生きているのが罪の種なのだ
死にたい、死ななければならぬ、生きているのが罪の種なのだ。
――「太宰治」
●
此の世の善を蕩かし濾した時、網に残る物は何か。
我々は偏に善行を積んだとて悪意を撒き散らす肉塊ではあるまいか。
純粋なる善意とは他人に向けられたものではない。それは軈て自己満足と偽善の糞の塊となる。
産むな、増やすな、地に満ちるな。
絶えよ、減れ、地に消えよ。
君が此の地を踏むのなら、純粋なる善が歓迎するだろう。
●
「ねえ、千代ちゃん。こんな話知ってる?」
茜色のランドセルにぶら下がっている黒猫のマスコットのだらけた手足が、アカネが首を傾げるに合わせてゆらゆら揺れた。
千代と呼ばれた少女が振り返ると、千代のランドセルにぶら下がている白猫のマスコットの首が左に折れる。
「なあに?」
と不思議そうに千代が問い掛けると、アカネは不敵に笑った。
「夕暮れ時にこの路地を右に曲がるとね、たまぁに幽霊に会えるの」
今日の空は雲一つ無い快晴、赤く燃える夕日が二人の頬を血色好く染め上げていた。
目が冴える程に美しい夕暮れの日だった。
「えー、嘘だあ」
千代はくすくすと箸が転がったのを見たように笑った。あの曲がり角の先には住宅街が在る。
千代の母は今頃台所に立ち、腕によりをかけているだろう。
アカネの父はもう家に着いた頃だろうか。
もう五年、何度も通った道。日常の風景。
だからこそ、千代は確信していた。アカネの言う事等嘘っぱちだと。今迄一度とて、幽霊など見た事が無かった。
頬弛ませたまま前を向いた、その時白い影が千代の視界に過った。
否、あれは影では無い。
あれは、波?
「あ」
ぽつと千代が呟いた。
「白い――」
アカネが目を瞬かせた。
ばつッ、
●
千切れた二つのマスコットが赤く色づくアスファルトの上に落ちている。
黒猫と白猫、まるで仲の良い姉妹のような――。
そして、噎せ返るような鉄臭さ。
●
現場は警察により捜査線が張られている。黒と黄色の警戒色の様な色の組み合わせからなる『KEEPOUT』と言うテープの向こう側に猟兵達を招き入れながら、『協力者』は言った。
「現場にはこのマスコット二つと、夥しい量の血痕が残されていた」
協力者を名乗るこの40にもなろう男は自身を刑事だと言うが、どう見ても刑事と言うなりをしていない。
頬や顎は汚らしい無精髭に覆われ、シャツはよれ、何より右眼に一線の傷を持っていた。
それに『猟兵達を入れて良いのか』と、制服をぴっちりと着込んだ見るに品行方正そうな警察官然が上官にするよう問うている歪さと、「彼らはいいんだ」とあしらう協力者に素直に従うちぐはぐさ。
「……そこだ」
と、協力者が指差した先に、丹精込めて塗りたくられている物が見えるだろう。酸化して赤黒い、むっと生臭くにおう、血。
「異常だろう? だから俺達は捜査線を張っただけ。現場への突入も止めてる。……なぁ、いい塩梅に暮れてやがる。その血塗れの向こう側の角だ。探して、殺せ。但し、生存者がいるようなら連れて帰って来てくれ」
●
「こんないい夕暮れ時に死ぬなんて可哀想じゃあないか」
とみ
一章:探索となります。
夕暮れ時の鉄臭い路地を探索してください。
場合によっては”幽霊”の犠牲者の痕跡を見付ける事が出来るかも知れません。
二章:ボス戦となります。
三章:集団戦となります。
●
初めまして、とみと申します。
今回が初のシナリオとなります。手間取る部分などあるかと思いますが誠心誠意執筆させて頂きますので、宜しくお願いいたします。
第1章 冒険
『黄昏時にひらく異界への扉の噂』
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POW : 連れ去られる条件を発生させないようにする、自分が囮になる等
SPD : 速さを活かして効率的に聞き込みを行う等
WIZ : 異変の情報を精査して原因を突き止める等
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君達は今正に事件現場の近傍にいる。
アスファルトに染みついた黒々とした血、紐が千切れた黒猫と白猫のストラップ——。
君達がもしその凄惨さから目を逸らし路地の奥へと目を向けたならば、白く重たく霧が掛かり先が見えない事に気付くだろう。
――遠くで微かに誰かの笑い声が聞こえる。
――遠くで微かに誰かの悲鳴が聞こえる。
――遠くで微かに誰かの息遣いが聞こえる。
それは今に連れ去られようと言う市民の物だろうか? それとも――。
『KEEPOUT』のテープを超え、警官達の下に聞き込みに行く事も出来るだろう。
青梅・仁
――全く。まだ若い子達なら見逃したっていいだろうに。
まあ、UDCにとって人間の齢なぞ関係ないんだろうがな。
救えなかった子らに手を合わせてから、路地の奥へ向かう。
【神気纏い】と『オーラ防御』で自己強化しつつ、『追跡』で幽霊やその犠牲者の痕跡が追えないか探してみるか。
しかし声がするのも気になるな……。
もし生存者がいるようなら霧から連れ出すのを優先する。『結界術』を使い、護衛しよう。
姿が見当たらないとしたらUDCによる偽りの人の声の可能性もあるんだろうか?
次の犠牲者をおびき寄せる為の声だとしたら――ま、探す手間は省けるな。
囮になるための準備も済んでいる、不意討ちを喰らわんようにだけは警戒しておくか。
「――全く。まだ若い子達なら見逃したっていいだろうに」
渇いても尚におい立つような黒の前で青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)は合掌した。
現場に残されたままの白猫のマスコットの首が右に傾いた。
何かに感じ入ったようにも見える。疑問を呈しているようにも見える。――偶然にも見える。
いずれにせよ事実は足元に、黒く染み付いて。
――UDCにとって人間の齢なぞ関係ないんだろうがな。青梅は心中呟いた。
「念には念を、ってな」
【神気纏い】により青梅の体は神気と、邪気、そして魔法に包まれた。
魔法は兎も角、神気と邪気に至っては押し留めていた物を放出したと言っても良い。
そして、【オーラ防御(15)】を纏った青梅はどこか神々しくも見える。正しく竜神だった。
幽霊やその犠牲者の痕跡が追えないか。白い霧の向こう側から甲高い声が聞こえる。
「あはは!」「きゃーっ!」「ははは!」「はぁ」
あの声はなんだ。生存者か、はたまた幽霊か。次の犠牲者を誘き寄せようと手招いているのか。
『KEEPOUT』の外側にいる警官は怯むだろう。しかし青梅は違った。
――ま、「探す手間は省けるな」
声を、生存者を、はたまた幽霊を、犠牲者を待つ『ナニカ』を【追跡(1)】し青梅は纏わり付くような霧の中を進む。
こんなにも霧が絡んでいると言うのに不思議と空の茜色が突き抜けて来、青梅の晒されている片眼を優しく撫でた。
「ねぇ」「ふふふ」「いひっ!」「やめて」
ばつッ。
アスファルトは夕暮れを吸い、胃袋に収め、再び吐き散らかしたかのように赤く、泥濘み、壁も赤、何か塊を叩きつけたような、赤い、花。
文字通りに”地に足がついていない”青梅の足はどこまでも続く赤い水溜りを踏み締めないが、もしも踏み締めたならばタールのように粘着質に足に絡んだだろう。
「おじさん」
少女がそこにいた。セーラー服姿の15かそこらの少女が、青梅の行先に。
青梅は警戒し足を止める。
「わたしたちは死ななければいけません」
――生存者か。はたまた、幽霊か。否、これほど人間らしく両足で立つ幽霊がいるものか。
虚な眼の中、黒い瞳孔が膨れ上がっては縮まり、まるで眩い光の中にいたかと思えば、瞬間底無しの暗がりに突き落とされているかのよう。歌うように紡ぐ少女の唇はヤク切れのように小刻みに震えていた。
この少女はどう見ても正気では無い。
「そりゃまたなんでだ、お前さん」
青梅が問う。少女は言った。
「生きているのが罪だから」
瞬間、少女は身を翻し足に絡む赤を跳ねさせながら駆け去ろうとする。
「――!」
生存者ならば連れて帰らなければ。青梅は【結界術(14)】を少女に行使する。少女は弓形になり地面へと倒れた。跳ねた赤が壁に新しい花を作った。
青海は空中を泳ぐように少女に駆け寄り、その小柄な身を抱え上げた。
――スウスウと規則的な息遣い。眠っているようだ。
この白く眩む悪夢のような空間から連れ出してしまおう。
『KEEPOUT』の向こう側、そこは紛う事無き現実だと、寸分変わらぬ様子の無傷の警官と『協力者』の姿が語っている。
「おい、そいつは生存者か……!? ……ほう、こいつは近所の中学の制服だな。ご両親には俺から連絡を入れておく。……ありがとう、本当に」
路地の方で微かに誰かの悲鳴が聞こえたように感じ、青海は振り返る。
まだ何かがいるのかも知れない。
大成功
🔵🔵🔵
エーファ・マールト
「こういうのはいかにもお前向きの現場だなぁケヒャヒャヒャ!」
ハンドパペットにそう言われて大げさにかぶりを振る私。どこがですか! こんなにもの寂しくて血生臭くて……と言いつつお邪魔します。なるほど、もの寂しいということはありませんでしたか。気味悪い視線をぐさぐさ感じます。職業柄自分への視線には敏感なんです。痕跡や手がかりを見落とさないように注意して捜索しましょう。時には呼びかけして高いところによじ登ってきょろきょろ
そうそう! 万一の時の命綱に《紅い蜘蛛の糸》も用意してっと。ああ、あー、せめて私の芸で笑ってくれたらいいのですが、笑われっぱなしというのは気が滅入りますね
「こういうのはいかにもお前向きの現場だなぁケヒャヒャヒャ!」
耳鳴りがする程に静かな鉄臭い路地に響く女の笑い声。
「どこがですか!」
それに答える声も同じ。性別が、ではない。僅かな震えから高さ迄も全てが一致していた。しかし、まるでボタンは掛け違えていないがそれを縫い留める糸が違うような違和感。同一と断言するには滲む機微が違う。
――実際この夕暮れに朱く染まった路地に立つ人影は一つ。左手の先に”いる”黒兎にまろい手で顔を指され、大袈裟に被りを振るう銀髪の女だった。
