バトル・オブ・オリンピア⑮〜海千、山千、巧み重ねて
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「誰が呼んだか、此処は我がテニスコート『ネオ巌流島』。刀をラケットに変えし事は、決して手加減などではない」
『
五輪書』を身体に刻んだ宮本・武蔵はテニスラケットを手にし、テニスコートに立つ――極めし戦意は言い伝えられる巌流島の戦いの様相の如く。
十分に伝わってくる覇気は『二天一流』のもの。
「いずれも、究極の大魔術詠唱儀式……即ちテニスの習得により、ここに完成を迎えた――!」
武蔵がラケットを振らば。
二つのラケットの間に生じた超魔力球の着弾は容易にアスリートを吹き飛ばし、無数のテニスボールはコート内を蹂躙するかの如く跳弾する。触れた物を裂くほどの威力だが、不思議とテニスコートは無事だ。ただ空中に起きる摩擦は鎌鼬。
二天一流「五輪の極み」は数多にやってくる対戦相手の
球を寄せ付けない。
「今の我を、エンパイアに伝わるかつての我と思わぬほうがよい。
我は、刀を手にしていた時より、遥かに強い……!
誰が呼んだか『テニス・フォーミュラ』、宮本・武蔵、参る……!」
かつて無敵とされた剣豪は、テニス・フォーミュラとなったことでさらに超越した存在となっていた。
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「宮本武蔵はとても有名な剣豪ですが、どうやらアスリートアース世界で死後の蘇りを果たしたみたいですね」
元はエンパイア出身みたいですが、と手にした書籍を見せながらグラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)は集まった猟兵たちに言った。
持つ本は宮本武蔵を題材にしたものである。
「武蔵さんは大魔術詠唱儀式「テニス」を極め、自身の流派「二天一流」と全身に刻んだ刺青型ユーベルコード「五輪書」を究極まで鍛え上げたみたいですね。やりたいことをやり続けることが出来て、その探求に――恐らくはまだ過程のその日々に満ち足りていることでしょう。
皆さん、彼の探求の成果に対し、少しばかり受けて立ってみたくはありませんか?」
武蔵は、己が極めた武と魔術の精髄を、無限に湧き出るテニスボールに籠め、恐るべきスピードで打ってくるらしい。
「武蔵さんは先制攻撃。そして無数に飛来するテニスボール……ユーベルコード「剣刃一閃」の効果を持つテニスボールに、私たち猟兵は対処しないといけないようです」
それは、猟兵の身体能力を問われたり、対処すべき戦術を問われたり。猟兵として様々な技を問われることになるだろう、とグラースは言う。
「テニスが分からなくってもいいんです。研鑚された武蔵さんの技を見てみたい、受けてみたい、それはもはや修行と一緒なのではないかしら?」
刀ではなく、ラケットを持った宮本・武蔵が稽古をつけてくれる。気楽に挑戦できる――その価値がバトル・オブ・オリンピアにはある。
「思い出してください。ダークリーガーの目的は、『いずれ異世界より侵略者が来たときの為に、アスリート達のスポーツ能力を鍛え上げる』こと。猟兵もアスリートも自己研鑽の機会です。楽しんでいきましょうね」
ねこあじ
テニスは分かりませんが、宮本・武蔵なら稽古つけてくれそう&修行のノリでいけそう!
という感じになりました。皆さんのプレイングにお任せします。
ねこあじです。
よろしくお願いします~。
プレイングボーナスは、
敵の先制攻撃に対処する/剣刃一閃テニスボールの大群に対処する。
こととなります。
週末での執筆なので、プレイングはゆっくりでも大丈夫だと思います。
採用・不採用は出るかもしれません。なるべく頑張ります。
第1章 ボス戦
『宮本・武蔵』
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POW : 二天一流「燕返し殺し」
【ふたつのラケットの間に生じる超魔力球】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
SPD : 二天一流「ホーミングファントム」
【二振りのテニスラケット】から発射した【無数のテニスボール】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
WIZ : 二天一流「五輪の極み」
【刺青型ユーベルコード「五輪書」】に封じた【地水火空風の5属性の都市破壊級魔術】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。
👑11
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別府・トモエ
「おうおう最強テニスプレイヤーが現れたと聞いて、私と踊っていただこう」
二天一流テニスに対し、無我テニスで挑ませていただこう
初撃は、というかあらゆるショットは今までのテニス生で培ってきたメンタルフィジカルテクニックで迎撃だ
回転を見切り、ダッシュでポジション、ラケットで受けて球を誘導していく戦術
テニスは全ての打球に追いついてコントロールすれば負けるわけ無いスポーツだからな
『YOU STILL HAVE LOT MORE WORK TO ON』
そして全ての返球に無我のオーラを込める
どれだけテニスボールを増やそうがその全てを私のモノにしてやんよ
さあいくぜ武蔵ちゃん、ボールの貯蔵は充分か
私の美技に酔いな
「今の我を、エンパイアに伝わるかつての我と思わぬほうがよい。我は、刀を手にしていた時より、遥かに強い……!」
古代バトリンピア遺跡のテニスコートで待ち受ける男が名乗りを上げる。
「誰が呼んだか『テニス・フォーミュラ』、宮本・武蔵、参る……!」
戦闘起動された五輪書と二本のテニスラケット。
アスリートたちにかわり、新たなるネオ巌流島での決闘に相対するは第六の猟兵たち――。
「おうおう最強テニスプレイヤーが現れたと聞いて、私と踊っていただこう」
ラケットを構えた別府・トモエ(ミステニス・f16217)の言葉に武蔵はひとつ頷いた。
「名は」
「私の名前は別府トモエ。とある大魔王ともテニスに明け暮れたテニス猟兵だ」
「相手にとって不足なし――行くぞ」
武蔵が二振りのテニスラケットを振らば起動した五輪書――風・水の力を纏うテニスボールたちが発射される。
風力を得たボールは直ぐにトモエのコートへと飛来し、トモエはノーバウンドで空高く打ち上げる。
同じ一陣の風を受けていたのだろう、新たに迫るボール複数の軌道は読みやすい。しかし回転速度があり一撃一撃が重い。足腰を据え打ち返すトモエ。
水の力を纏うボールは流水を相手にしているが如き手応えの無さ。一度バウンドさせ、ネオ巌流島に轟く重力を含ませてからのショット。
今までトモエが培ってきたメンタルフィジカルテクニックは、彼女の身体をコートで自在に泳がせる。
跳弾するボールは無数……! まだまだ極めの最中である両者のオーラのぶつかりあい。
二天一流テニスに対するトモエの無我テニスは、回転を見切り、ダッシュでポジション、ラケットで受けて球を誘導していく戦術。
(「テニスは全ての打球に追いついてコントロールすれば負けるわけ無いスポーツだからな」)
超重量級の地のボールを追うのも、高く高く打ち上げられた降下ショットを打ち返すのも、自身の身体能力とラケットの振り。そこにすべて集束される。
「どれだけテニスボールを増やそうがその全てを私のモノにしてやんよ」
なぎ払うように、迫るボールを打ち上げ続けトモエはニッと笑んだ。
「YOU STILL HAVE LOT MORE WORK TO ON」
それは無我の境地へと至るためのショット。
「テニスって楽しいなぁ♪ さあ、共に踊ろうぜ!」
飛翔能力を打ち返すための膂力にして。
「いくぜ武蔵ちゃん、ボールの貯蔵は充分か」
武蔵の打った無数のボール。返される二天一流・ホーミングファントムは、トモエのユーベルコードによって威力が倍増する。
「面白い」
強敵を前にした武人の覇気を放ちながら武蔵がラケットを順手逆手にと持ちかえ、迎撃態勢となる。対集団を得意とする二天一流の構えだ。
「私の美技に酔いな」
五輪書の力を纏い返されるそれはトモエ版ホーミングファントム。
トモエのコートから一気に放たれた無数のボール。宇宙を構成する五輪の力、その跳弾の軌道はまるで魔法陣のようにネオ巌流島を覆い、爆発的な威力を武蔵に叩きつけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オーガスト・メルト
相手があの剣豪となれば挑まない理由はないな
(竜素材製でとにかく頑丈なラケット【自作】を用意し逆手に構える)
【SPD】アドリブ歓迎
デイズ、ナイツ、グローム、お前たちは今回は見学だ
『うきゅー』『うにゃー』『チチッ』
まず先制攻撃は【見切り】と【逃げ足】で回避メインに徹する
…あの数のボールを全部は打ち返さなくても良いよな?
ラケットの耐久力は反撃までなるべく温存したいからな
反撃は【無限抜刀の構え】から、こちらへ向かってくる玉を跳弾する前に捉えて【吹き飛ばし】て打ち返す
反射させる玉の数をどんどん増やして、どちらが先に対処できなくなるか我慢比べといこうじゃないか
爆発的な威力のショットが宮本・武蔵、そしてネオ巌流島へと見舞われ、コート中に衝撃波が走る。
ネオ巌流島の新たなる決闘に対峙する猟兵たち――オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)はラケットを逆手に構え、揺らぐコート内その虚空に刻まれる五輪の力を見上げた。
「相手があの剣豪となれば挑まない理由はないな」
手になじむグリップサイズ、自身がスイングしやすいようにとフレームの厚みを調整したラケットはオーガストの自作である。
竜の遺物を加工したラケットに武蔵は直ぐに気付いた。
「良き
友を得ている。そのラケット捌き、見せてみよ」
「――来る。デイズ、ナイツ、グローム、お前たちは今回は見学だ」
『うきゅー』『うにゃー』『チチッ』と、白竜饅頭や大福形態の竜たち、蜘蛛ロボはぱぱっと客席へと陣取る。飛び跳ねたり鳴いたりしてオーガストの応援だ。
「受けきれるか、避けきれるか、我が二天一流・ホーミングファントムを」
刺青型ユーベルコード「五輪書」の起動によって地、水、火、風、空の力を纏うテニスボール。
無数のショットがオーガストのコートへと放たれる!
属性の色が虚空に刻み描く軌道は魔法陣の如く、そして勝ち筋へ至る道の如く。
「……あの数のボールを全部は打ち返さなくても良いよな?」
戦場に降る矢雨のようなボール。
地のボールはネオ巌流島のコートを揺るがす重量級。
水のボールは跳弾自体が重い。だが流水のように滑らかな動きは、恐らくは剣のいなしを何ともしないもの。
火のボールは触れたら皮膚が灼け切れてしまいそうなもの。
色宿るテニスボールのホーミングファントムを金の瞳に映し追い、見切りながらオーガストはコート内を駆けた。
まともに受け続けていればラケットの破損は目に見えるものばかりだ。
「ほう、生存本能を活かすは戦場において得策」
対集団戦を得意とする二天一流の使い手、武蔵はそう言ってオーガストを褒めた。
「精神の鍛えはどんなに最悪の環境であろうとも、勝ち筋を見出すもの」
然し耐えられるか。
そう言う武蔵のホーミングファントムの陣を潜り抜けてゆくオーガスト。
その時、風と空の力を纏うボールが彼を狙い定め飛来してくるのを視認した。
(「ここだな」)
反撃の筋。
究極の見切りは数寸先の未来も捉える。
走りに駆使していた片脚を突如自軸へと切り替えれば、オーガストの身体に遠心が宿る。
それはひらり舞うようにも見えただろう。僅かな滞空を利用し、一、二と回転を得て力溜められる到達点はラケットの振りに託された。
「我が抜刀に間合いは無用……万物万象すべてを打つ!」
跳弾へ至る前に捉えるテニスボースがガットに触れた瞬間、双方に生じた衝撃は一瞬繭のようになりそして竜巻の勢いをもって放逐される。
ノーバウンドに返すショットの威力は波紋のように無限に広がった。
風に舞う柳を切り、葉を裂く同等の吹き飛ばしは飛来する無数のボールを打ち返していく。
オーガストの間合いも守りも超越した必中の一撃は、なぎ払われる五輪の紋を虚空に描き、そのまま武蔵のコートへと跳弾した。
大成功
🔵🔵🔵
東・御星
スポーツマンシップに則り、ではないけど、
変化球よりも直球を打ち込んだ方が
いい結果になる事もあるのよね。
というわけで思いっきり稽古つけてください!
何せ戦闘経験はさほどない新参なので!
先制攻撃には受けの【結界術】【硬化】【オーラ防御】で固めたラケットで【瞬間思考力】でレシーブを返し、
無数の魔球には岬の【召喚術】【属性攻撃】を組み合わせてラケットに付与。
そっちも数で来るならこっちも数で対抗するまで。
岬の無数の【弾幕】をラケットに付与した受けの【結界術】を駆使して飛んでくる球にぶつけて、次から次へとやってくる球を返していく!
そしてラストは一気に突っ込んで【零距離射撃】で決め!
最後は握手でもしましょうか
「武の道を歩みは今ださなか。だが
究極の大魔術詠唱儀式は歓声を迎えた。この技、受けて立つ者はまだ居るか」
五輪書の力にネオ巌流島は揺るがされ、圧倒的テニスの力を見せつける宮本・武蔵の口上に会場が湧く。
そこへ、はいっ! と元気よく挙手した東・御星(紅塵の魔女・f41665)がテニスコートへと降り立った。
「こんにちは! 宮本武蔵、馳せたるその名は私も知っています。折角の機会ですから、私に思いっきり稽古つけてください」
「稽古か。それも良いだろう。自己を鍛錬し研鑚し続ける――その心、いつまでも持ち続けたいものだ」
ふ、と武蔵が笑んだ。
(「スポーツマンシップに則り、ではないけど、変化球よりも直球を打ち込んだ方がいい結果になる事もあるのよね」)
「戦闘経験はさほどない新参ですけど、よろしくね!」
ラケットを構えた御星に向き合う武蔵、起動されるは刺青型ユーベルコードの五輪書だ。
武蔵が二振りのラケットを振らば無数のテニスボールが発射された。
地、水、火、風、空の力を纏うボールは彩ある矢雨の如く、虚空から御星のコートへと飛来せんとする。
「まずは見極められるか?」
「……! ――ここ!」
真っ直ぐに飛んできた武蔵のレシーブ球を捉え、駆けながら御星はグリップを握る。
自身のオーラで包み込んだラケットの防護を高め、受けた衝撃を和らげる結界術を周囲に張り巡らせた。
ボールの着球には瞬時にガットを傾けてレシーブを返す。
その時、相手コートへと返っていく一つのボールを色とりどりのボール群が呑み込み御星のコートへとうとう到達する。
「岬ちゃん、いくよ。一緒に!」
御星がラケットを振るい中空に文字を描き放つは『氷炎龍壱ノ型・「岬」』。
氷炎龍の無数の氷の礫と炎の小型機雷を結界として周囲に張り、武蔵の一球一球を迎え撃つ。
二天一流の技は二刀。すなわち二本のラケットを駆使して冠するもの。反りの浅い刀を持っていた過去の彼故に研鑚された武蔵の腕力。その力にラケットとボールは見事応えていた。
御星もひとつひとつに応えていかねばならない。
地の重量級ボールの跳弾を硬化させたガットで防ぎ、流水の如き掴みどころなく飛来するボールには氷の礫とともに打ち返し、灼き切る火のボールには機雷を集束させ一時の炎の盾。
数多なく訪れる刹那に対応を余儀なくされる武蔵のホーミングファントムに、御星は懸命についていく。
「手数は十分か。だが身動きできぬであろう――」
どうする。と問う武蔵に、御星はきりりと緑の瞳を向けた。そこには気勢高じた覇気ある若葉色。
「こうする、のよ!!」
「……!」
コートを駆け、武蔵の眼前へと一気に突っ込んで氷炎龍を零距離で撃つ!
交差する武蔵のラケットと御星のラケット。
「武人にとって間合いって、大事なのよね?」
御星の語るセオリーに「初心は大事だな」と彼は呟いた。
「稽古、つけてくれてありがとう!」
爽やかにそう礼を言いながら御星が手を差し出せば、しっかりとその手は握り返された。
「巌流島の戦いと呼ばれるかつての決闘は我が転機となった。此度のこの戦いが、其方の転機となることを願う」
大成功
🔵🔵🔵
真宮・律
・・・・宮本武蔵。二天一流の剣豪。剣使いなら知っている達人だ。何でテニスを極めたか経緯をツッコミたいが、まあまずは脅威を退けるのが先だ。ただでさえ達人だ。気を抜いたらたちまち銀河の彼方まで飛ばされかねない。
攻撃を凌ぐのか。きついな。【残像】【瞬間思考能力】【心眼】【勝負勘】を駆使して超魔力球の直撃だけは避けたい。ダメージは【オーラ防御】【結界術】で凌ぐ!!
攻撃を凌いだらこちらの反撃だ!!多分純粋な剣術では叶わないので鳴雷の意志発動!1勢いに任せて突っ込み、【怪力】を込めた剣の突きでぶっ刺す!!
アンタとは剣術で相対したかったが、専門外でも極めるのは達人故なんだろうな。
「ネオ巌流島での決闘、受けて立つものは居るか」
「では次は俺が――真宮律だ。よろしくな」
テニスコートに立つ宮本・武蔵の呼びかけに応えたのは真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)。
「宮本武蔵だ。こちらこそよろしく頼む」
「……アンタの高名は聞き及んでいるよ」
(「宮本武蔵。二天一流の剣豪。剣使いなら知っている達人だ」)
ふと武蔵は律の言葉を受け、彼の顔を見据えた。
「ならば試合うか――」
ラケットを持ち何故テニスを極めたのか、その経緯にツッコミたい律ではあったがまずは脅威を退けるのが先だろう。
頷くと同時、武蔵の五輪書が起動し、
究極の大魔術詠唱儀式が始まった――。
武蔵は己が極めた武と魔術の精髄を、無限に湧き出るテニスボールに籠め、恐るべきスピードで打ってくる。
地のボールはネオ巌流島のコートを揺るがす重量級。
水のボールは水を含んでいるのか跳弾が重い。だが流水のように滑らかな動きは、恐らくは剣のいなしを何ともしないもの。
火のボールは触れたら皮膚が灼け切れてしまいそうなもの。
剣刃一閃の如き苛烈な一球は当たれば、人の身を切断してしまうものだ。
「攻撃を凌ぐ――なかなかにきついな!」
律は心眼と思考を冴え渡らせ、五輪書の力を纏うボールに集中した。
飛来する斬撃の威力を持つ球を避け、避けきれない時は瞬間的にオーラを盾のように集束させ弾く。
武蔵が振るう、ふたつのラケットの間に生じた超魔力球が放たれ、クレプスキュルを刹那に掲げた律は結界を構築する。着球の瞬間、赫き雷光が周囲に迸った。
吹き飛ばす衝撃波と共に赫き雷光が虚空を駆け、一瞬の隙を抱く時間が生まれる。
二天一流・燕返し殺しは武蔵側レシーブの仕上げの一打でもあったのだろう。
ほんの僅か、滞空した時に反応し駆けるは律だ。
(「攻撃を凌いだら――」)
次は律の反撃だ。
相手は宮本武蔵。恐らく純粋な剣術では敵わない、と、律はそう判断した。
生を掛けて、さらには死後も武を極めんと研鑚してきた時間は、途方もなく、そして追いつくことのできない時の長さだ。両者、武人で研鑚を重ねるが故に。
鳴雷の意志を赫雷と共に轟かせ、律が翔ける。光よりも音よりも、速く在ろうとする剣速は彼方に飛ばす武蔵の一球を超える。
翔けるクレプスキュルに自身と時速の重力を乗せて。
燕返し殺しを殺す律の一閃が武蔵へと叩き込まれた。
「アンタとは剣術で相対したかったが、専門外でも極めるのは達人故なんだろうな」
「――若い、だが一刀を極めぬくのもまた武人の道なり。励め」
成功
🔵🔵🔴
夜刀神・鏡介
本人の選択肢に文句を言う権利はない……が
やはり、宮本武蔵とは剣で勝負したいという思いがある
まあ、ボヤいた所で何も変わらない。相手が強者なのは間違いないし、気を引き締めてかかろう
神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化
一箇所に留まれば、ただの的だ。全力でダッシュしながら斬撃波でボールを弾き、あるいは刀で受け流していく
だが、無数のテニスボールを相手にいつまでも避け続ける事はできない
周辺のボールを纏めて薙ぎ払い、一度空白を作って立ち止まり。呼吸を整え、武蔵を見据えて神刀を振るう
絶技【無常】で此方に向かってくるボール全てを武蔵に跳ね返し、その隙に接近
反射したボールに対処した所に、斬撃を叩き込む
次々と対猟兵の試合が行われていくネオ巌流島の戦い――。
自陣であるテニスコートから宮本・武蔵が出ることはないが、スポーツマンシップに則った純粋なる戦闘は時にして直接ラケットと刃を交えるものともなる。
もちろん、スポーツの一環(修行?)ではあるので命のやり取りはなく。
新たなる手――猟兵側コートへと降り立つは夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)だ。
(「本人の選択肢に文句を言う権利はない……が」)
やはり、宮本武蔵とは剣で勝負したいという思いが鏡介にはあった。
「まあ、ボヤいた所で何も変わらない。相手が強者なのは間違いないし、気を引き締めてかかろうか」
「何事にも油断は禁物だ。では、試合おうか――参る」
生前の宮本武蔵は反りの浅い刀を持っていた。ということは重心は自身の腕に寄らないということだ。其れを二刀。剛腕にして剛剣の使いだった者がラケットを握る。
流水に打つ剣。飛沫すら上げぬ一刀流の振りが双方に備わる武蔵のラケット捌きが、数多のテニスボール打ち出していく。
そのすべてが鏡介のコートに、否、鏡介に向けたものだ。跳弾の軌道さえ計算し尽くされた、
究極の大魔術詠唱儀式。
神刀【無仭】の封印を解除し、一瞬にして神気を纏った鏡介は強化された身体能力を駆使しコート内を駆ける。
(「一箇所に留まれば、ただの的だ」)
空を裂く剣刃が行く手へとくれば、彼我の距離があるうちにと鏡介は神刀を振るう。斬撃により放たれた衝撃波が五輪書の力を纏うボールを弾き飛ばし、空高く打ちあがった。
「よく走る――これは如何か、二天一流・ホーミングファントム」
武蔵が二振りのテニスラケットを振れば新たなテニスボール。
重力を含む地のボールはネオ巌流島のコートを揺るがし、風のボールは回転数を跳ね上げ、水を含んだ水のボールは跳弾が重い。
五大の力を纏うテニスボールが跳弾すれば、その彩りある軌跡は刹那の立体的な魔法陣を描くが如く。
これをすべて避けきるのは不可能だろう。
(「そして、このまま無数のテニスボールを相手にいつまでも避け続ける事はできない」)
下段から斬り上げ、刀を返して薙げば生じた衝撃波が一拍の時差で四方へと広がっていった。纏めて薙ぎ払われた無数のボールたち。時にして一瞬ではあるが、空白地帯が作られた。
「参る」
呼吸を整えた鏡介が武蔵を見据えて神刀を振るえば、一瞬武蔵は警戒の構えとなった――が、直ぐにその斬撃は次手に飛来するテニスボールに向けたものと明らかになる。
点を視て、
戦場を鏡介は俯瞰する。
「我が一刀、悉くを斬り返す――絶技【無常】」
眼前に迫るボールを神刀で断てば、繭のように鏡介を覆っていた神気が膨らみ剣圧とともに放逐された。その勢いは爆発の如き解放。
ネオ巌流島を平らげていくかのように拡がる神気と剣圧はすべてのボールを跳ね返し、武蔵が新たに五輪書を起動する。ボールを制御する風と空、ワンバウンドを打ち上げる地の陣が展開されたその時、鏡介が肉迫した。
武蔵がラケットを振り上げる――されど鏡介の速度に対し二本のラケットは重すぎた。下段からのラケット振るいをいなし、武蔵の胴元へと神刀を叩き込む鏡介。
「敵に手数を与えたか――見事」
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
武蔵が刀を捨てていたことに侍として慟哭
目を醒まさせてやる
神鳴とアークウィンドの二刀流でコートに立つぜ
風の衝撃波で相手ボールの勢いを弱め、神鳴の峰打ちで撃ち返す
切味鋭い打球は受け流すよ(スコア?)
ちっ、右目が潰れた。内臓と骨も何カ所かいったな…
何発か喰らったら己が間違いを謝罪しよう
テニスは命賭けであること、ボールネットは死線だと認めるよ
だがアタシはまだ死んでいない!
覚悟と勇気で前へ前へと進む
跳ねる回数の少ない
ネット際で勝負を掛けるよ
全身から血を吹きながら球数を上回る怒涛の殺戮剣舞で撃ち返す
ボールと共に二刀からフルパワーの雷属性・風属性攻撃の斬撃波をぶち込むぜ
侍道はかくも険しいもの也―
「武蔵! 何故、刀を捨てた!?」
神鳴とアークウィンドを手に、コートに立った四王天・燦(
月夜の翼・f04448)はそう慟哭した。
刀を捨てるなど、侍としてあり得ないことだ。
「――若いな。ここで我が得たものは、殺し合わず、競い合う事で生まれた恒久の平和」
故に、命と飯を危惧する事無く、老いて死すまで武の道を歩むことができる。
宮本武蔵を知るものは、彼が描いた水墨画も知っているだろうか。
武の道を歩み、けれども描かれた画は素朴でどこか親しみを覚えるものが多い――。
「我が生みし五輪書、そして二天一流を極めるため、
究極の大魔術詠唱儀式が必要だった。それだけのこと」
二振りのテニスラケットから発射する無数のボールの威力は迷いなき剣刃だ。
空を裂き、地を穿ち跳弾するテニスボールは容赦がない。
五輪の力を纏う二天一流・ホーミングファントム――地の重力を含むボールの跳弾、回転数を増した空のボール、鎌鼬の如く螺旋を描き飛ぶボール。
そのすべてをまともに受ければ無傷ではいられないだろう。
燦が妖精の祝福を受けた風属性の短剣『アークウィンド』を振れば旋風が発生し、飛来するボールの勢いを削いでいく。
神鳴の峰打ちでボールを打ち返すも、しかし武蔵のボールは次々と襲い掛かってくる。
戦場となれば波状攻撃ともなろうテニス。
一撃を喰らえば、そのぶん即応はできなくなる。
一球一球に後れを取れば燦の身体は傷つき、ボールは赤く染まった。
(「ちっ、右目が潰れた。内臓と骨も何カ所かいったな……」)
ネオ巌流島での決闘――試合えばそれは命のやり取りに近い。
間合いを取り、燦は声を張る。
「謝罪しよう、武蔵。テニスは命賭けであること、ボールネットは死線だと認めるよ」
二本のラケットの間合いは、刀の間合い。
生前、反りの浅い二刀を扱っていた武蔵は剛腕、そして剛剣の使い手だ。基本の一刀流はもちろん、対集団に長けた二刀を軽々と扱って来た鍛錬と研鑚は並のものではない。
「だがな、武蔵。アタシはまだ死んでいない、まだ動けるんだ!」
燦が見極めたもの――死線――それは先程告げたボールネット間際。
「!」
武蔵がはっとした表情を、一瞬浮かべた。
テニスボールが越えるネット……その際は跳弾回数が少ない域だ。
速く・重く・鋭く。空域へと飛び込んだ燦の荒ぶる剣戟が、肉体の限界を凌駕する。
神鳴から雷閃となる斬撃波、アークウィンドから発生する風閃の斬撃波が飛来するボールを弾き返し共々に武蔵へと放たれた。
「まだまだ行ける……動けアタシの体ァ……!」
剣刃の一球に裂かれた肌から飛沫する赤は複数――されども一刀に籠めた斬撃は討つことを決めた力ある魂。
死線を越え肉迫したのは燦のほう。
「届ける刃は其処に命あるからこそ――侍道はかくも険しいもの也――」
思い出せ、武蔵。
ネオ巌流島に滲みゆく血潮は、かつての時に馳せるものだった。
成功
🔵🔵🔴
七那原・望
無数のテニスボールがありますし、手数は二刀流どころじゃないですね。それにほぼ全ての攻撃が一撃必殺。
対してわたしの攻撃も一撃必殺。
なるほど、やってることは結局命のやり取りではないですか。
魔力球にせよ大量のテニスボールにせよ当たればおしまい。
だから防御は考えず、強化属性の全力魔法で身体能力とスピードを限界突破。
第六感と心眼と気配感知と聞き耳で敵の行動やテニスボール、魔力球の軌道を見切り、回避しながらテニスボールが飛ばないであろう敵の背後に常に位置取るように動きます。
十分に間合いを詰めたらスタッカートで絶・蘇威禍割を叩き込み、追撃の剣閃で終わらせます。
届きました。これで試合は終わりです。
血の滲むテニスコートの気配を感じ取り、七那原・望(比翼の果実・f04836)はどこか醒めた声で呟いた。
「次はわたしと試合いましょう、武蔵さん」
「心眼の使い手か――よかろう」
宮本・武蔵の言葉に、どうでしょう、と望は僅かに顔を傾けた。こちらの手を明かすのは得策ではない。
対を成す黒き妖刀と白き聖剣を手にした望へ、「其方も二刀の使い手か」と武蔵は言った。
「……ええ、真っ当な二刀の使い手として、勝負致しましょう」
この問いらしきものには応える望。
「いざ、参る」
「はい」
どこか淡々としたやり取り。武蔵の刺青型ユーベルコードである五輪書が起動し、瞬時に無数のテニスボールが望のコートへと飛来した。
剣刃一閃の力を含むボールは空を裂き、地を穿ち、跳弾は返す刃の一閃。
「魔力球にせよ大量のテニスボールにせよ当たればおしまい、ですね……」
跳弾に迫るボールを専念回避すべく、望が身体能力を駆使し翔ける。魔法を全力全開に身体へ行き渡らせた身体強化。
翼の羽撃ちは一瞬の方向転換となる。
五大の力を纏うボール群を自身の第六感、そして心眼で避け、一球一球の軌道の感知に神経を研ぎ澄ませていく望。
(「無数のテニスボールがありますし、手数は二刀流どころじゃないですね。それにほぼ全ての攻撃が一撃必殺」)
武蔵から立つ剛球の音を常に耳に留め、望は間合いをはかる。
(「対してわたしの攻撃も一撃必殺」)
くすり。と幼く薄い唇が僅かに弧を描いた。
「……なるほど、やってることは結局命のやり取りではないですか」
緩急をつけて駆けて、翔けて、一球を撒いて徐々に武蔵へと迫っていく。ひらりひらりと舞う蝶のように、気まぐれのように思わせて。
「夢奏・スタッカート」
相棒の名を呟く声は、淡い淡い歌。
たんっと水面を打つように軽やかな跳躍は、翼音すら立てぬ静かなもの。
ネオ巌流島。其れはかつて巌流の兵法者にちなんでつけられたものか、否か。水を割る岩の飛沫を刺すように、切れぬ水流を切る刃先のように、静寂を思わせる望の刃。
「届きました。これで試合は終わりです」
超高精度かつ神速の一刀は武蔵の横手から入り、武蔵の身体を裂いた箇所から無数の剣閃が放たれた。
「心眼の使い手は手練れが多い――美しく、見事だな」
望のユーベルコード『絶・蘇威禍割』が、武蔵に刻まれた五輪書を削ぎ、彼の誇る
究極の大魔術詠唱儀式に罅を入れた――。
成功
🔵🔵🔴
木元・祭莉
ふふーん、木元まつりんこ参上!
アンちゃん(f16565)、いいわね行くわよ!
あ、二ラケツ ト流だね?
じゃあ コッチは……
秘技・二人羽織!(じゃじゃーん☆)
これでこちらは四腕ラケット流よん♪
ぶん回しでサーブを薙ぎ払って行くわよー!
ときどきアンちゃんのラケットも混ざってるケド、細かいコトは気にしなーい♪
フフフ、武蔵、破れたり!
後の後を取って、反撃だー! よ♪
超魔球を放ってきたトコで、ダッシュあんどゴー!
ふき飛ばされても、逆に疾走して距離を詰め。
そのまま体当たりあんどパーンチ、ですわどーん♪
よっしゃ!
え、反則? ラケットぶつけるのも?
あー。
ゴメンナサイ(ふかぶか)。
……ダメかしらぁ?(てへ♪)
木元・杏
まつりん(祭莉・f16554)と…、まつりん、こ?
ん、一緒!
ふふ、てにす。わたし強いよ?
ルールも知ってる。コート向こうの者の顔面にスマッシュをおみまいするヤツ
…ん?違う?
ふんふんとまつりんの作戦を聞き、まつりんの肩に乗っかり仁王立ち
二人羽織、よし
片手にフライパンぽい桜色ラケット
片手にフラ…ラケットぽくした灯る陽光
きっ、と武蔵を見据え第六感とUCでボールの軌跡を読んで跳弾対策
接近する球は怪力込めて打ち返し、遠くの跳弾はフラ…ラケット投げつけ打ち返す
返す球は弾道計算で弾き出した軌道に飛ぶ、はず。…はず?
力加減諸々は計算に入れてないからちょっと武蔵の顔面も危険が危ないのは致し方なし
ん、テニス楽しい♪
「ふふーん、木元まつりんこ参上! アンちゃん、いいわね? 行くわよ!」
「うん、まつりん! うん? まつりん、こ……?」
妹の髪飾りを一つ借りて、すっかりまつりんことなっている木元・祭莉(これはきっとぷち反抗期・f16554)の言葉に若干首を傾げながら木元・杏(ほんのり漏れ出る食欲系殺気・f16565)は「ん、一緒に!」としっかりと頷いた。
「ふふ、てにす。わたし強いよ? ルールも知ってる。コート向こうの者の顔面にスマッシュをおみまいするヤツ」
そう言ってぶんぶんとスマッシュポーズを繰り返す杏が持つのは桜色☆フライパンだ。
「武蔵に倣ってこちらも二ラケット!」
もう片方の手には振らば暖陽の彩が花弁の如く舞散る、灯る陽光だ。今日はラケットっぽい形になっている。
「次の第六の猟兵は――ダブルスか。よかろう」
ネオ巌流島にて待ち構える宮本・武蔵は双子の姿を見て、そう言った。だが即「ちがうわよ!」とまつりんこの否やが入る。
「こちらは、だぶるシングルス羽織になりますのよ!」
「ダブルシングルス」
「羽織??」
武蔵、杏と続いて疑問の声が返ってきて「いーい? アンちゃん」と祭莉はこしょこしょと杏の耳元で説明を始める。
ふんふんと兄の考えた作戦を聞いて、「わかった」と杏は祭莉にひらりと背負われて、さらに肩によじのぼった。
まつりんこの肩上で仁王立ちの図。
「秘技・二人羽織! これでこちらは四腕ラケット流よん♪」
「あしゅらマイナス二、流!」
まつりんこと杏と言っていることはバラバラだが、武蔵はよかろうと頷いた。
「息を合わせることも重要となるお前たちの
究極の大魔術詠唱儀式、我に示すといい」
刺青型ユーベルコード五輪書を起動させ、武蔵が放つは二天一流・ホーミングファントムだ。
五大の力を纏う無数のテニスボールがまつりんこと杏のコートへと飛んでくる。
「まつりんこ、右!」
「おっけーよん♪」
双子ならでは。呼吸を合わせ駆けるまつりんこと杏の動きは、まるで10秒先の未来を見てきたかのように。
杏は灯る陽光を瞬時に大きくしては風纏い回転数の多いボールを複数打ち返し、空と同化し飛来する透明ボールに対しては桜吹雪かせるように数多に飛光させ弾き返した。
重力を含む地のボールにはまつりんこがラケットで叩き返し、魚のようにひらり動く変化球は、野生の本能を働かせて捕らえ打ち返す。
「フフフ、武蔵、破れたり! 後の後を取って、反撃よー!」
まつりんこの動きに、杏は慣れたように立ち方を変えるのでまるで舞台上で踊っているかのようにも見える……否、まつりんこは実際台になっているのだが……。
返されるボール群を二つのラケット、そして五輪書の力で武蔵も捌いている。
杏の弾道計算で弾き出したボールは武蔵の顔にも飛んでいく――それも逆手に持ったラケットの柄で防がれていた。
「よく動く――ならば、こちらも。二天一流・燕返し殺し」
刹那に雷光を迸らせた超魔力球を武蔵が打つ。それだけで虚空が轟き尋常ではない衝撃波が放たれた。
「まつりんこ!」
「はぁい♪」
灯る陽光の花弁(ちょっと大きい)を一気に降らせた杏からのパスに、まつりんこは天地の綾帯をぶん回して風を巻き起こす。
まつりんこを中心に吹雪いた光の花弁は迫る剣刃の如きボールを次々に弾き、周囲に空白地帯が生まれる。
追撃ボールが来ても杏が対処できる視界のなか、白炎を纏いまつりんこが武蔵めがけて駆け出した。ガキン! とフラ……ラケットとボールのぶつかり合う音が何度も何度もまつりんこの上で立つ。
まつりんこは武蔵のボール『燕返し殺し』の軌道を読み僅かに避けるも、吹き飛ばしの力は強い。しかしそれをまつりんこは利用する。
予測される着弾よりもより一歩前とした交差は、まつりんこの背を押す風となった。
「いきますわよ~! このまま体当たりあんどパーンチ、ですわ!!!」
どーん♪ と吹っ飛んだまつりんこは武蔵に拳を叩きつけて、ついでに杏もフラ……ラケットを武蔵の頭に叩きつけた。
「ん、良い音♪」
「よっしゃ!」
おいらたちの勝ち!? だよね!? 一発いれたもんね!
と、飛び跳ねる祭莉とその上で飛び跳ねる杏。
「
究極の大格闘流、魅せてもらった」
たんこぶが出来てしまったな、と武蔵は呟いて。
双子と熱い握手を交わしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鐘射寺・大殺
お主が宮本武蔵か!伝説の剣豪だと聞いておる。だが、まさかテニスプレイヤーに転身しておったとはのう!
我輩も、学園ではテニスの魔王様と呼ばれる身。いざ勝負!
《武器に魔法を纏う》強化を施し、ラケットを超人スポーツ仕様に。【剣刃一閃】の攻撃には、こちらも《斬撃波》をぶつけて応戦する!我輩は剣の悪魔、お主とはシンパシーを感じるのう!
燕返し殺しに吹き飛ばされながらも、川村クリムゾンの助けを借りて《空中機動》で姿勢を制御。こちらも負けじと【覇道球】で反撃するぞ!
武蔵の攻撃は激しいが、無心にボールを打ち合う時間が単純に楽しい。そしてその中で、感覚が研ぎ澄まされていくのを感じる。スポーツはこうでなければのう!!
「お主が宮本武蔵か!」
新たに
ネオ巌流島に降り立つ猟兵は、鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)。
「如何にも、我が名は武蔵」
「伝説の剣豪だと聞いておる。だが、まさかテニスプレイヤーに転身しておったとはのう!」
「其方、手練れと見る。名は」
愉快そうに笑う大殺の姿を見て武蔵は端的に問うた。
ラケットを構える大殺の姿も、如何にも『
手練れ』のもの。
「我輩の名は鐘射寺大殺! 誰が呼んだか、テニスの魔王様として日々部活に励んでおるわ」
そう、大殺は砕魂王国の若き魔王。そして学園ではテニス部。テニスの魔王様と呼ばれる身だ。
「相手にとって不足なし、か。ではいざ尋常に――」
「勝負!」
決して張り上げてはいない二人の声が不思議とネオ巌流島に轟き、歓声が周囲から上がった。
武蔵の五輪書が起動し、無数のテニスボールが打ち出される。
重力が宿る地のボール、虚空の色に同化する空のボールは風圧を纏い、天地の重々しい打球が大殺のコートへと入ってきた。
「受けて立とう!」
魔力を流し込み、ラケットを超人スポーツ仕様に強化した大殺が薙ぎ払うようにしてラケットを振るえば、広範にそして間断無き風刃が起こる――飛来するテニスボール――切断の魔術を持つ五輪ボールは相殺するが如くの斬撃波に打ち返されていく。
「我輩は剣の悪魔、お主とはシンパシーを感じるのう!」
覇気を籠めながらも楽しそうな大殺の声に、武蔵もまた口端を上げた。
「刀も剣もラケットも同じものだ。今の我は得物選ばずの剣豪ともいえる」
生前、反りの浅い二刀を使っていたという武蔵。ラケットの重量もまた腕に負荷がかかるものだ。それを物ともしない腕力で振るうラケット捌きは大殺も目を瞠るもの。
虚空を裂くラリーが続くかと思われたその時、僅かに姿勢を低くした武蔵がラケットを交差させるように鋭く振るう。
「二天一流・燕返し殺し」
瞬時に超魔力球が打ち出される。
「む」
対戦相手を彼方へと吹き飛ばすボールの風圧は広範囲。
部活動で鍛えられた大殺の身すら軽々と上空へと吹き飛ばし、彼の赤いマントが空中でばさりと広がった。
『魔王様、やはり好き嫌いはいけませぬぞ! 木の葉の如き舞い上がりではありませんか!』
大殺の食生活に対して苦言を申すは赤いマント。
「煩いぞ、川村クリムゾン」
それ、仕事をしろ。と川村クリムゾンを翻し、吹き飛ばされた体勢を整える大殺。刹那に得た滞空に上半身を捻る。
こちらも負けじと反撃――打ち上がっていた暴風纏うテニスボールに魔王の覇気を叩きつける。
「フハハハ! テニスの魔王様と呼ばれる、我輩の必殺ショットを喰らうがいいわ!!」
必殺・覇道球!
高度ある場から打ち返した瞬間、弾丸みたいに超加速するテニスボール。
王の覇道が巻き込み穿つ地は、クレーターが出来るほどの威力だ。むしろネオ巌流島でなかったらクレーターが出来ていた。
超威力のボールを武蔵は弾くもガットが破壊された。
「――! 面白い。ならば五輪書・火のショットはどう受ける?」
焔翔け、流星の如きボールが交わされゆくラリー。
五輪書と覇道球、雷気すら迸る
究極の大魔術詠唱儀式がネオ巌流島に轟き続けている。
(「武蔵の攻撃は激しいが、無心にボールを打ち合う時間は単純に楽しいのう」)
「――感覚が研ぎ澄まされていくのを感じるぞ! スポーツはこうでなければのう!!」
「まさしく!」
大殺に呼応し、珍しく声を張る武蔵。
ネオ巌流島で、二人は熱く試合うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リコ・リスカード
テニスって魔術なの!?
しかもそれを極めた人――そう聞いたら、会ってみたくなるに決まってる。
テニスはよくわからないけど……ラケットは大きくても良いのかな?
行ける?シャーキィ。
ふふ、なんかちょっと気合入ってる?
UCを展開し、いざコートへ。
これはテニス。先制攻撃も剣刃一閃のボールも取り零さないのが大事。
『武器に魔法を纏』わせ、『武器受け』の要領で打ち返すよ。
最初は打ち返すので精一杯かもだけど、UCのおかげで攻撃を受ければ受ける程俺の動きは良くなる。
あなたは刺青で自己強化するんだよね。俺は傷なんだ。
重い一撃も鎌鼬も素直に受けてたわけじゃないよ。
武と魔術を極めた人との手合わせって、こんなに楽しいんだね。
宮本・武蔵の刺青型ユーベルコード『五輪書』が起動し、テニスボールを通じ叩き込まれる
究極の大魔術詠唱儀式。
暴風渦巻く回転数、炎纏うボール。武蔵のラケットから発射される無数のボールは地・水・火・風・空の属性を迸らせ、その軌道はまるで魔法陣のようにも見える。
「テニスって魔術なの!?」
そう言ってわくわくとネオ巌流島に転移したのはリコ・リスカード(異星の死神・f39357)。
五輪書といえば兵法書として有名だが、それが魔術さらには極めた人物ともなれば会ってみたいと思うのも道理。
「テニスはよくわからないけど……ラケットは大きくても良いのかな?」
ふとした疑問を抱いたリコが見学する武蔵と猟兵との試合では、猟兵は愛用の武器を使っていたり、自身の魔力で改良したラケットを使っていたり――「何でも良いみたいだね」と彼は安堵した。
じゃあ、と手にしたのは相棒でもある終の顎門。
「行ける? シャーキィ」
無数の刃が生えた大型呪剣は自ら動くことはないが、意思があるかのようにリコが流す魔力に応える。打てば響くような終の顎門の波動にリコは思わず笑む。
「ふふ、なんかちょっと気合入ってる?」
それじゃ、行こうか。
魂の影を纏い、リコは空いたテニスコートに向かって跳躍した。
「次の挑戦者は其方か。我が名は宮本武蔵、いざ参る!」
「リコ・リスカードだよォ。よろしくねェ」
ネオ巌流島のコートに降り立った瞬間から試合の場となる。リコが刃を鳴らしシャーキィの顎門を開くと同時に、武蔵が二本のラケットを振るう。対戦者に向かって十字を描いたラケットから数多のテニスボールが発射された。
(「これはテニス。先制攻撃も剣刃一閃のボールも取り零さないのが大事」)
剣刃一閃並の切断力を持ったボールには瞬間的により強化した終の顎門で受ける。着弾時に盾のように受け、そのまま薙ぎ払い時間差で飛来したボール共々打ち返した。
受けの一手はより丁寧に、そしてショットは力強く。
五輪を纏う地属性の重い一打も、空に同化する魔球のようなボールもリコとシャーキィは拾いに駆ける。
振るう鮫剣は時に顎を広げ、時に閉じては強打を受けて。
取り零せば当然強烈な一閃がリコを襲った。
「よく耐える――否、冴えを積んでいるか」
リコが自身に施した『魂の影』と電脳魔術による攻撃型障壁は、武蔵のボールを受けるたびに魔術刻印に置き換えられていく。
やがて魔術をガットのように周囲に張り巡らせ、狙った場所に向かってボールを返し始める傷の魔術師。
武蔵も負けてはいない。リコの魔術纏うボールを二天一流・五輪の極みで打ち返しては、都市破壊級の魔術を轟かせていた。
「あなたは刺青で自己強化するんだよね。俺は傷なんだ。――重い一撃も鎌鼬も、素直に受けてたわけじゃないよ」
ラリーのなかで傷とともに積まれていくリコの冴えは動きにも意識にも反映され、やがて確実で強烈なショットを放っていくことだろう。
だが、一撃一撃に対しては無敵にはなるが、ダメージを溜めこんでいく武蔵の五輪書は――……。
このラリーが続けば続くほど、終わった瞬間に大ダメージに襲われるのは、武蔵。
「だが其れもよかろう。何故ならば、我々は『
大魔術詠唱儀式』の最中なのだから」
描かれていく
魔法陣。
武蔵はその完成を楽しみにしているようでもある。
「武と魔術を極めた人との手合わせって、こんなに楽しいんだね」
大魔道士の一打を受けながらリコがそう呟けば、終の顎門は高らかな音を響かせた。
大成功
🔵🔵🔵
剣未・エト
「僕の世界でも貴方の名は残っていて授業で習ったよ。剣未エトとくーちゃん。全力で挑ませていただく!」
狙って撃ち込まれた超魔力球にラケットは折れ吹き飛ばされる
「くっ!」
滞空で躱せない所に剣刃一閃ボール群が襲うが、生えている地縛霊の鎖をコート中央のネットに絡めて体を引っ張って緊急回避
追い打ちのボール群は回避できないので詠唱銀を巻いてUC発動、数には数で対抗し切断される前提で無数の刃で迎撃しながらネットに接近
「貴方が二天一流なら…」
詠唱銀で新たに詠唱ラケットを生成しスマッシュを放つ
「僕達は、二人で猟兵だ!」
打ち返そうとする武蔵に対し、ボールに張り付いていたくーちゃんがボールを蹴って軌道を変えるのを狙う
刺青型ユーベルコード『五輪書』を起動させた宮本・武蔵がテニスボールを通じ叩き込む
究極の大魔術詠唱儀式。
ボールの回転数に暴風は起こり、水龍が如き軌道のボール。武蔵のラケットから発射される無数のボールは地・水・火・風・空の属性を迸らせ、その軌道はまるで魔法陣を描いているかのようだ。
ネオ巌流島へと降り立った剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)は、魔力が満ちるコートにて声を張った。
「僕の世界でも貴方の名は残っていて授業で習ったよ。剣未エト、こちらはくーちゃん。全力で挑ませていただく!」
「我が名は宮本武蔵。いざ、勝負!」
五輪書の力を纏う無数のボール。
重力が宿るボールの一打は地を穿ち、炎纏うボールは無数にエトのコートに飛来する。
「お、重い……っ!」
向かって来たボールを盾のようにしたラケットで打ち返し、風纏う鎌鼬の如きボールは防御も兼ねて瞬時に弾くので精一杯。
ばぢっ! と弾いたラケットに身体を持っていかれそうになるエト。ミニ視肉のくーちゃんはエトの肩や腕を行き来して、彼女がバランスを取るための支援に励んでいる。
「そのまま励め――二天一流・燕返し殺し」
やや体勢を低くした武蔵が二本のラケットを交差するように振れば、轟気が迸り超魔力球が打ち出された。
それは正真正銘、エト自身を狙ったコースだ。
「……!」
ノーバウンド。
懸命にラケットを振るい受けようとしたエトだったが、そのまま――ラケットを起点にぶわりと身体が浮いた。超魔力球の圧を受け虚空へと勢いよく吹き飛ばされる。
「くっ!」
裂くような風圧に抵抗し身を捻るも、視認したのは武蔵が打ち上げた新たに迫るボール群。彼女が持つラケットは見事に折れていた。
(「ま、まずい
……!」)
ひやりとする。
咄嗟にエトは自身から生えている地縛霊の鎖を下方へと伸ばした。こちらへ向かう直線軌道のボールを避けるように、ぐんっとエトの身体が下に向けて引っ張られる。
コート中央のネットに絡めたエトの鎖は彼女に滑空の勢いをもたらした。
次いで武蔵の次手を見たエトは、腰のポーチから詠唱銀を取り出し繭を構築するように巻く。
詠唱銀で作られた無数の刃に弾かれるボールたち。雨の如く降りしきる刃が五輪書の力を纏うボールを裂く――ひとつひとつの衝撃が、詠唱銀を通じてエトの身体に響いた。
エトの滑空態勢は変わらない――否、加速する。
ここでようやく武蔵はエトに狙いに気付いたのか迎撃態勢をとった。一本のラケットが向けられ、照準にあてられたことを察するエト。
詠唱銀を巻いて、新たなラケットを生成する。握るグリップは馴染むものだった。
「貴方が二天一流なら……」
詠唱ラケットを振るって降下の加速も乗せたエトのスマッシュが鋭く放たれた。
ノーバウンドで打ち返そうとする武蔵。
しかし彼のラケットは空振り、武蔵は驚愕の表情を浮かべた。
「何だと」
魔球か?
と、そう呟いた武蔵は素早く周囲に目を渡らせた。
「僕達は、二人で猟兵だ!」
エトの声が響き渡る。
ボールに張り付いていたくーちゃんがボールを蹴って軌道を変えたのだ。それは武蔵の死角に在った。
雨の如く降りしきるボールと共に、エト自身が放ちくーちゃんが蹴ったボールが武蔵を直撃する。
「この武蔵に純粋なる一打を入れるとは――将来が楽しみだな」
究極の大魔術詠唱儀式、それはメンタルフィジカルテクニックを鍛え上げ、人なる身を成長させるスポーツなのかもしれない。
成功
🔵🔵🔴

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
舞うようにボールを回避しつつ、被弾しそうなら早着替えでお洋服をデコイに空蝉の術なのでっす!
無限のボール相手には時間稼ぎがいいとこでっしょうが、それで十分なのでっす!
きっと武蔵のおにいさんは藍ちゃんくんを見てくださってるのでっす!
生きている限り探求に果てはない、とってもよく分かるのでっす!
藍ちゃんくんも藍ちゃんくんが完結するその時まで藍ちゃんくんを磨きに磨いて生きてますので!
おにいさんの場合は死後まで探求してらっしゃいますがそれはそれ!
おにいさんは相手の動きからも学び取ろうとしてらっしゃるかと!
藍ちゃんくん達を修行してくださっているおにいさんですが、自分のための修行でもあるでしょうからねー!
舞は武に通じるのでっしてー。
おにいさんなら磨き上げた藍ちゃんくんのダンスがどれほどのものかも理解し、自然と取り入れてみようと動いてしまうかと!
自発的に真似する以上無敵は関係ないのでっす!
無敵ではないボールなら尚更なのでっす!
おにいさんとボールを踊らせ矛盾同士討ちさせちゃうのです!
ネオ巌流島に轟くはテニスボールの豪速音。
宮本・武蔵の五輪書が起動し、地・水・火・風・空の属性を纏うボールの軌跡はコートに大きな魔法陣を描いていくかのようだ。
「次なる相手は――そこか」
挑戦者でもある猟兵たちは次々とやってくる。武蔵は二本のラケットを振るい、新たな猟兵がいるらしき場へと無数のボールを発射した。
ドドドッ! とボールが次々に着弾するもその『対象』はまるで柳の如く、だ。
「手応えがない……?」
目を凝らす武蔵。そこにはフリルをふんだんに使った美しいドレスが虚空に舞っている。
「ハローハローおにいさん! 藍ちゃんくんでっすよー!」
ドレスを早着替えしデコイ代わりにした紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はラケットのかわりにマイクを持ち、ひらりひらりと無数に飛来するボールを避けている。
避けきれなさそうなボールがくれば、藍はその場で一回り。
紫色のドレスから、黒モチーフのシックなアイドル服、王子様モチーフのドレスとくるくる回っての七変化。
「ふむ。巌しき水の流れにのるが如し。見事だ。その手並み、余程の鍛錬を積んだと見る」
「武蔵のおにいさん、お褒めにあずかり光栄でっすー! ですが! 生きている限り探求に果てはない、とってもよく分かるのでっす!」
そうでしょ? という風にぱちんとウインクパフォーマンスをする藍。
「藍ちゃんくんも藍ちゃんくんが完結するその時まで藍ちゃんくんを磨きに磨いて生きてますので!」
己自身を磨き上げていく。
磨く技は違えど、同じく研鑚し続けていく者同士の決闘。
水のような流麗に飛来するボールを避けた際の手はひらり、受け流すように。
地を叩く重力纏うボールには華麗なるホップステップジャンプ! 踊る藍の脚は常にリズミカルにコートを叩く。
舞踊や演技に通じる藍の動きは、ソウル・オブ・藍ちゃんくん! の奏でに乗って。
無数のボールをいなす藍の動きは予測がつかない。
武蔵は注視しつつラケットを振るうようになってくる――だが駆ける足、ボールを打つ手腕はどこかリズムを感じさせていくものとなる。
藍の音楽とパフォーマンスにつられゆく、武蔵の二天一流の技。彼の様子に藍はにっこりだ。
「おにいさんの場合は死後まで探求してらっしゃいますがそれはそれ! おにいさんは相手の動きからも学び取ろうとしてらっしゃるかと!」
ネッ!
大きく頭を傾けた藍の藍色の髪がさらりと流れた。
「確かに。猟兵たちとの戦いで学ぶことはこちらも多い」
「そうでしょ、そうでっしょー! 藍ちゃんくん達を修行してくださっているおにいさんですが、自分のための修行でもあるでしょうからねー!」
舞は武に通じるのでっしてー。
藍の言う通り、逆もまた然り。武は舞にも通じる。
ですがですが~! と藍は謳う。
「自発的に倣い、学び、真似する以上無敵は関係ないのでっす! 無敵ではないボールなら尚更なのでっす!」
発射したボールは、藍を確実に狙い打とうとして武蔵の『冴え』が発露し球数が減っている。
武蔵ははっとした。
「それでは『皆様』、ご一緒に! レッツ・ダンシングなのでっすよー!」
今は既に藍の境地。この状況下でユーベルコード『藍ちゃんくんと愉快な観客達!』を発動すれば、ネオ巌流島は藍の舞台となる。
有機無機を問わない最高のパフォーマンスはずっとこのテニスコート舞台で仕込まれ続けていたもの。
冴えを発露し藍を追っていた武蔵のボールは、藍のオーラに包まれた。
歌い踊る藍のリズムに合わせて飛び交うボールとそれを打ち返す武蔵。
「五輪書、封じたり! なのでっすよー♪」
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
出遅れてしまいましたけれでも
折角の鍛錬の機会は見過ごせません
ラケットの動き
そして宙を切り裂く音から(お髭やお耳がぴく
超魔力球の軌道を見切って
にゃんぱらりっと回避します
衝撃で毛皮がくしゃっとしそうです
先制を凌ぎましたら
懐中時計をスイッチオン
御指南をお願い致します!
古来音楽ものはスポ根ものと近しい位置づけです
特訓を乗り越えて
地力を伸ばしてみせます!(キリッ
起動した竪琴で演奏を開始です
演奏するのは勿論五輪のテーマ曲メドレーです
具現化した五線譜や🎶を放って
全てのテニスポールを吹き飛ばします
演奏と共に広がる無数の🎶は
剣刃一閃で切断されながらも
切断された=命中したことになりますから
そのボールさんを吹き飛ばします
相手はかの武蔵さんです
最初は押されるかも知れません
けれど私もシンフォニア
徐々に武蔵さんの動きや呼吸のリズムを捉えます
そのリズムに呼応して弦を爪弾けば
乱れ飛ぶボールを
更にはその手のラケットを
正確に吹き飛ばすことができるでしょう
勝負の行方はともかく良い汗をかきました
ありがとうございました(礼
「折角の鍛錬の機会です。武蔵さん、よろしくお願いします」
「その小さな体躯でどこまでついてこれるか――まずは腕前を見せてもらおう」
宮本・武蔵がネオ巌流島で新たに対峙する猟兵は、懐中時計を手にした黒き小さなケットシー、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。彼のナイトの衣装は戦う者であることを示している。
どのような相手にも油断なく。武蔵がラケットを構えれば、エメラルド色の猫の目がそれを追った。
仄々は注視しているのか、否、しっかりと耳を立てている様は警戒心を露わにした猫の姿だ。尾の先がふるり震えた。
「ゆくぞ!」
五輪書を起動し二本のラケットを振るう武蔵から無数のテニスボールが発射される。
仄々がまず捉えたのは各ボールが纏う属性。地・水・火・風・空と、仄々がよく知る魔力の源は自然由来のもの。
ネオ巌流島の景色にカメレオンみたいに同化する空のボールや鎌鼬の如き風のボールに猫の髭をぴくりとさせて感知。
「にゃんぱらりっ!」
と飛びのくみたいに回避すれば、同時に地を叩いた重力を纏うボールの衝撃波。
「……にゃっ!?」
ぶわわっとした衝撃波の厚みがふかふかな猫の毛を乱しに乱す。思わずおめめも三日月のように細くなってしまうというもの。
一瞬虚空を飛んだ仄々であったが、そこは猫。四肢を駆使した見事な着地を披露し、直後彼の耳は宙を切り裂く音を捉えぴょんと本能的に横へと跳んだ。
飛来したのは武蔵の二天一流・燕返し殺し。超魔力球の衝撃波はネオ巌流島に轟きをもたらすもので、暴風に揉まれる仄々は再び空へと押し上げられた。
「ま、またですか……っ!」
持っていた懐中時計のスイッチをカチリと押せば、展開したのは蒸気機関式竪琴。
「む、武蔵さーん! 御指南をお願い致します!」
遥か下方、地上に位置する武蔵に向かって声を張り上げた仄々は虚空にてくるり一回転。降下に備えた姿勢を保つ。
「古来音楽ものはスポ根ものと近しい位置づけです。特訓を乗り越えて、地力を伸ばしてみせます! ――さあ、行きましょう!」
カッツェンリートで奏でるは数あるバトル・オブ・オリンピアのテーマ曲。
アスリートアース世界でプロアマ問わず作られてはネットで拡散し、公式に採用されたりと賑わっている音楽ジャンル。
チームを代表する曲もあれば、選手ひとりひとりに捧げられた曲もある。応援歌として歌詞も作られたりと多岐に渡って盛り上がっている音楽創作活動。
もちろん宮本武蔵あての応援曲もあり、猟兵への応援曲もある。
バトル・オブ・オリンピアのテーマ曲、応援曲と仄々なりに繋げ演奏するメドレー曲はネオ巌流島の決闘を観戦している観客たちも大喜びだ。
仄々の奏でる喝采のファンファーレ。
魔力で具現化した光の五線譜に描かれていくはカッツェンリートの一音符。
仄々の降下とともに空から地上へと描かれていく五線譜螺旋の塔。発射される音符は飛来する無数のテニスボールを弾き返し、剣刃一閃相当のスマッシュは音を散らしながらも相殺する。
「よく耐える。だがいつまで耐え続けられるか――!」
力込めた武蔵のスマッシュとぶつかりあう音符の衝撃は、竪琴を爪弾く仄々の指先から腕にも響く。
だが演奏を止めない仄々。吹き飛ばされることもなく、シンフォニアとしての矜持が彼をコートに立たせている。
二本のラケットが振るわれれば堅牢たる五線譜を構築し、刹那の光の盾に。
衝撃波は飛ばす音符たちで受け止め散らして。
苛烈な武蔵のスマッシュを注視し、黒毛の下でじとりと汗をかく仄々。
その瞳が捉えるは武蔵の動き、呼吸。躍動あるラケット捌きにリズムを見出し、仄々は脳裏に武蔵の譜を描いた――五線譜に刻む音符は武蔵のリズムだ。
冴え渡る彼の打球に応じるは、仄々が読んだ音符の数々。
武蔵の呼吸に合わせた打音から、やがて打球の手数を上回った一音が放たれる。
その一音は武蔵のためのテーマ曲へと連なるもの。
无何の境地に立つ剣聖に与うあたたかな音色。
武蔵のラケットを吹き飛ばし、連弾たるラリーに終止符を打つのだった。
「良い汗をかきました。ありがとうございました!」
「こちらこそ」
交わした朗らかな言葉は、一礼とともに。
大成功
🔵🔵🔵
青梅・仁
以前アスリートアースでテニスをやった時に「オサムライテニスの使い手」とか言われて何のこっちゃと思ったが、実在したんだな、オサムライテニスの使い手……。
しかもテニスは魔術?
……ちと理解が追い付いてないが、お前さんが探求者なのはよくわかるさ。
一つ手合わせ願いたい。
『オーラ防御』で吹っ飛ばされないように態勢を整えておく。
予想より重いボールに多少持ってかれかけるが、そこは気合でどうにか耐える。
全く、この世界のテニスってすぐ人吹っ飛ばそうとするよな……。
だが、基準が分かれば次は構えておける。
『読心術』を使いながら軌道を読み、打ち返す。
相手の弾速は早いが『空中機動』と『カウンター』でどうにか食らいついていこう。
ある程度ラリーできたらUCを込め、相手コートに打ち込む。
相手の球の勢いを削いで、一つ質問。
なあお前さん、武と魔術を極める手段としてテニスが好きか?
それともテニス自体もきちんと好きか?
――深い意味はないさ、楽しんでるか知りたかったんだ。
お前さんの全力とぶつかれて、俺は楽しませて貰ってるからさ。
――しばらくはテニスいいかなって思ったのは、そう、一年と半年前くらい。
長き時を渡る青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)にとっての「しばらく」の期間を経てそして今日。
仁は
ネオ巌流島にて宮本・武蔵と対峙している。
しみじみと、仁はかつてアスリートアースで繰り広げた熱きテニスの時へ想い馳せていた。
「以前、テニスをやった時に『オサムライテニスの使い手』とか言われて何のこっちゃと思ったが、実在したんだな、オサムライテニスの使い手……」
フッとアンニュイな表情でそう呟けば、武蔵はひとつ頷いた。
「成程。我と同様の者か。一刀流の使い手と見る」
二本のラケットを武蔵は構える――構えがあって構えがないことを極意とする二天一流は、備えるといった方がよいのかもしれない。
ラケット。
ついついそこに注視してしまう仁。
「ん、んん、まあそうなんだが……テニスが魔術……」
自然体にけれども隙のない武蔵の構えに、仁もまた臍眼の構えとなる。だが持っているのはラケットだ。
「……まだちと理解が追い付いてないが、お前さんが探求者なのはよくわかるさ」
一つ手合わせ願いたい。
そう告げれば、此方こそ、と返ってくる武蔵の応。
五輪書を起動した武蔵がラケットを振るえば、発射される無数のテニスボール。地・水・火・風・空の属性を纏うボールはネオ巌流島に暴風と轟音を響き渡らせる。
俺の知ってるテニスじゃないとかなんとか呟きたいところではあるが、そんな暇など無い。
航空機のように高音纏い空を裂くボールの飛来は直ぐだ。
ノーバウンドで受ける打球の何と重いことか――オーラを纏い膂力を強化した仁が相手コートへと打ち返す。
重力を纏う地のボールがコートをバウンドすれば、ネオ巌流島が僅かに揺らぐ。しかし虚空に在る仁に影響はない――難なくスマッシュを返す腕とラケットを覆うオーラは、向かってくるボールに合わせられていた。
「ほう……」
武蔵から感嘆の息が零れる。
相手に合わせる呼吸は剣術由来のもの。
「ならばこれは耐えられるか?」
二天一流・燕返し殺し。
武蔵のラケットの間に生じた超魔力球が五輪書の力纏う球を追い抜き、吹き飛ばしながら向かってくる。
「勝ち筋を描いていく――それは剣術でも魔術でも、試合う際に必要なもの」
究極の大魔術詠唱儀式が描く武蔵の勝ち筋。
先程までの無数のボールとは違う打球は、受ける仁のオーラを突き崩そうとする。咄嗟に一打二打と熱した鋼を鍛錬するが如き神力を自身に叩き込み、武蔵の打球へと合わせる仁。
彼を吹き飛ばせなかった風圧が広範に、ネオ巌流島に飛散した。
「……全く、この世界のテニスってやつは、すぐ人を吹っ飛ばそうとするよな……」
(「だが、基準が分かれば次は構えておける」)
武蔵の至った境地、そこを地平とするように自陣コートへ神力を渡らせる仁。
ネオ巌流島コートで右に左にと動きまわり、武蔵の弾速に喰らいついてゆく。
(「――この打球か」)
弾速に慣れた頃合に捉えたあるボールを打ち返す仁。
神力を籠めた打球には『龍神の清め』。ネオ巌流島に構築されゆく魔術を一部かき消すように呪詛にして浄化たる力が放たれた。
「!?」
五輪書の力が薄まり、空回ったのか一瞬力が抜けたように体勢を崩す武蔵。だがラケットは落とさない。そこに彼の矜持が垣間見え、仁は問う。
「なあお前さん、武と魔術を極める手段としてテニスが好きか? それともテニス自体もきちんと好きか?」
怪訝な表情を浮かべる武蔵に、仁は軽く肩を竦めて見せた。
「――深い意味はないさ、楽しんでるか知りたかったんだ」
「剣豪だの剣聖だのと囃されていたようだが、我は、我の好む道を進んでいただけ――无何から生まれる血汗の才をひたすらに刻む。自身で選び進む
道は愛すべきものだろう」
回りくどい言い方であったが、武蔵の答えはテニスが好きというもの。宮本武蔵は、元々芸事も好む人物だった――。
仁は笑む。
「お前さんの全力とぶつかれて良かったよ。俺も楽しませて貰っている」
ネオ巌流島に渡る打球音は勢いが良い。
かつての剣豪の『冴え』は、アスリートアース世界で、伸びやかに高らかにネオ巌流島に渡ってゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