃】の痺れる雷を付与。
・WIZUCで出現した敵は【範囲攻撃】【薙ぎ払い】で一気に削る。
 合体されても足場の優位を活かし攻撃を【見切り】【武器受け】で
 受け流し
・本体には足を薙ぎ払い、麻痺と移動力低下を狙う


月島・彩希
絵里香(f03667)さんと参加
ここからは私も参戦しますね!
絵里香大佐よろしくお願いいたします!(冗談っぽく

『戦闘』
絵里香さんが白蛇神域を使用した後に、氷上の舞(UC)を使用することで沼地を凍らせて身動きを封じる
氷の足場という【地形の利用】をして相手の隙を突く!
雷迅槍を使用して【残像】を交えた【ダッシュ】で氷上を滑走し、短槍の【投擲】や加速による速さと【怪力】が込められた突きとなぎ払いで攻撃
【雷属性】による【麻痺攻撃】を叩き込む
攻撃は【フェイント】を交ぜて敵の隙を誘う
また【戦闘知識】を用いて相手の攻撃を【見切り】回避
妖精は木霊が聞こえる位置を把握して、【野生の勘】を駆使して【槍投げ】等で対処


神舵・イカリ
「初めてこの世界に来てみたけど…なんか珍しいモンスターだな!」

見たことのない存在を前に目を輝かせる

・『角を傷つけない』

「こいつが悪いってわけじゃないんだよな…。人間の身勝手で森を荒らされてさ。だから、倒すってより動きを止めて大人しくさせないとな!」

そのために手数を増やす

本音を言えば、あの角をゲットして謎も知りたいし、それをへし折るのはもってのほかだ

「遥か遠き銀河の力。今ここに、呼び熾す!ーー量子天開!」

ここと違う世界の理で、荒ぶる森の神を鎮める

呼び出した『黒い剣槍』を自在に操って、ヒューレイオンの胴体だけを的確に狙っていく戦法

※ アドリブや他キャラとの絡みはお任せです!


トリテレイア・ゼロナイン
『角を傷つけない』
(村人達に)あの角が欲しいのですね。ならば騎士として皆様にあの角を見事確保して御覧にいれましょう

……激怒しているヒューレイオンには気の毒ですが…

角を守るという目的の為、使い方間違っているような気もしますがUCを使用して接近戦を挑みます

突進や蹄の一撃をスラスターを使用した「スライディング」で回避しつつ、伸びる角の攻撃の軌道を「見切り」「優しく」「武器受け」「盾受け」で防御して接近。

「怪力」で捕まえて全格納銃器での「だまし討ち」を胴体に浴びせましょう
もし角を破壊しかねない他の猟兵の攻撃があれば、角だけは「かばい」つつ胴体に当たるようにヒューレイオンの向きを変えます

※被害担当OK


ティエル・ティエリエル
『角を傷つけない』

「あの角も欲しいんだね?よく分からないけど、ボク傷つけないように頑張るよ☆」
ボクに任せておいてよ言わんばかりにふふーんとドヤドヤして戦場に飛び込んでいくよ!

背中の翅を使って地面スレスレ、超低空を飛び回るね!
木霊を返す半透明の妖精は【フェイント】を使って追跡を振り払うよ!

ヒューレイオンがボクを見失って、他の猟兵に気をとられている隙に正面以外から足元目掛けて突撃!
風を纏わせた【属性攻撃】【妖精の一刺し】で足にダメージを与えて機動力を削いでいくね♪


モルツクルス・ゼーレヴェックス
『角を傷つけない』

「っしゃあ!レア素材っすね!分かるっす!……天使という幻想にこそ帰依し、光という力でこそ天駆ける!」
【光翼】を発動
植物人間を避けて【空中戦】
「さぁて、先ずは身嗜み……」
全身に【エッセンシャル羽オイル】を振りかけ強烈香りを纏い
「ラ、ラ、ラ~♪さあさ、よってらっしゃい、観てらっしゃいっす♪」
歌いながら、くるくると美しく輝く軌跡を描いて空中を舞う【パフォーマンス】
「……自分に、見蕩れたっすねえ!」
興味や困惑を抱いた対象に、この翼は拘束術式光線を放つ
「せめて、死ぬまでは観とくといいっす!……渾身の芸っすよ!」
くるくると、調子っぱずれの歌唱と舞踏が、冥土の土産っす!
……ドンマイ!


ゼット・ドラグ
「角か。せっかくだから狙ってみるか。」
軽い気持ち【角を傷つけない】ように挑戦する戦闘狂。
怪力を活かした戦い方をしたら傷つけてしまいそうだ。
ここはひとつ、【手繰り竜殺砲】で素早いカウンターの一撃を狙おう。
問題は、相手の攻撃が妖精を召喚する事以外どう出るか分からない事か。
とりあえず、目を閉じ脱力状態で相手の出方を待つ。
攻撃されたら水のごとく受け流すように動き、相手のUCの無力化を狙う。
無力化出来たら、ヒューレイオンの頭を掴み、右肘に押し当てるようにバズーカから相手のUCをエネルギーに変換、排出して角を攻撃する。


トリガー・シックス
※角を傷つけない

「動き回る標的を狙うのは難しいが、やってみよう」
『偉大なる狩人』による【スナイパー】で胴体を狙い撃ちしてダメージを与える。頭は角に当たる可能性があるため狙わない。
【迷彩】で隠れつつ【目立たない】ように【忍び足】で移動しつつ、他の猟兵の援護を行う。
【第六感】で追跡者に気づいたら【残像】を残して【ダッシュ】を行いその場を離れる。
攻撃に関しては臨機応変に対応する。
『最後の願望』でリヴェンを呼び出し、ヒューレイオン以外の敵をサイキック能力で撃破させる。
こちらに攻撃が来るのであれば【見切り】【残像】【ダッシュ】で回避を行う。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
※角は傷つけない

「あの角ってなにかあるのかな」
危険かもしれないけど、やってみる価値はありそうね。
『ゲンドゥル』の光刃を形成して正面から挑むわ。
【存在感】でこちらに注意を引きつつ、角の攻撃を誘発させてみる。
【野生の勘】で角の攻撃が来そうと予感したら【見切り】と【ダッシュ】で回避して一気に間合いを詰めてから、『トリニティ・エンハンス』で攻撃力を上げて胴体に攻撃するわ。
とにかく回避を最優先に気を引きつける。
【フェイント】と【残像】も活用してみるわね。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


ユキノ・サーメッティア
今回の騒動ってこいつか~
大変にはなるけど、なるだけ『角を傷付けない』で戦ってみようか
ただ、危なそうなら気にしてられんけど

角の攻撃は受け止めても早々に傷がつかないんでしょ?
なら、【誘き寄せ】で(pow)の攻撃を此方に誘って
【見切り】で最初の蹄を【盾受け】して弾き返すというか
逸らしてみようかね
隙が出来たら、後ろ足の太腿辺りに
UC『ナーデゲヴァル』
ルプシュテルで【串刺し】して【零距離射撃】の
【マヒ攻撃】をしてみようか
…機動力を奪えれば、戦いやすくなるだろうし…



「あの鹿、こっち睨んで殺意と憎悪を向けてくるであります…何故でありますかねぇ?」
 ヒューレイオンは猟兵達の中に敷島の姿を見つけるやいなや、敷島を凝視し続けている…無論、恋なのではない…獣ではあるがその表情に『怒り』の感情が見て取れる。
 そして、すっとぼけてはいるが、敷島自身にも身に覚えがある、都合が悪いからなかった事にしている様だが…
「前回、敷島様は森を焼きましたからですね」
「そんな事ありましたっけかな~?、おと…じゃなかった、トリテレイア殿」
 そんな敷島の態度に、温厚なトリテレイアも流石に苦笑いを浮かべる…囮…壁役になるのは騎士の勤めだとは思っているし、守るつもりでは居るのだが…。
「!?、来るでありますよ、自分は狙撃するのでトリテレイア殿は…」
「了解、敷島様は後ろへ…トリテレイア・ゼロナイン参ります!」
 ヒューレイオンが敷島を目掛けて一直線に駆けてくる、敷島は後ろに下がり狙撃の構え、トリテレイアは前に出てヒューレイオンを抑えようとする。

「クアオォ!」
「なんのっ!」
 ヒューレイオンの蹄をトリテレイアは大盾で防ぐ、続けざまに伸びてくる角を見切ってそれを折らぬように気をつけて掴んだ…が。
「なっ…私を踏み台にした!?」
 止めたはずの蹄からの強烈な圧力で、トリテレイアの巨体が地面にめり込むと、トリテレイアの眼前からヒューレイオンの巨体が消える…トリテレイアの大盾を踏み台にして跳んだのだ、その勢いで角がトリテレイアの手を抜ける、折らぬように気を使ったのが逆に仇となったのだ。

「ちょ、おま…であります!」
 ヒューレイオンが狙うのはあくまで敷島、執念深いこの獣は狙った獲物に凄まじいまでの執着心を見せるのだ…
 敷島は【精密射撃】でヒューレイオンを迎撃するが、その身に弾丸を浴びようと止まる気配がない…それどころか余りダメージを与えられない、多少の血は出るが、皮膚までで弾丸が止まってしまうのだ。
「敷島さん、あぶないっ!」
「グォン!?」
 敷島に迫り来るヒューレイオンをレイチェルの【サイコキネシス】の壁が止める、見えない壁に怪訝そうな顔を浮かべるヒューレイオンの動きが一瞬だけ止まった、その瞬間を…

「今だ!」
 トリガーの『偉大なる狩人』の狙撃がヒューレイオンの胴体を捉える、大口径の銃弾はヒューレイオンの体毛を少しだけ散らした。
「ええーい!」
 続いてティエルが低空飛行で素早く『風鳴りのレイピア』で切りつけるが…
「「ダメだ、浅い!!」」
 攻撃を加えた手応えから、半端な攻撃ではかすり傷程度しか与えられないと理解した…ヒューレイオンの体毛はカーボンファイバーの様に丈夫で、皮膚も頑丈で分厚い、まるで天然の防弾チョッキであり、防刃ベストの様なのだ。

「それならこれで…あっ!」
 それならばと、エルーゼが【トリニティ・エンハンス】をかけて『ゲンドゥル』の光刃にて高威力の一撃を与えようとするが…サイコキネシスの『壁』に戸惑う一瞬の隙を突くには速度が間に合わない。
 ティエルの並の速度がなければ、その隙で近接攻撃を打ち込むのは不可能、ヒューレイオンの脚はこの場にいる全ての猟兵より速いのだ。

「機動力を奪えば戦いやすくなると思ったけど…」
「ならば、足を止める『罠』をはるか、ユキノは敷島をこっちに連れてきてくれ」
「敷島さんを?」
「ああ…」
 敷島は今回の戦闘では神宮寺と同行はしていない…そして、トリテレイアなど価値観が自分とは違う仲間に絡みに行ったのには理由がある。
 嫌な現実は忘れるタイプの敷島だが、実際には自分が狙われるであろうという自覚はあった、自覚があった故に神宮寺から離れたのだ…戦術的合理性により次のように言われると思ったからだ。

「あれは、良い囮になる」
「やっぱりでありますかぁ、大佐殿ぉぉぉっ!!!!」
 ヒューレイオンの狙いを逸らすよりも、そっちの方がずっと効率的なのだから仕方がない…分かっていたからこそ、そう言った事情は抜きで守ってくれそうなトリテレイアを頼ったのだ。
「敷島軍曹の監督はユキノ少尉任せた。それじゃあ行くぞ、彩希中尉…ってか、この設定いつまで続くんだろうか?…俺は巫女なんだが」
「絵里香大佐よろしくお願いいたします!」
 大佐と言われたから、何となく敷島の脳内設定に付き合ってやった神宮寺に月島・彩希は冗談っぽくそう返した。
 神宮寺と月島は『罠』の制作に取り掛かる、罠とは神宮寺の【白蛇神域】で生成した底なし沼に誘い込み、そこに嵌ったヒューレイオンを沼ごと、月島のユーベルコード【氷上の舞(アイスダンサー)】凍らせて固めてしまうという作戦なのだ。

「そういう訳でから初瀬さん囮よろしくにゃ~」
「どうしてこうなったでありますか!?」
「敷島様、自業自得と因果応報のどちらもだと思われます」
 ユキノと合流した敷島の愚痴を、同じく守るために合流したトリテレイアが切って捨てる…そう、森を焼いたので自業自得だし、仲間を囮にするのは常習犯なので因果応報でもあるのだ、残念だけど当然の自体なのだ。

「エルーゼ、お前は敷島を援護しつつ、攻撃のチャンスを狙え…俺とリヴェンは後方から射撃攻撃を行う」
「挟み撃ちの形になるってわけね、了解よ!」
 トリガーはユーベルコード【最後の願い】で亡き恋人の霊『リヴェン』を召喚し、エルーゼは敷島と合流する…護衛組と追撃組で別れる事でヒューレイオンを挟み撃ちにして少しでも攻撃を当てやすくする作戦だ。
 エルーゼと合流時に敷島が『そのポジションになりたかったのに、トリガー殿ずるいでありますよぉぉ』とか嘆いた声が木霊したとか…人生上手く行かないこともある、諦めよう。

「我々は援護に回りましょうか、レイチェルさん」
「うん、みんなで頑張ろう…私が守るから」
 レイチェルと黒川はどちらとも合流せず、その魔術とサイコキネシスで双方のフォローに回る。
 黒川はユーベルコード【炎獄砲軍(インフェルノ・アーティラリ)】にて23個の火球を生み出し、その内10個程度は何かあった時のために自身の周囲に配置し、残りでヒューレイオンに対して攻撃を行う。

「ひぃひぃ、この鹿、しつこいであります!」
「アオォォ!?」
 敷島を追うヒューレイオンの眼前で火球が炸裂し、ヒューレイオンの動きが一瞬だけ止まる。
「今です!……なっ!?」
 その一瞬に合わせて、残りの火球を胴体に当てようとしたが、ヒューレイオンは大きく跳ねそれを回避…爆発の炎で視界を塞いだ筈なのに、まるで『見えている』かのように火球を避けて見せたのだ。
「後ろに目でも付いているのか!?」
 続けざまに撃たれるトリガーの狙撃をも回避していくヒューレイオン、例え匂いで位置がバレてても、音で射撃された事が分かっても解せない…まるで、銃口を見て弾道を避けるようにヒューレイオンは飛び跳ねるのだ。
「まさか…本当に『見えている』のか?…ならば、だとしたらこれはどうだぜ!?…遥か遠き銀河の力。今ここに、呼び熾す!ーー量子天開!」
 ヒューレイオンの不自然な回避、まるで『見えている』かのような…その不自然さに回答を出すべく、神舵・イカリはユーベルコード【儀典/イミテイト・ペネトレーション(フェイクコード・イミテイト・ペネトレーション)】を発動する。
 それは嘗て銀河皇帝が使用したユーベルコードを模したもの…極めて発見の難しい20本の『黒い槍剣』がヒューレイオンを追尾する、サイズこそ違えど限りなく不可視に近い追尾弾、もしも『見ている』のならば、見えないこれは…

「グオォォ!!?」
「っしゃ、当たったぜ!」
 イカリの予想通りヒューレイオンに『黒い槍剣』が突き刺さり、ヒューレイオンの動きが一瞬だけ止まる。
「本当に『見てる』のね、だったらこれなら!?」
 その様子を見たティエルがその一瞬の隙を狙って仕掛ける、低空飛行から足首の腱を狙ったなぎ払い…これをまるで『見えてる』かのように足を上げて回避するヒューレイオンだが、ティエルのレイピアは振り抜かれずに止まる…『見えている』事を逆に利用したフェイントだ。
「いっくぞーーー!! これがボクの全力全開だよ☆」
 レイピアを構えティエルはユーベルコード【妖精の一刺し】を発動する、全速力の最速の突き、その速度は防御を省みぬ捨て身となり、一瞬だけヒューレイオンの速度を凌駕し…その左後ろ足を深々と貫いたのだ。

「グオオオォォン!!」
「ひゃああっ!?」
 左後ろ足の激痛にヒューレイオンは暴れまわり、その咆哮が周囲に木霊する…ティエルは激しく振り回され…その遠心力で投げ出されてしまう。
「大丈夫っすか!?」
 空を飛んで追いかけてきたモルツクルスによって抱きとめられ、事なきを得た…
「ありがとう、モルツクルスさん…あれ?、でも…敷島さんと合流するんじゃなかったの?」
「そのつもりだったっすけど…あいつが何やら『見てる』様なんで、気になってこっちに来たっすよ…実際のところどうなんっすかね?」
「『見てる』…様だな、不可視のイカリの攻撃には気が付かず、ティエルのフェイントにも引っかかった」
「マジっすか、それヤバイっすよ…『罠』が見られてたら台無しっす!」
「…っ、くそ、どうやって『見てる』か知らないけど、それをどうにかしないとやばいぜ」
「自分、神宮司殿達に伝えてくるっすよ!」
 ティエルの攻撃はそれなりには効いたが、イカリの『黒い槍剣』はあの頑強な毛皮を貫き、有効なダメージを与えるに至らなかった…追撃組の単発的な攻撃が当たっただけでは効果が薄い、奴を倒し角を得るためには『罠』に嵌めなければならない…だが…

「何、『見てる』だと?」
「はいっす、あのレア素材…じゃなかった、ヒューレイオンはどういう訳か、常に自分達を監視できている見たいっすよ」
「となると…この『罠』も…」
 モルツクルスからの報告を受ける、神宮寺と月島…生成した沼の表面を敷島の体重にギリギリ耐えれる程度に固めて土を被せた『罠』だが、製造過程を見られてしまっては通用しない。
「そろそろ合流だが、何かあったのか?」
 そこに敷島を罠まで誘導していたゼットが現れ、神宮寺達は状況を説明する。
「『見てる』か…そうか、先程あいつが出してきた『何か』の正体はそれだったのか」
「『何か』?、ゼットさんは監視している者が何か見たのですか?」
「いや、目を閉じていたから見えはしなかったが…感じる事は出来たってところだな」
 ゼットはユーベルコード【手繰り竜殺砲(タグリリュウサツホウ)】によりカウンターを狙っていたが、ヒューレイオンが敷島ばかりを狙うので上手く発動できずにいた…が、敵の意識がこちらに向かった瞬間を感じたので、目を閉じ、完全な脱力状態になる事によって、発見しづらい『何か』を感じる事が出来た。
 『何か』は攻撃する事なく何処かへと散ってしまったから、カウンターを発動させる事は出来なかったが…この話を聞いてゼットは敵の行動を理解したのだ。
「神舵殿の『黒い槍剣』の様な見えない存在に監視されているようっすね…」
「そうなると、この罠は…」
 既にバレている…しかし、もうこれ以上時間もかけていられない…何故ならば、ヒューレイオンの猛攻を受けている敷島達にも限界があるからだ。

「ええいっ、こうなったらヤケでありますよぉ!!」
「グァ!?」
 敷島とトリテレイアは善戦をしていた…味方を守る事を得意とするトリテレイアと、味方を盾に囮にする事を厭わない敷島の戦法はうまい具合に噛み合うのだ。
 トリテレイアのユーベルコード【機械人形は守護騎士たらんと希う(オース・オブ・マシンナイツ)】も上手く作用している、敷島を守る行為が発動条件である『保護対象や仲間を守る目的の為に敢えて不利な行動をする』を満たすのだ。
 何故なら敷島を守るという事は盾になったり、囮になったり、場合によっては自分ごと焼かれたり(経験あり)という危険が有るため、『不利な行動』という条件すらも常に満たし続けていられるからだ。
 そんな、ユーベルコードで身体能力が増したトリテレイアに割って入られると、ヒューレイオンは先ほどの様に角を掴まれるのを嫌がり、機敏な動きで避けようとした所に敷島の【精密射撃】が撃ち込まれる。
 その一瞬の膠着を護衛に回っているユキノとエルーゼが襲いかかり、ヒューレイオンにダメージを与えていく…しかし、それでも攻めあぐんでいた…

(角は諦めるべきかも知れない…)
 ユキノの脳裏にそんな考えが過ぎる…このヒューレイオンは単純に強いのだ、普通に戦ってもその機敏性と頑丈すぎる毛皮に苦戦を強いられるであろう。
「どうにかして、足を止めないと…」
 エルーゼもヒューレイオンに重い一撃を食らわせるのに苦心していた。
 弧を描くように生え、伸びて刺突してくる『角』を避けて胴体を狙うにはヒューレイオンは速過ぎる…怯んで動きが止まった一瞬では、手打ちの攻撃を当てるのが精一杯、強く、もう一歩踏み込まなければあの毛皮を貫くことができない…その一歩が遠いのだ。

「この鹿畜生、こっちでありますよぉっ!!!」
「敷島、気をつけろ、おそらく罠はバレている!」
「えええっ!!?、折角ここまで誘き寄せてきたのにでありますかぁ!?」
 例の罠地点に敷島が到着してしまう、しかしその罠はおそらく既に…しかし、ヒューレイオンは罠を避けるどころか、何故か真っ直ぐ突っ込んでくる…
(む、バレていないのか?)
 と、神宮寺が疑問に思った矢先、ヒューレイオンの角が眩く輝き、その全身が光に包まれる…その光により、周囲の植物が急成長を始めると同時に罠の氷が割れ、沼のそこから樹木が生い茂り、その根が足場を作り出していた。
「木の根…いや、マングローブかっ!!」
 マングローブ…汽水域に生息する樹木の総称…神宮寺が生み出した沼は淡水であるから厳密にマングローブと呼ぶかどうかの疑問は置いておいて、泥の中でも根を張り、育つ事が出来る植物…それを最初に見せた『歩くたびに植物を生やす』不思議な能力で生み出したのだ。

「俺の沼をこんな形で攻略してくるとわな」
「神宮司さん、足場を作られては沈めるのは無理です…せめて凍らせて滑るように…」
 月島はそこまで言いかけて言葉が詰まる、樹木の根を凍らせても樹木が消えるわけじゃない…足場を失わせる効果としては弱い、凍らせてもヒューレイオンは樹木の上を駆ける様になるだけだろう。
「やっぱり、角は諦めたほうが良いかな?」
 このヒューレイオンはこの人数の猟兵であっても、ハンデを背負って戦えるようなぬるい敵ではない…ユキノの提言で方針を変更としようかと考えた時、それに否を唱える者が現れる。
「お待ちください、それは早計でしょう…確かにあの幻獣は難敵ですが、神宮寺さんの沼が消えてなくなった訳でもありません…あの程度の樹木ならば破壊は容易でしょう、足止めの作戦が完全に破綻したわけではございません」
 と黒川は提案する、確かにマングローブという足場が生えただけで、沼は消えていない…落としさえすれば、月島との凍結コンボが完成しヒューレイオンを拘束する事が出来る。
「角を狙うにしても、まともに戦うにしても、落とす方向にした方が良さそうですね」
「ああ、だが…監視の方をどうにかしないとな」
「そうですよ、ではその方向で!」
 自身の案が通り、黒川は内心ホッとする…最初の方こそ、何らかの触媒になるかもと興味は持っていたものの『折れるも八卦、折れぬも八卦、といった所ですか。クックック』とその程度に考えていたが…。
 だが、あの角の輝きにより神宮寺の沼をマングローブの森林に変えてしまった様を見て、あの『角』の価値を理解してしまった…生命を生み出すヒューレイオンの魔力が長年染み渡り、積み重なった生命エネルギーの結晶…あれは天然の賢者の石とも言えるほどに貴重な素材なのだ。
(命あっての物種ですが、あれは簡単には諦められませんね…)
 黒川にとって、猟兵とは様々な世界で魔術の知見を広めるための手段であり、猟兵の使命などは『世界が滅びなければいい』程度の物である。
 彼にとって魔術の研究と収集こそが第一の目的である…故にこれを簡単には諦められないのだ。
 猟兵全員の成果物であるから、恐らくは拠点として使われる村に置き、共有の財産となるであろうが…それでも、あの角を研究できる…その知識欲を満たすために、黒川は平静を装いながらも、その内心は珍しくも必死なのだ。

「あ゛り゛ま゛ずぅぅぅぅっ!!」
 その瞬間、マングローブの森から敷島の汚い悲鳴が響き、周囲にその声が幾度も反響し木霊する。
「敷島さん!?」
「いや、大丈夫だろう。多少はダメージを負ったかも知れんが、流石にあんな断末魔はない」
「凄い声でしたね、こんなにも反響を…おや?、おかしいですね」
 平静を装いながらも、実は脳をフル稼働させて角を手に入れようとしている男、黒川の灰色の脳細胞が違和感を感知する…なぜ木霊するのか?、確かに山では起きる現象ではあるが、巨人と戦っていた時にこのような現象は発現しなかった…故にここは木霊という現象は発生しない地形の筈だが?

「あのヒューレイオンが現れるまで、このような事は起きなかった筈です」
「…っ!?、と言う事はまさかっ!」
 黒川の言葉に月島は灰狼としての野生の勘をフル稼働し、木霊の反響の先…よく見れば居る、森の中のモヤに紛れた半透明の何かを発見する。
「そこだっ!!」
 月島の投げた短槍がその半透明の何かを貫通した、それと同時に…

「グオオオオォォン!!?」
「ひょ、ひょえ!?」
 敷島を蹴飛ばし、トドメを刺そうと角を構えたヒューレイオンが突如苦痛の悲鳴を上げて、その動きを止めた…その隙に難を逃れた敷島は不思議そうな顔で振り返る。
「何も当たって無いでありますよね?」
 そう、ヒューレイオンは何も当たっていないのに、突如痛がったのだ…それを、後方からの追撃部隊は見ていた。

「何かな?、急に動きを止めたけど…」
「謎の苦痛…誰かのユーベルコードか?」
「いや、違うかも、あのヒューレイオンが俺の『黒き槍剣』と同じ性質の何かを召喚してるのなら、恐らくは感覚の共有をしているはずだぜ…だから…」
「誰かが、見つけたのか…むっ!?」
 その時、トリガーの第六感がその『何か』を捉える…感覚の共有、これにより一体倒された『痛み』にヒューレイオンと猟兵を監視する半透明の『何か』がその苦痛に反応した為、トリガーの第六感に感知されたのだ。
 しかし、トリガーはその半透明な何か…その正体『木霊を返す半透明の妖精』にあえて手を出さない、自分一人ならば残像を残し、残像に気を取られている内に振り切る所であるが、今のヒューレイオンの反応を見て対応を変更する。
『監視者を見つけた』
 トリガーは筆談でティエルとイカリに妖精の位置を知らせる、見られていてもヒューレイオンにUDCアースの文字が読めるはずはない、これにより追撃組は自分達だけでこの情報を共有する事に成功した。

「アオォォォン!!」
 神宮寺達を監視してた妖精が倒された事により、ヒューレイオンは他の方法で神宮寺達に対応する…大きな方向とともに、マングローブが更に成長…いや、マングローブから葉っぱに数字が書かれた先ほどの巨人のミニチュアバージョンの様な植物人間がワラワラと生えてきたのだ。
「足場の破壊の邪魔をする気か」
「クックック、念のために火球を残しておいて良かったですよ」
 黒川は残しておいた10個の【炎獄砲軍】の火球を使い、マングローブごと植物人間達を爆砕していく、神宮寺も白蛇の意匠が刻まれた薙刀『叢雲』を振るい植物人間をなぎ払う。
「ふんっ!」
 沼の上では神宮寺の戦闘力は増大する、植物人間も合体し巨大化はするが…それでも神宮寺の一閃の元の沈む…所詮は巨人にも劣る戦力、戦って散らす事は訳ないが…
「全く、数だけは多いですね…」
 際限なく、ワラワラと植物人間達は生えてくる…このヒューレイオンのユーベルコードは『角』の生命エネルギーを元にしているのだ、その生成能力は無尽蔵とも言えるであろう。それに対応すべく、黒川は再度【炎獄砲軍】を発動し…
「月島さんはヒューレイオンの元へ、私達が道を開きま…え?」
「おい、モルツクルス…お前、何をやっている?」
 この緊迫した場面で、モルツクルスは奇行に走る、全身に『エッセンシャル羽オイル』を振りかけて強烈な香りを振りまいて…
「ラッラッラ~、発声練習もよし…それじゃ作戦があるから聞いて欲しいっす」
「作戦だと?、その身だしなみがか?」
「そうっす、自分のユーベルコードは相手に気に留めてもらわないと発動できないんっすよ」
 モルツクルスの発案により、神宮寺達の行動も決まる…黒川は【炎獄砲軍】の全ての火球を駆使し、植物人間の群れに道をこじ開けて、猟兵達は作戦を結構すべく駆け出したのだ。

「ふぅ、沼地を抜け出ればなんとかいけるでありますね」
「マングローブの森は戦いにくかったからね」
「…申し訳ございませんでした」
 敷島達は沼を抜け出し、平地にいた…マングローブの森は神宮寺以外の猟兵に取っては活動しにくい場所…特にスラスターがあるとは言え、重量のあるトリテレイアには厳しい環境だった、場所を選ばねば直ぐに足場が折れてしまうからだ…
「そうか、だが残念だがここも沼にするぞ」
「「「え゛?」」」
 少しは戦いやすくなって安堵した、敷島、エルーゼ、トリテレイアの三人に神宮寺達が合流してくる、そして神宮寺は宣言通り白蛇を召喚し、地形を沼に変える水属性のブレスを周囲にぶちかました。
「アオォォォン」
 それに対応してヒューレイオンもマングローブの森を発生させる、底なし沼にマングローブの足場が作られるがその瞬間…
「敷島さんはこっちすよ!」
「うわわっ、セクハラ案件、幼女拉致でありますよ!?」
 神宮寺は敷島にだけは敢えて足場を作らず、エルーゼとトリテレイアだけに氷の足場を形成する…そして、沼にはまって動けなくなった敷島を、モルツクルスは抱き抱えたまま上空へと跳んだのだ。

「さてと…」
「モ、モルツクルス殿?、逃げるのならもっと高くでありますよ?、この距離ぐらい、あの鹿は跳んでくるであります!!」
 上空に逃げる…にしては、微妙な高度…ヒューレイオンの脚力ならば届く距離…この距離にこそ意味はある、そしてそこでモルツクルスは…
「ラ、ラ、ラ~♪さあさ、よってらっしゃい、観てらっしゃいっす♪」
 歌いながら、くるくると美しく輝く軌跡を描いて空中を舞い始める…想定外の行動に敷島は一瞬だけ唖然とするが…
(あ、これ…餌にされるでありますね…)
 作戦を理解する…敷島も他人を囮にしたり、餌にする戦術はよく取る為にこの奇行が陽動の為だと直ぐに理解し…そして。
(もうヤケであります、こうなったらトコトンやってやるでありますよ!)
 毒を食らわば皿まで、これで餌として見捨てられたら化けて出てやると思いつつも、敷島もモルツクルスの挑発行為に加担する…隠し持っていた焼夷弾をマングローブの森にバラ撒いた。
「森を焼かれて、どんな気持ちであります?、ねぇどんな気持ちであります?」
 腹を決めてヒューレイオンを思いっきりプギャーした、更にモルツクルスも…
「せい、ハッ!ララァ~♪、何時もより余計に燃えておるっすよ~」
 マングローブも森が焼ける炎を背景に据え、自身のパフォーマンスを更に高める、燃える赤い光に『エッシェンシャル羽オイル』が照り出され、モルツクルスはキラキラと煌めいた。
「ア゛オ゛ォォォォッ!!!」
「……自分に、見蕩れたっすねえ!」
「完璧にブチ切れただけだと思うであります」
 もちろん敷島の正解である、この期に及んで更に罪を重ねる敷島、そしてそれを煽るモルツクルス…その感情は怒り…そして森を焼く愚者への『侮蔑』…その感情を向けられる事をモルツクルスは待っていたのだ。

(まだだ…来い、来るっす…来た!)
「グアォォン!!」
 ヒューレイオンは激情に走り、モルツクルスと敷島を引き裂かんと大きく跳躍をした…その刹那。
「天使という幻想にこそ帰依し、光という力でこそ天駆ける」
 モルツクルスのユーベルコード【光翼(アート・オブ・ザ・ウィング)】が発動、『興味』、『敬意』、『困惑』、そして『侮蔑』の感情を抱いた相手に、その羽から放たれる無数の束縛術式の光線が放たれ対象を追尾する…中空にて軌道を変えられないヒューレイオンがその束縛術式を回避出来るはずもなく…ヒューレイオンの身体は束縛された。

「グオオオオオォン!!」
「うわっと!?」
 ヒューレイオンは束縛されながらも角を伸ばし、モルツクルス達を狙うもギリギリの所で回避される…怒りの眼差しを向けたまま、重力が跳躍の加速を上回り、ヒューレイオンの身体は自由落下を始める。
「危なかったっすね…でも、今っすよレイチェルさん!」
「わかった、みんなお願いね」
 その瞬間に合わせて、レイチェルの【サイコキネシス】がその場にいる月島以外の味方をヒューレイオンの上空へと運ぶ…ヒューレイオンが駆けることが出来ない空中から、ヒューレイオンの体を全力で叩き落とし足場を砕く…これこそがモルツクルスの考えた作戦である。

「捉えたぞ」
「いっけぇぇっ!!」
「角がない胴だ、全力で行くぜぇ!」
「やっとゼロ距離を取れたにゃ~」
 電撃属性の神宮寺の薙刀が右後ろ足に、【トリニティ・エンハンス】で強化されたエルーゼの『ゲンドゥル』の光刃が右前足に、角が無い胴体に肉薄できた故に自慢の怪力を振えるゼットの『ドラゴンアックス』が胴体に、ユキノの『ルプシュテル』が左前足にへと…同時にヒューレイオンのへと叩きつけられ、その勢いでマングローブの足場を突き破り、ヒューレイオンの身体がついに底なし沼へと沈んだのだ。
「今こそ、灰狼の舞をお見せしましょう!」
「アオォォォン」
 このタイミングで月島のユーベルコード【氷上の舞】が発動、沼が凍結を始める…氷を砕き、足場を得るべくヒューレイオンも角を輝かせて、またマングローブを生もうとするが…
「させないよー、イカリさんやっちゃって」
「ああ、行け『黒き槍剣』!!」
 その光を見た追撃組が、このタイミングで監視の妖精を討つ、見えない『黒き槍剣』で妖精を穿つ事で予期できない激痛がヒューレイオンを襲うだろう、絶好のタイミングで行動を阻害するためにトリガーは敢えて妖精を生かしておいたのだ。
「ギャオンッ!!?」
 予期せぬ痛みに、能力の発動が遅れヒューレイオンの身体は氷のリンクによって固定される、それでも動ける左前足を振り上げ、氷のリンクを砕こうとするが…
「これは…痛いよ!」
 左手に穿たれた『ルプシュテル』、このゼロ距離こそユキノのユーベルコード【ナーデゲヴァル】の間合い…『ルプシュテル』で左前足を刺したまま剣から銃へと変形し『シャルドンナー』と連結…雷の力を帯びたゼロ距離射撃の強烈無比な一撃が、ヒューレイオンの左前足をへし折った。
「グアオオオオオオオオオンッ!!」
 それでも抵抗を止めないヒューレイオンは頭を振りながら、近づくものを無差別に貫かんと角を伸ばす…故にゼットは近づく、彼はずっと待っていた…敷島ばかりではなく、自身が攻撃の対象になる事を。
「これが俺の必殺の返し技だ!」
 迫り来る角をゼットは水のような動きで受け流す、ゼットの手に受け流された角は伸縮が止まる…ゼットはそのまま右肘のバズーカーを角の付け根に充てがうと、そこからヒューレイオンの角の光と同じ輝きが放たれる。
 ヒューレイオンの力をエネルギーに再生産して放たれたカウンターによって、遂に無傷のままヒューレイオンの角は切り離されたのだ。

