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バトル・オブ・オリンピア⑦〜お正月歌唱特番!

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #その他スポーツ #ウレタンポカポカ大海戦


「お集まりいただきありがとうございます。美を愛する美形、クロア・ルースフェルでございます」
 優雅にお辞儀をするのはナルシストのグリモア猟兵、クロアだ。猫型精霊のバロンも真似してお辞儀をする。
「本日は皆さんに、お正月の歌唱特番に出ていただきますね」
 はいコレ、とクロアがにこにこ渡してくる資料には、海上に設置された、ゆらゆら揺れるフィールドの写真が載っている。
「こちら、ウレタンポカポカ大海戦の会場です。ウレタンポカポカ大海戦はアスリートアースの伝統あるスポーツで、競技の合間にたのしいおうたのコーナーが入るのも、また伝統だというコトです。まぁ……スポーツに必要な儀式だと思ってください」
 その資料には、でかでかと赤文字で『水着着用推奨!!』と書かれていた。
「ソレ重要なトコロです。歌う場所がその揺れるフィールド、つまり海の上ですので、たのしいおうたのコーナーは水着の着用が期待されています。ソレもまた伝統だというコトです」
 理由が全部伝統、伝統だが、伝統とはそういうものなのだ。仕方がないのだ。
「水着で、そのフィールドで歌うコト以外のパフォーマンスは皆さんの自由です。せっかくなので華やかにパーッとやっちゃってくださいな♪ お正月特番として、アスリートアースに放映されますのでね~」
 クロアはウキウキと説明する。しかしうまくいけば、このパフォーマンスで高視聴率を叩き出すのも夢ではないかもしれない。
「ではまとめます。皆さんには海の上に設置されたウレタンポカポカ大海戦のフィールドにて、競技の合間に歌を歌っていただきます。できれば水着着用でお願いします。皆さんのステキなパフォーマンス、バロンと一緒に楽しみにしておりますよ」


あんじゅ
 マスターのあんじゅです! ナルシストのクロアお兄さんと行く、十二個めの依頼のご案内です。『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオで、一章のみの構成です。
 この依頼にはプレイングボーナスがあります。『水着を着て歌う』とボーナスがつきますので、ぜひ狙っていってみてください!
 プレイングには、何をどうしたいか具体的にお書きください。セリフや心情を入れていただくのも大歓迎です! 技能は、技能名だけではなく、それを使ってどうするのかをお書きくださいね。
 なお、この依頼は戦争シナリオということもあり、シナリオの完成を優先させます。やむをえずプレイングを返却する可能性があります。時間が許す限り採用いたしますが、大成功、成功を優先させていただきます。
 本依頼も一生懸命取り組ませていただきます。皆様のご参加を、お待ちしております!
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第1章 日常 『お正月アイドルコンテスト』

POW   :    パワフルに歌う

SPD   :    スタイリッシュに歌う

WIZ   :    キュートに歌う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
メアリー・フェアチャイルド
●SPD

ウレタンポカポカ大海戦…うん、思わず舌を噛んじゃいそう
それはともかく、水着を着て歌だけってのもなんだか物足りないわよね
特番感を出したいとなれば…やっぱ生放送ライブならロックっしょ
でも、お正月でヘビメタもなーんか違うし…ここはお正月な歌謡曲や童謡をロック風にアレンジが安牌で、歌は…もういくつ寝るとお正月はもう過ぎたし、もちつきの歌かな?

ぺったんこ、それぺったんこ♪
おもちをつきましょ、ぺったんこ♪
ぺったんぺったんぺったんこ♪

うーん、短い
ここは『鋼音の即興演奏』で歌詞も即興したり、会場の観客と一緒に手拍子を打ったり、あたしが歌った後に観客も歌うライブ・パフォーマンスを仕掛けてみよ!