彼女は一人、しかし一人と一匹。彼女は黒兎の付添人、又は助手。その名をエーファ・マールト(魔道化ピエロ黒兎カーニェとその助手本体・f28157)と言う。
「こんなにもの寂しくて血生臭くて……」
眉を垂らし噛み締めるようにエーファは言うが、反面その足はアスファルトを踏み付け、奥へ奥へと道化のカーニェを連れて行く。
「言う割りに乗り気じゃねぇか。ケヒャヒャ! ほら、耳の穴かっぽじってよく聞いてみろ。本当に物寂しいかぁ?」
黒くふかふかした両手で身振り手振りするカーニェに促される前からエーファは気付いていた。
物寂しいなんて事は無い。重く絡むような白い霧を突き抜けて、エーファの後頭部を、項を、耳を、目を、誰かの視線が焼いている。
カーニェの助手たるエーファだが、カーニェに”付添い”舞台に立ち、その身軽さで観客達を湧かせていた。エーファは視線に慣れ親しみ、それゆえに人一倍視線に敏感だった。
「ねぇ」「あの子」「連れてかれちゃった」
「うふふ」「あは」「嫌!」
――「気付いた?」「気付いてる」「私達が見ていること」「気付いてる」「気付いてる」
――「気付いてる」「気付いてる」「気付いてる」「気付いてる」「気付いてる」「気付いてる」
バツッ。
気付くとエーファは血溜まりに踝までどっぷりと浸かっていた。
鉄の塊を蕩かしラードと臓の隠し味を振るってぐつぐつとじっくり煮詰めたかのような噎せ返る程の生臭さ。
赤黒い物が幾重にもこびり付き層を作る余りに表面に凹凸が描かれている壁――。
只、空から射す茜色だけが美しかった。
「ここは一体……?」
エーファはかぶりを振り豊かな銀髪を散らした。
この異常は痕跡であり、手掛かりだ。異常の中の異常を探せ。そこに生存者がいるかも知れない。異常の元凶が在るかも知れない。
万一の為の命綱【紅い蜘蛛の糸】は『KEEPOUT』の先の現世との境界線まで伸びている。派手なパフォーマンスで観客を湧かせるにはこれ以上無い。
それは幸福だった頃の記憶喰らう毒。しかし、過去よりも、今だ。
エーファは身軽に塀に飛び乗り、外付けの室外機や、突き出た窓に掛かる転落防止柵を伝い、建物の4階までよじ登った。
どこまで見下ろしても霧に覆われていて、茜色ばかりが映えている。
――否、あれは何だ。
――霧の中に白い何かが蠢いている。
それは明確な意思を持っているかのようで、時に背伸びをし、時にしゃがみ込み、時に何かを呑み膨れ上がった。
異常の中の異常。
「あれは――」
大成功
🔵🔵🔵
千崎・環
千崎巡査長現着!私が来たからには任せてください!
こんな街中で堂々とやってくれたなぁ!
ひとまず現場を封鎖している自称刑事と警察官に状況を確認だ!路地が封鎖された時間やきっかけ、何か特異な自称がなかったかどうか、何でも聞きます!
うぅむ…まさに五里霧中。とまあ百聞は一見にしかず!突入だ!
何があるか分からないし、装備はしっかり整えないと。
路地に突入したら異変のあった箇所をしらみ潰しにチェック!この私の目は正義の目!異変は見逃しません!
もし生存者がいたなら速やかに確保します!
「千崎巡査長現着! 私が来たからには任せてください!」
千崎・環(突撃吶喊!・f20067)は右手を制帽の縁に持って行き敬礼した。自称刑事こと『協力者』は右手を蟀谷よりもやや上に持って行き返礼する。
――『KEEPOUT』のテープが引く異常と正常の境界線。異常の側の凄惨たる趣は言わずもがな、しかし時が経つに連れ正常側も混乱を極めようとしていた。
学生や、パート上がりの主婦、近辺で働くリーマン達が次第次第に帰路を踏み集まって来たのだ。彼らはこの路の先の異常を知らない。それゆえに各々が不便を訴え、哀れな警官達を糾弾する。
「ああ、千崎巡査長。お噂はかねがね。特殊事象対策科はどうです? 『こう言うの』とよくやり合っているんでしょう」
そんな騒々しさの中、同僚への好か、千崎に敬意を評するように語調を改め『協力者』は言った。
『協力者』は福島刑事巡査長と名乗った。あそこで『KEEPOUT』の境界線を守るべく悪戦苦闘している5名の警官達は己の部下であるとも。
まずは状況確認だ。千崎は協力者に問う。
「路地はいつから封鎖されているんですか?」
「封鎖は本日13時から」
「なるほど! 封鎖までに何か特異な事象はありましたか?」
協力者こと福島刑事は千崎の質問に唸った。
「ここらはな、行方不明者があまりに多い。迷い込める場所なんてないってのに」
路地を形成したる建物は個人経営の商店だったり、はたまた住宅の群れから外れた一軒家だったり、小さなアパートだったり。
栄え過ぎず、廃れ過ぎない。夕暮れがそれらを照らし、眺めていると郷愁のようなじんわりとした何かが胸に込み上げてくる。
町は四方人工物の多い町に挟まれていて、人が迷い行方を暗ますような、例えば鬱蒼と茂る森や林が残っていたり、潮の満ち引きが激しい海が近いと言う地域でも無い。ならば。
「またあんたらが管轄しているような”超常現象的な何か”の仕業かも知れないって事で俺らが駆り出された訳です。俺らはね、事情を知っている側ですんで」
超常現象的な何か。つまり、UDCの仕業であろう、と。
持ち前の広域捜査能力を惜しげも無く扱いUDC職員達に助力する「真実に気付いた警官達」。福島刑事はその『協力者』の内の一人だった。
「最初に耳にしたのはね、ただの都市伝説でした。あの路地を少し行った所に在る角を曲がると神隠しに合う。些細な話でしょう」
そこの角だと福島刑事は指を差す。千崎は福島刑事が指し示す方へと視線を差し向けたが、重たく掛かった霧が邪魔をして道も壁も見えなかった。
見えるのはただただ底無しの、白。
「……霧がね、晴れないんです。霧の中を歩いていると、どこからともなく声がする。不意に空も、壁も、地面も、昼間だってのに茜色に染まっちまって、」
福島刑事は言葉を切った。
「――まぁ、聞いた話なんですがね。俺の部下、5人いるでしょう。本当は6人だったんですよ」
五里霧中。百聞は一見にしかず。千崎は意を決し正常の側から異常の側へ突入した。
装備は万端。【警察官の制服】の下には【防刃防護衣】を仕込んでおり、【特殊警棒】の他に【38口径拳銃】。
千崎は装備の一つたる【LED懐中電灯】を使い霧を透かし路地を彷徨い歩く。
アスファルトの上にべっとりとこびり付いている黒い血の塊と、寄り添う黒猫と白猫のマスコットの傍を通り過ぎると、何処からともなく声が聞こえ始める。
それは悲鳴。それは恐惶。それは幸せそうな笑い声。それは静かな息遣い。
「また来た」「嗚呼、嗚呼」「助けて」
「や」「こっち」「うふふ」
どうやら少し行った先の右の曲がり角の向こうから聞こえて来る。もし生存者がいるのなら速やかに確保しなければ。
千崎は己を警官たらしめる正義感に従いアスファルトを蹴って角の先へと躍り出た。
「あれっ?」
路地を曲がってすぐの足元、路の中央に落ちている何かを千崎は爪先で蹴った。千崎はそれに見覚えがあった。千崎が日々慣れ親しみ、手に馴染んでいる物だ。これは――。
「制帽?」
つばを摘まみ拾い上げると千崎の想像通り手元にしっくりと馴染んだ。ふと、千崎の脳裏に過る物がある。
――『本当は6人だったんですよ』。
この先に消えた1人がいるかも知れない。
先に行く程白む路地を千崎は睨んだ――。
成功
🔵🔵🔴
尾守・夜野
…ここは変わらねぇ
薄皮一枚向こう側に化け物が潜んでやがる
ん?見た目通りの年齢じゃねぇんで気にしなさるな
世の中不思議な事が溢れてんのさ
封鎖線を血溜まりを超えまず被害者を探すぜ
入口限定なら増えねぇし
血は平気だが匂い強すぎて嗅覚死んだ
蛇を呼び出し蛇海戦術
熱源探知は視界・嗅覚死んでてもいけるだろ
蛇等には生きたまま丸呑みして戻るか後ろから追い立てて戻るよう指示
一応2〜30分は窒息の恐れはねぇ筈だ
要救出者がいれば蛇ごと外にだし吐き出させる
既に死んでる奴に需要はあんのか?
蛇とは別の道を行き
黒纏で全身を覆い囮となる
わかるけど既に死んでるんだよなぁ
希死念慮はさしてかわらずはて?と悩む間に蛇が寄る…かもしれないな
「……ここは変わらねえ」
尾守・夜野(自称バブ悪霊な犬神と金蚕蠱モドキ混合物・f05352)は黄色地に黒の警戒色のような封鎖テープを持ち上げた。広がった隙間から正常の向こう側へと滑り込もうと言う時、警官の一人が止めに入る。尾守は片手を振るい警官に言った。
「見た目通りの年齢じゃねぇんで気にしなさるな」
薄皮一枚向こう側に化け物が潜んで居る、この感覚には覚えがある。尾守は見た目に対し更に長い年月を生きていた。
否、尾守は死んでいた。
「世の中不思議な事が溢れてんのさ」
尾守はふ、と警官に笑いかけた。
踏み入って直ぐ、尾守に襲い掛かったのは噎せ返るような錆鉄の香りだ。アスファルトにこびり付いた黒染みを跨ぎ越える頃には尾守のよく利く鼻は繊細なにおいを掬えなくなっていた。犬も尾守の嗅ぎ取ったにおいに噎せり鼻面に皺を寄せている事だろう。
「不死という毒を喰らい、進まぬモノよ。永遠を、己の尾を喰らうモノよ。同胞よ。呼び声が聞こえたならば来い!」
尾守が平手を一振りするとぬめった鱗をアスファルトに擦り付けながら、どこからとも無く巨大な蛇が這い出た。
嗅覚が死んだ、視界閉じていようとも熱源の探知ならば問題無かろう。蛇達は先割れの舌を頻りに出し入れし、地面を這いずる。
「あれ?」「何」「変なのが来た」
「誰」「蛇」「蛇だよ」
尾守の蛇の一匹が何かを呑み、一匹がまた、何かを呑んだ。
「殺して」「私達は死なないといけないの」
老婆、或いはサラリーマン風、或いは学生――。
異常と正常の境に追い立てようと言う尾守の蛇に対し、皆一様に無防備に蛇に駆け寄って行く。
殺せ、僕を、俺を、私を殺せ!
――それは或る意味で幸いであっただろう。蛇は次々と生存者を丸呑みにし、正常の側へと生存者を運んで行った。
一方尾守は蛇とは一本外れた道を行く。
既に死んでる奴に需要はあんのか? ――心中呟きながら、尾守はその全身に黒い鱗を纏わせた。不意に、
バツッ。
気付くと尾守は血溜まりの中に立っていた。壁にこびり付き乾き固まった赤。きっとその芳香は吐き気を催す程であろう。尾守の鼻が利かぬ事が幸か不幸か。
夕日が差し込み、上も下も真っかな空間に一人の少年が立っていた。
「おまえ、死んでる。でも生きて見える」
既に死んでるんだよなぁ。
「来て」
少年はかんらかんらとけたたましく笑いながら緩いステップを踏んで尾守に背を向け、駆け出した。少年の行く先には一際濃く霧が掛かり、その分厚い膜の内側で何かが蠢いていた――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ピュリファイア・ホワイト』
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POW : 清浄な白
【善意に満ちた純粋な白い精神波動】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
SPD : 集合無良識
自身が戦闘で瀕死になると【善を妄信する限りピュリファイア・ホワイト】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ : 人の性の善なるは、なお水の下きに就くがごときなり
【白い閃光】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【心は罪悪感】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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尾守・夜野
んー?
あいつぁどこに行ったのかねぇ
まぁ少なくともお前らでは無さそうだ
こうなって(死んで)からも使えちまってるのはいかな理屈かわからんが使えるからには使う
俺は設定資料通りの手足、胴体の一部を埋めてるので、そこがやばくはなるな
まぁお綺麗な存在がそれで汚れてくれるなら安い物だろ
善とならんとする事は出来ようと薄皮一枚、向こう側は血と狂気と悪意しかねぇよ
表面積を広げる為■■■で生前の姿晒して何か良い事の反論があれば反対意見でねじ伏せ
そうでなくとも呪いで染めて、善意なんて物信じられなくする
※故郷の村を狂信者に滅ぼされているため害ある盲信は嫌っているし、助けてくれなかった・一人残された善は嫌い
程白く、無数に群れる影は200cmを超えるだろう巨体もいれば、80cmにも満たないだろう小柄もいる。これほどてんでバラバラだのに、皆一様に寸分違わぬタイミングで右に揺れ、時に身を震えせ、かろかろと肩らしき丸みを揺らして居た。
目に分かり易い怪異。併し、この噎せ返るような鉄臭い血臭の中、垂らされた蜘蛛の糸のように見える。
【善意に満ちた純粋な白い精神波動】が怪異を見る者の心を侵そうとしているのだ。
お前も善に染まれと。
純然たる善を真っ当せよと。
生きているのが罪なのだと――。
「あいつぁどこに行ったのかねぇ」
もったりと纏わり付くような霧を掻き分け尾守・夜野(自称バブ悪霊な犬神と金蚕蠱モドキ混合物・f05352)が踏み入った先に『ソレ』はいた。
善の化身たるピュリファイア・ホワイトはいつものように【善意に満ちた純粋な白い精神波動】を放つ。誤算は尾守から滲む狂気と呪いの気配だった。尾守の昏い【呪詛31】が白い波動を侵食し打ち消す。
途端にピュリファイア・ホワイトは猫が毛を逆立てるように各々が針金のように縦に伸び切った。声は無い。しかし、声帯がありそれが震えるならば悲鳴を上げていただろう。
「駄目」「死んでる?」「生きてるかも」
「何」「嫌」
白い影の群れの裏側からわらわらと姿を現したのは人だった。
セーラー服姿の少女が二人。ランドセルに黄色い帽子の少年。スーツ姿の男。エトセトラ、エトセトラ。
「なんで染まらないの」
黄色い帽子の少年が言った。
「俺ぁ善は嫌いだ」
尾守は妄信も善も、人一倍に嫌っていた。
尾守は【禁示手(タブー)】により【今まで取り繕ってた埋めていた部位・外面】を脱いだ。切れ目を入れられた薄皮からどろりと溢れ出るように素肌を這い出す漆黒。
「なんでわかってくれないの。みんなしあわせになれるのに」
少年が尾守を指差すとピュリファイア・ホワイトの頭が不意に輝いた。コンマ三秒の間を置き、尾守目掛け【白い閃光】が放たれる!
「バカみてぇに妄信しやがって……!」
尾守は両腕を突き出し【白い閃光】を受け止める。心中浮かんだ【罪悪感】は少年に対してのものか、ピュリファイア・ホワイトに対しての物か。いや、誰に対しての物でも無い。こんな物まやかしだと黒く溶け出た【埋め直すも炭化し腐り落つ】祝福と言う名の呪いが言っている。
尾守は地面を蹴り、ピュリファイア・ホワイト目掛けて殴り掛かった。
「あっ!」
その呪いが善とぶつかった時、少年の瞳に生気が過った。
大成功
🔵🔵🔵
※トミーウォーカーからのお知らせ
ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!
お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ
口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね
アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!
「分かってないわね」
白き影に魅入られた人間たちが輪唱のように語るそれに対し、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)――今は美術を愛する女性人格『ネイル』は整った形の眉をひそめる。
「善を成そうとする気高い心、よりよい未来を作り出そうとする優しい心……それ自体は素敵なものだわ。でもね」
この場に闖入しておきながらかれらの語る『善』に染まらぬ猟兵を『悪であるもの』と断じたのか、進学校のブレザーを身に付けた娘が足元から靴ほどの大きさの石を取り上げ、振りかぶる。それをダンスでも踊るかのようにしなやかにかわして、ネイルはルーンソードの刃ではなく柄の方でその手首をかち上げる。元より戦闘のいろはも知らないであろう娘はその一撃で簡単によろめき、光のない目で猟兵を見上げた。
「でもね、それは違うわ。あなたたちのそれは、正しくもなければ美しくもない」
巻き起こる竜巻が、ネイルの姿を手にした剣ごと覆い隠す。そして鋭く蹴り出された渦成す風は、確かに白き怪異の通常ならざる肉体を深々と抉り取った。
成功
🔵🔵🔴
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
立ち込める鉄の匂いは、故郷で嗅ぎ慣れたそれとまるで同じものだった。帽子のつばを僅かに押し下げて、風雷堂・顕吉(
吸血鬼狩人・f03119)は揺らめく白をじっと睨む。
「……それは。お前のそのやり口は、奴等と何が違う?」
善であれ。怪異のもたらすその信念は、それだけなら真っ当な、誉むべきものにも聞こえよう。けれどその実態は、ダークセイヴァー下層を支配するヴァンパイア達の言い分と何も変わらないものだと顕吉は指摘してみせる。
――力ずくで規範を押し付け、それに従えぬ者を悪と断罪する。そのどこに、正義も善もあるものかと。
その言葉に、怪異に飲まれた人々は一斉に目を剥き、顕吉を見つめる。敵だ、と誰かが小さく呟いた。
「敵」
「敵だ」
「なら殺せ」
「よくないものは、いらない」
ふぅ、と顕吉の口から細く息が零れる。最早怪異の侵食に抗うだけの精神力など、彼らの中に残ってもいまい。押し寄せる人波の上を、黒き翼の影がよぎった。ユーベルコードでヴァンパイアに変身し、人々の頭上を滑空しながら、顕吉は手にした刀を迷いなく白き怪異へ突き下ろす。声なき悲鳴が上がったかのように、周囲の空気が強く震えた。
成功
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ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!
普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?
騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?でもタフな奴!
基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!
仲の良い想い人がいるけどぞんざいな扱い方をされてるけどめげないぞ!頑張れ!
スーツ姿の男がいる。疲れた身なりの女がいる。制服姿の少女が、年端も行かない少年がいる。一様に光のない目をしてゆらりと佇む彼らを前に、ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)はキャバリアの操縦桿を握り締める。
――生きていること、それこそが罪なのだと怪異は煽る。それに飲まれた人々もまた、善を成せと、罪なる者を罰せよと口々に言葉を吐き出している。その姿は、かつて物語の騎士に憧れる少年であった男にはひどく悲しいものに映った。
「ええい、そのような言葉に惑わされはしないぞ!」
「開き直るんだ」
「愚かなことだ」
「恥を知れ、罪を知れ」
オブリビオンに背を押されるようにして、人間たちが押し寄せる。敢えて彼らの攻撃をキャバリアの装甲で受けながら、ベルトは力強く言葉を返した。
「そうとも。人は間違えるものだ。やらかす事もある。……だが! 過ちの後に差し出すべきは、その命ではないだろう!」
物語の騎士達とて、万能の聖者ではない。彼らも時には道を外れ、過ちを犯し――されど、彼らはそこから再び立ち上がるのだ。己の弱さを認め、間違いを乗り越え、故にこそ人は更に一歩先へと進めるのだ。
力を込めて放たれたその声に、ふとひとりの少女が顔を上げた。彼女に向けてひとつ頷き、ベルトはキャバリアを宙へ舞い上がらせる。
そして、撃ち下ろされた極大の光条が白き怪異を飲んだ。
成功
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シン・ドレッドノート(サポート)
実年齢はアラフィフですが、外見は20代前後。
行動パターンは落ち着いた大人の振舞い。
口調は丁寧。時折、奇術師らしい芝居がかった言い回しをします。
「さぁ、ショウの始まりです!」等。
技能、ユーベルコードは状況に応じたものを使用。
身軽で素早い動き、器用さを活かした行動をとります。
主にビットを展開、ビームシールドで防御しつつ、銃器による攻撃を行います。
効果があるなら破魔の力を込めて。
依頼成功のために積極的に行動しますが、他の猟兵や住民の迷惑になるような行動は避けるようにします。
女性には年齢関係なく優しく。
但し、奥さんがいるので女性からの誘惑には動じません。
失礼のない程度に丁寧に辞退します。
猟兵の猛攻を受け、人類の無意識より滲み出る怪異は既に弱りつつある。あと一押しでこれを倒せるであろうことは、猟兵であれば誰の目にも明らかだ――だが、その前に。
「さぁ、此方へ。フィナーレはどなたも安全な距離からご覧くださいね」
生きてさえいれば、UDC組織を通じて長期的な精神治療を受けさせることもできる。であるなら、ここは多少無理やりにでも怪異の虜となった人々を大人しくさせ、少しでも楽にこの場から回収できるようにしておくべきだ。押し寄せる人間の波に向けて大きく手を振ってみせ、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は愛用の銃を彼らに向ける。されど撃ち出されたのは肉を抉る実弾ではなく、破魔の力を宿した閃光ひとつ。あまりの輝きと――そしてその霊力に目が眩んだ風に彼らが動きを止めた瞬間を逃すことなく、彼は白き怪異の核に狙いを定め、既に入れ替え終えていた銃弾を解き放つ。
そして、核を撃ち抜かれた怪異の肉体が爆ぜ割れた。
――同時に立ち込めたのはむせ返るような血の匂いと、そして黒く揺らめく埃っぽい靄。
成功
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第3章 集団戦
『廃墟渡り』
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POW : 廃墟渡りは廃墟を作る
【廃物と残骸と遺物と過去の津波の様な奔流】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 廃墟渡りは廃墟に居る
戦場全体に、【居るだけで心身を苛み侵食する喪失の呪い】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ : 廃墟渡りは廃墟を孕む
【内に体積しているこの世全ての過去と喪失】から、対象の【戻りたい、還りたい、回帰したい】という願いを叶える【死毒の瘴気】を創造する。[死毒の瘴気]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
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御梅乃・藍斗(サポート)
一人称:僕
二人称:君、あなた
他人にはさん付け
基本的に敬語(ですます調)、動揺した時など男子っぽい口調になるのも可
まじめで負けず嫌い
積極的に他人と親しくする方ではないが任務に必要であれば協力は惜しまない
必要時サバイバル、捕縛、居合、受け流しなど活用
敵からの攻撃には激痛耐性や狂気耐性で耐える
名家の出であり、力あるものはそうでないものを守る義務があると考えている
サキュバスだが種族ゆえに性的な要素を警戒あるいは期待されることを厭っており、下世話な話題には嫌悪感を示す潔癖な性格
UCは活性化した物をどれでも使用
迷惑行為や公序良俗に反する行動はしない
怪異が弾け飛んだ後に溢れ出したのは、血と埃と朽木の匂い――そして、襤褸の塊の如きUDC怪物の大群だった。骸の海の如き異空間から際限なく溢れ出す怪物の一体一体は、つい先ほどまでこの場を支配していた怪異に比べれば極めて弱いと言って差し支えない。だが、それにしてもこの数は。
「……怪物は僕達が駆逐します。警察の皆さんは被害者の回収を!」
即座にキープアウトテープの内側にいた警官達にそう声をかけ、御梅乃・藍斗(虚ノ扉・f39274)は三翼刀を抜き放つ。多数の一般人が周囲を動き回っている以上、無差別攻撃を行うユーベルコードは封印せざるを得ない。で、あるなら。
ユーベルコードを解き放ち、周囲を迷路と変えて人間どもを逃がすまいとする怪物にほんの数歩で肉薄し、その急所を一太刀で斬り払う。途端に幻が晴れるように元の形を取り戻した路地を通り、意識を失った犠牲者を担いだ警官達が足早に退避していく。ここから先は通さないと言わんばかりに眼光をより鋭くして、藍斗は構えた刀越しに怪物の群れを見据えた。
成功
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政木・朱鞠(サポート)
確かに集団相手の対応は厄介だけど悩む時間が勿体ないし、困っている人をほったらかしにしてたら、あっと言う間に未来が過去に喰い潰され無いように、今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね…。
死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよね。
戦闘
相手は多勢…手数で押し負けないようにしないとね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして、『咎力封じ』を使用して動きを封じて、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与える戦法を取ろうかな。
アドリブ連帯歓迎
雲霞の如く群がる怪物の群れを前に、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は迷いなく蔓薔薇を思わせる形状の拷問鎖を構え、僅かに唇を舌先で潤した。確かにこの大量の怪異を相手取るのは面倒ではあるが、悩んでいる間にも敵は新たに現れる。一般人の犠牲を最小限に抑えるのを目的とするならば、とにもかくにも今は目の前のこれらを少しでも迅速に減らしていくべきだろう。
手枷が、猿轡が、拘束ロープが朱鞠の命じるままに宙を舞い、それぞれに異なる個体を抑えつける。すかさず振るわれた鎖の一撃は的確に怪異の防護をすり抜け、不規則に生えた棘によって傷口を抉り、その生命力を急速に削り落としていく。怪異の吐き出す瘴気が朱鞠を取り巻き、奇妙な衝動をどこからともなく揺り起こすが、それでも彼女は退くことなく拷問具を操り続け、更に敵の数を減らしていく。
「死ぬこと以外はかすり傷……とまでは言わないけどさ」
それでも、ここで引き下がるわけにはいかない。死なせさえしなければ救いようのある人間は、確かにここにまだいるのだから。
成功
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諏訪野・みすず(サポート)
リーダー役が必ずいると思うので、ソイツを先に倒すようにします。「リーダーが倒れたら、あとは烏合の集だよ」アドリブ、共闘歓迎です。
「特定のリーダーがいるって雰囲気でもないね、これは……」
まるで自然現象であるかのようにその場を揺蕩い、目につくものを自動的に攻撃しているとしか見えない怪物の群れを前に、諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)は肩をすくめる。とは言えそれは、優先的に狙うべき対象を探す理由がなくなったというだけの話だ。
「……なら、やれることは一つしかないね」
指示を出す頭目もおらず、本能のままにただただ他者を襲い続ける烏合の衆。目の前の敵群のありようをそう結論付けたみすずの動きは早かった。レガリアスシューズに蒸気エンジンを搭載し、白く立ち上る蒸気の煙を纏って、そして彼女は鉄の染みたアスファルトを蹴る。
高く振り抜いた脚が、人型をした怪物の頭部を捉えてしなる。続けざまに繰り出した逆の脚が、また別の怪物の鳩尾を突く。その激しさを嵐と例えるべきか、或いは流麗さを舞踏に例えるべきか――いずれにせよ、彼女の動きに淀みはない。押し寄せる怪物の群れの中心で、また流星の如く蹴りの軌跡が煌いた。
成功
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高嶋・瑞希(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
戦闘開始と同時に「イグニッション!」の掛け声で武装を装着し戦闘状態へ移行します。
遠距離では結晶輪と氷霊手の「エネルギー弾」「誘導弾」で攻撃、近距離ではなぎなた、七支刀、アイスガントレットを使い分けて攻撃します。
敵の攻撃は「気配感知」「第六感」「霊的防護」「オーラ防御」「武器受け」で回避又は防御します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「イグニッション!」
――これまで何度、その言葉を発してきただろう。これまで何度、こうして人ならざる怪物の群れを相手取って来ただろう。極めて自然に、まるで流れるような所作で結晶輪を指先にかけ、高嶋・瑞希(雪女のストームブリンガー・f36313)は独りごちる。
「……それにしても、警察の協力者とは」
かつてのシルバーレイン世界がそうであったように、ここUDCアースに住まう一般人の殆どは怪異の実在を認識していない。にもかかわらず、『彼』は正しく事件の元凶を認識し、猟兵に力を貸してくれているのだという。
「……不思議な話です。ですが、頼もしい方ですね」
人々の保護は彼らにある程度任せられる。であれば、能力者として、猟兵として成すべきことはただひとつだ。軽く息を吸い、結晶輪を投げ上げれば、たちまち戦場に白銀が襲い来た。吹き荒れる氷雪は怪異の群れを次々に氷に包み、人々を連れて退避していく警官には雪の鎧の守護を与える。どうやら、生存者の回収は着々と進んでいるようだ。そのことに微かに笑んで、瑞希は指先を残る敵群に向けた。
成功
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仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!
お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ
口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね
アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!
「あとひと仕事、ってところかしら。最後まで頑張らせてもらうわよ」
仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の手の中でダガーをくるりと回し、女性人格『ネイル』は不敵に笑う。無限とも思える程に溢れ出してきていた怪異の群れは、今やその数を明らかに減らしつつあった。
先刻まで人を象っていた怪異たちの肉体が、廃物と残骸の奔流へと変じていく。力の代償に無差別に放たれるだけとなった彼らの攻撃を身を低くして掻い潜ったネイルの肉体が、溶けるように闇の中へと消えた。
――こうなった敵は、どうあれ速く動くものを自動的に攻撃する。であるなら、自身の動きを見せなければいいだけの話だ。闇のオーラを纏いながら戦場を音もなく駆け抜け、ネイルは弱った怪異に狙いをつけては的確にその背に刃を突き立て、即座にまた身を翻して駆けていく。その合間、たとえ他の怪異の攻撃に巻き込まれても問題はない。纏う闇が近付く敵から奪い取った生命力が、この肉体を動かし続けてくれるのだから。
そしてまたひとつ、怪異の骸が地に崩れた。
成功
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シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦
称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。
複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を殲滅しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!
「警察からのご依頼とはね。――まあ、組織の資金でという訳にはいかないようだけど」
とは言え依頼として持ち掛けられたからには、幾らかの儲けは約束されたと見ていいだろう。そう踏んで、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は何丁もの精霊銃を慣れた手つきで宙に投げ上げた。ジャグリングのように滑らかに、次々に手に収まる銃から放たれる色とりどりの精霊が、未だ鉄臭い戦場を駆けては残る怪異を射抜いていく。その様を冷静に見つめながら、人知れずシェーラは微かに嘆息した。
「……それにしても、だ」
既に大元の怪奇現象の元凶は撃破され、今はその後始末の段階だ。だとしても、かの怪異のやり口は彼にはどうにも醜悪に思えた。だからこそ、その置き土産もまた。
「……駆逐してやるとも。一体残らず、だ」
放たれた精霊の弾丸に脚を射抜かれ、怪異がこちらを振り返る。それで良い。一般人の元へなど行かせはしない。攻撃目標をこちらに切り替え、にじり寄って来る怪異を前に、シェーラはつまらなそうに次の銃を掴む。
「遅い」
ひとつ。ふたつ。みっつ。次々に繰り出された弾丸が、正確に怪異の胎を射抜く。ぐしゃりと紙細工のように潰れた最後の怪異が、どこへともなく溶けて消えていく。振り向けば、潮が引くようにして血の匂いもまた薄れていった。微かに湿った風を吸い込み、鈍色の空に視線をやって、シェーラは小さく呟きを零す。
「……全く。見るに堪えない相手だったな」
成功
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