希望へ至る道 宇宙海賊ワルーモン一味
●参上! 宇宙海賊ワルーモン!
「ワールワルワルワル!」
夢と希望が渦巻く未知なるフロンティア、大宇宙。その片隅には今日も邪悪な笑い声が響く。
声の主は宇宙海賊ワルーモン。六大隊長を筆頭に数多のスペース悪人を従え、数多の惑星やスペースシップを襲う大悪党だ。
「ワールワル! 今日の獲物はあの惑星ワル!」
正体のうかがい知れぬシルエットから光る双眸が射貫くのは、モニターに映された青き星。このスペースオペラワールドにおいて並みの発展をしているごく普通の、比較的平和な惑星。惑星上に住む者達は、今まさに己らが宇宙海賊の獲物として選ばれたことなど知る由もない。
「第一隊長マッスールよ! 貴様の力であの星を滅茶苦茶にしてくるワル!」
「マッスール! 了解しましマッスル!」
斯くして宇宙海賊ワルーモンの第一隊長マッスールとその部下達は、自前の宇宙船に乗り込み、ワルーモンがアジトに確保しているワープゲートを使って獲物の惑星へと向かう。惑星に住む者達は自分たちの破滅が近づこうとしている事を知らない。
けれど、実はワルーモンもマッスールも知らなかった。自分たちが襲いに行く惑星への航路上で、
自分たちの破滅と接触する事に。
●目指せ、希望の聖地オーンブル
「希望の聖地オーンブルへの旅に出てくださる方はおられませんか?」
グリモアベースの一角で真月・真白(真っ白な頁・f10636)が声をあげる。興味を引かれた猟兵達が集まってくると、彼は軽く頭を下げて感謝の意を示し、本体である歴史書を開いて説明を始めた。
「ブルーアルカディアで確認された『希望の聖地オーンブル』それはスペースオペラワールドにも存在するようなのです」
無限の大宇宙に複数点在しているらしい謎の聖地。真白は宇宙船を用意したのでその一つに向かって欲しいと述べる。
「皆さんがオーンブルに到達し、その座標を入手すれば以後はグリモアの転送で調査が出来るのです」
ただ、伝承には『聖地を目指す者、皆ことごとく幻想の眠りに沈む』と記されている。これまで発見された聖地同様、クエーサービーストのスクイカンタクルに襲撃されることは間違いないだろう。
「さらに、聖地のある宙域へ向かう最後の補給地点に予定している惑星が、宇宙海賊に襲撃されることがわかりました」
その惑星で万全の補給を行えなければ、聖地が存在する宙域まで行くのは難しくなる。目的を果たすためにも宇宙海賊の撃破は必須と言えるだろう。
「行きがけの駄賃というわけではありませんが、本番前の肩慣らしのつもりで惑星を助け、そして聖地へ向かってください。よろしくお願いします」
そういって頭を下げると猟兵達を転送させる準備に入るのだった。
えむむーん
閲覧頂きありがとうございます。えむむーんと申します。
●シナリオの概要
冒険、集団戦の二章構成となります。
希望の聖地オーンブルと呼ばれる場所を目指して、未知なる大宇宙を冒険してもらいます。一章では、惑星を襲撃しようとしている宇宙海賊の艦隊を撃破してください。
宇宙空間での戦闘になりますが、宇宙服等で問題なく活動できます。強い相手ではないのでいい感じに無双してしまいましょう。
二章では、クエーサービーストのスクイカンタクルとの戦闘になります。相手が思う様々な幻想を見せてくるので、プレイングにはどのような幻想を見せるのかも書いていただけると嬉しいです。
オープニングでは座標を確認し帰還せよ、とありますがこの二つのステップは自動成功しますので、プレイングに必須ではありません。描写される可能性も低いと思われます。
●合わせ描写に関して
示し合わせてプレイングを書かれる場合は、それぞれ【お相手のお名前とID】か【同じチーム名】を明記し、なるべく近いタイミングで送って頂けると助かります。文字数に余裕があったら合わせられる方々の関係性などもあると嬉しいです。
それ以外の場合でも私の独断でシーン内で絡ませるかもしれません。お嫌な方はお手数ですがプレイングの中に【絡みNG】と明記していただけるとありがたいです。
それでは皆さまのプレイングをおまちしております、よろしくお願いします!
第1章 冒険
『宇宙海賊を撃破せよ!』
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POW : 力押しで宇宙海賊退治!
SPD : 技量をみせて宇宙海賊退治!
WIZ : 魔法や策で宇宙海賊退治!
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●
宇宙海賊ワルーモン一味、第一隊長マッスール率いる宇宙海賊たちは目的の惑星を眼下にしていた。惑星側の自動防衛機械が感知し警告を発する。勿論そんなことで止まる海賊たちではなく、防衛機械は迎撃レーザーを放つ。
「 マッスルバリア!」
しかし、単身宇宙空間に飛び出したマッスールが、その磨き上げられた大胸筋を存分に誇示するようにポーズを決めると、謎の力場が発生し全てのビームを反射する。
「邪魔マッスル! マッスルビーム!」
続いて、上腕二頭筋と上腕三頭筋を存便にアピールして『魅せる』と高出力のレーザーが放たれ、無人の防衛機械は全て消し飛ばされる。
「はーはははは! さぁお前たち、いくマッスール!」
高笑いをしながらポーズを決めるマッスールの指示に従い、宇宙海賊の船団は惑星へ向けて進む。惑星の命運は最早風前の灯だった。
──
猟兵が到着する、今この瞬間までは。
スフレ・デザートマウス
「スフレ、希望の聖地オーンブルという場所は、君の言う「新天地」たり得るのか?」
「そんなの、行ってみなきゃ分かんないのデスよ、エクレア。
でも、そのためには、あのジャマなヤツらを懲らしめてやらなきゃいけないデス!」
「もとよりそのつもりだ。
間もなく目標地点に到達。気を引き締めろ、スフレ」
「バンカー・エクレア、現着」
「スフレ・デザートマウス、戦闘を開始するデス!」
ミーはこの程度の宇宙海賊でヤられるほどのヤワなネズミじゃないのデス
ミーを載せるバンカー・エクレアとの連携で、いくらでも
鉄杭を
ブッ刺してやるデスよっ!
ミーは自由に動いて撃破するので、他の猟兵との連携は取らないのデス
●新天地の前に立ちふさがる『
敵』は
鉄杭をブッ刺《バンカー》さされるのみ
随時送られてくる船からの情報。『彼』はそれを人を超えた反応速度で処理していく。
同時並行で己の状態を再度チェック。動力は出力を待機状態で稼働中。そして己が内部にいる『彼女』のバイタルも許容値を維持。
いくつもの情報を処理しながら『彼』、EK-0A バンカー・エクレアのコアユニットは今回の目的に付いて思索を巡らせる。
「スフレ、希望の聖地オーンブルという場所は、君の言う「新天地」たり得るのか?」
「そんなの、行ってみなきゃ分かんないのデスよ、エクレア」
コクピット内のスピーカー越しに放たれる
相棒からの問いかけに、スフレ・デザートマウス(
宇宙をかけるネズミ・f42505)はあっけらかんと返す。黒い瞼が閉じられた奥、金色の瞳が映すは在りし日の故郷。豊かさを求め過ぎたたかの故郷は、今は砂の棺に埋葬されている。
スフレは
故郷を背に
宇宙へと
翔た。その先にある
新天地を目指して。此度向かう希望の聖地オーンブルがそれ足り得るかはわからない。わからないからこそ、彼女は行くのだ。
「でも、そのためには、あのジャマなヤツらを懲らしめてやらなきゃいけないデス!」
瞼が開く、瞳が
モニターに表示された情報を視る。宇宙船のレーダーが宇宙海賊達を捕えた事を、相棒が教えてくれている。
「もとよりそのつもりだ。 間もなく目標地点に到達。気を引き締めろ、スフレ」
相棒の言葉に首肯しスフレはレバーを前に倒す。相棒の巨体が応じて
道へと一歩を踏み出す。踏み出した鋼の足を宇宙船の機構が固定する。眼前の暗闇を誘導灯が照らし、隔壁が開く。
「行くデス!」
「出力上昇」
出撃可能のサインが示され、船の機構が動きバンカー・エクレアは勢いよく射出される。背部のスラスターが稼働し、漆黒の宇宙に光の軌跡を描いてバンカー・エクレアが飛ぶ。
加速時に発生する微かな圧迫感に身をゆだねていたスフレの、大きな耳がピクリと動く。乗り手が彼女であることを前提に設定された音量で電子音が鳴る。モニターに目標の宇宙海賊の船団が映し出された。
「バンカー・エクレア、現着」
「スフレ・デザートマウス、戦闘を開始するデス!」
高らかな宣言と共に宇宙海賊舟に向かっていくバンカー・エクレア。宇宙海賊も接近に気づき砲門を向けてくる。
「熱源感知。数200。ミサイルだ」
「ミーとエクレアにその数でなんとかしようなんて、甘すぎるデス!」
迫りくるミサイルに臆することなく加速。ロックオンしたミサイルたちが進路を変えてぶつかろうとする刹那、逆噴射からのキャバリア上体逸らしという高等テクニックでミサイルを回避。よけられたミサイルは互いに激突、激しい誘爆を起こす。
バンカー・エクレアは爆風を背に受けて更に加速。迎撃レーザの網目を潜りながら海賊宇宙船の一隻に肉薄、次の瞬間激しい閃光が全てを包み込んだ。
「ええい、いったい何が起きてマッスル!?」
防衛機械を破壊し、いざ惑星に降下しようとしていたマッスール。しかし今彼は混乱の極みにあった。惑星とは別方向から接近する機影に部下が攻撃をしたのだが直後に部下の船が爆散する。無論マッスールはすぐに他の部下にも攻撃を命じる、しかし次から次へと部下の船は消し飛んでいく。
キャバリアだ。大型のキャバリアが一機。たった一機で船の間を駆け巡っている。
「ええい、相手はたった一人マッスル! 情けない奴等マッスルよ!」
部下ではらちが明かないとマッスールは単身飛び出す。キャバリアもマッスールに気づいたのかこちらへ向かってきた。
「なるほど、それで船を撃ち抜いているマッスルね」
大型キャバリアのアームに取り付けられているこれまた巨大なパイルバンカー。
目を見張るほどの巨大さは確実に対艦戦闘用だ。奴は船に肉薄してこれを叩きこみ撃沈させているのだ。
「くくく、甘い、甘いマッスル! 俺のマッスルバリアは戦艦の装甲を超える強度マッスル! マッスルバリア!」
ポーズを決めたマッスールの眼前に発生する力場。キャバリアはそのまま真正面から突撃しアームを引いてパイルバンカーを構え、全力で叩きつける。魔力制御された機構が駆動し、限界まで圧縮された力を解放、バリアに叩きつけられる。周囲の物体を吹き飛ばす程の衝撃波が走る。叩きつけられたパイルバンカーの先端は確かにバリアに食い込み、バリアにヒビが蜘蛛の巣のように走る……しかし、そこで止められる。
「ぐうぅ……ふ、ふははは! ちょっとよろけたけど効かないマッスル! このまま集中攻撃で粉みじんにしてやるマッスル!」
「ミーはこの程度の宇宙海賊でヤられるほどのヤワなネズミじゃないのデス」
巨大杭打機の一撃をバリアで抑え込み勝利を確認するマッスール。だが次の瞬間キャバリアのコクピットが開いてスフレが飛び出す
「な、なにマッスル!?」
「ミーの一撃、お見舞いするデスっ!」
スフレの腕に装着されているのもまたパイルバンカー。身に纏った宇宙服のスラスターを全開。相棒たるバンカー・エクレタの巨大パイルバンカーが叩きこまれた、その致命的な一点に己も叩きこむ。超圧縮蒸気が一瞬で解放され、パリーンと甲高い音を立ててバリアが砕け力場が消失していく。
「ば、ばかなぁマッスルぅー!」
マッスールはそのまま、大小二つのパイルバンカーの一撃を受けて吹き飛ばされるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「ブルーアルカディアで確認された『希望の聖地オーンブル』それはスペースオペラワールドにも存在を獲物として狙う第一隊長マッスール、下衆な賊風情が駆逐し撃滅するのみ!」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動してファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開し1分先の未来を見ながら敵の攻撃をテレポートで回避してリニアロングボウとレーザービームで攻撃を仕掛け敵を攻撃します。
敵に対して透明化し視聴嗅覚を阻害して敵を幻惑と混乱をさせて機会を伺い好機を見たらフルバーストで総攻撃を仕掛けます。
「外敵風情が到着できると思うか、悉く撃滅する!」
●月は静かに怒る
漆黒を黄金が
疾る。長く長くたなびく金色の髪を流星の尾として、芸術品の如き調和のとれた肉体を包む黄金のドレスと共に足元が霞む。
「ブルーアルカディアで確認された『希望の聖地オーンブル』それはスペースオペラワールドにも存在……」
陶器の如き白い肌に添えられた
朱がひらき紡ぐのは鈴のような美しい声。『人間』というものを究極的に美しく削ぎ落し整えたかの如き彼女は。その実確かに人ではない。召喚獣が人の形に造れらた器に宿った存在なのだ。
ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は与えられた情報を反芻する。既に別の猟兵との戦闘が開始されている眼前の敵。宇宙海賊ワルーモンの配下である彼らは、己らの介入が無ければ罪なき惑星の人々を獲物として狙い、蹂躙せしめるはずだった。
「第一隊長マッスール、下衆な賊風情が、駆逐し撃滅するのみ!」
ティティスの美貌に宿るは怒り。幻想物語に語られる真なる銀が如き双眸に剣呑な光が灯る。次の瞬間、彼女の体は月光の如き金色の光に包まれる。
光の中から飛び出したのは小型の飛行機械。ビットと呼ばれるそれらはまるで一つ一つが意思を持つ生物であるかのように無重力空間を踊り舞う。
「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄」
ティティスの本質は
幽魔月精。己の身体部位をそのエネルギーへと変換させることで、物理的に切り離されているビットすら己が一部として扱っているのだ。
現れた新たな敵に、宇宙海賊船は次々にミサイルを放つ。迫りくるミサイルを前に、ティティスは銀の双眸を開く。
「見えた、回避行動!」
金色に輝く肢体が跳ね、踊るように身を翻して紙一重にミサイルを避ける。間一髪の出来事、否、全ては彼女の『
