甘露なる慕情と幸福殺しの死神の狭間の純情な感情
~UDCアース・都内某所の私立高校。
バレンタインデーも近付き、校内が何やら甘ったるく浮ついた雰囲気が満ち始めている今日この頃。
ふと、奇妙な噂が流れ始めた。
噂好きな女子高生達の放課後は、その話で持ちきりだ。
「ねぇねぇ、アルキス様って、知ってる?」
「聞いたことある! 非モテの三軍共が最近、崇拝してるとか言う都市伝説!」
「でも実際、一昨日さ、チー牛の松田が一軍女子に告られたんだって!」
「知ってる! 銀髪紅眼の超絶美女! 松田がアルキス様にお祈りを捧げたお陰とか、噂になってた!」
「マジで? あのキモオタ、美女と一生縁遠い奴かと思ってたけど……!」
「チー牛に彼女出来るんなら、あたしもアルキス様にカレシほしーって願ってみようかなー?」
「え、やめときな……? だってアルキス様、ヤバい噂もあんじゃん?」
「あーねー? でも噂っしょ? 恋愛成就した三日後に死ぬってやつ?」
「そういえば、松田って今日で付き合って三日目じゃね?」
「今から松田のクラス行ってみる? あのチー牛、死んでたりして!」
「いやウケんだけど! 幸せ過ぎて死ぬとかありえねーし!」
「……ねえ、あれ、松田だよね? なんかおかしくね?」
「なにフラフラしてんだあのキモオタ? おい、松田ー! そこ突っ立てるとウチら通れないんですけど!」
「え、待って、松田、首から血が……!」
「きゃああああああっ! こいつ、マジで死んでる!」
「嘘……? 頭が、廊下に転がって……ひぃぃっ!」
この日を境に、この学校内で行方不明者が相次ぎ始めた。
当然、警察の捜査では手に負えず、捜査は早々に行き詰まってしまう。
……だが、定年間近の老警部こと「
為近・
利憲」だけは、この事件は人ならざる者の犯行だと薄々勘付いていた。
――グリモアベース。
グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は、招集に応じてくれた猟兵達へ、今回の任務内容を伝達しはじめた。
「今回はUDCアースで発生した高校内での殺人及び失踪事件の解決に向かってほしいなっ! この事件にUDC邪神が絡んでいる事が予知で判明したよっ!」
どうやら事件を引き起こすUDC邪神は、他人の幸福を奪って殺す習性があるようだ。
なので、バレンタインデーで恋人がいない生徒の願いを叶えるふりをしてカップルを成就させ、幸せの絶頂の3日後に殺害して生き永らえているらしい。
「実はこの事に一番早く気が付いたのは、なんとUDC組織のエージェントさんじゃなくて、さっきの予知の映像にも登場した定年間近の老警部さんなんだよっ!」
老警部「
為近・
利憲」は数々の難事件を解決してきた経験から、真っ先に真実に辿り着いたのだ。そしてそんな彼とUDC組織は接触を図り、今回の事件の『協力者』になってもらったのだ。
「みんなは、この高校に転移されたらまず、為近さんに会ってねっ! そうすれば、この高校の“関係者”として潜入できる手筈になってるよっ!」
高校周辺は検問が敷かれており、不審者や無関係な人物が校内に近付く事が困難になっている。
現場は明らかに異常な状況となっているため、警官は高校の周囲に捜査線を張るのみで、現場への突入を止めている状態なのだ。
「無事に潜入出来たら、校内の怪しい箇所の捜索や生徒達の噂を集めて邪神の出現条件を調べてほしいなっ!」
今までの予知の情報からすると、恋愛に縁遠い人物が「何かしらの手段で」邪神へ祈りを捧げ、それが叶うと恋人がすぐに出来るらしい。しかし3日後には校内で不審死若しくは行方不明になってしまうのだとか。
「ちなみに、今まで死者は2名、行方不明者は4名出てるよ……っ! 全員、何らかの儀式的手順を踏まえて『アルキス様』を呼び出してるっぽいっ! それが分かれば、被害が少なく済む校内の何処かで呼び出して、速やかに討伐しやすくなるはずだよっ!」
UDC邪神は他人の幸福を奪って、恐らく眷属を量産しているのだろう。
このまま放置するわけにはいかない。
猟兵達はそれぞれ変装の準備を整えると、グリモアの輝きに導かれてUDCアースへ向かう。
「楽しいバレンタインデーを台無しにするUDC邪神を、全力でぶっ飛ばしてきてねっ!」
レモンの激励を胸に、猟兵達は恐怖の高校へ乗り込んでゆく。
果たして、幸福を狩るUDC邪神の正体とは……?
七転 十五起
UDCアースでの猟奇事件、今回は警察の『協力者』と共に挑みます。
それはそれとして、高校への潜入調査をお楽しみください。
なぎてん はねおきです。
●概要
第1章冒険。
通常では考えられない「猟奇事件」発生の報を受け、猟兵達は現場にやってきました。
現場は警察により捜査線が張られていますが、協力者は猟兵達を一瞥すると「彼らはいいんだ」と言ってKEEPOUTの内側に招き入れ、「現場は明らかに異常な状況となっているため、警官は捜査線を張るのみで、現場への突入を止めている状態である」と説明します。協力者の言葉通り、UDC怪物によって「異常な状況」となっている現場に踏み込み、事件の発生場所へと向かいます。
今回の現場は高校です。一般生徒たちは普段通り授業や休み時間など、普段通りの日常を過ごしています。
生徒や臨時教師に扮して校舎を隈なく探索したり、噂話から情報収集を得ましょう。
どうやら邪神が狙うのは『恋人がほしいと切望する男女』らしいですが……?
なお、警察関係者として『協力者(
為近・
利憲警部)』と共に行動する事も出来ます。
第2章ボス戦。
前章での情報が正しければ、UDC邪神を誘き寄せる手段や条件が揃います。
呼び出されたUDC邪神を校内の安全な場所で討伐します。
『協力者』には生徒達の身の安全を守ってもらう為、共闘はできません。
第3章集団戦。
UDC邪神を撃破すると、怪奇現象が暴走・爆発し、周囲が骸の海のような汚染が広がります。
そこからUDC邪神の眷属達が次々と溢れてきます。
校舎内には何も知らない一般生徒達、学校教職員達、周辺地域には警察関係者や近隣住民が大勢います。
彼らを守りつつ、汚染が消失するまでUDC眷属を倒し続けてください。
それでは、皆様のご参加をお待ちしてます!
第1章 冒険
『潜入!秘密の学園生活!』
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POW : 学校でトラブルを起こしたり首を突っ込んだりして情報を炙り出してみる
SPD : 邪神の手がかりになりそうな場所や物品などを歩き回って探してみる
WIZ : 学校関係者(生徒や教師などなど)に扮して人から情報を集めてみる
|
――老警部「
為近・
利憲」は、いわゆるノンキャリア組の現場一徹の刑事だ。
これまで数々の難事件に携わり、多くの犯人を逮捕してきた為近は、優れた洞察力と行動力が武器だ。
それは定年退職間近になってもますます盛んである。……それゆえ、今回の事件の背景にいち早く気付いた。
「やれやれだよ。僕ぁね、霊能者とかオカルト研究者じゃないんだけどなぁ。でも、この事件は人間が出来る領域をすっ飛ばしちまってる。他のみんなは『不可能犯罪』とか言って思考を止めちゃってるけどさ、間違いなくホシはいるんだよ、それもとびきりの人外のホシがね?」
そう猟兵達へ語る為近警部が向かうのは校長室だ。
今回の潜入調査の折り合いをつけるべく、猟兵達とここで一度会談する手筈になっているのだ。
「周囲の警官達にも、あとから来るかもしれない君達の仲間を通すように連絡してあるよ。で、校長先生、僕と猟兵の彼らが暫く校内にいても不自然じゃないよう、うまく取り繕ってくださいね。僕ぁ正面から堂々と捜査令状を片手に生徒達や教職員の皆さんに聞き込みできますけど、彼らはほら、ちょっと目立つでしょう? 転校生とか臨機教員とか、適当な立場を与えてやってくださいよ」
というわけで、猟兵達が出来る潜入方法は次の3つ。
(1)生徒として恋愛成就の「アルキス様」の噂(主に呼び出す条件や方法)を調べる。
(2)教職員として「アルキス様」の噂を調べたり、校舎内に異常がないか調査する。
(3)為近警部と共に堂々と聞き込みする。
「にしてもバレンタインデーねぇ……? 僕ぁカミさんから貰えればそれでいいだけど、若い子はやっぱり沢山ほしいのかなぁ? まぁ、全くもらえないっていうのは嫌だよね。だからって、得体のしれない存在へ恋愛成就を願うのもねぇ……?」
苦笑いを浮かべる為近警部と共に、甘酸っぱいアオハル恋愛ムード漂う高校への潜入調査が始まった……!
レーヴァ・アークルージュ
うんうん、ピチピチの16歳!
運命の糸症候群は便利だなぁ……自在に年齢操作が出来るんだもん
そう言いながら生徒として手続きをして放課後の校舎内にて……そうだね、松田って子の第一発見者の子達の話を聞こう
そんな風に彼女らから話を聞いた後、少し話を
説教って訳じゃないけど……彼は貴方達からしたら奇異に見えていたのかもしれない
でも、死んでほしかったわけじゃないでしょ?
悪戯に迫害した訳でもないなら……彼にお線香をあげて、遺された家族を支えてあげて欲しいな
そう言った後、手に入れた情報からスマホとノートPCを取り出し、UCで性能を引き上げて情報精査と整理を行い更なる情報を発掘していくよ
高校生の制服は、何歳までなら許容範囲だろうか?
童顔の女性ならば、20代半ばでも着こなせるのだろうか。
少なくとも成人間近の女性はギリギリ着こなせるはずだ。
しかし、レーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)にとって、その悩みや危惧は無縁である。
「うんうん、ピチピチの16歳! 運命の糸症候群は便利だなぁ……自在に年齢操作が出来るんだもん」
シルバーレイン世界には、いわゆる外見と年齢があってない……否、外見と肉体年齢を任意にTPOにあわせてしまう症例がある。
レーヴァは今回の潜入調査のため、実際よりも3歳分も肉体年齢を下げて指定制服に袖を通す。
これでどっからどう見ても、潜入先の高校の一年生にしか見えない。
「へえ、本当に不思議だねぇ。まるでCGか手品みたいだ。長生きはするもんだよ」
レーヴァの『変身』を間近で眺めていた為近警部が目を丸くして驚いた。
「んじゃ、君には生徒手帳と校章をね。クラスは1年A組だって」
「ありがとう、為近警部さん! それじゃ、行ってくるよ!」
レーヴァは小道具を受け取ると、軽快な足取りで校長室を後にした。
「さてと、まずは被害者の松田君の第一発見者の女子生徒達から話を聞いてみようかな?」
既に為近警部から『松田首切り事件』の関係者の事をレーヴァは聞き及んでいる。
なので、第一発見者達がいる2年C組の教室へ直行した。
「すいませーん。松田って人の第一発見者が此処にいるって聞いたんですけど、いますか?」
真正面から恐れ知らずに上級生の教室へ乗り込んだレーヴァ。
周囲は一気に彼女へ視線を向けてみせた。
「……おい、下級生がミーハーなことしてんじゃねえよ」
そこへお世辞にも素行が良さそうとは言えない女子生徒のひとりが、レーヴァへ険しい表情を浮かべながら近付いてくる。
「サツの事情聴取とかで、いつメンはあたし以外は欠席してる。ただでさえグロいもん見て気分悪いのに……」
化粧の濃い女子生徒は迷惑そうにレーヴァへ圧を掛けるが、レーヴァ本人は全く気にしない。
「気分を害しちゃってごめんね。でも松田君に何があったのか、私は調べたいんだよね。だから、話を聞かせてくれる?」
真っ赤な炎のような瞳が射貫くように女子生徒を見遣る。
猟兵ゆえに狐耳や尻尾が生えていても気にされないが、レーヴァは立派な妖狐の一種族だ。
ただの人間相手にガンのくれ合いなど負けるわけがなかった。
「……チッ、分かったっつーの。でもここじゃ話しづらいから……屋上、来いよ」
「うん、分かったよ」
女子生徒は居心地悪そうに教室を出てゆくと、レーヴァもその後ろをついていった。
「なるほどね? マッチングアプリかぁ」
レーヴァは不良女子生徒から聞いた話によると、とあるマッチングアプリのプロフィール欄に『呪文』を記載すると、1通のダイレクトメッセージが届くらしい。
なお『呪文』とは、自分がどれだけモテずにこれまで生きてきたかという悲痛な思いの丈のことだとか。
「その相手が、件の『アルキス様』を名乗る人物ってことだね?」
「そうだよ。だから、あたしも『アルキス様』にあったことないし、その名前を騙る奴らも知らない」
「けれど、松田君は接触できた。そして松田君が付き合ったっていう銀髪紅眼の美女……ううん」
レーヴァはその美女こそがUDC邪神なのではないかと推察していた。
松田は偶然にも、いろんな条件が重なってUDC邪神をいつの間にか召喚してしまったのではないか。
彼も初めは人間の女性だと疑わなかったが、徐々に違和感に気付く。
そして3日後、松田に正体を知られたUDC邪神は、彼を惨殺した。
もっとも、件のUDC邪神は他人の幸福を壊す性質があるので、有頂天の松田に触発された可能性もあるが。
「とりあえず、私もそのマッチングアプリに登録してみるね。ただ……」
レーヴァは女子生徒へ詰め寄ると、ユーベルコードで出現させた『炎の概念』を発露させ、文明及び自然に由来する存在と事象が動力となる物品全て……この場では屋上の浄水タンクを操作し、あちこちに水の柱を立ち昇らせながら彼女へ告げた。
「説教って訳じゃないけど……彼は貴方達からしたら奇異に見えていたのかもしれない。でも、死んでほしかったわけじゃないでしょ? 悪戯に迫害した訳でもないなら……彼にお線香をあげて、遺された家族を支えてあげてほしいな」
「あ、あんた、何者なんだよ?」
女子生徒は戦慄しながら訪ねると、過去司りし天狐の黒き狐火を真炎たる破邪の言葉に乗せて言った。
「埒外の存在、
猟兵だよ。そして、私に聞かれた事、私と合ったことは、貴方の記憶からすべて焼き尽くされるよ」
黒い炎が女子生徒の額を掠めると、ふっと気を失ってしまった。これで記憶処理は完了した。
「それじゃ、ユーベルコードでマッチングアプリの裏側を探ってみようかな?」
屋上でスマートフォンをいじりながら、レーヴァはひたすらUDC邪神からの連絡を待つのであった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「女性で高等小学校や高女学校に通っていらっしゃる…」←憧れで目がキラキラする尋常小学校卒
「私学生を志すには少々薹が立っておりますから、家庭科の臨時教師でお願いします」
指導要領読んで
「消費者相談とは何ぞ?私、第4章の衣食住関係なら答えられますのに〜!」
大迷走後(あれば)料理部へ
UC「蜜蜂の召喚」
「今なら家庭科補習の調理実習や料理部で、チョコ作りを練習したい方が山ほど釣れるんじゃないかと思うのです」
テンパリングのやり方をきちんと知っている、知らないで班分け
テンパリング組にはマンディアン
しない組はスモアロリポップ
どちらも可愛くデコらせる
指導しながら恋愛話
特徴的な人や場所の話聞いたら蜜蜂を送り込み調査
サクラミラージュ出身の御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)にとって、UDCアースの教育事情は目新しいものばかりであった。
中でも女子高生という存在は、御園にとって衝撃的だった。
「女性が高等小学校や高女学校に通っていらっしゃる……UDCアースとは、かくも学問の門戸を誰にでも開いている世界なのですね……!」
サクラミラージュは現在まで大正時代の文化が続く世界だ。
女性の学問に対する差別は100年前から比べれば増しになってきただろうけども、尋常小学校出身の御園にとっては目の前の女子高生という存在は目を輝かせるほど憧れる概念である。
「私もあと10年若ければ……あんな化粧や御洒落を自由に楽しめるのが学生だなんて信じられません」
世界間の文化キャップにくらくらしつつ、御園は校長と相談して臨時の教員として校内に潜入する事となった。
「私、学生を志すには少々薹が立っておりますから、家庭科の臨時教師でお願いします」
「では、これが本校で扱う教科書です」
「拝見させていただきます。まあ、なんて目に鮮やかな配色の教科書なのでしょうか。どれどれ……? えぇと、消費者の権利? 消費者相談センター? これは一体? えぇ! この世界では、購入した商品が気に食わなければ販売者に文句が言えるのですか? なんて恐ろしい! だって粗悪品を購入した自分が悪いじゃないですか。目利きが足りないからと、挙句の果てに裁判まで起こして賠償金をふんだくるだなんて……! ちょ、調理実習なら自信があるのですが……」
UDCアースの教育事情と文化の違いが、御園に重くのしかかる……!
ということで、御園に教師は務まらないと校長に判断されてしまった。
代わりに、料理部の外部指導員として顧問を務める事になった。
「今日から顧問に加わりました、御園・桜花です。ところで、もうすぐバレンタインデーですね? 今日は練習もかねて手作りチョコレートを作りましょうか」
なかば強引にチョコレート作りを開始する御園は、部員に器具の知識や工程のやり方を教えてゆく。
『今なら家庭科補習の調理実習や料理部で、チョコ作りを練習したい方が山ほど釣れるんじゃないかと思うのです』
そんな意図で情報収集もかねて、調理実習はすすんでゆく。
「テンパリングは、チョコレートの温度を調節して、ココアバターを安定した結晶にする作業です。水冷法やタブリール法、フレーク法などがありますが、今回は水冷法を用いましょうか」
要は湯煎したチョコレートを水の入ったボウルの中で冷ましながら攪拌し、再び湯煎して溶かす方法だ。
一番手軽に行えるので、手作りチョコレートではポピュラーな工程だ。
とはいえ、中にはテンパリングが苦手だったり知らない生徒もいる。
そこで御園はテンパリングが出来る生徒には『マンディアン』チョコを作らせ、そうでない生徒には『スモアロリポップ』を作らせる。勿論、デコレーションは手を抜かず、可愛く仕上げてゆく。
「ところで、皆さんは大切な方へチョコレートを渡す予定はありますか?」
御園の質問に、半分は照れ、半分は不快感をあらわにする。
照れてる生徒はお目当ての相手がいるのだろう。
だが不快感をあらわにする生徒は、コンプライアンスだとかハラスメントだとか、御園を責め立て始めた。
UDCアース令和時代、個を尊重しすぎた結果、他者の干渉に対して過敏反応を示す世の中になってしまったのだ。
そうとは知らない御園は戸惑いを隠せないが、その中で妙な行動をする生徒を見つけた。
(あの子を追尾して、蜜蜂)
蜜蜂は御園の五感と共有し、遠く離れ場所の情報をもたらしてくれる。
家庭科室を怒りながら飛び出すその生徒は、スマホを取り出して何やら文字を打ち込んでいた。
『アルキス様はチョコレートは好きですか?』
『手作りチョコ食べたいですか?』
メッセージを送信した直後、すぐに返事が来た。
『嬉しい!』
『今から体育館裏の祠にチョコを置いてくれる?』
『待ってるから』
その生徒は、作ったチョコを急いで体育館裏の祠に捧げに向かっていき……そのまま、姿を消してしまった。
蜜蜂は慌てて体育館裏へ向かうが、祠なんてどこにもなかったのだった。
(どうやら『あぷり』とやらを介して邪神は生徒達をかどわかしているようですね……)
消えた生徒を必ず助けるべく、御園は調査を続けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
夏霜・ルア
臨時教師として潜入しての調査。
長い髪を纏めて、(高身長なため)オーダメイドなスーツ着たら大丈夫。
こういうことは、猟兵になる前からやっていた、から。
以上、独り言。
恋愛成就を願う気はわかる気がします。『得体の知れない存在』を『神様』に置き換えたら、ですが。ほら、一種の神頼みですよ。
そして…目立つかもしれませんが、UCで呼び出した蟇蛙たちに、儀式の痕跡がないかどうかを調べてもらいましょう。これも一種の【宝探し】です。
噂だけが伝播していて、何かをしたことが目撃されてないのなら…人気のない教室、が怪しいですかね?
夏霜・ルア(朧・f42570)は目元が覆い隠されそうなほど長い前髪を横へ流すようにセットし、少し乱れた長い髪もひとつに纏めて結わう。そして高身長の彼女でも動きやすいオーダーメイドのレディーススーツを着込めば、何処からどう見ても新人教師にしか見えない。
(こういうことは、猟兵になる前にやっていた、から)
社会経験が活きた瞬間である。
こうしてルアは、臨時の高校教師として、この高校へ転任するという形で潜入を果たした。
「ルアせんせー! おはようございまーす!」
「はい……おはようございます」
廊下を急いで駆け出して教室へ飛び込む男子生徒達に挨拶を交わすルア。
その持ち前の美貌と儚げな雰囲気から、男子生徒から羨望の眼差しで見詰められる事も多くなってきた。
だが本人は任務の事を優先しているため、彼らのアピールには素っ気ない態度を取り続けていた。
「でも、そこがルア先生の魅力だよな!」
「年上の女性のミステリアスな感じ……俺、目覚めちまったかもしれない……!」
一部の生徒の未開の扉を解放してしまったとは、ルアも想定していなかった事だろう。
しかし、この事で生徒達との距離が近くなったのは任務遂行の助けになる。
そこでルアは、ある日の昼休み、男子生徒達の誘いに乗って共にランチを食べる事にした。
案の定、男子生徒達はルアの身の上を詮索し始める。
「せ、先生ってカレシいんの?」
「つかどんな男がタイプ?」
「年下とか興味ないッスか?」
矢継ぎ早に繰り出される質問に、ルアは感情をゼロにして表情筋がピクリとも動かない。
(さすが思春期の男子高生……欲望が駄々洩れですね。ですが、これは好都合です)
ルアはふと、例の『アルキス様』の話を切り出し始めた。
「私の事は教えません。セクハラですよ。それよりも、あなた達は『アルキス様』について何か知ってますか? とても『ご利益』のある恋愛成就の神様だとか」
勿論、ルアは頼る気なんて毛頭ないのだけれど。
しかし男子生徒達は都合よく解釈し、ルアに恋人がいないから『アルキス様』に頼ろうとしているんだ!と思い込んで何でも喋ってくれた。
「このアプリで『呪文』をプロフに掲載しておくと、『アルキス様』からDMくるらしいぜ」
「とにかく、どれだけ彼氏がほしいかって気持ちを書き連ねるんだ」
「んでさ、呼び出すにはDMで指定された時間と場所で『アルキス様、アルキス様、おいでくださいませ』って唱えっと……目の前に現れて恋を叶えてくれるらしい!」
「直接現れたり、自分の好きな人に乗り移ってくる場合もあるらしいッス」
まとめると、そのマッチングアプリが何かしらの呪具のような役割を果たしているのかもしれない。
そして、特定の文言に反応して、生徒達を儀式に誘うという手口だろう。
「恋愛成就を願う気はわかる気がします。『得体の知れない存在』を『神様』に置き換えたら、ですが。ほら、一種の神頼みですよ。『アルキス様』も、誰かの恋愛を成就させたいっていう気持ちまでは純粋なのでしょうね」
問題は、恋愛成就で幸福の絶頂に登り詰めた瞬間、その者を殺害して眷属にしてしまうの点なのだが。
ルアは適当に男子高生の誘いを振り切って昼休みを終えると、次の授業の合間に校内を歩き回ってみた。
「ここなら人目もありませんね……おいで。蟇蛙達」
ルアの呼び声に応じて、ユーベルコードで召喚された小さな蟇蛙達が彼女の周囲に群がってゆく。
蟇蛙達に校内の魔力の痕跡を辿らせ、今まで生徒達がこの校内で儀式を行った場所を特定させるのだ。
「これも一種の宝探しです。噂だけが伝播していて、何かをしたことが目撃されてないのなら……人気のない教室、が怪しいですかね?」
そして辿り着いたのは、美術室。
一番新しい魔力痕跡はここから発せられていた。
だが、痕跡は複数個所も見付かり、男子高生達が言う通り、毎回、場所が変わっているようだ。
「こうなったら、私もそのマッチングアプリに登録してみるしかなさそうですね」
ルアは偽名でアプリに登録し、邪神が釣れる事を祈ることにした。
大成功
🔵🔵🔵
ブラミエ・トゥカーズ
相変わらず、異界の外様が調子に乗っておるようであるな。
神も魔も妖も星が産み、人が象ったモノであろうに、彼奴らはその道理も弁えぬ故に面倒だと思わぬか?
吸血鬼を招き入れたのは警部であるため、彼と共に行動する
UCにて一時的な眷属《罹患者》化をする
それにより、人前では言いづらい物事も話させる
ただし、この時代、この世界の人間には効きづらい
聞き込み対象からの感情《餌》は控えるが、警部からの警戒、恐怖、義侠心からくる敵意などを楽しむ
安心せよ。今の余は人は害せぬ。
後が面倒であるしな。
それに余が猟兵であらずとも、余を捕らえ殺すのは官憲の仕事ではない故な。
ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)は、今回のUDC邪神の事件に眉をひそめている。
「相変わらず、異界の外様が調子に乗っておるようであるな。神も魔も妖も星が産み、人が象ったモノであろうに、彼奴らはその道理も弁えぬ故に面倒だと思わぬか?」
尋ねられた為近警部は、難しい顔で答えた。
「つまり、神様って概念はこの星の自然が由来で、人間達がアニミズムでそれを神格視したってことかな?」
「少し解釈にズレがあるな? だが、まぁよかろう。要は邪神に人の営みを邪魔立てする道理はないという事だ」
ブラミエは既に為近警部に、自身の正体を明かしている。
「余はヴァンパイア。ヴァンパイアというものは招かれなければ建物に入れないのでな、今回は警部が夜を招き入れたので、共に行動するとしよう」
「本当にヴァンパイアが実在するとはね。僕ぁ物語の中の存在とばかり思っていたよ」
「何を言うかと思えば。邪神が実在するなら、ヴァンパイアがいて当然であろう?」
そんなやり取りをしながら、ブラミエは刑事として堂々と校内で聞き込みを開始した。
「ふむ、情報は足で稼げと警部は言っていたが、なかなか効率が悪いな……」
ブラミエは猟兵である。
確かに聞き込みという行為で刑事という立場は有効だが、ローラー作戦で生徒ひとりひとりに聞き込みするのは性分に合わない。それに相手が嘘をつく可能性もある。
そこでブラミエはユーベルコード『
伝承再現・泡沫の暗黒時代』の行使に踏み切った。
「為近警部、しばし口と鼻を塞いで呼吸を止めていろ」
「ん……!」
為近警部は言われるがまま両手で鼻と口を覆って、しばし息を止めた。
次の瞬間、淡く赤い霧状のものがブラミエの前方に噴射されていった。
その中を通過した生徒達は、多少咳込んだのちに瞳孔が真っ赤に染まっていった。
「これで一時的に、彼らは我が
羅漢者になった。それにより、人前では言いづらい物事も話させる
ただし、この時代、この世界の人間には効きづらいがな」
こうする事で、生徒達は包み隠さず情報を集めることが出来る。
そこで得られたのは『アプリに登録』『校内の指定はランダム』『モテない人ほど選ばれやすい』という情報だった。
「成程。ならば命ずる。アプリの登録者に呼び掛けよ。むやみに呼びかけをするな、と」
ブラミエはこれ以上の被害者を生まないために、アプリ登録者の使用の制止を呼び掛けた。
「これでしばらく大人しくなるだろう」
「そういえば、眷属になった子達は大丈夫なのかな?」
為近警部の疑問に、ブラミエが答えた。
「安心せよ。今の余は人は害せぬ。後が面倒であるしな。それに余が猟兵であらずとも、余を捕らえ殺すのは官憲の仕事ではない故な」
そう言いつつ、警部からの警戒、恐怖、義侠心からくる敵意などの
感情を楽しむブラミエであった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァルターン・ギャンビット
フォッフォッフォッフォッ!
(学校の上空を通り過ぎる宇宙艦『スペースダイナソー号』、程なくして校長室に現れる宇宙人)
邪魔するぜぇ、地球の警部殿に校長先生。
…血なまぐさい都市伝説だけでもいっぱいいっぱいなのに新たなオカルト要素増やすなって顔してんな。
さっそく情報収集を始めるか。カモン、【宇宙忍者軍団】ッ!
(校長室にワラワラ入ってくるシノビン星人。…入りきらない)
こいつ等の宇宙忍法を駆使して学校から情報収集するぜ。さあ、行きなッ!
んじゃ、その間はこの校長室で寛がせてもらうか。
情報は逐一『コミュニケーターマフラー』を通じて入ってくるしな。
あ、校長先生。アンタも『超銀河コーラ』飲むかい?
【アドリブ歓迎】
「フォッフォッフォッフォッ!」
突如、校長室の天井から光が差し込み、その中からヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)が天井をすり抜けて降臨ッ! 満を持してッ!
「邪魔するぜぇ、地球の警部殿に校長先生。この学校の上空に俺の宇宙艦『スペースダイナソー号』を停泊させているが、認識阻害バリアを張ってあるから気にしないでくれよなッ! ……おう、血なまぐさい都市伝説だけでもいっぱいいっぱいなのに、新たなオカルト要素増やすなって顔してんな?」
無理もない。ガチの宇宙人がUDCアースの人間と邂逅を果たしてしまったのだから。
「よっと、失礼するぜ? さっそく情報収集を始めるか。カモン、宇宙忍者軍団ッ!」
ユーベルコードで呼び出した仲間が、天井を貫通してぞろぞろと校長室に折りてくる!
……すぐに校長室が満室になってしまう。
「こいつ等の宇宙忍法を駆使して学校から情報収集するぜ。さあ、行きなッ!」
136体の宇宙忍者軍団が校内に繰り出すと、生徒や教師たちにインタビューしまくってゆく。
そこで『昨日、アルキス様とコンタクトとった』という生徒を確保!
「よっしゃッ! なら、そいつの呼び出しを利用して邪神を叩けるぜッ! 勝ったも同然だなッ!」
情報は逐一『コミュニケーターマフラー』を通じて入ってくるので、リアルタイムで歓喜する頭領。
有力情報を得たヴァルターンは、コーラ片手に前祝いを校長室でおっぱじめてしまう。
「あ、校長先生。アンタも『超銀河コーラ』飲むかい?」
校長室で寛ぐヴァルターンに、校長も脂汗をかきながら超銀河コーラを受け取って乾杯するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
背格好から学生に
警部殿から日本育ちハーフてゆー設定貰った
髪は小綺麗に纏めて結う
相棒ユキエも同行
人前では肩に居るが喋らず只の鸚鵡として振る舞う【演技】
【聞き耳/追跡】で【情報収集】
チョコとかカノジョ欲しいとか駄弁ってる男子達と特に接触
オレ男前じゃないし恋人も居ないしーと話を合わす
儀式をしたがってる生徒や先生の噂したり
もしくは最近試しちゃってビビってる人の話を
該当人物を観察…いや話そ
ねーアルキス様の噂てこの学校だけ?それともこの街で流行してる?オレ転校してきてすぐでさー
恋人?あは失恋中
儀式したとき変な感じしなかった?等々
警部殿へはユキエとUCでも【情報伝達】
老練警部殿の勘にも興味あるしな
アドリブ可
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)にとって、潜入任務は馴染みある仕事だ。
「さてと、どんな設定で潜ろうか?」
考え込む鹿村に、為近警部が提案した。
「君も異世界から来たのかな? だったら、日本人とのハーフなんてどうだろう?」
「ん、ハーフ?」
サムライエンパイア出身の鹿村にハーフという概念がとっつきにくかったが、要は混血児だと知ると納得した。
「要するに、個の肌の色の外国の片親を持つのが、今回のオレの設定ってわけか」
「うん、君は顔立ちも整っているし、中東系の浅黒い肌だと言えば誰も文句は言わないはずだよ」
「中東って何処だ……? まあ、オレは転校生として潜入するつもりだし、海外からやってきたっていう設定は周囲の興味を惹いて情報が集まりやすいだろーな?」
という事で、真っ赤な髪をUDCアースの整髪料で小奇麗に整えると、この高校の制服を纏って、いざ登校である。
「オレ、鹿村・トーゴっていうんだ。こっちは相棒のユキエだ」
教室に鸚鵡を肩に乗せた褐色肌の赤髪青年が入って自己紹介するやいなや、物珍しさで一気にクラスメイトが鹿村の周囲に群がって質問攻めしてきた。
「何処の国から来たの?」
「白い鸚鵡カワイイ! この子、撫でていい?」
「日本語、上手だね?」
休み時間になると一斉に鹿村の周囲へ人だかりが出来る程の注目度だ。
そんな中、彼女がいるか?という質問に、鹿村はわざとらしくオーバーに反応してみせる。
「オレ男前じゃないし恋人も居ないしー。え、恋人? あは、失恋中。どっかいい出会いがないもんかね?」
鹿村がかつて意中の女性を失ったのは事実だ。だからか、情報を轢いだすための演技に重みを感じる。
『嘘をつくときは、少しだけ真実を混ぜると信じ込ませやすい』とは詐欺の常とう手段だ。
そんな回答を繰り返していると、冴えない男子生徒達のグループ……いわゆるクラスカースト下位の三軍男子と呼ばれる非モテ男子達が、周りの目を盗むように鹿村へコンタクトを図ってきた。
「ト、トーゴ氏? よろしければ、理想の女性と出会えるマッチングアプリについて教えて差し上げますぞ?」
バレンタインデーが近いせいか、ずっと教室の片隅で『チョコ……リア充……!』とブツブツつぶやいていた彼ら。
そんな彼らから教えてもらったマッチングアプリは、何でも『アルキス様』という恋愛成就の女神様が実在するアプリなんだとか。
「先日、不審死を遂げてしまった松田氏も、このアプリで絶世の美女と交際出来たのです!」
「たった3日間とはいえ、誰もが振り向くような美貌とばいんばいんのプロポーションの女性とイチャコラできたんだ松田氏が羨ましいですな!」
「とはいえ、死んでしまったら元も子もないでござろうに……嘆かわしや!」
どうやら、彼らは無くなった最初の被害者である松田君と交友関係があったようだ。
「なあ、その松田って人、アプリで女性と会うとき、様子はおかしくなかったか? つーか、アルキス様の噂ってこの学校だけ? それともこの街で流行してる? オレ、転校してきてすぐでさー。その辺の事情は明るくなくてさ」
鹿村が興味を持ったと分かった瞬間、彼らは急に打ち解けて色々と話してくれた。
それによれば、松田君が美女と交際するようになってから心ここにあらずのままだった、とか。目撃情報は校内が多いのに女性の方は制服を着てない事からこの高校の生徒ではないこと、とか。
「あと、呼び出される場所は毎回、人気のない場所だった気がするでござる」
「あれは絶対にいかがわしい事をしていたのだ! くそ! 野外で事に及ぶとは、見損なったぞ、松田氏!」
嫉妬に狂う三軍男子グループは放置しておいて、鹿村は考え込む。
「邪神は陰気を好んでいるのか? だったら人気のないところを好みそうだなー」
まあ単純に人通りの多いところで邪神の手引きの種明かしをしたくないってだけだろうけども。
「ひとまず、校内の人気のないところを監視するかね。彩織り、音の羽、沙謡の鳥……うん、喚び掛けにお応えありがとよ」
ユーベルコードで147羽の鳥達を召喚して空に放つ。この鳥達は音声模写が得意なのだ。
一度聞いた他人の声を再現したり、爆発音や誰かの足音なんかも再現できてしまう。
「これで、今まさに邪神と逢瀬をしようとしている奴を食い止める事が出来るかもな?」
その鹿村の考えは、ほどなくして的中する事となる――。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
借金返済
うむ…色々大変だが頑張ろうかさっちゃん
「あのクソ共に借りを作るとか屈辱だな…!」
そういうんじゃないぞさっちゃん
彼らのお蔭でジャパニア歩けるようになったわけだからな
「そうはいってもよぉ主様…って…は?体で払う?(ぞわぁ)お、俺は男神だぞ!?美味しくないぞ!?」
うん、カシムは確かにスケベ超人だろう
ましてさっちゃんや吸収の権能を持つ神機…お眼鏡に叶ったか
恐らくは絞られたいのだろう…私も少しばかりさっちゃんはえっちがすぎるのではないかと思っていた
「ち、違うから!?そもそも乗り手の生命力を奪うだけだから!?モルスじゃねーんだよ!?おいカシム!主様とかどうよ!ぱっと見美少女に見えなくもないだろ!?」
私の嗜好は女性だが…できなくはないぞ?忍者の嗜み故な?とはいえ厳しいだろうが
さっちゃんには生徒のふりして噂を集めて貰おう
私は警部と尋問するぞ
松田の関係者から事情聴取
どんな様子か
後は告白した女子についても聞いておくぞ
どういう人物か…どんな様子かだったかもな
さっちゃん
女の子をナンパしまくって聞き込みだ
カシム・ディーン
借金返済
UC常時
チー牛ってなんだ?
チーズ牛丼は美味いけどな?
「一種のスラングだぞ☆あまり意味じゃないぞ☆」
生徒として侵入するが…
おいぜっちゃんにテラ
このカシムさんの金を使わせるとかいい度胸だ…
お前らにはこの分は体で払ってもらうからな!
………
て、てめーら…僕を何だと思ってやがるんだー!?
あとぜっちゃん!僕は襲いたいのは女の子だけだっつーの!?
「メルシー的にはどちらもいけるぞ☆」
てめーは黙ってろ!後手をだすな!後悔しそうな気がするし!
【情報収集】
僕もメルシーも学生として侵入するぞ
一応ジャパニアでも経験があるしな?
イケメンだからモテるだろうし最近の事件について詳しく聞くぞ
そしてアルキス様とやらについても調べて置く
そもそも噂の出どころは何処かなのか
どうしてそんな話が広まったのか
まぁ…許せねーよな
「そうなの?」
折角手に入れた幸福を踏みにじって利用してそれらを否定ってのは許せねー
松田って奴も…もっと生きたかっただろうからな?
後は聞き耳を立たり普通に聞いたりしてアルキス様を呼ぶ方法について把握するぞ
テラ・ウィンディア
借金返済
UC常時
カシム達への借りを返す為にも頑張って稼ごうなヘカテ!
「ええ…よりによってサートゥルヌスと一緒な上メルクリウスに借りを作るとか屈辱の極みですが…!」
って体で払う…?
その…おれ…そういうの経験ないから…上手くできないし…カシムは割と無理だけど…なんとか頑張る(涙ボロボロ
「テ、テラぁ…!カシムさん…私の事は好きにしていいです!だから…テラだけは…テラは…!(絶望したまま涙を流し)」
え?支払えばいい?
わ、分かったぞおれ頑張って稼ぐからな…!
ルカもきっと頑張ってるからな…だから…oreも全霊を尽くして応えるのみだっ!!
おれは生徒のふりをして侵入するぞお
うん、こうして勉強ができるのはとても良い事だ
おれも…こんなんだから素敵な人が見つからなくてな…
何か素敵な出あいが出来る機会はないか?
そのアルキス様ってどういう人なのか?(聞いてみるこういう場合は虚言の中に真実が潜んでいる事もあり得るから
うん、俺はここのエースさんについても知りたいぞ
おれ…エースに憧れてるんだ(おめめきらきら
「はあぁぁ~、ったくよぉーおめーらは馬鹿か……?」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)がテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と皇・絶華(影月・f40792)、そしてそれぞれの相棒であるヘカテイアとサートゥルヌスに本気の説教をしていた。
「ヘカテとさっちゃんが仲悪いってーのはメルシーから聞かされてる……まぁ、原因の半分はあいつにあるから、一足早く罰を受けてもらっているがな?」
「ごひゅひんサマ、ひきくへどうだど☆ ぎいいぃぃっ!」
メルシーは格子状に緊縛された状態でギャグボールと目隠しをされたまま、校長室の床に転がされていた。
更に雷魔法で低周波治療器めいた苦痛を与え続け、トヨス・ウオガシめいた魚の動きを再現させていた。
そんなピッチピチしてるメルシーを放置プレイしつつ、カシムの説教は続く。
「あのな? 喧嘩でジャパニアの街を半壊させるとか、何考えてやがるんだ? あのままだったら……おめーら犯罪者のまま多額の賠償金を支払わされていたんだからな?」
「ご、ごめんなさいだぞ……! ほら、ヘカテも謝るんだ!」
「その節は大変ご迷惑を犯しました……!」
テラとヘカテイア、誠心誠意の土下座である。
「おめーらもだぞ、ぜっちゃんにさっちゃん!」
しかし、カシムの怒号の前でも通常通りの態度で飄々としている絶華。
「うむ……色々大変だが頑張ろうか、さっちゃん?」
「いや、主様のチョコで引き起こした自爆が街の半壊の原因の一因でもあるんですけど……? つか、こんなクソ共に借りを作るとか屈辱だな……!」
「そういうんじゃないぞ、さっちゃん。カシムの言う通り、彼が多額の賠償金と保釈金や賄賂をジャパニアへ納めてくれたお蔭で、また私達はジャパニアの日向を歩けるようになったわけだからな。それに、さっちゃんの装甲は今やメルシーの差し出してくれた賢者の石スライムと私のチョコで出来ているではないか。それはつまり、私はいつでもさっちゃんを自爆させる準備が着々と揃いつつあるという事なのだが?」
「ぴっ!?」
憐れサートゥルヌス、主と天敵に自身の生殺与奪を握られてしまっている状況では威勢のいい言動など出来るはずもなかった。
「はい……メルクリウス様……借金返済のために尽くす喜びを見出したいと思います……ぐぬぬぬ……!」
サートゥルヌスは涙目のまま、憤怒で身体を震わせながら土下座をしたのだった。
なお、絶華は校長先生に漢方薬チョコを喰わせて、ハゲを治療してしまった。
「どうだ! 死滅した毛根を蘇らせたぞ! やはり私のチョコのパワーは絶大ィッ!」
「おめー、ぜってー反省してねーよなあ
????」
当然、カシムの蹴りが絶華の背中へ飛んでいったのは言うまでもない。
という事で、暫くの間はテラ・ヘカテイア組と絶華・サートゥルヌス組は、カシムを頂点とした『チーム』を結成する運びとなった。
「カシム達への借金を返す為にも、頑張って稼ごうな、ヘカテ!」
「ええ……しかし、よりによってサートゥルヌスと一緒な上に、メルクリウスに借りを作るとか……屈辱の極みですが……!」
「駄目だぞ、ヘカテ! もうさっちゃんとは喧嘩しないって約束しただろ? でないと、おれ達が死ぬぞ……」
「うッ、そうでした……! チョコ、怖い……!」
こちらのコンビはこちらのコンビで、絶華の暴走を恐れてサートゥルヌスとなし崩し的に和睦していた。
「ということで、どうだヘカテ? 似合うか? おれは転校生として情報収集するぞ!」
「まあ! よく似合ってますよ、テラ!」
保護者的観点から目を輝かせるヘカテイアに対して、テラは学び舎の憧れから目を輝かせていた。
「制服……女子高生……! うん、こうして勉強ができるのはとても良い事だ……!」
年齢的にもちょうど高校1年生のテラは、新しいクラスにすぐ馴染んでみせた。
なお、ヘカテイアは外見がお姉さん過ぎたため、その制服姿は……。
「いや~キッツイな……?」
「デリヘル風俗のコスプレオプションみたいだゾ☆」
――と、カシムとメルシーからだ目出しされてしまったため、校長室で待機中である。
「たしか、1軍女子のグループが噂してたんだよな? 1軍女子……きっとすごく強い女武道家たちなんだろうな!」
テラは出身世界のせいか、もしくはエルフの種族的文化なのか、人間の教育機関へは未就学である。
そして根っからの武闘派なので、何か勘違いしているようだ……。
「噂の中心は、エースに集まってくるらしいな! おれ、エースに憧れてるんだ……!」
テラの目のキラキラが止まらないが、実際にこの後、テラは1軍女子グループに果たし状を送りつけてドン引きされてしまう。
その話は、また別の機会にということで……。
「1軍って、腕っぷしの話じゃなかったのかっ!?」
対するサートゥルヌスは、黒髪翠眼の美少女姿で制服を纏うと、まるで深窓の御令嬢のように凛とした美しい女子高生にカムフラージュしてみせた。
「ふん、こんな窮屈な格好しなきゃならねえなんて、人間の考えることはやっぱり分からねえな?」
「こらこら、さっちゃん? 言葉遣いに気を付けなくては駄目だぞ?」
「だからチョコを片手に脅すのはずるいですって、主様……分かりましたよ。猫被ればいいんですよね?」
「そう言う事だ。私は為近警部と一緒に聞き込みをしてこよう」
絶華は特に変装などせず、そのまま銀の長い髪をなびかせながら、老警部と一緒に捜査を再開した。
一人取り残されたサートゥルヌスは、言われた通りのミッション遂行に動く。
「女子高生を片っ端から口説いて情報を引き出せって、くくく……! 1000年モノのナンパテクで小娘なんぞメロメロにしてやるぜ! ……おっと、して差し上げますわ!」
あくまでも今は深窓の御令嬢としてサートゥルヌスは振る舞いつつ、噂の収集に励みだした。
その頃、カシムとメルシーは共に生徒として校内を闊歩していた。
「メルシー、もっと離れろ。目立って仕方がないだろ?」
「ご主人サマはメルシーの中に入ってくれた仲だし、今更くっついても問題ないぞ☆」
「おい誤解される言い方ぁ!」
勿論、神機モードのメルシーのコクピットに搭乗したという話だが、UDCアースの住人は目の前の推定美少女の正体が神の名を冠する機械の神様だなんて、アニメじゃない、本当のことさ!といっても信じないだろう。
そんなやり取りを何度も交わしていれば、二人は美男美女カップルとして認知されてしまった。
「うがー! 僕のイケメンパゥワーは36世界に通用しすぎるほどの美貌なのは分かり切っていたが、おめーがいると女子高生達とハーレ……ごほん、親睦を深められねーじゃねーか! おかげで情報が全然集まらねーぞ!」
「ご主人サマが別の小娘の中にプラグインだなんて、メルシー、耐えられないんだけど?」
「怖っ! 急な湿度の高さだなおい! つか、流石に僕はそこまで見境ないわけないだろ……」
「うん、知ってるぞ☆ だからこそカップルで聞き込みだよ、ご主人サマ!」
メルシー曰く……『モテない友人にアプリを勧めたいけど詳しくないから教えて☆作戦』らしい。
「こういうのもなんだけど、テラちゃんやさっちゃんってモテなさそうだよね?」
「まぁなー? ……テラは武術一辺倒だし、さっちゃんに至っては性根が腐ってるからな……」
「ご主人サマに言われたらさっちゃんはオシマイだぞ☆」
「るっせー。とにかく、その路線で行くか……つかチー牛ってなんだ? チーズ牛丼は美味いけどな?」
「一種のスラングだぞ☆ 一種の差別用語だからいい意味じゃないぞ☆」
メルシーの言葉に、カシムは一呼吸を置いて神妙な面持ちになる。
「まぁ……許せねーよな」
「そうなの?」
「あたりめーだ……折角手に入れた幸福を踏みにじって、利用して、それらを否定ってのは許せねー。松田って奴も……その、チー牛とか馬鹿にされながら、やっと彼女が出来て、これからって時に……もっと生きたかっただろうからな?」
メルシーは長い間、カシムの傍らにいたから分かるのだ。
こういう時のカシムは、とてつもなく激怒しているという事を。
という事で、カシムとメルシーは一軍女子達やカースト下位の生徒達から噂を掻き集めてゆく。
そして辿り着いた教室の中で、二人は衝撃の光景を目の当たりにした。
「お、おめー、なにしてんだ……?」
「ちょ……別人だぞ☆」
教室の中では、1軍女子達がテラとサートゥルヌスに化粧を施していたのだ。
「こ、これが、ギャルメイクか! うわー可愛いぞ! これでおれも立派なギャルなレデエだな!」
「う、うう……俺、いえわたくしが、このような化粧を……? い、意外と似合いますわね、おほほほほ……!」
「さっちゃんも似合ってるぞ! やっぱりギャルしか勝たん!だな!」
「え、ええ! なんだか自己肯定感が爆アガリですわ~!」
すごく、平和であった。
なお、情報は為近警部と絶華が有力情報を掴んでくれたので、無事に情報収集任務は大成功となった。
「やはり私が一番優秀という事だな! 為ちゃん!」
「為ちゃんだなんて、僕ぁ小学生以来のあだ名だよ」
大成功
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第2章 ボス戦
『幸福狩りの死神アルキス』
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POW : 幸せの抹消鎌
自身の【鎌に蓄積された人々の幸福 】を代償に、【幸福を奪われた人々の亡霊】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【ドス黒い闇の魔力】で戦う。
SPD : 打ち砕かれた希望
【目の前の敵を思い切り罵倒すること 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【魔力の大鎌】で攻撃する。
WIZ : 私以外は誰も認めない
自身が【嫌悪感や殺意】を感じると、レベル×1体の【アルキスの分身体】が召喚される。アルキスの分身体は嫌悪感や殺意を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:紺屋サキチ
👑11
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猟兵達は、マッチングアプリを利用したUDC邪神を呼び寄せるべく、各々が登録を済ませて『呪文』をプロフに書き連ねた。どれだけ恋人がいないかとか、リア充が憎いなどの嫉妬、自分に恋人が出来ないことへの絶望などなど。
読んだ人間が思わずドン引きするレベルで感情が揺り動かされる『呪文』は、UDC邪神の食指を動かすにいは十分凄る撒き餌となった。
猟兵達のスマートフォン及びそれに類する通信機器へ、一斉に邪神からダイレクトメッセージが届く。
『この後すぐ、体育館の中でお逢いしましょう――アルキスより』
これと同様のメッセージを、アプリを利用した生徒も受け取っていたため、猟兵達と共に体育館へ向かっていった。
「でもおかしいです。この時間帯、どのクラスも体育館を使ってないはずですが……って、あれ? 扉が開いてる?」
呼び出された生徒が首を傾げながら、恐る恐る体育館へ足を踏み入れた。
すると、体育館のステージの上で、銀髪紅眼のツーサイドテールの女性が、異形の大鎌を携えて待ち構えていた。
あれが恐らく『アルキス様』なのだろう。
「待っていたわ。恋人がほしいと嘆く憐れな不幸なる人達。さあ、この中から好きな子を選ぶといいわ!」
アルキス様は自身の大鎌からわらわらとゾンビのような亡霊達を放出しはじめたではないか。
その中に、予知で見た松田の姿もあった。
「この子達も、私に幸福を奪われた哀れで可哀想なの。あなたとお似合いよ。さあ、誰でも好きな子を選んで?」
「それって、みんな、死んでるってことじゃないですか! ひぃっ!」
呼び出された生徒が腰を抜かしたところへ、猟兵達と為近警部が体育館の中へ雪崩れ込んできた。
これに『アルキス様』が眉をひそめた。オブリビオンは、猟兵と一般人との区別が見分けつく。それは猟兵も同じだ。目の前の『アルキス様』は恋愛成就の神様なんかじゃない。立派なオブリビオンでありUDC邪神である!
「まんまと私ははめられたようね。でもこの子達に勝てるかしら? この子達は私の眷属。
恋人が出来たくらいで『もう幸せ過ぎて死んでもいい!』とか言った莫迦な子達。だから、その幸福ごと命を奪って、私の物にしてあげたわ。そもそも、私以外は誰も認めない。私こそ唯一で至高の存在。羨望の眼差しを受けるのも私以外許されない。だから、誰かを好きになるくらいなら、私にその恋心を捧げなさい? 未来永劫、傍らにいて愛してあげる」
なんたる不条理!
アルキスの分身と眷属の亡霊達が体育館に満ち溢れてゆく……!
「僕ぁこの子を避難させるよ。猟兵のみんなは、あれを何とかしてくれないかい? さあ、逃げるよ!」
為近警部と一般生徒は、狂気に呑まれつつも必死に体育館の出入り口を目指す。
それを阻止せんと、魔力の大鎌を振るうアルキス!
「させないわ! って、邪魔しないで!」
猟兵達は死力を尽くし、この一撃を防いで弾き返す!
為近警部と生徒は、どうにか脱出していったのを猟兵達は確認した。
さあ、これで戦場は整った。
幸福狩りの死神アルキスに引導を渡し、殺されてしまった亡霊達の無念を今こそ晴らす時だ!
武器を取れ、猟兵達! ユーベルコードの高まりを感じる……ッ!
ヴァルターン・ギャンビット
フォッフォッフォッ。ようやく見つけたぜ、黒幕。
情報収集は部下に任せっぱなしだったからな。俺様もここから一働きといくぜッ!
アーム・レイガンを連射して牽制しながら攻撃よッ!その御大層な大鎌も近付かなきゃ使えめぇッ!
フォッフォッフォッ、苛つくかぁ?殺気がビンビン感じるぜ。
と、何だぁ?分身してきやがった!?俺を追跡して攻撃してきやがるな。
なら纏めて【重力嵐光線】ッ!
フォッフォッフォッ、高ダメージを与えつつ動きを封じる光線で倒してやるぜ。
重力嵐光線を受け、まだ耐えてる奴にはレイガンの追撃をくれてやる。
邪神だかなんだか知らないが、こちとら宇宙海賊。スケールの違いを教えてやるぜッ!
【アドリブ歓迎】
「フォッフォッフォッ。ようやく見つけたぜ、黒幕!」
ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は自身の大きなハサミをガチガチ鳴らしながらUDC邪神へ喧嘩を売ってみせる。
「情報収集は部下に任せっぱなしだったからな。俺様もここから一働きといくぜッ! だがお前は従えた亡霊に任せきりとは良いご身分だな?」
「何ですって?」
ヴァルターンの言葉に、アルキスの片目がヒクヒクと痙攣する。
「あなたに何が分かるの? この子達は私がいなければ、一生孤独のまま死んでいった憐れな存在、それに死という永遠で私につなぎ留めることの慈悲が理解できないの?」
「少なくとも、俺は御免だな! そら!」
アーム・レイガンを連射してアルキスの動きを牽制! 近付かせないように高速移動!
「その御大層な大鎌も近付かなきゃ使えめぇッ!」
「ああ、鬱陶しい! 攻撃そのものはへっぽこなのが余計に腹が立つわ!」
「フォッフォッフォッ、苛つくかぁ? 俺への嫌悪感がビンビン感じるぜ?」
「ええ、そうね。お陰で、このユーベルコードが使えるわ! 私以外は誰も認めない!」
次の瞬間、体育館のスペースを埋め尽くす、150人のアルキスの分身体が、一斉にヴァルターンへ襲い掛かってきた。
「と、何だぁ? 分身してきやがった!? しかも俺の高速移動を追跡して攻撃してきやがるな」
四方八方から追跡してくる分身体をアーム・レイガンで撃ち堕としてゆくヴァルターンは、次の一手を放った。
「なら纏めて……『
重力嵐光線』ッ!」
ヴァルターンの両手のハサミから、高威力の重力嵐光線が照射されると、体育館内部はたちまち1000倍の重力の嵐が吹き荒れる!
窓ガラスは破損し、備え付けられれたバスケットボールのゴールが床に落下!
その破片とと共に多くのアルキスの分身体が巻き込まれて圧殺され、身動きが取れなくなってしまう!
「フォッフォッフォッ、高ダメージを与えつつ動きを封じる光線で倒してやるぜ! 重力嵐光線を受け、まだ耐えてる奴にはレイガンの追撃をくれてやる!」
あとは七面鳥撃ちと言わんばかりに、動けなくなった分身体を打ち抜き、アルキス本体へも容赦なく光線で撃ち抜いていった。
「お前が邪神だかなんだか知らないが、こちとら宇宙海賊。地球を支配するお前と比べて、スケールの違いを教えてやるぜッ!」
「痛っいわね……! でも、今、あなたは私を圧倒して幸せを感じたわね? あなたは絶対に殺してやるわ!」
途端、邪神の力が一気に膨れ上がる!
「おっと! こいつはやべぇ! 俺はいったん退避するぜ!」
ヴァルターンは慌てて体育館の外へ飛び出し、他の猟兵に事を任せるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ブラミエ・トゥカーズ
恋人に死人を紹介するのであれば、もう少し化粧してやってもよかろうに。
これだから異界の外様は風情がない。
UCを発動しつつ普通に剣で戦う
優雅で力はあるが技量はない
防御はしない
斬られる度に出血し自身に【攻撃が命中した対象に伝染性ウィルスによる血液への悪性腫瘍を付与】する
相手に自身の本性たる病原菌として感染する
敵本体・分身体互いが嫌悪感を抱くように幻覚を与える
敵の攻撃対象を敵体内に感染した自身とする
敵本体、分身体を切り裂かれたらそこからさらに別の敵に血を介して感染する
望まれずとも余は貴公の傍らにいてやろう。
血に飢え、狂い、その身が灰となるまでな。
UDC邪神『幸福狩りの死神アルキス』の所業に、ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)は冷めた視線を送っていた。
「恋人に死人を紹介するのであれば、もう少し化粧してやってもよかろうに。これだから異界の外様は風情がない」
「あら、あなただって似たようなものじゃないかしら? 私には分かるわ」
アルキスの真紅の眼がブラミエを嘲笑う。
「というか、私、この高校の中の出来事は掌握済みなの。見たわよ、赤い霧で生徒を洗脳していたところを。だったら同じ穴の
狢同士、仲良くしましょう?」
「戯言を抜かすな。余を貴公と一緒にするな」
僅かだがブラミエの目元が感情の揺らぎで痙攣した。
その言葉を証明するべく、彼女はユーベルコードを発現させた。
「余は歌おう。嘗ての敗残者として。余は告げよう。未だ健在であることを。余は再び示そう。この赤き死の狂乱を」
祝詞めいた詠唱文句を口にし、浄剣・ウィッチバインドを鞘から抜き奔る。
その剣筋はまるで舞うようにしなやかで美麗だ。
一方、邪神はこれに狂い嗤う。
「あはは! 怖い怖い! 怖くて私が分身しちゃう!」
アルキスは自身の身の危険を感じたことで150体の分身体を召喚、そのままブラミエへ殺到させた。
ブラミエは剣技で対抗するが、圧倒的な物量に押し負けてしまう。なにより、ブラミエの剣技は『見掛け倒し』であった。
「うぐ……っ! 寄って集って余を嬲るか……!」
「あははは! なぁんだ、剣筋は美しくても、パワーも剣の扱いもド素人じゃないの! そのまま大鎌で刈り取ってあげるわ!」
分身体をけしかけ、トドメを刺すよう仕向けるアルキス。
ブラミエの全身は斬り刻まれ、大量の血液が体育館の床を濡らし、返り血を分身体へ浴びせていた。
だからこそ、この勝負はブラミエの勝ち確展開であった。
「痴れ者が。余が考えなしに貴公等に斬り刻まれていたと思ったか? そろそろ『発症』するであろう……かつてUDCアースで猛威を振るった致死性の伝染病、死に至る赤き災厄がな」
「負け惜しみもここまでくると哀れだわ。もう口を慎みな、さ、ごほっ! かはっ! な、なに? 急に喉が、苦しくな、って……? っ!!」
アルキスは急に咳込むと、急に喀血したではないか。本体だけではない。分身体達も次々と倒れ、血を吐き、不調で喘ぎ始めたのだった。
「
災厄流行・赤死病……今はワクチンが完成しており、とうに忘れ去られた『不治の病』。それが余である」
苦しむ分身体の首へそっと剣先を添えると、しなやかな動作で胴体と頭を切断してゆくブラミエ。
「故に、余の血液を吸い、浴びた者は、伝染性ウィルスによる血液への悪性腫瘍を発症し、致死性の貧血、飢餓感、幻覚、喘息の症状が立て続けに出てくる。これが、かつては幾多の命を奪っていった余の有様だ」
「ハァ――ハァ――!」
もがき苦しむアルキスは、既にブラミエの手の中で踊らされていたのだ。
「望まれずとも余は貴公の傍らにいてやろう。血に飢え、狂い、その身が灰となるまでな」
「や、やめ――!」
その美しい剣閃が、アルキスの身体を掻っ捌くまで、さほど時間は要さなかった。
大成功
🔵🔵🔵
夏霜・ルア
あれがアルキス様ですね。
不条理なのは、UDC邪神としてはよくあることですが…それでも、止まる理由にはなりません。参りましょう。
ここで悲劇を止めてみせます。
蒼き贋作神刀『繊月』にてお相手しましょう。
このアルキス様、どうしても目立ちますから…UCを使ったら、もう見失うことはなく。
性質は同じ、されど…そちらは『目の前』というもの。身体をずらしていき、目の前に立つことのないように。
そして…UCで斬りつけるときには顔の部分を狙うように。『繊月』の効力で凍結を狙います。
鼻が凍結しても、視界に氷が入ってけっこう邪魔なんですよ?
御園・桜花
「流石邪神とあって、随分自分に都合の良いお馬鹿さんですこと」
「人生最大の驚愕度を表しているだけの言葉を言質だと言い張って、人を殺してしまうのですもの。同じく人生一度のお願いなんて擦り切れる程使われますのに…オツムの弱い、邪神さん?」
哀れみの目で煽る
「そんな言葉で人の幸せを狩った気になる、人の言葉に縋ってしか人を集められない、お馬鹿で弱い邪神ですものねえ…此処で惨めに散るのがお似合いですよ」
笑い煽る
「貴女のような偽の幸せ売付け詐欺師を退治するのがお仕事ですもの」
時速750kmで飛行
敵の攻撃を第六感や見切りで躱しながら吶喊
盾受けからのカウンターも効果的に使いつつ魔力の大鎌破戒してぶん殴るのを繰返す
御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、汚染された体育館の空気を一掃するべく桜鋼扇で桜吹雪の嵐を巻き起こした。割れた窓ガラスから汚染された空気が抜け出て、太陽光線を浴びてウィルスは死滅していく。
夏霜・ルア(朧・f42570)もこれで戦闘に参加できるようになった。
「味方といえど、まさか病原体をばら撒くなんて。桜花さん、助かりました」
「いえいえ。放っておいても、あの邪神は野垂れ死んだでしょうけども。ですがやはり、手ずから鉄槌を下さねば気が済まなかったので。お気になさらず」
不自然なまでにニコニコと笑顔を讃える御園。ルアには彼女が怒りを抑え込むべく無理して笑みを作っているように思えた。
そんなルアが、咳込むUDC邪神へ一瞥をくれた。
「あれがアルキス様ですね。不条理なのは、UDC邪神としてはよくあることですが……それでも、止まる理由にはなりません」
「ええ。勿論です。そして、流石は邪神とあって、随分と自分に都合の良いお馬鹿さんですこと」
御園の声色は寒桜に積もる雪よりも冷え込んでいた。
「人生最大の驚愕度を表しているだけの言葉を言質だと言い張って、人を殺してしまうのですもの。同じく人生一度のお願いなんて擦り切れる程に使われますのに……オツムの弱い、邪神さん?」
普段から温和な御園からは考えられないほど冷徹で蔑んだ憐憫の眼差しが邪神へ向けられる。
「そんな言葉で人の幸せを狩った気になる、人の言葉に縋ってしか人を集められない、お馬鹿で弱い邪神ですものねえ……此処で惨めに散るのがお似合いですよ」
一方的に嘲笑う御園に、ルアも思わず閉口してしまう。
「そんな貴女のような偽の幸せを売り付ける詐欺師を退治するのが、私のお仕事ですもの」
「いや、ここはあなたの日記帳じゃないんだけど? 気障なお気持ち表明ならSNSでやったら? いいね!は誰からも付かないでしょうけど」
邪神の正論パンチが御園のハートに直撃する……!
遂に御園はレスバの末に逆ギレして、ユーベルコードでの突撃を開始した。
「我は精霊、桜花精。呼び覚まされし力もて、我らが敵を戒めん!」
「あ、待ってくださ――」
ルアの制止の声を振り切った御園は、時速750kmで体育館の中を飛行してみせる。
その瞬間、凄まじい暴風が巻き懲り、残っていた窓ガラスが一斉に吹き飛んで粉々に飛び散った。
UDC職員の事後対応の仕事が増えてゆく……。
「ああ、あれは聞いてませんね……とはいえ、ここで悲劇を止めてみせます。蒼き贋作神刀『繊月』にてお相手しましょう。参ります」
ルアも戦闘態勢に移行すると、冷気を帯びた刀の柄に手を掛けた。そして冷静に戦況を見定める。
(あのアルキス様はどうにも目立ちますので、ユーベルコードを放てば見失う事はないでしょう。そしてアルキス様のユーベルコードは私のユーベルコードと同じ性質……しかし、グリモア猟兵の予知によれば、発動条件に『目の前の敵を罵倒する』事が含まれる……今、私は罵声を浴びせられていませんし、幸い、あの頭に血が上った桜の精さんに意識が向いています。つまり、私へ攻撃は飛んでこない上に、私からの攻撃は不意討ちになりえます)
つまり御園の暴走は、ルアにとって結果オーライであった。
現に、UDC邪神アルキスは御園とのレスバとユーベルコードの応酬に集中している。
「恋愛を餌に寄ってくる愚かな人間を、神の私が好き勝手にして何が悪いの? あなた、頭から桜が生えてるけど、もしかして脳味噌もお花畑なのかしら? きっと脳の養分が桜に全部吸い取られてるのね。可哀想~!」
「そちらこそ、本当に言語が通じないお猿さんですね? 自ら神を名乗る存在は、大抵ろくでもないと相場が決まっております。あ、それを推し量る知能も貴女にはないのでしたね。お可哀そうに」
「そう言いながら、さっきから私の攻撃を喰らいまくってるじゃないの! その高速移動はぶんぶんとうるさいだけのハエの真似かしら?」
「はあ? 貴方こそ、その鎌がなければただのへっぽこじゃありませんか? 莫迦なのですか?」
「うるさいわね、この脳味噌堆肥ハエ女!」
「御黙りなさいな、スカタンお下劣クズ邪神!」
アルキスは御園に罵声を浴びせることで大鎌から必中の斬撃を放ち、それを御園は手袋からビームシールドを発生させてパリング防御に徹してレスバ応戦する。
御園が体当たりで邪神の大鎌を破壊するも、魔力で出来た大鎌は何度も復元されてしまう。
つまり、完全に千日手で膠着状態に陥っていた。
御園だけで挑んだ場合、一向に決着がつかずに苦戦していただろう。
(なんて醜い争いなのだろう……)
ルアは深いため息をついてしまう。
しかし、ルアが此処に横からユーベルコードを叩き込むことで、この状況を打開することが出来る!
「私ならできる……」
神経を研ぎ澄ませ、視野を広げる。その視線の先に、邪神アルキスを捉えた。
「月の剣・広域――蒼き贋作神刀『繊月』!」
鍔鳴りと共に刃が横薙ぎに一閃、神速で振るわれた。
途端、体育館の檀上にいるアルキスの顔面の真ん中が横一線にざっくりと掻っ捌かれた。
ルアから標的までおよそ12m。まさに“飛ぶ斬撃”である。
「痛っ!?」
不意を突かれたアルキスが思わず目をつむる。
次の瞬間、斬り裂かれた傷口が一瞬で凍結し、つむられた目に霜が付いて開けられなくなってしまった。更に鼻の穴も霜でみるみるうちに塞がってゆく。
「な、なによこれ! 目が開かないわ! こ、呼吸も……!」
「どうですか? 鼻が凍結しても、視界に氷が入っても、けっこう邪魔なんですよ?」
「ふざけないで! あなたも、真っ二つに斬り裂いて……」
「いや、それは無理ですね。目が開けられない今のあなたは、私が今、何処にいるかなんて視認できませんから」
ルアは自身と同じユーベルコードの性質である邪神のユーベルコードの弱点を見事についてみせた。
これならルアは攻撃を全く受けずに済む。
「ちなみに、私は左側へ移動しましたよ」
「左ね? わざわざ教えてくれるなんて馬鹿じゃないかしら?」
邪神はまんまと左へ身体を向けた。
その刹那、脇腹に強い衝撃が邪神の身体の中を衝き抜けていった。
「やはり、あなたはお猿さんでしたね? 私がいることをもうお忘れですか?」
「がはッ!?」
がら空きになった邪神の脇腹へ、御園の超高速のボディーブローが炸裂した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
恋愛成就を餌に狩りしてた割に
恋の重みも解さないのーみそスカスカ邪神様か
アンタのは蒐集と所有欲じゃねーの?
らしいといや邪神らしいねェ
生徒待避直後からUC全強化
挑発したが敵が至極強いのは解ってるからな
UC代償は【激痛耐性】と殺戮の呪詛を戦意に転化、…ミサキ、力を借りるよ
相棒ユキエは懐にいる
『トーゴはユキエがいないと無茶するしー』
ハイハイ
何が何でも敵の被弾は手足以外受けてはやれねーな
敵の罵りは殺戮呪詛よりマシだ
オレもさっき悪口言ったしー?
口より刃で殺ろーか
俊足と【野生の勘と軽業】で躱し体育館の設備【地形の利用】
鎌を【武器受け】の際は七葉隠全体で受け衝撃で分割、四方から【念動力で投擲】
その足元をスライディングで掬い手持ちのクナイで斬り上げ、裂き、【念動力】で分割七葉隠を真上から落とす
その間に上に跳び右腕を黒曜石の鉤爪に変化させ上から叩き付けるように裂いてえぐり攻撃
鎌ごと叩き斬ってやるぜ別嬪の女邪神さん
殺せば自分のモノ?
オレはそうは思えないんだよねェ
事実、オレはミサキを永遠に無くしたしな
アドリブ可
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は邪神を前にして声が震えていた。
「恋愛成就を餌に狩りしてた割にさ、恋の重みも解さないのーみそスカスカ邪神様よー? アンタのやってる事は蒐集と所有欲じゃねーの?」
「え? 最初からそう言ってるけど?」
美少女然とした邪神は首を傾げて断言した。
「誰も愛されなかった子達の傍に私が寄り添うってことは、私の眷属になるってことじゃないかしら?」
「はは……らしいといや邪神らしいねェ。ハナから話の通じねぇ相手だったか」
鹿村は沸騰しそうなほど煮えくり返るはらわたの衝動任せにユーベルコードの『降魔化身法』を発現させた。
「生徒は警部の爺様が避難させてくれたからな。こっちも最初から殺戮衝動と破壊の呪詛を全力で受け入れてやる……ミサキ、力を借りるよ」
鹿村はかつて失った初恋の女の子の名前を呟くと、その身体に彼女の霊を降ろした。
悪鬼の類となった彼女は狸の妖怪と幽鬼と共に鹿村の肉体の中で暴れ回り、暴走に近い霊力を彼に授けた。
「がハッ!?」
しかし、その代償として全身に酷い激痛が走る。
『トーゴ、やっぱり無茶する。もーユキエがいないとすぐ無茶するしー』
相棒の白鸚鵡ユキエが説教しながら鹿村の懐で鳴き声を出す。
このおかげで鹿村の意識は現実に引き戻され、憑依した者達から身体の主導権を取り戻した。
「はいはい、悪りーな。気を付けるよ」
鹿村はすぐに体育館の中を縦横無尽に駆け回り始めた。
邪神アルキスのユーベルコードは正面にいる相手へ罵声を浴びせることで、魔力の鎌から斬撃を放つ。
なので視界に収まらないように攪乱しながら、鹿村は透明の巨大忍刀『七葉隠』を七分割して念動力で操作する事で斬撃を阻もうと考えた。
「猟兵ってちょこまかするしか能がないの? 視界に収まれば、あなたは真っ二つなんだから無駄な足掻きじゃないかしら?」
アルキスの罵声と挑発に鹿村が対抗する。
「オレもさっき悪口言ったしー? つかそんな罵声は今オレが抱えている呪詛に比べたらなんでもないな。うだうだ口で喧嘩するより、とっとと刃で殺ろーか?」
鹿村がランダムの方向へクナイを乱射する。
「何処投げてるのよ、ノーコン忍者さん?」
嘲笑う邪神だったが、鹿村の念動力でそれぞれがまるで意思を持ったかのように邪神へ向かって突っ込んでくる!
「嘘でしょ!?」
慌てて魔力の鎌でクナイを切断してガードする邪神。その瞬間、確かに鹿村から視線が僅かな間だけ逸れていく。
(今だ!)
鹿村は素早く壇上へ駆け上がると、すぐにスライディングキックで邪神の足元をひっかける。
バランスを崩した邪神は鎌の石突を支えに転倒を防いだが、すぐさま分割して空中で待機させていた『七葉隠』が矢のように邪神の身体を貫いた。
「ぎゃあぁ!?」
透明な忍刀によってステージの上で邪神は貼り付けになってしまった。
「殺せば自分のモノ? オレはそうは思えないんだよねェ……事実、オレは
初恋の人を手に掛けて、永遠に亡くしたしな。たとえ霊体でオレの身体に降ろしても、ずっと一緒にオレといることはできないんだ」
「あなたは、さっきから何を、言って……?」
必死に張り付け状態から脱しようとするアルキスだが、鹿村がそれをみすみす許すわけがない。
掲げるは黒曜石で覆われた右の巨腕。その鋭利な爪が邪神の身体を狙い澄ます。
「つまりさ、恋人がほしい相手に死者をあてがうなんて『冥婚』じゃあるまいし……ずっと呪われてる俺からしたら、そういうのさ……すげーむかっ腹なんだよな」
鹿村の怒りと身に受けた呪詛が頂点に達した時、邪神の身体を黒光りする巨腕の爪がずたずたに引き裂いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
借金返済
よぉクソ死神
僕からの質問は一つだ
松田君にお前らよ(霊に向けて
そこの銀髪赤目と…
ヤレたのか?
否定の答えに…超絶激昂
「ご、ご主人サマの怒りゲージが降り切れた…!」(がたがた
ヘカテよぉ…おめー確か死霊魔術が使えたな?松田君達を助け出せ
それとも…こんな死神クソ女よりおめーは格下か?
【情報収集・視力・戦闘知識】
死神の動きと攻撃と癖を冷徹に把握
罵倒は寧ろ余計にキレさせてくれてるので
感謝するぜてめー…お蔭で容赦ゼロでいけそうだ
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で匂いや音を隠蔽
残念だ…いい身体してるからたっぷり味わいたいが…今の僕はてめーを痛めつけたくて仕方ねーし…そういうのは…松田君達に任せるとしようか!
【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
UC発動
幸運の神発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込み痛めつけ
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・電撃】
鎌剣と打刀で切り刻み電撃を流し込み無力化と共に鎌や武装を根こそぎ強奪!
後はお前らの好きにしろ
テラ・ウィンディア
借金返済
UC継続
「ぅぐううう!」(一章でかなりの精神ダメージを受けてる機神
ヘカテー…大丈夫か…?
「だ、大丈夫です…この程度の屈辱…!何より…ギャルメイクのテラは可愛いですよ…!」
カ、カシムがものすごく怖いぞ…!質問も良く分からなかったが…!
「メルクリウスも恐れおののくって…どれほどですか…!」
【戦闘知識】
アルキスと分身体を見据えその動きを分析
【属性攻撃・空中戦・弾幕・貫通攻撃・重量攻撃】
ドリルビット
ガンドライド展開
分身体と本体を火炎弾を乱射して蹂躙の限りを尽くす
【二回攻撃・早業・串刺し・切断】
太刀と剣による連続斬撃から槍に切り替えて串刺しにする!
カシムの言葉に
「ぐぅぅぅぅ!!」(意図に薄々気づいて苦悶の表情
へ、ヘカテ…?
しかし挑発にぶちんっ☆
「はぁぁぁぁ!?この程度の自意識過剰三下死神より私が下ですってぇ!?上等です!この程度ぉ!」(ぜっちゃんチョコ齧り超強化
神聖魔術と死霊魔術でアルキスが捕らえた亡霊達の制御強奪!
同時に実体化して此方側として戦わせる!
皇・絶華
借金返済
おお、奴が今回の黒幕の様だぞ
銀髪とはちょっと親近感がわくが…殺戮を行うのは良くないし…死神とはデウスエクスっぽいな!
【戦闘知識】
アルキス分身体の動きと陣形を分析
テラやカシムと情報共有
「というか主様って…戦いの分析とかできるんですか…!?」
何をいうさっちゃん
敵を知り己を知れば百戦危うからずだろう?
「(狂気と知識って…比例しないのか…!?いやある意味比例してるのか
…!?)」
至高の存在と語るアルキスよ…お前には足りないものがある!
そう…それはパワーだ!だが安心するがいい!このビルシャナやきっと椋鳥明王もまっしぐらな我がチョコを食す事で圧倒的なパワーを得られるぞ
【バーサーク・薬品調合】
UC発動
己やテラやヘカテやカシム達にも使用
女の子や私はムキムキにはならないぞ?いつも服が破れるのは大変だからな
その分筋肉が凝縮するが(つまりパワー収束)
【乱れ打ち・念動力・二回攻撃・切断】
連続斬撃で切り刻み念動光弾で吹き飛ばし
【爆破】
死神本人に真・ぜっちゃんチョコ捻じ込み(パワーで爆発)
亡霊達にもカカオ汁与
人は極限まで怒りを覚えると、逆に冷静な態度を取るらしい。
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の見開いた両目が次第に金色に輝く。
声色は低く平坦、感情が乗っていない。しかし語気の所々に肌を衝くような殺気が迸っていた。
「よぉクソ死神。僕からの質問はただ一つだ」
カシムは邪神が召喚した亡霊達を指差し、自分を押さえつけながら言葉を紡いでゆく。
「松田君にお前らよ……そこの銀髪赤目と……
ヤレたのか?」
亡霊達は呻き声を上げる。だがそれはどう聞いても喜びの声ではない。裏切られた悲しみと怨嗟の声であった。
勿論、亡霊達の中には女生徒も含まれているが、恐らく彼女達も何も始まらないままアルキスに殺されたとみて間違いない。
「つーことはよォォォー、餌だけぶら下げて……てめーの眷属欲しさに無関係のこいつらを釣ったことになるよなアァァァー?」
「ええ、そうよ? 私はただ、眷属を増やすために、恋愛っていう分かりやすい餌をこの施設に投げ込んだだけよ?」
「じゃあーてめーも同じことだよな……僕達がまんまとおめーを釣り上げてボコってるこの状況がよォォォー?」
「ご、ご主人サマの怒りゲージが……振り切れちゃったー!?」
相棒のメルシーが恐怖で竦み上がっている……。
対して、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と相棒兼保護者のヘカテイアは、なんだか妙にやつれていた。
「ぅぐううう!」
「ヘカテー? ……大丈夫か……? 精神汚染がまだ完全に除去出来てないか?」
「だ、大丈夫です……よもやお姉さん過ぎて女子高生に見えないなんていう程度の屈辱……! 何より……ギャルメイクのテラは、尊いですので……! はぁん……!」
ヘカテイアはテラと一緒に生徒として潜入したが、多数の「いや~キツイっす!」の声で断念せざるを得ず、精神面が病んでしまった。
一方、テラは情報収集のために制服姿で一軍女子達へ聞き込みを行っていたら、途中で取っ捕まってギャルメイクでガラリと印象が変わってしまった。
「お、おれだって! おでこ全開は初めてだぞ……!」
「テラはいいよなぁ!? 俺に至っては目元キラキラの口元プルツヤなんだぞ!」
そして同じく一軍女子に捕獲されてしまった皇・絶華(影月・f40792)の下僕のサートゥルヌスは、純朴な美少女から渋谷系ギャルメイクで派手な顔付きになってしまった。
このカオスな状況で、絶華だけは平常運転で邪神を見据えていた。
「おお、奴が今回の黒幕の様だぞ、ギャルさっちゃん」
「ギャル言うな!」
「いいじゃないか、よく似合っているぞ? さて、敵は銀髪だな、ちょっと親近感がわくが……殺戮を行うのは良くない事だ! それに死神とは、ケルブレ世界のデウスエクスっぽいな!」
絶華は相変わらず行動がトチ狂っているが、実は戦況と敵の予測行動はしかと判断しているのだ。
それに気付いたサートゥルヌスが意外そうに主を見詰める。
「あの、主様って……戦いの分析とかできるんですか……?」
「何を言っているんだ、さっちゃん? 敵を知り、己を知れば百戦危うからずだろう?」
サートゥルヌスは真顔になってしまう。
(いやいやいやいや! 狂気と知識って比例しないのか!? いや、ある意味比例してるのか……? 知らんけど……)
もうサートゥルヌスには何もわからなかった。
と、ここでカシムがヘカテイアへ問い掛ける。
「ヘカテよぉ……おめー、確か死霊魔術が使えたな? 松田達を助け出せ……それとも……こんな死神クソ女より、おめーの魔力は格下か?」
「はぁぁぁぁ!? この程度の自意識過剰三下死神より私が下ですってぇ!? 上等です! 戦争ですよこんなの!」
「ほう? じゃあ、勝つためなら死力を尽くすよな……当然だよな?」
「当たり前じゃないですか! 何だってやりますよ!」
「ヘ、ヘカテ! その言葉はまずいぞ!」
テラはカシムの意図が透けて見えていたので制止の言葉を投げ掛けたが、時すでに遅し。
「ん? 今……何でもするって、言ったよな……?」
「はっ! ぐぬぬぬぅぅ!」
ヘカテイアもようやくカシムが何を自身に望んでいるのかを理解してしまった。まんまと怒れるカシムの口車に乗ってしまったのだ。
「カ、カシムがものすごく怖いぞ……! というか、ヘカテ、やっちゃったな!?」
「ふ、不覚です……というか、メルクリウスも恐れおののくって、どれほどですか……!」
「グダグダ言ってねーでさっさと済ませるぞ……つか、向こうはもう我慢の限界のようだが、な!?」
亡霊達が一斉に猟兵達へと雪崩れ込んできた。
更にアルキスはカシムの挑発に乗ってレスバに参戦!
「釣られたところで、ここであなた達を殺せば逃げ果せるのよ! それで万事解決なんですけど? 勝つつもりで話進めるとか馬鹿なのかしら?」
この瞬間、アルキスの魔力の鎌から空間と距離を無視した斬撃がカシムへ繰り出された。
カシムはメルシーの襟首を掴むと、自分の前へ放り投げた。
「必殺! バカガード!」
「ぐわー☆」
メルシーの身体が真っ二つに斬り裂かれる! しかし10秒で元通りに復元されていく!
「う~ん、痛み10点・技術点8点・芸術点3点ってところかな☆ さっちゃんみたいに時空を無視して狙った箇所に斬撃を繰り出して、メルシーを左右まっぷたつに出来る破壊力はドM垂涎モノだけど~、如何せん『映え』がないぞ☆ ドMの心をもっと揺るがすなら、もっと血飛沫ぶしゃー!みたいな視覚効果も欲しかったかな☆」
「キモッ……なんで生きてるのよ?」
変態の前に邪神がドン引きしている! しかも拷問のレビューまで付けられてしまい、邪神は二重でドン引きだ。
その際に出来た隙を突いて、カシムはお得意の光学迷彩魔術で周囲に姿を溶け込ませた。
(これで彼奴は僕の姿を視認できない……あの邪神の発動トリガーは2つ……『対象に罵声を浴びせること』……そして……『対象を視界に収めておくこと』だ)
どちらかひとつが欠ければ、アルキスご自慢の遠距離斬撃ユーベルコードは封殺されてしまう。
頼みの綱は亡霊達の攻勢だが、異臭を放つ真っ黒な塊を掲げる絶華が怪しく微笑む!
「自らを至高の存在と語るアルキスよ……お前には足りないものがある! そう……それはパワーだ! だが安心するがいい! このビルシャナやきっと椋鳥明王もまっしぐらな我がチョコを食す事で、お前は圧倒的なパワーを得られるぞ! その証拠に……刮目せよ!」
絶華はテラはおろかヘカテイアの口元に漢方薬チョコと超高濃度カカオ汁を強引に喉奥へ流し込んでいく!
「語彙h;じゃだdpk:フェ」l@えrkふぇwq!」
「。おうkyつjrtでゃrgふぁえw49xsdgd!?」
あまりの不味さに言語野を破壊されるテラとヘカテイア。
だが、次の瞬間、二人は漆黒の輝きを放って亡霊達を蹴散らし始めたではないか!
「ガガガガガピー!」
「ちゅちゅちゅゆーん!?」
ただし、強力なパワーを得た代償として、言語野が破壊されてしまうのだ!
テラは故障した機械音のような声に、ヘカテイアに至ってはスズメの鳴き声になってしまう!
ヘカテイアはその圧倒的なパワーを使い、周囲の亡霊達をアルキスの支配下から解放させて冥界へ送ってゆく。
「ちゅちゅちゅ! ちゅちゅーん!」
多分『あなた達の無念は晴らします!成仏してください!』と言ったのかもしれない……。
「ピーガガ! ガガピー!」
ドリルビットとガンドライドを操りながら、テラも燃え盛る赤い槍をぶん回して自身が火炎竜巻になって体育館の中を燃やし尽くす!
体育館の屋根が爆発炎上!
「ははははは! いいぞ! これこそチョコのパワーだ! では、私も失礼して! スポポビッチ!」
チョコとカカオ汁を飲み干した絶華は、両目に鬼を宿して大跳躍!!
「言っておくが、女の子や私はムキムキにはならないぞ? いつも服が破れるのは大変だからな! しかし、その分、筋肉が凝縮する! つまり、今の私の体重は筋肉増強分で通常の3倍だ!」
そのまま邪神へドロップキック炸裂!
「ギャアアァァァアーッ!」
あまりの膂力に邪神が吹っ飛んで壁にめり込む!
絶華は彷徨う亡霊達へ、自身のカカオ汁を撒くように飲ませてゆく。
「これは死者さえ蘇生させたパワーがあるチョコだ! お前達も蘇るの、だ? 何故、成仏してゆく……?」
「パワーがありすぎて、清めのお塩レベルで除霊してんの、マジで草ァ!」
結局サートゥルヌスはチョコの恐怖に怯えて戦闘を回避。そのためか、サートゥルヌス本人が気づかぬうちに猫耳が生えている……!
戦場がカオスになったこの状況で、邪神は壁から抜け出して血反吐を床に撒き散らした。
「あ、が……! な、なによ、このデタラメなパワーは!?」
「ほう? このパワーに興味がるのか?」
「ひっ
……!?」
絶華、反応速度が高まり過ぎて瞬間移動してきやがった。
「ならば味わえ! 私のカカオ汁を!」
「あwせrdちゅびのm@。;!」
邪神は喉にカカオ汁を大量に流し込まれて、苦痛で床に転がって悶え始める。
そこへ、忍び寄ってきたカシムの雷迸る打刀が邪神の片脚をサクッと削ぎ落してしまった。
「ギャアアァァァアァァーッ!」
音もなく接近したカシムもだが、自身の脚がまるでバターのようにぬるりとそぎ落とされたことに、邪神は初めて恐怖を覚えた。
その後もカシムは邪神の肢体を出来るだけ苦痛を与えながら削ぎ落してゆき、遂にダルマ状態にまで追い込んでしまう。
「残念だ……おめーはいい身体してるから、たっぷり屈服させてやりたいがな……今の僕はてめーを痛めつけたくて仕方ねーんだ……でも、そういうのは、おめーに殺された奴ら……松田達に任せるとしようか! おいメルシー! 松田におめーのハルペーを貸してやれ!」
「う、うん……」
メルシーは霊体でも使えるようにビーム大鎌剣ハルペーに術式を賭けた後に松田の霊に手渡した。
松田はわなわなと身体を震わせながら、手足がすべてなくなった邪神へゆっくり歩み寄ってゆく。
更に他の殺された生徒の霊達も怨念を抱えて邪神へ近付く。
「やめなさい、あなた達! 私はあなたの主人よ!?」
「ちゅんちゅちゅん! ちゅちゅん、ちゅんちゅん、ちゅんちゅちゅーん!」
「は? 何ですって?」
ヘカテイアはスズメ五しか喋れないので、邪神は思わず聞き返してしまう。
だが、それはもう叶わない。
目の前の松田の霊が、ビーム大鎌剣ハルペーを振りかぶり、今まさに振り下ろそうとしていたからだ……。
こうして、邪神の断末魔と霊達の蹂躙がしばらく続いたあと、大破した体育館の中には猟兵達以外は誰もいなくなった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『聖スイーツ・チョコレイト騎士団』
|
POW : チョコレイト騎士団の熱い情熱
【溶けるほどに熱いチョコレートの闘気】を纏い、攻撃力が8倍になる。ただし防御力は0となり、全ての攻撃が致命傷になる。
SPD : チョコレイト騎士団の芳醇な戦技
【プレッツェル・チョコレイト・ソード】【板チョコレイト・キャンディシールド】【スローイング・ドーナツ・ブーメラン】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : チョコレイト騎士団の甘くない決意
他者からの命令を承諾すると【冷たいダークチョコレートによる追加装甲】が出現し、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になる。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
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かくして、邪神アルキスは完全に消滅した。
そこへ戻ってきた為近警部が、すっかり崩壊してしまった体育館に驚いていた。
「何をすれば……此処まで酷くなるんだい?」
猟兵達の一部は、警部に目を合わせられなかった……。
暫くして、地元警察も学校に駆け付けた。
UDC組織の極秘要請を受け、体育館の大破を『地下のガス管破裂による爆発事故』として処理するためだ。
実況見分が進んでゆく中、為近警部が奇妙な異変に気が付いた。
「みんな、あれを見てくれるかい? さっきの女の子の邪神を倒したところ……ぼんやりと陽炎みたいのがあるんだけど、僕の目の錯覚かなぁ?」
定年間近の為近警部は老眼の影響かと思って猟兵達へ進言を躊躇っていた。
だが、いま改めてみると、明らかに空間がねじ曲がっているのが見て取れた。
次の瞬間、ねじ曲がった空間が放射状に亀裂が入る!
――パリィィィンッ!
ガラスが砕けたような破砕音が響いたと同時に、その空間の歪みから大量のUDC怪物の集団が湧き出てきたではないか!
しかもここだけではなく、校舎の中でも悲鳴が上がっている!
「まさか、今まであの邪神が生徒達を手に掛けた場所から怪物が出現しているってことかい!?」
為近警部の勘は鋭い。今回の事件も一般人ながら、いち早く真相に辿り着いた。
恐らく、その見解はただしいのだろう。
ならば猟兵達は急いでUDC怪物が発生する箇所へ散らばり、生徒や教職員、警察官達を守りながら怪物達を殲滅しなくては!
記憶処理はUDC職員がやるとして、まずはこのパニックで死傷者を未然に防がなくては……!
ブラミエ・トゥカーズ
日光で焼かれて大被害
日陰を探した際に他者の戦いの余波で体育館備え付けの消毒用アルコールや
手洗い用の石鹸などがぶつかったかもしれない
所詮はただの人達により駆逐された最下等生物《ウイルス》
とりあえず、従者の持つ日傘に避難
為近警部に従者から日傘係を代わらせる
固形物など余は口にできぬし、赤くもない。
というわけで、貴公に任せる。燃えていようが何であろうが喰うのは得意であろう?
従者正体:餓鬼
どれだけ喰らっても満たされることはない永遠の飢餓地獄の説法から紡がれた妖怪
追加されても歓迎するだけ
仲間も呼ぶかもしれない
再現するは六道が一つ餓鬼地獄
日傘を揺らすな。
余が焼けてしまうではないか。
妖怪の食事は人の畏れの感情
レーヴァ・アークルージュ
と!
分析の結果待機しておいてよかったよ……
そう言って二つの未来属性と過去属性を全て狐火を燃やし『準備が間に合わなかった時系列』を『焼却』し因果を再構築
そのまま『準備が万全であった時系列』に組み替えてからUC発動!
チョコって事は、物質だよね
なら、問答無用で浄滅の対象だよ!
発生地点から発生した直後に、浄滅の白炎がUDCの肉体から吹き上がり浄滅
そのままチョコのUCを『チョコという物質』に働きかけて浄化していくよ
しかし、私も強くなったものだよね
『焼却』と『火炎』の概念を操作する……それが私の『六番目の猟兵』としての『生命体の埒外』なんだ
ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)は端的に言って日光に弱い。
全身が火傷のように赤くただれ、端正整った顔立ちも苦痛で歪む。
先の戦闘で体育館の屋根が吹っ飛んだからだ。
「だ、大丈夫かい、君?」
為近警部がブラミエをすぐさま日陰に避難させていた。
「いや、もしや消毒用アルコールか、薬用石鹼の類に触れたのやもしれない。所詮、余の正体はただの人達により駆逐された最下等なウイルスよ」
「だとしても、このままじゃ戦えないじゃないか。折り畳みの傘でよければ、日差し除けになるはずだ」
疫病相手に心配する為近警部に、ブラミエは思わず愛おしさで噴き出してしまった。
「ふ、愚直だな。だが気に入った。貴公の手は煩わせぬ。一般人の避難に専念してくれたまえ」
「でも、君はどうするつもりだい?」
為近警部の問いに、ブラミエはすぐさまユーベルコードで従者を召喚した。
「とりあえず、従者に傘を持たせるがゆえ。さあ、征け」
「……分かった。無理はしない事だ、いいね?」
為近警部は悲鳴が上がった校舎棟へ、老体を押して走っていった。
「やれやれだ。余の方が貴公より年上なのだがな。さて……いつまでそこにいるつもりだろうか?」
ブラミエは物陰に身を潜める赤毛の猟兵ことレーヴァ・アークルージュ(超学園級の烈焔魔導士・f29627)を呼びつける。
「あれ? バレてたんだ。でも分析の結果待機しておいてよかったよ……っと!」
襲い掛かってきたチョコの鎧騎士へ、レーヴァは白と黒二色の炎……未来属性と過去属性の狐火を放つ。
「絶対、どっかで綻びが出ると思ったからね。怪しい箇所で張り込んでおいて正解だったね」
完全な不意討ちという状況は黒炎によって『準備が間に合わなかった時系列』が、白い炎で『不意討ちを喰らった未来』が焼却されて現実が再構成される。
ダークチョコレートの隠密技能を無効化し、レーヴァは軽々と背後からの攻撃を回避してみせた。
「因果再構築! そのまま『準備が万全であった時系列』に組み替えて、ユーベルコード!」
裁断者の浄滅司りし白き王冠の大炎、発動!
「我が白き大炎を恐れよ。その焔は世界に遍く王国に裁きを下す断罪の焔なれば、不浄を統べる悪徳の主は皆等しく滅される……!」
132個の白き浄化の炎は、この物質界でのあらゆる“存在”を無条件で浄滅させてしまう。
「チョコって事は、物質だよね。なら、問答無用で浄滅の対象だよ!」
忍び寄ってきた聖スイーツ・チョコレイト騎士団へショットガンめいて白い炎を乱射してゆけば、この世の『チョコ』という物質概念自体を焼却させてしまう。よって聖スイーツ・チョコレイト騎士団自体がこの世界に存在しないという世界の証左になり、白い炎が命中した途端にオブリビオンはk付全と姿を消したのだった。
「ほう、なかなか面白い戦い方をするな? これ、日傘を揺らすな。余が焼けてしまうではないか」
呼び出された餓鬼は主を日差しから守りながら、カクリヨから仲間を呼んで数で応戦してみせる。
ただし、ブラミエがユーベルコード『伝承解放・名告げる事を禁じられたモノ』で呼び出せるのは、自分と同じ強さの敵に対して有効な手段という条件が付く。
幸い、チョコの騎士団は条件が合致したが、呼び出したのはどれだけ喰らっても満たされることはない永遠の飢餓地獄の説法から紡がれた妖怪。しかも自身が傷付くとユーベルコードが解除されてしまうという、なんとも扱いにくい代物だった。
「ふむ……なかなか数が減らぬな」
戦況が拮抗する状況に、ブラミエはだんだんと苛立ちを隠せない。
幸い、校内の人間が発する襲撃の恐怖で『
虞』を喰って腹は満たせるが、なかなか思うように事態が好転しない。
そんな中、レーヴァがひとつ提案した。
「もしよかったら、この炎でユーベルコードの制限を解除して、未来を再構築しようか?」
「何を貴公は申しているのだ? 出来るわけがなかろう?」
訝しがるブラミエだが、既にレーヴァは白い炎をブラミエに放っていた。
「私の炎は歓迎しない未来を焼き尽くし、思い描いた未来を再構築できる! さあ、あなたはどんな未来を描くのかな?」
「なんだ、この炎は? 熱くもなければ火傷もせぬ……ならば、いっそ、余がこの有象無象を蹴散らす未来を望む……!」
すると、ブラミエの身体から謎の活力が湧いてくる。
一時的に日光を浴びても平気になり、自身が傷付いてもユーベルコードが継続されているではないか。
「本当に縛りを壊してしまうとは。感謝する……今の余は、世界に猛威を振るった全盛期の時と同等の実力を発揮できそうだ」
封剣・夜舞垂を振るい、ブラックチョコレートの追加装甲ごと次々とブラミエは敵を屠ってゆく。
「素晴らしい、未来を再構築する炎か。覚えておこう」
「お褒めの言葉、どうも! よっと!」
敵の群れを無双するレーヴァは、ブラミエへ手を振ってみせる余裕さえあった。
「しかし、私も強くなったものだよね。『焼却』と『火炎』の概念を操作する……それが私の『六番目の猟兵』としての『生命体の埒外』なんだ」
自身の本質の核を理解したレーヴァの快進撃が続く。
ブラミエもかつて猛威を振るった自身の在り方を思い出し、餓鬼達と連携して敵の大群の残骸でいくつも山を築き上げてみせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴァルターン・ギャンビット
オイオイオイ、黒幕ぶっ倒したのに一難去ってまた一難じゃねえかッ!?
手数が必要だな、なら【シノビン影分身】ッ!
とりあえず二十体くらいに分身して散らばるぜ。
ダメージを貰ったらヤバいが俺様の華麗なる宇宙忍者体術で敵の動きを見切り、アーム・レイガンを撃ちつつ一般人共を逃がしていくぜ。
ここの校長とは『超銀河コーラ』を飲んだ仲だし、学校を守ってやらねえとな。
必要ならば更に分身を増やしていくぜッ!
フォッフォッフォッ、そんなチョコの剣や盾が届くかよッ!
…あ、ちょ、ブーメランは止めろッ!?
【アドリブ歓迎】
ヴァルターン・ギャンビット(宇宙忍者軍団の頭領・f38772)は走った。力の限り走った。
その先に待つ……
校長先生を救いに!
「オイオイオイ、黒幕ぶっ倒したってのに、一難去ってまた一難じゃねえかッ!?」
邪魔する聖スイーツ・チョコレイト騎士団をハサミに仕込んだアーム・レイガンのデス光線・ジツでサイコロ形状に斬り裂いて突破するが、如何せん数が多すぎだ。
「チッ! こいつは手数が必要だな、ならシノビン影分身ッ!」
『『『『『フォッフォッフォッフォッ
!』』』』』
途端、ヴァルターンの前に実態を有する青白い分身体20体が出現する。
「とりあえずこれくらいでいいか。だがダメージは食らうなよ? 痛みが20倍になって返ってくるからなッ!」
分身体へ注意を促して血路を拓かせたヴァルターンは、校長の前で暴れるチョコ騎士達をデス光線で薙ぎ払った。
「イヤーッ!」
熱線で斬り刻まれたチョコ騎士達が廊下にゴロゴロと転がってゆく。それを蹴っ飛ばして、ヴァルターンは校長室へ押し入った。
「おい、ブラザー! 生きてるかッ!?」
「あ、ヴァルターンさん! 助けに来てくれたのですかっ?」
青い顔して震える校長に、ヴァルターンはどこからともなくキンキンに冷えた超銀河コーラを差し出した。
「当たり前だろ? 俺様とブラザーは、この超銀河コーラを飲み交わした仲じゃねぇか! だったらブラザーの護る学校を俺様が守るのも当然だよなッ?」
「あ、ありがとうございます! ブラザー!」
「おう! まずはここを生きて脱出しようぜ、ブラザー!」
こうして異種族間の熱い友情が交わされヴァルターンは校長室の窓から飛び出て校庭へ飛び出していった。
その後ろをチョコ騎士たちが猛攻を放ってくる!
「チィ! しつこい奴らだ! だが、様の華麗なる宇宙忍者体術で完全回避だぜッ!」
後方から飛び交うプレッツェル・チョコレイト・ソードに板チョコレイト・キャンディシールド、そしてスローイング・ドーナツ・ブーメランの連続コンボを、ヴァルターンは校長先生を担いだまま右へ左へと飛び跳ねてよけきってみせる。
「フォッフォッフォッ、そんなチョコの剣や盾が届くかよッ! ……あ、ちょ、ブーメランは止めろッ!? ハサミ相手にグーを飛ばすのは反則だろうがッ!」
「ドーナツってグーなんですかっ?」
「見りゃわかるだろッ! 丸はグーだッ! だがッ! イヤーッ!」
ヴァルターンは遥か上空に待機させていた宇宙艦『スペースダイナソー号』に信号を送ると、上空から火球を発射させた。
「なんで俺様が校庭に出たか、その意味を教えてやるよッ! まとめて焦げちまえッ!」
校庭に群がるチョコ騎士達が、青天から降り注いだ巨大火球に直撃して爆発四散してゆく。
その光景を校長先生は、脳内ニューロンの奥深くへ焼き付けたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「此れはバレンタインイベントです。全然怖く有りませんからね?」
UC「食欲の権化」
敵を桜鋼扇でぶっ叩きドンドン本物のチョコレートに食材化
生徒達に怖い思い出として残らないようハロウィン的イベントだったと誤認させて事態の収拾図りながら敵を倒す
「学校の思い出が殺人や恐怖しか残らないなんて勿体無さ過ぎます。亡くなった方はとてもお気の毒ですけれど、せめて今此処に居る方々には、心の傷にならない、面白可笑しいイベントがあった、と言う思い出になって欲しいのです」
食材化したチョコはバレンタインチョコの素材にしたり校内でも配布したり自分で食べたりする
「どうぞ善き転生を」
鎮魂歌は人が居なくなってからこっそり歌う
御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)の最優先事項はただひとつ。
この日常を守る事だ。ならば今、校内に氾濫するUDC怪物達に慄く生徒達に何をするべきか、御園は率先して行った。
「此れはバレンタインイベントです。全然怖く有りませんからね?」
怯える女子生徒達の前に立ちはだかると、熱気を放つチョコ騎士へ桜鋼扇で力いっぱい兜割りしてみせる!
チョコ騎士は熱い闘気を放ち攻撃力アップする代わりに、防御力は皆無になり、攻撃が命中すると全てが地明徴になるのだ。
「ほらね? ちょっと小突いただけでご覧の通り。何も怖くありませんよ」
「な、なぁんだ! マジビビらせんなっつーの……!」
女子生徒はまだガタガタ体が震えているが、立ち上がるとボールペンを握ってチョコ騎士の胸元へ飛び込んだ。
不意を突かれたチョコ騎士は、鎧の上からボールペンの一刺しを喰らってドロドロに溶けて崩壊してゆく。
「や、やっつけた?」
他の女子生徒も自衛がある程度できることを知ると、勇気を振り絞って一塊になって身を守る。
「そうそう、その調子です。これはちょっと度が過ぎたハロウィン仮装のようなもの。でも攻撃を喰らうと大けがしますから、先生があとは全部片付けますね」
そういうと、御園はユーベルコード『食欲の権化』を発動させると、桜鋼扇の一撃でチョコ騎士達を本物の安全無害なチョコレートの塊に変えながら粉砕して回る。
「学校の思い出が殺人や恐怖しか残らないなんて勿体無さ過ぎます。亡くなった方はとてもお気の毒ですけれど、せめて今此処に居る方々には、心の傷にならない、面白可笑しいイベントがあった、と言う思い出になってほしいのです」
とはいえ、UDC怪物絡みの事件の関係者は、あとで規模の差異こそあれど原則は高度の記憶処理を施される。
つまり、事件の真相に辿り着いた為近警部以外の一般人は、今日という日を『校内のガス爆発事件』として記憶改竄と情報統制されるので、オブリビオンに襲われた記憶も事実も世界から完全に抹消される。
故にいくら無害化したとて、オブリビオンから生成したチョコを配布するなど、事件の証拠を残す事になってしまうため、御園へUDC組織から厳重注意が下った。なお、チョコレートは御園が食べる分以外は、全てUDC組織が回収・観察・保全してしまった。
そのため、正直に言うと御園の行為はほぼ意味をなさないわけだが……。
「それでもいいのです。トラウマを無理矢理に強制するよりも、楽しい出来事だったと誤認したまま強制する方が、職員の方々のお手を煩わせることもないかと」
後にチョコの配布をUDC職員に咎められた御園は、けろっとそう弁明したのだった。
実際、一部の生徒達は記憶改変の経過が段違いで良好だったが、恐らく御園の言い分は無関係ではないのだろう。
なお、御園はサクラミラージュ世界以外でもオブリビオンの転生は可能だと信じている。
故に事件が沈静化した頃に、人気のない場所で彼女は鎮魂歌をぽつりぽつりと唄い上げた。
(どうぞ善き転生を……)
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
警部殿の勘すげーな
しかし面倒な置き土産を…!
相棒ユキエ『ユキエも戦う!
ん、頼む『うん
UCで騎乗疾走
>敵
ユキエは体当たりで蹴散らし
オレは【武器受け】しクナイと槍化した猫目雲霧で捌きトドメに本体【串刺し、暗殺】
【聞き耳で情報収集】騒ぎ声のうち【野生の勘】で邪神眷属の居る方へ
生徒、警察の前に飛び出し【激痛耐性でかばう】→即敵へユキエと連携攻撃、クナイを【念動力で投擲】も交え戦う
クラスのヤツや松田の友人達は無事か?
死なせねーぞ
転校生のオレも殺しの姿も非日常だ
忘れてくれ
そだ
あぷりとかに頼らずびびっと来るヒト見付けろよなー
体力に任せ眷属の気配感じればユキエと直行し被弾覚悟し【おびき寄せ】もして個々撃破
「警部殿の勘すげーな? しかしあの邪神……面倒な置き土産を……!」
校内がパニックになる中を鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)は壁を蹴って生徒達の頭を飛び越えてゆく。
そこへ相棒の白鸚鵡ユキエが飛んでくる。
『ユキエもたたかう!』
「ん、頼む。でも単独で向かっていくのは危険だからオレと連携してくれる?」
『当り前よ、トーゴはユキエがいないと駄目なんだから!』
「はいはい。んじゃ……寄せの術……依り代はここに、来い白猪」
ユキエの身体を依代にして、鹿村の背丈の2倍はある巨大な黒い牙を持つ白い猪を召喚してみせると、鹿村はその背に跨って廊下を爆走しはじめた。
「騎士様が飛び道具とか、忍の者相手に通用するかね?」
ドーナツブーメランを念動力で操作するクナイで弾き返し、槍化した猫目雲霧でその穴に引っ掛けて投げ返した。
目の前のチョコ騎士達は白猪の突撃と投げ返されたドーナツブーメランによって、ボーリングのピンめいてド派手に弾き飛んでいく。
「ん? あっちから悲鳴が聞こえたか? 階段、行けそうか?」
『任せてトーゴ!』
白猪ユキエは短い足で懸命に階段を駆け上がると、悲鳴が上がった階層へ飛び込んでいった。
そこには鹿村としばしの間だけ級友だった生徒がへたり込んでいた。
「なあ、クラスのヤツや松田の友人達は無事か? 大丈夫だ、オレが誰も死なせねーぞ」
「へ? トーゴ君っ? なに、そのでっかいイノシシ?」
彼女は鹿村が潜入初日に校内を案内してくれた学級委員だったか。
鹿村は彼女を一瞥すると、あえて冷淡に言葉を投げ掛けた。
「転校生のオレも、今の殺しの姿も、ぜんぶ非日常だ。だから、忘れてくれ」
「わ、忘れるって……トーゴ君って、何者なの?」
「猟兵……“いぇーがー”と呼ばれてる。ま、これもすぐに忘れるんだけどな? そだ、あんま『あぷり』とかに頼らずにさ、好いた相手くれーびびっと来るヒトを見付けろよなー?」
そう告げると、鹿村は白猪の腹を蹴って再び猛進していった。
「どけよ有象無象。今のオレは虫の居所が悪りーんだ。たとえ剣で刺されても盾で遮られても、絶対に止まらねーからな?」
鹿村はチョコ騎士達のプレッツェル・チョコレイト・ソードの脅威に自ら突っ込み、正面からパワーで粉砕していく。
その後ろ姿を、学級委員の女子生徒は呆然と見詰めていた。
大成功
🔵🔵🔵
夏霜・ルア
……仕事が、増えた……。
いえ、それより先に、このチョコたちをどうにかしないと、ですね。
あれは…ランチを一緒にした生徒…!贋作神輪『幻月』で撃ち、こちらへと気づかせましょう。
緋き贋作神刀『弦月』に持ち替えまして。そこからのUCを使いましょう。
元より斬ると決めたのは、チョコ…もっと限定して言うのならば『聖スイーツ・チョコレイト騎士団』ですからね。
ええ、その闘気ごと斬ってしまいましょう。
何を盾にしようとしても無駄ですよ。『弦月』は、『聖スイーツ・チョコレイト騎士団』だけを斬ると定めましたから。
「……仕事が、増えた……」
夏霜・ルア(朧・f42570)の表情があからさまに曇った。
邪神を倒して事件解決、だと思ったのに。あちこちで暴れ回るチョコ騎士達に、思わず溜息が出てしまった。
「いえ、それより先に、このチョコたちをどうにかしないと、ですね」
ルアは緋き贋作神刀『弦月』に得物を持ち帰ると、熱気を放つチョコ騎士達をすれ違いざまに撫で斬りに伏していく。
「遅いです。高熱の闘気を纏って攻撃力をあたとしても、鎧の強度を代償にしては台無し、ですね」
振り下ろされるチョコ剣を半身退いて回避すると、攻撃後の硬直を狙ってルアは敵を次々と袈裟斬りにしてみせた。
なんて素早い居合い術なのだろうか!
「大丈夫……このまま平常心で斬り続けるだけです」
仕事を迅速に心がけようと、刃に付着したチョコを振り払うルアの耳に、絹を裂くような悲鳴が聞こえた。
慌てて悲鳴が聞こえた方角へ駆け付けると、そこには複数の女子生徒達がチョコ騎士達に囲まれていた。
「あれは……ランチを一緒にした生徒……!」
ここで彼女達を見捨てるわけにはいかない。
ルアは腰を低く落とすと、神経を尖らせて神速の居合い術を前方へ解き放った。
「月の剣・居合……緋き贋作神刀『弦月
』……!」
ルアの剣閃は真一文字に空を裂く。
(ええ、その闘気ごと斬ってしまいましょう。何を盾にしようとしても無駄ですよ)
あの邪神を斬ったときの如く、彼女の斬撃は距離と対象を問わず、狙った敵だけを真っ二つにぶった斬ってみせた。
「え? 今、うち等も斬られなかった?」
「でも、生きてるけど……?」
確かに、彼女達にも目の前で刃が素通りしていった。
だが、緋き贋作神刀『弦月』はルアが狙い定めた対象だけを斬る。それが物質だろうが概念だろうが関係ない。
「驚かせてしまいましたか。ですが、大丈夫……」
『弦月』は、ルアが『聖スイーツ・チョコレイト騎士団』だけを斬ると定めたからには、女生徒達の無事は保証されているのだから。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
借金返済
……おお…なんと言う事だ
チョコが…人に災いを齎すとは…!
「いや主様のチョコは常に災害をひきおk(捻じ込まれ」
この様な過ちはあってはならない!此奴らを正さねばならないな!
【戦闘知識】
敵騎士の能力把握
UC発動
さっちゃん!カシムの示した場所に転移させるんだ!
「業腹だが仕方ねぇ!」
指示通りに転移を利用してメルシー軍団やテラ達を飛ばしつつ
私達も行くぞ!
【念動力・空中機動・乱れ打ち・二回攻撃・切断】
騎士達に襲い掛かり念動光弾を叩き込み切り刻む
お前達にはチョコとして足りないものがある!それはパワーだ!我がチョコを以てお前達に圧倒的なパワーを与えてやる!
【爆破】
真・ぜっちゃんチョコ捻じ込み…爆破!
カシム・ディーン
借金返済
「ご主人サマー☆沢山怖いチョコ騎士が現れたよ☆此処は幼女ま」
してたまるかぼけぇ!学校が木っ端みじんになるわ!
【情報収集・視力・戦闘知識・瞬間思考】
為ちゃんの情報と捜査も確認して事件の起きた場所を細かく把握
更に己の推測と分析も踏まえて敵の出現位置を割り出して全員に情報共有
UC発動
「「ひゃっはー☆」」
さっちゃんはテラと此奴らを転移
ぜっちゃんは好きにしろ!
そして爾来彌参上発動!
「ドーモ、爾雷彌=です。っとテラ殿もいるではないか!」
あーもう!お前も来たら手伝え!このチョコ怪物をぶちのめせ!
【二回攻撃・念動力・弾幕・属性攻撃】
警察官や生徒たちを念動障壁で防衛
念動光弾や鎌剣で切り刻み迎撃!
テラ・ウィンディア
借金返済
UC常時
…今度はチョコの騎士が出てきたぞ!?
「バレンタインだからでしょうか…?」
【戦闘知識】
と、とにかく敵についての分析とカシムと情報共有だ!
ヘカテ!
「お任せください」
死霊魔術で幽霊達や魔女達を広範囲に展開して襲われてる敵や襲われそうな場所を把握
爾雷彌!?そっか…猟兵皆についていくって言ってたよな?
…って事はおれも呼べる…?
転移も利用して駆けつける
【属性攻撃・弾幕・空中機動】
飛び回りながら闇の弾丸を打ち込んで騎士達を破壊
…火炎弾とかだと学校燃えちゃうからな
【二回攻撃・切断・早業・串刺し】
剣と太刀で切り刻み槍に切り替えて串刺しにして迎撃
【武器受け・オーラ防御】
常に一般人は庇い防御
嫌な予感しかしなかった。
皇・絶華(影月・f40792)の前でチョコレートで出来たUDC怪物が暴れてるこの状況、カオスにならないわけがなかった。
「――おお……なんと言う事だ。チョコが……人に災いを齎すとは……!」
落涙する絶華に、下僕のサートゥルヌスがドン引きしていた。
「いや、あの……そう言いますけどね? 主様のチョコは常に災害をひきおごおぉぉぉ!?」
真理を突かれた絶華は、下僕の口に漢方薬チョコを強引にねじ込んでいく。
「この様な過ちはあってはならない! 此奴らを正さねばならないな!」
そして何事もなかったかのように、チョコレイト騎士団の討伐に乗り出してゆく。
「もうやだこのぜっちゃん……怖すぎるぞ!」
絶華のあまりの平常運転ぶりに、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と相棒のヘカテイアは関わるのを止めた。
「今度はチョコの騎士が出てきたぞ!?」
「バレンタインだからでしょうか……?」
「と、とにかく敵についての分析とカシムと情報共有だ! ヘカテ!」
「お任せください!」
ヘカテイアは目を瞑って精神を尖らせると、死霊魔術で幽霊達や魔女達を広範囲に展開させ、襲われてる一般人達や死角を探り出させる。
その間、テラは周囲のチョコ騎士を星刃剣『グランディア』と錆鞘之太刀を交互に振るって、ダークチョコレートの追加兵装ごとチョコ騎士達を斬り捨て、串刺しにしてゆく。
対してカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)とメルシーは、いつものやり取りをしていた。
「ご主人サマー☆ 校内に沢山怖いチョコ騎士が現れたよ☆ 此処は幼女ま――」
「してたまるかぼけぇ! 学校が木っ端みじんになるわ!」
「えー☆ じゃあどどどどーすんの? どーすんの☆」
「あざと可愛さでゴリ押ししようとしても無駄だっつーの!」
「チィンチィン!」
「今なんでこのタイミングでそれ叫んだ!? もしかして相槌なのかよ?」
「それよりもご主人サマ……? 別にこの騎士達を食べてしまっても構わないんだろう?」
「死亡フラグ建てんな! カシムさんでもあれは……いや、喰えるのか?」
カシムも悪食が発動しかけてしまう。
「よし……ドラグナーガールモードで許してやる……ぜっちゃんのチョコよりはマシだろ……」
「「ひゃっはー☆」」
こうして、メルシーはドラグナーガール姿の己の分身体150体に分裂し、校内のチョコ騎士達を炎魔法と水魔法で熱湯を生み出して湯煎攻撃を繰り出し始めた。
だが為近警部の情報など確認するまでもなく、校内の至る所で異変が発生している今、一刻を争う事態である。
三者三様、まるで統率の取れていないこの状況を打破するべく、呼ばれてもいないのに自らしゃしゃり出てきた奴がいた。
『ドーモ、猟兵の皆さん。爾雷彌です』
虚空から急に出現した0.01秒後に決断的直角オジギ!
猟兵ストーカー巨神ニンジャこと、爾雷彌が勝手に参上!
『おっと、っとテラ殿もいるではないか!』
「爾雷彌ナンデ!? って、そっか……あの時、猟兵の皆についていくって言ってたよな? ……って事は、おれも呼べる……?」
『ムハハハ! 当然ではないか! 常に1秒たりとて猟兵の姿をうきうきウォッチング! ニンジャのジツとカラテで、気になるあの子の秘密も丸分か……』
「イヤーッ!」
『アバーッ!』
ナムアミダブツ!
憐れ爾雷彌、テラのプライベートを侵害されていると危惧したヘカテイアによって、しめやかに爆発四散!
でもストーカー行為で年頃の女性の個人情報を覗き見る可能性があったのでインガオホー!
「テラへのストーカー行為をする輩は殺す! 慈悲はない!」
「貴重な戦力が死んだ! この人でなし☆」
「あー! もう! おめーら、真面目にやれぼけぇ!」
怒り狂うカシムは電撃迸る打刀を振るって徹底抗戦中だ。
「お前らもとっとと手伝え! このチョコ怪物をぶちのめせ! 爾雷彌は……あとでマンゴーの皮むき研修な?」
「アッハイ」
こうして爾雷彌は後にメルシーの禁呪魔法によって、南半球の絶海の孤島でマンゴーの皮を180日間剥き続けて帰れないのだが、それは別の話である。
一方、絶華は……言わずもがなである。
「お前達にはチョコとして足りないものがある! それはパワーだ! 我がチョコを以てお前達に圧倒的なパワーを与えてやる! そして我がチョコの材料になるのだ!」
「あーもうめちゃくちゃだよ」
絶華は自身のチョコを騎士団にドッチボールめいて投擲。投げ付けられた真・ぜっちゃんチョコは、敵のチョコを取り込みながら巨大化してゆく!
「チョコがチョコを喰うって、もう何が何だか……?」
唯一、このパーティーの中でマトモな感覚を保っているサートゥルヌス。
浮遊砲台を操作して念動光弾の乱射でチョコ騎士達を爆散させてると、すかさず破片を取り込む真・ぜっちゃんチョコに背筋が寒々しくなっていった。
「あれを喰わされるのか、俺? うわぁぁ……」
こうしてサートゥルヌスは勝手に正気度が削られていった。
分身体メルシーのローラー作戦並びにテラとヘカテイアの闇魔法の弾幕での面攻撃、そして絶華のいともたやすく行われるえげつない攻撃の前に、UDC怪物は跡形もなく一掃されてしまった。
最後に次元の切れ目をサートゥルヌスが己の権能で塞いでみせれば、ようやく状況終了となったのだった。
「全校生徒と全教職員、並びに、本件に関わった警官達に近隣住民、これら全員に『漏れ出たガスへの身体的影響がないかを調査する健康検診』を行うそうだよ。記憶処理も、そこで行われるんだってね? UDC組織は何処にでもいるんだなぁ」
為近警部は今更ながら驚いていた。
なお、為近警部の記憶処理は施さず、このままUDC組織の嘱託職員として警察内部に留まってもらうことになった。
ただし、身分は所轄県警から警視庁への栄転という異例の経歴になったが。
「定年間近のこの老いぼれが、まさか中央に食い込むなんてね? あ、でも指導員っていう肩書だから、そこまで偉いわけじゃないんだけど」
為近警部は今回の事件を猟兵達へ告げると、警察庁幹部に扮したUDC組織員と共にパトカーに乗り込み、学校を去っていった。
猟兵達も事後処理は現地のUDC組織に任せて、各々が次の戦いへ赴いてゆくのだった……。
<了>
大成功
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