●酔った勢いでのやらかし
とある霊山の一角でその儀式は行われようとしていた。
「ようやく……ハックション!! 失礼、よう……は、は、ハックション!!」
「えー、ようやくこの時を迎える事が出来ました」
口上を述べようとするもくしゃみが止まらない男性に代わり目を真っ赤に充血させて涙を零す女性が集まった協力者達に言う。
「この邪神復活儀式が成功すれば我々の願いは叶うのです」
グスっと何処かで鼻をすする音がする。別に嬉し泣きとかでは無い。ただ鼻水が止まらないだけだ。
「そう! 花粉神を復活させ、生きとし生ける全てのモノを花粉症にすると言う願いが!!」
良いぞー!! サイコー!! 素敵ー!! まるで人気アイドルのライブ会場の如く場が沸きあがりヤジが上がる。
何故ここまで盛り上がって居るのかと言うとここに集まり邪神復活の儀式を行おうとしているのは全て花粉症持ちの人達だ。毎年温かい時期になると目が痒くなり、涙や鼻水、くしゃみが止まらないと苦労している。
自分達が苦労するなんて理不尽!! 花粉症じゃない奴らが羨ましい!! いや、恨めしい!! だったらみーんな、花粉症にして同じ思いを味わわせてやろうぜ!! と言うその場のノリで邪神復活の儀式を行う事が決まり、有言実行とばかりに人海戦術であっと言う間に儀式に必要な物と場所を用意して今に至る。
なお、その場と言うのはアルコール漂う居酒屋の個室で枝豆と唐揚げとレモンが飛び交う空間の事だ。勿論、その場に居た人達はアルコール摂取済である。酔っているからね。仕方ないね。いや、仕方なくない。
「それでは同志達よ。始めましょう。花粉神様を復活させるのです」
異様な盛り上がりを見せる空気もそのままに儀式開始の宣言がされた。もう一度言うがここに集まって居る人達は全員酔っているのだ。つまりは正気の人なんて居ないし止める人も居ないのである。
「って、酔った勢いで邪神復活の儀式を行おうとしているみたいなんです。迷惑ですよね」
集まった猟兵達に水神・桜(泡沫の夢・f41867)はゆるりと笑った。
とある霊験あらたかな霊山で邪神復活の儀式が行われようとしている。復活させようとしているのは花粉神。
目的は全人類を花粉症にする事。酔った勢いで始めた邪神復活の儀式だったがまさかの目的とガッチリ嚙み合った邪神が居たのだ。いや、なんで居るんだ本当。
花粉神は四季関係なく世界を花粉で満たし花粉症地獄をこの世に権限せんとしている。まさにパーフェクトマッチング。
邪神復活の儀式が行われるのはとある霊山で間違いないのだがその霊山の何処でやるかまでは分からなかったと桜は言う。幸いにも霊山に続く樹海に今回の儀式に関わった人達が居るので彼らから聞けば問題ないだろう。
「花粉神が復活すれば意気揚々とこの世を花粉症地獄にしようと動き始めるでしょう。間の悪い事にもう直ぐ花粉が飛び交う時期です。あれ? 今年は花粉症になる人多くない? って片付けられて知らない間に全人類花粉症になっていました。なんて笑えません。全人類の為にも皆さん、必ず邪神復活の儀式を阻止して下さい」
そう言って桜は霊山へと続く樹海へのゲートを開いた。
猟兵達よ!! 君達に全人類の目と鼻と喉の平穏がかかっている!! 頑張れ猟兵!! 負けるな猟兵!!
君達の活躍を期待している!!
望月朔夜
閲覧ありがとうございます。望月朔夜です。
今回は三章からなるシナリオとなります。
●第一章:冒険
樹海を突き進んで儀式の場所を探します。
儀式に協力した人達が樹海の至る所に居ますが彼らは酔い潰れたり、
気分が悪くなったりして儀式の場所まで辿り着けなかった人達です。
介抱したり、上手く言い包めれべば儀式の行われる場所まで辿り着けるでしょう。
なお、彼らももれなく花粉症持ちです。
●第二章:集団戦
ボスを守る敵との集団戦です。
●第三章:ボス戦
花粉神との戦闘です。
儀式を阻止出来ても不完全な邪神が召喚されるので倒す必要があります。
●その他
プレイングの内容によってアドリブを多用する事があります。
お連れ様と一緒に参加される場合はお互いに名前とIDの記載を願いします。
称号と苗字は無くても構いません。
アドリブ歓迎。絡み歓迎。アドリブNG。絡みNG。等。
簡単で構いませんので記載いただけると助かります。
例:アドリブ、絡み、OK→ア、絡 アドリブOK、絡みNG→ア。
記載がない場合はアドリブNG。絡みNGとして描写いたします。
サポート参加の場合は全てOKとみなし描写いたします。
第1章 冒険
『霊山の樹海』
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POW : 力を活かして樹海を進む
SPD : 素早さを活かして樹海を進む
WIZ : 知恵を活かして樹海を進む
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●樹海での探索
薄っすらと霧かかった樹海が猟兵達を出迎える。
時々聞こえてくる音は動物の声かそれとも酔っ払い達の呻き声か。
全人類花粉症計画を阻止するため。猟兵達は樹海へと足を踏み入れた。
建依・莉々
わたし、目も鼻もないから花粉症ってわかんない。でも、邪神復活には心躍る! 儀式さいこー! 召喚さいこー! てんしょん爆あげー! いぇーい!(無表情)
テンション爆上げ力任せに樹海を直進。「最前列! 儀式がぶりつく!」 協力者に会ったら「脳みそが溶け出してるんじゃないかっていうくらい涙鼻水ジョジョ漏れのJS」の姿に化け、自分も協力者だと化かして道案内させる。動けそうになければ? 歩けないなら担いでいこう力持ち! 5人くらいなら多分へーき。(無表情にどやっ)
マスターさまへ:アドリブ大歓迎、絡み大歓迎、です。よろしくお願い致します。
●
「最前列! 儀式がぶりつく!」
ヒャッハー! 新鮮な邪神復活の儀式だぜ! とばかりにテンション高く樹海を爆走するのは建依・莉々(ブラックタールのどろんバケラー・f42718)だ。
これから邪神復活の儀式があると聞いて飛んで来た! と、ばかりに樹海を駆け抜ける。テンションの高い声を上げていたがこれら全て無表情で行っていたりする。
整理されていない獣道? 視界を邪魔する立派な木の幹? 全て問題無し! 儀式を前にした莉々の前では障害にすらならない。
(「わたし、目も鼻もないから花粉症ってわかんない」)
なにせブラックタールなので目も痒くならなければ鼻水も出ない。
(「でも、邪神復活には心躍る! 儀式さいこー! 召喚さいこー! てんしょん爆あげー! いぇーい!」)
心の中で最高にテンション爆上げで盛り上がっているが傍目からは無表情で爆走している様にしか見えない。
薄く霧が立ち込める樹海で無表情のまま暴走している影。これは新たなホラーが生まれるかもしれない。
「おっと」
儀式♪ 儀式♪ 邪神の復活儀式♪ 今にも歌い出しそうな気持ちの莉々の視界に太い木の幹に背を預けて呻いている人物が映った。
駆けるスピードを下げて呻いている人物を注視すればその人物はいかにも「私は怪しい人です」と、主張する黒いローブを身に纏い顔を隠していた。
(「協力者発見!」)
何処からどう見てもまごうことなく怪しいしその姿はあからさまに協力者の一人である。間違いない。
「さっそく情報収取しないとね」
近くの木の幹に隠れて自身の姿を小学生の少女に変えて莉々は協力者に近付く。
「ずびばぜん、ぎじぎのばじょっでどごでずが?」
「ん? っておい大丈夫か? 大分ヤバいぞ!」
目から涙が止めどなく流れているせいで真っ赤に充血し、鼻からは鼻水が流れているせいで鼻声になりまともに言葉を紡げない。
そう、莉々は脳みそが溶け出してるんじゃないかっていうくらい涙鼻水ジョジョ漏れの少女へと化けたのだ。やり過ぎな気がしないでもない。
ちなみに先程の言葉は「すみません。儀式の場所って何処ですか?」である。謎解きかな?
あまりにもあまりな莉々の姿に協力者は酒に潰れて呻いていたのもなんのその。甲斐甲斐しく莉々の涙を拭き、鼻水をかがせる。案外面倒見の良い協力者であった。
「ありがとう。私も儀式の協力をしようとここまで来たんだけど道に迷って。しかも花粉症が……」
ドバっと溢れる涙に協力者は気の毒げに莉々の涙を拭う。
「くっ、こんな幼い子供まで花粉症だなんて。しかもなんて重症なんだ。ここは一刻も早く花粉神様を復活させて全ての者を花粉症にし、より高性能の薬を作って貰わなくては!!」
涙でびしょびしょに濡れたハンカチを握りしめて何やら一人で盛り上がる協力者。握られた勢いでハンカチから水滴が滴る。
「大丈夫だ君。私が案内しよう。共に花粉神様の復活を見届けようじゃないか」
ハーハハハと高笑いする協力者だったが酔いがぶり返したのかうっと呻いてまたも木の幹に寄り掛かる。先程対応出来たのは莉々の姿に驚いたからであり、つまりはショック治療と言うやつだ。多分。
「大丈夫? 歩けそう?」
「すまないね。少し休めば動けると思うが今すぐには無理そうだ」
莉々の問いに苦笑いで返す協力者だったが気付けば莉々に担がれていた。
「???」
歩けないなら担いでいこう。私って力持ち! 5人くらいなら多分へーきと無表情でドヤ顔をかます莉々。軽い感じで担ぎ上げた莉々を宇宙猫を背負って見つめる協力者。えっ、何? どゆこと?