想定通り』だ。
「くそ、何なんだこいつは!」
宇宙海賊船の中ではマッスールの配下が怒声をあげている。表れた邪魔者は異常な察知能力で攻撃を避け続ける。自棄になって、ありったけのミサイルを撃ち込むも更に追いすがる追撃のミサイルはシールドビットが防ぎ、高出力レーザーはリフレクタービットが形成する力場により弾かれる。
「……あ? ど、どこだ、どこいった!?」
そして、不意に敵がモニターから消失した。慌ててレーダーも確認するが全く検知できない。離脱したのか? しかしなぜ? その瞬間閃光と轟音に包まれ彼の思考はそこで途切れる。
当然だがティティスは戦場を離れてはいなかった。自身を透明化し攪乱したまでの事。そして宇宙船の心臓部たる動力炉を狙える位置に回り込む。
「全兵装起動」
ティティスの両肩の巨大なレーザーキャノン群に破壊のエネルギーが収束する。その手に握られた
超電磁式弓矢のトリガーに指がかかる。周囲を飛び交うレーザービットが全て一点を狙って静止する。
「外敵風情が到着できると思うか、悉く撃滅する!」
強き意思と共に全ての力が放たれる。一点集中フルバーストは宇宙船の硬い装甲を融解し、破砕し、貫通し、抉り、そして動力を撃ち抜く。
一瞬の間をおいて、均衡を奪われた動力炉が内側から吹き飛び、その爆発は船全てを包み込んでいく。悪徳と欲に塗れた暴虐の船は、漆黒の宇宙を一時照らす光となって、消えた。
成功
🔵🔵🔴
ミヤコ・グリードマン
希望の聖地ね、そこがどんな所か知らないけど、冒険があるなら行ってみるのが海賊魂ってものよね。
まずマリンブルーで出撃、敵艦に正面から向かうわ
「で、なんかアンタ達もうボロボロっぽいけど、もうこの辺りに近づかないってなら見逃してあげてもいいわよ?」
「…今、わたしのことガキって言った? 優しく言ってあげたのに…あんた達、全滅決定!」
マリンブルーからグリードワンに乗り換えてUCで宇宙海賊団を召喚
「今更後悔しても遅いんだからねっ!」
「雑魚は一人残らず包囲殲滅、ボスの相手はわたしがするわ!」
マッスールに単身突撃
念動力で拘束しつつ、サイコバレットでボコボコにする
「ご自慢の筋肉でどれだけ耐えられるかしらねっ!」
●筋肉宇宙海賊VS念動宇宙海賊
真空の闇を駆ける馬。否、馬を模した機械。それはミヤコ・グリードマン(海賊王女・f06677)の
愛機。
(「希望の聖地ね、そこがどんな所か知らないけど、冒険があるなら行ってみるのが海賊魂ってものよね」)
未知なる世界への冒険。それこそがミヤコの思い描く宇宙海賊の姿。対して紫水晶が如き硬質な瞳が映すのは、弱者を蹂躙し略奪する事を至上の悦びとするマッスールの配下たち。
彼らが乗っていた宇宙海賊船団は、他の猟兵の苛烈な攻撃によって大半が鉄屑と化し、無惨な残骸として漂っている。辛うじて船の機能を残す数隻も、まともに戦える状況にあるとは思えないほどのダメージを負っている。
「で、なんかアンタ達もうボロボロっぽいけど、もうこの辺りに近づかないってなら見逃してあげてもいいわよ?」
ミヤコの声音に暖かさは一欠片も無い。興味を引く聖地へ向かう前に行わなければいけない『ゴミ掃除』の手間を煩わしいと思っているに過ぎない。
「ふ、ふざけマッスル! お前のようなガキにこのマッスール様が引くなど、許されないマッスル!」
配下のと同様にマッスールもズタボロの状態だった。これまで強者として弱者を虐げてきた彼が、己自身が弱者に堕ちる事を決して認められない。ましてや、彼が妄信する筋肉など全く感じられない、細身の小柄なミヤコに負けを認める事は、彼にとって死ぬことと同義だった。
「……今、わたしのことガキって言った?」
「!?」
僅かな沈黙。次にミヤコの唇から放たれた言葉は、
摂氏−273.15度。しかし、その瞳の奥には
摂氏10の32乗度怒りが蠢いている。
「優しく言ってあげたのに…あんた達、全滅決定!」
高らかに宣言するとともに
愛機の背を蹴り跳ぶミヤコ。無重力空間に放り出されたその体を、背後から現れた巨大な手がそっと支える。
「いくわよ、グリードワン!」
そのままキャバリアのコクピットに乗り込むミヤコ。その身に宿す
超感覚が四肢の末端からコクピットを通じて
己が分身へ繋がり自己が拡張していく。
「今更後悔しても遅いんだからねっ!」
「ええい、まだ数の上ではこちらの方が上マッスル! お前らやるマッスル!」
完全敗北という結末が忍び寄って己が肩を叩こうとしている現実。それを認められぬマッスールは残った配下の宇宙戦艦で
グリードワンを包囲せんと指示を飛ばす。
「数の上では? 本当かしら?……船長の名の下に!出航!!」
ミヤコの号令が真空の宇宙に響く。込められた
超感覚の力は物理を超え常識を覆し、重力を変動させ空間を歪曲する。そして開かれた『門』より出現するのは、マッスールのそれを遥かに凌駕する大きさと優雅さを備えた宇宙戦艦。
──……!
「雑魚は一人残らず包囲殲滅、ボスの相手はわたしがするわ!」
音ならざる声がミヤコに届く。彼女の宇宙海賊船から出撃するのは無数の鉄の巨人。
巨大な高軌道人型兵器の軍勢。
。命潰えても尚、肉体を失って尚遺される意思、忠義。あぁ彼らこそ古に失われた亡国の王国騎士団。忠誠を誓いし尊き血に未だ従う
存在。
「ば、馬鹿な、こんな馬鹿な事があるかマッスル!」
ミヤコをを包囲するはずの配下が、それを圧倒的に上回る物量で包囲され殲滅されていく。これまでに負ったダメージ、数の暴力、そしてなにより洗練された騎士団としての技量を前にしては、弱者から蹂躙するだけの海賊の戦闘力など最早児戯に等しい。
「こ、こうなったら俺だけでも逃げマッス……ル!?」
部下を見捨てて無様に逃げようとしたマッスール。突如としてその体が硬直する。まるで見えない縄に眼柄締めにされているかのよう。慌てて筋肉に力をこめるが微動だにしない。
「わたしの
念動力。あんたの筋肉で引きちぎれるかしら?」
拘束されたマッスールに向かって単身突撃する
グリードワンから破壊の意思を籠めた念動力の弾丸が矢継ぎ早に撃ち込まれていく。
「ご自慢の筋肉でどれだけ耐えられるかしらねっ!」
「ぐああああ!? こ、こんな馬鹿なぁマッスール!!」
大爆発。激しい閃光に包まれて吹き飛ぶマッスール。斯くして宇宙海賊ワルーモン一味の企みは、その部下であるマッスールと共に宇宙の塵と化し、惑星の平和は守られるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『クェーサービースト・スクイカンタクル』
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POW : SVCヴィジリウム
【自身を認識した者にとって最も幸福な幻想】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD : SVCスクイウス
戦場全体に、【自身を認識した者にとって最も不幸な幻想】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : SVCテンタクアム
自身に【自身を認識した者にとって最も恐れる幻想】をまとい、高速移動と【恐怖を煽り、トラウマを想起させる幻想】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●
宇宙海賊の脅威から紙一重の所で守られた惑星では、救った猟兵達は大歓待を受けた。
英気を養い十分な装備を補充した猟兵達はいよいよ、今回の旅の本命である希望の聖地オーンブルへ向かう。
人跡未踏の宙域を超えると、やがて眼前に漆黒の宇宙に浮かぶ大地が現れる。煌めく水晶と、生命力溢れる植物に覆われた大地は、ただただ静かに宙域に佇んでいる。希望の聖地オーンブルに着いたのだ。
しかし、宇宙船に向かって幾つもの巨大な飛翔体が迫る。無数の触腕を備えた軟体のクエーサービースト『スクイカンタクル』の群れだ。聖地へ近づこうをする者を幻想の眠りへ沈める脅威。これを排除しない限り目的は果たせないだろう。
猟兵達は各々の準備を整えて出撃していくのだった。
スフレ・デザートマウス
「座標データ照合、オーンブルに接近。スフレ、目視できる位置まで来た」
ミーはアストラルの艦橋から窓の外を見て、やっと新天地(かもしれない)地にやってきた、と思ったのデスが……
『……フレ、スフレ』
……えっ、ココは、ドコデス?
ってあれ?
『何寝ぼけてるのよ、スフレ』
『また悪い夢でも見たのね。ほら、こっちへおいでなさい』
ミーはカーさんのユメを見せられて身動きが取れなくなる、デスが……
「スフレ!!!」
その時、ドコかから聞き馴染みのある声がして、すると意識がクリアになって……
気づけばエクレアが巨神で闘ってたのデス!
エクレアは巨神ゆえに、敵の幻惑が効かない……
だからミーを助けて一人で闘ってくれていたのデシタ!
●
杭よ、偽りの幸福を貫け
「座標データ照合、オーンブルに接近。スフレ、目視できる位置まで来た」
「いよいよデス、どんな所か楽しみデスね!」
「警告、高速で接近する飛翔体多数。精神干渉波形を検知。いかんスフレ!」
──。
「……フレ、スフレ」
「んっ……」
「ほら、もう朝なんだから起きなさいスフレ」
微睡みの中、スフレ・デザートマウス(宇宙そらをかけるネズミ・f42505)は優しく肩を揺すられる。
「……えっ、ココは、ドコデス?」
スフレの瞳に飛び込んできたのは、開かれたカーテンの間から飛び込んできた暖かな日の光。カーテンを掴み逆光で影を落とされた人影が言葉を紡ぐ。
「何寝ぼけてるのよ、スフレ」
「……カーさん……?」
母が居た。かつての姿で、スフレの記憶にある姿で、当たり前のように其処に立っていた。
「また悪い夢でも見たのね」
ベッドから身を起こして呆然とするスフレ。その姿を見た母は呆れたような顔で寝坊助の
娘を見る。
夢。夢、だったのだろうか……平和な日々が、大切な人たちとの時間が、何もかもが砂の中に沈み、
宇宙の果てに
新天地を求めた旅の日々。あぁ、確かに。言われてみれば長い、とても長い夢を見ていたような気がする。きっと昨晩遅くまで読んでいたあの冒険小説に影響を受けてしまったのだろう。機械の巨神の相棒と共に大宇宙を駆け巡る冒険小説を。
──相棒?
スフレは己の思考に引っ掛かりを覚える。なんだろう、今何か、絶対に忘れてはいけない何かが掠った。掠ったはずだ。改めて考えようとすれば酷い鈍痛が頭を襲う。でも、考えなければいけない何かの筈で……。
「……ほら、こっちへおいでなさい。寝坊助さん」
その時、人影がスフレをそっと抱きしめる。優しく頭を撫でられると嘘のように痛みが引いていく……同時に、今さっき考えていた事も泡がはじけるように消えて……。
ぱきり。
──……フレ。
「ミーは……」
動かなければいけない。そんな焦燥も母の胸の中、暖かさと鼓動を感じれば春を迎えた節減のように溶けて……。
ぱきり。
──スフレ。
あぁ、もう一度瞼を閉じて、このままずっと、ずっと……。
ぱりん。
……なんだろう、先ほどから耳の奥で微かに、何かが割れるような。誰かが呼ぶような……。
ぱあんっ!!
スフレの眼前が、
あり得ない失われた日常の光景が、放射状のヒビを走らせ砕け吹き飛ぶ。空間の向こうから覗くのは巨大な
杭。鋼の巨拳が握るそれは。
「スフレ!!」
「ハッ!?」
次の瞬間、全てが反転する。柔らかなベッドも、暖かな自然の日差しも、柔らかな母も、全ては遠き過去の幻想だ。スフレが倒れているのは己が船の艦橋。冷たい無機質のタイルの上だった。
「脳波の覚醒状態を確認。ようやく起きたな寝坊助」
「エクレア!」
艦橋の外では無数のスクイカンタクルの間を
相棒の鋼の巨体が疾駆している。スフレがスクイカンタクルの幻想に囚われて意識を喪失した直後に、単独出撃をして戦っていたのだ。
「っ!」
現状を理解したスフレは即座に宇宙に飛び出せる装備を付けて飛び出す。背負う工作装置で即興で使い捨てのロケットブースターを作り加速。スクイカンタクルの間を縫ってバンカー・エクレアの元へ向かう。
「進路予測、ランデブーポイント設定」
「邪魔デスよー!」
無茶な使い方をして暴発寸前のロケットブースターを手放して、新路上の邪魔なスクイカンタクルを吹き飛ばすと、慣性に身を任せて飛ぶスフレ。バンカー・エクレタは正面からコックピットを開いて迎え入れる。
「エクレア助けてくれてありがとうデス!」
「問題ない。それが私の存在理由だ。さぁ行くぞスフレ。ユーハブコントロール」
「アイハブコントロール! 希望の聖地、拝むためにもうひと踏ん張りデス!」
スフレが操縦士、
コアユニットがサポートをする。最強タッグの巨神は次から次へとスクイカンタクルを串刺しにし、未知への道を切り拓いていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「巨躯を活かさず幻惑か…面倒な、対処し発見次第撃滅し駆逐する」
パルスを照射しながらファンネルビットを創造して展開し構造と硬度を計測して「相当な硬度だ、150機数体にて対応する」とテレポートを駆使しつつマップを構築して行きパルスに乗せて猟兵との接触(コンタクト)が出来れば情報交換をしながら迷路攻略を計ります。
状況田戦況に対しての警戒を怠らずに常に万全な体制を敷いてトランスフォーメーションを準備しながらSPDを活かした最速の速度で移動を繰り返して素早く迷路のマッピングを行ない完了出来たら「正解航路を映像化し提出する、参照に」と猟兵に伝えながら迷路攻略に活路を見出します。
●月光は全てを照らし出す
「巨躯を活かさず幻惑か…面倒な、対処し発見次第撃滅し駆逐する」
銀の瞳鋭くティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)が毒づく。彼女の前には無機質な通路が伸びる。前方後方と左右、そして頭上に足元、あらゆる方向に通路はあり、その先は曲がり角だったりさらなる分岐が見える範囲だけでも無数に存在してている。内部に入った者は惑わせられ囚われ無限を永遠に彷徨い続ける……すなわち、迷宮。
ティティスがファンネルビットを創造し、迷宮の壁へレーザーを放つ。無機質な壁が一瞬眩く照らされるも、大きな変化は見られない。
「相当な硬度だ、150機数体にて対応する」
レーザーの結果を見て、壁のおおよその硬さを算出したティティスは、さらなる増援を出そうとして……。
片膝を付いた。
「!?」
希代の美術家が手ずから作り上げたかのような、『人の顔』という芸術品として徹底的に美を追求せしめたかの如き完璧な容貌に、珍しく困惑の色が浮かぶ。
器が、ティティスの意図せぬ挙動をしたのだ。
ティティス・ティファーナとは、
幽魔月精と呼ばれる存在だ。形無きそれはアダマンチウム超合金から成る骨格と、ケミカルプラチナム溶液流動金属の体液に宿っている。我々がこの三次元世界において目にする、超絶の美貌を備えた美しい女性の姿は、それらを収める器、すなわち『魔力ある機械身体』である。ティティスを守る鎧であり、この世界に介入するためのツールでもある。
その器が今、ティティスの意を汲み取らず、膝を付いた。魔力的な通信ラインの途絶、それは
可能性としてはあり得ない事ではないが、確率的に無視してよいほどの可能性。それが
ただただ不幸にも今起こってしまった。
「これも幻惑の一種か」
天文学的低確率の不幸、それをティティスは現実ではないと判断する。スクイカンタクルの幻想に呑まれたティティスの認識が狂わされ、器が動かせないと感じてしまっているのだ。
「原状回復が困難であれば次善策に以降する」
次の瞬間、ティティスの器が光り輝く。黄金の月光色。
「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄」
ティティスは魔力ある機械身体である器を、
幽魔月精のエネルギーへと変換したのだ。いつまでも無限に出来るわけではないが、これで一時的に器と自身の境界は意味を成さない、天文学的確率の不具合などあり得ない。
次の瞬間、ティティスの体が動く。周囲に侍るは150機のファンネルビット群。大収束させたレーザーで通路を開き、物理を超越したエネルギーの状態の体でテレポートを駆使する。瞬く合間にティティスの脳内に大迷宮の正確なMAPが形成されていく。
「正解航路を映像化し提出する、参照に」
他の猟兵達が使っているであろう通信回線に割り込み、完成したばかりのMAPの思念情報を送ると、自らも脱出するべく出口へ、月光色の流星となり、尾を引いて飛んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミヤコ・グリードマン
展開した部隊を終結後、わたしは戦艦に乗り込んでそのまま進軍
「以前も戦ったけど、クェーサービーストって、なんか…意図的に配置されてるような…気に入らないわね」
これは…精神感応波? これで幻想を見せるわけね、一体何を……!?
確認するとソコに見えるのはイカじゃなくて…
「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁァっ!?」
口にするのもおぞましい両生類っ!?
「ゴーストリーダー以下、全機に命令っ!目標は細胞の欠片も残さず焼き尽くしなさいっ、いいわねっ!!」
命令を出した後は艦をシールドで覆うっ!
マリンブルーが指揮がどうとか言ってるけど、もうほとんどパニック状態
「任せるっ! アレだけはっ、絶対に無理っ!」
●海賊王女絶体絶命の日(当社比)
海賊戦艦の艦長席で、モニターに表示される己の部隊と、接近してくるスクイカンタクルのポインターを眺めながらミヤコ・グリードマン(海賊王女・f06677)は不快そうに息を吐く。
「以前も戦ったけど、クェーサービーストって、なんか…意図的に配置されてるような…気に入らないわね」
もし彼女の感じたことが真実なのだとしたら、それは何者の意図か、そして配置された先にあるものは何なのか。未だ光照らさぬ宇宙深淵が如き謎を浮かべるミヤコの思考に、突如としてノイズが走る。
「これは……精神感応波? これで幻想を見せるわけね、一体何を
……!?」
次の瞬間、ミヤコの瞳はかつてないほどに大きく開かれる。紫水晶に映し出されたものは、彼女にとって既知であるイカのような姿をしたクエーサービーストのそれではなく……。
「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁァっ!?」
口にするのもおぞましい両生類だ。様々な色合いと模様をした体を見せつける、水かきのついた四足の生命体。モニターに表示されるスクイカンタクルの反応と同じだけの大群が、まるで水面を泳いでるように真空を掻いて進んでくる。
まん丸の大きな目玉がギョロリと一斉にミヤコをねめつける。
──げぇこ。
真空では伝わる筈のない鳴き声が、精神感応経由でミヤコの脳髄に突き刺さった時。
「%△#?%◎&@□!!!」
艦内では人間の聞き取れる限界をちょっとばかり飛び越えた程の高周波な悲鳴が響き渡ったのだった。
一方、戦艦周囲の宙域では
巨大人型兵器の軍勢とスクイカンタクルの群れが激突していた。否、
カエルではない。きちんとスクイカンタクルが、だ。
それもその筈。ミヤコはスクイカンタクルの力で幻想に呑み込まれている。彼女にとっても最も忌み、恐れる、最強最悪の幻想、すなわち、
ぴょこぴこげこげこする輩である。
だから。
「ゴーストリーダー以下、全機に命令っ!目標は細胞の欠片も残さず焼き尽くしなさいっ、いいわねっ!!」
悲鳴とも怒号ともつかないそんな指示の後で、戦艦が超強力なシールドで身を包み一切の指示が途絶えてしまったことに、当のリーダーたるゴーストは当惑してしまっていた。リーダーが知る限り、忠誠を誓う尊き血統の末たる海賊姫がここまで役割を放棄してしまう相手等、
ぴょんぴょんげろげろ野郎ぐらいだからだ。
いつの間にかイカもダメになっていたのだろうか、等と思いながらもリーダーは部下と共にスクイカンタクルに立ち向かう。しかし高速移動モードになっているスクイカンタクルの速度はすさまじく、包囲しようにも逃げられ、離れた距離から射撃をしてもまるで当たる様子を見せない。
対処するには、戦艦からの俯瞰による指揮が不可欠だと判断したリーダーは、支持の要請を飛ばす。しかし一向に船からの指示は無かった。
「ああぁぁ、もう最悪!」
一方ミヤコは艦長の席で顔を覆っていた。見たくないのだ。
そんなミヤコに機械の馬が近づいてくる。彼女の愛機たるそれはミヤコに寄り添い頬ずり。
「ゴーストリーダーより指揮要請」
機械音声が流れる。指揮、指揮だと? 指揮というのはつまり部隊がどのように立ち回るか考えて指示を飛ばす事で、指揮をするということは当然敵の動きを把握しなければいけないわけで、そうなってくると敵を見ないわけにはいかなくて……。
「任せるっ! アレだけはっ、絶対に無理っ!」
再び響く悲鳴とも怒声ともつかぬ声。
愛機はしばし停止したのち、それを主からの指揮権譲渡であると解釈すると、部隊を指揮するために外へ向かう。
宇宙船のバリアが解除されるまでは、いましばらくの時間を要するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
狛日・壱景(サポート)
「よしゃ!助太刀するぜ!」
口調:元気な大型犬(俺、~くん、~ちゃん、だ、だぜ、だな、だよな?)
楽観的で義理人情に厚い男です。子どもの前では近所でよく遊んでくれるにーちゃんみたいになります。あとおバカです。ギャグ要員でも何でもござれ。
戦闘では脳筋プレイを好みます。大剣を「相棒」と呼び、基本的に【エンジン重撃】で加速し【アクセルコンボ】で戦います。攻撃は【武器受け】し、そのまま突進することも。
共に戦う者はみんな大切な仲間と捉えて連携を重視します。救助対象の話は親身に聞き、安心してもらえるように接します。
UCは全て使用し、積極的に行動。他者への迷惑行為や公序良俗に反する行動はしません。あとはお任せ!
●摩天楼を断つ
猟兵達の活躍によって順調にスクイカンタクルの数は減っていく。戦いの間に時は流れ、惑星の間から恒星が顔を覗かせる。地上に置いての暁が如き光が希望の聖地を照らす。
「よしゃ! 助太刀するぜ!」
暁を背に受けて狛日・壱景(双焔竜のコマさん・f41911)が飛び出した。装備品の性能を存便に生かした高機動での間を縫うように飛ぶ。しかし。
「うお、なんだこりゃ!?」
不意に周囲の景色が著しく変化する。宇宙から地上へ、摩天楼が建ち並ぶ近代的な都市。その中でも一等高いビルの屋上に壱景は立っている。
「こりゃまた、いい眺めだな」
口笛を吹いて上機嫌の壱景。何を隠そう彼は高い所が好きだ。彼の世界に存在する究極のオンラインゲーム『
GGO』でも、高い建物のオブジェクトに昇って見たり、高い所にあるダンジョンに挑んでみた事がある。
(「やっぱり高い所はいいな。リアルじゃこうはいかない」)
壱景は己が生きる『
統制機構に支配された世界』に思いを馳せる。彼のリアルは医者になる未来を決定づけられている。他人を治療し救う役目を押しつけられた彼には、自分の意思で好きな景色を眺めに行く自由すらないのだ。
「……しかし、いやうん。スクイカンタクル、だっけか?」
たっぷりと景色を堪能し、壱景は己が精魂込めて作成した
この体の瞳を細める。
「作り込みが甘いぜ、エンジョイ勢とは言えGGOやってりゃ仮想現実に対して目も肥えてくるってんだ」
ニヤリと笑って自身のインベントリから武器を取り出して装備。壱景の両手に握られているのは、分厚く、無骨で、凄まじい威圧感を放つ大剣だった。壱景が握るだけで、重さに耐え兼ね立っているビルのアスファルトが陥没する。
あまりにも、あまりにも重すぎる武器だ。事実壱景のステータス画面には装備重量がオーバーし各種ペナルティが発生している事を告げるアイコンが表示されている。このままでは戦うどころかまともに武器を振るう事すら出来ないだろう。
「スキル、発動!」
だから壱景は習得スキル一覧からタンク・オブ・スティールを選択する。彼の体を包むように
強化を示す燐光が灯り、ステータス画面には
ETと
CTのタイマーも出現その逆に先ほどまで表示されていた装備重量過多によるペナルティの表示が全て消える。
「いくぜっ!」
壱景の掛け声に呼応し、大剣から激しく蒸気が噴き出す。己の脚力と上記の力で、
この光景の中で一番高いビルから、更に上へ、空へ跳ぶ。
「せりゃぁっ!!」
気合一閃。降りぬかれた大剣は空を斬り裂き、幻想の破綻を起こす。一枚の布のように切れ目からはためく空の向こうには、
もっと高い場所。
「おりゃあっ!!」
斬り裂かれた空から幻想は崩壊していく。空がビルが、ガラスの結晶のように砕けて散っていく。その中を壱景は蒸気を再噴射して
世界のどこよりも高い場所から落ちる。加速、加速、さらなる加速。暁の風となって崩れ行く世界を斬り裂いていく。幻想のヴぇールの向こうにいる
敵を屠っていく。
全ての幻想が砕け散った時、スクイカンタクルの姿ももう無かった。
そして猟兵達の前に、謎に満ちた未知への道が開かれていた。
「クエスト、クリアだな!」
成功
🔵🔵🔴