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バトル・オブ・オリンピア⑯〜紺藍のブルズアイ!

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #サッカー #サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』


●一等星は闘牛の瞳
 髪をなびかせ仁王立ち。
 5万人もの親衛隊から選抜した精鋭10人を背後に並べ、エル・ティグレはフィールドに立つ。
 現れた猟兵たちを発見し、べっと舌を突き出した。
「アハハッ! 猟兵……なかなかやってくれんじゃん?」
 未だ、ティグレは倒れない。フィールド上に君臨している。
 素足でボールを蹴り上げ、回転によって滞空させた。
 今ここに、何度目かのサッカー勝負の火蓋が切って落とされる――その直前。
「この度は対戦、よろしくお願いしますッ!」
 ティグレが素早く頭を下げた。ついでにボールも地面に落ちてコロコロ転がる。
 別会場で行われていたギャラクシィリーグサッカーは制圧済。
 配下が勝手に始めて勝手に負けた結果、ティグレもろとも猟兵の配下にされてしまった。
 顔を歪めながらも通すところは筋を通す。それがギャラクシィリーグサッカーの流儀らしい。
 突如、ティグレが顔を上げた。瞳は闘志に燃えている。
「アタシ自身はまだ負けきってないんでね……まだまだ付き合ってもらいますよ」
 髪を掻き上げ、漆黒の靄がボールへと乗り移った。
 鍛えられた筋肉に鋭い角、蒼い瞳に一等星が輝く。
 勇ましい雄牛のようなオーラを纏い、ボールは独りでに回転を始める。
「猛追の暴れ牛……止められるもんなら止めてみてください!」
 試合開始のホイッスル。
 ボールを蹴ってティグレが突っ込んでくる。
 パスもタックルも、飛び交うボールでの突破力は著しく上昇。あらゆる壁を真正面から破壊する。
 ゴール前に辿り着き、ティグレはボールとともに飛び上がった。急降下の勢いで蹴り出されるボール。
 巨大な雄牛を背負って迫る。瞳が藍の閃光を放つ。
闘牛直進ブル・ストライクッ!」
 キーパーを吹き飛ばし、ボールはゴールへ叩き込まれた。

●グリモアベース
 ホワイトボードに情報を書き留めながら、木鳩・基(完成途上・f01075)は呟く。
「フォーミュラも上下関係とか気にするんだ……」
 咳払いをして振り向く。状況の事前確認から説明は始まった。
 エル・ティグレ。銀河最強のシャーマン、ギャラクシィリーガー、第三銀河の征服王。究極美少女でもあり、そして今回の戦争にて戦力の一角を担うサッカー・フォーミュラ。
 いわばフィールドの帝王……だったのだが、部下が勝手に動いたせいで現在は猟兵の配下に置かれている。
「なんか手違い多いな、今回の戦争……」
 報連相はしっかりしよう。
 教訓を胸に刻んだところで、開催予定の試合へ話は移る。
 ティグレは配下に下ったが、戦場そのものはまだ制圧できていない。試合に勝利する必要がある。
 コンコンと、基がボードを叩いた。
「10人の精鋭と結成したチームでティグレはサッカーを仕掛けてきます。正統派のチームプレーでの勝負になりますが……ボールに籠める『暗黒星雲』が厄介ですね」
 頭髪に封印した力の根源。それが暗黒星雲だ。
 銀河から預かり受けた星々をボールに注ぎ、ティグレのチームは絶対的なまでの恩恵を受ける。
 暗黒星雲は動物を象って現れる。ボードに描いた牛の絵を、基はペンで差した。
「今回使ってくる星雲の獣は雄牛。超銀河レベルでこっちに向かってきます。パスもタックルもシュートも、あらゆる突破力が高まっているでしょうね」
 この獣の特性に対処できなければボールを奪うことすら難しくなる。
 真正面から止めにかかるか、策を練って挑むか。対策なしでは吹っ飛ばされてこちらが星になる。
 単純、故に凶悪。
 そんな相手の情報を伝えながらも、基は歯を見せて笑う。
「ま、こっちも何でもありですからね。どうにかやってみてくださいよ。全力で応援するんで!」
 親指を立てると、拳の上でグリモアが瞬いた。
「それじゃ、いい試合にしましょうか! ……私は見てるだけですけど」
 視界に広がる情景が切り替わる。
 観客の取り囲むサッカースタジアムへと、猟兵たちは降り立つのだった。


堀戸珈琲
 どうも、堀戸珈琲です。
 必殺技を叫ぶタイプのスポーツ漫画が好きです。

●シナリオフレームについて
 このシナリオは戦争シナリオであり、1フラグメントで完結します。

●最終目的・プレイングボーナス
 エル・ティグレとのサッカー勝負に勝つ。
 また、このシナリオフレームには、下記の特別な「プレイングボーナス」があります。

=============================
 プレイングボーナス……サッカーの試合を有利に進める/暗黒星雲ボールに対処する。
=============================

 チーム戦での想定ですが、単独でも複数でも問題ないように描写します。
 また、今回ティグレが使う「暗黒星雲ボール」は「雄牛」を模しています。あらゆる場面で突破力が上がり、誰にも止められない勢いで突っ込んできます。上手く対処してください。

●プレイング受付について
 オープニング公開後から受け付けます。
 完結優先となるため、内容に問題がないプレイングも却下される可能性があります。

 それでは、みなさまのプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『エル・ティグレ』

POW   :    ティグレ・スーパーノヴァ
【蹴りつけたサッカーボール】に【猛虎の如く吼え猛る超新星の輝き】を注ぎ込み変形させる。変形後の[蹴りつけたサッカーボール]による攻撃は、【重力反転】の状態異常を追加で与える。
SPD   :    ダークネビュラ・タイフーン
【「獣」の形に変幻する暗黒星雲のエネルギー】を纏いレベル×100km/hで疾走する。疾走中は攻撃力・回避力・受けるダメージが4倍になる。
WIZ   :    銀河猛虎帝
光輝く【ギャラクシィエンプレス】に変身する。武器は【己の肉体】しか使えないが、[己の肉体]の射程外からのダメージは全て100分の1。
👑11
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空桐・清導
POW
アドリブや連携も歓迎

「おう!こちらこそよろしくなティグレ!
オレは空桐清導!!サッカー、ひいてはスポーツが大好きだ!!
良い試合にしようぜ!」
快活な笑みで握手したい

光焔で出来たユニフォームに身を包み、
ブレイザインのマントを構える
「アンタが雄牛だっていうなら、コイツから目は離せねえだろ?
そーら!こっちだ!」
一人突っ込んでくるティグレの動きを誘導して[ジャンプ]させる
そして、ティグレにマントを被せてボールを奪取
誰よりも早い故に攻撃は単独になりがち
その隙を突く!

天性のセンスとユニフォームの力で
サッカーの才能を極限まで引き出す
「超必殺!ブレイズストーム・インパクト!!」
火焔旋風のシュートでゴールだ!




 配置につき、両チームの選手がホイッスルを待つ。
 フィールド中央に立つティグレも足元のボールを眺める。
 そんな彼女に右手が差し出された。
「おう! こちらこそよろしくなティグレ!」
 快活な笑みを向けるのは空桐・清導(ブレイザイン・f28542)。
 熱気に満ちた声とともに、差し出した右手で握手を求めていた。
「オレは空桐・清導!! サッカー、ひいてはスポーツが大好きだ!! 良い試合にしようぜ!」
 当のティグレはその手を見つめ返す。
「……アタシはもう猟兵の配下ですよ。礼儀なんて」
「楽しくサッカーをしたい気持ちは誰が相手でも変わらないだろ?」
 清導の言葉にティグレが目を丸くする。
 口元に笑いを含ませ、ティグレは清導の手を取った。
「どのみち、アタシは容赦しませんよ」
「あぁ! 望むところだ!」
 熱い握手を交わした後、ホイッスルが鳴った。

 試合開始直後、ティグレがボールを奪取する。
 走り出し、ボールと自分を覆うようにオーラを憑依させる。
 芝生の上を疾駆するは暴れ狂う雄牛。小細工なしでゴールへ迫る。
「さぁ、アタシを止めてみろッ!」
 鬼神のような気迫。
 その真正面で清導は構えていた。
「オレは逃げねぇ! 超々熱血全力全開でアンタを止める――いくぜッ!!」
 右手を掲げた瞬間、光が清導の全身を包む。
 黄金の光焔で構成されたユニフォームを装着。続けざまに清導はマントを握り、ティグレに向かってはためかせた。
 立ち姿はさながらマタドールのようで。
「アンタが雄牛だっていうなら、コイツから目は離せねえだろ? そーら! こっちだ!」
 ティグレを除き、清導に接近している選手はいない。
 誰よりも速い。突出し、孤立する。
 その隙を突く。
「上等ッ!」
 雄牛の性質も混ざり、ティグレは清導へ突進。
 肉薄する相手を凝視し、清導はマントをたなびかせ続ける。
 最接近の直前、清導は跳び上がった。釣られてティグレもマントに向かって跳躍する。
 身体と身体が衝突する刹那。躱し、清導はティグレにマントを被せた。
「うがッ!?」
「かかったな!」
 落下するティグレ。
 空中でボールを奪った清導が今度は攻撃に回った。
「こっちの番だ! 次はアンタらがオレを止めてみろッ!」
 ボールを蹴って清導は飛び出す。
 天性のセンスとユニフォームの力。極限まで引き出されたサッカーの才能には精鋭たちも追いつけない。
 回転をかけたボールとフェイントで次々と敵を避け、気がつけばゴール前。
 跳び上がり、灼熱が脚に渦巻く。凝縮されたエネルギーは爆発的な出力へと変換される。
「超必殺! ブレイズストーム・インパクト!!」
 繰り出される火焔旋風。
 炎の軌跡を描き、シュートは相手ゴールを貫くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
なんというか、中々残念な事になっているような気はするけれど……
それでも、戦うとなればエル・ティグレの実力は本物なんだろう。なら、油断せずに全力で戦うとしよう

どれだけ強力な力を持っていても、使用できなければ意味がない。基本的にはエル・ティグレを徹底的にマークする形で動く
エル・ティグレを常に視界に入れながらもできるだけ広範囲の状況を把握
敵の動きを先読みする事で先手を取って動き、彼女の動きを妨害
ボールを奪ったなら、彼女の傍に居続けるのはよろしくない。フェイントをかけつつ素早く離脱するか、パスを回していこう

万が一ボールを奪われた場合は、彼女のキック直後。ボールが加速しきる前に止めにかかろう




 始まった猟兵VSティグレチームのサッカー勝負。
 自身のポジションから夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はフィールドを広く眺める。観察を徹底しながらも、視界には常にティグレの姿を置いていた。
 試合前に深々下げた頭を鏡介は回想する。
「なんというか、なかなか残念なことになっているような気はするけれど……」
 境遇としては気の毒まであるが、それはそれ。
 同情したくなるほどであっても、戦うとなればその実力はおそらく本物。
「なら、油断せずに全力で戦うとしよう」
 意識を引き締める傍らで状況が動く。
 敵がボールを奪って前進。遠く離れた反対側で、追随するようにティグレも上がってくる。
 察知し、鏡介が走り出す。死角からティグレに接近。鏡介が動いた数秒後、敵の選手がティグレに向かって空中を抉るようなパスを出した。
 ボールがティグレに渡る、その寸前。
「そこに来るのは読めた!」
 軌道上に飛び込んだ鏡介が身体で受け止め、トラップでボールを奪う。
「寄越せ――いや、寄越してくださいッ!」
「断る」
 訂正できているかわからない敬語でティグレが迫るが、冷静に対処。
 フェイントを仕掛け、身を翻してティグレの付近から素早く離脱。彼女が追いつくより速く、味方に向けてパスを放った。
 ひとまずこの場は切り抜けた。息を吐くと、背後で舌打ちが飛んだ。
「今のボール、よく奪えましたね」
「別に、この競技に長けてるわけじゃない」
 代わりに用いているのは戦闘で鍛えた観察眼。
 観の型【天眼テンガン】。所作の一つ一つから次の動作を見抜き、正確に対応する。それをサッカーにも転用し、選手の挙動から行動を予測しているだけのこと。
 ボールが渡らないよう潰して回れば暗黒星雲の能力も封印できる。
「このまましばらくは、お前にボールは渡さない」
「面白い。せいぜい足掻け――いや、足掻いてくださいよ」
 いまいち締まらないティグレの台詞を聞きながら、鏡介は持ち場へ戻っていった。

 鏡介の監視もあり、相手は攻めきれず試合は進む。
 敵がボールを奪取し上がる。ティグレは後ろに控え、ボールには遠い。
 ボールを空高く、敵は前へ蹴り上げた。
 無意味なパス。
 誰もがそう判断しかけた矢先、ティグレが芝を蹴った。あらゆる選手を追い抜き、ボールへ追い縋ろうとする。
「アハハッ! もらったッ!」
 跳躍し、ボールを制御。着地してドリブルに切り替える。
 雄牛のオーラを纏い出した最中。
「させるかッ!」
 鏡介が回り込む。蹴り出したボールとティグレ、その隙間に果敢に飛び込む。
 ティグレも怯まない。鏡介を蹴り抜かんと脚を振り上げる。
 瞬時に利剣を鞘に納まったまま振るう。脚と衝突し、互いの身体が後ろに吹っ飛んだ。
 吹き飛びながらも鏡介はボールを保持。正面に立つティグレを睨む。
「言っただろ、お前にボールは渡さないって」
 宣言通りの死守。
 両者が執念を滲ませるこの試合はまだまだ終わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天羽々斬・布都乃
「サッカー……ですか?」
『ええい、サッカーのルールがわからず、チームプレーも苦手なぼっちな布都乃はゴールキーパーをやるのじゃ』

式神のいなりに酷いことを言われた気がしなくもないですが、ボールを手に持って相手陣地に攻め込もうとしていた私は、おとなしくいなりの指示に従います。

「このゴールの枠にボールをいれさせなければいいのですね!」

未来視の能力を発動して時間を凝縮し、右手を強化します。
これならどんなボールでも跳ね返せるはず!

「くっ、なんて強烈なシュート!?
これでは弾くのが精一杯……!」

ですが、その未来は視えていました。
事前にゴールをずらしておいて、弾いたボールをゴールポストに当てましょう。




 相手の攻撃からゴールを守る最後の砦。
 キーパーを務めるのは、大きなゴールに見合わない可憐な少女。
「構えは……これで合ってるんでしょうか?」
 グローブを手に装着し、天羽々斬・布都乃(未来視の力を持つ陰陽師・f40613)は見よう見真似で腕を開く。
 成り行きで参加することになったサッカー勝負。
 ゴールキーパーを選んだのは、式神・いなりの助言からだった。

 試合開始前のこと。
「なるほど……ボールをゴールに入れればいいんですね! それなら――」
『布都乃! ストップじゃ!』
「え?」
 コート外で見ていた子狐が布都乃の行く手を塞ぐ。
『ボールを手で持ったら反則じゃぞ!?』
「そうなんですか? でもこの方が攻めやすいような……」
 脇にボールを抱え、走り出そうとする姿勢で止められた。
 きょとんと首を傾げる布都乃を前に、いなりはため息をつく。
『まったく……ええい、サッカーのルールがわからず、チームプレーも苦手なぼっちな布都乃はゴールキーパーをやるのじゃ!』

「思い出したら、酷い言われようだった気が……」
 頭を振り、意識を試合に切り替える。白いゴールポストを布都乃は撫でた。
「何にせよ……このゴールの枠にボールをいれさせなければいいのですね!」
 ゴールを見上げていると、轟音が耳を過ぎった。
「そこを……どいてくださああああいッ!!」
 雄牛のオーラを纏い、ティグレが突っ込んでくる。
 気圧されながらも、布都乃は果敢に前へ出た。
「させません! ゴールは絶対に守ります!」
「ハッ! できるもんか! 喰らって――ください!」
 蹴り上げたボールにかかる異常なまでの回転。
 滞空するボールに蹴りが打ち込まれ、万物を壊すシュートとなって布都乃に迫る。
 肉薄するシュートから布都乃は目を逸らさない。
 右手を突き出した瞬間、右目が黄金の光を放った。
「こちらも……相応の覚悟はできています!」
 右手を中心に時間が凝縮されていく。
 空間の歪みで掌を覆い、その手をシュートに向かって振るう。
 ――これならどんなボールでも跳ね返せるはず!
 雄牛の突進と凝縮された時間が衝突。
 負荷のかかる右腕を左手で支え、歯を食いしばって押さえ込もうとした。
 依然としてボールの勢いは止まらない。
「くっ、こんなに強烈なシュートだったなんて……!?」
「だから言ったでしょうが!」
 押さえ込む手が持ち上げられる。
 とうとう手が剥がれ、布都乃は吹き飛ばされた。ボールはゴールに向かって斜めに飛んでいく。
 得意そうに笑うティグレ。この角度なら得点だと想像し、ボールを追う。
 だが、ボールはゴールポストに当たって弾かれた。
「なッ!? 入る角度だろフツー!?」
「えぇ、本当ならあのボールは入っていましたよ」
 立ち上がり、布都乃は微笑む。右の瞳が黄金に瞬いていた。
「その未来は視えていました。なので、ずらしておいたんです……ゴールそのものを!」
「ハ……ハァァァッ!?」
 絶叫するティグレと微笑を浮かべる布都乃。
 未来視も予想外の戦略も、ここではすべてが許される。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白鳥沢・慧斗
走るのは得意です!ボール運びなら任せてください!!
ということで前線にボールを運べるようなポジションを希望します!
行きますよ!!

足の速さと小回りを活かしたボールカットとドリブルを武器に
細かい足技はできませんが、スピードで勝負できるところで頑張りましょう!

とはいえあの雄牛ぱわー相手だと競り合うだけで死にそうですね!
ここは小技で失礼いたします!
タイミングを見計らい、突破力の高まったボールのみを『時空の調停者』で一瞬だけ巻き戻します!!
自分の蹴っ飛ばした勢いでボールが戻ってくるわけですから、エル・ティグレさんも躓くくらいはしてくれませんかね!

この奇襲でボールを奪えたら、あとは僕の逃げ足で何とか!


ミア・ミュラー
ん、なんだか不思議な喋り方だけど、すごい強い王様、なんだよね。わたしも速さには自信あるし、負けないよ。
止められるほどパワーはないから、触らずに受け流すのが、いいかな。パスとかシュートを止めるときは、そよ風の腕輪で風で受けてボールの威力を、弱めよう。あとは、わたしのゴール側に惑わせる本の景色を映せば、混乱してチームワークが崩れる、かも。これでちょっとは有利、かな。
こっちの攻撃では【風槍】を、使うよ。味方のみんなに渡して機動力を上げたり、邪魔する敵には横からぶつけて、吹き飛ばす。あのひともダメージはなくても風で体勢を崩すくらいは、できるかな。突破したら風に乗ってすごいシュートを決めて、あげよう。




 試合開始からしばらくが経つ。
 超絶的な技巧を持つ猟兵たちを相手にして、精鋭揃いの敵チームにも疲れが見え始めた。
「負けんなお前ら! そっちの猟兵の皆様ご主人様も……覚悟しててくださいねッ!」
 部下を鼓舞し、ティグレは猟兵にも吹っ掛ける。敬語なのが残念だ。
「ん、なんだか不思議な喋り方だけど、すごい強い王様、なんだよね」
 彼女を見つめ、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は身構える。
 身体能力、技術、統率力。どれを取っても強敵。けれど突出した一点なら上回れるはず。
「わたしも速さには自信あるし、負けないよ」
 呟くミアに、隣から元気な声が割り込んだ。
「僕も走るのは得意です! ボール運びなら任せてください!!」
 屈伸して脚を伸ばしながら、白鳥沢・慧斗(暁の声・f41167)は声を張った。
 視線の先にはティグレがいる。彼女も大声を出し、ボールを蹴るチームメイトとともに前進してくる。
「攻めろ攻めろ! それしか道はねぇ!」
「早速来ましたね!」
「うん……ここはわたしが」
 反応を示す慧斗の横で、ミアは一冊の本を取り出す。
 芝の上に置き、ページを開く。仕掛け絵本のように飛び出したのは景色を塗り潰す惑わしの情景。鬱蒼とした不思議の森が敵の眼前に広がる。
 突如現れた出口のない景色に敵も立ち止まった。
「ナイスです! それでは――行きます!」
 スニーカーで芝を抉り、慧斗が飛び出す。
 狼狽える敵に詰め寄り、鋭いスライディングで奪取を狙う。
「何してんだ! とにかく蹴れ!」
「……おっと!?」
 ティグレの声に正気を取り戻し、敵はボールを蹴り上げた。
 空高く打ち上げられたボール。全員が落下地点を予測する中、ミアが片腕を掲げる。
 手首には腕輪。それを起点に風が生じた。
「ここからなら、落とせる」
 放物線を描くボールの軌道上に風が吹き、捲られて地面へ落ちていく。
 大きく変化した落下地点にすかさず慧斗が駆け込んだ。
「今度こそ!」
 弾むボールをトラップして制御。
 ボールを転がしながらも慧斗は前を向く。ゴールは遠く、敵は何人も控えている。
 それでも慧斗は自信に満ちた笑みを浮かべていた。
「前線にボール一つ、お届けします!」
 走り出し、ドリブルでフィールドを上がっていく。
 横から敵が飛びかかってきた。脚の角度を少し変え、慧斗はさらに踏み込む。一瞬速度を上げ、敵をあっという間に抜き去った。
「応援、するよ。受け取って」
 後方から慧斗を追って攻め上がりつつ、ミアは手に力を籠める。
 宙に生成されていく風の槍。魔法で作られた風槍ウィンド・スピアを操り、慧斗の近くへ送った。
 駆ける慧斗の掌に風槍の柄が滑り込む。穂先は螺旋状に回転し、石突はスクリューに変わる。慧斗を後押しして、倍増した速度で敵の隙間を駆け抜けさせた。
「わっ!? 何ですかこれ!? すごい速い!!」
「邪魔も、させない」
 次々と風槍を召喚し、ミアは自身の周囲に滞空させる。自分や慧斗をマークする敵へ、横っ腹からぶつけて吹き飛ばす。竜巻に巻き上げられたように空を飛び、数秒経って敵は落下。その頃にはもう、ミアや慧斗には追いつけない。
「よし! このまま走れば――!」
「アタシのこと忘れてねぇ……いや、ないですよねッ!」
 声がしたのは上空から。
 見上げると、光輝く何かが隕石のように猛烈なスピードで接近してくる。ボールを保持する慧斗に迫り、地面と衝突。土を捲り上げ、慧斗は咄嗟に構えを取った。
「やば……っ!」
「アハハッ! いただきましたッ!」
 ギャラクシィエンプレスに変貌したティグレがボールを奪い、慧斗の横をすり抜ける。
 ボールが脚に触れた瞬間、暗黒星雲が雄牛の形を取った。勇猛な暴れ牛となって猟兵側の陣地へ突っ込もうとする。
 今すぐ止めねば。
 アイコンタクトで意思疎通し、ミアと慧斗はティグレを追う。両者、速さでは遅れを取らない。追いかけることはできた、が。
「とはいえ、あの雄牛ぱわー相手だと競り合うだけで死にそうですね!」
 活力を保ちながらも、慧斗は冷や汗を垂らす。
 斜め後ろから、ティグレに掌を向ける。
 ドリブルの最中、ボールが強く蹴られたそのとき。
「ここは小技で失礼いたします!」
 転がるボールが逆回転。
 ボールの時間が巻き戻り、蹴られた勢いでティグレに向かう。
 その光景を捉え、ミアも宙に浮かぶ風槍に手をかざした。
「今なら、崩せる」
 腕をティグレに向ければ複数本の風槍が彼女へと放たれる。無防備な真横から連続で槍は突き刺さるが、ダメージはない。
 代わりに、ティグレの上体がぐらついた。
「風が……強ぇ!?」
 目も開けられない強風。戻ってきているボールにも当然気付かない。
 雄牛の突破力で蹴られたボールがティグレの脚を直撃する。
「あがッ!?」
 ボールに躓き、ティグレは勢いのまま芝を転がった。
 巻き戻しが解けたボールは慣性の働くまま慧斗の足元へ。
 素早く受け止め、方向転換。走って残りの距離を詰めればそこはゴール前。
「ボールの配達、完了です! あとは任せましたッ!」
 慧斗がボールを蹴り上げる。
 逆サイドを進んでいたミアへ、空を貫くようなパスを出した。
「ん、わかった。すごいシュート……決めて、あげる」
 ボールを目で追いかけ、風槍を片手にミアは風に乗る。
 突風によって空中を滑り、加速してボールに追いつく。渦巻く風の速度を乗せて、高い打点で脚を振り上げた。
「薙ぎ払って、全部」
 疾風を纏ったシュートが打ち下ろされる。
 キーパーを吹き飛ばし、ボールはゴールへ叩き込まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナーバ・キャンサ

ダークリーガーのスポーツマンシップに僕、憧れてるんだ!
ギャラクシィリーグサッカーはそれよりチョット極端なルールだけど、しっかり約束守ってるのは好感持てるなー
でもなんか無理して敬語使ってそう…
だから僕からのお願い!自然体で戦って!
そのほうがきっと、全力出せると思うし

僕のポジション希望はゴールキーパー
もっと適任がいればディフェンスする機会があるポジションやるよ

ティグレさんが必殺シュートを撃ってきたら
パァン!と両手のひらをあわせて変化の術
巨大ぬりかべになってゴールを塞いじゃう
でもシュートは絶対痛いよね
変化が全部解けてスライムっぽいタールになっちゃうかも
でもいいんだ
本気のシュートを受けてみたかった!




 試合は終盤へと差しかかっていた。
 今は短い準備時間。コートの中心で、ティグレはホイッスルを待つ。
「ティグレさん!」
「あァ?」
 彼女に駆け寄り、ナーバ・キャンサ(猫又もどき・f33334)がきらきら瞳を輝かせる。ため息をつき、冷めた目でティグレは応対した。
「なんですか、猟兵様――」
「ダークリーガーのスポーツマンシップに僕、憧れてるんだ!」
 ナーバから飛び出した言葉に、ティグレが表情を変える。
 しっかりと約束を守って破らない。立場まで巻き込むギャラクシィリーグサッカーは少し極端にも感じるが、好感が持てるのは同じ。
「だけど思うんだ。なんか無理して敬語使ってそうだなって……」
 真剣なまなざしで、ナーバはティグレに向き合う。
「だから僕からのお願い! 自然体で戦って! そのほうがきっと、全力出せると思うし!」
 頼まれ、ティグレは口元を歪めて頭を掻く。
 調子が狂う。そう言いたげな顔で俯いてからナーバを見た。
 口角は微かに上がっていた。
「……わかった。このエル・ティグレの全力、喰らいついてみな!」
「うん! よろしく!」
 互いに拳を突き合わせ、笑う。
 ほどなくして試合は再開された。

 グローブを装着し、ナーバは握った拳を片手で包む。
「自然体のティグレさんか……どのくらい強いんだろ?」
 志願したポジションはゴールキーパー。
 敵はゴールに近づいてこない方がいい。わかっていても、ティグレの全力を想像して心を躍らせる自分がいる。
 その想像は現実に変わる。
「道開けな! 究極美少女ティグレが通るぜ!」
 巨大な雄牛がフィールドを疾駆。風を切り、暗黒星雲を纏って猛スピードでゴールへ迫る。
 ドリブルするティグレの目はギラついていた。
「来たね!」
「おいキーパー! お前にこれが止められんのかよ!」
 ボールを蹴り上げ、自身も跳び上がる。振り上げた脚、その踵で突き落とす。放たれたシュートは地上近くで湾曲し、加速してゴールへ迫った。
 受け止められても絶対に痛い。
 だが、願ってもない彼女の全力だ。
「逃げるわけにはいかないよね!」
 パァン! とナーバは両手を合わせた。
 瞬間、身体が溶ける。ドロドロに溶けた肉体は、重厚な壁となってゴールを覆う。
「ボールは通さない! 鉄壁のゴールキーパーとして!」
 巨大ぬりかべに変貌し、文字通りゴールを塞ぐ。
 直後、ティグレのシュートが突き刺さった。
 強烈な回転が壁の表面を削る。
「ぐぐぐぐっ……!」
 貫かれそうになりながらも自ら立ち向かう。
 反りかえり、ボールをコート外へ弾き飛ばす。最後の衝撃で、ナーバの身体は液状に弾け飛んだ。
「ぐあっ……!? 耐えきれなかったかぁ~……でも、ゴールは守れた!」
 スライム状のタールになって、ナーバは芝の上を転がった。
 そこにティグレが歩み寄る。
「止められたか……おいお前、大丈夫なのか?」
「大丈夫……めちゃくちゃ痛かったけど。でも、いいんだ」
 声色明るく、ナーバは言う。
「本気のシュート、受けてみたかったから!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード

なんか色々大変そうだねえ。
まあそれはそれとして、勝負は真面目にやろうか。
同情で手加減なんてされても嫌なだけだろうし。

さて、超銀河レベルとはいえ動物の力なら扱いは慣れてるんでね。
こういう突進が強いやつは、足場を崩す!
【泰山爆砕】でドリブルやパスを受けようとしてる相手の足元を崩して、
転ばせたりパスを受け損ねさせたりして突破力を発揮させないようにするよ。

シュートを撃たれた時だけは正面から【泰山爆砕】で迎え撃つしか無いかな。
重力反転を受けたら噴気孔を使って空中で姿勢を整えて、
【泰山爆砕】で受け止めたボールを蹴り返してシュートを撃つよ。
噴気孔は鯨のだから泰鯨爆進ホエール・ストライクって所かな。




 試合もいよいよ最終局面。
 終了まで数分を切り、相手チームはさらに勢いを増す。
「とにかく攻めろ! 猟兵の皆様ご主人様……アタシは諦めませんよ!」
 ドリブルで駆け上がり、ティグレが猟兵へ迫る。走るにつれて溢れ出した暗黒星雲が雄牛を象っていく。
「なんか色々大変そうだねえ」
 頭の後ろで手を組み、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)――ペトは呟く。
 接近するティグレを捉え、その腕を回す。自分のペースを保ちながらも視線は鋭い。
 あくまで勝負は真面目に。
 腕を垂らし、ペトはティグレに向かって走り出す。
「同情で手加減なんてされても嫌なだけだろうしね」
 暴れ牛のように自陣に突っ込んだティグレの側面へ回り込む。
 踏み切り、跳躍。拳を握り締めて腕を振り上げた。
 超銀河レベルとはいえ、動物の力なら扱い慣れている。普段から能力として使役しているからこそ弱点も把握済み。
「こういう突進が強いやつは、足場を崩す!」
 目を見開き、攻撃する先は芝。
 ティグレの走る地面が捲られ、ペトの拳を中心に亀裂が走る。
「がああッ!?」
 転倒し、ティグレがボールを手放す。転がったボールを受け止め、ペトは前方へ蹴り飛ばした。
「突破力が高まるなら、踏み込む地面を崩せばいい……これならもう攻められないよね?」
「いや、まだです!」
 立ち上がって踵を返し、フィールドの後ろへ。
 押し込まれたボールをチームメイトが受けてティグレにパス。片脚で空高く蹴り、ティグレも跳び上がった。自身に暗黒星雲のエネルギーを纏い、再び巨大な雄牛へ変化する。
闘牛直進ブル・ストライクッ!」
 踏みつけ、降下とともに蹴り出す。雄牛が乗り移って地表を駆ける。
 試合終了間際、意地のロングシュート。
 迫りくる雄牛。脱力しながらも、ペトは正面で構えた。
「なるほど。なら、こっちも最後まで勝負しようか」
 脚を引き、腰を落とす。
 軸足を固定し、薙ぎ払おうとするシュートに重い蹴りを放つ。
 衝撃と衝撃が打ち合う。獣竜の脚でボールを受け止め、歯を食いしばる。
 脚に力を籠めた瞬間、ペトの身体がふわりと浮き上がった。
「したことないですよね、重力が変わる体験は! その隙もらったッ!」
 浮かんだボールを狙ってティグレが走る。
 天地が逆転した状態で、ペトはにぃと笑みを浮かべた。
「面白いねぇ。けど、あたしは適応するのも得意なんだよ」
 背中の噴気孔から空気を噴射。漂う身体の向きを制御し、ボールを蹴り上げた。打ち上げられたボールに追従するように、噴射した空気で宙を舞う。
 噴射によって回転し、さらにスピードを高める。速度を乗せた蹴りに重ねるは、ティグレのシュートを受け止めた渾身の一撃。
泰鯨爆進ホエール・ストライク! ……なんてね」
 意趣返しのようなロングシュート。フィールドを貫くように突き進む。
 最早、誰にも止められない。キーパーを吹き飛ばしてゴールネットを揺らす。
 まさしく決定打。
 時を置かずして響くホイッスル。その音は、猟兵たちの勝利を知らせる音でもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月28日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト