バトル・オブ・オリンピア⑱〜キャンプin試練の洞窟
●現代神秘世界 - 南極 - 小規模な「試練の洞窟」
とある土壁で作られた空間があった。
「わーい、見たことない世界にたどり着いたぞー」
そこにたどり着いた者がいた。その見た目はテントそのものであった。
「んん? キャンピーくんを歓迎してくれるのー?」
テントそのものの見た目をしたマスコット『キャンピーくん』が一跳ねすると、洞窟の中身が変化し、まるで屋外のように変化していった。
「わーい、面白ーい。じゃあ、ここをキャンプ地にするよ〜」
かくして、ある「洞窟」は屋外の見た目へと変じた。
●グリモアベース
「皆さん初めまして。テンプル騎士団所属「試練の探究者」担当のベルゼ・アグネスと申します」
そう言って挨拶するのはベルゼ・アグネス(吸血の道に堕ちたテンプル騎士・f37910)だ。
テンプル騎士団所属「試練の探究者」担当? と首をかしげる猟兵達にアグネスは続ける。
「私は簡単に言えば、皆さんの住む骸の海を内包する世界とは、また別の世界から来ました」
読者に分かるように有り体に説明するとPBWアライアンスの世界である。
「なぜ、そんな私がここでお話をさせて頂いているかというと、皆さんの住む骸の海を内包する世界の「戦争」の影響が私達の世界にも及んできたからです」
世界の名前はPBWアライアンスの名前で言うと『試練の洞窟 -the Cave of Ordeal-』。骸の海と同じく、無数の世界を内包する世界である。
そして、脅威の名は『キャンピーくん』。現在、骸の海の内側、『アスリートアース』で発生中の『バトル・オブ・オリンピア』を騒がせる『フィールド・オブ・ナイン』の一人である。
「『キャンピーくん』は「自由に異世界を移動できる」能力を持ち、なんとその移動先は骸の海に内包されない我々の世界にさえ及ぶようです」
そしてこの度、グリモア猟兵により『キャンピーくん』が『試練の洞窟 -the Cave of Ordeal-』の世界に現れるのが予知されたという。
「我々の世界には「試練の洞窟」という脅威があります。一日一回その内部構造どころか内部の見た目さえ変化させる広大な地下空間を有する存在で、内部には怪物と宝箱、そして有用な資源が眠っています」
そしてその「試練の洞窟」に潜り、日夜「洞窟」が日常を侵食するのを防いでいるのが「試練の探究者」と呼ばれる組織であるらしい。
「『キャンピーくん』はそんな「洞窟」のうち、南極に無数に刺さっているうち一つの小規模な「洞窟」の内部に現れたようです。そして、『キャンピーくん』は猟兵の皆さんがキャンプを楽しむのを待っているようです」
キャンプさえ十分に楽しんでくれれば、『キャンピーくん』は去ってくれるようだ。
「ただ、一つ特殊なのは、『キャンピーくん』はどういうわけか「洞窟」の自在に姿を変える特性を完全に掌握してしまっているという点です」
「試練の探究者」からすればとんでもない事態である。だが、キャンプを楽しむ分には……。
「えぇ、『キャンピーくん』に頼めば好きなロケーションでキャンプを楽しめる、ということです」
なので、猟兵としては素直に喜んでよい状況であるらしい。
「『キャンピーくん』によってどんな影響が「試練の洞窟」に出るか分かりません。どうか、なるべく多くの方にキャンプを楽しんでいただき、早く『キャンピーくん』にお帰り頂きたいのです。お願いできますでしょうか?」
と、ベルゼは深くお辞儀をした。
「あ、そうそう。私を含めた「試練の探究者」の面々は読んでいただければすぐに駆け付けます。もしそれをお望みでしたらお呼びください」
そういって、ベルゼは話を締めくくった。
グリモアが輝き、転送ゲートが開かれる。
メリーさんのアモル
まさかの「試練の洞窟」から『第六猟兵』へこんばんは、メリーさんのアモルでございます。
『試練の洞窟 -the Cave of Ordeal-』については以下のアドレスから確認して頂く事が出来ます。
https://www.anotherworlds06.com/coo/main.html
●キャンプ地について
キャンプ地は南極にある「試練の洞窟」ですが、有り体に言えば「見た目を好きに変更できる不思議空間」となります。
キャンプ地はプレイングで指定頂ければその通りに自在に変化しますし、変化した結果、手に入る資源やアイテムはお持ち帰り頂く事も可能です。
が、もし迷った場合は以下のいずれかを選んで指定して頂く事も可能です。
●現代神秘世界
『UDCアース』に似た現代世界の見た目です。現代風のアイテムが宝箱から見つかります。
●アカシア
『サイバーザナドゥ』を気持ち治安良くしたイメージの近未来サイバーパンク世界です。近未来風のアイテムが宝箱から見つかります。
●メガサーバ「
世界樹」
無数の緑のラインが飛び交う電子空間です。サイバー風のアイテムが宝箱から見つかります。
●リリパット・ブロブディンナグ戦争
全高30mほどの巨人と全高8m程のロボットが戦争を繰り広げている世界の戦場跡です。ロボット用や巨人用の兵器が宝箱から見つかります。
●パシフィックツリー
太平洋上に浮かぶ小島、島を覆うほどの巨大樹の根本です。たくさんの果物や薬草、野草が生えています。
●NPCの同行依頼について
もし望む人がいた場合、『試練の洞窟 -the Cave of Ordeal-』のNPC達(世界説明ページ参照)を呼ぶことも出来ます。本編的には敵のはずのNPCも『キャンピーくん』の前では無力なので呼ぶことが可能です。
なお、NPC一覧にいないが予兆などで登場しているキャラクターや、もし希望する方がいるようであればAWsの他作品から未登場キャラクターを呼ぶことも可能とします。
当然ですが、希望しない方の前には登場しません。
「よく知らないけどアドリブで呼んでもいいよ」という方は「NPC○」とか冒頭に着けてくれると勝手に呼びますので参考にして下さい。
それでは、ゆっくりしていってください。
よろしければ本編も見ていってね。
第1章 ボス戦
『キャンピーくん』
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POW : ここをキャンプ地にするよ〜
レベルm半径内を【キャンプ地】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【ダメージを伴わない全ての行動】が強化され、【ダメージを与える全ての行動】が弱体化される。
SPD : ここをキャンプ地にするよ〜
レベルm半径内を【キャンプ地】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【ダメージを伴わない全ての行動】が強化され、【ダメージを与える全ての行動】が弱体化される。
WIZ : ここをキャンプ地にするよ〜
レベルm半径内を【キャンプ地】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【ダメージを伴わない全ての行動】が強化され、【ダメージを与える全ての行動】が弱体化される。
👑11
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リュール・ディールーク
NPC◯
試練の探求者様達も◯
こんにちはキャンピー君!私、リュール・ディルーク!冒険者です!今日はよろしくお願いしますね!
とキャンピー君に挨拶をする
あの…カレー一緒に作りませんか?
予め用意してもらったカレーの食材を見せてキャンピー君を料理作りに誘う
キャンピー君、料理上手ですね〜!えっ?ありがとうございます!
一緒に料理を作って完成したらキャンプファイアーの準備は私がしてキャンプの準備完了
よっと、燃えろ!
UCを発動して準備したキャンプファイアーに火を付ける
皆さんも一緒に踊りましょう!
NPC達などが集まってきたらキャンプファイアーの周りで楽しくダンスを踊る
昔を思い出しますね…
とても楽しい思い出になった
「こんにちはキャンピー君! 私、リュール・ディルーク! 冒険者です! 今日はよろしくお願いしますね!」
そう言って、『キャンピーくん』に挨拶するのは猟兵、リュール・ディールーク(時を駆ける邪龍〜皆の止まった時間を動かす為に〜・f42338)だ。
「うん、よろしくね、リュール。キャンプ、楽しもうねー」
『キャンピーくん』もそれにほんわかした雰囲気全開で返事を返す。
「お待たせしました。人が多ければよいということだったので、私と私の個人的な友人を連れてきました。
如月・アンジェと申します、よろしくお願いしますね」
「はじめまして、英国の魔女、と呼ばれています、訳あって、仮面のままで失礼します」
そこにさらにやってきたのは刀を腰に下げ、青い長髪が特徴の如月・アンジェ(退魔師・AWsA00001)と白い髪に茶色のローブ、そして何より仮面が目を惹く英国の魔女(高速記述者・AWsA00006)だ。
「はーい、試練の探求者様達もよろしくお願いしますね!」
「へぇ、じゃあお二人は学生時代からのお知り合いなんですね」
「えぇ。今は別の組織に属する者同士ですが、なんだかんだ、力になってもらっています」
「おや、アンジェ。私の心はいつもあなたと共にいるつもりですよ」
「ほら、この通り、調子が良い奴なので」
「ずっと仲が良いのはいいことだよー」
三人と一体は軽く自己紹介などをして、お互いのことを知っていった。
「そうですね。ところで……あの……カレー一緒に作りませんか?」
そういってリュールが見せるのは事前に用意してきたカレーの食材達。
「おぉ、準備がいいですね」
感心する英国の魔女。
「キャンプと言えばカレーだよねー。みんなで分担してつくろー」
『キャンピーくん』も乗り気のようだ。
そして、みんなでカレー作りが始まった。
「まずは料理の前のおまじないを一つ」
英国の魔女が発動するのはユーベルコードと似て非なる力、マナ現象の『成功のルーン』だ。周囲に成功のルーンが刻まれれば刻まれるほど、それだけ行動の成功率が上昇する。
「じゃあ、キャンピーくんがご飯を炊くよー」
「では、我々も食材を刻みましょうか」
『キャンピーくん』がお米を研ぎ始めると同時、三人も持ってきた食材を切り始める。
「二人とも料理上手ですね〜!」
「そうでしょうか、まだまだ不慣れで恥ずかしい限りです」
「ありがとうございます、リュールさんもお上手ですよ」
リュールの言葉にアンジェと英国の魔女が返答する。相手を褒める余裕がある分、英国の魔女の方が余裕があるようだ。
「えっ? ありがとうございます! あ、味付けは任せてください」
というので、煮込み以降の工程はリュールに任せられることになった。
その間にアンジェと英国の魔女は素振りなどをしてお腹を空かせていたようだ。
そして、ついにカレーが出来上がる。
「わぁ、このご飯、とっても美味しいです。キャンピー君、料理上手ですね〜!」
「キャンピーくんはご飯を炊きなれてるからねー。でもこのカレーの味付けもとっても美味しいよー」
「えっ? ありがとうございます!」
『キャンピーくん』の「美味しい」という言葉に、アンジェと英国の魔女も頷く。
やがて、食事も終わり、アンジェと英国の魔女が「煮込み以降は任せてしまったから」と率先して片付けを始めている間。
『キャンピーくん』は一跳ねしてロケーションを森の中に変更。リュールと協力して木々を組み合わせてキャンプファイアーを組み立て始めた。
「よっと、燃えろ!
属性誓約!
獄炎嵐龍!」
発動するのはマナ現象、否、ユーベルコード。
獄炎が放たれ、キャンプファイアーが派手に燃え始める。
「皆さんも一緒に踊りましょう!」
「これはもっと人が多いほうが楽しいですね、もっと人を呼んできましょう」
そう言うと、短い金髪にリー・エンフィールド小銃を背負ったフェア(妖精使い・AWsA00003)と人の顔くらいの全高しかない白っぽいピクシー、ウェリィ(自由な妖精・AWsA00004)も遊びに来た。
最初は仲良し同士で、アンジェと英国の魔女、フェアとウェリィ、そして、リュールと『キャンピーくん』が踊っていたが、場が慣れてくるに従い、組み合わせは自在に変化し、リュールは結果的に全員と踊りを楽しむことが出来た。
「昔を思い出しますね……」
宴もたけなわとなった頃、ぽつり、とリュールは呟いた。
アンジェはその言葉が気になったが、リュールから発する力の波動から微妙に事情を感じ取った英国の魔女が「今そこ掘り下げるタイミングじゃないよ」と止めたため、その言葉に反応する人はいなかった。
こうして、リュールやリュールに誘われた「試練の探究者」の誰にとっても、楽しい思い出が出来たのであった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
NPC、試練の探究者の人達共に〇
●パシフィックツリー
すーごい、おっきな木……
果物が豊富ならデザート系作ろうかな
僕料理全般好きだけど、デザートが一番得意なんだ
例えばマシュマロ焼き
これは切ったバナナや桃、ブルーベリーとマシュマロ、チョコチップを全部スキレットに並べて焼くだけ
果物以外が溶けてきたら粉糖を振りかけて完成
簡単でしょ?
コツは果物を下にして焼くこと
マロもチョコも焦げやすいからね
チョコ系多めに用意出来たら別途溶かして
果物そのままフォンデュするのもいいかも
ビターチョコなら甘味不得意な人も食べやすいかな
片方でも両方でも、好きな方をどうぞ
キャンピー君は甘いのとほろ苦いのどっちが好み?
※UC:判定用
『キャンピーくん』が一跳ねすると場は一変、巨大な樹木が生えた島へと「洞窟」の姿が変じる。事前にここが地下空間だと聞いていなければ転移した猟兵もそこが地下だとは思わないだろう。
「すーごい、おっきな木……」
パシフィックツリーと通称される巨大な樹木を見上げながら呟くのは一見すると女性としか見えない琥珀色の瞳に琥珀色の髪が似合う少年、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)だ。
「うふふ、すごいでしょ、ここは私達にとっても聖地みたいなものなんだよ」
自慢げに胸を張るのは人の顔程度の全高しかない白い髪に青い瞳を持つ女性ピクシーのウェリィ(自由な妖精・AWsA00004)だ。
「なんで、ウェリィが胸を張るの。ウェリィの出身はイギリスでしょ」
呆れたようにその後ろから声をかけるのは短い金髪に青い瞳を持つ女性、フェア(妖精使い・AWsA00003)だ。彼女はウェリィの相棒である。
「果物が豊富ならデザート系作ろうかな。僕料理全般好きだけど、デザートが一番得意なんだ」
「良いと思うよ! ここの
木の白妖精達も喜んで果物を差し出すってさ」
澪の言葉に、嬉しそうにウェリィが白い光を明滅させながら頷く。
「ウェリィがデザートを食べたいだけじゃないよね?」
「ほんとだよ! ドライアド達もここでキャンプを楽しんでほしいってさ」
「あの、ドライアドってどういうことなの?」
二人の会話に疑問を持った澪が二人に問いかける。
「あのね、ここの木々はみんな、ドライアドっていう白妖精の本体である宿り木なんだ。まぁ、この「洞窟」が作った偽物なんだけど」
「木々が意志を持ってる、みたいなことなのかな? 本当に果物を取って大丈夫?」
ウェリィの説明に少し不安を覚える澪。
「ドライアドさんのことは分からないけど、キャンピーくんの周囲では人の
ダメージが出る事は出来ないから、もしドライアドさんが嫌がってたら、果物を取ることも出来ないはずだよー」
そこに助け船を出したのは『キャンピーくん』だった。
「そうか。『キャンピーくん』さんは全ての戦闘行為が無効化する強力なマナ現象……じゃなくて、ユーベルコード? を持ってるってベルゼさんから聞きました。その状況で果物を採取出来れば、それは本当に嫌がってない証拠になりますね」
フェアが頷く。
「そっか」
澪も頷く。
「そうと決まれば、果物採取開始だー!」
そして、テンション高くウェリィが動き出し、他の面々も続いた。
果たして、果物は無事採取が出来る事が証明され、バスケットに一杯の果物が集まった。
パシフィックツリーは太平洋にある孤島のはずだが、採取できる果物はその環境に囚われない、実に様々であった。あくまで「洞窟」の中だから、ということだろうか。
「それで、何作るの? 何作るの?」
「うーん、それじゃ、マシュマロ焼き!」
ウェリィがワクワクと白く明滅すると、澪はそれに答える。
「これは切ったバナナや桃、ブルーベリーとマシュマロ、チョコチップを全部スキレットに並べて焼くだけ。果物以外が溶けてきたら粉糖を振りかけて完成。簡単でしょ?」
「おぉー、それなら私にも出来そうー」
澪の説明にウェリィがちかちかと白く明滅する。
「フェアでも作れそうなデザートだよ、よかったねー」
「うるさいな」
「ふふ、コツは果物を下にして焼くことだよ。マロもチョコも焦げやすいからね」
ウェリィとフェアの仲の良いやり取りに澪も思わず笑みをこぼしながらコツを説明する。
「あ、火種は任せて、えーい」
そう言ってウェリィがマナ現象『ピクシー・ファイアボール』を放つ。両手の先から放たれた真っ赤な炎が焚火を赤々と燃やし始めた。
「単に燃やしたいだけなら、アリスに頼んだ方が早いのに」
「んーん、このマナ現象は後で私が好きに消せるんだ。火がうっかり燃え広がったりしないから安心でしょ?」
「なんだ、ちゃんと考えてたんだ、ウェリィの事だから、ただ自分が目立ちたいだけかと」
「なんだとー」
「こらこらー、キャンプ中に喧嘩は駄目だよー」
仲良し二人の喧嘩を『キャンピーくん』が止めつつ、料理の時間が始まる。
ちなみにアリスとはフェアが使役している人工妖精の一人である。
「チョコ系多めに用意出来たら別途溶かして、果物そのままフォンデュするのもいいかも。ビターチョコなら甘味不得意な人も食べやすいかな」
「わーい、チョコフォンデュも大好きー」
「こら、あんまり食べ過ぎないの」
澪の提案に、やっぱりウェリィが白い光を明滅させて喜ぶ。
「片方でも両方でも、好きな方をどうぞ。キャンピー君は甘いのとほろ苦いのどっちが好み?」
「キャンピーくんはキャンプが楽しければどっちも大好きだよー。君が二種類用意したから、みんな楽しそう。だから今回もどっちも好きだよー」
ウェリィは甘い方を、フェアは苦い方も甘い方も、それぞれ食べて楽しんでいる。
『キャンピーくん』の言う通り、澪の配慮のおかげでみんなが楽しめたと言えるだろう。
此度のキャンプも大成功に終わったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
雁帰・二三夫
NPC◯
キャンピーくんの手を取り男泣き
「…マーベラスッ!貴方は素晴らしいフォーミュラですッ!一生貴方について行きたいッ!」
「海でも山でも酒でも、知人本人達の死亡寸前事故が多過ぎて、冬のソロキャンと飲酒は控えているわたくしですが、ここではそれを気にする必要がありません。全力出しますよっ」
焚火台やガスバーナー複数出し
ダッチオーブンとコッヘル設置
コッヘルはホットワイン
赤ワインにブルーベリージャムとシナモンパウダー
白ワインは林檎ジャム
ダッチオーブンでは
派手な音たてるポップコーンおろしカレー粉ざばざば
芯くり抜きバターとレーズン詰めた焼林檎
餃子ぶっ込みキムチ鍋
提供
「さあどんどんどうぞ!まだまだ作りますよ」
「…マーベラスッ! 貴方は素晴らしいフォーミュラですッ! 一生貴方について行きたいッ!」
と『キャンピーくん』の手を取って男泣きするのは黒い瞳に黒髪、色黒の肌を持つ雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)だ。
「海でも山でも酒でも、知人本人達の死亡寸前事故が多過ぎて、冬のソロキャンと飲酒は控えているわたくしですが、ここではそれを気にする必要がありません。全力出しますよっ」
「そうですね、ここでこの『キャンピーくん』とやらのそばであれば死ぬことはありません」
腕まくりする二三夫の言葉に頷くのはキャンプに誘われた一人、
中島・
碧(宮内庁対霊害対策課戦闘員・AWsA00002)だ。
「まぁ、もし突然『キャンピーくん』が反旗を翻していなくなれば、この「洞窟」のクリーチャーに襲われる危険はありますが」
同じくキャンプに誘われた一人、
如月・アンジェ(退魔師・AWsA00001)が冷静に呟く。
「そんなことしないよー。ちゃんとキャンピーくんが帰るときはみんなをキャンピーくんの中に入れて『アスリートアース』まで返してあげるつもりー」
そんなことより、喜んでもらえてキャンピーくんもうれしいー、とのんびりな『キャンピーくん』。
「これがよその世界では一応敵だというのですから気が抜ける話ですね」
と、やはりキャンプに誘われた一人、英国の魔女(高速記述者・AWsA00006)が呟く。
「ではでは」
そういって、二三夫が発動するユーベルコードは『おっさん自慢の健康温泉ランドへようこそ』。
二三夫がバトロワシューター時代からしている『ミサンガ』に触れるとそれに吸い込まれるように二三夫が消える。
「!?」
思わず驚愕する三人。
「マナ現象……いえ、ユーベルコード、ですか。本当に多種多様なのですね」
三人がそれぞれ似たようなニュアンスでその多様さに驚いていると、二三夫が戻ってくる。
二三夫はミサンガの中に作られたユーベルコード製の設備が整った巨大健康温泉ランド風無限倉庫に移動していた。
本当ならその中で整った設備や温泉を楽しむことも出来るのだが、二三夫はそのような無粋なことはせず、内部から必要なものを持ち出してくるだけに留めた。
焚火台やガスバーナーを複数出して、設置し始める二三夫。そこにそれぞれコッヘルとダッチオーブンを設置していく。
「ルーンでおまじないをして差し上げようかと思いましたが、あまりに手際が良いので、下手に口を挟むとかえって邪魔になってしまいそうですね」
そう英国の魔女が呟くのも聞こえず、二三夫は準備を進めていく。
まずは飲み物。コッヘルでホットワインを作っていく。赤ワインも白ワインもばっちり用意。これを単に温めるだけでも良いのだが、ここは一手間加えたい。
というわけで、二三夫は赤ワインにブルーベリージャムとシナモンパウダーを、白ワインは林檎ジャムを、それぞれ加えていく。
続いて食べ物。ダッチオーブンを開き、油を敷いて、まず中に入れるは、爆裂種のコーン。
早速蓋を閉じて火にかけている間に、他の料理の準備に移る。
次に取り出すのはリンゴ。丁寧かつ大胆に芯をくりぬき、代わりにバターとレーズン詰めて、アルミホイルに巻いてダッチオーブンに入れて焼いていく。
そしてそれで終わりではない。ダッチオーブンに半分ほどまで水を入れ、昆布を入れ、豆板醤、コチュジャン、塩、しょうゆ、酒、にんにく、しょうがなどを投入し火にかける。
その間に野菜を食べやすい大きさにカット、ダッチオーブンが沸騰直前になったら、カットした野菜と冷凍餃子を入れていく。
その間にポップコーンが派手な音を立て始めるので、それが止むのを待って、カレー粉をざばざばとぶち込み、よく混ぜていく。
そして、十分ほど経てば、最後のダッチオーブンの中身がいい感じになってくる。だが、ここで油断してはいけない。
二三夫はスープの味見をして、少し調味料を足し、味を調整する。野菜の量によって味が変わってしまうので、ここで調整するのが大変重要なのだ。
かくして、二種類の飲み物と三種類の食べ物が完成した。
「さあどんどんどうぞ! まだまだ作りますし、鍋は締めもありますよ!」
アンジェ、碧、英国の魔女がそれぞれ食器に盛られた食べ物を見て、思わず感嘆する。
「なんという鮮やかな手際。手慣れたキャンパーですね」
改めて出来上がり品を見てみよう。
まずはホットワイン二種。
「すごい、以前にお店で飲んだのとまるで遜色がない味です」
と思わず感嘆するのはアンジェ。
思わず唸る出来のホットワインを味わいながら、まずはポップコーンに手を伸ばす三人と一体。
「これいけるね、これ食べてこれ飲みながらゲームしたい」
カレー粉がまぶされたそれはスパイシーで唾液の発生を促し、より食欲を促進させてくれる。いうまでもなくつまみやすく、つまみに最適だ。
英国の魔女も思わず素が出た発言をしてしまっている。
続いては順番で言えば焼き林檎だが、これはデザートか、と思い直し、キムチ鍋に視線を移す三人と一体。
こちらも辛すぎない絶妙に食欲を掻き立てる辛さで、それに餃子がよく合っている。
「これは温まりますね。私達は先ほどまで南極にいましたから」
と、碧。
「洞窟」内部は自在に姿を変えるので忘れてしまいがちだが、ここは南極、グリモアの転移が使えない「試練の探究者」達は普通に南極を経由してここに来ているため、体が冷えていたが、このキムチ鍋が体を芯からぽかぽかにしてくれていた。
そしてそれを食べ終わったら、次はいよいよ焼き林檎。
ずるっと皮が剥けてしまうくらいになっている焼き林檎はまさに絶妙な焼き加減であり、さらにその芯に入っているバターとレーズンが素晴らしい味を生み出している。
「美味しい! これ、家でも作りたいですね……。"子供達"にも食べてもらいたいくらいです」
と、アンジェ。ちなみに"子供達"とは、後にアンジェ・チルドレンと呼ばれる事になる彼女の弟子たちの事で、本当の子供の事ではない。アンジェはまだ独身だ。
「みんな笑顔だねー、キャンピーくんもうれしいー」
とキャンピーくんもご満悦。
「まだまだ、鍋には締めもありますからねー」
と取り出されるのは、ご飯にラーメン、うどん、きしめんにチーズ。
まだまだ、キャンプ飯は終わりそうにない。
討魔組代表としての仕事で忙しいアンジェ、宮内庁霊害対策課の名代として心労を背負っている碧、三百人委員会と「試練の探究者」の間で板挟みになっている英国の魔女。
表には出さないようにしている彼らも今宵ばかりはたくさんのお酒と料理でその心をリフレッシュできたことだろう。
そのすべては二三夫の手腕によるものである。
大成功
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ミーガン・クイン
【リリパット・ブロブディンナグ戦争】
あら、巨人が住む世界なのね?
私、大きい人、小さい人が大好きなのよねぇ♪
無敵とは言え大きさで舐められたくないからぁ。
私の拡大魔法で巨人並みに大きくなってキャンプしましょう♪
キャンピーくんは、私のようなキャンプ初心者も歓迎してくれるのかしら。
私紅茶にハマってるからぁ、キャンプでの淹れ方を教えて頂戴な♪
おやつにスモアなんかも良いかしらね?
おいしい作り方教えて、お願い♡
折角なら巨人とも交流したいのだけどね。
この世界の巨人の生活ってどんなのかしらねぇ。
『キャンピーくん』が一跳ねすると場は一変、戦場跡のような見た目へと「洞窟」の姿が変じる。事前にここが地下空間だと聞いていなければ転移した猟兵もそこが地下だとは思わないだろう。
また、戦場跡とはいいつつも、そこに落ちている武器は人間が用いるそれではない。武器を大きく分けると、全高30mほどの巨人が使いそうな巨大な武器と、全高8m程の巨人が使いそうな巨大な武器とに大分された。
「試練の探究者」の偵察班の情報によると全高8mなのは巨人ではなくロボットである、ということが判明している。
「あら、巨人が住む世界なのね?」
それはともかく、巨人が使いそうな武器に反応を示すのは人を弄ぶことが大好きなサキュバスの魔女、ミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)だ。
「私、大きい人、小さい人が大好きなのよねぇ♪」
と嬉しそうに呟きながら発動するユーベルコードは『
拡大魔法』。
「無敵とは言え大きさで舐められたくないからぁ。私の拡大魔法で巨人並みに大きくなってキャンプしましょう♪」
空中に魔法陣の紋章が出現し、そこから拡大魔法が放たれ、ミーガンは巨大化の効果を得る。
やがて、30mほどになったところで、ミーガンは魔法の効果を終了させる。
これで、ミーガンはこの世界の巨人「ジャイアント」と同じ大きさになったことになる。
「わー、おっきいー」
その様子を見て、驚くでもなくただ、ぴょんぴょんと飛び跳ねる『キャンピーくん』。
「キャンピーくんは、私のようなキャンプ初心者も歓迎してくれるのかしら」
「もちろんだよー、誰だって最初は初心者でしょー。みんな等しくキャンプを楽しもうねー」
ミーガンの質問に『キャンピーくん』はもちろん、と頷く。
「私紅茶にハマってるからぁ、キャンプでの淹れ方を教えて頂戴な♪」
「いいよー。といっても、基本的には普通に紅茶を淹れるのと一緒だよー」
そういって、『キャンピーくん』がいくつかの道具を取り出す。
ミーガンはそれに再び『
拡大魔法』を発動し、自分に適したサイズに変更する。
「といってもこの距離感じゃちょっと遠いわねぇ」
そう言うとミーガンは『キャンピーくん』が用意した机を巨大化させる。
「わーい、おっきい机ー、じゃあこの上に失礼するねー」
そう言うと、『キャンピーくん』もその上に載ってくる。
勝手に『キャンピーくん』の持ち物を大きくしてしまっている形だが、ミーガンは|『
縮小魔法』という逆の作用を持つユーベルコードも使えるので、問題はない。
「まずはステンレスケトル、これでお湯を沸かすよー」
と『キャンピーくん』が教えてくれるが、ここからが大変。なにせ、巨人の住む世界のはずなのだが、この世界の森はどう見ても人間基準のサイズなのだ。
「仕方ないわね」
頑張って森の木々を根こそぎ抜いて集め、それを薪として火をおこす。
「おぉー、おっきな焚火ー」
嬉しそうに『キャンピーくん』が跳ねる。
「じゃあそこにケトルをかけてお湯を沸かそうねー」
水は近くの川から取った。生水だが、沸騰させるので大丈夫だろう。
「そしたら次はチタン製ティーセットを用意してー、
布フィルターも用意するよー」
「へぇ、コーヒーと同じように入れるのね?」
「本当は
茶こしを使えば普通の紅茶みたにも淹れられるけど、キャンピーくんはコーヒーも入れるからこっちを使ってるよー。あと、もちろん、使い捨ての紙フィルターでもいいよー、キャンピーくんはネルドリッパーの方が繰り返し使えるからこっちを使ってるよー」
ちなみに、もちろん、ティーバックでも構わないその場合はカップにお湯を注いで淹れるだけだ。
「ネルドリッパーを用意したら、そこに茶葉をセットするよー」
続いて『キャンピーくん』はスチール製の紅茶缶を取り出し、ステンレス製の計量スプーンで計量して紅茶をネルドリッパーにセットする。
「あとは90℃近くのお湯を注ぐだけだよー」
『キャンピーくん』の的確な教えの結果、ミーガンの手元には見事な紅茶が出来上がっていた。
「あとは……おやつにスモアなんかも良いかしらね? おいしい作り方教えて、お願い♡」
「いいよー。まずはクラッカーの上にチョコレートを置いておくよー」
ミーガンもそのうち一つを巨大化させ、机の上に置く。
「次にマシュマロ一つをBBQ串やピックに刺して、遠火であぶっていくよー。直火だと燃えちゃうから注意してねー」
ミーガンは言われた通り、ピックに刺さったマシュマロを巨大化させ、巨大焚火に遠火で炙っていく。
「あ、良いきつね色になったね、そしたら火から離してー」
「これでいいのね」
「うん、そしたら、さっきのクラッカーチョコレートの上においてー。その上にもう一枚クラッカーを乗せたら完成ー」
とろっとろのマシュマロとチョコレートを挟んだクラッカー。大変美味しい食べ物だ。
「折角なら巨人とも交流したいのだけどね。この世界の巨人の生活ってどんなのかしらねぇ」
「呼んでみるー?」
「遠慮しておくわ。人間とは仲が悪いのかもしれないし」
なにせ、全高8mのロボットと戦闘している様子なのだ。その中に乗っているのは人間である可能性が高い。厳密にはミーガンは人間ではないが、そうみなされる可能性は十分にあった。
そんなわけで、一人と一体はゆっくりとしたキャンプの時間を楽しんだ。
「そろそろ『アスリートアース』に帰る時間だねー。キャンピーくんの中に入ってー」
ミーガンはその言葉に従い、全てを縮小しなおして、キャンピーくんに返そうとする。
「いいよー、紅茶セットとピックはあげるー。これからも是非キャンプを楽しんでねー」
気が付くと、ミーガンは『アスリートアース』に戻っていた。『キャンピーくん』は既におらず、ただ、目の前に机と紅茶を淹れるための一式とピックだけが残っていた。
大成功
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