『勝者、猟兵ーーー!!』
 アナウンスが叫び、海上でのウレタンポカポカ大海戦に決着がついたようだ。
「ウレタンポカポカ大海戦……うん、思わず舌を噛んじゃいそう」
 特製の斧エレキギターマッドアックスをチューニングしながら、デッドマンのサウンドソルジャー、メアリー・フェアチャイルド(サンダーボルト・f25520)はひとりごちる。
 今日もギターの調子はゴキゲンだ。ついでに水着も、黒を基調にしたゴキゲンなロッカー仕様だ。胸元に埋まった大きなネジが、特に目立つワンポイントになっている。
 さて、とメアリーは曲について考える。水着を着て歌だけというのも、なんだか物足りない。
「特番感を出したいとなれば……やっぱ生放送ライブならロックっしょ」
 かといって、お正月にヘビメタというのは雰囲気が違う。とくればここは、お正月な歌謡曲や童謡をロック風にアレンジするのが、雰囲気も合っていて、盛り上がるライブになるだろう。
「歌は……もういくつ寝るとお正月はもう過ぎたし、もちつきの歌かな?」
『では! メアリー・フェアチャイルドさんです、どうぞ!』
「おっとと、もう出番だね」
 考えていたら時間になっていたらしい。メアリーは気分を切り替えて、元気に飛び出していった。
「みんなー! 明けましておめでとー!」
 おめでとー! と会場から声が返る。いい反応だ。あとは――楽しむのみ!
 メアリーの手で、マッドアックスがキュルキュルと鳴く。それがライブ開始の合図。
 かき鳴らす音は、四つ打ちの重いリズムだ。腹に響く音に、観客は知らず頭を小さく振る。
 ギターのネックを上下させながら、メアリーは歌い出した。童謡のもちつきのアレンジだ。
 あのリズムはもちつきか、と観客の興味を引いたようだ。掴みは十分。
 だが、いかんせんフレーズが短い。
 さすがにこれを繰り返すのは芸がないだろう。【鋼音の即興演奏インプロヴィゼーション】でさらに即興して、会場を温めていこう。
「去年のうさぎの真似をして、今年のドラゴン臼を出し♪
 ブレスで炊いたもち米を、しっぽの杵でぺったんこ♪」
 元のサビに戻るために、派手なフィルインで駆け上がる。メアリー自身も会場を駆け抜け、もっと観客の近くへ。そして、声を張り上げる。
 もちつきの歌のアレンジに熱が入れば、観客にも熱が伝わっていく。
 ここでメアリーはギターから手を放し、手拍子を始めた。観客を誘うように、頭の上で大きく手を打つ。そのリズムでもう一度、もちつきの歌を。
 メアリーの演奏にノっていた観客は、笑顔で手拍子を合わせてくれた。会場が、もちつきの歌でひとつになる。
 メアリーが再びマッドアックスを持ち、かき鳴らした。熱がさらに一段階上がる。
「もいっちょいくよー! あたしの後に続いて歌って!」
 もちつきの最初のフレーズに、観客がついてきた。短いフレーズだからこそ、覚えやすいのだ。
「いいよ!」
 次のフレーズはもっと多くの声が重なった。
 メアリーはラストのために、マッドアックスをめいっぱい響かせる。
「みんな一緒に!」
 最後のいちフレーズ、会場中が、叫んだ。
「おいしいおもちの、できあがりっ♪」
 くるっと回ってメアリーが曲を締めくくれば、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
 この興奮、この一体感。だからライブはやめられない。
 メアリーは会場の拍手に手を振って、とびきりの笑顔で応えるのだった。
「みんなのおかげだよ、ありがとー! よい一年になりますように!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鐘射寺・大殺
成る程、海上ライブか!面白い企画だのう。どれ、我輩も士気を上げるために一曲披露してやろう。
X-DEATHをひっ掴み、水着姿で参上。
「グワハハハ!我輩が悪魔のパフォーマンスを見せてやろう!!」
《楽器演奏》で激しいヘヴィメタルを奏でながら、【魔王の権威】を発動させるぞ。声に《覇気》を乗せて激しくシャウトすれば、わが歌声は《衝撃波》と《音響弾》となって周囲に水柱を吹き上げるだろう。生中継、おおいに結構!我輩の勇姿を全国のお茶の間に見せつけてやるのだ。もちろんアンコールにも応えてくれるわ。どうだ、ホットなライブだったろう!明けましておめでとう、今年もよろしく!!フハハハハ!!



