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日に日に寒さが厳しくなるこの時期、空は透き通って星がよく見える。
夜空いっぱいに広がる流星群の翌日は、流星群によって落ちたお星さまが大地に転がる。
ぴかぴか光るお星さまを木に飾れば、夜でもまばゆい輝きが楽しめるのだとか――。
「ぷきゅ。ぷーきゅ!」
――そんな話をどこから聞いたのか、陰海月は空中でふよふよ体を揺らめかせて馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)に訴えかける。
「クエクエ。クエッ!」
霹靂もまた、焦げ茶の羽をばたつかせて主張。ばさばさ羽が揺れるたび、羽毛に交じる金が視界の端で輝いた。
「そこまで行きたいなら、行ってみましょうかー」
精一杯訴える陰海月と霹靂に微笑みかけて、義透はゆっくりと立ち上がる。
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そして、流星群の夜が来る。
草原で待っていると、つい、と一条の光が夜空を走り。
「始まりましたねー」
義透が呟く間にも、星々は空を埋めてゆく。
煌めきが走るたび、そこここで歓声が湧き上がる。
「ぷきゅ~!」
「クエクエッ!」
そして、それは陰海月と霹靂も同じ。
声を上げる陰海月の体表と霹靂と瞳にも、流星の輝きが映りこんでいる。流星が映りこんだそれ自体が星の輝きのように輝きを放っていて、この場にいる全員が、きっと夢見るような心地で空を見上げているのだろうと想像できる。
空から地上へ、この輝きは今まさに落ちているのだ――伝承の通り、本当にこの地に落ちているのだと思うと不思議な気分だ。
義透もまた、壮麗な流星群に目を奪われる。
「見事なものですねー」
夜通し瞬く星々に見惚れるうちに、夜は過ぎていく。
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「ぷっきゅ!」
「クエッ!」
過ぎ去った夜が暁に溶けて、陰海月と霹靂は張り切って落ちた星を探しに乗り出す。
「クエエ~!」
霹靂が高いところから草原をぐるりと見渡し、星を見付けると一声鳴く。
「ぷきゅ!」
霹靂の元へ、陰海月と義透が行けば、そこにはキラリと光る『何か』がひとつ。
「これは、何でしょうねー?」
拾い上げて、太陽に透かせてみるが、それは石ともガラスともつかない。
しばし考える義透だが、
「ぷきゅ! ぷーきゅっ!」
「クエクエッ! クエ!」
また別の場所で『何か』を見付けたらしい陰海月と霹靂の声に、思考を中断。
「今行きますよー」
その後も、やる気満々の陰海月と霹靂によって、いくつもの『何か』が見付かった。
「おやまあ、結構落ちてるんですねー?」
流星群の後に『何か』を拾っているのは、義透らだけではない。
周囲でも『何か』を拾い、煌めきにはしゃぐ人々は多い。それでいて義透たちが拾う分もまだまだ残っていて、つくづく昨日の流星群の華やかさを思い知らされる。
「ぷっきゅ!」
「クエッ!」
もくもくと拾い集めるうちに、輝きは義透の手に収まらないほどになっていた。
早朝から拾い始めていたが、太陽も徐々に位置を変えている。
『何か』が拾えるのは昼頃までだと聞くから、そろそろ楽しい催しも終了する頃合いだろう。
「たくさん拾えましたねー」
手の中の『何か』は、日光の下でもほのかに光を放って幻想的。
「本当に綺麗ですねー」
「ぷーきゅ!」
「クエクエッ!」
きらめきを目にして陰海月も霹靂も実に嬉しそう。
木に飾り付ければ、きっと
電飾のごとき輝きになることだろう。
周囲の人々も、それぞれに『何か』の使い道を思い浮かべているのだろう。にこやかに、時にははしゃぎながら会話をする彼らをゆったりと見渡してから、義透は陰海月と霹靂に声をかける。
「さて、私達も行きましょうかー」
「ぷっきゅ~!」
「クエエッ!」
ぴかぴかの輝きを手の中に収めた義透の両隣、陰海月と霹靂は嬉しそうに声を上げるのだった。
成功
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