(((やったっ!)))
 遂に『角』を手に入れた…ヒューレイオンは中々の強敵だった故にこの収穫は嬉しい達成感をもたらす…しかし、この達成感が油断と呼ぶには余りにも小さい、僅かな緩みを猟兵達にもたらした。
 並の相手だったら問題のないこの僅かな緩み、しかしヒューレイオンは甘くはなく、手負いの獣ほど恐ろしいものはないのだ。
「まだだよっ!!!」
 ヒューレイオンの目が死んでいない事に危惧したユキノが叫ぶ、彼女は場合によっては角を諦めるなど、この戦いの最大の目的を常に意識して行動していた故に真っ先に気が付く…氷のリンクにヒビが入った事を。
「まさか、まだこんな力をっ!?」
 角を失われてもなお、凍りついた沼の中に無理やり植物を成長させ氷のリンクを砕くほどの力を残していた。
 ヒューレイオンは立ち上がる、既に四肢は猟兵達の攻撃によりボロボロ、左前足に至っては折れてしまっているのに筋力と気力だけで立ち上がったのだ。
「…そうか、お前もか」
 立ち上がるヒューレイオンの目を見て神宮寺は呟く、こいつを立たせているのは『使命感』だ…もはや怒りですらない、森の守護者としての使命感が限界を超えて体を動かせている…この幻獣は森の守護者としての誇り、生き様、その生命の全てをもって自分達に襲いかかるだろう、それを止めるのは生半可では不可能だと神宮寺も覚悟を決める。

「まさか、直ぐに実戦で使うハメになるとはな…大いなる水を司りし白蛇の神よ!汝が巫女たるこの我に恵みの雨を与え給え!急急如律令!」
 前の実験とは違う、実戦において神宮寺の3つ目のユーベルコード【我等雨雲と共に舞い踊る巫女也】が発動し、周囲に恵みの雨が降り注ぐ、もって一分とは余裕があった巨人戦での話、真っ先にヒューレイオンへと走る神宮寺の背中は仲間達に『後は任せる』と語っていた。
「グアアアアアアアアアァン!!」
「ぐあっ…まだだ!!」
 神宮寺は折れて無くなった左前足から攻めるが、ヒューレイオンは構わず無くなった前足を神宮寺に叩きつける、三重の強化によりなんとかそれを受け止めた神宮寺に、残された角が襲いかかるが一本欠けたからか、神宮寺の肩を切り裂くも止める事はできない。
「これが今の俺の全部だ…重力の鎖よ、不死者を許すな。番犬の如く喰らいつけぇっ!!」
 あまりにも無茶、しかし全てを賭けねばこの手負いの獣の気勢を削ぐことは出来ない…3重強化の状態で4つ目のグラビティ…ではない、ユーベルコード【番犬の鎖(グラビティチェイン)】を叩き込む、超重力の束縛を伴う強烈な一撃により、ヒューレイオンの身体は氷のリンクを砕きながら再び個体の沼に沈む。

「絵里香様!?」
「いきますっ!」
 力を使い果たし気絶した神宮寺をトリテレイアが保護すると同時に、月島は再び【氷上の舞】を発動する…氷の沼でも雨は降っているのだ、雨と血で濡れたヒューレイオンを氷漬けにした。
「みんな、きめるよ…ここで、決めないと!」
 更にはレイチェルが【サイコキネシス】で周囲の氷を操り、ヒューレイオンを圧し潰すように拘束…雨と【氷上の舞】の効果で氷の塊同士が結合し、更に束縛が強まる。
「命あっての物種です、ましてや成果物を手に入れた以上は余計死ねませんね…魔力が尽きるまで行きますよ!」
「ありったけを込めてここで決める…その身に刻め!」
 そこに更に黒川の【氷獄槍軍(コキュートス・ファランクス)】、ユキノの【ヴォーゲンレーレ】が発動…無数の氷の槍が突き刺さり、更には氷の津波で押し寄せ、氷の束縛をさらに高めていく、限界まで、魔力が尽きるまで…猟兵達は自身の全ての力を振り絞りヒューレイオンを拘束していく。

「今だ!、俺が持てる力、全てを使わせてもらうぜ!」
「今こそ復讐の時でありますよっ!!」
「森の守護者としての誇りに敬意を評し、最大火力で答えさせていただきます」
「全ての始原、全ての終焉……其は炎、其は光……汝が力を此処に乞う!…自分の最大火力、行くっすよ!」
 イカリは【クアントロム・オーバーライド】【クアントロム・リンクアップ】で自身を強化して、【クアントロム・カノン】を氷塊に向けて放ち、敷島とトリテレイアも持ちうる全ての兵装を使用しヒューレイオンに対して全弾を発射していく…モルツクルスは【自在太陽(アート・オブ・ザ・サン)】によって太陽と同じ熱量と評される程の強烈なエネルギーをもつ火球をヒューレイオンに叩き込んだ。
 
「手負いの獣を甘く見るわけには行かないな…『リヴェン』、エルーゼ」
「分かってるよトリガー」
 トリガーもリヴェンのサイコキネシスでレイチェルを援護しながら、『偉大なる狩人』狙撃を繰り返す…彼は余力を残して、不測の事態に対応する構えだ。
 エルーゼもそんなトリガーの考えを理解し油断なく構える、あの高威力の砲撃をもってしても倒せなかった場合に備えて…
「倒せたとは思いたいけどね」
「倒せなきゃ、倒れるまで殴るまでだ」
 ティエルも『風鳴りのレイピア』を構えながら警戒する、近接を得意とするゼットも同じく…今行われている砲撃に自分達まで乗り込んでも巻き込まれるだけだ。

「嘘だろ…」
 猟兵達は驚愕した、ヒューレイオンは未だ倒れず…あれだけの攻撃を受けて、その身体はボロボロであるにも関わらず立っていたのだ。
「だったら…」
「いや…」
 エルーゼが武器を構え、前に出ようとするのをゼットが止める…立っては居る、だがあのヒューレイオンは死に体と言えるだろう、それに…
「あれ?、何か雰囲気が…」
 ティエルは気が付く…あれほど荒れ狂っていた幻獣とは思えぬほど穏やかで、濁った憎しみの目を向けていた怪物とは思えぬほど瞳が澄んでいるのだ。
「お前…」
 戦闘前、『こいつが悪いってわけじゃないんだよな…。人間の身勝手で森を荒らされてさ』と考えていたイカリは敵意を失ったヒューレイオンに一歩、歩み寄る。
「ヒィィィン…」
 そんなイカリに応えるように、小さく、弱く嘶いた後、ヒューレイオンの身体がマングローブの森を生み出した時と同じ…だが、少しだけ暖かい光に包まれ、その身体は光の粒子となった周囲に飛び散った。
「これは…」
 その光の粒子は周囲に木々を生やす、猟兵の総攻撃で荒れ果てていた筈の土地は次第に緑に覆われ、その木々に実が実った。
「おや、これはオリーブですね…」
 荒地は『オリーブ』の木で満たされた。
 これは最期にオブリビオンとしてではない、生前の森の守護者だった頃の心に戻れたヒューレイオンが、君達を森の住人として認めてくれた最後の贈り物だったのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『木材工作をしよう』

POW   :    直感を信じて、とにかく手を動かして作る。

SPD   :    図面等を用意して、計画的に作る。

WIZ   :    独創的な作成方法を編み出して作る。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

「うおおおおおお!!、ま、まさか本当にヒューレイオンの角が手に入るなんて!」
「ありがたや、ありがたや…村を助けていただいた上にこのような財宝まで」
「あ、もちろん所有権は皆様のものですが…もし、よかったらこの村に使ってはくれませんか?」
 ヒューレイオン撃破と、『角』の入手に湧き上がる村…使ってみないかと問われれば、これがどんな効果なのか知りたかった猟兵達は快く承諾する。

「では、これはですな…」
 村人がヒューレイオンの角を畑に突き立てると、それだけで、まだ植えたばかりのジャガイモ畑から芽が出始める。
「これにはヒューレイオンの魔力が残っており、この様に作物の成長を促すのです!」
 言い伝えに聞いた、伝説のアイテムの効果を目の当たりにした村長は、興奮しながら猟兵達に説明をする…が、猟兵の一人が首を横に振る。
 この『角』はそんなものではない、研究をすればより一層効果を引き出せるであろう…何故なら、瀕死の状態であってなお、オリーブの畑を生み出したヒューレイオンの角なのだ、魔導技術をもって効果を引き出せば、より強い力を引き出せる筈だと。

 その後、猟兵達もこの『角』は持ち帰らず、共有財産として拠点として使うこの村に置いておく事にした…皆の成果物、誰か一人が持って帰るわけにも行かないのだ。
 その報告を聞いた村人達は大いに喜び、君達を歓迎した。

「この村を拠点にしてくださるのなら、これ以上ないほどに心強いです!」
「皆様への恩に少しでも報いなければ、皆様が必要だと思う施設があったら言ってください、可能ならば私達も協力してそれを建設しましょう!」
 村人達も君達への協力は惜しまない、不可能なものとか、余りにも酷い施設とかを頼まない限りは協力してくれるであろう。

●マスターより。
 皆様の判定が『成功』で👑が11どころか倍を超えましたので、アイテム『ヒューレイオンの角』を入手、追加ボーナスとして作物『オリーブ』がオマケとしてついてきました。
 『ヒューレイオンの角』の効果は作物の成長促進です、また入手したことで【経済】が+5加算されます。
 オリーブは普通にオリーブです、油にしたり実を食べたり、普通に使えます。

 三章は開拓パートとなっております、プレイングに【防衛】【経済】【文化】のいずれかを記載して下さい、記入が無い場合は内容で判断します。
 プレイングで🔵を得ただけ、村のステータスが上がって行きます。
 また、今回は建設のフラグメントなので、プレイングに無くても何らかの建物がアドリブで建ったりする事も有り得ます…それが嫌な方は『アドリブなしで』で記載してください。
 建てた建物は施設として村スキルになりますが、無理があるものは違う物になったり、立てられなかったりするでしょう…木材だけで核シェルターとか言われても、素材的にもA&Wの技術的に無理です。
 皆様のプレイング次第で村が色んな方向に発展するでしょう、自由にプレイングを書いてください、無理すぎる部分はマスタリングしますが、可能な限り採用はしたいと思います、カオスな村になるのも面白いでしょう。
モルツクルス・ゼーレヴェックス
【文化】
「目指せ学術都市!いくっすよ1号!2号!」「「おうっす!」」
【世界知識】【学習力】を駆使して周囲の木材を使用した「製紙」について研究
「もう少しかき混ぜてくれっす!」
「なるほど、了解、報告ありがとうっす!」
「……みなさん、そろそろ休憩を」
村人を何人か付けてもらって研究班を結成、共同研究
【コミュ力】【礼儀作法】【鼓舞】で団体の指揮を分身と分担して執る
全体のモチベーションを高めて邁進させて、村人達自身に考えさせて答えに導く
ほぐしたり、濾したり、整えて乾かしたりの工程研究から
余裕があれば必要工具の作成から、水車や風車作って動力の自動化まで試す
それぞれプロセスに村人リーダーを設けてノウハウを蓄積



「私はだぁれ、君はだれ?私は私、君は僕。同じ自分を哀れむ貴方、どうかその手を貸してくれ」
 いきなりではあるが、モルツクルスのユーベルコード【自己複製(アート・オブ・ザ・ドッペルゲンガー)】が発動。
 モルツクルスは仲間をよんだ、モルツクルス1号とモルツクルス2号があらわれた。
「目指せ学術都市!いくっすよ1号!2号!」
「「おうっす!」」
 モルツクルスは自身の分身を生み出し、分担作業をさせてまで村人に教え込むのは『製紙』、A&Wではまだ羊皮紙が主流であり、紙はまだまだ高級品扱いであるが…故に量産化まで持っていければこの村の資金源にもなるだろう。

「モルツクルスさん、こんな感じでしょうか?」
「もう少しかき混ぜてくれっす!」
 製紙の工程は大まかに言えば、砕いた細かい木材チップを煮込んで繊維を取り出し、不純物を取り除き、漉しとって薄く延ばし乾かすと言う作業である。
 木材は大量にあり、建築で余った端材なども利用できるため材料には困らない。
「ご主人様、試作の紙が完成しました」
「なるほど、了解、報告ありがとうっす!」
 モルツクルスはただやって見せるだけではなく、村人自身に考えさせ、研究させ、答えにたどり着くようにヒントを与えていく。
 ただ、紙の作り方を教えるだけではなく、研究のノウハウを身につけさせ、考える能力を身につけさせるものだ。

「……みなさん、そろそろ休憩を」
「はーい」「おつかれさまー」「いやぁ、俺達でも出来るもんだな」
 村人達とコミュニケーションを取りながら進む研究はモチベーションが高い、要所要所でモルツクルスにヨイショされた村人達は精力的に製紙の研究を進めた。

(う~ん、流石にまだ荒いっすね…お、これは…)
 とは言え、村人達の技術はまだ未熟…紙は荒く、木の色も大分残り、所々に穴も目立つ…そんな中、穴もなく比較的綺麗な紙を発見する。
「おお、クロベルさんのじゃないっすか、流石に熱心に取り組んでただけあるっすよ!」
 クロベルとは奴隷出身の少女であり、ノレフィ山賊団壊滅後、捕らえられてたのを保護しこの村に住む事になった少女。
 山賊達にも、それ以前の主人からも虐待を受けていたようで傷跡も多く、貧栄養下で育った故に成長も芳しくないので、肉体労働には向かない…故にこの研究チームに入れてみたが、中々の成果である。
 因みに、サンドイッチを食べさせても死なないから安心して欲しい。

「と言う訳で、今回の製紙の最優秀賞はクロベルさんっすよ、これなら使い物になるっす…では、皆さん、早速この紙にクロベルさんのノウハウ…作業のコツを記入して、次の製紙作業に活かして欲しいっすよ」
 モルツクルスは村人達の製紙の習得が順調なので、更なる段階…水車や風車を作り、動力の自動化までもを視野に入れ、その一歩として様々な研究のノウハウを蓄積していく作業を行うとした…が、ここで頓挫した。

「え?、記入?…おい、誰か文字書けるか?」
「む、無理言うなよ…そんな学校行けるような金持ちがここにいるわけが…」
「村長あたりならなんとか…?」
(あ……)
 モルツクルスは気がついた、ノウハウの蓄積、研究の累積をするのに最低限必要なこと…それは『筆記』、口伝でも多少は蓄積出来るであろうが、高度な事はこれが出来なければ難しい。
 そう、そもそもこの村の識字率など1%程度であろう、モルツクルスの目指すところに行くには【文化】が低すぎるし、学校などを用意して読み書きが出来る者を最低限確保しないと無理なのである。

「ごめんなさい、ご主人様、ごめんなさい…」
「いや、クロベルさんは悪くないっすよ!…まぁ、取り敢えず製紙作業は口頭で共有するっすよ、読み書きはまた別の機会っすね」
 当初の目論見通り『製紙』の技術は身に付いたようだ…しかし、モルツクルスの目指す『学術都市』は余りにも遠い、もっと村全体の基礎学力を上げなければ…。
 猟兵達の事を新しいご主人様だと勘違いしている少女の頭を撫でながら、モルツクルスは前途の多難さを噛み締めた。

成功 🔵​🔵​🔴​


 【文化】が2上がった!
 村スキル『製紙』を覚えた!
ニュイ・ルミエール
はわぁ久しぶりにこの村に来たのっ

【ミニスラ浄化槽】
手洗いうがい、洗濯にお風呂
衛生って概念
A&Wには余りないかな?
お医者さんじゃないけど診療所に遊びに行ってるから少しは詳しいのっ

淀んだ水には目に見えない小さなモンスターさんがうようよ
だから飲んじゃメッなの!

UDCみたく蛇口を開けば水が出る…のは無理だけど

マングローブ林の水でも村に引いて溜池作り
にゅいの分裂体を数匹落としておけば
数分で飲水に早変わりなのっ

他に
【怪力、救命活動、グラップル、世界知識、学習力】

水汲みや洗濯の手伝い

毎日の重労働が少しでも楽になればいいなっ

ミニスラが村に受けいられるように皆で頑張るの

ちなみに果物とかあげれば一層仕事に励むはず



(手洗いうがい、洗濯にお風呂…衛生って概念A&Wには余りないかな?)
 などと考えていたニュイ・ルミエールであったが、その考えは間違っていた…正直に言って余りないどころの騒ぎではないのだ。
 洗濯や川で行い、お風呂も川で水浴びし…そして生活における廃棄物も川に流れていく…それには残念ながら排泄物も含まれる。
 地域によっては差異もあるだろうが、これがアックス&ウィザーズの文化水準、即ち中世ヨーロッパレベルなのだ。
 UDCアースの過去の中世ヨーロッパなど、地域によってはもっと酷い、窓からポーイしていた地域もあるのだ、かのヴェルサイユ宮殿も一時期はウ○コまみれだったと言う逸話もあるぐらいなのである。

「こ、こ、こ、こんなの絶対にダメなのーーー!!」
 ニュイは驚愕した、生水をそのまま飲むとか、そういうレベルじゃない衛生環境に。
 ニュイはドン引きした、なまじ診療所でUDCアースの日本基準の確りした衛生環境に慣れてしまっていただけに。

「淀んだ水には目に見えない小さなモンスターさんがうようよ、だから飲んじゃメッなの!」
 川でそのモンスターを量産している村人達を叱りつけ、ニュイの衛生教育が始まった…前途は多難だ、文化レベルの違いとは度し難いものであるが…

「こうやって、この子を水に入れておくと、どんどん水がキレイになるの」
「おお、凄いよお嬢ちゃん、なんて凄い子達なんだ!」
 流石の村人達も飲み水は多少気を使っていたらしく、それだけは井戸水などを使用していたので…水を綺麗にするミニスライム達は絶賛と共に受け入れてくれた。
「マングローブの森から水を弾いてきた、この子達が住む溜池を作るの、そうすれば綺麗な水がいつでも使えるの!」
「そいつは有難い、早速作業に取り掛かるぞ!」
 ニュイの目的であった『ミニスライム浄化槽』はこうして村人達に受け入れられ、村の衛生状態も改善されたであろう…だが、ニュイの表情は暗い…。

「取り敢えず…取り敢えず…垂れ流しは宜しくないの…」
 ミニスライムにオリーブの実を与えながらも、遠くの空を眺めるニュイ…そう、飲み水が綺麗になった、まだそれだけしか改善していないのだ!
 頑張れニュイ!、負けるなニュイ!、このまま衛生観念が成熟しないと村の中がウ○コまみれになるかもしれないからマジで頑張るのだ!

成功 🔵​🔵​🔴​


【文化】が2上がった
村スキル『ミニスラ浄化槽』、『衛生Lv1』を覚えた
敷島・初瀬
 【防衛】
「待たせたな、泣いたり笑ったり出来なくなる程しごき上げてやるであります!」
元山賊達の前に汚物を焼いた時の笑顔で再び現れるであります。

元山賊や暇な村人を集めて自警団を組織し、海兵隊の鬼教官のような罵詈雑言(多分ほとんど伏字かモザイクが掛かるであります)と訓練(ひたすら土嚢を作らされたり、ぶっ倒れるまで走らされたり)で立派な海兵ではなく自警団に鍛え上げるであります。

訓練の傍ら村に見張り台を立てたり周囲に土嚢を積んで襲撃に備えるであります。

「猟兵の中でも土嚢作りで自分に勝てる奴はいないであります!」

(アドリブ、他の人との絡み大歓迎です) 


トリテレイア・ゼロナイン
【防衛】

さて、村の開拓と行きたいところですが、兎にも角にも防衛力の強化が急務ですね。猟兵が常駐するわけでものなし、ある程度のモンスターには自力で対応してもらわなくては。

自警団を編成するために、彼らの宿舎を建設しましょう。訓練、戦闘をして疲れ切った身体を癒すためには温かい食事と寝床が不可欠です。
厳しい訓練だけでは士気が低下したり、脱走したりとあまりよろしくありません。自警団の方々にはこの開拓村を守るという「誇り」を養っていただかなくては。彼らも建設に積極的に参加させ、「自分達の手による成功体験」を覚えさせます。
「世界知識」を使った基本的な戦闘講習も行いますが、まずは自信をつけさせることを目標に



「待たせたな、泣いたり笑ったり出来なくなる程しごき上げてやるであります!」
「「「いやああああああああああぁぁっ!!?」」」
 元山賊達はヒューレイオンを呪った、なぜこの悪魔を仕留めてくれなかったのかと…ヒューレイオンも必死に頑張ったんだけど、無理だったんだ、ごめんね。
「誰が喋っていいと言ったでありますか!」
「ぷぎゃあっ!?」
 敷島・初瀬、何も知らない者が見れば笑顔が可愛い幼女だが…元山賊達は知っている、この鬼はこの笑顔で仲間達を焼いていった事を…笑顔とは攻撃的なものである。

「今日から、お前ら元汚物と村の有志を集い自警団を結成するであります!」
 そこには元山賊の他に、この村唯一の警備兵であったウォールと言う若者と、他10名程度の体力自慢の若者達が集っていた。
「貴様ら雌豚共が自分の訓練に生き残れたら、各人が兵器となるであります!戦争にヒャッハーを捧げる死のモヒカンであります!」
 山賊も村の若者も牝豚呼ばわりしながら、敷島は言う。
 なお、この時『モヒカンにはなりたくないのですが』…と正論という名のクソを口から出したウォール君はココナッツクラッシャーを受け悶絶した、正論でも上官に対しての口答えはダメなのである。 

「その日までは汚物であります!この世界で最下等の生命体であります!、貴様らは人間ではない、軟体動物の糞をかき集めた値打ちしかないであります!」
 酷い言われ様であるが、反論は出ない…ウォール君の犠牲を持って各人がこの状況のノリを理解したからである。

「貴様らは厳しい自分を嫌う。だが憎めば、それだけ学ぶであります!」
 いや、むしろ嫌いを通り越して恐怖になっているんですが…と、元山賊達は思ったが口には出せない、出したら額から血をダラダラ流しているウォール君の二の舞だ。

「自分は厳しいが公平であります、差別は許さんであります。元山賊、元汚物、村人、田中さんを、自分は見下さんであります。すべて、平等に価値が“ない”であります!」
 まって、田中さん誰と突っ込んでしまったウォール君には鼻血もプレゼントされた、学習能力は高くないようである。

「自分の使命は役立たずを刈り取ることであります、愛する自警団の害虫を!分かったでありますか、ウジ虫!」
「「「サ、サーイエッサー!!」」」
 こうして、この開拓地に自警団が設立されたのであった。

 そして…地獄が始まった!
「先ずは基礎体力あります、装備を背負って走り込むでありますよ!」
 重装備を背負いながらの走り込みは、早朝から始まり…終わる頃には全員の足がガクガクと震えて立てなくなってしまうありさま…だが、これは準備運動にしか過ぎない。

「猟兵の中でも土嚢作りで自分に勝てる奴はいないであります!」
 敷島が重点的に教え込むのは『土嚢』である、土嚢は積み上げれば弾丸を防ぐ防壁にもなり、土木建築に置いても様々な用途がある…
 他の猟兵も様々な建設を行う際の労力と訓練をかね、走り込み後の自警団達は休むまもなく、様々な現場で土を掘り、土嚢をつくる…その作業が延々と続くのだ。
「………」「……」
「…皆、あと少しだ…がんばれ…」
 もう、みんな死んだ目をしている…敷島の宣言通り、泣いたり笑ったりする余裕すらない疲労困憊ぶりだ…唯一ウォール君だけが、皆に激励の言葉をつぶやく程度に唱えるだけだった。

「お疲れ様です、皆様…皆様の宿舎はまだ建設中ですが、温かい食事を用意しておきましたよ」
「おお、おお…ありがたい、トリテレイア殿…」
「めし、飯だ…く、食えるか…」
「食えるかじゃない、食うんだ…食わないと明日持たないぞ…」
 そんな疲れ切った自警団を迎え入れるのは、ウォーマシンの騎士トリテレイア…敷島による過酷な訓練が行われるであろうと予測した彼は、彼らの安息の地である宿舎を建設し、食事なども用意しておいたのだ。
「よくぞあのシゴキをやりとげましたね、感服いたしました」
 そして、トリテレイアは褒める、徹底的に罵倒した敷島とは対照的だ…自警団に『誇り』を持って貰う為に、この様な地獄を乗り越えたという自信を持ってもらるために…これがトリテレイアの目標である。

「一応、戦術の講習などの用意もありましたが、流石に無理そうですね」
「か、勘弁してくれ…」
「Zzz…」
「うっ、また今度で…」
 世界知識を駆使し調べ上げた、この世界の技術水準に見合った基礎戦術…それの講習も用意していたが、流石に隊員達の体力が持たない…そう判断した時に…

「いえ、私は受けたいです、お願いいたします」
「ウォール様?、ですが明らかにオーバーワーク、休む事も大事な事でございますよ?」
「大丈夫です、お願いします!」
「そこまで言うのならば…」
 連日の猛特訓、それでもウォールのみはトリテレイアの講習を最後まで受け続けた、覚えが良いとは言い難いが真面目に何度も復唱し覚えていく…彼の学習力から考えて、恐らくは自主的にも復習を行っているであろう…

「……」
「ウォール様?」
「…はっ、も、申し訳ございません!、大丈夫です続きを…」
「無理をしすぎです、何故そこまで――」
「…私は、前に他の街で守衛の任に付いてました…しかし、モンスターによって街は滅び、流浪の末にこの村へ…これまで、私は守衛としても、警備兵としても何も守れてこれなかった…この村が無事なのは皆様がいてくれたから…私は、私は無力なのです…ですので、少しでも皆を守れるようにと…」
「…なる程、ウォール様のお気持ちは理解できます…しかし、ここで終わりにします、休んでください」
「で、ですが…」
「先日、教えた事を覚えていらっしゃるでしょうか?」
「は、はい…えっと…士気の重要性と、負傷等への対処を…あ!」
「そういう事です、教えた事も、正しく実行できなければ意味がありません」
「し、失礼しました!、では休息にはい…ら……Zzz」
 とっくに限界を迎えていたウォールは気絶するように眠りにつく、そんな彼を見てトリテレイアは思う、こんな彼だからこそ何かを守れる力を身につけさせてやりたいと…誰かを守る騎士を育て上げること、これもまた騎士道なのかもしれないと。

 この後も地獄の訓練と共に自警団は様々な現場で働き、その合い間に戦術などを教わるというハードスケジュールをこなして、短期間で一端の自衛組織へと成長を遂げていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


【防衛】が4上がった
村スキル『土嚢』『基本戦術』『自警団』を獲得した。
月島・彩希
絵里香(f03667)さんと参加
中々大変でしたが無事討伐も完了、角も手に入れることが出来て良かったです
次は村の開拓のお手伝いですか

私達は【防衛】面を整えましょう
絵里香さんがUCで濠や堀を作るようですね。私は周囲を囲む柵の作成のお手伝いです
木材を氷爪刃(UC)で加工して柵用の材料へと整える
ある程度個数ができたら【怪力】と【ダッシュ】で材料を柵の設置予定地に運ぶ

濠が完成後、転落防止として氷上の舞(UC)で一時的に凍結させた後、村人達に作業を任せ、絵里香さんを探して散策
笛を演奏している絵里香さんの近く座って、静かに笛の調べを聞き入る
村人の様子を眺め、村人自身の手で村を開拓する事の大切さについて考える


神宮寺・絵里香
彩希(f12810)と参加
≪心情≫
・流石にUC4つは無理があったな。まあうまくいって何よりだが
・村の開拓ねぇ‥まあ適当に水回りをやるか
・とは言えあんまりやるのも違う気がする
 どうしてもオレじゃないと出来ないとこはやるが、それ以外は
 住民がやるべきだ
【防衛】
・一応防衛用に濠でも作るか。UCを使って【世界知識】の基に
 作った図面の通りに底なし沼を作って濠とする。
・それに木材で作った塀と落下防止用の柵でも作ればそれなりに
 耐えられるだろう
・作業中は転落防止のために『水神権限』で凍らせておく
・それが終わったら適当な木にでも登って楽神 伏羲をフルートに
 変化させ【パフォーマンス】と【楽器演奏】で演奏


トリガー・シックス
【SPD】
【防衛】

「設計図を引くのもいいが、まずは防衛に必要な施設の話し合いだな」
見張り用の建物および防壁が必要になるだろう。
防壁の材料は木材では不安を感じる。燃やされては意味をなさない。
『最後の願望』でリヴェンを呼び出し、防壁の素材を探してみる。
大岩があれば加工して防壁の役に立つだろう。陶芸に使われるような粘土もあればいいが。
見つけたらリヴェンのサイキック能力で運び、村で加工しよう。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


空雷・闘真
「途中からだが、面白そうな依頼があると聞いて来た」

闘真が担当したのは【防衛】で、防壁を作る仕事だ。
己の【怪力】なら、木材を運ぶなど造作もないだろうと闘真は考えた。

一方で、闘真は地面にも目を光らせる。
地盤が固過ぎても木材が通らないし、柔らか過ぎても木材が傾いてしまう。
防壁に適した地面を、≪心眼≫【見切り】【野生の勘】【第六感】で見極めようとしているのだ。

そして丁度良い地面を見つけ次第、闘真は己の拳を【武器】にした【グラウンドクラッシャー】を地面に向けて放ち、木材を挿し込む穴を作るつもりだった。

「戦場で村を復興させようとする非戦闘員達を幾度も見てきたが…たまには奴らの真似事をするのも悪くはない」


レイチェル・ケイトリン
【防衛】
「直感を信じて、とにかく手を動かして作る」

わたしの念動力でサイコキネシスつかっていそいで簡単な壁とかつくって村のひとたちを敵や風の寒さからまもるよ。
いらなくなったらこわしたっていい。
みためなんてどうでもいいから。
土の壁でもいいんだもの。

できたら、こんどはほかの猟兵さんたちのおてつだい。

土を掘ったり、ならしたり、高くもちあげたり、いろいろ運んだり、岩とかくだいたり、おっきな力仕事をどんどんわたしがひきうけて、ていねいなこととかをがんばれるようにするの。

わたしはショベルカーで、ブルドーザーで、クレーン車で、トラックで、ダイナマイトだけどわたしはひとりだからみんなと相談しながらがんばるよっ!


ユキノ・サーメッティア
まずは安心のために防衛力の強化だろうかにゃー?

資材は…木材が潤沢でそれ以外にはなさそうだけど
柵っていうか、防壁でも作りましょうかね
ホントは石材で作りたいところではあるけど、
木製とはいえ、有るのと無いのじゃ安心感も違うだろうしね

防壁だし、火の対策もしておきたいところだけど、
断熱の仕方なんてわからないし、骨組みってことにして
近場から土取ってきて塗りたくろうかね

スカイステッパーで文字通り、飛び跳ねながら作業してるかー

ああ、そうだ、周辺の【情報収集】しておこうかな
なにか素材になりそうな物とか、脅威になりそうなのとか
調べておこうかにゃー?



「なる程、濠か…しかし、防壁を支える地盤は強化せねばならんぞ」
「そうだな…こっちは軽い柵と塀ぐらいで考えていたんだが…」
「濠の防衛力は認めるが、やはり防壁が塀程度ではモンスター相手に不安が有る」
「そうなると、木材だけでは無理ですね…石や粘土、他の資材が…」
 モンスター多発地帯にある開拓村だけあってか、先ずは防衛を考える猟兵が多かった、神宮寺と月島は最初、【白蛇神域】で底なし沼を作り出、濠で村を囲い、その周りに柵や塀を立てる防壁を想定していたが、他の猟兵が基礎から組み上げるより頑丈な防壁を作り出そうとしていた。
 その為、防壁に着手する猟兵達は話し合いながら、完成形の図面を描いていく…。

「ただいまにゃ~、トリガーさん、言ってた場所見つかったよ~」
「岩山が付近にあったか、ならば石切場に出来るな…これで防壁が丈夫になる」
「トリガーさん、粘土もみつかったよ」
「よし、これで素材は揃ったな」
 トリガーは周囲を探索すると言っていたユキノに大岩の探索を依頼し、大岩どころか岩山が発見された、これなら石材も確保できれであろう。
 また、レイチェルの【サイコキネシス】で周辺の土を掘り返しながら、粘土も探していたがコレも無事に見つかったようだ。
 流石は豊富な資源があると言われらた土地だけはあると言わんばかりに、探せば一般的な素材はあるようだ。

「よし、素材あるならば、先ずは村を囲う様に穴を掘り、底なし沼に侵食されるぬ様に石と粘土で補強した後に内側に防壁を建築、外側は底なし沼の濠と柵で囲もう」
「私達は当初の予定通り沼と柵ですね…ですけど、そっちの方が大工事です、防壁の方も手伝います」
「なんか村の規模にあっていない気もするが…環境が環境だけに仕方がないな」
「粘土や石材は私が運ぶにゃ~」
「ユキノさん、近くまで持ってきてくれたら、わたしが分配する、わたしはショベルカーで、ブルドーザーで、クレーン車で、トラックで、ダイナマイト…念動力の範囲内だったらいろいろできる、みんな、うまく使って」
 無事、素材が見つかり…計画の中でも最も大規模な防壁の案が実行される、しかし猟兵にかかればそんな大工事も不可能ではないだろう。
 神宮寺は村の開拓を余り猟兵達がやり過ぎるのはどうか…自分達でなければ無理なこと以外は、あくまで村の者にやらせるべきだと言うスタンスではあるが…防衛に関して言えば、一般人では厳しすぎる環境ではあるので仕方がないと、多少はやりすぎる事に決めたようだ。

「穴は俺の拳で大雑把に砕いてやろう、細かい作業は自警団の訓練に使わせてやる…土嚢もアレはアレで便利なものだしな」
「ああ、土嚢は良い…防壁が壊された場合の補修にも使えるしな」
「水路のせき止めや、治水工事全般にもつかえるからな」
 土嚢、それは戦場傭兵達には割とお馴染みの便利グッズ、仮拠点を設営するのに何度もお世話になるし、仮補修も手早くできる優れものだと、ウンウンと頷く、序でに巫女もうんうんと頷く人格が戦場に居るタイプだからであろうか?

 ――翌朝。
「ほう、お前達が自警団とやらか」
「さ、サーイエッサー!!!」
 元山賊を含む自警団の面々は空雷・闘真に声をかけられた瞬間、最敬礼で即座に返答を返した。
(え、何!?、すげー怖そうな人が増えてるんですけど!?)
(ひぃ、軍曹の上官も居るぞ、やべぇ、やべぇよ!!)
 今回から参加した闘真は元山賊を含める自警団の面々とは初顔合わせだが、見ただけで分かる…恐怖の対象である鬼軍曹と神宮寺は、見た目こそ小さな少女と女性である、しかし、闘真は違う。
 見るからにヤバイ、筋肉がヤバイ、顔も怖い…仮に猟兵の一人だと知らなくても、あったら絶対に目を逸らす迫力…元山賊の反抗の意思はますます折れていった…そんな時。

「では、俺が取り敢えず掘っていくから、お前達は余分な土を土嚢に詰め、穴を綺麗に整えていけ」
「は、はい…あの空雷殿…シャベルは?」
「いらん」
 闘真は自警団の隊長がシャベルを渡そうとするのを言葉で制し、己の拳で【グラウンドクラッシャー】を発動、まるで唐竹割りの要領で地面が深さ3m程度に割れる。
「ひぃぃぃっ!?」
「騒いでないで、とっとと作業を始めろ、闘真…この辺りの地盤でいいのか?」
「ああ、その辺りが丈夫な地盤になっている、支柱を立ててくれ」
「おうよ」
 闘真の支持の位置に神宮寺が丸太のような…と言うより丸太そのものをサックリと地面に打ち込む…特に道具など使わずにサックリとだ。
「レイチェルさん、これよろしくにゃ~」
「ありがとう、ユキノさん…はい、あたらしい石材」
「あ、自警団の皆さん、早めに整地をお願いします」
 どう見ても童女にしか見えないユキノ・サーメッティアさん9歳が、空中を軽やかにはねながら石材を…ここにいる自警団の誰もが持ち上げられなさそうな量を持ってくる、それを見えない力で軽々と運ぶレイチェル、受け取った月島も恐ろしい速度でダッシュしながら、その石材で掘った穴を補強していく。

「闘真、済まないがユキノだけでは運搬が間に合わん…穴掘りが終わったらこっちに来てもらえんか?」
 石切り場で石材の切り出しをやっていたトリガーが、粘土と石材、その両方の運搬をユキノだけにやらせるのは難しいからと…偉く鋭利に切り取られた大岩を担ぎながらやってくる…鋭利なのも当然…トリガーは刀で石を斬って切り出しているのだ。

「了解した、ふ…たまには非戦闘員の真似事もいいもんだな」
(こんな非戦闘員が居てたまるか~~っ!?)
 自警団の面々は闘真の言葉にツッコミたかった、がグッとこらえて黙った、何故なら怖かったからだ…それと…
「み、みんな!、やばいぞ我々の作業だけが遅れている!!」
「て、手を動かせ、軍曹に何言われるか分からんぞぉ!!?」
 超人集団の猟兵達の中に混じって作業する彼等が大変である、どんなに必死に頑張っても猟兵のペースに付いていけるわけがない。
 実際のところ、この場にいる猟兵もそれは分かっているのだが、彼等の教官である猟兵が鬼な上に、こんな光景を見せられては怒られるのが怖くて仕方がない。
 自警団の皆は死力を尽くし、一般人の限界を何度か超えそうになるほどペース出て作業を進めていったのだ。

「ほう、なかなか頑張るな…では、リヴェンも加えて作業ペースを上げても良さそうだ」
「「「え?」」」
 そんな中、トリガーが無慈悲な判断を下す…ユーベルコード【最後の願い】を発動し亡き恋人『リヴェン』の霊を召喚し、そのサイコキネシス能力でレイチェルの作業の補助を行い始めたのだ。
「トリガーさん、流石に無茶じゃないかにゃ~?」
「限界と修羅場は早い内に、安全な内に経験しておいたほうがいい…これも経験だ」
「そうだな、俺も少しペースを上げるとしよう」
「まぁ、別に死ぬ様な事をさせるわけじゃないしな」
 トリガーの意見に賛同して、闘真、神宮寺も作業速度を早め始める。
(お願いだからもう少しゆっくりしてください!)
 トリガーの【最後の願い】は発動したが、一般人である彼等の最後の願いは発動しなかった…作業はペースを上げて順調に進んでいき、自警団も順調に目からハイライトが消えていった。

 ――そして、数日後。
「これで、だいたい完成かな?」
「うむ、塗りこんだ粘土が乾いてから、神宮寺の【白蛇神域】で周りを沼で囲えば完成だ」
「粘土が乾くまでは下手に何もしない方がいい…」
 地上5m、地下3mの石材と粘土によって補強さてた防壁が村を囲うように建設されていた…如何に小さな村であったとしても、流石は猟兵としか言い様がないスピードでの大工事だった。
 なお、この工事に一般人なのに付き合わされた自警団は、全員地面に転がっている…もう、立ち上がる気力すらなさそうだ。
「となると、今日は休みだな…こんな時ぐらい一杯やるのも悪くはないか?」
「少し早いが建設祝いか、まぁ…奴らも頑張ったしやぶさかではないな」
「「「酒!?」」」
「お酒と聞いてふっかつした、ほんとうに一般人かにゃー?」
「これぐらいの逞しさがないと、これからここではやっていけんさ」
 ほぼ完成した防壁の建設祝いにと、猟兵達がこっそり持ち込んだお酒が村の皆に振舞われ、この日は村全体で宴会となった。
 他の作業にしていた猟兵も、他の建設をしていた猟兵も、この日は作業を休憩し、この村で、ささやかながらも初めてのお祭りが開催されたのだ。

 宴も終わり、皆が寝静まる夜…自警団がまだ未熟なため、周辺警戒の警備を交代制で行っている猟兵達…。
 今夜の後半の当番である月島はまだ眠い眼をこすりながら、前半の当番である神宮寺と交代をするべく起床する。
「ん…、まだ少し早いみたいですけど…」
 時間は少し早いが、交代までお喋りでもしていれば良いかと、月島は起き上がって神宮寺を探し始める。

(あれ?、笛の音…?)
 神宮寺を探し、村の外に出ると…聞こえるのはフルートの音色、木の上に立ち、神宮寺が『楽神 伏羲』をフルートに変えて、一曲奏でていたのだ。
(警戒は…してないわけじゃないみたい)
 美しい笛の音を奏でながらも、神宮寺の意識は周辺に向いている。と言うよりも、この演奏自体が周辺に意識を広げさせる『儀式』の様な物かも知れない…月島はそう感じた。
(まるで、自然に溶け込むような、一体となるような…)
 気が付けば月島はその笛の音に耳を傾け、神宮寺が演奏する姿を座って眺めていた…こちらに気がついては居るようだが、交代時間まで時間もあるからか反応はしない。
(だったら、このまま聞かせてもらいましょう…)
 月島は、このままじっくりと演奏を楽しもうと思い、目を閉じる…思い返すのは今までの作業。
 私達はあくまでも外来人、この世界のこの村は、村人達の手で行われるべき、過剰な手助けは村人を堕落させる要因にもなるだろう…神宮寺とそう言う話をしたが、随分と派手な防壁を立ててしまったものだなぁ…と。
 しかし、村人達が怠けてていたわけじゃ無かった、闘真さんやトリガーさんも自警団の人達に無茶をさせたのも、その辺を心配したからかなぁ?
 などと、考えながら空を見上げるば丸い月…、満月の明るい月明かりに照らされながら一夜の演奏会は続いていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​


【防衛】が10上がった
村スキル:『防壁Lv3』『濠Lv2』『逆境』を獲得した。
エルーゼ・フーシェン
【POW】
【経済】

「色々と植えてみようかな」
まずは畑を耕すところからよね。野菜以外にも果物の木とかも植えてみよう!
角のほうも魔導技術で引き出せるみたいなら試してみよう。
地面に角を突き立ててから魔力を流し込んでみるわ。少しだけね。
うまくいけば、豊作になるかも。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


メタ・フレン
面白そうな依頼じゃないですか。
まるでSLGでもしてる気分になりますね。

私は【経済】というか、農業を担当します。
腹が減っては戦は出来ぬと言いますし、まず食料確保ですよ。
『ヒューレイオンの角』なんてレアアイテムもあることですし。

まず≪地縛鎖≫【情報収集】で、農耕に適した場所を探します。

農地を見つけたら【エレクトロレギオン】で、農業用に改造した小型兵器115体を召喚。
車輪をトラクターのようにした50体に畑を耕させ、銃砲部から作物の種を出す40体に種蒔き、冷却用の水を垂れ流す25体に水撒きをさせます。

一々指示しなくて済むよう【暗号作成】でプログラミングして、自動で効率良く動けるよう設定しておきますね。



「腹が減っては戦は出来ぬと言いますし、まず食料確保ですよ」
 まるでSLGでもしているみたいだと、興味を持ってこの仕事に飛び込んだメタ・フレンは手始めに農業から取り掛かった。
「この辺りが開梱予定地ですね…では」
 メタ・フレンは開梱予定地に着くなり、ユーベルコード【エレクトロレギオン】で小型の機械兵器を115体召喚し、各々に役割を与えて耕作を開始した。

「へぇ、戦闘以外でも使えるのね」
「機械兵器って言っても、装備の換装や使い方を変えれば応用が効くのですよ」
 メタ・フレンは敢えて汎用のユーベルコードに拘り、それの応用でどこまでやれるかを模索する変わり者の猟兵…しかし、その応用力は見事なものだと、エルーゼは感心した。
 耕作用の物に換えることで土を耕す事が可能となった機械兵器の車輪、銃の威力を抑え、空圧だけで種を射出される事により可能となった種植え、そして冷却水を利用した水まき…115体の機械兵器を巧みに扱い、凄まじいペースで畑が作られていく。

「よしよし、良いデータがとれました…さて、これを元にプログラムを新たに構築させて、より効率的に自動化を…」
「汎用の機械兵器を器用に使うのね…あ、リンゴの苗木の入荷が届いたみたいだから…あの辺りは耕さないで、リンゴを植えたいわ」
「あ、リンゴですか、良いですね~、小麦も植えたしアップルパイ…は、砂糖とか必要ですね」
「うーん、サトウキビはちょっと見つからないかな?」
「ヒューレイオンの角があれば、多少なら気候が育てられそうですが…この辺りの気候なら『甜菜』の方が良さそうですね」
「てんさい…あるのかしら?、この世界に…」
「割とUDCアースと同じ様な植物が生えてますから、探せばありそうですけど…砂糖の値を見ると、まだ知られてはいないみたいですね」
 メタ・フレンの言うように、このアックス&ウィザーズではまだまだ砂糖は貴重品、それ故にサトウキビは知られているだろうが、寒い気候でも育てられる『甜菜』はまだ知られていない可能性が高い。

「うーん、調味料なんかは買うしかないかな~」
「この辺りの気候は、UDCアースの日本、特に本州と呼ばれる地域に近いようですからね…サトウキビも香辛料も育てるのは難しそうです、育てられたら儲かりそうなのですけど」
 中世において高級な作物の代表格である『香辛料』…もっとも、適した気候にある街では普通に買えるであろうが、如何せん、まだまだ流通など発達していない世界、この辺りでは砂糖を含め、調味料は比較的貴重品だと言えるであろう。

「ヒューレイオンの角をもっとうまく使えればいけるかな?」
「かも知れないですね、マングローブは熱帯地域に多い植物ですし…それを生やしたヒューレイオンの魔力が染み付いている訳ですし…そう言えば、何か分かりました?」
 エルーゼは『ヒューレイオンの角』をもっとうまく使えないかと、色々と調べていた…マジックナイトとして色々な属性の魔力を角に流してみたりなど試した結果。

「【トリニティ・エンハンス】で水の魔力を流すと効果が上がるみたいね…ほら!」
 水の魔力をたたえ、碧い魔力の光が灯るヒューレイオンの角を地面に突き立てれば、村長がやった時よりも広範囲に成長促進の効果が現れる。
「おお、良いですね【トリニティ・エンハンス】!、流す魔力によっていろいろな応用が利きそうですよ」
「え、そっち!?…ま、まぁ、私も良くお世話になるユーベルコードだけど…」
 エルーゼの調査によって、『ヒューレイオンの角』は水の魔力を受けると効果が増幅する事が判明した。
 【トリニティ・エンハンス】で流せる三つの属性以外ではどうか?、他のアプローチで性能を引き出す事が出来るのか?、このアイテムの研究はまだ先がありそうである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


・【経済】が4上がった
・村スキル『農業Lv2』『リンゴ』『小麦』を獲得した。
黒川・闇慈
「開拓……開拓ですか。ふーむ、テレビ番組でしか見たことがないですねえ」

【行動】
wizで行動です。
ここは一つ、大きめの集会所を建物として作ってはいかがでしょうか。
集会の場所として使えるのはもちろんですが、ある程度頑丈にしておけばいざという時に村人達の避難所にもなりますし。
あまり複雑にしてもなんですし、まずは一階建ての集会所を作り、必要に応じて増築していけばいいでしょう。増築のベースにふさわしいよう、基礎や柱はしっかりとしたものを用いましょう。

「ふう……こういうの日曜のバラエティ番組でやってましたねえ。クックック」

【組み合わせ・アドリブ歓迎】



「村の中心となる集会場を作りましょう」
「集会場ですか、なるほど、早速取り掛かりましょう!」
 黒川が村長に向かって提案をするとあっさりと承諾、村の若い衆があつまり早速作業が始まった。

(あの魔術師様が言うのじゃ…きっと、物凄いプランがあるに違いないのぉ~)
 と、村長は考える…この世界において魔術師とは頭の良いジョブの代表格、あれだけの大魔法を駆使する黒川はきっと大賢者とも呼べる人に違いない。――と、村長は考えていた。

(開拓……開拓ですか。ふーむ、テレビ番組でしか見たことがないですねえ)
 が、黒川的にはこのノリで出した指示であり、日曜日のバラエティ番組で確かこんな事をやっていた…程度の事しか考えていなかったのだ。

「集会の場所として使えるのはもちろんですが、ある程度頑丈にしておけばいざという時に村人達の避難所にもなりますし」
「おお!、確かにそういう場所があれば安心ですぞ!」
「あまり複雑にしてもなんですし、まずは一階建ての集会所を作り、必要に応じて増築していけばいいでしょう」
「確かに、今は防壁の大工事中でそこまでの人手は確保できませんね」
「ただし…増築のベースにふさわしいよう、基礎や柱はしっかりとしたものを用いましょう」
「なるほど…あ!、そしてその頑丈さが避難所としても機能する…今の安全と将来の発展を同時に満たすアイデア…流石は魔術師様です!」
 しかし、そんなノリでも黒川の頭脳は冴えている、バラエティ番組を参考にした割に実用的な案をスラスラと出してくるのだ。
 そして、そんなノリを知らない村の若い衆は必要以上に黒川の知性を褒めたたえ、物凄い尊敬の眼差しを向けてくるのだ。

「クックック…(バラエティ番組の筈が何かコントみたいになってませんかね?)」
「おお、あの含み笑い…きっともっと深い考えが…」
「魔術師様の知恵にかかれば、この開拓は成功したも同然!、皆、魔術師様の指示に従うのじゃ!」
 割と軽い気持ちで始めたのに、村人達がやたらとヨイショしてくるので…黒川は取り敢えず笑って誤魔化した、今、何を言っても良い方に曲解されそうだし。

「魔術師様、完成しました!…完成しましたが…」
「クックック…見事なまでに『豆腐』ですね」
 徹底的に頑丈に、そして後々増築するために可能な限りシンプルな形で建てられた集会場の姿…それは、とあるゲームで通称『豆腐建築』と呼ばれる建物に酷似していた…早い話が、長方形である、まごう事なき四角形だ。
「『豆腐』とは一体…ま、まさか、すごい魔術的な意味が!!?」
「クックック…いや、無いです…単に後々増築がしやすいだけです」
 こうして、開拓村の中心にとても頑丈な四角形の建物『集会場』が誕生した…見た目こそ初心者が立てた最初の家みたいな形だが、避難所としては機能するであろう。

成功 🔵​🔵​🔴​


・【文化】が2上がった
・村スキル:『集会場』『避難所』を獲得した。
ティエル・ティエリエル
【防衛】
「ねぇねぇ、すっごく大きな物見やぐら作ろうよ!」

まだまだ危険も多い開拓村。
何か危ないモンスターが近づいてこないか監視できるように物見やぐらを作らないかって提案するよ!
平時は村の皆や旅行者にも解放しておいて展望台としても使ってもらえるといいかも☆
村の名物になるくらいおっきなの作れるといいな♪

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


ゼット・ドラグ
「敵に対する備えは重要!要塞は無理でも役に立つものは色々作れるぞ!」
戦闘狂と装備品の作成技術が合わさり、【防衛】拠点が生まれる!
まずは大量の木材を使い、物見やぐらを建てる!
そして追い木材で、弓と矢を作る!
最後に弓矢を使用した弓術を村人に教え、モンスターをやぐらから攻撃したり、動物を狩猟して食料を得られるように鍛える。
とりあえず、今回はここまで!



「敵に対する備えは重要!要塞は無理でも役に立つものは色々作れるぞ!」
「ねぇねぇ、すっごく大きな物見やぐら作ろうよ!」
「おう!、索敵は防衛の基本、防衛の拠点ともなるしな!」
「それにそれに、平時は村の皆や旅行者にも解放しておいて展望台としても使ってもらえるといいかも☆」
「なるほど、だったらデカイやつが必要だな!」
「うんうん、村の名物になるくらいおっきなの作れるといいな♪」
「大丈夫だ、木材は大量に余っている、これならドデカイのが行けるぜ!」
「やったー☆、デッカイは正義だよ!」
「よし、ジャスティスを実行するぞ!」
 物見櫓を作ろうと言う案が一致した二人、元々テンションが高いティエルと、物作りでテンションが上がっているゼットはノリノリで物見櫓の建築を始めた。

「お前ら出撃だ!一気に攻めるぞ!」
 ゼットはユーベルコード【ワンダレイ機械化歩兵部隊】を発動、巨人戦でも使った、ワンダレイに搭載されているロボット達を召喚した。
 今度の装備は完全に大工仕様…ゼットは今、機械化土木ロボット部隊の親方と化したのだ!
「よーし、それじゃ基礎工事からだ、高い建物は基礎をしっかり造らんとな!」
「穴掘りはロボットさん達にお願いね、私はどうしようかなぁ?」
「ティエルは空を飛べるからな、空から見て指示をくれ…図面通り組んでるつもりで、傾いてたりすると治すのが大変だしな」
「らじゃーだよ!」
 こうして、物見櫓の建築が始まった…土木ロボット総勢100機の数の力は凄まじく、確りとした基礎工事もあっという間に終わって、いよいよ物見櫓が組みあ上がっていく。

「あ~、そこはもっと右だね、あとちょっと…うん、そこ!」
「あいよ、うっし、組み立てるぞお前ら!」
 空中戦を得意とするティエルの空間把握能力も見事なもので、ティエルの指示により物見櫓は寸分の狂いもなく、真っ直ぐに組み立てられていく。
 ティエルとゼット、二人のテンションに応じるが如く、物見櫓は日に日に高く組みあがっていき、村からかなり離れた場所からでも見える程の高さにまで組みあがったのだ。

「よーし、更に防衛力を上げていくぜ!」
 物見櫓が完成してもゼットのテンションは収まらない、櫓が出来たのなら次は弓兵だ、高低差を活かした射撃攻撃は防衛の要なのである。
「よーし、お前ら、量産を始めるぞ!」
 先ずは弓矢を作成、巨人から得た木材がまだまだ一杯あるため…村人全員分の弓と大量の矢を機械化木工職人ロボット部隊で量産する。
 特に矢は訓練にも使うため多めに作る、矢が尽きるのは防衛力の低下にも繋がるから余裕はあるに越したことはない。

「さぁ、弓矢の訓練を開始するぞ!」
「「「はい!」」」
「「「サーイエッサー…」」」
 疲労困憊の自警団だが、弓矢の訓練もやらせる…そして弓矢は自警団だけではなく若い衆にも…いざ、村が襲われたら彼らも戦わなければならない事態も想定できるからだ。
(弓だけでなく、弩も作れば良かったかもな…あれなら、非力な女子供でもテコの原理で弦が引ける…)
 とは言え、弩は弓よりも複雑な構造だ、自分達なら問題なく作れるが…今の村の技術じゃ村人だけでは修理も生産もできない。
「うん、まぁまぁ形にはなってきたんじゃねぇの?」
 それでも、村の者はある程度弓を使えるようにはなった、元々、弓ならばそれで狩猟をしていた者もいたので、弓兵部隊の練兵は実に順調であった。

「ねぇねぇ~、防壁も大体完成したから一杯やらないかだってさ~」
「お、酒か…ん?、だったらよ使おうぜ、この櫓を早速!」
「!!…おお!、そうだね、お祭りだよ、私達の櫓のお祭りデビューだよ!!」
 村の名物にもと、思いっきり高く組み上げた櫓…お酒が振舞われるのならば、ここを拠点にお祭りを始めちゃおう…自分達の作品を使いたいゼットとティエルによって、ちょっとした酒宴は、この村で初めてのお祭りへと変更されたのであった。

「おお~、灯りを付けると見事なもんだ」
「いや、冒険者様達が頑張ってくれたとはいえ、俺達…よくこんな物を建てられたもんだよ」
「防壁も凄いな、守りだけなら村のレベルじゃない、街かよってレベルだぜ」
 灯りがともされ、ライトアップされた物見櫓の元に村人達が集まり、猟兵達がこっそり持ち込んだ酒を片手に自分達の作業を振り返る…大変な仕事であったが、家すらなかった村が随分と立派になったもんだと、その達成感を噛み締めていた。

「お集まりのみなさ~ん、今までの仕事、本当にご苦労様!、それじゃあ、建築完了を祝して…」
「「「「カンパーイ!!」」」」
 ドヤ顔で物見櫓の上から乾杯の音頭を取るティエル、それに応じて、村人達も猟兵達も皆一斉に乾杯を始め祭りが始まる。
「へへーん、一曲いってみよ~☆」
 ティエルも祭りを盛り上げようと、『風鳴りのレイピア』で演奏を始める、本人のドヤ顔に反して優雅で上品な音楽を奏でる辺り流石はお姫様であったが…

「あはは、みんなヘタクソー☆」
 村人も、元山賊もその音楽に会いの手を入れたり、釣られてテキトーな踊りや、演奏を重ねてくるため、上品な雰囲気はぶち壊しになった。
 だけどティエルも笑っている、芸術とは程遠い、喧騒とも言える村人達の祭囃子は確かに『音楽』、ど下手くそでも音で楽しみ、楽しんで歌い踊る。
 この祭りを通して、村人も元山賊も同じ村の一員として少しだけでも仲良くなれた、そんな気がするからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月13日


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


30




種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト