お花見と温泉宿と、住み着いた掃除狂
「みなさん、お花見に行きませんか?今の見ごろは梅と桃の花らしいのですけれど」
ネオン・エルバイトの提案は唐突だったが、彼が黒い手帳を広げている事と声のトーンが低目であることから、事件の案内であると猟兵達は気づいた。
「詳しくお話ししますね。とある山間の温泉宿にて、UDC関連の事件が起こるという予知が出ました。
これは日常を楽しむ人々を怪異に巻き込む、群れているタイプのUDCが関係しているらしいのですが……僕の予知で分かったのは現場となる温泉宿そのものと、そこの敷地を開いて行われる花見を楽しんでいる方々が狙われるという事だけなんです……ですので、まずはお花見に行きませんか?」
そう言いながら、ネオンは手帳から件の温泉宿のチケットを何枚も取り出した。
「宿泊客は場所取り優先なので、組織の方のUDCの方々と連絡を取って皆さんがお花見を楽しむ下準備は整えています。
あとは来る人数次第ですが、彼等と僕とで買い出しとかもしますので猟兵の皆さんは何の心配もなくお花見を楽しんでください。
その後は不審な出来事の現場となるであろう温泉宿で調査ののち、原因のUDCを倒すという流れになります」
なかなかの広さを持つ庭園の一部に、ブルーシートを敷いて旅館からの仕出し弁当や持込みの料理を楽しみながら花を愛でる。
猟兵達がそのようにして楽しめば楽しむほど、UDCからの魔の手は猟兵達に向かって伸びるというわけだ。
「引きつけ役だけをしたい、戦闘や調査だけしたい、というのももちろんありですよ。
いずれにせよ、動かないと話になりませんので……まずは、皆さんで鮮やかな花々をたっぷり楽しんできてくださいね」
碧依
碧依と申します。よろしくお願いします。
新しいシナリオフレームが出ていたのでお花見イベントです。まったりぎみで進めて行く感じになると思います。
1章はほのぼのお花見です。
楽しくお花見したい方々にまったりしていただけると嬉しいです。ネオンやUDC組織の人も裏方としてその場にはいるので、何かあったらお声かけください。
2章からは大体いつものUDCなかんじになります。
温泉宿舞台ですけれど温泉に入れるかはプレイング次第となります。また、温泉で調査と明記しても、異性のお風呂に突撃するのは謎の力によって阻まれますご了承ください。
3章は集団戦です。
好きそうな内容に思い思いに参加していただけると幸いです。
第1章 日常
『お花見日和』
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POW : 花より団子! 花を見ながら美味しい料理を食べる
SPD : 花より余興! 花を見ながら踊ったり歌ったりする
WIZ : 花より芸術! 花を見ながら写真を撮ったり絵を描いたりする
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ケイス・アマクサ
「何だ何だぁ……? 人が楽しんでるのを邪魔するってのは……ふてぇ野郎だな」
【行動】
・ナミル・ダグイール(f00003)と同行(他絡みも歓迎)
さてさて、せっかくの花見だし綺麗な光景を愛でながら、食い物漁りに勤しみますか!
ってことで、行動は【POW】だ。
とにかく、飯だ飯!
綺麗な光景を眺め(という名のちらみ)しながら、がつがつ飯を食っていくぜ!
ナミル!俺の好物取るんじゃねぇぞ!
肉だ肉!肉をくれぇ!
ま、一応念のために酒は遠慮しとくかぁ……?
どうしてもって言われたら飲むぐらいだな。
あとは飯だ!騒ぎながら飯食いながら飯!
ナミル寝るんじゃねぇぞ、騒げ騒げ!
「かーっ! こんな仕事もあるもんなんだなぁ!」
ナミル・タグイール
ケイスと同行(f01273)
お花綺麗にゃ。ぽかぽかで気持ちいいにゃー。
でもナミルは花よりお肉デスにゃ!いっぱい食べて飲ませてもらうにゃ!
まったりお花見てるだけだと気持ちよく寝ちゃいそうだから騒ぐにゃ!
お肉系をいっぱい貰っていっぱい食べるにゃ。美味しいデスにゃ!
あるならお酒も飲んで酔っちゃうにゃー!ぐびぐびにゃー
ケイスは真面目に構えてるみたいだけど、楽しまないと敵来ないらしいにゃ?
だから楽しむのが仕事デスにゃ!ナミルのほうが真面目にゃ
おらっケイスも酒飲めデスにゃー!と無理やり拘束して飲ませる(うざ絡み猫)
楽しむのがお仕事なんて最高デスにゃ!…でもポカポカしすぎてもう眠いにゃー
「にゃー……お花綺麗にゃ」
「おう、こりゃいい眺めだな」
モノトーンな毛並の、ネコ科とイヌ科のもふもふした二人の猟兵。ナミル・タグイールとケイス・アマクサが敷かれたブルーシートに腰をおろして頭上を見上げていた。
昼下がりの温かい時間。建物の影に邪魔されない、陽の光の恩恵を十分に受けられる絶好の場所。花弁の落ち方は緩やかで、しっかりと張った枝に可憐な花々がポッと咲いているのをゆっくり見ていられる。
「しっかし、こんないい光景を楽しむのを邪魔するってのは……ふてぇ野郎だな」
「まったくデスにゃ!……ナミルはいつもならキラキラピカピカを推すけど、こういうのもいいデスにゃ……ぽかぽかで気持ちいいにゃー」
「おいおい、寝るな寝るな」
黒い毛並に陽の光を含ませ温まりながら、ナミルは気持ちよさそうに目を細める。ケイスは寝入ってしまわないようにと彼女を軽くゆするが、ナミルの目を開けるのには役に立たない……と思いきや、不意に彼女の眼がカッと見開かれる!ケイスも狼の耳をピンと立てる!
彼等の気持ちを一気に奪ったのは、裏方役をしているUDC職員が持ってきたお重タイプの弁当。少しばかり空いていたお腹に訴える良い匂いが漂ってきたことで、二人は即座に反応を返したのだ!
「来たな!飯だ、メシ!」
「にゃっ!まってましたデスにゃー!」
途端にテンションの上がる二人の元に、弁当と飲み物が届けられる。途中年齢を確認されたが、二人とも素直に答えた。
「よっしゃ!肉だ肉!肉をくれぇ!」
「お肉はいってるのはどれかにゃ?!これだにゃー!!」
「あっ、おいナミル!俺の好物取るんじゃねぇぞ!」
「ナミルだってお肉食べるデスにゃ!」
ふたりは重箱を広げながら、上がったテンションのままに取り皿に肉を盛り、各々好きな飲み物を紙コップに注ぐ。ケイスはコップの中のお茶を一息にあおってから、満面の笑顔を見せた。
「かーっ!こんな仕事もあるもんなんだなぁ!絶景にうまいメシ、これが役立つってんなら最高じゃねえか!」
「まったくだにゃ!おっ、これすっごく美味しいデスにゃ!」
「お、いいなそれ俺も一つもーらい……って、おいナミルお前のコップの中って」
「モチロンお酒にゃ!」
「昼間だぞ?!」
ナミルのコップから漂う酒の匂いに、ケイスは目を丸くする。一応は猟兵としての仕事中で、しかも昼間だ。ケイスは控えようと思っていたのに、目の前の彼女は遠慮なく酒を瓶からコップに移して飲み干してゆく。
「にゃふー……ケイスは真面目に構えてるみたいだけど、この場は思いっきり楽しむのが仕事デスにゃ。つまり!今は!ナミルの方が真面目だというコトだにゃ!」
ケイスの頭の中で、楽しむ事と酔っぱらう事は完全には一致しないのではないかという理性的な考えと、騒げと言った自分も相手に合わせて勢いをつけるべきではという考えがぶつかる。
が、ケイス本人がそれに答えを出す前にナミルが行動を起こした。
「おらっ!ケイスも酒飲めデスにゃー!」
突如発生するユーベルコード!ナミルは黄金の錠前をケイスにブン投げ、ケイスに当たったそれは爆発!不穏な動きを見てケイスが防御姿勢を取った事と、ナミルにとって敵意ではなくじゃれつく感覚であったためにけがはなかった。が、黄金の鎖がナミルとケイスを繋いでいる!
「うおぁ?!日常の場で使うやつじゃねえ!!」
「にゃふふふ~~逃がさないにゃー!」
ナミルがぐいぐいと黄金の鎖を引き、ケイスを引き寄せようとする。置いてある弁当に倒れ込まないように踏ん張りながら、ケイスは叫んだ。
「ひっぱるな!わかった、俺も飲むから引っ張るな!置いてある肉が犠牲になる!!」
「にゃっ?!お肉とお酒ならお肉が大事にゃ!」
「わかってくれて何よりだ。よし、じゃあ改めて飲んで食って騒ぐか!そういや乾杯してなかったよな?」
「してなかったデスにゃー。うっかりにゃ」
互いのコップに酒を注ぎあって、向き合いなおす。
「何に乾杯するんデスにゃ?」
「そりゃあ、花見なんだからこの花っつーか光景にだろ」
「それもそうだにゃ。ケイスちゃーん、音頭頼むにゃー」
「しゃあねえな。 この綺麗な光景に、乾杯!」
「かんぱーい!」
音のならない、互いの杯を掲げるだけの乾杯。今更の真面目な音頭にどちらからともなく笑い声が上がり、そしてその声が液体を飲む音に変わる。
「……ハハッ!それじゃ改めて、騒ぎながら飯食いながら飯だな!」
「楽しむのがお仕事なんて最高デスにゃー…でもポカポカしすぎてもう眠いにゃー」
「おい、ナミル寝るんじゃねぇぞ?騒げ騒げ!」
賑やかな騒々しさを伴いながら、二人の取り皿に再び料理が盛られていく。
花見客達の中でも特に楽しげなその声を、彼等の頭上に咲く盛りの花々が優しく受け止めていた。
成功
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五百雀・斗真
WIZ
温泉宿に到着したら、軽く旅館の中を歩いてみようかな
何となく迷っちゃいそうだし、道を覚えながらあちこち見て回ろう
あ、おみやげ屋さんでお菓子売ってたら今の内に買っておきたい
おすすめのお土産はなんだろう?
温泉まんじゅうかなぁ?珍しいのがあったら即買いだね
お弁当はどんな感じなんだろう
人気があるスポットだし、お弁当も美味しいんだろうな
期待、期待
花を眺めながらお茶を飲んで、ほっと一息ついたら
色んな角度から梅と桃の花の写真をいっぱい撮る
帰宅したら、写真を参考にしながらスプレーアートをしてみたいんだよね
こんなにキレイに咲いてるし、キレイに描けるといいなぁ
楽しみ、楽しみ
昔ながらのといった風情の木造の旧館と、建物自体は古くなってきているものの鉄筋が入っている新館をつなぐ渡り廊下の真ん中あたりで、五百雀・斗真は立ち止まっていた。
渡り廊下からは駐車場と花見の会場となる庭園をみることができ、会場では他の猟兵達がすでに宴会モードになっているのがわかる。
斗真はその様子を見ながらも、特に焦ることはなかった。一通り宿の中の探索と土産物屋のチェックを行う事で、気になる要素を潰して花見に気持ちをしっかり向けるという方針だからだ。
「賑やかだなあ」
それでも思ってしまったことをつぶやいてから、振り返って駐車場側を見る。幼い子供連れの家族が車を降りてきたのが見えた。
「……巻き込まないように、僕たちがいっぱい楽しまなきゃね」
斗真は土産物屋で購入した温泉まんじゅうや根付の入った袋を抱いて、旧館へと立ち寄る。UDC職員が宿泊客として猟兵達を扱うためにとってあった部屋、その一つに購入品等の荷物を置いてから庭園の方へと向かった。
庭園に植えられた木々のうち、花の盛りとなっている木が集まっている方向へと足を向ける。ブルーシートの端の方に腰をおちつけ、お茶をもらって一息つく。
ワイワイと楽しそうにしている方も気になるが、斗真はそこから流れてくるおすそ分けは受け取りつつも一緒に騒ぐのは辞した。
「ちょっと落ち着いたら写真を撮ろうと思ってるんだ。スプレーアートやってるから、その資料的な?お腹いっぱいになると眠くなっちゃうかもしれないし、お弁当とかご飯はその後にしようかなって……あ、写る?じゃあちょっとだけ……はい、チーズ」
にぎやかな様子を一枚納めてから、カメラを持って人が集まっていない木へと向かった。
最初は、梅の花を接写で一枚。一つの枝の花をいろんな方向からとり、徐々に距離を開けて変わる見え方のすべてをカメラの中におさめていく。
花弁から枝、枝から木、木から木々……だんだんと遠のいていき、複数の梅と桃の木々を収めた庭園の一部を写真に写し込む。次は今までと逆の順序で、桃の木の方に写真を撮りながら近づいてゆく。
この花々の美しさを、自分ならどう表現するのか?それを考えながら写真を撮っているうちに斗真の心は静かに湧き立っていた。
「キレイに描けるといいなぁ」
桜ほどには派手に散らない、ぽつりぽつりと降る花弁の小雨の中。無意識に出てしまった言葉がどうにも楽しげな事に気づいて、斗真は笑みを深くした。
「ふふっ……楽しみ、楽しみ」
成功
🔵🔵🔴
ライカ・モンジ
フェレっちゃん(f00338)と一緒に参加
…のハズなんだけど
待ち合わせ遅刻した…ヤバイ…
あ〜っ、ネオン〜!!買い出しとかありがと〜超助かってる♡
お互い仕事じゃなかったら花見酒でもね〜…ところでさ、この位の背の…ネコ耳系の美少女、見かけてない…?(切迫焦り顔)
無事合流したら謝り倒しつつ
…てゆかフェレっちゃんお花見とかしたことある系?
お姉さんが楽しみ方教えてあげちゃう?
花見はねえ、見て愛でて〜…は学のある人に任すが良し!
宴よ宴!美味しーモノ食べて、呑んで、日頃の鬱憤をパァーって晴らすワケよ♡
実演した所で頭に?浮かべたフェレっちゃんとはしゃぐアタシの図
そんな彼女も可愛いからまた揶揄っちゃったりして♡
フェレス・エルラーブンダ
ぴかぴか(ライカ:f04688)と
陽のひかりも
浮きたつ人の気配も
どれもこれも自分の知る世界には無いもの
まぶしくて……こわくて、落ち着かない
ぴかぴか光るヒトガタへ
遅いぞと声をかけたけれど
そのヒトガタはおんなよりももっと大きくて
ひび割れたかんばせを見て
おとこがこの誘いを持ちかけた情報屋だと気付く
ええと
その
ちがう
『ごめんなさい』が上手に出てこない
困っていたらその後ろからおんなが顔を出したものだから
多分、変な顔になってしまった
はなみ
とは
私の塒のまわりには花が咲かない
はじめて見るものばかりで、楽しみ方もわからない
でも
この景色は『きれい』だと思ったから
おまえたちに、おしえてほしい
……い、いやじゃ、なければ
「ヤバーイ……待ち合わせ遅刻しちゃった」
周囲をきょろきょろと見回しているのはライカ・モンジである。彼女は同行するはずの人物を探していた。ライカの知るその人物は明るい場所にあまり耐性がない。現場での待ち合わせという緩い約束でも屋根のあるところにいるだろうという判断し宿の中を見ていたが、なかなか見つからない。
そこに、探し人でこそないがライカにとっては見覚えのある姿が見えた。
「あ~っ、ネオン~!!」
「ライカさん。どうしましたか?」
「見かけたから呼びとめちゃった♪買い出しとかありがと~!自分で行かなきゃいけないとなると困ってただろーし、超助かってる!」
「そう言っていただけるとありがたいです。僕はこういう部分しかかかわれませんので……今回も花見のうちに来る予定の方々の召喚がおわり次第、グリモアベースに戻りますし」
「敵と遭遇するとヤバいんだっけ?お互い仕事じゃなかったら花見酒でもってトコなんだけどね~……ところでさ、この位の背の……ネコ耳系の美少女、見かけてない?」
ライカは焦った様子で、手を水平にかざして探し人の身長の辺りを示す。幸いにも、ネオンが現在の場所を知っていたようなのでライカは彼の背について歩いた。
一方、フェレス・エルラーブンダは庭園側の出入り口で身を固くしていた。
猟兵として外に出るようになったし、外を向くようにもなった。今回のように連れ出されることもあるにはある。とはいえ、許容というものは一気に拓ける物ではない。明るい場所や人々のにぎわいは、一人で受け止めるほどには慣れていないのだ。
食べ物や飲み物を持って出入りするUDC職員は雰囲気が仕事の物なのでまだ大丈夫だが、一般客が楽しげに横を通る時は不慣れな物の気配に僅かに肩がすくむ。
そんな状態の彼女が、視界の端に青く光る物を捉えた時の安堵はいかほどだっただろうか。
「遅いぞ」
安堵と同時に、待たせられたぶんの怒りを含む声色でそう言ってしまった。
しかし直後にそれがフェレスの想像したギャルのライカではなく、案内人のネオンだったと気づいて猫耳が一瞬驚きで立ち、そして伏せる。安堵からの失態という焦りのあまり、謝ろうとするものの口ごもってしまう。
「ええと……その、ちがう……ご、ごめ……」
「フェレっちゃんゴメーン!!マジ遅くなっちゃったねー」
「う」
「本気だしてしっかり埋め合わせするから!よーしよしよし不安だったねー?!」
不意にネオンの後ろから姿を現したライカが、フェレスに駆け寄ってその手を取った。フェレスは状況と感情に思考が追い付かず表情が定まらない。
「……お、遅い」
「あ~ん二度目ぇ~!ゴメンってばマジで!」
「ふふっ……仲がよろしいんですね。せっかくですから、あいている場所まで案内します」
二人はネオンによって、ブルーシートの空いている方に案内される。その最中も謝り倒していたライカと、それを聞いているうちに動揺がおさまってきたフェレスは素直に案内された場所に腰を下ろした。
木を挟んだ向かい側から先に来ていた猟兵達が肉のおかわりを頼んでいる声が聞こえ、耳を澄ませばどこかでシャッターを切る音がする。人々の営みが花が咲いているというそれだけの事のために集まっているのを、フェレスはどこか不思議な気持ちで受け止めていた。
「……はなみ とは」
「んー?フェレっちゃんお花見とかしたことある系?お姉さんが楽しみ方教えてあげちゃう?」
「いつもいる場所では、花は咲かない。はじめてみるものばかり……だけど、この景色は」
きれいだと思う、という言葉を消えかけるような音量でつなげてフェレスはライカとネオンを見た。
「だから……おまえたちに、楽しみ方をおしえてほしい……い、いやじゃ、なければ」
フェレスの言葉に、ライカの挙動が不審になる。可愛いの感情を抑えられないのか、口元を手で隠してぷるぷるとふるえている。撃沈状態のライカが言葉を出せないのを見て、ネオンが先にフェレスに向けて言葉をかけた。
「僕は、そのように花を見て心が動けば十分に花見の本質を満たしていると思います。ですが、その感情への浸り方や表現の仕方は人それぞれですね……今回はライカさんから聞いた内容を実践すると良いと思いますよ」
そう言ってから、UDC職員に呼ばれネオンは席を立った。彼の言葉と見送りで時間を稼いだライカは、一つ大きく息をして呼吸と気持ちを整える。
「ふぅ……ま、難しくは考えなくっていいと思うよ?花見はねえ、見て愛でて~……ってのは学のある人に任すが良し!宴よ宴!良いものを見たいい気分を、ご飯と一緒におなかに入れちゃえば、それって最高に幸せよ?つまり美味しーモノ食べて、呑んで、日頃の鬱憤をパァーって晴らすワケよ♪」
そういいながら、用意されていた弁当を開けるライカ。箸で中身を一つつまんで幸せそうに口にしてから、もう一つつまんでフェレスの口元に持っていく。
「はい、あーん♪」
「え?」
「アタシが食べるだけじゃピンときてないっぽいし?ほら、フェレっちゃんも食べて食べて♪」
「そ、それはいい」
「んもー、いいじゃんいいじゃん?せっかくの機会だし?少しハメを外してほらパクっと!」
戸惑うフェレスと、彼女を可愛がりながらもからかうライカ。和気藹々と言うにはまだ少しかたさが残るやりとりを慈しむように、彼女たちの頭上で花々が緩やかに揺れていた。
成功
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神原・響
POW判定
『響よ、宴じゃ!花見じゃ!今日は気分が良い、妾が手ずから食べさてやろう』
そう言って、用意された重箱からおかずを響に食べさせようとする黒の女王。生来のお祭り好きである彼女は、現在中々に気分が良い。微笑ましくもあるかもしれないが、見様によっては和ゴスロリの美少女が手ずから食べさせる様は、中々に犯罪的な絵面である。司法と世間の目が少し怖い響であった。
「有難う御座います姫様。景色もさることながら、料理もまた旬の食材を使った素晴らしいものですね」
絡み、アドリブOK
猟兵達の花見スペースに最後に足を運んだのは神原・響だった。彼は自身の契約UDCである黒の女王とともに、重箱を広げ枝を広げる木々とそこに咲く花々を見る。
「良い景色ですね、姫様」
『うむ!集う人々も賑やかしく、好い心地じゃ!』
黒の女王の機嫌が良い。祭り好きである彼女にとって、賑やかさとそれを呼ぶ花々は好ましいものだったようだ。彼女の愉しげな様子に、響の口元もつい優しく弧を描く。互いに責任を負う形の契約関係だが、普通であれば引くような一線を今この場で彼らに感じる者は少数だろう。
『響よ、宴じゃ!花見じゃ!今日は気分が良い、妾が手ずから食べさてやろう!』
そう言って黒の女王は重箱から山菜の天ぷらを取り、響の口元に持ってゆく。
見た目で言えば和ゴスロリの美少女による『あーん』である。響の脳裏に、犯と罪の二文字が浮かぶ。
『……食べぬのか?』
「いただきます」
とはいえ、司法と世間の目に対する恐怖感よりも、目の前の彼女の表情を曇らせたくないという思いの方が彼にとってはずっと強いものだった。
それに、良く考えてみればなんだかんだで己も他者の様子などちゃんと見ていない。他の人々もわざわざ自分たち二人様子を見て噂する事などないだろう……と、響は結論付けて春の山菜の天ぷらを食べる。
咀嚼し、飲みこむ響の様子を見つめる黒の女王に、響は微笑んで礼と感想を告げる。
「有難う御座います姫様。景色もさることながら、料理もまた旬の食材を使った素晴らしいものですね」
『そうじゃろう?妾も、貴様には美味しいものを食べさせてやりたいからの!さぁさ、妾の選ぶ目を信じてどんどん食べるがよいぞ』
「姫様、ありがたいですが少しお茶をください」
『ふむ、飲み物は自身のペースが大事じゃからな』
響がコップに茶を注ぎ、それを飲む様子をも、黒の女王はじっと見つめている。響もさすがに、それを受け入れ続けるのには少し抵抗があった。
「……花や他の方々の賑やかさを見なくても良いのですか?私を見ていても祭りの良さはわからないでしょう?」
『なにをいう、貴様の反応こそが大事じゃ。たとえ周囲が賑やかしくとも、お前が曇っていては面白くないにきまっている』
「……そうですか。私も、姫様が曇っていたら、この景色を楽しむ事は出来ないでしょうね」
響の言葉に、黒の女王が笑顔を返す。響が楽しんでいるのは、花でも食事でもないのかもしれない。しかし、そのどちらもが無ければならないという理解もあった。だからか、響は彼女ではなく再度花々に関しての言葉を口にした。
「良い景色ですね、姫様。花の美しい時に来れて良かった」
『ああ。よい日和じゃ』
しばし黙った後、黒の女王が再び響の口元に食事を持って行く。花を肴にした宴を、彼等はゆっくりと楽しんだ。
成功
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第2章 冒険
『温泉で邪神召喚』
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POW : 従業員に突撃!教団の人なら締め上げよう
SPD : 怪しい場所に突撃!お風呂とか怪しいよね?
WIZ : 潜入調査だ!宿で働いてみよう!
👑11
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陽が傾いた頃。猟兵達が後片付けをしようとしたときに、彼ら全員の頭の中に不意に、異様なまでに強く同じ言葉が浮かんだ。
【まだここにいて、もっと楽しみたい】
猟兵達はその意識が自身の中から湧いたものではなく、誰かにそう思うように操作されたものだと感覚で理解する。
しかし……楽しみたい、そう思う事が事件の大本となるUDCの影響だとして、どのような怪異につながるというのか?各々の片づけの手が鈍る中、猟兵達に集まってほしいとUDC職員が声を掛ける。
頭に浮かんだ言葉に関係があるかもしれないと、猟兵達は片づけもそこそこに職員に付いて温泉宿の部屋の一室に集まった。
「実は、皆さんに対処してほしいものが見つかったんです。皆さんが花見を行っている最中、我々で可能な限りの調査を行ったのですが……どうも、この温泉宿の中に邪神召喚を目論んでいる者がいるようなのです」
ざわつく猟兵達。猟兵以外に今夜この宿にとまる予定であるという長期滞在客か従業員の中に、邪教の信徒がまぎれている可能性が高いらしい。
「危険を避けたため、我々ではどこで召喚の儀式が行われるかはわかりませんでしたが温泉宿の敷地……旧館、新館、庭園、温泉の全部を巻き込むようにぐるりと召喚陣が張ってありました。建物に残る人々を生贄にする予定なのだと思われます」
そう言われて、猟兵達は頭の中に湧いた言葉に納得する。そのまま事件を見過ごしていれば、花見を楽しんでいた人々に呪詛が働きかけて温泉宿に留まる事になっていた。そうなった人々が、生贄として使われるいう流れのはずだったのだろう。
「召喚者を止めるか、儀式の用意を潰してしまえば邪神召喚自体は起こらないはずです。我々職員はいったん退避しますので、どうか邪神召喚を止めてください」
UDCの影響と、それに結びついた邪神召喚。猟兵達は自らに呼び掛けたUDCを探すより先に、大きな事件となりかねない儀式の阻止へと奔ることとなった。
神原・響
【温泉】
温泉にて黒の女王はその茨を伸ばし術式の起点となる儀式場を捜索する。傍目からは、温泉に浸かり、夕暮れに舞う桜の花を眺めての花見酒と洒落込んでいた。
茨は、ボイラー室を始めとして、排水管などから儀式を行える不審な部屋を探していく。
『響よ、今度はお主が注ぐ番じゃぞ』
女王は、響に注がれた酒を味わっている。
「姫様、大分絞れてきましたね……」
旅館の見取り図(防水加工済み)から、捜索し終えた場所に×印を書いていく響。
『そう慌てる出ないぞ響よ……奴らは既に袋のネズミよ、じっくりと調理して行けば良い』
女王の酒杯に、桜の花びらが舞い落ちた。
アドリブ歓迎。
この宿の温泉には、男湯、女湯、家族湯の3種がある。
そして、神原・響は家族湯の一つに黒の女王とともに浸かっていた。
「温泉の熱のせいか、ここだと桜が咲いていますね」
もしもどこかから覗かれたとしても、一見して響と黒の女王が調査をしているようには見えない……が、黒の女王は茨を伸ばし、排水設備越しに各部屋の様子を探っていた。
『ボイラー室は特に何も無いようじゃの……響よ、今度はお主が注ぐ番じゃぞ』
黒の女王は調査の結果を告げつつ、杯を軽く持ち上げて花見酒を要求する。響も手慣れた様子で、彼女の杯に酒を注いだ。
黒の女王への酌もそこそこに、防水済みの見取り図に調査結果をかきこみながらそれとにらめっこする響。
彼の持つ見取り図には、影の茨を這わせて感知した魔力の有無がかきこまれている。殆どの部屋は何も問題なかったが、いくつか魔力めいたものを感じる場所はあった。特に、家族湯と少し離れた大浴場……男湯と女湯に分かれている側の手前で影の茨が弾かれたため、排水設備からそちらの調査を行えなかったというのは大きな成果になるだろう。
「姫様、大分絞れてきましたね……影の茨が弾かれた場所にも今から向かうべきでしょうか」
『難しい顔をしておるの……ほれ、今は湯と花を楽しもうぞ?』
杯に降ってきた桜の花びらを受けながら、黒の女王は響にゆっくり過ごすように呼びかける。花見は十分に楽しんだが、呪詛の対象を猟兵に固定し続ける意味自体はある。万が一何かあった場合に、従業員やその他の宿泊客を逃す際に呪詛の影響があるかないかで逃がしやすさも変わってくるだろう。
「とはいえ、私がそうする必要もないと思いますが」
『ふむ……しかし無駄でもない。呪詛が続いているなら、召喚で大幅に力を使う段階ではないという判断につながるはずじゃ。まだ楽しみたいという感覚は続いておるのじゃろ?』
「片づけをはじめた時ほど強烈な呼びかけめいた物でははありませんが、ありますね。……ですが邪神召喚者と呪詛を行うUDCが完全に手を組んでいるのかは不明です。調査を急ぐべきではないですか?」
『そう慌てるでないぞ響よ……奴らは既に袋のネズミよ、じっくりと調理して行けば良い』
退く様子の無い黒の女王に、響は一つ息を吐き出す。
「そうですね、情報の共有のためにしばらくしたら出ますけれど……それまで暫し楽しみましょうか」
『それが良い。一人が一度にできることに限りがある以上、焦っても無意味じゃ……何より、妾は折角の湯を楽しまないなどという損をお前にさせたくはないからの』
黒の女王が退かぬ理由も、結局は契約対象のためなのだ。響は見取り図を湯船の外に置き、彼女の誘いに乗るように上半身を深く湯の中に沈めた。
成功
🔵🔵🔴
最上・空
温泉目当てに美幼女が駆け付けましたよ!
犯人は現場に戻ると言いますし、空は温泉を調査です!
決して単純に温泉に入りたい訳ではないですからね!
何か隠すならお湯の中が一番怪しそうなので、そこを中心に探りつつ、お湯に入ったり体を洗ったりせず、不審な動きをしている人が居ないか周囲を確認して、居る場合は密かに【影の追跡者の召喚】で尾行です!
召喚者っぽい感じでしたら、感づかれないように尾行して、人気の無い場所とかで確保して尋問ですかね!
ちなみに、怪しい物体とか儀式関係の物を見付けたら、ネオンさん&UDC職員さんに連絡、可能なら人払いして貰った後で破壊なり確保して無力化したい所ですね。
※アドリブ&まとめご自由に
「おっんせっん♪おっんせっん♪」
楽しげに女湯に浸かっているのは最上・空である。彼女は何の憂いもなさそうなそぶりをしながら、女湯の内部と不審な人物の捜索をしていた。
「お湯の中には何かありませんかね~」
ちゃぷちゃぷと湯に手を突っ込む様子は、子供ならではの好奇心だとその他の客からは受け取られている。目を離した隙に溺れるほど小さい子でもないためか、居合わせた女性立による心配による視線はあるものの、行動が阻害されるほどではない。
「ふぅむ……何にも見つかりませんね~。女湯は特になし、というのを成果に……おや?」
空は脱衣所付近に人影を見つける。よく見ると従業員の制服を着ているのだが、掃除の時間でもなく、誰かを呼ぶでもなく去ろうとするその姿に違和感を覚えて即座に影の追跡者を召喚しその人物を尾行させた。
空本人は温泉の中にお行儀よく座っている状態のまま、影の追跡者の方に五感を集中させる。従業員らしき人物は、男湯と女湯の入り口手前に向かい、そしてその近くにある扉を開けた。
掃除道具系の備品を置く物置にも見えるが、奥にさらに扉がある。そこを開けると……温泉の湯量等の調整に使うのであろうバルブや機器が壁面に並ぶなか、床になにがしかの魔法陣がえがかれている。
(これは、ビンゴというやつでは
……?!)
空は一瞬身構えたが、違和感に気づく。その魔法陣は既に完成している。生贄代わりであろう蛙や虫がすでに中央に捧げられ、しかもそれは朽ちかけている。
従業員らしき人物は、さらに奥の扉に向かう……そこをあけると、みっしりとなにかがつまっていた。
――少々長くなるため、空が見た物は割愛しよう。
召喚をもくろむ者とUDCのやりとりを目にした空は、影の追跡者を消して頭を押さえた。
「うう……」
一先ず彼女の得た情報としては、脱衣所近くの物とその奥の管理室は事件の発端である群れのUDCにつながる道だという事。
召喚者は何かの拍子に召喚されたオブリビオンを制御するための魔法陣を敷くことで、彼らに呪詛の能力を与えて命令権を得たという事。
そして、彼らを利用して自身の儀式を成功させようとしているという事の3点だった。
(本命の儀式は別の場所……だとしても、オブリビオンが詰め込まれた部屋の近くは人払いをしておきたいですね……ネオンさんはグリモアベースに戻っていて、UDC職員さんは今は退避してますけれど連絡は出来たはず……)
「お嬢ちゃん、大丈夫?」
空が顔をあげると、頭を押さえたままだった空のことを、一緒に入っていた女性たちが心配していた。
「湯あたりかねぇ……お部屋に戻れる?」
「ええと……(ちょっと申し訳ないですけど、この人達をこの場から退避させることは出来ますね)……ふらふら、するかもです」
空の言葉をうけて、長期滞在者であろう老婦人と中年女性が空を連れ出す。
彼女たちに自室に送ってもらいながら、空は他の猟兵にも今の事を伝えなければと見た物の内容を頭の中でまとめていた。
成功
🔵🔵🔴
ケイス・アマクサ
「やり口が悪質というか姑息というか……UDC関連は、いつものことながら腹立つやり方しやがる」
【行動】
ナミル(f00003)と同行
まぁまずは、べただが怪しげな人物が居ないかどうかの聞き込みと、何か怪しげな場所の調査だな。
いちいちしらみつぶしってわけにもいかねぇし、この際だからナミルの策にのっかるとしよう。
というわけで、ナミルが大雑把にでも場所を把握できりゃぁ、その場所の細かい部分の調査や聞き込みは俺がするぜ。
で、儀式の現場が上手く見つけられれば、他への連絡なり魔法陣の破壊等の儀式の妨害なりを行う。
「やり方どうのって問題じゃねぇのは分かってるが……人を利用するようなやり方は気に入らねぇんだよ」
ナミル・タグイール
ケイスと同行(f01273)
もっと楽しみたいにゃー!お酒のみたいにゃー!(呪われ猫)
【呪詛】関係は任せろデスにゃ!呪われ慣れてるからにゃ!
呪いが強い方にフラフラ寄って行けば呪いのもとにたどり着かないかにゃ。
【野生の勘】と【呪詛】の感覚を頼ってウロウロするにゃ。
遊びたいにゃー温泉気持ちよさそうにゃー…
誘惑なんかに負けたりなんてしない!にゃ(呪詛耐性は0)
原因の人とか魔法陣を見つけたらお仕置きにゃー!破壊にゃー!
儀式止めないと呪いの斧でザックリしちゃうにゃ?
呪いを上書き…とかも面白そうだけど変なこと起きそうだしにゃ。我慢にゃ。
五百雀・斗真
WIZ
…すでに魔法陣は張られていて、建物に残る人々を生贄にするってことは
召喚者は屋外にいる可能性あり…かなぁ?
うーん…屋外で建物の様子を見れそうな所というと、庭園…が怪しそう?
ちょっと気になってきたし、行ってみよう
庭園でお弁当食べてワイワイしたし、多分ゴミとかも出てるよね
よし、仲居さんに後片付けを手伝いますって伝えて
従業員の格好を借りて、後片付けをしながらもう一度庭園内を調べてみよう
不審な所や気になる人物がいないか探すけれど、見つかるかな…?
あ、そうだ
庭園に来てた人達や景色をカメラで撮ってたし
これも確認しておいた方がいいかもだね
で、気になる人物がいたら【影の追跡者の召喚】で追跡しておこう
酔いをさましたナミル・タグイールと、ケイス・アマクサは、先に調査を行っていた猟兵達から情報を得てから捜査を開始した。
「しっかし、やり口が悪質というか姑息というか……UDC関連は、いつものことながら腹立つやり方しやがる」
「やっぱりケイスは真面目だにゃー」
「どうしてもな……やり方どうのって問題じゃねぇのは分かってるが……人を利用するようなやり方は気に入らねぇんだよ」
「特に、呪いは基本悪質デスからにゃ。でも、ここは呪われ慣れてるナミルに任せるにゃ!呪いの感覚が強いとこを探せば結果的にそんな感じのものが見つかるはずデスにゃー」
胸を張って、先を行こうとするナミルの手にある酒瓶をケイスがとりあげる。
「おう、任せるが酒瓶は置いてくぞ」
「そんにゃーっ?!もっと楽しみたいにゃー!お酒のみたいにゃー!温泉入って花見酒にゃー!」
「思いっきり影響受けてるじゃねえか?!」
「ハッ……だ、大丈夫にゃ……誘惑なんかに負けたりなんてしない!にゃ」
ナミルの様子に、ケイスは自らの役割を理解する。ナミルが関係ない部分への誘惑に乗るのを抑えつつ、彼女の言う呪いの感覚で目当てを探さなければならない。
「まずはこう、キッチンとか……お料理……広間でお食事してる人……ゴハンにゃー!」
「早速関係ない欲求が混じってるだろ?!」
「ちゃんと呪いの気配もあるデスにゃ!……けど、もっと強い方向もあるにゃ」
「よし、関係ないコトしないように別の方行くぞ」
ナミルを夕食の準備をしている方向から引っ張るケイス。ナミルもしぶしぶ、彼女なりに呪いを強く感じる方向に足を運ぶ。
「一番強いのはやっぱ温泉側か?」
「デスにゃ。けどそっちは群れのいる場所ってタネが割れてるから……温泉……」
「事件解決してから入ればいいだろが」
「わかってるけど楽しみたい気持ちは滅茶苦茶あるにゃー」
言いながらも、きちんとナミルは呪いの気配の強まる方向に足を向ける。
「こっちは昼に花見した庭園か……お、従業員かな。ちっと俺が聞き込みしてくるぜ」
ケイスは箒を持った従業員制服の男に近づき、声を掛けた。
「おい、アンタ……ってあ」
「ああ、どうも。たしか、ケイスさんでしたっけ?」
「そうだ。アンタは斗真だったな、昼ぶりだな!」
ケイスが声をかけた男性は、五百雀・斗真であった。乳白色の髪の上から頭を掻いて、斗真は微笑む。
「調べる場所が被ってしまったみたいですね」
「にゃっ?あ、写真撮ってた人にゃ!」
「五百雀・斗真です……ええと、一応ざっと見て回るつもりだったんだけど、手分けしますか?」
「その方が良いかもな。けどなんでそんな恰好なんだ?」
斗真の服を指して言ったケイスに、彼は一つ頷いてから答えた。
「屋外で建物の様子を見れそうな所に召喚者がいるかなと思って……それで庭園を調べようと思ったんですけれど、僕たちの片付けはバタバタしてたからゴミとか残ってるかもしれないとも思って。それで後片付けの手伝いも兼ねるために、従業員の制服を借りてきたんです」
「はぁー……確かに呪詛の影響に気もそぞろだったし、UDC職員に呼ばれたしで掃除はしっかりはしてなかったかもな」
「ケイスさん達はなぜこっちに?」
首をかしげた斗真に、ナミルが答える。
「ナミルたちは呪いの感覚が強いとこ探しに来たデスにゃ」
「ナミルは呪詛関連に慣れているからな」
「それなら、庭園の中の探索は少しお任せしてもいいですか?片付けのほうも気になっちゃって」
「ああ、じゃあそっち頼む。互いに明かりはもってるな?なんかあったら、すぐ集合な」
そう言ってから、ナミルとケイスは庭園の中を進んでいった。花に気が逸れそうになっては軌道修正する彼らを見送ってから、斗真は猟兵達が花見に使ったあたりに向かった。
目印となるものが無くてもそこに向かえたのは、斗真が昼に写真を撮りながら庭園の様子を観察していたからだ。木の様子や、植えてある物の配置を覚えていなければそこには到達できなかっただろう。そう言えるほどきれいに、全てが掃除されていた。
「……おかしい」
そう、疑問を持っても仕方がないほどに人の痕跡がなくなっていた。斗真は、ここに来る直前の記憶を詳細に引き出す。
掃除を手伝いたいと申し出た時、居合わせた従業員のほぼすべてが「そういえば庭園の掃除をした記憶がない」と言っていた。互いに、誰かがやるだろうと任せてしまったのだろうか?と不安になる彼らに、変なものが残ってたら伝えると約束して斗真はここに来たのだ。
「なのに、何もない……あれだけ人がいて、誰も覚えがないのに備品もゴミも回収されてる」
あの場に居ない誰かが掃除した、という事で片付けてもいいが……不安になって、斗真は聞いていたゴミ捨て場に向かう。
庭園用の備品倉庫と隣り合っているゴミ捨て場に、ゴミ袋は一つも残っていない。嫌な予感に駆り立てられて、倉庫の中に入る。客に貸し出されていたブルーシートは、一枚たりともそこに無かった。
「これは伝えた方が良いか――っ?!」
足音を感じて、急いで身を隠す。高く歪な、合成されたような声色が喋りあっているのが聞こえる……明らかに、その声色は人の物ではない。UDCだろう。
「オソうジ、オわッたー。ぜーんぶキレいー♪」
「キレイ、キれイー。シゼンのモノと、しょウかンのモノいがイ、ゼンブー♪」
斗真は彼等のいう掃除で、残っていたものがすべて排除されたのだと理解した。呪詛耐性で彼等の声に堪えながら、斗真は影の追跡者をUDCのあとにつける。人の姿に被り物だけしたようなそれらが庭園から出たのを見届けてから、斗真は庭園の中の方へと駆けた。
ケイスのもつであろうライトの明かりが見つけられず、不安に駆られながら走っていると、不意に木の影から斗真に手が伸びた。
「うわっ?!」
「シーッ!俺だ、ケイスだ」
「ナミルもいるにゃ!斗真、ヘンなのとは鉢合わせなかったにゃ?」
「僕は大丈夫……けど、UDCが通り過ぎて行ったから、二人が大丈夫かと不安で……あ、みつけたのが出て行ったのは影の追跡者で確認したよ」
「じゃ、もう灯りをつけても大丈夫だな」
ケイスが消していたライトをつける。
「俺達も、アレを見つけたんだ。で、今戦闘に入るとまずいと思って隠れてたんだよ……ナミル?なんかせわしないけどどうした?」
ケイスはナミルに声を掛ける。ナミルは耳を動かしながらキョロキョロと辺りを見回していたのだが、やがて考えがまとまったのか耳と尻尾をピンと立てた。
「……みつけたやつら全部出てっても呪いの気配がある……やっぱり、庭園に召喚用のなんかがあるはずデスにゃ!」
「UDCが通り過ぎる時、自然の物と召喚の物以外全部を掃除したって言ってたから、メインの召喚に必要なものが隠されてるのかもっていうのに同意するよ」
「よっし、じゃあそれ探してぶっ壊すぞ。ナミル、場所わかるな?」
「コッチにゃ!」
駆けだすナミルの後を追うケイスと斗真。彼女は外縁付近に植えられた大きな木の根元にしゃがみこみ、その根元にある石をどかそうとする。
「この下に仕込まれてる感じがあるけど、ちょっと重いデスにゃ」
「大丈夫?僕がやろうか?」
「いや、俺が壊す。ちょっと退いてくれたら、基礎の積み重ねのヤバさってモンを見せてやるよ」
ケイスは二人が一歩下がったのを確認し、取り出した拳銃で目にもとまらぬ速射を披露する。崩れた石の下、銃弾で砕かれた石でも消えなかった紋章のようなものが、嫌悪感を催す歪な光を零している。
「……明らかにまずいやつだ」
「デスにゃ。けど、呪詛はナミルのお手の物にゃ。このぐらいなら壊すだけじゃなくて上書きだってできちゃうデスにゃ!さーて、破壊にゃー!」
ナミルの黄金の爪が、呪いに満ちた紋章に突き刺さりその光を奪う。それまで猟兵達でさえ気づいてなかった、空気に張った糸のようなものがぷちりと切れて落ちたような感覚がした。
「これで、阻止できたんですか?」
「ひとまずってトコかにゃー?術者がいる限り同じの作られないとも限らにゃいデスにゃー」
「一旦戻るか?他にも猟兵はいたはずだ。何か成果を得てるかもしれないぜ」
ケイスの言葉に、ナミルと斗真が頷く。他の猟兵の成果に期待して、彼らは寒い春先の夜空を残し、館内へと足を向けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
フェレス・エルラーブンダ
【SPD】
ぴかぴか(ライカ:f04688)と
私は『相手に気付かれぬまま盗る』手口にしか長けていない
傷つけることだって襲いかかられたときだけ
誰かを脅したりすることには慣れてない
言ってから気付く
おんなは別に盗んだり傷つけたりしなくてもいいやつかもしれない
ええと
だから、その
……猟兵は『せいぎのみかた』なんだろう
だから
なるべく自分たちの足で探すのがいいんじゃないか
恐る恐る見上げたなら、おんなはどんな顔をしているだろう
なぜ、こいつに『どう思われているか』を、気にしているのだろう
人が多く集まる場所に紛れ込んでいるんじゃないか
たべものがあるところとか
大広間とか
人を繋ぎ止める役割を担っているんだろう、そいつは
ライカ・モンジ
フェレっちゃん(f00338)と
期待と「どうする?」の視線には頼れるお姉さんキャラで応えなきゃね
いいね〜ソレナイス意見♡人も多そうな新館の調査行こっか!…潜入捜査で♡(従業員服着用
空の報告で従業員に何人か怪しいの混ざってるげなのは分かったし、
フェレっちゃんの【野生のカン】にも頼りつつ、客・従業員問わず【情報収集】で手当たり次第聞き込み調査
マズった時は記憶消去銃もあるしね♡
【催眠術】【誘惑】も適宜使用、シロの一般人はガンガン口車に乗せて避難誘導〜!
ビンゴの従業員に出会う場面があったらフェレっちゃん共々クリスタライズで透明になって【追跡】したり“平和的”な力技で未然に自己を防いだり?♡
アドリブ歓迎
庭園側の猟兵達が調査していた頃、ライカ・モンジとフェレス・エルラーブンダも調査に動こうとしていた。
「フェレっちゃんはどんな感じで調べたい?」
「……そう、言われても……私の長けるのは気付かれないまま盗るだけで、脅したり、傷つけたりはなれてない……っぁ、ぁあ、ええと」
口に出してしまってから、フェレスはライカが強硬手段を選ぶタイプではないかもしれないと思い至る。そうであれば、今のはライカが暴力に訴える事を決めつけた失言になるのではないか?と、感じたフェレスはなんとか次の言葉につなげようとする。
「だから、その……猟兵は『せいぎのみかた』なんだろう?だから、なるべく自分たちの足で探すのがいいんじゃないか?」
おそるおそる見上げたフェレスに、ライカはにっこりと笑顔を返す。人の警戒心を解く、いつもの笑顔にほっとしてフェレスは考えを口にする。
「人が多く集まる場所に、紛れ込んでいるんじゃないか?たべものがあるところとか、大広間とか……人を繋ぎ止める役割を担ってるんだろう、そいつは」
この考えは、フェレスなりに悪くないと思える。とはいえ調査が得意とは言えない自覚があるため、ライカがどうするかだが……ライカは首を縦に振った。
「いいね~ソレ♪フェレっちゃん、ナイス意見!」
「そうか。大丈夫そうならよかった」
「折角なら潜入調査にしちゃおっか?裏方に紛れちゃってたらお客の立場じゃ見つかんないし?従業員服を二人で借りて~、そんで新館の調査ってカンジで♪」
ライカの出す具体的な内容に、フェレスも頷く。
「決まりね♪あ、服とかの場所はUDCの職員がいったん退避する前に聞いておいたから安心して」
「……時間的にはけっこう前だったと思うが、その時からやりようをかんがえてたのか?」
「んー、必要そうな情報は確保しとけって聞いてあったカンジ?ささっ、お着替えしてレッツ潜入調査~♪」
更衣室で従業員制服に身を包んだライカとフェレスは、かくして新館の大広間へと向かった。
大型の宴会を行う者がいないため、今夜は夕食を取るための食堂として開かれているようだ。従業員がせわしなく動き回り、いくつかの家族連れや、単身の客が食事を取っているのを彼女たちはざっと眺めた。
「フェレっちゃん?」
ライカの耳打ちに、フェレスは首をかしげる。
「どうした」
「なんかこう、ピンとくる怪しいやつとかいない?こーゆー直感部分ってフェレっちゃんのが鋭いと思うんだよね~」
「言ってもいいが、勘だぞ?」
「うん、アタシはそのカンが欲しいの♪とっかかりが無いと困っちゃうからね」
「……なら、あんな感じで気にしてる連中とかか」
そういって、フェレスは窓の方に視線を送る数名をささっと指差して示す。
フェレスの勘を、ライカなりに分析する。この場で普通注意が向くのは食事や、同席する人々。ぼーっとしているだけにしても、電波が通じないわけではないので携帯電話やスマホの類を持つ人もいる。そういったものではなく、窓の外の景色に注意を向けているのは確かにこの場所では少々おかしいかもしれない。
「イケそうな気する!ちょっと今さしてくれた人らに聞き込みいってこよっか♪」
そうして、二人して窓際で固まる従業員の方に向かう。他のちらちらと窓を確認する人々よりも、怪しさで言えば強かった。
「あのぉ~?ダイジョブですかー?」
「えっ?! あ、はい?何?」
「ずっと外見てるけど、なにがあった?」
ライカとフェレスの言葉に一瞬苦い顔をしたものの、その従業員はすぐに取り繕って何でもないと誤魔化しに入る。皿洗いを手伝うようにと言い渡されたライカとフェレスは一旦ひきながらも確信していた。
「絶対、あれだ」
「今個別に対応するには人が多いケド、なんか焦ってるっぽいからしばらくしたら離れると思う……そこ狙っちゃおっか♪」
「それまでどうする?」
「そこはお姉さんの腕の見せ所よ!おいで、しばらく姿を消しましょ」
ライカはフェレスをぎゅっと抱きしめ、クリスタライズで姿を消す。
説明を求めるフェレスには姿だけが消えるユーベルコードだから静かにと伝え、目的の従業員が大広間から出てきたのを見計らいその状態で後を追った。
「外に出てるのが居たのは気づいたけど、まさか壊されるなんて」
誰も聞いていないと思ったのか、不慮の出来事があったことを声に出す従業員……最早、邪神召喚をもくろむ狂信者と断言してよいだろう。
彼女は夜間勤務用の休憩室と思われる場所に早足で駆け込み、大きな荷物を開ける。手に持つのは切り分けられた羊皮紙に描きこまれた不気味な紋章。
「再構築にまたいろいろ必要じゃない
……!!」
独り言と怒りに夢中で、後方で小さく声が交わされたのに気付かなかった狂信者はその手から羊皮紙を奪い取られる。
「なっ」
「気付かれずに盗る手口には、長けてる」
フェレスの登場と、音も無い簒奪に目を丸くする狂信者。その両腕が、後ろ手に回され捕縛された。
「ヤッホー♪ちょーっと、平和的なお話し合いをしたかったんだけど……もう必要なさそうだから、ちょっと寝ててもらうわね?」
ライカはそう言って、狂信者を強めの催眠術をかける。意識を手放した狂信者を見てライカとフェレスは頷きあった。
「……猟兵で一旦集まろっか。人の避難もしてもらいたいし、UDC職員も呼ばなきゃね」
「わかった。こいつは?」
「連れてく~見張りはUDCの職員達に任せちゃいましょ♪」
こうして、儀式は阻止された。儀式の準備は壊され、執行する召喚者も無力化した。
……だが、この宿のすべての問題が解決したわけではない。最後の戦いのために、ライカとフェレスは猟兵達の取った部屋へと戻っていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 集団戦
『ゴシゴシアヒル隊』
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POW : 大型ゴミ対応モード!
【超酸性の泡を付けたブラシ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 有機汚れ対策アヒルちゃん
レベル×5本の【超強力分解酵素を含ませた、追跡】属性の【アヒルちゃんスポンジ20匹】を放つ。
WIZ : 記憶お掃除アヒルちゃん
【混乱】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【BIGサイズアヒルちゃん水鉄砲】から、高命中力の【記憶を洗い流す水】を飛ばす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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UDC職員へと連絡を取り、彼らが客への避難に関して工作を行っている間に猟兵達は調査の疲労を回復させた。
職員達から、戦闘の現場となるであろう温泉付近と、念のためより近い旧館全体を点検と言うカバーストーリーで立ち入り禁止とした事を告げられる頃には、各々戦闘の準備を整えていた。
猟兵達は、大浴場の脱衣所手前にある扉の中に足を踏み入れる。倉庫内も十分な広さはある。戦闘時はここまで下がってしまってもいいだろう。
もう一枚先の扉に入る。広さは十分だ。計器類の存在と、温泉用のパイプが気になるがここで戦う事も十分に可能だろう。と猟兵達は判断した。そして、UDCと戦うためにも、そこにあった魔法陣を掃除する。
床に描かれたものと、ささげられていた虫と両生類の死骸を片付けて数分……さらに奥の扉が音を立てて開く。掃除用具を抱えた、アヒルの被り物をした人のようなものが、ぞくぞくと狭い扉から湧いて出てくる。
「オそウジ!」
「りょウへい!おそウじ!」
「ボクたちアヒルさン!おソうじ屋サン!ゴシゴシ!」
加工されたような、耳につく高音。制御用の魔法陣を失った事で、彼らの声から夕刻と調査中に感じた呪詛の力は弱まっている。
しかし、だからといって危険性が無いわけではない。中身のない事をしゃべる人のようなものの群れは、迷うことなく猟兵達に大きなブラシを振りかぶり襲い掛かってきた。
神原・響
さて、花見と温泉の分きっちり働くとしましょう。姫様、背中は任せます!
二丁拳銃に聖言刻印弾を装填、アヒルたちの頭を正確に狙撃していきます。
銃を撃ちつつ黒鉄刀を放ち、敵を盾にしながら自分に有利な地形を戦場知識で作っていきましょう。
水鉄砲の攻撃は第六感で見切り、黒剣で防ぎます。また、影の茨を使って相手の体を掴みバランスを崩させ攻撃を外させましょう。
最上・空
温泉宿を護りに美幼女が参上です!
顔だけアヒルですか、キマイラフューチャーの怪人を彷彿とさせますね。でも、マグロやアルパカと違い服を着てる分だけマシですかね?
広さはあるらしいですが、室内ですし計器とかパイプも気になるので、「属性攻撃8」&「衝撃波13」で全身に氷を浴びせ、動きを封じてみます。
攻撃方法が液体中心らしいので、ブラシや掃除道具に付着した液体を巻き込んで、武器ごと凍ってくれると一石二鳥ですね!
動きが鈍ったら【サモニング・ガイスト】の【槍】でブラシや掃除道具を中心に貫き薙ぎ払って行きます!
全体的に倒すより攻撃手段を奪って、施設や設備への損傷を抑える感じですね!
※アドリブ&まとめご自由に
五百雀・斗真
WIZ
会った時は掃除が好きなUDCなのかなって思ってたんだけど
ヘビーな映画で聞く掃除屋もやるのかな、このアヒルさん達は
嗚呼…可愛いスリッパはいてるな…と思ったら血がついてる…ヤバイ
キレイにお掃除されないように頑張ろう
敵の攻撃に翻弄されないように気をつけつつ
『薄墨色の守護』でUDCの大田さんに攻撃を防いで貰いながら
【グラフィティスプラッシュ】で攻撃し
自分の戦闘力を高める足場を作っていく
あ…お掃除が好きなら、塗りつぶした所を掃除したくなったりしないかな…?
もし掃除を始めたら、隙をみて水鉄砲を奪って遠くの方へ投げ飛ばしたい
…掃除は大事だよね
戦闘が終わったら、僕も指を鳴らして塗料が残らないようにしよう
「うわ……」
UDCの姿を見て、最初に反応したのは五百雀・斗真だった。庭園で声をきいた時、それを影の追跡者に追わせたときは気づかなかったが、敵対する群れの足元が血で染まっているのを発見してしまったのだ。
「かわいいスリッパをはいているなと思ったんだけど……血がついててヤバイ」
「見た目はキマイラフューチャーの怪人を思い起こさせますね。服をちゃんと来てるだけマシですが、血濡れで現れているあたりオブリビオンになる前からあまり良い方々ではなさそうです」
最上・空は斗真の話に合わせ頷きながらも、UDC達をどう封じるか考え、そして結論を出す。
「みなさん、空は敵の動きを封じる方向で行きます!行動開始ですよ!」
「わかりました!」
「私も、花見と温泉の分きっちり働くとしましょう。姫様、背中は任せます!」
『勿論、存分にもてなしてやろう』
空の声に斗真と、神原・響ならびに黒の女王が応えた。
最初に動いたのは空である。魔法によって、氷の属性を含ませた衝撃波をアヒル頭の群れに叩きつける!
衝撃によって、猟兵側に突出した一体が洗剤らしきものをぶちまけながら転倒!床に広がる洗剤が凍り付き、スリッパを取られるUDC達。スリッパを脱いでゆこうとするも、今度は素足に氷が張りつくため、彼らの動きが大幅に鈍る!
空の行動と並行して、斗真は床に戦闘力を高める足場を作るためにユーベルコードによっての塗料で床をぬりつぶしてゆく。斗真の動きに気づいたうちの一体が、身動きがとりづらいながらに掃除の対象と見たのか大きなアヒル型水鉄砲を召喚!だが、放水より前に黒の女王による茨によって姿勢を崩し転倒!さらに空が召喚した古代戦士の霊によって、召喚された水鉄砲のみならずUDC達の持つブラシが薙ぎ払われてゆく!
「行動の阻害、感謝します。空さん、頭を低く伏せてください!」
「はい!」
一歩手前に出ていた空が素直に姿勢を低くすると同時、後方の響が二丁拳銃でアヒルの頭を精確に狙い撃つ!
聖言のこもった銃弾がアヒルの掃除屋の頭を撃ち抜くたびに、彼等はこの世界との結合力を失ったかのように武器や肉体ごと消滅してゆく!
響の二丁拳銃のリロードの隙を埋めるように、斗真も塗った塗料を踏めるギリギリまで前に出て、契約UDCである大田さんが最も前に出て来ていたアヒル頭のUDCをぶんなぐる!
最初はボディに一撃入れたが、効いていないようなので頭部にもう一撃入れてみると塗料による戦闘力アップも相俟ってか、響の銃弾で撃たれた時と同様にUDCが退去してゆく!
「どうも頭部が弱点みたいだ」
「私は単純に人体の弱点を狙いましたが……今のを見る限り、頭が本体と思った方が良いですね。リロード完了、斗真さんもいったん下がって」
「はい!」
『無論、響の攻撃だけには任せぬぞ!』
黒の女王はそう言い放ち、8本の剣を展開!それぞれを響が狙うのと同様にアヒル頭の頭部に突き立て消滅させてゆく!
ここでわずかに戦況が変わる。銃撃、剣、UDCによる打撃という力の連鎖によりつかえていた前が消えたため、奥の扉からさらにアヒル頭のUDC達が猟兵のいる部屋まで乗り込んできたのだ!
後ろから押され、何体かのアヒル頭達がつんのめって倒れ伏す……おぞましい事に、UDCたちは倒れた者を踏みしめながら凍った床を回避して猟兵達に向かってきだした!
「ちょっとまずそうです!」
言いながら響と斗真の後ろに下がる空。古代戦士の霊と黒の女王は引き続き敵の機動力と戦闘力を削いでいるが、踏まれているUDCが、床に張った氷から後続を護るマットと化してしまっている。
なにより、途切れる事無いこの様子を見るに恐らく最初の運が良かったのだろう。徐々に部屋の中のUDC占有率が高まってきている。
「むぅ……再度氷漬けにしてやりたくても数が」
「かといって、退避しながらというのも少し難しそうですね」
先ほどと同様、斗真と前線を交代しつつ、響がちらりと後方を見遣る。物置まで下がっても問題なく戦闘は行える。だが湧いてくるUDCを何とかしなければ物置でも最初だけ足止めしてあとは流れ込まれるという再現を行うだけになりそうだ。
「ちょっと考えがあるんだけど、いい?あの扉を一旦封鎖したい。具体的には……」
各々の攻撃を続けながらも、空と響は斗真の考えを聞いて賛同を示す。彼らの首が縦に振られたのを見て、斗真は再びグラフィティスプラッシュを発動し……UDCが湧いてくる奥側に向けてユーベルコードの染料を噴射した!
塗料が命中しもがく者もいるが、殆どのUDCは新規の汚れに注意が向き足が止まる。それを見計らい、古代戦士の霊が奥側への扉を閉ざす!さらに、UDCのうち数体が汚れを洗い流すために洗剤や水を用意したのを、黒の女王が影の茨で奪い取って扉にぶちまける!
「ここでもう一回、ですね!」
濡れた扉に向け、空の氷属性の衝撃波が炸裂!初回もそうだったように、濡れた場所が冷え冷えとした氷に覆われる……この部屋へのUDCの新規投入を一旦防ぐことに成功したのだ!
「あとは、ここに居る連中の掃除ですか」
『掃除夫どもを掃除とは、洒落が効いておる』
「僕たちがキレイにお掃除されないように、頑張ろう」
「もちろんです!」
猟兵達はそれぞれの攻撃が当たらないように、部屋の中に散る。
「近づいてくるなら、容赦しないよ」
普段のんびりと穏やかな彼の、少し物騒な言葉通りに塗料の陣地に入ってきたものは斗真と大田さんによってスプレー染料と打撃で消失してゆく!掃除を優先して大きなアヒル型水鉄砲を召喚されたときは、大田さんで水鉄砲を奪って別の猟兵に向かうものへの牽制武器として投げつけていった。
壁際に居る空を狙うUDCにアヒル型の水鉄砲が叩きつけられることで、空はそちらに気付く。味方の武器でダメージを負ったUDCに、空は留めとばかりに氷の属性で攻撃を放つ!
「ありがとうございます!」
混戦の中での危機を回避したため礼を言い、引き続き空は自身の方に向かうUDCに対処する。
寒いのか温泉のパイプに近寄ろうとするものは、空と古代戦士の霊によって衝撃波と槍にて対応されていた。また、空と古代戦士の霊に関しては壁際の計器やパイプを護るように動いているため、遠距離攻撃を選択したらしきUDCの武器を叩き落すことも忘れていない。
残りのUDCは、響と黒の女王が遊撃手となり一体一体撃破してゆく。銃撃のみならず、回収可能な短刀による投擲を織り交ぜることで不意を突き、さらには敵を捕まえ盾にすることで、より良い位置に陣取り戦場内で常に有利な地形を発見し利用してゆく……やがて、アヒルの痕跡がなくなった部屋に溶けかけの氷と塗られた染料だけがのこった。
「はぁ……一旦殲滅し終ったみたいだね」
「……空には、奥を覗く気力は余ってないかもしれません」
『うむ、先鋒としては十分じゃ。妾たちは一旦退き、続きとトドメは他の連中に任せてしまうのが良かろう』
黒の女王の言葉にその場の全員が頷く。
「塗ったのだけちょっと片付けるね、えい」
パチンと斗真が指を鳴らすと、ユーベルコード製の塗料だったのだろうか床や壁に散った彼の塗料がスッと消えた。
「では、退きましょう。掃除道具を片付けていた方々と交代です」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ライカ・モンジ
フェレっちゃん(f00338)と
お手柄を讃え合う前にもう一仕事ってね〜!
2度目のコンビ戦はダテじゃないって見せ付けてやろ♡
中〜後衛からフェレスの援護
一見只のお掃除モップみたいなmopping headを喚び寄せ敵に向け一斉掃射
お掃除ってんならアタシらだって負けてないわよ〜!のっけから真の姿解放しちゃう
数いる敵ならチームワークでまとめてお片付けがイチバン
brinicleを檻状に展開して囲い込み追撃したりフェレスにチャンスを作ったり
こんな頼れるお姉さんに背中預けてんだから安心して暴れて来てね♡
前みたいに無茶したり庇ったりはナシだからね!
彼女のピンチな場面は作らせないしアタシが捻り潰す♡
アドリブ歓迎
フェレス・エルラーブンダ
ぴかぴか(ライカ:f04688)と
なんだこいつら
そのふざけた顔を横殴りにしてやる
前衛にて従業員制服を脱ぎ捨て常の姿に立ち戻り
シーブズギャンビット、棘檻を主軸に攻撃
いつでも湯に浸かれるのはいい
花も……まあ、わるくなかった
根刮ぎ奪うのはあほうのすることだぞ
ひとから奪っていいのは自分が命をつなぐぶんだけだ
前はおんなを庇ってけがをした
それはたぶん、おんなを守りたかったから
でも、
……ライカ!
短剣で軌道を逸らしたスポンジが後ろに飛ぶ
けれど、振り返る事なくただ一度だけ名を呼んだ
それで理解するだろうと、少しの信頼を寄せて
おんなが作り出してくれた隙を狙いアヒル頭の懐に潜り込む
ばかめ
おまえの目の前にいるのは、私だ
ナミル・タグイール
ケイスと同行
何のためにこんな奴ら召喚したにゃ…?
シュールな見た目の割にやってることがエグいにゃ!
金ぴか溶かされないように泡を超警戒デスにゃ!
・行動
泡怖いにゃ近づきたくないにゃ。30cm以内は絶対行かないにゃ!
ケイスがんばれデスにゃ!援護はするにゃー!
【呪紫煌金の光】で遠くから攻撃するにゃ。ナミルは離れめ安全第一にゃ。
周りにペンデュラムを浮かせてそこからビーム!にゃ。切断光線にゃー!
ナミルがやばくなったら目からもビーム!にゃ!
にゃーケイスの毛皮がシュワシュワしてるにゃ。つらそうにゃー。
ヤバイ攻撃は潰してあげるからフレーフレーにゃ。
ケイス・アマクサ
「うわー…なんだこれ、なんだこれ!」
【行動】
・ナミル・ダグイール(f00003)と同行(他絡み等は歓迎!)
今回は前衛。手持ちの苦無と拳銃を用いて動きを止めずに攻撃を行う。
援護はナミルや他の連中にお任せだな!
「目から……ビームだと……?」
とにかく足を止めずに攻撃。
何も考えるな、アヒルを撃て!って感じでな!
【暗殺】とかも狙っていければ。あるいは、【暗殺】の要領で素早くダメージを与えるようなことが出来れば、狙っていきたいところ。
また、囲まれるようなことになれば、【人狼咆哮】でまとめてダメージを与え、状況の打開を狙うぜ。
「見てくれは気の抜けるやつらだが…やってることがやべーよ!俺の自慢の毛が!毛が!」
先に交戦した面々から情報を得て、互いの戦法についての情報交換と軽い作戦を立てた後。倉庫側にいた4名の猟兵が入れ替わりで事件に終止符を打つべく乗り込んだ。
張っていた氷は解けつつあり、UDCの出現する扉と化している奥側の扉はガタガタと大きくゆすられている。
「ダしテ!だしテ!」
「おそウジすル!」
「リョうへイ!おソうジ!!」
耳鳴りを引き起こすような声とともに、バキリと溶けかけの氷が割れて扉があく。そして、UDC達が再び猟兵の前に排出されだした。
「見た目は気の抜けるやつらだな」
「たしかに、庭でもチラ見はしたけどシュールって感じデスにゃ。何のためにこんな奴ら召喚したにゃ……?」
「あほうのすることはわからない」
「いずれにせよ、お手柄を讃え合う前にもう一仕事ってね~♪さ、やりましょうか」
そう言いながら、ライカ・モンジは真の姿をあらわす。髪を解き、それを内から輝かせる光を放つライカは初見ならば神々しく見える者も多いだろう……が、ちょっと光ったなと思いはしたが特段真の姿に対して思うところを出さぬまま、フェレス・エルラーブンダは従業員服を脱ぎすて、仲間に声を掛けつつ前に走る。
「ぴかぴかときんぴかはうしろだったな!おまえ、まえに出るんだろう。いくぞ、あのふざけた顔を横殴りにしてやる」
「おう!ナミル、ライカ!援護頼むぜ!!」
フェレスに続くように、ケイス・アマクサも前衛となるべく敵に突入して行く。
UDCのうち一体が、向かう彼らに威嚇するように先ほどまではほぼ完封されていた泡のついたブラシを振る。射程距離外でフェレスとケイスにあたりはしなかったが、泡の落ちた場所がジュウと音を立てて焼けた。
「う、うわー……えっ?なんだこれ……なんだこれ!」
「やけていて、いやなにおいがする。あれはむやみにさせない方がよさそうだ」
「俺の自慢の毛が!毛が!」
毛並に泡が飛びかけて焦るケイスと、わずかに眉間にしわを寄せるフェレス。しかしどちらも止まらず、互いに最初の獲物に接敵する。足を止めず動き回ることで群れの中に切り込んでゆくケイスと、シーブズ・ギャンビットを発動して素早い一撃でアヒルの顔面を切り裂いてゆくフェレス。
後衛担当のライカとナミル・タグイールも、各々のが照準をUDC達へと向けた。
「うわぁ~、あれは結構な酸性だにゃ……ケイスとフェレスはぶっこみガンバにゃ~!……金ぴかを護るためにも、ナミルは近づかないことでいろいろやるデスにゃ!」
「うんうん、遠距離もちは全体をみつついい感じに削ってくのが大事なお仕事だからね♪ついでに、囲い込みもコッチのお仕事ってカンジでいくわよ!アヒルちゃん達、表に出てこようとしたコトは高く付くわよ~?」
広がりつつあるUDCの群れに向け、ライカはまず手元に武器を呼び出す。どう見てもモップにしか見えないそれで牽制の弾を掃射!さらに本命の亜空間を展開し、そこから海氷柱を垂直に突き刺すように召喚してゆく!
氷頭を削られるもの、武器や手足を巻き込まれるもの、そういった敵方の被害を発生させつつ氷柱は床に突き刺さり、氷の柵を形成してみせた!
「こっちもやったるデスにゃ!金ぴかパワーにゃ!」
ナミルはペンデュラムを浮かせ、装飾から放つことのできる紫と金の光線で攻撃を開始する。宙に浮いたペンデュラムがUDCを焼き切ってゆくのを察知したのか、前に出ようとしていたUDCの一体が泡のついたブラシをナミルに向けて振りかぶる!叩きつけるように降ろされたブラシ自体は氷柱にあたったためナミルからは十分に離れているのだが、自身に向けて飛んできた泡を落すためナミルは最も美しい装飾……両の瞳からビームを飛ばす!
「目からもビーム!にゃ!」
その様子を直接目にしたライカとフェレスは「こういう事も出来るのか」と納得しつつ氷柱の追加やあいた穴から出てきたUDCの始末を行ったが、群れの中にきりこんでいたことでナミルの様子を見れないケイスの足が一瞬止まる。
「目から……ビームだと……?あ、やべえとまってらんねえんだった!」
移動を止めないことで狙いをそらし続けようとしていたケイスに、UDC達もただ放置を決め込んでいたわけではない。群れの中を複雑に動き回ることでUDC達自身にぶつからせていたが、彼は自身を追跡するアヒルスポンジに追われていた。
「見てくれは気の抜けるやつらだが……やってることがやべーんだよ!」
分解用の液体を含ませたスポンジが自身を追いはじめた時は、当たらなければいいという感覚だったが……後方で発射したのとは別のUDCにそれがぶつかったのを見た時ケイスは考えを改めた。
有機物を分解する酵素を含むスポンジは一度生き物に当たると動きを止める。UDCの身にぶつかったスポンジも当然止まったのだが……その到着地点となったUDCの身体をグジュグジュと溶かしていた。
その場面を見てしまったがため、意に介さず前に出ようとするUDCどもも、そいつらの行う攻撃も十分にえげつないものだとケイスは判断せざるを得なかったのだ。
故に、彼は目的はありながらも、敵を苦無と拳銃で斬り伏せながら群れの内部を大きく動き回り続けているのだ。
「……にげまわっているからには、あれはなかなかまずいのか」
フェレスは前衛でいるために、ケイスが直接奥の扉に向かわない理由がスポンジにあることを把握する。とはいえ、彼女はライカの作った柵越しに敵を屠り続けているため、ケイスの動向がアヒルスポンジによるものだという以外の細かい部分までは把握していない。
が、それでもUDC達の攻撃が全てを消し去るものだというのには気づいており、それに不快感を示す。
「根刮ぎ奪うのはあほうのすることだぞ」
花も湯も嫌いではない。明るい場所は苦手でも、そこで経験するものは悪くない。そのように感じるからか、彼女は目の前の敵を屠る事に躊躇しない。
フェレスは身軽な高速攻撃と隠し持つ刃で敵を切り裂き続け、彼女に迫ろうと氷柱の隙間から身を乗りだすものは後方からライカの射出する弾丸によって頭を撃ち抜かれる。
氷柱付近の手合いに関しては、ライカとフェレスのコンビネーションでほぼ完封できていた。過去にも彼女たちは手を組んだことがあり、そしてその時に得た反省も生かし分業を徹底している。
だからこそ、それが起こった時も彼女たちは見事に対応してみせた。
「……ライカ!」
フェレスが一言だけ声をかける。彼女が短剣で軌道をそらしたスポンジは後方へと追跡対象を変更したのか、ライカに向かう。ライカはそれを難なく撃ち落した。
ライカに狙いを向けたUDCがアヒル型水鉄砲を召喚したのを見つけ、フェレスは真っ先にそのUDCの顔に短剣を突き立てる。
「ばかめ。おまえの目の前にいるのは、私だ」
「ナイス、フェレっちゃん!」
フェレスの援護に徹するライカの方も、フェレスが無理をせずに暴れまわっている事で笑顔が明るい。前衛が後衛を無理に庇う事無く、互いに補佐し合っているさまにナミルがわずかに目を細めた。
「にゃいすコンビネーション!これはナミル達もまけてらんないデスにゃ!ってわけだからケイス!扉の前のを一掃するから、いまからGOにゃ!」
「ちょうど流れも緩やかになってきだしたからな!……皆、手筈通りに頼むぜ!」
敵の流れをみながら光線で切り払っていたナミルと、内側に居てタイミングを図っていたケイスが本格的に動き出す。
ナミルのペンデュラムから出る光線が、扉の前の一定範囲に居るUDCを狙いだす。それを合図として、フェレスとライカは後方に撤退を開始する。
「20メートルぐらいだっけー?!」
「そんぐらいだ!壁と扉はあるけどそれでもちゃんと離れろよ!」
「オッケ。一時退避するわよフェレっちゃん!」
「ああ。私は細かいことわからないから、まかせた」
「まかされたにゃ!」
扉の前の空間がひらけ、ケイスが奥に突入する。ライカとフェレスは倉庫側へと退避して行き……そして数秒後、温泉施設を揺るがすような、大きな狼の咆哮が聞こえた。
咆哮を起点とした高威力の無差別攻撃に、奥から湧いてくるUDCと室内にいたUDCの双方が一気に倒れる!
もっとも、無差別故に味方への攻撃にもなってしまうため、呪詛の防御への転用ができるナミル以外とは距離を置く必要があったのだ。
「ナミル、早く来てくれ!今は止まってるけどどっから召喚されてんのか俺じゃわかんねえ!」
ケイスの呼びかけに応え、ナミルもギリギリで倒れなかったUDCを光線でなぎ払いながら奥の部屋へと歩みを進める。扉の先にあったのは、古い休憩室だった。今は使われていないのか埃っぽいその部屋に、目立った召喚の痕跡は見当たらない。
「……にゃるほどにゃ」
そう一言つぶやいて、ナミルは適当に積もっていた埃を払う。それだけで、どこかへの道が途切れたように一気に部屋の空気感が変わった
「これで一安心にゃ!でも、このお部屋は潰すか定期的に掃除したほうがいいデスにゃ~。埃のつもりかたなんて些細な要因でUDC召喚しちゃうぐらいこう、風水とかなんとか呪詛的ななんやかんやにピッタリのお部屋だったにゃ」
「……マジで?本当にただそんなことであいつらでてきてたのか?!」
「意図的に召喚したんじゃなければ、召喚の原因は些細な事だったりするんだにゃ……あ、問題なく終わったデスにゃ!」
様子を見に来たライカとフェレスに、ナミルは手をふりながらそちらに向かう。
原因となる物の余りの呆気なさに狐につままれたような気分のケイスも、それにならってUDCの召喚場と化していた小部屋を後にした。
その後、住み着いた掃除狂を追い払った猟兵達はUDC職員に事の顛末を報告した。
カバーストーリーを広める等の事後処理が終わった頃。ようやく猟兵達はすべてが終わったのだと認識し、詰めていた息を吐いた。
そうして、彼等は互いに労いの声をかけあって、笑いあった。
木々につく花々と静かに立ち上がる湯けむり、それを楽しむ人々の声。どれもが欠ける事無く、何も起こらなかった夜が更けていく。
大成功
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