バトル・オブ・オリンピア①~氷上のバトルスケート
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「こんにちは。戦争が始まったって聞いた」
兎耳の獣人、グリモア猟兵のレイシア・アクエリアス(f41239)は、グリモアベースに猟兵達を集めそう言った。
「今回はアスリートアース。スポーツでの戦い……みんなにはスポーツで戦ってもらう」
現在アスリートアースでは戦争『バトル・オブ・オリンピア』が開催中。
猟兵達はその中の1競技に参加して欲しいとの旨である。
グリモアベースの映像を展開すると、そこにはアイススケート場が映し出された。
「れいしあが見た戦場は『永久凍土のスケートリンク』。鏡みたいに綺麗な氷のスケートリンクの、1周400メートルのトラックを16周するレース。」
全6.4kmの長さをぶっ通しで滑るスピードスケートの競技である。
そして猟兵達と競う相手は、全員今回の敵、ダークリーガーだ。
「スケート靴は貸し出されてる。とりあえずアイススケートで滑ってゴールできるなら他はどんな手段を使ってもいいって。……妨害もなんでもあり。」
ユーベルコードはもちろん、観客を動員しての妨害、地形破壊など、文字通りなんでもありらしい。
「……相手の情報もいる?」
グリモア映像から抽出されていく。
相手の名は『ダーティチアーズ』
チアガールな彼女らだが、氷上ではそのチア・パフォーマンスムーブによって華麗に素早い滑走を見せるようだ。
そして彼女らはラフプレーで有名である。
即ち迷惑行為、足を引っかける等の暴力、観客を買収しての動員など、あの手この手を他のダークリーガーと息を合わせてやってくるいやらしいチアリーダーである。
「……手段は任せるけど、スポーツマンシップには乗っ取って。……健闘を祈るの。」
ぶっきらぼうにレイシアは懐から取り出したグリモアで、猟兵達を転送していく。
寒さには気を付けて。
冬ならではのウィンタートライアスロン、その第三競技はこうして幕を開いたのであった。
古塔
バトル・オブ・オリンピア。
ウィンタートライアスロン3競技目のアイスなスピードスケートの勝負です。
華麗に舞って滑るチアリーダーのダークリーガー達と、滑りながら戦って、1位を目指して下さい。
●ルールおさらい
猟兵VSダークリーガーとの、スケート靴を履いてのアイススケートによるレース勝負。
1周400メートルの氷上トラックを、誰よりも早く16周した者が勝者。
『集団戦』。
アイススケートで氷上を滑ってさえいれば、どのような妨害・攻撃も可。
存分にユーベルコードをお使いください。
プレイングボーナス……ダークリーガー軍団の妨害に対抗する/リンクを回りながらユーベルコードを撃ち合う。
第1章 集団戦
『ダーティチアーズ』
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POW : スペシャルパフォーマンス
【任意のダークリーガーが唐突】に覚醒して【確変絶好調モード】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : チアフルパフォーマンス
戦場内に、見えない【勝負】の流れを作り出す。下流にいる者は【ここぞという場面で不運】に囚われ、回避率が激減する。
WIZ : アンビリバボーパフォーマンス
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【悪質な観客】を召喚し、その【迷惑行為と猛烈な野次】によって敵全員の戦闘力を減らす。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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宵空・鈴果
オケまる☆早く滑れば良いって事りん☆
エアシューズを改造したスケートでいくりん☆
使うUCはこれで良っか☆
妨害行為自体を弱体化しつつ、【ダンス】の体幹とUCの安全な着地効果、そして【地形の利用】をした【悪路走破】で氷上でも安全にアクロバットに妨害を避けるりん☆
風のように自由な走りがエアライダーりん☆そう簡単には止められないりん☆
敵も範囲内ならUCの効果受けちゃうけど走りで勝負できるならオッケ。ラフプレーなんてただのタイムロスりん☆
とはいえうっとおし…いやじゃま…いや不可抗力であんまりタイムに響かない範囲でエアシューズで何かを蹴飛ばしたりアイテムのティンクルスターをクッションの盾にしてくりん☆
●
「オケまる☆早く滑れば良いって事りん☆エアシューズを改造したスケートでいくりん☆」
身体にきらきら星を散りばめる少女、宵空・鈴果(星と月のエアライダー・f37140)は、この日の為にエアシューズのローラー部分を鋭いブレード系に換装したものを足に履いて、しゃっと滑り、氷上に舞い込んだ。
ここはアスリートアースのバトル・オブ・オリンピア。
山の麓に存在する、超自然の存在によって鏡の如く磨き抜かれた「永久凍土のスケートリンク」である。
各自、猟兵とダークリーガーが一斉に並び立ち、今スタートした。
彼女、鈴果と並び立つ
相手はいずれもチアリーダーの恰好をしている。寒くないのかという突っ込みは野暮だ。
普段から空を滑り駆るエアライダーの技量は当然の如くアイススケートにも反映されており、夜空に伝う流星の如きしなやかなフォームで、踊るようにダークリーガー達を出し抜いてトップに躍り出る鈴果。
「このままじゃまずいわ!」
「まだ勝負は始まったばかりだけど、
挫ける出鼻は
挫いた方が良さそうね!」
ダークリーガー達はペースを保ちつつ、仕手を用意している。
だがまだ派手な事は出来ない。
彼女らが今やろうとしている作戦は相手が
🔴を見せた所から始まるが、序盤も序盤ではその隙を見せるタイミングを掴めない。
従って普通にラフプレーで、これ以上リードを取ろうとする鈴果のペースを乱しにかかる事にした。
「何かしようとしてるみたいだけど、りんかの作戦はこれで良っか☆」
鈴果は次のカーブに差し掛かったところで、回転しながら氷上全域にわたる様な大きな風を起こした。
『オール・フォア・エアライドりん☆』
鈴果は流星のような走りから夜空に吹きすさぶ軽やかな風のようなフォームを取り、カーブから直線に躍り出た所で、自由な動きで滑るようになった。
「くっ、勝負の追い風って所!?」
「でも私達にも吹いてるわ。これで追いつける!」
チアリーダーのダークリーガー達もまた氷上に吹く追い風に乗って、先頭を滑る鈴果へと追いついていく。
「ま、UCの効果受けちゃうけど、走りで勝負できるならオッケ。ラフプレーするって聞いてたけど、そんなのただのタイムロスりん☆」
自由かつ気楽な顔をして氷の世界で、風を受けて滑る星のような鈴果。
だが彼女の思惑とは逆に、追いつけばこちらのもの。
ダーティチアーズの名を冠するチアリーダーのダークリーガー達は、ここから鈴果にラフプレーを仕掛けるのであった。
「そんなに飛ばして疲れない?」
鈴果の隣に応援するようなフォームで滑るダークリーガーの少女が一人。
「こんな風に足を滑らせちゃっても知らない、わよっ!」
そしてチアの動きから来るごく自然的なローキックが上下段から幾重にも放たれる。
それを鈴果は通り抜ける風の如く、ある時は飛び、ある時は腰を落とし優雅に滑りながら回避した。
「ふふ、トップに躍り出たわ!」
鈴果が隣のダークリーガーの攻撃をいなしてる間に先頭に立ったダークリーガーの少女が数人。
「ああっ、飛ばし過ぎて滑っちゃった、わっ!」
彼女達は突然、鈴果の目の前直線状で転倒し、その勢いで飛び掛かる様に攻撃を繰り出す。
チアから来る応援ムーブの動作で飛んでくる飛び掛かり、開脚バリケードジャンプ、ボンボンパンチ。
それを滑らかな走りで飛び、回り、転倒ギリギリの超低フォームで潜り抜ける等して鈴果は華麗に回避した。
「風のように自由な走りがエアライダーりん☆」
「何よ!」
「私達だってそんな風何度も受けながら練習してるんだから!」
「これからよ!」
追い風を受けて更に湧いて妨害を開始するダークリーガー達。
「……うっとおし……」
それを鈴果はきらめく星の様に回避し。
追い風を受けて更に湧いて妨害を開始するダークリーガー達。
「……いやじゃま……」
それを鈴果はきらめく星の様に回避し。
鈴果は一瞬だけ眉間にしわを寄せ、そして一瞬だけ速度を落とした。
「今よ!」
鈴果の近くをキープしていたダークリーガー達が一斉に前に躍り出ると。
「正々堂々のプレイしてるアンタを恨みなさい!」
その前方トラックの全てをバリケードのように覆うような横一列となって妨害。
そのまま速度を後方に向け、必殺のチア・バリケードキックが横一線に放たれる!
「……これは不可抗力、りん!☆」
ここで鈴果は追い風を強くし、氷にブレードを強く沿わせ、一気に加速!
同時に胸から星を取り出した。
ティンクルスターという、星のエアライダーが持つ、極めてふわふわな、星のクッションである。
「いち」
それを前方のダークリーガーに蹴飛ばし、ぶつけ。
「にの」
怯んだ相手に跳躍、踏み台にして高く飛び。
「さん☆」
更に生み出した星のクッションを真下に居るダークリーガー達の壁に向けて、撃ち落とす様に蹴飛ばした!
「「「ぎゃっ
!?」」」
撃ち落とされた星の衝撃でダークリーガー達は本当の意味で転倒、へしゃげる様にその場に倒れた。
「そう簡単には止められないりん☆」
鈴果はダークリーガー達相手に有利な状況を作り出しながらトップをキープし続けたのであった。
成功
🔵🔵🔴
ミア・ミュラー
ん、いろんなスポーツの会場が、あるのね。走るように滑るこのスケートなら、わたしにもできそう、かな?
スケートはあんまり慣れてないから、まずは後ろで数周して走り方を、つかもう。そうしたら一位を狙いたいけど、ダークリーガーが前に固まってるのは、やっかいね。いつの間にか観てる人まで邪魔、してくるし。
けどわたしは、諦めないよ。【陽はまた昇る】でトラックの真ん中に太陽を、輝かせよう。ダークリーガーだけじゃなくて観客の悪い心も浄化して、あげる。スポーツは楽しく観戦、しないとね。トラックが輝けばわたしも強くなるし、そのままダッシュで一位目指して、駆け抜けるよ。ん、けっこういい滑りができた、かも。
●
それはレース開始前の事。
「ん、いろんなスポーツの会場が、あるのね。」
たどたどしい口調をする金髪藍眼の少女、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は、このウィンタートライアスロンの会場に興味を持った。
「走るように滑るこのスケートなら、わたしにもできそう、かな?」
そうしてこの第三競技、まるで不思議の国の鏡の世界の様に綺麗に張られた氷の上に足を踏み入れたのだった。
「んっ」
踏み入れてすぐの事。彼女は氷で滑り、見事に転倒した。
細い刃を付けた靴で走るように滑るといっても、まずは氷の上に立てなければ始まらない。
無表情ながらも顔が膨れる。レース開始までの短い時間、彼女は氷に慣れなければいけなかった。
「氷、どうしよう」
慣れない氷の世界に、彼女は一度腰を下ろして、目を閉じる。
思い出すのはバレンタインの時にショコラの思い出を紡いだある人物。
主に氷の力を操る氷のスカイダンサーのエルフ、ネージュ・ローランの冷ややかな表情を浮かべた。
「(ネージュさんなら、この氷の上で踊るように滑ったんだろうな)」
そうしてミアは不思議な妄想で、ネージュの姿をこの場に投影する。
氷の上を優雅に滑る、あのエルフさんの姿を。
「こ、こう、?」
ミアはネージュが披露する氷の舞の姿を思い出しながら、見よう見まねで立ち上がる。
たどたどしい動きで、しかし何かを掴んだかの様に、少しずつ、滑り始めた。
ここはこのステップを踏むのですと、ここに足を着けたら一気に体重を乗せるのですと。
こころの中に浮かべるネージュが、なんだかミアを指導しているような、そんな声が聞こえる気がした。
時間は少ない。1日も無い。
だが彼女との付き合いは長い、だから、慣れないわたしでも、と、何度も何度も転びながら練習する。
「つかんできた、気がする。」
それは猟兵故の圧倒的能力故か、ミアはたちまちコツを掴み、ネージュのそれに近い動きで、ミアはスケートリンクの氷上に輝く氷の舞を披露したのだった。
たちまち、とはいえ、1日限りの付け焼刃。
そして本競技は舞を魅せるフィギュアスケートでなくスピードスケート。
レース開始が間近に迫るアナウンスが聞こえる。
後はぶっつけ本番で頑張るしかない。
●
『永久凍土のスケートリンク』、氷上のバトルスケートのレースがついに開始された。
「ん、みんな、はやい、ね。」
ミアが身に着けたのは舞。ダンスのように流れる滑りは一度テンポを崩してしまうと大変な事になる。
まずは数周と、ペースを維持しながら、飛び出ていった猟兵や後に続くダークリーガー達を追う。
「つかんできた」
何周かした後だった。
ミアは覚醒するかのように、氷上で滑りながらいかに速く走れるかのコツを身に着けていった。
さながら後続の相手を巻き込み追い抜かんと猛襲する
氷風の如く、ミアは風の様に加速してダークリーガー達に迫っていく。
「!?あのちっちゃい子が追いついて来た!」
「このレースは私達ダークリーガーのものよ!『ダーティチアー・アンビリバボーパフォーマンス』!」
すると前方を滑るチアガールのダークリーガーは横一列の壁になり、ミアの進行を妨害。
ミアの目の前でチアリーディングで応援するかのようなパフォーマンスをして煽りながら滑る。器用だ。
「ダーティチアーちゃん達の邪魔をするんじゃねぇーっ!」
そしてなんと横から攻撃が降ってわいてきた。
このレースの観客の人間が、突如横入りして参戦、ミアに攻撃を仕掛けてきたのだ。
スケートしながらの観客ラリアットを何とか回避するミアだが、大きく遅れをとってしまう。
「そろそろ一位を狙いたいけど、ダークリーガーが前に固まってるのは、やっかいね。観てる人まで邪魔、してくるし。」
頬を膨らませながらどう切り抜けるか思案を巡らせるミア。
そしてミアは何度目かの滑走後、天に手をかざし、ユーベルコードを発動。
スケートリンクの空に眩しい太陽を召喚した。
「わたしは、諦めないよ。太陽を、輝かせよう。『諦めなければ、誰にもきっと、光は射す
』……。」
それはミアの魔法で出来た太陽。効果は敵を浄化する光の発生。
「なっ、何だこいつ!目潰しとかふざっけ……」
悪質な観客は心が浄化され、正気に戻ったかのような顔をすると。
「はっ、そうだ、俺は選手じゃないから戻らないと」
たちまち元の観客席へと引っ込んでいった。
「スポーツは楽しく観戦、しないとね。」
そう呟いてミアは観客を一瞥した。
だが元から闇に染まりつつもこれでも(本当にこれでも)スポーツマンシップにのっとっているダークリーガー達を浄化するには至らなかった。
「私達の応援を退けるなんてやるわね!」
「でもこうして壁になれば後続はもう抜いてこられないわ!」
相変わらず煽るように足を上げる等のパフォーマンスをしながら、物理的に壁となって行く手を阻むダークリーガー達。
「それでも、諦めないよ。わたしの陽は、また昇る。」
ミアの太陽がより一層輝きを放つ。
鏡の様に透き通る綺麗なスケートリンク場が、その太陽の光に反射して強い光を生む。
「「そんな目潰し、私達には通用しないって――」」
「――ん、見えた。」
それはほんの一瞬の出来事だった。
スケートトラックがカーブに差し掛かった時、一瞬だけほつれるダークリーガー達の壁の隙間。
ミアは一瞬、一瞬だけ光のような加速を起こし、その隙間を縫うようにして、ドリフトをするかのような孤を描いて滑り込む。
まるで太陽に呼応する三日月の光が通り抜けたかのような錯覚をダークリーガー達が起こした瞬間、ミアはダークリーガー達の壁の先にいた。
「「な、なんですってー!」」
ミアのユーベルコードは、太陽が輝いた場所に立つ見方を強化する力もあった。
氷のスケートリンクによる反射でさらに強まった輝きが、いつものミアより飛躍的に強力な強化を起こしたのだ。
「このまま、1位を、狙うよ。」
ミアは見事ダークリーガー達の妨害や壁を突破し、レースの勝者にならんと駆け抜けていった。
成功
🔵🔵🔴

久留米・圓太郎
■WIZ
幸いオレは、氷結魔法に長けてるし、氷上を滑るUCもあるだけに、アイススケートなら行けそうだ
なら[オーラ防御、結界術]でラフプレーを避けて滑走しよう!
[地形の利用、逃げ足]でリンクを駆け抜けて、尋常に勝負する
あまりにも妨害がキツいようなら、これの出番だ!
(【UC】で照妖鏡をオブリビオンに突きつける。目的はあくまでも
「怯ませて、不要な妨害をさせない」こと。怯ませることに成功すれば
いいのだが。成功したら[コミュ力]であくまでもスピードスケートの勝負で、己の技量と靴(オレは履いてないけど)の能力で闘う事を、告げる)
……柄にもない熱血勝負したから、明日は筋肉痛だな
※連携・アドリブ共歓迎
●
「スケートか。確か……」
久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)は自身のユーベルコードを確認する。
彼はマーク2まで作った地形凍結の魔法などで、氷の上を滑走した経験を持っていた。
「うん、戦闘で日常的に使ってるし、幸いオレは、氷結魔法に長けてる。アイススケートなら行けそうだ」
どこに挑むか迷っていた圓太郎にとっては絶好の種目だったらしい。
スケート靴は履かない。地形凍結のユーベルコードで戦っていた都合上、いつもの足で滑った方が勝手が分かるのだ。
●
レースが始まる。
ダークリーガー達とほぼ並走するような順位で滑り出しの良いフォームを取る圓太郎。
「ラフプレーの使い手だったか?なら防壁を入れておかないとな。……いやラフプレーか。」
圓太郎は滑りながら魔導書を開き、魔法のバリア結界を展開していく。
ここはアスリートアース。正々堂々のスポーツプレイが好まれる。なんでもアリでもちゃんとした汗を流したい。そう圓太郎は思っていた。
ダークリーガー達が妨害を始める。
一瞬加速して追い抜いてきたダークリーガーが、手に持つポンポンを投げての目潰しをかましてくる。
「うおっ、あぶねえ!」
更にダークリーガー達は圓太郎を囲むと、滑っているスケート靴を強く踏みしめ、圓太郎の足目掛けて地面の氷を削っての氷礫攻撃を放つ。
「この、せこい真似しやがって。」
これを圓太郎は意に介さず突破する。先の魔法バリア結界が礫をはじいたからだ。
それなら、と、ダークリーガー達は両サイドに並んでからの同時サイドキック攻撃を放ってくる。
鋭い刃が二方からやってくる!
それを圓太郎はしゃがむような低姿勢で躱すが、目の前から選手とはまるで違う見た目の人間が逆走して蹴りを放ってきた。
「ダーティチアーズの為に!いっけぇーっ!」
「おわぁ!」
できるだけ失速せずスピンしながら横に避けるが、更にもう一人の観客が斜め前から登場。手にスケート靴を持って斬りかかる。チームプレイだ!
「っち、バリア集中!」
結界バリアを強く集中して観客のブレード攻撃を受け止め、横に弾き、何とかぬるりと滑るようにして前線に逃げ込む圓太郎。
「酷いもんだな」
圓太郎は氷の地形を利用した滑走で、逃げるようにリンクを駆け抜けて妨害を対処するが、彼を攻撃するダークリーガー達と観客の数は徐々に増えている。
「だったらこれの出番だ!『これを見やがれ!』」
圓太郎はユーベルコードを発動し、照妖鏡と呼ばれる鏡を生み出すと、そこから光を放つ。
観客とダークリーガー達に不思議な光が浴びせられ、怯む。
現時点では約2分間、光を浴びた者に友好的な行動を行わせるユーベルコードだ。
「俺からの要望は二つ。『不要な妨害をしないでくれ』『正々堂々戦ってくれ』だ!」
とろんと催眠でもかかったかのようなそぶりを見せるが、しかしダークリーガー達はまるで正気に戻ったかのような眼を見せる。
「……ふうん、言うじゃない。」
「こんな気持ちになったのは初めてだけど、だったらおあいにく様。私達を本気にさせたようね!」
「あくまでもスピードスケートの勝負で、私達の技量で闘ってあげるわ!」
「ああ!最初からそうしてくれよ!俺も己の技量と脚の能力で闘う事を、告げるぜ!」
そう、脚。
筆者も今気づいた所だが、圓太郎は三毛猫と鳩のキマイラであり、幾つかの有事以外はだいたい三毛猫の素足で生活・戦闘をこなしている。
今の今でもこれからも、人間サイズの猫の足と肉球で氷に貼り付く事も無く器用にスケートリンクを滑って滑走している。
凄い少年である。
「「「いくわよ!ダーティ・パフォーマンス!」」」
観客達は観客席に戻り。ダークリーガーことダーティ・チアーズ達の滑走劇が始まる。
「正気に戻った感じなのにダーティな名前抜けねぇのな!?」
だがその技量はとても厄介だ。何故なら彼女らはチームプレイに特化したアスリート。
圓太郎の後ろを「/」の形に並んで並走すると、不思議なオーラを纏って、どんどん追い抜いていく。
追い抜く際にパフォーマンスは忘れない。まるでチアリーダー達が蝶となって、駆け抜ける圓太郎を風のように追い越していくかの様だ。
更にダーティ・チアーズは直線コースで1直線に並ぶと、最後尾から一つ前のチアーズが、突如スピンした最後尾のチアーズに叩かれて弾かれる。
「3・2・1・GO!」
弾かれたチアーズは前に居るチアーズのスピン攻撃で更に前へと弾かれ、更に更に前に居るチアーズに弾かれ。
スピンバウンドの連鎖でどんどん加速していき、次のコーナーに辿り着く時にはすさまじいスピンと加速力で駆け抜けた。
「まだまだ!」
「いくわよ!」
「フォーメーション!」
2つ次のコーナーの頂点で6人のチアーズ達が密集すると、全員が1人の真後ろに立ち、3人が他の3人を押しだし、押し出された3人の内2人が1人を押し出し、3段ロケット状の加速で直覚的にコーナーを駆け抜けた。
「こいつがダーティ・チアーズの、いや、アスリートアースの真骨頂ってわけか
……!?」
妨害にかまけなければ、戦闘から真のスポーツとして技量を熟達すればここまで速くなるものなのか。
否、感心しては居られない。今ので大分抜かされたぞ圓太郎!
「もうバリアを張る必要もねぇな!出でよ
極光(オーロラ)!味方になれ
氷!!」
圓太郎は手に指揮棒の如くウィザードロッドを振るい、スケートリンクの氷を自身にとって更に滑りやすい鏡面に磨き上げ、猛烈なスピードで追い上げる。
カーブの滑走時にも氷の魔法を使い、蹴って加速できるような氷の斜面を瞬間的に生成。
その猛進する姿は、氷を滑るというよりは、氷を蹴るようにして飛び掛かる氷原のジャガーの如く。
滑り往く軌道には幻想的なオーロラの光が残る、猛々しさと凛々しさを兼ね合わせた氷河のスピードスケートを体現した。
「明日は筋肉痛かもな……!」
チアリーディングによる連携滑走、猛撃する滑走技術を見せる圓太郎。
彼らの熱い戦いが競技終了まで尚も続くのであった。
成功
🔵🔵🔴
セリカ・ハーミッシュ
アイススケートによるレース勝負、なかなか楽しそうだね。
でも勝負は全力でかな。
氷の扱いなら多少は心得はあるし活用させてもらうね。
スケート靴を履いて、ダーティチアーズの下流に立たないよう
常にリードする形で競技の流れを維持したいかな。
追い抜かれないよう氷刃乱舞で進路方向に
氷の塊を作り出して進路妨害するね。
妨害行為は認められるようだし、遠慮はする必要はないかな。
追いかける形になっても諦めず滑り続けて、
進行方向にUCの刃を放って追い抜くチャンスを作り出すね。
ちゃんと周回数はカウントして滑りやすいコースも把握して
少しでも有利に競技進むよう。
頭と身体を動かしていくね。
「新年早々、いい運動ができそうだね」
●
「アイススケートによるレース勝負、なかなか楽しそうだね。でも勝負は全力でかな。」
しなやかな表情をしたヴァルキリーの女性、セリカ・ハーミッシュ(氷月の双舞・f38988)
エンドブレイカー出身の彼女は氷魔剣アイスレイピアを愛用している。
アイスレイピアには地形を凍らせて滑走する技もあるので、彼女にとってアイススケートは得手があった。
彼女はスケート靴を履いて、氷の世界の熱いレースへと赴いた。
「氷の扱いなら多少は心得はあるし活用させてもらうね。」
セリカは癖で氷天の葬刃を最初に振るい、そして体重を進行方向へと向ける。
フリージングアクセルの滑走突撃を利用したスピードスケーティングの滑走術だ。
これを利用してチアフルパフォーマンスをしながら滑走するダークリーガー達を次々と追い抜いて、トップ帯をキープする。
今回のダークリーガー達は勝負の流れを掴むのが上手い。彼女らの後ろに居続けるとここぞという場面で出し抜かれてしまう。
セリカは常にリードする形でダークリーガー達の得意な流れを封じ込めていた。
「追いついてきたわ!」
複数人のダークリーガーがセリカに迫る。
「妨害行為は認められるようだし、遠慮はする必要はないかな。『氷刃乱舞』、いくよ。」
セリカは氷天の葬刃を振るい、前方に氷刃を放つ。
氷の地面に着撃した刃は溶けない氷の塊の柱となる。
「なっ!」
軌道を分かっているセリカは氷柱群を縫うように滑っていき。
ダークリーガー達はこの障害物の突破に手間取ってタイムロスを起こしてしまった。
「……!まだまだ!アスリートアースを舐めないでよね!」
そんなセリカに、他のダークリーガー達に弾かれる様な形のチームプレイで加速し、必死で追いついてきたダークリーガーが、氷柱の障害物も抜け、ついにセリカを出し抜き、追い抜いていく。
「まだまだ。勝負はここからだよ」
だが彼女が諦める事は無い。
追いかける形となり、勝負運を徐々に下げられていくセリカは、進行方向に更なる氷刃乱舞を振るう。
『この氷の刃からは逃げられないよ』
氷の刃を放ち、直接当てて氷柱に閉じ込めようとする算段だ。
「うわ、っと、こっちも諦めないわ。皆、応援して!」
一方でトップに躍り出たダークリーガーはこの刃を避けるしかないが、ボンボンを振り、観客や他のダークリーガー達に応援してもらい、力を手にして回避を続ける。
「せえの!っ、うわっとと!」
だが氷刃は直接当たるだけではない。
先程と同様、着弾した地面にも氷の柱を作っていく。
目の前から生えて来た氷柱をスピンして回避している隙を突いて。
「お先に失礼するよ」
セリカはダークリーガーを追い抜いた。
チャンスはここぞという時だけではなく、常に作っていくものなのだ。
「くっ……」
「あの娘、強い」
「それに段々とペースが速くなってる
……!?」
彼女は周回するごとに、徐々に徐々に速さを高めていく。
「12周目、そろそろ終盤かな。ダークリーガー達はあの辺りを滑るから――」
今は何周目か、滑りやすいコースはどこか。
頭と体をフル回転し、立ち回りをみるみるうちに磨き上げていく。
「新年早々、いい運動ができそうだね」
セリカは切迫するダークリーガー達をいなしながら、上位に踊り出続けたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ウルスラ・ロザーノ
スケートならインラインスケートと勝手は似とるよね
エアシューズのホイールを刃に換装して参戦や
ここぞっちゅー時に不運な目に遭うってんなら、一撃勝負なんて狙わず地道に有利を積み上げてけばええんちゃうか?
あえて敵に積極的に張り付いて競って、気力体力をガンガン削ってく作戦や
足に翼は生やすけど、あくまでも姿勢制御とかの走行補助、アクシデントからのリカバー用や
氷上の傷の凹みでこけそうになるとかが起こりそうやでな
さーて、高速戦闘はボクの得意分野や、ゴリゴリ接近戦を仕掛けてくで!
足を引っかけるとかその程度の妨害、見切って避けるなんて簡単や
そんでスピードを活用した本物の蹴りってを、その身にきっちり教え込んだる!
●
「スケートならインラインスケートと勝手は似とるよね」
ここぞと現れたサッカー選手のウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)だが、彼はスカイダンサーを起点とする月のエアライダーの技能も兼ね備えている。
エアライダーはインラインスケートの技量も併せ持つ。
ウルスラはこの技術をアイススケートに転化してレースに挑んだ。
●
滑り出しは好調。
ウルスラは足(具体的にはスケート靴の踵辺り)に光の翼を展開し、速度を高める。
だがそれはあくまでも姿勢制御とかの走行補助、アクシデントからのリカバー用である。
「ここぞっちゅー時に不運な目に遭うってんなら、一撃勝負なんて狙わず地道に有利を積み上げてけばええんちゃうか?ってな。」
安定した走行でダークリーガー達を出し抜く算段だ。
3周経過。
ウルスラは近くを滑るダークリーガーに徐々に近づき、積極的に張り付いていく。
「(こいつ……離せない!)」
あえて敵に積極的に張り付いて競って、気力体力をガンガン削っていこうとするウルスラ。
「(でも最後に笑うのは私達ダークリーガー。そんな所に居るなんて走行を応援されてるようなものよ!勝負の運は私達にあるんだから!)」
そう言って、むしろマークをキープしながらスピードを上げつつ走り続けるダークリーガー。
勝負はまだ分からない。ウルスラは派手に仕掛けるつもりはない。
どこで差が現れるかの勝負となってきた。
その内他のダークリーガー達もウルスラに追いついていく。
「あいつさっきから同じ奴を集中狙いしてるわ」
「チーム・ラフ・チアリーディングプレイを見せましょう!連携攻撃よ!」
ダークリーガー達は回転して、足を引っかける様な足払いのダンスパフォーマンスで攻撃してくる。
それも1体や2体でない複数人が、矢継ぎ早に下段から上段までの回転キックを見せつける。
それをウルスラはひょいひょいと躱す。
最低限の動きで、小さく飛び、捻るように躱し。
「足を引っかけるとかその程度の妨害、見切って避けるなんて簡単や」
サッカーでの相手のラフプレー。スライディングなどの足技攻撃はウルスラの戦いの中では基本だ。
ウルスラはそうした回避行動で崩れたバランスを、足から吹き出す翼から噴き出るエネルギーで細かく姿勢制御を行い、反撃の体勢を組んでいく。
「スピードを活用した本物の蹴りってを、その身にきっちり教え込んだる!」
ウルスラの動きが高速化する。
360度、ジェット噴射の様な動きで自由自在な蹴りを繰り出し、周囲で蹴ってきたダークリーガーを1体
「きゃあぁ!」
2体。
「うわああぁ!」
3体4体と、次々に蹴り落とし転倒させていく。
「これがボクの高速戦闘『ヘルメースのタラリア』や!」
「っとぉ!?」
突如躓いてこけそうになる。
目の前に現れたのは先程他の猟兵によって作られた無数にそびえ立つ氷の柱のコース。
「私達もてこずるその溶けない氷の障害物。」
「それにまだ前には他のダーティ・チアーズもいる。」
「不運にぶつかってこっちに来るといいわ!」
「なんの!」
ウルスラは更にスケート靴から光のジェットを吹き出して、スラロームの如く、もしくはドリブルの如く、氷柱に沿った滑らかな走行で氷柱群のコースを抜けていった。
ウルスラの足は、文字通り自在に動いて戦えるのだ。
『何者よりも速く、空すらも駆け回るで!』
彼女はダークリーガーと奮闘し、襲い掛かるアクシデントも次々に突破していったのだった。
成功
🔵🔵🔴
テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可
るんるんるん~♪と軽やかに氷上トラックを滑っていくのです
もちろん相手の邪魔は入りますが、そこに【全てを凍てつかせる小さな妖精】さんがガードしてくれます!
…厳密には氷漬けにして行動不能するだけですが、その後解凍すれば問題ないのです!
仮に妖精さんのガードを突破しても【野生の勘】で軽やかに回避して妖精さんの追撃をしますよ~!
さ・す・が・にフラグ回収はしませんからね!
…しませんからね!!(そのあたりはお任せします)
●
「るんるんるん~♪」
順位を気にせず軽やかに氷上トラックを滑っていくウサギのキマイラ、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)。
一見マークせずとも周回遅れにして終わらせられそうな彼だが、ダークリーガー達は心底恐怖しながら彼の滑走から逃げる様に走り続けていた。
彼の周囲には青白く可愛らしい透き通る氷で出来た妖精が数人、追従するように舞っていた。
テフラのユーベルコード、『
全てを凍てつかせる小さな妖精』である。
ここにダークリーガーのチアリーダーが妨害しようと寄りかかると、小さな氷の妖精がダークリーガーに触れ。
「!?冷た」
たちまち瞬時に凍り付き、スケートリンクに佇む氷像となってしまうのであった。
「フェアプレー精神なので後で解凍しますが、レースが終わるまでそのまま凍っててください♪」
レースで遅れたダークリーガー達が次から次へと、テフラの使役する氷妖精によって氷像へと変わり果ててしまう。
「なんてプレッシャー……!」
「趣味スケートレベルで遅いのに、あの子が辿り着いたら終わる!?」
「だ、誰でもいいからあの子を止めて!」
ダークリーガー達は応援のポーズを観客席に向ける。
「「「「その不埒な場違い兎を取り押さえるわ
!!」」」」
私服防寒着に身を包んだ観客達(ダークリーガーのファン)が4人がかりでスケート靴を履いて乱入。テフラへと飛び掛かる。
「「「「……………………」」」」
「わぁ!今日は大量ですぅ~♪」
4人の
悪辣観客達は、テフラの身を護るように高速で飛来した氷妖精が噴き出す、絶対零度の冷気の軌跡に触れた瞬間、見事に綺麗な、物言わぬ氷像と化した。
鏡の様に綺麗なスケートリンクの世界に舞う様なポーズでキラキラと凍り付くスケーター達は、これがフィギュアスケートであれば良い氷のオブジェとして観客達に喝采されただろう。
「あ、あの子全然止まらない……!」
「できるだけあの兎っ子に触れないように滑るしかないわ!ふぁ、ファイト!」
「おーっ!?」
「それじゃあちょっと早めてみましょうかー♪」
7周もしてスタミナが消費されたあたりだろうか、テフラは何とペースとスピードを上げて来た。
「あ、あいつ
……!?」
そうこうしている内にダークリーガー達は次から次へと追いつかれ、氷の妖精使いとなったテフラが、滑りながら生み出す冷気の妖精奔流に触れた所からカチカチに凍り付いていく。
様々な世界でひどい目に遇うテフラは必然数々の依頼に参加している。そのせいで恐ろしく経験値とレベルが高い。
スケートの実力はそれほどでもないが、地力が高い。
レース後半まで温存していたスタミナとスピードをどんどん上げて、ダークリーガー達を恐怖に陥れた。
「ふふふ~♪ボクの素敵なチアリーダーの氷像ちゃんがあっちこっちで一杯ですぅ♪今日のボクはドMウサギキマイラを脱却ですぅ。氷のアイススケート兎として、沢山氷像をお持ち帰りですぅ♪」
興奮しながら立ち並んでいたり、凍ったまま直線的に滑ってコースアウトし、倒れたまま身動きを取らないチアリーダーのダークリーガー氷像を見て微笑むテフラ。
それは最早、一面凍てつく氷の世界をらんらんと滑る雪うさぎの妖精っ子の様だった。
その時、ひゅっとテフラの兎耳を妖精がかすめた。
「ちょ、わっ!?」
少し兎耳が凍るテフラ。
いつもはなんだかんだで自爆して敵や自分のユーベルコードで凍るのがテフラのお約束。
大体邪魔者が凍り付いたからと、今度はテフラを凍らせようとしてきた。
「ちょ、ちょっとちょっと!流石に今回そのフラグは回収しませんから!凍結なんかに、凍結なんかに絶対負けませんからー!」
テフラは更にスピードを上げ、氷妖精から逃げるように滑っていくのであった。
●
各選手が出そろった。
様々なダークリーガーの妨害を退け、或いは改心させ、氷のトラックを熱く走り続ける猟兵とダークリーガー達。
レースは遂に16周目、ラストスパートにもつれ込む。
戦闘は以前軽くきらめく星と月のエアライダー、宵空・鈴果が走り続ける。
それに追いつく様にして氷の刃をリンクに刻み込むセリカ・ハーミッシュが並ぶ。
3番手は周回するごとにめきめきと地力と滑りを身に着けて追い上げるミア・ミュラー
セリカとテフラが作り上げた氷の障害物を逆に利用し、滑るように蹴り上げて加速し続けるウルスラ・ロザーノが並ぶ。
そこから猛烈な追い上げを見せるのが久留米・圓太郎、そしてダークリーガーことダーティ・チアーズの残っている皆様。
6人いるダーティ・チアーズはチアリーディング連携による常軌を逸した加速。
それに食らいつき氷河を駆けるジャガーの様な本格スピードスケートの走りを素足でかまして駆け抜ける圓太郎。
しかし後ろから更に、氷を司る妖精達に脅される様にして猛加速するテフラ・カルデラがごぼう抜きをもくろみながら滑走を続ける。
最終コーナーを抜ける。
流星の如く軽やかにカーブを描く鈴果の内側を改心ダークリーガー、ウルスラ、圓太郎が、直角気味に氷を蹴って滑り込むパワープレイでインを取り、他選手を出し抜いた!
それを氷刃で妨害しながら鋭いコーナリングで追いつこうとするセリカは、突如横から追い上げて来たテフラの纏う氷妖精に氷刃を掴み取られ、テフラの足に装着。より強力なスケート靴になったテフラは自身でも制御が付かない程の加速をする。
それでもと抜け道を看破して抜けていくセリカに、同様のプレイで駆けて来るミアが並ぶ。
最後の直線に入った。目の前には今までセリカがスケートリンクから生み出した氷柱群の障害物が邪魔をする!
悪路をものともしない鈴果がここでエアライダーの本領を発揮。悪路をものともしない自由な動きで突破し追い上げる。
だがそれは同様のプレイでアベレージを積み上げたウルスラも同様だった。ウルスラに追いつくが、追い越せない。ウルスラは逃げ切れるか!
その後ろをダークリーガー達が連携し、最後の一人に望みを託すように後押ししたチアリーダーが鋭い滑りで追いつこうとする。
その横を限界を超えて逃げ切ろうとする圓太郎により遂に出し抜かれてしまう!
更に障害物を生み出し知るセリカが後に続く。
スリップストリームで追いつこうとするミアとテフラもそれに並ぶ。
ゴールまで3メートル、2メートル。
遂に氷柱群のコースを突破する選手達。
各々の足に力が籠り、ブーストの如く飛び出していく。
だがトップのウルスラはそこから更に巨大な光の翼を足に展開。
ダークリーガーのユーベルコードによるここ一番の失敗の呪いももう受付けない、最後の最後に見せる切り札で一気に引き離した……!
1位ウルスラ・ロザーノ
2位宵空・鈴果
3位久留米・圓太郎
4位ミア・ミュラー
5位セリカ・ハーミッシュ
6位ダーティ・チアーズ(ダークリーガー)
7位テフラ・カルデラ
セリカは最後の最後、加速をつけたミアに指一本の差で抜けられてしまう。
テフラもそれに続いたが、ダーティ・チアーズと接触、氷の妖精の冷気で凍てついたダークリーガーの加速した滑走が王手となって惜しくも最下位となってしまった。
勝者はシルバーレイン出身、サッカー選手のアスリート、ウルスラ・ロザーノとなった!
「ふう……ええ汗かいたわ」
「ナイスプレイりん☆次は負けないりん☆」
「……柄にもない熱血勝負したから、明日は筋肉痛だな」
「ん、けっこういい滑りができた、かも。」
「悔しい順位だけど、新年早々、いい運動になったわ」
「う、うう……悔しいけど、あなた達の勝ちね!ナイスファイトよ!(氷を溶かされてブランケットで暖まりながら)」
「フ、フラグ回避です……!滑り切れた事が奇跡かもしれないです。」
こうして、今回の第三競技・『永久凍土のスケートリンク』は幕を閉じた。
まだまだ残るバトル・オブ・オリンピアでの奮闘も、乞う、ご期待!
成功
🔵🔵🔴