「成る程、海上ライブか! 面白い企画だのう。どれ」
 デビルキングワールド・砕魂(さいたま)王国の若き魔王、水着姿の鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)は、悪魔的にかっこいいデザインのエレキギター『X-DEATH』をひっ掴む。
 そしてバサリと、マント型悪魔・川村クリムゾンをまとった。
「我輩も士気を上げるために一曲披露してやろう。川村! 飛べ!」
 しかしそんな大殺を川村が諫める。
「お言葉ではございますが陛下、此度は海のステージです。空を飛ぶというのは、いささか空気を読まない行いかと……」
「よいから飛ぶのだ!」
「はぁ……」
 聞こえるようにため息をついてくる川村だが、一度諫めて諦めたか、大殺の命どおり飛び上がった。
 大殺は風を切りながら、にやりと不敵に笑う。
「空も海も、わがステージにしてしまえばよいのだろう?」
 目指すはステージの真上。
 空から一発、X-DEATHをかき鳴らしてシャウトを見舞えば、音響弾と化した声が水面に着弾し、盛大に水柱を吹き上げた。
 突然のシャウトと水柱に目を白黒させる観客たち。だが次の瞬間、歓声が上がる。
 水しぶきの中から、大殺がステージに現れたからだ。
「グワハハハ! 我輩が悪魔のパフォーマンスを見せてやろう!! ひれ伏せ!!」
 大殺はユーベルコード【魔王の権威デビルキングパワー】を発動させる。命令に従わない者の知能指数を半減させるユーベルコードによって、頭が悪くなった観客たちは大殺のかっこよさ(?)に一層沸き立った。
「「「うおおおおーーーーー!!」」」
「フハハハハよいぞよいぞ! では聞くがよい、わが演奏を! わが歌声を! 全国のお茶の間もだ!!」
 X-DEATHがかん高く鳴く。テンションは一気に最高潮だ。
 悪魔らしい攻撃的なヘヴィメタルが、観客を、そしてお茶の間をぶち抜く。
 X-DEATHは激しくディストーションし、空間もついでに歪んでディストーションして海水が宙に大きく渦巻いた。
 そこに覇気を乗せたシャウト!
 衝撃波となった大殺のシャウトが、海水の渦を吹き飛ばす。まるで水の爆発だ。
 知能指数の下がった観客たちは、幼稚園児のように狂喜乱舞する。
 大殺が歌い終えてもテンションは下がらず、観客たちが一斉にアンコールを叫んだ。鳴りやまないアンコール。
 そんな中、大殺はスッと手を挙げた。彼の放つ覇気に、観客がシン……とする。
「――もちろんアンコールにも応えてくれるわ!」
 ワッと噴き出した歓声を、X-DEATHの前奏が切り裂いて響く。観客は拳を振り上げ、大殺とともにリズムを刻み始めた。
 大殺も観客も、スポーツかそれ以上に汗が散り、それをシャウトで立った水柱が激しく洗い流していく。
 ギュイ! と歪んだ音で曲を締めくくれば、観客はみな雄叫びを上げた。
「どうだ、ホットなライブだったろう!」
 汗だくの大殺が、やりきった表情で叫ぶ。
 しかし、大殺から離れてひれ伏し、知能低下を防いでいた川村がそっと忠告してきた。
「陛下、カメラはあちらでございますが」
「おっとそうであったか」
 大殺は小さく咳払いして、カメラに向き直る。
 全国のお茶の間に、大殺のアップが映った。堂々とした王の姿が。
「皆の者! 明けましておめでとう、今年もよろしく!! フハハハハ!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
たのしいおうたのコーナーですか。これは参加しないわけにはいきませんね。
でも水着ですか。うーん、無難に鴇色のワンピースにしておきましょう。うたのコーナーが終わったら、水遊びして帰ってもいいんでしょうか?

さて、揺れる足場は「地形耐性」で水に落ちないよう気をつけましょう。
「楽器演奏」で竪琴を弾きながら、主に向かいて新しい歌をうたえを「歌唱」します。
伸びやかなソプラノで、古語ラテン語の教会音楽を歌い上げますよ。意味が取れなくても、竪琴の音色と歌声の共鳴で、観衆を惹きつけます。
一曲終われば、短い督戦歌を歌って、競技に参加する皆さんを応援して締めとします。
それでは皆さん、どうぞよき戦いを!



「たのしいおうたのコーナーですか。これは参加しないわけにはいきませんね」
 鴇色のワンピース水着に身を包んだ儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)は、クラシカルな竪琴を手に、会場前まで転移した。本人は無難だと思っている水着だが、ショートカットの芽亜をよく引き立てていて、すぐに周囲の目を引く。
 当の芽亜は、おうたのコーナーが終わったら水遊びをしてもいいだろうか? などと考えているが。
『次は儀水・芽亜さんです! どうぞ!』
「出番ですね」
 アナウンスに呼ばれれば、芽亜は揺れる足場にひらりと飛び乗った。昔から戦ってきた芽亜にとって、この程度の足場など気にもならない。ワンピース水着もひらりと遊び、観客は期待に胸を膨らませた。
 芽亜は観客に向けて一礼する。そして軽やかに、竪琴の弦をはじき始めた。
 上昇形の分散和音アルペジオが、聴く者の心をふわりと浮かび上がらせる。
 その音に乗せて、芽亜が歌い出した。
「Cantate Domino canticum novum. Cantate omnis terra. Alleluja」
 ユーベルコード【主に向かいて新しき歌をうたえカンターテ・ドミノ・カンティクム・ノウム】、いわゆる教会音楽である。
 清らかなソプラノが主を讃えた。広がり、包み込む歌声を、首掛け式のアリアデバイス『ムジカ・マキナ』がさらに豊かに響かせる。
 観客に古語ラテン語は分からない。しかし、芽亜の歌声と竪琴の織り成す和音は、胸を締めつけ、誰もが知らずに手を組んでいた。
 観客だけではない。【主に向かいて新しき歌をうたえカンターテ・ドミノ・カンティクム・ノウム】は、自然現象にも届く。
 曲調が苦しみに差しかかれば、空は曇り、海は波を立てて低音を支えた。だが芽亜のステージはゆらりとも動かない。芽亜の歌を邪魔しないように、ステージ周辺だけ波が自身を抑えているのだ。
 そして、歌は苦しみを乗り越える。
 華やかな竪琴の音形に乗せて、芽亜の声が一層高まった。
 雲から差し込む一条の光が、芽亜を照らす。波は止み、澄んだソプラノが会場中を喜びで満たしていく。観客たちは、息をすることさえも忘れていた。
 ラストに向かい、芽亜の指が低音から高音まで一気に竪琴をはじく。芽亜を中心に雲が割れて開き、まぶしい光が降る。追い風が花弁を乗せ、会場の隅々まで芽亜の音を運んだ。
 神を信じない者すらも、今ばかりはその声に、その音に心を震わせ、何の涙か分からない涙を流していた。
 最後の長音の伸びやかなビブラートが、ゆっくりと歌に幕を引く。
 終わったことが信じられないかのように、一瞬しんとした会場だったが、パチ、パチと誰かが手を打ったのを皮切りに、拍手が次第に強く会場を包んでいった。
 感謝の思いに駆られて、長く続く拍手に、芽亜はお辞儀で応える。
 そしてもう一度竪琴を構えた。
 拍手が止む。会場は息を飲み、芽亜の歌を待つ。
 芽亜はすぅと息を吸い、次の曲を奏で始めた。これは――督戦歌だ。
 先ほどとは違い、オクターブをはじく力強い曲調。ハキハキと響く歌声が、すっかりしんみりしていた会場を元気づけていく。
 リズムに合わせ、観客は、誰からともなく手を打った。会場がひとつになっていく。
 短い曲が終われば、手拍子はそのまま万雷の拍手に変わった。誰もが晴れやかな顔をし、次の競技への前向きな思いに満たされている。
 みなの健闘を願う芽亜の思いは、どうやら歌と共に届いたようだ。
 芽亜へ向けられたたくさんの笑顔に、芽亜もまた、笑顔で応えるのだった。
「それでは皆さん、どうぞよき戦いを!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
※アドリブ、連携歓迎
水着:2023年水着コンのアラビアン水着

さすがこの世界は世界の命運を賭けた戦いもスポーツ、なのですね
皆を鍛えようという敵の意図もどこか憎めない
良いでしょう。その志を尊び、わたくしの歌にてこの熱戦を盛り上げて見せましょう

纏うのは青い踊り子水着
南国のような軽快なリズムに乗せて
軽やかにステップを踏んで
羽衣の如く柔らかなベールを手に舞い踊りながら
歌うは「微笑みの歌」

ゆらゆらと揺蕩う水上ステージはまるで雲の上のようで
落ちそうになったら白い翼はためかせ宙へ
天女のような微笑みを浮かべたら
空も波も水飛沫も戦士たちの宴を祝福するように煌めき虹を架ける

皆様、どうか全力で頑張ってくださいましね



「さすがこの世界は世界の命運を賭けた戦いもスポーツ、なのですね」
 青い踊り子風の水着をまとったヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)が、ウレタンポカポカ大海戦を見て、ほぅと感嘆をこぼした。
 皆を鍛えようという敵の意図もどこか憎めない。大海戦を終えた選手たちもまた、讃え合っている。
「良いでしょう」
 シャランとアクセサリーが涼やかな音を立てた。頭や首、腕、腹、そして足首に巻いたアクセサリーは、ただ華やかなだけではなく、リズムを奏でる楽器でもあるのだ。
「その志を尊び、わたくしの歌にてこの熱戦を盛り上げて見せましょう」
『では次は、たのしいおうたのコーナーです! ヘルガ・リープフラウさん、どうぞ!』
「出番ですのね」
 ヘルガは素足でタッと駆け出した。シャラララとアクセサリーの音と共にステージの中央まで来ると、シャン! とポーズを取る。
 ぐらり。足元が揺れた。
 しかし、とヘルガは考える。この不安定な足場だからこそ、できることがある。
 足でリズムを取り、演奏が始まる。
 砂漠のリズムは、煌びやかにして艶やかだ。それはまるで、月の砂漠が星にも、水にも喩えられるように。
 ヘルガもまた星の輝きを身にまとい、軽やかなステップを踏む。
 くるりと回れば、手に持ったベールが彼女を覆い、ひらりとベールから現れたヘルガは歌い出す。
「麗かな陽だまりのように、揺蕩う水のように」
 ユーベルコード【微笑みの歌ヒュムネ・スリール】だ。このユーベルコードは、生きとし生けるものだけでなく、無機物や自然現象にも届く。
 陽を讃えれば、陽はヘルガに輝きを返す。
 水を謳えば、水は波となって足場に打ちつける。
 ヘルガは歌いながら、足場のふちまでステップで移動する。シャンとアクセサリーが鳴れば、沈んだ足場とは逆に波が立ち上がり、水滴となって散る。
 そう。この揺れる足場でならば、水と踊ることができる。
「麗かな陽だまりのように、揺蕩う水のように」
 反対のふちまで駆ければ、イルカたちがジャンプし、鳴き声で合いの手を入れた。
 難しいリズムを、ヘルガは軽快に乗りこなし、それ以上の世界を作り上げていく。
 普段の優しい歌とはまた趣の違う、持てる技術を結集した芸術としての世界。これこそが、たゆまぬ努力で選手となった者たちへの、ヘルガの敬意であり称賛だ。
「穏やかに包み込む愛おしい時間」
 細かい水の粒子が漂い、うっすら霧がかった水上ステージは、まるで雲の上のよう。その上で羽衣のベールを手に舞い歌うヘルガは、まさに天女だ。
 と、ヘルガが前のへりに寄りすぎた。大きく足場が沈み、観客があっと声を出す。
 だが。
 水が足場を跳ね上げ、押し出されたヘルガは純白の翼で空に飛び出した。
 観客から拍手が贈られる。それは彼らからの、ヘルガへの敬意。
 だからこそヘルガは、一層高らかに歌うのだ。
「共に歌いましょう。出会えたこの幸せを」
 天女が輝く微笑みを浮かべた。
 波も歌い、陽も眼下の霧へと微笑めば、ヘルガを中心にしてまん丸の虹が架かった。わっと歓声が上がる。これこそヘルガが持てる技術の全てで表す、戦士たちの技術と、努力への賛歌。
 ヘルガの真摯な心が、歌を通してみなに伝わったのだろう。称賛を受け取った者たちは、自分の隣の者と嬉しそうに顔を見合わせ、喜びを拍手にする。敵も味方も関係なく、万雷の拍手がヘルガに贈られた。
 きっと彼らは、これまで以上の力で競技に臨んでいける。
 ステージに降り立ったヘルガは、微笑んで彼らの背を押すのだった。
「皆様、どうか全力で頑張ってくださいましね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

七星・天華
【華羽】
コンテスト会場で知り合った澪君と今年の水着で即席の相談だけで舞台へ

「IT'S SHOWTIME!」
掛け声に合わせて片手で持った銃から宝石を加工して自作してる「マジックバレット」で光と炎を組み合わせたド派手な演出から続けて意志の力が反映される光の集合体の「意志の力【F.O.W.】」をマイクに変化させる
歌は知っていたがダンスは澪君の見様見真似なので【集中力】を維持して澪君のダンスを軽業のようにトレースしている
澪君が作った氷の蝶を【クイックドロウ】で纏めて撃ち抜く
〆も息を合わせて煌めく舞台で綺麗にフィニッシュ!
「れいくーん!難しいけど、楽しいねー!」
「リズムに合わせてーBANBAN♪」


栗花落・澪
【華羽】

天華さんと即席でチームを組む
僕は今年の水着で参加
敢えて初めは翼収納

「さぁ皆!僕達の舞台楽しんでね!
IT'S SHOWTIME!」

掛け声と共に背に翼出現
花弁状態のAngelus Ametを周囲に舞い散らせてから手元に集めマイク変化
揺れる足場も体幹の良さを駆使したダンスステップで影響回避
歌唱と無邪気可愛い視線の誘惑で、視聴者皆虜にしちゃうよ

クライマックスで指定UC
足場に花園を生成し、破魔の光をスポットライト代わりに
歌詞の合間に水魔法の詠唱
海水の一部を蝶の形に操り上空で凍結
天華さんにまとめて撃ち抜いてもらうと同時に風魔法で足場の花弁を巻き上げ
光と花雨とダイヤモンドダストのコラボでフィニッシュ



「できるかなーボクは一般人だよ?」
 黒いキャップをいじりながら、七星・天華(自覚無き天才・紅い雷光・f36513)は困ったように言った。無地の水着に、紫と赤のグラデーションのパーカーがよく映えている。
「大丈夫ですよ! ダンスは僕のを真似してくれればいいですし」
 一方の栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、天華の天才っぷりを知っているため、笑顔で太鼓判を押すのだった。澪の格好もまた水着で、セーラーを模したアイドル風である。
「そうだね……歌は知ってるし、いけるかな」
「じゃあ、即席ユニット、結成ですね!」
 こうして、相談もそこそこに、ノリで二人のユニットが誕生したのだった。
 おうたのコーナーへの申し込みを済ませれば、あれよあれよと出番の時間になる。
『次は七星・天華さんと栗花落・澪さん、お二人の歌唱です! どうぞ!』
 アナウンスが響く。片手に銃を持った天華と、最初はあえて翼をしまった澪が海上のステージに上がった。目の前には大勢の観客がおり、カメラまで回っている。
「きちゃったな。腹をくくるか!」
「その意気です! じゃあ――」
 澪が息を短く吸い、パッと咲く笑顔で告げた。
「さぁ皆! 僕達の舞台楽しんでね!」
 同時に横目で視線を合わせる。二人とも、笑っていた。
「「IT'S SHOWTIME!」」
 天華は銃を上に、連続で撃ち放つ。天華のユーベルコード【ガトリングショット】だ。銃弾の代わりにキラキラ光る「マジックバレット」がいくつも昇り、空中で次々と光と炎が弾けた。会場からどよめきが上がる。
 一方の澪がバサリと翼を広げれば、花弁が舞い散った。と、その花弁が集まってマイクになるではないか。澪専用のマイク「Angelus Amet」だ。
 と同時に天華も、手元が光ったかと思えばそれがマイクになる。光の集合体、「意志の力【F.O.W.】」が天華の意志を反映したのだ。
 開幕からのド派手な演出に、会場のテンションは急上昇。
「教えてあげる♪」
 澪が踏むステップを、そっくりそのまま天華が踊りこなす。揺れる海上のステージで、澪は鍛えた体幹で影響をいなしているが、天華はさらに、驚くべき集中力でダンスを即時にトレースしている。
「世界に溢れる鮮やかな音!」
 澪が可愛らしくジャンプ! そして天華も、全く同じ高さでジャンプ!
 ならばと澪は、天華を小さく手で制して前に出た。
 歌いながらくるりと回り、ウィンクとともに指でっぽうでキメる。ハートを撃ち抜かれた男たちの呻き声が聞こえた。
 さあ、と澪が天華に場を譲る。
 視線とカメラが天華に集中する。
 急な振りに天華は困惑したが、しかし曲を止めるなどできるわけがない。澪と同じように回り、ウィンクしながら指でっぽうをしてみせると、即座に女子の黄色い声が飛んできた。
「こりゃまいったね」
 困り笑いをする天華に、澪は小さく親指を立てるのだった。
 間奏はダンスタイムだ。ポップなリズムに、めいっぱい体を動かす二人。観客も応援の手拍子を始める。
「れいくーん! 難しいけど、楽しいねー!」
「はいっ。楽しいですね!」
 汗が散る。二人は満面の笑みだ。
 ついにクライマックス。澪がユーベルコード【心に灯す希望の輝きシエル・ド・レスポワール】を発動させる。周囲が一面花園になり、天から降る破魔の光はまるで、二人を照らすスポットライトだ。
 歌詞の合間に、澪は水魔法を詠唱する。海水が蝶の形になり、花園で遊び始めた。天国のような光景に観客たちも息をのむ。
 その蝶が空へと羽ばたき、一斉に凍った。
「今です、天華さん!」
「OK! リズムに合わせてーBANBAN♪」
 天華が早撃ちでリズムよく蝶を撃ち抜いていけば、澪は風魔法で花園の花を巻き上げる。
 光と花雨と、煌めくダイヤモンドダストが降る中、二人は背中合わせで最後のポーズを取った。
「「ボクノオト・キミノオト♪」」
 盛大な歓声と拍手が会場を包む。舞台は大成功だ。
「やったね」
「やりましたね」
 そうして二人は、パチンとハイタッチをするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジゼル・サンドル
たのしいおうたのコーナーか!
控えめなレースのついた黒いワンピースタイプの水着着用。
しかし揺れるフィールドで歌うのもなかなか大変だ…わたし泳げないから海に落ちたりしたらまずいしな、ううむ…
歌う以外のパフォーマンスは自由だったな、それなら…!
『♪さあ行くよ、翼広げて…Flight!』
即興で作った応援歌の歌いだしに合わせ指定UC発動、肉体の全てではなく一部を変化させることで黒歌鳥の羽を生やし飛翔。
『♪無限に広がる空 君を縛るものは何もないからできるだけ上を向くの 高みを目指して!』
歌詞に合わせて【パフォーマンス】、歌いながらぐんぐん上昇。今年は辰年だからな!

♪わたしの歌が君の応援歌になれますように…



「たのしいおうたのコーナーか!」
 ジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)はさっそく水着に着替えてきた。控えめなレースのついた、黒いワンピースの水着である。
「しかし揺れるフィールドで歌うのもなかなか大変だ……」
 というのも、ジゼルは泳げないからだ。海に落ちたりしたらとんだトラブルになってしまう。
「歌う以外のパフォーマンスは自由だったな、それなら……!」
 何か思いついたらしいジゼルは、グリモアベースからアスリートアースへと転移するのだった。
 折しも、ウレタンポカポカ大海戦に決着がついたところのようだ。
 ジゼルは申込用紙をアナウンサーに差し出す。
「わたしも出演してもいいだろうか?」
「もちろんです! ジゼルさんですね!」
 アナウンサーはジゼルに道を開け、マイクを握った。
『次はたのしいおうたのコーナーです! ジゼル・サンドルさん、どうぞ!』
「ありがとう」
 にこりと笑って、ジゼルはステージへと駆け上がっていく。
 ゆらゆらと足場が揺れ、少しバランスを崩しながらもステージの中央へ。観客からは「頑張れー!」と声援が送られる。
 優しい人たちなのだな、とジゼルは思った。彼らのためになるように。その気持ちが、自然と歌となって口からあふれ出す。
「♪さあ行くよ、翼広げて……Flight!」
 バサリ!
 黒歌鳥の翼がジゼルの背から広がり、観客が歓声を上げる。
 ジゼルのユーベルコード【黒歌鳥変化メルル・メタモルフォーズ】によって、肉体の一部を黒歌鳥に変化させたのだ。
 ジゼルはその翼で飛び出した、空へ!
「♪無限に広がる空 君を縛るものは何もないから」
 くるくると舞うように、ステージから観客席のほうへ。観客たちに手を振れば、振り返してくれる。そうして彼らの「手」を誘ったのだ。
「♪できるだけ上を向くの」
 ジゼルはぐっと指を上に突き上げる。観客たちもつられて指を突き上げた。
 パーン!
 それに合わせて、舞台の演出係がリボンテープを弾けさせる。
 あれは、いいかもしれない。
 ジゼルはリボンテープを空中で拾い、上へと飛びだす。上へ、もっと上へ。
 ひとりの観客の子供が言った。
「ドラゴンみたいだ」
 親が子供の頭をくしゃっとして、笑って返す。
「そうか、辰年だもんな!」
 上へ上へと昇るジゼルは、陽光に照らされて煌めいた。色とりどりのリボンテープが黒の水着を飾り、観客たちも指を突き上げながら見とれるほど。
 ジゼルはもう一度、彼らとともに指をぐっと突き上げ、歌う。
「♪高みを目指して!」
 そして持っていたリボンテープを撒き、両手を空けた。その両手を組んで、ゆっくりと下降し始める。
 リボンテープが降る中、ジゼルは観客たちの前に降り立った。祈る姿は、色さえ黒かったが、まるで天使のようだ。
 目を閉じ、膝をつき、ジゼルは祈りをそのまま歌にする。
「♪わたしの歌が君の応援歌になれますように……」
 会場がしんとした。歌を聞き逃すまいと。
 歌い終わると、ジゼルは目を開け、ぺこりとお辞儀をする。
 祈りに聞き入っていた観客たちはハッとして、盛大な拍手を彼女に送った。
 と、観客の一人がジゼルに話しかけてくるではないか。
「あのさ。頑張れなんて言っちゃったけどさ。オレのほうこそ頑張るよ、歌、ありがとうな!」
「ああ、声援をくれた人か! そうだな、お互い頑張ろう!」
 彼とジゼルは力強く握手をする。それを見てまた一層、大きな拍手が会場を包むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
海上ライブにようこそなのでっす!
水着は今年の渚の天使藍ちゃんくんでっす!
歌うのでっす、心を込めて歌うのでっす!
皆々様を応援する歌を!
スポーツでっすので競う相手であるダークリーガーの方へのエールも忘れないのです!
ダンスと演奏だってこなしちゃう藍ちゃんくんなのでっす!
するとどうでっしょう!
藍ちゃんくんの歌に合わせて海が波打ち、雲が踊るように流れ、スポットライトのように陽光が降り注ぐのでっす!
星の瞳と歌で自然現象だってファンにしちゃう藍ちゃんくんなのでっす!
せっかくの海上ライブでっすので!
大自然の皆さまとの合同パフォーマンスでっしたー!
お聞きいただきありがとうなのでっすよー!



「藍ちゃんくんでっすよー! 海上ライブにようこそなのでっす!」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は、ドレスのような白いパーカーを羽織った水着姿で、愛用のマイクスタンド「スタンド・バイ・アイ」に声を張り上げた。「ソウル・ビート・藍ちゃんくん!」の楽器一式から、天使の翼を模した白いエレキギターを選び出し、肩から下げている。
 超個性的な藍の登場に、それだけで会場は彼の独壇場だ。
 ギュイイイン!!
 藍がテンション高くエレギを鳴らせば、会場のテンションも一気に最高潮。
 藍はその場で、演奏しながらステップを踏む。ゆらゆら揺れる足場もなんのその、藍ちゃんくんの前では障害にもならない!
 ガッと足場を踏みしめ、藍は短く息を吸った。
「♪歌うのでっす! 心を込めて歌うのでっす!」
 叩きつけるような、ありのままの藍の歌。
「♪皆々様を応援する歌を!」
 カメラに藍がアップで映ると、藍はウィンクをキメる。藍のユーベルコード【星の瞳(アイクルスイート)】だ。撃ち抜かれた観客たちは、藍の名前を叫びながら手拍子を始める。
 そのリズムに乗り、藍は足場を駆け回った。
「♪アスリートの皆様も!」
 アスリートたちが「おおーっ!」と応える。
「♪ダークリーガーの皆様も!」
 ダークリーガーたちが「うおおー!」と雄叫びを上げる。
「♪藍ちゃんくんが応援でっす! ファイト! ファイト! ファイトでっす!」
 すると、明らかに波の音が変化した。藍の歌のリズムで波打ち始めたのだ。
「♪ファイト! ファイト! ファイトでっす! 皆様もー!」
「「「ファイト! ファイト! ファイトでっす!」」」
 会場中を巻き込み、ついでに雲までも天使の翼をかたどり、陽光がスポットライトのように藍に降り注ぐ。
 藍はここからさらにギアを上げる。
 激しくエレギをかき鳴らせば、歓声が沸いた。
「♪ファイト! ファイト! ファイトでっす!」
「「「ファイト! ファイト! ファイトでっす!」」」
 波のリズムに乗せて、雲の翼が羽ばたく。大自然との合同パフォーマンスだ。
 藍は観客を、そしてカメラを指さし、ラストをキメる。
「♪心を込めて歌うのでっす! 皆々様を応援する歌を!」
 パーン!!
 会場の両端からリボンテープと紙ふぶきが発射された。
 雷鳴のような、割れんばかりの拍手。まさに最高のライブだ。
 藍はその拍手に、両手を大きく振って応える。
「お聞きいただきありがとうなのでっすよー! 藍ちゃんくんは皆様を応援しているのでっす!」
 ギザ歯を見せてビッとポーズ。そうしてまた、大勢の観客が藍ちゃんくんに落ちたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月03日


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#アスリートアース
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#バトル・オブ・オリンピア
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#その他スポーツ
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#ウレタンポカポカ大海戦


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト