隠れた翼竜を退治せよ!!
●襲来
水の香りすら嗅ぎ分けれそうな澄んだ空気。草木のこすれる音だけが聞こえる静かな夜。村人は全員寝静まり、朝日を待っている。
そんな長閑な場所を無粋な翼の音が襲う。音の発生源は空高くを飛ぶ翼竜だった。その口元に紅い火がともり……眼下の村は放たれた火の海に沈む。
昼間のように明るくなった村を見下ろし、翼竜は一つ大きな鳴き声を上げてどこかへと飛び去っていく。
●招集
「みんな、集まってるみたいだな」
ラ・メルブリュー(人間の聖者・f04135)が現れ机の上に地図を広げ始める。
「今朝、アックス&ウィザーズのこの村がワイバーン……翼竜だっけ?それに襲われる光景を見た。阻止しなければ確実に起こる未来としてね」
地図を見てほしい、と告げ自分でもその村に指を置く。周囲には草原と小川があるだけの場所だ。
「ここはとても空気の綺麗な場所でね。水も川から直接飲めるぐらい澄んでいるんだ。村の人たちもいい人で、その日に捕れたものをごちそうしてくれたりしてね。これがおいしいんだ」
そこまで言って、ハっとした顔で仕事の話に戻るかと取り繕う。
「問題は、この地図の上では村の周りには何もないことだ。ワイバーンがいる巣が見当たらなかった」
だが、と続ける。
「この方向の」
夢の中でワイバーンが飛び去った方向に指を移動させていき、
「ここ」
ある地点で止める。
「ここに洞窟がある。中は天然の迷路になっていて、地元住人でも深くまで入っていかないような場所だ。広さもワイバーンが入っていけるぐらいはある」
ニヤリとそう見えるよう努力した笑顔を精一杯浮かべてみせる。
「どう考えたって怪しい。みんなにお願いしたいのは、この天然の迷路の探索からワイバーン……翼竜の撃破までだ。この迷宮の先がどうなっているかわからないが、なんとかお願いしたい。みんなにしか出来ないことだ」
胸から下げた方位磁針型のグリモアを撫で、
「俺がみんなを洞窟の近くまで連れて行く。大丈夫だ、安心してくれ。迷ったりしない」
握り込む。指が赤くなるぐらいに力を入れて。
「この長閑な村を救うために、みんなの力を貸してくれ」
FOF
初めてのシナリオとなります。
皆様の冒険の一助になれば幸いです。
●リプレイの傾向
POW まっすぐ突き進む。壁は打ち壊すもの。
SPD 右手法も速く行動すれば最短になりえる。
WIZ スーパー棒倒し(明記していただければ風の流れを掴んだり、洞窟の角度から出口を計算するなどに変更いたします)
●合わせプレイングについて
「特定の誰かと」「見知らぬ誰かと」「同じ旅団の人と」「フレンド同士」など、不特定の相手を指定してプレイングを書くことも可能です。
第1章 冒険
『ラビリンス』
|
POW : 力こそ正義、歩いたとこが道である
SPD : 片っ端からしらみ潰しに探索すれば何れは正解にたどり着く
WIZ : 迷ってなんて居られるか!不思議な力で突破する!
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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「面倒くさいからじゃないよ?本当だよ?信じて?」
「わーってるわーってる。まっすぐいくのが一番速いからだもんな」
「ワタシも早く竜に会いたいですし、行きましょう行きましょう」
ノルン・ホルダー(銀狼の冒険者・f01940)の弁明をグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は軽く受け止め、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は自分の願いを優先した。
眼の前には壁がある。ノルンが追跡術と地形の観察をした結果、遠い遠い遠回りの先の道がこの先に繋がっているようだ。だが、目の前にあるのは分厚い分厚い壁。
それでも三人の目は前しか見ておらず。
「さてと。掘りますよー」
気分を入れ替えたノルンが宣言すれば、
「おうさ!!」
「やりますとも」
応える2つの声。見ればグァーネッツォは【アースジャイアント】を既に呼び出していて、黒玻璃は爪を黒竜のものへと変じさせていた。
グァーネッツォは自らのトンネル掘りの経験で安全確保をしながら【アースジャイアント】の大きな体で邪魔な岩をどけたり、他の二人では届かないような場所を崩している。
黒玻璃は【黒竜の恩寵】で黒竜の毒を放ち、本来硬いはずの部分を脆くさせていく。そこに持ち前の怪力と鎧を砕くような一撃で進んでいく。
ノルンは力を溜め、念動力と衝撃波による二連撃で文字通り掘削していく。岩などの邪魔するものがないその一撃は、深く大きく穴を広げていく。
硬い部分を脆くし、穴を広げ、安全を確保。三人の中で自然と役割分担が行われ、効率的に動いていく。
その速度は目を見張るものがあり、三人ともやればやるだけ掘り進めていけることにますます速度があがっていく。
「結構がしがし掘り進めていけるねー。ボク、もっと時間かかると思ってたよー」
「オレがいるんだぞ!トンネル掘りなら任しておけ!!」
「竜を狩るためにえんやーこーらえんやーこーら」
喋りながらでも手は止まらず、どんどんとトンネルの掘削作業を続けていく。
黒玻璃が脆くした石をノルンが二連撃で掘り抜いたとき、それは起こった。しかしそれが起こる直前に、
「「退避!!」」
ノルンと黒玻璃が同時に叫んで、掘り始めた地点まで全力で走り始めた。マズい。何かが起こる。それが何かまでは解らない。だが何かが起きると、第六感が囁いていた。
グァーネッツォは安全確保のために【アースジャイアント】に岩を運ばせていたのが幸いした。二人はグァーネッツォを抱えあげて退避していく。
「な、なにすんだ!?」
後ろ向きに抱えられたグァーネッツォが見たのは前方の壁がこちら側に崩れてくる光景だった。
【アースジャイアント】はグァーネッツォの行動をトレースする。抱え上げられているだけでは何もできない。だが、グァーネッツォは抱えられているだけの人間ではなかった。
「おおおおおおおおおっっっ!!!」
気合の咆哮。走るのに支障をきたさないギリギリで思いっきり腕を振り上げ、振り下ろした。【アースジャイアント】はその動きを忠実にトレースし、捨て身の一撃を土砂に繰り出す。
その一撃は確かに土砂の一部を弾き飛ばし……残りの部分に飲まれていった。
しかし、その間に三人は穴を開けた場所まで走り抜け、迫りくる音がなくなったのを確認して油断なく向き直る。
崩れてきた土砂は、足元数cmまで来ていた。【アースジャイアント】の一撃と身を呈した盾がなかったら危なかったかもしれない。
「危なかったー……」
「間一髪でしたね」
「あ、ありがとよ」
グァーネッツォのお礼に二人して笑顔で応える。しかし穴はこれで塞がってしまったのかと確認してみれば、
「あ、向こう側まで開いてるねー。最後の壁が崩れてきたみたいー」
「やりましたやりました。これで翼竜に一歩近づきましたよ」
「やっぱこういうのは開放感が違うな!テンションあがってくるぜ!」
【アースジャイアント】が通れるぐらいまでの高さを開けていたおかげか、穴は完全に埋まりきっていない。中腰で通れるぐらいの空間が向こう側まで開通しているのが見えた。
そのことに三者三様に嬉しさを表しながら、意気揚々と進んでいく。
そして、
「「「ぬけたー!」」」
と喜ぶのだった。
ノルン・ホルダー
POW重視でまっすぐ突き進むよ。
近隣の村の人たちのためにも、早めに
ワイバーンも退治しないといけないからね。
決して、迷宮が面倒くさいとかじゃないよ?
大事な事だから、もう一度言うけど、面倒くさい
とかじゃないからね?信じて?って、誰に
言ってるんだろう?まぁいいか。
壁を破壊して、どんどん進んでいくよー。
黒玻璃・ミコ
◆心情
竜種を狩るまたとない機会です
万事が抜かりないように戦いに挑むとしましょう
◆行動
【POW】で判定を
男は度胸、女は愛嬌と言います
道は通った後に作られるものです。
【怪力】を活かし【気合い】を込めて
壁の脆そうなところをえぃ、やぁと【鎧砕き】の要領で破壊しながら
真っ直ぐに突き進むとしましょう。
何となく普通よりも疲れが増しそうな気もしますが
そんな時は【生命吸収】使って大地の恵みを取り入れながら
他の方にお任せして休憩しますよ、うふふふ
【第六感】に訴えかけるものがあったら
近くの方々に警告を発するのも忘れずに、です
◆補足
見知らぬ他の猟兵の方々との絡みも大歓迎です
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
迷宮や迷路が何故面倒なのか?
理由は幾つもあるが、まず行き止まりが悪い
目的地ではないと分かっているのに引き返す必要があり
行き止まりまでに進んだ時間も、戻るまでの時間も無駄になってしまう
だがオレは行き止まりにあたろうとも、
オレの【トンネル掘り】技能とユーベルコード『アースジャイアント』を組み合わせて、
オレ自身の筋力と大地の巨人のタッグで掘って掘って掘り進むぜ!
もちろん闇雲には掘っても意味がない
ワイバーンが通れなさそうな狭い道には進まず、
ある程度広い道を進み、行き止まりなら壁や洞窟を掘っていくぜ
さらに大型生物の気配や痕跡があればそれを元に
ワイバーンがいそうな方角を予測して洞窟を掘るぜ
「面倒くさいからじゃないよ?本当だよ?信じて?」
「わーってるわーってる。まっすぐいくのが一番速いからだもんな」
「ワタシも早く竜に会いたいですし、行きましょう行きましょう」
ノルン・ホルダー(銀狼の冒険者・f01940)の弁明をグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は軽く受け止め、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は自分の願いを優先した。
眼の前には壁がある。ノルンが追跡術と地形の観察をした結果、遠い遠い遠回りの先の道がこの先に繋がっているようだ。だが、目の前にあるのは分厚い分厚い壁。
それでも三人の目は前しか見ておらず。
「さてと。掘りますよー」
気分を入れ替えたノルンが宣言すれば、
「おうさ!!」
「やりますとも」
応える2つの声。見ればグァーネッツォは【アースジャイアント】を既に呼び出していて、黒玻璃は爪を黒竜のものへと変じさせていた。
グァーネッツォは自らのトンネル掘りの経験で安全確保をしながら【アースジャイアント】の大きな体で邪魔な岩をどけたり、他の二人では届かないような場所を崩している。
黒玻璃は【黒竜の恩寵】で黒竜の毒を放ち、本来硬いはずの部分を脆くさせていく。そこに持ち前の怪力と鎧を砕くような一撃で進んでいく。
ノルンは力を溜め、念動力と衝撃波による二連撃で文字通り掘削していく。岩などの邪魔するものがないその一撃は、深く大きく穴を広げていく。
硬い部分を脆くし、穴を広げ、安全を確保。三人の中で自然と役割分担が行われ、効率的に動いていく。
その速度は目を見張るものがあり、三人ともやればやるだけ掘り進めていけることにますます速度があがっていく。
「結構がしがし掘り進めていけるねー。ボク、もっと時間かかると思ってたよー」
「オレがいるんだぞ!トンネル掘りなら任しておけ!!」
「竜を狩るためにえんやーこーらえんやーこーら」
喋りながらでも手は止まらず、どんどんとトンネルの掘削作業を続けていく。
黒玻璃が脆くした石をノルンが二連撃で掘り抜いたとき、それは起こった。しかしそれが起こる直前に、
「「退避!!」」
ノルンと黒玻璃が同時に叫んで、掘り始めた地点まで全力で走り始めた。マズい。何かが起こる。それが何かまでは解らない。だが何かが起きると、第六感が囁いていた。
グァーネッツォは安全確保のために【アースジャイアント】に岩を運ばせていたのが幸いした。二人はグァーネッツォを抱えあげて退避していく。
「な、なにすんだ!?」
後ろ向きに抱えられたグァーネッツォが見たのは前方の壁がこちら側に崩れてくる光景だった。
【アースジャイアント】はグァーネッツォの行動をトレースする。抱え上げられているだけでは何もできない。だが、グァーネッツォは抱えられているだけの人間ではなかった。
「おおおおおおおおおっっっ!!!」
気合の咆哮。走るのに支障をきたさないギリギリで思いっきり腕を振り上げ、振り下ろした。【アースジャイアント】はその動きを忠実にトレースし、捨て身の一撃を土砂に繰り出す。
その一撃は確かに土砂の一部を弾き飛ばし……残りの部分に飲まれていった。
しかし、その間に三人は穴を開けた場所まで走り抜け、迫りくる音がなくなったのを確認して油断なく向き直る。
崩れてきた土砂は、足元数cmまで来ていた。【アースジャイアント】の一撃と身を呈した盾がなかったら危なかったかもしれない。
「危なかったー……」
「間一髪でしたね」
「あ、ありがとよ」
グァーネッツォのお礼に二人して笑顔で応える。しかし穴はこれで塞がってしまったのかと確認してみれば、
「あ、向こう側まで開いてるねー。最後の壁が崩れてきたみたいー」
「やりましたやりました。これで翼竜に一歩近づきましたよ」
「やっぱこういうのは開放感が違うな!テンションあがってくるぜ!」
【アースジャイアント】が通れるぐらいまでの高さを開けていたおかげか、穴は完全に埋まりきっていない。中腰で通れるぐらいの空間が向こう側まで開通しているのが見えた。
そのことに三者三様に嬉しさを表しながら、意気揚々と進んでいく。
そして、
「「「ぬけたー!」」」
と喜ぶのだった。
成功
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茲乃摘・七曜
心情
洞窟の探索ですか準備は怠らないように致しましょう
行動
洞窟の床に足跡や爪痕がないかを確認しつつ捜索
※持ち込んだ獲物の血や残骸が転がっていないかも確認
「洞窟内を飛んで移動しているなら飛行経路の部分だけ砂利や石が吹き飛ばされて綺麗になっている可能性もありそうですね
迷子対策
分かれ道がある場合、侵入前にザイルなどを打ちつけるなどして目印をつけロープを這わすなどし探索状況が明確になるように行動
「翼竜に気が付かれないように仕掛けないといけませんね
準備
洞窟探索に必要になるカンテラやロープ、ザイル等の一式を可能なら村で調達
回復
長期の探索で溜まる疲労を【シンフォニック・キュア】を優しく歌い上げ仲間を回復させる
キアロ・マジェスタス
竜殺し、しかも天然の迷宮ときたか、面白い!
実に浪漫ある任務であるな!
必ずや翼竜を見つけ出して討伐してみせよう!
【SPD】
我輩は迅速に、かつ堅実に踏破を目指すのである
他の猟兵とも協力したいところであるな
洞窟内は枝分かれしているかもしれぬ
いざとなれば右手法を使うが、効率的に行けると良い
翼竜は大きいゆえ、基本的に太い道で間違いはないと思うのだが
『地形の利用』で迅速に進み
『追跡』と『第六感』を駆使して翼竜の痕跡を追うのである
翼竜が居るなら物音を立てるのではないか?
要所で『聞き耳』を使ってみるのである
【翼ある者】を使う機会は少なそうであるが
翼竜が潜むほどの洞窟である
広場や竪穴などあれば飛んで探ってみよう
ルビィ・リオネッタ
これがその巣がある洞窟ね?
面白そうじゃない
盗賊の魂が疼くような気がするわ
暗視は役に立つはずね
灯かりを持つにしても、夜目が利いた方が細かい所まで見逃さないもの
ワイバーンがここを日常的に通っているなら、鋭い爪で地面を掻いたかもしれないわね
地面に傷や鱗、獲物の血が残ってないか調べましょう
転がっている石がここだけ端に除けられてる…なんて事もあるかもしれないわね
妖精の翅で飛んで壁や天井に鱗や擦れた跡が無いかも見てみるわ。石筍があれば折れてるかもね
妙な音が聞こえないか時々聞き耳を立ててみる
そうそう、帰り道が判るように目印もつけておこっかな
「倒したはいいけど帰れない…なんてことになったら、笑えないもの」
茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)は最初に念入りに道具を準備するところから始めた。暗闇を照らすことのできるカンテラ。命綱のロープ。目印にもなるザイル。
キアロ・マジェスタス(オラトリオの人形遣い・f05344)としてはなるべく早く行きたくもあったが、堅実な方を優先し一緒に頑丈さの確認や使いやすいようにいくつかに分けていく。
ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺者・f01944)は更にそれを細かくわけ、自分が持ちやすいようにと加工していく。敵に見つからないように隠れた、かつ自分たちからは見やすい位置に目印をうつときに使うからだ。
程なくして、
「道具の準備は出来ました。行きましょう」
全ての準備が終わったので立ち上がり声をかける茲乃摘。
「うむ!疾く速く進むのである!」
「アンタが最後よ。ほら、行くわよ」
尊大に返すキアロと勝ち気ながらも面倒見のよさからか置いていくなんてことはしないルビィ。
道具の提案は茲乃摘からだったので、一番量が多く時間がかかるのも仕方のないことだったというのはルビィもわかっているのだ。
洞窟に入ってからは茲乃摘とキアロがワイバーンが通った痕跡を見つけて、追跡していく。それは翼が壁に擦れた後、通った際に起きた風で掃除された道、時折地面に残された爪で引っ掻いた後などなど。
カンテラで周囲を照らし、それでも見えない部分だったりはルビィが飛んで近寄り暗視で確認していく。
時折現れる分かれ道も、ザイルで目印を作り来た道だということをわかりやすくしておくのも忘れない。
「しかし貴殿よ。飛ぶよりも私達が運んだほうが速いと思うであるが」
「ハァ!?ちょっと大きいからって舐めないでよね!?アンタたちとそんなに速さ変わらないし、だーれが目印つけてると思ってんのよ!」
「まぁまぁ、落ち着いてください。キアロさんも悪気があったわけではないですし」
キアロの軽い提案に威勢よく言い返すルビィ。そしてそれを鎮める茲乃摘。この探索中に幾度か繰り返した光景だ。
いつもはそれで終わり。だが今回は、
(そうしてもらったほうが楽することが出来たかもしれない)
と思案げな顔をするルビィが見れた。だが、プライドのほうが勝った用で邪念を振り払った。
そんな話をしながらも痕跡を見落とすことはなく進んでいく。
そうして、今までのや行き止まりとは比べ物にならないほどの大広間、とでも言うべき場所にでた。
「ここが目的地……というわけでもなさそうであるな」
ぐるりと周囲を見渡してみれば、そこら中に大きな穴が口を開けている。そのどれもが、翼竜が痕跡を残せないぐらい広いのだ。
「どうしましょうか……」
キアロが【翼ある者】で、壁の途中にある穴の中を覗いてみるも先が見通せないぐらいに深い。
一度3人で中央に集合し、茲乃摘の歌声によって起こる【シンフォニック・キュア】で疲労回復に務める。
しばらくそうした後、
「さて、どうするであるか」
キアロが口火を切る。頭の中では既に右手法を使って行くことも考えてはいるが、いかんせん効率的ではない。最後の手段にしておきたかった。
「これだけ数が多いと時間や疲労もあるでしょうし……」
茲乃摘は懸念材料を口にする。いくら歌声で癒せると言っても疲労は積み重なるものだし、精神にも来る。その状態で今までのように完璧な追跡ができるかどうか。
そして今までずっと黙っていたルビィは何かに集中するように目を閉じた。
「貴殿はどうしたのだ?どこか悪いのであるか」
「しっ、黙って」
静寂の戻った広場の中央で、空中を漂いながらルビィは何かに集中し続ける。
そしてフラフラと穴に近づいていく。それをなんとなしに追うキアロと茲乃摘。
ルビィは穴の前で止まり、しばらくして次へ行くというのを何回か繰り返した後に、
「ここ。この穴の先にいる」
確信をもって告げた。
「何か、理由はあるのですか?」
茲乃摘が問えば、ルビィが答える。
「この穴の先からだけ、音がする。竜の出す音かどうかまではわからないけど、他は音が全然しないから行き止まりよ」
二人もルビィにならって聞き耳を立ててみるも確信は得られない。だが、他に何か有力な情報もないのだ。三人は顔を合わせて頷き、その穴の中へと突入していった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『遺跡探索』
|
POW : モンスターを力でねじ伏せる.罠を破壊する.攻撃から仲間を庇う等
SPD : モンスターを速度で翻弄.罠を解除する.隙をついて味方を援護する等
WIZ : モンスターを魔法で攻撃.罠、宝を探知する.傷ついた仲間の回復等
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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グァーネッツォ・リトゥルスムィス
天然の洞窟だけだと思っていたから
まさか人工物の遺跡があるなんてびっくりしたぞ!
だが村を滅ぼそうとする翼竜を討つまでは他の敵も罠もぶっ倒す!
敵意ある存在や罠に先手を取られないよう野生の勘を働かせて
敵や罠が襲いかかったらグラウンドクラッシャーで手痛い一撃を与えたり
罠が壊れる様に地形を破壊しちまうぜ
あ、今度は壊した地形に巻き込まれない気をつけたり
逆に狙えるなら壊れる地形を利用して敵にだけ被害与えちまうぜ
他猟兵とも積極的に報連相して翼竜を探すぞ
オレは頑丈さも取り柄だから、万が一仲間に危機が迫ったら
敵や罠に捨て身の一撃を叩き込んででも仲間を庇うぞ
後は会話が通じる敵には翼竜がどこにいるか吐かせてみるぞ
ルビィ・リオネッタ
ここは遺跡かしら?
どんなモンスターや罠があってどんな地形なのか分からないわね
本命の敵の前に消耗は避けたいもの
仲間と協力して慎重に進んでみましょう
「ワイバーンはどこにいるのかしら…このモンスターが守っているのかな?」
隠密の力(目立たない・暗視・聞き耳)で先頭を行きつつ探知してみるわ
相手より早く発見すればマヒ攻撃や暗殺で無力化できるかもね
高低差のある場所ならアタシの飛行能力が役に立つはずよ
戦闘が始まったら優先順位をつけて対応するわ
増援を呼ぶ敵>遠距離攻撃の敵>近距離戦の苦手な味方を狙う敵
シーブズ・ギャンビットで素早く対応
早業にフェイント、見切りを織り交ぜて戦うわ
「ふふ、小さくても役に立つでしょ♪」
キアロ・マジェスタス
【SPD】
ふむ、景色が変わったようだ
いよいよ飛竜の巣に突入したか?
なお一層迅速に、かつ慎重に進むのである
『追跡』や『聞き耳』で飛竜の痕跡や気配を探りながら奥へ進んでゆく
危険物や罠は『鍵開け』で解除を試みたいものだ
仲間の猟兵とはできるだけ協力するのである
何が起きるかわからぬし、同じ罠にかかるのもナンセンスであるからな
敵出現時は速度を活かし、敵を翻弄する戦いを旨とするのである
『地形の利用』を行い『ダッシュ』や『ジャンプ』『スライディング』を駆使
側背から『フェイント』を織り交ぜ悪魔医師人形と蹴りの攻撃を加えてやるのだ
集団の場合は敵を誘導し、集まったところへ【花の名は無情】を食らわせてやるのである!
ユト・リーィング
周りの冒険者と協力する。
周りを警戒し、戦闘になるのを見越して【 力溜め】をしておく。
戦闘になれば率先して前に出る。
力こそ防御、攻撃こそ防御なりの精神で【 串刺し】にしたり【 怪力】で串刺しにしたまま他の敵を半分に切りつけたり、大剣を自在に操る。
ひと段落、または休憩時は皆で一息つく【 救護】を行う。
自分の回復は基本的に後回しにして周りの怪我が多いものから【 応急処置】していく。
若い子(自分より下)なら「わけぇからって無茶すんなよ?」
と笑いかけながら周りに気を配る騎士道精神で任務を進行するためには協力は惜しまない。
黒玻璃・ミコ
◆心情
本命のワイバーンはまだですかね
ミコさんは張り切っちゃいますよー
ラビリンスとは元々両刃の斧をも意味しています
つまり力押しすれば刃が敵にザクっとなるのです
◆行動
【POW】で判定です
【黒竜の恩寵】で攻撃力を強化した上で
罠があろうとも【怪力】と【鎧砕き】で
力付くで破壊しワイバーンの元へと向かいましょう
もしも道中に雑魚敵が現れたのならば
他の方々が万全に戦える様に仲間を【かばう】様に動いたり
【おびき寄せ】て私が壁となりましょうか
敵の数が多い場合は【範囲攻撃】と【生命吸収】を使い
攻撃と同時に傷も癒しながら愛用の得物で【串刺し】にしていきますよ、うふふふ
◆補足
見知らぬ方々との絡みも大歓迎
天然の迷宮を抜けた先に見えたのは人工物の遺跡だった。壁は明らかに侵入を妨げる意思を持って作られ、見える範囲だけでもいくつかの白骨死体がある。死体には斬られたモノ、粉々にされたモノ、傷のないモノ、様々でこの遺跡には敵以外にも罠があると嫌でも理解させられた。
「まーさかこんな遺跡があるなんてなあ」
グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)の口から驚きとともに言葉がこぼれ落ちる。
「でもさー、こっからワイバーンはどこに行ったのよ。どこにもそんな道ないんだけど。上も塞がってるのよ?」
ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺者・f01944)が声を上げる。ワイバーンが一々謎解きをして帰っていくわけがない。
「恐らくであるが、力任せに壁を壊しながらまっすぐ帰っているのであるな。見ろ、骨の一部が壁に挟まっているのである」
キアロ・マジェスタス(オラトリオの人形遣い・f05344)が目敏く痕跡を見つける。
「だが、壁が壊れてないのはどういうことだ?ワイバーンが通ったなら一本道ぐらい出来てるはずだが」
ユト・リーィング(妖狐の剣豪・f00959)も疑問の声をあげる。壁はところどころ欠けたりはしているが穴なんてどこにも空いてない。
と、それまで黙っていた黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)がやおら腕を振り上げて
「どーん」
と壁を目一杯の力で殴りつけた。掛け声こそ可愛らしかったが、その一撃はまだワイバーンの巣につかないイライラが詰まっていて轟音を響かせた。
壁は一瞬で崩れ、その先を覗かせる。地面に積み重なった死体が見えた。だが
「直ってしまいました」
壁は時間を巻き戻したかのように再生し、また立ちはだかる。
骨が挟まっている理由も、ワイバーンが通っても以前壁がある理由がこれだった。
「何で壁が直るんだ……。けどこれなら壊して壊して最短ルートで行けるんじゃね?」
「やめたほうがいいだろう。さっき壁の先が見えたときに地面に死体が大量にあった。恐らく床の罠でも踏んだんだろうな。壁が直るまでの時間に突破しようとすれば罠に引っかかりかねん」
グァーネッツォの提案をユトが安全面から諌める。
「焦って倒れてしまってはワイバーンも倒せませんですし」
「うむ、遠回りこそが一番の近道である」
「罠とか見つけるのはアタシに任せなさい」
各々もそれに応え、遺跡攻略への第一歩を踏み出した。
ワイバーンが残した痕跡を頼りに先へと進んでいく一同の前に一つの部屋が立ちふさがった。そこの扉にはWの文字が書いてあった。扉自体には罠がないことを確認し開けば
「最初の部屋がこれですかー」
ミコがつぶやき、あたりを見回す。
四方の壁にボタンがあり、それぞれ1、2、3、4と書いてあるこじんまりとした部屋。
「まあ、大体何をすればいいかはわかりますねー」
「順番に押せ、ということであろう」
「ちょっと拍子抜けかも。もっとすごいの来るかと思ったのに」
一人一つずつボタンの前に着こうとして、グァーネッツォだけが一歩下がった。
「どうした?グァーネッツォ嬢」
「気にすんな。いいからさっさと押してくれよ」
ユトの疑問の声にも理由は言わず。首をかしげながらも、ユトは胸元ほどの高さにあった1と書かれたボタンに手をあてて、察した。
(いや待て。ここでこれを言ってしまってはグァーネッツォ嬢の機嫌を損ねるだろう。それは騎士道に反する!)
ぐっと言葉を飲み込んだユトを他の3人が不思議そうに見る。ユトが押さなければ他も押せないのだ。
何事もなかったようにユトは1を押し、キアロ、ミコも続けて押していく。ルビィはふわふわと浮かびながら全身を使ってボタンを押し込んだとき、壁の一部が地響きとともに横に移動して道が開けていった。
「よっし!さっさと次行こうぜ!」
グァーネッツォが一番に先の部屋へと走っていった。
だがそこにはボタンの数が増えた同じような部屋が待っていた。
違いといえば、全てのボタンに1と書いてあることだけだ。
「……あー、次は同時に押せ、ということであるかね」
「全部同じ番号ですし、きっとそうだと思います」
「気にしない気にしないグァーネッツォ。いろんな部屋があるはずだし、そのときに力を借りるわ」
キアロもグァーネッツォがなぜ一歩引いたかに気づいたが、身体的な面に突っ込むのは良くないなと常識的に判断し、ミコはワイバーン一直線の思考だった。面倒見のいいルビィが具体的には触れずにフォローする。
「……速く次の部屋行こうぜ」
鬼気迫る声になってきたグァーネッツォに押され、すぐにボタンが同時に押される。
またも壁が移動し、次の部屋が現れる。
無言で移動したグァーネッツォが見たものは、壁一面を埋め尽くした1と書かれたボタンだった。
他のメンバーも思わず苦い顔をする。
「……これを同時に押せっていうのか?」
「文字通り、手が足りん」
「何これ気持ち悪い」
「これは、どうしましょうか……」
ただキアロだけが違った。
「くっくっく、はーっはっはっは!!」
突然の笑い声。どうしたのかと視線を向ければ
「貴殿たちは下がっているのである!!この部屋は吾輩一人で十分である!!」
思わず目を剥くその言葉に、ルビィが声を上げる。
「ちょっと!一人でなんとかなるもんじゃないでしょ!?年下なのに見栄張りすぎよ!!」
「我輩、これでも24なのだが?」
「うっそでしょ!?」
外見から年下に見ていたルビィだったが、思わぬ年齢差にそっちに意識を持っていかれる。見ればミコも衝撃を受けていた。同い年ぐらいだと思っていた人物と一回り近く年齢が離れていたのだ。
「あ、あー……一応警戒はしとくぞ」
この場における最年長ユトが若干歯切れ悪く返す。
「うむ、任せるのである!」
全員が警戒に入り、離れたのを確認したキアロはおもむろに謳い上げる。
「『馨らず、実らず、其の花は偽り
身につけていた靴、常に傍らにあったペストマスクをつけた人形が解けるように紫陽花の花弁に変わり
然れど怨敵を切り裂く刃なり!』」
一斉に全てのボタンへと突き立った。
「綺麗な技を使いますねぇ」
「うむ!正に我輩にふさわしい技である!」
ミコの賛辞に気分を良くするキアロ。
またも壁が開き、今度は廊下へと続いているのが見える。
「もうこの部屋は終わりみたいだし、先に行きましょ」
ルビィの言葉に頷き、全員がその部屋を後にした
「そういえばよお」
「どうしましたか?」
グァーネッツォの声にミコが反応する。
「壁は自動的になおんのに、地面はそのままなんだなって」
歩いてきた道を見れば、ところどころに亀裂が走っていたり、陥没しているのが見える。
「ああ、そりゃ地面に罠があるからだ。トラップ仕掛けてるのに地面が直ってトラップ不発、とか意味がないだろ?」
「なおるのもそこまで便利じゃないってことね」
「そういうことであるな」
そんな話をしていれば、いつの間にか次の部屋の前まで来ていた。その扉にはPのマークが描かれている。
「さーて、次は何が出てくるんだっと!」
勢いよく扉を開ける。
見えてきたのは小部屋に既に開けられている次への出口。そして床に積み上げられた死体。
「いかにも罠って風情だが……」
「石でも投げてみましょうか」
言うや否や、落ちていた小石を投げるミコ。部屋の中に落ちたそれは、カツンコツンと軽い音をたてるだけで何も起きない。
「全員で入ってみるであるか。分ける理由もないである」
「そうね。分断されちゃたまらないわ」
そうして一斉に部屋内に入った瞬間、入り口と出口の両方から骨で出来た戦士が大量に襲いかかってきた!
「ちぃ!こういう罠だったか!」
「大丈夫です!!馬鹿正直に入り口と出口から来ていますから!!狭い場所で戦えば数の差はでません!!『■□◇◆……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜よ!』」
冒涜的な祝詞を唱えたミコは皮膚を黒竜の鱗へと変えながら、自分の持っている拠点防衛の知識からすぐに敵を中に入れさせないように構える。
ユトもそれを聞いて、即座にミコとは逆方向を抑えにかかる。
「普通なら一人しか戦えないであるが、我輩ならばできるのである!」
「アンタだけじゃないわよ!小さくても役に立つんだから!」
キアロは再び武器を花弁に変えミコの頭上を通して骸骨の戦士を切り刻み、ルビィは 体の小ささを生かしてユトの股下を潜り抜けヒット・アンド・アウェイを駆使して削っていく。
(チクショウ!!なにやってんだオレは!?)
グァーネッツォは拳を握りしめる。
(今の今まで何もできちゃあいない……!)
悔しさが滲む。強者との戦いを望み、平和こそがそれを育むと信じ猟兵になった。なのに此処では足手まといにすらなっていない現実に、涙がこぼれそうになる。
ミコは器用にも骸骨を貫きながら生命力を奪い、その身を盾に部屋の中には入れさせまいとしている。
キアロは花弁でミコの隙間を抜いてこようとする外国を刻んでいる。
ユトは大剣を使いこなし、狭い場所でありながら近づく敵を切り伏せている。
ルビィはその身のこなしでもって目にも止まらぬ速度で飛び回り、足や腕を切り落としている。
(オレは……!オレは
……!!)
思わず俯く。パラパラと土埃だけが頭に降り注ぐだけだった。
だが、その光景には、覚えがあった。自信の野生染みた勘も、そう告げている。
「みんな!ちょっとでいい!敵を押し返してこっちにこい!」
応じる言葉はなかったが、行動で示された。
ミコは毒の息で敵の動きを鈍らせ、敵をつっかえさせる。
ユトは肩からの体当たりで敵を怯ませて飛び退る。ルビィも一緒だ。
説明している時間はなかった。
「せえええええりゃああああああああああ!!!」
気合一閃。武器を地面に叩きつける。地面はあっけなく砕け、ぽっかりと空いた空間に全員を飲み込んだ。
そして同時に、二重の罠であった吊り天井が降ってきた。だがそれは穴の奥までは届かず。骸骨たちも蓋をされた状態では手の出しようもなく。骸骨たちが上に乗っているせいで蓋を巻き上げることも出来ず。
即興の安全地帯を確保したのだった。
「ありがとうございましたグァーネッツォさん。あのままではペチャンコでした」
「よくやったのである!」
「大活躍だったじゃない」
口々に褒められるのに思わず照れ笑いを浮かべるグァーネッツォ。
「まったく。わけぇからって無茶すんなよ?」
助かったがな、と付け加えるユト。その身を盾にしていたミコや地面を砕いたときの破片で傷を負ったグァーネッツォに簡易的な治療を施しながら笑って言う。
ルビィはその言葉に思わず
(もしかしてコイツも実は相当若かったりするの?)
などと考えるが
「どっこいしょ」
というユトの思わず出たといった言葉にその考えをかき消した。口には出さないが、おっさんだ。
「でも、こっからどうするよ」
十分に体力を回復したところで、グァーネッツォが神妙に問う。上は塞がれた。横に掘ろうにも水攻めの罠があってここに水が流れ込んできてはことだ。
上から骸骨はいなくなったみたいだが、蓋が巻き上げられるかどうかは解らない。
「ああ、大丈夫だ。任せておけ」
ユトは安心させるように気負いなく呟き大剣を構え、上に突き上げた。力を溜めたその剣は天井をあっさりと貫通し、膂力と技術の一致によって一部を残したまま円形に切り抜いた。
それを見ていたミコは自分が何をすればいいか悟り、言われる前に動いた。渾身の力を持って円の部分を殴りぬいたのである。
一部だけ残されていた部分がねじ曲がり、蓋に新しい出入り口を作り上げたのだ。
「剣が上手なのですね」
「まだまだ修行中だがな。それにミコ嬢の力にも驚かされている」
決して驕らないユトの返しにミコの口元が緩む。
穴からはユトが最初に出た。婦女子の体を下から覗くものではないという騎士道精神のために。
ミコとキアロは自力で登り、ルビィは浮かび、グァーネッツォはミコの力を借りて外に出た。ユトは手伝おうとしたが、グァーネッツォの服装を鑑みてやめておいた。
全員が小部屋から出て、通路を進んだその先で。
とうとうワイバーンの姿を視認した。
大成功
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七篠・コガネ
●POW
洞窟の中に入るのは初めてです…
僕の背丈でも大丈夫そうでしょうか
とにかくワイバーンとやら、見つけないとですね
洞窟探検…ちょっと楽しそうとか思ってない、ですよ
体の大きさを活かして
モンスターの注意をこちらへ向けてみます
装備武器のパイルバンカーを威嚇がてら向けてみますが
この世界のモンスターは僕のコレが武器だと
認識できるんでしょうかね…?
襲ってきたら【武器受け】を駆使してこちらも反撃します
洞窟内の怪しげな箇所を発見したら【怪力】で
大き目な岩石でもぶん投げてぶつけてみます
べ、別にぶつけるとどーなるんだろうとか
ちょっとワクワクしてる訳では…ないです…ほ、本当ですよ?
「ちょっと余裕があるのは嬉しいよね」
自身の巨体が通れるぐらい広い通路であることに感謝する七篠・コガネ(優しい向日葵はどこ行くの?・f01385)。
何か怪しいところはないかと観察しながら歩いていく。
「こういう場所って僕が入れないことが多いから、どんな風になってるのか楽しみなんだよね」
怪しいところの観察のはずだ。観光とかではないだろう。きっと。
「ワイバーンはどこにいるのかな」
時々見つける罠は全部小規模だったので、岩をぶつけて壊していく。生命体は愛しているが罠とか生命体でないものには容赦しない。
しばらく歩き回っていると、人影を見つけた。
「あ!あのー……ええっとー……こ、こんばんは?」
見つけた嬉しさからか思わず話かける。が、こんなときにどう話せばいいのか解らないお年頃。とりあえず挨拶などしてみた。
人影は反応を見せない。声が小さかったかなと近づいていくコガネ。人影からハッキリとした人に見える距離まで近づく。相手はコートを着て、背を向けている。
「こ、こんばんはー……」
まだ反応を見せない。もっと近づいてみるしかないだろう。
そして先程よりも大きな声で挨拶しよう。
そう決心して近づいていく。
手が触れる距離まで来た。
「こ、こ、こんばんは!」
ちょっとどもりながらだが、大きな声で挨拶する。相手がゆっくりと振り向く。気づいてくれたようだ。
振り向いたその顔は爛れ、服でわからなかったがそもそも胸から下が無く伽藍堂で、上下が離れていた。ゾンビだった。
「あーーーーーー
!!!???」
思わず甲高い、ちょっと割れた声を出してしまった。逆にゾンビはうめき声すらあげずに襲いかかってくる。見れば喉はパックリと割れ、声を出す場所など存在しなかった。
「武器!これ武器!!近づいたら撃ちますよ!?」
パイルバンカーを構え必死に威嚇する。だがゾンビは意に介さない。胴体で繋がっていないにも関わらず、足を前に出せば体も一緒に前に出ている。
そのまま掴みかかってくるのを武器で受ける。力の無いゾンビのようで、傷一つつけられてはいない。
だが、爪が割れても、指があらぬ方向に曲がっても、まるで気にせず襲いかかってくるのには恐怖と同時におぞましさを掻き立てる。
「や、やめてください!」
覚悟を決めてパイルバンカーを撃った。次の瞬間火薬の破裂する爆音が響き、杭が勢いよく打ち出される。
杭の当たった上半身は血霧となって消し飛び、体も動きを止めた。もしもまだ動けたとしても、下半身だけでは脅威になるまい。
「怖かった……」
勇気をもって話しかけようとした相手がゾンビだったことにショックを受けている。ゾンビの場所から離れて、しばらく無意味に地面をイジったり小石を投げたりして精神をたてなおす。
どれぐらいそうしていたかわからないが、立ち直り前に進み始めるコガネ。いつしか通路の先の空間にワイバーンを視認したのだった
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ワイバーン』
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POW : ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
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黒玻璃・ミコ
◆心情
うふふふ、待望のワイバーンが目の前に(舌舐め擦りし)
しかし急いては事を仕損じます、焦らない、焦らない
◆行動
【黒竜の恩寵】で防御力の強化を
迷宮(おうち)を壊してきた私達、きっと怒り心頭でしょう
【毒使い】でフェロモンの様なものを身体から出して【おびき寄せ】ましょう
それでも敵の注意を引くのが足りなければ
狙われた他の猟兵さんを【かばう】ようにします
特に毒を帯びた攻撃を受けるのは【毒耐性】を持つ私が適任ですからね
勿論甘んじて攻撃を受ける訳ではありませんよ?
【第六感】で【カウンター】の好機を見計らい
【怪力】【生命力吸収】【鎧砕き】【串刺し】を乗せた一撃で逆襲です
美味しいディナーの為にもう一頑張りです
求めたモノが、目の前に、いる。
求めたモノが、目の前にいる。
求めたモノが目の前にいる!
黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は焦る心を抑えつけて平常心を保つ。
そのとき、ワイバーンが自分の巣に侵入してきた不埒者たちに対して唸り声を上げた。乾いた縦長の目が順繰りに全員を見渡そうとして、引き寄せられるようにミコから動かなかった。
――ウマソウ ナ ニオイ ガ スル
人語を解しえないワイバーンの思考を無理やりに言葉に当てはめるならそれだろう。
ミコから流れてくるニオイにつられ視線は釘付けとなっていた。
「おいしそうなニオイがするでしょう?私もなんですよ」
竜を誘惑する毒は効果覿面のようだ。お互いがお互いを喰らう対象として見ている。
『※*▲▼……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜よ!』
黒竜の鱗を身にまとい、耐えてカウンターを狙う構えをとる。ワイバーンの尾に含まれる毒に対抗するには自分が一番だと思う。そして自由に空を飛ぶ敵に対してはそれが一番確実だという判断の元で。
飛び立つワイバーン。
勝負は一瞬。
ミコは急降下してきたワイバーンの爪をあえて受けた。そこに鱗を集中させ、ほぼ完全と言っていいほどの防御。逃さない。
そして続けて繰り出される尾の突き刺しに対して
カウンター
己の持つ全てで、会心の一撃の繰り出した。
こちらを突き刺すはずだったワイバーンの尾は脇腹を削るだけに留まり、こちらの一撃は攻撃してきた尾を破壊した。
鱗という鎧を砕き、内部から生命力を奪ったのだ。少なくともこの戦いの間は使い物にならない。
「ああ、本当ならあなたのその腹を貫きたかったのですけど」
そこには柔らかく滋養のつまったものがアルのだから。
苦悶の声を上げ上空に逃げるワイバーンを見る。尾に含まれる毒には耐性があり、すぐに動けなくなるということはない。だがしかし、動きは鈍くなってしまった。
そのとき、どこからか音が聞こえた。それは目の前のソレが発する音と似たようなもので。
その音を聞いたワイバーンが再度急降下してくる。
今度は咆哮を放ちながら、ミコへと真っ直ぐに。
しかしそれは、ミコが後ろに引っ張られることによって当たらなかった。
成功
🔵🔵🔴
茲乃摘・七曜
★仲間と協力し戦う
心情
出来る事をやりましょう
指針
頭上を抑えられ戦いの主導権を握られることを防ぐ
ワーバーンへの攻撃等は共に戦う仲間に任せ飛行能力を奪うことに力を注ぐ
行動
強者としてのプライド高いと予想し棲み処への侵入者であることを利用
Angels Bitで世界知識と以前聞いた咆哮を真似た声色でワイバーンブラストを誘発するようにワイバーンを挑発
対ワイバーンブラスト
翼の動きで急降下のタイミングを予想
咆哮を【ミレナリオ・リフレクション】で頭部…Angels Bitで細かく狙えるなら耳へと向けて歌唱の絶叫と風属性攻撃を織り交ぜ再現し返す
※爆風は各種耐性と防御技術等で耐え仲間に託す
「墜ちていただきましょうか
ユト・リーィング
さぁ、待ちに待った真打ち登場ってやつだな。
嬉しそうにワイバーンを見上げてニヤリと笑う。
仲間と連携し声掛けをしながら戦う。前衛は任せろ!
ワイバーンの【 殺気】を【 野生の勘】で感じ取った時には攻撃予測を共有
【怪力】で無骨な剣を構えて【力溜め】をして飛龍の翼目掛けて【気絶攻撃】並の強い一撃を入れたいもんだ。
入ったらめっちゃ気持ちいいからよぉ。
ワイバーンの翼に穴を開ける【串刺し】もしたいとこだ。
やられっぱなしなんか相手もねぇだろうから、攻撃されたら血が流れようとも【カウンター】をして【生命力吸収】してやろうじゃねぇの!
あ、仲間に自分よりひどい怪我のやつが居たら後ろに下がるように【救助活動】するぜ!
「危なかったな」
ミコを狙った攻撃から守ったのは、ユト・リーィング(妖狐の剣豪・f00959)の手だった。後ろからミコを引っ張り、無理やりにだが救助したのだ。
本来相手の動きを封じるはずだった爆風は、ユトの目の前を少々抉っただけ。
「あら、簡単に釣れるものですね」
茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が呟く。上から炎を吐くことなく急降下してきたのは、七曜がワイバーンの音を真似て挑発したおかげだった。
それを成したAngels Bitがふよふよと周囲に浮かんでいる。もちろんそれだけでなく、ワイバーンに対する、引いてはこの世界に対する造詣の深さもあった。
再び舞い上がるワイバーン。ユトは舌打ちするが、七曜はまったく変わらなかった。
「大丈夫ですよ。先程のもうは見ましたから」
そうしてまた先程のワイバーンの音を真似る。
今度は急降下せずに撃ってきた咆哮と衝撃波を
「――――」
まったく同じものを返し、相殺してみせた。
ワイバーンはそれを信じられぬとばかりに再度の咆哮。
「――――」
しかしそれもあっさりと相殺する。更に繰り返すこと三度。そのいずれも、七曜は完璧に防ぎきった。
「同じことばかり繰り返して。考えることも出来ないのですか」
呆れたように言う。
ワイバーンが人語を解することはない。しかしそれでも馬鹿にされてることは伝わったのか、唸り声とともにユトと七曜を睨みつける。
しかしいともたやすく相殺されたことで、ワイバーンはその攻撃を諦めた。
代わりに距離を取り、加速しながらの体当たりを選択した。この体こそが、一番の武器だとでも言うように。
「はい、そう来るのですよね。お願いしますユトさん」
「ああ、任せろ」
もしも最初から体当たりをされていたならば、初見ということとワイバーンの速度もあってカウンターは成功しなかっただろう。
しかし、七曜が何度も攻撃を相殺してくれたおかげでユトは十二分に力を溜めることが出来ている。余裕をもって待ち構えているために初見であることなぞ関係ない。
「おおおおおぉぉぉ
!!!!」
裂帛の気合を持ってワイバーンを迎え撃つユト。その一撃は翼の両断にこそ至らなかったものの、翼の骨子を叩き折った。
それでもなお空を飛ぼうと不格好に羽ばたくワイバーン。フラフラとした飛び方で、先程の速度などかけらも見えないし、高度もない。
そこに向かって一本の槍が放たれる
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
ワイバーン、お前にはまだ身に覚えは無いだろうが、
未来の災禍をここで討ち滅ぼす!
…と強きに言ってみたものの、急降下してきては爪と尻尾の連撃に咆哮と爆風、高所を活かした回避とめちゃくちゃつえー!?
だが、ここで挫けない!
敵が急降下してきたら戦闘知識&見切り&勇気&覚悟&野生の勘で攻撃されるギリギリまで距離を近づけ、オレの槍の間合いに入ったらフェイント&気合い&捨て身の一撃で『ドラゴニック・エンド』を放つぜ!
槍が当たって召喚ドラゴンを呼べたら
「ドラゴン、あいつの翼に攻撃して飛べなくさせてくれ!」と
敵の飛行能力の要である翼への攻撃を指示する
召喚ドラゴンならあのワイバーンでも翼に攻撃を当ててくれるはずだ!
キアロ・マジェスタス
とうとう現れたな飛竜!
我輩が成敗してくれよう!
