バトル・オブ・オリンピア⑦〜ライトブルー・フィールド
海の上に、水色の円形フィールドが浮かんでいる。学校のクラス二つぶんくらいの人数ならば楽々と載せられそうなフィールドは、その上で行われている競技により激しく浮き沈みを繰り返していた。
競技の名は、ウレタンポカポカ大海戦という。
のどかさすら漂う名に反し、フィールドで行われている攻防は真剣そのものだ。頭にトマトを括り付けた選手達が、ウレタンの剣を振るい合っている。剣は手足を打つ事も多いが、明らかにトマトを狙った一撃が多かった。
頭のトマトを潰された者が、フィールドから海へと落水した者が、失格を言い渡されて行く。
フィールドの上で戦っているのは、ダーク化した女学生達だ。けれど、彼女らは間もなく標的を変えるだろう。
猟兵という、共通の敵チームへ。
「みんな、集まってくれてありがとう」
ロッタ・シエルト(夜明けの藍・f38960)は、グリモアベースに集まった猟兵達へそう言ってお辞儀をした。
「今回みんなには、ウレタンポカポカ大海戦が行われてるフィールドに行って欲しいの」
分類上は『その他スポーツ』に属する競技だが、伝統あるものらしい。
ルールはそう複雑なものではない。参加する者は頭にトマトをつけ、ウレタンの剣を握る。そうして海上に特設されたフィールドに上がり、敵チームとウレタンの剣で打ち合うのだ。
頭のトマトを潰されるか、フィールドから海へ落水した者は、その時点で失格となる。制限時間内に生き残った選手の人数が、そのままチームの得点になるのだとロッタは語った。
「みんなに行って欲しいフィールドでは、ダーク化した女学生がウレタンの剣でポカポカしてるんだけど……猟兵が現れた時点で標的を変えるのが視えたわ」
ダーク化した女学生達は、猟兵を共通の敵チームとみなす。そして一丸となって、数の暴力で猟兵達を落水させようとして来るのだ。
これに対抗するには、こちらも力で押し返すなり、カウンターで相手のトマトを叩き潰すなりして返り討ちからの逆転を狙うしかない。
「みんなが現れたとたん、わーってすごい数のダーク化女学生が集まって来るけど、がんばって」
気を付けて、行ってらっしゃい。
ロッタはそう言って、グリモアを掌に浮かべた。
牧瀬花奈女
こんにちは。牧瀬花奈女です。このシナリオは一章のみで完結する戦争シナリオとなります。断章無し・オープニング公開直後からプレイングを受け付けます。
●プレイングボーナス
数の暴力に対処する/自身がアウトにならないよう立ち回る。
●その他
完結を優先して執筆を行います。そのため、タイミングによってはプレイングに問題が無くとも不採用になる場合があります。ご了承下さい。
第1章 集団戦
『ダーク女学生』
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POW : 成績「秀」の身体能力を見せつける!
【競技開始前の準備運動】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。
SPD : 泳ぐのだって得意!
【体操服】を脱ぎ、【スクール水着を着た姿】に変身する。武器「【泳ぎに最適化した体】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ : 道具を使った競技でも勝つ!
【道具を使った競技に適応した姿】に変形し、自身の【道具を使わない競技への対応力】を代償に、自身の【競技ルールの理解度と道具の習熟度】を強化する。
👑11
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栗花落・澪
戦い方…ウレタンの剣以外の指定されてないけど何でも有り?
審判さんの反応見つつ出来る事だけを選んで対応
トマトを狙われないようオーラ防御で固めてみたり
ウレタンの剣に高速詠唱で風魔法を纏わせて
当たらなくてもなぎ払う勢いだけで風圧で敵陣を吹き飛ばしてみたり
揺れる足場もダンスで鍛えたバランス感覚で
まるでステージのようにひょいひょい移動
浮遊可能な特性を活かした高いジャンプや
小柄な体系を活かした身のこなしで死角を取ってはトマト狙いと
落ちないように回避重視
更に「おねがい」発動
僕持病持ってて激しい動き出来ないからさ
手加減してほしいな?(涙目上目遣い)
はい、隙あり♡
(風を付与した剣でまとめてつんつん吹き飛ばし)
●
頭にトマトをつけ、ウレタンの剣を手にした栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、一気に押し寄せて来るダーク女学生達を見て琥珀色の瞳を瞬かせた。
戦い方に関しては、ウレタンの剣を使う以外の事は指定されていない。何でも有りなのかと、澪としては疑問を抱いていたのだが――様々な構えを取る女学生達を見るに、その通りのようだ。審判が特に物申す様子も無い。
「それじゃあ、僕も」
頭のトマトが狙われないよう防御用のオーラを展開し、澪は素早く魔法の詠唱を済ませた。ウレタンの剣が風の魔法をまとう。
自らを半円状に囲むようにして迫って来る女学生へ、澪は一歩を踏み出しウレタンの剣を振るった。横へと薙ぎ払う勢いは、直撃した女学生のみならず魔法の風圧で彼女らの何割かを吹き飛ばす。落水の音が幾つも重なって聞こえ、失格を告げる声が高らかに響いた。
一度に多数の相手が飛んだ影響で、海上に浮かぶフィールドが大きく揺れ動く。しかし澪にはダンスで鍛えたバランス感覚があった。足裏にぎゅっと力を込めて、体勢が崩れるのを防ぐ。
女学生の何人かが揺れに対処出来ずフィールドに倒れるのを見て、澪はひょいと彼女らの側へ移動した。相手が起き上がるより早く、頭のトマトを叩き潰す。くるりと体を反転させれば、転倒から逃れた女学生がウレタンの剣を突き出して来た。踊るようにその一撃を避け、剣がまとった風の魔法でまた何人かを落水させる。
「我々は負けない!」
澪から十歩ばかり離れた位置にいる女学生達が、気合を入れ直して駆け出した。
「……特性を活かさない手はないよね」
澪は真っ白なオラトリオの翼を羽ばたかせ、女学生達の頭上を飛び越える。彼女らがこちらを捉えられないでいる間に、端からトマトを潰して失格にした。
小柄な体躯を持つ澪は、敵の死角に紛れやすい。フィールドから落ちないよう回避を重視しつつも、一人一人確実に競技からの退場へと追い込んで行く。
生き残りの女学生達が、目の色を変えて勢い良く接近して来た。その姿を認めた途端、澪はウレタンの剣を脇に挟んで両手を組む。
「僕持病持ってて激しい動き出来ないからさ。手加減してほしいな?」
うっと、女学生達の動きが僅かに鈍った。
少女と見紛うほどの愛らしい容姿に加え、澪にはユーベルコードによる誘惑の力が上乗せされている。そんな状態で涙目の上目遣いなどされたら――思わず手が止まるのも無理は無いだろう。
「はい、隙あり♡」
澪はその隙を逃さない。
風を付与したウレタンの剣が、女学生達をまとめて突き、フィールド外へと吹き飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵
ルーディ・レイディアス
わわっ、敵さんがいっぱい襲ってきたよぉ。
あれだけ沢山いっぺんにお相手するのはいくら何でも無理だよねぇ…
ってコトで、まずは逃げ回って、追いついてきたコから倒してく方向で行くよぉ。
足の速さには個人差あると思うしねぇ。
でも、最終的には囲まれちゃうと思うからぁ…
その時は、随輝霊銀を発動してスライム化、皆の足下をすり抜けて逃げるねぇ。
逃げる途中でMeltyTouchから滑りやすい液体を床に塗って【体勢を崩す】ことを狙ってみようかとぉ。
充分距離を取ったらUC解除、また迎撃の構えに入るよぉ。
相手のコ達がUCを発動したら暫く逃げの一手。
理性がなくなるまで逃げきれば、自爆や同士討ちが誘えないかなって。
●
フィルードに転送されたルーディ・レイディアス(リキッドシュガームーン・f17223)へ、ダーク女学生達がわっと襲い掛かって来る。その数の多さに、ルーディは思わず紫の瞳を見開いた。
「あれだけ沢山いっぺんにお相手するのは、いくら何でも無理だよねぇ……」
敵数は多いと聞いていたが、予想以上だ。ウレタンの剣を握り締め、ルーディは揺れるステージの上を走り出す。まずは逃げに回った方が得策だと、女学生達の様子を見て判断した結果だった。
女学生達は、まっしぐらにルーディを追って来る。その中で突出して来た一人へ、ウレタンの剣をお見舞いした。頭のトマトが潰れて、失格の声が上がる。
足の速さには個人差がある筈だと、ルーディは予想していた。その読み通りに、全員が同じ速さで迫って来る訳ではない。フィールド上を逃げ回りながら、追い付いて来た者を一人ずつ、トマトを潰して失格にして行く。
しかし、その策がいつまでも巧く行く訳ではなかった。ルーディの狙いに気付いた女学生達は、足並みを揃えて走り出す。ルーディがフィールドの端まで追い詰められるまで、それほどの時間は必要としなかった。
「やっぱり最終的にはこうなっちゃうよねぇ」
背面には海。前面には多数のダーク女学生。
進退窮まったかに思えたルーディは、しかし瞬き一度の後にユーベルコードを発動させた。ポンチョ型のレインコートに包まれた体が、銀色の粘液に変化する。女学生が息を呑む中、ルーディは変幻自在のスライムへと変身していた。
トマトとウレタンの剣をしっかと保持したまま、ルーディは女学生の足元をすり抜けて逃げに走る。
「トマトだ! トマトを追え!」
いち早く我に返った女学生が声を上げるも、既にフィールド上にはルーディの掌から射出された滑りやすい液体に覆われていた。転倒し、フィールド外まで滑って行った女学生が、失格を告げられる。
女学生達から十分な距離を取ったところで、ルーディはスライム化を解除した。それと同時に、女学生達が体操服を脱ぎスクール水着へと着衣を変える。
「この姿なら海の上だって!」
ルーディはウレタンの剣を振り回す女学生達から、再度逃げの体勢に入った。女学生達のユーベルコードは強力だが、代償として一秒ごとに理性を喪失する。彼女らから完全にそれが失われるまで、ルーディは逃げ切るつもりだった。
走る女学生達の瞳が、瞬きを一度するごとに分別の光を失って行く。踏み留まる選択をかなぐり捨て、全速でフィールドを走っては体勢を崩し、落水する者が現れ始めた。
無分別に振り回されたウレタンの剣は、時に味方をも巻き込む。よしと胸中で笑みを浮かべたルーディは、しかし次の刹那に自らへ剣が迫るのを察して後退する。
「自爆や同士討ちは狙えたけど……やっぱり僕も狙われるよねぇ」
ルーディは眉を下げて笑い、理性を失った女学生の一人へウレタンの剣を振り下ろした。
成功
🔵🔵🔴
ミルナ・シャイン
23年水着コンテストの水着姿
ウレタンポカポカ…?どこかで聞いたことがあるような…
と、それはさておき海上の戦いともなれば人魚として負けるわけにはいきませんわね!
『ホエール・スプラッシュ』の潮吹きで群がってきた選手達を纏めて【吹き飛ばし】【体勢を崩す】ことで落水させたり、囲まれたところを潮吹きで高く跳び上がることで離脱、落下の勢いを利用してウレタン剣を振り下ろし相手のトマトを潰したりと色々と応用をきかせて立ち回わる。
自分が落水しないように跳び上がった際は【空中機動】で体勢を整え、【足場習熟】でうまいこと着地。
自分のトマトは腕やウレタン剣でガード。「わたくしは護りの騎士、この防御は破れませんわよ!」
●
フィールドへ降り立ったミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)の装いは、目を惹くほどに華やかだった。青から緩やかに桜色へと至る長い髪を、両端にレースを付けた青薔薇のヘッドドレスが飾っている。青い鱗とピンクの尾びれが美しい魚の下半身も、腰から下が幾重にも重なった白いレースに包まれていた。
昨年のコンテスト用に新調した水着姿で、ミルナは頭にトマトをつけウレタンの剣を手に握る。
「ウレタンポカポカ……? どこかで聞いたことがあるような……」
はて、と首を傾げるも、その疑問はひとまず棚上げしておく事にした。既にフィールド上では、女学生達がこちらに向かって疾走を開始している。海上の戦いともなれば、人魚のミルナとしては負ける訳には行かない。
ウレタンの剣先を、女学生達を横薙ぎにするように振るう。直後、ウレタンの軌跡から鯨の潮が勢い良く噴出した。戦闘用に強化された潮吹きの能力は、直撃した女学生達を吹き飛ばす。体勢を崩したままフィールド外へ滑り落ちた者が、失格を言い渡されるのが聞こえた。
「私たちは泳ぎだって行けるんだ!」
女学生達が体操服を脱ぎ捨て、スクール水着姿となる。潮の名残を突っ切って、彼女らは負けじとミルナを取り囲んだ。
「でも、人魚のわたくしには及びませんわよ」
鯨の潮がミルナの下から噴き出し、その身を空高く投げ上げる。女学生の囲みを抜けるまで、瞬き一度の間も必要としなかった。
空中で体を捻り、落下の勢いを載せて女学生のトマトを一つ叩き潰す。青薔薇のヘッドドレスの下で髪が広がって、日差しを受けた部分がいっとき緑に輝いた。
下半身をくねらせ、ミルナはフィールドの上へと危なげなく着地する。僅かな揺れをものともせず、女学生達はミルナ目掛けて突進して来た。
鋭く振り下ろされた一撃を、ウレタンの剣で突くように受け止めて弾く。横合いから襲い来る一打は、腕で防いだ。ミルナの頭の上で、トマトは傷一つ無い艷やかさを保っている。
女学生達が、またしても取り囲みを狙う素振りを見せた。
「何度やっても同じことですわ」
鯨の潮吹きを受けて吹き飛ぶ女学生達へ、ミルナはウレタンの剣による突きを繰り出す。トマトが幾つか食い破られて、失格の声が重なった。
「わたくしは護りの騎士、この防御は破れませんわよ!」
ミルナは背筋を伸ばし堂々たる姿を見せ付けると、また一人の女学生を吹き飛ばして海へと落とした。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
ウレタンの、剣…ですか…。
(素振りをしながら)
あまり、得意ではない、気もしますが、がんばりますっ
とはいえ、この人数差、どうしたもの、でしょうか…
(浮き沈みするフィールドに揺られながら)
なるほど、こう言うのは、どうでしょうか。
《破壊天使》で、“足元のフィールドを”、思いっきり、攻撃、ですっ
…壊れたら、その時はその時、ですが、大きく、揺れる位は、してくれる、でしょうか。
それで、落ちればよし、こけたなら、頭のトマト、狙っちゃいます。
…まぁ、わたしも、うまく立てないかも、しれませんが…
数秒早く、揺れることを、認識できるという差と、
ここで鍛えた、バランス感覚を、信じますっ
●
ぶん、ぶん、とウレタンの剣が空を切る音がする。アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)は既に頭にトマトをつけた状態で、ウレタンの剣で素振りをしていた。
「うまく、使える、でしょうか……」
アニカは素手での掴み取りや蹴りによる攻撃を得手とする一方、武器の扱いや遠距離魔法は苦手としている。切れる刃を持つ剣とは勝手が違うとはいえ、ウレタンの剣も武器である事に変わりは無い。巧みに扱える自信は無かった。
そう考える間にも、ダーク女学生達が一丸となってアニカに向かって来る。不安に思考を漂わせている暇は無さそうだ。
「あまり、得意ではない、気もしますが、がんばりますっ」
ウレタンの剣の柄をぎゅっと握り締めて、アニカは腹を括った。
「我々の団結力を見るがいい!」
女学生達が、ウレタンの剣を振るいながら距離を詰めに来る。頭のトマトを潰されないよう身を縮める度に、淡紅の髪に咲く白いフリージアの花弁が剣の生み出す風に揺れた。
この人数差をどうしたものか。猟兵として経験を積んだアニカとて、いつまでも女学生達の攻撃を避け続けられる訳ではない。
ゆら、ゆら、とフィールドが細かな浮き沈みを繰り返す。それに伴って、アニカも女学生達も体のバランスを取るために繊細な足さばきを必要としていた。
その光景に、閃きが生まれる。
「なるほど、こう言うのは、どうでしょうか」
アニカはウレタンの剣を左手に持つと、右手で拳を作った。一呼吸の間も置かずに、その拳を足元のフィールドへと叩き付ける。単純で重い力の一撃が、フィールドを大きく揺らした。
アスリートアース製の特設フィールドゆえか、破壊される気配は無い。けれどもその分、足元から伝わる衝撃は強くなっているように感じられた。何人もの女学生が大幅に体勢を崩し、フィールドから海へと投げ出される。アニカ自身も、足を踏ん張って転ばないようにする必要があった。
フィールド上に留まった者の中にも、転倒する者が幾人かいる。未だ揺れの治まらぬフィールドを跳ねるように駆け、アニカは倒れた女学生のトマトをウレタンの剣でぷちぷちと潰した。
「この程度がなんだ……私たちは準備運動を済ませている!」
落水からも転倒からも逃れた女学生達が、フィールドの浮き沈みに翻弄されつつもアニカの方へ進んで来る。
――
ここで鍛えた、バランス感覚を、信じますっ。
ぐっと足裏に力を込めて、迫る女学生達を迎える。少しだけ手に馴染んだような気がするウレタンの剣が、彼女らの頭についたトマトを潰した。
「この調子、で……」
アニカは揺れるフィールドの上で、どうにかバランスを保ち続けた。
成功
🔵🔵🔴
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
スポーツ…成程、スポーツなんだなって
受け取ったトマトを頭に付け
ウレタンの二刀流で具合を確かめながら
「俺、こういうスポーツは初めてだ」
相棒は戦い方に安心してるみたいだし
楽しんで戦わないとな
相棒とウレタンの剣を合わせてから
一緒にフィールドへ出よう
「あぁ、背中は任せたぞ、相棒」
相棒と背中を合わせて【水遁「霧影分身術」】を使用
背中は相棒に任せ、実体を持った分身で敵を翻弄し
数の暴力だろうと一人一人確実にトマトを潰すよ
勿論、相棒の背中には向かわせる気はない
「気楽に行くか。負けたい奴から向かってきな」
折角のスポーツだし、軽口も叩きながら
「確かに勿体ないしな、ジュースも作るか」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
頭のトマトぐしゃと自分の落下でアウト判定か
「こういうのもいいね」
陸井もやる気マシマシだ
いちお、水着でいこっか
勿論負けられない戦いだけど
命取らないのもウレタン剣で戦うのも
「逆になんか面白いし」
陸井とウレタン剣合わせて
「OK!任せとけ相棒!」
フィールドに躍り出る
即陸井に白燐奏甲、高速・多重詠唱で自分にも
これでかなり視覚的には有利
あと首から下げた蟲笛からにょんにょん白燐蟲が
湧き出すから更に阻害!
陸井と背中合わせで戦うよ
ウレタンだろうが何だろうが武器を持つ陸井は
最高に頼りになる
猟兵絶対倒すガールと化した彼女たちのトマトは
全部潰す!
んで
「終わったらアタマの、塩かけて食べよ!」
●
渡されたトマトを頭につけ、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は脳裏でルールを再確認した。
「スポーツ……成程、スポーツなんだな」
そう呼ぶには、何か不思議な感覚を覚えない訳でもない。けれども伝統ある『その他スポーツ』なのだと言われれば、そうなのだろうなという気もした。ウレタンの剣を両手に持ち、軽く振るって具合を確かめる。取り回しに問題は無さそうだ。
頭のトマトぐしゃと自分の落下でアウト判定か。
葛城・時人(光望護花・f35294)もまた、ルールを確かめてトマトを頭につける。水中で戦う訳ではなかったが、一応、水着に着替えておいた。
「こういうのもいいね」
時人はそう言って、陸井に笑みを向ける。
負けられない戦いである事に変わりは無い。だが、命を取らない事も、ウレタンの剣で戦う事も――
「逆になんか面白いし」
相棒が戦い方に安心している事を察し、陸井は柔らかな笑みを浮かべた。
「俺、こういうスポーツは初めてだ」
楽しんで戦わないとな。
胸中で呟き、陸井はウレタンの剣の片方をそっと時人へ差し出す。すぐさま時人の方からも、ウレタンの剣が差し出された。二つの剣が交差する。
「あぁ、背中は任せたぞ、相棒」
「OK! 任せとけ相棒!」
ふんわりした刃を打ち合わせ、二人はフィールドへ躍り出た。すぐさまダーク女学生が向こう側から疾駆する。
彼女らの動きを目で確認しながら、陸井と時人は背中を合わせて立った。時人がすぐさま相棒へと
白燐蟲をまとわせる。詠唱を素早く重ねて、自らもまたククルカンの加護を得る。純白の羽毛と翼持つ蛇は、眩く輝きながら二人の周囲を乱舞し、その光で女学生達の視界を乱した。
自分達が視覚面の有利を確保した事を確信すると、陸井は己が分身を呼び出す。陸井本人よりも捨て身の攻撃性を増した分身は、両の手に持ったウレタンの剣を振るいながら女学生の周りで軽やかに躍った。
女学生達は水着に着衣を変更して、更にウレタンの剣を扱うに適した姿へとその身を変える。しかしククルカンによる視覚阻害を受けた状態では、彼女らのウレタンの剣は空振りを繰り返すばかりだった。
分身の一撃を避けて体勢を崩した女学生へ、陸井がウレタンの剣を振り下ろす。トマトが潰れ、失格の声が上がった。
数の暴力だろうと、一人一人確実にトマトを潰して行く。それが陸井の選んだ戦法だ。相手が目を眩ませている今の状況ならば、地道な攻撃は必ず実を結ぶ。
「気楽に行くか。負けたい奴から向かってきな」
軽口を叩きながらも、陸井は相棒の背への接近を許す気は無かった。ウレタンの剣の一撃一撃が、迫る女学生を次々に狩って行く。
フィールド上に風が吹き、時人が首から下げた蟲笛が高く鳴った。その音色に呼ばれ、ククルカンがぶわと溢れる。
「お前達も視覚阻害して! いいね?」
みょんみょん、と首を振ってこちらを窺うククルカンへ指示を出すと、その意を汲んで輝く純白の翼が羽ばたいた。
背を預けた陸井がまた、一人を失格へと追い込む。
ウレタンだろうが何だろうが、武器を持つ陸井は最高に頼りになる。
故に時人は、背面の心配などせずに突き進めるのだ。繰り出した一撃が女学生のトマトを貫き、失格の声が上がる。
女学生も懸命にウレタンの剣を振るってはいた。けれど視覚阻害の効果は、戦い始めた時よりも更に強化されている。一撃を二人の腕や肩にかすらせるのが精一杯だ。この場は既に、陸井と時人の領域だった。
「終わったらアタマの、塩かけて食べよ!」
ウレタンの剣で女学生のトマトをまた一つ潰しながら、時人は笑う。
「確かに勿体ないしな、ジュースも作るか」
柔和な笑みを浮かべた陸井が、分身と共に女学生のトマトへウレタンの剣を振り下ろす。
フィールドの上で、程よく潰れたトマトがまた誕生した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キラティア・アルティガル
盟友エンマ殿(f38929)と参ろう
スポーツという概念は我には今一つ分からぬが
世界の命運は賭けおれど命の奪い合いでないのは
「良い事じゃの。そうは思わぬか、エンマ殿」
常なれば戦いに赴くこの御仁は
自若の中でも触れなば斬らんという風じゃが
迷いも晴れた良い顔じゃの
「よしよし。おぬしのその顔を見られただけで満足じゃ」
とはいえ、敵は倒さねばの
遊びでは勝てまいて
「全力で参るぞ!」
うれたん?とやらとはいえ全力でエンドブレイカーの
膂力でもち振るわば…ほれ、仕留めたり!
攻撃はデモンウイングでも躱そうぞ
横を見ればエンマ殿の剣術はやはり冴えておる
より楽しゅうなってまいったの!
「さあれば来よ!皆打ち取ってくれようぞ!」
エンマ・リョウカ
盟友のキラさん(f38926)と
正直な所世界の在り方にもこの戦争にも困惑はしている
だけど戦争という事と、戦わない事に悩んでいたが
キラさんに貰った一言で悩みは消えた
「確かに…良い事だ。それはいい事だ、キラさん」
キラさんも何か心配してくれていたのか
満足そうに笑ってくれているのがわかる
納得したからこそ、この場で悩むことは無い
獲物は少し短く心元ないが、取り回しはいい
「なら私も、全力で行かせてもらおうか」
キラさんは先行して突っ込んでいくから
私は打ち漏らしや死角から襲おうとする者達を対処しよう
うれたんとやらは柔らかいが、私の天地無双剣に
突き穿ち、返せぬ攻撃はなしだ
「数は脅威だけれど、全て捌かせて貰うよ」
●
エンマ・リョウカ(紫月の侍・f38929)は、盟友たるキラティア・アルティガル(戦神の海より再び来る・f38926)と共にフィールドへ降り立った。
アスリートアースという世界の在り方。そして、此度の戦争。その二つに、エンマは自分が未だ困惑している事を自覚していた。けれども、戦争という非常事態にも関わらず、自らが戦わない事に胸の内が酷く苦しくなる。
そんなエンマの隣で、キラティアはウレタンの剣を軽く振った。ダーク女学生はこちらを圧倒せんと迫って来るが、殺意はひとかけらも感じ取れない。
「スポーツという概念は我には今一つ分からぬが」
すいとキラティアはウレタンの剣を構える。
「世界の命運は賭けおれど、命の奪い合いでないのは、良い事じゃの。そうは思わぬか、エンマ殿」
キラティアのその一言が、エンマの中で渦巻いていた惑いを晴らした。
「確かに……良い事だ。それはいい事だ、キラさん」
唇の端が、自然と持ち上がる。淡く紫がかって見える漆黒の瞳が、緩やかな孤を描いた。凛々しくも優しい、侍としてのエンマの笑顔だった。
常なれば戦いに赴くこの御仁は、自若の中でも触れなば斬らんという風じゃが。
エンマの表情を見て、キラティアは新緑めいた色の瞳を細める。迷いも晴れた良い顔だと、心の底から思った。
「よしよし。おぬしのその顔を見られただけで満足じゃ」
笑むキラティアに、何か心配してくれていたのかとエンマはほんのりと察する。けれど満足そうな笑顔を見るに、その懸念は霧散したらしい。
納得したからこそ、この場で悩む事は無い。
エンマはウレタンの剣を構え、軽く振るった。獲物としては少し短く心許ないが、取り回しは良い。使っているうちに馴染んで来るだろう。
女学生達は変わらぬ速度で迫って来ていた。足裏からフィールドの揺れが伝わる。
彼女らへ向き直り、キラティアはウレタンの剣を構え直した。何はともあれ、敵は倒さなければならない。遊びでは勝てない。
「全力で参るぞ!」
「なら私も、全力で行かせてもらおうか」
言い終えるが早いか、キラティアが真っ先に女学生達へと接近する。ウレタン、という素材に馴染みは無い。けれど全力でエンドブレイカーの膂力でもち振るえば。
女学生の頭のトマトが、派手に潰れる。側面から攻め込んで来たウレタンの剣を、キラティアはデモンの翼を生やし空中に逃れる事で避けた。
再びフィールドへ着地したキラティアの隣で、エンマは死角から襲撃する女学生へ神速の突きを放つ。瞬きをする間も無く、トマトが潰れて失格の声が上がった。
女学生達が二人の力に反応し、ユーベルコードで能力を高める。しかし彼女らがいくらウレタンの剣を繰り出そうとも、エンマは返し刀で受け止め、瞬きすら許さぬ突きで反撃を叩き込んだ。その剣術の冴えに、キラティアも心が躍る。
「さあれば来よ! 皆打ち取ってくれようぞ!」
生やしたままのデモンの翼が風を切り、空中からの振り下ろしが審判に次々と失格の声を上げさせて行く。ウレタンの剣からは逃れたものの、体勢を崩して落水する者も現れ始めた。
「数は脅威だけれど、全て捌かせて貰うよ」
ウレタンは柔らかくとも、天地無双剣に突き穿ち、返せぬ攻撃はなし。
二人は手足を打たれる事すら無く、女学生のトマトを叩き潰して行った。
大成功
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浅間・墨
先ずは見切りと野生の勘と第六感で周囲の警戒と位置確認を。
次に一番先に襲ってきた少女から得物を早業で奪取しますね。
得物を奪った少女は…海へ落としてしまいましょうか。
落水から間を置かずに襲撃されると思うので無駄なく行動を。
なるべく流れるような所作で回避と頭上のトマトへ攻撃します。
通常攻撃の他に2回攻撃によるフェイントを入れ惑わしますね。
…しかし思ったよりも軽い得物なので狙う精密さが落ちます…。
慣れないのも理由ですがしなりがとても強くて扱い難いです。
もし撃退に対応しきれなくなった場合は【剣気】を発動しますね。
少女達に気をぶつけて怯ませ動きを鈍くさせて窮地から逃げます。
今の少女達の状態でどれだけ効果があるか測り兼ねますが…。
私の気で昏倒してしまった少女はその場に放置しておきますね。
現状では安全な場所へ移す余裕はありません。ごめんなさい。
●
フィールドへ降り立った刹那、浅間・墨(人見知りと引っ込み思案ダンピール・f19200)は周囲へ意識を巡らせた。ぴりと頬に走る野生の勘が、ダーク女学生の位置を教えてくれる。これまでの猟兵達との戦いで大幅に数を減らしている彼女らは、それでも闘志を失ってはいない。墨は自らの立ち位置を確認すると、白木の下駄でフィールドをしかと踏んで彼女らから距離を取った。
女学生の一人が、突出して墨へと迫る。突き出された一撃をかわし、その手首を素早く打ってウレタンの剣を奪取した。体勢を崩した彼女の背中を強く押して、海へと落水させる。
「ごめ……なさい……」
仄かに罪悪感が浮かぶものの、墨とて負ける訳には行かないのだ。ルールに違反していないのなら、胸を張って戦えばいい。
まっすぐに切り揃えた前髪越しに、墨の赤茶色の瞳が女学生達を見据えた。彼女らは墨を取り囲むように陣を展開している。けれど数が減っている事もあり、突破は難しい事では無さそうだ。
ふっと短く息を吐き、前列の女学生へウレタンの剣を突き出す。頭上のトマトが弾ける間に、隣の女学生へと柔らかな刃を振り下ろした。
じり、と女学生達が墨との距離を慎重に測る。墨は大きく前へ足を踏み出して、ウレタンの剣で一人の胴を打った。ほんの少し姿勢が乱れた隙に、トマトを潰す。そこから流れるように、隣の女学生のトマトへと攻撃を繋いだ。
振り下ろされた一撃を屈んで回避し、滑らかに立ち上がって女学生の足を打つ。小さな悲鳴が聞こえてから瞬き二度の後、落水の音がした。今度の反撃は一度に留める。
連続攻撃と通常攻撃を織り交ぜる事で、女学生らは墨への対処に苦慮しているようだった。何しろ、実際に打たれるまで、その斬撃や刺突が一度で終わるのか更に次の攻撃へ繋がるのか分からないのだから。
一方で、墨の方もこの戦いにやり辛さを感じていた。武器として指定されたウレタンの剣が、彼女にとっては扱いにくいものなのだ。
常日頃愛用している大刀とは重さも刃渡りもまるで違い、狙いを付けても精密さが落ちてしまう。更に強いしなりが墨の剣さばきを妨害していた。
女学生達を相手に、墨は善戦している。しかし武器の扱いづらさは動きに隙を生む事に繋がった。
「……ぁ……」
女学生の一撃を受け損ね、ウレタンの剣が墨の右腕を強かに打つ。武器を取り落とすような事は無かったが、女学生達が勢いづくには十分だった。
「仕方……りま、せん……」
こちらを落水させるべくフィールドを駆ける女学生達へ、墨は剣気を放つ。気の直撃を受けて、墨を囲もうとした女学生達がばたばたと気絶した。昏倒は免れた者も、細く小さな体から醸し出される威圧に足を竦ませてしまう。
気を失った女学生達のトマトを素早く潰し、墨は窮地から脱した。フィールドの中央辺りまで移動した時、女学生達は着衣を水着へと変え猛然と墨の後を追い始めている。
呼吸を一つするごとに、瞬きを一度するごとに、女学生達の瞳からは理性の光が消えて行った。最初はまとまっていた動きも、やがて乱れたものへと変わる。墨はウレタンの剣を構え直し、崩れた陣の合間へ入り込んだ。
闇雲に振り回される剣を余裕をもってかわし、トマトを一人ずつ潰す。フィールド上の女学生が一人きりになるまで、さほどの時間は必要としなかった。
理性を完全に失った女学生が、上段からウレタンの剣を振り下ろす。横へ跳んでそれを回避すると、墨は下から切り上げるように女学生のトマトを打った。ウレタンの剣が勢い良くトマトを潰す。
次の刹那、試合終了の声が上がった。勝者として称えられたのは猟兵達だ。
ばしゃばしゃと、オールが海水を掻く音がする。落水した女学生達を回収するために、ゴムボートが動き出したのだ。ダーク化が解除された彼女らは、また健やかなアスリートとして次の試合に向けて奮闘する事だろう。
「良かった……です……♪」
ゴムボートの上で笑顔を見せる女学生達を見て、墨は口元に淡く笑みを浮かべた。
大成功
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