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バトル・オブ・オリンピア⑲〜チェンジ・オブ・ハート

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #『勇者リリリリ?』 #1stKING『魔王ガチデビル』 #5thKING『勇者リリリリ』



 少女はただひとり、玉座でうなだれていた。
 苦渋に満ちた表情だった。その内心を示すように、彼女が握り締めた石の手摺からも、ミリミリと音がしている。
『……新生フィールド・オブ・ナインは常軌を逸した軍団だった。計画通りなら、私は奴等の『KING宝珠』を作るだけで、無敵のオブリビオンになれた筈だ。
 なのに何故、こうも思い通りにならぬ!?』
 かっ! と目を開いた、次の瞬間だった。少女の唇から先程とは正反対の、ゆるっとした台詞が転がり出たのは。
『……………………あれ? あれれれれ???
 な〜んか取り戻してきたかも! 自我取り戻してきたかも! ほれこのように剣を振ることもできます』
 す、と立ち上がり、ほれほれー、と抜いた剣を片手でぶんぶんと振り回すも。
『やめろ、頼む、これ以上面倒事を増やすな……』
 そう呟き、着席した少女は、疲れ切った様子で首を振るのだった。


「運の無さと実力不足。どっちだったのかしらね。今回のガチデビルは」
 グリモアベースを訪れた猟兵達をアメリア・バーナード(量産型キャバリア乗り・f14050)が出迎える。
「いよいよ魔王との戦いよ。とは言っても『7th KING WAR』での最終決戦とは勝手が違うわ」
 過去の戦争で敗北したガチデビルは、同じデビルキングワールドの『5thKING』である、堕天使の勇者リリリリの肉体と人格を乗っ取り、生き延びていた。
「あとは知っての通りよ。『悪魔契約書』を他世界にバラ撒いて、多数の世界を侵略しようとしたの。それをダークリーガーでやろうとしたのが、今回の戦争ね」

 彼の誤算は二つ。
 一つはダークリーガー達がスポーツで勝つ事以外に興味が無かった事である。
「倒した相手をダーク化させる能力に目をつけたのかしら? 確かに恐ろしいけど、忠実な手駒になるかって言われると……ね」
 これによりガチデビルは、単身、猟兵達に戦闘を挑まざるを得なくなった。

 もう一つは思いのほか、勇者リリリリの自我が強かった事だ。
 それがたとえ戦闘中であったとしても、一定時間ごとにリリリリはガチデビルの憑依を振り切り、無防備状態になる、との事。
 そして盾から放つビームで、猟兵達の治療や、防御力アップの支援をしてくれる。
「勇者リリリリの方はデビルキングワールド出身のいい子だから、協力してくれるんだと思うわ。ガチデビルからしたら、頭が痛い話でしょうね」

 とはいえリリリリ自身、かつて『5thKING』として悪魔達に恐れられた存在であり、特殊な能力は無いものの、ユーベルコードをこちらより先に撃てるなど、シンプルに強い。その力を真の邪悪であるガチデビルが振るうのだ。
「彼女は簡単には死なないわ。心配しなくても戦闘不能に追い込む事で正気に戻せると思うから……その後の事はその時に考えましょ」
 リリリリを気絶させてでも、ガチデビルを引っ剥がす。
 その為には、洗脳解除を上手く利用する事が鍵となるだろう。
 気をつけてね、と。最後にそう言ってアメリアは転送の準備を始めるのだった。


白妙
 宜しくお願いします。
『勇者リリリリ』の肉体と自我を乗っ取った『魔王ガチデビル』その人との戦いとなります。

●戦争シナリオ
 これは戦争シナリオです。一章で完結します。

●難易度
 やや難となります。
 判定は第六猟兵マスタールールに準拠します。
(https://tw6.jp/html/world/442_masterrule.htm)

●プレイングボーナス
『敵の先制攻撃に対処する/リリリリの洗脳解除タイミングを活用する』です。
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第1章 ボス戦 『勇者リリリリ』

POW   :    5thKINGブレイド
霊力を帯びた【斬霊刀 】で斬る。対象にこの斬撃を防ぐ装備や能力があれば、全て無効化し、更に威力を増大する。
SPD   :    堕天シールド(ガチデビル形態)
【宝珠のついた盾 】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。
WIZ   :    大罪魔法「六つの大罪」
戦場全体に【大罪を司る無数の祭壇 】を発生させる。レベル分後まで、敵は【祭壇より現れる『六大罪獣』】の攻撃を、味方は【祭壇より放たれる『闇色の炎』】の回復を受け続ける。
👑11
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ゲニウス・サガレン
義愛がゆえに、命知らず、今日もゆく
まあ、みんなで頑張ろう!
敵は強力無比なれど、一枚岩には程遠い
他者の力を利用した
したがゆえに隙ができ、さてどうつけいろうか

