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バトル・オブ・オリンピア⑦〜落とせ水! 守れトマト!

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #その他スポーツ #ウレタンポカポカ大海戦


●バトル・オブ・オリンピアは続く
 タビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)は、新たなダークリーガーとのバトルフィールドを猟兵達にご案内した。
「今度の会場は海だよ! そこで対決してもらう競技は……」
 海上の特設フィールドで行われる、その名も『ウレタンポカポカ大海戦』。伝統あるスポーツの1つらしい。
 競技の内容は、以下のとおりである。
 選手は、ウレタンの剣を与えられ、頭にトマトを付ける。
 そして、水に浮かべられた不安定な足場の上で、選手同士がウレタンの剣を手に、ポカポカチャンバラを繰り広げる。
 用意されたフィールドは、島状のものや、細い橋。『水に落ちる』か、『トマトを潰される』とアウト、失格となる。
 制限時間内に生き残った選手の人数が、チームの得点としてカウントされ、当然の如く点数の高いチームの勝利となる。
「っていう事は、基本的には、チームの人数が多いと有利になるわけだよね? だから、ダークリーガーのチームは、ものすごい数をそろえて参戦してくるよ」

 今回の敵チームは、『ビーチアスリート』の集団による、チーム・ビーチ。
 数は力なり。とにかく物量作戦で、猟兵チームを水落ちさせようと牙を剥いてくる。やたらに大集結したダークリーガーは、それだけでも壮観だ。
「こっちも敵を全滅させる勢いで対抗しないとダメ、ってことだよね」
 単純な力任せで相手を追い落としてもよいし、技を駆使して隙をつき、華麗に撃破してもよい。
 比較的広い島エリアから橋へと追い込んで落とすという作戦もあるだろう。
 一方で、猟兵の側も、水に落ちないよう踏ん張り、あるいはトマトを死守しなければならない。
 武器は基本的に、支給されるウレタンの剣のみとなる。ユーベルコードは剣から出る。

「数だけが勝負を決めるわけじゃないってところをみせてやろうよ! チーム猟兵、ファイトー!」
 ぶんぶん!
 ケットシーサイズのウレタンソードを振るって、猟兵達を鼓舞するタビタビであった。


七尾マサムネ
 これは『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオです。一章で完結します。

●プレイングボーナス
 数の暴力に対処する/自身がアウトにならないよう立ち回る。

 それでは、皆さまのエントリー、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『ビーチアスリート』

POW   :    爆裂、ジャイアントビーチスマッシュ!
【ビーチボール】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    多機能型水鉄砲
【高水圧砲】【ウォーターカッター】【粘着弾】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    変換、ビーチフィールド!
【真夏の砂浜の砂】を降らせる事で、戦場全体が【真夏の砂浜】と同じ環境に変化する。[真夏の砂浜]に適応した者の行動成功率が上昇する。
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ミツバ・カナメ
うわあ、本当に凄い数の敵だね…。
でも、進む道がある程度限られてるっていうなら…何とかできそう、かな?

敵UCへの適応も兼ねて、水着で参加。
フィールドの端の方、出来れば橋とかでそこまでの進行経路が限られてる位置に陣取って敵を待つよ。
敵は多いけど、一度に戦うコトになる数を減らせられれば数的不利は埋められるハズ。

その意図で暴徒鎮圧用放水銃を使用。
近づいてきた敵に片っ端から浴びせて、動けなくして後続の敵の進行経路を更に限定。
不安定な場所にいる敵は、水圧で押し出して水落ちさせちゃっても良さそうかな。
余力ができたら、動けない敵のトマトを潰して退場させてくよ。


栗花落・澪
2023年水着で砂浜にされても動きやすいように
鎌なら使ってるから応用で頑張るね

集中力と気配感知、聞き耳で
万一死角を取られても反応できるよう常に敵群の位置を把握
不安定な足場でもダンスで鍛えたバランス感覚で危なげなく移動
足裏に風魔法を纏わせておくことでジャンプ力を風力補助
集団を引きつけたうえで高ジャンプで飛び越え
その際の地を蹴る反動でまとめてバランスを崩させたり
スライディングで足元をすり抜ける等場面に応じて回避対応しつつ
背後を取ったり相手の動きに隙が出来たら即座にトマト狙い
或いは落下狙いの攻撃

更に剣の切っ先を向けて指定UCの範囲攻撃
花嵐の勢いで海上に押し出したり
視界を奪ってる間に剣でまとめて撃破


ミア・ミュラー
なんだか賑やかで楽しそうな、競技ね。相手がいっぱいいるけど負けずに、頑張るよ。
海だしわたしも水着になってた方が、いい?落ちるつもりは、ないけど。遠距離から狙ってくるみたいだし、数が多いならそこに潜り込んじゃった方が逆にやりやすい、かも。剣でトマトを守りながら、相手の間を縫って、駆け抜けるよ。
わたしは守るだけだけど、【プリンセス・プランク】を剣に使って、妖精さんが攻撃して、くれるから。わたしは走って逃げるのに集中して、相手には同士討ちとかバランスを崩して海に落ちて、もらおう。これで攻めも守りも、ばっちり。ん、油断せずに最後まで、戦い抜くよ。



 雰囲気だけは、れっきとした夏。
 ミツバ・カナメ(みんなを守るお巡りさん・f36522)を迎えたのは、海と、空と、そして敵だ。
「うわあ、本当に凄い数の敵だね……」
 わちゃっ! と集結したダークリーガー、ビーチアスリート達。
 数だけ見れば、猟兵が対抗するのも一苦労だが。
「進む道がある程度限られてるっていうなら……何とかできそう、かな?」
 ミツバ達を迎えたバトルフィールドは、比較的広い島エリアと、それをつなぐ細い橋の2種類。
 今回のフィールド、そして相手のユーベルコードを想定して、ミツバは水着姿だ。魅力対決なら、敵を圧倒している。
 ミツバは、競技開始の時を待ちながら、フィールドの端の方……橋に陣取った。そこに至るまでの進行経路が限られている位置。
 敵は多い。だからこそ、一度に戦う相手の数を減らす事が、数的不利を埋める最善の策だと、ミツバは考えたのだ。
 ミツバ達とともに、この競技にエントリーした栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の衣装もこれまた、水着。爽やかなセーラー服スタイルだ。動きやすさとオシャレ度抜群。
「これでトマトを潰すんだよね」
 支給されたウレタンの剣を、軽く振ってみる。普段から武器として鎌を使用しているから、その応用でいけば問題ないだろう。
 そして、視線の先には、ダークリーガー。向こうも水上戦仕様……すなわち水着スタイルで臨戦態勢。
 もう1人、果敢にポカポカしにやってきたのは、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)。
「なんだか賑やかで楽しそうな、競技ね。相手がすごくいっぱいいるけど負けずに、頑張るよ」
 他の猟兵、そして敵がそうであるように、ミアもまた、水着に着替えている。
 もっとも、水に濡れるようなつもりは、毛頭ないのだけれど。

 ピピーッ!

 審判ダークリーガーのホイッスルが響き渡った。競技スタートの合図だ!
「いくよっ! ビーチはうちらの庭!」
 敵はいきなり砂を召喚すると、辺りを真夏の砂浜の様相に変えた。
 水を得た魚状態の敵の目的は、ミツバ達チーム・猟兵を落水させる事。多少の犠牲など構わない。最終的にチーム・ビーチが勝利すればいいのだ。
「潰れろー!」
「落ちろー!」
 ウレタンの剣を振りかざし殺到してくるビーチアスリート達。と、言っても、ミツバと相対できるのは、1人きり。
「ちっ、タイマンに持ち込まれた!?」
 ミツバが陣取った橋の幅では、一度に2人以上が並ぶ事は、不可能。一対一に持ち込めば、やりようはある!
「そこのダークリーガー、止まりなさーい!」
「何言って……わぷっ!?」
 ビーチアスリートの顔面を、突然の水流が襲った。剣から出た、ミツバのユーベルコード【暴徒鎮圧用放水銃】だ。
 放水をまとも喰らった先頭の敵は、体勢を崩した。
「ちょっ、水は苦手なんだってば! わっとっと……あ」
 ぼちゃーん!
 そのまま、水に落ちていく。失格!
「あっ、やられた! って」
 二番目の敵が、味方の脱落に気を取られていた隙を、ミツバは逃さない。ウレタン剣で、頭上のトマトをすぱーんと一撃!
 続けて近づいてきた敵も同様に、片っ端からミツバの放水を喰らった。後続の足も止まって、渋滞状態。
「さあ、どんどん来ていいよ?」
「くっ……!」
 一度勢いづいたミツバは、止まらない。
 1つ、また1つと、敵のトマトを叩き潰していく。
 早くも悲鳴と脱落者が量産される中、澪も動き出している。1か所にとどまっていては、敵の良い的だ。
「相手はどこから来るつもりかな」
 澪は、集中力と気配感知能力を発揮。聞き耳を立てて、敵1人1人の位置を把握する。
 万が一、死角を取られても、生き延びなければならない。
 与えられたライフは、トマト1つきり。一瞬のミスが命取り。
「各個撃破だよー!」
 敵が、団体で澪に接近してきた。
 この足場で、複数人が一度に動けば、自然と不安定さは増す。
 しかし澪の歩みは、不規則に揺れるフィールドさえもものともしなかった。ダンスで鍛えたバランス感覚が、ここで役に立とうとは。
「なら! 回りこめーっ、回りこめーっ!」
 澪の退路を断つべく、数人の敵が周りを囲みにかかる。
 既に、ユーベルコードで周囲は真夏の砂浜同然。お陰でビーチアスリートのテンションは高い。
「もらったっ!」
 ぶん! 敵の剣が振り下ろされる。
 だが、澪はその直前にジャンプ。足裏にまとわせておいた風魔法で、より高みへ。
 敵集団を引きつけたうえで、それを飛び越え、相手の背後に回り込む。しかも、跳躍の際の反動が、敵チームの態勢を崩していた。
「なっ、後ろに……!」
 ぶしゃーッ!
 着地しながらの、ウレタン斬撃! 澪の鮮やかな一閃が、敵のトマトを潰した。
「よくも仲間をーっ!」
 ばっ! 包囲網の外から、敵の加勢が飛び込んできた。こちらはバランス万全。澪のトマト目掛けて剣をバットよろしく繰りだしてくる。
「そう来るなら、こうだよ」
「えっ!?」
 ビーチアスリートの視界から、澪が消失した。
 とっさのスライディングで、相手の足元をすり抜けたのだ。
 澪は、振り返りざま、剣の切っ先を相手に向けた。無数の花嵐が、敵群をまとめて襲う。
 間近にいた敵が、花嵐を顔にまともに喰らって、海上に押し出される。
 周りの敵が視界不良に陥っている隙に、澪の剣が、まとめてトマトを討ち取ったのだった。
「みんな、すごいね?」
「そらそら、隙だらけだよ!」
 澪達の活躍に見入っていたミアへも、ビーチアスリートの一団が殺到する。
 飛んできたのは、水圧、ウォーターカッター、そして粘着弾。
 ウレタン剣から放たれた遠距離攻撃の数々が、ミアを狙う。
 それなら、と、ミアはあえて敵陣に突撃した。
「えっ、ちょっ、こっち来るの!?」
 射撃を切り抜け、ビーチ部隊の渦中に、あえて潜り込むミア。剣で頭のトマトを必死にガードしながら、アスリート達の間隙を縫って、疾走疾駆。
「こっちの同士討ちを誘おうってコト?」
「けどね! 守るばかりでどうしようってのさ!」
 再び、アスリート達からウレタンソードの洗礼が迫る。
 確かに、防戦に徹している限り、ミアは追い込まれる一方だ。
 だがしかし!
 いつの間にか、ミアのウレタンソードも、神秘の輝きを放っていた。
「わっ、ユーベルコード!?」
 アスリート達が気づいた時には、既に、魔法の粉が振りまかれていた。
 それ自体に、攻撃力があるようなものではない。だが、ウレタン剣に宿った妖精の悪戯は、アスリート達にとって不幸な結果をもたらす。
 この競技において、不幸と言えば……。
「あっ」
 つるっ。
 特にどうという理由もなく、アスリートの足が滑った。
 ざばーん!
 ミアは、高く上がった水柱を見た。
「ちっ、またやられた!」
「1人くらいいなくなったって!」
 果敢なアスリートの1人が、ウレタンソードを繰り出した。まるで名刀の如く鮮やかなその一閃は、確実にトマトをぐちゃりと潰滅させた。
「やったっ、これで1人……」
「何すんのサっ!」
 怒りの声は、同じアスリートから飛んできた。剣閃はミアではなく、味方のアスリートのトマトに命中していたのだから。
 ぎゃあぎゃあ、と言い争いが始まって、同士討ちに発展。最後は両者とも、仲良く落水。
「ん、これで攻めも守りも、ばっちり」
 イタズラ成功に笑う妖精さんとうなずき合うと、ミアは戦いを続けた。最後まで、油断することなく。

 ミツバに追い落とされ、澪にはかく乱。
 そしてミアにも翻弄され、チーム・ビーチ、それはもう大混乱だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バロン・ゴウト
これだと競技というより、UDCアースとかのテレビでやっているバラエティ番組みたいだにゃあ。
けれどアスリートアースにおいて伝統あるスポーツという事なら、敵も手練れぞろいなはずにゃ。気を引き締めていくのにゃ!

まずはケットシーの身体なら安定して登れる高所に【ジャンプ】で向かい、陣取るのにゃ。
この時、あえて逃げるような素振りで敵の油断を誘うのにゃ。
「敵の数が多すぎるのにゃ!いったん退避なのにゃー!」
高所で敵の動きを確認しつつ、まとめてこちらに向かってきたら、アイリスの嵐を【全力魔法】で放って敵全員のトマトへ攻撃、一網打尽にするのにゃ!

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。


神臣・薙人
水着で参加
とにかく物量ですか
作戦として有効なのは理解しますが
囲まれると厄介ですね
まだこちらとの距離が開いている間に
桜絨毯使用
相手との間に壁を作ると同時に
一つに乗って飛翔します

切り上げ等に警戒しつつ
空中から相手のトマトを狙って潰します
恐らく相手もクッションを
ジャンプ台等に利用して来るでしょうから
合間に白燐蟲を呼び出して
光で目を眩ませるようにします
光量は最大に
隙を見せたらトマトを狙います
真夏の砂浜には
水着なので適応しています

クッションが破損するか
落下しそうになった場合は
落ち切る前に別のクッションへ移動
無事なクッションが無ければ
UCを再使用して作ります
飛翔力を過信せず
不意の落下には十分注意を払います


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風

ほんに今回は…調子狂うの。平和ではある…平和?
だがまあ、やれることはやる。わしなのも、向いておるからだが。

四天霊障でトマト周りに結界を貼りつつ。
さて…ビーチボールが来ても、UC付きので破壊するか。
群がられても、広範囲の範囲を薙ぎ払って海へと落としていくか。
多対一じゃと、どうしても群がりになってしまうでのう…。
むろん、二回攻撃で突いたりもするがな!


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
チームの人数が明らかに違うのってスポーツとしてそれでいいのかなあ。
まあ、勝てるかどうかの話なら別に問題は無いんだけどさ。

さて、ウレタンの剣で大人数をなぎ払うのはさすがに手間がかかるし、
この不安定で水に浮いてる足場ならこれが一番手っ取り早いかな。
【縛索豪振】で敵チームの乗ってる足場に出糸突起から出した糸をくっつけて、
足場を丸ごと持ち上げて乗ってる敵をまとめて水に落っことすよ。
敵が巨大化したビーチボールをぶつけてきたら、
そっちも【縛索豪振】でキャッチして投げ返そうか。

頭にトマト乗っけてたらトマト食べたくなってきたなあ。
終わったらトマト料理でも食べに行こうかな。


オリヴィア・ローゼンタール
少々寒いですが……動いていればきっと温まるでしょう

競泳水着(2020年の水着)を着てリングイン
ウレタン剣を構えて、いざ尋常に勝負

不安定かつ水に濡れた足場でもしっかりと踏み締めて駆け抜ける(悪路走破・足場習熟・ダッシュ)
敵の攻撃を【見切って】紙一重で躱し、【カウンター】でトマトを次々に斬り裂く
数は力……確かに一理あります
しかし指揮官がおらず統制が取れていないと有象無象に成り果て、一騎当千に【蹂躙】され【なぎ払われ】ます
――このように!

巨大化ビーチボールが着弾する前に、【ジャンプ】してキャッチ!
逆に【怪力】で投げ返してフィールドに叩き付ける!(投擲)



「第二ラウンド開始だよ、猟兵! これで決着をつけてやる!」
 どん! でん!
 ビーチアスリート軍団の熱烈な歓迎を受けたバロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)は、トンチキに呑まれまいとしていた。
「これだと競技というより、UDCアースとかのテレビでやっているバラエティ番組みたいだにゃあ」
 バロンが持つウレタン剣の切っ先が、心持ち、下がる。
 ほのかに薄れかけた戦意を奮い立たせるように、バロンは、頭を軽く振った。
「でもでも、アスリートアースにおいて伝統あるスポーツという事なら、敵も手練れぞろいなはずにゃ。気を引き締めていくのにゃ!」
 バロンともども、チーム・猟兵の一員として、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)も、視界の大半を埋め尽くす、ビーチアスリートの大軍団と向き合っていた。
「とにかく物量頼みですか。作戦として有効なのは理解しますが」
 この戦場に相応しく、水着で参加した薙人に、多数の視線が突き刺さる。そのどれからも、友好の欠片さえ感じられない。当然だが。
「ほらほら、降参するなら今のうちだよ」
「猟兵が1人2人くらい来たところでうちらには勝てないんだから……さ!」
 ウレタン剣をぽふぽふ叩き、薙人達を挑発する敵アスリート達。
「全く、威勢の良い連中じゃの」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、一騎当千……が言い過ぎだったとしても、4人分くらいの働きは間違いない。何せ、4人で1人の、複合型悪霊なのだから。
 とはいえ、カウント的には1人分。チーム・ビーチの数にはとてもかなわない。
 これだけの敵だ。威圧感も生まれるはずだが、義透は、むしろ戦意を削がれていた。
「ほんに今回は……調子狂うの。まあ平和ではある……平和?」
 今回打席に立つことになった『侵す者』が、ボヤキを口にする。
 一応、武の天才であるゆえ役目が回ってきたはずだが、この競技は、武……なのだろうか?
「だがまあ、やれることはやる。わしなのも、向いておるからだが」
 仲間達もやる気を出しているのだから、ぼやいてばかりもいられない。
 義透侵す者も、しゃきっ、とウレタンの剣を構えて迎撃準備。
 やたらと蔓延する殺気。その発生源であるビーチアスリート軍団を遠目に眺めながら、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、頭をかいた。
「そもそもチームの人数が明らかに違うのってスポーツとしてそれでいいのかなあ」
 敵もダークリーガーの端くれ。ダーティな戦法で勝ちに行こうとするのは、ある意味正しい……のかもしれない?
「まあ、勝てるかどうかの話なら別に問題は無いんだけどさ」
 ペトもまた、これだけは平等なウレタンの剣を手に、開戦の時を待った。
 そしてこちらも華麗にリングイン。
 ホワイトに赤のラインの競泳水着に身を包んだオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は……ちょっぴり震えていた。
「少々寒いですが……動いていれば温まるでしょう、きっと。あ、これが武器ですね」
 準備体操に勤しむオリヴィアの元にも、虚空からウレタンの剣が現れた。謎システム。

 ぴぴぴーっ!

 長く響くホイッスル。競技開始だ!
「うちらの人海戦術にかなうわけないよ!」
 だっ! 一斉に駆けだすビーチアスリート達。
「わわ、そんなに一度に走ったら、足場がぐらぐらするにゃ!」
 踏ん張るバロン。
 しかも、いきなり熱々の砂が降ってきて、辺りを真夏のビーチの様相に変える。
 正直この状況は、バロンにとって不利だ。だが、ケットシーにも利点がある。小さな身体だ。
 他の種族なら上りづらいような高い場所を見つけると、そちらに目掛けて、ジャンプ。
「てっ、敵の数が多すぎるのにゃ! いったん退避なのにゃー!」
 慌てたように、しゅたっ、と陣取るバロンの元に、敵群は、進路変更。
「逃げ回ってタイムアップでも狙うつもり?」
「でもね、この競技は時間無制限なんだよ猫さん!」
 バロンが逃げに走ったと判断した敵が、それを追いかけて、集まってくる。
 しかしこれはむしろ、バロンに誘い込まれているのだ。
 高い場所ゆえ、敵の動きは、手に取るようによくわかる。
 ケットシーの小柄をあなどってか、敵は、むやみやたらに攻め込んでくる。与しやすそうなバロンから取り囲んで、脱落させるつもりだろう。
 それを確かめて、バロンは、ウレタンの剣を掲げた。
 はらりっ。刀身が、アイリスの花びらに変わる。
「えっ!? みんな止まって!」
 予想外の展開に、ビーチアスリート達が急ブレーキ。
 前方がストップをかけた事で、後続の面々も足止めされる。ドミノ倒しにならなかっただけ優秀だったかもしれない。
 だがしかし、バロンの繰り出したアイリスの嵐が、アスリート集団のトマトを次々と攻撃、真っ赤な花を咲かせていく。
「ああ~っ、トマトが~!」
「ちょっ、もう失格~!?」
 あちこちからアスリート達の悲鳴が上がる。これぞ、絵に描いたような一網打尽!
 そんなバロンの活躍を、離れたところで確認した薙人の耳を、気合の声が叩く。
「とりゃーっ!」
 一斉に襲い掛かるビーチアスリート達。雑に攻めて少しくらい脱落したところで、たくさんいるのだ。どうってことはない。
「この数に囲まれると厄介ですね」
 敵の勢いに若干の慢心を感じ取りながら、薙人は対応に移った。
 まだ、相手との距離が開いている間に、ウレタンの剣から、ユーベルコード発動。
 ぽむぽむぽむん。
 クッションの花が咲いた。
 薙人が掲げた剣に呼応するように、桜の花びらでできたクッションが生み出された。
「わっ、なにこれ!?」
 突撃してきたアスリート達は、突然現れた柔らかな壁に、その身体を受け止められた。
 敵の進行が停滞している間に、薙人はクッションの1つに乗って、空へと舞い上がる。
「あっ、上に!」
「それなら!」
 アスリート達は、肩車することで、薙人への距離を縮めようと試みた。
 ぶん! 切り上げてきたウレタンソードが、薙人の下方を薙いでいく。それをやりすごし、敵の頭上からトマトを狙う薙人。
 ぐしゃあ!
「ぐぎゃっ」
 潰れたトマトが、敵の髪と視界を赤く染めた。
「調子に乗らないでよね!」
 次々と倒されていく味方と、トマトの残骸を振り払い、敵が、薙人の元に到達した。桜のクッションを反対に利用して。
「もーらいっ……きゃっ!?」
 剣をフルスイングしようとした敵の目を、突如、光が焼いた。
 薙人の呼び出した白燐蟲が、パワー全開で光を放ったのだ。
 ちょっとした隙も命取り。クッションを渡り、トマトを狙い撃つ薙人。
 敵も砂浜パワーで対抗したが、水着姿の薙人にとっては、いい感じのバカンス。足かせにはならないのであった。
 さてさて、義透の元にも、敵チームがもちろん殺到している。
 やたらに威勢の良い敵チームに嘆息しながら、義透は、ちょいっ、とトマトガード発動。四天霊障で、頭上のトマトの周りに、結界を張る。万全。
「とりゃー! トマトもらったあ!」
 スパーン!
 鋭い球速! ビーチアスリートのウレタン剣から、勢いよくビーチボールが射出された。
 ちょっと何言ってるかわからないが、現実だ。受け入れよう。
 しかも、アスリート達は味方の損害を無視したので、スマッシュは3発になった。
「やれやれ、チームの残り人数が点数になるのなら、1人2人やられたところで痛くもかゆくもないのう、そちらは」
 目には目を、ユーベルコードにはユーベルコードを。
 義透は、何ら慌てる事なく、ウレタン剣を振るった。ビーチボールを叩き落とす。
「なっ……!」
 見た目は普通の剣術でも、威力はユーベルコード。
 払いのけられたビーチボールの着弾地点は、大いに水柱を上げた。
「くう~っ、なら、一斉攻撃! みんな行くよ!」
 ぐわっ、と、義透の周囲に、アスリートの集団が群がった。これぞ数の暴力!
「ふむ、何度来ようが同じこと」
 ぶぅん!
 義透が剣を一閃させると、殺到したアスリート達が薙ぎ払われた。次々と海へ落水していく。
「シンプルにやられたー」
「まあ多対一じゃと、どうしても群がりになってしまうでのう……」
 やれやれ、と肩をすくめる義透。
 背後から忍び寄っていた敵を、振り返ることなく、2度の攻撃で突き落としながら。
 それでも敵のアスリート魂は、まだまだしぶとかった。
 ペトニアロトゥシカと交戦中の敵の一団、その士気の高さは健在。むしろ、多数の味方を失ったことで、目も血走り始めている。
 対するペトは、まったくもって冷静で、慌てるそぶりは一片もない。
「全く元気だね。さて、ウレタンの剣一本で大人数をなぎ払うのは、さすがに手間がかかるし……」
 ペトの視線は、敵の足元に注がれた。
 不安定で水に浮いている足場というならば、一番手っ取り早い方法を取るまで。
 手首の『出糸突起』から、糸を放つペト。それをユーベルコードで操ると、敵チームの足場となっているフィールドに付着させた。
「あいつ、何かしようとしてる!」
「その前に墜としちゃえば問題ない……ととっ!?」
 ペトに襲い掛かろうとした敵チームが、一斉にひっくり返った。
 【縛索豪振】。敵チームが乗っている足場をひっくり返し、まとめて敵を落水させたのだ。
 ぼちゃんぼちゃんと、敵の人数分だけ音が鳴り、水の柱がそそり立つ。
「あーれー」
「ちっ、あんたらの仇は取るから安心して成仏して!」
 ビーチアスリート達が、ウレタン剣を振り下ろす。
 すると、巨大化したビーチボールが出現、ペトへと一直線に飛んできた。脱落したビーチアスリートのポカポカ魂もこめられているに違いない。
「よいしょっ、と」
 キャッチ。
 ペトは、触手のチームワークで巨大ボールを受け止めると、そのまま敵陣へと。
「お返しだよ」
「何それキモッ……じゃなくて、退避ーっ!」
 間に合わない。
 密集していた敵は、ボウリングのピンよろしく四方に跳ね飛ばされると、海へと落下していった。
「うん、頭にトマト乗っけてたらトマト食べたくなってきたなあ。終わったらトマト料理でも食べに行こうかな」
 脱落していく敵を見送りながら、呑気につぶやくペトであった。
「皆さん元気ですね……私もエントリーした以上、負けてはいられません」
 自分を奮い立たせるオリヴィアと、残る敵チームも、丁々発止のやり取りが続いていた。
 他の猟兵や敵の戦いの余波もあり、足場の不安定さは増すばかり。しかも表面が海水で濡れて、安全度が極めて低い。
 だが、オリヴィアもれっきとした猟兵。即座に足場の特性を理解し、対応。どんな悪路でも駆け抜ける走力を発揮した。
「ちょこまかとうざーい! これでも喰らえ!」
 オリヴィアを追いかける敵群……勢い余って何人か自爆していた……が、ウレタン剣を、ぶん、と虚空に向けて振り下ろす。
 すると飛び出す巨大ビーチボール。
 しかも、それを同時多発的に繰り出してくるので、オリヴィアはピンチだ。
 だが、オリヴィアにとっては、ボールの大きさがむしろ役に立ったようだ。
「これだけ大きければ、見てかわすことも容易いですね」
 しゅっ、と紙一重でかわすと、前進。ウレタン剣のカウンター!
「なっ」
「うわっ」
「トマトがスライスにっ!」
 すぱすぱと、まるでナイフで切られたような断面を披露し、トマトがダメになった。これぞウレタン剣術!
「う~っ、やるじゃん猟兵! でもまだこっちチームの方が多いね! やっぱ数は正義!」
「数は力……確かに一理あります」
 うっかり脱落者が出るのもいとわず、間断なく攻めてくる敵チームに、オリヴィアは冷静にそう返した。
「しかし指揮官がおらず統制が取れていないと有象無象に成り果て、一騎当千に蹂躙されなぎ払われます」
 そう、
「――このように!」
 巨大化ビーチボールの着弾直前、オリヴィアはジャンプ!
「なっ、キャッチしたっ!?」
 オリヴィアは、受け止めたボールを投げ返す。怪力を発揮して、フィールドに叩き付ける!
「うひゃああああっ?!」
 衝撃!
 どばーん、と一斉に敵チームが宙を舞う。
 落下地点に足場はなく、あえなく水落リングアウトしていくのだった。

 ピピーッ!
 再び響いたホイッスルが、戦いの終わりを告げる。
 あれほどいた敵アスリートは、1人残らず脱落。
 フィールドに残っているのは、猟兵だけ。すなわち……チーム・猟兵の大勝利だ!
 ……ちなみに、残ったトマトはみんなで美味しくいただきました。いただいたかも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月09日


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#アスリートアース
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#バトル・オブ・オリンピア
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#ウレタンポカポカ大海戦


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト