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クリスマス危機一髪!?

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榎・うさみっち




●12月24日、夜
「これでよし、っと」
 榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は、寝床にしている人間サイズのベッドサイドに、人間サイズよりもでっかい靴下をぶら下げて大きく頷いた。
「今年一年、俺はめちゃくちゃ良い子にしてたからな!」
 自分で言うことか? と思われるかも知れないが、客観的に振り返ってみても今年のうさみっちは実際おとなしかった。宿敵(?)ダークうさみっちという存在が代わりに暴れ回っていたこともあってか、うさみっち本体は確かに『良い子』だったと言えるだろう。
「だから、今年のクリスマスプレゼントはめちゃくちゃすげーモノがもらえるに違いないんだぜ! 俺は詳しいんだ!」
 ぶら下げた大きな靴下は、あくまでも『プレゼントが欲しい』という意思表示。この中に入りきらないサイズのでっかいプレゼントだってウェルカムウェルカム。サンタさんだってそれくらいは察してくれるだろうから。
 猟兵として活躍を始めて早五年、うさみっちもすくすく成長して11歳になった。身長だって遂に20cmの大台に乗った。それでもまだサンタさんのことはガチのマジで信じていた。純粋ピュア……!

 ナイトキャップを被って、人間サイズの枕にぼふっと仰向けに身体を埋めるうさみっち。
 明かりを落とした部屋の天井を仰いで、明日の朝目覚めた時のことに思いを馳せる。
(「今年も夏冬どっちのグリモアマーケットでもちゃんと新刊出したし」)
 神絵師うさみっち先生ともあろうものが、事もあろうにスマホゲーにうつつを抜かして危うく新刊を落としそうになったことは、まあさて置き。
(「そういえば、今使ってる液タブ、そろそろ限界かも知れないんだよな……」)
 枕元に置いてあったら嬉しいもの、その1。新しい液晶タブレット。無論、でっかいの。
(「うさみっちゆたんぽの布教も頑張ったよな、そういえば」)
 結果的に人助けになった、銀の雨降る世界でのちょっぴりほろ苦い思い出。ゆたんぽの布教には成功したが、うさみっちが大好きなお金は一銭も手元に残らなかった。
(「そういえば、最近ろくに探索にも行けてねーし、懐具合がさびしいかも……」)
 枕元に置いてあったら嬉しいもの、その2。現金とかプリペイドカードとかでもいいかなー、なんて。
(「うーん……眠くなってきたぞ……」)
 暗い部屋で大人しくしていたせいか、だんだんまぶたが重くなってきて。
 欲しいものリストはたくさん思い描いておきたいのに、意識がもうろうとしてくる。
(「むにゃむにゃ……」)
 ――スヤァ。
 気がつけば、うさみっちは完全に寝落ちしていた。

●12月24日、深夜
「……ハッ、完全に寝落ちしていたぜ! って、ここはどこだ!?」
 目覚めたのか、そうでないのか。
 夢かうつつかとは、まさにこのこと。
 目を覚ましたはずのうさみっちは、謎の空間に一人放り出されていた。だが、不思議なほどに意識ははっきりしている。どういうことか。
「おい!」
「おい、分かってんだろうな!」
「俺様たちを喚び出したってコトは、それ相応の報酬は用意してあるんだろうな!」
 聞き覚えのある声がした。何なら親の声より聞いた声かも知れない。もっと親の声聞いて!
 てな訳でうさみっちが声の方を振り返れば、そこには案の定、頼れる悪魔ことデビみっちの集団がわらわらと! うさみっちがなまじ強くなったものだから、その数も増えに増えて138体。大所帯になったものです。
「ま、待て! 俺は今特に何も困ってないぞ!? 喚んでもないのにどうして……」
「喚んでない? またまたぁ」
「とにかく、来ちまった以上はきっちり働いていくぜ」
「その代わり、毎度お約束の報酬もきっちりいただいていくがな!」
 何という横暴。いや、暴走か。働かせるも何も、本当に今は特に頼むことがない。
 ――頼むこと?
「まさか……」
「ケケケケケ! そうだよ、俺達こそがサンタクロースの正体だったのさ!」
「靴下なんてぶら下げやがって、めちゃくちゃプレゼント欲しがってるじゃねえか」
「世の中はあくまでもギブアンドテイクよ、良い子にしてた程度で何だってんだ」
 がーん! うさみっちは謎の空間の中でデビみっち軍団に取り囲まれて、衝撃的な台詞を浴びせかけられ、顔面蒼白になった。かわいそう。
「液タブが欲しいってか? じゃあ、サーロインステーキ200グラムだな!」
「当然、一体あたりだからな! 俺達全員分に振る舞ってもらうぜ!」
「ど~しても厳しいってなら、クリスマス休暇を取らせてもらうけどな!」
 サンタクロースが……クリスマスに……休暇……?
 それは、つまり。
「な、なあ、まさかとは思うが、クリスマスプレゼントは……?」
「「「そんなものはねえ!!!」」」
 無慈悲な台詞が謎の空間にこだまする! うさみっちは思わずかぶりを振って頭を抱えた。たれ耳がこの上なくしゅんとなり、青いお目々が潤んでしまう。
「う、嘘だぁ……」
 極悪軍団・デビみっちの群れに囲まれて、うさみっちは遂にぽろぽろと涙をこぼしてしまった。
「誰か……誰か、嘘だって言ってくれえええ!!!」

●12月25日、朝
「ぴゃあああああああ!!!」
 叫び声と共に、うさみっちは今度こそ人間サイズのベッドの上で目を覚ました。周囲を見渡しても、いつもの寝室の光景。謎の空間なんかではなかった。
「ゆ……夢かぁ……」
 夢で良かった。本当に良かった。寝汗がひどい、さっさと顔を洗って着替えて――。
「そ、そうだ! クリスマスプレゼントは!?」
 うさみっちは、ハッとベッドサイドにぶら下げた大きな靴下に視線を向けた。
「……」
 靴下は、ぶら下げた時と同じまま。何も入っている気配はなかった。
「……んん?」
 靴下そのものには何も入っていなかったけれど、枕元に何やら大きな箱が置いてあった。赤と緑のラッピング用紙に包まれたそれは、間違いなくクリスマスプレゼント!
 うさみっちはガバッと箱に取り付くと、夢中になってバリバリと包装紙を破る。そして中から出てきたものは――。

「え、液タブ……!」

 念願の、でっかい液晶ペンタブレットだった。
 良かったね、うさみチャン!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年12月25日


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