アイテム「C式ガジェット」&「ギアスカラベ」&「陸生珊瑚の浮遊卵」&「星屑ロケットランチャー」
狙うは一撃
相手の精神なり体勢なりを崩して、他の猟兵にチャンスを作ろう

浮遊卵で目くらまして、ギアスカラベ発進!
C式ガジェットはタコ形態のまま私を守れ
後でなおしてあげるからぁ!
私はロケランで牽制しつつ、敵の攻撃の回避に専念!
被弾して負傷してもやりようはある

……UC「スカラベの輝き」
スカラベは相手の魔力を解析し利用することができる!
己が力をその身に受けよ!


国栖ヶ谷・鈴鹿
白妙マスターにおまかせします。かっこいい国栖ヶ谷・鈴鹿をお願いします!



ハイカラさんの天才発明家&パテシエイルの多才なパーラーメイド。
お手製の二挺銃の扱いと、小回りの利くフロヲトバイの紅路夢、空鯨型航空巡航艇ヨナ、ワンオフのスーパーキャバリア阿穹羅と、守護稲荷きこやんの護法術、ハイカラさんの後光のパワーを駆使した、発明と天性の才能を武器に明るくも自信に溢れた心持ちで挑みます。


先制攻撃には、ヨナときこやん、噴水の受け流し、結界術、オーラ防御を展開して時間を稼いで、洗脳解除のタイミングでUCの超統合群体機で、盾を一掃しつつ、動きの隙を突いて攻撃を浴びせよう!
ガチデビルの好きにはさせないさ!



 勇者リリリリが体全体を使い、小さなガチデビルの顔がついたシールドを投擲。それは大気を切り裂いて猟兵達の元へと吸い込まれていく。
 だがそれに続くのは激突音ではなく、水音だった。
「義愛がゆえに、命知らず、今日もゆく。まあ、みんなで頑張ろう!」
「ああ、ガチデビルの好きにはさせないさ!」
 相手の先制を見越して迎撃体制を整えていた国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女ハイカラさん・f23254)の指示で、ソラクヂラ型航空巡航艇『ヨナ』が飛来したシールドを、噴水の水圧で受け流せば。
「さて、どうつけ入ろうか!」
 輝く飛沫と共に、カラン、と地面に落ちた盾を飛び越し、浮遊卵の試験管を地面に叩きつけたのはゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)。
 噴水から生じた水蒸気でたちまち膨張した珊瑚の珊瑚卵に紛らすようにして、かささ、と『ギアスカラベ』を発進させた。
「洗脳解除まで、あと少し!」
「よし!」
 横っ飛びと同時、炸裂煙と共にゲニウスが撃ち込んだのは、牽制のロケットランチャーだ。
 だがそれはガチデビルが展開した新たな堕天シールドに阻まれる。
『返り討ちにしてくれる』
「きこやん!」
 たちまち展開されたのは鈴鹿の守護稲荷『きこやん』の護法術。不可視の結界が飛来する盾の群れの大半を撃ち落とし、さらに半分をヨナの展開した巨大な水膜が飲み込む。
 それでもなおゲニウスへ殺到する残りを、彼を纏った何かが、ぶにゅり、と弾き返した。
 うねうね、と動いたのは、タコの形を取ったC式ガジェットだ。
『……………う〜ん、おはよ。あれ、なんで海産物?』
「今だ! 超統合群体機、展開!」
「スカラベ、全力射撃! ……後で直してあげるからぁ!」
 ゲニウスの指示と同時、リリリリの足元で閃光。彼女の魔力を解析した光が行動を鈍らせ、ガチデビルの最後の投擲を封じ込めれば、それに続けて鈴鹿の戦闘機械達が素早く自律砲台へと変形し、跳ね返された小盾群を一気に撃ち落としにかかる。
 連続する破砕音。ばらばらと落下するシールドの破片群を縫い、すぐさま銃弾と光弾はリリリリへと集中。
 彼女が白煙に飲まれた瞬間、そこからゲニウスと鈴鹿に向けて、守りの力を宿したビームが放たれたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマー☆シンプルに強い勇者様とガチデビルがいるぞ☆」(銀髪少女
上等だこら
盗賊が勇者に負けると誰が決めたって奴だ

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖と之までの戦いの経験からも分析

対先制
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で匂いや音を隠蔽すると共に己達の幻影を無数に展開

【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込み小型盾を迎撃もしくは防御に集中させ

勇者が自我を取り戻した瞬間
【電撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣と打刀で連続斬撃と共に電撃を流し込み肩についたガチデビルの強奪を試

所で…ガチデビルって食えるか?



 ガチデビルの手から小型盾が離れて飛べば、ざん! と水の壁を突き抜け、その先に居る銀髪の少女を捉える。
 だが、その少女は、ふ、と消滅。
 光と水の属性を纏い、水の障壁に身を隠したカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が展開した、相棒の少女メルクリウスの幻影だ。
「ご主人サマー☆ シンプルに強い勇者様とガチデビルがいるぞ☆」
「上等だこら。盗賊が勇者に負けると誰が決めたって奴だ」
 メルクリウスと言い合いつつも、水壁の向こうからカシムは相手の様子を窺う。
 大量の堕天シールドを抱えたリリリリは攻撃の機会に事欠かないが、なればこそこちらに攻撃を集中させている。
 だが幻影は無数に存在し、その一部が時折ガチデビルの前に姿を現すのみだ。さらに奥で音と気配を隠蔽している二人を引き当てる可能性は低いと言えるだろう。
「所で……ガチデビルって食えるか?」
「あはっ⭐︎ ご主人様サマー、相変わらず強欲ー♪」
「うるせぇ」
 確かにガチデビルらしきものはリリリリの肩に乗っているが、肉体と精神が分離しないうちは、無暗に引き剥がしにかかるのは却って危険かも知れない。
 カシムがそう思い直した時、ふと、壁の外が静けさに包まれている事に気づく。
 原因は一つ……人格交代だ。
「いくぞメルシー!魔力と思考をリンクさせろ!」
「ラジャったよご主人サマ♪メルシーとご主人サマのスペシャルアタック見せちゃうぞ☆」
 ユーベルコード「メルシー&カシム『ロバーズランペイジ』」を発動した瞬間、超絶速度でふたりの体が飛翔する。
 大量の弾幕をリリリリへと殺到させ、小型盾全てを防御に回らせている隙に、肉薄。
 はっ、とリリリリが意識を取り戻した瞬間。
「よっと」
 カシムの鎖剣と打刀が二つの斬線を描いて鎧の隙間を縫い、ダメージを与える。
 同時にリリリリの翳した盾からビームが迸り、続くメルクリウスを防御の加護で包むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

氷霄・かぐら
まぁ、ある意味気楽よね。いつも通り戦っていいって言うし。

一定時間ごとに隙ができるって言ってたし、チャンスが来るまでは避けることに専念しましょう。
普段だったら受け止めるところだけど、あの感じ、何か嫌な予感がするのよね…。
ということで、アームドフォートを回避モードにして対応するよ。
チャンスが来たら手持ちの武器で攻撃ね。



 ガシャガシャと高速で動き回る鉄塊を追い、恐ろしい速度を纏った霊刀が、幾度も幾度も虚空を切る。
 現在のアスリートアースはお祭りムードに包まれていると言っても良いだろう。
 だが此処、魔王ガチデビルの巣窟に於いてだけは、激しい戦闘が行われていた。
 それは少なくとも氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・f41059)にとっては。
(「まぁ、ある意味気楽よね。いつも通り戦っていいって言うし」)
 ならばやることは普段と変わらないではないか。
 世界の敵が現れれば、それに対処するのが猟兵なのだから。
『おのれ、ちょこまかと……くっ、またか!!』
 回避モードに変形したアームドフォートにより、かぐらが斬撃を避けていくうち、ガチデビルに異変が現れる。
『………………おっまたせ〜』
「お返しよ」
 急迫したかぐらの斬霊刀が、清浄な銀閃を描く。
 舞い散る黒羽。それと同時にリリリリの盾から放たれたビームはかぐらの傷を癒し、さらには守りの加護で包み込んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サハリエ・ステーロ
フーハッハッハッ、お疲れ様だなガチデビル。
それと5thKING・勇者リリリリ陛下に置かれましては伝聞の通り無茶苦茶ですが元気そうで何よりです。

ガチデビル付きの小型盾は高速詠唱のメテオで抑えよう。
次にUC【兎魔王流:占星魔法『Lepus』】使用
うさぎ座の力を宿すことで身体能力を底上げし、リリリリ陛下の洗脳解除まで跳ね回って回避しよう。

洗脳解除されたら、僭越ながらリリリリ陛下の肩に乗り、ガチデビルの顔を殴りながらひっぺがせないが試してみようかな。

※アレンジ・連携歓迎



 ひゅんひゅん、と回転しつつ舞う大量の小型盾。攻撃手段としてはシンプルだが、それらは勇者リリリリ……正確には彼女を乗っ取った魔王の意のままに、瞬く間に戦場を制圧するだけの力を持つ。だが。
「フーハッハッハッ、お疲れ様だなガチデビル」
『貴様は』
 少女とサハリエ・ステーロ(時計ウサギの魔王・f37256)が対峙するや、二人の間に燃える石が降り注ぎ始め、衝撃音と共にクレーターを穿ち始めた。
 サハリエが高速で展開した彗星魔法だ。ガチデビルは堕天シールドを天へと向け防御。対応を余儀なくされる。
『おのれ、小癪な』
 そう言ってガチデビルは小型盾のひとつを投擲。だが対するサハリエが地面を一蹴りするや、凄まじいまでの身軽さを見せて回避した。
 兎魔王流:占星魔法『Lepus』による身体強化だ。
 ふたつ、みっつ。結果は同じ。うさぎ座の魔力を纏ったサハリエが平坦な戦場を回るように跳ね回っているうちに、苦悶の声を上げてガチデビルが膝を折った。
 制限時間――そう見たサハリエは、近寄り一礼。すると案の定、少女はひょっこりと顔を上げた。
「5thKING・勇者リリリリ陛下に置かれましては、元気そうで何よりです……伝聞の通り、いささかその、無茶苦茶ですが」
『や、どーもどーも』
 失礼して、とサハリエが肩のガチデビルをパシパシと殴り、引っ掴む。ぐいぐいと引っ張るが、固く食い込んでいるのか、うさぎ座の身体強化をもってしても、なかなか外れない。
 す、とおもむろにリリリリが盾を向ければ、そこから加護の光が迸り、サハリエに守護の力を与えた。
「!」
 その時サハリエの手に、ほんの僅かに、ガチデビルが離れたような感触が伝わる。
 弱っているのかどうか。しかし仮にそうだとすれば、戦いの終わりは近い事になる。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜刀神・鏡介
乗っ取られた状態から自我を取り戻すとは。流石は勇者と呼ばれただけの事はある……いや、具体的に何をして勇者になったかは知らないが
さておき、この機を逃す訳にはいかないな。ガチデビル……今度こそ倒してしまおう

神刀の封印を解除。神気を纏って身体能力を強化しつつ敵と相対
リリリリと六大罪獣を同時にするのは困難だ。ひとまず斬撃波で牽制しながらダッシュで逃げ回りつつ、地面各所に神刀で傷跡を付けていく
洗脳解除の隙もあるし、逃げに徹すればどうにか凌げるだろう

十分な範囲に印を付けたところで廻・肆の秘剣【黒衝閃】を発動
範囲内のリリリリ、六大罪獣、そして祭壇。諸共を纏めて攻撃した上で一気に斬り込んでいく



 厚い鉄で造られた斬霊刀と、溢れる神気を迸らす神刀が、鋭利な刃鳴りの音を立てて、数合打ち合う。
 ――と見るや夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)。大きく飛び退き、その場で鋭く虚空を薙げば、発生した衝撃波が、瞬く間に勇者リリリリの下へと到達した。
 咄嗟に構えた盾へと当たり、びしり、と大気の震えとなって場を揺らす。
『今度は私の番だ』
「乗っ取られた状態から自我を取り戻すとは。流石は勇者と呼ばれただけの事はある」
 あちこちに祭壇が発生する気配を察知しつつも、鏡介は接近する相手から目を離さず、さらにサイドステップ。
(「いや」)
 デビルキングワールドでリリリリが如何なる功を上げたのかを鏡介は知らない。
 だが目の前に立つ少女の力は勇者に相応しいもので――そんな彼女が器に選ばれた事こそが、千載一遇のチャンスでもある事を考えると、因果なものを感じざるを得ない。
 ともかく。
(「この機を逃す訳にはいかないな。ガチデビル……今度こそ倒してしまおう」)
 裂帛の気合いを乗せたリリリリの斬撃は、神気で跳ね上げられた鏡介の身体能力を前に、空振り。
 鏡介も反撃。と地面に印を刻むや、その切先を跳ね上げ、もう一度斬撃波を放つ。
 後退と牽制を繰り返す事数度。発生した巨大な獣の爪を幾度も往なし、それでも鏡介の行動範囲が徐々に狭まりつつあった頃、
『ぬぅ、またか!!』
 頭を押さえて蹲るガチデビルを前に、すかさず鏡介は【無仭】の切先をくるりと地へと向けた。
「神刀解放。砕き散らせ、黒の剛撃――廻・肆の秘剣【黒衝閃】」
 突き立てた瞬間――ぞわりとするような漆黒の神気が、地を割らんばかりの勢いで噴出した。
 それまでの鏡介の動きは外周を回るような形。沿って刻まれた刀傷を繋ぐようにして、リリリリが、祭壇が、災獣達が。全てが黒に飲み込まれていく。
「!」
 突き立てたまま姿勢で鏡介が顔を上げれば――奔流の中でリリリリがこちらに手を振るのが、ほんの一瞬垣間見える。
 刹那、彼女の持つ盾の宝玉がぴかりと瞬き――鏡介は守りの加護で包まれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
惨めな有様ね。赦さないけれど
あの平和(?)な魔界を統べた王様で勇者…
そんな相手に悪党如きが働いた無礼、万死に値すると知りなさい

敵先制には《早業+先制攻撃+神罰+天候操作+地形破壊》の天変地異で《蹂躙+薙ぎ払い》叩き落とす
強度を上げる為に数を絞った盾は《戦闘知識+第六感》で《見切り》躱すわ

響かせる《歌唱》はガチデビルの意識を衰弱させる《ハッキング+誘惑+催眠術+属性攻撃》、
《空中戦+ダンス》の舞は強めに魔神権能の《封印を解く》事で
《リミッター解除+ドーピング》する為の下準備

【閃斬】は敵だけを斬り捨てる。手間を掛けた強化もこの為よ
《瞬間強化》した《貫通攻撃》をガチデビルの存在に直接叩き込んであげる



 満身創痍のダメージに加え、先程から響き始めた澄んだ歌声が、ガチデビルの意識を衰弱させていく。
 抗うように虚空に顕現させた盾の群れを、彼女は一斉投擲。
 しゅるしゅると不気味な音を上げて飛翔するそれらはしかし、歌唱の主に到達する寸前で、ごう、と雷を帯びた一陣の風に阻まれた。
『おのれ』
 からん、と一度に叩き落とされるシールドに這うのは黒い稲妻。苦渋の表現を浮かべ歯噛みするガチデビルの視線の先では、片手を薙いだ姿勢のカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)。
「惨めな有様ね。赦さないけれど」
『なんだと!』
 ガチデビルは新たなシールドを展開するや、全身を使って投擲。だがカタリナはそれを、ほんの少し体をずらしただけで回避する。
 側から見れば、まるで盾が体をすり抜けたようにも錯覚する程の――優れた直感をも併用した、達人の技量だ。
「あの平和な魔界を統べた王様で勇者……そんな相手に悪党如きが働いた無礼、万死に値すると知りなさい」
 慈悲深いカタリナにとっては敵もまた憐憫の対象になり得る。だがガチデビルはもはや単なる敵ではない。
 私欲の為にのみ行動し、あまつさえ勇者の身を危険に晒してなお憚らぬ存在。
 数あるオプリビオンの中でも特に憎むべき――即ち、抹消すべき邪悪そのものだ。
 たん、とレガリアスシューズで地面を蹴って、急浮上。
 すらりとした肢体を宙空へと舞い上げれば、くるり、と、虹の六翼が複雑な軌跡を描いた。
 なおも飛来する盾を蝶のように華麗な動きで躱すたびに、カタリナは自身の能力が引き上げられていくのを感じる。
 調律の権能。未だ響く歌唱の余韻も、この最強クラスの殲滅力を解放する為の下準備だ。
「――これだけ手間をかけたんだ。瞬きは無しだよ」
 そう言った刹那、カタリナの体が爆発的な超加速を纏う。
 ぴかり、と雷霆にも似た輝き。
 戦場を照らし出したのは巨大な斬線――『閃斬・塵鏖滅殺』。
『な、何……』
 動きを止めた堕天使が地へと落ちる。
 限界を超えた雷刃の威力は黒鎧を断ち、しかしその奥にあるリリリリの肉体を穿たず、ガチデビルの存在そのものを正確に切り裂いていた。
 ここに勇者リリリリは猟兵達の手によって、魔王ガチデビルの魔の手より救い出されたのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年01月31日


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#5thKING『勇者リリリリ』


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト