バレンタインイベントにバグはいらない
●バレンタインイベント
ゴッドゲームオンラインの世界がどこもかしこもお菓子のようにカラフルに装飾されている。
そう、「季節イベント」が始まりそれに合わせて街もフィールドも期間限定で変化しているのだ。建物はチョコレートベースのお菓子の家となり、川はチョコフォンデュのようになっている。
「とうとう今年もバレンタインイベントが始まったな!」
「今年もたくさんのチョコをゲットするぜ!!」
男プレイヤーたちが声を上げ、チョコをもらおうと息巻いていた。
「集めるイベントアイテムは「カカオ」だったよな」
「おう、森のチョコ化したモンスターが特別にドロップするらしい。それを集めるとイベントアイテムの「バレンタイン衣装」が貰えるみたいだ」
「ああ、今年の衣装可愛かったよなー」
「まあ、男の俺達の衣装が可愛くってもあれなんだが」
女性プレイヤーは茶色に赤をベースとして、男性プレイヤーは茶色に青をベースとした、どちらも可愛らしい衣装が配られると告知されていた。
「でも衣装を着たらカカオのドロップ率が3倍だろ? 着るしかないじゃん!」
「他の報酬はアクセ系と、チョコだっけ」
「そうそう、チョコを食べたら一定時間は全パラメータアップだって。なによりレアドロ率アップがありがたい!」
「でもそれさー男女で交換してもらったチョコを食べるとボーナスがつくんだろ?」
「そうなんだけど、そうなんだけど! 交換なんて無理だ!!」
「まーなー。うちのクランならリーダーとかは普通に貰ってるんだけどな。しゃーないカカオ集めに励むとするかー」
男プレイヤーたちがせっせと雑魚モンスターを狩ってカカオを集める。するとそこに声がかかった。
「おい、そのカカオ、置いてきな!!!」
モブ敵『ならずもの・EX』が現れて襲い掛かって来る!
「なんだ、雑魚の「ならずもの」じゃん。イベント用のセリフなんて初めて聞いたな。さっさと倒して――ぐぁあああああ!!!」
「おいっ!?」
序盤の敵で成長していれば一撃で倒せるような雑魚モンスター。だがその身に見慣れぬ装備をしていて、攻撃は男プレイヤーたちを薙ぎ払っていた。
「へへへっ、俺たちのことを雑魚だと思ったろ? 舐めてるからそうなるんだよ!」
男プレイヤーたちを倒した
ならずものはカカオを奪い去っていった。
●グリモアベース
「ゴッドゲームオンラインではバレンタインイベントが行われているようだ。だがそこで事件が起きる」
バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)がゴッドゲームオンラインで事件が起きることを伝える。
「季節イベントでカカオ集めをしているようなのだが、バグプロトコルが目を付けてカカオを採りに来たプレイヤーを逆に狩り、ネットワーク上の
遺伝子番号を焼却してしまうつもりのようだ。諸君にはこれを阻止してもらいたい」
ゲーム上でバグプロトコルに倒されると現実社会での人権を剥奪されてしまう。
「バレンタインクエストが実施されている森ではバグプロトコル『ならずもの・EX』が大量に配備され、森の弱いチョコのイベントモンスターから「カカオ」を多く集めた者を察知して襲い掛かってくる。諸君はプレイヤーよりも多くのカカオを回収してならずものを先に引き寄せ、返り討ちにすることになる。そこでバグをこちらも利用してイベント特効の『限定装備』である「バレンタイン衣装」を装備すれば、効率よくカカオを集めることができるだろう」
バグによってバレンタイン衣装をすぐに入手できる状態となっている。それを装備すれば通常の3倍でカカオがモンスタードロップする。
「ならずものを倒せば、クエストボスの座を奪ったボスのバグプロトコル『悪魔公爵』が現れる。エリアが変化しボス戦エリアとなると大規模な『
終末機構群』が仕掛けられる。「効果範囲内にいるものに全能力低下のデバフを与える」効果があるようだ。これはボスにも効果をもたらす。上手く使えば有利に戦えるだろう」
ギミックは協力で、ボスにまで効果を与える。こちらが受ければ不利になるが、相手に与えれば有利になれる。
「それとカカオをある一定数手に入れておけば、チョコと交換できる。それを食べればバフが与えられて強化される。もし手に入れば使ってみるのもいいだろう」
「無事にバグを消せれば、季節限定のバレンタインイベントを楽しむといい。ゲーム内ならではの体験ができるかもしれん」
ゲーム内はチョコやお菓子だらけになっている。現実なら不可能な光景が楽しめるだろう。
「もうすぐバレンタインだが、ゲームの世界もまたバレンタイン一色になっているようだな。皆が楽しむイベントを台無しにされないよう、バグプロトコルを排除せよ」
ゴッドゲームオンラインのバレンタインイベントの会場へのゲートが開かれ、猟兵達はゲームの世界へと出発した。
天木一
こんにちは天木一です。
ゴッドゲームオンラインのバレンタインイベントを楽しみましょう!
第1章はプレイヤーに負けないようチョコモンスターを倒して沢山のカカオを集め、奪いに来る『ならずもの・EX』を撃破します。
「バレンタイン衣装」を装備することでカカオ集めが楽になります。
第2章はボスの『悪魔公爵』との戦いです。
『
終末機構群』が仕掛けられ足場に大きな円形の魔法陣が幾つも描かれます。「効果範囲内にいるものに全能力低下のデバフを与える」効果があります。
カカオを集めているとバフのかかるチョコと交換できます。
第3章ではバレンタインイベントを楽しみます。カカオを集めてイベント報酬と交換したり、チョコとお菓子の街を観光したりとバレンタインらしく遊びます。
このイベントだけ参加することも可能です。
お誘いがあればバルモアも参加します。
クラン『自由の翼』のメンバーがカカオ集めをしています。
聖剣士のアルフォーと重戦士のマクビテの二人で、モテない男同士でよくつるんでいます。
複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
プレイングの締め切り日などは決まり次第タグにて。
それではゲーム世界でのバレンタインイベントをお楽しみください!
第1章 集団戦
『ならずもの・EX』
|
POW : 『俺たちのことを雑魚だと思ったろ?』
【隙】を見せた対象全員に「【まさかの敗北を喫せよ】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【本来ならば負けない相手への勝率】が半減する。
SPD : 『バカめ! 俺たちはバランスブレイカーだ!』
【油断】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【物陰に潜んでいた仲間】から、高命中力の【一撃で戦闘不能級の攻撃】を飛ばす。
WIZ : 『蹴散らされるのはお前らのほうだ!』
指定した対象を【圧倒的に無力な雑魚】にする。対象が[圧倒的に無力な雑魚]でないならば、死角から【絶対に勝てないという刷り込み】を召喚して対象に粘着させる。
👑11
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霧島・絶奈
◆心情
手軽な衣装替えはゲームならではですね
この手の衣装は際どいものが多いイメージでしたが…
案外落ち着いたデザインなのですね
バグ由来なので本来の衣装と異なる可能性もありそうですが…
◆行動
さて…
取り敢えずバレンタイン衣装に着替えてカカオを集めましょう
『暗キ獣』を使用し【集団戦術】を行使
頭数を増やせば取集も捗るでしょう
敵は指定した対象を弱体化する様ですので、そういう意味でも数の多さは利点でしょう
念の為【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置しておきます
接敵したら【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
●カカオ集め
「手軽な衣装替えはゲームならではですね」
霧島・絶奈(暗き獣・f20096)はゲーム内を見て回り、報酬のバレンタイン衣装の情報に目を通す。
「この手の衣装は際どいものが多いイメージでしたが……案外落ち着いたデザインなのですね」
どちらかというと可愛らしいデザインを見て、思っていたイメージと違うと首を傾げる。
「バグ由来なので本来の衣装と異なる可能性もありそうですが……」
ともかく必要な能力が得られるなら衣装を変えようと設定を弄る。
「さて……取り敢えずバレンタイン衣装に着替えてカカオを集めましょう」
可愛らしいチョコレートをイメージした茶色ベースに赤いラインやリボンの衣装に着替えると、カカオ集めに森に向かう。
「頭数を増やせば取集も捗るでしょう」
ユーベルコード『
暗キ獣』を発動し、屍者の軍勢と屍獣の群を召喚する。そしてチョコで出来たモンスターを狩って多くのカカオを集めていった……。
「よう、ずいぶんとカカオを溜め込んでるみてぇだな?」
「そのカカオ、置いてきな!!!」
『ならずもの・EX』が現れてカカオを奪い取ろうと威嚇する。そうして圧倒的に無力な雑魚になるように絶奈に状態異常を与えた。だが絶奈が弱体化しようとも構わず屍の軍勢が攻撃に出る。
「敵は指定した対象を弱体化する様ですので、そういう意味でも数の多さは利点でしょう」
屍獣の群が一斉に襲い掛かって爪で引き裂き、噛みついて動きを封じる。そこへ屍者の軍勢が槍を突き立てて仕留めていった。
「ギャアアアア!!!」
「なんなんだこいつらは!!」
ならずもの達も抗戦するが、数に負けて倒されていった。
「クソッ! せめてカカオだけでも!!」
ならずものが絶奈に向かって突撃する。だがその途中で仕掛けられていたサーメートが爆発して吹っ飛ばされた。
「罠だとっ!!!」
残ったならずもの達が顔を青くしてじりじりと下がる。
「現れると分かっていれば罠も簡単に仕掛けられます。此処は貴方方の狩り場ではなく、私の狩り場です」
絶奈は容赦なく衝撃波を浴びせ、ならずものを罠に追い込みゲームらしく消滅させていった。
「この周辺の敵は倒したようです。違う場所に移動しましょう」
ならずものを倒し切ると、移動してまたカカオ集めを始めた。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・ノルマレイス
むー、どうせボクはバレンタイン当日も利用者が居なくて暇ですー
だったらイベントの邪魔をしようとする悪者退治ですー
自力じゃ外せないので、『白の聖衣』の上からイベント衣装を着るですー
それで、袖の中の腕を『黒蝕の欠落』へと変えて、モンスターを倒してアイテムを集めるですー
敵のUCですけど、どう転んでも弱体化されたら「絶対的に不利な状態」なわけなのですー
だったらいっそ不利な状態ほど効果を発揮する【指定UC】での一撃必殺を狙うのですー
攻撃自体「当たれば即死させられる」んだし、状況的にほぼ当てさえすればいいから、袖に隠したボクの両腕をワーム状に変異させて、不意を打つ感じで奇襲でぱっくりいかせてもらうですー!
「むー、どうせボクはバレンタイン当日も利用者が居なくて暇ですー」
アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)はバレンタインイベントが始まっても声が掛からずに暇をしていた。
「だったらイベントの邪魔をしようとする悪者退治ですー」
自発的にバグ退治をしようとチョココーティングされた森に入る。
「自力じゃ外せないので、『白の聖衣』の上からイベント衣装を着るですー。それで、袖の中の腕を『黒蝕の欠落』へと変えて、モンスターを倒してアイテムを集めるですー」
NPCらしく説明口調で喋りながら、可愛らしいイベント衣装を改造して纏う。そしてチョコモンスターことチョコモンを漆黒の不定形捕食器官である
黒蝕の欠落でパクパクとやっつけてカカオを回収していった……。
「おいおい、ずいぶんとカカオを集めてるみてぇだなぁ?」
「そのカカオ、全部俺たちに寄越しな!!」
バグによって強化された『ならずもの・EX』が現れて武器を向けながら威嚇した。
「へへ、腕に自信がありそうだなぁ?」
「だけど俺たちの前じゃあ無駄無駄ぁ!!!」
ならずものはアイにバッドステータスを与えて無力な雑魚へと変えてしまう。
(敵のUCですけど、どう転んでも弱体化されたら「絶対的に不利な状態」なわけなのですー。だったらいっそ不利な状態ほど効果を発揮するUCでの一撃必殺を狙うのですー)
弱体化させられてもアイはマイペースに対処するべくこっそりユーベルコードの準備を行う。
「へへへ、大人しくなっちまったなぁ?」
「安心しろよ、今まで俺らがぼこられた分だけ、ぼこぼこにしてやるからなぁ!!」
雑魚扱いだった鬱憤を晴らすようにならずもの達が襲い掛かる!
「いただきます、ですー」
アイは『
牙剥く空虚』を発動し、両腕をワーム状に変異させてカウンターでぱっくりとならずもの達を丸々喰らった!
「へっ?」
「あ、ギャアアアアアア
!!!!」
「く、喰ってやがる
!!!!」
ワームの中で悲鳴が上がり、一瞬にして仲間がやられて残ったならずものが腰を抜かして尻餅をついた。
「安心してくださいですー。みんな仲良く食べてあげるのですー」
容赦なく最後のならずものもぱっくりといき、綺麗にバグを掃除した。
大成功
🔵🔵🔵
大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』
どんなシリアスでも一度はネタをやりたい。一応敵を倒す意思はあるので状況が悪化する行為はさすがにやらない。一見悪化するけどネタとして許されるならむしろやりたい。
超どシリアスのためギャグ絶対不可ならシリアスオンリーも一応できなくはないがその時は頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての二重表現肯定派)
大軍に無策で挑むのは無謀といろいろ策を考えるが結論は「正面から突っ込んで全員やっつければ(斬れば)いいのだ!」
ユーベルコードが
近接系:何も考えずに突っ込んでって無双狙い
集団系:なるべく多数引き付けて一網打尽狙い
ギャグ系:お手数かけますがなんとかお願いします!
それ以外:まー適当に
「バレンタインイベント~! ゲームの中らしく楽しそうじゃないか」
大豪傑・麗刃(25歳児・f01156)はチョコレートデコされた森を見渡した。
「ふむふむ、この衣装を着てカカオを集めると、この麗ちゃんに任せてもらおう!」
ハイテンションに麗刃は可愛い衣装を纏いイベントに参加する。
「カカオを持っているモンスターは……このチョコレートのモンスターか。美味しそうな匂いがするけど、斬らせてもらう!」
麗刃がサムライブレイドであっさりとチョコモンを切り捨てる。すると返り血ならぬ返りチョコで顔がチョコ塗れになった。
「ぶはっ! チョコがべとべとする!!」
チョコで窒息しそうになりながら、麗刃はザックザックとカカオを集めていった。
「おうおう、カカオをたっぷり持ってるようだなぁ?」
「ちょっとジャンプしてみろよ!!」
そこへ『ならずもの・EX』が姿を見せて脅しかけ、如何にも雑魚な態度で油断を誘う。
「弱そうな雑魚モンスターだな。この麗ちゃんの敵ではない!!」
まんまと乗せられて麗刃は油断しまくる。その背後からこっそり近づいたならずものの一人が後頭部をガントレットで殴りつけた。
「ぐへっ
!!!!」
星が飛ぶようなダメージを負って麗刃が膝をつく。
「けけけっ! 俺たちのことを雑魚だと思ったろ?」
得意気にならずものが笑い、いたぶるように攻撃してくる。
「こんなもんじゃ、わたしの暑さは消せない!!」
いじめられているような頭を抱えた状態で、麗刃はユーベルコード『
燃える男』を発動し、炎を宿し暑苦しい燃える闘魂で超強化する!
「雑魚もボスも斬ればいいのだ!!」
頭まで熱血となって跳ね起きるとただただ刀を振るい続け、正気に戻った頃にはならずものは消滅していた。
成功
🔵🔵🔴
リン・ビスケット
ええ…バグプロトコルって
もっとランダムに出現するって思ってたよ
イベントを狙ってくるなんて
知能が高いというか学習している…のかな?
ま、どっちにしろ邪魔はさせないけどね!
ん?あの二人、もしかして『自由の翼』の?
確かバーベキューの時に顔見たような?
久しぶり!今日は何でか強敵が混じってるんだ。バグみたいだし、適当なとこで引き上げたほうがいいよ!
…さてと
バレンタイン衣装着用、敵エンカウント
敵は私を狙って
弱体化を仕掛けてくるはずだよね
うん、それでいい
敵が油断したタイミングで霊鬼呼び出し
マロ、出番だよ!
【グリムシュラウド】!
マロは弱体化受けてないから
十分な火力を維持できてるはず
霊鬼弾で周囲を一掃するよ!
「ええ……バグプロトコルって、もっとランダムに出現するって思ってたよ」
リン・ビスケット(鬼と笑う・f42024)はイベント狙い撃ちのバグに驚いて目を丸くした。
「イベントを狙ってくるなんて、知能が高いというか学習している……のかな?」
効率的に動かれたら厄介なことになりそうだと考えながら、甘いチョコの匂いが漂う森を見渡す。
「ま、どっちにしろ邪魔はさせないけどね!」
折角の楽しいイベントを台無しにさせはしないと、カカオを集めるべく森に踏み入った。
「よーし! カカオ集まってきたな!」
「そろそろイベント衣装と交換しくか」
そこにはクラン『自由の翼』のメンバーである聖剣士のアルフォーと重戦士のマクビテの二人がせっせとチョコモンスターを狩ってカカオを集めている姿があった。
「ん? あの二人、もしかして『自由の翼』の?」
以前の依頼で招待されたクランのバーベキューの時に見た顔だと思い出す。
「久しぶり!」
「? ああっ! あんたは前にリーダーを助けてくれた!」
「久しぶりだな! 元気してたか!」
二人もリンの顔を見て思い出し、笑顔になって親し気に挨拶を交わす。
「今日は何でか強敵が混じってるんだ。バグみたいだし、適当なとこで引き上げたほうがいいよ!」
「マジかよ!」
「じゃあキリのいいとこまで稼いだら帰るか。あんたも気をつけてな!」
手を振って二人が去っていく。
「……さてと」
リンは可愛いバレンタイン衣装を着用しそこらのチョコモンスターとエンカウントして効率良くカカオを集める。するとバグで強化されたモンスター『ならずもの・EX』が姿を現した。
「おい! カカオがいっぱいあるじゃねぇか!」
「こっちに寄越しな!!」
カカオを奪おうと襲い掛かって来る。
「へへ、強そうだなぁ。そういうヤツを雑魚にしてボコってやるのが楽しみなんだよぉ!!」
無力な雑魚にするバッドステータスをリンに与え、一方的に叩きのめしてやろうと厭らしい笑みを浮かべた。
「うん、それでいい」
敵が油断したところで、リンが獅子に似た獣人の姿をした霊鬼を呼び出す。
「マロ、出番だよ!」
そしてユーベルコード『グリムシュラウド』を発動し、霊鬼マロと合体して肉体強化を行う。
「マロは弱体化受けてないから、十分な火力を維持できてるはず」
試しに霊気弾を放つと、ならずものがぶっ飛んだ!
「なにぃっ!?」
「馬鹿な! 雑魚かしてるはず……!」
「残念だけど、雑魚はそっちの方だったね」
リンが次々と霊気弾を放ち、ならずもの達を一掃した。
「こんなものかな。他の場所も猟兵仲間が倒したようだしフラグは立ったよね」
森からならずものが消えたのを確認し、次のバグイベントが起きるはずだと警戒する……。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『悪魔公爵』
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POW : 侵食の触手
【召喚した侵食型のバグ】を見せた対象全員に「【バグを受け入れろ】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【1ターンごとに全ステータス】が半減する。
SPD : 反射の外套
状態異常や行動制限を受けると自動的に【データ解析】が発動し、その効果を反射する。
WIZ : 支配の錫杖
戦場内を【自分の管理】世界に交換する。この世界は「【行動に管理者の許可が必要】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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●終末機構群
「やれやれ、どうやら配下の者どもは失敗したらしい」
ボスのバグプロトコル『悪魔公爵』が森に姿を見せる。するとチョコの森が姿を変え、大規模な『
終末機構群』によってあちこちに魔法陣が展開されていく。その範囲に入れば、全ての能力が低下するデバフが与えられてしまうという、恐るべき能力を持っていた。
「このギミックを理解していなければ決して勝てない。私がこの世界を掌握する為の贄となってもらおうか」
悪魔公爵はゲーム世界を手に入れんと、森の中の全てのプライヤーを滅ぼす為に動き出す――。
「うぉっ! 森から出れねぇ!?」
「どうなってるんだ?」
森から出ようとしたクラン『自由の翼』のアルフォーとマクビテが困惑した顔で、黒い靄のような壁に行く手を阻まれていた。
「何かの突発イベントか?」
「いや、さっきの……リンさんが言ってたようにバグじゃないか?」
二人は警戒して下がる。だがその足元に黒い魔法陣が広がってデバフを受けてしまう。
「体が、重い……!」
「なんだ、これ……なにか、来る……?」
そんな状態で何かが接近してくる音が聞こえた。それは悪魔公爵が飛来する音だった!
リン・ビスケット
ボスのお出ましだね!
フィールド塗り替えに音を立てての飛来
演出、なかなかに派手じゃない!
…って、さっきの二人!?
まずいな、早く決着付けないと
『自由の翼』の二人の状態を見るに
魔法陣に触れたり、踏んだらまずいって感じかな
それなら…マロ、私をお姫様抱っこで運んで!
足が無いマロは常に『空中浮遊』してるからね
移動は任せたよ
陣の間を掻い潜るようにボスに接近していって!
これで私は攻撃に専念できる。真っ向勝負!
双剣による『斬撃波』からの
敵の間合いに入って以降は『連続コンボ』を叩き込む!
搦め手無しだから、敵の自動反射も発動しないはず!
敵の攻撃は
【スキルクロス・リユニオン】で弾いて
隙を生み出し、さらに攻めていくよ!
●バグボス戦
「ボスのお出ましだね!」
リンは派手に現れたボス演出を眺める。
「フィールド塗り替えに音を立てての飛来。演出、なかなかに派手じゃない!」
これから始まるバトルにワクワクして笑みを浮かべていると、その視界に先ほど別れたアルフォーとマクビテの姿が映った。
「……って、さっきの二人!? まずいな、早く決着付けないと」
戦いに巻き込まれては死ぬ可能性もあると、二人と周囲をよく観察する。
「『自由の翼』の二人の状態を見るに、魔法陣に触れたり、踏んだらまずいって感じかな」
魔法陣に入ると動きが鈍くなっているように見える。ゲームで良くある分かりやすい効果範囲だとすぐに理解した。
「それなら……マロ、私をお姫様抱っこで運んで!」
リンの指示に従い霊鬼【マロ】が大切に抱き上げて疾走する。
「足が無いマロは常に『空中浮遊』してるからね。移動は任せたよ。陣の間を掻い潜るようにボスに接近していって!」
任せろと力強くマロが魔法陣ギミックを避け、悪魔公爵の元に向かう。
「さて、まずは罠に掛かった獲物を仕留めていくとしようか」
悪魔公爵は近くのアルフォーとマクビテを狙って翼を羽ばたかせた。
「行かせないよ!」
そこへお姫様抱っこされたリンが現れ、【連星双刃】を振るって斬撃波を飛ばした。
「むっ! 邪魔をするか!!」
斬撃波を受けてダメージを受けた悪魔公爵が地上に落下し、接近してくるリンを睨みつけ、外套をたなびかせてカウンターの構えを取った。
「真っ向勝負!」
間合いに入ったリンは双剣を次々と振るい連続コンボを叩き込む!
「搦め手無しだから、敵の自動反射も発動しないはず!」
「ぐっ、純戦士か、やるではないか!!」
対してカウンターが発動せずにダメージが蓄積する悪魔公爵は、守りから攻めに転じて錫杖を振るい、鋭い爪の斬撃を浴びせる。
「これを待ってたよ!」
タイミングを合わせてリンがユーベルコード『スキルクロス・リユニオン』を発動し、マキシマムカウンターを使って双剣を振るい、錫杖も爪も同時に弾いて胴をがら空きにした。
「隙あり!!」
「うぐあああああっ!!」
その隙を見逃さず、リンが攻めを継続して大ダメージを叩き出し、悪魔公爵がノックバックで吹っ飛んだ!
「あれってバグったボスか?」
「すげえ、ボスをソロで押してる!」
リンの戦い振りを見てアルフォーとマクビテが感嘆の声を上げた。
大成功
🔵🔵🔵
ヘンリエッタ・ネクサス(サポート)
「状況:能動的脅威を検知/脅威度=グレードⅣ――任務遂行を最優先」
◆口調
・一人称はボク、二人称はあなた
・誰でも丁寧な口調。語彙は硬く、形式的
◆特技・性質
・全身を機械的に強化されており、常人以上の身体能力と反応速度を有する
・USBで充電可能
◆行動傾向
・とあるヴィランの組織の尖兵として造られた宿命に抗うべく、猟兵として活動しています
・体内に武器やセンサー等を格納しており、状況に応じて展開します
・強化頭脳は動作のムダを省きます
・私情や一般的道徳に囚われることなく、合理的な行動に徹します(中庸/中立)
・感情表現を学習途中なので無機質な印象を与えがちですが、実は人情を重んじ、真顔でジョークを言います
「これほど強いプレイヤーがいたか。だがギミックさえ活用できれば私の勝利は確実だ」
ダメージを受けながらも悪魔公爵はまだ余裕の態度を崩さない。
「状況:ゲーム内にバグを検知/脅威度=グレードⅣ――これより排除を開始する」
ゲーム世界に応援に駆け付けたヘンリエッタ・ネクサス(棄てられた少女兵器・f35114)は、すぐに状況を理解してバグに向かって攻撃を開始する。
「NPCの類か? ふん、ここで消してやろう」
悪魔公爵が錫杖を手に襲い掛かると、ヘンリエッタは右腕を伸ばし【フレミングの右手】から電磁投射砲を展開して放つ。
「効かぬ!」
それを外套で受け止めると反射してヘンリエッタに浴びせた。
「特定攻撃に対する反射能力を所持。攻撃パターン変更」
ヘンリエッタは叩き込まれる錫杖を腕で受け止め、吹き飛ばされながらユーベルコード『
天空の支配者』を発動し、【ヴェクタード・ウィング】を広げて飛翔し、臀部に格納された二門のセントリーガン【ヒップ・ポップ】を発砲して蜂の巣にする!
「ぐあっ!! おのれぇ!!!」
被弾した悪魔公爵は外套で防ぐが、カウンターは発動せずに穴が穿たれていく。
「ちっ、ならば叩き墜としてくれる!!」
自らも空に羽ばたいてヘンリエッタを追う。
「機動力はこちらが上、攻撃を継続します」
接近されないようにヘンリエッタは飛び回りながら銃撃を繰り返してダメージを重ねていった。「ちょろちょろと! ならば!」
悪魔公爵が墜落するように地面に落ちる。そこへヘンリエッタが追撃すると、大地に魔法陣が広がりその輝きがヘンリエッタを捕えた。
「ギミックに掛かったな!」
デバフが掛けられ全パラメータが下がったヘンリエッタに、悪魔公爵が魔力を叩き込んで吹っ飛ばした。
「一時離脱。体勢を立て直します」
ヘンリエッタはこのままではダメージを稼げないと冷静に考えて後退した。
成功
🔵🔵🔴
霧島・絶奈
◆心情
イベントと言えばイベントなのでしょうね
命懸けである以上、割には合わなそうですが
◆行動
カカオをチョコへ交換しましょう
自由の翼の二人に分ける程度は数も揃っている筈です
取り敢えずこれを食べながら生き残る事を考えて下さい
私もチョコを摘まみつつ戦闘
…絵面が酷いですね
【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
『獣ノ爪牙』を使用
【集団戦術】を駆使した【範囲攻撃】で敵を蹂躙
とは言え、数は優位に働かなそうですね
バグ産の衣装を着ている時点で、バグを受け入れていると言えます
【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】
負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
「フハハハッ! すぐにこの世界を私が支配してやるぞ!」
悪魔公爵が笑い魔法陣を増やしていった。
「イベントと言えばイベントなのでしょうね。命懸けである以上、割には合わなそうですが」
絶奈は突発的な強制イベントが始まったと、その元凶であるバグボス悪魔公爵へと視線を向けた。
「カカオをチョコへ交換しましょう。自由の翼の二人に分ける程度は数も揃っている筈です」
まずはカカオをチョコに変換し、仲間が敵の注意を引いている間にアルフォーとマクビテにも配る。
「取り敢えずこれを食べながら生き残る事を考えて下さい」
「あ、あんたもウチのクランのバーベキューで見た!」
「ありがたい! バフでデバフを打ち消そう!」
二人はチョコを受け取り、食べることで能力を上昇させデバフの影響を上回った。それを確認して絶奈もチョコを摘まむ。
「……絵面が酷いですね」
食べながら絶奈は罠を設置し、ユーベルコード『
獣ノ爪牙』を発動すると、屍者の軍勢が現れて敵を囲った。
「数で蹂躙しましょう。とは言え、数は優位に働かなそうですね」
魔法陣があちこちにあるため、軍勢はその影響を受けてデバフを食らってしまう。
「アンデッドの軍勢か、サモナーでもいるのか? だがこの私の領域では無意味だ! バグを受け入れろ!!」
悪魔公爵は命令しながら、能力の落ちた軍勢を召喚した触手のような侵食型のバグを放って薙ぎ払う。
「バグ産の衣装を着ている時点で、バグを受け入れていると言えます」
絶奈はサーメートを起爆させ屍兵もろとも悪魔公爵を吹き飛ばす。
「なっ!?」
地面を転がった悪魔公爵が驚いた顔で絶奈を見る。
「自らの兵もろとも私を殺す気か!!」
「迷わず地獄へ向かうなら、道案内は多い方がいいでしょう」
絶奈は衝撃波を飛ばし悪魔公爵を罠エリアへを押し込んでいく。
「くそ、私がこんなもので――」
「残念ですが、倒せずとも数で押し込む事は可能です」
絶奈が屍兵達を突撃させ、質量で悪魔公爵を押して罠へと突っ込み爆発を起こした。
「うわっ! 爆発の魔法か?」
「いや、アイテムじゃないか? それにしても容赦ねぇ……」
その自爆覚悟の軍勢の突撃をアルフォーとマクビテは唖然とした顔で眺めていた……。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・ノルマレイス
えーと、交換期限が来ちゃう前にカカオをアイテムと交換して使用するですー、こういうとこで生活費に差が出てくるですー
そしたらボスの…ならず者のボスなのに公爵ですー?まあ、出てきたならやっつけるですー!
魔法陣を踏まないよう接近するですー、相手のUCは来るなら来い、ですー
…別に受け入れないとははっきり言ってないですー、でも『白の聖衣』は外からも“中からも”受けた侵食を自動で弾く(カウンターハック)し、『欠落』はボクの欠落を埋めようと触れたものを呑み込んじゃうだけです―
そのまま『黒蝕の欠落』で敵本体を狙うですー!
さっきの触手も敵の一部扱いなら、UCの力で変異した翼を生やしてこっちからも触手も追加ですー!
「えーと、交換期限が来ちゃう前にカカオをアイテムと交換して使用するですー、こういうとこで生活費に差が出てくるですー」
アイは手に入れたカカオを使って交換アイテムのチョコを手に入れ使用する。すると全パラメータがアップしてレアドロ率まで上がった。
「そしたらボスの……ならず者のボスなのに公爵ですー? まあ、出てきたならやっつけるですー!」
偉そうな敵を見ながら、魔法陣を踏まないよう接近していく。
「ちっ、ギミックを避けるなら、直接この手で倒すまで!」
大きなダメージを負った悪魔公爵が侵食型のバグを召喚し、触手の姿をしたバグがうねうねと蠢く。
「バグを受け入れろ!」
命令しながら触手がアイに襲い掛かる。
「私の命令を破ったならば全ステータスが半減する。抗うのは無駄と知れ!」
「……別に受け入れないとははっきり言ってないですー、でも『
白の聖衣』は外からも“中からも”受けた侵食を自動で弾く(カウンターハック)し、『欠落』はボクの欠落を埋めようと触れたものを呑み込んじゃうだけですー」
アイはバグの触手を纏う聖衣で弾き、それでも侵入しようとするバグを漆黒の不定形捕食器官が呑み込んで吸収してしまった。
「なんだとっ!? 我が力を喰らったというのか!」
悪魔公爵が驚愕して動きを止める。
「『
黒蝕の欠落』」はなんだって食べちゃうんですー」
アイはさらにユーベルコード『
奈落の怪物』を発動し、変異した翼を生やして食らった触手を追加で伸ばす。
「ちぃっ!!」
舌打ちした悪魔公爵が錫杖で払う。しかし触手が絡みついて腕から侵食を始めた。
「全部食べてあげるですー。この世界にバグは不要なんですー」
アイはそのまま悪魔公爵の身体を消滅させていく。
「やめろぉっ! 私は世界をバグで支配……――」
悪魔公爵は一片も残さず消滅し、魔法陣も消え去ってバグも修正された。
「すげぇな! バグったボスを倒しちまった!!」
「ああ、お蔭で生き残れたようだ」
アルフォーとマクビテは笑顔で喜び合う。
「バグも無事に修正されたですー。これでボクたちの勝利ですー」
大きな被害も出ずにバグを消せたとアイが微笑むと、その前に悪魔公爵のドロップが現れる。それは大量のカカオだった。
「カカオがいっぱいですー。これなら山分けしても交換アイテムを全部手に入れられそうですー」
山と積まれたカカオを手に入れてバグクエストは終了した。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『季節限定イベント!』
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POW : イベントアイテムを大量に集め、景品と引き換える
SPD : イベント限定のレアモンスターを探す
WIZ : お祭り見物を優雅に楽しむ
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●チョコレートの街
「ここがイベントのメイン会場になってるルボンの街さ!」
「街全体がチョコとかお菓子になってるんだ。なかなか壮観だよな」
アルフォーとマクビテが猟兵を街へと案内していた。そこはチョコをベースにカラフルにデコレーションされた甘い香りの漂う街だった。
「いやぁ、本当に今日は助かったよ! ありがとうな!」
「こうして無事に戻ってこれたのも皆さんが助けてくれたからだ。もし何か困ったことがあったら、今度は俺たちが力になるよ」
二人は何度も礼を言うと、チョコレートの酒で祝杯を上げようと酒場に歩いていった。
お祭り騒ぎの街は大勢のプレイヤーやNPCで賑わい、食べ物から武器といったアイテム全てがチョコ関係の限定品となって店先に並ぶ。それらはお金ではなくカカオと交換できるようだった。
街の近くで弱いチョコモンスターを狩れば、弱いプレイヤーでもちょっとしたものなら交換できるようになっていた。その中には低確率で現れるレアチョコモンもいて、躍起になって探しているプレイヤーもいる。
それぞれが好きにバレンタインイベントを楽しむ中、猟兵達も楽しんでいこうと街を歩き出した。
リン・ビスケット
あ、二人ともちょっと待って!
『自由の翼』の二人を呼び止め
友チョコをプレゼント!
こちらこそ、また会ったらよろしくね
それから…ああ、いたいた!
はい、チョコ。バルモアさんにも!
事件のこと、報せてくれてありがとうございます!
ここでチョコを渡したい人達には渡せたけど
カカオはまだいっぱいあるなあ
目ぼしいアイテムを交換したら
残りのカカオは全部、チョコに換えちゃおうか
まだまだ渡したい人はいるからね
勿論、マロにも!
マロ、今年のチョコはどんなのがいい?
モンスター肉のチョコソースがけなんてどうかな?
うん、ハウジングに帰ったら作ってあげるね!
それじゃ、帰る前に…ひと狩り、行っちゃおう!
いざ、レアチョコモンを求めて!
●バレンタイン
「あ、二人ともちょっと待って!」
リンが酒場に行こうとするアルフォーとマクビテの二人を呼び止める。
「ん?」
「まだなにかあったか?」
振り向く二人の元にリンが近づくと、取り出したチョコレートを差し出す。
「せっかく知り合ったんだから、友チョコをプレゼントするよ!」
「マジッ!? いいの?」
「おおっ! 友チョコでもチョコはチョコ!!」
二人はチョコを受け取ると、テンションを上げて踊り出すエモートで喜びを表現した。
「また何かあったら絶対呼んでくれよ! 手伝うからさ!」
「そうそう、俺たちで力になれるなら飛んで来るよ!」
「こちらこそ、また会ったらよろしくね」
笑顔の二人と手を振って別れる。
「それから……ああ、いたいた!」
そしてリンは人混みの中をきょろきょろとして背の高い目当ての人物を探し出す。
「はい、チョコ。バルモアさんにも!」
「おお、ありがとう。甘いものは好物でな、美味しく食べさせてもらおう」
リンが差し出したチョコを様子を見に来たバルモアが好々爺然と嬉しそうに受け取った。
「事件のこと、報せてくれてありがとうございます!」
「こちらこそ、無事に事件を解決してくれてありがとう。これで多くの人々が救われ、こうしてバレンタインを楽しむこともできる」
周囲の人々は皆、事件の事など知らぬまま笑顔でイベントを楽しんでいた。
「ここでチョコを渡したい人達には渡せたけど、カカオはまだいっぱいあるなあ。目ぼしいアイテムを交換したら、残りのカカオは全部、チョコに換えちゃおうか」
バルモアと別れたリンは残ったカカオをどうしようかと考え、バレンタイン衣装シリーズのアクセに換えたり、目ぼしいアイテムを手に入れてインベントリを確認すると、余った分は全てチョコに変換する。
「まだまだ渡したい人はいるからね。勿論、マロにも!」
今日も頑張ってくれた相棒のマロへと視線を向ける。
「マロ、今年のチョコはどんなのがいい? モンスター肉のチョコソースがけなんてどうかな?」
そう尋ねると嬉しそうに頷いた。
「うん、ハウジングに帰ったら作ってあげるね!」
リンも嬉しそうに笑い街の外へと歩き出す。
「それじゃ、帰る前に……ひと狩り、行っちゃおう! いざ、レアチョコモンを求めて!」
折角のお祭を楽しもうと、レアチョコモン狩りに出発し、逃げる大きな卵型レアチョコモンを追いかけ回すことになるのだった……。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・ノルマレイス
んー、人がいっぱいいるけど、こういう街にはもう先任で回復者がいるものですー
そういう人に黙って勝手にお仕事するといろいろと後が怖いですー
それじゃあ【黒喰変異】で黒っぽい翼を生やしてレアモンスターを探してみるですー
ついでに普通のモンスターもほどほどにやっつけてカカオも確保してー、
レアモンスターを見つけたら他の人に取られないように一気に近づいてから『欠落』で攻撃して食べちゃうですー
もし見つけることができなくても、それまでに集まったカカオを食料と交換するですー
これで、しばらくは利用者が全くいなくても飢えずに済むですー……
「んー、人がいっぱいいるけど、こういう街にはもう先任で回復者がいるものですー」
アイは賑やかな街を見渡し、縄張りを荒らさないようにと身を翻す。
「そういう人に黙って勝手にお仕事するといろいろと後が怖いですー」
助けたプレイヤーを見送る用事を終えるとそそくさと街を出て、外で行われているチョコモン狩りに参加する。
「レアチョコモン見た?」
「見てない! 出現確率ってどれくらいだろ?」
わいわいと賑やかにチョコレートのモンスターを狩るプレイヤーがあちこちでレアを探していた。
「それじゃあ、レアモンスターを探してみるですー」
アイはユーベルコード『
黒喰変異』を発動し、背中に黒っぽい翼を生やして空に飛び立つ。そして上空から地上を見下ろし、他とは違うだろうレアチョコモンの姿を探した。
「これは普通のチョコモンスターみたいですー」
急降下して普通のチョコモンを喰らい、カカオをゲットしてまた空へと戻る。まるで猛禽の狩りのように自由に空を羽ばたいた。
「あっちにレアがいたって!」
「マジ!?」
そんな声を上げてプレイヤーが駆け出す。
「向こうみたいですー」
その方向にアイが真っ直ぐ飛んで先行すると、そこには大きな卵に翼が生え、派手にデコレーションされた他とは明らかに違うレアなチョコレートモンスターの姿があった。
「待てー!!」
それは見た目に反して俊敏に動き、プレイヤーから逃げ回っていた。
「あれみたいですー」
アイは急降下し、【
黒蝕の欠落】で足を変異させて空から強襲する。するとレアチョコモンが逃げようと加速する。
「逃がさないですー」
がっしりと鉤爪のように変異させた足がレアチョコモンを捕え、そのままチョコの殻をパリパリと割って喰らってしまう。すると卵の中から大量のチョコが放出されインベントリに入った。
「これで、しばらくは利用者が全くいなくても飢えずに済むですー……」
十分な収穫があったと、アイは満足して飛び去った。
「あー、間に合わなかったー!」
「でもちゃんと出るのはわかったし、次を探そう!!」
遅れてやってきたプレイヤー達はがっかりしながらも、次こそはとレアチョコモン探しに駆け出した。
大成功
🔵🔵🔵
霧島・絶奈
◆心情
祭り自体は他の世界にもありますが…
事前準備無しである日突然町が様相を変えるのはゲームの世界ならではですね
◆行動
バルモア・グレンブレア殿をお誘いします
お久し振りです、バルモア殿
お元気でしたか?
折角の機会ですのでお誘いさせて頂きました
私は先のバレンタイン衣装で街歩きしようかと考えていますが…
お付き合い頂けますか?
こうして町が祭り一色に染まるのは他の世界でも同じ事でしょうけれど…
世界に因る違いをも味わえるのは猟兵ならではの楽しみ方かもしれませんね
街歩きのついでにカカオを交換しようと思います
折角ですし、日頃の感謝も込めてバルモア殿にも何か差し上げたいのですが…
何か気になる物はありますでしょうか?
「祭り自体は他の世界にもありますが……事前準備無しである日突然町が様相を変えるのはゲームの世界ならではですね」
絶奈はチョコレートの街を見渡して、ゲーム内でしか見られない光景だと楽しそうに笑みを浮かべた。そしてバルモアの姿を見つけて近付く。
「お久し振りです、バルモア殿。お元気でしたか? 折角の機会ですのでお誘いさせて頂きました」
「ああ、こうしてオフで会うのは久しぶりだな。もらったお守りが効いたのか、元気に冬を越すことができそうだ」
絶奈とバルモアが笑顔で挨拶を交わす。
「私は先のバレンタイン衣装で街歩きしようかと考えていますが……お付き合い頂けますか?」
「ほう、絶奈ならばきっと似合うだろう。祭りは参加してこそ楽しいもの、私も付き合おう」
街のあちこちで似合う似合わないに関係なく、お祭りを楽しもうと多くの人がバレンタイン衣装を着ていた。二人もそれに混じって可愛らしい衣装を着て賑わう街を練り歩く。
「チョコの果物があるよー。カカオ10個から! 安いよー美味いよー」
「うちのチョコ菓子をプレゼントしたら、本命の彼のハートをガッチリキャッチできる! ぜひ買っといでー!」
並ぶ商店ではバレンタイン限定商品を売り込もうと客寄せが呼びかける。
「こうして町が祭り一色に染まるのは他の世界でも同じ事でしょうけれど……世界に因る違いをも味わえるのは猟兵ならではの楽しみ方かもしれませんね」
「そうだな。猟兵でなければ一つの世界しか知らなかっただろう。ゲームの世界など特にな」
世界を渡る猟兵だけの特権だと、物珍しい景色を見て回る……。
「折角ですし、日頃の感謝も込めてバルモア殿にも何か差し上げたいのですが……何か気になる物はありますでしょうか?」
「うむ、どれも珍しいが……やはりあれが気になるな」
バルモアが向けた視線の先には酒場があり、そこでは限定のチョコレート酒が売られていてプレイヤー達が飲んでいた。
「チョコレートのお酒ですか。面白そうですね」
「ああ、この世界の酒がどんな味か、一緒に試してみよう」
酒場に入った二人はチョコレートの酒を注文し、濃厚なチョコレートソースのような液体の入ったグラスを掲げて口を付けた。
「甘いな。だがしっかりアルコールも利いている」
「飲むチョコレートというのも美味しいものですね」
二人は一緒にチョコの酒を飲みながら、待ちゆく人々を眺める。
バレンタインを楽しむ人々の笑顔を肴に、甘く酔いながら穏やかなひと時を過ごした……。
大成功
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