【天変地異】電精蠕虫駆除作戦
●注意
当依頼は、PBWアライアンス『コイネガウ』からのシナリオです。
PBWアライアンス『コイネガウ』の詳細を以下でご確認お願いします。
公式サイト:(https://koinegau.net/)
公式総合旅団:(https://tw6.jp/club?club_id=4737)
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氷河期の到来の如しであった。
気象制御装置により年間を通して温暖な気候に保たれている筈の希島であるが、現在は、容赦のない寒波に晒されて、分厚い氷の層に島全体が封じ込められてしまっている。
異常気象――否、異常事態であった。
この全土凍結という異変はひとつの事象を原因とするものではない。
科学と神秘。
それら異なる属性を有する複数の事象が絡み合った結果としてのものだ。
それ故に、希島に、かつての温暖な気候を取り戻さんと欲するのであれば、畢竟、科学と神秘の両面からのアプローチが必要となった。
科学方面からのアプローチ――即ち、希島の気象制御装置の働きを狂わせている存在を駆除すること。
そのために、国防軍は、ホープコードの担い手たる希人の協力を必要としていた。
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――電光。電音。集合。拡散。吸収。融合。増殖。
一匹が二匹に。
二匹が四匹に。
矮小な十匹が巨大な一匹に。
巨大な一匹が矮小な十匹に。
希島の上空を巡るように建造された巨大なリング状の構造物。
その下に広がる都市部と同じように凍結したリングの表面に、幾百、幾千の青白い火花が散っている。
吹雪の中、リングに群がり、蠢く火花の正体は、
蛭や
蚯蚓のように
蠕動する雷の虫であった。
電精蠕虫――発電所などの巨大なエネルギー・プラントに
集り、そのエネルギーを吸収することで繁殖する害虫である。
知性はなく、本能のままにエネルギーを求めるこの虫は、電気の恩恵により発展してきた文明社会の、まさしく天敵というべき存在であった。
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「うう。寒いですね……これでも暖房の温度は最大にしているのですけれども。希島は年中、暖かい島ですからね。住人は、基本的に寒さには馴れていないんです」
室内であるにも関わらずに、厚手のコートを着込んだ新妻和歌子は、寒さに震えながら、参集した希人達を見回した。
「さて。状況は皆さんも知っての通りです。希島が雪と氷に覆われてしまいました。冬の到来などという生易しいものではありません。希島にだけ氷河期が訪れたとかいう洒落にならないレベルです。その原因のひとつが――これです」
国防軍指令室の大型モニターに、希島の上空を巡る巨大なリング状建造物に集る、無数の電精蠕虫の様子が映し出される。
「うう。電気の身体とはいえ、やはり見た目や動きが虫そのものですから気持ち悪いですね。電精蠕虫……主に電力を餌として捕食する害虫です。食欲は旺盛。さらに質の悪いことに食べれば食べただけ増殖します。もしかしたら蚯蚓のように雌雄同体なのかもしれませんね。増殖するだけでなく融合して巨大になったり、巨大になったものが、また分裂したり……本当に不可解な生物です」
この電精蠕虫の群れが希島の都市エネルギーを際限なく吸収していることが、現在の異常気象の原因のひとつであると和歌子は告げた。
「このままでは本当に希島の全てが凍り付いてしまいます。しかし電精蠕虫の群れを駆除しないと、気象制御装置の維持に必要なエネルギーを捻出することは出来ません。どうか皆さんの力を貸してください」
希島の平穏を、かつての温暖な気候を取り戻すために、希人たちは電精蠕虫を駆除するために行動を開始した。
黒猫白猫
注:この依頼は、【天変地異】の共通題名で括られる防衛戦シナリオの連動シリーズです。
希島を舞台にした五箇所の各戦場をクリアすると新しい「種族とジョブ」の報酬が出ます。
なお、各MSによるシナリオはどれも内容が独立している為、重複参加に制限はありません。
注2:戦場と報酬の一覧表は以下です。
黒猫白猫MS「守備」の商業地区。「サンダーバード」が報酬。
ヤタ・ガラスMS「冒険」の自然地区。「雪女」が報酬。
椿油MS「純戦」の学園地区。「ボクスドラゴン」が報酬。
にゃんさん。MS「淫闘」の住居地区。「ビハインド」が報酬。
ヤタ・ガラスMS「掲示板」の工業地区。報酬等の詳細はそちらの掲示板で。
コイネガウ第5作『【天変地異】電精蠕虫駆除作戦』をお届けいたします。
敵は、希島上空を巡るリングに集る電精蠕虫たち。
害虫駆除という途端に業者の仕事であるような気がいたしますが、今回は希島の平和がかかっています。
希人あるいは異界人である皆様の奮戦を期待させて頂きます。
敵の使用するホープコードは下記の通りです。
『POW:増殖』
自身の【吸収したエネルギー】を代償に、1〜12体の【電精蠕虫】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
『SPD :進化』
自身の肉体を「異常進化個体」に変える。変身中、雷鳴電撃・物理攻撃無効・通電物質内移動の能力を得る。
『WIZ :融合』
自身と仲間達の【身体】が合体する。[身体]の大きさは合体数✕1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
この物語が僅かでも皆様の楽しみになれば幸いです。
それでは何卒、よろしくお願い致します。
第1章 日常
『プレイング』
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POW : 肉体や気合で挑戦できる行動
SPD : 速さや技量で挑戦できる行動
WIZ : 魔力や賢さで挑戦できる行動
👑11
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イリスフィーナ・シェフィールド
さ、寒いですわね……希島出身のわたくしには辛いですわ。
さっさと倒して元の生活を取り戻さなくては大変ですわ。
飛行して近づきながら雪と氷の寒さには氷結耐性と環境耐性で対応。
攻撃範囲まで近づいたらトルネード・シュレッダーを発動。
増殖して増えた個体もろとも纏めて擦り下ろして撃破いたします
……大分気持ち悪く後処理が大変そうですが致し方ないですわね、この調子で次々撃破していきますわ。
イリスフィーナ・シェフィールドは、凍結したリング状構造物の上空に浮遊して、その身を、吹き荒ぶ寒波に晒していた。
身を切り、骨まで軋ませるような冷気が、スーパーヒーローの戦闘仕様コスチュームであるスノーホワイト(改)の防寒性能をも突破して、イリスフィーナの身体を凍えさせる。
「さ、寒いですわね……希島出身のわたくしには、この寒さは辛いものがありますわ。ですが、それは他の皆様も同じ。さっさと、こいつらを倒して元の生活を取り戻さなくては大変ですわ。大変、なのですけれども……」
イリスフィーナの眼下では目視できるだけでも数十匹を超える
電精蠕虫の群れが、電気によって構成された身体から火花を散らしながら、リング状構造物の外壁を食い破り、露出したケーブルから直接、エネルギーを貪り食っていた。
「……うう。見ているだけでゾワゾワしますわね。気持ち悪い。やはり虫は、わたくしの美的感覚とは合いませんわ! 一刻も早く駆除いたします!」
空中を蹴り、加速して急降下による強襲を試みるイリスフィーナの接近に気づいた電精蠕虫たちが、それぞれの身体を激しく放電させて、威嚇するかのような唸り声をあげる。
「――ギィィッ、ギィィィィッ……!」
「纏めて葬ってさしあげますわ! 螺・旋・斬・刃! トルネード・シュレッダー、ですわっ!」
イリスフィーナの片腕から放たれた竜巻上に回転する闘気の渦が、電精蠕虫の群れを飲み込んでいく。
何匹かの産まれたばかりであろう脆弱な個体は、その回転闘気流に耐え切れずに千切れ飛んだ。
しかし全長10メートルを超える巨体となるまで融合、肥大化を繰り返した個体は、その闘気流にも抗して、怒りの声を上げる。
「――ギ、シャァァァァッ……! ギュォォォォッ!」
「――あら。なかなかに頑丈ですこと。でしたら、もうひとつの渦をさしあげますわっ!」
イリスフィーナの、回転闘気流を放出する腕とは逆側の腕から、もうひとつの、逆回転する闘気流が放たれる。
「ギュアァッ
……!?」
左右で異なる回転をする闘気の渦の中心に挟み込まれた巨大な電精蠕虫は、その動きを封じられて、全身を、巨人の両腕によって力任せに捩じ切られでもしたかのように、一瞬で、無残にも全身を引き裂かれた。
電精蠕虫が、その巨体に溜め込んでいた膨大な量の電力が、無数の雷光と化して周囲に迸る。
それは、さながら断末魔の叫び声のようでもあった。
「さて。これで、この区画は片付きましたかしらね。この調子で、次々と駆除していきますわよ!」
イリスフィーナは、次なる戦場へと向かうために、再び上空へと舞い上がった。
大成功
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シルヴィ・ウェルズ
「この手の戦場は私の発明が役立つ時だわ!
害虫を捕まえるなら……コレよ!」
司令塔の屋上で防寒着を着込んで現れる私。
手元に発明品のサイバーワーム捕獲器を抱える。
(アイテムもHCもガジェットを使用)
「さて、コレを屋上の方々に仕掛けて……。
サイバーワームが早速、集まって来るわね?」
輝く捕獲器は電気餌を撒きワームを挑発。
ワームは餌だと思って捕獲器に集合。
そこで捕獲器が作動してワームを捕らえて抹消する。
「うん、良い感じに罠が作動しているわ!
私は罠張りで精一杯だから、白兵戦は皆に任せるわ」
その後も私は後方支援の罠で皆を援護。
後方で敵数を減らす事で助力になるといいわね。
アドリブ・連携歓迎
国立希島学園の女教師、シルヴィ・ウェルズもまた希島の危機に際して立ち上がった者の一人だった。
シルヴィは、身を切るような寒風が吹き荒ぶリング状構造物の各所に、国防軍の協力を借りながら、自慢の発明品を設置していく。
「こういう時にこそ私の発明品が役立つわ! やっぱり害虫を捕まえるなら……コレよ!」
防寒着を着込み、国防軍の隊員たちに指示を出しているシルヴィだが、彼女が発明したという不思議な形状の発明品――彼女が頑なにサイバーワーム捕獲機だと主張している――に対して、国防軍の隊員たちは半信半疑といった視線を向けていた。
とは言え、希島全土の凍結という異常事態に際して、効果があるというのであれば、たとえそれが、どのようなものであったとしても縋りたいというのが本音でもある。
こうして、シルヴィが発明したサイバーワーム捕獲機は、順調に、リング状構造物の各所に設置されていった。
そして、すべての捕獲機の設置が終わり、いよいよ、サイバーワーム捕獲機の起動スイッチが、シルヴィ自身の手により押された。
「……よし! いい感じだわ。このサイバーワーム捕獲機は、周囲に、電気を撒くことでサイバーワームたちを誘き寄せるのよ。案の定、餌だと勘違いした奴らが捕獲機の周りに集まってきたわね!」
「凄い……まさか、これほど効果があるなんて。しかし、シルヴィ先生。サイバーワームを集めるためとはいえ、奴らに電気を与えてしまえば、その成長を促進させてしまうのではないですか? 国防軍のデータによれば、サイバーワームの中には、エネルギーを過剰に吸収することで異常とも呼べる進化を果たしてしまう個体が存在するとのことでしたが……」
捕獲装置に群がるサイバーワームの群れを前にして不安そうな表情を見せる隊員とは対照的に、シルヴィの表情には自信に満ち溢れた不敵な笑みが浮かんでいた。
「大丈夫よ。吸収するエネルギーの総量よりも、どれだけ高純度のエネルギーを吸収できるかの方が、サイバーワームが進化を果たす上では重要なファクターになるの。私の捕獲装置は、サイバーワームたちを集めはするけど、過剰進化を誘発しないギリギリのラインで調整しているわ。さぁ。今のうちよ。作戦の第1段階――捕獲装置によるサイバーワームの誘因は成功したわ! 次は第二段階――国防軍の一斉攻撃による駆除作戦の開始よ! 皆さんの活躍を期待するわ!」
美魔女とまで呼ばれるほどに麗しい女教師の叱咤激励の言葉に、国防軍の隊員たちが、一斉に敬礼を返す。
それから間を置かずして、機銃の掃射が、砲弾の炸裂が、キャバリアの兵装が、サイバーワームの群れを駆逐するために全力で運用される轟音が、リング状構造物の周囲に響き渡った。
シルヴィ・ウェルズが開発したサイバーワーム捕獲装置は、当初の想像以上の効果を発揮し、来年度以降の、国防軍の正式採用装備にまでなるのであるが――それは、また、別の話である。
大成功
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シモーヌ・イルネージュ
北の生まれだから、暑いのは好きじゃないんだけど、今回のはちょっと冷房が効きすぎだね。
このままじゃ、凍っちまいそうだ。
一刻も早く電気を取り戻さないとな。
害虫退治やるよ。
ちまちま一匹ずつ潰していくのは性に合わないから、虫を大きくしてから戦いたいな。
まずは槍に髪留め『竜封火布』を巻き付けて、炎の魔力を使おう。
この炎で虫を焼いていけば、虫も集まってくるだろう。
大きく育ったところでUC【月槍閃光】でまとめて片付けよう。
このUCなら大暴れしたって、施設を壊さずに済むしな。
シモーヌ・イルジェーヌは、激しく吹き荒ぶ寒風に、銀色の髪を乱しながら、黒槍――新月極光を構えていた。
「アタシは北の生まれだから暑い方が苦手なんだけど。今回のは流石に冷房が効きすぎだね。このままじゃ凍っちゃいそうだ。一刻も早く希島に電気を取り戻さないとね」
シモーヌは、愛槍の穂先に炎の魔力を帯びた髪留め――竜封火布を巻き付けた。
黒檀の槍を一閃すれば、その軌跡にそって燃え上がった炎の魔力が、白く凍てついた世界を、一瞬の朱色に染める。
シモーヌは、無数に蠢く電精蠕虫の群れを相手に、幾度も槍を振るった。
その卓越した槍捌きと、炎の魔力により、一匹、また一匹と、電精蠕虫が仕留められていく。
しかし敵は大勢。如何にシモーヌが槍を素早く振るおうとも、一向に数が減る様子はない。
それどころか黒槍が纏う炎の魔力を捕食対象として認識したのか、次から次へと、シモーヌの元へとあつまってくる。
「これで、27匹め、とっ! さて。これぐらい集まればいいかな……チマチマと小物を一匹ずつ駆除したところで減らないからね。全部纏めて吹き飛ばすのが一番さ。さあ――この炎が欲しいのかい? けれどね。アンタ達が何十匹集まったところでアタシの槍は止められないよ。どうする?」
「――ギ、シャァァァァァァッ……!」
シモーヌの思惑通りに一箇所に集められた電精蠕虫たちは、その電気の身体を互いに結び付けて、一匹の巨大な虫へと変貌する。
全長10メートルを超えるほどの巨体となった虫は、その身体に内包したエネルギーの膨大さを表すかのように周囲に強烈な電流を撒き散らしながら、シモーヌへと飛び掛かった。
「よし。そろそろ身体も温まってきたし。大暴れといこうか。このユーベルコードなら――周りを消し飛ばす心配もないしね!」
シモーヌは、巨大虫を正面から迎え撃つかのように、大きく黒槍を振り被る。
振り下ろされた槍から迸るのものは、銀世界を浄化する極光のごとき、三日月の光刃である。
「光集まれ。闇を祓い、すべてを貫け――
月槍閃光ッ!!」
「ギィ、シャァァァッ……!? ギ、アァァァァッ
……!!」
黒槍から放たれた浄化の刃は、地上の物質には一切の傷をつけず、シモーヌが敵と定めた者のみを斬断する。
眩い極光の煌めきが収まった時、シモーヌの周囲には、あれだけ蔓延っていた電精蠕虫たちの姿は跡形もなく消え失せていた。
大成功
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五木・瑳良
※捕捉
アドリブ歓迎
『』括りは召喚した悪魔の台詞
悪魔の容姿は乙女ゲーの攻略対象っぽい雰囲気の「褐色銀髪で長身細マッチョの怜悧なイケメン」
※プレイング
さ、寒い
あんたの炎がこんなに有難く感じるとは思わなかったよ
と言う訳で火、よろしく
『確かにこの寒さは希島の住民には酷だろう』
『しかし、炎よりも…こうした方が良いだろう?』
ちょ、え?
あんた何で抱き締め!?
『人肌の方が良いと思うのだが?』
どさくさに紛れて変な事すんな!
今一番必要なのは元を断つ事!
あそこで融合してる電精蠕虫を駆除する方が先決だよ
『勿論判っているとも。しかし君を凍えさせるのは許容し兼ねる』
『だから代償として、駆除が完了するまで此の儘大人しくし給え』
…そう言われそうな気はしてたけどさぁ
あー、もう!
それで良いからさっさと退治しちゃおう!
た・だ・し!
無駄に駆除を引き延ばしたら怒るからね
『心配は無用だ』
『この程度の輩に後れを取る程、私は惰弱ではないよ』
…あんたの強さは信頼してるけどさ
隙あらば何か仕掛けてくる行動の方が信用できないって話なんだけど…
五木瑳良の傍らには、銀色の髪と褐色の肌をもつ美丈夫が佇んでいた。
アスモデウス――地獄の炎を支配する悪魔である。
「……さ、寒い……。本当に何もかも凍り付いているみたい。まさか、あんたの炎がこんなに有り難く感じるとは思わなかったよ……」
瑳良は、魂すら焼き尽くすという地獄の業火で暖をとっていた。
普段の希島の気温であれば暑苦しささえ感じるアスモデウスの劫火の術だが、すべてが氷に閉ざされている現在では、これほどに有り難い術もない。
もっとも、本来は敵対者を滅ぼすべき炎を、暖房代わりに使われるアスモデウスには、何やら思うところもあるらしい。
『確かに、この冷気は希島の住人には酷だろう……いっそ、こうした方が良いのではないか?』
人の
容をしてはいるが、人間の有するそれとは隔絶している、彫刻めいた美貌に憂いを帯びた表情を浮かべると、その逞しく均整のとれた身体で、契約者を突然に抱き締めた。
「――っ!? ちょっと、あんた……! い、いきなり何をして……!」
『人肌の方が良いと思ったのだが? それに、肌を触れ合わせている方が魔力の運用の面から見ても効率が良い』
しれっと言ってのけるアスモデウスの言葉に、瑳良の眉が吊り上がった。
「どさくさに紛れて変なことすんな! 今、一番必要なことは、元を断つ事! あっちで融合してる奴を駆除する方が先決でしょ!」
瑳良が指した先には、残された電精蠕虫たちが融合した巨大な個体が、リング状構造物のエネルギーを貪っている姿があった。
他の希人たちの活躍により、既に多くの虫たちは駆除されている。
残ったものの数は当初に比べれば少数だが、しかし、一刻も早く駆除しないと、また分裂し、増殖してしまうだろう。
『勿論判っているとも。しかし君を凍えさせるのは許容し兼ねる――だから代償として、駆除が完了するまで、此の儘大人しくし給え』
「……そう言われそうな気はしてたけどさぁ……。ああ、もう、いいや。それでもいいから。さっさと退治しちゃおう! ……た・だ・し! 無駄に時間をかけたら怒るからね!」
瑳良は、まるで離れる気のないアスモデウスの態度に、怒りと諦めを綯交ぜとした感情を声に乗せた。
それとは対照的に、アスモデウスは、蠕動する巨大な虫を前にしてもなお不敵な微笑みを口許に浮かべる。
『心配は無用だ――この程度の輩に後れを取る程、私は惰弱ではないよ』
『――ギィィッ!? ギ、ュアァァァァア
……!?』
瑳良を抱き締めたままのアスモデウスの双眸が妖しげな魔力の輝きを帯びると、エネルギーを貪っていた電精蠕虫の巨体が、一瞬にして地獄の炎に包まれた。
極寒の世界を焦熱地獄に塗り替えて、天を焦がすように燃え盛る業火の中で、電精蠕虫の巨体に蓄えられた膨大な量のエネルギーが周囲に解き放たれていく。
雷の虫は、激しくのたうちながら、そのまま、一切の痕跡さえ残らぬ程に徹底的に焼き尽くされた。
『――これでいいだろう。全ては焼き尽くされた。遠くないうちに希島にかつての温暖な気候が戻ってくるはずだ。無駄な引き延ばしはしなかっただろう?』
「……そうだね。あんたの強さは信頼してる。隙あらば何か仕掛けてくるのだけは止めて欲しいけれどね」
虫の駆除を終えてなお、自分の身体を抱き締めて続けているアスモデウスの腕の中から、するりと抜け出しながら、瑳良は、疲れたように溜息をついたのだった。
希島のエネルギーを貪っていた虫たちの駆除は、多くの希人たちの活躍により、ここに完了した。
遠からず、希島を覆いつくした厚い雪と氷の層も融けて、かつての日常が戻ってくることだろう。
大成功
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