「ねぇ、知ってる? あの丘の松の木の前で告白すると……」
「あ~、思いが叶うってヤツ?」
「ううん、告白を受け入れて成立したカップルを、恨めしそうにじーっと見詰める幽霊が出るんだって!」
「ゲッ! なんだ怪談じゃん」
「いや~、もう来月バレンタインじゃん? 注意喚起しとかないとと思って」
「あんたこないだあたしが失恋したばっかなの知ってるだろ! こんちくしょうめ!」
「あはは~。でも、玉砕したならもう次に進むべきだよ」
「次か……」
●それ、実はメガリスの効果でした
「えーと……皆さんも大体想像は付いてると思うのですが……メガリスの力の一部なんですよね」
と、癒月・マヒロ(うっかりくノ一・f42146)は集まった猟兵たちに話した。
その名も『玉姫の小箱』というメガリスが、どんな経緯を経たのかは不明ながらシルバーレイン世界の松の木の根元に埋まってしまっているのだとか。
幽霊と思われていた女性は、実は恨めしそうに見ていたのではなく助けを求めていたのだというオチである。
「このメガリスは玉姫さんの姿を映し出す効果がありますが、それ以上のことは分かっていません。箱を開けることもできないし、それ以上の力はちょっと今は使えないんじゃないですかね……でもメガリスはメガリスですから、放っておく訳にもいきませんし、皆さんに回収をお願いしますね」
松の木の丘自体は、元々は幸せなカップルのスポットだったらしいので、ついでにそこで告白なんかしてみてもいいかも……なんてマヒロはこっそり呟く。
「そうそう、最近はもうバレンタインチョコレートの催事場なんかも開設されてますよね。メガリスの回収が終わったら、今のうちに事前調査やお買い物なんかの準備をするのもいいかも知れないです!」
マヒロはそう言って、楽しみですねと笑うのだった。
雪月花
雪月花です。
メガリス回収も大事ですが、バレンタイン準備も大事ということで、シナリオを出させて頂きます。
今回は二章仕立てです。
受付日を設けてのシナリオ運びとなりますが、今月中には完結予定です。
どうぞよろしくお願いいたします。
また、第二章にはマヒロも誘って頂けますので、一人ではちょっと……と言う方はお気軽にお誘いください。
第1章 冒険
『心霊スポットの謎を追え』
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POW : 身体を張って調べる
SPD : 文明の利器を駆使して調べる
WIZ : 魔力を活用して調べる
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八坂・詩織
もうバレンタインの季節なんですね…
思いが叶う木、ですか…いやまあ、告白はしませんけど。(…好きな人がいないわけではないのですが…今はまだ想いを伝える気はないので)
さて、メガリス回収ですが…回収するのに告白したりカップルでいないといけないってことはないですよね。
そもそもこのメガリスの玉姫さんってどういう人なんでしょう…カップルスポットと惹かれ合うような要因でもあったんですかね。
松の木の伝承や玉姫についてインターネットや地元の図書館で調べてみたり、詳しそうな地元の方に尋ねてみたりしてもう少し詳しい情報を得たいですね。
あとは玉姫の出現条件も知りたいところ…誰かしら松の木にいれば出てくるんでしょうか。
「もうバレンタインの季節なんですね……」
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)はメガリスが根元に埋まっているという、『思いが叶う木』のことを考える。
……告白はしないけれど。
そりゃあ詩織にも、好きな人がいない訳ではない。
でも、今はまだ想いを使えるつもりはないのだ。
こういうのは、時期とタイミングと色々なものが大事だ。
さて、肝心のメガリスについて調べるために、詩織は地元の図書館へやって来た。ここにはパソコンコーナーもあるので、インターネットでも調べ物ができる。
カップルスポットと惹かれ合うような要因でもあったのだろうかと思いつつ調査を進めていると、しばらくしてそれらしき情報を得られた。
曰く、掌に乗るくらいのサイズの小箱の中に姫が入っており、その姫は呼び掛けに応じて自分の姿を身近な外に投影するのだと。
そして、悩みや迷いを持つ者に占い的な助言をしてくれるということで、恋に悩む者たちからの相談も多かったのだという。
この辺りが、恋愛に関係する部分だろうか?
とはいえ、資料を読む限り今は何らかの原因で多くの機能を失っているのではないかとも考えられた。
どうしてそんな宝物的なものが持ち出され、土に埋まる羽目になってしまったのだろうか……。
「玉姫さんが姿を現したのって、やっぱり助けを求めてのことなのかも……」
顎に手を当て、詩織は考え込むのだった。
成功
🔵🔵🔴
酒井森・興和
バレンタインの時期、かあ
学園にいた頃以来だから人間達の行事が懐かしいな
想い人は忘却期前の人だし今更告白も無いねえ
メガリス回収優先、と言うことで人も少ないであろう夜に丘の松の根元を掘ってみるかな
【暗視と第六感】で小箱の位置を定めIGCから三砂を出して掘る
人間に見られると通報されそうだし【目立たない】行動で
あ、でも相手は姫君だし蜘蛛族の男が無闇に扱ってはいけないかも…メガリスって怖いからな
一応お断りを入れるかね
反応貰えれば位置も解りやすいし
さて、メガリスの玉姫様
この松の木に未練が無ければ掘り出して銀誓館学園に保管致しますが?
僕はこの世界の来訪者、土蜘蛛族の端くれ
お許し頂けるなら姫の話を伺いましょう
人気のない夜の丘。
「バレンタインの時期、かあ」
学園にいた頃以来だから人間たちの行事が懐かしい、と普段は山に籠っている酒井森・興和(朱纏・f37018)はかつてを思った。
彼の想い人は遥か昔の時代の人物なので、今更告白も何もないのだけれど。
「この辺りだねぇ」
目立たない行動を意識し、暗視と第六感を頼りに、興和は小箱の位置を特定してイグニッションカードから三砂を出した。
(「あ、でも相手は姫君だし、蜘蛛族の男が無闇に扱ってはいけないかも……メガリスって怖いからな。一応お断りを入れるかねぇ」)
と、気の回る興和は佇まいを正した。
「さて、メガリスの玉姫様。この松の木に未練がなければ、掘り出して銀誓館学園に保管いたしますが?」
丁重に呼び掛けると、彼が大体特定した辺りから淡い光が発され、ホログラムのような古い時代の服装をした姫君の姿が投影された。
「僕はこの世界の来訪者、土蜘蛛族の端くれ。お許し頂けるなら姫の話を伺いましょう」
『わたくしに話し掛けてくださるなんて……皆わたくしを見ると逃げてしまうものですから、助けを求めることもできませんでしたの』
玉姫は安堵したように、深々と頭を下げて何度も礼を言った。
そして、恐らく自分が戻る場所はもう残っていないだろうということで、興和の提案を受け入れる。
『どうぞよろしくお願いいたします』
了承を得て、興和は三砂で地面を掘った。カツンと硬い感触、小箱はそんなに深くない場所にあった。
興和は掘った場所を元に戻して箱を丁重にしまうと、丘を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵
幽霊の噂の原因であるメガリスが回収された陸に、平穏な静けさが戻ってきた。
昼間は子供たちも遊ぶような場所だ、噂が薄れていけば皆安心して遊べるだろう。
丘の上の松の木は、穏やかな冬の風にゆったりと枝を揺らしている。
ここですること、できることはまだあるだろうか?
ミルナ・シャイン
メガリスは回収できたようですし、あとは元の幸せなカップルスポットのイメージ復活ですわね!
銀誓館の制服に着替え、指定UCで呼び出した理想の恋人ジャックにも銀誓館から借りた高校男子制服を着せて青春ラブストーリーを演出。
夕刻、松の木で待つジャックの元に駆け寄るわたくし。
急に呼び出してごめんなさい、ジャック先輩。
バレンタインはまだ先ですけれど、誰よりも早くこのチョコを渡したかったんですの。
手作りのハート型チョコを差しだし「好きですジャック先輩、付き合ってください!」
『俺もミルナのこと前から好きだったんだ…』
本当に?嬉しい…!
夕焼けの中抱き合う二人、我ながら完璧な脚本!これでホラーな噂も吹っ飛びますわ!
「あとは、元の幸せなカップルスポットのイメージ復活ですわね!」
松の丘のイメージを元に戻そうと意気込んだのは、ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)。
ミルナは銀誓館学園の制服に着替えると、ユーベルコードを発動した。
「来て、わたくしの愛しい方!」
現れた人物『ジャック』、それは彼女の妄想で創造した理想そのもの。ミルナは彼にも銀誓館学園の制服を着て貰い、松の丘へ行って貰うようお願いした。
時は夕刻、茜色に染まる空の下、約束の丘。
松の木の前で待つジャックの許に、ミルナが駆け寄っていく。海色からピンクのグラデーションの髪がゆらりとなびく。
「急に呼び出してごめんなさい、ジャック先輩」
そう言って、ミルナはチョコレートの箱を取り出す。手作りのハート型のチョコだ。
「バレンタインはまだ先ですけれど、誰よりも早くこのチョコを渡したかったんですの」
「これは……」
「好きですジャック先輩、付き合ってください!」
チョコを差し出し告白するミルナに、ジャックは驚きながらも嬉しそうな表情を浮かべた。
「俺もミルナのこと前から好きだったんだ……」
「本当に? 嬉しい……!」
夕焼けの中で抱き合ってひとつになるふたりの影、長く伸びていく松の木の影……。
ロマンチックな光景を、人気の少ない道を偶然歩いていた女子学生が目撃していて憧れの視線を感じる。
(「我ながら完璧な脚本! これでホラーな噂も吹っ飛びますわ!」)
実際ミルナのお陰で、ここは再び告白に打ってつけのスポットとして流行り始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『バレンタインの事前調査』
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POW : 全力で楽しみつつ調査する
SPD : スマートに楽しみつつ調査する
WIZ : 効率よく楽しみつつ調査する
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バレンタイン。
今や一大イベントであるその行事のために、早くも街の商店などは特設コーナーを設けたりし始めている。
今年は何を贈ろう? 誰に贈ろう?
大切な人には勿論、友人など親しい間柄の人に上げるのも定番化している。
さて、今年のバレンタインはどんな感じだろう?
流行を調査して見たり、催事コーナーを巡ったり……。
買い物をしたり、贈るチョコレートや試作を作ってみたりするのも楽しいだろう。
あなたのバレンタインに際したひと時は、どんなものだろうか?
リコ・マルカ
アックス&ウィザーズから世界を渡れるようになって
チョコレートを贈るバレンタインを知ったのだけど
今年は徹底的にやりたいわね
誰に贈ろうかしら
お世話になった人、友達、兄弟、それとも…気になる人?
うーん!
決められない!
ってか絞る必要は無いんだわ、みんなに贈りましょ
私はふとっぱらなんだからね!
あちこちのお菓子に関わる店で専門のコーナーが出来るそうじゃない
楽しくお喋りしてご縁ができた人や友達に贈るものと
気になる人に贈るものは変えたいわね
でも予算は同じくらいで
だって、どちらも大切な人だもの
…気になる人か
すっかり腐れ縁なあのいけ好かない店主と
一度お茶しただけだけど、妙に惹かれる影と光を感じる彼
優柔不断ね、私!
冬の風が、リコ・マルカ(竜のコンダクター・f18339)の長い黒髪を揺らす。
アックス&ウィザーズからするとかなり現代的な街並みを歩き、世界を渡れるようになってから知ったチョコレートを贈るバレンタインのことを考えていた。
今年は徹底的にやりたい、と。
(「誰に贈ろうかしら。お世話になった人、友達、兄弟、それとも……」)
気になる人?
リコは次々と思い浮かぶ顔を頭に巡らせていく。
「うーん! 決められない!」
結局、絞る必要はないんだということに思い至った。
「みんなに贈りましょ。私はふとっぱらなんだからね!」
そんな訳で、いろんなお店のいろんなバレンタインのコーナーを回ることにしたリコ。
(「楽しくお喋りしてご縁ができた人や友達に贈るものと、気になる人に贈るものは変えたいわね」)
ひとつのお店に行くだけでも、様々な趣向やラインナップのチョコレートやお菓子があって、これならその考えも叶いそうだ。
でも、予算は同じくらいで……と思う。
(「だって、どちらも大切な人だもの」)
大切な重さに区別はつけない。そこは大事なところだった。
売り場では、他にもチョコレート選びをしている女性客があちこちに見える。
皆真剣だったり、楽しそうだったり、贈る人のことを考えているのだろう。
(「……気になる人か」)
ふと、リコは思う。
すっかり腐れ縁な関係の、あのいけ好かない店主。
一度お茶しただけだけれど、妙に惹かれる影と光を感じる彼。
浮かび上がる二つの顔に、心が揺れ動く。
「……優柔不断ね、私!」
乙女心の天秤は、まだその胸の中で揺れ続けている。
大成功
🔵🔵🔵
酒井森・興和
バレンタイン、と言ってもなあ
何をしたものか…と思っていたら娘(養女の土蜘蛛)から電話があった
街に来るかい?と言えば買い出しに来てるからすぐ合流出来ると言う
ふむ
あの子も12か13か…そんな歳だ
洒落たチョコレートにも興味あるかもしれない
或いは単に普段食べない甘い物が欲しいとか
山ではいつもほぼ自給自足だからねえ
そう、もう12かそこら…
今は僕の娘で居てくれるけどあの子は土蜘蛛だし自立して巣離れする日も遠くないかも
ささやかな思い出と人に慣れる為に一緒にバレンタイン売り場にでも行ってみるかな
さて実際は娘はテキパキ品を選び「きゃっしゅれすけっさい」をやってのけた
順応してるねえ
おや、これを僕に?
ありがとう沙依
興和の目に入ってくる、バレンタインデーの文字。
とはいえ、この手のことに縁遠くなっている彼にとっては何をしたものか……と思っていたら、娘から電話が掛かってきた。
「あぁ、うん……うん。そうだよ。街に来るかい?」
聞いてみると、丁度買い出しに来ているところだから、すぐ合流できるとのこと。
「ふむ……」
あの子も12か13か……早いもので養女となってから結構な時が過ぎていた。
洒落たチョコレートにも興味があるかも知れない。或いは、単に普段食べない甘いものが欲しいとか。
山での生活は、ほぼ自給自足だからお菓子を食べる機会は殆どない。
「そう、もう12かそこら……」
興和の娘は土蜘蛛だ。
今は自分の娘でいてくれるけれど、いずれ自立して巣離れする日もそう遠くないのかも知れないと、しみじみ感じてしまう。
そして、ささやかな思い出と人に慣れるためにも、一緒にバレンタイン売り場に行ってみるかなと思うのだった。
……さて、実際合流した娘はテキパキと品物を選び、『きゃっしゅれすけっさい』とやらで会計を済ませていた。
「順応してるねえ」
親が思うより、子は大きくなっているものなのかも知れない。
すると、娘が先程買ったチョコレートの包みを興和に差し出してきた。
「おや、これを僕に? ありがとう沙依」
温かな触れ合いと思い出のひと時が、またひとつ刻まれていく。
成功
🔵🔵🔴
マリエ・ヘメトス(サポート)
一人称:わたし
二人称:あなた
他人へは下の名前にさん付け
基本口調は「~だわ、~よね」宗教的な物言いになると敬語
信心深く奉仕の精神があり善行には積極的。迷惑行為や不道徳な行いはしない
最優先するのは使役している死人(死んだ彼氏)のこと。呼び方は「だんなさま」or「■■■■(聞き取れない発音、彼氏の本名)」
「だんなさま」が嫉妬すると思っているので老若男女問わず深い関係を結ぼうとはしないが、人類的な愛をもっておおむねの相手には優しく接する
喜びや憐れみは強く表すが、怒りは「だんなさま」を侮辱や攻撃された時以外は示さない
必要に応じ狩猟、道案内、値切りなど使用
UCは活性化したものをなんでも使用可
小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。
◆性格・人柄
敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい女性。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み、愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。
また敬虔な聖職者故、邪教徒や魔女に寛容さが無く、苛烈な面も持ちます。
既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。
◆戦闘
ユーベルコードは指定したもので臨機応変に。
基本は後衛の魔法職。
・範囲魔法(神罰)
・回復(コルセオ)
・拘束(光の鎖)
・人手が必要な作業(戦場のハレム) 等
ミルケン・ピーチ(サポート)
『ミルケンピーチ、参上!』
常識的だけどやられ属性の17歳の桃姫、無邪気で元気な6歳のぺしぇ、体育会系褐色ギャルのアカリの三人のボディの内依頼に合わせた誰かで出撃
口調は
『桃姫:私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?』
『ぺしぇ:自分の名前、くん、ちゃん、だよ』
『アカリ:あたし、相手の名前+ちゃん、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?』
マスクのミルケンはほぼ喋りません
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
公序良俗に反する行動はそういう依頼でない限りしません
後はお任せ、よろしくお願いします!
「こちらのお店よ」
と道案内してきたのは、マリエ・ヘメトス(祈り・f39275)。その側に寄り添うのは、彼女の使役する『だんなさま』だ。
ちりんとドアベルが鳴って中に入れば、そこはヨーロピアン調のカフェテリアだった。
現在はバレンタインのスイーツビュッフェを開催しているというそのお店に、続いて入ってきたのは小宮・あき(人間の聖者・f03848)。
「まぁ、素敵ですね!」
店内を見渡し、あきはぱあっと笑顔を浮かべた。
同じく花が咲くような笑みを見せたのは、ミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)を装着した6歳のぺしぇだ。
「すごいねぇ、お城みたい!」
華やかながら落ち着いた雰囲気も併せ持つ店内には、女性客が多くを占めている。席に通された一行は、早速チョコレートのスイーツビュッフェを楽しむことにした。
サーブ用のテーブルに並ぶのは様々なチョコレート菓子。
がナッシュにトリュフと一口サイズのものから、ガトーショコラやオペラ、チョコクリームのミルフィーユなどのケーキ類まで沢山のお菓子が勢揃いしている。
その上果物や焼き菓子にお好みでコーティングして食べるチョコファウンテンや、パティシエがパフェを作ってくれるサービスまであって、紅茶も好きな種類のものを飲み放題なのだという。
皆それぞれ、思い思いのお菓子をお皿に乗せて席に戻ると、丁度いいタイミングで最初のお茶が提供された。
「なるほど……こういう部分は取り入れられそうですね」
大型リゾートホテルの経営を継いでいるあきは、スイーツを楽しみながらも経営者目線でお店を見るのも忘れない。
「この丸いの、とっても甘くて美味しい~! でも、こっちの四角いのも美味しいよ」
チョコの粒を頬張ったぺしぇが、うっとりと頬に手を当てる。
「どれもとっても美味しいわ。■■■■は、どれが好き?」
マリエはにこにことだんなさまと仲睦まじくケーキを食べていた。
「でもちょっと、贅沢過ぎるかしら? ……え、いいの?」
ここにはお菓子だけでなく軽食もあり、明日のパンさえなかった暮らしとは大違いだ。けれどそんな彼女にいいんだよと頷くように、だんなさまは微笑んでいる。
「次はどれを食べようかなぁ」
「苺が乗ってるケーキが美味しかったですよ」
色々取ってきたけれど、どれにしようかと悩んでいるぺしぇに、秋が助言を入れる。
「いちごは最後に取っておきたいんだけど……うーん」
「いくつでも好きなだけ持って来られますから、気にいったらまた取りに行けばいいんじゃないでしょうか?」
そう言われて、ぺしぇははっとした顔になった。
「……! そうだね、そうする!」
早速苺チョコケーキを食べ始めるぺしぇを微笑ましく眺めながら、あきは店員を呼んだ。
「お茶のお代わりを頂けますか?」
「はい、茶葉の種類はどうなさいますか?」
「前のと同じもので……マリエさんはどうしますか?」
マリエに気を回すのも忘れない。
「わたしも同じで。だんなさまが気に入ったみたいだから」
それぞれ個性的な面々だけれども、美味しいお茶とお菓子を前にすれば皆笑顔。
バレンタイン時期のスイーツビュッフェ調査は上々だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
八坂・詩織
マヒロさん(f42146)をお誘いしてバレンタインチョコの催事場へ。
あの頃の同級生とこうしてお出かけできるなんて嬉しいです。一度依頼でもご一緒しましたよね、覚えてます?妖獣が持っていってしまった七夕飾りを取り返そう、って。
やっぱり星好きですから、天文モチーフのチョコに惹かれてしまうんですよね。この惑星モチーフのチョコとか好きで毎年買ってるんです。
でもバレンタインの時期って本当に色々なチョコが売られてて見てるだけでも楽しいですよね。
マヒロさんは何か気になるものあります?よかったらお互いに買って交換しませんか?
選んだのは黄道12星座をモチーフにしたチョコのセット。いて座が好きとお聞きしましたので。
詩織はマヒロと一緒にバレンタインの催事場を訪れた。
あちこちに女性客の姿が見える売り場は、なんだかうきうきとした空気が漂っている。
「すごいですね、これだけ売り場が大きいと壮観です」
「バレンタインの時期って、本当に色々なチョコが売られてて見てるだけでも楽しいですよね」
見渡して関心しきりのマヒロに、詩織がクスッと笑う。
「あの頃の同級生とこうしてお出かけできるなんて、嬉しいです。一度依頼でもご一緒しましたよね、覚えてます?」
妖獣が持っていってしまった七夕飾りを取り返そうという依頼の話をすると、マヒロは「あぁ~!」と明るく懐かしそうな顔をした。
「丁度クラスメイトだった時ですよね。星がすごくきれいで……あの男の子も、きっと随分大きくなりましたよね。そうそう、あの頃の詩織先生って、とっても可愛くて~……」
「えっ……」
思い出話に花を咲かせながら、様々なお菓子が並ぶ売り場を歩いて回ると、見えたのは天文モチーフのチョコレートのコーナー。
「やっぱり星好きですから、惹かれてしまうんですよね。この惑星モチーフのチョコとか好きで、毎年買ってるんです」
「わぁ、きれい。毎年出てるなんて、人気も根強いんでしょうね!」
思わずマヒロも力を入れて星や月の形のチョコレートに見入っている。
「マヒロさんは何か気になるものあります? よかったらお互いに買って交換しませんか?」
「詩織先生、ナイスです! 是非交換しましょう!」
詩織の提案に、マヒロはぎゅっと拳を握って賛同した。
そして、お互いが選んだチョコレートは……。
詩織は黄道12星座をモチーフにしたチョコのセット。
「いて座が好きとお聞きしましたので」
「わわ、ありがとうございます! 私のはこれです!」
とマヒロが渡してきたのは、月の満ち欠けをミルクチョコの上にホワイトチョコで表現したものだった。
「お月様みたいに、優しくみんなを見守ってるイメージかな、と思いまして」
天体は、今日も空の上を巡っている。
大成功
🔵🔵🔵