「それでどっちに行けば良いのかな?」
「えっ、あっ、あちらです」
「分かった。道案内よろしくね」
「あっ、はい。よろしくお願いします」
無邪気に笑う莉々に最近の子、こわっ。逆らわんとこ。と、戦々恐々になりながら協力者は道案内を始めた。
これで無事に儀式の場所に辿り着く事が出来るだろう。協力者を担ぎ上げたまま儀式に思いを馳せて意気揚々と莉々は歩き出した。
大成功
🔵🔵🔵
夏霜・ルア
アドリブ諸々大歓迎
…酔った勢いとは、時に怖いものですが。
これはまた…どうしてそうなった…。
体内にいる蟇蛙(邪神)も困惑してる…。
(以上、独り言)
歩きやすい格好にはしました。とくに足元は。
さて、行きましょうか。
…………ええ、本当に至る所にいますね。これが酔った勢いの副産物。
介抱しますか。『盈月』の鞘に触れさせて元気を取り戻させ、『虧月』の鞘に触れさせて花粉症を沈静化。
さらに『弦月』で、この人たちにある『花粉症という存在・概念』を斬ります。
こうすることにより、花粉症より解き放たれますから。二度と花粉症になりたくないはずですし、場所も教えてくれるはず。
●
「……酔った勢いとは、時に怖いものですが」
生い茂る草を踏み分けて夏霜・ルア(朧・f42570)は邪神復活の儀式をしよう等と言い出した原因を思い出す。ことの原因はお酒ではあるがその場のノリと勢いもあったかもしれない。アルコールって怖いな。
「これはまた……どうしてそうなった……。体内にいる蟇蛙(邪神)も困惑してる……」
時折風に乗って聞こえてくる。「うぅ……、もう飲めない」やら「次はやらかしません」やらが哀愁を漂わせる。大丈夫か、この人達。
「…………ええ、本当に至る所にいますね。これが酔った勢いの副産物」
姿は見えずとも木々に反響して聞こえてくる声にはぁ、と溜め息を吐いてルアは歩き続ける。歩きやすい格好にしたおかげで茂みに服を引っかける事も泥濘に足を取られる事もない。まぁ、場所が場所なだけに快適とは言えないが。
「?」
協力者を探して歩き続けるルアの耳に人の声が届いた。それは時折聞こえて来る何処に居るのかも分からない人が発する声では無くて間違いなく近くに人が居るのだと感じさせる声だった。
儀式の協力者に違いない。これで儀式の場所に行く事が出来ると嬉々として駆けだしたルアであったが目の前に飛び込んで来た光景に足を止めた。
「飲みません。もう馬鹿みたいに飲みません。なんで学習しないのよ、私!! あれだけ飲めばこうなる事は分かっていたじゃない!! ああ、でもでも奢りだったのよ。奢りなら飲むしかないじゃない。だからってあんなに飲む事は無かったよね。だってあの上司が―――!!」
黒いローブを纏って顔まで隠した人物が手を付きながら地面に座り込んで太い木の幹に向かって延々と反省と言い訳を繰り返している。その光景を見たルアの目が死んだ。
ダメだ。こんな人になってはいけない。お酒を飲んでも醜態を晒さないよう絶対に自制してみせる。ルアは心の中で固く誓った。
「あの……」
「誰!?」
このまま眺めていても仕方ないとルアが協力者に声をかければ恥ずかしい姿を見られたと協力者は驚いて大きな声を上げてルアの方へ振り向いた。
「……これどうぞ」
「ありがとう……」
思わずルアはティッシュを差し出す。協力者も素直にお礼を言ってそれを受け取る。振り向いた協力者の顔はローブで目元は見えなかったが止まらない涙のせいで化粧が崩れて大変お労しい事になっていた。同じ女として放っては置けなかったのだ。
「ねぇ、ティッシュくれたついでにさ。ちょっと話を聞いてよ」
ルアに優しくされた事で警戒心の緩んだ協力者がぺらぺらと喋り出す。お前ちょろいだろ。
「さっきまで仲間内で飲んでいたんだけどさ。誰かが花粉症は辛い!! とか言い出して。そしたら、その場に居る他の人まで同調しちゃったの。笑える事にその場に居た人達全員、花粉症持ちだったのよ」
勿論私もね。ドヤっとドヤ顔をしたのをローブ越しに感じた。こいつ結構余裕じゃね?
「それで誰が言ったか自分達だけこんな辛い目にあうのは理不尽だ!! 全人類花粉症になってしまえ!! ってね?
周りの人達もそれに賛同して、それじゃ花粉の神様復活させちゃう? って事になってさ。いや、花粉の神様ってなんだよ。ってか、居るのかよって思ったんだけど。なんか細かい事はどうでも良くなちゃってさ」
アハハハと笑いながら話すがその内容は話してはダメなやつでは? ルアは訝しんだ。
「でっ、気付いたらこんな場所で呻いていたの。お酒の力でテンションが上がっていて脳が溶けていたんだよ。マジ、意味分かんない」
テンション高く笑っていたかと思えば低い声で後悔を吐露する。そうだね。お酒って怖いね。ルアは項垂れる協力者の背中を優しく撫でた。
「お酒飲み過ぎて頭痛いし気持ち悪いしで最悪なのに更に花粉症のせいで涙が止まらないとか、ツイてないにも程がある」
落ち込む協力者にルアは盈月を差し出す。
「これ触ってみて下さい。良くなると思いますので」
生命賦活の力を秘めている白き贋作神刀『盈月』。その力で花粉症の症状を鎮める事が出来るのだ。ルアの言葉に疑問符を飛ばしながらも盈月の鞘に触った協力者の驚く気配が伝わって来た。
「えっ、なにこれ!? 目の痒みが落ち着いた!! 鼻もムズムズしない!! マジ邪神(と書いて神と読む)なんだけど!!」
キャッキャッとはしゃぐ協力者にルアも微笑むと協力者に気付かれない様にそっと盈月の鯉口を切り花粉症という存在・概念を斬る。これで協力者の花粉症は治りそれを足掛けに儀式の場所まで案内して貰う。
(「二度と花粉症になりたくないはずですし、場所も教えてくれるはず」)
「あのっ」
「はー、頭はまだ痛いけど気持ちの悪さは収まったしなんだかスッキリした気分。あなたのそれってさ、アーティファクトってやつ?」
ルアの言葉に被せて協力者が意気揚々と喋り出す。
「さては……。あなたも私達のお仲間だなー? 儀式に参加しようと思って此処まで来たは良いけど樹海で迷ったんでしょ? 分かるよ。ここって方向感覚狂うもんね。スッキリさせてくれたお礼に案内するからさ、付いて来て」
一緒に花粉神様の復活を見届けよう!! そう言って歩き出す協力者。思っていたのとは違う反応ではあるが儀式の場所を教えて貰えるという事は変わらない。気持ちを切り替えてルアは協力者の姿を見失わないよう歩みを進めた。
成功
🔵🔵🔴
鳳凰院・ひりょ
ア・共・絡:〇
お酒って怖いね、まさかこんな事件に発展するなんて…
儀式の場所は道中にいる人達から聞き出す必要があるわけか
まぁ、今回の困った騒動を引き起こした張本人達なわけだけど…、今は守るべき対象、かな?
光と闇の疑似精霊、力を貸してくれ!
自身を中心とした光の波動の効果範囲内にいれば、回復効果が得られる
完全に花粉症を回復させる事は難しいかもしれないけれど、少しは軽減出来るんじゃないかな?酔って体調崩している人にも効いてくれるといいが…
俺の周りにいれば、体の負担も減っているはず
皆さん、俺にはやらねばならない事がある
それに花粉神を倒す事で、皆さんの花粉症を軽減出来る可能性もあるかも…と、ね
説得を試みる
●
「お酒って怖いね、まさかこんな事件に発展するなんて……」
生い茂る草を踏み分け、景色の変わらぬ木々の合間を抜けて鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は呟く。
背の高い木々の葉に覆われた薄暗い空間では「うぅ、気持ち悪い」「もう飲めない」との声が聞こえて来て哀愁を誘う。何故、自重出来なかったのか。
(「儀式の場所は道中にいる人達から聞き出す必要があるわけだが」)
「!?」
さて協力者達を探さなくてはと辺りを見回して聞こえて来る呻き声にさして労せず見つけられそうだと苦笑し、一歩踏み出そうとして固まる。ひりょの視線の先、幾らか開けたその場所に地面に倒れ伏す人物が居た。その人物は土に汚れ所々ほつれている黒いローブを纏っており、更に目を凝らしてよく見ればローブの袖から露出している手に血が滲んでいる。
慌ててひりょが倒れている人物、儀式の協力者に近付けば微かな呼吸音と胸が上下する様が見えて安堵する。おそらくお酒に酔った事で足元が疎かになり木にぶつかったか転んだかしたのだろう。なんと言う自業自得。
(「まぁ、今回の困った騒動を引き起こした張本人達なわけだけど…、今は守るべき対象、かな?」)
「光と闇の疑似精霊、力を貸してくれ」
光の疑似精霊を呼び出してその優しい光の波動で倒れている協力者の傷を癒す。丁度良いかもしれない。起きたら儀式が行われる場所まで案内して貰おう。
「うぅ……」
「大丈夫か?」
小さく呻いた協力者に意識を取り戻したかとひりょが声をかけた瞬間。
「我が忠誠は不滅なり!!」
先程まで意識が無かった人間とは思えない素早さでガバッと勢いよく立ち上がって右手を天高く突き上げながらハーハハハハと協力者は高らかに笑う。あまりにも素早い動き。猟兵じゃなきゃ頭突きを食らっていたね。うん、元気でよろしい。
「そこの君!! 君が俺の介抱をしてくれたのだろう。礼を言う。いやー、邪神(と書いて神と読む)様の復活と聞いて居ても立ってもいられず、俺が一番乗りだ!! と、勢いよく飛び出したのは良かったんだが、草や泥濘に足を取られて転ぶわ。ひたすら前進していたので葉っぱや枝で手を切るわ。薄暗い中でこのローブだろ? 案の定、視界が悪すぎて木に激突する始末だ。酒も入っていたからな。テンション爆上げでまだ行ける!! と判断したらそこの石に躓いて顔から地面にコケてな。今の今まで気絶していたという訳だ!!」
ハーハハハハと笑いながら何故倒れていたのかを説明する協力者。どうやらまだテンション爆上げ状態らしい。
「所で君。見た所、連れも居ないようだが何故一人でこの様な場所に?」
「ああ、それは俺にはやらねばならない事があって」
「いや、皆まで言うな。俺には分かる。一人でこんな樹海まで来たのだから君も俺達の仲間だろう? 同志たるローブを着ていないようだが何、些細な事だ。大事なのはその志!! そして行動力!! 目的地が同じなら一緒に行こうではないか!!」
それに花粉神を倒す事で、皆さんの花粉症を軽減出来る可能性もあるかも……。と続くはずだったひりょの言葉を遮って協力者は高笑いしながらバシバシとひりょの背中を叩く。こいつ人の話を聞く気が無いぞ。ああ、勘違いと早合点。まぁ、結果オーライではある。
「では行こう!! 我らが邪神様の元まで!!」
相変わらずハーハハハハと高笑いしながら協力者は儀式が行われる場所まで先導する。お酒が入っていてもいなくても、この人はこの性格なのかもしれない。元気溌剌を通り越して暴走気味な協力者に不安が顔を覗かせるも苦笑いしてひりょはその背中を追った。
成功
🔵🔵🔴
●邪神に会いたくば俺を倒せ
さわさわと葉が擦れて音を立てる。この音を人はさざ波の様なと表現するらしい。頭の葉を優しく撫でる風に幹にある目が優しく細められる。ここは何と居心地の良い場所か。さすがかの邪神復活の地に選ばれただけはある。
周りを囲むのは自分にも馴染み深い杉林。特に杉の花粉がナイス。自身も悪魔の花粉を行使できる身。何だか身近に感じちゃうなー。穏やかな風に身を任せて空を仰ぐ。
邪神復活の儀式はまだ途中。悪しき者は通すわけには行かない。儀式の邪魔をさせてはいけないのだ。軽く頷けば周りの木々も同じ動きをする。
我らの後ろには偉大な邪神を復活させる儀式が行われている。何人たりともあの洞窟に近付かせてはいけない。あっ、儀式の協力者は別ね。空想の中の敵に威嚇のポーズは取りながら彼らは静かに座す。
杉林に囲まれた霊山の一画。その場にある洞窟で行われている邪神復活の儀式を誰にも邪魔はさせないとデビルズナンバーはやし達は意気込んだ。
有坂・紗良
アドリブ絡み諸々歓迎
仕事と呼ばれて来たのはいいっスけど、こんな馬鹿げた事に巻き込まれるなんて……お酒って怖いっスねぇ
まあ最終的に撃たせてくれればなんだっていいっス、チャチャっと行くっスよ
花粉にどこまで効くかは分かんないっスけど、鼻まで覆える程度のハーフマスクとゴーグルは付けて行くっスかね
元気に倒れてる酔っ払いが居たら持ってきたペットボトルの水でも渡して介抱でもするっスかね
そのままお話でも伺って復活の儀式とやらの話でも聞ければいいんスけどね
ダメそうなら引っ叩いてでも聞いてもらうっスよ
おーい、こんな所で寝てたら花粉症より酷い目に遭うっスよー、それとも今ここで遭っとくっスか?
●
歩いても歩いても変わらない景色。背の高い木々の葉が太陽の光を遮る薄暗い空間。
「仕事と呼ばれて来たのはいいっスけど、こんな馬鹿げた事に巻き込まれるなんて……お酒って怖いっスねぇ」
近くの木の幹に手をついて小休憩しながら有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)は、足を進めようとして動きを止めた。何かが紗良の足を掴んだのだ。
薄暗い空間。変わらない景色。光が差し難いために何処か肌寒い空気。そんな場所に何かが出ないはずは無く。駆け抜けた悪寒にぶるりと背中を震わせて足元へと視線を向けた紗良は――。
「おーい、こんな所で寝てたら花粉症より酷い目に遭うっスよー、それとも今ここで遭っとくっスか?」
自分の足を掴んでいる黒いフードの人物―協力者―に声をかけた。何かが出て来そうな場所で黒いフードを被った人物に足を掴まれる。これもある意味ホラーではある。まぁ、猟兵ならこんな事位では驚かないけどね。そう、猟兵ならね。
「うぅ……、きもひわるい……」
「はい、これでも飲んで酔いを醒ますッスよ」
持ってきていた水の入ったペットボトルを協力者の顔の前に寄せれば、紗良の足を掴んでいた手を放して勢いよく身を起こした協力者はペットボトルを奪う様に受け取ると蓋を外して豪快に喉に流し込む。
「プハー! 水が体に染みるー!」
一気にペットボトルの半分まで飲んだ協力者は紗良にキラッキラな笑顔を向ける。
「いやー、助かりました。ありがとうございます。お酒の勢いでここまで来たのは良いものの酔いが回って倒れてしまいまして。お恥ずかしい……」
「お酒はほどほどにするっスよ」
アハハハと照れた様に頭を掻く協力者に紗良も軽く返す。
「おや、貴方も花粉症ですか?」
よっこいしょと掛け声と共に立ち上がった協力者は鼻まで覆うハーフマスクとゴーグルを身に着けた紗良に驚き問いかける。
「あ、これはっスね」
「いえいえ、皆まで言わなくても結構ですよ。そんな重装備をしているって事は貴方も花粉症。つまり私達のお仲間ですよね」
「実はそうなんっスよ」
紗良の言葉を遮って一人自己完結する協力者に、花粉対策の為なんっスけど。との言葉を飲み込んで紗良は愛想笑いを受けべて相手に合わせる。これで邪神復活の儀式を行う場所まで案内して貰えれば面倒が無くて良い。
「ええ、そうでしょう。そうでしょう。私、これでも人を見る目に自信がありましてね。一目見て貴方がお仲間だと気づきましたよ」
にこやかに協力者は笑う。いや、とんだ節穴だな。
「毎年この時期が来ると憂鬱になります。目と鼻の痒みが辛いのなんのって……。何の影響も無く過ごす人を見ては妬ましい気持ちになっていましたがそれも今日まで!」
拳を握ってガバッと立ち上がり協力者は続ける。
「貴方は本当に運が良い。今日は偉大なる花粉神様復活の儀式が行われるのです。花粉神様が復活なされればこの世に生きるモノすべてが花粉症になる。素晴らしいでしょう? 皆、平等に花粉症になるのです」
花粉症。皆んでなれば辛くない。そう力説する協力者に、そうっスねー。と、紗良は乾いた返事をした。生温かい眼差しはゴーグルに隠れて見られていない。皆で花粉症になる未来なんてゾッとしない。お先真っ暗なのは確定だ。
「ささ、こちらですよ」
一人、己の世界に入り勘違いを加速させる協力者は先導する様に紗良の前を歩き出す。
(「まあ最終的に撃たせてくれればなんだっていいっス」)
そう胸の内で零して紗良はちらちらとこちらを振り返る協力者の方へと歩いて行った。
大成功
🔵🔵🔵
四条・眠斗(サポート)
ぅゅ……くぅ……あらぁ?
いつの間にか始まってましたかぁ?
さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんからねぇ。
ユーベルコードは出し惜しみしても仕方ありませんからぁ、
一気に片づけるつもりでやっちゃいましょう。
こう見えてもぉ、腕には少し自信があるのですよぉ。
それにぃ、様子を見てる間にまた眠くなっちゃっても困っちゃいますしぃ。
荒事じゃなくてぇ、楽しいことならめいっぱい楽しんじゃいましょう。
のんびりできるところとかぁ、動物さんがたくさんいるところなんか素敵ですよねぇ。
でもぉ、身体を動かすのも好きですよぉ。
お互いに納得の上で全力が出せると一番良いですよねぇ。
※アドリブ・絡み歓迎
●
さわさわと背の高い木の葉が擦れ合って波のような音を立てる。空を覆うかの如く広がった葉が日の光を遮ってひんやりとした空間。あまり人が立ち入らない場所の為、澄み切った空気が清々しい気分にしてくれる。
「少し肌寒いけど、静かで寝やすそうだわぁ」
ふわぁと欠伸をしながら四条・眠斗(白雪の眠り姫・f37257)は目を擦る。
「目がぁー! 目がぁー!」
「ふふふ……、頭に響く鈍痛。鼻を襲う痒み。
神は死んだぁ!!」
「水……、誰か水を持って来て……」
「……あらぁ?」
広い空間に響いた呻き声や叫び声に眠りの淵に誘われていた眠斗の意識が呼び起こされる。
「いけないわぁ。さっさと事件を解決しないとぉ、安心してもうひと眠りできませんねぇ」
眠気でよろけながら眠斗は木々の間を歩き始める。歩き進めれば木の幹にもたれ掛かって寝ている黒いローブの人。大胆にも地面に伏せて眠っている黒いローブの人。アグレッシブな寝相で木の幹に抱き着いて寝ている黒いローブの人。行く先々で黒いローブを纏った人――協力者――達が眠っていた。
「羨ましいわぁ」
零れ出る欠伸を噛み殺し眠っている協力者に眠斗は羨望の眼差しを向けながら歩みを進める。眠っている相手を起こすなんて眠斗には出来ない。眠りとは良いものなのだ。寝て良いと言われれば喜んで寝るとも。例えアルコールで酔い潰れていたとしても寝れるという事は良い事なのである。
「まぁ……」
時折呻き声を上げたり、ビクビクと体を震わせながら眠る協力者達を横目に歩き続ければ地を這って前に進む黒いローブを纏った人物の姿が眠斗の視界に入った。
「私だけでも……、私だけでも行かねば
……!!」
鼻声になりながら呼吸を乱し、必死に前に進む協力者に眠斗は駆け寄る。
「大丈夫かしらぁ?」
「君は
……。!! 君も儀式の参加者か!!」
声をかけられて訝し気に眠斗を見た協力者は次の瞬間、喜びの声を上げた。
「えっ、眠斗はぁ……」
「その目を見れば分かる。可哀そうに。そんなに目が充血するなんて余程痒かったのだろう。これだから花粉症は」
どうやら眠気を我慢しすぎたせいで眠斗の目が赤くなっているらしく、協力者はそれを花粉症の症状の一つだと勘違いしたようだ。そう眠斗は気付き口を噤んだ。勘違いしてくれるのなら話は早い。ここまでの道中、起きている人は居なかった。目の前の協力者を逃がせば次に起きている協力者に会えるのが何時になるか分からない。このまま目の前の協力者に儀式の場所まで案内して貰うのが良いだろう。
「実はそうなんですよぉ。こんな苦しい思いをしなくていい人が居るなんて理不尽ですよねぇ」
「その通りだ! 我々だけが苦しむなんて不公平だ! やはり皆平等になる為には儀式を成功させる他ない」
協力者に同調する様に話せば協力者は這いつくばったままうんうんと頷き拳を握る。邪神復活の儀式を成功させる事こそが己の使命、早く儀式の場所に向かわなければならない。その為には……。協力者は眠斗を見上げる。
「すまないが肩を貸してもらえないだろうか。酔いが回り過ぎて足に力が入らないのだ」
「構わないわぁ」
恥ずかし気に言う協力者に眠斗はにっこりと笑って抱き上げる。そう俗にいう姫抱きである。心なしか眠斗の腕の中に居る協力者がトゥクンとした様な気がした。
「こう見えても眠斗はぁ、力持ちなの。こっちのほうが早いのだけれど、嫌かしらぁ?」
「いえ、全然。……その、すみません」
眠斗の腕の中で小さくなり恥じらう様に目元まで被ったローブを弄る協力者。気分は気になるイケメンの腕の中で恥じらう乙女である。いや、絵ずらがヤバい。黒いローブを纏っているのでまだましかもしれない。多分。
そんな協力者ににっこりと微笑んで眠斗は協力者の案内の元、歩みを進めた。全ては早く仕事を終えて眠るために。
成功
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第2章 集団戦
『六零二『デビルズナンバーはやし』』
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POW : 悪魔の枝葉(デビルリーフ)
【刃物のように鋭い木の葉】が命中した対象を切断する。
SPD : 悪魔の花粉(デビルポレン)
【目が痒くなる特殊な花粉】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 悪魔の樹枝(デビルブランチ)
レベル×5本の【刺突】属性の【鋭く伸びた木の枝】を放つ。
👑11
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●邪神に会いたくば俺を倒せ
さわさわと葉が擦れて音を立てる。この音を人はさざ波の様なと表現するらしい。頭の葉を優しく撫でる風に幹にある目が優しく細められる。ここは何と居心地の良い場所か。さすがかの邪神復活の地に選ばれただけはある。
周りを囲むのは自分にも馴染み深い杉林。特に杉の花粉がナイス。自身も悪魔の花粉を行使できる身。何だか身近に感じちゃうなー。穏やかな風に身を任せて空を仰ぐ。
邪神復活の儀式はまだ途中。悪しき者は通すわけには行かない。儀式の邪魔をさせてはいけないのだ。軽く頷けば周りの木々も同じ動きをする。
我らの後ろでは偉大な邪神を復活させる儀式が行われている。何人たりともあの洞窟に近付かせてはいけない。あっ、儀式の協力者は別ね。空想の中の敵に威嚇のポーズは取りながら彼らは静かに座す。
杉林に囲まれた霊山の一画。その場にある洞窟で行われている邪神復活の儀式を誰にも邪魔はさせないとデビルズナンバーはやし達は意気込んだ。
建依・莉々
妖樹の群れがお相手っていうの? うふふふ、甘く見られたものね! 葉っぱも花粉も枝も、水溜まりには無力! ・・・って、あれ? 「儀式! 最前列! がぶり寄り!」 ・・・戦う必要、なくない?
儀式の協力者は通してくれそうな感じ? 勿論わたしは儀式見たいのだし、協力者さん連れてるのだし、通してもらえるよね? 「脳みそが溶け出してるんじゃないかっていうくらい涙鼻水ジョジョ漏れのJS」の姿ならフリーパスでしょう! 猟兵の皆にもオススメしてみよう♪
マスターさまへ:アドリブ大歓迎、絡み大歓迎、です。
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さわさわと風に揺れる葉の音。雲一つない快晴。霊山の開けた一画にただならぬ緊張感が走っていた。木の幹に浮かぶ表情は正に怒。目と口を吊り上げ威嚇する様に両腕の枝をわさわさと動かすデビルズナンバーはやし。対するは脳みそが溶け出してるんじゃないかっていうくらい涙、鼻水ジョジョ漏れ姿の建依・莉々(ブラックタールのどろんバケラー・f42718)。重い沈黙が二人の間を漂う。
「なんでダメなのー!!」
最初に沈黙を破ったのは莉々だった。協力者に案内されて儀式の場所に辿り着き、これで儀式を最前列で見れる! と意気込んだもののデビルズナンバーはやし達が儀式が行われている洞窟の前に立ち塞がって通せんぼ。莉々が背負っていた協力者はデビルズナンバーはやしの一本が優しく摘まみ上げて洞窟へと運んで行った。訳が分からずにデビルズナンバーはやしと莉々を交互に見る協力者に木の幹に浮かぶ表情を笑顔に変えて早く行きなさいと急かしてその場から立ち去らせる。
まるで今からこの裏切り者(裏切っていない)を処すから君は見なくて良いんだよ。知らなくて良いんだよ。こちらで処理しとくね☆ と、親切顔だ。協力者の姿が洞窟へ消えたのを確認したデビルズナンバーはやし達は一斉に莉々を威嚇する。邪神復活の儀式を手伝ってくれる協力者達は通っても良い。だが、猟兵。テメェはダメだ。
「――!! なんで猟兵だと分かったの!?」
ピキーン! テレパシーかはたまた何か超自然的な力か。デビルズナンバーはやしの念を受信した莉々がハッとして見上げれば、分からいでかとばかりにこちらを見下す表情を浮かべるデビルズナンバーはやし達。これはもう
殺るしかない。瞳に
炎を漲らせて莉々は攻撃をしかける。
「妖樹の群れがお相手っていうの? うふふふ、甘く見られたものね! 葉っぱも花粉も枝も、水溜まりには無力!」
やぁ! と、自身の戦闘力を上げて気合一閃。ダッシュでデビルズナンバーはやし達へ向かってドロップキック。憐れデビルズナンバーはやし達の一本の体に風穴が空く。あれ? もしかしてヤバいやつ的に回しちゃった? あわあわと驚愕の表情を浮かべて開いた口に手を持って行き小刻みに震えるデビルズナンバーはやし達。今更気付いた所でもう遅い。邪神復活の儀式を最前列で見たい! と熱意溢れる莉々の前では障害物にもならないのだ。こうなれば! と一斉に悪魔の花粉を放つも目も鼻も口も無いブラックタールには無意味! 可愛らしい少女の姿だから目も鼻も口も有る? まぁ、これ擬態だし。視覚とか嗅覚とかは良く分かんない☆
「儀式! 最前列! がぶり寄り!」
ただひたすら儀式の入り口に向かう莉々を止めるべく怯える体を奮い立たせてデビルズナンバーはやし達は莉々の行く手を阻む。この先に行かせてはならない。邪神復活の為に頑張っている協力者達の努力は無駄にさせない。一本、また一本と莉々により風穴を空けられ、あるいは投げ飛ばされて千切られながらも果敢にデビルズナンバーはやし達は立ち向かう。その心境は子供のいる家を守る親の気持ちである。
「新鮮な儀式がわたしを待っているー!!」
雲一つない快晴。穏やかな風が吹く霊山に楽し気な莉々の声とドカーンとデビルズナンバーはやし達を吹き飛ばす音が響くのだった。
成功
🔵🔵🔴
有坂・紗良
アドリブ絡み諸々歓迎
まさかとは思うんスけど、コイツらが足止めする気っスか?
こういう木って撃っても効くんスかね?まあやる事は変わんないっス
背負ってきたバックから『JAK-12』を出し、炎上効果のあるドラゴンブレス弾のマガジンを装填するっス
後は思うが儘に「制圧射撃」でブッ放すだけっスね
これなら花粉だろうと関係なく火をつけながら進めるだろうし、穴だらけにも出来て一石二鳥っス
弾幕を張れば向こうもそう簡単には手出しできないと思うっス、生木が燃えてくれるかは分かんないっスけど
この世で最も強いのは愛っスよ、ショットガンを除いてね
突破できるなら、そのまま道をこじ開けて儀式会場まで突入したい所っスね
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わさわさと揺れる葉の音。シャー、シャーと音が聞こえそうな程、木の幹に浮かぶ目と口を吊り上げて腕にあたる枝を持ち上げ、威嚇のポーズを取るデビルズナンバーはやし達。
「まさかとは思うんスけど、コイツらが足止めする気っスか?」
儀式が行われている洞窟の入り口を塞ぐように威嚇のポーズで立ち塞がるデビルズナンバーはやし達。それを見つめる有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)。
樹海で出会った協力者に案内されて儀式の行われる場所まで辿り着けたのは良い。洞窟の中に入ろうとした瞬間、木の枝によってインターセプト。何だと紗良が見やれば目をキリリと吊り上げた表情を木の幹に浮かべるデビルズナンバーはやし。二人の間を冷たい風が通り抜けた。
自分の後に着いて来ない紗良を訝しんだ協力者にはデビルズナンバーはやしの一本が心配ないよ。ちょっとお話しするだけだからね。と、慈愛の表情を浮かべて優しくその背中を押して洞窟の中へと行かせる。その時に協力者から「先に行ってますからねー」と言われたが紗良を通せんぼしているデビルズナンバーはやしが、行かせるわけねぇーだろとばかりにメンチを切って来たので紗良は迷わずリュックからJAK-12を取り出してデビルズナンバーはやし達に狙いを定めた。
(「こういう木って撃っても効くんスかね? まあやる事は変わんないっス」)
先手必勝とばかりに放たれた弾丸はメンチを切っていたデビルズナンバーはやしの体に無数の風穴を空けて後ろに居た他のデビルズナンバーはやしを巻き込んでは炎上して容赦なく消滅させていく。
「おっと」
思うがままに制圧射撃していた紗良だったが弾は有限。弾切れになった事で途切れた銃撃にここが反撃の時! と、ばかりにデビルズナンバーはやし達が木の葉を鋭い刃に変えて紗良に向かって一斉に放つ。
「邪魔しないで欲しいっス」
自身に向かって来る木の葉を避け、時にはJAK-12で防ぎながら何とかリロードしようとするもデビルズナンバーはやし達の攻撃の手は緩まない。だがこちらとて猟兵。この程度で反撃出来ない訳が無いのである。デビルズナンバーはやし達の放つ木の葉を避けながら走る先を洞窟の入り口を守るデビルズナンバーはやし達へと変更し一気に駆ける。その間にリロードする事も忘れない。リロードが完了するのと同時に洞窟の入り口守るデビルズナンバーはやし達の前に辿り着き銃口を向ける。
「この世で最も強いのは愛っスよ、ショットガンを除いてね」
にっこりと微笑む紗良。あれ? これマジヤバなのでは? と宇宙猫を背負うデビルズナンバーはやし。おう、さっきのメンチを切った勢いはどうした。デビルズナンバーはやしの周りに木の葉が浮かぶ。だが、木の葉が鋭い刃になって紗良を襲う前にJAK-12の銃口が火を噴いた。
大成功
🔵🔵🔵
夏霜・ルア
アドリブ大歓迎
他のUDCが群れて邪魔をしてくる…のはよくあることですが。やはりこうきましたか…。
猟兵になる前から…約八年ほどですが…UDC職員やってると、わかるものです。
だからといって、加減する必要は全くありませんね。
ハンドバッグ『月虹』から取り出した蒼き贋作神刀『繊月』で、UCを使って攻撃しましょう。
いくらUDCとはいえ、植物。ならば…『繊月』が齎す凍結は天敵でしょう。単純に動きにくくもなりますし。
もちろん、私は切断される趣味はないので…その木の葉も避けると言うか、ついでに斬って凍らせますが。
私はこの先に用事があるんです。邪魔をしないでくださいね。
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頭上の木の葉を揺らしてシャー! と、まるで猫の様に威嚇するデビルズナンバーはやしを見つめ、夏霜・ルア(朧・f42570)は胸の内で溜め息を吐く。
「他のUDCが群れて邪魔をしてくる……のはよくあることですが。やはりこうきましたか……」
邪神復活の儀式が行われている洞窟は目と鼻の先。入り口が目に入っているのに威嚇してくるデビルズナンバーはやし達が、猟兵を通すか! と、ばかりに目と口を吊り上げて立ち塞がり行く手を阻む。ここまで案内してくれた協力者はこの場に着くや否やデビルズナンバーはやしの一本により洞窟の入り口までエスコートされて疑問を感じる間もなく洞窟の中に優しくも強引に押し込められた。その際に、大丈夫。あの子とは少しお話をするだけだからね。と、過保護な親の様な表情を木の幹に浮かべるのだから質が悪い。
(「よくある……展開です。猟兵になる前から…約八年ほどですが…UDC職員やってると、わかるものです」)
「だからといって、加減する必要は全くありませんね」
素早くハンドバッグ【月虹】から蒼き贋作神刀【繊月】を取り出して、ヤンノカコラー! と、両枝を上げて荒ぶる近くのデビルズナンバーはやしを一閃。蒼い剣光が浮かんで消える。
何が起きたのか分からないと呆然とした表情を浮かべるデビルズナンバーはやし。しかし腕の部分にあたる枝が切られ、その先端が凍りついた事に気付いた瞬間。デビルズナンバーはやし達は一斉に憤怒の表情を浮かべてルアへと襲い掛かる。
「いくらUDCとはいえ、植物。ならば……繊月が齎す凍結は天敵でしょう」
伸ばされる枝を一閃。ステップで最小限に移動してもう一閃。このままルアの好きにさせればここを突破されてしまう! わさわさと頭上の木の葉を揺らしながらデビルズナンバーはやし達はルアへ向かって刃のように鋭い木の葉を飛ばして攻撃するが、切断される趣味はないとばかりにルアはその場を駆け出して避ける。
ルアの駆ける先から襲い掛かる鋭い木の葉を繊月で切り、ぐっと足を踏み込んで進路上のデビルズナンバーはやしを一閃で切り捨てて先へ進む。そうして飛んで来る鋭い木の葉を潜り抜けてデビルズナンバーはやし達を引き付け、デビルズナンバーはやし達に周りを囲まれる状態になったルアは足を止めて繊月を鞘に納めて腰を低くする。この瞬間を狙っていたのだ。ルアの様子に今がチャンス! とデビルズナンバーはやし達が躍り出た瞬間。
「大丈夫……」
一度鞘に納めた繊月を素早く抜けば蒼い剣光がデビルズナンバーはやし達の体を駆ける。
「私はこの先に用事があるんです。邪魔をしないでくださいね」
言って抜いた刀を鞘に戻し動かないデビルズナンバーはやし達をそのままにルアは洞窟へ向かって歩く。暫しの沈黙の後、ルアの【月の剣・居合】 贋作神刀による神速の居合切りをその身に受けたデビルズナンバーはやし達は次々に地へと倒れ伏した。
大成功
🔵🔵🔵
鳳凰院・ひりょ
ア、絡→〇
邪魔をするな!そこをどけぇっ!
真の姿となり、敵を蹴散らす
真の姿となった事で、飛行も可能になった
多角的な回避行動が取れるだけで行動の幅が広がるはずだ
敵の攻撃を掻い潜りながら敵の数を把握
飛行しながら敵集団へと近付きUCを発動させる
いくぞ、まとめて薙ぎ払ってやる!
破魔の力と貫通攻撃属性を付与した巨大な刀で、敵集団へ横なぎの一撃による範囲攻撃を叩き込む
その一撃で全てを倒せるとは限らないが、敵の数は減らせると思う
万一攻撃を回避されたとしても、その個体の分、俺自身が有利になるエリアが生成される
討ち漏らした敵は、強化された力を存分に振るい破魔の力を付与した護符と刀による通常攻撃で倒していこう
●
ドガーンと静寂を破るが如く、盛大な破壊音が響いて鳥達が慌てたように空へと羽ばたいていく。一刀両断された同胞達が消えるのを横目にデビルズナンバーはやしの一本は逃げ場を求めて右往左往していた。空には白と黒の翼を生やした鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)がオーラで出来た巨大な刀を構えてこちらを睨みつけている。そんなひりょに鋭く伸びた枝を放って攻撃しても上空でするっとかわされて思わず歯ぎしりするデビルズナンバーはやし。まぁ、歯なんてないのだけれど気分的に。ちょっと空を飛ぶとかズル過ぎませんか? 自分を棚に上げてデビルズナンバーはやしは負けるかとばかりに威嚇のポーズを取るが冷ややかなひりょの眼差しに縮こまる。べっ、別に怖がってねーし? 地上じゃ俺らのがつえーし? 誰に言うでも無く心の中で強がるデビルズナンバーはやし。空ではどうかって? 何言ってんだ? 木が空を飛ぶわけねーじゃん。空中戦はノーカンだよ。ノーカン。同じ空を飛ぶ生き物なら鳥の方が何倍もマシだと思いながらデビルズナンバーはやしはひりょを睨みつけた。
「邪魔をするな! そこをどけぇっ!」
デビルズナンバーはやしの心の内を知る事も無く、真の姿となり背中に白と黒の羽を生やしたひりょが無駄な抵抗は止めろとばかりにデビルズナンバーはやし達へ向かってオーラで出来た巨大な刀の一閃を放つ。あーれーと言う間もなくひりょの攻撃によりデビルズナンバーはやし達の何本かが消滅した。まぁ、木は喋らないんですけどね。
「そこっ!」
地上に降りたひりょに今が攻撃のチャンスとばかりにデビルズナンバーはやし達が鋭く伸びた木の枝を放つも刀によって無残に切り捨てられる。一瞬、木の幹に浮かんでいる顔が絶望に染まるがやる気に満ちた同胞達の動きにより再びキリリと目を吊り上げてひりょに立ち向かうデビルズナンバーはやしだったが数度の羽ばたきでひりょに攻撃を避けられて擦れ違いざまに鋭い一閃を貰い崩れ落ちた。
「まだまだ!」
低空飛行でデビルズナンバーはやし達の間を潜り抜け、隙あらば刀で切り捨てながらひりょは敵の数を脳裏で数えていく。先程敵を纏めて薙ぎ払ったがまだ敵の数は多い。今度はより多くの敵を纏めて薙ぎ払わなければ。横から枝を伸ばして来たデビルズナンバーはやしを破魔の力を付与した護符で黙らせて一気に上昇して枝の届かない高さで滞空する。敵の数は把握したし、地上に降りて己の身を囮にする事でデビルズナンバーはやし達を纏めて引き付ける事も出来た。これで一網打尽に出来るだろう。
「オーラよ、力となりて敵を打ち砕け!」
わさわさと頭上の木の葉を揺らしながらひりょに向かって枝を伸ばして来るデビルズナンバーはやし達を見下ろし、破魔の力と貫通攻撃属性を付与した巨大な刀をオーラで形成しながら構える。
「いくぞ、まとめて薙ぎ払ってやる!」
羽の羽ばたきを止めて一気に急降下しながら滑空してデビルズナンバーはやし達との距離を詰めるひりょ。慌てふためくデビルズナンバーはやし達を視界に捉えた瞬間、ひりょは思いっきり巨大な刀で薙ぎ払った。
大成功
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第3章 ボス戦
『花粉神』
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POW : へっぷしっ
【くしゃみ】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【突如生えてきた杉の木群】で囲まれた内部に【花粉症回避不可の視認可能レベルのスギ花粉】を落とし、極大ダメージを与える。
SPD : 皆さん今日は良い天気…花粉日和ですね!
【花粉症回避不可の視認可能レベルのスギ花粉】を降らせる事で、戦場全体が【花粉症地獄】と同じ環境に変化する。[花粉症地獄]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : 花粉症は恐ろしくありませんっ!…へぷしっ
自身の【全身】から【輝く花粉】を放出し、戦場内全ての【あらゆる花粉症対策】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
👑11
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●スギ花粉が一番
猟兵達の活躍によりデビルズナンバーはやし達は憐れ、ただの木材と化した。(多分)。
デビルズナンバーはやし達を退けた事で邪神復活の儀式を阻止出来た猟兵達だったが、儀式は途中まで進行しており完全に止めるには遅すぎた。何せ猟兵達が樹海に向かう前から酔っ払い達の手によって儀式は開始されていたのだ。こればかりはしょうがない。
淡い光を放っていた魔法陣が点滅する。儀式を阻止出来たとは言え魔法陣に注がれた魔力が消えた訳では無い。
「くっ、目と鼻に痒みが……! 来るぞ!!」
誰かが叫ぶ。ピリリとした緊張感が、来るぞ! 来ちゃうぞ! と、はやし立てるように辺りを包み込んだ。
「杉花粉こそナンバーワンにしてオンリーワン! 人の子よ。花粉を愛するのです!」
魔法陣が一際輝きを放った後、静寂に満ちた洞窟に場違いな程の明るい声が響いた。不完全ながら邪神(と書いて神と読む)が復活したのだ。何処かお調子者っぽい口調なのは不完全な復活だからかもしれない。つまりはポンコツ。
こうして張り詰めた空気をぶち壊して不完全な復活を果たした花粉神と猟兵達の戦いの火ぶたが切って落とされた。
建依・莉々
「・・・思ってたのと、違う! 邪神って、邪神召喚って、もっと・・・こう!でしょう!?」
ぷるぷる拳を握りしめながら、切に想いを訴えます。できることなら1週間後に本物の邪神召喚を見せてやりたいくらいです。
しかし、そこは邪神・花粉神。莉々には目も鼻もないのに、涙と鼻水が止まらない!
「こ、これが・・・これが花粉症!? ・・・みんな、これに堪えてきたのね!?」
初めて信者たちと共感した莉々。
「だったら全人類花粉症なんてしちゃダメだよね?」
TPO弁えず、花粉神の足を掴んでびったんびったんに地面に叩きつけます。こんな美人さんだなんて絵面がひどいですけど、涙で曇って見えません。
切にアドリブお願いします!
●
「ヒノキ花粉にヨモギ花粉。世に花粉は多けれど、やはり最大手はスギ花粉! 目が痒い? 鼻がムズムズする? くしゃみが止まらない? それらは全てスギ花粉の、愛!!(クソデカボイス)なのです。人の子よ。花粉を好これ! 他の花粉も良いけれどやっぱりスギ花粉!」
輝きの消えた魔法陣の上で上品に着物を着こなした花粉神がスギ花粉を力強く称える。決まった! とばかりにドヤっと顔を向けた先には地面に崩れ落ちて小刻みに震える建依・莉々(ブラックタールのどろんバケラー・f42718)の姿があった。
「人の子よ。スギ花粉の偉大さに畏怖し、怯えるのも分かります。けれど怖がる事はありません。スギ花粉は……」
「これじゃなーいっ!!」
これじゃなーい、これじゃなーい、じゃなーい、じゃなーい、なーい、なーい……。
優しく語りかける花粉神の言葉を遮って莉々は叫ぶ。地面に拳を叩きつけるおまけ付きだ。
「……思ってたのと、違う! 邪神って、邪神召喚って、もっと……こう! でしょう!?」
ガバっと顔を上げて拳を震わせながら訴える莉々。声は切実なのに無表情と言うアンバランスさよ。
「もっと、こう。生贄とかおどろおどろしい道具とか、せめて難解な呪文とかあるべきだよね!」
莉々の脳内を好奇心旺盛な無貌の混沌がサムズアップして去って行く。待って! 行かないで邪神様ー! 莉々の切なる想いに応えるように触手をうねうね動かした眠れる海底の支配者が現れ、クールかつツンデレキャラの様にふんっと顔を逸らす黄色いフードの何か。例外はあるが全員召喚方法がアレだし、呼び出したら呼び出したらで人類が危機に陥る偉大な邪神達だ。
そう、邪神とは、邪神召喚とはこうコズミックなアレでおどろおどろしいソレがあって最終的にホラーなコレなんだよ!
無表情でヒートアップする莉々の脳内で炎に包まれた何かがフェイドアウトしていく。あんま夢見んなよ。色々な邪神が居る様に色々な召喚方法があるものさ。完全に姿が見えなくなる前に聞こえた声。それは人間に無関心な邪神からのほんの気まぐれな慈悲の言葉かもしれない……。でも貴方様の召喚方法って運が絡んでいて大変ですよね? 勿論答えは無い。
「みたいな! みたいなね! 怖いけどもカッコいい感じでさぁ!」
理想:人が踏み入れるのは困難な地で鮮血や銀で描かれた魔法陣を前に人間には理解できない呪文を唱える信者達。呪文に応える様に現れたのは一目見ただけで正気を喪い、発狂してしまう様な異形のモノ。
現実:人が踏み入れるのは困難な地でチョークで描かれた魔法陣を前に何だか適当な呪文を唱える信者達。呪文に応える様に現れたのは正気も喪わないし、狂気にも陥らない見た目は着物姿の女性。
途中までは良かったのだ。途中までは。
「もう! もう! もう! 折角楽しみにしていたのに! 最前列でかぶり付く予定だったのに!!」
悔しさと悲しみのあまり、じょばじょばと涙を垂れ流す莉々。決して花粉症ではない。ブラックタールなので。
「……一週間後に本物の邪神召喚見せるからちょっと学びに来て」
滝の様に垂れ流していた涙を袖で一気に拭って莉々は花粉神に迫る。呼び出されてから今まで口上を述べただけで口を挟ませて貰えなかった花粉神は戦慄した。こいつ目がマジだ。恐怖する花粉神はたまらずにクシャミをした。
「えっ、なに? 目と鼻が痒い! 涙と鼻水が止まらない」
花粉神がクシャミをした瞬間、突然生えて来た複数の杉の木群に囲まれた莉々の顔面が哀れな事になった。目も鼻もないブラックタールにも花粉症を付与するとは恐るべし花粉神。邪神として外見は残念だけれど能力はある意味では引けを取らない。
「こ、これが……これが花粉症!? ……みんな、これに堪えてきたのね!?」
初めての花粉症の症状に協力者達の苦しみに共感し少し感動する莉々だったが、
「だったら全人類花粉症なんてしちゃダメだよね?」
と、協力者達が逃げ出した洞窟の出入り口を見つめるが涙でよく見えない。このまま花粉神相手に邪神や儀式について語っても仕方がない。一刻も早く決着をつけて新たな儀式を探さなければ!
「今回は呼び出しに応じてくれてありがとうございます。花粉神様の、より一層のご活躍をお祈り申し上げます」
クラウチングスタートの体勢から一気に花粉神に迫る莉々。その迫力に腰が抜けた花粉神の足を掴み、起き上がる勢いに任せてぴったんぴったんと地面に叩きつける。着物を着こなした和服美人が地面に叩きつけられる様は大変絵面が酷いのだが涙で前が見えていない莉々には関係の無い事。むしろ自業自得なのでは?
「儀式さいこー! 召喚さいこー! いぇーい!」
無表情で涙と鼻水を垂れ流して花粉神をぴったんぴったんと地面に叩きつけるハイテンションな莉々の声が洞窟に響いた。
大成功
🔵🔵🔵
有坂・紗良
アドリブ絡み諸々歓迎
やっと着いたはいいんスけど、アイツが例のヤツってワケっスね
うーわ、あんなヤバい色した空気見た事ないっスよ、あれ吸ったら毎年地獄を見るのは確定っスよねぇ…
とにかく今はUCで飛行ドローンを数機呼び出すっス
スマホで操縦してボクの上空でホバリングさせれば、風圧で周囲のヤバい花粉も散らせられるハズ
ある程度は自前のマスクとゴーグルが守ってくれるのを祈るしかないっスね
身の安全をある程度確保できれば打って出るっスよ
残りのドローンは目標に向かって突撃&自爆!
ボクも爆発の中に向けてTAQ-Hの弾丸をありったけ叩き込むっス
戦闘の良し悪しの基準を知ってるっスか?当然使った火薬の量っスよ
●
光の消えた魔法陣の上で淡い黄緑色の着物を上品に着こなした女性がにっこりと微笑む。姿だけを見れば彼女が邪神だとは信じられないだろう。まぁ、髪飾りが独特過ぎてツッコまれる気はするが。
「 皆さん今日は良い天気……花粉日和ですね!」
変わらぬ笑みで微笑む女性―花粉神―の言葉に場の空気が一気に変わる。なんかこう……目視できる位黄色いような? その場に居たら確実に顔面が酷い事になる予感がした。むしろ本能が近寄ってはいけないと警告してくる。
(「やっと着いたはいいんスけど、アイツが例のヤツってワケっスね」)
「うーわ、あんなヤバい色した空気見た事ないっスよ、あれ吸ったら毎年地獄を見るのは確定っスよねぇ……」
自前のマスクとゴーグルを身に着けた有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)がドン引きしながらもスマホを操作すれば、紗良の周囲で待機していたドローンが動き出す。
「これで花粉を吹き飛ばせると良いんっスけどね」
動き出したドローンの一機を自身の真上でホバリング状態で待機させて洞窟中に漂う花粉を風圧で吹き飛ばす。さすがに花粉神の出した花粉とは言え風で吹き飛ばせない事は無いだろう。風圧で吹き飛ばす先から漂って来る花粉に上空に待機するドローンをもう幾つか増やして紗良は花粉神を見つめる。
「ああ、なんて事を……。そのままで居れば貴方も素敵な花粉症になれると言うのに」
嘆く花粉神。うるせー。こちとら目と鼻の平穏がかかっているんだよ。花粉症に素敵もくそもあるか! ドローンぶつけんぞ! 自然と花粉症になってしまうなら、仕方ないね。今年も花粉凄いしね。で、納得は出来るが、強制的に花粉症にされるのは我慢できない。
「いや、花粉症は遠慮しとくっスよ」
構えたTAQ-Hの安全装置を外して銃口を花粉神に向ける紗良。銃口を向けられた花粉神は眉を下げて悲し気に表情を歪める。
「何故皆さん分かってくれないのでしょう。花粉症はスギ花粉の愛! 人類への試練なのです! 確かに目を痒くさせて涙を流し、鼻をムズムズさせて鼻水を止まらなくさせたりクシャミを連発させたりもしますが、それを乗り越えた時こそ人類は一歩前に進化するのです! 勿論、他の花粉によって花粉症になる場合もありますが花粉症業界ナンバーワンはスギ花粉! これだけは譲れません」
語っている内に段々と熱が篭り、悲し気な表情からキリリと拳を握ってフンスと鼻息を荒くする花粉神。ところで花粉症業界ってなに?
「つまり何が言いたいっスか?」
「つまりはツベコベ言わずに無駄な抵抗は止めてスギ花粉を愛で花粉症になりなさいと言う事です!」
銃口を向けたまま紗良が問えばにっこりと微笑んで花粉神は辺りに再度スギ花粉を降らせる。頭上でホバリングするドローンの風圧のおかげで決定的な被害が出ていないがこのまま時間をかけるのは良くないだろう。そもそもスギ花粉を愛でる趣味は無いし、愛でたくも無い。
「戦闘の良し悪しの基準を知ってるっスか?」
TAQ-Hを構えて不敵に笑いながら問う紗良に怪訝な顔をする花粉神。
「攻撃力の高さですか? それとも奇抜な技でしょうか……。うーん、難しい問題ですね」
頬に手を当てて悩みだす花粉神は戦闘中だと言うのに呑気だ。いや、素直と言うべきか。花粉神が自分の問いに答えるとは思っていなかった紗良は一瞬目を見張ったがにやりと口元を上げる。
「それはっスね」
勿体ぶる様にゆっくりと紗良が口を開けば傍で待機していた無数のドローンが動き出す。背後にスギ花粉を背負った花粉神vs宙を飛ぶ無数のドローンを従えた紗良vs宇宙猫を背負った協力者(逃げ遅れの姿) ファイッ!
「当然使った火薬の量っスよ」
すこーし値は張るけど仕方ない、数の暴力ってヤツを教えてあげるっスよ! 紗良の打ち込んだ銃声を合図にドローンが一斉に花粉神に向かって突撃し、次々に自爆する。
「えっ、あっ、ちょっ……」
スギ花粉を巻き上げる爆風。舞い飛ぶ土埃。いや、舞い飛ぶと言うか飛び散ると言うか爆発の勢いで抉られる地面。容赦なくTAQ-Hを撃ち続ける紗良に花粉神は成す術も無い。
「今日は大盤振る舞いっス」
空になった弾倉を投げ捨て新しい弾倉を装着する紗良。その間にもドローンによる自爆は止まず、辺りに爆音が鳴り響く。
「全弾持って行けっスよ!」
楽し気に声を弾ませながら弾倉を装填し終わった紗良は爆風が落ち着いた一瞬を見計らい、花粉神に向かって全力射撃を打ち込むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夏霜・ルア
アドリブ諸々大歓迎
……会ったことのないタイプの邪神で、びっくりました。
いえ、本当に…いろんな邪神がいますね…。
そして、花粉症…!目が痒く、さらに涙で見えづらい!あと、耳奥が仄かに痒くて…!
こちらのUCでの満月…洞窟上部にあるんですが、花粉で仄かに霞んでませんか?へぷしっ。
加護『月影』が反応してないのは、こうなった方がいいと…身のうちにいる蟇蛙が判断したからですか…。
涙でマトモに見えませんが…ずびっ。
ええ、マトモに見えませんが、なんとなく花粉神の姿といる場所はわかりますので。
緋き贋作神刀『弦月』に持ち替えて斬ります、花粉神。
斬ると決めたのは花粉神だけなので、被害はそこだけです。ぶしっ。
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「花粉症と言ってもその原因は様々です。ですが、やはり代表的な花粉症の原因と言えば、そう! スギ花粉なのです!」
上品な見た目にそぐわずフンっと鼻息も荒く握り拳を作る女性は間違いなく邪神である。たとえ見た目が薄緑色の着物を着た楚々とした佇まいの女性であったとしてもだ。まぁ、スギ花粉について熱く語る姿に最初の楚々とした雰囲気は霧散したのだけれども。
「全人類花粉症とはそれ即ち! 森羅万象あらゆる場所にスギ花粉が存在するという事! 良いじゃないですか! 凄く良いじゃないですか!」
キャッキャッと乙女の様にはしゃぐ邪神、もとい花粉神。彼女のはしゃぎぶりに邪神復活の儀式を先導した者も浮かばれるだろう。死んでいないけど。
「花粉神バンザーイ!!」
何処とも知らぬ場所から放たれた電波を受信したかの如く、夏霜・ルア(朧・f42570)はハッとしてキョロキョロと辺りを見渡したが、この場には一人で盛り上がっている花粉神とルアしかいない。もしかしたら自分の身に宿る蟇蛙が何かを感じ取ったのだろうか? 毒電波、ダメ、ゼッタイ!
「思わず呆然としてしまいました。いけませんね」
緋き贋作神刀『弦月』を構えてルアは用心深く花粉神に向き合う。一人でスギ花粉について熱く語りキャーキャー言っている花粉神に果たして警戒する必要があるのか? 訝しむルアだったがアレでも邪神には変わりないのだ。用心に越した事は無いだろう。たとえ緊張感の無い相手であったとしても。
(「……会ったことのないタイプの邪神で、びっくりしました」)
今まで出会った邪神達を思い浮かべてから目の前にいる花粉神を見る。
「いえ、本当に……いろんな邪神がいますね……」
なんだか残念な気持ちになり思わず呟くルア。世の邪神が皆、花粉神のようであれば少しは楽だっただろうに。いや、それはそれで邪神の威厳とかUDCエージェントの格が落ちるような……。
「皆さん今日は良い天気……花粉日和ですね! 貴女にもスギ花粉の素晴らしさを教えてあげます!」
一人で盛り上がっていた花粉神は一通り語って満足げに微笑んでいる。語ると言っても聞く相手は居なかったのだが本人は気にしていないようだ。と言うか気付いていない。満足げな笑みのままルアを見たかと思えば洞窟内に視認可能レベルのスギ花粉が充満した。
「……!!」
途端に襲い掛かる目の痒みと溢れ出る涙。花粉神の花粉対策に洞窟の上に【蟾蜍は月に仙女の姿を見る(ゲコッ)】を展開し、洞窟の入り口から淡い光が差し込んでいるというのに齎されるはずの超再生が発動しない。
「加護『月影』が反応してないのは、こうなった方がいいと……身のうちにいる蟇蛙が判断したからですか……へぷしっ」
襲い来る目の痒み。止まらない涙で前は見えず、心なしか耳奥が仄かに痒みを帯びて来る。さらには鼻のムズムズと共に湧き上がるくしゃみが戦闘の邪魔をして場の緊張感が霧散した。
「涙でマトモに見えませんが……」
ずびっっと鼻を啜って、ルアは神経を研ぎ澄ませる。流石は花粉の神と書いて花粉神。邪神なだけあってその言動や行動はともかく力は本物だ。普通の花粉症よりも症状が重くて辛い。滝の様に流れる涙をそのままに花粉神の気配を探る。まともに前が見えなくても気配を探る事でその姿と場所は分かるのだ。
「いい加減に終わりにしましょう。……ぶしっ」
洞窟の入り口から差し込む光。確かに超再生は発動しなかったがもう一つの効果は使えるようだ。握った弦月を再度構え直す。
「はーい、スギ花粉は素晴らしいです! スギ花粉は最高です!」
洞窟に充満するスギ花粉。大盤振る舞いと言わんばかりにスギ花粉を巻き散らす花粉神。自らの場所を教える様にはしゃいだ声を上げている花粉神目掛けてルアは走り出す。可視化出来るレベルのスギ花粉は霧の様に白く洞窟内を漂い、涙と共に視界を妨げる。だが、そんなのは関係ない。すでにルアは花粉神を捉えているのだ。
「スギ花粉の素晴らしさとか……どうでも良いですし、傍迷惑です」
スッと花粉神の背後に回り込んで一太刀。花粉神がルアの襲撃に気付く前にもう一太刀。花粉神が何かを言う前にルアの連続攻撃が華麗に決まった。
大成功
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鳳凰院・ひりょ
真の姿を維持
あいつが花粉神なのか?
思っていたほどの迫力というか威圧感みたいなものを感じないぞ?儀式が不完全だった影響なのだろうけれど…
とはいえ、相手の攻撃は地味に嫌な系統のものだな
俺、まだ花粉症にはなった事ないのだけど…
こ、これが花粉症というものか!?うわ、俺…、花粉症デビューしちゃったよっ!
鼻水・くしゃみ酷く、目も開けていられない辛さの中、
この苦しみから一刻も早く解放される事を願って精霊力を振り絞り、UCを発動させる
うぅ…目が開けていられなくて正確な狙いが定められないぞ
大体の位置を把握後、周囲に注意喚起し竜のブレスを周囲薙ぎ払うように発射!
ブレスが通ります、ご注意ください!(悲鳴に近い声で
●
「人の子よ。花粉を恐れる事はありません。花粉は常に貴方達と共に有ります。そう! 特にスギ花粉とかスギ花粉とか!!」
嫋やかな見た目に反して目を爛々と輝かせながらスギ花粉について熱く語る花粉神。残念ながら邪神復活の儀式を行っていた者達は既に逃走しており、この場には花粉神と鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)しか残っていない。
(「あいつが花粉神なのか?」)
誰も居ない空間で一人テンション高く盛り上がる花粉神の姿にひりょは拍子抜けする。
(「思っていたほどの迫力というか威圧感みたいなものを感じないぞ? 儀式が不完全だった影響なのだろうけれど……」)
邪神と聞けばおどろおどろしい見るからに異形と分かる姿とか肌がピリピリする様な威圧感というかオーラを感じるはずだが花粉神は傍から見ても普通の人間に見えるし、失礼ながらオーラもあまり感じない。復活の儀式が完了する前に儀式を阻止したので中途半端な召喚になってしまい、性格や言動に影響が出たのかもしれない。多分。
邪神と言えばとひりょが姿を思い浮かべようとすると、やぁ、呼んだかい? とばかりに這い寄ったり這い寄らなかったりする邪神がひょっこりと現れた気がして丁寧にお帰り頂く。貴方様はちょっと次元と言うか格と言うか、色々と規格外なので大人しくしていて下さい。
「花粉症は恐ろしくありませんっ! ……へぷしっ」
ひりょが脳内でヤバヤバな邪神を振り切っている中聞こえて来たくしゃみ。同時に何かが輝きながら洞窟内に充満した。
「えっ、これって花粉……へくしっ」
光り輝く何か―花粉神の全身から放出された花粉―に触れた瞬間、ひりょは目の痒み、鼻のムズムズに一気に襲われてくしゃみが止まらなくなる。背に背負った二対の翼を羽ばたかせて花粉を吹き飛ばす隙さえ無い早業だ。俺、まだ花粉症にはなった事ないのだけど……。とか思っていたが強制的に”分からせ”られてしまった。
「こ、これが花粉症というものか!? うわ、俺……、花粉症デビューしちゃったよっ!」
とても嫌な花粉症デビューである。花粉症になるとしても強制的にではなく自然になりたかった。いや、出来れば花粉症になりたくない。なんとかくしゃみを落ち着かせ、止まらない鼻水をずびっと啜って溢れ出る涙でぼやける視界の中、花粉神を捉えようとするも落ち着かせたはずのくしゃみが再度湧き上がって中々集中出来ない。
「うぅ……、お恥ずかしい所をお見せしてしまいましたが、これで花粉症の良さを知って貰えたのなら無様をさらしたかいがあったと言うものです」
ズズっと垂れた鼻水を啜って何やら得意げに胸を張る花粉神。ぺらぺらと再度花粉症について何やら語っているが顔面が諸々に襲われているひりょに聞いてる余裕は無い。心なしか背中の羽もしんなりとしているような……。
「うぅ……、目が開けていられなくて正確な狙いが定められないぞ」
目の痒みと止まる気配を見せない涙で視界も顔面も大変残念な事になっている上にいざ花粉神と対峙しようにもくしゃみのせいで狙いがぶれる。
「……もう無理だ! さっさと終わらせぞ! 俺のありったけの精霊力を捧げる! 力を貸してくれ、偉大なる竜よ!」
次々と襲い掛かる花粉症の症状にこのままここに居てはもたないと判断したひりょは早々に花粉神との決着をつける為とこの苦しみから一刻も早く解放される事を願ってクリスタルドラゴンを召喚する。狙いが定められないなら攻撃範囲を広げればいいのだ。
「えっ、それってちょっと卑怯ではありませんかぁ!?」
ひりょの呼び声により現れたクリスタルドラゴンに花粉神が慌てるが、お前が言うな。である。人を強制的に花粉症にさせるのもだいぶ卑怯だし、通常の花粉症よりも症状が重いので猟兵で無ければ耐えられなかっただろう。真っ先に病院行きである。
「ブレスが通ります、ご注意ください!」
「いや、無理なのですが!」
ヤケクソ交じりの悲鳴に近い声を上げたひりょに花粉神の悲鳴が被る。邪神復活の儀式が行われているのは洞窟の中。唯一の出入り口の前にはひりょが立っており、その背には出入り口を塞ぐようにしてクリスタルドラゴンが大きく息を吸う姿がある。
終わりました……。抗う事の無意味さ。諦めの大切さ。そんなモノを感じる。クリスタルドラゴンの口元が光るのを見ながら花粉神は遠い眼差しをした。圧倒的絶望である。真っ白に燃え尽きた花粉神に向かってひりょの命令を受けたクリスタルドラゴンから周囲を薙ぎ払う様にブレスが発射されたのだった。
大成功
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