猟兵達がスカルヘッドを撃破してから数日後。
空母大鳳が寄港中のイーストガード海軍基地は、未だ喧騒と熱気の最中にあった。
戦況は一旦の終息に至った。しかし束の間の安寧でしかない。大鳳を含む日乃和軍の派遣戦力は、当面イーストガードの港が根城となるだろう。
熱気と言えば支倉・錫華(Gambenero・f29951)もであった。
夜間となって幾分静かになった大鳳の艦内通路を進む錫華の身体は、ほんのりと湯上がりの熱を帯びていた。惜しげもなく露わにされた腰と太腿の肌、そして薄く緑が掛かった黒髪からは、艶めかしい石鹸の香りが匂い立つ。歳を18とするには大人びた体付きが放つそれは、すれ違う者の瞳を追わせる女の香りだった。
錫華は影の如く足音一つ立てずに、軽やかな足の運びで歩く。普段通りの何喰わぬ顔の奥に、期待に心を弾ませているとも思えなくもない色彩が微かに滲む。
居住区画の通路を進んでいた錫華の足がとある部屋の前で止まった。扉の横に備え付けられた端末に指を伸ばす。
「那琴さん、栞奈さん、お待たせ。約束通り来たよ」
端末に向かってそう声を掛ける。すると扉の施錠を示す赤いランプが解錠を示す緑に転じた。暫く間が空いていたのは部屋主が決めかねていたからだろうか? 或いは二人の間で意見が対立したからだろうか? いずれにせよ答えは示された。
錫華は通常の扉であればノブに相当する箇所に手を触れる。空気が抜けるような音と共に扉が横に滑った。鼻孔を石鹸の香りがくすぐる。風呂上がりの女の香り……錫華が纏う香りと同じ香りだ。
室内は照明が落とされていて薄暗い。部屋に入った錫華の後ろで扉がひとりでに閉ざされた。
季節が季節だからか、空調こそ効いている割りには温度が少し低く感じる。
身体を休める場所と割り切った室内はやや手狭だった。ベッドが二つ置いてあるだけで、あとは壁に沿って配置された長机と椅子以外に家具らしいものは見当たらない。いっそ殺風景と思える光景だ。
「ほ……本当になさるんですの……?」
那琴が所在無さそうにしてベッドの傍らに立つ。オリーブドラブのTシャツにカーゴパンツといった地味な身なりだった。様子を伺うようにして伏せた面持ちは微かに紅潮している。
「錫華さんの前だからってそんなウブアピールしなくても」
緊張しているとも思える那琴に対し、ベッドの上で胡座をかく栞奈の顔は緩い。灰色のスポーツタイプのインナーは無難なデザインからして官給品であろう。床に脱ぎ捨てられたTシャツとカーゴパンツを目に入れた錫華は、栞奈がもうやる気になっている事を察した。
「嫌?」
錫華は那琴に対して至って自然に尋ねる。
「こういうのは……その……」
那琴は視線を外して語尾を濁す。
「いっつもしてるじゃん」
「いつもではありませんわよ!」
茶化す栞奈に那琴が鋭い声を飛ばす。
「じゃあ偶にしてるんだ?」
何食わぬ顔の錫華が問う。那琴は更に顔を赤くしてすっかり下を向いてしまった。
「錫華さーん、ナコはほっといてさ、あたしの事慰めてよ」
双眸を細めて口角を上げる栞奈。普段は少々不良が入った体育会系少女といった雰囲気だが、部屋に降りる風呂上がりの匂いと薄暗闇が健康的な笑みに蠱惑を落とす。
錫華が歩み寄ると栞奈は足を崩してベッドに仰向けとなった。
「わ! やっぱエロい下着着てた」
栞奈が感嘆とも好奇とも思える声を発した。
衣擦れの音と共に錫華のセパレート型の衣装――パスクア・スタイルが床に落ちると、肢体を包む下着が露わとなる。黒くて薄手のレースのそれは、艶めかしい体付きをより強調する扇情的なデザインだった。
「そいや錫華さんって何歳?」
ベッドに上がり込んだ錫華は、膝立ちの姿勢で栞奈に覆い被さる。
「18」
「ウソ? 18でこれ?」
信じられないと顔で言っている栞奈の目を辿れば、錫華の胸に行き着く。谷間を作るほどに豊かに実った房は、重力に引かれる事でより存在感を増していた。
錫華は栞奈の胸に目を落とす。スポーツタイプの下着に覆われた二つの丘は、良く言えば健康的だ。
「ん、かわいい」
栞奈にしなだれかかると頭の横に唇と近付け、掠れるほど小さな声で囁く。甘く生暖かい吐息に耳を撫でられた栞奈は「あはっ」とくすぐったそうに笑った。
「慰めて」
お返しとばかりに栞奈が耳元で囁いた。背筋を神経のざわめきが駆け登る。
錫華が栞奈の首筋に唇を押し付ける。栞奈が錫華の背中に腕を回した。
「ん、ん……」
頭を撫で、肩を撫で、鳥が啄むような口付けを連続すれば、栞奈の喉から悩ましい声が溢れる。
熱を帯びた肌を舌先でなぞり、肩へと至る。そして鎖骨に顔を埋めながら、栞奈の上体を撫で回していた手を、胸を覆い隠すインナーの中へと潜り込ませる。
「んあっ」
手のひらに収まる程度の丘を掌握すると、栞奈は胸を逸して身体を跳ねさせた。
「弱いとこ見つけた」
けれど錫華の舌先は更に下方へと降りてゆく。
道すがら栞奈の顔を伺うと、余裕の笑みの奥に切なげな瞳が揺れていた。
「うひゃ!」
なんとも調子が狂う嬌声が飛んだのは、脇腹を唇で噛んだ時だ。少し歯を立てて連続で甘噛みしてやる。すると栞奈は腹を震わせながら「ちょっと待って」と堪えた黄色い笑い声を発した。ここも弱点と言えば弱点なのだろう。
「おおう……錫華さんってさぁ、結構ねちっこ……んおっ」
腹から更に降りた先、下腹部に口付けすると、留め難い太い吐息が溢れた。きっとこの肌の下は――錫華の這いずる舌は太腿に向かう。
舌から伝わる体温もかなり高まってきた。ほんのり塩の味を含んでいるのは発汗が故だろう。女子特有の甘ったるい体臭とシャワーを浴びたばかりの石鹸の香りが混合し、鼻孔から吸い込む空気に脳の奥が痺れるようだ。
そして脹脛を辿り足の甲からつま先へ。指を口で愛撫すると、栞奈はまたしても黄色い笑い声を漏らした。くすぐり倒してもそれはそれで面白いかも知れない。息を切らして笑い転げる栞奈の姿が脳裏に浮かぶ。面白そうだが……また別の機会の楽しみにとっておこう。今夜は慰める為に来たのだから。
錫華は上体を起こす。見下ろす栞奈は身体をベッドに沈め、胸で深く呼吸している。顔はすっかり朱色にのぼせ、蕩けた目がこちらを見返す。柔肌はすっかり汗ばんでいた。
「錫華さん……めっちゃ慣れてない?」
強がりか照れ隠しか、栞奈の震えた声音は失笑混じりだ。
「傭兵だから」
「えー? 傭兵ってこんな事もするの?」
「時々ね」
「今まで何人位?」
「もう数えてない」
「ちょっと引いた」
「でも女の子相手は久しぶりかな?」
錫華が栞奈の両膝に手を掛ける。そしてゆっくりと外側に向かって力を加えた。
栞奈は抵抗するでもなく両脚を開いて身体をさらけ出す。そこへ入り込むようにして錫華の身体が覆い被さった。
獲物に這い寄る蜘蛛の如く、錫華の指が太腿を登る。栞奈は喉から呼吸音を鳴らしながら凝視していた。
「ふぅっ! うぅ!」
栞奈の身体の中心点を人差し指で押し込む。肺の空気を押し出すような嬌声が上がった。インナーに黒い楕円の染みが浮かんだ。
「ん、ん、ん!」
更に連続して人差し指で押す。押した回数だけ閉じた口から嬌声が返ってくる。そして湿った染みも一回押す毎に拡がった。
下準備はもう十分。そう見込んだ錫華はインナーの布を横にずらす。状態は想定通りだった。じっくりと時間を掛けて解した甲斐もあってか、栞奈の身体は既に蕩けきっている。
「ふぁっ……!」
指で縦になぞる。すると栞奈は結んでいた唇を開いて上体を反らした。錫華によって否応無しに開かれてしまったのだ。
錫華の指の律動は止まらない。規則的な動きで上下に擦ったかと思えば突起に爪を掛けて弾く。
「いひゃっ!?」
跳ねた栞奈に錫華は鼻を鳴らす。
「気持ちいい?」
「ま、まあまあかな?」
余裕を感じさせる言葉とは裏腹に喉は震えている。
「じゃあこれは?」
錫華は持て余している片手で栞奈の胸のインナーをめくった。露出した二つの丘陵の内、片方の頂点を親指と人差し指で摘み、もう一方を舌先でつつく。
「ちょ、あ! やばいかもぉっ……!」
噛んだ歯を見せながら顔を逸らす栞奈。錫華は追撃を加えるようにして胸に吸い付き、下腹部の突起を指先で転がす。栞奈の呼吸が不安定になり、身体が小刻みに震え出す。だがとどめには至らない。
「栞奈さんって結構頑張るね?」
錫華はなんだかプライドが傷付けられた気がした。
経験ならこちらの方が遥かに上。
もっと簡単に落とせると思ったのに。
上体を起こし、栞奈の胸を弄んでいた手を下腹部へと移動させる。
「たぶんこっちの方が弱いでしょ?」
どこか冷ややかな錫華の声色に栞奈の苦し紛れの微笑が引き攣る。
「こっちってどっち……んおぉぅ!?」
臍と股間の中間地点を強く押し込む。そして円の動きを加える。すると先程までとは異なる低い音域の嬌声が飛び出した。
「これは初めてかな?」
「ほぁっ、初めて……かもぉ!」
初めて聞く栞奈の声に錫華は我知らず口角を歪めていた。
だがこんなものではない。栞奈の中心に添えた指が溶き解された内部に難なく侵入を果たす。
「ひっあ!?」
侵入の違和感に栞奈の背が跳ねる。
「どこかな? ここかな?」
片手では下腹部へのマッサージを継続しながら、内部を指先で抉るようにして探り回る。粘質な水音が室内に充満した。そして腹部に面した一点――ざらついた触感の部分を引っ掻いた瞬間、栞奈の身体は電流を流したかのような反応を示した。
「いひぃっ!?」
白羽井小隊のエースらしからぬ悲鳴。弱点を探り当てた錫華はそこを執拗に指先で抉り込む。外部から円運動の重く深いマッサージを加えつつ。
「ちょぉっ! 錫華さ……! それヤバ、いひぃぃっ!」
「気持ちいでしょ?」
暴力的ですらある刺激に栞奈は足を閉じようとするも、錫華は身体を割り込ませる事で阻止してしまう。滲み出る体液はシーツに大きな影を作っていた。
「ヤバ、いっ……いくっ! ほんとヤバいって! いっちゃうからぁっ!」
「ん、いいよ? いっちゃえいっちゃえ」
下腹部を押し込む力を強め、内部の壁を抉る速度を加速させる。
身をくねらせて逃れようとする栞奈を、錫華は冷酷無比に追い詰める。やがて栞奈の腰が浮き上がり、嬌声が悲鳴へと転ずる。
「ほらいっちゃえ、いけ」
「ひいっ!? いっぐぅぅぅぅっ!」
内外から一点を強く押し込む。断末魔が部屋に反響する。背中を弓なりに反らし、腰を突き上げる格好となった栞奈。無色の体液が噴出し、ベッドの上に飛散した。
硬直した身体が戦慄き、姿勢を維持しているだけの力を失って崩れ落ちる。再びベッドに沈み込んだ栞奈は、まだ色濃く残る残滓に全身を震わせながら、呼吸の度に肩と胸を荒く上下させていた。
「どうだった?」
覗き込んだ栞奈の顔はすっかり放心状態だった。
「す……すごかったぁ~……」
絶え絶えの息でようやく発した声は疲労と充足感に満ちている。
「お気に召してくれたようで何より……」
「ん……んんっ……」
呼吸を整えるのもままならない栞奈の口に、錫華は容赦なく唇を重ねる。火照った鼻息が顔に掛かる。舌を差し込むと唇はあっけなく開かれた。そして熱を帯びた舌が出迎えてくれた。部屋中に伝う程の音を立てて舌同士を絡め合わせ、唾液を交換し合う。まだ苦しいにも関わらず健気に喉を鳴らして唾液を飲み込む栞奈に、錫華は下半身が煮えるような感触を覚えた。
酸欠の目眩に酔いしれながら唇と離す。自分と栞奈と繋ぐ銀の糸が名残惜しくも切れてしまう。
「じゃあ次は……」
錫華は口元を拭いながらゆっくりと振り向く。那琴の両肩が露骨に跳ね上がった。
「那琴さん、おいで?」
唇だけで薄笑いを作る。一方の那琴は蛇に射竦められた鼠の如く身体を硬直させていた。
「い、いえ……わたくしは遠慮して……」
那琴は目線を外して顔を俯ける。
「な~に言ってんのさ!」
「ひゃあ!?」
いつの間にかというべきか、もうと言うべきか、復帰した栞奈が那琴に忍び寄り、襲いかかった。そして暴れる那琴を羽交い締めにしてしまう。
「栞奈! お止めなさい!」
「さっきガン見してたくせに! ナコも錫華さんに気持ちよくしてもらお?」
栞奈が那琴をベッドに連行した。そこへ錫華が覆い被さる。流石のフェザー01と言えど二人がかりではどうにもならない。
「栞奈さん、上脱がしちゃって」
「はーい」
「錫華様まで……! ちょっと! お止めになって!」
二人の連携によって那琴はスポーツ系の下着姿に剥かれてしまった。下着自体は何とも色気が無いがこれはこれで……錫華の中の肉食獣が涎を垂らす。
素肌を露わにした那琴の肢体は、同年代の栞奈とは似通いつつも対照的だった。
栞奈が健康的だとするならば那琴は女性的と言えるだろう。
軍隊生活で鍛え上げられた肉体は無駄なく引き締まり、それでいて実年齢以上に大人びたふくよかさを持っている。特に胸の双丘のボリュームは栞奈の倍以上だ。パイロットスーツの上からも主張はしていたが、こうして下着姿で間近にすると、普段より一回りは大きく見える。臀部の厚みも栞奈以上だ。
「……びっしょびしょじゃん」
視線を下げた際に思わず口走ってしまった。灰色の下着が黒くなっていたからだ。股間の部分だけ。
「見てただけでこうなっちゃったの?」
意地悪く尋ねると那琴は唇を固く結んで顔を背けた。
「我慢出来なくていじってたんだよねー?」
そこへ栞奈が追い討ちに加わる。
「そうなの?」
「気付かなかった? 途中からずっといじってたよ? ナコはスケベな子なんですよ~」
頑として口を閉ざす那琴に代わり、栞奈が下衆めいた笑みを添えて答える。
錫華の中に冷たく黒い衝動が湧き上がった。
この子をどう溶かしてしまおうか。追い詰められた状況でも、まだ凛然とした雰囲気を保ち続けている顔が崩れる所を見たい。自分の手によって乱れさせて悶えさせて、最後には泣きながら許しを請わせたい。全身の肌が泡立つようだ。
「栞奈さん、そのまま抑えておいて」
「は~い」
錫華は那琴の耳元に唇を近付け、そっと囁く。栞奈にした時のように。
「本当に嫌?」
「ふぁっ……」
固く結んだ唇は呆気なく解けてしまった。震えた声が溢れる。
「嫌ならやめるけど?」
耳に吹き込むと、悩ましく身体を捩る。
錫華は思った。
「……敏感過ぎない?」
「あたしが頑張って開発しましたから」
栞奈は褒めてと言わんばかりに誇らしく鼻を鳴らす。
「栞奈! 余計な事を……んぅっ!?」
唇で続きを遮る。舌を侵入させようとするも、また閉じてしまった唇に遮られてしまう。だが横に数往復しただけで堪らず開かれた。だが今度は舌が最後の抵抗を試みる。
「ん、んんぅ……! ふ……んん~……!」
封をする那琴の舌を舌先でつつき、舐め上げる。するとまたしても容易く障壁は破られた。
錫華の長い舌が那琴の口の中に入り込む。もはや抵抗も障害も無く、むしろ口腔を蹂躙する舌に対して接待でもするかのように絡んでくる。蠢きは積極的ですらあった。情欲を煽られた錫華は那琴の頬に両手を添え、舌を更に奥へと侵入させる。口腔を越えて奥へ。咽る那琴にも構わずに。
背中に腕が回される感触があった。那琴の腕だ。錫華が那琴の唾液を貪る度に背中を撫で回してくる。さらには両脚まで回され、那琴にしがみつかれる格好となってしまった。
「あ~あ、ナコのスイッチ入っちゃった」
「んんぅ……! ふぅっ……!」
苦しげな声を鼻から漏らしつつ、腰をくねらせて股間を擦り付けてくる。錫華も合わせて腰を波打つように上下左右に動かす。下着越しでも固くなった互いの核が擦れ合うのが分かる。
「んっ!? ん、んんんぅぅぅぅ~……!」
那琴が身体を激しく痙攣させた。下腹部に生暖かい水の触感を感じた。錫華は果たして那琴の唇を開放する。口元を唾液まみれした表情は蕩けきっていた。
「え……キスだけでいっちゃったの? こんなに?」
身体を小刻みに震わせ、だらしなく両脚を放り出している那琴を見て、錫華は半ば唖然としてしまった。インナーはたっぷりと水を吸って真っ黒に変色しており、シーツには水溜りが出来上がっている。
「ごめん言い忘れてた、ナコとすると後片付け大変なんだよね」
平然と言い放つ栞奈に少しばかり薄ら寒さを覚えた。これも栞奈の日頃の開発によるものなのだろうか。一体どれほど頑張ったらこうもなるのか。なるほど、毎回これでは大変だ。
「怒られる時はわたしも一緒に怒られるから」
じっくり時間を掛けるつもりだったのだが、工程の何割かを飛ばしてしまった。少々残念な気持ちもある一方で膨らんだ期待もある。口付けだけでこれなのだから、直接触れてしまえばもっと悲惨なのだろう。錫華は口の周りを舌で舐めてから手で拭った。
「栞奈さん、上よろしく」
「は~い」
すると栞奈はなんの躊躇いも無く那琴のインナーを捲る。
「お待ちになって……頭が回りませんのよ……」
息を切らしながら漸く言葉を発する那琴。
「って言ってるけど? 錫華さーん、どーする?」
「やっちゃって」
端的に言い切ると栞奈の両手が那琴の豊かな双丘に襲いかかった。
「んあっ!?」
付き合いが長いのだろう。手付きが慣れ切っている。頂点部分を摘み、人差し指で弾き、胸が伸び切る程に抓り上げる。
「ひいぃぃっ!」
乱暴とも思える指の愛撫に、那琴は甲高い嬌声を上げる。
「錫華さーん、ナコはねー? ちょっと痛くすると喜ぶんだよー? こんな感じ、に!」
頂点を摘んで潰すと那琴は背中で孤を描いた。痛い位が好みなのか――那琴を知り尽くしている栞奈に錫華の中で嫉妬心が燃え立ち始めた。
「那琴さん、どうして欲しい?」
錫華は分かりきった質問を投げた。答えは知っている。浮かせた腰を前後させていれば嫌でも気付く。しかし那琴は気丈に歯を食い縛って、物欲しげに錫華を見詰めるばかり。
「ちゃんと言わないと分かんないよ?」
すっかり体液を吸って重くなったインナーの中央に人差し指を添える。あくまで添えるだけ。それ以上の刺激は与えない。
「ふぉっ……!」
だがそれだけでも那琴は情けない声で鳴いてくれる。普段なら絶対出さないような情けない声で。
「ほら、どうして欲しいの?」
「……って、ください……」
掠れる程にか細い声。錫華が訪ね返す。
「聞こえないよ? もっと大きな声で」
「触って……くださいまし……! もう切なくて……!」
目尻から溢れた涙に少しばかり罪悪感が湧き、それ以上の加虐心が騒ぎ出す。
「よく言えました」
すると錫華は那琴の下腹部を覆うインナーに手を掛けた。脱がしに掛かると那琴の方から脱がし易いようにと足を閉じてくれた。何も纏わない那琴の聖域が錫華の前に露わとなった。
「はやく……はやくっ!」
「やっちゃえ錫華さん!」
足を開いて誘う那琴に煽る栞奈。錫華は臓腑の内で迫り上がった衝動に任せ、那琴のそこに頭を潜り込ませた。
「キスの時に分かったと思うけど……わたしさ、普通の人より舌がちょっと長いんだよね。だから……イイトコロ、届いちゃうかもよ?」
脅し文句に那琴が何かを言い掛けた。しかし顔を埋める錫華が舌を伸ばす方が早い。
「お゙ぅ゙ぅっ!?」
那琴の酷い声に思わず噴き出しそうになってしまう。入り込まれただけでそんなに良いのか……俄然加虐心というやる気が膨らんだ錫華は、舌先で内部の壁を削るように舐め上げる。
「ふおぁっ! ふぅぅっ……! ひっ!?」
那琴さん腰浮きっぱなし。内心で呟く。しかも腰を揺らして押し付けてくる。中はひっきりなしに蠢動を繰り返している。入り込んだ舌を奥へ奥へと誘うように。
ひょっとして――舌を一気に奥まで突き入れる。舌先に固く小さな穴の感触があった。
「ひっぐうっ!?」
那琴の肢体が一際強烈に跳ねた。迸った生暖かい無色の液体が顔に掛かる。
思った通り。
弱点、見付けた。
錫華が言うイイトコロが那琴の泣き所であるらしい……これも栞奈が仕込んだのだろうか。
「お待ちくださいまし! そこ……はぁぁぁっ!」
舌先でノックする。強く、素早く、連続で。
「ひぃっ!? うあ゙ぁ゙ぁ゙っ゙! お待ち、をっ! いっぐうぅ!?」
連打する度に那琴の腰が跳ね、顔に液体が掛かる。内部が急激に窄まり舌が圧迫される。
「錫華さん凄いでしょー? ほーらナコもたくさんいっちゃえ! もっとスケベ汁噴いちゃえ!」
上では相変わらず栞奈が好き勝手に双丘を嬲っている。きっと那琴の頭の中は訳が解らない事となっているだろう。
連打から溜めの時間を作り、重い一撃を打ち込む。更に小さな穴を抉るようにして舌先を回す。
「ひいぃぃぃぃぃぃっ!?」
弱点部位への執拗な攻めに、那琴は身体を硬直させ、空気を震撼させるほどの声量で悲鳴を上げる。錫華が顔面に水を掛けられる羽目となったのはもう何度目になるのかすら分からない。
そして舌を抜いた――かと思いきや、今度は啜り始めた。逃げられないように腰を捕らえた状態で。
コップの底に残ったジュースを吸い上げるような音が部屋中に響く。そして嬌声も。
「あ゙あ゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙っ! やめっ……! 吸わないでくさいましっ!」
などと口走っているが、当の本人は下腹部に吸い付く錫華の頭をしっかりと抱えて押し付けている。すっかり硬質化した核も吸引してやると、那琴は喉をさらけだして絶叫した。
「あぐうううぅぅぅ!」
那琴が栞奈に背中を預ける格好で倒れた。頭を押さえ付けている手がやっと外れた。錫華は久々にまともな空気を吸った気がした。
「あはは、錫華さんびしょ濡れじゃーん」
栞奈に笑われて顔を手で拭う。
「……凄いね」
思わず所感が漏れる。一体何回達したのか。ベッドはもう見るも無惨な有様になって事は言わずもがな。シーツの上に出来上がった水溜りは床にまで滴り落ちている。
栞奈を背もたれにして、のぼせ上がった顔で意識を彷徨わせている那琴。それを見下ろした錫華の中でまたしても衝動が滾り始めた。
胸を覆うインナーのホックを外すと歳不相応に熟れた双丘が溢れ出した。
「でっかいなぁ」
思わず感嘆する栞奈を他所に、下のインナーも脱いで雑に放り投げてしまう。そしてベッドの上で両脚を開いて座り込む。
「那琴さん、今度はわたしも」
「ふあ……?」
意識が定まらないのか、目が蕩けきっている那琴の腕を掴むと腰の上に乗せた。
「あ、じゃあお手伝いしまーす」
栞奈が背後に回り込んできた。そして片手が下腹部に重なり、もう一方が胸元へと這い寄る。
「錫華さんに教わったこれ、効くかな?」
四本の指が圧を掛けるように押し込まれる。
「んっ……効くね」
内臓を潰す圧迫感に腹から声が押し出された。
「錫華様……」
蕩けきった那琴の顔が目の前にある。錫華は那琴の腰に腕を回し、そして抱き寄せるのと同時に自身の腰も上下させた。
「んあぅっ!」
「ふ、ん……!」
体温が、身体が融和してしまいそうなほどの密着感。擦れ合うそこが粘質な水音を立てる度に、脊髄から脳髄を甘く痺れる電流が駆け登る。
「あはぁっ! くうっ! ひっ……!? 錫華様ぁっ!」
「んく……っ! 那琴さん……どう? ふあっ……!」
背後からは栞奈が胸の頂点を摘み上げ、下腹部に円運動のマッサージを加え続ける。
三人分の荒い呼吸音と嬌声が狭い室内を満たす。
「あぐぅっ! はぁん……っ! ひああっ! わたくし……もうっ!」
「ふ……う……! もう……なに?」
「いって……! いってしまいそ……ひゃう!」
錫華が腰の動きを速めると那琴も呼応して肢体をくねらせる。
「じゃあ一緒に、ね?」
「はい……っ! はいぃぃっ!」
手足を回して痛いほどにしがみついて来る那琴に対し、錫華も固い抱擁を返す。栞奈の手の動きもまた激しくなった。
肉が擦れぶつかり合う音と粘液がかき回されるような音が響く。
絡み合うように密着した二人の摺動が規則を失って出鱈目に増速する。
「錫華様ぁっ! いくうぅっ! いくぅうぅぅぅぅぅっ!」
「く……! わたし、も……おぉぉぉっ!」
部屋の照明を震わせる程の悲鳴、或いは絶叫。固く抱き締め合う錫華と栞奈が同時に下を突き出し、背中を弓なりに反らす。肉体の間で爆ぜた情欲の汁が溢れ出て、二人を中心として水溜りを拡大させてゆく。
身体を硬直させ、感電したかのような硬直を幾度となく繰り返す。そうした後に錫華と那琴の身体は支える力を失い、崩れるかの如く仰向けに倒れた。
「よかった……」
つい感慨深く呟いてしまった。霞む視界を栞奈が覗き込んできた。
「次はあたしねー?」
錫華は回らない頭に鞭を打って身体を起こした。
夜はまだ続く。
成功
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