如何せん飛ぶのが厄介であるな
まずは翼を傷つけ、飛行不能にしたいのである
我輩は遠距離攻撃手段を持たぬ
接近せねばならぬので、味方の攻撃に紛れて機を狙うのである
間違ってもブレスに当たらぬよう走り回って回避に専念しておくぞ
味方が押されている時、或いは大技を使われた直後が狙い目であろう
飛竜が我輩を見ていないタイミングを待ち【翼ある者】で飛ぶのである
静粛に迅速にだ!
今だけは高笑いも我慢である!
そうして飛竜の頭か背に取り付き、悪魔医師人形と蹴りで攻撃を加えてやるのだ!
翼と頭部を狙い、飛行不能まで追い込むのが目的である
ふははは!翼持つのは貴様だけではないぞ!
槍を投げたのはグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)だった。本来なら手に持って使う槍を、ここしかないと己の野生の勘に従って投げたのだ。
それはワイバーンの虚をつくことにもなる。遺跡などで見た骸骨の戦士が槍をもっていたところを見たことはあるが、彼らがそれを投げるなんてことはなかったからだ。
槍はしっかりとドラゴンの右足に刺さり、
「来い!ドラゴン!」
そして一声叫べば、槍より一匹のドラゴンが召喚される。その堂々たる体躯は、ワイバーンが既に傷ついていたことを差し引いても、比べ物にならない。
「ドラゴン!あいつの翼を攻撃してくれ!」
応えるように轟くドラゴンの咆哮。ワイバーンのように爆風などは生じないが、ビリビリと空気を震わせる。
「フハハハハッハハハハハハハハハハハハ!!!!翼あるものはお前だけではないぞ!!」
そしてそれに負けぬ高笑いも一つ。キアロ・マジェスタス(オラトリオの人形遣い・f05344)がドラゴンを隠れ蓑にし、空中を蹴ってワイバーンの背に取り付いたのだ。
今まで耐えていた分の高笑いをここぞとばかりに上げながら、操る悪魔医師の人形と自分自身の体術で頭や翼に攻撃を仕掛ける。
「貴殿よ!我輩に構わず攻撃するがいい!」
「おうさ!!」
グァーネッツォは微塵の躊躇もなくその言葉を信じ、ドラゴンも容赦なく翼に対して爪や牙を振るう。
自分を上回る暴力にワイバーンは無様な飛行で回避するしかない。
しかしその背にはいまだキアロが乗っている。ワイバーンが振り落とそうとする度、あるいはドラゴンの攻撃が当たりそうになるたびに自分からその身を空へと投げ出し、空中を蹴ってワイバーンの背に舞い戻ってはまた苛烈に攻めていくのだ。
そしてついに、ワイバーンはドラゴンの牙に捕まった。
無事だったほうの翼は無残にも噛み砕かれ、悲痛な声を上げる。
だがその声は、キアロが上顎を蹴り落としたことで途絶える。
ワイバーンは地に堕ちた。後は仕留めるだけだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルビィ・リオネッタ
ようやく辿りついたわ
ここはワイバーンが飛べるくらい広いのね
「でっかい竜がいるって教えたら…やっぱり来たわね、シオン」
相棒のシオンこと紫音と挑戦するわ
・戦闘
「空を飛ぶ者同士、存分にやりあいましょ♪」
攻撃をまともに受けたら洒落にならないわ
見切りと逃げ足で確実に避ける
時々シオンの肩に捕まって体力を温存しながら
「動きは読めてきた…墜としてみるね」
これだけの体格差、地上の猟兵を注視する飛竜からアタシの事も見えにくい筈よ
目立たないように飛竜より上へ
ワイバーンダイブの隙をつき、早業+暗殺術で目を狙ってシーブズギャンビットでダガーを突き刺すわ
皮膜の薄い部分にも穴を開けて飛行を封じてみるわね
「頼んだわよ!相棒」
六道・紫音
待たせたなルビィ!まだ竜とやらは生きているか!
・戦法
「これが話に聞いた…斬り甲斐がありそうだ、やるぞルビィ!」
相棒のルビィと共闘し、ワイバーンを斬る。
「なるほど、速く、強い…さすがだな」
まずは竜の動きを見ながら残像と見切りを用いて回避優先で立ち回る、ルビィの休憩場所も兼ねているからな。
「やれるな、相棒」
動きが読めたら竜を落とす為に動くルビィから竜の気を引く為に、挑発を開始。
「どうした竜よ、そんな動きで俺は捉えられんぞ!」
残像と見切りで紙一重に避けルビィを待つ、相棒が竜を地に落としたら。
「うぉぉぉ!」
怪力と鎧無視を乗せた渾身の壱之太刀《斬鋼》を二回攻撃で2連斬として放ち、竜を両断する。
「お疲れ、後はアタシたちに任せておきなさい」
「後ろでユトの治療でも受けてこい。アレを斬るのは俺だ」
入れ替わりに前に出てきたのは、六道・紫音(剣聖・f01807)とルビィ・リオネッタ(小さな暗殺者・f01944)の二人組だ。
気負うことはなく、しかしやる気は満々。紫音は刀を抜き、ルビィはダガーを構える。
「行くぞ相棒」「行こうか相棒」
奇しくもかける言葉もかけるタイミングも同じ。二人は特にそれに思うところはないようで戦闘態勢に入る。あるいは当然だと思っているのかもしれない。
ワイバーンはもう飛び上がることは出来ないが、それでも戦意は失われておらず唸り声とともに二人を睨みつける。
「お先!!」
ルビィが飛び出す。元々飛んでるワイバーンに対抗するつもりだったのだが、相手はもう地上だ。翼を狙うことはなく、その目を射抜くため飛ぶ。
「速さも強さも失ったお前など、怖くもなんともないな」
(できることなら、強いコイツともやりあってみたかったがな)
内心をこぼしながら挑発でサポートする紫音。しかし攻撃を加えるでなく回避主体で立ち回っていく。目を狙うルビィの休憩場所になるためだ。
「どうした!?それでおわりか!!」
前に出て、ワイバーンの攻撃を残像でいなし続ける。その肩には時々ルビィがいて、虎視眈々とその目をいただこうと目が輝いている。
そうしていま、その瞬間は訪れた。
「――」
声さえ捨てて、最速最短の一撃で、ルビィはワイバーンの目を貫き通したのだ。
「任せたよ相棒」
そして一声。相棒に声をかける。その一言で
「任された相棒」
相棒には全て伝わった。
痛みに暴れるワイバーンの前に立つ。ルビィは暴れる直前に遠くへ離れた。こちらを無視して暴れるワイバーンを見ながらタイミングを待つ。
ワイバーンが、痛みに耐えながらも、こちらを見るそのタイミング。
「『壱之太刀…斬鋼!』」
自分の持てる技術の粋を凝らした、切断において比類なき一刀。
それは鱗を断ち、首の筋肉を切り離し、反対側まで駆け抜ける。
あまりにも速かった一撃で、少しの間だけワイバーンの首は地面に落ちなかった。しかし結果は見るまでもない。
ルビィを肩に留めた紫音はワイバーンを背にして一歩。
二人の背後からは重たい何かが倒れる音が聞こえてきたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